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特許7525573高温プロセス用の金属接合されたバッキングプレートを有する静電パックアセンブリ
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  • 特許-高温プロセス用の金属接合されたバッキングプレートを有する静電パックアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】高温プロセス用の金属接合されたバッキングプレートを有する静電パックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240723BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240723BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240723BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20240723BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240723BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C14/50 A
C23C16/458
H02N13/00 D
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022173060
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2021080131の分割
【原出願日】2016-01-15
(65)【公開番号】P2023021986
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】62/163,805
(32)【優先日】2015-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/830,389
(32)【優先日】2015-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】パルキー ビジャイ ディー
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3159306(JP,U)
【文献】特開2005-051201(JP,A)
【文献】特表2011-530833(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156543(WO,A1)
【文献】特開平08-330402(JP,A)
【文献】特開2013-232642(JP,A)
【文献】特開2011-061040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/31
H01L 21/3065
C23C 14/50
C23C 16/458
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電パックアセンブリであって、
AlN又はAlを含み、第1の熱膨張係数を有する上部パックプレートであって、1つ以上の加熱要素と、基板を静電的に固定するための1つ以上の電極を含む上部パックプレートと、
上部パックプレートに接合された下部パックプレートであって、下部パックプレートの中心から複数の異なる距離で下部パックプレート上に分散された複数の構造体を含み、
a)下部パックプレート内に埋設された複数のねじ付きインサートであって、複数のねじ付きインサートの各々のねじ付きインサートは、複数の構造体の構造体内に配され、複数のねじ付きインサートの各々は、第1の複数のねじ付き締結具の1つを収容するねじ付きインサート、又は
b)下部パックプレート内に少なくとも部分的に埋設された第2の複数のねじ付き締結具であって、第2の複数のねじ付き締結具の各々のねじ付き締結具のヘッドは複数の構造体の構造体内に配置されるねじ付き締結具の少なくとも1つを含む下部パックプレートと、
下部パックプレートに接合されたバッキングプレートであって、バッキングプレートはAlN又はAlを含み、バッキングプレートは、バッキングプレートを介して下部パックプレートの複数の構造体の少なくとも幾つかへのアクセスを提供する複数の穴を含むバッキングプレートを含む静電パックアセンブリ。
【請求項2】
上部パックプレートは3~10mmの第1の厚さを有し、バッキングプレートは3~10mmの第2の厚さを有し、下部パックプレートは第1の厚さ及び第2の厚さ以上の第3の厚さを有する、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項3】
第1の厚さは第2の厚さにほぼ等しい、請求項2に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項4】
静電パックアセンブリは、静電パックアセンブリに損傷を与えることなく、最高300℃の温度で動作可能である、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項5】
下部パックプレートは、バッキングプレートの第2の外径にほぼ等しい第1の外径を有する、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項6】
上部パックプレートは、下部パックプレート又はバッキングプレートのうちの少なくとも1つの第2の外径より大きい第1の外径を有する、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項7】
下部パックプレートにドリルで穿孔された貫通孔と、
ざぐり貫通孔に挿入された金属保護プラグであって、ざぐり貫通孔の内部を1つ以上のガスへの暴露から保護する金属保護プラグを備える、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項8】
下部パックプレートは、a)モリブデン、b)Si、SiC及びTiを含む金属マトリックス複合体、又はc)AlSi合金を浸透させたSiC多孔質体のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項9】
静電パックアセンブリの底部に配置されたリング又はガスケットの少なくとも1つを備え、リング又はガスケットの少なくとも1つは、第1の複数のねじ付き締結具又は第2の複数のねじ付き締結具の少なくとも1つにより加えられる力により圧縮され、第1の複数のねじ付き締結具又は第2の複数のねじ付き締結具の少なくとも1つは冷却プレートを静電パックアセンブリに結合するためにほぼ等しい締結力を各々適用し、リング又はガスケットの少なくとも1つを圧縮し、冷却プレートと下部パックプレートの間の分離をほぼ等しく維持し、冷却プレートと下部パックプレートの間の均一な熱伝達を促進する、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項10】
リング又は前記ガスケットの少なくとも1つはパーフルオロポリマー(PFP)である、請求項9に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項11】
ガスケットと、
ガスケット上の柔軟なグラファイト層を備える、請求項9に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項12】
バッキングプレートに結合された冷却プレートと、
冷却プレートとバッキングプレートの間のサーマルチョークとして作用するガスケットを備える、請求項9に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項13】
下部パックプレートは、第1の熱膨張係数にほぼ一致する第2の熱膨張係数を有する材料を含む、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項14】
複数のねじ付きインサートは、複数のヘリカルインサート、キャプティブナット、圧入インサート、又はモールドインインサートを含む、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項15】
複数の構造体の各々に荷重拡散材料を備え、荷重拡散材料は、複数の構造体の各々の構造体に亘って力を均等に拡散するように構成される、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項16】
荷重拡散材料が、ワッシャ、グラフォイル、又はアルミニウム箔のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項17】
複数の構造体は複数のねじ付きインサートと比較して特大であり、セラミック材料と比較して複数のねじ付きインサートのより大きな熱膨張係数に対応する、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項18】
上部パックプレートは第1の金属接合によって下部パックプレートに接合され、下部パックプレートは第2の金属接合によってバッキングプレートに接合される、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項19】
上部パックプレートが第1の拡散接合によって下部パックプレートに接合され、下部パックプレートは第2の拡散接合によってバッキングプレートに接合される、請求項1に記載の静電パックアセンブリ。
【請求項20】
基板支持アセンブリであって、
多層スタックであって、
1つ以上の加熱要素と、基板を静電的に固定するための1つ以上の電極を備える電気絶縁性の上部パックプレートと、
第1の金属接合によって電気絶縁性の上部パックプレートに接合された下部パックプレートであって、下部パックプレートは、下部パックプレートの中心から複数の異なる距離で下部パックプレートの底面上に分散された複数の構造体を含み、複数の構造体の各々は複数の締結具の1つを収容する下部パックプレートを含む多層スタックと、
複数の締結具によって多層スタックに結合されたベースプレートであって、各々の複数の締結具はベースプレートを多層スタックに結合するためほぼ等しい締結力を加え、ほぼ等しい締結力は、冷却プレートと多層スタックの間の熱伝達の均一性を促進するベースプレートと、
多層スタックと、ベースプレート又は冷却プレートの少なくとも一方との間で圧縮されたリング又はガスケットの少なくとも一方を備える基板支持アセンブリ。
【請求項21】
多層スタックは、第2の金属接合によって下側パックプレートに接合された電気絶縁性のバッキングプレートを含み、電気絶縁性のバッキングプレートは、電気絶縁性のバッキングプレートを介して、下部パックプレートの複数の構造体の少なくとも幾つかへのアクセスを提供する1つ以上の穴を含む、請求項20に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項22】
電気絶縁性の上部パックプレートはAlN又はAlを含み、バッキングプレートはAlN又はAlを含み、下部パックプレートは、a)モリブデン、b)Si、SiC及びTiを含む金属マトリックス複合材料、又はc)AlSi合金を浸透させたSiC多孔質体の1つを含む、請求項21に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項23】
リング又はガスケットの少なくとも一方がパーフルオロポリマー(PFP)である、請求項20に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項24】
冷却プレートが複数のバネによってベースプレートに接続され、複数のバネは冷却プレートを多層スタックに押し付ける力を加える、請求項20に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項25】
多層スタックと冷却プレートとの間に配置されたガスケットを備え、
複数のバネがガスケットを圧縮し、ガスケットは冷却プレートと多層スタックの間のサーマルチョークとして作用する、請求項24に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項26】
ガスケット上の柔軟なグラファイト層を備える、請求項25に記載の基板支持アセンブリ。
【請求項27】
リングを含み、リングは電気絶縁性の上側パックプレートとベースプレートとの間で圧縮されたOリングである、請求項20記載の基板支持アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの実施形態は、概して、高温プロセスに使用可能な基板支持アセンブリ及び静電パックアセンブリに関する。
【背景】
【0002】
静電チャックは、様々な用途(例えば、物理蒸着、エッチング、又は化学蒸着)に使用される処理チャンバ内での基板処理中に、基板(例えば、半導体ウェハ)を保持するために広く使用されている。静電チャックは、典型的には、誘電体又は半導電性セラミックス材料を含む単一のチャック本体内に埋め込まれた1以上の電極を含み、その全域に亘って静電クランプ領域を生成することができる。
【0003】
静電チャックは、機械式クランプ装置及び真空チャックよりもいくつかの利点を提供する。例えば、静電チャックは、機械式クランプによって引き起こされる応力誘起クラックを低減し、基板のより広い領域を処理のために露出させることができ(エッジエクスクルージョンがほとんど又は全くなく)、低圧又は高真空環境で使用することができる。更に、静電チャックは、基板をより均一にチャッキング面に保持することができ、基板温度をより高度に制御することができる。
【0004】
集積回路の製造に用いられる様々な処理は、基板処理のために高温及び/又は広い温度範囲を必要とする可能性がある。しかしながら、エッチング処理における静電チャックは、典型的には最高約120℃の温度範囲で動作する。約120℃を超える温度では、多くの静電チャックのコンポーネントは、様々な問題(例えば、デチャッキング、腐食性化学物質によるプラズマ浸食、接合信頼性など)に起因して機能しなくなり始めるだろう。
【概要】
【0005】
一実施形態では、静電パックアセンブリは、上部パックプレートと、下部パックプレートと、バッキングプレートとを含む。上部パックプレートは、AlN又はAlからなり、第1の熱膨張係数を有する。下部パックプレートは、第1の熱膨張係数とほぼ一致する第2の熱膨張係数を有する材料からなり、第1の金属接合によって上部パックプレートに接合される。下部パックプレートは、実施形態において、a)モリブデン、b)Si、SiC、及びTiの金属マトリックス複合材料、又はc)AlSi合金で浸潤されたSiC多孔質体からなることができる。バッキングプレートは、AlN又はAlからなり、第2の金属接合によって下部パックプレートに接合される。
【0006】
一実施形態では、静電パックアセンブリの製造方法は、AlN又はAlの上部パックプレートを形成するステップを含む。上部パックプレートは、第1の熱膨張係数を有することができ、1以上の加熱要素と、基板を静電的に固定するための1以上の電極とを含むことができる。本方法は、第1の金属接合によって上部パックプレートに下部パックプレートを接合するステップであって、下部パックプレートは、第1の熱膨張係数とほぼ一致する第2の熱膨張係数を有するステップを更に含む。本方法は、第2の金属接合によって下部パックプレートにAlN又はAlを含むバッキングプレートを接合するステップを更に含む。
【0007】
一実施形態では、基板支持アセンブリは、多層スタックを含む。多層スタックは、電気絶縁性上部パックプレートと、第1の金属接合によって上部パックプレートに接合された下部パックプレートと、第2の金属接合によって下部パックプレートに接合された電気絶縁性バッキングプレートとを含むことができる。上部パックプレートは、1以上の加熱要素と、基板を静電的に固定するための1以上の電極とを含むことができる。下部パックプレートは、下部パックプレートの底面の上に分布された複数の構造体を含み、複数の構造体は、下部パックプレートの中心から異なる距離を有することができ、複数の構造体の各々は、締結具を収容する。基板支持アセンブリは、締結具によって多層スタックに結合された冷却プレートを更に含む。各締結具は、冷却プレートを多層スタックに結合するためにほぼ等しい締結力を印加することができ、ほぼ等しい締結力は、冷却プレートと多層スタックとの間の均一な熱伝達を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態は、添付図面の図の中で、限定としてではなく、例として示され、同様の参照符号は同様の要素を示している。この開示における「一」又は「1つの」実施形態への異なる参照は、必ずしも同じ実施形態への参照ではなく、そのような参照は、少なくとも1つを意味することに留意すべきである。
図1】処理チャンバの一実施形態の断面側面図を示す。
図2】基板支持アセンブリの一実施形態の分解図を示す。
図3】静電パックアセンブリの一実施形態の断面上面図を示す。
図4A】基板支持アセンブリの一実施形態の断面側面図を示す。
図4B】静電パックアセンブリの一実施形態の斜視図を示す。
図5A】一実施形態に係る静電パックアセンブリの断面側面図を示す。
図5B図5Aの静電パックアセンブリに対応する静電パックアセンブリの一実施形態の斜視図を示す。
図6A】一実施形態に係る静電パックアセンブリの断面側面図を示す。
図6B図5Aの静電パックアセンブリに対応する静電パックアセンブリの一実施形態の斜視図を示す。
図7】基板支持アセンブリを製造するためのプロセスの一実施形態を示す。
【実施形態の詳細な説明】
【0009】
本発明の実施形態は、基板支持アセンブリに損傷を与えることなく最高約250℃の温度で動作可能な基板支持アセンブリ及び静電パックアセンブリを提供する。一実施形態では、静電パックアセンブリは、金属接合によって下部パックプレートに接合された電気絶縁性上部パックプレートを含む。静電パックアセンブリは、別の金属接合によって下部パックプレートに接合されたバッキングプレートを更に含む。金属接合はそれぞれ、アルミニウム接合、AlSi合金接合、又は他の金属接合とすることができる。上部パックプレートは、1以上の加熱要素と、基板を静電的に固定するための1以上の電極とを含む。下部パックプレートは、下部パックプレートの底面の上に下部パックプレートの中心から異なる距離で分布する複数の構造体を含むことができ、構造体の各々は締結具を収容する。バッキングプレートは、下部パックプレート内の構造体へのアクセスを提供する穴を含むことができる。静電パックアセンブリは、(例えば、締結具によって)静電パックアセンブリに結合された冷却プレートを更に含む基板支持アセンブリ内のコンポーネントである。締結具は、ほぼ等しい締結力をそれぞれ印加して、冷却プレートを静電パックアセンブリに結合することができる。このほぼ等しい固定力は、冷却プレートと静電パックアセンブリとの間の均一な熱伝達を促進する。
【0010】
上部パックプレートは、誘電体(例えば、AlN又はAl)で構成することができる。下部パックプレートは、上部パックプレート用の材料(例えば、Al又はAlN)の熱膨張係数とほぼ一致する熱膨張係数を有する材料で構成することができる。バッキングプレートは、上部パックプレートと同じ材料で構成することができる。バッキングプレートの使用がなければ、上部パックプレートと下部パックプレートは、上部パックプレートと下部パックプレートとの間の接合によって引き起こされる力のために、湾曲する又は反る可能性がある。例えば、上部パックプレートは、300ミクロンまでの凸状湾曲を有する可能性がある。この湾曲は、静電パックアセンブリに亀裂を生じさせる可能性がある、及び/又は静電パックアセンブリが基板(例えば、ウェハ)をしっかりと保持(例えば、チャック)する能力を損なう可能性がある。更に、湾曲は、上部パックプレートを下部パックプレートに固定する金属接合の層間剥離を引き起こす可能性があり、真空シールを生成する能力を低下させる可能性がある。
【0011】
バッキングプレートを下部パックプレートの底部に接合することによって、バッキングプレートの上部及び底部にほぼ等しい力を印加させることができる。バッキングプレートの上部及び底部の力を等しくすることにより、上部パックプレート及び下部パックプレートを含む静電パックアセンブリの湾曲は、ほぼ排除することができる。例えば、静電パックアセンブリの湾曲は、約0.3mmから0.1mm未満(例えば、実施形態では約0.05mm又は50ミクロン以下)に低減させることができる。静電パックアセンブリの湾曲の低減は、静電パックアセンブリの基板固定能力を改善することができ、ひび割れを低減又は排除することができ、上部パックプレートと支持基板との間のシールを改善することができ、静電パックアセンブリの真空シールを改善することができる。一実施形態では、上部パックプレートの力(内部応力)は約-98±7メガパスカル(MPa)であり、バッキングプレートの力は約-136±5MPaであり、下部パックプレートの上面の力は、約80MPaであり、下部パックプレートの底面の力は、約54MPaである。正の値は圧縮力を表し、負の値は引張力を表す。
【0012】
図1は、多層静電パックアセンブリ150が内部に配置された半導体処理チャンバ100の一実施形態の断面図である。処理チャンバ100は、内部容積106を囲むチャンバ本体102及び蓋104を含む。チャンバ本体102は、アルミニウム、ステンレス鋼、又は他の適切な材料から製造することができる。チャンバ本体102は、一般的に、側壁108及び底部110を含む。外側ライナ116は、側壁108に隣接して配置され、チャンバ本体102を保護することができる。外側ライナ116は、耐プラズマ性又は耐ハロゲン含有ガス性材料で製造及び/又はコーティングすることができる。一実施形態では、外側ライナ116は、酸化アルミニウムから製造される。別の一実施形態では、外側ライナ116は、イットリア、イットリウム合金、又はそれらの酸化物から製造される、又はイットリア、イットリウム合金又は、それらの酸化物でコーティングされる。
【0013】
排気ポート126は、チャンバ本体102内に画定されることができ、内部容積106をポンプシステム128に結合することができる。ポンプシステム128は、排気し、処理チャンバ100の内部容積106の圧力を調整するために使用される1以上のポンプ及びスロットルバルブを含むことができる。
【0014】
蓋104は、チャンバ本体102の側壁108上に支持することができる。蓋104は、処理チャンバ100の内部容積106へのアクセスを可能にするように開放することができ、閉じている間、処理チャンバ用のシールを提供することができる。ガスパネル158を処理チャンバ100に結合して、蓋104の一部であるガス分配アセンブリ130を介して内部容積106に処理ガス及び/又は洗浄ガスを供給することができる。処理チャンバ内で基板を処理するために使用することができる処理ガスの例は、ハロゲン含有ガス(とりわけ、C、SF、SiCl、HBr、NF、CF、CHF、CH、Cl、及びSiFなど)、及び他のガス(例えば、O又はNO)を含む。キャリアガスの例は、N、He、Ar、及び処理ガスに対して不活性な他のガス(例えば、非反応性ガス)を含む。ガス分配アセンブリ130は、ガス分配アセンブリ130の下流面に複数の開口132を有し、ガス流を基板144の表面に向けることができる。また、ガス分配アセンブリ130は、ガスがセラミックスガスノズルを通して供給される中心穴を有することができる。ガス分配アセンブリ130は、セラミックス材料(例えば、炭化ケイ素、酸化イットリウムなど)によって製造及び/又はコーティングされ、ハロゲン含有化学物質への耐性を提供し、ガス分配アセンブリ130が腐食するのを防ぐことができる。
【0015】
内側ライナ118は、基板支持アセンブリ148の周囲を覆ってもよい。内側ライナ118は、耐ハロゲン含有ガス性材料(例えば、外側ライナ116に関して論じられたもの)であってもよい。一実施形態では、内側ライナ118は、外側ライナ116と同じ材料から製造することができる。
【0016】
基板支持アセンブリ148は、ガス分配アセンブリ130の下の処理チャンバ100の内部容積106内に配置される。基板支持アセンブリ148は、静電パックアセンブリ150(静電パック又は多層スタックとも呼ばれる)を含む。静電パックアセンブリ150は、処理中に基板144を保持する。実施形態に記載の静電パックアセンブリ150は、ジョンソン-ラーベック及び/又はクーロン静電チャッキング用に使用することができる。
【0017】
静電パックアセンブリ150は、上部パックプレート192と、下部パックプレート190と、バッキングプレート196とを含む。上部パックプレート192は、下部パックプレート190に第1の金属接合によって接合されることができ、下部パックプレート190は、第2の金属接合によってバッキングプレート196に接合することができる。上部パックプレート192は、200℃以上の温度で半導体プロセスに使用可能な誘電体又は電気絶縁性材料とすることができる。一実施形態では、上部パックプレート192は、約20℃~約500℃で使用可能な材料で構成される。一実施形態では、上部パックプレート192は、AlN又はAlである。
【0018】
下部パックプレート190は、上部パックプレート192及び/又はバッキングプレート196の熱膨張係数に適合する(又はほぼ一致する)熱膨張係数を有することができる。一実施形態では、下部パックプレート190は、(AlSiSiCと呼ばれる)AlSiで浸潤されたSiC多孔質体である。AlSiSiC材料は、例えば、反応性エッチング環境で使用することができる。別の一実施形態では、下部パックプレート190は、Si、SiC、及びTiの金属マトリックス複合材料(SiSiCTi)である。あるいはまた、下部パックプレート190は、モリブデンであってもよい。AlNは、1℃当たり約100万分の4.5~5(約4.5~5ppm/℃)の熱膨張係数を有することができる。AlSiSiCは、約5ppm/℃の熱膨張係数を有することができる。モリブデンは、約5.5ppm/℃の熱膨張係数を有することができる。したがって、一実施形態では、上部パックプレート192及びバッキングプレート196はAlNであり、下部パックプレート190はモリブデン又はAlSiSiCである。SiSiCTiの金属マトリックス複合材料は、約8ppm/℃の熱膨張係数を有することができる。Alは、約8ppm/℃の熱膨張係数を有することができる。したがって、Al上部パックプレート、SiSiCTi下部パックプレート、及びAlバッキングプレートを有する一実施形態では、下部パックプレート190、上部パックプレート192、及びバッキングプレート196の熱膨張係数はすべて、約8ppm/℃とすることができる。
【0019】
一実施形態では、上部パックプレート192は、耐プラズマ性セラミックスコーティングとすることができる保護層136でコーティングされる。保護層136はまた、上部パックプレート192の垂直壁、上部パックプレート192と下部パックプレート190との間の金属接合、バッキングプレート196、及び/又は下部パックプレート192とバッキングプレート192との間の金属接合をコーティングすることができる。保護層136は、バルクセラミックス(例えば、セラミックスウェハ)、プラズマ溶射コーティング、イオンアシスト堆積(IAD)によって堆積されたコーティング、又は他の堆積技術を用いて堆積されたコーティングとすることができる。保護層136は、Y(イットリア又は酸化イットリウム)、YAl(YAM)、Al(アルミナ)、YAl12(YAG)、YAlO(YAP)、石英、SiC(炭化ケイ素)、Si(窒化ケイ素)、サイアロン、AlN(窒化アルミニウム)、AlON(酸窒化アルミニウム)、TiO(チタニア)、ZrO(ジルコニア)、TiC(炭化チタン)、ZrC(炭化ジルコニウム)、TiN(窒化チタン)、TiCN(炭窒化チタン)、Y安定化ZrO(YSZ)などとすることができる。保護層はまた、セラミックス複合材料(例えば、Alマトリックス内に分布したYAl12、Y-ZrO固溶体、又はSiC-Si固溶体)であってもよい。保護層はまた、酸化イットリウム(イットリア及びYとしても知られている)含有固溶体を含むセラミックス複合材料であってもよい。例えば、保護層は、化合物YAl(YAM)と固溶体Y2-xZr(Y-ZrO固溶体)とからなるセラミックス複合材料であってもよい。なお、純粋な酸化イットリウムならびに酸化イットリウム含有固溶体は、ZrO、Al、SiO、B、Er、Nd、Nb、CeO、Sm、Yb、又は他の酸化物のうちの1以上でドープされてもよい。なお、純粋な窒化アルミニウムならびにZrO、Al、SiO、B、Er、Nd、Nb、CeO、Sm、Yb、又は他の酸化物のうちの1以上でドープされた窒化アルミニウムを使用することもできる。あるいはまた、保護層は、サファイア又はMgAlONであってもよい。
【0020】
基板支持アセンブリ148は、バッキングプレート196に結合された冷却プレート164を更に含む。冷却プレート164は、ヒートシンクとして機能することができる熱伝導性ベースである。一実施形態では、冷却プレート164は、複数の締結具によって静電パックアセンブリ150に結合される。一実施形態では、基板支持アセンブリ148は、取り付けプレート162と台座152とを更に含む。
【0021】
取り付けプレート162は、チャンバ本体102の底部110に結合され、ユーティリティ(例えば、流体、電力線、センサリードなど)を冷却プレート164及び静電パックアセンブリ150まで経路付け(ルーティング)するための通路を含む。冷却プレート164及び/又は静電パックアセンブリ150は、1以上のオプションの埋設型加熱要素176、オプションの埋設型断熱器(サーマルアイソレータ)174、及び/又はオプションの導管168、170を含み、基板支持アセンブリ148の横方向の温度プロファイルを制御することができる。
【0022】
導管168、170は、導管168、170を通して温度調節流体を循環させる流体源172に流体結合させることができる。一実施形態では、導管168、170の間に埋設型断熱器174を配置することができる。埋設された加熱要素176は、ヒータ電源178によって調整される。導管168、170及び埋設された加熱要素176は、静電パックアセンブリ150の温度を制御するために利用され、それによって静電パックアセンブリ150及び処理される基板144(例えば、ウェハ)を加熱及び/又は冷却することができる。
【0023】
一実施形態では、静電パックアセンブリ150は、異なる温度を維持することができる2つの別個の加熱ゾーンを含む。別の一実施形態では、静電パックアセンブリ150は、異なる温度を維持することができる4つの異なる加熱ゾーンを含む。他の数の加熱ゾーンを使用することもできる。静電パックアセンブリ150及び冷却プレート164の温度は、コントローラ195を使用して監視することができる1以上の温度センサ138を使用して監視することができる。実施形態によって、静電パックアセンブリ150は、最高約250℃の温度を維持し、一方、冷却ベースは約60℃の温度を維持することができる。したがって、実施形態は、最高約190℃までの温度デルタを静電パックアセンブリ150と冷却プレート164との間で維持することを可能にする。
【0024】
静電パックアセンブリ150は、上部パックプレート192の上面に形成することができる複数のガス通路(例えば、溝、メサ、及び他の表面構造体)を更に含むことができる。ガス通路は、上部パックプレート192に穿孔された穴を介して、熱伝達(又は裏面)ガス(例えば、He)の供給源に流体結合することができる。動作中、裏面ガスは、制御された圧力でガス通路に供給され、上部パックプレート192と基板144との間の熱伝達を促進することができる。
【0025】
一実施形態では、上部パックプレート192は、チャッキング電源182によって制御される少なくとも1つのクランプ電極180を含む。クランプ電極180(チャッキング電極とも呼ばれる)は、処理チャンバ100内で処理ガス及び/又は他のガスから形成されたプラズマを維持するために整合回路188を介して1以上のRF電源184、186に更に結合させることができる。1以上のRF電源184、186は、一般的に、約50kHz~約3GHzの周波数及び最大約10,000ワットの電力を有するRF信号を生成可能である。一実施形態では、RF信号が金属ベースに印加され、交流電流(AC)がヒータに印加され、直流電流(DC)がクランプ電極180に印加される。
【0026】
図2は、静電パックアセンブリ150、冷却プレート164、及び台座152を含む、基板支持アセンブリ148の一実施形態の分解図を示す。静電パックアセンブリ150は、上部パックプレート192、並びに下部パックプレート(図示せず)、及びバッキングプレート(図示せず)を含む。図示されるように、Oリング240は、冷却プレート164の上面の周囲に沿って冷却プレート164上に配置することができる。一実施形態では、Oリング240は、冷却プレート240に加硫される。あるいはまた、Oリング240は、加硫されずに冷却プレート164の上面に配置されていてもよい。
【0027】
一実施形態では、Oリング240は、パーフルオロポリマー(PFP)製Oリングである。あるいはまた、他のタイプの高温Oリングを使用してもよい。一実施形態では、断熱性高温Oリングが使用される。Oリング240は、第1の厚さの第1の段差と第2の厚さの第2の段差とを有する段付きOリングであってもよい。これは、締結具を締めるために使用される力の量を、PFP製Oリング240の設定量の圧縮後に劇的に増加させることによって、締結具の均一な締め付けを促進することができる。
【0028】
追加のOリング(図示せず)をまた、ケーブルを通す冷却プレート164の中心の穴280の周囲の冷却プレートの上面に取り付けることができる。他のより小さいOリングがまた、他の開口部の周り、リフトピンの周りなどの冷却プレート164に取り付けられてもよい。代替的に又は追加的に、ガスケット(例えば、PFP製ガスケット)を冷却プレート164の上面に取り付けることができる。ガスケット又はOリング240用に使用可能なPFPの例は、Dupont(商標名)のECCtreme(商標名)、DupontのKALREZ(商標名)(例えば、KALREZ 8900)、及びDaikin(商標名)のDUPRA(商標名)である。Oリング240又はガスケットは、チャンバ内部容積と静電パックアセンブリ150内の内部容積との間の真空シールを提供する。静電パックアセンブリ150内の内部容積は、導管及び配線を経路付けするための台座152内の開放空間を含む。
【0029】
一実施形態では、冷却プレート164は、多数の構造体242を更に含み、それを通して締結具が挿入される。ガスケットが使用される場合、ガスケットは、構造体242の各々に切欠きを有することができる。締結具は、構造体242の各々を通って延在することができ、下部パックプレート内に形成された追加の構造体内に挿入される締結具の追加の部分(又は追加の締結具)に取り付けることができる。例えば、ボルトが、冷却プレート164内の構造体242を通って延在し、下部パックプレートの構造体内に配置されたナット内にねじ込まれてもよい。冷却プレート164内の各構造体242は、下部パックプレート内の同様の構造体(図示せず)まで並ぶことができる。
【0030】
上部パックプレート192は、上に配置された基板の形状及びサイズと実質的に一致することができる環状周辺部を有する円盤状の形状を有する。上部パックプレート192の上面は、外側リング216、複数のメサ210、及びメサ210間のチャネル208、212を有することができる。上部パックプレート192はまた、追加の構造体(例えば、段差193)を有することができる。一実施形態では、上部パックプレート192は、電気絶縁性のセラミックス材料によって製造することができる。セラミックス材料の好適な例は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)などを含む。
【0031】
静電パックアセンブリ150の下に取り付けられた冷却プレート164は、円盤状の主部224と、主部224から外向きに延在し、台座152上に位置する環状フランジとを有することができる。一実施形態では、冷却プレート164は、金属(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼)又は他の適切な材料によって製造することができる。あるいはまた、冷却プレート164は、静電パックアセンブリ150の熱膨張係数を一致させるために、複合セラミックス(例えば、アルミニウム-シリコン合金溶浸SiC又はモリブデン)によって製造することができる。冷却プレート164は、良好な強度及び耐久性ならびに熱伝達特性を提供するべきである。
【0032】
図3は、静電パックアセンブリに用いられる下部パックプレート300の一実施形態の上面図を示す。下部パックプレート300は、下部パックプレート190又は本明細書に記載の他の下部パックプレートに対応してもよい。図示されるように、下部パックプレート300は、静電パックアセンブリによって支持されるべき基板又はウェハの半径と実質的に同様とすることができる半径R3を有する。下部パックプレート300はまた、複数の構造体305を含む。構造体は、下部パックプレート300を含む静電パックアセンブリが取り付けられる冷却プレート内の同様の構造体に一致してもよい。各構造体305は、締結具を収容する。例えば、ボルト(例えば、ステンレス鋼ボルト、亜鉛メッキ鋼ボルトなど)を各構造体内に配置することができ、これによってボルトの頭部は、頭部を収容するのに十分な大きさの開口部の内側となり、ボルトのシャフトは下部パックプレート300の底面から延びる。ボルトは、冷却プレート内の対応する構造体内に配置されたナットに締め付けることができる。あるいはまた、構造体305は、ナットを収容するような大きさとすることができ、冷却プレート内の対応する構造体によって収容されるボルトのシャフトを受け入れることができる穴を含むことができる。別の一例では、ヘリカルインサート(例えば、Heli-Coil(商標名))又は他のねじ付きインサート(例えば、圧入インサート、モールドインインサート、キャプティブナットなど)を、ねじ穴を追加するために1以上の構造体内に挿入することができる。冷却プレートの内部に配置され、冷却プレートから突出しているボルトは、その後、冷却プレートをパックに固定するためにねじ付きインサートにねじ込まれてもよい。あるいはまた、ねじ付きインサートを冷却プレート内に使用してもよい。
【0033】
構造体305は、締結具のより大きな熱膨張係数を調整するために、締結具のサイズに比べてわずかに大きくすることができる。一実施形態では、締結具は、締結具が500又は600℃に加熱されたときに、締結具が構造体に力を及ぼさないようなサイズにされる。
【0034】
図示のように、複数のセットの構造体305が下部パックプレート300に含まれてもよい。構造体305の各セットは、下部パックプレートの中心から特定の半径又は距離で等間隔に配置することができる。例えば、図示のように、第1セットの構造体305が半径R1に配置され、第2セットの構造体305が半径R2に配置される。追加のセットの構造体がまた、追加の半径に配置されてもよい。
【0035】
一実施形態では、構造体は、下部パックプレート300を含む静電パックアセンブリ上に均一な荷重を生成するように配置される。一実施形態では、構造体は、ボルトが約30~70平方センチメートル毎(例えば、50平方センチメートル毎)に位置するように配置される。一実施形態では、直径12インチの静電パックアセンブリに対して、3セットの構造体が使用される。第1セットの構造体は、下部パックプレート300の中心から約4インチに位置し、約4つの構造体を含むことができる。第2セットの構造体は、下部パックプレート300の中心から約6インチに位置し、約6つの構造体を含むことができる。第3セットの構造体は、下部パックプレート300の中心から約8インチに位置し、約8つの構造体を含むことができる。あるいはまた、2セットの構造体を使用してもよい。一実施形態では、下部パックプレート300は、2~3の異なる半径でセットに配置された約8~24個の構造体を含み、各構造体は締結具を収容する。
【0036】
図4Aは、基板支持アセンブリ405の一実施形態の断面側面図を示す。基板支持アセンブリ405は、上部パックプレート415、下部パックプレート420、及びバッキングプレート425で構成される静電パックアセンブリ410を含み、これらは金属接合によって共に接合することができる。一実施形態では、上部パックプレート415は、第1の金属接合450によって下部パックプレート420に接合され、下部パックプレート420は、第2の金属接合455によってバッキングプレート425に接合される。一実施形態では、拡散接合が、金属接合の方法として使用される。しかしながら、他の接合方法を用いて金属接合を生成することもできる。
【0037】
上部パックプレート415は、電気絶縁性(誘電性)セラミックス(例えば、AlN又はAl)で構成される。一実施形態では、バッキングプレート425は、上部パックプレート415と同じ材料で構成される。これは、上部パックプレート415とバッキングプレート425によって、下部パックプレート420にほぼ一致するが反対の力を生じさせることができる。ほぼ一致する力は、上部パックプレート415の湾曲及び亀裂を最小にするか又は排除することができる。
【0038】
上部パックプレート415は、クランプ電極427及び1以上の加熱要素429を含む。クランプ電極427は、チャッキング電源(図示せず)に、及び整合回路(図示せず)を介してRFプラズマ電源(図示せず)及びRFバイアス電源(図示せず)に結合することができる。加熱要素429は、上部パックプレート415を加熱するためのヒータ電源(図示せず)に電気的に接続されている。
【0039】
上部パックプレート415は、約3~10mmの厚さを有することができる。一実施形態では、上部パックプレート415は、約3~5mmの厚さを有する。クランプ電極427は、上部パックプレート415の上面から約0.3~1mmに配置することができ、加熱要素429は、クランプ電極427の下約2mmに配置することができる。加熱要素429は、約10~200ミクロンの厚さを有するスクリーン印刷された加熱要素とすることができる。あるいはまた、加熱要素429は、上部パックプレート415の厚さの約1~3mmを使用する抵抗コイルとすることができる。このような一実施形態では、上部パックプレート415は、約5mmの最小厚さを有することができる。
【0040】
一実施形態では、バッキングプレート425は、上部パックプレート415の厚さとほぼ等しい厚さを有する。例えば、上部パックプレート415及びバッキングプレート425は、一実施形態では、それぞれ約3~5mmの厚さを有することができる。一実施形態では、バッキングプレート425は、約3~10mmの厚さを有する。
【0041】
一実施形態では、下部パックプレート420は、上部パックプレート415及びバッキングプレート425の厚さ以上の厚さを有する。一実施形態では、下部パックプレート420は、約8~25mmの厚さを有する。一実施形態では、下部パックプレート420は、上部パックプレート415の厚さよりも約30%~330%大きい厚さを有する。
【0042】
一実施形態では、下部パックプレート420用に使用される材料は適切に選択することができ、これによって下部パックプレート420材料の熱膨張係数(CTE)は、電気絶縁性上部パックプレート415材料のCTEと実質的に一致し、これによってCTEの不一致を最小限にし、熱サイクル中に静電パックアセンブリ410を損傷する可能性のある熱機械的応力を回避する。
【0043】
一実施形態では、下部パックプレート420はモリブデンである。例えば、静電パックアセンブリ410が不活性環境で使用される場合、モリブデンは、下部パックプレート420用に使用することができる。不活性環境の例としては、不活性ガス(例えば、Ar、O2、Nなど)を内部に流す環境が挙げられる。例えば、静電パックアセンブリ410が金属堆積用に基板をチャックする場合、モリブデンを使用することができる。モリブデンはまた、腐食環境における用途(例えば、エッチング用途)のために、下部パックプレート420用に使用することができる。このような一実施形態では、下部パックプレート420の露出表面は、下部パックプレート420が上部パックプレート415に接合された後に耐プラズマ性コーティングでコーティングされてもよい。プラズマコーティングは、プラズマ溶射プロセスによって行われてもよい。耐プラズマ性コーティングは、例えば、下部パックプレートの側壁及び下部パックプレート420の露出した水平段差を覆うことができる。一実施形態では、耐プラズマ性コーティングは、Alである。あるいはまた、耐プラズマ性コーティングは、上記の保護層136を参照して記載された材料のいずれかであってもよい。
【0044】
一実施形態では、導電性金属マトリックス複合材(MMC)の材料が、下部パックプレート420に使用される。MMC材料は、金属マトリックスと、マトリクス全体に埋め込まれ分散された強化材料とを含む。金属マトリックスは、単一の金属又は2以上の金属又は金属合金を含むことができる。使用することができる金属には、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、コバルト-ニッケル合金(CoNi)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、又はこれらの様々な組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。補強材料は、MMCに所望の構造強度を提供するように選択することができ、MMCの他の特性(例えば、熱伝導率及びCTEなど)に所望の値を提供するように選択することもできる。使用することができる補強材料の例には、ケイ素(Si)、炭素(C)、又は炭化ケイ素(SiC)が含まれるが、他の材料を使用することもできる。
【0045】
下部パックプレート420用のMMC材料は、好ましくは、所望の導電性を提供し、静電パックアセンブリ410の動作温度範囲にわたって上部パックプレート415材料のCTEと実質的に一致するように選択される。一実施形態では、温度は、約20℃~約500℃の範囲とすることができる。一実施形態では、CTEを一致させることは、MCC材料を選択することに基づいており、これによってMCC材料は、上部パックプレート415材料でも使用される少なくとも1つの材料を含む。一実施形態では、上部パックプレート415は、AlNを含む。一実施形態では、MMC材料は、AlSi合金を浸潤させたSiC多孔質体(本明細書ではAlSiSiCと呼ぶ)を含む。
【0046】
MMCの構成材料及び組成割合は、所望の設計目的を満たす工学的材料を提供するように選択することができる。例えば、下部パックプレート420と上部パックプレート415とのCTEに厳密に一致するようにMCC材料を適切に選択することによって、下部パックプレート420と上部パックプレート415との間の界面における熱機械的応力が低減される。
【0047】
静電パックアセンブリ410の層の間の熱膨張係数を一致させることによって、下部パックプレート420を上部パックプレート415及びバッキングプレート425に接合することによって生じる応力を最小限に抑えることができる。一実施形態では、下部パックプレート420は、上述したような金属マトリックス複合材料から構成される。あるいはまた、下部パックプレート420は、SiSiCTi又はモリブデンであってもよい。
【0048】
一実施形態では、下部パックプレート420は、耐プラズマ性セラミックスコーティング(図示せず)でコーティングされた粗面化された外壁を有する。耐プラズマ性セラミックスコーティングは、図5A図5Bを参照して以下により詳細に論じられる。
【0049】
一実施形態では、上部パックプレート415、下部パックプレート420、及びバッキングプレート425は、アルミニウムを含む材料を含む。例えば、上部パックプレート415及びバッキングプレート425は、それぞれ、Al又はAlNで構成されてもよく、下部パックプレート420は、AlSiSiCで構成されてもよい。
【0050】
金属接合450は、上部パックプレート415と下部パックプレート420との間の接合領域に配置されたアルミニウム箔の「中間層」を含むことができる。同様に、金属接合455は、下部パックプレート420とバッキングプレート425との間の接合領域に配置されたアルミニウム箔の中間層を含むことができる。圧力及び熱を印加して、アルミニウム箔と上部パックプレート415との間、及びアルミニウム箔と下部パックプレート420との間に拡散接合を形成することができる。同様に、圧力及び熱を印加して、アルミニウム箔と下部パックプレート420との間、及びアルミニウム箔とバッキングプレート425との間に拡散接合を形成することができる。他の実施形態では、拡散接合は、上部パックプレート415、下部パックプレート420、及びバッキングプレート425に使用される材料に基づいて選択された他の中間層材料を用いて形成することができる。一実施形態では、金属接合455、465は、約0.2~0.3mmの厚さを有する。
【0051】
一実施形態では、上部パックプレート415は、接合を形成するために中間層が使用されない直接拡散接合を使用して、下部パックプレート420に直接接合されてもよい。同様に、下部パックプレート420は、直接拡散接合を用いてバッキングプレート425に直接接合されてもよい。
【0052】
上部パックプレート415は、下部パックプレート420及びバッキングプレート425の直径より大きい直径を有することができる。一実施形態では、上部パックプレート415及び下部パックプレート420は、それぞれ約300mmの直径を有し、バッキングプレート425は、約250mmの直径を有する。一実施形態では、バッキングプレート425は、上部パックプレート415の直径の約75~85%である直径を有する。ベースプレート495のエッジは、上部パックプレート415の直径と同様の直径を有することができる。耐プラズマ性の高温Oリング445は、上部パックプレート415とベースプレート495との間に配置することができる。このOリング445は、基板支持アセンブリの内部と処理チャンバとの間に真空シールを提供することができる。Oリング445は、パーフルオロポリマー(PFP)から製造することができる。一実施形態では、Oリング445は、無機添加剤(例えば、SiC)を含むPFPである。Oリング445は、交換可能であってもよい。Oリング445が劣化すると、取り外すことができ、新たなOリングを上部パックプレート415上に引き伸ばして、上部パックプレート415とベースプレートとの間の界面で上部パックプレート415の周辺部に配置することができる。Oリング445は、金属接合450、455をプラズマによる浸食から保護することができる。
【0053】
バッキングプレート425は、流体源(図示せず)と流体連通する1以上の導管435(本明細書では冷却チャネルとも呼ぶ)を有する冷却プレート436に結合され、熱連通する。下部パックプレート420及び/又はバッキングプレート425は、締結具を受け入れるための多数の構造体(図示せず)を含むことができる。一実施形態では、冷却プレート436及び/又はベースプレート495は、複数の締結具(図示せず)によって静電パックアセンブリ410に結合される。締結具は、ねじ締結具(例えば、ナットとボルトの対)とすることができる。下部パックプレート420は、締結具を収容するための複数の構造体(図示せず)を含むことができる。冷却プレート436は、同様に、締結具を収容するための複数の構造体(図示せず)を含むことができる。更に、ベースプレート495は、締結具を収容するための複数の構造体(図示せず)を含むことができる。一実施形態では、構造体は、座ぐりを有するボルト穴である。構造体は、下部パックプレート420及びバッキングプレート425を貫通して延びる構造体を貫通してもよい。あるいはまた、構造体は、構造体を貫通していなくてもよい。一実施形態では、構造体は、スロットに挿入され、次いで90度回転させることができる、T字形のボルトヘッド又は矩形のナットを収容するスロットである。一実施形態では、締結具は、ワッシャ、グラフォイル、アルミニウム箔、又は締結具の頭部から力を構造体上に均等に分配するための他の荷重拡散材料を含む。
【0054】
冷却プレート436は、ヒートシンクとして作用し、静電パックアセンブリ410からの熱を吸収することができる。(図示の)一実施形態では、低熱伝導性ガスケット465が冷却プレート436上に配置される。低熱伝導性ガスケット465は、例えば、冷却プレート436に加硫(又は他の方法で配置)されたPFPガスケットとすることができる。一実施形態では、低熱伝導性ガスケットは、約0.2ワット/メートル・ケルビン(W/(m・K))以下の熱伝導率を有する。締結具は、ほぼ同じ力で締め付けられ、低熱伝導性ガスケット465を均等に圧縮することができる。低熱伝導性ガスケット465は、熱伝達を減少させ、サーマルチョークとして作用することができる。
【0055】
一実施形態では、低熱伝導性ガスケット465の上に、グラフォイル層(図示せず)が配置される。グラフォイルは、約10~40ミルの厚さを有することができる。締結具は、グラフォイル層ならびに低熱伝導性ガスケット465を圧縮するように締め付けることができる。グラフォイルは、熱伝導性とすることができる。
【0056】
一実施形態では、冷却プレート164の外周部及び/又は内周部に1以上のPFP製Oリング(図示せず)を配置することができる。PFP製Oリングは、低熱伝導性ガスケット465の代わりに、又はこれに加えて使用することができる。締結具はすべて、ほぼ同じ力で締め付けられ、PFP製Oリングを圧縮し、静電パックアセンブリ410のバッキングプレート425と冷却プレート436との間の分離部(例えば、ギャップ)を引き起こすことができる。分離部は、バッキングプレート425と冷却プレート436との間の界面全体にわたってほぼ同じ(均一)とすることができる。これは、冷却プレート436とバッキングプレート425との間の熱伝達特性が均一となることを確実にする。一実施形態では、分離部は約2~10ミルである。例えば、PFP製Oリングがグラフォイル層なしで使用される場合、分離部は2~10ミルとすることができる。グラフフォイル層(又は他のガスケット)がPFP製Oリングと共に使用される場合、分離部は約10~40ミルとすることができる。より大きな分離部は熱伝達を減少させ、バッキングプレート425と冷却プレート436との間の界面をサーマルチョークとして作用させることができる。静電パックアセンブリ410と冷却プレート436との間の分離部は、静電パックアセンブリ410と冷却プレート436との間の接触面積を最小限にすることができる。一実施形態では、導電性ガスを分離部内に流して、静電気パックアセンブリ410と冷却プレート436との間の熱伝達を改善することができる。
【0057】
静電パックアセンブリ410と冷却プレート436との間にサーマルチョークを維持することによって、静電パックアセンブリ410は、冷却プレート436よりもはるかに高い温度に維持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、静電パックアセンブリ410は、摂氏200~300度の温度まで加熱することができ、一方、冷却プレート436は、摂氏約120℃未満の温度を維持することができる。一実施形態では、冷却プレート436を約60℃以下の温度に維持しながら、静電パックアセンブリ410を約250℃の温度まで加熱することができる。したがって、実施形態では、静電パックアセンブリ410と冷却プレート436との間で最高190℃を維持することができる。静電パックアセンブリ410及び冷却プレート436は、熱サイクル中に独立して自由に膨張又は収縮する。
【0058】
PFP製ガスケット465及び/又はバッキングプレート425と冷却プレート436との間の分離部は、加熱された静電パックアセンブリ410から冷却された冷却プレート436までの熱伝導経路を制限することにより、サーマルチョークとして機能することができる。真空環境では、伝導媒体が提供されない限り、熱伝達は主に放射プロセスとなる可能性がある。静電パックアセンブリ410は、基板処理中に真空環境内に配置させることができるので、加熱要素429によって生成された熱は、分離部にわたってより非効率的に伝達させることができる。したがって、分離部及び/又は熱伝達に影響を与える他の要因を調整することによって、静電パックアセンブリ410から冷却プレート436に流れる熱流束を制御することができる。基板の効率的な加熱を提供するために、上部パックプレート415から離れて伝導される熱の量を制限することが望ましい場合がある。
【0059】
一実施形態では、冷却プレート436は、1以上のバネ470によってベースプレート495に結合される。一実施形態では、バネ470はコイルバネである。バネ470は、冷却プレート436を静電パックアセンブリ410に押し付ける力を印加する。冷却プレート436の表面は、静電パックアセンブリ410と冷却プレート436との間の熱伝達特性に影響を及ぼす所定の粗さ及び/又は表面構造体(例えば、メサ)を有することができる。また、冷却プレート436の材料は、熱伝達特性に影響を及ぼす可能性がある。例えば、アルミニウム製冷却プレート436は、ステンレス鋼製冷却プレート436よりも熱を良好に伝達する。
【0060】
いくつかの実施形態では、処理中に静電パックアセンブリ410を介して及び支持された基板にRF信号を供給することが望ましい場合がある。一実施形態では、このようなRF信号の静電パックアセンブリ410を介した伝達を促進するために、RFガスケット490がベースプレート495上に配置される。RFガスケット490は、ベースプレート495を下部パックプレート420に電気的に接続することができ、こうしてバッキングプレート425を通り過ぎる伝導経路を提供する。RFガスケット490の位置のために、バッキングプレート425の直径は、下部パックプレート420の直径及び上部パックプレート415の直径よりも小さくすることができる。
【0061】
一実施形態では、熱スペーサ485が、RFガスケット490に隣接して配置される。熱スペーサ485は、ベースプレート295が下部パックプレート420と接触しないことを保証するために使用することができる。一実施形態では、Oリング480が、熱スペーサ485に隣接して配置される。一実施形態では、Oリング480は、PFP製Oリングとすることができる。Oリング480は、真空シールを促進するために使用されてもよい。一実施形態では、取り付けプレート440が、ベースプレート495の下に配置され、ベースプレート495に結合される。
【0062】
図4Bは、図4Aに示す静電パックアセンブリ410の底部の一実施形態の斜視図を示す。図示されるように、上部パックプレート415は、下部パックプレート420の第2の直径よりも大きい第1の直径を有する。バッキングプレート425は、下部パックプレート420の第2の直径よりも小さい第3の直径を有する。先に図4Aを参照して説明したように、バッキングプレート425は、下部パックプレート420よりも小さな直径を有することができ、RFガスケットのための空間を提供する。更に、下部パックプレート420は、図2図4Aを参照して説明したような締結具を受け入れる複数の内側構造体(図示せず)及び複数の外側構造体498を含むことができる。バッキングプレート425は、バッキングプレート425が外部構造体498を塞がないようなサイズにすることができる。バッキングプレート425は、下部パックプレート420内の内側構造体へのアクセスを提供する穴496を含むことができる。図示のように、バッキングプレート425は、設備(ファシリティ)へのアクセスを提供するための中心穴492を含むことができる。更に、バッキングプレート425は、下部パックプレート420内のリフトピン穴499の周りに3つの穴494を含む。
【0063】
図5Aは、一実施形態に係る静電パックアセンブリ510の断面側面図を示す。図5Bは、静電パックアセンブリ510の斜視図を示す。特に、静電パックアセンブリ510は、上下逆さまに示されており、静電パックアセンブリ510の特定のコンポーネントをより良く示している。静電パックアセンブリ510は、静電パックアセンブリ410と実質的に同様である。例えば、静電パックアセンブリ510は、金属接合555によって下部パックプレート520に接合された上部パックプレート515を含む。静電パックアセンブリ510は更に、別の金属接合565によってバッキングプレート525に接合された下部パックプレート520を含む。また、バッキングプレート525は、設備へのアクセスを提供するための中心穴592を含み、更に下部パックプレート520内のリフトピン穴599の周りに3つの穴594を含む。バッキングプレート525は更に、下部パックプレート520内の内側構造体へのアクセスを提供する穴596を含むことができる。
【0064】
静電パックアセンブリ510内において、バッキングプレート525は、下部パックプレート520の直径と実質的に同様な直径を有する。これは、上部パックプレート515及びバッキングプレート525によって下部パックプレート520に印加される力を更に均一化する。しかしながら、そのような実施形態では、下部パックプレートをベースプレートに電気的に接続するRFガスケットを配置するための空間がない。RF信号のための代替経路を提供するために、バッキングプレート525の外側側壁及び金属接合565は、導電性コーティング530でコーティングされてもよい。一実施形態では、導電性コーティング530は、金属コーティング(例えば、アルミニウムコーティング)である。導電性コーティング530は、スパッタリング技術、コールドスプレー技術、又は他の金属堆積技術を用いて施すことができる。一実施形態では、導電性コーティング530は、耐プラズマ性セラミックスコーティング535によって覆われる。耐プラズマ性セラミックスコーティング535は、Y(イットリア又は酸化イットリウム)、YAl(YAM)、Al(アルミナ)、YAl12(YAG)、YAlO(YAP)、石英、SiC(炭化ケイ素)、Si(窒化ケイ素)、サイアロン、AlN(窒化アルミニウム)、AlON(酸窒化アルミニウム)、TiO(チタニア)、ZrO(ジルコニア)、TiC(炭化チタン)、ZrC(炭化ジルコニウム)、TiN(窒化チタン)、TiCN(炭窒化チタン)、Y安定化ZrO(YSZ)などとすることができる。耐プラズマ性セラミックスコーティング530はまた、セラミックス複合材料(例えば、Alマトリックス内に分布したYAl12、Y-ZrO固溶体、又はSiC-Si固溶体)とすることができる。実施形態では、導電性コーティング530及び/又は耐プラズマ性セラミックスコーティング535は、下部パックプレート520の外壁、金属接合555、及び/又は上部パックプレート515をコーティングすることもできる。一実施形態では、導電性コーティング530及び耐プラズマ性セラミックスコーティング535は、それぞれ約5~25ミクロンの厚さを有する。
【0065】
バッキングプレート525は、下部パックプレート520の直径と実質的に同様の直径を有するので、バッキングプレート525は、締結具を受けるように構成された下部パックプレート520内の構造体(図示せず)を覆う。したがって、バッキングプレート525は、下部パックプレート520内の構造体へのアクセスを提供する穴598を更に含むことができる。
【0066】
一実施形態では、バッキングプレート525をドーピングして、バッキングプレート525の導電率を高めることによって、RF信号のための電気経路を提供することができる。一実施形態では、Sm及び/又はCeを用いて、バッキングプレート525をドーピングする。一実施形態では、バッキングプレート525は、約1×10Ωオーム・センチメートル(10E9オーム・cm)未満の電気抵抗率を有する。一実施形態では、バッキングプレートは、約10E6オーム・cm~10E7オーム・cmの電気抵抗率を有する。このような実施形態では、バッキングプレート525の外壁は、導電性コーティング530によってコーティングされていなくてもよい。しかしながら、バッキングプレートの外壁は、依然として耐プラズマ性セラミックスコーティング535でコーティングされていてもよい。
【0067】
図6Aは、一実施形態に係る静電パックアセンブリ610の断面側面図を示す。図6Bは、静電パックアセンブリ610の斜視図を示す。特に、静電パックアセンブリ610は、上下逆さまに示されており、静電パックアセンブリ610の特定のコンポーネントをより良く示している。静電パックアセンブリ610は、静電パックアセンブリ410と実質的に同様である。例えば、静電パックアセンブリ610は、金属接合655によって下部パックプレート620に接合された上部パックプレート615を含む。静電パックアセンブリ610は更に、別の金属接合667によってバッキングプレート670に接合された下部パックプレート620を含む。バッキングプレート670は、設備へのアクセスを提供するための中心穴692を含み、更に下部パックプレート620内のリフトピン穴699の周りに3つの穴694を含む。バッキングプレート670は更に、下部パックプレート620内の内側構造体へのアクセスを提供する穴696を含むことができる。
【0068】
静電パックアセンブリ610内において、バッキングプレート670は、下部パックプレート620の直径よりも小さい直径を有する。一実施形態では、バッキングプレート670は、バッキングプレート425の直径にほぼ等しい直径を有する。静電パックアセンブリ610は、更に、金属接合665によって下部パックプレート620に金属接合されたバッキングリング660を含む。バッキングリング660は、下部パックプレート620の直径と実質的に同様の外径を有する。これは、上部パックプレート615及びバッキングプレート670とバッキングリング660との組み合わせによって下部パックプレート620に印加される力を更に均一化する。
【0069】
バッキングプレート670とバッキングリング660との間の空間は、下部パックプレート620をベースプレートに電気的に接続するRFガスケットのための空間を提供することができる。更に、締結具を受けるように構成された下部パックプレート620内の構造体698が露出されてもよい。一実施形態では、バッキングリング660、金属接合665、下部パックプレート620、金属接合655、及び/又は上部パックプレート615の外壁は、図5A図5Bを参照して上述したような耐プラズマ性セラミックスコーティングによってコーティングされる。
【0070】
図7は、基板支持アセンブリを製造するためのプロセス700の一実施形態を示す。プロセス700のブロック704において、上部パックプレートが形成される。上部パックプレートは、クランプ電極及び1以上の加熱要素を含むセラミックスディスクとすることができる。
【0071】
ブロック706において、下部パックプレートが形成される。一実施形態では、締結具を受け入れるために下部パックプレートに構造体が形成される。ガスを流すために、ガス穴(例えば、He穴)を下部パックプレートに形成することもできる。
【0072】
一実施形態では、ブロック707において、金属保護コーティングが下部パックプレートに施される。例えば、下部パックプレートがモリブデンである場合、下部パックプレートに金属保護コーティングを施すことができる。金属保護コーティングを施して、下部パックプレートの材料がプラズマ又は処理ガスに曝露されないことを確実にすることができる。金属保護コーティングは、約2~10ミクロンの厚さを有することができる。
【0073】
一実施形態では、金属保護コーティングは、アルミニウム又はアルミニウム合金(例えば、Al 6061)である。一実施形態では、金属保護コーティングは、電気めっきによって下部パックプレートに施される。電気めっきは、外壁、上部及び底部、及び下部パックプレートに穿孔された穴及び構造体の内壁を含む下部パックプレートの全表面にわたって金属保護コーティングを形成させることができる。別の一実施形態では、金属保護コーティングは、金属堆積技術(例えば、コールドスプレー又はスパッタリング)によって施してもよい。
【0074】
一実施形態では、下部パックプレートに金属保護コーティングを施す代わりに、又はそれに加えて、下部パックプレートに穿孔された穴に金属保護プラグを挿入する。例えば、下部パックプレートに多数の座ぐり貫通穴を穿孔することができ、これらの穴にアルミニウム(又はアルミニウム合金)プラグを挿入することができる。プラグは、ガス送達領域(例えば、穴の内部)をガスへの曝露から保護することができる。金属保護コーティングは、その後、下部パックプレートの上に施しても施さなくてもよい。
【0075】
一実施形態では、下部パックプレートの外壁がビーズブラストされて、外壁を約100~200マイクロインチの粗さ(Ra)に粗面化する。次いで、外壁に耐プラズマ性セラミックスコーティングをプラズマ溶射することができる。耐プラズマ性セラミックスコーティングは、実施形態において金属保護コーティング上に形成されてもよい。一実施形態では、耐プラズマ性セラミックスコーティングは、約2~10ミクロンの厚さを有する。更なる一実施形態では、耐プラズマ性セラミックスコーティングは、約3ミクロンの厚さを有する。
【0076】
ブロック708において、バッキングプレートが形成される。バッキングプレートに(例えば穿孔によって)1以上の穴を形成して、下部パックプレート内の構造体及び/又はガス穴へのアクセスを提供することができる。プラグが下部パックプレート内の穴に挿入される一実施形態では、ガス溝がバッキングプレートの上面に形成される(バッキングプレートは、下部パックプレートと接触する)。これらのガス溝は、ガスをプラグを通して、次に上部パックプレートの穴を通して流すためのアクセスを提供することができる。一実施形態では、上部パックプレート内の穴は多孔質プラグを含む。バッキングプレート内に穴を穿孔して、ガスがガス溝に流入する経路を提供してもよい。
【0077】
ブロック710において、下部パックプレートは、第1の金属接合を使用して上部パックプレートに金属接合される。ブロック715において、バッキングプレートは、第2の金属接合を使用して下部パックプレートに金属接合される。上部パックプレート、下部パックプレート、及びバッキングプレートを含む多層スタックは、静電パックアセンブリを形成することができる。
【0078】
一実施形態では、第1の金属接合は、上部パックプレートと下部パックプレートとの間にAl又はAlSi合金の金属箔を配置することによって形成される。一実施形態では、第2の金属接合は、下部パックプレートとバッキングプレートとの間にAl又はAlSi合金の追加の金属箔を配置することによって形成される。一実施形態では、金属箔は約50ミクロンの厚さとすることができる。圧力及び熱を印加して、金属箔と上部パックプレートと下部パックプレートとの間に第1の拡散接合を形成し、追加の金属箔と下部パックプレートとバッキングプレートとの間に第2の拡散接合を形成することができる。一実施形態では、上部パックプレート、金属箔、下部パックプレート、追加の金属箔、及びバッキングプレートを含むスタックが形成される。次いで、このスタックをホットプレスして、第1の金属接合及び第2の金属接合を単一の接合プロセスで形成することができる。
【0079】
一実施形態では、ブロック720において、導電性コーティングがバッキングプレートの外壁に施される。導電性コーティングはまた、金属接合の上に及び/又は下部パックプレートの上に施されてもよい。導電性コーティングは、コールドスプレー、スパッタリング、又は他の金属堆積技術によって施される金属コーティングとすることができる。一実施形態では、ブロック725において、耐プラズマ性セラミックスコーティングを導電性コーティングの上に施す。耐プラズマ性セラミックスコーティングは、プラズマ溶射、IAD、又は他のセラミックス堆積技術によって施すことができる。
【0080】
ブロック730において、熱ガスケットが冷却プレートに適用される。ブロック735において、冷却プレートが静電パックアセンブリに固定される。一実施形態では、締結具が下部パックプレート及び/又は冷却プレート内の構造体に挿入される。一実施形態では、締結具は、下部パックプレートが上部パックプレートに接合される前に、下部パックプレートに挿入される。そのような一実施形態では、締結具をパックに永久に埋め込んでもよい。その後、静電パックアセンブリは、(例えば、下部パックプレートの構造体から冷却プレート内の構造体内にあるナット内に突出するボルトを通すことによって)締結具を締め付けることによって、冷却プレートに結合することができる。
【0081】
前述の説明は、本発明のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、具体的なシステム、コンポーネント、方法等の例などの多数の具体的な詳細を説明している。しかしながら、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施することができることが当業者には明らかであろう。他の例において、周知のコンポーネント又は方法は、本発明を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明しないか、単純なブロック図形式で提示されている。したがって、説明された具体的な詳細は、単なる例示である。特定の実装では、これらの例示的な詳細とは異なる場合があるが、依然として本発明の範囲内にあることが理解される。
【0082】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」への参照は、その実施形態に関連して記載された特定の構成、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。したがって、本明細書を通じて様々な場所における「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指すものではない。また、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく包含的な「又は」を意味することを意図している。「約」又は「ほぼ」という用語が本明細書で使用される場合、これは提示される公称値が±10%以内で正確であることを意味することを意図している。
【0083】
本明細書内の本方法の操作は、特定の順序で図示され説明されているが、特定の操作を逆の順序で行うように、又は特定の操作を少なくとも部分的に他の操作と同時に実行するように、各方法の操作の順序を変更することができる。別の一実施形態では、異なる操作の命令又は副操作は、断続的及び/又は交互の方法とすることができる。
【0084】
なお、上記の説明は例示であり、限定的ではないことを意図していることが理解されるべきである。上記の説明を読み理解することにより、多くの他の実施形態が当業者にとって明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7