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特許7523194粉粒体の移送方法及び粉粒体の輸送システム、並びに粉粒体の収容装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】粉粒体の移送方法及び粉粒体の輸送システム、並びに粉粒体の収容装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/16 20060101AFI20240719BHJP
   B65D 90/00 20060101ALI20240719BHJP
   B65G 53/36 20060101ALI20240719BHJP
   B65G 53/04 20060101ALI20240719BHJP
   B65G 53/14 20060101ALI20240719BHJP
   B65G 53/42 20060101ALI20240719BHJP
   B65G 53/60 20060101ALI20240719BHJP
   B65B 1/28 20060101ALI20240719BHJP
   B65B 37/14 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B65B1/16
B65D90/00 H
B65G53/36
B65G53/04 Z
B65G53/14
B65G53/42
B65G53/60
B65B1/28
B65B37/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020117711
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015086
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】安池 慎治
(72)【発明者】
【氏名】正木 浩幸
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-208893(JP,A)
【文献】特開2019-113076(JP,A)
【文献】実開昭55-012431(JP,U)
【文献】特開2008-239240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/16
B65D 90/00
B65G 53/36
B65G 53/04
B65G 53/14
B65G 53/42
B65G 53/60
B65B 1/28
B65B 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容容器に収容された粉粒体を粉粒体用のタンクコンテナに供給する方法において、
前記タンクコンテナに外部から前記粉粒体を供給することが可能な第1のマンホールに、前記タンクコンテナの内外を連通する供給用アダプタを装着する供給用装着工程と、
前記収容容器に収容された前記粉粒体を前記収容容器から外部に排出可能な排出口と前記供給用アダプタとを供給管により連結する供給用連結工程と、
前記収容容器に収容された前記粉粒体が前記排出口から排出されて前記供給管を介して前記第1のマンホールから前記タンクコンテナに供給されるように前記粉粒体を空気輸送装置により空気輸送する供給工程と、
前記収容容器から前記タンクコンテナへの前記粉粒体の供給に伴って、前記タンクコンテナの前記第1のマンホールとは異なる第2のマンホールから前記タンクコンテナの内部の空気を排気する排気工程と、
前記タンクコンテナの前記第2のマンホールに、前記第2のマンホールを閉塞する排気用蓋体と前記排気用蓋体を貫通して前記タンクコンテナの内外を連通する排気用連通管とを有する排気用アダプタを装着する排気用装着工程と、
前記タンクコンテナから排気された空気中を浮遊する前記粉粒体を捕集する捕集装置と前記排気用連通管とを排気管により連結する排気用連結工程と、
前記供給用アダプタ及び前記排気用アダプタの少なくとも一方は、前記タンクコンテナの内外を連通する再供給用連通管を備え、
前記捕集装置により捕集された前記粉粒体を再空気輸送装置により空気輸送して排出可能な再供給用排出口と前記再供給用連通管とを再供給管により連結する再供給用連結工程と、
前記捕集装置により捕集された前記粉粒体を前記再供給用排出口から前記再空気輸送装置の空気輸送により排出して前記再供給管を介して前記タンクコンテナに供給する再供給工程と、
を備えることを特徴とする粉粒体の移送方法。
【請求項2】
前記供給用アダプタが、前記第1のマンホールを閉塞する供給用蓋体と、前記供給用蓋体を貫通して前記タンクコンテナの内外を連通して設けられた供給用連通管と、前記供給用連通管の前記タンクコンテナの内部側に設けられたノズルと、を備え、
前記供給用連結工程において、前記供給管が前記供給用連通管に連結されることを特徴とする請求項1記載の粉粒体の移送方法。
【請求項3】
前記ノズルが、水平方向を伸長方向として下側に開放して設けられた樋形状であることを特徴とする請求項2記載の粉粒体の移送方法。
【請求項4】
前記第1のマンホールが、前記タンクコンテナの平面視における前記タンクコンテナの収容空間の中央部からずれた位置に配置され、
前記供給用装着工程において、前記ノズルが、前記タンクコンテナの平面視における前記収容空間の中央部側に向けて配置されることを特徴とする請求項3記載の粉粒体の移送方法。
【請求項5】
前記供給用アダプタが、前記供給用蓋体の外周部に取り付けられた供給用シール材を備え、
前記供給用装着工程において、前記供給用シール材が前記第1のマンホールの縁部に当接して、前記供給用アダプタと前記第1のマンホールとの間を気密にすることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の粉粒体の移送方法。
【請求項6】
前記第1のマンホールに装着した状態の前記供給用アダプタを固定具により前記タンクコンテナに固定する固定工程を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粉粒体の移送方法。
【請求項7】
前記排気用アダプタが、前記排気用蓋体の外周部に取り付けられた排気用シール材を備え、
前記排気用装着工程において、前記排気用シール材が前記第2のマンホールの縁部に当接して、前記排気用アダプタと前記第2のマンホールとの間を気密にすることを特徴とする請求項記載の粉粒体の移送方法。
【請求項8】
第1の粉粒体保管サイトと、第2の粉粒体保管サイトと、前記第1の粉粒体保管サイトから前記第2の粉粒体保管サイトに粉粒体を輸送する途中で前記粉粒体を移し替える中継サイトと、を備え、
前記第1の粉粒体保管サイトから前記中継サイトまでは前記粉粒体を収容容器に収容して輸送し、前記中継サイトから前記第2の粉粒体保管サイトまでは前記粉粒体をタンクコンテナに収容して輸送し、
前記中継サイトにおいて、前記収容容器から前記タンクコンテナに前記粉粒体を移し替える方法は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の粉粒体の移送方法である
ことを特徴とする粉粒体の輸送システム。
【請求項9】
前記第1の粉粒体保管サイトは、石炭灰発生サイトで発生した石炭灰を前記粉粒体として保管するサイトであり、前記第2の粉粒体保管サイトは、石炭灰使用サイトで使用する石炭灰を前記粉粒体として保管するサイトである
ことを特徴とする請求項記載の粉粒体の輸送システム。
【請求項10】
第1のマンホールと第2のマンホールとを有し、粉粒体を収容可能なタンクコンテナと、
前記第1のマンホールに装着され、前記第1のマンホールを閉塞する供給用蓋体と、前記供給用蓋体を貫通して前記タンクコンテナの内外を連通し、外部から粉粒体が供給される供給用連通管と、前記供給用連通管の前記タンクコンテナの内部側に設けられたノズルとを有する供給用アダプタと、
前記第2のマンホールに装着され、前記第2のマンホールを閉塞する排気用蓋体と、前記排気用蓋体を貫通して前記タンクコンテナの内外を連通し、前記タンクコンテナの内部の空気を外部に排気する排気用連通管とを有する排気用アダプタと、
前記供給用アダプタ及び前記排気用アダプタの少なくとも一方は、前記タンクコンテナの内外を連通し、排気後に捕集された粉粒体が外部から再供給される再供給用連通管を有する
ことを特徴とする粉粒体の収容装置。
【請求項11】
前記ノズルが、水平方向を伸長方向として下側に開放して設けられた樋形状であることを特徴とする請求項10記載の粉粒体の収容装置。
【請求項12】
前記第1のマンホールが、前記タンクコンテナの平面視における前記タンクコンテナの収容空間の中央部からずれた位置に配置され、
前記ノズルが、前記タンクコンテナの平面視における前記収容空間の中央部側に向けて配置されることを特徴とする請求項11記載の粉粒体の収容装置。
【請求項13】
前記供給用アダプタが、前記供給用蓋体の外周部に取り付けられた供給用シール材を備え、
前記供給用シール材が、前記第1のマンホールの縁部に当接して、前記供給用アダプタと前記第1のマンホールとの間を気密にすることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の粉粒体の収容装置。
【請求項14】
前記第1のマンホールに装着した状態の前記供給用アダプタを前記タンクコンテナに固定する固定具を備えることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の粉粒体の収容装置。
【請求項15】
前記排気用アダプタが、前記排気用蓋体の外周部に取り付けられた排気用シール材を備え、
前記排気用シール材が、前記第2のマンホールの縁部に当接して、前記排気用アダプタと前記第2のマンホールとの間を気密にすることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の粉粒体の収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の移送方法及び粉粒体の輸送システム、並びに粉粒体の収容装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、収容容器に収容された例えば火力発電所に於いて発生した石炭灰等の粉粒体を、粉粒体用のタンクコンテナに移し替える際に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電所に於いて発生した石炭灰をコンクリート材料、土木材料として使用する場合、発電所に設置された貯蔵サイロに収容された石炭灰を、例えば生コンクリート工場などの納品先に設置された貯蔵サイロに輸送する必要がある。石炭灰の輸送方法としては、例えば、発電所の貯蔵サイロから粉粒体運搬車に石炭灰を移し替え、粉粒体運搬車が納品先に移動して納品先の貯蔵サイロに石炭灰を移し替える方法がある。あるいは、石炭灰の他の輸送方法としては、例えば、発電所の貯蔵サイロからタンクコンテナ(石炭灰タンクコンテナ)に石炭灰を移し替え、タンクコンテナをトレーラーなどで納品先に運搬して納品先の貯蔵サイロに石炭灰を移し替える方法がある(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、火力発電所と納品先とは距離が大きく離れていることがあり、この場合は、石炭灰の運搬作業の効率化のために、火力発電所から納品先までの中継地点に中継サイロを設置することがある。この場合、火力発電所から中継サイロまで石炭灰を運搬し、中継サイロで一時的に貯蔵し、中継サイロから納品先に運搬する。これに対し、中継サイロには広い設置面積を要するため設置箇所が限られて効率化が困難な場合があり、また、中継サイロを設置するために大掛かりな工事が必要になりコストが掛かってしまう。このため、固定式の中継サイロの代わりに、石炭灰を収容して移動可能な粉粒体用のタンクコンテナを利用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-1867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中継サイロの代わりにタンクコンテナを利用することには、以下のような課題があった。即ち、この種のタンクコンテナは、搭載する加圧用タンク内に粉粒体を貯留する構造であり、タンクコンテナは箱形のドライコンテナで行われるような後部ドアからの粉粒体の積み込みができないため、タンクコンテナでは粉粒体の積み込みは上部の粉粒体充填用マンホールに限定される。例えば、サイロからタンクコンテナに石炭灰を供給するときは、サイロのホッパの直下にタンクコンテナのマンホールが位置するように設置して、ホッパから落下した石炭灰をマンホールからタンクコンテナに移送させる。
【0006】
このように従来、タンクコンテナへの粉粒体の充填は、上部のマンホールを使用した重力落下による方法に限定され、空気輸送による粉粒体の充填は困難であった。このため、空気輸送による排出機構を有する粉粒体運搬車から、粉粒体用タンクコンテナへ直接粉粒体を移送することは非常に困難であった。粉粒体運搬車からタンクコンテナに石炭灰を供給するには、粉粒体運搬車からは石炭灰が加圧されて供給管から吐出されるため、供給管をタンクコンテナ上部のマンホールに挿入して、加圧された石炭灰をそのまま供給することになる。このため、供給管とマンホールとの隙間からタンクコンテナ内の空気及び浮遊した石炭灰が漏れ出すか、あるいは、タンクコンテナ内部が加圧されて石炭灰の空気輸送に対する負荷になる虞がある。また、例えば、タンクコンテナからタンクコンテナに石炭灰を移送する場合は、供給する側のタンクコンテナからコンプレッサにより空気輸送した石炭灰を吐出するため、供給される側のタンクコンテナでは上述の場合と同様の問題が発生する可能性がある。即ち、タンクコンテナに対して石炭灰を空気輸送により供給することは困難であり、このために固定式の中継サイロの代わりにタンクコンテナを利用することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、粉粒体用のタンクコンテナに対して粉粒体を空気輸送により供給可能にする粉粒体の移送方法及び粉粒体の輸送システム、並びに粉粒体の収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明の粉粒体の移送方法は、収容容器に収容された粉粒体を粉粒体用のタンクコンテナに供給する方法において、タンクコンテナに外部から粉粒体を供給することが可能な第1のマンホールに、タンクコンテナの内外を連通する供給用アダプタを装着する供給用装着工程と、収容容器に収容された粉粒体を収容容器から外部に排出可能な排出口と供給用アダプタとを供給管により連結する供給用連結工程と、収容容器に収容された粉粒体が排出口から排出されて供給管を介して第1のマンホールからタンクコンテナに供給されるように粉粒体を空気輸送装置により空気輸送する供給工程と、収容容器からタンクコンテナへの粉粒体の供給に伴って、タンクコンテナの第1のマンホールとは異なる第2のマンホールからタンクコンテナの内部の空気を排気する排気工程と、タンクコンテナの第2のマンホールに、第2のマンホールを閉塞する排気用蓋体と排気用蓋体を貫通してタンクコンテナの内外を連通する排気用連通管とを有する排気用アダプタを装着する排気用装着工程と、タンクコンテナから排気された空気中を浮遊する粉粒体を捕集する捕集装置と排気用連通管とを排気管により連結する排気用連結工程と、供給用アダプタ及び排気用アダプタの少なくとも一方は、タンクコンテナの内外を連通する再供給用連通管を備え、捕集装置により捕集された粉粒体を再空気輸送装置により空気輸送して排出可能な再供給用排出口と再供給用連通管とを再供給管により連結する再供給用連結工程と、捕集装置により捕集された粉粒体を再供給用排出口から再空気輸送装置の空気輸送により排出して再供給管を介してタンクコンテナに供給する再供給工程と、を備えている。
【0009】
このような粉粒体の移送方法によると、供給用装着工程においてタンクコンテナの第1のマンホールに供給用アダプタを装着し、また、排気工程においてタンクコンテナの第2のマンホールからタンクコンテナ内部の空気を排気するようにしている。これにより、供給管と第1のマンホールとの隙間からタンクコンテナ内の空気及び浮遊した粉粒体が漏れ出すことを抑制し、かつ、タンクコンテナ内部が加圧されることを防止できる。したがって、収容容器からタンクコンテナに粉粒体を空気輸送によって移送できるようになる。本移送方法では、タンクコンテナ自体の改造は行わないため、現在流通している粉粒体用タンクコンテナに対して改造を加えることなく、適用可能である。また、排気された空気中に浮遊する粉粒体を捕集できるので、粉粒体の漏れ出しを防止することができる。さらに、捕集した粉粒体を空気輸送により再供給できるので、移送により損失される粉粒体を減らすことができる。
【0010】
なお、本発明における粉粒体とは、例えば石炭灰であり、具体的には例えば、日本工業規格 JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」においてフライアッシュの種類として規定されているフライアッシュI種,II種,III種,及びIV種に相当するようなフライアッシュが含まれる。また、本発明における粉粒体とは、フライアッシュの他、乾式のクリンカホッパで捕集された乾燥状態のクリンカアッシュが含まれる。また、本発明において移送可能な粉粒体は、石炭灰に限定されない。例えば、粉粒体運搬車で輸送可能な品(バラセメント、消石灰、生石灰、炭酸カルシウム、珪砂、ソーダ灰、コーンスターチ、カーバイド)の輸送に適用可能である。
【0011】
なお、本発明における粉粒体用のタンクコンテナとは、具体的にはISO規格、ISO 6346:1995/Amd 3:2012, Table EのCode: N(Pressurized and non-pressurized tank containers (dry))に分類されるコンテナを指すが、これと同様な機能を持つタンクコンテナであれば、適用可能である。
【0012】
本発明の粉粒体の移送方法は、供給用アダプタが、第1のマンホールを閉塞する供給用蓋体と、供給用蓋体を貫通してタンクコンテナの内外を連通して設けられた供給用連通管と、供給用連通管のタンクコンテナの内部側に設けられたノズルと、を備え、供給用連結工程において、供給管が供給用連通管に連結されるようにしても良い。この場合には、第1のマンホールが確実に閉塞され、粉粒体を空気輸送しても浮遊した粉粒体が第1のマンホールから漏れ出すことを防止できる。
【0013】
本発明の粉粒体の移送方法は、ノズルが、水平方向を伸長方向として下側に開放して設けられた樋形状であるようにしても良い。この場合には、ノズルから粉粒体が水平方向に広がって噴き出されるので、タンクコンテナの内部で1か所に集中することなく広い範囲に拡散され、収容された粉粒体の表面を平坦にすることができる。
【0014】
本発明の粉粒体の移送方法は、第1のマンホールが、タンクコンテナの平面視におけるタンクコンテナの収容空間の中央部からずれた位置に配置され、供給用装着工程において、ノズルが、タンクコンテナの平面視における収容空間の中央部側に向けて配置されるようにしている。この場合には、ノズルから噴き出される粉粒体は収容空間の中央部に向けて拡散されるので、収容空間に堆積された粉粒体の表面を、全体に亘って平坦にすることができる。
【0015】
本発明の粉粒体の移送方法は、供給用アダプタが、供給用蓋体の外周部に取り付けられた供給用シール材を備え、供給用装着工程において、供給用シール材が第1のマンホールの縁部に当接して、供給用アダプタと第1のマンホールとの間を気密にするようにしている。この場合には、第1のマンホールの開口部がより確実に閉塞され、粉粒体を空気輸送しても浮遊した粉粒体が第1のマンホールから漏れ出すことを防止できる。
【0016】
本発明の粉粒体の移送方法は、第1のマンホールに装着した状態の供給用アダプタを固定具によりタンクコンテナに固定する固定工程を備えるようにしている。この場合には、例えば、空気輸送によって供給管に脈動(振動)が発生した場合であっても、供給用アダプタが第1のマンホールから外れてしまうことを防止できる。
【0019】
本発明の粉粒体の移送方法は、排気用アダプタが、排気用蓋体の外周部に取り付けられた排気用シール材を備え、排気用装着工程において、排気用シール材が第2のマンホールの縁部に当接して、排気用アダプタと第2のマンホールとの間を気密にするようにしている。この場合には、第2のマンホールがより確実に閉塞され、粉粒体を空気輸送しても浮遊した粉粒体が第2のマンホールから漏れ出すことを防止できる。
【0020】
本発明の粉粒体の輸送システムは、第1の粉粒体保管サイトと、第2の粉粒体保管サイトと、第1の粉粒体保管サイトから第2の粉粒体保管サイトに粉粒体を輸送する途中で粉粒体を移し替える中継サイトと、を備え、第1の粉粒体保管サイトから中継サイトまでは粉粒体を収容容器に収容して輸送し、中継サイトから第2の粉粒体保管サイトまでは粉粒体を粉粒体用のタンクコンテナに収容して輸送し、中継サイトにおいて、収容容器から粉粒体用のタンクコンテナに粉粒体を移し替える方法は、上記の粉粒体の移送方法であるようにしている。
【0021】
また、本発明の粉粒体の輸送システムは、第1の粉粒体保管サイトは、石炭灰発生サイトで発生した石炭灰を粉粒体として保管するサイトであり、第2の粉粒体保管サイトは、石炭灰使用サイトで使用する石炭灰を粉粒体として保管するサイトであるようにしている。
【0022】
このような粉粒体の輸送システムによると、粉粒体を収容した収容容器を第1の粉粒体保管サイト(石炭灰発生サイト)から中継サイト(中継地点)まで輸送し、中継サイトにおいて粉粒体を収容容器からタンクコンテナに空気輸送により移送し、粉粒体を収容したタンクコンテナを中継サイトから第2の粉粒体保管サイト(石炭灰使用サイト)に輸送することができるようになる。また、中継サイトにおいて、粉粒体を収容したタンクコンテナに更に粉粒体を移送することで、粉粒体を1つのタンクコンテナにまとめることもできる。このように、第1の粉粒体保管サイトから第2の粉粒体保管サイトまで粉粒体を輸送する際に、中継サイトにタンクコンテナを一時的に載置することで中継サイロとして機能させることができるので、中継サイトに中継サイロを設置することなく粉粒体を中継することができるようになる。
【0023】
また、本発明の粉粒体の収容装置は、第1のマンホールと第2のマンホールとを有し、粉粒体を収容可能なタンクコンテナと、第1のマンホールに装着され、第1のマンホールを閉塞する供給用蓋体と、供給用蓋体を貫通してタンクコンテナの内外を連通し、外部から粉粒体が供給される供給用連通管と、供給用連通管のタンクコンテナの内部側に設けられたノズルとを有する供給用アダプタと、第2のマンホールに装着され、第2のマンホールを閉塞する排気用蓋体と、排気用蓋体を貫通してタンクコンテナの内外を連通し、タンクコンテナの内部の空気を外部に排気する排気用連通管とを有する排気用アダプタと、供給用アダプタ及び排気用アダプタの少なくとも一方は、タンクコンテナの内外を連通し、排気後に捕集された粉粒体が外部から再供給される再供給用連通管を有するようにしている。
【0024】
このような粉粒体の収容装置によると、タンクコンテナの第1のマンホールに供給用アダプタを装着し、また、タンクコンテナの第2のマンホールからタンクコンテナ内部の空気を排気するようにできる。これにより、供給管と第1のマンホールとの隙間からタンクコンテナ内の空気及び浮遊した粉粒体が漏れ出すことを抑制し、かつ、タンクコンテナ内部が加圧されることを防止できる。したがって、収容容器からタンクコンテナに粉粒体を空気輸送によって移送できるようになる。本移送方法では、タンクコンテナ自体の改造は行わないため、現在流通している粉粒体用タンクコンテナに対して改造を加えることなく、適用可能である。また、第1のマンホールが確実に閉塞され、粉粒体を空気輸送しても浮遊した粉粒体が第1のマンホールから漏れ出すことを防止できる。更に、排気された空気中に浮遊する粉粒体を捕集できるので、粉粒体の漏れ出しを防止することができる。さらに、捕集した粉粒体を空気輸送により再供給できるので、移送により損失される粉粒体を減らすことができる。
【0025】
本発明の粉粒体の収容装置は、ノズルが、水平方向を伸長方向として下側に開放して設けられた樋形状であるようにしている。この場合には、ノズルから粉粒体が水平方向に広がって噴き出されるので、タンクコンテナの内部で1か所に集中することなく広い範囲に拡散され、収容された粉粒体の表面を平坦にすることができる。
【0026】
本発明の粉粒体の収容装置は、第1のマンホールが、タンクコンテナの平面視におけるタンクコンテナの収容空間の中央部からずれた位置に配置され、ノズルが、タンクコンテナの平面視における収容空間の中央部側に向けて配置されるようにしている。この場合には、ノズルから噴き出される粉粒体は収容空間の中央部に向けて拡散されるので、収容空間に堆積された粉粒体の表面を、全体に亘って平坦にすることができる。
【0027】
本発明の粉粒体の収容装置は、供給用アダプタが、前記供給用蓋体の外周部に取り付けられた供給用シール材を備え、供給用シール材が、第1のマンホールの縁部に当接して、供給用アダプタと第1のマンホールとの間を気密にするようにしている。この場合には、第1のマンホールの開口部がより確実に閉塞され、粉粒体を空気輸送しても浮遊した粉粒体が第1のマンホールから漏れ出すことを防止できる。
【0028】
本発明の粉粒体の収容装置は、第1のマンホールに装着した状態の供給用アダプタをタンクコンテナに固定する固定具を備えるようにしている。この場合には、例えば、空気輸送によって供給管に脈動(振動)が発生した場合であっても、供給用アダプタが第1のマンホールから外れてしまうことを防止できる。
【0029】
本発明の粉粒体の収容装置は、排気用アダプタが、排気用蓋体の外周部に取り付けられた排気用シール材を備え、排気用シール材が、第2のマンホールの縁部に当接して、排気用アダプタと第2のマンホールとの間を気密にするようにしている。この場合には、第2のマンホールがより確実に閉塞され、粉粒体を空気輸送しても浮遊した粉粒体が第2のマンホールから漏れ出すことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る粉粒体の移送方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。
図2】本発明に係る粉粒体の輸送システムの実施形態の一例を示す機能ブロック図である。
図3】本発明に係る粉粒体の移送方法において利用され得る粉粒体タンクコンテナと粉粒体運搬車と排気処理ユニットの実施形態の一例を示す側面図である。
図4】本発明に係る粉粒体の移送方法において利用され得る供給用アダプタの実施形態の一例を示す正面図である。
図5】本発明に係る粉粒体の移送方法において利用され得る供給用アダプタの実施形態の一例であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図6】本発明に係る粉粒体の移送方法において利用され得る排気用アダプタの実施形態の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1乃至図6に、本発明に係る粉粒体の移送方法及び石炭灰の輸送システムの実施形態の一例を示す。本実施形態では、粉粒体が石炭灰である場合について説明している。
【0034】
本実施形態の石炭灰の輸送システムは、第1の石炭灰保管サイト1と、第2の石炭灰保管サイト2と、第1の石炭灰保管サイト1から第2の石炭灰保管サイト2に石炭灰を輸送する途中で石炭灰を移し替える中継サイト3と、を備えている。第1の石炭灰保管サイト1から中継サイト3までは石炭灰を収容容器の一例である例えば粉粒体運搬車4に収容して輸送し、中継サイト3から第2の石炭灰保管サイト2までは石炭灰を石炭灰タンクコンテナ5に収容して輸送する。そして、中継サイト3において、粉粒体運搬車4から石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を移し替える方法は、以下の石炭灰の移送方法としている。
【0035】
本実施形態の石炭灰の移送方法は、石炭灰タンクコンテナ5に外部から石炭灰を供給する可能な第1のマンホールの一例である供給側マンホール50aに、石炭灰タンクコンテナ5の内外を連通する供給用アダプタ51を装着する供給用装着工程(S1)と、粉粒体運搬車4に収容された石炭灰を粉粒体運搬車4から外部に排出可能な排出口40と供給用アダプタ51とを供給管41により連結する供給用連結工程(S3)と、粉粒体運搬車4に収容された石炭灰が排出口40から排出されて供給管41を介して供給側マンホール50aから石炭灰タンクコンテナ5に供給されるように石炭灰を空気輸送装置42により空気輸送する供給工程(S7)と、粉粒体運搬車4から石炭灰タンクコンテナ5への石炭灰の供給に伴って、石炭灰タンクコンテナ5の第2のマンホールの一例である排気側マンホール50bから石炭灰タンクコンテナ5の内部の空気を排気する排気工程(S8)と、を備えるようにしている。
【0036】
本実施形態の石炭灰の移送方法は、供給側マンホール50aに装着した状態の供給用アダプタ51を固定具80により石炭灰タンクコンテナ5に固定する固定工程(S2)を備えるようにしている。
【0037】
本実施形態の石炭灰の移送方法は、石炭灰タンクコンテナ5の排気側マンホール50bに排気用アダプタ52を装着する排気用装着工程(S4)と、石炭灰タンクコンテナ5から排気された空気中を浮遊する石炭灰を捕集する捕集装置6と排気用アダプタ52とを排気管60により連結する排気用連結工程(S5)と、を備えるようにしている。
【0038】
本実施形態の石炭灰の移送方法は、捕集装置6により捕集された石炭灰を加圧して再空気輸送装置7により空気輸送して排出可能な再供給用排出口61と供給用アダプタ51及び排気用アダプタ52の少なくとも一方とを再供給管62により連結する再供給用連結工程(S6)と、捕集装置6により捕集された石炭灰を再供給用排出口61から再空気輸送装置7の空気輸送により排出して再供給管62を介して石炭灰タンクコンテナ5に供給する再供給工程(S9)と、を備えるようにしている。尚、捕集装置6と再空気輸送装置7とは、排気処理ユニット8としてユニット化されている。
【0039】
本実施形態の石炭灰の移送方法で用いられる石炭灰の収容装置は、供給側マンホール50aと排気側マンホール50bとを有し、石炭灰を収容可能な石炭灰タンクコンテナ5と、供給側マンホール50aに装着され、供給側マンホール50aを閉塞する供給用蓋体70と、供給用蓋体70を貫通して石炭灰タンクコンテナ5の内外を連通し、外部から石炭灰が供給される供給用連通管54と、供給用連通管54の石炭灰タンクコンテナ5の内部側に設けられたノズル55とを有する供給用アダプタ51と、排気側マンホール50bに装着され、排気側マンホール50bを閉塞する排気用蓋体75と、排気用蓋体75を貫通して石炭灰タンクコンテナ5の内外を連通し、石炭灰タンクコンテナ5の内部の空気を外部に排気する排気用連通管58とを有する排気用アダプタ52と、を備えるようにしている。
【0040】
また、本実施形態の石炭灰の収容装置は、ノズル55が、水平方向を伸長方向として下側に開放して設けられた樋形状であるようにしている。また、本実施形態の石炭灰の収容装置は、供給側マンホール50aが、石炭灰タンクコンテナ5の平面視における石炭灰タンクコンテナ5の収容空間50cの中央部からずれた位置に配置され、ノズル55が、石炭灰タンクコンテナ5の平面視における収容空間50cの中央部側に向けて配置されるようにしている。
【0041】
また、本実施形態の石炭灰の収容装置は、供給用アダプタ51が、供給用蓋体70の外周部に取り付けられた供給用シール材73を備え、供給用シール材73が、供給側マンホール50aの縁部に当接して、供給用アダプタ51と供給側マンホール50aとの間を気密にするようにしている。また、本実施形態の石炭灰の収容装置は、供給側マンホール50aに装着した状態の供給用アダプタ51を石炭灰タンクコンテナ5に固定する固定具80を備えるようにしている。
【0042】
また、本実施形態の石炭灰の収容装置は、排気用アダプタ52が、排気用蓋体75の外周部に取り付けられた排気用シール材78を備え、排気用シール材78が、排気側マンホール50bの縁部に当接して、排気用アダプタ52と排気側マンホール50bとの間を気密にするようにしている。また、本実施形態の石炭灰の収容装置は、供給用アダプタ51及び排気用アダプタ52の少なくとも一方は、石炭灰タンクコンテナ5の内外を連通し、排気後に捕集された石炭灰が外部から再供給される再供給用連通管63を有するようにしている。
【0043】
(1)石炭灰の輸送システムの全体構成
本実施形態では、石炭灰の輸送システムは、図2に示すように、第1の粉粒体保管サイトの一例である第1の石炭灰保管サイト1と、第2の粉粒体保管サイトの一例である第2の石炭灰保管サイト2と、中継サイト3と、を備えている。
【0044】
第1の石炭灰保管サイト1は、石炭灰発生サイト10で発生した石炭灰を保管するサイトである。本発明に係る石炭灰の輸送システムにおいて取扱いの対象になり得る石炭灰が発生する場所のことを「石炭灰発生サイト10」と呼ぶ。石炭灰発生サイト10は、例えば、火力発電所である。第1の石炭灰保管サイト1は、例えば、石炭灰を収容するサイロであり、例えば火力発電所のような石炭灰が発生する場所と同じ(別言すると、隣接する場所)でも良く、或いは、石炭灰が発生する場所とは離れた場所に設けられていても良い。
【0045】
第2の石炭灰保管サイト2は、石炭灰使用サイト20で使用する石炭灰を保管するサイトである。本発明に係る石炭灰の輸送システムにおいて取扱いの対象になり得る石炭灰が使用(または消費)される場所のことを「石炭灰使用サイト20」と呼ぶ。石炭灰使用サイト20としては、例えば、生コンクリート工場,セメント製造工場,工事現場,或いはコンクリート製品製造工場などが挙げられる。第2の石炭灰保管サイト2は、例えば、石炭灰を収容するサイロであり、石炭灰が使用される場所と同じ(別言すると、隣接する場所)でも良く、或いは、石炭灰が使用される場所とは離れた場所に設けられていても良い。
【0046】
中継サイト3は、石炭灰発生サイト10と石炭灰使用サイト20との中継地点に設置されている。中継サイト3には、例えば粉粒体運搬車4や石炭灰タンクコンテナ5を載置して作業するだけの空間は必要であるが、固定式のサイロを設ける必要はない。また、中継サイト3は、石炭灰発生サイト10と石炭灰使用サイト20との中継地点ではあるが、石炭灰発生サイト10又は石炭灰使用サイト20に近接した位置であってもよい。
【0047】
(2)粉粒体運搬車
収容容器の一例である粉粒体運搬車4は、石炭灰を第1の石炭灰保管サイト1から中継サイト3まで輸送するために用いられる。図3に示すように、粉粒体運搬車4は、石炭灰を収容可能なタンク43と、タンク43に収容された石炭灰を吐出するための排出口40と、タンク43の内部を加圧して排出口40から石炭灰を吐出させるコンプレッサなどの空気輸送装置42と、を備えている。排出口40には供給管41が連結され、空気輸送装置42が駆動することにより、粉粒体運搬車4に収容された石炭灰が排出口40から排出されて供給管41を介して石炭灰タンクコンテナ5に空気輸送される。
【0048】
(3)石炭灰タンクコンテナ
粉粒体用のタンクコンテナの一例である石炭灰タンクコンテナ5は、中継サイト3において、粉粒体運搬車4や他の石炭灰タンクコンテナから石炭灰を移し替えられる、即ち移送される容器である。石炭灰タンクコンテナ5は、略円筒形状で端部が閉塞された本体部50と、本体部50の上面に形成された供給側マンホール50a及び排気側マンホール50bとを備えている。また、タンクコンテナによっては、マンホールが3個ある場合があり、この場合は中央部のマンホール以外を使用するのが好適であるが、中央部のマンホールを使用するようにしても良い。マンホールには既設の蓋があるが、53a、53bはこれを開放した後の筒部を示している。尚、供給側マンホール50aと排気側マンホール50bとは、形状や機能において実質的に違いはなく、通常はいずれも石炭灰を供給するために使用されるマンホールである。供給側マンホール50a及び排気側マンホール50bは、前後方向に距離を開けて隣り合って配置されており、いずれも本体部50の前後方向の中心部からずれて配置されている。即ち、供給側マンホール50a及び排気側マンホール50bは、石炭灰タンクコンテナ5の平面視における石炭灰タンクコンテナ5の収容空間50cの中央部から前後方向にずれた位置に配置されている。尚、供給側マンホール50a及び排気側マンホール50bは、石炭灰タンクコンテナ5の収容空間50cの中央部からずれた位置に配置されることには限られず、供給側マンホール50a及び排気側マンホール50bのいずれか一方は収容空間50cの中央部に形成されていても良い。
【0049】
図4に示すように、本体部50の上部では、上下方向を中心線とする円筒形状の筒部53aが本体部50を貫通して固定されている。供給側マンホール50aは、筒部53aの内周部により構成されている。タンクコンテナのマンホールには付属の蓋がとりつけられているが、53a、53bはこれを開放した際の筒部について示したものである。尚、本来、コンテナ既設のマンホールの蓋は、開放状態で、マンホールに蝶番でつながった状態でマンホール近くに備えられているが、図ではこれを省略している。また、図6に示すように、本体部50の上部では、上下方向を中心線とする円筒形状の筒部53bが本体部50を貫通して固定されている。排気側マンホール50bは、筒部53bの内周部により構成されている。
【0050】
(4)供給用アダプタ
供給用アダプタ51は、図4図5(b)に示すように、供給側マンホール50aを閉塞する供給用蓋体70と、供給用蓋体70を貫通して石炭灰タンクコンテナ5の内外を連通して設けられた供給用連通管54と、供給用連通管54の石炭灰タンクコンテナ5の内部側に設けられたノズル55と、を備えている。本実施形態では、供給用連通管54及びノズル55は金属製で一体形成されている。図4に示すように、供給用連通管54は、固定部材56によって供給用蓋体70の上板71に固定されている。
【0051】
図5(b)に示すように、ノズル55は、水平方向を伸長方向として下側に開放した開口55aを有して設けられた樋形状である。また、図3に示すように、供給側マンホール50aが石炭灰タンクコンテナ5の収容空間50cの中央部からずれた位置に配置されており、ノズル55は、石炭灰タンクコンテナ5の平面視における収容空間50cの中央部側に向けて配置されている。このため、ノズル55から噴き出される石炭灰(図3中、噴き出し範囲Arを想像線で示す)は収容空間50cの中央部に向けて拡散されるので、収容空間50cに堆積された石炭灰の表面を、全体に亘って平坦にすることができる。
【0052】
供給側マンホール50aや排気側マンホール50bのマンホールとしての仕様に関しては、通常は直径約500mm前後であるが、メーカーにより蓋の留め具の位置やデザインが異なるためマンホール既設の留め具をそのまま利用してアダプタを固定することは難しい。このため、本実施形態では、メーカーの異なるタンクコンテナのマンホールを密封及び固定できるようにする必要から、ヘキサプラグゴム(六菱ゴム(株)製)を使用することとした。ヘキサプラグゴムとは、上下水道管路の開口部閉塞用止水栓に用いるゴムで、C字型断面を有するゴム製のリングであり、2枚の平板で挟み込み、上下に締め付けることにより、リングを外側に拡張させ、管の内壁に密着させる機能を有する。
【0053】
そこで、本実施形態の供給用蓋体70は、図4に示すように、円板形状の上板71及び下板72と、供給用蓋体70の外周部に取り付けられた供給用シール材73とを備えている。上板71と下板72とは、例えばアルミ製であり、互いに軸方向に並んで略平行に配置され、ボルト74により互いに距離を変更可能になっている。供給用シール材73は、内周側が開放された断面C字形状のゴム製の円環からなる。供給用シール材73は、上板71及び下板72の外周部において軸方向に挟持されており、上板71及び下板72で挟み込んで軸方向に締め付けることにより、外周側に拡張し、筒部53aの内壁に密着するようになっている。これにより、供給用シール材73が筒部53aの内壁、即ち供給側マンホール50aの縁部に当接して、供給用アダプタ51と供給側マンホール50aとの間を気密にすることができる。また、上板71及び下板72の締め付けにより供給用シール材73の外径を拡張する過程において、タンクコンテナのメーカーごとの僅かなマンホール内径の違いがあっても供給用シール材73を密着させることができる。これにより、供給用アダプタ51の汎用性を高めることができる。
【0054】
本実施形態では、図5(a)に示すように、供給用アダプタ51は、固定具80により石炭灰タンクコンテナ5に固定されている。固定具80は、架台81と、脚部82と、支持金具83と、を備えている。架台81は、石炭灰タンクコンテナ5の左右のフレーム57に亘って設けられ、ボルトにより締結されている。脚部82は、架台81に設けられ、石炭灰タンクコンテナ5の本体部50の上面に当接することで、突っ張り棒の機能を果たす。即ち、架台81は、フレーム57と脚部82とにより石炭灰タンクコンテナ5に固定される。支持金具83は、架台81に設けられ、供給用連通管54に締結されている。これにより、供給用連通管54は、支持金具83と架台81及び脚部82を介して、石炭灰タンクコンテナ5に固定される。これにより、供給用連通管54に連結された供給管41が空気輸送時に脈動を発生しても、供給用アダプタ51が供給側マンホール50aから外れてしまうことを抑止できる。
【0055】
なお、図4図6は、本発明で用いられ得る供給用アダプタ51及び排気用アダプタ52の構成の概要を説明するためのあくまでも概念図・模式図であり、具体詳細な形態・構造や各部相互・部材相互の寸法関係などを厳密に表したり規定したりするものではない。
【0056】
(5)排気用アダプタ
排気用アダプタ52は、図6に示すように、排気側マンホール50bを閉塞する供給用蓋体75と、供給用蓋体75を貫通して石炭灰タンクコンテナ5の内外を連通して設けられた例えば塩化ビニル製の排気用連通管58と、を備えている。排気用連通管58は、固定部材59によって供給用蓋体75の上板76に固定されている。排気用連通管58は、石炭灰タンクコンテナ5の内側に開口58aを有している。開口58aは、水平方向において、供給用アダプタ51の反対側を向いて開口している。これにより、供給用アダプタ51の近傍でノズル55から噴き出された石炭灰をそのまま排気してしまう可能性を低くしている。58の最下部に凸部があるが、ここに浮遊灰の一部を落下、堆積させることで、排気処理ユニットへの灰の流入量を低減する効果を有する。
【0057】
排気用蓋体75は、供給用蓋体70と同様に、円板形状の上板76及び下板77と、排気用蓋体75の外周部に取り付けられた排気用シール材78とを備えている。上板76と下板77とは、例えばアルミ製であり、互いに軸方向に並んで略平行に配置され、ボルト79により互いに距離を変更可能になっている。供給用シール材78は、内周側が開放された断面C字形状のゴム製の円環からなる。供給用シール材78は、上板76及び下板77の外周部において軸方向に挟持されており、上板76及び下板77で挟み込んで軸方向に締め付けることにより、外周側に拡張し、筒部53bの内壁に密着するようになっている。これにより、供給用シール材78が筒部53bの内壁、即ち排気側マンホール50bの縁部に当接して、排気用アダプタ52と排気側マンホール50bとの間を気密にすることができる。また、上板76及び下板77の締め付けにより排気用シール材78の外径を拡張する過程において、タンクコンテナのメーカーごとの僅かなマンホール内径の違いがあっても排気用シール材78を密着させることができる。これにより、排気用アダプタ52の汎用性を高めることができる。
【0058】
本実施形態では、排気用蓋体75は、石炭灰タンクコンテナ5の内外を連通する再供給用連通管63を備えている。再供給用連通管63は、水平方向において、開口58aの開口方向とは反対側、即ち供給用アダプタ51側に設けられている。これにより、再供給用連通管63から再供給された石炭灰をそのまま排気してしまう可能性を低くしている。尚、本実施形態では、再供給用連通管63が排気用蓋体75に設けられているものとしたが、これには限られず、供給用蓋体70に設けられていても良い。即ち、再供給用連通管63は、排気用蓋体75及び供給用蓋体70の少なくとも一方に設けられていれば良い。
【0059】
尚、排気用連通管58に連結される排気管60と、再供給用連通管63に連結される再供給管62とは、いずれも脈動を殆ど発生しないので、排気用蓋体75を外す方向には力が作用しない。このため、供給用アダプタ51に設けたような固定具80を設ける必要はない。
【0060】
(6)排気処理ユニット
図3に示すように、排気処理ユニット8は、捕集装置6と再空気輸送装置7とを備えている。捕集装置6は、石炭灰タンクコンテナ5から排気された空気中を浮遊する石炭灰を捕集する捕集フィルタを備えている。捕集フィルタは、例えばバグフィルタからなり、フィルタ面積25m以上で、ダスト払い落としパルスジェット噴射機能を有するものとしている。より具体的には、富士工機(株)製FYV-5KH型バグフィルタユニットあるいはその同等品が好適である。捕集装置6は、排気管60に連結されて排気管60からの排気が送り込まれる通気口64が設けられている。即ち、排気管60は、捕集装置6の通気口64と排気用アダプタ52とを連結している。
【0061】
再空気輸送装置7は、捕集装置6で捕集された石炭灰を空気輸送可能であり、石炭灰を空気輸送により排出可能な再供給用排出口61を有している。再空気輸送装置7とは、例えば粉体空気輸送用エゼクタであり、噴出量2Nm/min程度のものが好ましい。より具体的には、株式会社ブレス製K-10型エゼクタあるいはその同等品が好適である。再供給用排出口61と再供給用連通管63(図6参照)とは、再供給管62により連結されている。再空気輸送装置7の空気源は、排気処理ユニット8内に設置された空気タンクから供給される。空気タンクとしては、例えば容量120L、最高圧力1.4MPaのものを用いることができる。空気タンクの圧力が低下した際にはコンプレッサ(0.75~3.7kw程度)を用いて空気タンクに空気を補充する。
【0062】
(7)移送手順の流れ
次に、本発明の石炭灰の移送方法を利用して、粉粒体運搬車4から石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を移送する手順について、図1に示すフローチャートに沿って説明する。ここでは、第1の石炭灰保管サイト1から石炭灰を移送された粉粒体運搬車4は、中継サイト3に移動し、中継サイト3では、空の石炭灰タンクコンテナ5が用意されているものとする。
【0063】
まず、石炭灰タンクコンテナ5の供給側マンホール50aに供給用アダプタ51を装着する(S1、供給用装着工程)。供給側マンホール50aに装着した状態の供給用アダプタ51を固定具80により石炭灰タンクコンテナ5に固定する(S2、固定工程)。更に、粉粒体運搬車4の排出口40と供給用アダプタ51の供給用連通管54とを、供給管41により連結する(S3、供給用連結工程)。尚、S2とS3とは、順序が逆でも良い。
【0064】
次に、石炭灰タンクコンテナ5の排気側マンホール50bに、排気用アダプタ52を装着する(S4、排気用装着工程)。捕集装置6の通気口64と排気用連通管58とを排気管60により連結する(S5、排気用連結工程)。また、再空気輸送装置7の再供給用排出口61と再供給用連通管63とを再供給管62により連結する(S6、再供給用連結工程)。
【0065】
尚、石炭灰タンクコンテナ5と粉粒体運搬車4とを供給管41により連結する手順(S1~S3)と、石炭灰タンクコンテナ5と捕集装置6とを排気管60により連結する手順(S4、S5)と、石炭灰タンクコンテナ5と再空気輸送装置7とを再供給管62により連結する手順(S6)とは、順番が入れ替わっても良い。
【0066】
粉粒体運搬車4の空気輸送装置42を駆動し、粉粒体運搬車4のタンク43に収容された石炭灰を排出口40から空気輸送により排出して、供給管41を介して供給側マンホール50aから石炭灰タンクコンテナ5に空気輸送により供給する(S7、供給工程)。石炭灰の供給の開始により、粉粒体運搬車4から石炭灰タンクコンテナ5への石炭灰の供給に伴って石炭灰タンクコンテナ5の内部の気圧が上昇し、石炭灰タンクコンテナ5の排気側マンホール50bから石炭灰コンテナ5の内部の空気が排気される(S8、排気工程)。更に、排気されて捕集装置6により捕集された石炭灰を再供給用排出口61から再空気輸送装置7の空気輸送により排出して再供給管62を介して石炭灰タンクコンテナ5に供給する(S9、再供給工程)。
【0067】
(8)輸送システムの流れ
次に、本発明の石炭灰の輸送システムを利用して、石炭灰発生サイト10から石炭灰使用サイト20に石炭灰を輸送する手順について、図2に示すブロック図を用いて説明する。
【0068】
まず、粉粒体運搬車4から空の石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を移送する場合について説明する。石炭灰発生サイト10で発生した石炭灰を貯蔵する第1の石炭灰保管サイト1から、粉粒体運搬車4に石炭灰を移送し、粉粒体運搬車4が中継サイト3に移動する(a1)。一方、石炭灰使用サイト20の第2の石炭灰保管サイト2から空の石炭灰タンクコンテナ5がトレーラーなどに積載されて中継サイト3に移動する(b1)。中継サイト3では、粉粒体運搬車4から石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰が移送される。その際、排気処理ユニット8の捕集装置6と再空気輸送装置7も適宜利用する。移送後は、空になった粉粒体運搬車4は第1の石炭灰保管サイト1に戻り(a2)、石炭灰が収容された石炭灰タンクコンテナ5は、第2の石炭灰保管サイト2に戻る(b2)。
【0069】
次に、石炭灰タンクコンテナ5から他の石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を移送する場合について説明する。第1の石炭灰保管サイト1から、石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を移送し、トレーラーなどに積載されて中継サイト3に移動する(c1)。一方、第2の石炭灰保管サイト2から空の石炭灰タンクコンテナ5がトレーラーなどに積載されて中継サイト3に移動する(b1)。中継サイト3では、第1の石炭灰保管サイト1の石炭灰タンクコンテナ5から第2の石炭灰保管サイト2の石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰が移送される。その際、例えば、石炭灰タンクコンテナ5を搭載するトレーラーのトラクタに車載されているコンプレッサを空気源として利用することができ、また排気処理ユニット8の捕集装置6と再空気輸送装置7も適宜利用する。移送後は、空になった石炭灰タンクコンテナ5は第1の石炭灰保管サイト1に戻り(c2)、石炭灰が収容された石炭灰タンクコンテナ5は、第2の石炭灰保管サイト2に戻る(b2)。
【0070】
また、中継サイト3では、石炭灰タンクコンテナ5の一時保管も可能である。例えば、石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を移送した後、その石炭灰タンクコンテナ5を昇降機9の利用によってトレーラーから降ろして(f1)、一時保管しておいても良い。これにより、時間の調整が可能になり、また、石炭灰を1つの石炭灰タンクコンテナ5にまとめることができるようになる。あるいは、空になった石炭灰タンクコンテナ5を昇降機9の利用によってトレーラーから降ろして(f2)、一時保管しておいても良い。昇降機としては、例えば、リーチスタッカー、トップリフター、その他コンテナ昇降用機器(例えばBISON-JACKS社C-liftシリーズ)を用いる。
【0071】
あるいは、例えば、第1の石炭灰保管サイト1から、石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を移送し、トレーラーなどに積載されて中継サイト3に移動する(d1)。中継サイト3では、石炭灰タンクコンテナ5が昇降機9によってトレーラーから降ろされて保管される。一時保管の後、昇降機9によってトレーラーに積載されて、第2の石炭灰保管サイト2に輸送される(e2)。あるいは、第2の石炭灰保管サイト2から空の石炭灰タンクコンテナ5がトレーラーなどに積載されて中継サイト3に移動する(e1)。中継サイト3では、石炭灰タンクコンテナ5が昇降機9によってトレーラーから降ろされて保管される。一時保管の後、昇降機9によってトレーラーに積載されて、第1の石炭灰保管サイト1に輸送される(d2)。
【0072】
以上のように構成された石炭灰の移送方法及び石炭灰の収容装置によれば、供給用装着工程において石炭灰タンクコンテナ5の供給側マンホール50aに供給用アダプタ51を装着し、また、排気工程において石炭灰タンクコンテナ5の排気側マンホール50bから石炭灰タンクコンテナ5内部の空気を排気するようにしている。これにより、供給管41と供給側マンホール50aとの隙間から石炭灰タンクコンテナ5内の空気及び浮遊した石炭灰が漏れ出すことを抑制し、かつ、石炭灰タンクコンテナ5内部が加圧されることを防止できる。したがって、粉粒体運搬車4や石炭灰タンクコンテナ5から他の石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を空気輸送によって移送できるようになる。
【0073】
以上のように構成された石炭灰の移送方法及び石炭灰の収容装置によれば、供給用アダプタ51及び排気用アダプタ52により、どのメーカーのタンクコンテナのマンホールにも適合する汎用性、空気輸送時のホースの振動にも耐える堅牢性、十分な排気中の浮遊石炭灰の処理機能を有するようにできる。
【0074】
以上のように構成された石炭灰の輸送システムによれば、石炭灰を収容した粉粒体運搬車4や石炭灰タンクコンテナ5を第1の石炭灰保管サイト1から中継サイト3まで輸送し、中継サイト3において石炭灰を粉粒体運搬車4や石炭灰タンクコンテナ5から他の石炭灰タンクコンテナに空気輸送により移送し、石炭灰を収容した石炭灰タンクコンテナ5を中継サイト3から第2の石炭灰保管サイト2に輸送できるようになる。また、中継サイト3において、石炭灰を収容した石炭灰タンクコンテナ5に更に石炭灰を移送することで、石炭灰を1つの石炭灰タンクコンテナ5にまとめることもできる。このように、第1の石炭灰保管サイト1から第2の石炭灰保管サイト2まで石炭灰を輸送する際に、中継サイト3に石炭灰タンクコンテナ5を一時的に載置することで中継サイロとして機能させることができるので、中継サイト3に中継サイロを設置することなく石炭灰を中継することができるようになる。
【0075】
以上のように構成された石炭灰の輸送システムによれば、中継サイト3において、排気処理ユニット8による石炭灰タンクコンテナ5の充填作業を行うことが可能となったことにより、タンクコンテナ運用の自由度が格段に大きくなる。粉粒体運搬車4から直接充填することができることから、石炭灰サイロ下の高さ制限により石炭灰タンクコンテナ5による荷受けが困難な発電所においても、発電所から中継地点までは粉粒体運搬車4による輸送を行い、その後はタンクコンテナ輸送に荷姿を切り替えて輸送することが可能となる。このようなケースでは、石炭灰タンクコンテナ5の使用は専ら中継サイト3から石炭灰使用サイト20の利用となるため、より輸送単価が安価な大型の石炭灰タンクコンテナ(例えば、高さ2896mmの20ft背高タンクコンテナ)で運用できるようになる。背高タンクコンテナでは例えば最大22t程度を充填できることから、小型の粉粒体運搬車4の2台分の石炭灰を1つの石炭灰タンクコンテナに集約し、その後は1便で納品することにより、便数とそれに伴う輸送コストの削減が可能となる。もちろん、石炭灰タンクコンテナ間の移送も可能であることから、複数のタンクコンテナの少量の在庫があれば、それを1つのタンクコンテナに集約することも可能となる。
【0076】
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
【0077】
例えば、上述の実施形態では、石炭灰の移送方法を第1の石炭灰保管サイト1から第2の石炭灰保管サイト2に石炭灰を輸送する途中で石炭灰を移し替える中継サイト3で適用した場合について説明したが、これには限られない。本発明の石炭灰の移送方法は、粉粒体運搬車4や石炭灰タンクコンテナ5を含む収容容器から石炭灰タンクコンテナ5に石炭灰を移し替える場合に広く適用することができる。
【実施例
【0078】
本発明の実用性能を確認するため、粉粒体用タンクコンテナ5を2台接続し、相互に石炭灰を移送する試験を行った。
【0079】
[使用機器]
図3の本発明機器の配置において粉粒体運搬車(4)の代わりにもう一つタンクコンテナを設置した。タンクコンテナは、2台ともシャシから簡易昇降機(BISON-JACKS社C-liftP32を使用)を用いて地表面に下ろして設置し、供給管(41)でコンテナ同士を接続した。第1のタンクコンテナ(CIMC社製、エアレーションブロー式のタンク内蔵、排出バルブ数3個と、第2のタンクコンテナ(CXIC社製、CX09-20SNX1型、エアスライド式のタンク内蔵、排出バルブ数1個)を用い、フライアッシュを供給する側のコンテナと、供給を受ける側のコンテナを試験毎に入れ替えて試験を行った。供給管の圧送用ホースは、100A粉体圧送用ホース(カクイチ製インダスCX、長さ13.9m)を用いた。排気処理は、25mバグフィルタユニットを用いた。フライアッシュII種を排出するタンクコンテナに接続するコンプレッサは、北越工業製PDS390S(ドライエア仕様、空気量11m/min、最大吐出圧力0.69MPa)を用いた。重量計測は、第1のタンクコンテナのコーナーブロック下部にロードセルを4個設置して、第1のタンクコンテナの重量を計測した。ロードセルは、いずれもユニパルス製UNBF-50KN(定格重量50KN、定格出力4000μ)を用いた。圧力計測は、第1のタンクコンテナと第2のタンクコンテナ内の圧力値モニタについて、各1点で計測した。圧力センサは、共和電業製PGMC-A-500KP(定格容量500kPa、定格出力 2000μ)を1個ずつ用いた。圧力センサのデータ記録は、共和電業製センサインターフェースPCD-400Aを2個使用し、パソコンに記録した。
【0080】
[試験条件]
以下のように、実験1~実験4において、それぞれ4.2tの石炭灰(フライアッシュII種灰)を移送した。まず、低圧移送条件(初期設定圧力0.075MPa)として、第1のタンクコンテナから第2のタンクコンテナコンテナへ移送した(実験1)。また、第2のタンクコンテナから第1のタンクコンテナへ移送した(実験3)。更に、通常圧移送条件(初期設定圧力0.11MPa)として、第1のタンクコンテナから第2のタンクコンテナへ移送した(実験2)。また、第2のコンテナから第1のコンテナへ移送した(実験4)。尚、圧送後残留分吹き払いは0.075 MPaで実施した。
【0081】
[試験結果]
試験結果を表1に示す。
【表1】
【0082】
表1に示すように、第1のタンクコンテナは、低圧移送条件において圧送速度7.2~8.3kg/s、通常圧移送条件において10.2~11.0 kg/sを示した。また、第2のタンクコンテナの圧送速度は、低圧移送条件で8.7 kg/s、通常圧移送条件で13.5 kg/sであった。従って、圧送速度7~13.5 kg/sの圧送速度が得られ、短時間で石炭灰の移送が完了することを確認できた。
【0083】
尚、2つのタンクコンテナにおいて、同一圧力下で圧送速度に差が出た原因として、排出口から圧送先のマンホール高さまでの高低差が、実験3,4の方が小さい(約310mmの差)ことが一因となっていると考えられる。いずれの試験も7kg/s以上の圧送速度が確保されているため、計算上はフライアッシュII種灰10tを30分以内で移送することが可能であることが示された。また、空気輸送時における受け側タンクコンテナ内圧力の最大値については、実験1が2~3kPa、実験2が4~6kPa、実験3が2kPa、実験4が7kPaであり、いずれも捕集装置のバグフィルタを用いた排気処理において問題ない範囲にあった。バグフィルタにより排気から捕集されたフライアッシュII種灰は、捕集装置のバグフィルタユニット下部のブレスライダ(再空気輸送装置)によりタンクコンテナ内に返送された(所要時間は約10分)。
【符号の説明】
【0084】
1 第1の石炭灰保管サイト(第1の粉粒体保管サイト)
2 第2の石炭灰保管サイト(第2の粉粒体保管サイト)
3 中継サイト
4 粉粒体運搬車(収容容器)
5 石炭灰タンクコンテナ(タンクコンテナ)
6 捕集装置
7 再空気輸送装置
10 石炭灰発生サイト
20 石炭灰使用サイト
40 排出口
41 供給管
42 空気輸送装置
50a 供給側マンホール(第1のマンホール)
50b 排気側マンホール(第2のマンホール)
50c 収容空間
51 供給用アダプタ
52 排気用アダプタ
54 供給用連通管
55 ノズル
58 排気用連通管
60 排気管
61 再供給用排出口
62 再供給管
63 再供給用連通管
70 供給用蓋体
73 供給用シール材
75 排気用蓋体
78 排気用シール材
80 固定具
図1
図2
図3
図4
図5
図6