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▶ ブルックス オートメーション ユーエス、エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240724BHJP
   H02K 41/025 20060101ALI20240724BHJP
   B60L 13/03 20060101ALI20240724BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H02K41/025 A
B60L13/03 M
B65G54/02
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022549903
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 US2021018998
(87)【国際公開番号】W WO2021168397
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】17/180,298
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/979,195
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522041444
【氏名又は名称】ブルックス オートメーション ユーエス、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モウラ、ジャイロ ティー
(72)【発明者】
【氏名】ボテフ、ロウメン
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-278931(JP,A)
【文献】特開2003-37992(JP,A)
【文献】特表2014-531189(JP,A)
【文献】特表2005-508085(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0258307(US,A1)
【文献】国際公開第2019/238416(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H02K 41/025
B60L 13/03
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線形電気機械であって、
水平基準面を有するフレームと、
前記水平基準面に対して所定の高さで駆動面を形成するように、前記フレームに接続される電磁石アレイであって、前記電磁石アレイの一連の電磁石が前記駆動面内において少なくとも1つの駆動ラインを画定するように、前記電磁石アレイが配置され、前記電磁石のそれぞれが各電磁石に通電する交流電源に連結される、電磁石アレイと、
常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる少なくとも1つの反応プラテンであって、交流による前記電磁石の励磁が、前記駆動面に対して制御された姿勢で、前記少なくとも1つの駆動ラインに沿って、前記反応プラテンを制御可能に浮揚および推進する前記反応プラテンに対する浮上力および推進力を生成するように、前記電磁石アレイの前記電磁石と連携するように配置される、少なくとも1つの反応プラテンと、
前記電磁石アレイおよび前記交流電源に動作可能に連結されるコントローラであって、前記コントローラは、各反応プラテンが、前記電磁石の共通のセットによる姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、浮上および推進されるように、前記電磁石を多相交流により順次励磁するように構成され、前記電磁石のそれぞれが、少なくとも前記反応プラテンが浮上された状態で、反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーのうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、前記反応プラテンを制御するように、位相ごとに単一の共通周波数を有する共通の多相交流による励磁から、前記反応プラテンに対する前記浮上力および前記推進力の両方を生成する、コントローラと
を備える、線形電気機械。
【請求項2】
前記コントローラは、前記反応プラテンが、前記フレームに対する第1の所定の位置から前記フレームに対する第2の異なる所定の位置に、前記少なくとも1つの駆動ラインに沿って、前記電磁石アレイに対して移動するように、浮上および推進された状態で、少なくとも前記反応プラテンの姿勢を含む、前記電磁石アレイによって生成される、前記最大6の自由度を制御する、請求項1記載の線形電気機械。
【請求項3】
前記コントローラは、前記反応プラテンが、前記少なくとも1つの駆動ラインに沿う、前記フレームに対する所定の位置において、前記電磁石アレイに対して浮上および静止した状態で、少なくとも前記反応プラテンの姿勢および前記反応プラテンのヨーを含む、前記電磁石アレイによって生成される、前記最大6の自由度を制御する、請求項1記載の線形電気機械。
【請求項4】
前記コントローラは、前記反応プラテンに制御されたヨーモーメントを付与し、前記フレームに対する第1の所定の配向から前記フレームに対する第2の異なる所定の配向に、前記駆動面に略垂直に、ヨー軸周りで、前記反応プラテンをヨーイングさせるように、前記反応プラテンにわたる前記電磁石アレイによって生成される前記推進力を制御する、請求項1記載の線形電気機械。
【請求項5】
前記コントローラは、前記フレームの所定のウェハ保持位置に対する前記反応プラテン上のウェハペイロードの位置決めおよびセンタリングのうちの少なくとも1つをもたらすように、前記反応プラテンのヨー制御をもたらす偶力を前記反応プラテンに付与するように、前記電磁石アレイによって生成される前記推進力を制御する、請求項1記載の線形電気機械。
【請求項6】
前記コントローラは、反応プラテンのピッチおよび反応プラテンのロールのうちの少なくとも1つにおいて、所定の反応プラテンの姿勢を制御する、前記駆動面に対する前記反応プラテンの制御された傾斜をもたらす差動浮上力を前記反応プラテンにわたって付与するように、前記電磁石アレイによって生成される前記浮上力を制御する、請求項1記載の線形電気機械。
【請求項7】
前記コントローラは、前記駆動面に沿う前記反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する方向において、反応プラテン着座面によって支持されるペイロード上の反応プラテンペイロード着座面からバイアス反力を付与する、前記駆動面に対する前記反応プラテンの所定のバイアス姿勢をもたらすように、前記電磁石アレイによって生成される前記浮上力を制御する、請求項1記載の線形電気機械。
【請求項8】
前記フレーム上に分散される位置フィードバックセンサをさらに備え、
前記位置フィードバックセンサは、前記駆動面に沿う前記反応プラテンの位置を感知するように構成され、前記コントローラが前記反応プラテンの感知された位置を登録するように、前記コントローラに通信可能に連結され、
前記コントローラは、前記感知された位置に対応する前記電磁石アレイの前記電磁石を順次励磁するように構成される、請求項7記載の線形電気機械。
【請求項9】
前記コントローラは、少なくとも前記感知された位置の変化から、前記駆動面に沿う前記反応プラテンの加速度を判定し、判定された前記加速度に応じて、前記反応プラテンの前記加速度から生じる前記ペイロード慣性力に対抗する前記所定のバイアス姿勢をもたらすように、前記反応プラテンのバイアス姿勢を制御するように構成される、請求項8記載の線形電気機械。
【請求項10】
前記コントローラは、前記反応プラテンの姿勢を設定して、前記反応プラテンに着座したペイロードを前記反応プラテンに対して前記ペイロードと前記反応プラテンとの間の着座部に沿って変位させやすい慣性力に抗して、前記反応プラテンを付勢するように、前記電磁石アレイの前記電磁石の励磁を制御する、請求項1記載の線形電気機械。
【請求項11】
電磁コンベヤ基板搬送装置であって、
密閉雰囲気を内部に保持するように構成されるチャンバであって、水平基準面、および少なくとも1つの基板通過用の開口部であって、前記開口部を通じて前記チャンバの内外に基板を移送するための、少なくとも1つの基板通過用の開口部を有する、チャンバと、
前記水平基準面に対して所定の高さで駆動面を形成するように、前記チャンバに接続される電磁石アレイであって、前記電磁石アレイの一連の電磁石が前記駆動面内に少なくとも1つの駆動ラインを画定するように、前記電磁石アレイが配置され、前記一連の電磁石における電磁石が、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットにグループ化され、前記少なくとも1つの多相アクチュエータユニットのそれぞれが、多相交流電源に連結される、電磁石アレイと、
常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる少なくとも1つの反応プラテンであって、交流による前記電磁石の励磁が、前記駆動面に対して制御された姿勢で、前記少なくとも1つの駆動ラインに沿って、前記反応プラテンを制御可能に浮上および推進する、前記反応プラテンに対する浮上力および推進力を生成するように、前記少なくとも1つの反応プラテンが、前記少なくとも1つの多相アクチュエータユニットの前記電磁石と連携するように配置される、少なくとも1つの反応プラテンと、
前記電磁石アレイおよび交流電源に動作可能に連結され、反応プラテンが浮上および推進されるように、前記電磁石を多相交流により順次励磁するように構成されるコントローラと
を備え、
前記多相交流の各交流位相は、前記少なくとも1つの多相アクチュエータユニットの電磁石グループの各それぞれの電磁石の交流位相が、第1の交流位相から第2の異なる交流位相に変化するように、それぞれの電磁石間に動的に割振られることで、事実上、前記電磁石グループが、実質的に移動し、前記電磁石グループによって形成される前記少なくとも1つの多相アクチュエータユニットが、前記駆動ラインに沿って、動的位相割振りによって、実質的に移動する、
電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項12】
前記反応プラテンは、実質的に移動する前記少なくとも1つの多相アクチュエータユニットによる姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、浮上および推進される、請求項11記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記反応プラテンが、前記チャンバに対する第1の所定の位置から前記チャンバに対する第2の異なる所定の位置に、前記少なくとも1つの駆動ラインに沿って、前記電磁石アレイに対して移動するように、浮上および推進された状態で、少なくとも前記反応プラテンの姿勢を含む、前記電磁石アレイによって生成される、前記最大6の自由度を制御する、請求項12記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記反応プラテンが、前記少なくとも1つの駆動ラインに沿う、前記チャンバに対する所定の位置において、前記電磁石アレイに対して浮上および静止した状態で、少なくとも前記反応プラテンの姿勢および前記反応プラテンのヨーを含む、前記電磁石アレイによって生成される、前記最大6の自由度を制御する、請求項12記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項15】
前記動的位相割振りは、実質的に移動する前記少なくとも1つの多相アクチュエータユニットが、実質的に移動する前記少なくとも1つの多相アクチュエータユニットによる推進力での、前記駆動ラインに沿う反応プラテンの移動と略一致するように、前記駆動ラインに沿って、実質的に移動するように制御される、請求項11記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記反応プラテンに制御されたヨーモーメントを付与し、前記チャンバに対する第1の所定の配向から前記チャンバに対する第2の異なる所定の配向に、前記駆動面に略垂直に、ヨー軸周りで、前記反応プラテンをヨーイングさせるように、前記反応プラテンにわたる、前記電磁石アレイによって生成される前記推進力を制御する、請求項11記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項17】
前記コントローラは、前記チャンバの所定のウェハ保持位置に対する前記反応プラテン上のウェハペイロードの位置決めおよびセンタリングのうちの少なくとも1つをもたらすように、前記反応プラテンのヨー制御をもたらす偶力を前記反応プラテンに付与するように、前記電磁石アレイによって生成される前記推進力を制御する、請求項11記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項18】
前記コントローラは、反応プラテンのピッチおよび反応プラテンのロールのうちの少なくとも1つにおいて、所定の反応プラテンの姿勢を制御する、前記駆動面に対する前記反応プラテンの制御された傾斜をもたらす差動浮上力を、前記反応プラテンにわたって付与するように、前記電磁石アレイによって生成される前記浮上力を制御する、請求項11記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項19】
前記コントローラは、前記駆動面に沿う前記反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する方向において、反応プラテン着座面によって支持されるペイロード上の反応プラテンペイロード着座面からバイアス反力を付与する、前記駆動面に対する前記反応プラテンの所定のバイアス姿勢をもたらすように、前記電磁石アレイによって生成される前記浮上力を制御する、請求項11記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項20】
前記チャンバ上に分散される位置フィードバックセンサをさらに備え、
前記位置フィードバックセンサは、前記駆動面に沿う前記反応プラテンの位置を感知するように構成され、前記コントローラが前記反応プラテンの感知された位置を登録するように、前記コントローラに通信可能に連結され、
前記コントローラが、前記感知された位置に対応する前記電磁石アレイの前記電磁石を順次励磁するように構成される、請求項19記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項21】
前記コントローラは、少なくとも前記感知された位置の変化から、前記駆動面に沿う前記反応プラテンの加速度を判定し、判定された前記加速度に応じて、前記反応プラテンの前記加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する前記所定のバイアス姿勢をもたらすように、前記反応プラテンのバイアス姿勢を制御するように構成される、請求項20記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項22】
前記コントローラは、前記反応プラテンの姿勢を設定して、前記反応プラテンに着座したペイロードを前記反応プラテンに対して、前記ペイロードと前記反応プラテンとの間の着座部に沿って変位させやすい慣性力に抗して、前記反応プラテンを付勢するように、前記電磁石アレイの前記電磁石の励磁を制御する、請求項11記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項23】
前記動的位相割振りは、前記多相交流により通電されるそれぞれの電磁石が、前記反応プラテンに対して、実質的に移動する前記少なくとも1つの多相アクチュエータユニットのそれぞれの電磁石にわたる、実質的に定常状態の多相分布を付与するように制御される、請求項11記載の電磁コンベヤ基板搬送装置。
【請求項24】
線形電気機械のための方法であって、
前記方法は、
前記線形電気機械にフレームを設けるステップであって、前記フレームが、水平基準面を有する、前記線形電気機械にフレームを設けるステップと、
前記フレームに接続される電磁石アレイによって駆動面を形成するステップであって、前記駆動面が前記水平基準面に対して所定の高さで位置付けられ、前記電磁石アレイの一連の電磁石が前記駆動面内において少なくとも1つの駆動ラインを画定するように、前記電磁石アレイが配置され、前記電磁石のそれぞれが、各電磁石に通電する交流電源に連結される、前記フレームに接続される電磁石アレイによって駆動面を形成するステップと、
前記電磁石アレイの前記電磁石と連携するように配置される、常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる少なくとも1つの反応プラテンを設けるステップと、
前記駆動面に対して制御された姿勢で、前記少なくとも1つの駆動ラインに沿って、前記反応プラテンを制御可能に浮上および推進する、前記反応プラテンに対する浮上力および推進力を生成するように、前記電磁石を交流により励磁するステップと
を含み、
前記電磁石は、前記電磁石アレイおよび前記交流電源に動作可能に連結されるコントローラによって、各反応プラテンが、前記電磁石の共通のセットによる姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、浮上および推進されるように、多相交流により順次励磁され、前記電磁石のそれぞれは、少なくとも前記反応プラテンが浮上された状態で、反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーのうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、前記反応プラテンを制御するように、位相ごとに単一の共通周波数を有する共通の多相交流による励磁から、前記反応プラテンに対する浮上力および推進力の両方を生成する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2020年2月20日に出願された米国仮特許出願番号62/979,195の非仮出願であり、その利益を主張し、その開示全体が、引用によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
例示的な実施形態は、概して、基板処理装置に関し、より具体的には、基板処理装置の基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[関連する開発の簡単な説明]
半導体自動化は、概して、半導体チップ製造において所定レベルの品質および再現性を最終的に達成するためのプロセスの実施をサポートするために必要とされる一連の構築ブロックを含む。半導体自動化のコンポーネントの1つは、(たとえば、連続的なプロセスツールのアーキテクチャの場合に)ウェハまたは基板を、ロードロックとプロセスモジュールとの間および/またはプロセスモジュール間で搬送する(基板とも呼ばれる)ウェハハンドラである。
【0004】
概して、ウェハハンドラは、回転継手またはプリズム状継手を備えるロボットマニピュレータと、アクチュエータによってロボットマニピュレータのエンドエフェクタから離れて駆動する、それぞれのリンケージベースの機構とを含み、ここで、エンドエフェクタはウェハと接触するか、または別の方法で、インターフェース接続する。このような従来のマニピュレータの設計は、概して、マニピュレータ構造の異なる部分での、典型的にはマニピュレータの各アームリンク間の機械的インターフェースでの真空環境におけるベアリングの利用を含む。真空環境におけるベアリングの利用には、概して、高温(400℃を超えるなど)でウェハをハンドリングする中での真空環境におけるベアリングの操作中に、潤滑油のガス放出、粒子の生成、および摩擦の変動が生じる可能性がある。ウェハハンドラはまた、概して、真空クラスタツールに取り付けられ、それらの機械的ストロークは、関連付けられるアームリンク長の設計によって制限される。その結果、真空中で操作する従来のウェハハンドラは、業界で「線形ツール構成」として知られるものなどの「長い」真空クラスタツールには適していない。
【0005】
線形ツール構成の場合、ロードロックと線形ツールのプロセスモジュールとの間でウェハを移送するために、概して、長いアームリンク長および関節式エンドエフェクタを備える「ロングリーチ」のマニピュレータが利用される。これらのロングリーチのマニピュレータは、概して、低い固有周波数、アクチュエータ数の増加、望ましくないアームリンクの撓み、機械的位置ヒステリシス、熱膨張に対する高い感度、高価なベアリング、ウェハ保持ステーションに対してエンドエフェクタを水平にする能力の制限、およびモーションスループットの制限を伴う機械的設計を有している。加えて、線形ツール構成は、エンドユーザが既存の自動化への影響を最小限に抑えて線形ツールの長さを伸長させ得るという意味で、スケーラブルであり得る。線形ツールの別の望ましい特徴は、ツール操作の中断を最小限に抑えて線形ツールを保守する(ウェハハンドラでスケジュールされるメンテナンスを実施するなど)能力である。
【0006】
上述のウェハハンドラの代替として、磁気浮上式ウェハコンベヤが利用される場合があり、ここで、交流電磁石のラインの上方に、導電性浮体または常磁性または非磁性の金属材料を浮動および運搬するための交流電磁浮上式装置が設けられている。交流磁気浮上式装置は、概して、浮体を浮動させるための第1の周波数を有する単相交流電源と、浮体を運搬するための第2の周波数を有する三相交流電源と、2つの交流電源から交流電流を加算するための加算器と、加算された交流を交流電磁石のラインに供給するための供給回路とを含む。浮体は、効率のよい搬送で、所望の位置に停止させ得る。
【0007】
また、図33~36は、誘導反発型磁気浮上機構の例を示している。図33~36では、番号01は、交流電磁石を示し、番号02は、運搬される浮体を示す。浮体02にはアルミニウムなどの軽量で導電性の高い材料が適している。通常、浮体02には運搬される物体が載せられる。図33~36において、図35の番号04で示される単相交流が交流電磁石01に供給されると、電磁石の上方に交流磁界が生成される。浮体は磁場中に存在するため、浮体を形成するアルミニウム材に渦電流と呼ばれる交流が生成される。
【0008】
渦電流によって生成される磁場は、電磁石によって生成される磁場に反発する。したがって、図33および34においてF1で示される浮動力が、この反発によって浮体に作用する。図36において番号05、06、および07で示される三相交流が、図33および34の三相電磁石03に供給されると、図33および34においてF2で示される移動力が、浮体02に作用し、浮体02が運搬される。
【発明の概要】
【0009】
開示される実施形態の前述の態様および他の特徴は、添付の図面に関連して行われた以下の記載において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図1B】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図2】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図3】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図4】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図5】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理システムの概略平面図である。
図6】開示される実施形態の態様による本明細書に記載される基板処理装置の例示的な基板ハンドラ動作を示す。
図7】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理システムの概略平面図である。
図8】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図8A】開示される実施形態の態様による基板ハンドラの一部の概略斜視図である。
図9】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図10】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図10A】開示される実施形態の態様による図10の基板ハンドラの一部の概略斜視図である。
図11】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図11A】開示される実施形態の態様による図11の基板ハンドラの一部の概略斜視図である。
図12A】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図12B】開示される実施形態の態様による図12Aの基板処理装置の概略立面図である。
図13A】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図13B】開示される実施形態の態様による図13Aの基板処理装置の概略立面図である。
図14】開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置の概略平面図である。
図14A】開示される実施形態の態様による図14の基板処理装置の一部の概略平面図である。
図14B】開示される実施形態の態様による基板搬送カートの概略立面図である。
図14C】開示される実施形態の態様による図14Bの基板搬送カートの概略平面図である。
図15A】開示される実施形態の態様による基板ハンドラの正面立面図である。
図15B】開示される実施形態の態様による図15Aの基板ハンドラの概略側面立面図である。
図15C】開示される実施形態の態様による図15Aの基板ハンドラの概略平面図である。
図16A】開示される実施形態の態様による基板ハンドラの概略平面図である。
図16B】開示される実施形態の態様による図16Aの基板ハンドラの概略側面立面図である。
図16C】開示される実施形態の態様による図16Aの基板ハンドラを含む基板処理装置の一部の概略平面図である。
図17】開示される実施形態の態様による例示的なアクチュエータ制御システムネットワークの概略図である。
図18】開示される実施形態の態様によるセンサ制御システムネットワークの一部の概略図である。
図19】開示される実施形態の態様による例示的なセンサ制御システムネットワークの概略図である。
図20】開示される実施形態の態様による図19のセンサ制御システムネットワークの一部の概略図である。
図21】開示される実施形態の態様による基板ハンドラの例示的な動作制御の概略図である。
図21A】開示される実施形態の態様による基板ハンドラ動作の概略斜視図である。
図22】従来の基板搬送装置での最大許容加速度に対する自由体の受力図(free body force diagram)である。
図23】開示される実施形態の態様による、基板の滑りに対する基板ハンドラの加速に対するピッチ角の効果を例示する自由体力の図である。
図24】開示される実施形態の態様による、基板の滑りに対する摩擦なしでのピッチ角の効果を例示する基板の自由体力の図である。
図24A】開示される実施形態の態様による、基板の滑りに対する摩擦なしでのピッチ角に関連する推進加速度を例示する例示的なグラフである。
図25A】開示される実施形態の態様による、基板の滑りに対する摩擦を伴うピッチ角の効果を例示する基板の自由体力の図である。
図25B】開示される実施形態の態様による、基板の滑りに対する摩擦を伴うピッチ角の効果を例示する基板の自由体力の図である。
図26】開示される実施形態の態様による、基板の滑りに対する摩擦を伴うピッチ角に関連する加速度限界を例示する例示的なグラフである。
図27】開示される実施形態の態様による基板ハンドラのピッチ制御を例示する基板ハンドラの概略立面図である。
図28】開示される実施形態の態様による、搬送チャンバ内において別の基板ハンドラのそばを通り過ぎる1つの基板ハンドラの概略立面図である。
図29】開示される実施形態の態様による、搬送チャンバ内において別の基板ハンドラのそばを通り過ぎる1つの基板ハンドラの概略立面図である。
図30】開示される実施形態の態様による、動的位相割振りを示すアクチュエータ制御システムネットワークの一部の概略図である。
図31A】従来の線形駆動システムおよび静的位相制御を利用するプラテンの傾斜制御を例示する。
図31B】従来の線形駆動システムおよび静的位相制御を利用するプラテンの傾斜制御を例示する。
図32A】開示される実施形態の態様による、動的位相割振りおよび実質的な多相アクチュエータユニットを有するアクチュエータ制御システムネットワークを利用する基板ハンドラの一部の傾斜制御を例示する。
図32B】開示される実施形態の態様による、動的位相割振りおよび実質的な多相アクチュエータユニットを有するアクチュエータ制御システムネットワークを利用する基板ハンドラの一部の傾斜制御を例示する。
図32C】開示される実施形態の態様による、基板ハンドラの独立した推進および浮揚制御をもたらすためのアクチュエータ制御システムネットワークによる電気的位相角制御を例示する。
図33】従来の搬送装置の概略正面図である。
図34図33の従来の搬送装置の概略平面図である。
図35図33の従来の搬送装置における浮動電流の波形を示す図である。
図36図33の従来の搬送装置における搬送用の3つの交流の波形を示す図である。
図37】従来の基板処理装置の概略平面図である。
図38】従来の基板処理装置の概略平面図である。
図39】開示される実施形態の態様によるクラスタ化される制御アーキテクチャの概略図である。
図40A】開示される実施形態の態様によるPVTフレームの概略図である。
図40B】開示される実施形態の態様によるPVT-FGフレームの概略図である。
図41】開示される実施形態の態様による例示的な方法のフローチャートである。
図42】開示される実施形態の態様による例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1~14は、開示される実施形態の態様による例示的な基板処理装置100、100A、200、300、400、500、800、900、1200、1300を例示している。開示される実施形態の態様は、図面を参照して説明されるが、開示される実施形態の態様は、多くの形態で具体化され得ることが理解されるべきである。さらに、任意の適切なサイズ、形状、またはタイプの要素もしくは材料が使用され得る。
【0012】
上述の従来の基板処理装置の課題および制限に基づいて、実質的にベアリングおよび潤滑剤なしで、真空環境において動作するように構成される、新しく革新的な基板ハンドラおよび関連する制御フレームワークを有し、基板ハンドラの設計に影響を与えることなくスケーラブルな距離にわたって基板移送を実施し、上述の従来のソリューションよりも高い加速度で基板を搬送し(すなわち、実質的に新しいエンドエフェクタ材料を必要としない)、衝突を回避する、および基板処理装置のフットプリントを減少させるように協調して、複数の基板ハンドラを操作することが望ましい。
【0013】
図15A~15Cを参照すると、ウェハハンドラ1500は、図1~14の基板処理装置に含まれる(本明細書でより詳細に説明され、電磁コンベヤ基板搬送装置とも呼ばれるような)線形電気(または電子)機械1599の一部である。ウェハハンドラ1500は、少なくとも1つの線形誘導モータステータ1560によって形成される線形軌道1550の方向に沿う、少なくとも双方向の線形誘導推進およびベース1510の独立した回転をもたらすように成形される常磁性ベース1510(反応プラテンとも呼ばれる)(たとえば、銅、アルミニウム、または渦電流を誘導することができる他の適切な反磁性または非磁性の材料で作られる)を含む。ウェハハンドラ1500はまた、ベース1510に強固に取り付けられ、基板処理装置のそれぞれのチャンバ全体にわたる搬送のために基板を安定して保持するように構成されるエンドエフェクタ1520を含む。ウェハハンドラ1500は、ウェハハンドラ1500の構成が、ウェハハンドラ1500がカバー(または伸長)し得るストローク距離に依存しないように、本明細書で説明されるように、アクチュエータおよびセンサ制御ユニットによって制御される。ウェハハンドラ構成1500の独立性は、本明細書に記載されるように、少なくとも基板処理装置の長さに沿って(搬送チャンバ118の長さに沿ってなど)物理的に分布される(図17~20および39に関してより詳細に示され、説明される)アクチュエータ1700およびセンサ2000のネットワークを利用することによってもたらされる。開示される実施形態の態様では、アクチュエータ1700およびセンサ2000は、任意の具体的な基板ハンドラ1500に連結されておらず、むしろ、複数の基板ハンドラ1500(に共通しており)、それらを同時に制御することができ、追加のアクチュエータやセンサを加えることなく、基板ハンドラ1500が基板処理装置に加えられ得る、またはそこから取り外され得るため、基板ハンドラ1500の所有コストが削減される。共通のアクチュエータ1700およびセンサ2000を備える複数の基板ハンドラ1500の同時の制御は、共通(セット)のアクチュエータ1700からの最大6の自由度の制御によって、三次元空間内において、ウェハハンドラの動作を実施するための力ベクトルの連続性をもたらす方法で、異なる励磁位相間で共通のアクチュエータ1700の各アクチュエータコイルユニット(電磁石とも呼ばれる)の励磁位相を動的に割り当てるように構成される(以下でより詳細に説明される)開示される実施形態の態様による制御システムによってもたらされる。本明細書に記載されるように、同時に制御された基板ハンドラ1500は、独立して操作される2つ以上の基板ハンドラ1500が、動作スラスト(motion thrust)方向に略平行な回転軸に沿って、基板ハンドラ1500のそれぞれ(または少なくとも1つ)を傾けることによって、基板ハンドラ1500間の距離を減少させ得るように、ロール、ピッチ、および/またはヨーで制御され得る(たとえば、図29を参照)。
【0014】
上述のように、関節式リンクを備える従来のロボットマニピュレータは、より多くのプロセスモジュールに到達するために必要とされるマニピュレータのストロークが増加されるため、実質的に異なる機械設計を必要とし、これは、ロボットマニピュレータのコストを増加させ、ロボットマニピュレータのサービス間隔を短縮し得る。従来の基板ハンドリングシステムとは逆に、開示される実施形態の態様は、増加した数の機械コンポーネントに起因する複雑さおよび信頼性の懸念を加えることなく、既存の一般に許容される基板ハンドリングのソリューション(上記のものなど)と比較して、高度にスケーラブルである。
【0015】
開示される実施形態の態様はまた、従来の基板ハンドリングのソリューションと比較して、実質的に高い基板処理スループットをもたらす。本明細書に記載されるように、開示される実施形態の態様は、滑りなしでウェハとエンドエフェクタとの間の接触を維持しながら、従来の基板ハンドリングのソリューションと比較して、より高い加速度をもたらすために、基板ハンドラのエンドエフェクタの基板保持面を移動の方向に向けて傾ける、革新的な動作検知制御フレームワークを含む。
【0016】
本明細書でより詳細に説明されるように、開示される実施形態の態様は、浮揚、横方向の安定性、および基板ハンドラに対する推進力をもたらすように構成される線形誘導技術に基づく磁気浮上式基板搬送装置を提供する。開示される実施形態の態様はまた、略平行である配向と実質的に直交である配向との間の配向で、直交であるか、または別様に角度付けされる独立して制御される線形軌道で動作し、独立して制御される線形軌道を形成する、および/または、二次元領域上に円弧状経路または回転経路を形成する、線形誘導モータステータを提供する。開示される実施形態の態様は、それぞれの線形軌道1550に関連付けられる各線形誘導モータステータの各相に対する所定の周波数および振幅で、交流を生成するように構成されるコイルコントローラを提供する。線形軌道によってもたらされる推進力は、軌道に沿うベースの線形動作とは無関係に、ベース1510を回転させるように制御され、ここで、推進力は、ベース1510の回転軸周りで、モーメント負荷を生成する。
【0017】
開示される実施形態の態様は、独立した線形軌道1550に沿う所望の推進方向に沿って、ベース1510の動作を制御するために、ベース1510の位置を追跡し、独立した線形軌道1550の相電流を制御するように構成される制御システムを含む。開示される実施形態の態様による制御システムは、ベース1510の横方向の安定性を維持しながら、浮揚方向のベース1510の動作をももたらす。制御システムは、基板ハンドラ1500のロール、ピッチ、およびヨーを制御するために線形軌道1550で推進力を生成するように構成され、ここで、基板ハンドラ1500のロール、ピッチ、およびヨーの動作は、基板ハンドラ1500のスラスト方向に沿って加速閾値を増加させるように、動作の線形および/または回転方向における基板ハンドラ1500の所望の加速度に応じて基板ハンドラ1500(たとえば、図21を参照)の傾斜を調整することによって、基板の生産スループットを最大化するために利用され得る。
【0018】
開示される実施形態の態様は、センサの一部であり得る、およびEtherCat(登録商標)(図18では、ECatと呼ばれるEthernet For Control Automation Technology)、EtherNet(登録商標)(図18ではENetと呼ばれる)、または他の適切なセンサおよび制御ネットワークなどのネットワークを制御するセンサ処理ユニット1850(図18を参照)を含む。センサ処理ユニットは、カメラ1810、CCDアレイ1811、加速度計1812、温度センサ1813、近接または距離センサ1814、磁気センサ1815、振動センサ1816、または任意の他の適切なセンサなどの、複数のセンサ技術とインターフェース接続するように構成される汎用センサおよび処理ハードウェア(非一時的なコンピュータプログラムコードまたはソフトウェアを含む)を含む。
【0019】
図1Aを参照すると、開示される実施形態の態様を組み込んだ基板処理装置100の概略平面図が示されている。基板処理装置100は、図1Aに示されるように多数のロードポート112を有するエンバイロメンタル・フロント・エンド・モジュール(environmental front end module:EFEM)114に接続される。ロードポート112は、たとえば、従来のFOUPキャニスタなどの多数の基板保管キャニスタ171を支持することが可能であるが、任意の他の適切なタイプが用意され得る。EFEM114は、以下でさらに記載されるように、処理装置に接続されるロードロック116を介して処理装置と通信する。(大気に開放され得る)EFEM114は、基板をロードポート112からロードロック116に搬送することが可能な基板搬送装置(図示されていないが、いくつかの態様では、本明細書に記載される線形電気機械1599に類似している)を有する。EFEM114は、基板位置合わせ能力、バッチ処理能力、基板およびキャリア識別能力などをさらに含み得る。他の態様では、ロードロック116は、ロードロックがバッチ処理能力を有するケース、またはロードロックがウェハを直接FOUPからロックに移送する能力を有するケースのように、直接ロードポート112とインターフェース接続してもよい。このような装置のいくつかの例は、開示全体が引用によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,071,059号明細書、米国特許第6,375,403号明細書、米国特許第6,461,094号明細書、米国特許第5,588,789号明細書、米国特許第5,613,821号明細書、米国特許第5,607,276号明細書、米国特許第5,644,925号明細書、米国特許第5,954,472号明細書、米国特許第6,120,229号明細書、および米国特許第6,869,263号明細書に開示されている。他の態様では、他のロードロックのオプションが用意されてもよい。
【0020】
依然として図1Aを参照すると、処理装置100は、半導体基板(たとえば、200mm、300mm、450mm、または他の適切なサイズのウェハ)、フラットパネルディスプレイ用のパネル、または任意の他の所望の種類の基板を処理するために使用される場合があり、概して、(一態様では、密閉雰囲気を内部に保持する)搬送チャンバ118、処理モジュール120、および少なくとも1つの基板搬送装置または線形電気機械1599を備える。示される態様での基板搬送装置1599は、本明細書に記載されるように任意の適切な方法で、チャンバ118と一体化され得るか、またはチャンバに連結され得る。本態様では、処理モジュール120はチャンバ118の両側に取り付けられる。他の態様では、処理モジュール120は、たとえば図2に示されるように、チャンバ118の片側に取り付けられてもよい。図1Aに示される態様では、処理モジュール120は、列Y1、Y2または垂直面において互いに対向して取り付けられる。他の態様では、処理モジュール120は、搬送チャンバ118の対向する両側で互い違いに配置されてもよく、または互いに対して垂直方向に積み重ねられてもよい。図15A~15Cを参照すると、搬送装置1599は、基板をロードロック116と処理チャンバ120との間で搬送するために、チャンバ118内で移動する基板ハンドラ1500を有する。示される態様では、基板ハンドラ1500が1つのみ設けられているが、他の態様では、1つまたは複数の基板ハンドラが設けられてもよい。図1Aに見られるように、搬送チャンバ118(その内部が真空または不活性雰囲気または単に清浄な環境またはそれらの組み合わせに曝されている)は、1つの構成を有し、新規の基板搬送装置1599を利用して、処理モジュール120を、略平行な垂直面または列に配列される処理モジュール120を有するカルテシアン配置でチャンバ118に取り付けることが可能になる。これによって、結果として、処理装置100は、本明細書に記載されるものなどの同等の従来の処理装置よりもコンパクトなフットプリントを有することになる。また、搬送チャンバ118は、スループットを向上させるために、以下でより詳細に説明されるように、任意の所望の数の処理モジュール120を追加するために、任意の所望の長さを提供することが可能である(すなわち、長さはスケーラブルである)。搬送チャンバ118はまた、その内部に所望の数の搬送装置1599を支持することが可能であり、搬送装置1599が、搬送チャンバ118に連結される任意の所望の処理チャンバ120に、互いに干渉することなく到達することが可能になり得る。これによって事実上、処理装置100のスループットは、搬送装置1599の処理能力から切り離され、したがって、処理装置100のスループットは、ハンドリング律速(processing limited)ではなく、処理律速(processing limited)となる。したがって、処理モジュール120および対応する処理能力を同じプラットフォーム上に追加することによって、必要に応じてスループットを増加させ得る。
【0021】
依然として図1Aを参照すると、本態様での搬送チャンバ118は、概して長方形の形状を有するが、他の態様では、チャンバは、任意の他の適切な形状を有してもよい。チャンバ118は、細長い形状(すなわち、幅よりもはるかに長い長さ)を有し、その中で、搬送装置1599のための概して線形の搬送経路を画定する。チャンバ118は、長手方向側壁118Sを有する。側壁118Sには、そこを通って搬送開口部またはポート1180(基板通過開口部とも呼ばれる)が形成される。搬送ポート1180は、ポート(バルブを介して密閉可能である)を介して基板を搬送チャンバ118に出入りさせることを可能にするのに十分大きなサイズである。図1Aに見られ得るように、本態様での処理モジュール120は、側壁118Sの外側に取り付けられ、各処理モジュール120は、搬送チャンバ118において対応する搬送ポート1180と整列している。理解され得るように、各処理モジュール120は、搬送チャンバ内の真空を維持するために、対応する搬送開口の周囲でチャンバ118の側面118Sに対して密閉され得る。各処理モジュール120は、必要に応じて任意の適切な手段によって搬送ポートを閉じるように制御されるバルブを有し得る。搬送ポート1180は同じ水平面に位置付けられ得る。したがって、チャンバ上の処理モジュールも同じ水平面に整列させられる。他の態様では、搬送ポート1180は異なる水平面に配されてもよい。図1Aに見られるように、本態様では、ロードロック116は、2つの最前部の搬送ポート1180でチャンバ側面118Sに取り付けられる。これによって、ロードロック116が処理装置の前部でEFEM14に隣接することが可能になる。他の態様では、ロードロック116は、たとえば図2に示されるものなどの搬送チャンバ118上の任意の他の搬送ポート1180に位置付けられてもよい。必要に応じて、数の処理モジュール120の列を取り付けるために、搬送チャンバ118の六面体形状によって、チャンバの長さを必要に応じて選択することが可能になる(たとえば、搬送チャンバ118の長さが任意の数の処理モジュール120に適応するような長さである他の態様を示す図1B、3、4~7を参照)。
【0022】
前述のように、図1Aに示される態様の搬送チャンバ118は、単一の基板ハンドラ1500を有する基板搬送装置1599を有する。搬送装置1599は、チャンバ118と一体化されて、基板ハンドラ1500をチャンバ118において前部118Fと後部118Rとの間で前後に並進させる。基板搬送装置1599の基板ハンドラ1500は、1つまたは複数の基板を保持するための少なくとも1つのエンドエフェクタ1520を有する。
【0023】
図1Aに示される搬送装置1599は、代表的な搬送装置であり、線形軌道1550から磁気的に支持される基板ハンドラ1500を含むことが理解されるべきである。搬送装置1599は、以下でより詳細に説明される。搬送チャンバ118は、(たとえば、ウェハ搬送面1290を画定するか、または別の方法で、それに対応する(たとえば、略平行である)(図12Bを参照))水平基準面1299を有するフレームを形成する場合があり、線形軌道1550は、搬送チャンバ118の側壁118Sまたは床に取り付けられる場合があり、チャンバ118の長さを伸長させ得る。これによって、基板ハンドラ1500は、チャンバ118の長さを横断することが可能になる。以下でより詳細に説明されるように、図1Aの線形軌道1550はそれぞれ、基準面1299に対して所定の高さHで駆動面1598を形成するために搬送チャンバ118に接続される、(たとえば、少なくとも1つの線形誘導モータステータ1560を形成する)図14A、15B、15B、16B、16C、および17におけるようなアクチュエータのネットワークとも呼ばれる、電磁石アレイまたはアクチュエータ1700を含み、電磁石1700のアレイは、一連の電磁石1700が駆動面1598内に少なくとも1つの駆動ラインを画定するように配置され、電磁石の1700A~1700nのそれぞれ(図15Bを参照)は、各電磁石1700A~1700nに通電する交流(AC)電源1585に連結され、ここで、交流電源は、一態様では、三相交流電源である。上述したように(図15Aを参照)、ベースまたは反応プラテン1510は、交流電源1585からの交流での電磁石1700A~1700nの励磁が、駆動面1598に対して制御された姿勢で、少なくとも1つの駆動ライン177~180(たとえば、図1~8を参照)に沿って、ベース1510を制御可能に浮上および推進する、ベース1510に対する浮上力FZおよび推進力FP(図21を参照)を生成するように、電磁石1700のアレイの電磁石1700A~1700nと連携するように配置される常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料で形成される。
【0024】
図1Bは、装置100に概略類似する基板処理装置100Aの別の態様を示す。本態様では、搬送チャンバ118は、(図16Cにおけるように)電磁石1700のアレイによって独立して操作される2つの基板ハンドラ1500A、1500Bを有する。基板ハンドラ1500A、1500Bは、前述の態様の基板ハンドラ1500と略同じである。基板ハンドラ1500A、1500Bの両方は、前述のように、電磁石1700の共通のアレイから支持され得る。各基板ハンドラ1500A、1500Bのベース1510は、(図15Bにおけるように)各コイル要素または電磁石1700A~1700nを個々に制御することによって、本明細書で記載されるように、同じ少なくとも1つの線形誘導モータステータ1560によって駆動され得る。したがって、理解され得るように、各基板ハンドラ1500のエンドエフェクタ1520は、少なくとも1つの線形誘導モータステータ1560を使用して、線形動作および/または回転で独立して移動することができ、略平行な駆動ラインが、(図8~10に示されるような複数の略平行な駆動ラインを有する搬送チャンバと比較して)1つの駆動ライン177しか含まないため、搬送チャンバ118において互いに通過することができない。したがって、処理モジュール120は、基板ハンドラ1500A、1500Bが互いに干渉するのを回避する配列で、基板が処理モジュールにおいて処理されるように搬送され得るように、搬送チャンバ118の長さに沿って位置付けられている。たとえば、コーティング用の処理モジュールは、加熱モジュールの前に位置付けられる場合があり、冷却モジュールおよびエッチングモジュールは、最後に位置付けられ得る。
【0025】
しかし、図8~10を参照すると、搬送チャンバ118は、2つの基板ハンドラ1500A、1500Bが互いに隣接して通過する(サイドレールまたはバイパスレールに類似)ように、少なくとも搬送チャンバ118の長手方向の長さの一部に沿って伸長する、2つ以上の略平行な駆動ライン177、178をもたらすための任意の適切な幅を有し得る。図8~10に例示される態様では、搬送装置1599は、2つの駆動ライン177、178を有するが、他の態様では、任意の適切な数の略平行な長手方向に伸長する駆動ラインが設けられてもよい。
【0026】
開示される実施形態のいくつかの態様によれば、電磁石1700のアレイ(または少なくともその一部)はまた、水蒸気(たとえば、気体)を除去することか、または、潜在的にプロセスモジュールへの途中で、たとえばロードポートから取り出される(picked)ウェハ/基板を予熱することか、または、代替的にプロセスモジュールでのウェハとウェハハンドラのエンドエフェクタとの間の温度勾配を減少させることが望まれるケースにおけるように、(たとえば、望ましい所定の時間の間の望ましい所定の温度までの反応プラテンおよび/または水の加熱を制御するように)ウェハハンドラのためのヒーターとして使用され得る。ウェハハンドラの加熱は、反応プラテンの移送中に、または反応プラテンが所定の場所/位置に静止して保持された状態で、もたらされ得る。依然として開示される実施形態のいくつかの態様によれば、電磁石1700のアレイ(または少なくともその一部)はまた、搬送チャンバが、たとえば水蒸気を除去するケースなど、脱気のために加熱されることが望まれるケースにおけるように、ヒーターとして使用され得る。所定の時間の間の所定の温度までの搬送チャンバ118の制御された加熱は、反応プラテンが静止した状態で行われ得る。搬送チャンバ118の制御された加熱は、搬送チャンバ118およびドライブの冷却開始時または電源オフ時に、搬送チャンバ118内の反応プラテンの存在を特定し、位置をマッピングするように、搬送チャンバ118の適切な熱センサ/赤外線センサによる熱走査を容易にし得る。
【0027】
ここで図4および5を参照すると、開示される実施形態の他の態様による他の基板処理装置400、500が示されている。図4および5に見られるように、これらの態様における搬送チャンバ118、118A、118B、118Cは、追加の処理モジュール120を収容するように伸長される。図4に示される装置は、搬送チャンバ118に接続される12の処理モジュール120を有する。図5の処理装置500は、2つの搬送チャンバ118A、118Bを有するものとして例示されており、2つの搬送チャンバ118A、118Bは、搬送チャンバ118A、118B間の基板ハンドラ1500の移動をもたらすブリッジングチャンバ118Cによって互いに連結される。ここで、図5の各搬送チャンバ118A、118Bには、24の処理モジュール120が接続される。これらの態様において示される処理モジュール120の数は単なる例示であり、基板処理装置は、前述のように任意の他の数の処理モジュール120を有してもよい。これらの態様における処理モジュール120は、前述のものに類似するカルテシアン配置で、それぞれの搬送チャンバ118A、118Bの側面に沿って配置される。しかし、これらの態様における処理モジュール120の列の数は、大幅に増加されている(たとえば、図4の装置では6列および図5の装置のそれぞれでは12列)。図4に示される態様では、EFEMは、取り外され、ロードポート112は、直接ロードロック116に結合(mated)され得る。図4および5における基板処理装置400、500の搬送チャンバは、ロードロック116と処理チャンバ120との間で基板をハンドリングするために、複数の基板ハンドラ1500を有し得る。示される基板ハンドラ1500の数は単なる例示であり、より多いまたはより少ない装置が使用されてもよい。(その一部が図4および5に例示されている)これらの態様における基板搬送装置1599は、前述のものに概略類似しており、線形軌道1550および(1つまたは複数の)基板ハンドラ1500を備える。図4および5に示される態様では、単一の長手方向駆動ライン(たとえば、駆動ライン177、178、179)のみが各チャンバ118、118A、118B、118Cに例示されているが、他の態様では、図8~10に例示される方法に略類似する方法で、複数の駆動ラインが、各チャンバ118、118A、118B、118Cに沿って長手方向に伸長し得ることが理解されるべきである。理解され得るように、本明細書に記載される他の基板搬送装置100、100A、200、300、800、900、1200、1300と同様に、基板搬送装置400、500は、基板搬送装置1599の1つまたは複数の基板ハンドラ1500の移動を制御するためのコントローラ199を有する。
【0028】
依然として図5を参照すると、この場合での搬送チャンバ118A、118Bは、直接ツール300(たとえば、ストッカ、フォトリソグラフィセル、または他の適切な処理ツール)に結合される場合があり、ここで、基板は、チャンバ118Cを通ってツール300に配送され、ツール300から取り外される。
【0029】
図1B、3および4~5から理解され得るように、搬送チャンバ118は、必要に応じて、処理設備P全体を通るように伸長され得る(図5、およびその実施例が図7に例示されている)。図5に見られるように、および以下でさらに詳細に説明されるように、搬送チャンバ(概して搬送チャンバ118と呼ばれる)は、たとえば、ストレージ、リソグラフィツール、金属蒸着ツール、または任意の他の適切なツールベイなどの、処理設備Pにおけるさまざまなセクションまたはベイ118P~118P4と接続および通信し得る。搬送チャンバ118によって相互接続されるベイは、プロセスベイまたはプロセス118P1、118P3としても構成され得る。各ベイは、半導体ワークピースにおいて所与の製造プロセスを達成するのに望ましいツール(たとえば、リソグラフィ、金属蒸着、熱浸漬、洗浄)を有する。いずれの場合も、搬送チャンバ118には、前述のように、設備ベイにおけるさまざまなツールに対応する処理モジュール120が通信可能に接続され、それにより、チャンバ118と処理モジュール120との間の半導体ワークピースの移送が可能になる。したがって、搬送チャンバ118は、搬送チャンバに接続されるさまざまな処理モジュールの環境に対応するその長さ全体にわたって、大気、真空、超高真空(たとえば、10-5トール)、不活性ガス、または任意の他のものなどの、さまざまな環境条件を含み得る。したがって、所与のプロセスもしくはベイにおけるか、またはベイの一部内のチャンバのセクション118P1は、たとえば、1つの環境条件(たとえば、大気)を有する場合があり、チャンバ118の別のセクション118P2、118P3は、異なる環境条件を有し得る。前述のように、さまざまな環境を内部に有するチャンバ118のセクション118P1~118P4は、施設のさまざまなベイに存在し得るか、またはすべてが設備の1つのベイに存在し得る。図5は、例示目的のみで、さまざまな環境を有する4つのセクション118P~118P4を有するチャンバ118を示している。本態様におけるチャンバ118は、必要とされる数のさまざまな環境を有する多くのセクションを有し得る。
【0030】
図5に見られるように、搬送チャンバ118における基板ハンドラ1500は、さまざまな環境を内部に有して、チャンバ118のセクション118P1~118P4間を遷移することが可能である。したがって、図5から理解され得るように、基板ハンドラ1500のそれぞれは、1回の取り出しで、半導体ワークピースを処理設備の1つのプロセスまたはベイにおけるツールから、処理設備の異なるプロセスまたはベイにおける異なる環境を有する別のツールに移動させ得る。たとえば、基板ハンドラ1500Aは、セクション118P1における大気モジュール、リソグラフィ、エッチング、または任意の他の所望の処理モジュールであり得る、搬送チャンバ118の処理モジュール301において基板を取り出し得る。その後、基板ハンドラ1500Aは、駆動ライン177(または1つまたは複数の長手方向駆動ラインがもたらされる、それに略平行な駆動ライン)に沿ってチャンバ118のセクション118P1からセクション118P3まで移動し得る(たとえば、ここで、他の基板ハンドラ1500は、任意の適切な方法で基板ハンドラ1500Aとの干渉を回避するためのコントローラである)。セクション118P3では、基板ハンドラ1500Aは、任意の所望の処理モジュールであり得る処理モジュール302に基板を配置し得る。
【0031】
図5から理解され得るように、搬送チャンバ118は、必要に応じて、チャンバ118を形成するために、チャンバモジュールが接続されるモジューラであり得る(たとえば、3つのチャンバセクション118A、118B、118Cによって形成され、ここで、各チャンバセクション118A、118B、118Cは、任意の適切な方法で互いに連結される1つまたは複数のチャンバモジュールも含み得る)。また図1Aを参照すると、モジュールは、チャンバ118のセクション118P1~118P4を分離するための、図1Aの壁118F、118Rに類似する内壁118Iを含み得る。内壁181は、チャンバ118P1~118P4の1つのセクションが1つまたは複数の隣接するセクションと連通することを可能にするスロットバルブ、または任意の他の適切なバルブを含み得る。スロットバルブ118Vは、1つまたは複数の基板ハンドラ1500がバルブ18Vを通って、1つのセクション118P1~118P4から別のセクションに遷移することを可能にするサイズにされ得る。このようにして、基板ハンドラ1500は、チャンバ118全体にわたって、あらゆる場所に移動し得る。バルブ118Vは、前述のようにさまざまなセクションが異なる環境を含み得るように、チャンバ118のセクション118P1~1184を分離するために閉鎖され得る。さらに、チャンバモジュールの内壁118Iは、図5に示されるように、ロードロック(セクション118P4を参照)を形成するように位置付けられ得る。ロードロック118P4(例示目的で図5に1つのみが示される)は、必要に応じて、チャンバ118に位置付けられる場合があり、任意の所望の数の基板ハンドラ1500を内部に保持し得る。
【0032】
図5に示される態様では、チャンバセクション118Aおよび118B内のプロセスは、同じプロセス、たとえばエッチングである場合があり、ここで、ツール300(ストッカなど)を含む処理装置500は、自動化マテリアルハンドリングシステムを介して、FOUPSをストッカから個々のプロセスモジュール120に搬送すること、および、EFEMを介して、個々のウェハをそれぞれの処理モジュール120に搬送することに関連付けられる、任意の関連するマテリアル・ハンドリング・オーバーヘッド(material handling overhead)なしで、基板を処理することが可能である。その代わりに、ストッカ内のロボットは、FOUPS171をロードポートに直接移送し(1つのチャンバセクションごとに3つのロードポートが示されるが、スループット要件に応じてそれ以上またはそれ以下のロードポートが提供され得る)、ここで、ウェハは、バッチで、ロックに移動し、所望のプロセスおよび/または必要とされるスループットに応じて、それぞれの(1つまたは複数の)プロセスモジュールに発送される。チャンバセクション118A、118Bまたはストッカ300は、基板を効果的に処理および試験するために、必要に応じて、計測機能、選別機能、材料識別機能、試験機能、検査機能などをさらに有し得る。
【0033】
図5に示される開示される実施形態の態様では、さまざまなプロセス、たとえばエッチング、CMP、銅蒸着、PVD、CVDなどを有するチャンバセクション118Aおよび118Bが、多かれ少なかれ提供される場合があり、ここで、チャンバセクション118A、118Bなどは、たとえばフォトリソグラフィセルであるツール300と組み合わせて、FOUPを自動化マテリアルハンドリングシステムを介してストッカから個々のプロセスツールベイおよびリソグラフィベイに搬送すること、および個々のウェハをEFEMを介してそれぞれの処理ツールに搬送することに関連付けられる関連するマテリアルハンドリングオーバーヘッドなしで、基板を処理することが可能である。代わりに、リソグラフィセル内の自動化によって、FOUP、基板、または材料が、ロードポート112に直接移送され(再度、1つのチャンバセクション/プロセスタイプごとに3つのロードポートが示されているが、スループット要件に応じて、それ以上またはそれ以下のロードポートが設けられ得ることに留意されたい)、ここで、基板は、所望のプロセスおよび/または必要とされるスループットに応じて、それらのそれぞれのプロセスに発送される。そのような代替案の一実施例は、図7に示される。このようにして、図5の装置は、(本明細書に記載される従来の処理システムと比較して)必要とされる、より少ないコスト、より低いフットプリント、より少ないWIPで、基板を処理し、そのため、在庫が少なく、単一のキャリアロット(または「特急ロット(hot lot)」)を処理する時間を見たときに、より迅速なターンアラウンドで処理し、より高度な汚染管理による結果として製造設備のオペレータに著しい利点がもたらされる。チャンバセクション118A、118B(それらはそれぞれ、ツールまたはツールセクションと呼ばれ得る)またはツールもしくはセル300は、基板を効果的に処理および試験するために、必要に応じて、計測機能、処理機能、選別機能、材料識別機能、試験機能、検査機能などをさらに有し得る。図5から理解され得るように、チャンバセクション118A、118B、およびツール300は、共通のコントローラ環境(たとえば、不活性雰囲気または真空)を共有するために連結され得る。これにより、基板がツール300から基板処理装置500全体にわたって制御された環境に留まることが確かなものとなる。これにより、図37および38に示されるものなどの従来の基板処理装置におけるようなFOUPの特別な環境制御の使用が排除される。
【0034】
ここで図7を参照すると、図5に示される開示される実施形態の態様を組み込んだ例示的な製造設備のレイアウト601が示されている。ウェハハンドラ1500に類似するウェハハンドラ406は、搬送チャンバ602、604、606、608、610、612、614、616、618、620、624、626に通して、製造設備601内のプロセスのステップを介して、基板またはウェハを搬送する。プロセスのステップは、エピタキシャルシリコン630、誘電体蒸着632、フォトリソグラフィ634、エッチング636、イオン注入638、急速熱処理640、計測642、誘電体蒸着644、エッチング646、金属蒸着648、電気めっき650、化学機械研磨652を含み得る。他の態様では、同じ順序でのエッチング、金属蒸着、加熱、および冷却の操作などのプロセスが、多かれ少なかれ含まれてもよく、または組み合わされてもよい。前述のように、ウェハハンドラ406は、単一のウェハまたは複数のウェハを運搬することが可能であり、ウェハハンドラ406が処理済みのウェハを取り出して未処理のウェハを同じモジュールに配置する機能を有する場合などにおいて、移送機能を有し得る。ウェハハンドラ406は、直接的なツール間もしくはベイ間の移送、またはプロセス間の移送のために、隔離バルブ654を通って移動し得る。バルブ654は、所与のバルブ654のいずれかの側の圧力差または気体種の差に応じて、密閉バルブまたは単にコンダクタンス型のバルブであり得る。このようにして、ウェハまたは基板は、単一の処理ステップまたは「ワンタッチ」で、1つのプロセスのステップから次のプロセスのステップに移され得る。その結果、処理による汚染は、最小限に抑えられる。このような圧力または種の差の例は、たとえば、一方が清浄な空気であり、他方が窒素である場合があるか、または一方が粗引き圧力真空レベルであり、他方が高真空である場合があるか、または一方が真空であり、他方が窒素である場合があか。図5のチャンバ118P4に類似するロードロック656は、1つの環境から別の環境に、たとえば、真空と窒素またはアルゴンとの間を遷移するために使用され得る。他の態様では、他の圧力または種が任意の数の組み合わせで提供されてもよい。ロードロック656は、本明細書に記載される方法に略類似する方法で、単一のウェハハンドラまたは複数のウェハハンドラを遷移させることが可能であり、ここで、単一の駆動ラインまたは複数の略平行および/または直交した駆動ラインがもたらされる。代替的に、(1つまたは複数の)基板は、棚(図示せず)上のロードロック656に移送されてもよく、そうでなければ、ここでは、ウェハハンドラ406は、バルブを通過することは望ましくない。位置合わせモジュール、計測モジュール、洗浄モジュール、プロセスモジュール(たとえば、エッチング、蒸着、研磨など)、熱調整モジュールなどの追加の特徴部658が、ロック656または搬送チャンバに組み込まれ得る。ツールからウェハハンドラ406またはウェハを取り外すために、サービスポート660が設けられ得る。ウェハを保管およびバッファ処理および/または試験するために、ウェハまたはキャリアストッカ662、664が設けられ得る。他の態様において、カートがリソグラフィツールに直接方向付けられる場合などには、ストッカ662、664が設けられなくてもよい。別の実施例は、インデクサまたはウェハ保管モジュール666が、ツールセットに設けられる場合である。ツールセクション612などの任意の所与のセクションにおいて空気または気体種を循環および/またはフィルタ処理するために、再循環ユニット668が設けられ得る。再循環ユニット668は、処理される気体種を調整するための気体パージ、粒子フィルタ、化学フィルタ、温度制御、湿度制御、または他の特徴を有し得る。所与のツールセクションでは、多かれ少なかれ循環および/またはフィルタまたは調整ユニットが設けられ得る。ウェハハンドラ406および/またはウェハを相互汚染され得ない、さまざまなプロセスまたはツールセクションから隔離するために、隔離ステージ670が設けられ得る。ウェハハンドラ406が、配向変化なしで一般的なワークスペース内において取り出し得るか、または配置し得る場合に、ウェハハンドラ406の配向または方向を変更するために、ロックまたは相互接続部672が設けられ得る。他の態様または方法では、プロセスシーケンスまたは構成の任意の適切な組み合わせが提供され得る。
【0035】
ここで図6を参照すると、コントローラ199は、制御されたヨーモーメントをベースに付与し、チャンバ118のフレームに対する第1の所定の配向(エンドエフェクタ1520が駆動ライン177と実質的に整列する場合など)から、チャンバ118のフレームに対する第2の異なる所定の配向(エンドエフェクタがプロセスモジュール120内に伸長される場合など)まで、駆動面1598に略垂直に、ヨー軸(たとえば、回転軸777)周りで、ベース1510をヨーイングさせる(yawing)ように、ベース1510にわたる、電磁石1700のアレイによって生成される推進力を制御する。理解され得るように、ベース1510のヨーイングは、ベース1510の推進動作(単一の駆動ラインがチャンバ118に設けられている場合など)またはベースが所定の位置にあること(ベース1510が実質的にX軸およびY軸に沿って静止したままで回転している場合など)と組み合わせて実施され得る。一態様では、また図15Cを参照すると、コントローラ199は、(X軸に沿う基板ハンドラ1500の移動が伴う図15Cに例示される)偶力(moment couple)をベース1510に付与し、チャンバ118のフレームの所定の基板保持位置(ロードロック、プロセスモジュールなど)に対するベース1510上の基板(ウェハペイロードまたはペイロードとも呼ばれる)の位置決めおよびセンタリングのうちの少なくとも1つをもたらすように、ベース1510のヨー制御をもたらすように、電磁石1700のアレイによって生成される推進力(たとえば、Fxright、Fxleft)を制御する。理解され得るように、ピッチ(Y軸を中心とした回転)およびロール(X軸を中心とした回転)(図15Aおよび15Bを参照)の制御は、ヨー動作と同時に(反応プラテンにわたる揚力Fzを制御する)動的偶力に対抗し、ウェハ搬送面内のウェハホルダ/反応プラテンの略平坦なヨーを維持しながら、コントローラ199によって行われ得る。
【0036】
図1A、1B、2、4、および5に例示されるように)単一の駆動ライン177が各搬送チャンバに設けられる場合か、またはプロセスモジュール120Aに最も近い駆動ライン178からプロセスモジュール120A(図8を参照)などのプロセスモジュールへのアクセスの場合(複数の略平行な長手方向駆動ライン177、178が設けられる場合など(図8参照))に、コントローラ199は、任意の適切な基板保持ステーション(たとえば、ロードロック116、プロセスモジュール120など)から基板を取り出して配置するのと同時に、(本明細書に記載されるような)2つ以上のヨー、ピッチ、ロール、および推進力で、ベース1510を駆動させるように構成される。たとえば、コントローラ199は、ベースが、駆動ライン177に沿って移動し、ベース回転軸777周りで回転し、それにより、基板ハンドラ1520の基板着座面1520Aが、プロセスモジュール120に、または基板Sが所定のウェハ/基板移送面内において実質的に直線の経路790に沿って移動する他の適切な保持ステーションに入るように、本明細書に記載されるようなアクチュエータ1700に通電するように構成される。図8~11を参照すると、他の態様では、複数の長手方向駆動ライン177、178が搬送チャンバ118に設けられている場合、ベース1510は、基板ハンドラ1520が、基板保持ステーションに入る前に、所望の/所定の基板保持ステーションと整列するように回転させてもよい。たとえば、ベース1510は、駆動ライン178と179Aとの間の交点に位置付けられる場合があり、ここで、駆動ライン179は、(たとえば、駆動ライン177、178に沿う推進方向に実質的に直交する推進方向(またはプロセスモジュールへのアクセスを可能にする任意の適切な角度)での)プロセスモジュール120Bの基板保持ステーション120BHへの基板ハンドラの伸長および収縮をもたらす。ベース1510は、基板ハンドラ1520が基板保持ステーション120BHと整列するように、回転軸777周りで回転する場合があり、ベースは、駆動ライン179Aに沿って移動する場合があり、基板ハンドラ1520を基板保持ステーション120BHへと移動または伸長させて、(1つまたは複数の)基板を取り出し/配置する。
【0037】
図14および14A~14Cを参照すると、基板ハンドラ1500は、エンドエフェクタ1520を含むものとして説明されているが、他の態様では、1つまたは複数の基板ハンドラは、ベース1510上で1つまたは複数の基板を支持するように構成されるカート1500Cとして構成されてもよい。たとえば、ベース1510は、1つまたは複数の基板支持体1431~1433を含む場合があり、基板支持体1431~1433は、たとえばロードまたは他の基板保持ステーション内の基板ハンドラ1500、1500A、1500Bまたは基板搬送装置が、(1つまたは複数の)基板を基板支持体1431~1433との間で搬送するように、(たとえば、底部またはエッジグリップから)基板を安定して保持するように構成される。一態様では、基板支持体1431~1433は、(1つまたは複数の)基板の中心がベースの回転軸777と略一致するように、1つまたは複数の基板をベース1510上に実質的にセンタリングするように構成され得る(すなわち、支持体は、受動支持体であるか、または反応プラテンに対して通電する適切な電源から作動(たとえば、圧電)され得る、セルフセンタリング支持体である)。いくつかの態様では、1つまたは複数のカート1500Cは、2つ以上の基板を積み重ねて保持するための基板支持ラック1440を含む場合があり、ここで、各ラックレベルは、それぞれの基板支持体1431~1433、1431A~1433Aを含む。図14および14Aを参照すると、カート1500Cは、基板ハンドラ1500A、1500Bとロードロック116との間のインターフェースをもたらす場合があり、ここで、ロードロックの搬送装置116R(スカラアーム、線形スライド式アームなど)は、(1つまたは複数の)基板をカート1500Cに移送し、基板ハンドラ1500A、1500Bはカートから基板を取り出し、その逆も同様である。他の態様では、プロセスモジュール120が搬送装置120R(スカラアーム、線形スライド式アームなど)を含む場合、カート1500Cは、(1つまたは複数の)基板をプロセスモジュール120との間で、移送するように利用されてもよい。上から見ると、カート1500Cの(および基板ハンドラ1500、1500A、1500Bの)ベース1510は、円形を有するものとして例示されている(図14C参照)が、他の態様では、ベース1510は、別の方法で、電磁石1700のアレイとインターフェース接続して、ベース1510の線形推進、浮揚、ヨー、ピッチ、ロール、および回転の制御のうちの1つまたは複数をもたらす、任意の適切な形状(たとえば、上から見ると、正方形、長方形、円形など)を有してもよい。
【0038】
図12A、12B、13A、13Bを参照すると、搬送チャンバ118は、線形処理ツールの一部を形成する長手方向に伸長したチャンバとして上に記載されているが、他の態様では、搬送チャンバは、クラスタツール構成を有してもよい。たとえば、図12Aおよび12Bを参照すると、移送チャンバ118T1は、実質的に正方形の構成を有する(しかし、他の態様では、移送チャンバは、六角形、八角形などの任意の適切な形状を有してもよい)。本態様では、(線形電気機械1599に略類似する)電気機械1599Rは、本明細書に記載される基板ハンドラ1500に略類似する少なくとも2つの並設の基板ハンドラ1500A、1500Bを含む、並設の搬送装置として構成される。本態様における電磁石1700のアレイは、基板ハンドラ1500A、1500Bが、並設の搬送装置の「伸長および収縮」(伸長および収縮という用語は、本明細書では便宜上使用されるものであり、伸長および収縮は、それぞれの駆動ラインに沿う基板ハンドラ1500、1500A、1500Bの線形推進動作によってもたらされることに留意されたい)の方向を変更するために、共通の回転軸1277(このような軸は、たとえば、従来のスカラタイプのロボットのθ軸に類似している)周りで回転するように、基板ハンドラ1500A、1500Bを移動させるように構成される。たとえば、電磁石1700のアレイは、駆動ライン177、178、179、180を形成する配置を有している。ここで、駆動ライン177、178は、互いに離間され、それぞれの搬送開口部1180A、1180F、および1180B、1180Eと実質的に整列させられるように互いに略平行である。駆動ライン179、180は、駆動ライン177、178に実質的に直交し、互いに離間され、それぞれの搬送開口部1180C、1180H、および1180D、1180Gと実質的に整列するように互いに略平行である。駆動ラインは、任意の適切なパターン(一定または変動する半径を有する弧状または湾曲したセグメントなど)および配向である場合があり、以下の説明は例示目的である。電磁石1700A~1700N(図12Aに例示されているが、図面を明確にするために番号が付与されていない)は、搬送開口部1180A~1180Hを通る基板ハンドラ1500A、1500Bの少なくとも線形推進力をもたらす。本態様では、電磁石1700のアレイはまた、コントローラ199の制御下で、駆動ライン177~180を形成する電磁石によって、共通の回転軸1277周りの基板ハンドラ1500A、1500Bの回転をもたらす回転電磁石サブアレイ1231~1234を含む。代替的に、電磁石は、推進力または回転について、具体的に指定されることなく、十分に高密度で十分に大きなグリッドを形成する場合があり、ベース1510の位置およびコントローラの制御法則に基づいて、その機能を実施し得る。理解され得るように、基板ハンドラ1500A、1500Bは、共通の回転軸1277周りで、同時に回転し得るが、基板ハンドラ1500A、1500Bの伸長および収縮は、基板ハンドラ1500A、1500Bのその他の1つの伸長および収縮から独立してもよい。概して、基板ハンドラ1500A、1500Bの動作は互いに独立しており、その動作の複雑さは1自由度から6自由度の範囲であり得る。
【0039】
図12Bを参照すると、一態様では、電気機械1599Rは、上下に積み重ねられた複数の搬送レベル1220A、1220Bを含む。本態様では、各レベル1220A、1220Bは、それぞれが搬送チャンバ118T1のフレームの水平基準面1299と略平行であるそれぞれの基準面1299Rを有する、それぞれの水平支持体1221によって形成される。各レベル支持体1221は、並設の基板ハンドラ1500A、1500Bを駆動ライン177~180に沿って、線形に駆動させ、(たとえば、完全な6自由度の制御で)共通の回転軸1277周りで、並設の基板ハンドラ1500A、1500Bを回転させるための、図12Aに例示されるものに略類似する電磁石1700のアレイを含む。各レベル支持体1221は、搬送チャンバ118T1の搬送開口部1180の基板搬送面1290で、それぞれのレベル支持体1221上に基板ハンドラ1500A、1500Bのエンドエフェクタ1520を整列させるように、Z方向にレベル支持体1221およびその上の基板ハンドラ1500A、1500Bを移動させる共通のZ軸ドライブ1211に連結される。Z軸ドライブ1211は、ねじドライブ、電磁ドライブ、空気圧ドライブ、油圧ドライブなどの、任意の適切な線形アクチュエータであり得る。
【0040】
図13Aおよび13Bを参照すると、別の態様では、移送チャンバ118T2は、実質的に六角形の構成を有する(しかし、他の態様では、移送チャンバは、本明細書で留意されるような任意の適切な形状を有してもよい)。本態様では、(図15Cの線形電気機械1599に略類似している)電気機械1599Rは、本明細書に記載されるように、両端/面エンドエフェクタ1520Dを有する基板ハンドラ1500を含む半径方向の搬送装置として構成される(しかし、他の態様では、一端/面エンドエフェクタが利用されてもよい)。本態様における電磁石1700のアレイは、「伸長および収縮」(伸長および収縮という用語は、本明細書では便宜上使用されるものであり、伸長および収縮は、それぞれの駆動ラインに沿う基板ハンドラ1500の線形推進動作によってもたらされることに留意されたい)の方向を変更するために、基板ハンドラ1500を共通の回転軸1377(このような軸は、たとえば、従来のスカラタイプのロボットのθ軸に類似している)周りで回転させ、搬送開口部1180A~1180Fを通って、基板ハンドラ1500を伸長させるように、線形に推進するように構成される。たとえば、電磁石1700のアレイは、半径方向にオフセットされた駆動ライン177、178、179を形成する配置を有し、ここで、隣接する駆動ライン間の角度αは、搬送開口部1180A~1180Fが位置付けられる搬送チャンバ118T2の側面/ファセットの数に依存する。電磁石1700A~1700N(図12Aに例示されているが、図面を明確にするために番号を付与されていない)は、ピッチとおよびロール時の所望の姿勢で、線形の搬送および回転を維持するように、搬送開口部1180A~1180Hを通る基板ハンドラ1500の少なくとも線形推進と、最大限6の自由度の制御での回転軸1377を中心とした基板ハンドラ1500の回転とをもたらす。
【0041】
図13Bを参照すると、一態様では、電気機械1599Rは、図12Bに関して上記した方法に略類似する方法で、上下に積み重ねられた複数の搬送レベル1320A、1320Bを含む。たとえば、各レベル1320A、1320Bは、それぞれが搬送チャンバ118T1のフレームの水平基準面1299と略平行であるそれぞれの基準面1299Rを有する、それぞれの水平支持体1321によって形成される。各レベル支持体1321は、基板ハンドラ1500を(駆動ライン177~179に沿って)線形に駆動させ、(軸1377周りで)回転させるための、図13Aに例示されるものに略類似する電磁石1700のアレイを含む。各レベル支持体1321は、搬送チャンバ118T2の搬送開口部1180の基板搬送面1390で、それぞれのレベル支持体1321上に基板ハンドラ1500のエンドエフェクタ1520Dのそれぞれを整列させるように、Z方向にレベル支持体1321およびその上の基板ハンドラ1500を移動させる(Z軸ドライブ1211に略類似する)共通のZ軸ドライブ1311に連結される。
【0042】
図12Bおよび13Bを参照すると、ウェハハンドラ1220Aまたは1220Bが、ウェハプロセスステーション間の取り出しまたは配置などのウェハハンドオフ操作を実施することができるように、Zアクチュエータ1211によってもたらされる垂直動作が、使用され得る。支持体1221、1321は、ウェハハンドオフ操作中に、大きな垂直ストロークを達成するために、ウェハハンドラ1220A、1220Bに追加の上昇機能をもたらす目的で、単一のモジュール(レベル)を含み得る。たとえば、プロセスモジュールまたはロードロックが1つまたは複数の積み重ねられたウェハスロットを有する場合、電気機械1599Rによって提供される、加えられる浮上力を増加させることなく、積み重ねられたウェハスロットのそれぞれに到達することができるZ軸アクチュエータ1211、1311などの垂直浮揚装置を有することに利点があるだろう。
【0043】
図12Aおよび12Bを参照すると、垂直浮揚装置(またはZ軸アクチュエータ)1211およびレベル1221は、別の態様では、二重(またはそれ以上)の別個に独立して操作可能な装置(たとえば、各ウェハハンドラ1520に対して1つ)を有する。これにより、少なくとも2つの独立したステーション(たとえば、プロセスモジュール、ロードロックなど)上のさまざまなスロットにアクセスし得る、さまざまなウェハハンドラのための独立した垂直ストロークを実施する能力が付与される。
【0044】
ここで図15A、15B、15C、16A、16B、16Cを参照すると、線形電気機械1599が、より詳細に説明される(電気機械1599Rが線形電気機械1599に略類似していることに再度留意されたい)。概して、線形電気機械1599は、磁石、およびベアリング、回転または直動継手、金属バンド、プーリ、スチールケーブルまたはベルトなどの可動部品を含まない構造1500を含む。上述のように、ベース1510は、常磁性材料、反磁性材料、または非磁性導電性材料で形成される。ベース1510は、本明細書に記載される(1つまたは複数の)方法で、基板Sを安定して搬送するように、電磁石1700のアレイの電磁石1700A~1700nと連携するための任意の適切な形状およびサイズを有し得る。一態様では、図9および11~16Cに例示されるように、ベース1510は円錐台形状で示され、ここで、円錐台1510FRの先細った側面1510TSは、電磁石1700のアレイに面している(しかし、他の適切な形状が動作可能である)。ここで、円錐台形状の先細った側面1510TSは、円錐台151QFRの平面に対して約50°から約60°の間である角度λ(図15Bを参照)を有するが、他の態様では、角度λは約60°超または約50°未満であってもよい。他の態様では、ベースは、図8、8A、および10に示されるような円錐ピラミッド形状を有してもよい。ここで、円錐台1510FRPの各側面1510TSPは、円錐台1510FRPの平面に対して約50°から約60°の間である角度λ(図8Bを参照)を有するが、他の態様では、角度λは約60°超または約50°未満であってもよい。円錐ピラミッド形状は4つの側面を有するものとして例示されているが、他の態様では、円錐ピラミッド形状は、たとえば、6つまたは8つの側面などの任意の適切な数の側面を有してもよく、または円形であっても、湾曲した側面を有してもよい。他の態様では、ベース1510は、円錐台形状または円錐ピラミッド形状を有さなくてもよく、電磁石1700によって適切に制御されるために適切な非対称の輪郭およびサイズを有する平面形状を備えていてもよい。
【0045】
エンドエフェクタ1520、1520Dは、従来のエンドエフェクタに略類似し得るが、本明細書に記載されるように、エンドエフェクタは、ベース1510に強固に連結される。一例として、エンドエフェクタは、単一の基板保持位置1520Aを有するシングルサイド/エンド型、2つの長手方向に離間される基板保持位置1520A、1520Bを有するダブルサイド/エンド型(エンドエフェクタ1520Dを参照)、複数の基板保持位置が並んで配置され(たとえば、横方向に離間され)、複数の基板保持位置が並んで配置され(たとえば、横方向に離間され)、並設の基板搬送開口部を通って伸長するように共通のベースから支持される並設構成、複数の基板保持位置が上下に積み重ねられて配置され、垂直に配列される基板搬送開口部を通って伸長するように共通のベースから支持される積層構成となり得るが、他の態様では、エンドエフェクタは任意の適切な構成を有してもよい。エンドエフェクタ1520、1520Dは、高温に耐える、低質量密度を有する、低熱膨張を有する、低熱伝導率を有する、および低ガス放出を有することの1つまたは複数が可能な材料で作られ得る。エンドエフェクタ1520、1520Dが構築され得る適切な材料は、アルミナ酸化物(Al23)であるが、任意の適切な材料が使用されてもよい。
【0046】
一態様では、エンドエフェクタ1520、1520Dは、エンドエフェクタ1520、1520Dを、たとえば、水平基準面1299に対する適切な公称高さH2に設定するように、実質的に剛性で非関節式の支柱1510Sでベース1510に連結される。基板ハンドラ1500は、本明細書に記載されるように、電気力学的浮上原理を使用して(少なくとも3自由度で)空間内を移動する。作動要素(たとえば、アクチュエータ1700)は、図15A~15C、16B、および16Cに示されるように、ベース1510内に推力および揚力のベクトルを誘導する所望の磁場を生成する、独立して制御されるコイルまたは電磁石1700A~1700n(本明細書ではコイルセグメントとも呼ばれる)を含む。
【0047】
いくつかの態様では、図10、10A、11、および11Aを参照すると、複数の基板ハンドラは、単一のユニットとして駆動ライン177~180に沿って線形に移動するように、互いに対して入れ子にされる場合があり、入れ子にされた基板ハンドラのエンドエフェクタ1520は、上下に積み重ねられて配置される。たとえば、図10および10Aを参照すると、入れ子にされたベース1510FP(回転体として対称、回転対称、たとえば円錐台、または両対称、たとえば円錐ピラミッド、またはチャネル形状の断面である場合があり、これは図10Aに例示されている)は、カップを互いに内部に積み重ねる方法に類似する方法で、ベース1510FPを積み重ねるように、1つのベース1510FPが別のベース1510FPに挿入され得るように構成される。ベース1510FPは、エンドエフェクタ1520間の垂直空間が、積み重ねられたときに(すなわち、エンドエフェクタ1520が水平基準面1299と略水平であるときに)、積み重ねられたエンドエフェクタ1520による基板の同時の取り出しおよび配置をもたらすように、積み重ねられた基板保持ステーション間の垂直空間と略同じであるように構成され得る。ベース1510FPの積層は、一態様では、電磁石1700のアレイによって生成される浮上力に応じて、ベース1510FP(およびそれぞれの基板ハンドラ1500A、1500B(ベースはこれらの一部である))のうちの少なくとも1つの独立した垂直またはZ軸の動作をもたらす。本実施例では、最上部の基板ハンドラ1500Bは、最下部の基板ハンドラ1500Aから独立してZ軸に移動し得るが、最上部の基板ハンドラ1500Bが最下部の基板ハンドラ1500Aから離されて持ち上げられると、最下部の基板ハンドラ1500Aも、最上部の基板ハンドラ1500Bから独立してZ軸方向に移動し得る。ここで、両対称のベースは、インターロックされ、基板ハンドラ1500A、1500Bの回転は、基板ハンドラ1500A、1500Bが揃って回転するように、ベース1510FPの形状によってリンクされる。ベース1510FFの積層可能な構成によって、任意の適切な数の基板ハンドラが上下に積み重ねられる(本実施例では、2つが上下に積み重ねられて示されているが、他の態様では、2つを超える基板ハンドラが上下に積み重ねられてもよい)。
【0048】
図11および11Aを参照すると、回転対称ベース1510FCは、上下に積み重ねられ、推進方向に移動し、円錐ピラミッドベース1510FPに関して上記した方法に略類似する方法で、Z軸に沿って互いに対して移動し得る。しかし、本態様では、ベース1510FCの回転対称形状は、インターロックせず、各基板ハンドラ1500A、1500Bの、基板ハンドラ1500A、1500Bのもう1つに対する基板ハンドラの回転軸軸周りで、独立した回転をもたらす。円錐台ベースの基板ハンドラ1500A、1500Bの独立した回転は、基板ハンドラ1500Aのエンドエフェクタ1520が基板S1を取り出すために基板保持ステーション120BHと整列させられている場合などに、単一の基板保持ステーションからの基板の高速スワッピングをもたらし、ここで、基板ハンドラ1500Bのエンドエフェクタ1520は、基板保持ステーション120BHへと伸長しない位置まで回転する。基板S1が基板ハンドラ1500Aによって基板保持ステーション120BHから取り外されると、基板S2を基板保持ステーション120BHに配置するために、基板ハンドラ1500Bのエンドエフェクタ1520が、基板保持ステーション120BHと整列するとともに、基板ハンドラ1500Aのエンドエフェクタ1520が基板保持ステーション120BHへと伸長しないような位置まで回転するように、基板ハンドラのエンドエフェクタ1520の位置が、スワッピングされ得る。理解され得るように、基板ハンドラ1500A、1500Bは、基板保持ステーション120BHの高さに対するエンドエフェクタの積み重ね高さに対応するために、Z軸に沿って移動し得る。対称(1つまたは複数の軸周りで回転)ベースが例示されているが、他の態様では、1つまたは複数のベースは非対称であってもよく、または対称軸を欠いてもよい。
【0049】
本明細書に記載されるように、線形推進力は、概して、独立して制御される電磁石1700A~1700nの2つの平行した線形軌道1550(単一の軌道であり得る)によってもたらされる。電磁石1700A~1700nは、空間内の基板ハンドラのすべての6自由度(X、Y、Z方向のそれぞれにおけるロール、ピッチ、ヨー、および並進)を制御するように、ベース1510の寸法に応じて、互いに離間される。たとえば、図15Bに例示されるように、電磁石1700A~1700nは、それぞれの平行な線形軌道1550の(モータアクチュエータ(一次側(primary))1701を形成するように連携する、およびベース(二次側(secondary))1510のモータと組み合わせた)2つ以上の電磁石1700A~1700nがベース1510を安定して浮上および推進するように、ベースの動作方向において、常時ベース1510の下に配置されるように、互いに離間され得る(理解され得るように、図15A、15Bは、システムの典型的な構成を概略的に例示し、ベース1510と電磁石1700A~1700nとの間の相互関係の例示的な典型を概して示すように提供されており、決して限定することを意図していない)。X軸およびY軸の両方における電磁石1700A~1700nのサイズ、数、および間隔(たとえば、ピッチ)は、電磁石1700A~1700nに関連するベース1510のサイズおよび形状と同様に変化し得る。一態様では、図8に例示されるように、電磁石1700のアレイは、軌道1550の横方向外側に配置される安定化軌道15505も含み得る。安定化軌道は、軌道1550に略類似する場合があり、ベース1510に作用する(たとえば、平行した線形軌道1550の電磁石によって生成される揚力および推進力に加えて)追加の揚力および/または推進力の生成を介して、ベース1510の追加の安定化をもたらすように構成される。その結果、基板ハンドラ1500は、ロール、ピッチ、およびヨーのうちの1つまたは複数の配向を変えながら、軌道1550の方向(すなわち、推進方向)に沿って移動し得る。電磁石1700A~1700nが「一次側」に類似する磁気誘導原理によれば、ベース1510は、電流が渦電流効果によって誘導される「二次側」に対応する。
【0050】
図17は、開示される実施形態の一態様に応じて、図15A~16Cに関して記載および例示される所望の力成分および自由度をもたらすために、各電磁石1700A~1700nの個々の制御をもたらすように構成されるアクチュエータ制御システムネットワーク1799を示している。一態様では、アクチュエータ制御システムは、電磁石1700A~1700nは、モータアクチュエータユニット(まとめてモータアクチュエータと呼ばれる)を形成し、各モータアクチュエータユニットは、連携してモータを形成するm個の電磁石/コイルを有する(ここで、mは、以下でさらに説明されるように、モータアクチュエータユニットの1つまたは複数を形成する2つ以上の電磁石の動的に選択可能な数である)ように構成される。したがって、アクチュエータ制御システムネットワーク1799は、以下でより詳細に説明されるように、少なくともマスタコントローラ1760および分散ローカル駆動コントローラ1750A~1750nを備えるクラスタ化アーキテクチャを有するスケーラブルな動作制御システムである。本態様では、電磁石1700G1~1700Gnのグループは、電磁石1700G1~1700Gnのそれぞれのグループ内の電磁石1700A~1700n上の電流を制御するように構成される、それぞれのローカル駆動コントローラ1750A~1750nに連結される。ローカル駆動コントローラ1750A~1750nは、空間内の基板ハンドラ1500の所望の動作をもたらすために、個々の電磁石1700A~1700nごとに所望の力(たとえば、推力および揚力)を指定するように構成されるマスタコントローラ1760に接続されるネットワーク内の「スレーブ」であり得る。本明細書に記載されるように、物理的な電磁石/コイルは、以下でさらに説明されるように固定される(たとえば静止する)が、電磁石1700A~1700nは、(推進下において連携するモータの励磁位相で形成される)所与のモータアクチュエータユニットの位置が、事実上、ベース推進と揃って移動するものとして見做され得るように、所与のモータアクチュエータユニットの他の電磁石/コイルの「位相」定義に対する各コイルのそれぞれの「位相」定義の際に、動的に構成され得る。これは、基板ハンドラの動作制御のための所望の力ベクトルの連続性をもたらす。
【0051】
開示される実施形態の態様によれば、図18および19を参照すると、位置フィードバックセンサ2000は、チャンバ118のフレーム上に分布される。センサ2000は、駆動面1598に沿うベース1510の位置を感知するように構成され、コントローラ199に通信可能に連結され、そのため、コントローラ199は、感知されたベース1510の位置を登録し、ここで、コントローラ199は、本明細書に記載される方法で感知された位置に対応する電磁石1700のアレイの電磁石1700A~1700nを順次励磁するように構成される。
【0052】
図18および19は、たとえば搬送チャンバ118のフレームに対する、空間内の基板ハンドラ1500の位置フィードバックをもたらすように構成される、開示される実施形態の態様による、センサ制御システムネットワーク1899を例示している。センサ制御システムネットワーク1899は、以下でより詳細に説明されるように、少なくともマスタコントローラ1760および分散ローカルセンサコントローラ1850A~1850nを備えるクラスタ化アーキテクチャを有するスケーラブルなセンサ制御システムであり得る。本態様では、センサ1800G1~1800Gnのグループは、マスタコントローラ1760(またはマスタコントローラ1760と通信する他の適切なマスタコントローラ)に接続されるネットワーク内において「スレーブ」として構成されるそれぞれのローカルセンサコントローラ1850A~1850n(本明細書ではセンサ処理ユニットとも呼ばれる)に連結される。ローカルセンサコントローラ1850A~1850nのそれぞれは、本明細書に記載されるものなどのさまざまなタイプのセンサ技術を支援し得る中央処理装置1851および関連するハードウェアインターフェース1852を含む。ローカルセンサコントローラ1850A~1850nは、EtherCatなどのリアルタイムネットワークおよび/またはEthernetなどの非リアルタイムネットワークに統合し得る。センサ2000は、たとえば搬送チャンバ118のフレームに対する、空間内の基板ハンドラの場所/位置を検出するように、基板ハンドラの推進経路(たとえば、駆動ライン177~180)に沿って分布され得る。
【0053】
図20は、基板ハンドラ1500のベース1510に対するセンサ2000A~2000nを含む分散型センサアレイ2001と、どのようにベース1510およびセンサ2000A~2000nの特徴的な寸法間の関係性が基板ハンドラ1500の位置の連続的なフィードバックをもたらすかを例示している。図20に見られ得るように、センサ2000A~2000nは、隣接するセンサ2000A~2000n間にセンサ間隔Δが提供される所定の間隔またはセンサピッチPsで配置される。各センサ2000A~2000nは、所定の感知範囲Lsを提供するような長さを有し、ベース1510は長さLbを有する。継続的なフィードバックをもたらすためのこれらの特性間の関係性は、以下の通りである。
Ls/2 > Ps-Ls => Ps<(3/2)Ls [2]
式中、ベース1510の長さLbは、以下の通りである。
Lb=nPs+LS/2(式中、n=1、2、3、...) [3]
【0054】
開示される実施形態の態様によれば、各センサ2000A~2000nは、長手方向の変位、および/または基板ハンドラ1500のベース1510と水平基準面1299(たとえば、図15Aを参照)などの底部基準面との間の空隙を測定し得る(1つまたは複数の)任意の適切なデバイスを含む。マスタコントローラ1760は、どのローカルセンサコントローラ1850A~1850nが適切なセンサ1700A~1700nからのフィードバックをアクティブに報告すべきかを指示することによって、基板ハンドラ1500の位置を追跡するように構成される。アクチュエータ制御システムネットワーク1799とセンサ制御システムネットワーク1899との組み合わせによって、図15A~16Cに示されるような基板ハンドラ1500の6自由度のための動作制御インフラストラクチャが形成される。
【0055】
図39を参照すると、アクチュエータ制御システムネットワーク1799およびセンサ制御システムネットワーク1899の典型である、クラスタ化アーキテクチャを有する制御システム、ネットワーク3999が描かれている。図39に例示される例では、3つの駆動ライン177、179A、179Bが存在し、そのそれぞれは、それぞれの軌道1550A~1550Fを形成するそれぞれの電磁石アレイを有する(線形として示されているが、円弧状であってもよい)。たとえば、駆動ライン177は、電磁石177ER1~177ERnおよび177EL1~177ELnを有する軌道1550Aおよび1550Bによって形成される。駆動ライン179Aは、電磁石179AER1~179AERnおよび179AEL1~179AELnを有する軌道1550Cおよび1550Dによって形成される。駆動ライン179Bは、電磁石179BER1~179BERnおよび179BEL1~179BELnを有する軌道1550Eおよび1550Fによって形成される。図39に例示される電気機械の構成は、例示であり、任意の他の適切な構成を有してもよい。
【0056】
図39では、制御システムネットワークは、マスタコントローラ1760、クラスタコントローラ3950A~3950C、およびローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBを含む。ローカルコントローラ1750DLは、駆動ライン177に対応し、ローカルコントローラ1750DLAは、駆動ライン179Aに対応し、ローカルコントローラ1750DLBは、駆動ライン179Bに対応する。ローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLBのそれぞれは、分散型ローカル駆動コントローラ1750A~1750nに略類似しており、それにより、各駆動ライン177、179A、179Bは、電磁石1700A~1700nのそれぞれのグループ1700G1~1700Gnを制御するために、図17に関して上記されるようなローカル駆動コントローラ1750A~1750nの分散配置を含む。同様に、ローカルコントローラ1850DLは、駆動ライン177に対応し、ローカルコントローラ1850DLAは、駆動ライン179Aに対応し、ローカルコントローラ1850DLBは、駆動ライン179Bに対応する。ローカルコントローラ1850DL、1850DLA、1850DLBのそれぞれは、分散型ローカルセンサコントローラ1850A~1850nに略類似し、それにより、各駆動ライン177、179A、179Bは、センサ2000A~2000nのそれぞれのグループ1800G1~1800Gnを制御するために、図18に関して上記されるようなローカルセンサコントローラ1850A~1850nの分散配置を含む。
【0057】
一態様では、図39に示されるように、ローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBのそれぞれは、それぞれのクラスタコントローラ3950A~3950Cに(たとえば、無線および/または有線接続を介して)接続される。たとえば、駆動ライン177のローカルコントローラ1750DL、1850DLのそれぞれは、クラスタコントローラ3950Bに連結され、駆動ライン179Aのローカルコントローラ175DDLA、1850DLAのそれぞれは、クラスタコントローラ3950Aに連結され、駆動ライン179Bのローカルコントローラ1750DLB、1850DLBのそれぞれは、クラスタコントローラ3950Cに連結される。他の態様では、ローカルコントローラは、図17および19に示されるように、直接マスタコントローラ1760に(たとえば、無線または有線接続を介して)接続されてもよい。さらに他の態様では、ローカルコントローラは、ローカルコントローラの冗長で実質的にフェールセーフな制御をもたらすように、マスタコントローラ1760およびそれぞれのクラスタコントローラ3950A~3950Cの両方に(たとえば、無線または有線接続を介して)接続されてもよい。
【0058】
クラスタコントローラ3950A~3950Cのそれぞれは、マスタコントローラ1760に(たとえば、無線または有線接続を介して)接続される。マスタコントローラ1760、クラスタコントローラ3950A~3950C、およびローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBのそれぞれは、本明細書に記載されるように、基板ハンドラ1500の動作制御をもたらすために、任意の適切なプロセッサおよび非一時的コンピュータプログラムコードを含む。マスタコントローラ1760は制御システムネットワーク3999の全体的な動作を監視し、クラスタコントローラ3950A~3950Cのそれぞれは、それぞれのローカルコントローラ175DDL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBの動作を監視し、各ローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBは、電磁石を駆動させる、および/または、それぞれの駆動ライン177、179A、179Bに対応する(基板ハンドラ1500の)位置フィードバックをもたらすために利用される。
【0059】
クラスタ化アーキテクチャは、ネットワークトポロジ内に、必要に応じて、集中制御ネットワークの機能および分散制御ネットワークの機能をもたらす。クラスタがネットワーク内の必要な場所に分散されてもよく、各クラスタコントローラ3950A~3950Cが管理するクラスタ内において高度に集中化された制御をもたらすことが可能であるため、本明細書に開示されるアーキテクチャには利点がある。高度に集中化された制御に関連付けられるネットワークトラフィックは、概して、各クラスタ内に限定され、ローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBは、それらが制御する電磁石またはセンサの近くに位置付けられてもよく、電力および信号ケーブル配線に関連する問題が軽減される。さらに、クラスタ化アーキテクチャは、必要な場合に、マスタコントローラ1760によるローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBの直接制御を可能にする。さらに、集中的なネットワークトラフィックは、概して、クラスタ内に限定され、クラスタは高レベルの制御が可能であるため、アーキテクチャは多数のクラスタに対応し得る。したがって、アーキテクチャは、高レベルのスケーラビリティをもたらし、コントローラの効率的な分散を可能にする。クラスタ化制御アーキテクチャが上述されているが、クラスタ化アーキテクチャは、適切な制御アーキテクチャの単なる例示に過ぎず、任意の適切な制御アーキテクチャが採用され得ることが留意される。
【0060】
開示される実施形態の別の態様では、図39に示されるローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBは、マスタコントローラ1760に直接接続され得る。本態様では、マスタコントローラソフトウェアは、ウェハハンドラの動作のリアルタイム制御のいくつかの態様を管理し(たとえば、マスタコントローラは制御するように構成され)、ローカルコントローラは、制御アーキテクチャのすべての低レベルのフィードバックおよび作動の態様を管理する(たとえば、そのために構成される)。
【0061】
依然として図39、および図15A~16Cを参照すると、開示される実施形態の態様によれば、マスタコントローラ1760のプロセッサ3901は、その上にペイロード(たとえば、(1つまたは複数の)基板S)を有する、およびペイロードを有さない、ベース1510の動的モデル3910を用いてプログラムされる(たとえば、動的モデルは、プロセッサ3901によってアクセス可能である任意の適切なメモリ3902に保存される)。プロセッサ3901はまた、基板Sとエンドエフェクタ1520との間の摩擦力μの動的モデル3911を用いてプログラムされる。ベース1510に対する機械電子機器の形状因子3912(たとえば、電磁石の数、電磁石間の間隔、駆動ラインの数およびそれらのそれぞれの配向、推進力対揚力の関係性など)もまた、メモリ3902に保存される場合があり、プロセッサ3901によってアクセス可能である。
【0062】
マスタコントローラ1760は、初期の基板ハンドラの態勢から最終的な基板ハンドラの態勢までのベース1510の運動学的動作を判定するようにプログラムされるか、または別の方法で構成される。マスタコントローラ1760はまた、判定された運動学的動作に関連する姿勢/ヨー制御の運動学(ピッチ、ロール、ヨーの3自由度)を判定するようにプログラムされるか、または別の方法で構成される。一態様では、姿勢/ヨーの運動学的動作および運動学は、たとえば、所定の基板プロセスレシピ(たとえば、基板がどこで、いつ移送されるか、およびどのようなプロセスが基板上で実施されるか)と組み合わせて、動的モデル3910、動的モデル3911、および形状因子3912の1つまたは複数を使用して判定される。
【0063】
本明細書に記載される電気機械などの機械を制御するための1つの方法は、(X軸および/またはY軸に沿う)推進力、(Z軸に沿う)揚力、ロール、ピッチ、ヨーのそれぞれに対する軌跡を計算することである。このような軌跡は、好適には、PVTフレームと呼ばれるフレームにグループ化される一連の位置、速度、および時間の値によって好適に定義され得る。
【0064】
図40Aは、例示的なPVTフレーム4005を示している。PVTフレーム4005は、(開始位置(X、Y、Z)、終了位置(X、Y、Z)、および姿勢(ロール、ピッチ、ヨー)を含み得る)位置データ4010、速度データ4015、および時間データ4020を含む。一態様では、データは、1つまたは複数のバイトに一緒にグループ化されるバイナリ形式である。別の態様では、位置データ4010、速度データ4015、および時間データ4020のそれぞれは、4バイトを占める(一方、他の態様では、位置データ4010、速度データ4015、および時間データ4020のそれぞれは、4バイトより多いまたは少ないバイトを占める)。PVTフレーム4005は、随意に、ヘッダ情報4025およびトレーリング情報4030を含んでもよく、その両方は、識別、パリティ、エラー補正、または他のタイプのデータを含み得る。PVTフレーム4005は、ヘッダ、位置、速度、時間、およびトレーリングのデータの2つの間で、またはそれ以上の間でさまざまな長さまたは量の追加のデータを含み得る。PVTフレーム4005は、任意の特定の長さに限定されないことが留意されるべきである。他の態様では、PVTフレームは、PTフレームまたはPフレームのみのいずれかに縮小される。マスタコントローラ1760からクラスタ/ローカルコントローラ175ODL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DL3への通信は、所望の動作に周辺的に関連するさまざまな値のセットを含む場合があり、たとえば、これらの値は、周波数、位相オフセット、制御下の電磁石/コイルの電流値および/または電圧値であり得る。マスタコントローラ1760は、(クラスタおよびローカルコントローラの階層スキームを介して効果的にすべてのコイルに対して)所望のアルゴリズム変換を実施し、モーションネットワークを介して、そのような量を計算し、ストリーミングする。
【0065】
開示される実施形態の態様の特徴は、ベース1510が所望の軌道に従うように、所定の電磁石1700A~1700nによって、加えられる理論上の揚力および推進力を計算するために、これらの一連の値を、制御された電気機械の動的モデル3910、3911に対する入力として使用することである。開示される実施形態の態様の特徴はまた、それらの制御下で、各電磁石に対して、ローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBによって使用されるフィードバック制御信号をスケーリングするために、動的モデル3910、3911の要素を使用することである。
【0066】
揚力、推進力、およびスケーリング項は、利点として、個々の駆動ライン177、179A、179B間の非線形性および動的相互連結の要因であり得る。揚力、推進力は、本明細書では、フィードフォワード項と呼ばれ、スケーリング項は、ゲイン項と呼ばれ得る。
【0067】
一実施例として、図39図15A~16Cも参照)に示される電気機械1599を使用して、マスタコントローラ1760は、指令された位置、速度、および加速度に関して、各駆動ライン177、179A、179Bについての軌跡を生成する場合があり、基板ハンドラ1500は、それに沿って移動する。ベース1510および/または摩擦力のうちの1つまたは複数の逆動作モデルを使用して、マスタコントローラ1760は、対応するフィードフォワードおよびゲイン項を生成するために、軌跡情報を利用し得る。これらの項は、PVT-FGフレームと呼ばれる、各駆動ライン177、179A、179Bに固有のフレームにおいて、軌跡情報とともにグループ化され得る。図40Bは、例示的なPVT-FGフレーム4095を例示している。PVT-FGフレーム4095は、PVTフレーム4005に類似する、随意のヘッダ4025、位置データ4010、速度データ4015、時間データ4020、および随意のトレーリング情報4030を含む。さらに、PVT-FGフレーム4095は、少なくとも1つのフィードフォワード項4050および少なくとも1つのゲイン項4060を含む。データは、1つまたは複数のバイトとともにグループ化されるバイナリ形式であり得る。PVT-FGフレーム4095の一態様では、位置データ4010、速度データ4015、時間データ4020、フィードフォワード項4050、およびゲイン項460はそれぞれ、4バイトを占める(一方、他の態様では、それらはそれぞれ、4バイトより多いまたは少ないバイトを占めてもよい)。PVTフレーム4005と同様に、PVT-FGフレーム4095は、さまざまな項の2つの間で、またはそれ以上の間で分布される、さまざまな長さまたは量の他のデータを含み得る。
【0068】
その後、PVT-FGフレーム(または他の態様ではPVTフレーム)は、制御システムネットワーク3999上に分布され得る。クラスタコントローラ3950A~3950Cは、データを受信し、2つの連続するフレーム間を補間して、瞬間位置、速度、フィードフォワード項、およびゲイン値を取得し、基板ハンドラ1500の制御をもたらすように、この情報を利用する。たとえば、各クラスタコントローラ3950A~3950Cは、マスタコントローラ1760からのPVT-FGフレーム(またはいくつかの態様ではPVTフレーム)、または他の適切な情報/コマンドを利用して、推進力Fx(X軸に沿う推進力)、Fy(Y軸に沿う推進力)、および(Z軸に沿う)揚力Fzを生成し、基板ハンドラ1500およびそのベース1510のレベリング、推進、および3自由度の姿勢制御(ロール、ピッチ、ヨー)のうちの1つまたは複数をもたらす。いくつかの態様では、機械電子機器の形状因子3912は、マスタコントローラ1760によってプログラムされないか、またはそれに加えて、クラスタコントローラ3950A~3950Cレベルでプログラムされる場合があり、ここで、形状因子は、(1つまたは複数の)揚力対推進力の関係性を確立し、マスタコントローラ1760によって提供されるデータによって、上述の揚力および推進力が生成するために使用される。他の態様では、クラスタコントローラ3950A~3950Cおよびローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBは、マスタコントローラ1760から対応するデータを受信し、そのデータを利用して、電磁石1700A~1700n、および駆動ライン177、179A、179Bの1つまたは複数に沿う基板ハンドラ1500の移動を制御する。
【0069】
クラスタコントローラ3950A~3950C(または代替的にローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLB)は、電磁石1700A~1700nの変調を命令し、この命令は、それぞれのローカルコントローラ1750DL、1750DLA、1750DLB、1850DL、1850DLA、1850DLBによって送受信され、本明細書でより詳細に説明されるように、動的位相割振りおよび実質的な多相モータアクチュエータユニットの作成の1つまたは複数をもたらす。
【0070】
図21は、基板Sを運搬する間の基板ハンドラのスループットの増加に関する開示される実施形態の態様による基板ハンドラ1500の(1つまたは複数の)例示的な制御された動作を例示している。ここで、コントローラ199は、ピッチ(図15B、21および27に示される)およびロール(図15Aおよび29に示される)のうちの少なくとも1つで所定の反応プラテンの姿勢を制御する、駆動面1598に対する、ベース1510の制御された傾斜(たとえば、e+またはe-)をもたらす、(図21に例示される)差動浮上力をベース1510全体に付与するように、電磁石1700のアレイによって生成される浮上力(たとえば、FZT、FZL)を制御する。一態様では、コントローラ199は、駆動面1598に沿って反応プラテンの加速から生じるペイロード慣性力に対抗する方向において、ベース着座面によって支持される基板S上のベースペイロード着座面(たとえば、エンドエフェクタ1520の基板着座面1520SS(図23、25A、25B)またはカート1500Cのカート1431~1433の基板支持体によって画定される着座面)から、バイアス反力F2(図23)を付与する、駆動面1598に対する、ベース1510の所定のバイアス姿勢BA+またはBA-をもたらすように、(実質的に移動している)モータアクチュエータユニットの電磁石1700のアレイによって生成される浮上力(たとえば、FZT、FZL)を制御する。コントローラ199は、少なくともセンサ2000によって感知されるベース1510の位置の変化から駆動面1598に沿うベース1510(およびその基板ハンドラ)の加速度を判定し、判定された加速度に応じて、ベース1510の加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する所定のバイアス姿勢をもたらすように、ベース1510のバイアス姿勢を制御するように構成される。他の態様では、コントローラ199は、バイアス姿勢の制御のために命令される軌跡からの所定の加速度を適用してもよい。ここで、コントローラ199は、基板Sとベース1510との間の着座部に沿ってベース1510に対して、基板Sを(たとえば、そのエンドエフェクタ1520上またはその基板支持体1431~1433上に)ベース1510に対して着座して変位させやすい慣性力に抗してベース1510を付勢するべくバイアス姿勢BA+またはBA-を設定するように、電磁石1700のアレイの実質的に移動するモータアクチュエータユニットの電磁石1700A~1700nの励磁を制御する(たとえば、図23、25A、25Bを参照)。
【0071】
ペイロード慣性力に対抗する一実施例として、図21の左側から開始して、(本明細書に記載される基板ハンドラのいずれかであり得る)基板ハンドラ1500が、図21の方向2122の動作の開始点に示されている。基板ハンドラが移動し始めると、一連の推進力ベクトルFPおよび揚力ベクトルFZが、制御システム(たとえば、コントローラ199の一部であり得るアクチュエータ制御システムネットワーク1799およびセンサ制御システムネットワーク1899)によって生成され、それにより、基板ハンドラ1500を、増加したピッチ角e+で動作方向に加速させる(たとえば、エンドエフェクタ1520は、たとえば時計回りの方向に傾斜させられる)。増加したピッチ角e+をもたらすために、揚力ベクトルFZは、後行する(trailing)揚力ベクトルFZTの大きさが先行する(leading)揚力ベクトルFZLの大きさよりも大きくなるように生成される(ここで、先行および後行は動作方向を基準にしている)。基板ハンドラが、動作の終わりに向かっておよそその中間点に到達すると(たとえば、基板ハンドラ1500の加速が実質的にゼロである場合など)、ピッチ角e+の大きさが縮小され、それにより、エンドエフェクタ1520の傾斜した配向は、時計回りの配向からゼロに反転される(たとえば、水平基準面1299に略平行して、後行する揚力ベクトルFZTおよび先行する揚力ベクトルFZLは略等しい)。軌道のこの時点で、基板ハンドラ1500の動作が減速段階を開始し、ここで、エンドエフェクタ1520が反時計回りの配向にピッチをとる(pitches)ように、ピッチ角e-が減少される。減少したピッチ角e-をもたらすように、揚力ベクトルFZは、後行する揚力ベクトルFZTの大きさが先行する揚力ベクトルFZLの大きさより小さくなるように生成される。基板ハンドラ1500がその最終目的地に到達すると、エンドエフェクタ1520の傾斜した配向が、動作の開始時と同様に水平基準面1299と略平行になるように、ピッチ角e-がゼロに増加される。
【0072】
理解され得るように、エンドエフェクタのピッチは、(駆動ライン177~180に沿うなどの)略直線/線形の経路に沿って移動する間に、エンドエフェクタに対する基板Sの滑りを実質的に伴わずに、基板ハンドラ1500の加速および減速に対応するように、増加または減少されるが、他の態様では、基板ハンドラ1500のロールrおよび/またはピッチeは、線形動作に関して上述した方法に略類似する方法で、基板ハンドラ1500(軸1277、1377の約1つまたは複数など)のより高い回転加速度をもたらすように、増加または減少されてもよい(揚力ベクトルFZleftが揚力ベクトルFZrightよりも大きい図15Aに示されるようなロール制御を伴う回転方向のエンドエフェクタの転がりを例示している図21Aを参照)。
【0073】
図21に例示される動作制御は、エンドエフェクタが、エンドエフェクタの動作全体にわたって、ウェハ移送面と平行である従来の基板移送と比較して、実質的により速い基板動作搬送をもたらす(たとえば、エンドエフェクタに対する基板の滑りを実質的に伴わずに、より高い加速度をもたらす)。一例として、図21のピッチ角eが、動作全体の間に(従来の基板搬送装置と同様に)ゼロに設定される場合、最大許容推進加速度は、基板Sとエンドエフェクタ1520の接触面との間の静摩擦係数(μ)に制限される。これは、図22に例示されており、基板Sがエンドエフェクタと接触してその背面によって保持される従来の基板搬送装置における典型的な使用事例を構成している。図22に見られ得るように、基板Sに加えられる最大加速度は、ウェハの滑りが起こる前のμgである。ここで、「g」は重力加速度(約9.8m/S2)であり、μは摩擦係数であり、Mは基板の質量であり、Wは基板の重量であり、Nは垂直力である。
【0074】
図23は、(質量mを有する)基板Sがピッチ角eで(質量Mを有する)基板ハンドラ1500によって運搬されるとともに、基板ハンドラ1500がX方向に加速される事例を例示している。図23の力の図は、基板Sおよび基板ハンドラ1500の動作のダイナミクスを例示している。図23では、基板ハンドラ1500は、加速度aで推進方向Xに沿って加速される。結果として、基板ハンドラでの力は、変数F1によって表される。X方向に沿う加速度aは、基板Wの重量に加えられると、結果としてウェハ力F2が生じるように、基板S上の反(法線)力Nに影響を与える。基板Sが基板ハンドラ1500のエンドエフェクタ1520に対して実質的に滑らないように、角度eと加速度aとを関連付けることが可能である。ウェハの滑りを実質的に防止するために、2つの状況が、明確にするために、考慮され得る。第1に、基板とエンドエフェクタ1520との間に摩擦がないことが想定される。図24は、摩擦μがない場合のエンドエフェクタ1520上の基板Sの自由体図を例示している。図24に見られ得るように、摩擦μがないにも関わらず、加速度aは、基板質量mがX方向に沿って移動するように、ピッチ角eに関して判定され得る。この関係は、以下の方程式(4)で表される。
a = g tan e [4]
式中、gは、重力加速度(9.8m/S2)である。図24Aは、ピッチ角eに関するウェハの滑り領域を例示している。ピッチ角eが略ゼロである場合に、摩擦μなしで、基板Sがエンドエフェクタ1520に対して滑ることが留意される。図24Aに例示される曲線は、基板Sが滑りなしでX方向に沿って加速度「a」で移動することを維持するための所望のピッチ角「e」を表す。代替的に、図24Aの同じ曲線は、基板Sがピッチ角「e」でX方向に沿って移動する間に滑るのを防止するために、基板ハンドラ1500に要求される加速度「a」として解釈され得る。図24Aに例示される曲線からの逸脱によって、基板Sは、加速度値に応じてエンドエフェクタ1520に対して「下傾斜(downhill)」または「上傾斜(uphill)」(ここで、下傾斜および上傾斜という用語はピッチに対して便宜上使用される)のいずれかでスライドする。
【0075】
図25Aおよび25Bは、加速度aとピッチ角eとの間の関係に対する非ゼロの静摩擦係数μの効果を示している。たとえば、図25Aは、エンドエフェクタ1520に対する基板Sの滑りが生じる前の最小推進加速度を例示している。この場合、摩擦力方向は、(再びピッチの方向に対して)ウェハ質量mが「下傾斜」でスライドするのを実質的に防止するために「上傾斜」を示す。ここで、ウェハの滑りを防ぐための予想される「最遅」の加速度は、以下のように計算される。
min=[-μ + tan e]/[1 + μ tan e] [5]
【0076】
図25Bは、エンドエフェクタ1520に対する基板Sの滑りの前の、予想される最大(たとえば、最速)の推進加速度aのケースを例示している。この場合、摩擦力方向は、(再びピッチの方向に対して)ウェハ質量mが「上傾斜」でスライドするのを実質的に防止するために「下傾斜」を示す。ここで、予想される「最速」の加速度aは、以下のように計算される。
max=[μ + tan e]/[1 - μ tan e] [6]
【0077】
結果として、非ゼロの静止摩擦係数μがある場合、推進加速度aは、所与のピッチ角に対して、基板Sの滑りを防止するために、以下の制限内に留まるであろう。
min < a < amax [7]
【0078】
図26は、高温用途で使用される基板ハンドラに対する典型的な値である、約0.1であるμの静的係数に対する加速度aとピッチ角eとの間の依存性の一例を提示している。図24Aの曲線は、約0に等しいμの事例の下で、図26において繰り返されている。上部曲線と下部曲線との間の領域(約0.1に等しいμ)は、非滑り領域(たとえば、エンドエフェクタに対する基板の滑りが実質的に生じない、所与のピッチ角の加速領域)を表す。この領域の外側の領域は、基板ハンドラの傾き(すなわち、ピッチ角e)に対する上向きまたは下向きのいずれかの方向において、ウェハの滑りを有し得る。図26の例では、実質的にゼロのピッチ角での最大加速度は約0.1gであり、これは、従来の基板ハンドラが、典型的な高温用途に提供し得る最速の加速度である。ピッチ角eが約16度の傾斜に設定される場合、基板は、従来の基板ハンドラと比較して、大きなスループットの向上を構成し得る(従来の基板ハンドラにおけるような)同じエンドエフェクタ材料を使用して、0.4gもの高い加速度で搬送され得る。ピッチ角eは、図21に示されるものなどのスループットを最大化するために、所定の加速度に応じて設定され得る。
【0079】
図27は、プロセスモジュール120などの基板ステーションに対する基板ハンドラ1500のレベリングに関して、ロール、ピッチ、およびヨーにおける基板ハンドラ1500の配向の能動制御を例示している。機械的な偏向は、プロセスモジュール120の処理時間の最適化の要求により、高さH3が次第に低くなるプロセスモジュール開口部2780への出入りにおける課題を課している。従来の基板搬送装置は、概して、重量を追加し、剛性を低下させるベアリングを備える関節式リンクの存在による、固有の潜在的な機械的な偏向を抱えており、ウェハがプロセスモジュールの開口部2780を通過する際のエンドエフェクタの配向の補償は、実用的でない場合があることに留意されたい。これらの場合、より制限的な機械的な偏向の制約に準拠することがますます困難になっている。開示される実施形態の態様は、(たとえば、本明細書に記載されるようにロール、ピッチ、およびヨーの角度を調整することによって)水平基準面に対する、空間内の基板ハンドラの配向を制御することによって、機械的な偏向を動的に補償する、機械的な偏向に対する解決策を提供し、それにより、基板が、基板Sと開口部2780との間で実質的に接触することなく、およびエンドエフェクタ1520と開口部2780との間で実質的に接触することなく、プロセスモジュールの開口部2780を通過する。
【0080】
図15A~16Cは、ピッチ角に加えて基板ハンドラ1500のロールおよびヨーの角度の、ローカル駆動コントローラ1750A~1750nおよびローカルセンサコントローラ1850A~1850nによる、制御された調整を例示している。また、図27を参照すると、(たとえば、本明細書に記載されるようにベース1510に作用する少なくとも揚力ベクトルを差次的に変化させることによる)ロール、ヨー、およびピッチの角度のそれぞれの制御された調整は、基板S(および基板Sが支持されるエンドエフェクタ1520)の平面2770が、基板保持ステーション120の基板支持面2760によって画定される平面2771と略同じであるように、プロセスモジュール120などの任意の適切な基板保持ステーションでの基板ハンドラ1500の位置のレベリングをもたらす。いくつかの態様では、ロール、ヨー、およびピッチの角度は、互いに独立して調整される。基板ハンドラ1500の配向角度(たとえば、ロール、ピッチ、およびヨー)の制御された調整はまた、たとえば、基板ハンドラ1500の構造だけでなく、基板の積載による、エンドエフェクタ1520の機械的な偏向を補償する。
【0081】
図8~11、28および29を参照すると、上記のように、いくつかの態様では、複数の駆動ライン177、178が、搬送チャンバ118の長さに沿って、長手方向に伸長するように設けられて、1つの基板ハンドラ1500が搬送チャンバ118の長手方向に沿って別の基板ハンドラのそばを通り過ぎる。図28は、基板ハンドラ1500Aがインバウンドトラック1550Aに沿って移動し、基板ハンドラ1500Bがアウトバウンドトラック1550Bに沿って移動する、2つの基板ハンドラ1500A、1500Bの互いの通過を例示している。ここで、基板ハンドラ1500A、1500Bのそれぞれは、エンドエフェクタ1520(およびその上に保持される基板S)の平面2770が水平基準面1299と略平行(すなわち、水平)であるように、ロール、ピッチ、およびヨーの角度を有している。ここで、エンドエフェクタ1520が水平である状態で、搬送チャンバ118は、横幅W1を有している。しかし、開示される実施形態の態様によれば、搬送チャンバ118の幅は、基板ハンドラ1500A、1500Bが搬送チャンバ118の長さに沿って互いに通過する際に、それらのロール、ピッチ、およびヨーのうちの1つまたは複数を調整することによって最小化されてもよいし、または別の方法で、横幅W1から横幅W2に縮小されてもよい。たとえば、図29に例示されるように、各基板ハンドラ1500A、1500Bのロール角度は、基板ハンドラ1500A、1500Bの両方が他の方法で同じ空間を占める時間の一定期間、基板ハンドラ1500A、1500Bが互いに通り過ぎて移動する際に、基板ハンドラ1500A、1500B間の接触を避けるために、水平基準面1299に対する所定の角度βに調整され得る。所定のロール角度βは、(たとえば、基板Sがエンドエフェクタに対して滑らないように)エンドエフェクタの構成に依存し得る。理解され得るように、ウェハハンドリング自動化装置を収容する搬送チャンバ118のフットプリントを減少させるために、各基板ハンドラ1500のロール、ピッチ、および/またはヨーの角度の制御を有することに利点があり、ここで、フットプリントの減少によって、少なくとも製造設備フロアでのツール密度が増加し、搬送チャンバのポンプダウン時間が短縮され、結果としてスループットの増加となり得る。
【0082】
ここで図17および30を参照すると、動的位相割振りが利用される、電磁石1700のアレイの例示的な制御について描かれている。本明細書に説明されるように、コントローラ199(一態様では、本明細書に記載されるようにクラスタ化コントローラまたはマスタコントローラである(図39を参照))は、電磁石1700のアレイおよび交流電源1585(電源は、任意の適切なタイプものであり、直流である場合があり、この場合、コントローラ駆動回路が、それを所望の数の交流電力位相に対する所望の周波数/位相に変調する)に動作可能に連結され、電磁石1700A~1700nを多相交流によって順次励磁するように構成され、それにより、基板ハンドラ1500のベース1510は、電磁石1700A~1700nの共通のセット(それぞれの駆動ライン177~180の電磁石など)によって、姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つによって浮上および推進される。上述のように、コントローラ199は、センサ2000によって感知されたベース1510の位置に対応するモータアクチュエータユニット1701を形成する、多相交流励磁で連携する電磁石1700A~1700nを順次励磁するように構成される。各モータアクチュエータユニット1701の電磁石1700A~1700nの数n(本実施例では、3つ以上の整数であるが、他の態様では、2つ以上であってもよい)および各モータアクチュエータユニット1701のそれぞれのn個の電磁石1700A~1700nの位置(静的)は、モータアクチュエータの動作全体にわたる任意の時点でベース(二次側)1510の浮揚および推進をもたらす際に、コントローラ199によって動的に選択可能である。電磁石1700A~1700nのそれぞれは、位相ごとに単一の共通周波数を有する共通の多相交流による励起から、少なくともベース1510が浮上した状態での姿勢およびヨーのうちの少なくとも1つを含む最大6の独立した自由度で、ベース1510を制御するように、ベース1510に対する別個に制御可能な浮上力および推進力の両方を生成する。各位相(ここではそれぞれの位相A、B、C)の位相ごとの共通の単一周波数は、モータアクチュエータユニット1701によって生成される浮上力および推進力が、最大6の独立した自由度のそれぞれにおけるベース1510の実質的に独立した制御を可能にするように、さまざまな所望の励磁周波数から選択的に可変であり得る。一態様では、コントローラ199は、ベース1510が、チャンバ118のフレームに対する第1の所定の位置P1(図1Bを参照)からチャンバ118のフレームに対する第2の異なる所定の位置P2(図1Bを参照)に、少なくとも1つの駆動ライン177~180に沿って、電磁石1700のアレイに対して移動するように、浮上および推進された状態で、少なくとも姿勢を含む、それぞれのモータアクチュエータユニット1701に配置される電磁石1700A~1700nのアレイによって生成されるロール、ピッチ、およびヨーの角度を制御する。一態様では、コントローラ199は、ベース1510が、チャンバ118のフレームに対する少なくとも1つの駆動ライン177~180に沿う所定の位置(図1Bの位置P2など)において、電磁石1700のアレイに対して浮上および静止した状態で、少なくともベース1510の姿勢およびベース1510のヨーを含む、電磁石1700のアレイによって生成されるロール、ピッチ、およびヨーの角度を制御する。
【0083】
図32Aおよび32Bは、たとえば3つの電磁石(n=3)の動的に選択される数の電磁石、および120°の位相(図17も参照)間の電気角での3つの対応する位相(m=3)を有するモータアクチュエータユニット1701を画定するようにグループ化される各電磁石(またはコイルユニット)1700A~1700nもまた、3つの異なる位相A、B、Cと動的に関連付けられ、それにより、対応する静電磁石1700A~1700nとの各位相A、B、Cの関連付けが、モータアクチュエータユニット1701の動的状態に適合する一実施例を例示している。したがって、モータアクチュエータユニット1701の電磁石がベース1510を(たとえば、方向3100に沿って)推進させながら、各位相A、B、Cは、1つの静的な電磁石から別の静的な電磁石にそれぞれ変化または移動する(すなわち、実質的な動作多相作動ユニット3000、3000tP1、3000tP2に対応する電磁石1700A~1700nの励磁によって生成されるベース1510の動作に相応して、動作3100の方向に進行する、線形電気機械1599および1599Rのそれぞれの、実質的な(動作)多相アクチュエータユニット3000、3000tP1、3000tP2を生成するように、連続する電磁石1700A~1700nへのそれぞれの位相の指定または割り当てを進める)。コイルユニットと位相との間の実質的な動作多相アクチュエータユニット3000、3000tP1、3000tP2を生成するこの動的関係性または関連付けは、ここでは便宜上、「動的位相割振り」と呼ばれ、ここで、ベース1510の推進力をもたらす代表的な実質的な動作多相アクチュエータユニット3000、3000tP1、3000tP2の実質的な動作は、図30に概略的に例示されている(図17も参照)。ここで、実質的な動作多相アクチュエータユニット(または図17の「MAU」)3000は、時間t=t0で初期(代表的)位置P=0に示される、動的に選択される3つの電磁石および関連する位相A、B、Cを有している。実質的な動作多相アクチュエータユニット3000の電磁石のそれぞれの励磁は、プラテン/ベース1510をt1とt2との間で移動させる推進力を生成する(図32A~32Bも参照)。ここで、示されるように、p=0およびt=t0で、電磁石1700A~1700Cは、実質的な動作多相アクチュエータユニット3000を形成するようにグループ化され、それぞれ位相A、B、Cに関連付けられる。推進力Fxの生成と同時に、実質的な動作多相アクチュエータユニット3000の電磁石1700A~1700Cのそれぞれの励磁は、プラテン/ベース1510に対して制御された可変高さを有する別々に制御可能な揚力Fyを生成し、これにより、推進力と同時にプラテン/ベース1510を同時に浮揚させて傾斜調整をもたらす(図32A~32Bを参照)。理解され得るように、時間t=t0および位置P=0での実質的な動作多相アクチュエータユニット3000のそれぞれの電磁石1700A~17G0Cによって付与される揚力Fyおよび推進力Fxの影響下において、プラテン/ベース1510は、所定の浮揚および傾斜で(搬送チャンバ、およびしたがって静電磁石1700A~1700Cに対して)移動する。(P=0およびT=T0で実質的な動作多相アクチュエータユニット3000を画定する)電磁石1700A~1700Cのグループから離れた動作中に、プラテン/ベース1510の定常状態の傾斜を維持するために、電磁石アレイ1700A~1700nのそれぞれの電磁石のコントローラ199および回路3050は、時間t=t1で位置P=1に配置される実質的な動作多相アクチュエータユニット3000tP1をここで画定する対応する電磁石1700B~1700Dへの時間t=t1および位置P=1でのプラテン/ベース1510の移動に相応する(P=0およびt=t0での初期の実質的な動作多相アクチュエータユニット3000からの)それぞれの位相A、B、Cの割り当てを動的に「移動させる」(または「変更させる」)、および続いて時間t=t2で位置P=2に配置される実質的な動作多相アクチュエータユニット3000tP2をここで画定する対応する電磁石1700C~1700Eへの時間t=t2および位置P=2でのプラテン/ベース1510の移動に相応する(P=1およびt=t1での実質的な動作多相アクチュエータユニット3000tP1からの)それぞれの位相A、B、Cの割り当てを動的に「移動させる」(または「変更させる」)ように、続けて構成される。プラテンに対する位相分布、およびプラテン/ベース1510のそれぞれの位相(ここではA、B、C)による励磁が、プラテン/ベース1510の動作全体にわたって実質的に定常状態を維持するように、動的位相割振りがプラテン/ベース1510の動作全体にわたって繰り返される。
【0084】
実質的な多相アクチュエータユニット3000、3000tP1、3000tP2は、駆動面1598内の少なくとも1つの駆動ライン177~180を画定する少なくとも多相交流電源1585に連結される電磁石1700のアレイの一連の電磁石1700A~1700nを備える場合があり、ここで、一連の電磁石1700A~1700nの電磁石1700A~1700nは、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットDLIM1、DLIM2、DLIM3に動的にグループ化され、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットDLIM1、DLIM2、DLIM3のそれぞれは、少なくとも多相交流電源1585に連結される。この場合、初期位置(P=0、t-0)でのモータ作動ユニットの対応する電磁石のグループの励磁による(ベース/二次的なものの動作をもたらす)推進の開始時に、位相A、B、Cおよび関連する「モータ」(たとえば、DLIM1、DLIM2、DLIM3)の画定は、動作の範囲全体にわたってベース1510に付与される実質的に定常状態の力ベクトルFZ1、FZ2、FX1、FX2を維持するために、上記のように、空間および時間(Pi、ti)において変化し、これにより、動作範囲全体にわたって、基板ハンドラ1500の所望の実質的に定常状態または一定の傾斜配向がもたらされる。本明細書で述べたように、動的位相割振りをもたらすように構成される例示的なアクチュエータ制御システムネットワーク1799が、図17に関して描かれている。図32Aおよび32Bで見られ得るように、動的位相割振りは、多相交流A、B、Cによって通電される(本明細書に記載されるものなどの)対応するモータ作動ユニットにグループ化されるそれぞれの電磁石1700A~1700nが、(前部3110および後部3111によって表される)ベース1510に対して、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットDLIM1、DLIM2、DLIM3のそれぞれの電磁石1700A~1700nにわたる実質的に定常状態の多相分布を付与するように、コントローラ199によって制御される。相電流A、B、Cがそれぞれの電磁石1700A~1700n内に例示されており、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットDLIM1、DLIM2、DLIM3にわたる相電流分布が、ベース1510に対して一定または定常状態のままであることが留意される(たとえば、定常状態の例として、方向3100でのベース1510および少なくとも1つの(実質的に移動する)多相アクチュエータユニットDLIM1、DLIM2、DLIM3の移動全体にわたって、相電流Aが後部3111の終端に留まり、相電流Cが後部3111の先端に留まり、相電流Bが後部3111の中央に留まる)。
【0085】
動的位相割振りのさらなる詳細として、図30は、所定の基板ハンドラ1500(すなわち、センサ2000によって識別され、コントローラ199によって移動のために選択されるウェハハンドラ)の別々に制御可能な揚力および推進力をもたらす空間力ベクトル(s)を生成する位相A、B、C(図30および32A)として、それぞれ定義される時間t1での電磁石1700A、1700B、1700Cを示している。基板ハンドラ1500が(たとえば、電磁石1700のアレイに関連付けられる駆動ラインに沿って)空間内を移動すると、時間t2で、電磁石1700B、1700C、1700Dはそれぞれ、位相A、B、Cになる(図30および32B)。基板ハンドラ1500が駆動ラインに沿って移動し続ける(これは、本実施例では、図32A、32B、および32Cに示されるように方向3100にある)と、時間t3において、位相A、B、Cはそれぞれ、電磁石1700C、1700D、1700Eに関連付けられる。この動的位相割振りは、所定の基板ハンドラ1500の推進、浮揚、および配向を維持する力ベクトルの連続的な空間および時間の制御をもたらす。一態様では、交流電源1585は、電流増幅電源ユニット3011または任意の他の適切な信号処理を含み得る任意の適切な信号調整回路3050を介して、電磁石1700のアレイの電磁石1700A~1700nのそれぞれに連結される。位相A、B、Cの電流は、マスタコントローラ1760の制御下において、またはそれからの命令に応答して、動的位相割振りをもたらすために、上述の方法で、位相A、B、Cの電流のうちの指定された1つをそれぞれの電磁石に与えるローカル駆動コントローラ1750A~1750nのそれぞれに提供する。
【0086】
本明細書に記載されるように、基板ハンドラのベース1510(図16B)は、交流電流による電磁石1700A~1700nの励磁が、ベース1510に対する浮上力および推進力を生成し、駆動面1598に対して制御された姿勢で、少なくとも1つの駆動ライン177~180に沿って、ベース1510を制御可能に浮上および推進するように、少なくとも1つの多相アクチュエータユニット(図32B)DLIM、DLIM2、DLIM3の電磁石1700A~1700nと連携する。コントローラ199(これは、いくつかの態様では、少なくともマスタコントローラ1760と、ローカル駆動コントローラ1750A~1750nなどの、マスタコントローラに従属する任意のコントローラとを含むが、他の態様では、コントローラは任意の適切な構成を有してもよい)は、交流電源1585および電磁石1700のアレイに動作可能に連結される。交流電源1585は任意の適切な関連付けられる回路3050を含む場合があり、これを介して、交流電源1585は電磁石1700のアレイに接続される。交流電源1585は、ローカル駆動コントローラまたはマスタコントローラ1760などの任意の他の適切なコントローラによって制御される。交流電源の典型的な制御パラメータは、信号振幅、信号周波数、および基準コイルユニットに対する位相シフトで構成される。他のタイプの制御パラメータが定義されてもよい。本明細書で使用されるように、図30に例示されるような「位相」A、B、Cは、多相電気モータにおける特定のコイルに類似するが、(図30のA、B、Cなどの)位相定義は、任意の特定のコイルに物理的に拘束されない。
【0087】
従来技術との比較として、静的位相割り当てを用いるセグメント化される線形誘導モータは、それら自体の専用の制御と共に使用される場合、基板ハンドラが1つのセグメントから次のセグメントに遷移するときに角度/傾斜制御をもたらすことは困難であろう。図31Aおよび31Bは、静的なセグメント化される線形誘導モータにわたってピッチ制御を維持することの問題を例示している。図31Aは、Z軸およびX軸に沿う誘起力を有するベース1510または二次側の前部3110および後部3111を示している。位相A、B、およびCを有する第1のモータセグメント(SLIM1)は、ベースの後部3111を浮揚および推進するための力Fz1およびFx1を生成する。第2のモータセグメント(SLIM2)は、そのそれぞれの位相A、B、およびCを使用してベースの前部3110のための力Fz2およびFx2を生成する。ベースが方向3100に移動すると、ベースの前部3110および後部3111は、次の線形誘導モータセグメントに遷移する。これは、図31Bに示されている。この位置で、ベースの後部3111は、SLIM1の位相BおよびCとSLIM2の位相Aと重なる。同時に、ベースの前部3110は、SLIM2の位相BおよびCとSLIM3の位相Aと重なる。結果として、たとえばSLIM2の位相がベースの前部3110および後部3111の両方によって共有されるため、同じ必要とされる力Fz1、Fx1、Fz2、Fx2を維持することは可能ではない。
【0088】
前述されるように、またここで一態様での図32Cを参照すると、推進および浮揚を同時にかつ別々に制御すること(したがって、推進力および揚力が完全に別々に制御可能であり、それにより、それぞれの制御が互いに独立していると見なされ得るが、両方の力が位相ごとに単一の共通周波数を有する共通の多相交流による励磁によってもたらされ、位相ごとの共通周波数は異なる所望の周波数から選択的に可変である)は、本明細書に記載される動的位相割振りの変形によってもたらされる場合があり、ここで、1つまたは複数の動的線形モータ(DLIM)は、実質的な動作多相アクチュエータユニットを画定する電磁石に関連付けられる選択可能なn個の位相を含む場合があり、ここで、nは3より大きい整数であり得る。実質的な動作多相アクチュエータユニットを画定する電磁石の数nは、たとえば、所望の移動の動作学的特性に応じてプラテン/ベース1510のさまざまな移動をもたらすために動的に選択され得る。ここで、実質的な動作多相アクチュエータユニットの相ごとに共通に適用される励磁周波数は、コントローラ199によって、プラテン/ベース1510の所望の運動学的性能および制御を生成するように選択される。ここで、位相制御アルゴリズムは、図32Cに示されるように、位相(たとえば、モータの電磁石)間において、同じ電気位相角差を維持する。電気位相差は、基準位相に対してまたは各位相に対して計算される。位相間の電気位相角差φは約-180度から約180度の範囲である場合があり、ここで、約0度の値は推進力がないことを意味し、一方で、正および負の値は、それぞれ、正および負の方向の推進力をもたらす。電気位相角差φの値に応じて、それぞれの動的線形モータ内の電磁石の数は変化する。ここで、図32Cに示されるようなDLIM1(例示目的で6つの電磁石と共に例示されている)とDLIM2との間の境界は動的である。動的線形モータの電磁石/位相割り当ての別の態様では、動的線形モータのすべての電磁石が同時に通電される必要はない。DLIM1を参照すると、動的線形モータDLIM1のすべてのn個(本例ではn=6)の電磁石のうちm個(本例ではm=4)の電磁石のみ(ここで、mはベース(または二次的なもの)によってカバーされる電磁石の数)が、ベース1510の浮揚および推進をもたらすために通電され、一方で、動的線形モータDLIM1のn個の電磁石の他の電磁石はオフにされ得る。
【0089】
ここで、たとえば、図1A~11、15A~15C、17、28、29、30、および41を参照すると、開示される実施形態の1つまたは複数の態様に応じて、線形電気機械1599のための例示的な方法が説明されている。当該方法では、線形電気機械1599にはフレームが設けられ(図41、ブロック4100)、ここで、フレームは水平基準面1299を有する。駆動面1598にはフレームに接続される電磁石1700のアレイが形成される(図41、ブロック4110)。駆動面1598は、水平基準面1299に対して所定の高さHで位置付けられる。電磁石1700のアレイは、電磁石アレイの一連の電磁石が駆動面1598内において少なくとも1つの駆動ライン177、178を画定するように配置され、電磁石1700A~1700n(図15Bを参照)のそれぞれは、各電磁石1700A~1700nを励磁する交流(AC)電源1585に連結される。少なくとも1つの反応プラテン1510が設けられ(図41、ブロック4120)、ここで、少なくとも1つの反応プラテン1510は、電磁石1700のアレイの電磁石1700A~1700nと連携するように配置される常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる。電磁石1700A~1700nは、交流で励磁されて、駆動面1598に対して制御された姿勢で、少なくとも1つの駆動ラインに沿って反応プラテン1510を制御可能に浮上および推進する、反応プラテン1510に対する浮上力FZおよび推進力FPを生成する(図41、ブロック4130)。線形電気機械1599のための方法では、電磁石1700A~1700nは、電磁石1700のアレイおよび交流電源1585に動作可能に連結されるコントローラ199によって、各反応プラテン1510が電磁石1700A~1700nの共通のセットによる姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で浮上および推進されるように、多相交流によって順次通電され、それらのそれぞれは、少なくとも反応プラテン1510が浮上された状態で反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーのうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、反応プラテン1510を制御するように、位相ごとに単一の共通周波数を有する共通の多相交流による励磁から、反応プラテン1510に対する浮上力FZおよび推進力FPの両方を生成する。
【0090】
ここで、たとえば、図1A~11、15A~15C、17、28、29、30、および42を参照すると、電磁コンベヤ基板搬送装置1599のための方法が、開示される実施形態の1つまたは複数の態様に応じて描かれている。当該方法では、電磁コンベヤ基板搬送装置1599には、チャンバ118(図42、ブロック4200)が設けられ、チャンバ118は、密閉雰囲気を内部に保持するように構成され、水平基準面1299および少なくとも1つの基板通過開口部1180を有し、基板通過開口部1180を介してチャンバ118の内外に基板を移送する。駆動面1598にはチャンバ118に接続される電磁石1700のアレイが形成される(図42、ブロック4210)。駆動面1598は、水平基準面1299に対して所定の高さHで位置付けられる。電磁石1700のアレイは、電磁石1700のアレイの一連の電磁石1700A~1700nが駆動面1598内に少なくとも1つの駆動ライン177、178を画定するように配置され、一連の電磁石1700A~1700nにおける電磁石1700A~1700nは、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットにグループ化され、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットのそれぞれは、多相交流(AC)電源1585に連結される。少なくとも1つの反応プラテン1510が設けられ(図42、ブロック4220)、ここで、少なくとも1つの反応プラテン1510は、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットの電磁石1700A~1700nと連携するように配置される常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる。電磁石1700A~1700nは、交流で励磁され、駆動面1598に対して制御された姿勢で、少なくとも1つの駆動ライン177、178に沿って、反応プラテン1510を制御可能に浮上および推進する、反応プラテン1510に対する浮上力FZおよび推進力FPを生成する(図42、ブロック4230)。電磁石1700A~1700nは、電磁石1700のアレイおよび交流電源1585に動作可能に連結されるコントローラ199によって、反応プラテン1510が浮上および推進されるように、多相交流によって順次励磁され、ここで、多相交流の各交流位相は、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットの電磁石グループの、各それぞれの電磁石1700A~170Onの交流位相が、第1の交流位相から第2の異なる交流位相に変化するように、それぞれの電磁石1700A~170On間に動的に割振られ、そのため、事実上、電磁石グループは実質的に移動し、電磁石グループによって形成される少なくとも1つの多相アクチュエータユニットは、駆動ライン177、178に沿って動的位相割振りによって実質的に移動する。
【0091】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、線形電気機械は、
水平基準面を有するフレームと、
水平基準面に対して所定の高さで駆動面を形成するように、フレームに接続される電磁石アレイであって、電磁石アレイの一連の電磁石が駆動面内において少なくとも1つの駆動ラインを画定するように、電磁石アレイが配置され、電磁石のそれぞれが各電磁石に通電する交流電源に連結される、電磁石アレイと、
常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる少なくとも1つの反応プラテンであって、交流による電磁石の励磁が、駆動面に対して制御された姿勢で、少なくとも1つの駆動ラインに沿って、反応プラテンを制御可能に浮揚および推進する反応プラテンに対する浮上力および推進力を生成するように、電磁石アレイの電磁石と連携するように配置される、少なくとも1つの反応プラテンと、
電磁石アレイおよび交流電源に動作可能に連結されるコントローラであって、各反応プラテンが、電磁石の共通のセットによる姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、浮上および推進されるように、電磁石を多相交流により順次励磁するように構成され、電磁石のそれぞれが、少なくとも反応プラテンが浮上された状態で、反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーのうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、反応プラテンを制御するように、位相ごとに単一の共通周波数を有する共通の多相交流による励磁から、反応プラテンに対する浮上力および推進力の両方を生成する、コントローラと
を備える。
【0092】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンが、フレームに対する第1の所定の位置からフレームに対する第2の異なる所定の位置に、少なくとも1つの駆動ラインに沿って、電磁石アレイに対して移動するように、浮上および推進された状態で、少なくとも反応プラテンの姿勢を含む、電磁石アレイによって生成される、最大6の自由度を制御する。
【0093】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンが、フレームに対する少なくとも1つの駆動ラインに沿って、所定の位置において、電磁石アレイに対して浮上および静止した状態で、少なくとも反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーを含む、電磁石アレイによって生成される、最大6の自由度を制御する。
【0094】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンに制御されたヨーモーメントを付与し、フレームに対する第1の所定の配向からフレームに対する第2の異なる所定の配向に、駆動面に略垂直に、ヨー軸周りで、反応プラテンをヨーイングさせるように、反応プラテンにわたる電磁石アレイによって生成される推進力を制御する。
【0095】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、フレームの所定のウェハ保持位置に対する反応プラテン上のウェハペイロードの位置決めおよびセンタリングのうちの少なくとも1つをもたらすように、反応プラテンのヨー制御をもたらす反応プラテンに偶力を付与するように、電磁石アレイによって生成される推進力を制御する。
【0096】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンのピッチおよび反応プラテンのロールのうちの少なくとも1つにおいて、所定の反応プラテンの姿勢を制御する、駆動面に対する反応プラテンの制御された傾斜をもたらす差動浮上力を反応プラテンにわたって付与するように、電磁石アレイによって生成される浮上力を制御する。
【0097】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、駆動面に沿う反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する方向において、反応プラテン着座面によって支持されるペイロード上の反応プラテンペイロード着座面からバイアス反力を付与する、駆動面に対する反応プラテンの所定のバイアス姿勢をもたらすように、電磁石アレイによって生成される浮上力を制御する。
【0098】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、線形電気機械は、フレーム上に分散される位置フィードバックセンサをさらに備え、位置フィードバックセンサは、駆動面に沿う反応プラテンの位置を感知するように構成され、コントローラが反応プラテンの感知された位置を登録するように、コントローラに通信可能に連結され、コントローラは、感知された位置に対応する電磁石アレイの電磁石を順次励磁するように構成される。
【0099】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、少なくとも感知された位置の変化から、駆動面に沿う反応プラテンの加速度を判定し、判定された加速度に応じて、反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する所定のバイアス姿勢をもたらすように、反応プラテンのバイアス姿勢を制御するように構成される。
【0100】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンの姿勢を設定して、反応プラテンに着座したペイロードを反応プラテンに対してペイロードと反応プラテンとの間の着座部に沿う変位させやすい慣性力に抗して、反応プラテンを付勢するように、電磁石アレイの電磁石の励磁を制御する。
【0101】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、電磁コンベヤ基板搬送装置は、
密閉雰囲気を内部に保持するように構成されるチャンバであって、水平基準面、および少なくとも1つの基板通過用の開口部であって、開口部を通じてチャンバの内外に基板を移送するための、少なくとも1つの基板通過用の開口部を有する、チャンバと、
水平基準面に対して所定の高さで駆動面を形成するように、チャンバに接続される電磁石アレイであって、電磁石アレイの一連の電磁石が駆動面内に少なくとも1つの駆動ラインを画定するように、電磁石アレイが配置され、一連の電磁石における電磁石が、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットにグループ化され、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットのそれぞれが、多相交流電源に連結される、電磁石アレイと、
常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる少なくとも1つの反応プラテンであって、交流による電磁石の励磁が、駆動面に対して制御された姿勢で、少なくとも1つの駆動ラインに沿って、反応プラテンを制御可能に浮上および推進する、反応プラテンに対する浮上力および推進力を生成するように、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットの電磁石と連携するように配置される、少なくとも1つの反応プラテンと、
電磁石アレイおよび交流電源に動作可能に連結され、反応プラテンが浮上および推進されるように、電磁石を多相交流により順次励磁するように構成されるコントローラと
を備え、
多相交流の各交流位相は、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットの電磁石グループの各それぞれの電磁石の交流位相が、第1の交流位相から第2の異なる交流位相に変化するように、それぞれの電磁石間に動的に割振られることで、事実上、電磁石グループが、実質的に移動し、電磁石グループによって形成される少なくとも1つの多相アクチュエータユニットが、駆動ラインに沿って、動的位相割振りによって、実質的に移動する。
【0102】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、反応プラテンは、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットによる姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、浮上および推進される。
【0103】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンが、チャンバに対する第1の所定の位置からチャンバに対する第2の異なる所定の位置に、少なくとも1つの駆動ラインに沿って、電磁石アレイに対して移動するように、浮上および推進された状態で、少なくとも反応プラテンの姿勢を含む、電磁石アレイによって生成される、最大6の自由度を制御する。
【0104】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンが、少なくとも1つの駆動ラインに沿う、チャンバに対する所定の位置において、電磁石アレイに対して浮上および静止した状態で、少なくとも反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーを含む、電磁石アレイによって生成される、最大6の自由度を制御する。
【0105】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、動的位相割振りは、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットが、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットによる推進力での、駆動ラインに沿う反応プラテンの移動と略一致するように、駆動ラインに沿って、実質的に移動するように制御される。
【0106】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンに制御されたヨーモーメントを付与し、チャンバに対する第1の所定の配向からチャンバに対する第2の異なる所定の配向に、駆動面に略垂直に、ヨー軸周りで、反応プラテンをヨーイングさせるように、反応プラテンにわたる、電磁石アレイによって生成される推進力を制御する。
【0107】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、チャンバの所定のウェハ保持位置に対する反応プラテン上のウェハペイロードの位置決めおよびセンタリングのうちの少なくとも1つをもたらすように、反応プラテンのヨー制御をもたらす反応プラテンに偶力を付与するように、電磁石アレイによって生成される推進力を制御する。
【0108】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンのピッチおよび反応プラテンのロールのうちの少なくとも1つにおいて、所定の反応プラテンの姿勢を制御する、駆動面に対する反応プラテンの制御された傾斜をもたらす差動浮上力を、反応プラテンにわたって付与するように、電磁石アレイによって生成される浮上力を制御する。
【0109】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、駆動面に沿う反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する方向において、反応プラテン着座面によって支持されるペイロード上の反応プラテンペイロード着座面からバイアス反力を付与する、駆動面に対する反応プラテンの所定のバイアス姿勢をもたらすように、電磁石アレイによって生成される浮上力を制御する。
【0110】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、電磁コンベヤ基板搬送装置は、チャンバ上に分散される位置フィードバックセンサをさらに備え、位置フィードバックセンサは、駆動面に沿う反応プラテンの位置を感知するように構成され、コントローラが反応プラテンの感知された位置を登録するように、コントローラに通信可能に連結され、コントローラが、感知された位置に対応する電磁石アレイの電磁石を順次励磁するように構成される。
【0111】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、少なくとも感知された位置の変化から、駆動面に沿う反応プラテンの加速度を判定し、判定された加速度に応じて、反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する所定のバイアス姿勢をもたらすように、反応プラテンのバイアス姿勢を制御するように構成される。
【0112】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンに着座したペイロードを反応プラテンに対して、ペイロードと反応プラテンとの間の着座部に沿う変位させやすい慣性力に抗して、反応プラテンを付勢するように、反応プラテンの姿勢を設定するように、電磁石アレイの電磁石の励磁を制御する。
【0113】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、動的位相割振りは、多相交流により通電されるそれぞれの電磁石が、反応プラテンに対して、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットのそれぞれの電磁石にわたる、実質的に定常状態の多相分布を付与するように制御される。
【0114】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、線形電気機械のための方法が提供される。当該方法は、
線形電気機械にフレームを設けるステップであって、フレームが、水平基準面を有する、線形電気機械にフレームを設けるステップと、
フレームに接続される電磁石アレイによって駆動面を形成するステップであって、駆動面が水平基準面に対して所定の高さで位置付けられ、電磁石アレイの一連の電磁石が駆動面内において少なくとも1つの駆動ラインを画定するように、電磁石アレイが配置され、電磁石のそれぞれが、各電磁石に通電する交流電源に連結される、フレームに接続される電磁石アレイによって駆動面を形成するステップと、
電磁石アレイの電磁石と連携するように配置される、常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる少なくとも1つの反応プラテンを設けるステップと、
駆動面に対して制御された姿勢で、少なくとも1つの駆動ラインに沿って、反応プラテンを制御可能に浮上および推進する、反応プラテンに対する浮上力および推進力を生成するように、電磁石を交流により励磁するステップと
を含み、
電磁石は、電磁石アレイおよび交流電源に動作可能に連結されるコントローラによって、各反応プラテンが、電磁石の共通のセットによる姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、浮上および推進されるように、多相交流により順次励磁され、電磁石のそれぞれは、少なくとも反応プラテンが浮上された状態で、反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーのうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、反応プラテンを制御するように、位相ごとに単一の共通周波数を有する共通の多相交流による励磁から、反応プラテンに対する浮上力および推進力の両方を生成する。
【0115】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンが、フレームに対する第1の所定の位置からフレームに対する第2の異なる所定の位置に、少なくとも1つの駆動ラインに沿って、電磁石アレイに対して移動するように、浮上および推進された状態で、少なくとも反応プラテンの姿勢を含む、電磁石アレイによって生成される、最大6の自由度を制御する。
【0116】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンが、少なくとも1つの駆動ラインに沿う、フレームに対する所定の位置において、電磁石アレイに対して浮上および静止した状態で、少なくとも反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーを含む、電磁石アレイによって生成される、最大6の自由度を制御する。
【0117】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンに制御されたヨーモーメントを付与し、フレームに対する第1の所定の配向からフレームに対する第2の異なる所定の配向に、駆動面に略垂直に、ヨー軸周りで、反応プラテンをヨーイングさせるように、反応プラテンにわたる、電磁石アレイによって生成される推進力を制御する。
【0118】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、フレームの所定のウェハ保持位置に対する反応プラテン上のウェハペイロードの位置決めおよびセンタリングのうちの少なくとも1つをもたらすように、反応プラテンのヨー制御をもたらす偶力を反応プラテンに付与するように、電磁石アレイによって生成される推進力を制御する。
【0119】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンのピッチおよび反応プラテンのロールのうちの少なくとも1つにおいて、所定の反応プラテンの姿勢を制御する、駆動面に対する反応プラテンの制御された傾斜をもたらす差動浮上力を反応プラテンにわたって付与するように、電磁石アレイによって生成される浮上力を制御する。
【0120】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、駆動面に沿う反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する方向において、反応プラテン着座面によって支持されるペイロード上の反応プラテンペイロード着座面からバイアス反力を付与する、駆動面に対する反応プラテンの所定のバイアス姿勢をもたらすように、電磁石アレイによって生成される浮上力を制御する。
【0121】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、当該方法は、フレーム上に分散され、コントローラが反応プラテンの感知された位置を登録するように、コントローラに通信可能に連結される位置フィードバックセンサによって、駆動面に沿って、反応プラテンの位置を感知するステップをさらに含み、コントローラは、感知された位置に対応する電磁石アレイの電磁石を順次励磁する。
【0122】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、少なくとも感知された位置の変化から、駆動面に沿う反応プラテンの加速度を判定し、判定された加速度に応じて、反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する所定のバイアス姿勢をもたらすように、反応プラテンのバイアス姿勢を制御する。
【0123】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンの姿勢を設定して、反応プラテンに着座したペイロードを反応プラテンに対してペイロードと反応プラテンとの間の着座部に沿って変位させやすい慣性力に抗して、反応プラテンを付勢するように、電磁石アレイの電磁石の励磁を制御する。
【0124】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、電磁コンベヤ基板搬送装置のための方法が提供される。当該方法は、
密閉雰囲気を内部に保持するように構成されるチャンバを電磁コンベヤ基板搬送装置に設けるステップであって、水平基準面、および少なくとも1つの基板通過の開口部であって、開口部を通じてチャンバの内外に基板を移送するための、少なくとも1つの基板通過用の開口部を有するチャンバを電磁コンベヤ基板搬送装置に設けるステップであって、
チャンバに接続される電磁石アレイによって、駆動面を形成するステップであって、駆動面が、水平基準面に対して所定の高さで位置付けられ、電磁石アレイの一連の電磁石が駆動面内に少なくとも1つの駆動ラインを画定するように、電磁石アレイが配置され、一連の電磁石における電磁石が、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットにグループ化され、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットのそれぞれが、多相交流電源に連結される、駆動面を形成するステップと、
少なくとも1つの多相アクチュエータユニットの電磁石と連携するように配置される、常磁性、反磁性、または非磁性の導電性材料からなる少なくとも1つの反応プラテンを設けるステップと、
駆動面に対して制御された姿勢で、少なくとも1つの駆動ラインに沿って、反応プラテンを制御可能に浮上および推進する、反応プラテンに対する浮上力および推進力を生成するように、電磁石を交流により励磁するステップと
を含み、
電磁石は、反応プラテンが浮上および推進されるように、電磁石アレイおよび交流電源に動作可能に連結されるコントローラによって、多相交流により順次励磁され、
多相交流の各交流位相は、少なくとも1つの多相アクチュエータユニットの電磁石グループの各それぞれの電磁石の交流位相が、第1の交流位相から第2の異なる交流位相に変化するように、それぞれの電磁石間に動的に割振られることで、事実上、電磁石グループが、実質的に移動し、電磁石グループによって形成される少なくとも1つの多相アクチュエータユニットが、駆動ラインに沿って、動的位相割振りによって、実質的に移動する。
【0125】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、反応プラテンは、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットによる姿勢制御およびヨー制御のうちの少なくとも1つを含む最大6の自由度で、浮上および推進される。
【0126】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンが、チャンバに対する第1の所定の位置からチャンバに対する第2の異なる所定の位置に、少なくとも1つの駆動ラインに沿って、電磁石アレイに対して移動するように、浮上および推進された状態で、少なくとも反応プラテンの姿勢を含む、電磁石アレイによって生成される、最大6の自由度を制御する。
【0127】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンが、少なくとも1つの駆動ラインに沿う、チャンバに対する所定の位置において、電磁石アレイに対して浮上および静止した状態で、少なくとも反応プラテンの姿勢および反応プラテンのヨーを含む、電磁石アレイによって生成される、最大6の自由度を制御する。
【0128】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、動的位相割振りは、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットが、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットによる推進力での、駆動ラインに沿う反応プラテンの移動と略一致するように、駆動ラインに沿って、実質的に移動するように制御される。
【0129】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンに制御されたヨーモーメントを付与し、チャンバに対する第1の所定の配向からチャンバに対する第2の異なる所定の配向に、駆動面に略垂直に、ヨー軸周りで、反応プラテンをヨーイングさせるように、反応プラテンにわたる、電磁石アレイによって生成される推進力を制御する。
【0130】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、チャンバの所定のウェハ保持位置に対する反応プラテン上のウェハペイロードの位置決めおよびセンタリングのうちの少なくとも1つをもたらすように、反応プラテンのヨー制御をもたらす偶力を反応プラテンに付与するように、電磁石アレイによって生成される推進力を制御する。
【0131】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンのピッチおよび反応プラテンのロールのうちの少なくとも1つにおいて、所定の反応プラテンの姿勢を制御する、駆動面に対する反応プラテンの制御された傾斜をもたらす差動浮上力を、反応プラテンにわたって付与するように、電磁石アレイによって生成される浮上力を制御する。
【0132】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、駆動面に沿う反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する方向において、反応プラテン着座面によって支持されるペイロード上の反応プラテンペイロード着座面からバイアス反力を付与する、駆動面に対する反応プラテンの所定のバイアス姿勢をもたらすように、電磁石アレイによって生成される浮上力を制御する。
【0133】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、当該方法は、チャンバ上に分散され、コントローラが反応プラテンの感知された位置を登録するように、コントローラに通信可能に連結される位置フィードバックセンサによって、駆動面に沿う反応プラテンの位置を感知するステップをさらに含み、コントローラは、感知された位置に対応する電磁石アレイの電磁石を順次励磁する。
【0134】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、少なくとも感知された位置の変化から、駆動面に沿う反応プラテンの加速度を判定し、判定された加速度に応じて、反応プラテンの加速度から生じるペイロード慣性力に対抗する所定のバイアス姿勢をもたらすように、反応プラテンのバイアス姿勢を制御する。
【0135】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、コントローラは、反応プラテンに着座したペイロードを反応プラテンに対してペイロードと反応プラテンとの間の着座部に沿って変位させやすい慣性力に抗して、反応プラテンを付勢するように、反応プラテンの姿勢を設定するように、電磁石アレイの電磁石の励磁を制御する。
【0136】
開示される実施形態の1つまたは複数の態様によれば、動的位相割振りは、多相交流により通電されるそれぞれの電磁石が、反応プラテンに対して、実質的に移動する少なくとも1つの多相アクチュエータユニットのそれぞれの電磁石にわたる、実質的に定常状態の多相分布を付与するように制御される。
【0137】
前述の説明が、開示される実施形態の態様の例示にすぎないことを理解されたい。開示される実施形態の態様から逸脱することなく、当業者によってさまざまな代替および修正が企図され得る。したがって、開示される実施形態の態様は、本明細書に添付される任意の請求項の範囲内にあるすべてのそのような代替、修正、および変形を包含することを意図している。さらに、異なる特徴が相互に異なる従属請求項または独立請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが利点を有して使用することができず、そのような組み合わせが本開示の態様の範囲内に留まることを示すものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
図10A
図11
図11A
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
図21A
図22
図23
図24
図24A
図25A
図25B
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図32A
図32B
図32C
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40A
図40B
図41
図42