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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】保護部材剥離装置及びテープ貼着装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240719BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240719BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/78 P
H01L21/304 631
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020096310
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021190626
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 公
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-224671(JP,A)
【文献】特開2002-316087(JP,A)
【文献】特開2012-248683(JP,A)
【文献】特開2000-321367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/301
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に保護部材が貼着した被加工物から該保護部材を剥離する保護部材剥離装置であって、
被加工物を他方の面側から保持するチャックテーブルと、
該チャックテーブルに保持された被加工物の一方の面に貼着している該保護部材を被加工物から剥離する剥離ユニットと、
該剥離ユニットによる該保護部材の剥離後に、被加工物の該一方の面に該保護部材が有るか否を検出する保護部材検出ユニットと、
該保護部材検出ユニットが該保護部材を検出したことを報知する報知ユニットと、を備え
該保護部材は、2層以上の樹脂で形成され、
該保護部材検出ユニットは、該チャックテーブルに保持された該被加工物までの距離を測定する光学式センサ、又は超音波センサである保護部材剥離装置。
【請求項2】
該剥離ユニットは、該チャックテーブルに保持された該被加工物の一方の面に貼着している該保護部材にヒートシールを貼着するテープ貼着ユニットを備え、
該保護部材に貼着された該ヒートシールと該チャックテーブルとを相対的に移動させる移動機構を備える請求項1に記載の保護部材剥離装置。
【請求項3】
該被加工物は、該一方の面より突出したバンプを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保護部材剥離装置。
【請求項4】
保護部材検出ユニットは、多層の樹脂全てが残留しているか、該多層の該樹脂の露出面側の樹脂だけが剥離したかを識別し、識別結果に基づいて、再度剥離ユニットで残留した保護部材を剥離する請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の保護部材剥離装置。
【請求項5】
被加工物の他方の面にテープを貼着した後、一方の面に貼着していた保護部材を被加工物から剥離するテープ貼着装置であって、
被加工物の該他方の面に該テープを貼着するテープ貼着ユニットと、
請求項1から請求項のうちいずれか一項に記載の保護部材剥離装置と、を備えるテープ貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護部材剥離装置及びテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスウェーハや樹脂パッケージ基板、各種デバイスが形成された板状の被加工物は、薄く研削され、分割予定ラインに沿って分割され、個々のデバイスチップに製造される。研削や分割の際、被加工物は、一方の面側をチャックテーブルで保持され、他方の面側から加工される事が通常である。その際、チャックテーブルで保持される面は、粘着テープや樹脂シート、外的刺激で硬化する液状樹脂などによって覆われて保護される。
【0003】
被加工物は、研削される際には、所謂裏面側が研削され、分割される際には、表面側から分割されるため、保護部材が貼り替えられる。そのため、貼り替え機能を備えるテープマウンターが利用されている。
【0004】
テープマウンターは、表面側に保護部材が付いた被加工物の裏面側に例えばダイシングテープを貼着する貼着ユニットと、貼着ユニットによりダイシングテープが貼着した後に、表面側の保護部材を剥離する剥離装置(例えば、特許文献1参照)とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-028478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に示された剥離装置は、保護部材の多様化や、表面側のデザインの変化(例えば、100μmを超えるような高さの電極バンプを有する)などにより、保護部材の剥離が困難な場合がある。
【0007】
また、前述した特許文献1に示された剥離装置は、多層の保護部材の場合、表層だけを剥離し、下層を残留させる場合も有る。保護部材の下層が被加工物の残留したまま、分割工程に搬送されると、ダイシングの場合には、アライメントをできなかったり、保護部材の切削により切削ブレードが破損するなどの問題を発生させてしまう。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、保護部材の残留の有無を検出することができる保護部材剥離装置及びテープ貼着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の保護部材剥離装置は、一方の面に保護部材が貼着した被加工物から該保護部材を剥離する保護部材剥離装置であって、被加工物を他方の面側から保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物の一方の面に貼着している該保護部材を被加工物から剥離する剥離ユニットと、該剥離ユニットによる該保護部材の剥離後に、被加工物の該一方の面に該保護部材が有るか否を検出する保護部材検出ユニットと、該保護部材検出ユニットが該保護部材を検出したことを報知する報知ユニットと、を備え、該保護部材は、2層以上の樹脂で形成され、該保護部材検出ユニットは、該チャックテーブルに保持された該被加工物までの距離を測定する光学式センサ、又は超音波センサであることを特徴とする。
【0010】
前記保護部材剥離装置において、該剥離ユニットは、該チャックテーブルに保持された該被加工物の一方の面に貼着している該保護部材にヒートシールを貼着するテープ貼着ユニットを備え、該保護部材に貼着された該ヒートシールと該チャックテーブルとを相対的に移動させる移動機構を備えても良い。
前記保護部材剥離装置において、該被加工物は、該一方の面より突出したバンプを有しても良い。
【0011】
前記保護部材剥離装置において、該保護部材検出ユニットは、多層の樹脂全てが残留しているか、該多層の該樹脂の露出面側の樹脂だけが剥離したかを識別し、識別結果に基づいて、再度剥離ユニットで残留した保護部材を剥離しても良い。
【0012】
本発明のテープ貼着装置は、被加工物の他方の面にテープを貼着した後、一方の面に貼着していた保護部材を被加工物から剥離するテープ貼着装置であって、被加工物の該他方の面に該テープを貼着するテープ貼着ユニットと、前記保護部材剥離装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、保護部材の残留の有無を検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1に係る保護部材剥離装置により保護部材が剥離される被加工物を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された被加工物の要部の断面図である。
図3図3は、実施形態1に係るテープ貼着装置のテープ貼着ユニットの概略構成を模式的に一部断面で示す側面図である。
図4図4は、実施形態1に係る保護部材剥離装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に保護部材が有るか否かを検出する状態を示す断面図である。
図6図6は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着している保護部材にヒートシールを貼着する状態を示す断面図である。
図7図7は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着している保護部材を剥離する状態の一例を示す断面図である。
図8図8は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着していた保護部材の剥離後に、保護部材が有るか否かを検出する状態の一例を示す断面図である。
図9図9は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着している保護部材を剥離する状態の他の例を示す断面図である。
図10図10は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着していた保護部材の剥離後に、保護部材が有るか否かを検出する状態の他の例を示す断面図である。
図11図11は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に一部が残留した保護部材を再度剥離する状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る保護部材剥離装置及びテープ貼着装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る保護部材剥離装置により保護部材が剥離される被加工物を示す斜視図である。図2は、図1に示された被加工物の要部の断面図である。図3は、実施形態1に係るテープ貼着装置のテープ貼着ユニットの概略構成を模式的に一部断面で示す側面図である。図4は、実施形態1に係る保護部材剥離装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
【0017】
実施形態1に係る図3及び図4に一部を示すテープ貼着装置100及び図4に示す保護部材剥離装置1は、図1に示された被加工物200から図2に一部を示す保護部材210を剥離する装置である。実施形態1に係る保護部材剥離装置1により保護部材210が剥離される被加工物200は、シリコン(Si)、サファイア(Al)、ガリウムヒ素(GaAs)または炭化ケイ素(SiC)等を基板201とする円板状の半導体ウェーハ、光デバイスウェーハ等のウェーハである。
【0018】
被加工物200は、交差する複数の分割予定ライン202で区画された一方の面である表面203の各領域それぞれにデバイス204が形成されている。各デバイス204は、図2に示すように、各デバイス204の電極に接続して、表面203よりも突出したバンプ205を有している。デバイス204は、例えば、IC(Integrated Circuit)、あるいやLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等である。バンプ205は、導電性の金属により構成され、実施形態1では、球状に形成されている。バンプ205は、デバイス204とこのデバイス204が実装される基板等の電極とを電気的に接続するものである。実施形態1において、被加工物200は、表面203よりも突出したバンプ205を有することで、表面203に凹凸が形成されている。また、実施形態1では、被加工物200は、バンプ205を有して表面203に凹凸が形成されているが、本発明では、バンプ205を備えていなくても良い。また、本発明では、被加工物200は、ウェーハに限らず、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状の樹脂パッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0019】
また、被加工物200は、基板201の表面に機能層206が積層されていても良い。機能層206は、SiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(以下、Low-k膜と呼ぶ)と、導電性の金属により構成された導電体膜とを備えている。Low-k膜は、導電体膜と積層されて、デバイス204を形成する。導電体膜は、デバイス204の回路を構成する。このために、デバイス204は、互いに積層されたLow-k膜と、Low-k膜間に積層された導電体膜とにより構成される。なお、分割予定ライン202の機能層206は、Low-k膜により構成され、TEG(Test Element Group)を除いて導電体膜を備えていない。TEGは、デバイス204に発生する設計上や製造上の問題を見つけ出すための評価用の素子である。
【0020】
実施形態1において、被加工物200は、表面側に保護部材210が貼着されて、保護部材210を介して表面203側が研削装置のチャックテーブルに保持された状態で裏面207側が研削されて、所定の仕上げ厚さまで薄化された後、分割予定ライン202に沿って個々のデバイス204に分割される。
【0021】
実施形態1において、保護部材210は、図2に示すように、樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213とを備えて、2層以上の樹脂で形成されている、樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213は、保護部材210の各層の樹脂である。実施形態1では、樹脂シート211は、薄手の可撓性を有する合成樹脂(実施形態1では、PO(Polyolefin))により構成され、シート状に形成されている。樹脂シート211は、被加工物200の表面203及びバンプ205の表面に密着して、これらに貼着されている。
【0022】
実施形態1では、樹脂層212は、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型の液状樹脂により構成され、樹脂シート211上に積層されている。樹脂フィルム213は、薄手の可撓性を有する合成樹脂(実施形態1では、PO(Polyolefin))により構成され、フィルム状に形成されている。樹脂フィルム213は、樹脂層212上に積層されている。
【0023】
保護部材210は、樹脂シート211が被加工物200の表面203及びバンプの表面に密着された後、樹脂層212を構成する液状樹脂が樹脂シート211上に塗布され、液状樹脂の表面が基板201の表面に沿って平坦に形成されて紫外線が照射されて液状樹脂が硬化するとともに樹脂層212上に樹脂フィルム213が積層されて、構成される。
【0024】
実施形態1に係るテープ貼着装置100は、研削後の被加工物200の他方の面である裏面207に図3に示すテープ220を貼着した後、表面203に貼着していた保護部材210を被加工物200の表面203から剥離する装置である。なお、裏面207は、被加工物200の表面203の裏側の面である。テープ貼着装置100は、図3に示すテープ貼着ユニット101と、図4に示す保護部材剥離装置1と、図3及び図4に示す制御ユニット180とを備える。
【0025】
実施形態1において、テープ貼着ユニット101は、被加工物200の裏面207にテープ220を貼着するとともに、テープ220の外縁部に被加工物200の外径よりも内径が大きな円環状の環状フレーム221を貼着する装置である。なお、テープ220は、被加工物200の裏面207に貼着する粘着性を有する合成樹脂から構成された糊層と、非粘着性を有する合成樹脂から構成された基材層とが積層されている。実施形態2において、テープ220は、長尺なシート状の部材として成形され、糊層に剥離紙222が貼着された状態で、ロール状に巻回されている。実施形態1では、テープ220は、剥離紙222が内周側に位置するように、ロール状に巻回されている。なお、剥離紙222は、テープ220の糊層を保護するものである。実施形態1において、テープ220は、テープ貼着ユニット101により端部から順に剥離紙222が剥がされて、被加工物200の裏面207及び環状フレーム221に貼着される。
【0026】
テープ貼着ユニット101は、図3に示すように、装置基台102と、保持部110と、送り出しユニット120と、剥離紙巻き取りユニット130と、貼着ユニット140と、テープカット部150と、テープ巻き取りユニット160と、複数の搬送ローラ170とを備える。
【0027】
装置基台102は、テープ貼着ユニット101の各部を支持する。実施形態1において、装置基台102の上面は、水平方向と平行なX軸方向と、水平方向と平行でかつX軸方向と直交するY軸方向との双方と平行である。
【0028】
保持部110は、装置基台102の上面のX軸方向の中央に設置されかつ被加工物200が載置される保持面111と、保持面111の外周に設置されかつ環状フレーム221が載置されるフレーム保持面112とを有している。保持面111及びフレーム保持面112は、X軸方向とY軸方向との双方と平行であり互いに同軸となる位置に配置されている。保持部110は、保持面111に保護部材210を介して被加工物200の表面203側が載置される。保持部110は、保持面111に載置された被加工物200を図示しない吸引源により吸引保持する。また、保持部110は、図示しないZ軸移動機構によりX軸方向とY軸方向との双方に直交するZ軸方向に沿って昇降自在に設けられている。
【0029】
送り出しユニット120は、ロール状に巻回されたテープ220を端部から順に装置基台102に設置された保持部110の保持面111,112上に送り出すものである。送り出しユニット120は、実施形態1では、装置基台102のX軸方向の一端部上に配置されている。送り出しユニット120は、軸心がY軸方向と平行な円柱状に形成され、軸心回りに回転自在に設けられている。送り出しユニット120は、外側に基材層が位置し内側に糊層が位置してロール状に巻回されたテープ220が外周面上に巻き付けられて、テープ220がセットされる。
【0030】
剥離紙巻き取りユニット130は、送り出しユニット120から送り出されたテープ220から剥がされた剥離紙222を巻き取るものである。剥離紙巻き取りユニット130は、実施形態1では、送り出しユニット120の下方に配置されている。剥離紙巻き取りユニット130は、軸心がY軸方向と平行な円柱状に形成され、図示しないモータなどの駆動装置により軸心回りに回転されることで、外周面上にテープ220から剥がされた剥離紙222を巻き取る。
【0031】
貼着ユニット140は、送り出しユニット120から保持部110の保持面111上に供給されたテープ220を、保持部110の保持面111に吸引保持された被加工物200とフレーム保持面112に載置された環状フレーム221とに貼着するものである。貼着ユニット140は、保持部110の保持面111,112の上方に配置されている。貼着ユニット140は、軸心がY軸方向と平行な円柱状に形成された貼着ローラ141と、貼着ローラ141を軸心回りに回転自在に支持すると共に図示しない移動機構によりX軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたローラ支持部材142とを備える。貼着ユニット140は、移動機構により下降した状態でX軸方向に移動することで、Z軸移動機構により上昇された保持面111,112に保持された被加工物200及び環状フレーム221にテープ220を貼着する。
【0032】
テープカット部150は、テープ220を被加工物200及び環状フレーム221に貼着した後に、テープ220の環状フレーム221の内縁と外縁との間を切断するものである。テープカット部150は、保持部110の保持面111の上方に配置されている。
【0033】
実施形態1において、テープカット部150は、カッター刃152と、移動機構153とを備える。カッター刃152は、刃先でテープ220を切断する。
【0034】
移動機構153は、テープ220の基材層の表面に沿ってカッター刃152を移動させるものである。移動機構153は、カッター刃152をZ軸方向に移動させることが可能であるとともに、Z軸方向と平行な軸心を中心とした周方向に沿ってカッター刃152を移動させることが可能である。移動機構153は、保持部110の保持面111の中心上に配置されかつ図示しないモータ等の駆動装置により軸心回りに回転される回転軸151と、回転軸151から保持部110の保持面111と平行に外縁に向かって延びかつ先端にカッター刃152を支持したアーム154と、アーム154を回転軸151とともに昇降させるエアシリンダ155と、を備える。
【0035】
テープ巻き取りユニット160は、テープカット部150によって環状フレーム221の内縁と外縁との間が切断された後のテープ220の不要部分を巻き取るものである。テープ巻き取りユニット160は、実施形態2では、装置基台102のX軸方向の他端部上に配置されている。テープ巻き取りユニット160は、軸心がY軸方向と平行な円柱状に形成され、図示しないモータなどの駆動装置により軸心回りに回転されることで、外周面上にテープ220を巻き取る。
【0036】
複数の搬送ローラ170は、送り出しユニット120からテープ巻き取りユニット160の間に配置され、テープ220を送り出しユニット120からテープ巻き取りユニット160に搬送するとともに、テープ220に弛みが生じることを抑制するためにテープ220にテンションを付与するものである。複数の搬送ローラ170は、軸心がY軸方向と平行な円柱状に形成され、かつ軸心回りに回転自在に設けられている。
【0037】
搬送ローラ170は、送り出しユニット120と保持部110との間でかつ送り出しユニット120よりも下方に一対配置されている。これら一対の搬送ローラ170は、互いに外周面の間に送り出しユニット120から送り出された剥離紙222が貼着された状態のテープ220が通されて、テープ220から剥離紙222を剥がすとともに、テープ220から剥がした剥離紙222を剥離紙巻き取りユニット130に送り出し、剥離紙222が剥がされたテープ220を糊層を下方に向けた状態で送り出す。
【0038】
また、搬送ローラ170は、送り出しユニット120からテープ巻き取りユニット160の間に配置された一対の搬送ローラ170と保持部110との間に一対配置されている。これら一対の搬送ローラ170は、互いに外周面の間にテープ220が通されて、テープ220を保持部110の保持面111と平行にX軸方向に沿って保持面111上に送り出す。
【0039】
また、搬送ローラ170は、保持部110とテープ巻き取りユニット160との間でかつテープ巻き取りユニット160よりも下方に一対配置されている。これら一対の搬送ローラ170は、互いに外周面の間にテープ220が通されて、テープ220をテープ巻き取りユニット160に向けて送り出す。
【0040】
前述したテープ貼着ユニット101は、保持面111に被加工物200の表面側が載置され、フレーム保持面112に環状フレーム221が載置された後、保持面111に被加工物200を吸引保持する。テープ貼着ユニット101は、保持部110を搬送ローラ170に対し相対的に上昇させ、かつ貼着ユニット140を下降させるとともにX軸方向に移動させて、テープ220を被加工物200と環状フレーム221とに貼着する。テープ貼着ユニット101は、保持部110を上昇させた状態で、貼着ユニット140を上昇させ、移動機構153にカッター刃152を回転軸151の軸心回りに回転移動させつつカッター刃152を下降させる。テープ貼着ユニット101は、カッター刃152の刃先をテープ220の環状フレーム221の内縁と外縁との間に切り込ませながら回転軸151の軸心回りに回転移動させてテープ220を切断する。
【0041】
テープ貼着ユニット101は、テープカット部150の回転軸151を軸心回りに少なくとも1回転させて、回転軸151の全周に亘ってテープ220を切断する。テープ貼着ユニット101は、テープ220を切断した後、テープカット部150を上昇させてから保持部110を搬送ローラ170に対し相対的に下降させ、テープ巻き取りユニット160で1枚の被加工物200に貼着する分のテープを巻き取って、テープ220を被加工物200の1枚分移動させた後、保持面111の吸引保持を解除して、テープ220の貼着動作を終了する。
【0042】
実施形態1に係る保護部材剥離装置1は、表面203に保護部材210が貼着した被加工物200から保護部材210を剥離する装置である。実施形態1において、保護部材剥離装置1は、ヒートシール230を被加工物200の表面203に貼着した保護部材210に貼着して、保護部材210を被加工物200の表面203から剥離する装置である。
【0043】
なお、実施形態1において、ヒートシール230は、常温では接着力を発揮せずに、加熱されることで接着力を発揮するものであり、長尺なシート状の部材として成形されている。ヒートシール230は、PET(Polyethylene Terephthalate)樹脂等の基材からなる基材層と、基材層に積層されホットメルトと呼ばれる熱で溶ける糊等から構成され加熱されることで粘着力を発現する粘着層とを備える。
【0044】
保護部材剥離装置1は、図4に示すように、水平方向と平行なX軸方向に延在する基台2と、基台2上に設置されたチャックテーブル10と、テーブル移動機構20と、ヒートシール供給機構30と、剥離ユニット3と、保護部材検出ユニット70とを備える。
【0045】
基台2は、保護部材剥離装置1の各部を支持する。実施形態1において、基台2の上面は、水平方向と平行なX軸方向と、水平方向と平行でかつX軸方向と直交するY軸方向との双方と平行に配置されている。
【0046】
チャックテーブル10は、被加工物200を裏面207側から保持するものである。チャックテーブル10は、テーブル移動機構20を介して基台2の上面に設置され、X軸方向とY軸方向との双方に平行であるとともに被加工物200の裏面207がテープ220を介して載置される保持面11を有している。チャックテーブル10は、保持面11がポーラスセラミック等から構成され、保持面11に載置された被加工物200をテープ220を介して図示しない吸引源により吸引保持する。チャックテーブル10は、基台2の上面に設置されたテーブル移動機構20によりX軸方向に移動される。
【0047】
ヒートシール供給機構30は、円柱状に形成されかつ軸心回りに回転自在に設けられているとともにヒートシール230を外側に基材層に位置付け内側に粘着層を位置付けてロール状に巻き付けたリール31と、一対のガイドローラ32と、一対の送り出しローラ33とを備える。リール31の軸心は、Y軸方向と平行である。リール31は、図示しないテンション付与機構によりヒートシール230を巻き取るバックテンションが付与されており、引き出されたヒートシール230に弛みが生じないように張り具合が調整されている。リール31は、該リール31から送り出されるヒートシール230の粘着層が下方に対向する状態で、ヒートシール230を巻き付けている。
【0048】
ガイドローラ32は、リール31から引き出されたヒートシール230を下方にガイドするものであり、それぞれ、円柱状に形成されて軸心回りに回転自在に設けられている。一対のガイドローラ32は、互いに平行に配置され、かつ互いの間にヒートシール230を通すとともに折り返して、テンションを付与しつつヒートシール230を下方にガイドする。一対のガイドローラ32の軸心は、Y軸方向と平行である。
【0049】
送り出しローラ33は、ガイドローラ32の下方に配置され、ガイドローラ32にガイドされたヒートシール230をテープ貼着機構40に向けて送り出すものであり、それぞれ、円柱状に形成されて軸心回りに回転自在に設けられている。一対の送り出しローラ33は、互いに平行に配置され、かつ互いの間にヒートシール230を通してヒートシール230を剥離ユニット3のテープ貼着機構40に向けて送り出す。一対の送り出しローラ33の軸心は、Y軸方向と平行である。
【0050】
剥離ユニット3は、チャックテーブル10に保持された被加工物200の表面203に貼着している保護部材210を被加工物200から剥離するものである。剥離ユニット3は、テープ貼着機構40と、テープカット部50と、水平移動機構60とを備える。
【0051】
テープ貼着機構40は、チャックテーブル10に保持された被加工物200の表面203に貼着している保護部材210にヒートシール230を貼着するものである。テープ貼着機構40は、テープ挟持ユニット41と、テープ貼着ユニット42とを備える。
【0052】
テープ挟持ユニット41は、ヒートシール供給機構30により供給されたヒートシール230の端部を挟持するものであり、X軸方向とY軸方向と双方に直交するZ軸方向に延在するガイド部材43と、ガイド部材43の上端に固定されたエアシリンダ44と、ガイド部材43の下端が折り曲げ成形された固定爪部45と、固定爪部45と対向して配置され固定爪部45に対して接近及び離間する方向に移動自在にガイド部材43に支持された可動爪部46とを備える。テープ挟持ユニット41は、エアシリンダ44のピストンロッド47を伸張することで固定爪部45に対して可動爪部46を接近させることによりヒートシール230の端部を挟持する。テープ挟持ユニット41は、エアシリンダ44のピストンロッド47を縮小することで固定爪部45に対して可動爪部46を離間させることによりヒートシール230の端部の挟持を解除する。
【0053】
テープ貼着ユニット42は、チャックテーブル10に保持された被加工物200の表面203に貼着している保護部材210に端部がテープ挟持ユニット41により挟持されたヒートシール230を貼着するものである。実施形態1では、ヒートシール230は、粘着層が下方に対向している。
【0054】
テープ貼着ユニット42は、送り出しローラ33とテープ挟持ユニット41との間に配設され、図示しないヒータが取り付けられている。テープ貼着ユニット42は、ヒートシール230の基材層を粘着層が保護部材210の外周部分に密に接触するように押し付けてヒートシール230を保護部材210に貼着する。テープ貼着ユニット42は、ヒートシール230を保護部材210の外周部分に貼着する際には、ヒータにより加熱されて、保護部材210に貼着されたヒートシール230を部分的に加熱し、貼着する。実施形態1では、テープ貼着ユニット101は、ヒートシール230を保護部材210のX軸方向の図4中手前側の一端部に貼着する。また、テープ貼着ユニット42は、図示しない昇降機構によりZ軸方向に沿って昇降される。
【0055】
テープカット部50は、テープ貼着機構40により貼着されたヒートシール230を切断するものであり、実施形態1では、ヒートシール230の保護部材210に貼着された箇所よりもヒートシール供給機構30側の位置でヒートシール230を切断する。テープカット部50は、載置台51と、図示しないカッター刃とを備える。
【0056】
載置台51は、上面が水平方向に沿って平坦に形成され、ヒートシール供給機構30により供給されるヒートシール230が上面上に供給される。また、載置台51は、上面から凹でかつY軸方向に沿って直線状に延びた溝52を備えている。
【0057】
カッター刃は、刃先が載置台51の上面に供給されるヒートシール230に切り込んで溝52内に侵入する。カッター刃は、図示しない移動機構によりY軸方向とZ軸方向に移動される。
【0058】
テーブル移動機構20は、基台2上に配設され、チャックテーブル10をX軸方向に移動させるものである。水平移動機構60は、基台2の上方に配置された支持板4に配設され、テープ貼着ユニット42とテープカット部50をX軸方向に移動させるものである。
【0059】
テーブル移動機構20と、水平移動機構60とは、軸心回りに回転自在に設けられかつX軸方向と平行な周知のボールねじ21,61、ボールねじ21,61を軸心回りに回転させる周知のパルスモータ22,62及びチャックテーブル10又はテープ貼着ユニット42及びテープカット部50をX軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレール23,63を備える。
【0060】
剥離ユニット3は、ヒートシール供給機構30によりテープ貼着機構40のテープ挟持ユニット41に向けて送り出されたヒートシール230の端部をテープ挟持ユニット41で挟持する。剥離ユニット3は、テープ貼着ユニット42でヒートシール230の端部を被加工物200の表面203に貼着している保護部材210のX軸方向の一端部に押し付けるとともに、ヒートシール230を加熱して保護部材210の一端部にヒートシール230を熱溶着する。剥離ユニット3は、移動機構によりテープカット部50のカッター刃を溝52内に向けて下降させてヒートシール230に切り込ませて溝52内に侵入させた後、カッター刃をY軸方向に沿って移動させて、ヒートシール230を切断する。剥離ユニット3は、移動機構20,60によりテープ挟持ユニット41とチャックテーブル10とをX軸方向に互いに逆向きに相対移動させて、保護部材210に貼着したヒートシール230で保護部材210を基板201の表面に沿って引っ張って、被加工物200から保護部材210を剥離する。
【0061】
なお、実施形態1では、保護部材210は、樹脂シート211と、樹脂層212と、樹脂フィルム213とを備えるために、剥離ユニット3により被加工物200から剥離される際に、樹脂フィルム213と樹脂層212とが剥離して、被加工物200の表面203に樹脂シート211と樹脂層212とが残留することがある。この場合、被加工物200の表面203全体に樹脂シート211と樹脂層212とが残留する。
【0062】
保護部材検出ユニット70は、剥離ユニット3による保護部材210の剥離後に、被加工物200の表面203に保護部材210の少なくとも一部が有るか否かを検出するものである。実施形態1では、保護部材検出ユニット70は、チャックテーブル10の保持面11の上方に配置され、チャックテーブル10に吸引保持された被加工物200に対してレーザー光線を照射して被加工物200までの距離を測定する光学センサ、又は被加工物200に対して超音波を照射して被加工物200までの距離を測定する超音波センサである。
【0063】
保護部材検出ユニット70は、テーブル移動機構20によりX軸方向に沿ってチャックテーブル10が移動している状態で、レーザー光線又は超音波を照射して、前述した距離を被加工物200のX軸方向の全長に亘って測定する。保護部材検出ユニット70は、被加工物200のX軸方向の全長に亘って前述した距離を測定し、測定した距離を制御ユニット180に出力する。制御ユニット180は、保護部材検出ユニット70が測定した距離と、予め記憶した保護部材検出ユニットと保護部材210の全てが剥離された被加工物200の表面203との距離とを比較して、被加工物200の表面203に保護部材210が有るか否かを判定する。こうして、実施形態1では、保護部材検出ユニット70は、前述した距離を被加工物200のX軸方向の全長に亘って測定することで、制御ユニット180と協同で、被加工物200の表面203に保護部材210が有るか否かを検出する。また、制御ユニット180は、保護部材検出ユニット70が測定した距離と、予め記憶した保護部材検出ユニットと保護部材210の全てが剥離された被加工物200の表面203との距離とを比較して、保護部材210の多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213の全てが残留しているか、多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213のうち露出面側の樹脂フィルム213だけが剥離したかを識別する。こうして、実施形態1では、保護部材検出ユニット70は、被加工物200のX軸方向の全長に亘って前述した距離を測定することで、制御ユニット180と協同で、被加工物200の表面203に保護部材210の多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213の全てが残留しているか、多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213のうち露出面側の樹脂フィルム213だけが剥離したかを識別する。
【0064】
制御ユニット180は、テープ貼着装置100を構成する上述した各構成要素をそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット180は、被加工物200に対するテープ220の貼着動作、保護部材210の剥離動作をテープ貼着装置100に実行させるものである。制御ユニット180は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
【0065】
制御ユニット180の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、テープ貼着装置100を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット180の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インターフェース装置を介してテープ貼着装置100の各構成要素に出力する。また、制御ユニット180は、貼着動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図4に示す表示ユニット181、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニット、音と光の少なくとも一方を発してオペレータに報知する図3及び図4に示す報知ユニット182と接続されている。入力ユニットは、表示ユニット181に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0066】
次に、保護部材剥離装置1の剥離動作の一例を説明する。図5は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に保護部材が有るか否かを検出する状態を示す断面図である。図6は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着している保護部材にヒートシールを貼着する状態を示す断面図である。図7は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着している保護部材を剥離する状態の一例を示す断面図である。図8は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着していた保護部材の剥離後に、保護部材が有るか否かを検出する状態の一例を示す断面図である。図9は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着している保護部材を剥離する状態の他の例を示す断面図である。図10は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に貼着していた保護部材の剥離後に、保護部材が有るか否かを検出する状態の他の例を示す断面図である。図11は、図4に示された保護部材剥離装置が、チャックテーブルに保持された被加工物の表面に一部が残留した保護部材を再度剥離する状態の一例を示す断面図である。
【0067】
まず、保護部材剥離装置1は、テープ貼着ユニット101により裏面207にテープ220が貼着された被加工物200が搬送されてきて、被加工物200の裏面207側がチャックテーブル10の保持面11に載置される。保護部材剥離装置1は、チャックテーブル10に被加工物200を保持面11に吸引保持するとともに、テーブル移動機構20にチャックテーブル10上の被加工物200のX軸方向の一端部を図5に実線で示すように保護部材検出ユニット70の下方に位置付ける。保護部材剥離装置1は、保護部材検出ユニット70で前述した距離を測定しながら、保護部材検出ユニット70が図5に点線で示すようにチャックテーブル10上の被加工物200のX軸方向の他端部の上方に位置するようにテーブル移動機構20でチャックテーブル10をX軸方向に移動させて、保護部材検出ユニット70で保護部材210が有るか否かを検出する。
【0068】
保護部材剥離装置1は、保護部材検出ユニット70で保護部材210が有り、多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213の全てが残留していることを検出し、ヒートシール供給機構30で剥離ユニット3のテープ挟持ユニット41に向けてヒートシール230を送り出す。保護部材剥離装置1は、テープ挟持ユニット41でヒートシール230の端部を挟持した後、移動機構によりテープカット部50のカッター刃を溝52内に向けて下降させてヒートシール230に切り込ませて溝52内に侵入させる。保護部材剥離装置1は、移動機構によりカッター刃をY軸方向に沿って移動させて、カッター刃でヒートシール230を切断して、カッター刃を上昇させる。
【0069】
保護部材剥離装置1は、テーブル移動機構20にチャックテーブル10上の被加工物200のX軸方向の一端部をテープ貼着ユニット101の下方に位置付けて、図6に示すように、テープ貼着ユニット42を下降させてヒートシール230を被加工物200に押し付けて保護部材210に貼着するとともに、ヒートシール230を加熱して保護部材210にヒートシール230を熱溶着させる。
【0070】
保護部材剥離装置1は、例えば、テーブル移動機構20及び水平移動機構60にテープ挟持ユニット41を図7の矢印で示す方向に移動させて、テープ挟持ユニット41とチャックテーブル10とをX軸方向に互いに逆向きに移動させて、被加工物200の表面203から保護部材210を剥離する。保護部材剥離装置1は、チャックテーブル10上の被加工物200のX軸方向の一端部を図8に実線で示すように保護部材検出ユニット70の下方に位置付け、保護部材検出ユニット70で前述した距離を測定しながら、保護部材検出ユニット70が図8に点線で示すようにチャックテーブル10上の被加工物200のX軸方向の他端部の上方に位置するようにテーブル移動機構20でチャックテーブル10をX軸方向に移動させて、保護部材検出ユニット70で保護部材210が有るか否かを検出する。保護部材剥離装置1は、保護部材検出ユニット70でX軸方向の全長に亘って保護部材210がないことを検出すると、剥離動作を終了する。
【0071】
また、保護部材剥離装置1は、図9に示すように、保護部材210の樹脂フィルム213のみを剥離することがある。この場合、保護部材剥離装置1は、図10に示すように、保護部材検出ユニット70で保護部材210が有るか否かを検出する。実施形態1では、保護部材剥離装置1は、多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213のうち露出面側の樹脂フィルム213だけが剥離したかを識別する。保護部材剥離装置1は、保護部材210の剥離後に、被加工物200の表面203に保護部材210の少なくとも一部がある、即ち、実施形態1では、保護部材検出ユニット70が、多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213のうち露出面側の樹脂フィルム213だけが剥離し、樹脂シート211及び樹脂層212を被加工物200の表面203に残留させたと識別すると、報知ユニット182を動作させてオペレータに報知する。このため、報知ユニット182は、保護部材検出ユニット70が保護部材210を検出したことをオペレータに報知する。実施形態1では、保護部材剥離装置1は、多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213のうち露出面側の樹脂フィルム213だけが剥離し、樹脂シート211及び樹脂層212を被加工物200の表面203に残留させたと識別すると、保護部材検出ユニット70の識別結果に基づいて、保護部材210の樹脂層212にヒートシール230を熱溶着させた後、図11に示すように、テープ挟持ユニット41とチャックテーブル10とをX軸方向に互いに逆向きに移動させて、再度、剥離ユニット3で残留した保護部材210の樹脂シート211及び樹脂層212を被加工物200の表面203から剥離する。保護部材剥離装置1は、保護部材検出ユニット70でX軸方向の全長に亘って保護部材210が有るか否かを検出し、ないことを検出すると、剥離動作を終了する。
【0072】
以上説明した実施形態1に係る保護部材剥離装置1及びテープ貼着装置100は、剥離ユニット3による保護部材210の剥離後に保護部材検出ユニット70で保護部材210が有るか否かを検出するので、保護部材210の残留の有無を検出することができるという効果を奏する。また、保護部材剥離装置1及びテープ貼着装置100は、剥離ユニット3による保護部材210の剥離後に保護部材検出ユニット70で保護部材210が有るか否かを検出するので、保護部材210が残留したまま次の工程に被加工物200が投入されることを確実に防ぐ事が出来る。
【0073】
また、実施形態1に係る保護部材剥離装置1及びテープ貼着装置100は、保護部材210の剥離の前にも保護部材210が有るか否かを検出する事で、保護部材210が貼着されていない誤った被加工物200の投入があったとしても、剥離動作をして問題を発生させることなく保護部材210を検出出来るという効果もある。さらに、実施形態1に係る保護部材剥離装置1及びテープ貼着装置100は、保護部材210が多層の樹脂シート211、樹脂層212及び樹脂フィルム213を有する場合、全部の層または特定の層まで残留している場合に再度剥離を実施するので、効率的な作業の遂行と問題(保護部材210の剥離残し、及び、多層の樹脂シート211、樹脂層212、樹脂フィルム213を貼着した条件の異常)の検出を同時に満足することもできる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明では、保護部材210が、非粘着性の基材層と、基材層に積層され粘着性を有する糊層とで構成されてよく、この場合、保護部材検出ユニット70が、保護部材210の剥離後に、被加工物200の表面203に糊層の残留を検出すると、再度の剥離を行うことなく、報知ユニット182を動作させて剥離動作を停止させるのが望ましい。このように、本発明では、保護部材210の剥離後に、被加工物200の表面203に保護部材210の残留を検出すると、再度の剥離を行うことなく、報知ユニット182を動作させて剥離動作を停止しても良い。また、本発明では、保護部材検出ユニット70は、被加工物200の表面203側を撮像して、R(赤色)の光の強度と、G(緑色)の光の強度と、及びB(青色)の光の強度を含む所謂カラー画像を取得するカメラユニットでも良く、この場合、カメラユニットで取得したがカラー画像と、予め保護部材210を除去した被加工物200の表面203を撮像して得た正規のカラー画像とをパターンマッチングして、保護部材210が有るか否かを検出するのが望ましい。
【符号の説明】
【0075】
1 保護部材剥離装置
3 剥離ユニット
10 チャックテーブル
70 保護部材検出ユニット
100 テープ貼着装置
101 テープ貼着ユニット
182 報知ユニット
200 被加工物
203 表面(一方の面)
207 裏面(他方の面)
210 保護部材
211 樹脂シート(層の樹脂)
212 樹脂層(層の樹脂)
213 樹脂フィルム(層の樹脂、露出面側の樹脂)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11