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特許7522119アンテナユニットを備えるガラスユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】アンテナユニットを備えるガラスユニット
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20240717BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01Q1/22 C
H01Q1/32 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021543419
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020052382
(87)【国際公開番号】W WO2020157251
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】19154761.1
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507090421
【氏名又は名称】エージーシー フラット グラス ノース アメリカ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AGC FLAT GLASS NORTH AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】11175 Cicero Dr. Suite 400, Alpharetta, GA 30022, U.S.A.
(73)【特許権者】
【識別番号】518428303
【氏名又は名称】エージーシー ビードロス ド ブラジル エルティーディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ユーセフベイキ, モーセン
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-502073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0142018(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01559167(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向軸Xと垂直軸Zにより画定される平面Pに沿って延び、前記長さ方向軸Xに沿って測定される幅Wと前記垂直軸Zに沿って測定される長さLを有する、少なくともガラスパネルとアンテナユニットを含むガラスユニットにおいて、
前記アンテナユニットは、
a.アンテナと、
b.空間が前記ガラスパネルと前記アンテナとの間に形成されるように、そしてその中を空気が流れることができるように前記アンテナを前記ガラスパネルに固定するための固定部分と、
c.少なくとも1つの非固定部分と、
d.前記アンテナユニットの前記非固定部分の少なくとも一部を覆うように配置された少なくとも1つの金属要素と、
を含み、
前記少なくとも1つの金属要素は、前記アンテナユニットの前記空間に対応する少なくとも1つの穴をさらに含み、空気が前記少なくとも1つの穴を通って前記空間から前記アンテナユニットの外部へと流れることができることを特徴とするガラスユニット。
【請求項2】
前記アンテナユニットは2つの非固定部分を含み、前記2つの非固定部分の少なくとも一方の少なくとも一部を覆うように金属要素が配置される、請求項1に記載のガラスユニット。
【請求項3】
前記アンテナユニットは2つの金属要素を含み、前記2つの金属要素の一方は前記非固定部分の一方の少なくとも一部と前記アンテナユニットの他方を覆うように配置され、前記2つの金属要素の他方は前記アンテナユニットの第二の非固定部分の少なくとも一部を覆うように配置される、請求項2に記載のガラスユニット。
【請求項4】
前記少なくとも1つの金属要素は、前記アンテナユニットの前記空間に対応する少なくとも1つのメッシュ部分をさらに含む、請求項1~の何れか1項に記載のガラスユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの金属要素の前記少なくとも1つの穴の最大寸法は、有効波長の最大0.4倍である、請求項1~の何れか1項に記載のガラスユニット。
【請求項6】
前記少なくとも1つの金属要素の各前記穴の最大寸法は、有効波長の最大0.4倍である、請求項の何れか1項に記載のガラスユニット。
【請求項7】
各金属要素の各前記穴の最大寸法は、有効波長の最大0.4倍である、請求項の何れか1項に記載のガラスユニット。
【請求項8】
前記ガラスパネルは少なくとも1つのガラスシートを含む、請求項1~の何れか1項に記載のガラスユニット。
【請求項9】
前記ガラスパネルは、スペーサによって分離された2つのガラスシートを含む、請求項に記載のガラスユニット。
【請求項10】
金属要素は前記非固定部分及び少なくとも前記非固定部分の付近の前記アンテナを覆う、請求項1~の何れか1項に記載のガラスユニット。
【請求項11】
金属要素は前記固定部分を覆う、請求項1~10の何れか1項に記載のガラスユニット。
【請求項12】
前記ガラスパネルはコーティング系によって少なくとも部分的に覆われる、請求項1~11の何れか1項に記載のガラスユニット。
【請求項13】
前記コーティング系は前記アンテナユニットの正面に開口を有する、請求項12に記載のガラスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改良されたアンテナユニットを備えるガラスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信、無線放送、GPS(全地球測位システム)等の無線技術に基づく各種の通信システムが開発されている。これらの通信システムに対応するためには、各通信システムに使用される電磁波を送受信できるアンテナが必要である。
【0003】
近年、小型化に伴い、アンテナは建物に取り付けられることがますます増えている。多数のアンテナが、移動通信に使用される電磁波を安定的に送受信できるように建物に取り付けられている。アンテナを建物に取り付ける場合、電磁波を安定に送受信できるのと同時に、建物の外観が損なわれないようにするために、アンテナの適正な配置を選択する必要がある。
【0004】
それに加えて、無線通信の高速化及び大容量化のために、使用される周波数バンドは、第5世代移動通信システム(5G)用の周波数バンドのように、より高くなりつつある。したがって、たとえ広帯域周波数バンドを有する高周波数電磁波が移動通信等に使用されても電磁波の送受信を安定に行うために、数多くのアンテナを取り付けなければならない。
【0005】
例えば建物に取り付けられ、使用されるアンテナユニットとしては、例えば、日本特許出願第06196915号に記載されているような、各層が所定の厚さに設定される異なる比誘電率を有する3つの層と、電波透過体とを含むものがある。
【0006】
しかしながら、日本特許出願第06196915号に記載の技術によれば、アンテナユニット等の取付場所又は取付条件に応じて、日光が第一の層に当たって第一の層の温度が上昇しすぎた場合、透過性部材の第一の層に熱亀裂が生じる可能性があることについては考察されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの実施形態の目的は、ガラスパネルからの反射による構造体からの波の逆放射を最小化しつつもガラスパネルにおける熱亀裂の発生の可能性を低減させることができるガラスアンテナユニットを提供することである。
【0008】
本発明の目的は、これらの問題を緩和し、ガラスパネルにおける熱亀裂の発生の可能性を低減させながら、アンテナにより放射された波のガラスパネルからの反射を減少させるガラスユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様によれば、本発明は、長さ方向軸Xと垂直軸Zにより画定される平面Pに沿って延び、長さ方向軸Xに沿って測定される幅W及び垂直軸Zに沿って測定される長さLを有する、少なくともガラスパネルとアンテナユニットを含む改良されたガラスユニットに関する。
【0010】
本発明の第一の態様において定義される解決策はアンテナユニットに基づいており、これはアンテナと、空間がガラスパネルとアンテナとの間に形成されるように、そしてその中を空気が流れることができるようにアンテナをガラスパネルに固定するための固定部分と、少なくとも1つの非固定部分と、アンテナユニットの非固定部分の上に配置された少なくとも1つの金属要素とを含む。
【0011】
本発明の第一の態様において定義される解決策はアンテナユニットに基づいており、これはアンテナと、空間がガラスパネルとアンテナとの間に形成されるように、そしてその中を空気が流れることができるようにアンテナをガラスパネルに固定するための固定部分と、少なくとも1つの非固定部分と、アンテナユニットの非固定部分の少なくとも一部を覆うように配置された少なくとも1つの金属要素とを含む。
【0012】
本発明によれば、アンテナユニットは2つの非固定部分を含んでいてよい。アンテナユニットは、2つの非固定部分の少なくとも一方の少なくとも一部を覆うように配置された金属要素をさらに含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、アンテナユニットは2つの金属要素を含み、2つの金属要素の一方は非固定部分の一方の少なくとも一部とアンテナユニットの他方を覆うように配置され、2つの金属要素の他方はアンテナユニットの第二の非固定部分の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0014】
好ましい実施形態において、少なくとも1つの金属要素は少なくとも1つの穴をさらに含む。
【0015】
幾つかの好ましい実施形態において、少なくとも1つの金属要素は幾つかの穴をさらに含む。
【0016】
幾つかのより好ましい実施形態において、少なくとも1つの金属要素は少なくとも1つのメッシュ部分(15)を含んでいてよい。
【0017】
幾つかの好ましい実施形態において、少なくとも1つの金属要素の少なくとも1つの穴の最大寸法は、有効波長の最大0.4倍である。
【0018】
幾つかの好ましい実施形態において、少なくとも1つの金属要素の各穴の最大寸法は、有効波長の最大0.4倍である。
【0019】
幾つかの好ましい実施形態において、各金属要素の各穴の最大寸法は、後方反射を最小化するために有効波長の最大0.4倍である。
【0020】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの金属要素は非固定部分の全体を覆っていてよい。
【0021】
本発明によれば、ガラスパネルは少なくとも1つのガラスシートを含んでいてよい。
【0022】
幾つかの好ましい実施形態において、ガラスパネルはスペーサによって分離された2つのガラスシートを含んでいてよい。これら2つのガラスシート間の空間には、ガラスユニットの断熱性を改善するためにアルゴン等のガスが充填される。
【0023】
幾つかのより好ましい実施形態において、ガラスパネルは、ガラスユニットの断熱性を改善するためにコーティング積層系を含む。
【0024】
本発明は特許請求の範囲又は説明されている実施形態の中に記載された特徴のあらゆる考え得る組合せに関する点に留意されたい。
【0025】
以下の説明は建物の窓ユニットに関しているが、本発明は、列車等に取り付けなければならない交通手段の窓等、その他の分野にも応用可能であってよいと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
次に、本発明の上記及びその他の態様について、限定としてではなく例示として提供される本発明の各種の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながらより詳しく説明する。図面は概略的表現であり、正しい縮尺によらない。図面は本発明を一切限定しない。より多くの利点を例を用いて説明する。
【0027】
図1】本発明の例示的な実施形態によるガラスユニットの概略図である。
【0028】
図2】本発明によるアンテナユニットの概略的一部分解図である。
【0029】
図3-4】本発明による、1つの金属要素を備えるアンテナユニットの実施形態の概略図である。
【0030】
図4A】本発明による、1つの金属要素を備えるアンテナユニットを含むガラスユニットの実施形態の上から見た概略図である。
【0031】
図4B】本発明による、1つの金属要素を備えるアンテナユニットを含むガラスユニットの実施形態の横から見た概略図である。
【0032】
図5】本発明による、2つの金属要素を備えるアンテナユニットの1つの実施形態の概略図である。
【0033】
図6】本発明による、固定部分の他の形態の例を示す概略図である。
【0034】
図7-8】本発明による、1つの金属要素上に1つの穴を有するアンテナユニットの実施形態の概略図である。
【0035】
図9-10】本発明による、1つの金属要素上に幾つかの穴を有するアンテナユニットの実施形態の概略図である。
【0036】
図11-12】本発明による、2つの金属要素を備え、一方の金属要素上に幾つかの穴、他方の金属要素上に1つの穴を有するアンテナユニットの実施形態の概略図である。
【0037】
図13】本発明による、2つの金属要素を備え、各々に1つの穴を有するアンテナユニットの1つの実施形態の概略図である。
【0038】
図14】本発明による、2つの金属要素を備え、各々に幾つかの穴を有するアンテナユニットの1つの実施形態の概略図である。
【0039】
図15-16】本発明による、1つの金属要素上にメッシュを形成する幾つかの穴を有するアンテナユニットの実施形態の概略図である。
【0040】
図17-18】本発明による、2つの金属要素を備え、一方の金属要素上にメッシュを形成する幾つかの穴、他方の金属要素上に1つの穴を有するアンテナユニットの実施形態の概略図である。
【0041】
図19-20】本発明による、2つの金属要素を備え、一方の金属要素上にメッシュを形成する幾つかの穴、他方の金属要素上に幾つかの穴を有するアンテナユニットの実施形態の概略図である。
【0042】
図21】本発明による、メッシュを形成する幾つかの穴を有する2つの金属要素を備えるアンテナユニットの実施形態の概略図である。
【0043】
図22】本発明による、メッシュを形成する幾つかの穴を有する2つの金属要素を備えるアンテナユニットの実施形態の、固定部分の他の形態の例を示す概略図である。
【0044】
図23】金属要素を持つ場合と持たない場合のアンテナユニットを比較する、ガラスパネルの正規化逆放射[dB]のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
理解しやすくするために、図中の各部材の縮尺は実際の縮尺とは異なるかもしれない。本明細書では3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系が使用され、ガラスパネルの幅方向はX方向として定義され、厚さ方向はY方向として定義され、高さはZ方向として定義される。ガラスパネルの下から上への方向は+Z軸方向として定義され、反対方向は-Z軸方向として定義される。以下の説明の中で、+Z軸方向は上方と呼ばれ、-Z軸方向は下方と呼ばれることができる。
【0046】
図1に関して、本発明の第一の実施形態を説明する。
【0047】
図1に示されるように、長さ方向軸Xと垂直軸Zにより定義される平面Pに沿って延び、長さ方向軸Xに沿って測定される幅Wと垂直軸Zに沿って測定される長さLを有するガラスユニット1は、ガラスパネル20とアンテナユニット10を含む。アンテナユニット10はガラスパネル20の屋内側の主表面に取り付けられる。すると、日光等はガラスパネル20の、屋内側の反対側の主表面に照射される。
【0048】
幾つかの実施形態において、ガラスパネルは少なくとも1つのガラスシートを含む。
【0049】
幾つかの好ましい実施形態において、ガラスパネルはスペーサにより分離される少なくとも2つのガラスシートを含み、ガラスパネルの断熱性を改善するためにアルゴン等のガスが充填される空間を作ることができ、断熱ガラスパネルが作られる。これは、これらの実施形態では、アンテナユニットが、日光が直接加熱する屋外面から最も遠いガラス面上の断熱ガラスパネルの外側に配置されることを意味する。
【0050】
ガラスパネル20は、建物等の窓に使用される既知のガラス板である。ガラスパネル20は、平面図において長方形で形成され、第一の主表面と第二の主表面を有する。ガラスパネル20の厚さは、建物等の要求事項に応じて設定される。
【0051】
幾つかの実施形態において、ガラスパネル20の第一の主表面は屋外側に設定され、第二の主表面は屋内側(アンテナ11に面する)に設定される。
【0052】
本実施形態において、第一の主表面と第二の主表面は、場合によってはまとめて単純に主表面と呼ばれる。本実施形態において、長方形は長方形又は正方形だけでなく、長方形又は正方形の角部を面取りすることにより得られる形状も含む。平面図におけるガラスパネル20の形状は長方形に限定されず、円形等であってもよい。さらに、ガラスパネル20は一枚板に限定されず、ラミネートガラス又は二重ガラスであってもよい。
【0053】
他の実施形態において、ガラスパネルは、ノイズを低減させ、及び/又は貫通安全性を確保するためにラミネートガラスパネルとすることができる。ラミネートガラスは、ガラスパネル間に位置付けられた1つ又は複数の中間層によって保持されるガラスパネルを含む。使用される中間層は典型的にポリビニルブチラール(PVB)又はエチレンビニルアセテート(EVA)であり、これは硬さを調整できる。これらの中間層によって、ガラスパネルは、たとえ割れても、ガラスが大きく鋭利な破片へと壊れることがないように相互に結合された状態に保たれる。
【0054】
ガラスパネル20の材料として、例えば、ソーダライムシリカガラス、ホウケイ酸ガラス、又はアルミノケイ酸ガラスを挙げることができる。
【0055】
ガラスパネル20は、フロート方式、溶融方式、リドロー方式、プレス成型方式、又はプル方式等の既知の製造方法で製造できる。ガラスパネル20の製造方法として、生産性とコストの観点から、フロート方式を採用することが好ましい。
【0056】
ガラスパネル20は、既知の切断方式を用いることによって、平面図において長方形に形成できる。ガラスパネル20の切断方法として、例えば、レーザ光をガラスパネル20の表面に照射し、ガラスパネル20の表面上のレーザ光の照射領域を切断して、ガラスパネル20を切断する方法、又はカッタホイールが機械的に切断する方法を使用できる。
【0057】
ガラスシートは、透明ガラス又は、例えばガラスの特定の組成により、若しくはコーティングやプラスチック層を塗布することにより着色されたカラーガラスとすることができる。
【0058】
建物の内部及びアンテナ12とガラスパネル20との間の空間Sの内部の熱を最小化するために、ガラスパネル20には、ガラスパネル20の屋内側の第二の主表面上に熱線反射機能を有するコーティング積層系等を設けてよい。
【0059】
この実施形態において、コーティング積層系は好ましくは、アンテナユニット10のアンテナユニットに面する位置に開口を有する。それによって、アンテナを備えるガラスパネルは、電波透過性能の劣化を抑制できる。
【0060】
開口は、ガラスパネルの片側から反対側に波を通過させるために周波数選択面となるようにするために、コーティング積層系を持たない表面又はコーティング積層系の複数の小さいスリット若しくは何れかの形態とすることができ、これにより電波透過性能の劣化をさらに抑制できる。
【0061】
コーティング積層系としては、例えば、導電フィルムを使用できる。導電フィルムとしては、例えば、透明な誘電体、金属フィルム、及び透明な誘電体、ITO、フッ素添加酸化錫(FTO)等を連続的に積層することによって得られるラミネートフィルムを使用できる。金属フィルムとしては、例えば、主成分としてAg、Au、Cu、及びAlからなる群より選択される少なくとも1つを含むフィルムを使用できる。
【0062】
ガラスシートは、セキュリティ及び盗難防止要件の仕様に適合するために加工、すなわち焼きなまし、焼き戻し等を行うことができる。加熱可能系、例えばコーティング又はワイヤ網をガラスユニットに適用して、例えば霜取り及び/又は曇り止め機能を追加できる。
【0063】
複数のガラスシートの場合、幾つかの実施形態において、各ガラスシートは独立して加工及び/又は着色して、審美性、絶縁性能、安全性等を改善できる。
【0064】
図2~5に示されるように、アンテナユニット10は、空間Sがガラスパネル20とアンテナ12との間に形成されるように、そしてその中を空気が流れることができるようにアンテナ12をガラスパネルに固定するための固定部分13Aを含む。
【0065】
アンテナユニット10は、少なくとも1つの非固定部分と、アンテナユニット10の非固定部分の少なくとも一部を覆うように配置された少なくとも1つの金属要素11をさらに含む。
【0066】
それに加えて、ガラスユニット1は、フレーム内に組み付け、又はダブルスキンファサード若しくはガラスユニットを保持できるその他何れかの手段の中に取り付けることができる。
【0067】
本発明による幾つかの実施形態によれば、アンテナ12は、その上にアンテナ12が与えられる平板状基板とすることができる。例えば、アンテナ12はマイクロストリップパッチアレイ、スロットアレイ、ダイポールアンテナ、アンテナのアレイ等のような平面アンテナとすることができる。
【0068】
アンテナ12を形成する金属材料としては、金、銅、ニッケル、又は銀等の導電材料を使用できる。
【0069】
本発明によれば、アンテナ12は、ガラスパネルへの方向を意味する外側への方向(+Y)、ガラスパネルの反対方向を意味する内側への方向(-Y)、又は両方向(+Y、-Y)に放射できる。
【0070】
幾つかの実施形態において、アンテナ12はアンテナ取付基板の第一の主表面上に与えられることができる。アンテナ12は、アンテナ取付基板の第二の主表面上に与えられたセラミック層と少なくとも部分的に重複するように金属材料を印刷することによって形成できる。その実施形態では、アンテナ12はアンテナ取付基板の第二の主表面上に、セラミック層が形成された部分とその他の部分にまたがるように与えられる。
【0071】
この実施形態において、セラミック層は印刷等の既知の方法によってアンテナ取付基板の第二の主表面に形成できる。セラミック層を与えることによって、アンテナ12に取り付けられる配線(図示せず)を、仕上がり及び/又は意匠をよりよくするために覆い、又は隠すことができる。さらに、本実施形態では、セラミック層は第一の主表面上に形成されているが、与えられなくてもよい。
【0072】
本実施形態において、アンテナ12はアンテナ取付基板の第一の主表面に与えられているが、アンテナ取付基板の内側に与えられてもよい。この場合、例えば、アンテナ12はアンテナ取付ボードの内側にコイルの形態で与えられることができる。さらに、アンテナ12自体を平板形状に形成できる。この場合、アンテナ装着ボードを使用する代わりに、平板アンテナは固定部分13Aに直接取り付けられてよい。アンテナ12は、アンテナ取付基板12上に取り付けられることに加えて、ガラスパネル20に平行な表面を有する収容容器の中に与えられてもよい。この場合、アンテナ12の中で、例えば、平板アンテナは保管容器の内側に与えられることができる。
【0073】
アンテナ12は好ましくは、できるだけ離散的となるように光透過性を有する。アンテナ12が光透過性を有する場合、隠れた効果に加えて、平均太陽光吸収率を下げることができる。
【0074】
好ましくは、アンテナ12又はアンテナ取付基板はガラスパネル20に平行に与えられる。アンテナ12又はアンテナ取付基板は、平面図において長方形に形成でき、第一の主表面及び第二の主表面を有する。第一の主表面は取り付けられるガラスパネル20の主表面に面するように与えられ、第二の主表面はガラスパネル20の主表面側と反対方向に与えられる。
【0075】
幾つかの実施形態において、アンテナ取付ボードを形成する材料は、アンテナ12に求められるパワー及び指向性等のアンテナ性能に応じて設計され、例えばガラス、樹脂、金属等を使用できる。アンテナ取付基板は、樹脂等により光透過率を有するように形成されてよい。アンテナ装着ボード12は光透過性材料で製作されるため、ガラスパネル20はアンテナ取付ボード12を通して見え、それによってガラスパネル20から見た視野の障害を減少させることができる。
【0076】
アンテナ取付ボードの厚さは、アンテナ12が配置される場所に応じて設計できる。
【0077】
固定部分13Aは、ガラスパネル20とアンテナ12との間に空気が流れることのできる空間Sを形成するため、及びアンテナ12をガラスパネル20に固定するためのものである。固定部分13Aはアンテナ取付基板12の第一の主表面に取り付けられる。本実施形態において、固定部分13Aはアンテナ取付基板のX軸方向の両端においてZ軸方向に沿った長方形の形状で与えられている。本実施形態では、空気がその中に流れる空間Sがガラスパネル20とアンテナ12との間に形成される理由は、アンテナ12に面する位置におけるガラスパネル20の表面温度の局所温度である。ガラスパネル20の外側の主表面に日光が照射されると、ガラスパネル20は加熱される。このとき、空気の流れはアンテナユニット10の付近で遮断されれば、アンテナユニット10の温度が上昇し、アンテナユニット10が取り付けられるガラスパネル20の表面の温度が、温度がより上昇しやすい他の表面の温度より高くなる。この温度上昇を抑制するために、空間Sがガラスパネル20とアンテナ12との間に形成される。この点に関する詳細は後述する。
【0078】
固定部分13Aを形成する材料は、それがアンテナ12及びガラスパネル20の接触面に固定可能であるかぎり、特に限定されない。例えば、接着剤又は弾性シールを使用できる。接着剤及びシーリング材料を形成する材料は、特に限定されない。
【0079】
固定部分13Aの平均厚さtは好ましくは0.5mm~20mmである。平均厚さtが小さすぎるとアンテナ12とガラスパネル20により形成される空間Sの厚さは小さく(薄く)なり、空気は空間S内をスムーズに流れない。アンテナ12とガラスパネル20との間の空間Sをわずかにすることによって、空間Sの厚さは薄くなるが、空間Sは断熱層として機能できる。空間Sの厚さが小さくても、特定の量の空気は流れる。すなわち、日光がガラスパネル20に照射されたとき、ガラスパネル20の温度が上昇し、空間S内の空気の温度も上昇する。空気の温度が上昇するにつれて、空気はより膨張し、それによって空間Sの上方の空気が上昇し、空間Sの上側から外部へと流出する。すると、空気は順次、空間Sの下方から上昇する。したがって、空間Sの厚さが小さい場合でも、空気は空間S内の空気の温度の上昇に伴って流れる傾向がある。
【0080】
他方で、固定部分13Aの平均厚さtが増大されると、空間Sはそれだけ増大し(厚くなり)、それによって空間S内の空気が流れが好ましくなる。しかしながら、ガラスパネル20の主表面とアンテナ12との間の距離が増大する(増大する)ため、電磁波透過性能が妨害され得る可能性がある。さらに、アンテナユニット10がガラスパネル20の主表面から大きく突出するため、アンテナユニットはガラスパネル20に対する障害となる。
【0081】
ここまで固定部分13Aがアンテナ12の2つの位置に与えられる実施形態について説明したが、固定部分13Aの態様は、空気が空間S内を流れることができるかぎり、限定されない。他の形態の固定部分の例が13Bである。図5に示されるように、固定部分は他の形態を取ることができる。本発明によれば、固定部分13Bは、アンテナ12の第一の主表面のX軸方向の両端及びZ軸方向の両端にそれぞれ与えられ、アンテナ12は4つの固定部分でガラスパネルに固定される。さらに、4つの固定部分13Bのうち、-Z軸方向に与えられた1つの固定部分13Bだけがアンテナ取付基板12の下端の例えば中央付近に与えられ、アンテナ取付基板12はガラスパネル20に3箇所で固定される。それは固定部分13Bにより固定されてよい。図2~4Aに示される長い固定要素の代わりに、複数の小さい固定要素を使用できると理解されたい。
【0082】
固定部分13Aの平均厚さtが前述の範囲内である場合、空間Sの中に流れる空気は温度のわずかな上昇によって空間Sを通過できる。その結果、ガラスパネル20が空間S内を流れる空気によって加熱されるのを防止でき、それによってアンテナ12の過剰な温度上昇を抑制できる。固定部分13Aの平均厚さtは、より好ましくは2mm~16mm、さらに好ましくは4mm~14mm、特に好ましくは6mm~12mmである。
【0083】
本実施形態において、厚さはアンテナ12とガラスパネル20の接触面に関する固定部分13Aの垂直方向(Y軸方向)の長さを指す。本実施形態において、固定部分13Aの平均厚さtは固定部分13Aの厚さの平均値である。例えば、固定部分13Aの断面におけるZ軸方向への任意の平面における幾つかの箇所(例えば、3箇所)で測定された場合、それはこれらの測定点の厚さの平均値を意味する。
【0084】
前述のように、空間Sはガラスパネル20とアンテナ12との間に固定部分13Aによって形成され、それによって空気が流れることができる。したがって、空間Sの厚さは実質的に固定部分13Aの平均厚さと同じである。
【0085】
アンテナユニット10において、空気はアンテナ12の下側(-Z軸方向)から空間Sの中へと流れる。空間Sの中に流れる空気は、空間S内でアンテナ12の上側(+Z軸方向)に向かって自由に流れることができる。空間Sを通って流れる空気は、アンテナ12の上側(+Z軸方向)から流出し、その間にガラスパネル20の主表面とアンテナ12に面する位置において接触する。空間S内の空気をガラスパネル20の主表面とアンテナ12に面する位置において接触させることによって、ガラスパネル20の主表面はアンテナ12に面する位置において外気と太陽にさらされたときに、光等による過剰な温度上昇が抑制される。それに加えて、固定部分13Aは垂直方向に連続的に形成されるため、空間S内の上側部分と下側部分との間の温度差が相応に増大する。したがって、いわゆる煙突効果によって、空間S内に流れる空気の流れの速度を高めることができる。
【0086】
アンテナユニット10において、空間Sがガラスパネル20とアンテナ12との間に形成されるように、そしてその中を空気が流れることができるように固定部分13Aはアンテナ12に与えられる。それゆえ、ガラスパネル20が外気、日光等によって加熱されても、ガラスパネル20の主表面のアンテナ12に面する位置における過剰な温度上昇を抑制できる。したがって、アンテナ12に面する位置におけるガラスパネル20の熱亀裂の発生の可能性を低減させることが可能である。したがって、アンテナユニット10は、ガラスパネル20に損傷を与えることなくガラスパネル20上に安定に取り付けることができる。
【0087】
非固定部分は、アンテナユニットの、ガラスパネル20と接触せず、空気が固定部分より流れることができるようにする部分である。
【0088】
幾つかの実施形態において、固定部分は穴、大きい要素に代わる小さい要素等を使用することによって空気が流れるようにすることができる。
【0089】
本発明によれば、金属要素11により、アンテナ12の波のガラスパネル20上での逆放射のレベルを低下させることができる。これは、金属要素11によって、アンテナ12の背後で散乱するガラスパネル20からの反射が防止され、それと同時に少なくとも空間Sの内部で空気が流れるからである。
【0090】
金属要素は、金属ベースの要素、すなわち、コアと表面を有し、少なくとも空間Sの前の表面が金属化された要素とすることができる。幾つかの実施形態において、金属要素は、金属でコーティングされたプラスチック要素である。
【0091】
金属要素に使用される材料は、逆放射を最小化するために、高い導電材料、例えばCu、Ag、Al等又は金属の混合物であってよい。
【0092】
金属要素の表面はアンテナユニットの寸法に依存すると理解されたい。
【0093】
金属要素11は2つの主表面11A、11Bを有し、一方は空間Sの前にある。
【0094】
好ましくは、金属要素11は平板であり、これらの主表面の一方11Aは空間Sの前にあり、他方の主表面11Bは空間Sの前の主表面に若干平行である。
【0095】
好ましくは、金属要素の厚さは、ガラスパネル上での後方反射を最小化するために、金属要素で使用される金属材料の、所望の周波数での浸透深さの少なくとも2倍である。
【0096】
本発明の幾つかの実施形態において、金属要素は、ガラスパネル上での後方反射を最小化するために、少なくとも1つの非固定部分の全体を覆うことができる。好ましくは、金属要素は少なくとも、金属要素により覆われる非固定部分の付近においてアンテナを覆う。
【0097】
アンテナユニット10は好ましくは、ガラスパネル20から平面図において所定の距離L又はそれ以上だけ離れた位置に与えられる。所定の距離Lは好ましくは20mmである。例えば、ガラスシートが日光に直接さらされる場合、ガラスパネル20の温度は高温へと上昇する。幾つかの場合に、ガラスパネルの、アンテナユニット10に面する位置にある部分又はその付近において熱亀裂が発生し得る可能性がある。特に、アンテナユニット10をガラスパネル20の第二の主表面に取り付けることによって、ガラスパネル20の第二の主表面上の、アンテナユニット10に面する位置における空気の流れが妨害される。この場合、ガラスパネル20の、アンテナユニット10の反対にある部分の温度はさらに上昇する。その結果、ガラスパネル20の、アンテナユニット10に面する位置における部分又はその付近において熱変形が発生する可能性がさらに増大するかもしれない。
【0098】
所定の距離Lはより好ましくは25mm、さらに好ましくは30mm、特に好ましくは40mm、最も好ましくは50mmである。
【0099】
本発明による幾つかの実施形態において、ガラスパネル20の、アンテナユニット10の反対にある部分の温度が上昇していて、金属要素が非固定部分の全体を覆っていても、空間S内に流れる空気は上昇しすぎないようにするのに十分である。金属要素は、ガラスパネルの後方反射を軽減させることに加えて、エネルギ放散手段としても使用できる。
【0100】
本発明によれば、また図7~22に示されるように、より多くの熱を放散させるために、アンテナユニットは、空間S内部の空気の流れを容易にするために少なくとも1つの穴を有していてよい。
【0101】
少なくとも1つの穴14は、空間Sからアンテナユニット10の外部への空気の流れを確保するために、主表面11Bの反対の、空間Sの前の主表面11Aから金属要素11を貫通する。
【0102】
少なくとも1つの穴14は何れの形状、例えば円筒形状、長方形の平行六面体形状、マカロニ状形状、又はコルク栓抜き形状、又は、金属要素11の主表面がX-Y平面内にある場合にZ軸に沿った、空間Sからアンテナユニット10の外部への空気の流れを最大にできる他の何れの形状を取ることもできる。
【0103】
少なくとも1つの穴14は、金属要素11がX-Y平面内にある場合にZ軸から何れかの方向に特定の角度で、又は少なくとも1つの穴が金属要素の主表面(11A、11B)を貫通するかぎり、他の何れの方向にも向けることができる。
【0104】
図7~21は、本発明の幾つかの実施形態により、長方形の平行六面体の一般的形状のアンテナユニット10を示す。アンテナユニットの形状は、アンテナ12とガラスパネル20との間に空間Sがあるかぎり、他の何れの形状又は設計を有することもできると理解されたい。
【0105】
本発明のこれらの概略的な表現の中で、固定部分は、図2~6に関しては、アンテナ12の境界線上に対称に配置された2つの固定要素を含む。アンテナユニット10は、非固定部分を覆うように配置された2つの金属要素11を含む。
【0106】
好ましくは、金属要素11は、金属要素11がそれを覆う非固定部分の表面全体を覆い、より好ましくは金属要素11はアンテナ12を覆う。
【0107】
空気の流れを最大にするためには金属要素をなくす方がよいが、他方で波の後方反射を最小化するために、金属要素は空間Sの最大範囲を覆わなければならない。本発明は、空気の流れを最適化し、それと同時にガラスパネル20の後方反射を最小化することによってこの問題を解決する。
【0108】
驚くべきことに、少なくとも1つの穴を金属要素に追加することによってこの問題を解決できる。
【0109】
幾つかの実施形態、図3、4、4A、及び4Bの実施形態によれば、少なくとも1つの穴が金属要素11にあってもよい。本明細書において後述するその他の実施形態は、例えば幾つかの穴を有するようにするために、これらの実施形態と組み合わせることができる。
【0110】
本発明によれば、図7及び8に示されるように、金属要素の1つは、空気を流し、熱の放散を容易にするために、穴14を有する。
【0111】
図9及び10に示されるように、熱の放散を改善するために、金属要素の1つは少なくとも2つの穴14、好ましくは幾つかの穴14を有する。
【0112】
1つ又は複数の穴14は金属要素11を貫通する。穴は、空気がその中を流れることができるかぎり、何れの形状を取ることもできる。金属要素に使用される材料及び製造工程に応じて、何れかの限定が適用される可能性がある。
【0113】
穴は、空気の流れを最大にするために、金属要素の幾つかの箇所に配置できる。X軸に沿った、Z軸への厚さを有する金属要素の場合、穴はZ軸内にあるが、方向付けることができ、これは穴の表面が金属要素の上面上にあることを意味する。
【0114】
好ましくは、図11及び12に示されるように、1つの金属要素11は幾つかの穴を有し、第二の金属要素が1つの穴を有する。この構成によって、空間Sを通ってよく空気が流れる。より好ましくは、重要な空気の流れを確保するために、図11に示されるように、アンテナユニットの上に、すなわちより高い+Zの位置に配置された金属要素は、下側の金属要素より多くの穴を有する。
【0115】
図13及び14に示されるように、金属要素は各々に1つの穴又は各々に幾つかの穴を有することができる。穴の大きさ、寸法、設計、及び数は、空間Sを通る空気の流れを最大にするように適応できる。例えば、より高い金属要素上により大きい穴を与えることができる。
【0116】
金属要素がアンテナユニットのX軸上に配置される場合、本発明によれば、少なくとも1つの穴を有する実施形態の全てを適応できる。
【0117】
ガラスパネルの後方反射を最小化することによって空気の流れを改善するために、好ましくは、また図15~21に示されるように、少なくとも1つの金属要素11は、アンテナユニット10の空間Sに対応する少なくとも1つのメッシュ部分15をさらに含む。メッシュ部分15は複数の小さい穴14として理解できる。
【0118】
好ましくは、少なくとも1つの穴の最大寸法は有効波長の0.4倍以下であってよく、好ましくは、金属要素の各穴の最大寸法は有効波長の0.4倍以下であってよい。この波長は、金属構造が配置される界面の有効透過率に正規化される。本発明において、界面は空気-空気であるため、有効透過率は1である。穴の開口の最大寸法に関する上記の公式(有効波長の0.4倍)は、複数の穴及びメッシュ部分についても有効である。
【0119】
メッシュ部分15の大きさは、それを構成する小さい穴14の寸法として、過熱を低下させるために必要な空気流量として後方反射の点で最小化するための周波数としての状況に適応させることができる。
【0120】
好ましくは、幾つかの実施形態において、メッシュ部分は正方形の表面の穴を有する。正方形の寸法は、ガラスパネルの後方反射を最小化するためのカットオフ周波数に関連付けられる。
【0121】
図17~21に示されるように、幾つかの金属要素の場合、金属要素11の1つはメッシュ部分15を有することができ、他の金属要素11は、ガラスパネルの後方反射を最小化することによって空気の流れを最大にするために1つの穴14、複数の穴14、又はメッシュ部分15を有することができる。
【0122】
好ましい実施形態において、アンテナユニット10の金属要素11は非固定部分及びアンテナ12の表面全体を覆う。アンテナユニット10の金属要素11は、この表面全体上にメッシュ部分を有する。
【0123】
本発明による好ましい実施形態において、図22に示されるように、固定部分は小さい固定要素を含む。金属要素は非固定部分の表面全体を覆い、ガラスパネルの後方反射を最小化する。
【0124】
この実施形態において、幾つかの金属要素は少なくとも1つの穴を有することができる。好ましくは、少なくとも2つの金属要素はメッシュ部分を有し、より好ましくは全ての金属要素がメッシュ部分を有する。
【0125】
本発明による、後方反射を最小化することによってよりよい空気の流れを得るための他の方法は、少なくとも1つの穴を固定部分に設けることであり、又は固定部分は1つの大きい要素ではなく複数の小さい固定要素を含み、これらの固定要素間及び/又は少なくとも1つの穴の内部で空気が流れるようにする。
【0126】
幾つかの実施形態において、金属要素はまた、後方反射をより最小化するために固定部分を覆うことができ、及び/又は固定部分を金属化してその上に金属要素を作ることができる。
【0127】
図23に示されるように、金属要素を持たないアンテナユニットを備えるガラスユニットの正規化された逆放射([dB]-実線の曲線)は、少なくとも1つの金属要素を有するアンテナユニットを備えるガラスユニットの正規化された逆放射([dB]-破線の曲線)より高い。ここで、シータ([度])はZ軸とY軸との間の角度を表し、すなわちシータ=0はアンテナユニットの上部であり、シータ=180°はアンテナユニットの底部であり、シータ=-90°はアンテナの背後(-Y)である。
【0128】
ガラスパネル20の後方反射は、本発明によるアンテナユニット10では大幅に削減される。この実施形態は、図5~22に示されるような長方形のアンテナを有するアンテナユニット10を含み、金属要素は少なくとも非固定部分を覆う。穴の最大寸法が穴の開口のカットオフ周波数に直接関連付けられるとき、金属要素11上に少なくとも1つの穴14が存在する場合も同じ動作をシミュレートできる。
【0129】
ガラスパネル20にはアンテナユニット10が設けられるため、ガラスパネル20の、アンテナユニット10の反対にある部分において熱亀裂が発生する可能性を低減させながら、ガラスパネルの、アンテナユニット10と反対にある部分のガラスパネル20の後方反射を最小化することが可能である。したがって、アンテナを備えるガラスパネル20は、既存の、又は新築の建物、住居等の窓ガラス用のガラスパネルとして好適に使用できる。
【0130】
さらに、本発明によるガラスユニットにおいて、アンテナユニット10はガラスパネル20の屋内側の第二の主表面に設けることができる。それによって、アンテナユニット10が建物の外観を損なうのを防止でき、また、アンテナユニット10が外気にさらされるのを防止できるため、耐久性を改善できる。さらに、アンテナを備えるガラスパネル20において、アンテナユニット10はガラスパネル20の上側及び左右の側面の何れにも設けられる。したがって、アンテナユニット10のアンテナに接続された配線をガラスパネルから天井の裏側、壁等に通すことによって、ガラスパネル20及び建物内部の内壁上に露出するワイヤの数を減らすことができる。
【0131】
さらに、アンテナユニット10はガラスパネル20上に設けられるため、アンテナを備えるガラスパネル20を建物の屋根等に設ける必要がない。したがって、アンテナを備えるガラスパネル20を建物の屋根等の高い場所に取り付けることが不要となるため、それは建物に容易に取り付けることができる。さらに、例えば、アンテナユニット10が壊れ、交換が必要となったとしても、アンテナユニット10は短時間で簡単に交換できる。
図1
図2
図3-4】
図4A
図4B
図5
図6
図7-8】
図9-10】
図11-12】
図13
図14
図15-16】
図17-18】
図19-20】
図21
図22
図23