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特許7524476基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法
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  • 特許-基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240722BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L21/205
C30B29/06 504Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023527281
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2021079756
(87)【国際公開番号】W WO2022096332
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】20206455.6
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテットナー,トーマス
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-524908(JP,A)
【文献】特開2002-43230(JP,A)
【文献】特開2009-267159(JP,A)
【文献】特開2015-201599(JP,A)
【文献】特開2014-127595(JP,A)
【文献】特開2007-294942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/304
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/463
H01L 21/469
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相から基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法であって、
ノッチ位置での特性厚さ値を含む特性厚さ値をエッジ位置の関数として前記基板ウェーハのエッジに割り当てる、前記基板ウェーハのエッジジオメトリを測定するステップと、
前記エピタキシャル層を堆積させるための装置のサセプタのポケットの配置エリア上に前記基板ウェーハを配置するステップとを含み、前記配置エリアは外側境界によって囲まれており、前記方法はさらに、
前記基板ウェーハを加熱するステップと、
前記基板ウェーハにわたってプロセスガスを通すステップとを含み、
前記方法は、
前記ノッチ位置での前記特性厚さ値が、あるパーセンテージ限度を上回る分だけ、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での前記特性厚さ値とは異なるかどうかを検証することと、
差異が前記パーセンテージ限度よりも大きいという条件では、前記配置エリアの前記外側境界からの前記基板ウェーハの距離が、他のエッジ位置でよりも、前記最大特性厚さ値を有する前記エッジ位置でより短くなるように、または、前記差異が前記パーセンテージ限度以下であるという条件では、前記配置エリアの前記外側境界からの前記基板ウェーハの前記距離が、前記他のエッジ位置でよりも、前記ノッチ位置でより短くなるように、前記配置エリア上に前記基板ウェーハを配置することとを特徴とする、方法。
【請求項2】
特性厚さ値としてESFQRまたはZDDを測定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ロボットを介して前記基板ウェーハを配置することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
カメラシステムを介して前記ポケットにおける前記基板ウェーハの位置を監視することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
単結晶シリコンで作られた基板ウェーハ上にシリコンのエピタキシャル層を堆積させることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術/問題
エレクトロニクス産業における要求の厳しい用途は、エピタキシャルにコーティングされた半導体ウェーハ、特に、シリコンの層でエピタキシャルにコーティングされた、単結晶シリコンで作られた基板ウェーハを必要とする。
【0003】
層を堆積させるためにしばしば使用される1つの方法は、気相堆積の方法である。その場合、層の材料はプロセスガスによって提供され、プロセスガスは、材料を含んでプロセスガス内に存在する前駆体化合物が化学分解を受ける温度で、コーティングされるべき基板ウェーハの側にわたって通される。方法は一般に、単一のウェーハリアクタとして実現される装置において行なわれる。1つのそのような単一のウェーハリアクタは、たとえばEP 0 870 852 A1に記載されている。
【0004】
層の堆積中、基板ウェーハは、サセプタのポケットの配置エリア上に位置し、その間、配置エリアの境界によって囲まれている。半導体ウェーハの目立つエッジ位置はノッチ位置であり、そこでは、配向ノッチが結晶格子の配向を標示する。US 2017 0 117 228 A1は、配置エリアか、または、配置エリアと配置エリアの外側境界とが、ノッチ位置で内側へ突出する、サセプタを記載している。
【0005】
エピタキシャル層が基板ウェーハ上でできるだけ均一に成長するように、基板ウェーハを配置エリアにおいて外側境界に対して中央に位置付けることに特に関心がある。
【0006】
US 2010 0 216 261 A1は、カメラシステムを介してサセプタ上の基板ウェーハの正確な位置を監視することを提案している。
【0007】
WO17 135 604 A1は、エピタキシャル層の堆積後にエッジ領域において特性厚さ値を測定し、次の堆積のためのあるプロセスパラメータを測定結果の関数として変更することを記載している。
【0008】
WO 14 103 657 A1、および、JP2015 201 599 Aは、エピタキシャルに堆積された層を有する半導体ウェーハのエッジ領域における特性厚さ値の分布から偏心度を計算し、この偏心度に依存してサセプタ上の次の基板ウェーハの位置を訂正する方法を開示している。
【0009】
US 2009 0 252 942 A1、および、JP2002 043 230 Aは、エピタキシャル層の堆積前に基板ウェーハの平坦度を測定し、堆積中、基板ウェーハのコーティングでエッジ変化がより小さくなるように、あるプロセスパラメータを変更することを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、エピタキシャルにコーティングされた基板ウェーハのエッジ領域における厚さの差異は、この基板ウェーハ自体がエッジ領域において厚さの差異をすでに有する場合には、この手順では回避できない。
【0011】
この発明の目的は、エッジ領域におけるエピタキシャル層の厚さが基板ウェーハの周縁の異なる位置で異なるようになることを可能にする問題への解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の目的は、気相から基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるための方法であって、
ノッチ位置での特性厚さ値を含む特性厚さ値をエッジ位置の関数として基板ウェーハのエッジに割り当てる、基板ウェーハのエッジジオメトリを測定するステップと、
エピタキシャル層を堆積させるための装置のサセプタのポケットの配置エリア上に基板ウェーハを配置するステップとを含み、配置エリアは外側境界によって囲まれており、方法はさらに、
基板ウェーハを加熱するステップと、
基板ウェーハにわたってプロセスガスを通すステップとを含み、
方法は、
ノッチ位置での特性厚さ値が、あるパーセンテージ限度を上回る分だけ、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での特性厚さ値とは異なるかどうかを検証することと、
差異が当該パーセンテージ限度よりも大きいという条件では、配置エリアの外側境界からの基板ウェーハの距離が、他のエッジ位置でよりも、最大特性厚さ値を有するエッジ位置でより短くなるように、または、差異が当該パーセンテージ限度以下であるという条件では、配置エリアの外側境界からの基板ウェーハの距離が、他のエッジ位置でよりも、ノッチ位置でより短くなるように、配置エリア上に基板ウェーハを配置することとを特徴とする、方法によって達成される。
【0013】
この発明は、基板ウェーハをポケットの中央に配置することが、基板ウェーハが一貫したエッジジオメトリを有するという期待を伴うという発見に基づいている。しかしながら、実際には、これはめったにないことである。なぜなら、検索および研磨などの機械加工ステップは、完全に一貫したエッジ厚さを有する基板ウェーハを作成できる立場にないためである。
【0014】
この発明の方法は、特に基板ウェーハが1つのエッジ部分において比較的薄いエッジ厚さを有し、反対側のエッジ部分において比較的厚いエッジ厚さを有する場合に、コーティングされていない基板ウェーハに比べて、エピタキシャルにコーティングされた半導体ウェーハのエッジジオメトリに一貫性をもたらすことができる立場にある。これにもかかわらず、たとえば、比較的薄いエッジ厚さを有するエッジ部分が1つだけある場合、エッジ厚さも均質にされ得る。
【0015】
しかしながら、ノッチ位置は、特別な意義を有する。そこでは、エピタキシャル層の堆積の過程で、基板ウェーハの裏側への材料の追加堆積の結果、許容エッジ厚さをわずかに上回ることがある。
【0016】
まず、基板ウェーハのエッジジオメトリが測定され、そのため、それは、特性厚さ値の形で利用可能である。好ましくは、1mmまたは2mmの径方向長さを有するエッジの最も外側のセクションは、エッジ除外部として測定から除外される。特性厚さ値は適切には、原則として、基板ウェーハのエッジ領域における2つの異なる部分での相対的な厚さに関して記述がなされることを可能にするあらゆる測定値である。好適な特性厚さ値は、たとえば、エッジ変化の曲率を記述し、SEMI規格M68-0720で定義される表側のZDD(Z double derivative:Z二重導関数)、または、エッジ領域におけるセクタ(部位)の平坦度を数量化し、SEMI規格M67-0720で定義されるESFQRである。以下の説明は、代表的な特性厚さ値としてESFQRを使用する。
【0017】
この発明の方法は、エピタキシャル層でコーティングされる前に測定されるべき基板ウェーハのエッジジオメトリを提供する。そのような測定後、たとえば、ESFQR値をすべてのセクタに割り当て、よって、基板ウェーハの厚さプロファイルをその周縁に沿って示すマップがある。くさび状の断面形状を有する基板ウェーハ、または、1つのエッジ部分で他のエッジ部分よりも薄くなっている基板ウェーハが、特に好適である。エッジ部分とは、周方向において、周縁の50%までの距離、好ましくは周縁の7%~42%の距離にわたって延在するエッジ領域である。くさび状の形状を有する基板ウェーハは、互いに向かい合い、このため、互いからの最大可能距離を有する、より厚いエッジ部分とより薄いエッジ部分とを有する。
【0018】
基板ウェーハのコーティングのために使用される堆積チャンバ、単一のウェーハリアクタのために、特性厚さ値の差異を変位ベクトルに割り当てる相関関数が作成される。変位ベクトルは、エピタキシャル層が堆積される際に、変位の結果としてサセプタの配置エリアの外側境界により近くなるエッジ位置で、反対側のエッジ部分でよりも少ない材料が、割り当てられた特性厚さ値の差異に従って堆積されるように、より厚いエッジ部分を有する基板ウェーハが中央位置からずれてサセプタのポケットに配置されなければならない方向および量を示す。したがって、エピタキシャル層の堆積後の特性厚さ値は、エピタキシャル層の堆積の過程で基板ウェーハの位置がサセプタのポケットの中央になっている場合よりも、基板ウェーハのより薄いエッジ部分において、特性厚さ値の差異の分だけより大きく、また、変位の結果としてサセプタの配置エリアの外側境界により近くなるエッジ位置で、特性厚さ値の差異の分だけより小さい。変位ベクトルはしたがって、基板ウェーハの位置がサセプタのポケットの中央になっている場合に中心点が有する位置と比較した、サセプタ上に位置する基板ウェーハの中心点の位置の偏心度を表わす。相関関数は、実験によって、どの偏心度が特性厚さ値のどの変化をもたらすかを確認することにより、基板ウェーハのコーティングの前に決定される。
【0019】
ノッチ位置の特別の状態に起因して、基板ウェーハのノッチ位置での特性厚さ値が、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での特性厚さ値とは、あるパーセンテージ限度を上回る分だけ異なるかどうかを判定するために、検証が行なわれる。このパーセンテージ限度は予め定められており、好ましくは、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での特性厚さ値の10%になる。
【0020】
ノッチ位置自体が、最大特性厚さ値を有するエッジ位置である場合、基板ウェーハは、配置エリアの外側境界からの基板ウェーハの距離が他のエッジ位置でよりもノッチ位置でより短くなるように、配置エリアに配置される。
【0021】
ノッチ位置での特性厚さ値が、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での特性厚さ値とは、当該パーセンテージ限度を上回る分だけ異なる場合、基板ウェーハは、配置エリアの外側境界からの、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での基板ウェーハの距離が、他のエッジ位置での距離よりも短く、かつ、基板ウェーハの位置がポケットの中央になっている場合よりも短くなるように、サセプタのポケットに配置される。距離は、特性厚さ値の差異に関連付けられた変位ベクトルによって短くされ、したがって、エピタキシャル層の堆積中、最大特性厚さ値のエッジ位置では、材料の意図された堆積減少がある。
【0022】
ノッチ位置での特性厚さ値が、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での特性厚さ値とは、当該パーセンテージ限度以下だけ異なる場合、基板ウェーハは、配置エリアの外側境界からの基板ウェーハの距離が、他のエッジ位置でよりも、ノッチ位置で短く、かつ、基板ウェーハの位置がポケットの中央になっている場合よりも短くなるように、サセプタのポケットに配置される。距離は、特性厚さ値の差異に関連付けられた変位ベクトルによって短くされ、したがって、エピタキシャル層の堆積中、ノッチ位置では、材料の意図された堆積減少がある。
【0023】
基板ウェーハは、相関関数に従ってこの動作を行なうロボットによって、サセプタのポケットに都合よく配置される。それに代えて、または、それに加えて、ロボットは、次の基板ウェーハのコーティングのための必要な偏心度を確認し実現するために、基板ウェーハの、および結果として生じるエピタキシャルにコーティングされた半導体ウェーハの測定されたジオメトリデータを使用する、自己学習システムとして構成されてもよい。それはさらに、サセプタ上の基板ウェーハの堆積、および、カメラシステムを介して監視されるべきサセプタのポケットにおけるその位置にとって好ましい。
【0024】
配置エリアの外側境界は、円形またはほぼ円形の周縁を有する。サセプタは好ましくは、ノッチ位置で内側へ突出する配置エリアを有し、それはより好ましくは、たとえばUS 2017 0 117 228 A1に記載される態様で、ノッチ位置で内側へ突出する配置エリアの外側境界と組合される。ノッチ位置での基板ウェーハが、エピタキシャル層の堆積中、堆積エリアの外側境界のエッジにより近い場合、内側へ突出する堆積エリアの存在はさらに、ノッチ位置での裏側のコーティングを妨げる。
【0025】
基板ウェーハ、およびその上に堆積されるエピタキシャル層は好ましくは、実質的に半導体材料で、たとえば単結晶シリコンで構成される。基板ウェーハは、好ましくは少なくとも200mm、より好ましくは少なくとも300mmの直径を有する。エピタキシャル層は好ましくは、1μm~20μmの厚さを有する。
【0026】
この発明を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明が機能するやり方を定性的に示す図である。
図2】この発明の一実施形態における、サセプタのポケットに堆積された基板ウェーハを示す図である。
図3】特性厚さ値の予想される変化を偏心度Eに割り当てる相関関数を示す図である。
図4】この発明の別の実施形態に従った、サセプタのポケットに堆積された基板ウェーハを示す図である。
図5】一例における、図4の実施形態の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の実施例の詳細な説明
図1は、サセプタ3のポケットに堆積された基板ウェーハ1を断面図(縦断面図)で示し、ウェーハ1は、比較的厚いエッジ部分5と、反対側の比較的薄いエッジ部分6とを有する。基板ウェーハ1はその位置がポケットの配置エリア4上の中央に来ておらず、代わりに偏心しており、具体的には、より厚いエッジ部分5が、より薄いエッジ部分6よりも、配置エリア4の外側境界7からの距離がより短くなるようになっている。この構成の結果、エピタキシャル層の堆積中の材料の成長率は、距離がより長いところよりも、距離がより短いところで、より低い。
【0029】
図1の下部は、エピタキシャル層2の堆積後の状況を示す。基板ウェーハ1は、堆積されたエピタキシャル層を有する基板ウェーハになっており、エピタキシャル層2は、外側境界7からの距離がより長いエッジ部分の領域よりも、外側境界7からの距離がより短いエッジ部分の領域において、より薄い。堆積されたエピタキシャル層2を有する基板ウェーハの厚さを見て、それを基板ウェーハ1の厚さと比較すると、基板ウェーハ1の厚さよりも、エピタキシャルにコーティングされた基板ウェーハの厚さが、そのエッジ領域においてより均一であるということが分かる。エッジ領域における厚さの差異は、エピタキシャルにコーティングされた基板ウェーハの場合よりも、基板ウェーハ1の場合に、より顕著である。
【0030】
図2は、この発明に従ってサセプタのポケットに堆積された基板ウェーハを平面図で示す。基板ウェーハ1はその位置がサセプタのポケットの中央に来ていない。基板ウェーハの中心点は、偏心度Eに従ってポケットの中心点から偏移されており、具体的には、最大特性厚さ値を有するエッジ位置が、配置エリア4の外側境界7から最短距離にあるようになっている。偏心度Eの方向および量は、たとえば、5°の幅のエッジセグメントにおいて平坦度をESFQR値の形で測定することによる、基板ウェーハのエッジジオメトリの測定に依存する。測定の結果は描き込まれたマップ8によって定性的に示され、「+」記号によって強調表示されたより厚いエッジ部分5と、「-」記号によって強調表示されたより薄いエッジ部分6とを示す。最大特性厚さ値を有するエッジ位置は、太字で表わされる。偏心度Eの長さは、縮尺通りに示されていない。この発明によれば、ノッチ位置での特性厚さ値が、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での特性厚さ値とは、その差異があるパーセンテージ限度よりも大きくなるように異なっているという条件では、偏心度Eは、最大特性厚さ値を有するエッジ位置を指す。
【0031】
選択された偏心度Eは、採用された堆積装置のための予備テストによって決定される相関関数に基づいている。これらのテストは、基板ウェーハが定義された偏心度Eでサセプタのポケットに堆積された場合に特性厚さ値のどんな変化が起こりそうかを調査する。選択された例では、相関関数は、図3に従って、堆積前の基板ウェーハがサセプタのポケットにおいて中央にではなく代わりに対応する偏心度Eで堆積された場合の、堆積後のより薄いエッジ部分において得られたESFQR値の差異ΔESFQRを示す。図3に従った相関関数はしたがって、堆積前の基板ウェーハがサセプタのポケットにおいて中央にではなく代わりに100μmという偏心度で堆積されたという条件では、エピタキシャル層の堆積後、より薄いエッジ部分のセクタにおけるESFQR値が、約2nmだけ、より大きくなるということを示唆する。より厚いエッジ部分では、それに応じてより小さいESFQR値が予想される。
【0032】
図4は、ノッチ位置での特性厚さ値が、最大特性厚さ値を有するエッジ位置での特性厚さ値とは、その差異が当該パーセンテージ限度以下であるように異なっている場合の状況を示す。この場合、偏心度Eは、最大特性厚さ値を有するエッジ位置を指しておらず、代わりにノッチ位置Nを指す。
【0033】
図5は、一例における、図4に従った実施形態の効果を示す。この図は、単結晶シリコンのエピタキシャル層の堆積前の直径300mmの単結晶シリコンで作られた基板ウェーハ(左側の図)、および、エピタキシャルにコーティングされた基板ウェーハ(右側の図)の特性厚さ値の測定の結果を表わす。エッジジオメトリは、カテゴリーaからカテゴリーfまでのESFQR値のカテゴリーで符号化され、ここで、カテゴリーfを有するエッジ位置は、最大特性厚さ値を有するエッジ位置を表わす。測定結果の検証により、カテゴリーeを有するノッチ位置での特性厚さ値が、最大特性厚さ値を有する、すなわちカテゴリーfのエッジ位置の特性厚さ値とは、比較的わずかに異なるということが明らかになる。差異は規定された限度よりも小さかったため、エピタキシャル層の堆積のための基板ウェーハは、配置エリアの外側境界からの基板ウェーハの距離が他のエッジ位置よりもノッチ位置でより短くなるように、サセプタの配置エリア上に配置された。左側の図によって示されるように、ノッチ位置での特性厚さ値は、他のエッジ位置への損害なく、カテゴリーdへと改良された。
【0034】
実例となる実施形態の上述の説明は、本質的に例示的であるとして理解されるべきである。それを用いてなされた開示は、一方では、当業者が本発明およびその付随する利点を理解することを可能にし、他方では、当業者の理解の範疇で、説明された構造および方法の明らかな修正および変更も包含する。したがって、請求項の保護の範囲は、そのような修正および変更、ならびに均等物もすべて網羅するということが意図される。
【符号の説明】
【0035】
使用される参照符号のリスト
1 基板ウェーハ
2 エピタキシャル層
3 サセプタ
4 配置エリア
5 基板ウェーハの厚いエッジ部分
6 基板ウェーハの薄いエッジ部分
7 配置エリアの外側境界
8 マップ
E 偏心度
ΔESFQR ESFQR値と目標値との差異
N ノッチ位置
図1
図2
図3
図4
図5