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特許7522107自己乳化型ポリイソシアネート組成物、2液型塗料組成物及び塗膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】自己乳化型ポリイソシアネート組成物、2液型塗料組成物及び塗膜
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20240717BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20240717BHJP
   C08G 18/78 20060101ALI20240717BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20240717BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20240717BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
C08G18/00 C
C08G18/28 080
C08G18/28 050
C08G18/28 015
C08G18/78 037
C08G18/79 010
C08G18/79 020
C09D175/04
C09D5/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021522307
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2020020255
(87)【国際公開番号】W WO2020241479
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2019099975
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019170969
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】喜多 求
(72)【発明者】
【氏名】陳孫 詩蒙
(72)【発明者】
【氏名】井上 宗宣
(72)【発明者】
【氏名】長岡 正宏
(72)【発明者】
【氏名】足立 浩明
(72)【発明者】
【氏名】前田 秋生
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-533566(JP,A)
【文献】特開2013-193986(JP,A)
【文献】特開2018-119107(JP,A)
【文献】特表2018-532830(JP,A)
【文献】特開平07-048429(JP,A)
【文献】特開2019-214701(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109824555(CN,A)
【文献】特表2021-521294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C09D 175/00-175/16
C09D 5/00- 5/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性化合物(a)、ノニオン性親水基含有一官能アルコール(b)、有機ポリイソシアネート(c)及び第三級アミン(d)の反応混合物からなる、自己乳化型ポリイソシアネート組成物であって、
反応混合物は、ウレタン結合及びウレア結合を有するポリイソシアネートを含んでおり、
アニオン性化合物(a)が、下記式1で表され、前記組成物におけるスルホ基の含有量が0.05mmol/g以上0.10mmol/g以下であり、ノニオン性親水基含有一官能アルコール(b)が、下記式2で表され、前記組成物における含有量が2~10質量%である、自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
【化1】

(式中、Rは直鎖状の炭素数3~6のアルキル基、又は、炭素数3~6のアルキル基の炭素原子間に、隣接しないように酸素原子が挿入された構造の、アルキルオキシ含有基を表す。)
【化2】

(式中、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す。nは5~30の整数を表す。)
【請求項2】
ノニオン性親水基含有一官能アルコール(b)の、前記組成物における含有量が3~10質量%である、請求項1に記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
有機ポリイソシアネート(c)中のイソシアネート基の含有量が10~35質量%である、請求項1又は2に記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
有機ポリイソシアネート(c)が、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート、及び/又は、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性ポリイソシアネートを含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
は、プロピル基、ブチル基、3-メトキシプロピル基、4-メトキシブチル基、3-エトキシプロピル基又は4-エトキシブチル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
【請求項6】
は炭素数1~2のアルキル基であり、nは8~20の整数である、請求項1~5のいずれか一項に記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
【請求項7】
アニオン性化合物(a)に対する第三級アミン(d)の比が、モル当量比で、0.8~1.2である、請求項1~6のいずれか一項に記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の自己乳化型ポリイソシアネート組成物と、活性水素基含有高分子化合物と、水系媒体とを含む、2液型塗料組成物。
【請求項9】
己乳化型ポリイソシアネート組成物中のウレタン結合及びウレア結合を有するポリイソシアネートのイソシアネート基と、活性水素基含有高分子化合物の活性水素基とが、モル比で、6:4~4:6である、請求項8に記載の2液型塗料組成物。
【請求項10】
己乳化型ポリイソシアネート組成物中のウレタン結合及びウレア結合を有するポリイソシアネートと、活性水素基含有高分子化合物とが、質量比で、1:9~3:7である、請求項8に記載の2液型塗料組成物。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか一項に記載の2液型塗料組成物の反応物である塗膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己乳化型ポリイソシアネート組成物、2液型塗料組成物及び塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着剤や塗料等として使用される硬化性組成物としてポリイソシアネートが知られているが、イソシアヌレート構造を有する疎水性ポリイソシアネートをノニオン性親水基含有一官能アルコール化合物により変性させ、水に乳化、分散して使用されている。(例えば特許文献1参照)。このような組成物の場合、ノニオン性親水基含有一官能アルコールの曇点以上の温度では水系媒体にポリイソシアネートを分散する際に、分散粒子が大きくなり、分散安定性が落ちるといった問題点があった。
【0003】
そこで、ノニオン性親水基含有一官能アルコールに代わり、アニオン性親水基含有アミンを用いてポリイソシアネートを変性させることで、水分散時の分散粒子径(以下、「粒径」という)に温度依存性のない自己乳化型ポリイソシアネートが見出された(例えば特許文献2参照)。しかしながら、この場合においても、得られた自己乳化型ポリイソシアネートの粒径は大きく、水分散した自己乳化型ポリイソシアネート成分が沈降するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-291613号公報
【文献】特表2003-533566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、温度依存による粒径の変化が少なく、分散安定性の良い自己乳化型ポリイソシアネート組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アニオン性化合物(a)、ノニオン性親水基含有一官能アルコール(b)、有機ポリイソシアネート(c)及び第三級アミン(d)の反応混合物からなる、自己乳化型ポリイソシアネート組成物であって、
反応混合物は、ウレタン結合及びウレア結合を有するポリイソシアネートを含んでおり、
アニオン性化合物(a)が、下記式1で表され、前記組成物におけるスルホ基の含有量が0.05mmol/g以上0.10mmol/g以下であり、ノニオン性親水基含有一官能アルコール(b)が、下記式2で表され、前記組成物における含有量が2~10質量%である、自己乳化型ポリイソシアネート組成物を提供する。以下、アニオン性化合物(a)を「(a)成分」と略す場合がある。また、他の成分も同様に略す場合がある。
【化1】
(式中、Rは直鎖状の炭素数3~6のアルキル基、又は、炭素数3~6のアルキル基の炭素原子間に、隣接しないように酸素原子が挿入された構造の、アルキルオキシ含有基を表す。)
【化2】
(式中、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す。nは5~30の整数を表す。)
【0007】
自己乳化型ポリイソシアネート組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分から得られるものである。すなわち、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分の反応混合物からなっており、反応混合物は、ウレタン結合及びウレア結合を有するポリイソシアネートを含んでいる。これらの成分のうち、反応に関与しなかった成分は未反応のまま含有されていてもよい。
【0008】
ウレタン結合及びウレア結合を有するポリイソシアネートの生成には、例えば以下のような反応プロセスが含まれると考えられる。すなわち、(a)成分と(d)成分の中和反応が生じ、(a)成分中の第二級アミノ基が(c)成分のイソシアネート基と反応可能となる(中和反応)。また、(b)成分と(c)成分が反応しウレタン結合が生じる(ウレタン化反応)。なお、ウレタン化反応後も、(c)成分のイソシアネート基が消費し尽くされることがないように、(b)成分の含有量は2~10質量%の範囲とされている。中和反応とウレタン化反応はほぼ同時に生じるものと推察される。
【0009】
そして、中和反応で生じた反応物の第二級アミノ基は、(c)成分のイソシアネート基と反応し、ウレア結合を生じる(ウレア化反応)。ウレア化反応後も、(c)成分のイソシアネート基が消費し尽くされることがないように、(a)成分中のスルホ基の含有量が0.05mmol/g以上0.10mmol/g以下とされている。以上の反応が生じることで、(c)成分に、ウレタン結合を介して(b)成分が結合し、更にウレア結合を介して(a)成分(又は(a)成分及び(d)成分)が結合し、(c)成分中には未反応のイソシアネート基が保持される。なお、上記の反応様式はあくまでも例示にとどまり、反応の順序や機序は異なっていてもよい。また、未反応の成分が残存していてもよいが、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分は全て反応に関与していることが好ましい。
【0010】
上記自己乳化型ポリイソシアネート組成物は、温度依存による粒径の変化が少なく、分散安定性に優れるという効果を奏する。
【0011】
分散安定性の良さは、自己乳化型ポリイソシアネート組成物を水に分散させたときの粒径で評価ができる。例えば、水に分散することにより、25℃における動的光散乱法による平均粒径が230nm以下であれば、分散安定性は優れると判断できる。また、25℃と40℃における動的光散乱法による平均粒径の差が10nm以下であれば、温度依存による粒径の変化が少ないということができる。
【0012】
自己乳化型ポリイソシアネート組成物において、(a)~(d)成分のいずれかを含有しない場合は、分散安定性及び粒径安定性(粒径が温度に依存して変化しないこと)の少なくとも一方を達成できない。例えば、(a)成分と(d)成分が共存しないと、水分散後の25℃における平均粒径が大きくなり、また分散安定性に欠け、25℃と40℃における平均粒径の差も大きくなり、温度に依存して粒径が変化してしまうという現象が生じ得る。また、(b)成分がないと、水分散後の25℃における平均粒径が十分に小さくならず、25℃と40℃における平均粒径の差も大きくなるという現象が生じ得る。そして、(a)成分におけるRが、直鎖状の炭素数3~6のアルキル基、又は、上述したアルキルオキシ含有基でない場合は、25℃と40℃における平均粒径の差も大きくなり、粒径安定性に欠けるという現象が生じ得る。
【0013】
ノニオン性親水基含有一官能アルコール(b)の、組成物における含有量を3~10質量%とすることもできる。これにより、分散安定性及び粒径安定性が優れるようになる。
【0014】
(c)成分としては、イソシアネート基の含有量が10~35質量%である有機ポリイソシアネートを採用できる。また、本発明の効果をより顕著にすることができることから、(c)成分は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性ポリイソシアネートの少なくとも一方を含有させることが好ましい。
【0015】
(a)成分におけるRとしては、プロピル基、ブチル基、3-メトキシプロピル基、4-メトキシブチル基、3-エトキシプロピル基又は4-エトキシブチル基が挙げられ、プロピル基、ブチル基又は3-メトキシプロピル基が好ましい。
【0016】
(b)成分におけるRが、炭素数1~2のアルキル基であり、nが8~20の整数とすることが好ましい。これにより、分散安定性及び粒径安定性のいずれもが更に優れるようになる。
【0017】
(a)成分に対する(d)成分の比が、モル当量比で、0.8~1.2であることが好ましい。すなわち、第三級アミン(d)の当量:アニオン性化合物(a)の当量が、0.8:1~1.2:1であるとよい。上述のように(a)成分と(d)成分は中和反応を生じると考えられるが、モル当量比が上記範囲であることで、中和反応に過不足が生じないため、中和反応に基づく(a)成分の第二級アミノ基のイソシアネート基への反応性向上が図られることになる。
【0018】
本発明はまた、自己乳化型ポリイソシアネート組成物と、主剤と、水系媒体とを含む、2液型塗料組成物を提供する。ここで、水系媒体とは、水のみからなる媒体、又は、水に水溶性、水膨潤性若しくは水分散性の成分を添加した媒体を意味する。自己乳化型ポリイソシアネート組成物は、2液型塗料組成物の水系媒体中で分散しており、主剤は水系媒体中に分散されているか、水系媒体により溶解又は膨潤している。
【0019】
主剤は、活性水素基含有高分子化合物であり、自己乳化型ポリイソシアネート組成物中のウレタン結合及びウレア結合を有するポリイソシアネートのイソシアネート基と、主剤の活性水素基とが、モル比で、6:4~4:6であるとよい。主剤が活性水素を含有することにより、主剤と自己乳化型ポリイソシアネート組成物とが反応して架橋構造が形成されることから、2液型塗料組成物は、耐熱性に優れ強靭な塗膜を形成する。
【0020】
主剤は、活性水素基非含有高分子化合物であり、自己乳化型ポリイソシアネート組成物中のウレタン結合及びウレア結合を有するポリイソシアネートと、主剤とが、質量比で、1:9~3:7であってもよい。この場合、自己乳化型ポリイソシアネート組成物が水と反応してポリウレア化合物となり、硬くて強靭な塗膜が形成される。
【0021】
このように、2液型塗料組成物から、目的に応じた種々の特性を有する塗膜を得ることができる。なお、反応に関与しなかった水系媒体は揮発等によって除去される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、外気温度に関わらず、分散安定性の良い自己乳化型ポリイソシアネート組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0024】
<アニオン性化合物(a)>
(a)成分は、下記式1で表され、(c)成分に親水性を付与することができる自己乳化型ポリイソシアネート組成物製造用親水化剤である。
【化3】
(式中、Rは直鎖状のアルキル基を表す。Rの基中の1つ以上の炭素原子は、酸素原子が隣接しないように酸素原子で置換されていてもよく、Rに含まれる炭素数の合計は3以上6以下である。すなわち、Rは直鎖状の炭素数3~6のアルキル基、又は、炭素数3~6のアルキル基の炭素原子間に、隣接しないように酸素原子が挿入された構造の、アルキルオキシ含有基を表す。)
【0025】
で表される炭素数の合計が3以上6以下である直鎖状のアルキル基としては、例えばプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を例示することができる。この中でも、水への相溶性が高い点で、炭素数3以上5以下のアルキル基が好ましい。このようなアルキル基としては、プロピル基及びブチル基が挙げられる。なお、上記アルキル基は全て直鎖状であることから、プロピル基は、n-プロピル基を意味し、他の官能基も同様にノルマル(n-)基である。
【0026】
は、直鎖状のアルキル基中の1つ以上の炭素原子が、酸素原子が隣接しないように酸素原子で置換されていてもよい、炭素数の合計が3以上6以下である基であってもよい。すなわち、炭素数3~6のアルキル基の炭素原子間に、隣接しないように酸素原子が挿入された構造の、アルキルオキシ含有基であってもよい。アルキルオキシ含有基としては、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-プロポキシエチル基、2-ブトキシエチル基、3-メトキシプロピル基、3-エトキシプロピル基、3-プロポキシプロピル基、4-メトキシブチル基、4-エトキシブチル基、2-(2-メトキシエトキシ)エチル基、2-(2-エトキシエトキシ)エチル基等を例示することができる。この中でも、安価であり効果も優れる点で、3-メトキシプロピル基、4-メトキシブチル基、3-エトキシプロピル基及び4-エトキシブチル基が好ましい。特には、3-メトキシプロピル基が好ましい。
【0027】
(a)成分としては、例えば3-(プロピルアミノ)プロパンスルホン酸、3-(ブチルアミノ)プロパンスルホン酸、3-(ペンチルアミノ)プロパンスルホン酸、3-[(2-メトキシエチル)アミノ]プロパンスルホン酸、3-[(2-エトキシエチル)アミノ]プロパンスルホン酸、3-[(3-メトキシプロピル)アミノ]プロパンスルホン酸、3-[(3-エトキシプロピル)アミノ]プロパンスルホン酸、3-[(3-プロポキシプロピル)アミノ]プロパンスルホン酸、3-[(4-メトキシブチル)アミノ]プロパンスルホン酸、3-[(4-エトキシブチル)アミノ]プロパンスルホン酸、3-[[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]アミノ]プロパンスルホン酸、3-[[2-(2-エトキシエトキシ)エチル]アミノ]プロパンスルホン酸、3-(へキシルアミノ)プロパンスルホン酸等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、水への相溶性が高い点で、3-(プロピルアミノ)プロパンスルホン酸、3-(ブチルアミノ)プロパンスルホン酸及び3-[(3-メトキシプロピル)アミノ]プロパンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが更に好ましい。自己乳化型ポリイソシアネート組成物におけるスルホ基の含有量は0.05~0.10mmol/gである。この範囲とすることで、粘度が低く、水分散性に優れる塗料が得られる。
【0028】
式1で表される(a)成分においては、分子内のスルホ基の活性水素が分子内のアミノ基上に転位した構造の、式1aで表される内部塩を形成し得ることから、(a)成分は、式1aで表される内部塩を含むものである。但し、本明細書においては、(a)成分を式1として表記する。
【化4】
(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)。
【0029】
(a)成分は、公知の方法(例えば米国特許出願公開20070010573号公報)を参考に調製することができる。
【0030】
<ノニオン性親水基含有一官能アルコール(b)>
(b)成分は、下記式2で表されるアルコキシポリエチレングリコールである。なお、下記式2で表されるもの以外のポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルモノアルコール等を分散安定性が低下しない範囲で添加することができる。
【化5】
(式中、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す。nは5~30の整数を表す。)。
【0031】
(b)成分は、市販されているものを用いることができる。また、ROH(式中、Rは前記と同じ意味を表す)とエチレンオキシドから調製して用いることもできる。
【0032】
で表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基等を例示することができる。Rとしては、炭素数1~2のアルキル基、すなわち、メチル基、エチル基が好ましい。
【0033】
親水性が高い点でnが8~20である(b)成分を用いることが好ましい。nは、8~18、又は8~16、或いは8~12であってもよい。自己乳化型ポリイソシアネート組成物における(b)成分の含有量は2~10質量%であり、3~10質量%とすることもできる。この範囲とすることで、塗膜硬度が高い塗料が得られる。
【0034】
(b)成分としては、メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、ブトキシポリエチレングリコールが挙げられる。メトキシポリエチレングリコールであって、式2のnが5~30のものとしては、水酸基価から計算される平均分子量が、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000のもの、或いは、これらの平均分子量のいずれかを上限及び下限とした範囲のもの、が挙げられる。
【0035】
<有機ポリイソシアネート(c)>
(c)成分としては、例えば芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環族ポリイソシアネートから選択される有機ポリイソシアネートを挙げることができる。また、これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート、アロファネート変性ポリイソシアネート、ウレトジオン変性ポリイソシアネート、ウレタン変性ポリイソシアネート、ビウレット変性ポリイソシアネート、ウレトイミン変性ポリイソシアネート、アシルウレア変性ポリイソシアネート等を単独、又は二種以上で適宜併用することができる。また、耐候性を考慮した場合、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及びこれらの変性ポリイソシアネートが好ましく、被覆膜の耐久性や基材に対する密着性の観点から脂肪族ポリイソシアネート、又は脂環族ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート、及びアロファネート変性ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。光沢性を考慮すると、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート、及びアロファネート変性ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0036】
<芳香族ポリイソシアネート>
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート/2,6-トリレンジイソシアネート混合物、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
【0037】
<芳香脂肪族ポリイソシアネート>
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、又はそれらの混合物;1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、又はそれらの混合物;ω,ω’-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン等が挙げられる。
【0038】
<脂肪族ポリイソシアネート>
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-(イソシアネートメチル)オクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-(イソシアネートメチル)オクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-α,α’-ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2-イソシアネートエチル=2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、2-イソシアネートプロピル=2,6-ジイソシアネートヘキサノエート等が挙げられる。
【0039】
<脂環族ポリイソシアネート>
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4-イソシアネート-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、水素化ダイマー酸ジイソシアネート、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、水素化された水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化された水添トリレンジイソシアネート、水素化された水添キシレンジイソシアネート、水素化された水添テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0040】
また、分散安定性が良い点で、(c)成分中のイソシアネート基の含有量が10~35質量%であることが好ましく、15~24質量%であることが更に好ましい。
【0041】
<アミン化合物(d)>
(d)成分は、第三級アミンである。第三級アミンとしては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の第三級モノアミン、1,3-ビス(ジメチルアミノ)プロパン、1,4-ビス(ジメチルアミノ)ブタン、N,N’-ジメチルピペラジン等の第三級ジアミンを挙げることができる。特にイソシアネートに対する反応性が低い点で、第三級モノアミンが好ましく、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリンが更に好ましい。
【0042】
また、(d)成分と(a)成分とのモル当量比が0.2:1~2:1となるように用いることが、低粘度の塗料が得られる点で、好ましく、0.5:1~1.5:1であること、更には、0.8:1~1.2:1が好ましい。すなわち、(a)成分に対する(d)成分のモル当量比[(d)成分の当量/(a)成分の当量]は、0.2~1が好ましく、0.5~1.5がより好ましく、更には0.8~1.2が好ましい。
【0043】
<自己乳化型ポリイソシアネート組成物の配合方法>
自己乳化型ポリイソシアネート組成物を製造するにあたり、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分の配合順序に特に制限はなく、通常のウレタン化反応の条件を適用することができる。
【0044】
<2液型塗料組成物>
2液型塗料組成物は、本発明の自己乳化型ポリイソシアネート組成物と主剤とから得られ、自己乳化型ポリイソシアネート組成物と、主剤と、水系媒体とを含むことができる。
【0045】
2液型塗料組成物の主剤としては、常温液状で水に不溶、或いは親和性を有しない高分子化合物を好ましく使用できる。なお、水に対して溶解性或いはある程度の親和性を有する水溶性樹脂、又は水系エマルジョンを使用することも可能である。これらの高分子化合物は分子内にイソシアネート基と反応する水酸基、カルボキシル基又はアミノ基(以下、「活性水素基」又は「求核基」という。)を含有するものが好ましく、特に一分子あたり2個以上の活性水素基を含有するものが好ましい。また、これらの高分子化合物が、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を含有していない場合、又はわずかしか含有していない場合でも、最終的には自己乳化型ポリイソシアネート組成物が水と反応してポリウレア化合物となり、硬くて強靭な塗膜を得ることができる。また、イソシアネート基が被着材表面に存在する活性水素基と反応するため、被着剤との密着性も向上する。なお、常温にてイソシアネート基と反応しうる活性水素基を含有する高分子化合物を使用した場合は、高分子化合物中の活性水素基と自己乳化型ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基が反応し架橋構造を形成するため、耐候性、耐溶剤性等が更に向上する。なお、本発明における常温とは5℃~40℃である。
【0046】
このような主剤としては、例えば飽和或いは不飽和ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、飽和或いは不飽和の脂肪酸変性アルキッドポリオール、アミノアルキッドポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール、含フッ素ポリオール、更には飽和或いは不飽和ポリエステル樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、脂肪酸変性アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースアセテートブチラート樹脂、含フッ素樹脂等が挙げられる。
【0047】
また、水溶性樹脂、水系エマルジョンも主剤として好適に使用することができ、水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、水溶性エチレン-酢酸ビニル共重合体、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、水溶性リグニン誘導体、水溶性フッ素樹脂、水溶性シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0048】
水系エマルジョンとしては、いわゆるラテックス、エマルジョンと表現されるもの全てを包含し、例えば、スチレンブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリルブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタアクリレートブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジエンラテックス等のゴム系ラテックス、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリブタジエンラテックス、或いはこれらのラテックスをカルボキシル変性したもの、また、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリルエマルジョン、シリコーンアクリルエマルジョン、酢酸ビニルアクリルエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン等が挙げられる。
【0049】
これらのうち、光沢、耐候性等の塗膜性能や接着強度の点で、アクリルポリオール、アクリル樹脂、水溶性アクリル樹脂、アクリルエマルジョン、ウレタンアクリルエマルジョン、ポリウレタンエマルジョンが特に好ましい。
【0050】
これら主剤としての高分子化合物の数平均分子量は、好ましくは1000~100万であり、更に好ましくは1万~10万である。
【0051】
<配合比>
本発明の塗料組成物の製造における自己乳化型ポリイソシアネート組成物と主剤との配合比は、本発明の主剤として分子中に活性水素基を含有するものを使用する場合、自己乳化型ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基と、主剤中の活性水素基とのモル比は、9:1~1:9が好ましく、6:4~4:6が更に好ましい。この範囲内とすることで、より優れた性能を持つ塗膜を得ることができる。
【0052】
また、主剤として分子中に活性水素基を含まない、もしくは、わずかしか含まないものを使用する場合、自己乳化型ポリイソシアネート組成物と主剤の質量比は、1:9~5:5が好ましく、1:9~3:7が更に好ましい。この範囲内とすることで、より優れた性能を持つ塗膜を得ることができる。
【0053】
<配合方法>
主剤と自己乳化型ポリイソシアネート組成物の配合方法は、主剤にそのまま添加する、一旦自己乳化型ポリイソシアネート組成物を水系媒体に分散(又は水分散)させてから添加する、又はウレタン分野で常用の溶剤に溶解させてから添加する等の方法が挙げられる。本発明においては、自己乳化型ポリイソシアネート組成物を水系媒体に分散(又は水分散)させてから、主剤と配合する方法が好ましい。
【0054】
<その他添加剤>
自己乳化型ポリイソシアネート組成物、又は2液型塗料組成物には、必要に応じて、例えば、酸化防止剤や、紫外線吸収剤、顔料、染料、難燃剤、加水分解防止剤、潤滑剤、可塑剤、充填剤、貯蔵安定剤、造膜助剤といった当業者が通常用いる添加剤を適宜配合することができる。
【0055】
<塗装方法>
2液型塗料組成物は、従来行なわれている通常の塗装方法によって塗装することで塗膜を得ることができる。塗装にはエアレススプレー機、エアスプレー機、静電塗装機、浸漬、ロールコーター、ナイフコーター、ハケ等を用いることができる。
【実施例
【0056】
以下、実施例により本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定して解釈されるものではない。
【0057】
[アニオン性化合物の製造]
<合成例1>
還流管を取り付けた200mLフラスコに1,3-プロパンスルトン(6.02g,49.1mmol)及びプロピルアミン(4.00mL,48.5mmol)を量り取り、テトラヒドロフラン(44mL)に溶解させた。反応溶液をアルゴン雰囲気下、11時間還流した後、揮発性成分を除去した。得られた固体をエタノールから再結晶し、析出した白色沈殿をろ取し、テトラヒドロフランで洗浄後、減圧下60℃で乾燥させることで、3-(プロピルアミノ)プロパンスルホン酸(A-1)を得た(4.55g,25.1mmol,51%)。H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):8.48(br,2H),3.05(t,J=6.7Hz,2H),2.84(m,2H),2.62(m,2H),1.93(tt,J=6.5,6.7Hz,2H),1.57(tq,J=7.7,7.5Hz,2H),0.91(t,J=7.5Hz,3H)。
【0058】
<合成例2>
還流管を取り付けた200mLフラスコに1,3-プロパンスルトン(6.72g,55.0mmol)、ブチルアミン(11.0mL,111mmol)及びテトラヒドロフラン(60mL)を加え、合成例1と同様の方法で、3-(ブチルアミノ)プロパンスルホン酸(A-2)を得た(5.20g,26.6mmol,48%)。H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ(ppm):8.49(brs,2H),3.04(t,J=6.4Hz,2H),2.87(m,2H),2.62(m,2H),1.92(m,2H),1.52(m,2H),1.32(m,2H),0.89(t,J=7.4Hz,3H)。
【0059】
<合成例3>
還流管を取り付けた200mLフラスコに1,3-プロパンスルトン(10.1g,83mmol)及び(3-メトキシプロピル)アミン(12.6mL,120mmol)及びテトラヒドロフラン(60mL)を加え、合成例1と同様の方法で、3-[(3-メトキシプロピル)アミノ]プロパンスルホン酸(A-3)を得た(8.82g,42mmol)。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):8.48(br,2H),3.38(t,J=6.0Hz,2H),3.24(s,3H),3.04(m,2H),2.93(m,2H),2.61(m,2H),1.92(m,2H),1.79(m,2H)。
【0060】
[自己乳化型ポリイソシアネートの製造]
<実施例1>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管の付いた容量0.5Lの反応器に、有機ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体含有ポリイソシアネート、商品名:コロネートHXLV、イソシアネート基の含有量23.2質量%、東ソー社製)を476.5g、合成例1で得られたA-1を5.3g、メトキシPEG(メトキシポリエチレングリコール 分子量400、東邦化学社製)を15.0g、ジメチルシクロヘキシルアミンを3.2g仕込み、80℃で5時間撹拌し、自己乳化型ポリイソシアネートP-1を得た。P-1のスルホ基の含有量は0.05mmol/g、ノニオン性親水基含有一官能アルコールの含有量3.0質量%、イソシアネート基の含有量は21.6質量%であった。
【0061】
実施例1と同様の方法で自己乳化型ポリイソシアネートP-2~21を合成した。結果を表1~3に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
<実施例22>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管の付いた容量0.5Lの反応器に、有機ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体含有ポリイソシアネート、商品名:コロネート2785、イソシアネート基の含有量19.2質量%、東ソー社製)を476.5g、合成例1で得られたA-3を5.3g、メトキシPEG(メトキシポリエチレングリコール 分子量400、東邦化学社製)を15.0g、ジメチルシクロヘキシルアミンを3.2g仕込み、80℃で5時間撹拌し、自己乳化型ポリイソシアネートP-22を得た。P-22のスルホ基の含有量は0.05mmol/g、ノニオン性親水基含有一官能アルコールの含有量は3質量%、イソシアネート基の含有量は17.6質量%であった。
【0066】
実施例1と同様の方法で自己乳化型ポリイソシアネートP-23~28を合成した。結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
・CAPS:3-(シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸、東京化成工業社製
・メトキシPEG:メトキシポリエチレングリコール 分子量400、東邦化学社製
・ジメチルシクロヘキシルアミン:試薬特級、東京化成工業社製。
【0069】
<粒径評価>
各自己乳化型ポリイソシアネート組成物(P-1~14)と精製水とを、1:9の質量比で30mlのサンプル瓶中で混合し、手で上下20秒(60回)振とうした。得られた水分散液分散体の粒径(動的光散乱法による平均粒径)を粒径測定装置(Otsuka Electronics ELSZ-200)で評価した。結果を表5~8に示す。粒径が230nm以下であれば、分散安定性が良いといえる。また、25℃測定時と40℃測定時の粒径差が10nm以下であれば、外気の気温に関係なく分散安定性が良いといえる。
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】