(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】搬送装置、乾燥装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
F26B 13/18 20060101AFI20240718BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F26B13/18 A
B41J2/01 125
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2022516886
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010427
(87)【国際公開番号】W WO2021215139
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2020077490
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕次
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-174819(JP,A)
【文献】特開2017-035870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 13/18
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状の基材を第1の雰囲気温度の第1の雰囲気から前記第1の雰囲気温度とは異なる第2の雰囲気温度の第2の雰囲気へ搬送経路に沿って搬送する搬送装置であって、
前記搬送経路に配置され、前記基材をそれぞれ支持する複数のパスローラと、
前記複数のパスローラをそれぞれ加熱する複数のヒーターと、
を備え、
前記複数のヒーターは、前記搬送経路の上流側のパスローラほど前記第1の雰囲気温度に近い温度に加熱し、かつ前記搬送経路の下流側のパスローラほど前記第2の雰囲気温度に近い温度に加熱し、
さらに、
プロセッサに実行させるための命令を記憶するメモリと、
メモリに記憶された命令を実行するプロセッサと、
前記基材の表面温度を測定する温度計と、
を備え、
前記プロセッサは、前記温度計の測定結果に基づいて前記ヒーターを制御して前記パスローラの表面温度を調整し、
前記プロセッサは、前記基材の表面温度における前記基材の伸び量と、前記パスローラの表面温度における前記基材の伸び量との差分に基づいて前記ヒーターを制御して前記パスローラの表面温度を調整す
る搬送装置。
【請求項2】
前記基材の表面温度をT(単位:℃)、前記パスローラの表面温度をt(単位:℃)、温度がT℃及びt℃の前記基材の伸び量をそれぞれΔL(T)及びΔL(t)(単位:mm)とすると、前記プロセッサは、前記ヒーターを制御して前記パスローラの表面温度を、前記第1の雰囲気温度よりも前記第2の雰囲気温度の方が低い場合は、
ΔL(T)-ΔL(t)≦2.3mm
を満たすtに調整し、
前記第1の雰囲気温度よりも前記第2の雰囲気温度の方が高い場合は、
ΔL(t)-ΔL(T)≦2.3mm
を満たすtに調整する請求項
1に記載の搬送装置。
【請求項3】
ウェブ状の基材を第1の雰囲気温度の第1の雰囲気から前記第1の雰囲気温度とは異なる第2の雰囲気温度の第2の雰囲気へ搬送経路に沿って搬送する搬送装置であって、
前記搬送経路に配置され、前記基材をそれぞれ支持する複数のパスローラと、
前記複数のパスローラをそれぞれ加熱する複数のヒーターと、
を備え、
前記複数のヒーターは、前記搬送経路の上流側のパスローラほど前記第1の雰囲気温度に近い温度に加熱し、かつ前記搬送経路の下流側のパスローラほど前記第2の雰囲気温度に近い温度に加熱し、
さらに、
プロセッサに実行させるための命令を記憶するメモリと、
メモリに記憶された命令を実行するプロセッサと、
前記基材の表面温度を測定する温度計と、
を備え、
前記プロセッサは、前記温度計の測定結果に基づいて前記ヒーターを制御して前記パスローラの表面温度を調整し、
前記基材の表面温度をT(単位:℃)、前記パスローラの表面温度をt(単位:℃)、温度がT℃及びt℃の前記基材の伸び量をそれぞれΔL(T)及びΔL(t)(単位:mm)とすると、前記プロセッサは、前記ヒーターを制御して前記パスローラの表面温度を、前記第1の雰囲気温度よりも前記第2の雰囲気温度の方が低い場合は、
ΔL(T)-ΔL(t)≦2.3mm
を満たすtに調整し、
前記第1の雰囲気温度よりも前記第2の雰囲気温度の方が高い場合は、
ΔL(t)-ΔL(T)≦2.3mm
を満たすtに調整す
る搬送装置。
【請求項4】
前記搬送経路の前記複数のパスローラ間にそれぞれ配置される複数の温度計を備え、
前記プロセッサは、前記複数のパスローラの各パスローラの表面温度を前記各パスローラの上流側に配置された温度計の測定結果に基づいてそれぞれ調整する請求項
1から
3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記温度計は、前記基材に非接触で測定する請求項
1から
4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ヒーターは、前記パスローラに向けて温風を吹き付ける温風ヒーターを含む請求項1から
5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記ヒーターは、前記パスローラの内部から前記パスローラを加熱する請求項1から
6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記第1の雰囲気温度よりも前記第2の雰囲気温度の方が低い場合に、前記基材に向けて冷却風を吹き付けるスポットクーラーを備える請求項1から
7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記第1の雰囲気又は前記第2の雰囲気に配置され、前記基材を加熱する乾燥用ヒーターと、
を備える乾燥装置。
【請求項10】
請求項1から
7のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記第1の雰囲気に配置され、前記基材の表面に液体を付与する液体付与ヘッドと、
前記第2の雰囲気に配置され、前記基材を加熱する乾燥用ヒーターと、
を備え、
前記複数のパスローラは、前記液体付与ヘッドと前記乾燥用ヒーターとの間に配置される印刷装置。
【請求項11】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記第1の雰囲気より前記搬送経路の上流側に配置され、前記基材の表面に液体を付与する液体付与ヘッドと、
前記第1の雰囲気に配置され、前記基材を加熱する乾燥用ヒーターと、
を備え、
前記複数のパスローラは、前記第2の雰囲気に配置される印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送装置、乾燥装置及び印刷装置に係り、特に温度勾配差を有する環境でウェブ状の基材を搬送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブ状の基材を搬送する搬送装置が知られている(特許文献1、2参照)。インクを付与して印刷した基材を搬送しながら乾燥させる場合、基材に温風を吹き付けることが行われる。一般的に、乾燥強度を上げるために基材に温風を強く吹き付ける際は、基材バタツキによる蛇行及びスリキを抑えるために搬送テンションを高くしなければならない。搬送テンションが低いと、スリキの発生及び蛇行量の増加等のトラブルが顕在化し、製品としての品質を保てない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-107792号公報
【文献】特開2018-134792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、温度勾配差を有する環境では、搬送テンションが高いと基材にシワが発生するという課題があった。特許文献1、2はこのような課題を解決するものではない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、温度勾配差を有する環境であってもシワを発生させることなくウェブ状の基材を搬送する搬送装置、乾燥装置及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために搬送装置の一の態様は、ウェブ状の基材を第1の雰囲気温度の第1の雰囲気から第1の雰囲気温度とは異なる第2の雰囲気温度の第2の雰囲気へ搬送経路に沿って搬送する搬送装置であって、搬送経路に配置され、基材をそれぞれ支持する複数のパスローラと、複数のパスローラをそれぞれ加熱する複数のヒーターと、を備え、複数のヒーターは、搬送経路の上流側のパスローラほど第1の雰囲気温度に近い温度に加熱し、かつ搬送経路の下流側のパスローラほど第2の雰囲気温度に近い温度に加熱する搬送装置である。
【0007】
本態様によれば、複数のヒーターにより搬送経路の上流側のパスローラほど第1の雰囲気温度に近い温度に加熱し、かつ搬送経路の下流側のパスローラほど第2の雰囲気温度に近い温度に加熱するようにしたので、温度勾配差を有する環境であってもシワを発生させることなくウェブ状の基材を搬送することができる。
【0008】
プロセッサに実行させるための命令を記憶するメモリと、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサと、基材の表面温度を測定する温度計と、を備え、プロセッサは、温度計の測定結果に基づいてヒーターを制御してパスローラの表面温度を調整することが好ましい。これにより、パスローラの表面温度を適切に調整することができる。
【0009】
基材の温度をT(単位:℃)、パスローラの表面温度をt(単位:℃)、温度がT℃及びt℃の基材の伸び量をそれぞれΔL(T)及びΔL(t)(単位:mm)とすると、プロセッサは、ヒーターを制御してパスローラの表面温度を、第1の雰囲気温度よりも第2の雰囲気温度の方が低い場合は、ΔL(T)-ΔL(t)≦2.3mmを満たす最小のtに調整し、第1の雰囲気温度よりも第2の雰囲気温度の方が高い場合は、ΔL(t)-ΔL(T)≦2.3mmを満たす最大のtに調整することが好ましい。これにより、パスローラの表面温度を適切に調整することができる。
【0010】
搬送経路の複数のパスローラ間にそれぞれ配置される複数の温度計を備え、プロセッサは、複数のパスローラの各パスローラの表面温度を各パスローラの上流側に配置された温度計の測定結果に基づいてそれぞれ調整することが好ましい。これにより、複数のパスローラの表面温度を適切に調整することができる。
【0011】
温度計は、基材に非接触で測定することが好ましい。これにより、基材にキズを発生させずに基材の表面温度を測定することができる。
【0012】
ヒーターは、パスローラに向けて温風を吹き付ける温風ヒーターを含むことが好ましい。ヒーターは、パスローラの内部からパスローラを加熱してもよい。これにより、パスローラを適切に加熱することができる。
【0013】
第1の雰囲気温度よりも第2の雰囲気温度の方が低い場合に、基材に向けて冷却風を吹き付けるスポットクーラーを備えることが好ましい。これにより、基材を第2の雰囲気温度にするまでの時間を短くすることができる。
【0014】
上記目的を達成するために乾燥装置の一の態様は、上記に記載の搬送装置と、第1の雰囲気又は第2の雰囲気に配置され、基材を加熱する乾燥用ヒーターと、を備える乾燥装置である。
【0015】
本態様によれば、乾燥用ヒーターにより温度勾配差を有する環境であってもウェブ状の基材を乾燥させ、シワを発生させることなく搬送することができる。
【0016】
上記目的を達成するために印刷装置の一の態様は、上記に記載の搬送装置と、第1の雰囲気に配置され、基材の表面に液体を付与する液体付与ヘッドと、第2の雰囲気に配置され、基材を加熱する乾燥用ヒーターと、を備え、複数のパスローラは、液体付与ヘッドと乾燥用ヒーターとの間に配置される印刷装置である。
【0017】
本態様によれば、乾燥用ヒーターにより温度勾配差を有する環境であっても表面に液体が付与されたウェブ状の基材を乾燥させ、シワを発生させることなく搬送することができる。
【0018】
上記目的を達成するために印刷装置の一の態様は、上記に記載の搬送装置と、第1の雰囲気より搬送経路の上流側に配置され、基材の表面に液体を付与する液体付与ヘッドと、第1の雰囲気に配置され、基材を加熱する乾燥用ヒーターと、を備え、複数のパスローラは、第2の雰囲気に配置される印刷装置。
【0019】
本態様によれば、乾燥用ヒーターにより温度勾配差を有する環境であっても表面に液体が付与されたウェブ状の基材を乾燥させ、シワを発生させることなく搬送することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、温度勾配差を有する環境であってもシワを発生させることなくウェブ状の基材を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図2は、非浸透基材の温度に対するヤング率の変化を示すグラフである。
【
図3】
図3は、温度勾配差によるシワの発生メカニズムを説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る搬送装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、搬送装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、非浸透基材の温度に対する伸び量の変化を示すグラフである。
【
図7】
図7は、搬送装置における実施例の結果を示す表である。
【
図8】
図8は、搬送装置における実施例の結果を示す表である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る搬送装置の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る搬送装置の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、基材が乾燥部から搬出されてからの経過時間と基材の温度との関係を示す表である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る搬送装置と第2の実施形態に係る搬送装置とを適用したインクジェット印刷装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0023】
<乾燥装置の構成>
図1は、乾燥装置100の構成を示す図である。乾燥装置100は、非浸透媒体であるウェブ状の基材1であって、印刷面1Aに水性インクが付与された基材1を搬送しながら乾燥させる装置である。基材1は、軟包装に用いられる透明の媒体である。基材1は、例えばONY(Oriented Nylon)、OPP(Oriented Poly Propylene)、PET(Polyethylene Terephthalate)である。
【0024】
なお、非浸透とは、後述する水性プライマー及び水性インクに対して非浸透性を有することをいう。軟包装とは、包装される物品の形状により変形する材料による包装をいう。透明とは、可視光の透過率が30%以上100%以下であることをいい、好ましくは70%以上100%以下であることをいう。
【0025】
図1に示すように、乾燥装置100は、複数のパスローラ102と、複数の温風ヒーター104と、ファーストタッチローラ106とを備える。
【0026】
乾燥装置100の入口側(基材1の搬送経路の上流側)のパスローラ102Aから案内された基材1は乾燥装置100の内部に搬送される。乾燥装置100は、ガイドローラとして機能する複数のパスローラ102を備えている。乾燥装置100は、パスローラ102Aから案内された基材1を複数のパスローラ102によって案内し、ファーストタッチローラ106に搬送する。
【0027】
乾燥装置100の入口からファーストタッチローラ106までの搬送経路には、複数の温風ヒーター104(乾燥用ヒーターの一例)が配置される。温風ヒーター104は、それぞれ基材1の印刷面1Aに送風面を向けて配置される。各温風ヒーター104は、基材1の印刷面1Aに向けて温風を吹き付け、印刷面1Aに付与された水性インクを乾燥させる。
【0028】
サブフィードローラとして機能するファーストタッチローラ106は、不図示のモータによって回転し、水性インクが乾燥された基材1と接触して基材1を搬送する。
【0029】
また、乾燥装置100は、ファーストタッチローラ106によって搬送された基材1を複数のパスローラ102によって案内し、乾燥装置100の出口側(基材1の搬送経路の下流側)のパスローラ102Dに搬送する。
【0030】
<シワの発生>
図2は、非浸透基材の温度に対するヤング率の変化を示すグラフである。
図2の横軸は基材の温度を表し、縦軸はヤング率(単位:MPa)を表す。
図2では、非浸透基材として、OPPと、PETと、ONYとの例を示している。例えばOPPの場合、20℃におけるヤング率は約2000Mpaであるのに対し、80℃におけるヤング率は約400MPaとなる。このように、非浸透基材は昇温するとヤング率が著しく低下する物性の物も存在し、搬送テンションが高いとシワが発生する。
【0031】
また、基材1の搬送経路の、乾燥装置100よりも上流側のパスローラ102A(
図1参照)と乾燥装置100よりも下流側のパスローラ102D(
図1参照)とは常温であるのに対して、乾燥装置100の内部のパスローラ102Bとパスローラ102C(
図1参照)は温風ヒーター104の温風の影響で昇温されている。このため、温度勾配による基材1の伸び量差が発生し、例えばパスローラ102D上では基材1が搬送方向に直交する幅方向に広がり切れずシワが発生する。
【0032】
図3は、温度勾配差によるシワの発生メカニズムを説明するための図である。
図3に示すF3Aは、乾燥装置100と乾燥装置100よりも下流側に配置されたパスローラ102Dとを簡略化した側面図である。
図3に示すF3Bは、乾燥装置100の内部のパスローラ102Cとパスローラ102Dとの上面図である。
【0033】
F3Bに示すように、パスローラ102Cに支持されて搬送される基材1は、温風ヒーター104(
図1参照)により加熱されたパスローラ102Cの表面の熱と搬送方向(進行方向)に作用する搬送テンションとにより搬送方向に熱伸長し、幅方向に収縮する。一方、パスローラ102Dに支持されて搬送される基材1は、常温であるパスローラ102Dの表面により冷却され搬送方向に収縮し、幅方向に伸長する。
【0034】
このように、温度勾配による基材1の搬送方向の伸び量差によりシワが発生する。この問題は搬送テンションが高いほど顕在化しやすく、例えば20μm厚のOPPの基材1を搬送した際に、温度勾配差の大きいパスローラ102A-パスローラ102B間(
図1参照)と、パスローラ102C-パスローラ102D間とで、シワが発生した。
【0035】
特にパスローラ102C-パスローラ102D間でシワが発生すると、基材1の巻き取りまでの距離が短いため、シワが発生したまま巻き取ってしまい、出荷可能な品質を維持できない。
【0036】
<第1の実施形態>
〔搬送装置の構成〕
図4は、第1の実施形態に係る搬送装置10の構成を示す図である。搬送装置10は、温度勾配差が発生する乾燥装置100の下流側の環境において、基材温度を測定しながら段階的に基材温度を下げ、シワを防止する。すなわち、相対的に高温(第1の雰囲気温度)である乾燥装置100の内部の雰囲気(第1の雰囲気の一例)から相対的に低温の常温(第2の雰囲気温度)である乾燥装置100の外部の雰囲気(第2の雰囲気の一例)へ搬送経路に沿って搬送する。
【0037】
図4に示すように、搬送装置10は、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dと、温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dと、膜面温度計16B、16C、及び16Dとを備える。
【0038】
パスローラ12A、12B、12C、及び12D(複数のパスローラの一例)は、基材1の搬送経路に沿って連続して配置され、基材1を支持して案内する。なお、パスローラ12Bは、基材1の搬送テンションを検出するテンションピックアップローラを兼ねている。搬送テンションとは、基材1が搬送方向に受ける引張力である。パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面は、基材1にシワを発生させない観点から、低摩擦部材であることが好ましい。一例として、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面の摩擦係数は、0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。
【0039】
なお、ここでは4つのパスローラ12A、12B、12C、及び12Dを用いる構成を示したが、パスローラの数は適宜決めることができる。
【0040】
パスローラ12Dに搬送された基材1は、搬送装置10よりも下流側に配置されるパスローラ102に受け渡される。
【0041】
温風ヒーター14A、14B、14C、及び14D(複数のヒーターの一例)は、それぞれパスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面(搬送面)に送風面を向けて配置され、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面に向けて温風を吹き付ける。温風とは、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの雰囲気温度を超える温度の風である。
【0042】
温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dは、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dのうち搬送経路の上流側のパスローラほど乾燥装置100の内部の雰囲気温度に近い温度に加熱し、かつ搬送経路の下流側のパスローラほど乾燥装置100の外部の雰囲気温度に近い温度に加熱する。温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dの温風の温度及び風量は、それぞれ後述するプロセッサ18(
図5参照)によって制御される。すなわち、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dは、温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dによる温度調整機構を有する。
【0043】
本実施形態では、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの温度調整機構として温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dを用いたが、これに限定されない。例えば、温度調整機構として、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dのそれぞれの内部に不図示のヒーターを設けてもよい。ヒーターは、電気的に加熱するものでもよいし、温調した液体を循環させるものでもよいし、これらを組み合わせてもよい。
【0044】
膜面温度計16B、16C、及び16Dは、それぞれ基材1の搬送経路のパスローラ12Aとパスローラ12Bとの間(パスローラ間の一例)、パスローラ12Bとパスローラ12Cとの間、及びパスローラ12Cとパスローラ12Dとの間に配置される。膜面温度計16B、16C、及び16Dは、それぞれパスローラ12B、12C、及び12Dと接触する直前の基材1の膜面温度を測定する。
【0045】
膜面温度計16B、16C、及び16Dは、基材1にキズを発生させない観点から、それぞれ基材1に非接触で基材1の膜面温度を測定する非接触式の温度計であることが好ましい。非接触式の温度計は、例えば放射温度計である。
【0046】
〔搬送装置の電気的構成〕
図5は、搬送装置10の電気的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、搬送装置10は、プロセッサ18と、メモリ19とを備える。
【0047】
プロセッサ18は、メモリ19に記憶された命令を実行する。プロセッサ18のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、画像処理に特化したプロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0048】
プロセッサ18は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、或いはCPUとFPGAの組み合わせ、又はCPUとGPUの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0049】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0050】
プロセッサ18は、乾燥装置100の内部の雰囲気温度と、パスローラ12A、12B、12C、及び12D間の距離とに応じて、基材1の搬送経路の下流側のパスローラの表面ほど常温に近くなっていく温度勾配となるように、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面の温度を調整する。例えば、プロセッサ18は、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面の温度をそれぞれ50℃、40℃、30℃、及び20℃に調整する。
【0051】
本実施形態では、プロセッサ18は、膜面温度計16B、16C、及び16Dの測定結果を取得し、測定結果に基づいて温風ヒーター14B、14C、及び14Dの温風の温度及び風量を制御して、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面の温度を調整する。
【0052】
さらに詳細には、プロセッサ18は、膜面温度計16Bによりパスローラ12Bと接触する直前の基材1の膜面温度を測定し、測定結果に基づいて温風ヒーター14Bの温風の温度及び風量を制御して、パスローラ12Bの表面の温度を調整する。また、プロセッサ18は、膜面温度計16Cによりパスローラ12Cと接触する直前の基材1の膜面温度を測定し、測定結果に基づいて温風ヒーター14Cの温風の温度及び風量を制御して、パスローラ12Cの表面の温度を調整する。同様に、プロセッサ18は、膜面温度計16Dによりパスローラ12Dと接触する直前の基材1の膜面温度を測定し、測定結果に基づいて温風ヒーター14Dの温風の温度及び風量を制御して、パスローラ12Dの表面の温度を調整する。
【0053】
また、プロセッサ18は、乾燥装置100の温風ヒーター104の温度に基づいて、温風ヒーター14Aの温風の温度及び風量を制御して、パスローラ12Aの表面の温度を調整する。乾燥装置100とパスローラ12Aとの間に膜面温度計を配置し、パスローラ12Aと接触する直前の基材1の膜面温度を測定し、測定結果に基づいて温風ヒーター14A温風の温度及び風量を制御して、パスローラ12A表面の温度を調整してもよい。
【0054】
パスローラ12A、12B、12C、及び12Dが所望の温度に調整されているか否かを確認するために、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面の温度をそれぞれ測定する温度計を設けてもよい。プロセッサ18は、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面の測定温度に基づいて温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dの温風の温度及び風量を制御してもよい。
【0055】
メモリ19は、プロセッサ18に実行させるための命令を記憶する。メモリ19は、膜面温度計16B、16C、及び16Dの測定結果と温風ヒーター14B、14C、及び14Dの温風の温度及び風量との関係を示すテーブルを記憶してもよい。この場合、プロセッサ18は、メモリ19に記憶されたテーブルに基づいて温風ヒーター14B、14C、及び14Dの温風の温度及び風量を制御することができる。
【0056】
〔温度制御の詳細〕
パスローラの表面温度t(単位:℃)は、基材の温度をT(単位:℃)、温度がT及びtの基材の搬送方向の伸び量をそれぞれΔL(T)及びΔL(t)(単位:mm)とすると、下記の式1を満たす最小のtであることが望ましい。
【0057】
ΔL(T)-ΔL(t)≦2.3mm …(式1)
ここで、式1の右辺の2.3mmは、厚み25μmのPETの基材1を搬送した際の実験結果から算出した。搬送テンションが40N、基材長(基材1の搬送経路に沿った長さ)が2000mmのとき、厚み25μmのPET基材の伸び量は、ΔL(80℃)=3.68mm、ΔL(20℃)=1.38mmであり、ΔL(80℃)-ΔL(20℃)=2.3mmであるが、基材1に搬送によるシワは発生しなかった。
【0058】
搬送装置10では、プロセッサ18は、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面の温度を、式1を満たす最小のtとなるように調整して、基材1のシワを抑制する。
【0059】
すなわち、プロセッサ18は、基材1の搬送経路のパスローラ12Aとパスローラ12Bとの間に配置されている膜面温度計16Bが測定した温度を基材1の温度Tとして、式1からパスローラ12Bの表面温度tを決定する。プロセッサ18は、パスローラ12Bの表面温度が決定したtとなるように、温風ヒーター14Bの温風の温度及び風量を制御する。例えば、温風ヒーター14Bの温風の温度をtとする。
【0060】
また、プロセッサ18は、膜面温度計16Cが測定した温度を基材1の温度Tとして式1からパスローラ12Cの表面温度tを決定し、パスローラ12Cの表面温度が決定したtとなるように、温風ヒーター14Cの温風の温度及び風量を制御する。同様に、プロセッサ18は、膜面温度計16Dが測定した温度を基材1の温度Tとして式1からパスローラ12Dの表面温度tを決定し、パスローラ12Dの表面温度が決定したtとなるように、温風ヒーター14Dの温風の温度及び風量を制御する。
【0061】
なお、パスローラ12Aの上流側には膜面温度計を配置していないが、パスローラ12Aに搬送される基材1の温度は、例えば乾燥装置100の温風ヒーター104の温風の温度である60℃であると推定することができる。したがって、プロセッサ18は、基材1の温度Tを60℃として式1からパスローラ12Aの表面温度tを決定し、パスローラ12Aの表面温度が決定したtとなるように、温風ヒーター14Aの温風の温度及び風量を制御する。
【0062】
図6は、非浸透基材の温度に対する伸び量の変化を示すグラフである。
図6の横軸は基材の温度を表し、縦軸は搬送テンションが40N、基材長が2000mmの場合の伸び量(単位:mm)を表す。
図6は、厚み25μmのPET基材と、厚み20μmのOPP基材と、厚み20μmのONY基材とについて示している。
図6に示すように、基材の伸び量差を2.3mm以内にするには、温度特性の弱いOPP及びONYの場合、T-t=10℃以内の温度勾配にすればいいことが分かる。
【0063】
ここで、基材が受ける搬送テンションをN(単位:N)、基材長をL(単位:mm)、基材を搬送方向に直交する方向に切断した場合の基材の断面積をA(単位:mm2)、基材のヤング率をE(単位:N/mm2)とすると、式1は以下の式2のように表すことができる。
【0064】
NL/AE(T)-NL/AE(t)≦2.3mm …(式2)
基材1の伸び量差が2.3mm以下を満たすには、式2より任意の搬送条件下においては温度に対する関数となる。したがって、搬送装置10とその制御は、熱可塑性樹脂においてすべてに適用可能である。
【0065】
また、
図6に示した非浸透基材よりも温度に対するヤング率の低下が大きい基材1であっても、基材伸び量差が2.3mm以内を維持できる温度勾配ならば適用可能である。
【0066】
〔実施例〕
図7及び
図8は、搬送装置10における実施例の結果を示す表である。
図7及び
図8において、「乾燥温度」とは乾燥装置100の雰囲気温度を示しており、温風ヒーター104の温風の温度と等しい。また、搬送装置10の雰囲気温度は20℃である。
【0067】
図7及び
図8は、乾燥温度が80℃及び60℃の場合において、厚み25μmのPET基材、厚み20μmのOPP基材、厚み12μmのPET基材、及び厚み16μmのONY基材である基材1をそれぞれ搬送した際の温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dの温度を示している。
【0068】
図7は、基材1の搬送テンションが40Nの場合を示している。
図7に示した各条件では、いずれも基材1にシワが発生しなかった。例えば、乾燥温度が80℃で、基材1が厚み25μmのPET基材である場合に、温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dの温度をそれぞれ60℃、40℃、20℃、及び20℃に設定して基材1を搬送したところ、基材1にシワは発生しなかった。
【0069】
一方、
図8は、基材1の搬送テンションが20Nの場合を示している。
図8に示した各条件についても、いずれも基材1にシワが発生しなかった。例えば、乾燥温度が60℃で、基材1が厚み16μmのONY基材である場合に、温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dの温度をそれぞれ40℃、20℃、20℃、及び20℃に設定して基材1を搬送したところ、基材1にシワは発生しなかった。
【0070】
すなわち、
図7及び
図8に示した乾燥温度、基材種、及び搬送テンションの各条件において、温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dによって調整されるパスローラ12A、12B、12C、及び12Dの表面の温度は、各基材1の温度に対して式1を満たしている。
【0071】
<第2の実施形態>
図9は、第2の実施形態に係る搬送装置20の構成を示す図である。搬送装置20は、温度勾配差が発生する乾燥装置100の上流側の環境において、基材温度を測定しながら段階的に基材温度を下げ、シワを防止する。すなわち、相対的に低温の常温(第1の雰囲気温度)である乾燥装置100の外部の雰囲気(第1の雰囲気の一例)から相対的に高温(第2の雰囲気温度)である乾燥装置100の内部の雰囲気(第2の雰囲気の一例)へ搬送経路に沿って搬送する。
【0072】
図9に示すように、搬送装置20は、パスローラ22A、22B、及び22Cと、温風ヒーター24A、24B、及び24Cと、膜面温度計26B及び26Cとを備える。
【0073】
パスローラ22A、22B、及び22C(複数のパスローラの一例)は、基材1の搬送経路に沿って連続して配置され、基材1を案内する。なお、パスローラ22Cは、基材1の搬送テンションを検出するテンションピックアップローラを兼ねている。第1の実施形態と同様に、パスローラ22A、22B、及び22Cの表面は低摩擦部材であることが好ましい。
【0074】
ここでは3つのパスローラ22A、22B、及び22Cを用いる構成を示したが、パスローラの数は搬送条件に応じて適宜決めることができる。
【0075】
パスローラ22Cに搬送された基材1は、乾燥装置100の内部のパスローラ102に受け渡される。
【0076】
温風ヒーター24A、24B、及び24C(複数のヒーターの一例)は、それぞれパスローラ22A、22B、及び22Cの表面に送風面を向けて配置され、パスローラ22A、22B、及び22Cの表面に向けて温風を吹き付ける。パスローラ22A、22B、及び22Cの温風の温度及び風量は、それぞれプロセッサ18(
図5参照)によって制御される。すなわち、パスローラ22A、22B、及び22Cは、温風ヒーター24A、24B、及び24Cによる温度調整機構を有する。第1の実施形態と同様に、温度調整機構はこの例に限定されない。
【0077】
膜面温度計26B及び26Cは、それぞれ基材1の搬送経路のパスローラ22Aとパスローラ22Bとの間、及びパスローラ12Bとパスローラ12Cとの間に配置される。膜面温度計26B及び26Cは、基材1の膜面温度を測定する。膜面温度計26B及び26Cは、それぞれ非接触式の温度計であることが好ましい。
【0078】
搬送装置20の電気的構成は、第1の実施形態と同様に、温風ヒーター24A、24B、及び24Cと膜面温度計26B及び26Cとがプロセッサ18に接続される。
【0079】
プロセッサ18は、パスローラ22A、22B、及び22Cの表面の温度を、下記の式3を満たす最大のtとなるように制御して、基材1のシワを抑制する。
【0080】
ΔL(t)-ΔL(T)≦2.3mm …(式3)
すなわち、プロセッサ18は、基材1の搬送経路のパスローラ22Aとパスローラ22Bとの間に配置されている膜面温度計26Bが測定した温度を基材1の温度Tとして、式3からパスローラ22Bの表面温度tを決定する。プロセッサ18は、パスローラ22Bの表面温度が決定したtとなるように、温風ヒーター24Bの温風の温度及び風量を制御する。例えば、温風ヒーター24Bの温風の温度をtとする。
【0081】
同様に、プロセッサ18は、膜面温度計26Cが測定した温度を基材1の温度Tとして式3からパスローラ22Cの表面温度tを決定し、パスローラ22Cの表面温度が決定したtとなるように、温風ヒーター24Cの温風の温度及び風量を制御する。
【0082】
なお、パスローラ22Aの上流側には膜面温度計を配置していないが、パスローラ22Aに搬送される基材1の温度は、常温の20℃であると推定することができる。したがって、プロセッサ18は、基材1の温度Tを20℃として式3からパスローラ22Aの表面温度tを決定し、パスローラ22Aの表面温度が決定したtとなるように、温風ヒーター24Aの温風の温度及び風量を制御する。
【0083】
なお、式3は、以下の式4のように表すことができる。
【0084】
NL/AE(t)-NL/AE(T)≦2.3mm …(式4)
このように、乾燥装置100の入口側でも同様な構成とすることで、基材1のシワを抑制することが可能である。これにより、基材1の表面の平坦性が確保されることから、乾燥効率が高くなる効果も考えられる。
【0085】
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態に係る搬送装置30の構成を示す図である。
図10に示すように、搬送装置30は、パスローラ12A、12B、12C、及び12Dと、スポットクーラー32A及び32Bとを備える。なお、搬送装置30は、第1の実施形態と同様に、温風ヒーター14A、14B、14C、及び14Dと、膜面温度計16B、16C、及び16Dとを備えてもよい。
【0086】
スポットクーラー32A及び32Bは、それぞれ基材1に送風面を向けて配置され、基材1に向けて冷却風を吹き付ける。冷却風とは、基材1の雰囲気温度未満の温度の風である。ここでは、スポットクーラー32A及び32Bは、それぞれ10℃の冷却風を吹き付ける。
【0087】
搬送装置10において自然放熱による温度下降時間を計算すると、60℃の基材1が常温の23℃になるには10秒かかる。したがって、搬送の最大速度として100m/分が必要であるとすると、自然放熱だけでシワを防止して搬送するには約16mの冷却距離が必要となる。基材1の冷却中には温度調整していないパスローラを配置することはできないため、基材1の蛇行が発生しやすく、搬送系として非常に不安定になってしまうだけでなく装置サイズも大きくなってしまう。
【0088】
このため、搬送装置30は、温度調整するパスローラ数と冷却距離との削減のために、スポットクーラー32A及び32Bを備える。
図11は、基材1が乾燥装置100から搬出されてからの経過時間と基材1の温度との関係を示す表である。
図11では、自然放熱の場合と、スポットクーラー32A及び32Bを使用した場合を示している。
図11に示すように、乾燥装置100から搬送された60℃の基材1が自然放熱で常温の23℃に冷却されるまでの経過時間は10秒であるが、スポットクーラー32A及び32Bを使用した場合の経過時間は3秒であり、必要冷却時間は7秒も縮めることができる。
【0089】
このように、スポットクーラー32A及び32Bにより基材1を冷却することで、基材1を常温にするまでの時間を短くすることができるので、温度調整するパスローラ数と冷却距離とを削減することができる。
【0090】
なお、ここでは2つのスポットクーラー32A及び32Bを用いる構成を示したが、1つのスポットクーラーのみを用いてもよいし、3つ以上のスポットクーラーを用いてもよい。また、冷却風の温度及び風量も適宜決めることができる。
【0091】
<印刷装置>
〔インクジェット印刷装置の構成〕
図12は、搬送装置10と搬送装置20とを適用したインクジェット印刷装置200の全体構成図である。インクジェット印刷装置200は、基材1にシングルパス方式で画像を印刷する印刷装置である。インクジェット印刷装置200は、基材1に対して印刷対象が印刷面とは反対側の面から視認される裏刷りの印刷物を製造する。
【0092】
図12に示すように、インクジェット印刷装置200は、巻出部40と、プレコート部50と、ジェッティング部60と、乾燥装置100と、巻取部120と、を備えて構成される。
【0093】
〔巻出部〕
巻出部40は、巻出ロール41と、駆動ローラ43と、駆動ローラ44と、コロナ処理部45と、を備える。巻出ロール41は、回転可能に支持された不図示のリールを備えている。リールには、画像が印刷される前の基材1がロール状に巻かれている。ガイドローラとして機能する複数のパスローラ42は、基材1の搬送経路に沿って配置される。巻出ロール41から巻き出された基材1は、複数のパスローラ42によって案内されて、駆動ローラ43に搬送される。
【0094】
サブフィードローラとして機能する駆動ローラ43は、不図示のモータによって回転し、基材1と接触して基材1を搬送する。駆動ローラ43によって搬送された基材1は、駆動ローラ44に搬送される。駆動ローラ44は、不図示のモータによって回転し、基材1と接触して基材1を搬送する。
【0095】
駆動ローラ44によって搬送された基材1は、コロナ処理部45と対向する位置に搬送される。
【0096】
コロナ処理部45は、プレコート部50よりも搬送経路の上流側に配置される。コロナ処理部45は、基材1の印刷面にコロナ放電処理を施して改質させ、撥水性を有する印刷面と水性プライマー及び水性インクとの密着性を改善させる。
【0097】
印刷面が改質された基材1は、パスローラ42によって案内されて、テンションピックアップローラ46に搬送される。テンションピックアップローラ46によって搬送テンションが検出された基材1は、パスローラ42によって案内されて、巻出部40からプレコート部50に搬送される。
【0098】
〔プレコート部〕
プレコート部50は、ジェッティング部60よりも搬送経路の上流側に配置される。プレコート部50は、基材1の印刷面に水性プライマーを塗布する。水性プライマーは、水と、水性インク中の色材成分を凝集、又は不溶化、又は増粘させる成分とを含む液体であり、水性カラーインク及び水性ホワイトインクと反応することで増粘する。
【0099】
プレコート部50は、複数のパスローラ52と、コーター53と、PC(Precoat)乾燥部58とを備える。複数のパスローラ52は、基材1の搬送経路に沿って配置される。巻出部40からプレコート部50に搬送された基材1は、複数のパスローラ52によって案内されて、コーター53と対向する位置に搬送される。
【0100】
コーター53は、チャンバードクター式のコーターである。コーター53は、塗布ローラ54と、チャンバー55と、対向ローラ56と、不図示のブレードと、を備える。サブフィードローラとして機能する塗布ローラ54は、不図示のモータによって回転する。チャンバー55は、水性プライマーを貯留する。コーター53は、チャンバー55から回転する塗布ローラ54の表面に水性プライマーを供給する。ブレードは、回転する塗布ローラ54の表面の余分な水性プライマーを掻き取る。塗布ローラ54は、対向ローラ56との間に基材1を挟み込み、水性プライマーが供給された表面を基材1の印刷面に当接させ、表面に供給された水性プライマーを基材1の印刷面に塗布する。
【0101】
水性プライマーが塗布された基材1は、複数のパスローラ52によって案内されて、PC乾燥部58と対向する位置に搬送される。
【0102】
PC乾燥部58は、不図示の温風ヒーターを備える。温風ヒーターは、基材1の幅全体に渡る2つの不図示のスリットノズルを有する。PC乾燥部58は、温風ヒーターのスリットノズルから基材1の印刷面に向けて温風を吹き付け、水性プライマーを乾燥させる。
【0103】
水性プライマーが乾燥された基材1は、プレコート部50からジェッティング部60に搬送される。
【0104】
〔ジェッティング部〕
ジェッティング部60は、基材1の印刷面に画像を印刷する。ジェッティング部60は、印刷品質保持の観点から、基材1の温度を常温に管理している。ジェッティング部60は、複数のパスローラ62と、無接触ターン部64と、サクションドラム65と、サクションドラム67と、無接触ターン部68と、インクジェットヘッド70K、70C、70M、70Y、70W1、及び70W2と、スキャナ71と、スキャナ72と、を備える。
【0105】
複数のパスローラ62は、基材1の搬送経路に沿って配置される。プレコート部50からジェッティング部60に搬送された基材1は、テンションピックアップローラ63に搬送される。テンションピックアップローラ63によって搬送テンションが検出された基材1は、複数のパスローラ62によって案内されて、無接触ターン部64に搬送される。
【0106】
無接触ターン部64は、基材1を無接触ターン部64から所定の浮上量で浮上させて基材1の搬送経路の向きを下向きから上向きに180度ターンさせる。無接触ターン部64による送風量は、不図示の風量制御部によって制御される。無接触ターン部64によってターンされた基材1は、サクションドラム65に搬送される。
【0107】
サクションドラム65は、インクジェットヘッド70K、70C、70M、70Y、70W1、及び70W2よりも搬送経路の上流側に配置される。
【0108】
メインフィードローラとして機能するサクションドラム65は、不図示のモータによって回転し、基材1を外周面に吸着して搬送する。サクションドラム65は、外周面に複数の不図示の吸着孔を有する。サクションドラム65は、不図示のポンプにより吸着孔が吸引されることで、外周面に基材1を吸着する。
【0109】
サクションドラム65によって搬送された基材1は、搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される複数のパスローラ62によって支持、案内されて、テンションピックアップローラ66に搬送される。テンションピックアップローラ66によって搬送テンションが検出された基材1は、サクションドラム67に搬送される。
【0110】
サブフィードローラとして機能するサクションドラム67は、インクジェットヘッド70K、70C、70M、70Y、70W1、及び70W2よりも搬送経路の下流側かつ乾燥装置100よりも搬送経路の上流側に配置される。サクションドラム67は、不図示のモータによって回転し、基材1を外周面に吸着して搬送する。サクションドラム67の構成は、サクションドラム65と同様である。
【0111】
サクションドラム65とサクションドラム67との間の搬送経路には、インクジェットヘッド70K、70C、70M、70Y、70W1、及び70W2と、スキャナ71と、スキャナ72とが配置される。
【0112】
サクションドラム65から搬送された基材1は、インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yと対向する位置に搬送される。
【0113】
インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Y(液体付与ヘッドの一例)は、それぞれクロ(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)の水性インクを吐出する。水性インクとは、水と水に可溶な溶媒に染料、顔料等の色材とを溶解又は分散させたインクをいう。インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yのそれぞれには、対応する色の不図示のインクタンクから不図示の配管経路を経由して、水性インクが供給される。
【0114】
インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yは、それぞれ1回の基材1の搬送によって印刷可能なライン型記録ヘッドで構成される。インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yは、それぞれ不図示のノズル面がパスローラ62に対向して配置される。すなわち、インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yは、搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される。
【0115】
インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yの各ノズル面には、水性インクの吐出口である複数のノズルが二次元配列されている。ノズル面とは、ノズルが形成されている吐出面をいう。インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yの各ノズル面には、撥水膜が形成されている。
【0116】
インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yは、それぞれ複数のヘッドモジュールを基材1の幅方向に繋ぎ合わせて構成することができる。
【0117】
複数のパスローラ62に沿って搬送される基材1の印刷面に向けて、インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yのうち少なくとも1つから水性インクの液滴を吐出し、吐出された液滴が基材1に付着することにより、基材1の印刷面に画像が印刷される。
【0118】
なお、ここでは4色のカラーの水性インクを用いる構成を示したが、インク色と色数については本実施形態に限定されない。また、各色のインクジェットヘッドの配置順序も限定されない。
【0119】
インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yによってカラー画像が印刷された基材1は、インクジェットヘッド70W1及び70W2と対向する位置に搬送される。
【0120】
インクジェットヘッド70W1及び70W2は、インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yよりも搬送経路の下流側に配置される。インクジェットヘッド70W1及び70W2は、それぞれ基材1の印刷面に水性ホワイトインクを塗布して白色背景画像を印刷する。
【0121】
インクジェットヘッド70W1及び70W2の構成は、インクジェットヘッド70K、70C、70M、及び70Yと同様である。インクジェットヘッド70W1及び70W2には、不図示のインクタンクから不図示の配管経路を経由して、白色の水性インクが供給される。インクジェットヘッド70W1及び70W2は、それぞれ不図示のノズル面が複数のパスローラ62に対向して配置される。インクジェットヘッド70W1及び70W2は、搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される。
【0122】
複数のパスローラ62に沿って搬送される基材1の印刷面に向けて、インクジェットヘッド70W1及び70W2のうち少なくとも1つから水性ホワイトインクの液滴を吐出し、吐出された液滴が基材1に付着することにより、基材1の印刷面に白色背景画像が印刷される。
【0123】
なお、ここでは2つのインクジェットヘッド70W1及び70W2を用いる構成を示したが、1つのインクジェットヘッドのみを用いてもよいし、3つ以上のインクジェットヘッドを用いてもよい。
【0124】
ジェッティング部60において基材1の印刷面に塗布された水性カラーインク及び水性ホワイトインクは、プレコート部50において基材1の印刷面に塗布された水性プライマーによって凝縮増粘反応する。
【0125】
インクジェットヘッド70W1及び70W2によって白色背景画像が印刷された基材1は、パスローラ62によって案内されて、スキャナ71とスキャナ72とに対向する位置に搬送される。
【0126】
スキャナ71とスキャナ72とは、インクジェットヘッド70K、70C、70M、70Y、70W1、及び70W2において基材1に印刷されたノズルチェックパターン等のテストパターン画像を検査する。スキャナ71とスキャナ72とは、それぞれ基材1の印刷面に印刷されたテストパターン画像を撮像して電気信号に変換する撮像デバイスを含む。撮像デバイスとしてカラーCCD(Charge Coupled Device)リニアイメージセンサを用いることができる。なお、カラーCCDリニアイメージセンサに代えて、カラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)リニアイメージセンサを用いることもできる。
【0127】
スキャナ71とスキャナ72とは、それぞれ基材1の印刷面側に配置され、基材1の印刷面に印刷されたテストパターン画像を印刷面側から読み取る。スキャナ71とスキャナ72とによって読み取られたテストパターン画像は、不図示の判定部によって判定され、不良ノズルの特定等が行われる。
【0128】
スキャナ71とスキャナ72とによってテストパターン画像が検査された基材1は、サクションドラム67によって下向きに案内され、無接触ターン部68に搬送される。
【0129】
無接触ターン部68は、搬送経路のサクションドラム67と乾燥装置100との間に配置される。無接触ターン部68は、搬送経路の向きを基材1の印刷面に接触することなく下向きから上向きに変更する。無接触ターン部68の構成は、無接触ターン部64と同様である。無接触ターン部68は、基材1を無接触ターン部68から所定の浮上量で浮上させて180度ターンさせる。無接触ターン部68によれば、印刷面に接触しないために印刷面に印刷された画像に影響を与えることが無い。
【0130】
無接触ターン部68による送風量は、不図示の風量制御部によって制御される。また、無接触ターン部68は、送風するエアーの温度を温調する温調装置を備えてもよい。
【0131】
無接触ターン部68によってターンされた基材1は、パスローラ62によって案内されて、搬送装置20に搬送される。搬送装置20の構成は、
図9と同様である。
【0132】
テンションピックアップローラを兼ねるパスローラ22Cによって搬送テンションが検出された基材1は、搬送装置20から乾燥装置100に搬送される。
【0133】
〔乾燥装置〕
乾燥装置100は、ジェッティング部60よりも搬送経路の下流側に配置される。乾燥装置100は、基材1の印刷面に塗布された水性インクを乾燥させる。乾燥装置100の内部の雰囲気温度は常温よりも高く、例えば60℃である。
【0134】
乾燥装置100の構成は、
図1と同様である。乾燥装置100によって搬送された基材1は、搬送装置10を経由して巻取部120に搬送される。搬送装置10の構成は、
図4と同様である。搬送装置10に代えて、搬送装置30を適用してもよい。
【0135】
〔巻取部〕
巻取部120の雰囲気温度は常温である。巻取部120は、複数のパスローラ122と、検品部124と、駆動ローラ130と、駆動ローラ132と、巻取ロール135と、押さえローラ136と、を備える。複数のパスローラ122は、基材1の搬送経路に沿って配置される。
【0136】
サブフィードローラとして機能する巻取ロール135は、回転可能に支持された不図示のリールを備えている。リールには、基材1の一端が接続されている。巻取ロール135は、リールを回転駆動させる不図示の巻取モータを備えている。
【0137】
基材1は、搬送装置10と巻取部120のパスローラ122とに案内されて、検品部124と対向する位置に搬送される。
【0138】
検品部124は、基材1の印刷面に印刷された画像を検査する。検品部124は、スキャナ126と、スキャナ128と、を備える。スキャナ126とスキャナ128との構成は、スキャナ71とスキャナ72と同様である。
【0139】
スキャナ126とスキャナ128とは、それぞれ基材1の印刷面の反対面側に配置され、基材1の印刷面に印刷された画像を印刷面の反対面から読み取る。スキャナ126とスキャナ128とによって読み取られた画像は、不図示の判定部によって良否が判定される。
【0140】
検品部124によって画像が検査された基材1は、パスローラ122によって案内されて、駆動ローラ130に搬送される。サブフィードローラとして機能する駆動ローラ130は、不図示のモータによって回転し、基材1と接触して基材1を搬送する。駆動ローラ130によって搬送された基材1は、駆動ローラ132に搬送される。駆動ローラ132は、不図示のモータによって回転し、基材1と接触して基材1を搬送する。
【0141】
駆動ローラ132によって搬送された基材1は、複数のパスローラ122によって案内されて、テンションピックアップローラ134に搬送される。テンションピックアップローラ134によって搬送テンションが検出された基材1は、パスローラ122によって案内されて、巻取ロール135に巻き取られる。
【0142】
巻取ロール135に対向する位置には、押さえローラ136が配置される。押さえローラ136は、スウィングアーム138の先端に設けられている。スウィングアーム138は、不図示の押圧手段により押さえローラ136を巻取ロール135に巻き取られた基材1に押圧する。
【0143】
以上のように構成されたインクジェット印刷装置200は、基材1を巻出部40、プレコート部50、ジェッティング部60、乾燥装置100、及び巻取部120の順に搬送し、基材1に対してそれぞれの処理を行わせることで、印刷物を製造する。
【0144】
インクジェット印刷装置200は、乾燥装置100が第1の雰囲気に配置され、巻取部120が第2の雰囲気に配置され、搬送装置10のパスローラ12A、12B、12C、及び12Dが第2の雰囲気に配置されると考えることができる。搬送装置10は、相対的に高温である第1の雰囲気から相対的に低温である常温の第2の雰囲気へ温度勾配差を有する環境で、シワを発生させることなく基材1を搬送することができる。
【0145】
また、インクジェット印刷装置200は、ジェッティング部60が第1の雰囲気に配置され、乾燥装置100が第2の雰囲気に配置され、搬送装置20のパスローラ22A、22B、及び22Cは第1の雰囲気に配置されると考えることができる。搬送装置20は、相対的に低温である常温の第1の雰囲気から相対的に高温である第2の雰囲気へ温度勾配差を有する環境で、シワを発生させることなく基材1を搬送することができる。
【0146】
<その他>
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0147】
1…基材
1A…印刷面
10…搬送装置
12A…パスローラ
12B…パスローラ
12C…パスローラ
12D…パスローラ
14A…温風ヒーター
14B…温風ヒーター
14C…温風ヒーター
14D…温風ヒーター
16B…膜面温度計
16C…膜面温度計
16D…膜面温度計
18…プロセッサ
19…メモリ
20…搬送装置
22A…パスローラ
22B…パスローラ
22C…パスローラ
24A…温風ヒーター
24B…温風ヒーター
26B…膜面温度計
26C…膜面温度計
30…搬送装置
32A…スポットクーラー
32B…スポットクーラー
40…巻出部
41…巻出ロール
42…パスローラ
43…駆動ローラ
44…駆動ローラ
45…コロナ処理部
46…テンションピックアップローラ
50…プレコート部
52…パスローラ
53…コーター
54…塗布ローラ
55…チャンバー
56…対向ローラ
58…PC乾燥部
60…ジェッティング部
62…パスローラ
63…テンションピックアップローラ
64…無接触ターン部
65…サクションドラム
66…テンションピックアップローラ
67…サクションドラム
68…無接触ターン部
70C…インクジェットヘッド
70K…インクジェットヘッド
70M…インクジェットヘッド
70W1…インクジェットヘッド
70W2…インクジェットヘッド
70Y…インクジェットヘッド
71…スキャナ
72…スキャナ
100…乾燥装置
102…パスローラ
102A…パスローラ
102B…パスローラ
102C…パスローラ
102D…パスローラ
104…温風ヒーター
106…ファーストタッチローラ
120…巻取部
122…パスローラ
124…検品部
126…スキャナ
128…スキャナ
130…駆動ローラ
132…駆動ローラ
134…テンションピックアップローラ
135…巻取ロール
136…ローラ
138…スウィングアーム
200…インクジェット印刷装置