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特許7526234マルチビーム装置におけるビームセパレータの分散を補償するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】マルチビーム装置におけるビームセパレータの分散を補償するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/153 20060101AFI20240724BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H01J37/153 B
H01J37/28 B
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022138254
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2019570815の分割
【原出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2022172256
(43)【公開日】2022-11-15
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】62/538,609
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シュエドン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シュエラン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,シンアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ゾンウェイ
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139456(JP,A)
【文献】特開2011-238612(JP,A)
【文献】特開2015-216075(JP,A)
【文献】米国特許第08183526(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/153
H01J 37/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームセパレータを備える荷電粒子ビームシステム用の分散デバイスであって、
システムの前記荷電粒子ビームに対する第1のビーム分散を誘発するように構成された静電偏向器及び磁気偏向器を備え、
前記第1のビーム分散は、前記ビームセパレータによって引き起こされるビームの第2のビーム分散の影響を打ち消すように設定され、
前記静電偏向器は、前記ビームに第1の力を作用させ、
前記磁気偏向器は、前記ビームに第2の力を作用させ、
前記第1の力及び前記第2の力は、互いに反対であり、前記第1のビーム分散を形成し、
前記分散デバイスは、四極子場を生成して前記第1の力及び前記第2の力によって引き起こされる非点収差の影響を打ち消すことができる多極子レンズを更に備える、分散デバイス。
【請求項2】
前記第1のビーム分散が前記第2のビーム分散に対して変更されるときに、前記分散デバイスに起因する前記ビームの偏向角は変化しない、請求項1に記載の分散デバイス。
【請求項3】
前記偏向角は、ゼロである、請求項2に記載の分散デバイス。
【請求項4】
前記荷電粒子ビームシステムは、電子ビーム検査ツールを含む、請求項項1~の何れか一項に記載の分散デバイス。
【請求項5】
次荷電粒子ビームを生成するための放射源と、前記放射源の下にある第1の分散デバイスと、前記第1の分散デバイスの下にあるビームセパレータと、前記ビームセパレータの下にある対物レンズと、サンプルを支持するためのサンプルステージと、前記ビームセパレータの上にある検出器と、を備える荷電粒子ビーム装置であって
前記一次荷電粒子ビームは、前記対物レンズによって前記サンプル上に集束し、そこに一次プローブスポットを形成し、そこからの二次荷電粒子ビームを生成し、
前記ビームセパレータは、前記一次荷電粒子ビームと前記二次荷電粒子ビームを分離し、その結果、前記二次荷電粒子ビームが前記検出器によって検出され、
前記第1の分散デバイスは、前記一次荷電粒子ビームに対する第1の一次ビーム分散を生成し、
前記ビームセパレータは、前記一次荷電粒子ビームに対する第2の一次ビーム分散及び前記二次荷電粒子ビームに対する第2の二次ビーム分散を生成し、
前記第1の分散デバイスは、前記一次荷電粒子ビームに第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、
前記第1の力と前記第2の力は互いに反対であり、前記第1の一次ビーム分散を形成し、
前記第1の一次ビーム分散が前記一次プローブスポットに対する前記第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すように、前記第1の一次ビーム分散が調節され
前記荷電粒子ビーム装置は、前記ビームセパレータと前記検出器との間にあり、前記検出器に入射する二次荷電粒子ビームの位置及び角度のうちの少なくとも一方を調節するように構成された、1つ又は複数の二次偏向器を更に備える、荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記ビームセパレータは、第2の磁気偏向器を含む、請求項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記第1の分散デバイスによって引き起こされる前記一次荷電粒子ビームの第1の偏向角は、前記ビームセパレータによって引き起こされる前記一次荷電粒子ビームの第2の偏向角と等しく且つ反対である、請求項5又は6に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
前記第1の分散デバイスによって引き起こされる前記一次荷電粒子ビームの前記第1の偏向角は、ゼロである、請求項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
前記ビームセパレータは、ウィーンフィルタを含む、請求項5~8の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
前記一次プローブスポットに対する前記ビームセパレータ及び前記第1の分散デバイスにより引き起こされる非点収差の影響のうちの少なくとも1つを打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第1の多極子レンズを更に含む、請求項5~9の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
前記第1の多極子レンズは、前記ビームセパレータ及び前記第1の分散デバイスのうちの一方に隣接して配置される、請求項10に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
前記ビームセパレータは、前記一次プローブスポットに対する前記ビームセパレータ及び前記第1の分散デバイスにより引き起こされる非点収差の影響のうちの少なくとも1つを打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第2の多極子レンズを含む、又は、
前記第1の分散デバイスは、前記一次プローブスポットに対する前記ビームセパレータ及び前記第1の分散デバイスにより引き起こされる非点収差の影響のうちの少なくとも1つを打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第3の多極子レンズを含む、請求項10又は11に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項13】
前記ビームセパレータと前記検出器との間にあり、前記二次荷電粒子ビームに対する第1の二次ビーム分散を生成する、第2の分散デバイスを更に含み、
前記第2の分散デバイスは、第3の静電偏向器及び第3の磁気偏向器を含み、それらの偏向場は、前記第1の二次ビーム分散が、前記検出器上の前記二次荷電粒子ビームの前記二次プローブスポットに対する前記第2の二次ビーム分散の影響を打ち消すように調節される、請求項5~9の何れか一項に記載の荷電粒子ビームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本出願は、2017年7月28日に出願された米国特許出願第62/538,609号の優先権を主張するものであり、該出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本開示は、一般的に荷電粒子ビーム装置の分野に関し、より具体的には、シングルビーム又はマルチビーム装置におけるビームセパレータの分散を補償するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 集積回路(IC)の製造プロセスでは、未完成の又は完成した回路部品を検査して、それらが設計通りに製造され、欠陥がないことを保証する。光学顕微鏡を利用した検査システムは、通常、数百ナノメートルに至る分解能を有し、この分解能は、光の波長によって制限される。IC部品の物理的サイズが100ナノメートル未満、更には10ナノメートル未満に至るまで縮小し続けているので、光学顕微鏡を利用したものよりも高い分解能を実現する検査システムが必要である。
【0004】
[004] 走査電子顕微鏡(SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)などの、1ナノメートル未満に至る分解能を可能にする荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡は、100ナノメートル未満のフィーチャサイズを有するIC部品を検査するための実用的なツールとして機能する。SEMを用いて、単一の一次電子ビームの電子、又は複数の一次電子ビームの電子を、検査中のウェーハのプローブスポットに集束させることができる。一次電子とウェーハとの相互作用により、1つ又は複数の二次電子ビームがもたらされることがある。二次電子ビームには、一次電子とウェーハとの相互作用から生じる、後方散乱電子、二次電子、又はオージェ電子が含まれることがある。1つ又は複数の二次電子ビームの強度は、ウェーハの内部構造及び/又は外部構造の特性に基づいて、変化することがある。
【0005】
[005] 二次電子ビームの強度は、検出デバイス又は検出器を使用して決定することができる。二次電子ビームは、検出器の表面上の所定の位置に1つ又は複数のビームスポットを形成することができる。検出器は、検出された二次電子ビームの強度を表す電気信号(例えば、電流、電圧、等)を生成することができる。この電気信号を、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を用いて測定して、検出された電子の分布を取得することができる。検出時間ウィンドウ中に収集された電子の分布データを、ウェーハ表面に入射する1つ又は複数の一次電子ビームの対応する走査パスデータと組み合わせて使用して、検査中のウェーハ構造の画像を再構成することができる。再構成された画像を使用して、ウェーハの内部構造及び/又は外部構造の様々な特徴を明らかにすることができ、また、ウェーハ内に存在する可能性がある欠陥を明らかにすることができる。
【0006】
[006] 単一の一次ビーム及び単一の二次ビームを含む検査システム(シングルビーム装置)では、装置に一次ビームを通過させる穴がある場合、装置の光軸に沿って検出器を配置することができる。しかしながら、穴が存在すると、二次ビームの検出効率が低下することがあり、場合によっては、再構成画像の中心に黒い点が生じることがある。ビームセパレータを使用して、一次ビームから二次ビームを分離し、二次ビームを軸外に配置された検出器に向けることができる。複数の一次ビーム及び複数の二次ビームを含む検査システム(マルチビーム装置)では、ビームセパレータを使用して複数の一次ビームから複数の二次ビームを分離し、複数の二次ビームを軸外に配置された検出器に向けることができる。
【0007】
[007] ビームセパレータは、少なくとも1つの磁気偏向器を含み、従って1つ又は複数の一次ビーム上及び1つ又は複数の二次ビーム上に分散を生じさせる。分散により、一次ビームの丸いプローブスポットが楕円形に変形することがある。分散により、検出されるビームスポットが変形し、それによって、再構成画像の分解能の低下が引き起こされることがある。ビームセパレータは、一次ビーム及び二次ビームに、関連する非点収差も加える。更に、ビームセパレータに関連した偏向角は、一次ビームの非直線経路をもたらす。ビーム源とビームセパレータとの間に配置されるシングルビーム又はマルチビーム装置の光学素子は、光軸に対して傾斜している必要がある。タイトルをつけられた配置及びこれに関連するアライメントにより、装置に複雑さが追加される。更に、一次ビームのエネルギーに変化があると、一次ビームの偏向角を一定に維持するようにビームセパレータを調節することができる。しかしながら、この調節により、二次ビームの偏向角に、関連する変化が生じる。二次ビームの偏向角の変化を制御しないと、シングルビーム及びマルチビーム装置の両方において検出効率が低下することがあり、また、マルチビーム装置においてクロストーク問題を引き起こすこともある。
【発明の概要】
【0008】
[008] 本開示の実施形態は、シングルビーム又はマルチビーム装置におけるビームセパレータの分散を補償するためのシステム及び方法を提供する。実施形態によっては、分散デバイスが提供される。分散デバイスは、システムの荷電粒子ビームに対する第1のビーム分散を誘発するように構成された静電偏向器及び磁気偏向器を含む。第1のビーム分散は、ビームセパレータによって引き起こされるビームの第2のビーム分散の影響を打ち消すように設定される。静電偏向器は、ビームに第1の力を作用させ、磁気偏向器はビームに第2の力を作用させ、第1の力及び第2の力は互いに対して実質的に反対であり、第1のビーム分散を形成する。
【0009】
[009] 実施形態によっては、荷電粒子ビーム装置が提供される。荷電粒子ビーム装置は、一次荷電粒子ビームを生成するための放射源と、放射源の下にある第1の分散デバイスと、第1の分散デバイスの下にあるビームセパレータと、ビームセパレータの下にある対物レンズと、サンプルを支持するためのサンプルステージと、ビームセパレータの上にある検出器と、を備える。一次荷電粒子ビームは、対物レンズによってサンプル上に集束し、そこに一次プローブスポットを形成し、そこからの二次荷電粒子ビームを生成する。ビームセパレータは、一次荷電粒子ビームと二次荷電粒子ビームを分離し、その結果、二次荷電粒子ビームが検出器によって検出される。第1の分散デバイスは、一次荷電粒子ビームに対する第1の一次ビーム分散を生成し、ビームセパレータは、一次荷電粒子ビームに対する第2の一次ビーム分散及び二次荷電粒子ビームに対する第2の二次ビーム分散を生成する。第1の分散デバイスは、一次荷電粒子ビームに第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、第1の力と第2の力は互いに反対であり、第1の一次ビーム分散を形成し、第1の一次ビーム分散は、第1の一次ビーム分散が一次プローブスポットに対する第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すように、調節される。
【0010】
[010] 実施形態によっては、ビームセパレータを備える荷電粒子ビームシステムにおいて分散を制御するための方法が提供される。この方法は、システムの一次荷電粒子ビームの経路内に第1の分散デバイスを設けることと、ビームセパレータの上流に第1の分散デバイスを配置することと、第1の分散デバイスによって一次荷電粒子ビームに対する第1の一次ビーム分散を生成することと、第1の一次ビーム分散を調節して、ビームセパレータによって引き起こされる一次荷電粒子ビームの第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すことと、を含む。第1の分散デバイスは、一次荷電粒子ビームに第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、第1の力と第2の力は互いに反対であり、第1の一次ビーム分散を形成する。
【0011】
[011] 実施形態によっては、荷電粒子ビーム装置が提供される。荷電粒子ビーム装置は、一次荷電粒子ビームを提供するように構成された放射源と、一次荷電粒子ビームの複数のビームレットを使用して放射源の複数の平行像を形成するように構成された放射源変換ユニットと、対物レンズを有する第1の投影系であって、サンプル上に複数の平行像を投影し、従って複数のビームレットを用いてサンプル上に複数の一次プローブスポットを形成するように構成された第1の投影系と、複数の一次プローブスポットによってサンプルから生成された複数の二次荷電粒子ビームと複数のビームレットを分離するように構成されたビームセパレータと、複数の検出素子を有する検出デバイスと、複数の二次荷電粒子ビームを検出デバイス上に集束させ、そこに複数の二次プローブスポットを形成するように構成された二次投影系と、を含み、複数の二次プローブスポットは複数の検出素子によって検出され、またこの荷電粒子ビーム装置は、ビームセパレータの上流に配置され、複数のビームレットに対する複数の第1の一次ビーム分散を生成するように構成された、第1の分散デバイスを含み、複数の第1の一次ビーム分散は、複数の一次プローブスポットに対するビームセパレータによって生成された複数の第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すように調節される。第1の分散デバイスは、複数のビームレットの各々に第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、第1の力と第2の力は互いに反対であり、対応する第1の一次ビーム分散を形成する。
【0012】
[012] 実施形態によっては、ビームセパレータを備える荷電粒子ビームシステムにおいて分散を制御するための方法が提供される。この方法は、放射源変換ユニットを提供して、放射源によって生成された一次荷電粒子ビームの複数のビームレットによる放射源の複数の像を形成することと、複数のビームレットの経路内に第1の分散デバイスを設けることと、ビームセパレータの上流に第1の分散デバイスを配置することと、第1の分散デバイスにより複数のビームレットに対する複数の第1の一次ビーム分散を生成することと、複数の第1の一次ビーム分散を調節して、複数のビームレットに対するビームセパレータにより生成された複数の第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すことと、を含む。第1の分散デバイスは、複数のビームレットの各々に第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、第1の力と第2の力は互いに反対であり、対応する第1の一次ビーム分散を形成する。
【0013】
[013] 開示する実施形態の追加の目的及び利点が、以降の説明において部分的に記載され、その説明から部分的に明らかになるか、又は、実施形態を実施することによって学ばれることがある。開示する実施形態の目的及び利点は、特許請求の範囲に記載される要素及び組み合わせによって実現され、達成されることがある。
【0014】
[014] 前述の一般的な説明及び以降の詳細な説明の両方とも、例示的であり説明のためのみのものであり、特許請求されるような、開示する実施形態を限定するものではないことを、理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[015]本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
図2A】[016]本開示の実施形態と一致した、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部であり得る例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図2B】[016]本開示の実施形態と一致した、図1の例示的な電子ビーム検査システムの一部であり得る例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3A】[017]本開示の実施形態と一致する、例示的な分散デバイスを示す概略図である。
図3B】[017]本開示の実施形態と一致する、例示的な分散デバイスを示す概略図である。
図3C】[017]本開示の実施形態と一致する、例示的な分散デバイスを示す概略図である。
図4A】[018]本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置を示す概略図である。
図4B】[018]本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置を示す概略図である。
図5】[019]本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置を示す概略図である。
図6】[020]本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置を示す概略図である。
図7】[021]本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図8】[022]本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図9】[023]本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図10】[024]本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置を示す概略図である。
図11】[025]本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図12】[026]本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図13】[027]本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図14】[028]本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図15】[029]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子ビームシステムにおける分散を制御するための例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[030] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照する。これらの実施形態の例が、添付の図面に示されている。以下の説明は添付の図面を参照し、異なる図面中の同じ番号は、特に断りの無い限り、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明文中に記載される実装は、本発明と一致する全ての実装を表すものではない。その代わり、それらは、添付の特許請求の範囲に列挙されるような本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例にすぎない。
【0017】
[031] 本開示は、シングルビーム又はマルチビーム装置におけるビームセパレータの分散を補償するためのシステム及び方法に関する。ビームセパレータは、1つ又は複数の一次ビーム上及び1つ又は複数の二次ビーム上に分散を生じさせる。本開示の実施形態は、ビームセパレータによって生成された分散を打ち消すように設定されたビーム分散を誘発するように構成された静電偏向器及び磁気偏向器を含む分散デバイスを提供する。静電偏向器及び磁気偏向器の組み合わせを使用して、ビームセパレータによって生成される分散の変化を補償するように、誘発されるビーム分散を変更するときに、(分散デバイスに起因する)偏向角を不変に保つことができる。実施形態によっては、偏向角をゼロにするように制御することができ、分散デバイスに起因する一次ビーム軸の変化はない。実施形態によっては、分散デバイスは、一次ビームにより形成されるプローブスポットに対するビームセパレータ及び分散デバイスにより引き起こされる非点収差の影響のうちの少なくとも1つを打ち消すように四極子場を生成するように構成された、多極子レンズ(例えば、四極子レンズ)を含むことがある。
【0018】
[032] ここで図1を参照する。図1は、本開示の実施形態と一致した、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を示す。図1に示すように、EBIシステム100は、メインチャンバ101、装填/ロックチャンバ102、電子ビームツール104、及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)106を含む。電子ビームツール104は、メインチャンバ101内部に配置されている。
【0019】
[033] EFEM106は、第1の装填ポート106a及び第2の装填ポート106bを含む。EFEM106は、追加の装填ポートを含むことがある。第1の装填ポート106a及び第2の装填ポート106bは、検査されるべきウェーハ(例えば、半導体ウェーハ、又は他の材料で作られたウェーハ)又は試料(ウェーハ及び試料は、以降ではまとめて「ウェーハ」と呼ばれる)を収容するウェーハFOUP(front opening unified pod)を受け取る。EFEM106内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、ウェーハを装填/ロックチャンバ102に運ぶ。
【0020】
[034] 装填/ロックチャンバ102は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、大気圧よりも低い第1の圧力に達するように、装填/ロックチャンバ102内のガス分子を除去する。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)がウェーハを装填/ロックチャンバ102からメインチャンバ101に運ぶことができる。メインチャンバ101は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、このポンプシステムは、第1の圧力よりも低い第2の圧力に達するように、メインチャンバ101内のガス分子を除去する。第2の圧力に達した後、ウェーハは電子ビームツール104による検査にかけられる。
【0021】
[035] ここで図2Aを参照する。図2Aは、本開示の実施形態と一致した、電子ビームツール104の例示的な構成要素を示す。図2Aは、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放射される一次電子ビーム210、ビーム制限開口部216、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、対物レンズ228、サンプルステージ(図2Aには図示せず)、二次電子ビーム220、及び電子検出器218を含む電子ビームツール104A(本明細書では装置104Aとも呼ばれる)を示す。電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、ビーム制限開口部216、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置104Aの光軸202と位置合わせすることができる。
【0022】
[036] 電子源206は、カソード、抽出器又はアノードを含むことができ、一次電子は、カソードから放出され、抽出され又は加速されて、高エネルギー(例えば、8~20keV)、高い角度強度(例えば、0.1~1mA/sr)及び(仮想の又は現実の)クロスオーバー208を伴う一次電子ビーム210を形成することができる。一次電子ビーム210は、クロスオーバー208から放出されるものとして視覚化することができる。銃開口部212は、一次電子ビーム210の周辺電子を遮断して、クーロン効果を低減することができる。クーロン効果は、プローブスポット236のサイズの増加を引き起こすことがある。
【0023】
[037] 集光レンズ214は一次電子ビーム210を集束させることができ、ビーム制限開口部216は一次電子ビーム210のサイズを制限することができる。ビーム制限開口部216の下流の一次電子ビーム210の電流は、集光レンズ214の集束力を調節することにより、又はビーム制限開口部216の半径方向のサイズを変更することにより、変化させることができる。対物レンズ228は、一次電子ビーム210を検査のためにサンプル238上に集束させることができる。一次電子ビーム210は、サンプル238の表面にプローブスポット236を形成することができる。
【0024】
[038] プローブスポット236における一次電子ビーム210の入射に応答して、二次電子ビーム220がサンプル238から放出されることがある。二次電子ビーム220は、二次電子(エネルギー≦50eV)及び後方散乱電子(50eVと一次電子ビーム210のランディングエネルギーとの間のエネルギー)を含むエネルギーの分布を伴う電子を含むことがある。
【0025】
[039] ビームセパレータ222は、静電双極子場E1及び磁気双極子場B1を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタ型のビームセパレータとすることができる。ウィーンフィルタ型のビームセパレータの場合、一次電子ビーム210の電子に静電双極子場E1によって作用する力は、磁気双極子場B1によって電子に作用する力と、大きさが等しく、方向が反対になる。従って、一次電子ビーム210は、偏向角ゼロでビームセパレータ222をまっすぐに通過することができる。しかしながら、ビームセパレータ222によって生成される一次電子ビーム210の全分散は、ゼロではない。ビームセパレータ222の分散面224について、図2Aは、公称エネルギーV及びエネルギーの広がりΔVを有する一次電子ビーム210の、エネルギーV-ΔV/2に対応するビーム部分230、エネルギーVに対応するビーム部分232、及びエネルギーV+ΔV/2に対応するビーム部分234への分散を示す。二次電子ビーム220の電子にビームセパレータ222によって作用する力の全体は、ゼロではない。従って、ビームセパレータ222は、一次電子ビーム210から二次電子ビーム220を分離し、二次電子ビーム220を電子検出器218に向けることができる。電子検出器218は、二次電子ビーム220を検出し、対応する信号を生成することができる。
【0026】
[040] 偏向走査ユニット226は、一次電子ビーム210を偏向させて、サンプル238の表面領域に渡って、プローブスポット236を走査することができる。電子検出器218は、対応する二次電子ビーム220を検出し、サンプル238の表面領域の画像を再構成するのに使用される対応する信号を生成することができる。
【0027】
[041] 対物レンズ228の対物面204は、集光レンズ214の集束力の変化に伴ってシフトすることがある。一次電子ビーム210については、ビームセパレータ222の分散面224と対物レンズ228の対物面204が一致しない場合、ビーム部分230、232、及び234は分離したままであり、プローブスポット236は分散方向に延びる。これにより、サンプル238の再構成画像の分解能の低下が引き起こされることがある。
【0028】
[042] ここで図2Bを参照する。図2Bは、電子ビームツール104B(本明細書では装置104Bとも呼ばれる)を示しており、このツール104Bは、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、放射源変換ユニット252、一次電子ビーム210の複数のビームレット254、256、及び258、一次投影光学系260、サンプルステージ(図2Bには図示せず)、複数の二次電子ビーム276、278、及び280、二次光学系282、並びに電子検出デバイス284を含む。一次投影光学系260は、対物レンズ228を含むことができる。電子検出デバイス284は、検出素子286、288、及び290を含むことができる。ビームセパレータ222及び偏向走査ユニット226は、一次投影光学系260の内部に配置することができる。
【0029】
[043] 電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置104Bの一次光軸250と位置合わせすることができる。二次光学系282及び電子検出デバイス284は、装置104Bの二次光軸292と位置合わせすることができる。
【0030】
[044] 電子源206は、カソード、抽出器又はアノードを含むことができ、一次電子は、カソードから放出され、抽出され又は加速されて、(仮想の又は現実の)クロスオーバー208を伴う一次電子ビーム210を形成することができる。一次電子ビーム210は、クロスオーバー208から放出されるものとして視覚化することができる。銃開口部212は、一次電子ビーム210の周辺電子を遮断して、クーロン効果を低減することができる。クーロン効果は、プローブスポット270、272、及び274のサイズの増加を引き起こすことがある。
【0031】
[045] 放射源変換ユニット252は、画像形成素子のアレイ(図2Bには図示せず)及びビーム制限開口部のアレイ(図2Bには図示せず)を含むことができる。画像形成素子のアレイは、超小型偏向器及び超小型レンズのアレイを含むことができる。画像形成素子のアレイは、一次電子ビーム210の複数のビームレット254、256、及び258を伴う、クロスオーバー208の(仮想の又は現実の)複数の平行な像を形成することができる。ビーム制限開口部のアレイは、複数のビームレット254、256、及び258を制限することができる。
【0032】
[046] 集光レンズ214は、一次電子ビーム210を集束させることができる。放射源変換ユニット252の下流のビームレット254、256、及び258の電流は、集光レンズ214の集束力を調節することにより、又は、ビーム制限開口部のアレイ内部の対応するビーム制限開口部の半径サイズを変更することにより、変化させることができる。対物レンズ228は、検査用のサンプル238上にビームレット254、256、及び258を集束させることができ、サンプル238の表面上に複数のプローブスポット270、272、及び274を形成することができる。
【0033】
[047] ビームセパレータ222は、静電双極子場E1及び磁気双極子場B1(これらは両方とも図2Bには図示せず)を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタ型のビームセパレータとすることができる。それらが適用される場合、ビームレット254、256、及び258の電子に静電双極子場E1によって作用する力は、磁気双極子場B1によって電子に作用する力と、大きさが等しく、方向が反対になる。従って、ビームレット254、256、及び258は、偏向角ゼロでビームセパレータ222をまっすぐに通過することができる。しかしながら、ビームセパレータ222によって生成されるビームレット254、256、及び258の全分散は、ゼロではない。ビームセパレータ222の分散平面224について、図2Bは、公称エネルギーV及びエネルギーの広がりΔVを有するビームレット254の、エネルギーVに対応するビームレット部分262、エネルギーV+ΔV/2に対応するビームレット部分264、及びエネルギーV-ΔV/2に対応するビームレット部分266への分散を示す。二次電子ビーム276、278、及び280の電子にビームセパレータ222によって作用する力の全体は、ゼロではない。従って、ビームセパレータ222は、ビームレット252、254、及び256から二次電子ビーム276、278、及び280を分離し、二次電子ビーム276、278、及び280を二次光学系282に向けることができる。
【0034】
[048] 偏向走査ユニット226は、ビームレット254、256、及び258を偏向させて、サンプル238の表面領域に渡って、プローブスポット270、272、274を走査することができる。プローブスポット270、272、及び274におけるビームレット254、256、及び258の入射に応答して、二次電子ビーム276、278、及び280がサンプル238から放出されることがある。二次電子ビーム276、278、及び280は、二次電子(エネルギー≦50eV)及び後方散乱電子(50eVとビームレット254、256、及び258のランディングエネルギーとの間のエネルギー)を含むエネルギーの分布を伴う電子を含むことがある。二次光学系282は、二次電子ビーム276、278、及び280を、電子検出デバイス284の検出素子286、288、及び290に集束させることができる。検出素子286、288、及び290は、対応する二次電子ビーム276、278、及び280を検出し、サンプル238の表面領域の画像を再構成するのに使用される対応する信号を生成することができる。
【0035】
[049] ここで図3Aを参照する。図3Aは、本開示の実施形態と一致する、例示的な分散デバイスを示す概略図である。図3Aは、静電偏向器及び磁気偏向器を含む分散デバイス310を示す。静電偏向器は静電双極子場Eを生成することができ、磁気偏向器は磁気双極子場Bを生成することができ、E及びBは、実質的に互いに垂直に且つ光軸330に垂直に重ね合わされる。光軸330に沿って伝搬する電子ビーム210の電子に、静電双極子場Eは力Fを作用させ、磁気双極子場BはFを作用させる。力F及びFは、実質的に反対の方向に作用する。公称エネルギーV及び公称速度vを有する電子に対して静電双極子場E及び磁気双極子場Bによって作用する力の全体は、以下の式を用いて計算することができる。
F(v)=F+F=e(E-v×B) (1)
【0036】
[050] エネルギーV+dV及び速度v+dvを有する電子の場合、静電双極子場E及び磁気双極子場Bによって作用する力の全体は、以下の式を用いて計算することができる。
F(v+dv)=F+F=F(v)-(e×dv×B) (2)
【0037】
[051] ここで図3Bを参照する。図3Bは、本開示の実施形態と一致する分散デバイス311を示す。分散デバイス310と同様に、分散デバイス311は、対応する静電双極子場E及び磁気双極子場Bを生成することができる静電偏向器及び磁気偏向器を含む。静電偏向器及び磁気偏向器は、EとBが、実質的に互いに垂直に且つ光軸331に垂直に重ね合わされるように、配置することができる。分散デバイス311では、静電双極子場E及び磁気双極子Bは、E及びBを変化させたときに力の合計(F+F)が実質的にゼロになるように制御することができる。従って、図3Bに示すように、公称偏向角はゼロである。分散面341において分散デバイス311によって誘発される偏向分散は、偏向角をゼロに維持しながらE及びBを変化させることによって、制御することができる。
【0038】
[052] ここで図3Cを参照する。図3Cは、本開示の実施形態と一致する分散デバイス312を示す。分散デバイス310及び311と同様に、分散デバイス312は、対応する静電双極子場E及び磁気双極子場Bを生成することができる静電偏向器及び磁気偏向器を含む。静電偏向器及び磁気偏向器は、EとBが、実質的に互いに垂直に且つ光軸332に垂直に重ね合わされるように、配置することができる。分散デバイス312では、静電双極子場E及び磁気双極子Bは、E及びBを変化させたときに力の合計(F+F)が非ゼロの定数値になるように制御することができる。従って、図3Cに示すように、公称偏向角αは非ゼロである。分散面342において分散デバイス312によって誘発される偏向分散は、偏向角をαに維持しながらE及びBを変化させることによって、制御することができる。
【0039】
[053] ここで図4Aを参照する。図4Aは、本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置400を示す。シングルビーム装置400は、図3Bの分散デバイス311を更に備える図2Aの電子ビームツール104Aであり得る。図4Aは、対物レンズ228の対物面204が対物レンズ228の上方にある場合の分散デバイス311の動作を示す。図4Bは、対物レンズ228の対物面204が対物レンズ228の下方にある場合の分散デバイス311の動作を示す。以下で説明するように、開示する実施形態は、対物レンズ228の動作モードを制限することなく、ビーム分散を補償することができる。
【0040】
[054] シングルビーム装置400は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、ビーム制限開口部216、分散デバイス311、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、対物レンズ228、二次電子ビーム220、及び電子検出器218を含むことができる。電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、ビーム制限開口部216、分散デバイス311、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、シングルビーム装置400の光軸402と位置合わせすることができる。
【0041】
[055] 図3Bを参照して上述したように、分散デバイス311に関連した公称分散角はゼロであり、一次電子ビーム210は分散デバイス311をまっすぐに通過することができる。分散デバイス311は、E及びBの値に基づいてビーム分散を誘発することができる。一次電子ビーム210は、ウィーンフィルタ型のビームセパレータ222もまっすぐに通過することができる。ビームセパレータ222は、E及びBの値に基づいてビーム分散を誘発することもできる。ビームセパレータ222によって誘発されるビーム分散は、主分散(MDS)と呼ばれることがあり、分散デバイス311によって誘発されるビーム分散は補償分散(CDS)と呼ばれることがある。分散デバイス311は、MDSと方向が逆のCDSを生成するように構成され制御されることがある。例えば、図4Aを参照すると、エネルギー>公称エネルギーVを有する電子は、ビームセパレータ222によって-x方向に向けて、且つ分散デバイス311によって+x方向に向けて、偏向されることがある(ビーム経路430に対応する)。エネルギー<公称エネルギーVを有する電子は、ビームセパレータ222によって+x方向に向けて、且つ分散デバイス311によって-x方向に向けて、偏向されることがある(ビーム経路434に対応する)。分散デバイス311によって生成されるCDSの大きさを制御して、公称エネルギーVとは異なるエネルギーを有する電子(例えば、ビーム経路430及び434に対応する電子)を生成して、対物面204上に仮想的に集束させることができる。従って、対物レンズ228は一次電子ビーム210をサンプル238に集束させてプローブスポット236を形成する。
【0042】
[056] ここで図5を参照する。図5は、本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置500を示す。シングルビーム装置500は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、ビーム制限開口部216、分散デバイス311、ビームセパレータ510、偏向走査ユニット226、対物レンズ228、二次電子ビーム220、及び電子検出器218を含むことができる。ビームセパレータ510は磁気偏向器を含み、従って、関連する偏向角540は非ゼロの値を有する。電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、ビーム制限開口部216、分散デバイス311、ビームセパレータ510、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、シングルビーム装置500の光軸502を基準にして位置合わせすることができる。
【0043】
[057] 図3Bを参照して上述したように、分散デバイス311に関連した公称分散角はゼロであり、一次電子ビーム210は分散デバイス311をまっすぐに、関連するビーム分散CDSを有して通過することができる。公称エネルギーVを有して光軸502に沿って移動する一次電子ビーム210の電子は、(ビームセパレータ510の光軸に対して)入射角540で、ビームセパレータ510に入射することができる。エネルギー>Vを有する光軸502に沿って移動する電子は、入射角<角度540でビームセパレータ510に入射することができる。エネルギー<Vを有する光軸502に沿って移動する電子は、入射角>角度540でビームセパレータ510に入射することができる。
【0044】
[058] ビームセパレータ510は、角度540に等しい公称偏向角及び関連するビーム分散MDSで一次電子ビーム210を偏向させることができる。公称エネルギーVを有する電子は、角度540に等しい角度で偏向されることがある。エネルギー>Vを有する電子は、角度540より小さな角度で偏向されることがある。エネルギー<Vを有する電子は、角度540より大きな角度で偏向されることがある。
【0045】
[059] 分散デバイス311によって生成されるCDSは、異なるエネルギーを有する電子についてCDSによって生成される入射角の変動分が、MDSによって生成される偏向角の変動分を補償できるように、制御することができる。従って、異なるエネルギーを有する電子を制御して、対物面204上に仮想的に集束させることができる。更に、対物レンズ228は、(ビーム経路530、532、及び534に対応する)異なるエネルギーを有する電子をサンプル238に集束させて、プローブスポット236を形成することができる。
【0046】
[060] ここで図6を参照する。図6は、本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置600を示す。シングルビーム装置600は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、ビーム制限開口部216、分散デバイス312、ビームセパレータ510、偏向走査ユニット226、対物レンズ228、二次電子ビーム220、及び電子検出器218を含むことができる。ビームセパレータ510は磁気偏向器を含み、従って、関連する偏向角642は非ゼロの値を有する。電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、ビーム制限開口部216、分散デバイス312、ビームセパレータ510、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、シングルビーム装置600の光軸602を基準にして位置合わせすることができる。
【0047】
[061] 図3Cを参照して上述したように、分散デバイス312に関連した公称分散角は非ゼロであり、一次電子ビーム210は分散デバイス312を、公称偏向角641で関連するビーム分散CDSを有して通過することができる。シングルビーム装置600の場合、公称エネルギーVを有する光軸602に沿って移動する一次電子ビーム210の電子は、(分散デバイス312の)偏向面342において角度641だけ偏向されることがあり、入射角641で(ビームセパレータ510の)偏向面520に入射することがある。エネルギー>Vを有する光軸602に沿って移動する電子は、入射角<角度641でビームセパレータ510に入射することができる。エネルギー<Vを有する光軸602に沿って移動する電子は、入射角>角度641でビームセパレータ510に入射することができる。
【0048】
[062] ビームセパレータ510は、公称偏向角642及び関連するビーム分散MDSで一次電子ビーム210を偏向させることができる。公称エネルギーVを有する電子は、角度642だけ偏光面520で偏向されることがある。エネルギー>Vを有する電子は、角度642より小さな角度で偏向されることがある。エネルギー<Vを有する電子は、角度642より大きな角度で偏向されることがある。
【0049】
[063] 分散デバイス312によって生成されるCDSは、異なるエネルギーを有する電子についてCDSによって生成される入射角の変動分が、MDSによって生成される偏向角の変動分を補償できるように、制御することができる。従って、異なるエネルギーを有する電子を制御して、対物面204上に仮想的に集束させることができる。更に、対物レンズ228は、(ビーム経路630、632、及び634に対応する)異なるエネルギーを有する電子をサンプル238に集束させて、プローブスポット236を形成することができる。分散デバイス312は、静電偏向器及び磁気偏向器を含み、従って偏向角641を一定に保ちながらCDSを変化させることができる。従って、CDSを変更して対物面204の位置変動と適合させることができ、対物レンズ228の動作モードには制限はない。更に、分散デバイス312を制御して角度641と642を等しく維持することができる。よって、光軸602を、ビームセパレータ510の光軸に平行に維持することができる。これにより、シングルビーム装置600の様々な構成要素の配置及びアライメントを単純化することができる。
【0050】
[064] ここで図7を参照する。図7は、本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置700を示す。マルチビーム装置700は、図3Bの分散デバイス311を更に備える図2Bの電子ビームツール104Aであり得る。
【0051】
[065] マルチビーム装置700は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、放射源変換ユニット252、一次電子ビーム210の複数のビームレット254、256、及び258、一次投影光学系260、複数の二次電子ビーム730、732、及び734、二次光学系282、並びに電子検出デバイス284を含むことができる。一次投影光学系260は、対物レンズ228を含むことができる。電子検出デバイス284は、検出素子286、288、及び290を含むことができる。分散デバイス311、ビームセパレータ222、及び偏向走査ユニット226は、一次投影光学系260の内部に配置することができる。
【0052】
[066] 電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、分散デバイス311、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置700の一次光軸702と位置合わせすることができる。二次光学系282及び電子検出デバイス284は、装置700の二次光軸292と位置合わせすることができる。
【0053】
[067] 図3Bを参照して上述したように、分散デバイス311に関連した公称分散角はゼロであり、ビームレット254、256、及び258は分散デバイス311をまっすぐに通過することができる。分散デバイス311は、ビームレット254、256、及び258に対してCDSを誘発することができる。分散デバイス311は、一次投影光学系260の上方に配置することができる。
【0054】
[068] ビームレット254、256、及び258は、ウィーンフィルタ型のビームセパレータ222もまっすぐに通過することができる。ビームセパレータ222は、ビームレットに対してMDSを誘発することができる。図4A及び図4Bを参照して上述したように、分散デバイス311は、MDSと方向が逆のCDSを生成するように構成され制御されることがある。分散デバイス311によって生成されるCDSの大きさを制御して、各ビームレットの分散電子(例えば、ビーム経路720及び724に対応する電子)を対物レンズ228の対物面上に仮想的に集束させることができる。従って、対物レンズ228は、ビームレット254、256、及び258の分散電子をサンプル238上に集束させて、対応するプローブスポット270、272、及び274を形成する。
【0055】
[069] ここで図8を参照する。図8は、本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置800を示す。マルチビーム装置800は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、放射源変換ユニット252、一次電子ビーム210の複数のビームレット254、256、及び258、一次投影光学系260、複数の二次電子ビーム830、832、及び834、二次光学系282、並びに電子検出デバイス284を含むことができる。一次投影光学系260は、対物レンズ228を含むことができる。電子検出デバイス284は、検出素子286、288、及び290を含むことができる。分散デバイス311、ビームセパレータ510、及び偏向走査ユニット226は、一次投影光学系260の内部に配置することができる。
【0056】
[070] 電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、分散デバイス311、ビームセパレータ510、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置800の一次光軸802と位置合わせすることができる。二次光学系282及び電子検出デバイス284は、装置800の二次光軸292と位置合わせすることができる。
【0057】
[071] 図3Bを参照して上述したように、分散デバイス311に関連した公称分散角はゼロであり、ビームレット254、256、及び258は分散デバイス311をまっすぐに通過することができる。分散デバイス311は、ビームレット254、256、及び258に対してCDSを誘発することができる。分散デバイス311は、一次投影光学系260の上方に配置することができる。
【0058】
[072] ビームセパレータ510は、角度804に等しい公称偏向角及び関連するビーム分散MDSでビームレット254、256、及び258を偏向させることができる。公称エネルギーVを有する電子は、角度804に等しい角度で偏向されることがある。エネルギー>Vを有する電子は、角度804より小さな角度で偏向されることがある。エネルギー<Vを有する電子は、角度804より大きな角度で偏向されることがある。
【0059】
[073] 分散デバイス311によって生成されるCDSは、異なるエネルギーを有する電子についてCDSによって生成される入射角の変動分が、MDSによって生成される偏向角の変動分を補償できるように、制御することができる。従って、異なるエネルギーを有する電子を制御して、対物レンズ228の対物面上に仮想的に集束させることができる。更に、対物レンズ228は、(ビーム経路820、822、及び824に対応する)異なるエネルギーを有する電子をサンプル238に集束させて、対応するプローブスポット270、272、及び274を形成することができる。
【0060】
[074] ここで図9を参照する。図9は、本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置900を示す。マルチビーム装置900は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、放射源変換ユニット252、一次電子ビーム210の複数のビームレット254、256、及び258、一次投影光学系260、複数の二次電子ビーム930、932、及び934、二次光学系282、並びに電子検出デバイス284を含むことができる。一次投影光学系260は、対物レンズ228を含むことができる。電子検出デバイス284は、検出素子286、288、及び290を含むことができる。分散デバイス312、ビームセパレータ510、及び偏向走査ユニット226は、一次投影光学系260の内部に配置することができる。
【0061】
[075] 電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、分散デバイス312、ビームセパレータ510、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置900の一次光軸902と位置合わせすることができる。二次光学系282及び電子検出デバイス284は、装置900の二次光軸292と位置合わせすることができる。
【0062】
[076] 図3Cを参照して上述したように、分散デバイス312に関連した公称分散角は非ゼロであり、一次電子ビーム210は分散デバイス312を、公称偏向角908で関連するビーム分散CDSを有して通過することができる。公称エネルギーVを有する光軸902に沿って移動するビームレット254、256、及び258の電子は、入射角908でビームセパレータ510に入射することができる。エネルギー>Vを有する光軸902に沿って移動する電子は、入射角<角度908でビームセパレータ510に入射することができる。エネルギー<Vを有する光軸902に沿って移動する電子は、入射角>角度908でビームセパレータ510に入射することができる。分散デバイス312は、一次投影光学系260の上方に配置することができる。
【0063】
[077] ビームセパレータ510は、角度910に等しい公称偏向角及び関連するビーム分散MDSでビームレット254、256、及び258を偏向させることができる。公称エネルギーVを有する電子は、角度910に等しい角度で偏向されることがある。エネルギー>Vを有する電子は、角度910より小さな角度で偏向されることがある。エネルギー<Vを有する電子は、角度910より大きな角度で偏向されることがある。
【0064】
[078] 分散デバイス312によって生成されるCDSは、異なるエネルギーを有する電子についてCDSによって生成される入射角の変動分が、MDSによって生成される偏向角の変動分を補償できるように、制御することができる。従って、異なるエネルギーを有する電子を制御して、対物レンズ228の対物面上に仮想的に集束させることができる。更に、対物レンズ228は、(ビーム経路920、922、及び924に対応する)異なるエネルギーを有する電子をサンプル238に集束させて、対応するプローブスポット270、272、及び274を形成することができる。分散デバイス312は、静電偏向器及び磁気偏向器を含み、従って偏向角908を一定に保ちながらCDSを変化させることができる。従って、CDSを変更して対物面204の位置変動と適合させることができ、対物レンズ228の動作モードには制限はない。更に、分散デバイス312を制御して角度908と910が等しくなるように維持することができる。よって、光軸902を、ビームセパレータ510の光軸906に平行に維持することができる。これにより、シングルビーム装置900の様々な構成要素の配置及びアライメントを単純化することができる。
【0065】
[079] ここで図10を参照する。図10は、本開示の実施形態と一致する、例示的なシングルビーム装置1000を示す。シングルビーム装置1000は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、ビーム制限開口部216、多極子レンズ1010、分散デバイス311、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、対物レンズ228、及び電子検出器218を含むことができる。電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、ビーム制限開口部216、多極子レンズ1010、分散デバイス311、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、シングルビーム装置1000の光軸1002と位置合わせすることができる。多極子レンズ1010は、四極子場を生成して、一次ビームプローブスポットに対するビームセパレータ222及び分散デバイス311によって引き起こされる非点収差のうちの一方又は両方の影響を打ち消すように、構成することができる。多極子レンズ1010は、電子源206とサンプル238との間の異なる位置に配置することができる。実施形態によっては、多極子レンズ1010は、ビームセパレータ222に隣接して配置されることがある。実施形態によっては、多極子レンズ1010は、分散デバイス311に隣接して配置されることがある。
【0066】
[080] 実施形態によっては、分散デバイスの静電偏向器及び磁気偏向器のうちの一方又は両方は、四極子場を生成して非点収差の影響を打ち消すように構成される多極子構造を含むことがある。一例として、図3B図4A~B、図5図7図8、又は図10の分散デバイス311は、四極子場を含むことができる。他の例では、図6又は図9の分散デバイス312は、四極子場を含むことができる。
【0067】
[081] 実施形態によっては、ビームセパレータの静電偏向器及び磁気偏向器のうちの一方又は両方は、四極子場を生成して非点収差の影響を打ち消すように構成された多極子構造を含むことがある。一例として、図4図7、又は図10のビームセパレータ222は四極子場を含むことがある。他の例では、図5図6図8、又は図9のビームセパレータ510は、四極子場を含むことがある。
【0068】
[082] 実施形態によっては、放射源変換ユニット内部の画像形成素子のうちの1つは、四極子場を生成して非点収差の影響を打ち消すように構成される多極子構造を含むことがある。例えば、図7図8、又は図9の放射源変換ユニット252内部の画像形成素子は、四極子場を含むことがある。
【0069】
[083] 実施形態によっては、放射源変換ユニットは、画像補償素子のアレイを含むことがある。画像補償素子のうちの1つは、四極子場を生成して非点収差の影響を打ち消すように構成された多極子構造を含むことがある。例えば、図7図8、又は図9の放射源変換ユニット252内部の画像補償素子は、四極子場を含むことがある。
【0070】
[084] ここで図11を参照する。図11は、本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置1100を示す。マルチビーム装置1100は、第1の二次偏向器1110及び第2の二次偏向器1120を更に備える図8のマルチビーム装置800であり得る。実施形態によっては、二次偏向器1110は静電偏向器であり得る。他の実施形態では、二次偏向器1110は磁気偏向器であり得る。実施形態によっては、二次偏向器1120は静電偏向器であり得る。他の実施形態では、二次偏向器1120は磁気偏向器であり得る。
【0071】
[085] マルチビーム装置1100は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、一次投影光学系260、二次偏向器1110、二次偏向器1120、二次光学系282、及び電子検出デバイス284を含むことができる。一次投影光学系260は、対物レンズ228を含むことができる。電子検出デバイス284は、検出素子286、288、及び290を含むことができる。分散デバイス311、ビームセパレータ510、及び偏向走査ユニット226は、一次投影光学系260の内部に配置することができる。
【0072】
[086] 電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、分散デバイス311、ビームセパレータ510、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置1100の一次光軸1102と位置合わせすることができる。二次光学系282及び電子検出デバイス284は、装置1100の二次光軸292と位置合わせすることができる。二次偏向器1110及び二次偏向器1120は、ビームセパレータ510と電子検出デバイス284との間に配置することができる。実施形態によっては、二次偏向器1110及び二次偏向器1120は、検出器に入射する二次荷電粒子ビーム1130の位置及び角度のうちの少なくとも一方を調節するように構成されることがある。
【0073】
[087] ここで図12を参照する。図12は、本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置1200を示す。マルチビーム装置1200は、分散デバイス1210を更に備える図7のマルチビーム装置700であり得る。
【0074】
[088] マルチビーム装置1200は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、放射源変換ユニット252、一次電子ビーム210の複数のビームレット254、256、及び258、一次投影光学系260、複数の二次電子ビーム730、732、及び734、二次光学系282、並びに電子検出デバイス284を含むことができる。一次投影光学系260は、対物レンズ228を含むことができる。分散デバイス311、ビームセパレータ222、及び偏向走査ユニット226は、一次投影光学系260の内部に配置することができる。電子検出デバイス284は、検出素子286、288、及び290を含むことができる。実施形態によっては、分散デバイス1210をビームセパレータ222と二次光学系282との間に配置することができる。他の実施形態では、分散デバイス1210を電子検出デバイス284と二次光学系282との間に配置することができる。分散デバイス1210は、図3Bの分散デバイス311と同様であり得る。
【0075】
[089] 電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、分散デバイス311、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置1200の一次光軸702と位置合わせすることができる。二次光学系282及び電子検出デバイス284は、装置700の二次光軸292と位置合わせすることができる。
【0076】
[090] ビームセパレータ222に関連した二次ビーム730、732、及び734の公称偏向角は非ゼロであり、二次ビームは、公称偏向角1220及び関連するビーム分散MDS_2でビームセパレータ222を通過することができる。公称エネルギーVを有する光軸702に沿って移動する二次電子ビーム730、732、又は734の電子は、入射角ゼロで二次光学系282に入射することができる。エネルギー>Vを有する光軸702に沿って移動する電子は、入射角<ゼロで(軸292に対して時計回りに)二次光学系282に入射することができる。エネルギー<Vを有する光軸702に沿って移動する電子は、入射角>ゼロで(軸292に対して反時計回りに)二次光学系282に入射することができる。
【0077】
[091] 分散デバイス1210は、ゼロに等しい公称偏向角及び関連するビーム分散CDS_2で二次電子ビーム730、732、及び734を偏向させることができる。公称エネルギーVを有する電子は、分散デバイス1210によって偏向されない。エネルギー>Vを有する電子は時計回りに偏向されることがあり、一方、エネルギー<Vを有する電子は反時計回りに偏向されることがある。
【0078】
[092] 分散デバイス1210によって生成されるCDS_2を制御して、MDS_2に関連した偏向角変動分を補償することができる。従って、異なるエネルギーを有する電子は、二次光学系282の下流のレンズの対物面上に仮想的に集束するように制御することができ、また、検出素子286、288、及び290において対応するビームスポットを形成することができる。
【0079】
[093] ここで図13を参照する。図13は、本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置1300を示す。マルチビーム装置1300は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、電子源206から放出される一次電子ビーム210、放射源変換ユニット252、一次電子ビーム210の複数のビームレット254、256、及び258、一次投影光学系260、複数の二次電子ビーム1321、1322、及び1323、分散デバイス1330、二次光学系282、並びに電子検出デバイス284を含むことができる。一次投影光学系260は、対物レンズ228を含むことができる。分散デバイス311、ビームセパレータ222、及び偏向走査ユニット226は、一次投影光学系260の内部に配置することができる。電子検出デバイス284は、検出素子286、288、及び290を含むことができる。実施形態によっては、(図13に示すように)分散デバイス1330をビームセパレータ222と二次光学系282との間に配置することがある。他の実施形態では、分散デバイス1330を二次システム282内部に配置することがある。他の実施形態では、分散デバイス1330を電子検出デバイス284と二次光学系282との間に配置することがある。分散デバイス1330は、図3Cの分散デバイス312と同様であり得る。
【0080】
[094] 電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、分散デバイス311、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置1300の一次光軸1302と位置合わせすることができる。二次光学系282及び電子検出デバイス284は、装置1300の二次光軸1340と位置合わせすることができる。
【0081】
[095] ビームセパレータ222に関連した二次ビーム1321、1322、及び1323の公称偏向角は非ゼロの角度1305であり、二次ビームは、公称偏向角1305及び関連するビーム分散MDS_2でビームセパレータ222を通過することができる。公称エネルギーVを有する光軸1302に沿って移動する二次電子ビーム1321、1322、及び1323の電子は、入射角ゼロで分散デバイス1330に入射することができる。エネルギー>Vを有する光軸1302に沿って移動する電子は、入射角<ゼロで(軸1340に対して時計回りに)分散デバイス1330に入射することができる。エネルギー<Vを有する光軸1302に沿って移動する電子は、入射角>ゼロで(軸1340に対して反時計回りに)分散デバイス1330に入射することができる。
【0082】
[096] 分散デバイス1330は、非ゼロの公称偏向角1310及び関連するビーム分散CDS_2で二次電子ビーム1321、1322、及び1323を偏向させることができる。公称エネルギーVを有する電子は、角度1310で分散デバイス1330によって偏向される。エネルギー>Vを有する電子は1310よりも小さな角度で偏向されることがあり、エネルギー<Vを有する電子は1310よりも大きな角度で偏向されることがある。
【0083】
[097] 分散デバイス1330によって生成されるCDS_2を制御して、MDS_2に関連した偏向角変動分を補償することができる。CDS_2を制御して、異なるエネルギーを有する電子を、分散デバイス1330を出射した後で非常に似た角度で偏向させ、二次光学系282内部の第1のレンズの対物面上に集束させることができる。従って、異なるエネルギーを有する電子は、集束して検出素子286、288、及び290においてビームスポットを形成するように制御することができる。
【0084】
[098] ここで図14を参照する。図14は、本開示の実施形態と一致する、例示的なマルチビーム装置1400を示す。マルチビーム装置1100は、多極子レンズ1010及び分散デバイス1210を更に備える図11のマルチビーム装置1100であり得る。
【0085】
[099] マルチビーム装置1400は、電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、多極子レンズ1010、一次投影光学系260、二次偏向器1110、二次偏向器1120、二次光学系282、及び電子検出デバイス284を含むことができる。一次投影光学系260は、対物レンズ228を含むことができる。電子検出デバイス284は、検出素子286、288、及び290を含むことができる。
【0086】
[0100] 電子源206、銃開口部212、集光レンズ214、放射源変換ユニット252、多極子レンズ1010、分散デバイス311、ビームセパレータ510、偏向走査ユニット226、及び対物レンズ228は、装置1400の一次光軸1102と位置合わせすることができる。二次光学系282及び電子検出デバイス284は、装置1100の二次光軸292と位置合わせすることができる。二次偏向器1110及び二次偏向器1120は、ビームセパレータ510と電子検出デバイス284との間に配置することができる。
【0087】
[0101] 分散デバイス311は、ビームセパレータ510によって引き起こされた一次電子ビームのビームレットの分散を補償するように構成することができる。多極子レンズ1010の四極子場は、分散デバイス311及びビームセパレータ510によって持ち込まれるビームレットの非点収差を補償するように構成されることがある。二次偏向器1110及び二次偏向器1120は、二次荷電粒子ビーム1130の位置及び角度のうちの少なくとも一方を調節するように構成されることがある。分散デバイス1210は、ビームセパレータ510によって引き起こされた二次電子ビームの分散を補償するように構成することができる。
【0088】
[0102] 図15は、本開示の実施形態と一致する、ビームセパレータを備える荷電粒子ビームシステムにおける分散を制御するための例示的な方法1500を示す流れ図である。一例として、方法1500は、図14のマルチビーム装置1400又は他の開示したビーム装置のうちの何れかによって実施することができる。例示した手順は、ステップの順序を修正するか、ステップを削除するか、又は追加のステップを更に含むように変更できることが、容易に理解されるであろう。
【0089】
[0103] 初期スタートの後、ステップ1510で、分散デバイス(例えば、マルチビーム装置1400の分散デバイス311)は、荷電粒子ビームシステムの一次ビームにおける分散を誘発する。誘発された分散は、ビームセパレータによって引き起こされる一次ビームの分散と実質的に反対であることがある。
【0090】
[0104] ステップ1520で、多極子レンズ(例えば、マルチビーム装置1400の多極子レンズ1010)は、四極子場を生成して、分散デバイス及びビームセパレータによって持ち込まれる非点収差を補償することができる。実施形態によっては、多極子レンズを、分散デバイス又はビームセパレータの内部に含めることができる。
【0091】
[0105] ステップ1530で、1つ又は複数の二次偏向器(例えば、二次偏向器1110及び二次偏向器1120)は、検出器に入射する二次電子ビームの位置又は角度を調節することができる。実施形態によっては、二次偏向器は静電偏向器であり得る。他の実施形態では、二次偏向器は磁気偏向器であり得る。
【0092】
[0106] ステップ1540で、分散デバイス(例えば、マルチビーム装置1400の分散デバイス1210)は、荷電粒子ビームシステムの二次ビームにおける分散を誘発する。誘発された分散は、ビームセパレータによって引き起こされる二次ビームの分散と実質的に反対であることがある。
【0093】
[0107] 実施形態については、以下の条項を使用して更に説明することができる。
条項1.ビームセパレータを備える荷電粒子ビームシステム用の分散デバイスであって、
システムの荷電粒子ビームに対する第1のビーム分散を誘発するように構成された静電偏向器及び磁気偏向器を含み、第1のビーム分散は、ビームセパレータによって引き起こされるビームの第2のビーム分散の影響を打ち消すように設定され、
静電偏向器はビームに第1の力を作用させ、磁気偏向器はビームに第2の力を作用させ、第1の力及び第2の力は互いに対して実質的に反対であり、第1のビーム分散を形成する、分散デバイス。
条項2.第1のビーム分散が第2のビーム分散に対して変更されるときに、分散デバイスに起因するビームの偏向角は変化しない、条項1に記載の分散デバイス。
条項3.偏向角はゼロである、条項2に記載の分散デバイス。
条項4.四極子場を生成して第1の力及び第2の力によって引き起こされる非点収差の影響を打ち消すことができる多極子レンズを更に含む、条項1に記載の分散デバイス。
条項5.荷電粒子ビームは電子ビームである、条項1に記載の分散デバイス。
条項6.荷電粒子ビームシステムは電子ビーム検査ツールを含む、条項1~5の何れか一項に記載の分散デバイス。
条項7.荷電粒子ビーム装置であって、
一次荷電粒子ビームを生成するための放射源と、
放射源の下にある第1の分散デバイスと、
第1の分散デバイスの下にあるビームセパレータと、
ビームセパレータの下にある対物レンズと、
サンプルを支持するためのサンプルステージと、
ビームセパレータの上にある検出器と、を含み、
一次荷電粒子ビームは、対物レンズによってサンプル上に集束し、そこに一次プローブスポットを形成し、そこからの二次荷電粒子ビームを生成し、
ビームセパレータは、一次荷電粒子ビームと二次荷電粒子ビームを分離し、その結果、二次荷電粒子ビームが検出器によって検出され、
第1の分散デバイスは、一次荷電粒子ビームに対する第1の一次ビーム分散を生成し、
ビームセパレータは、一次荷電粒子ビームに対する第2の一次ビーム分散及び二次荷電粒子ビームに対する第2の二次ビーム分散を生成し、
第1の分散デバイスは、一次荷電粒子ビームに第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、第1の力と第2の力は互いに反対であり、第1の一次ビーム分散を形成し、
第1の一次ビーム分散が一次プローブスポットに対する第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すように、第1の一次ビーム分散が調節される、荷電粒子ビーム装置。
条項8.ビームセパレータは第2の磁気偏向器を含む、条項7に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項9.第1の分散デバイスによって引き起こされる一次荷電粒子ビームの第1の偏向角は、ビームセパレータによって引き起こされる一次荷電粒子ビームの第2の偏向角と等しく且つ反対である、条項8に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項10.第1の分散デバイスによって引き起こされる一次荷電粒子ビームの第1の偏向角はゼロである、条項8に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項11.ビームセパレータはウィーンフィルタを含む、条項7に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項12.第1の分散デバイスによって引き起こされる一次荷電粒子ビームの第1の偏向角はゼロである、条項11に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項13.ビームセパレータと検出器との間にあり、検出器に入射する二次荷電粒子ビームの位置及び角度のうちの少なくとも一方を調節するように構成された、1つ又は複数の二次偏向器を更に含む、条項7に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項14.一次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第1の分散デバイスにより引き起こされる非点収差の影響のうちの少なくとも1つを打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第1の多極子レンズを更に含む、条項7に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項15.第1の多極子レンズは、ビームセパレータ及び第1の分散デバイスのうちの一方に隣接して配置される、条項14に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項16.ビームセパレータは、一次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第1の分散デバイスにより引き起こされる非点収差の影響のうちの少なくとも1つを打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第2の多極子レンズを含む、条項7及び14のうちの何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項17.第1の分散デバイスは、一次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第1の分散デバイスにより引き起こされる非点収差の影響のうちの少なくとも1つを打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第3の多極子レンズを含む、条項7、14、及び16のうちの何れか一項に記載の荷電粒子ビームシステム。
条項18.ビームセパレータと検出器との間にあり、二次荷電粒子ビームに対する第1の二次ビーム分散を生成する、第2の分散デバイスを更に含み、
第2の分散デバイスは、第3の静電偏向器及び第3の磁気偏向器を含み、それらの偏向場は、第1の二次ビーム分散が、検出器上の二次荷電粒子ビームの二次プローブスポットに対する第2の二次ビーム分散の影響を打ち消すように調節される、条項7及び13のうちの何れか一項に記載の荷電粒子ビームシステム。
条項19.荷電粒子ビームは電子ビームである、条項7に記載の荷電粒子ビームシステム。
条項20.ビームセパレータを備える荷電粒子ビームシステムにおいて分散を制御するための方法であって、
システムの一次荷電粒子ビームの経路内に第1の分散デバイスを設けることと、
ビームセパレータの上流に第1の分散デバイスを配置することと、
第1の分散デバイスによって、一次荷電粒子ビームに対する第1の一次ビーム分散を生成することと、
第1の一次ビーム分散を調節して、ビームセパレータによって引き起こされる一次荷電粒子ビームの第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すことと、を含み、
第1の分散デバイスは、一次荷電粒子ビームに第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、第1の力と第2の力は互いに反対であり、第1の一次ビーム分散を形成する、方法。
条項21.ビームセパレータと検出器との間に二次荷電粒子ビームの経路に沿って配置される1つ又は複数の二次偏向器を設けることを更に含み、二次荷電粒子ビームは、一次荷電粒子ビームによりサンプルから生成される、条項20に記載の方法。
条項22.検出器に入射する二次荷電粒子ビームの位置及び角度のうちの少なくとも一方を調節するように、1つ又は複数の二次偏向器を動作させることを更に含む、条項21に記載の方法。
条項23.ビームセパレータ及び第1の分散デバイスによって引き起こされる非点収差のうちの少なくとも1つを打ち消すように四極子場を生成する、1つの多極子レンズを設けることを更に含む、条項20に記載の方法。
条項24.システムの二次荷電粒子ビームに対する第1の二次ビーム分散を生成する第2の分散デバイスを設けることを更に含み、二次荷電粒子ビームは一次荷電粒子ビームによってサンプルから生成され、第2の分散デバイスは二次荷電粒子ビームに第3の力及び第4の力をそれぞれ作用させる第2の静電偏向器及び第2の磁気偏向器を含み、第3の力及び第4の力は互いに反対であり、第1の二次ビーム分散を形成する、条項20に記載の方法。
条項25.第1の二次ビーム分散を調節して、ビームセパレータによって引き起こされる二次荷電粒子ビームの第2の二次ビーム分散の影響を打ち消すことを更に含む、条項24に記載の方法。
条項26.荷電粒子ビーム装置であって、
一次荷電粒子ビームを提供するように構成された放射源と、
一次荷電粒子ビームの複数のビームレットを使用して、放射源の複数の平行な像を形成するように構成された放射源変換ユニットと、
対物レンズを備える第1の投影系であって、複数の平行な像をサンプル上に投影し、従って複数のビームレットでサンプル上に複数の一次プローブスポットを形成するように構成された、第1の投影系と、
複数のビームレットと、複数の一次プローブスポットによってサンプルから生成された複数の二次荷電粒子ビームとを分離するように構成されたビームセパレータと、
複数の検出素子を備えた検出デバイスと、
複数の二次荷電粒子ビームを検出デバイス上に集束させ、そこに複数の二次プローブスポットを形成するように構成された二次投影系であって、複数の二次プローブスポットは複数の検出素子によって検出される、二次投影系と、
ビームセパレータの上流に配置され、複数のビームレットに対する複数の第1の一次ビーム分散を生成するように構成された第1の分散デバイスと、を含み、
複数の第1の一次ビーム分散は、複数の一次プローブスポットに対するビームセパレータにより生成される複数の第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すように調節され、
第1の分散デバイスは、複数のビームレットの各々に第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、第1の力と第2の力は互いに反対であり、対応する第1の一次ビーム分散を形成する、荷電粒子ビーム装置。
条項27.ビームセパレータは第2の磁気偏向器を含む、条項26に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項28.第1の分散デバイスによって引き起こされる複数のビームレットのうちの1つの第1の偏向角はゼロである、条項27に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項29.第1の分散デバイスによって引き起こされる複数のビームレットのうちの1つの第1の偏向角は、ビームセパレータによって引き起こされる複数のビームレットのうちの1つの第2の偏向角と等しく且つ反対である、条項27に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項30.ビームセパレータはウィーンフィルタを含む、条項26に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項31.第1の分散デバイスによって引き起こされる複数のビームレットのうちの1つの第1の偏向角はゼロである、条項30に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項32.ビームセパレータと二次投影系との間にあり、二次投影系に入射する複数の二次荷電粒子ビームの各々の位置及び角度のうちの少なくとも一方を調節するように構成された、1つ又は複数の二次偏向器を更に含む、条項26に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項33.複数の一次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第1の分散デバイスのうちの少なくとも1つにより引き起こされる非点収差の影響を打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第1の多極子レンズを更に含む、条項26に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項34.第1の多極子レンズは、ビームセパレータ及び第1の分散デバイスのうちの一方に隣接して配置される、条項33に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項35.ビームセパレータは、複数の一次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第1の分散デバイスのうちの少なくとも1つにより引き起こされる非点収差の影響を打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第2の多極子レンズを含む、条項26及び33のうちの何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項36.第1の分散デバイスは、複数の一次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第1の分散デバイスのうちの少なくとも1つにより引き起こされる非点収差の影響を打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第3の多極子レンズを含む、条項26、33、及び35のうちの何れか一項に記載の荷電粒子ビームシステム。
条項37.放射源変換ユニットは、対応する一次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第1の分散デバイスのうちの少なくとも1つにより引き起こされる非点収差の影響を打ち消すように四極子場を生成するようにそれぞれ構成された、複数の第6の多極子レンズを含む、条項26、33、35、及び36のうちの何れか一項に記載の荷電粒子ビームシステム。
条項38.複数の二次プローブスポットに対するビームセパレータにより引き起こされる非点収差の影響を打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第4の多極子レンズを更に含む、条項26に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項39.ビームセパレータと検出デバイスとの間にあり、複数の二次荷電粒子ビームに対する複数の第1の二次ビーム分散を生成する、第2の分散デバイスを更に含み、
第2の分散デバイスは、複数の二次荷電粒子ビームの各々に第3の力及び第4の力をそれぞれ作用させる第3の静電偏向器及び第3の磁気偏向器を含み、第3の力と第4の力は互いに反対であり、対応する第1の二次ビーム分散を形成し、
複数の第1の二次ビーム分散は、複数の二次プローブスポットに対するビームセパレータにより生成された複数の第2の二次ビーム分散の影響を打ち消すように調節される、条項26に記載の荷電粒子ビームシステム。
条項40.複数の二次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第2の分散デバイスのうちの少なくとも1つにより引き起こされる非点収差の影響を打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第4の多極子レンズを更に含む、条項39に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項41.第2の分散デバイスは、複数の二次プローブスポットに対するビームセパレータ及び第2の分散デバイスのうちの少なくとも1つにより引き起こされる非点収差の影響を打ち消すように四極子場を生成するように構成された、第5の多極子レンズを含む、条項39及び40のうちの何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
条項42.一次荷電粒子ビームは電子ビームである、条項26に記載の荷電粒子ビームシステム。
条項43.ビームセパレータを備える荷電粒子ビームシステムにおいて分散を制御するための方法であって、
放射源変換ユニットを設けて、放射源により生成される一次荷電粒子ビームの複数のビームレットにより、放射源の複数の像を形成することと、
複数のビームレットの経路内に第1の分散デバイスを設けることと、
ビームセパレータの上流に第1の分散デバイスを配置することと、
第1の分散デバイスにより、複数のビームレットに対する複数の第1の一次ビーム分散を生成することと、
複数の第1の一次ビーム分散を調節して、複数のビームレットに対するビームセパレータにより生成された複数の第2の一次ビーム分散の影響を打ち消すことと、を含み、
第1の分散デバイスは、複数のビームレットの各々に第1の力及び第2の力をそれぞれ作用させる第1の静電偏向器及び第1の磁気偏向器を含み、第1の力と第2の力は互いに反対であり、対応する第1の一次ビーム分散を形成する、方法。
条項44.システムの複数の二次荷電粒子ビームに対する複数の第1の二次ビーム分散を生成する第2の分散デバイスを設けることを更に含み、複数の二次荷電粒子ビームは複数のビームレットによってサンプルから生成され、第2の分散デバイスは複数の二次荷電粒子ビームの各々に第3の力及び第4の力をそれぞれ作用させる第2の静電偏向器及び第2の磁気偏向器を含み、第3の力及び第4の力は互いに反対であり、対応する第1の二次ビーム分散を形成する、条項43に記載の方法。
条項45.複数の第1の二次ビーム分散を調節して、検出デバイス上に複数の二次荷電粒子ビームによって形成される複数の二次プローブスポットに対する、ビームセパレータにより生成される複数の第2の二次ビーム分散の影響を打ち消すことを更に含む、条項44に記載の方法。
条項46.荷電粒子ビームシステム用の分散フィルタであって、荷電粒子ビームシステムのビームセパレータの上流に配置され、
ビームセパレータによって引き起こされる第2のビーム分散と実質的に反対の第1のビーム分散を誘発するように構成された、静電偏向器及び磁気偏向器の組み合わせを含む、分散フィルタ。
【0094】
[0108] 本発明は、で説明し、添付の図面に図示した通りの正確な構成に限定されるものではなく、また、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を加えることができることを、理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであることが意図されている。

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
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