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特許7523849重合体、これを含むコーティング組成物、およびこれを用いた有機発光素子
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  • 特許-重合体、これを含むコーティング組成物、およびこれを用いた有機発光素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】重合体、これを含むコーティング組成物、およびこれを用いた有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20240722BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240722BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20240722BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20240722BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240722BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20240722BHJP
【FI】
C08G61/12
H10K50/15
H10K50/16
H10K85/10
H10K59/10
H10K71/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022579834
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2021010854
(87)【国際公開番号】W WO2022050595
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0111664
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェスン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】セジン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジ・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドンヨン・キム
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/136425(WO,A1)
【文献】特開2012-126813(JP,A)
【文献】特表2013-531658(JP,A)
【文献】特表2012-510474(JP,A)
【文献】特開2014-131049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 2/00- 2/38
C08G61/00-61/12
H05B33/00-33/28
H05B44/00
H05B45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される単位を含む重合体:
【化1】
前記化学式1中、
およびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Lは、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリーレン基;または、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
aおよびbはそれぞれ1または2であり、aおよびbが2である場合、2個の括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
n1およびn2はそれぞれ0~4の整数であり、n1およびn2が2以上である場合、2以上の括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
m1は、単位の繰り返し数であって、5~5,000の整数である。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式1-1~1-4のいずれか一つで表される、請求項1に記載の重合体:
【化2】
【化3】
前記化学式1-1~1-4中、
、R、L~L、a、b、n1、n2、およびm1の定義は化学式1のものと同様であり、
Xは、O、S、またはNRであり、
R、R~R、Ar、およびArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、重水素、またはC-C30のアルキル基であり、
cは1または2であり、cが2である場合、2個の括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
n3は0~4の整数であり、
n4、n6、およびn7はそれぞれ0~3の整数であり、
n5は0~5の整数であり、
n8は0~6の整数であり、
n3~n8がそれぞれ2以上である場合、2以上の括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【請求項3】
前記L~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のビフェニリレン基;または置換もしくは非置換のテルフェニレン基である、請求項1または2に記載の重合体。
【請求項4】
前記化学式1で表される単位は、下記構造の中から選択されたいずれか一つである、請求項1に記載の重合体:
【化4】
【化5】
前記構造中、
m1は、単位の繰り返し数であって、5~5,000の整数である。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体を含むコーティング組成物。
【請求項6】
第1電極;
第2電極;および
前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた有機物層を含み、
前記有機物層は、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体を含む、有機発光素子。
【請求項7】
前記重合体を含む有機物層は、電子遮断層;正孔輸送層;正孔注入層;または正孔注入および輸送層である、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記重合体を含む有機物層は、正孔遮断層;電子輸送層;電子注入層;または電子注入および輸送層である、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項9】
第1電極を準備するステップ;前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップ;および前記1層以上の有機物層上に第2電極を形成するステップを含み、
前記1層以上の有機物層を形成するステップは、請求項5に記載のコーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップを含む、有機発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップは、前記コーティング組成物をコーティングするステップ;および前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップを含む、請求項9に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月2日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0111664号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は、重合体、これを含むコーティング組成物、およびこれを用いて形成された有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光現象は、特定の有機分子の内部プロセスにより電流が可視光に変換される例の一つである。有機発光現象の原理は次のとおりである。陽極と陰極との間に有機物層を位置させた際に、二つの電極の間に電流を印加すると、陰極と陽極からそれぞれ電子と正孔が有機物層に注入される。有機物層に注入された電子と正孔は再結合してエキシトン(exciton)を形成し、該エキシトンが再び基底状態に落ちて光が出ることになる。このような原理を用いた有機電界発光素子は、一般に、陰極、陽極、およびその間に位置した有機物層、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む有機物層で構成されることができる。
【0004】
有機発光素子で用いられる物質としては、純粋有機物質または有機物質と金属が錯体をなす錯化合物が大半を占めており、用途に応じて、正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質などに区分することができる。ここで、正孔注入物質や正孔輸送物質としては、p-タイプの性質を有する有機物質、すなわち、酸化されやすく、酸化時に電気化学的に安定した状態を有する有機物が主に用いられている。一方、電子注入物質や電子輸送物質としては、n-タイプの性質を有する有機物質、すなわち、還元されやすく、還元時に電気化学的に安定した状態を有する有機物が主に用いられている。発光物質としては、p-タイプの性質とn-タイプの性質を同時に有する物質、すなわち、酸化と還元状態で全て安定した形態を有する物質が好ましく、エキシトンが形成された際にそれを光に変換する発光効率の高い物質が好ましい。
【0005】
従来は、有機発光素子を製造するために蒸着工程を主に用いてきた。しかし、蒸着工程により有機発光素子を製造する際に、材料の損失が多く発生するという問題と、大面積の素子を製造し難いという問題があり、これを解決するために、溶液工程を用いた素子が開発されている。
【0006】
そこで、溶液工程用材料が開発されており、特に、有機溶媒に対する溶解性に優れながらも、溶媒に溶解時に適した粘度を有する材料の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公開公報第10-2008-012337号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、重合体、これを含むコーティング組成物、およびこれを用いて形成された有機発光素子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される単位を含む重合体を提供する。
【0010】
【化1】
前記化学式1中、
およびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Lは、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリーレン基;または、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
aおよびbはそれぞれ1または2であり、aおよびbが2である場合、2個の括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
n1およびn2はそれぞれ0~4の整数であり、n1およびn2が2以上である場合、2以上の括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
m1は、単位の繰り返し数であって、1~10,000の整数である。
【0011】
本発明の他の実施態様は、前述した化学式1で表される単位を含む重合体を含む、コーティング組成物を提供する。
【0012】
本発明の一実施態様は、第1電極;第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた有機物層を含み、前記有機物層は、前述した化学式1で表される単位を含む重合体を含む、有機発光素子を提供する。
【0013】
また、本発明の一実施態様は、第1電極を準備するステップ;前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップ;および前記1層以上の有機物層上に第2電極を形成するステップを含み、前記1層以上の有機物層を形成するステップは、前述したコーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップを含む、有機発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施態様による化学式1で表される単位は、結合点が4個で構成されて分岐状重合体形態が誘導されることができ、結合点が2個である単位を用いて形成された直鎖状重合体よりも溶液工程に適した有機溶媒に対する溶解度および粘度を有する。
【0015】
本発明の一実施態様による重合体を含む有機物層は、正孔伝達特性に優れ、前記重合体を含む有機発光素子は、効率および寿命特性が非常に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施態様による有機発光素子の例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0018】
本発明は、下記化学式1で表される単位を含む重合体を提供する。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、前記化学式1で表される単位を1種以上含んでもよい。
【0020】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、前記化学式1で表される単位を2種以上含んでもよい。この場合、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、ランダム共重合体またはブロック共重合体であってもよい。
【0021】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、ホモポリマー(homopolymer)であってもよい。ここで、ホモポリマーとは、1種類の単量体のみからなる重合体を意味する。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、前記化学式1で表される単位の他に追加の単位を含んでもよい。
【0023】
本明細書において、「単位」とは、単量体が重合体に含まれて繰り返される構造であって、単量体が重合により重合体中に結合された構造を意味する。
【0024】
本明細書において、「単位を含む」とは、当該単位が重合体中の主鎖に含まれるという意味である。
【0025】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位は、2個のアミンが3個以上の連結基により連結された構造を有し、4個の結合点において繰り返される構造を有することで、前記化学式1で表される単位を含む重合体は、有機溶媒に対する溶解度に優れ、溶液工程に適した粘度を有する。
【0026】
したがって、前記化学式1で表される単位を含む重合体を有機発光素子の正孔輸送層、正孔注入層、または正孔注入および輸送層に用いる場合、製造された正孔輸送層、正孔注入層、または正孔注入および輸送層の均一性および表面特性などにも優れるため、素子の性能および寿命特性を向上させることができる。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される単位の繰り返し数(m1)は1~400であってもよいが、これに限定されない。
【0028】
本発明の一実施態様において、有機発光素子の特定の有機物層をなす材料は、当該有機物層を有機発光素子から抜き出してMSおよびNMR分析により分析することができる。
【0029】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする際、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0030】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする際、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0031】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これらに限定されない。
【0032】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に置き換わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0033】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という用語は、重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;シリル基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;アリールオキシ基;-N(Rm)(Rn);アリール基;およびヘテロアリール基からなる群より選択された1以上の置換基で置換されるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、またはいかなる置換基も有しないことを意味し、RmおよびRnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;アルキル基;アリール基;またはヘテロアリール基である。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0034】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられる。
【0035】
本明細書において、シリル基は、アルキルシリル基またはアリールシリル基であってもよく、さらには、トリアルキルシリル基またはトリアリールシリル基であってもよい。前記シリル基の炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましく、アルキルシリル基の炭素数は1~30であり、アリールシリル基の炭素数は6~30であってもよい。具体的に、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書において、アルキル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、具体的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書において、アルケニル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~30であることが好ましい。具体的な例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖もしくは環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~60であってもよく、炭素数6~30であってもよい。
【0041】
本明細書において、アリール基は、2個以上のアリール基が連結された構造を含んでもよい。例えば、アリール基は、2個のフェニル基が連結されたビフェニル基を含んでもよく、3個のフェニル基が連結されたテルフェニル基を含んでもよく、2個のナフチル基が連結されたビナフチル基を含んでもよい。
【0042】
前記アリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。前記アリール基が単環式アリール基である場合、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。前記アリール基が多環式アリール基である場合、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、ピレン基、フェナレン基、ペリレン基、クリセン基、フルオレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書において、前記フルオレニル基は、置換されていてもよく、隣接した基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0044】
前記フルオレニル基が置換される場合、置換されたフルオレニル基は、例えば、下記化合物の中から選択されたいずれか一つであってもよいが、これらに限定されない。
【0045】
【化2】
【0046】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味し得る。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位置に置換された2個の置換基、および脂肪族環において同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈されてもよい。
【0047】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、ヘテロ原子を1以上含むものであり、具体的に、前記ヘテロ原子は、O、N、Se、およびSからなる群より選択される原子を1以上含んでもよい。炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30であることが好ましく、前記ヘテロアリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。ヘテロ環基の例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ビピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、フェナントリジニル基(phenanthridine)、フェナントロリニル基(phenanthroline)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書において、アリールオキシ基中のアリール基は、前述したアリール基の例示のとおりである。具体的に、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチル-フェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、2-アントラセニルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントレニルオキシ基、3-フェナントレニルオキシ基、9-フェナントレニルオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書において、-N(Rm)(Rn)の具体的な例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、N-フェニルビフェニルアミン基、N-フェニルナフチルアミン基、N-ビフェニルナフチルアミン基、N-ナフチルフルオレニルアミン基、N-フェニルフェナントレニルアミン基、N-ビフェニルフェナントレニルアミン基、N-フェニルフルオレニルアミン基、N-フェニルテルフェニルアミン基、N-フェナントレニルフルオレニルアミン基、N-ビフェニルフルオレニルアミン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が二つ存在するもの、すなわち、2価の基を意味する。前記アリーレン基は、2価の基であることを除いては、前述したアリール基の説明が適用されてもよい。
【0051】
本明細書において、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が二つ存在するもの、すなわち、2価の基を意味する。前記ヘテロアリーレン基は、2価の基であることを除いては、前述したヘテロアリール基の説明が適用されてもよい。
【0052】
以下、化学式1の置換基について説明する。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のC-C30のアルキル基;置換もしくは非置換のC-C30のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC-C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC-C60のヘテロアリール基である。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のC-C30のアルキルシリル基;置換もしくは非置換のC-C30のアルキル基;置換もしくは非置換のC-C30のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC-C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC-C60のヘテロアリール基である。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;C-C20のアルキルシリル基;C-C20のアルキル基;置換もしくは非置換のC-C20のアルコキシ基;置換もしくは非置換のC-C30のアリール基;または置換もしくは非置換のC-C30のヘテロアリール基である。
【0056】
本発明の一実施態様において、前記RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素またはC-C20のアルキル基である。
【0057】
また一つの実施態様によれば、前記RおよびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素またはメチル基である。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記Lは、水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリーレン基;または水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基である。前記化学式1中、Lが前記範囲を有することで、化学式1で表される単位を含む重合体を有機発光素子に適用する際に、素子の効率および寿命が向上する効果を得ることができる。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記Lは、水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のC-C60のアリーレン基;または水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のC-C60のヘテロアリーレン基である。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記Lは、水素、重水素、およびC-C20のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のC-C30のアリーレン基;または水素、重水素、およびC-C20のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のC-C30のO、S、またはN含有ヘテロアリーレン基である。
【0061】
本発明の一実施態様において、前記Lは、水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニレン基;水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のベンゾフルオレニレン基;水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換のビナフチレン基;水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換の2価のジベンゾフラン基;水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換の2価のジベンゾチオフェン基;または水素、重水素、およびC-C30のアルキル基からなる群より選択された1以上の置換基で置換もしくは非置換の2価のカルバゾリル基である。
【0062】
本発明の一実施態様において、前記Lは、ヘキシル基で置換もしくは非置換のフェニレン基;ヘキシル基で置換もしくは非置換のベンゾフルオレニレン基;オクチル基で置換もしくは非置換のビ
ナフチレン基;またはトリデカン基(-C1327)で置換もしくは非置換の2価のカルバゾリル基である。
【0063】
本発明の一実施態様において、前記Lは、下記構造式の中から選択されたいずれか一つである。
【0064】
【化3】
前記構造式中、
【化4】
は、連結位置を意味し、
G1~G6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはC-C30のアルキル基であり、
g1は0~4の整数であり、g1が2以上である場合、2以上のG1は互いに同一または異なり、
g5およびg6はそれぞれ0~2の整数であり、g5およびg6がそれぞれ2である場合、2個のG5およびG6は互いに同一または異なる。
【0065】
本発明の一実施態様において、前記G1~G6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはC-C20のアルキル基である。
【0066】
本発明の一実施態様において、前記G1~G6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;またはC-C20のアルキル基である。
【0067】
本発明の一実施態様において、前記G1~G6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヘキシル基;オクチル基;またはトリデカン基である。
【0068】
本発明の一実施態様において、前記G1は水素;またはヘキシル基である。
【0069】
本発明の一実施態様において、前記G2およびG3はヘキシル基である。
【0070】
本発明の一実施態様において、前記G4はトリデカン基である。
【0071】
本発明の一実施態様において、前記G5はオクチル基である。
【0072】
本発明の一実施態様において、前記トリデカン基は分岐鎖であってもよく、具体的には、-C(C13-2構造であってもよい。
【0073】
本発明の一実施態様において、g1は0~2である。
【0074】
本発明の一実施態様において、g1は2である。
【0075】
本発明の一実施態様において、g5およびg6は1である。
【0076】
本発明の一実施態様において、前記Lは、下記構造式の中から選択されたいずれか一つである。
【0077】
【化5】
前記構造式中、
【化6】
は、連結位置を意味する。
【0078】
本発明の一実施態様において、前記化学式1は、下記化学式1-1~1-4のいずれか一つで表される。
【0079】
【化7】
【0080】
【化8】
【0081】
前記化学式1-1~1-4中、
、R、L~L、a、b、n1、n2、およびm1の定義は化学式1のものと同様であり、
Xは、O、S、またはNRであり、
R、R~R、Ar、およびArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、重水素、またはC-C30のアルキル基であり、
cは1または2であり、cが2である場合、2個の括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
n3は0~4の整数であり、
n4、n6、およびn7はそれぞれ0~3の整数であり、
n5は0~5の整数であり、
n8は0~6の整数であり、
n3~n8がそれぞれ2以上である場合、2以上の括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0082】
本発明の一実施態様において、前記XはO、S、またはNRである。
【0083】
本発明の一実施態様において、前記XはNRである。
【0084】
本発明の一実施態様によれば、前記R、R~R、Ar、およびArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、重水素、またはC-C30のアルキル基である。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記R、R~R、Ar、およびArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、重水素、または直鎖もしくは分岐鎖のC-C30のアルキル基である。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、前記Rは、直鎖もしくは分岐鎖のC-C30のアルキル基である。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、前記Rはトリデカン基である。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記Rは分岐鎖のトリデカン基である。
【0089】
本発明の一実施態様において、前記R~R、Ar、およびArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、重水素、またはヘキシル基である。
【0090】
本発明の一実施態様において、前記Rはオクチル基である。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、前記L~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC-C60のアリーレン基;または置換もしくは非置換のC-C60のヘテロアリーレン基である。
【0092】
また一つの実施態様によれば、前記L~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のビフェニリレン基;または置換もしくは非置換のテルフェニレン基である。
【0093】
また一つの実施態様において、前記L~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C-C30のアルキル基で置換もしくは非置換のビフェニリレン基;またはC-C30のアルキル基で置換もしくは非置換のテルフェニレン基である。
【0094】
また一つの実施態様において、前記L~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ビフェニリレン基;またはプロピル基で置換もしくは非置換のテルフェニレン基である。
【0095】
また一つの実施態様において、前記L~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ビフェニリレン基;またはプロピル基で置換もしくは非置換のテルフェニレン基である。
【0096】
また一つの実施態様において、前記L~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記構造式のいずれか一つで表される。
【0097】
【化9】
前記構造式中、
【化10】
は、連結位置を意味し、
11~G13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、重水素、またはC-C30のアルキル基であり、
g11~g13はそれぞれ0~4の整数であり、g11~g13が2以上である場合、括弧内の構造はそれぞれ互いに同一または異なる。
【0098】
本発明の一実施態様において、G11~G13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素またはプロピル基である。
【0099】
本発明の一実施態様において、G11およびG12は水素である。
【0100】
本発明の一実施態様において、G13は水素またはプロピル基である。
【0101】
本発明の一実施態様において、G13はプロピル基である。
【0102】
本発明の一実施態様において、g11およびg12はそれぞれ1~4の整数である。
【0103】
本発明の一実施態様において、g13は2である。
【0104】
本発明の一実施態様において、前記aおよびbは1である。
【0105】
本発明の一実施態様において、n1およびn2はそれぞれ0または1である。
【0106】
また一つの実施態様において、前記L~Lは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記構造式のいずれか一つで表される。
【0107】
【化11】
前記構造式中、
【化12】
は、連結位置を意味する。
【0108】
本発明の一実施態様において、前記m1は、単位の繰り返し数であって、1~10,000の整数である。
【0109】
また一つの実施態様において、前記m1は、単位の繰り返し数であって、5~5,000の整数である。
【0110】
また一つの実施態様において、前記m1は、単位の繰り返し数であって、5~1,000の整数である。
【0111】
また一つの実施態様において、前記m1は、単位の繰り返し数であって、10~300の整数である。
【0112】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される単位は、下記構造の中から選択されたいずれか一つである。
【0113】
【化13】
【0114】
【化14】
【0115】
前記構造中、
m1は、単位の繰り返し数であって、1~10,000の整数である。
【0116】
本発明において、前記重合体の末端基は、水素またはアリール基であってもよい。
【0117】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体の数平均分子量は500g/mol~1,000,000g/molであり、より好ましくは10,000g/mol~300,000g/molである。他の一実施態様において、数平均分子量は10,000g/mol~100,000g/molである。化学式1で表される単位を含む重合体の数平均分子量が前記範囲未満である場合には、本発明が目的とする素子の性能を実現し難く、前記範囲を超過する場合には、前記重合体の溶媒に対する溶解度が低くなる問題があるため、前記範囲の分子量を有することが好ましい。
【0118】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体の重量平均分子量は10,000g/mol~1,000,000g/molであり、より好ましくは10,000g/mol~300,000g/molである。他の一実施態様において、重量平均分子量は20,000g/mol~200,000g/molである。
【0119】
本発明の一実施態様において、前記重合体は1~10の分子量分布を有してもよい。好ましくは、前記重合体は1~4の分子量分布を有する。
【0120】
本明細書において、用語「数平均分子量(Mn)」および「重量平均分子量(Mw)」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を用いて測定した標準ポリスチレンに対する換算分子量を意味する。本明細書において、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値、すなわち、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)を意味する。
【0121】
前記数平均分子量(Mn)および分子量分布(PDI)は、GPC(Gel permeation chromatography)を用いて測定することができる。5mLのバイアル(vial)に分析対象を入れ、約1mg/mL程度の濃度になるようにTHF(tetrahydrofuran)に希釈する。その後、校正用標準試料および分析しようとする試料をシリンジフィルタ(syringe filter;pore size=0.45μm)を通して濾過させた後に測定した。分析プログラムとしては、Agilent technologies社製のChemStationを使用し、試料の溶出時間を校正曲線と比較して重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をそれぞれ求め、その比率(Mw/Mn)で分子量分布(PDI)を計算することができる。GPCの測定条件は下記のとおりである。
【0122】
機器:Agilent technologies社製の1200 series
カラム:Polymer laboratories社製のPLgel mixed Bを2個使用
溶媒:THF
カラム温度:40℃
サンプル濃度:1mg/mL、10μl注入
標準試料:ポリスチレン(Mp:3900000、723000、316500、52200、31400、7200、3940、485)
【0123】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体の粘度は、常温で1cP~60cPであってもよい。他の一実施態様において、1cP~40cPであってもよく、2cP~20cPであってもよく、2cP~12cPであってもよく、3cP~8cPであってもよい。また他の一実施態様において、前記重合体の粘度は、常温で4cP~6.5cPであってもよい。
【0124】
前記粘度は、Brookfield viscometer CV Nest Cone & Plate Rheometerを用いて、25℃を維持しつつ測定することができる。この際、試料2wt%(溶媒:トルエン)が含まれたサンプル1mLを用いることができる。
【0125】
重合体の粘度が前記範囲を満たす場合には、溶液工程に適した粘度を有するため、素子の作製が容易である。これに対し、重合体の粘度が前記範囲未満である場合には、流動性の問題が発生して工程上の使用が難しく、粘度が前記範囲を超過する場合には、高粘度の問題のため、高解像度パネルの作製に使用できないという問題が発生し得る。
【0126】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む、コーティング組成物を提供する。
【0127】
本明細書の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。
【0128】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物は、液状であってもよい。前記「液状」は、常温および常圧において液体状態であることを意味する。
【0129】
本発明の一実施態様において、前記溶媒は、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2-ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;メチルベンゾエート、ブチルベンゾエート、3-フェノキシベンゾエートなどのベンゾエート系溶媒;およびテトラリンなどの溶媒が挙げられるが、本発明の一実施態様による化合物を溶解または分散可能な溶媒であればよく、これらに限定されない。
【0130】
また一つの実施態様において、前記溶媒は、1種単独で用いるか、または2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
【0131】
また一つの実施態様において、前記単独もしくは混合溶媒の粘度は、常温で、好ましくは1cP~10cP、より好ましくは3cP~8cPであるが、これに限定されない。
【0132】
また一つの実施態様において、前記コーティング組成物の濃度は、好ましくは0.1wt/v%~20wt/v%、より好ましくは0.5wt/v%~5wt/v%であるが、これに限定されない。
【0133】
また、本発明は、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子を提供する。
【0134】
本発明の一実施態様は、第1電極;第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた有機物層を含み、前記有機物層は、前述した化学式1で表される単位を含む重合体を含む、有機発光素子を提供する。
【0135】
本発明の一実施態様において、前記第1電極は陰極であり、前記第2電極は陽極である。
【0136】
また一つの実施態様において、前記第1電極は陽極であり、前記第2電極は陰極である。
【0137】
本発明の一実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、電子遮断層;正孔輸送層;正孔注入層;または正孔注入および輸送層である。
【0138】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、正孔輸送層である。
【0139】
本発明の他の実施態様において、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む有機物層は、正孔遮断層;電子輸送層;電子注入層;または電子注入および輸送層である。
【0140】
本発明の一実施態様において、前記有機発光素子は、正孔注入層;正孔輸送層;発光層;電子輸送層;電子注入層;電子遮断層;正孔遮断層;正孔注入および輸送層;および電子注入および輸送層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含んでもよい。
【0141】
また一つの実施態様において、有機発光素子は、基板上に陽極、1層以上の有機物層、および陰極が順次積層された正方向構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。
【0142】
また一つの実施態様において、有機発光素子は、基板上に陰極、1層以上の有機物層、および陽極が順次積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。
【0143】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、電子遮断層、正孔遮断層、正孔注入および輸送層、電子注入および輸送層などを含む構造を有してもよい。しかし、有機発光素子の構造は、これに限定されず、さらに少ない数の有機物層を含んでもよい。
【0144】
例えば、本発明の一実施態様による有機発光素子の構造は図1に例示されている。
【0145】
図1には、基板101上に、第1電極201、正孔注入層301、正孔輸送層401、発光層501、電子注入および輸送層601、および第2電極701が順次積層された有機発光素子の構造が例示されている。ここで、電子注入および輸送層は、電子注入と電子輸送を同時にする層を意味する。
【0146】
本発明の一実施態様において、図1の正孔注入層301または正孔輸送層401は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を用いて形成されてもよい。
【0147】
図1は有機発光素子を例示したものであり、これに限定されない。
【0148】
前記有機発光素子が複数の有機物層を含む場合、前記有機物層は、同一物質または異なる物質からなってもよい。
【0149】
本発明の有機発光素子は、有機物層のうち1層以上が前述したコーティング組成物を用いて形成されることを除いては、当該技術分野で周知の材料および方法により製造されてもよい。
【0150】
例えば、本発明の有機発光素子は、基板上に陽極、有機物層、および陰極を順次積層させて製造することができる。この際、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸着法(e-beam evaporation)のようなPVD(physical Vapor Deposition)方法を用いて、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させて陽極を形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層などを含む有機物層を形成した後、その上に陰極として使用可能な物質を蒸着させて製造することができる。このような方法の他にも、基板上に陰極物質から有機物層および陽極物質を順に蒸着させて有機発光素子を製造することができる。
【0151】
また、本発明は、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子の製造方法を提供する。ここで、コーティング組成物とは、化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を意味する。
【0152】
本発明の一実施態様において、第1電極を準備するステップ;前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップ;および前記1層以上の有機物層上に第2電極を形成するステップを含み、前記1層以上の有機物層を形成するステップは、前述した化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップを含む、有機発光素子の製造方法を提供する。
【0153】
前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップは、前記コーティング組成物をコーティングするステップ;および前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップを含む、有機発光素子の製造方法を提供する。
【0154】
前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップは、前記第1電極上または1層以上の有機物層上に前記コーティング組成物をコーティングするステップ;および前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップを含む、有機発光素子の製造方法を提供する。
【0155】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層は、スピンコーティングまたはインクジェッティングを用いて形成される。
【0156】
他の実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層は、印刷法により形成される。
【0157】
本発明の一実施態様において、前記印刷法は、例えば、インクジェット印刷、ノズル印刷、オフセット印刷、転写印刷、またはスクリーン印刷などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
本発明の一実施態様によるコーティング組成物は、構造的な特性上、溶液工程が適しており、印刷法により形成されることができるため、素子の製造時に時間および費用的に経済的であるという効果がある。
【0159】
本発明の一実施態様において、前記熱処理または光処理するステップにおいて、熱処理時間は、好ましくは1時間以内、より好ましくは30分以内である。
【0160】
本発明の一実施態様において、前記熱処理または光処理するステップにおいて、熱処理雰囲気は、好ましくは、アルゴン、窒素などの不活性気体である。
【0161】
一実施態様において、前記コーティング組成物として前記化学式1で表される単位を含む重合体を含むコーティング組成物を用いる場合には、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップは、コーティングされたコーティング組成物から溶媒を除去するステップであってもよい。
【0162】
前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成するステップにおいて、前記熱処理または光処理ステップを含む場合には、コーティング組成物が薄膜化した構造が含まれた有機物層を提供することができる。この場合、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層の表面上の有機物層の溶媒により溶解されたり、形態学的に影響を受けたり、分解されたりするのを防止することができる。
【0163】
また、本発明の一実施態様による有機物層は、前記化学式1で表される単位を含む重合体を単独で含んでもよいが、他の単量体や他の重合体をさらに含んでもよい。
【0164】
前記陽極(アノード)物質としては、通常、有機物層への正孔注入が円滑になるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明で使用可能な陽極物質の具体的な例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール、およびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
前記陰極(カソード)物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易になるように仕事関数の小さい物質が好ましい。陰極物質の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、および鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造の物質などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
前記正孔注入層は、電極から正孔を注入する層であり、正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力をもって陽極での正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成されたエキシトンの電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、薄膜形成能力に優れた化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)が陽極物質の仕事関数と周辺有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノン、およびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層であり、前記有機発光素子が前記化学式1で表される単位を含む重合体を含む正孔輸送層以外の追加の正孔輸送層を含む場合、正孔輸送物質としては、陽極や正孔注入層から正孔の輸送を受けて発光層に移せる物質であって、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。具体的な例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共に存在するブロック共重合体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
前記電子遮断層は、電子注入層から注入された電子が発光層を経て正孔注入層に進入するのを防止して素子の寿命および効率の向上が可能な層であり、必要な場合、公知の材料を用いて発光層と正孔注入層との間に適切な部分に形成されてもよい。
【0169】
前記発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子の輸送をそれぞれ受けて結合させることで可視光線領域の光を出せる物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体的な例としては、8-ヒドロキシ-キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物;二量化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10-ヒドロキシベンゾキノリン-金属化合物;ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、およびベンゾイミダゾール系の化合物;ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン;またはルブレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含んでもよい。ホスト材料としては、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などが挙げられる。具体的に、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などが挙げられ、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などが挙げられる。具体的に、芳香族アミン誘導体としては、置換もしくは非置換のアリールアミン基を有する縮合芳香族環誘導体であって、アリールアミン基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどが挙げられ、スチリルアミン化合物としては、置換もしくは非置換のアリールアミンに少なくとも1個のアリールビニル基が置換されている化合物であって、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアリールアミン基からなる群より1または2以上選択される置換基が置換もしくは非置換された化合物を用いてもよい。具体的に、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層であり、電子輸送物質としては、陰極から電子の注入を円滑に受けて発光層に移せる物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。具体的な例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;またはヒドロキシフラボン-金属錯体などが挙げられるが、これらに限定されない。電子輸送層は、従来技術により用いられたように、任意の所望のカソード物質とともに用いてもよい。特に、適切な陰極物質の例は、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く通常の物質である。具体的に、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウム、およびサマリウムであり、それぞれの場合、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く。
【0173】
前記電子注入層は、電極から電子を注入する層であり、電子を輸送する能力を有し、陰極からの電子注入効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成されたエキシトンの正孔注入層への移動を防止し、また、薄膜形成能力に優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フルオレニリデンメタン、アントロンなどとその誘導体、金属錯体化合物、および含窒素5員環誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
前記金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(2-ナフトラート)ガリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
前記正孔遮断層は、正孔の陰極到達を阻止する層であり、一般に、正孔注入層と同一の条件で形成されてもよい。具体的に、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体(aluminum complex)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
本発明に係る有機発光素子は、用いられる材料に応じて、トップエミッション型、ボトムエミッション型、または両面発光型であってもよい。
【0177】
本発明に係る有機発光素子は、多様な電子装置に含まれて用いられてもよい。例えば、前記電子装置は、ディスプレイパネル、タッチパネル、太陽光モジュール、照明装置などであってもよく、これらに限定されない。
【実施例
【0178】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。ただし、本発明に係る実施例は種々の他の形態に変形されてもよく、本発明の範囲が以下に記述する実施例に限定されるものと解釈されない。本発明の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0179】
[重合体の製造]
製造例1
【化15】
【0180】
化合物M1(1mmol)をシンチレーションバイアルに添加し、トルエン(11mL)に溶解させ、第1溶液を製造した。
【0181】
50mLのシュレンクチューブ(Schlenk tube)にビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(1.01mmol)を充填した。2,2’-ジピリジル(1.01mmol)および1,5-シクロオクタジエン(1.01mmol)をシンチレーションバイアルに秤量して入れ、N,N’-ジメチルホルムアミド(5.5mL)およびトルエン(11mL)に溶解させ、第2溶液を製造した。
【0182】
前記第2溶液をシュレンクチューブに投入し、50℃で30分間撹拌した。前記第1溶液をシュレンクチューブにさらに添加し、50℃で180分間撹拌した。次いで、シュレンクチューブを常温に冷却した後、HCl/メタノール(5%v/v、濃HCl)に注いだ。45分間撹拌した後、真空濾過により重合体を収集し、高真空下で乾燥した。重合体をトルエンに溶解させ(1%wt/v)、シリカゲル(6g)上に層化された塩基性酸化アルミニウム(6g)を含有するカラムに通過させた。重合体/トルエン濾過液を濃縮し(5%wt/vトルエン)、アセトンでトリチュレート(triturating)した。重合体1を60%の収率で得た。
【0183】
製造例2
【化16】
【0184】
化合物M1の代わりにM2とM3を用いたことを除いては、前記重合体1の製造方法と同様の方法で重合体2を製造した。
【0185】
製造例3
【化17】
【0186】
化合物M1の代わりにM4を用いたことを除いては、前記重合体1の製造方法と同様の方法で重合体3を製造した。
【0187】
製造例4
【化18】
【0188】
化合物M1の代わりにM5を用いたことを除いては、前記重合体1の製造方法と同様の方法で重合体4を製造した。
【0189】
製造例5
【化19】
【0190】
化合物M1の代わりにM6を用いたことを除いては、前記重合体1の製造方法と同様の方法で重合体5を製造した。
【0191】
前記製造例1~4で製造された重合体1~5の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(PDI)値、および粘度値を下記表1に示す。
【0192】
具体的に、前記数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(PDI)は、GPC(Gel permeation chromatography)を用いて測定した。
【0193】
前記粘度は、Brookfield viscometer CV Nest Cone & Plate Rheometerを用いて、25℃を維持しつつ、重合体2wt%(溶媒:トルエン)が含まれたサンプル1mLを用いて測定した。
【0194】
【表1】
【0195】
[実験例]
実施例1
ITOが1500Åの厚さで薄膜蒸着されたガラス基板を、アセトン溶剤を用いて10分間超音波洗浄した。その後、洗剤を溶かした蒸留水に入れ、超音波で10分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返して超音波洗浄を10分間行った。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコールの溶剤で超音波洗浄を10分間行った後に乾燥した。その後、前記基板をグローブボックスに輸送した。
【0196】
上記のようにして準備したITO透明電極上に、化合物A:化学式B(8:2の重量比)の2wt%シクロヘキサノンインクをITO表面上にスピンコーティング(4000rpm)し、230℃で30分間熱処理し、40nmの厚さに正孔注入層を形成した。
【0197】
前記正孔注入層上に、重合体1を0.8wt%含むトルエン溶液を製造した後にスピンコーティングし、厚さ100nmの正孔輸送層を形成した。
【0198】
その後、前記正孔輸送層上に、下記化合物Cと下記化合物Dを9:1の重量比で溶液工程により発光層を形成した。前記発光層上に、下記化合物Eを真空蒸着し、厚さ40nmの電子注入および輸送層を形成した。前記電子注入および輸送層上に、厚さ0.5nmのLiFと厚さ100nmのアルミニウムを順次蒸着し、カソードを形成した。
【0199】
上記の過程において、有機物の蒸着速度は0.4~1.0Å/secを維持し、カソードのLiFは0.3Å/sec、アルミニウムは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時の真空度は2×10-8~5×10-6torrを維持した。
【0200】
【化20】
【0201】
実施例2~5および比較例1~2
前記実施例1において、正孔輸送層の材料として重合体1の代わりに下記表3に記載の重合体を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0202】
【化21】
【0203】
【表2】
【0204】
前記実施例1~5および比較例1~2で製造された有機発光素子を10mA/cmの電流密度で駆動電圧および外部量子効率値を測定し、1000nitにおいて電流密度で初期輝度と対比して95%になる時間(寿命)を測定した。その結果を下記表3に示す。
【0205】
【表3】
【0206】
前記表3から、本願実施例1~5は、正孔輸送層材料として本願重合体とは構造が異なる比較重合体1または比較重合体2を用いた比較例1および2よりも素子の駆動電圧が低く、効率および寿命に優れることを確認することができる。
【0207】
具体的に、比較重合体1の場合、フルオレン基の置換基がOを含んでいる。この場合、重合体に親水性(hydrophilic)特性を与えることになり、溶液工程の溶媒において、極性(polar)溶媒を主に選定しなければならないため、溶媒の多様性の面で本発明の重合体より限界がある。また、比較重合体1の置換基のOは、工程中に水分と結合しやすくする特性があるため、工程効率性が低下する。このことから、比較重合体1を用いた素子は、電圧、効率、および寿命特性が顕著に低下する結果を示した。
【0208】
比較重合体2の場合、本発明の化学式1のL部分が直接結合である構造であるため、これを用いた素子は、電圧、効率、および寿命特性が顕著に低下する結果を示した。
【符号の説明】
【0209】
101 ・・・基板
201 ・・・第1電極
301 ・・・正孔注入層
401 ・・・正孔輸送層
501 ・・・発光層
601 ・・・電子注入および輸送層
701 ・・・第2電極
図1