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特許7526380シート積載装置、後処理装置、及び、画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】シート積載装置、後処理装置、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/20 20060101AFI20240725BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240725BHJP
   B65H 31/10 20060101ALI20240725BHJP
   B65H 31/18 20060101ALI20240725BHJP
   B65H 31/14 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B65H31/20
G03G15/00 440
B65H31/10
B65H31/18
B65H31/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020081616
(22)【出願日】2020-05-02
(65)【公開番号】P2021175687
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】亀山 憲二
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-058803(JP,A)
【文献】特開2001-089005(JP,A)
【文献】特開2001-206613(JP,A)
【文献】特開2007-022703(JP,A)
【文献】特開2008-087963(JP,A)
【文献】特開2004-262623(JP,A)
【文献】特開平05-017064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/20
G03G 15/00
B65H 31/10
B65H 31/18
B65H 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出部から所定の排出方向に排出されたシートが積載可能に載置される排出トレイを備え、
前記排出トレイは、前記排出方向と前記排出方向に直交する幅方向とにそれぞれ分割された複数の分割排出トレイを具備し、
前記複数の分割排出トレイは、それぞれ、他の分割排出トレイに対して独立して上下動可能な第1状態と、隣接する他の複数の分割排出トレイのうち少なくとも1つと連動して上下動可能な第2状態と、を切替可能に構成され、
前記排出トレイにシートが載置されていない状態から1枚目のシートが載置されたときに、前記複数の分割排出トレイのうち前記1枚目のシートが載置されるすべての分割排出トレイが前記第1状態から前記第2状態に切替えられることを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記複数の分割排出トレイのうち前記1枚目のシートが載置される前記すべての分割排出トレイに、前記1枚目のシートと同じサイズのシートが積載されるときに、その積載された最上方のシートのシート面と、その他の分割排出トレイのトレイ面と、が略同一平面となるように前記すべての分割排出トレイが下降することを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記複数の分割排出トレイのうち前記1枚目のシートが載置される前記すべての分割排出トレイに前記1枚目のシートと同じサイズのシートが積載された後に、それよりも大きなサイズのシートが載置される場合、前記大きなサイズのシートが載置されるすべての分割排出トレイのうち、前記1枚目のシートが載置された分割排出トレイを除いたもののすべてが、前記第1状態から前記第2状態に切替えられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記複数の分割排出トレイのうち前記1枚目のシートが載置される前記すべての分割排出トレイに前記1枚目のシートと同じサイズのシートが積載された後に、それよりも小さなサイズのシートが載置される場合、前記すべての分割排出トレイは前記第2状態が維持されることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記複数の分割排出トレイをそれぞれ上方に付勢する複数の付勢部材と、
前記複数の分割排出トレイのうち隣接する分割排出トレイ同士を接離可能な複数の接離機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記分割排出トレイが下降する動作に連動して、当該分割排出トレイに積載されたシートの端面に対向する位置に移動する対向部材を備えたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項7】
排出部から所定の排出方向に排出されたシートが積載可能に載置される排出トレイを備え、
前記排出トレイは、前記排出方向と前記排出方向に直交する幅方向とにそれぞれ分割された複数の分割排出トレイを具備し、
前記複数の分割排出トレイは、それぞれ、他の分割排出トレイに対して独立して上下動可能な第1状態と、隣接する他の複数の分割排出トレイのうち少なくとも1つと連動して上下動可能な第2状態と、を切替可能に構成され、
前記複数の分割排出トレイをそれぞれ上方に付勢する複数の付勢部材と、
前記複数の分割排出トレイのうち隣接する分割排出トレイ同士を接離可能な複数の接離機構と、
を備えたことを特徴とするシート積載装置。
【請求項8】
排出部から所定の排出方向に排出されたシートが積載可能に載置される排出トレイを備え、
前記排出トレイは、前記排出方向と前記排出方向に直交する幅方向とにそれぞれ分割された複数の分割排出トレイを具備し、
前記複数の分割排出トレイは、それぞれ、他の分割排出トレイに対して独立して上下動可能な第1状態と、隣接する他の複数の分割排出トレイのうち少なくとも1つと連動して上下動可能な第2状態と、を切替可能に構成され、
前記分割排出トレイが下降する動作に連動して、当該分割排出トレイに積載されたシートの端面に対向する位置に移動する対向部材を備えたことを特徴とするシート積載装置。
【請求項9】
前記複数の分割排出トレイにそれぞれ積載されたシートが所定の高さ位置に達した状態を検知する複数の高さ検知センサを備えたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載のシート積載装置。
【請求項10】
画像形成装置から排出されたシートに対して後処理を施す後処理装置であって、
請求項1~請求項9のいずれかに記載のシート積載装置を備えたことを特徴とする後処理装置。
【請求項11】
請求項1~請求項9のいずれかに記載のシート積載装置と、画像形成装置と、を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートを積載可能に載置するシート積載装置と、それを備えた後処理装置、及び、画像形成システムと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置や、画像形成装置に接続された後処理装置などにおいて、排出部から排出されたシート(シート束を含む。)が積載される排出トレイが設置されたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、積載部材(排出トレイ)を幅方向に2つに分割して、分割された積載部材をそれぞれ独立して上下動させる技術が開示されている。
他方、特許文献2には、積載された用紙(シート)の重さに応じて排出トレイを上下動させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、排出トレイにサイズの異なるシートが混載されるときに、きれいに揃わずにバラバラな状態で積載されてしまう不具合や、大きなサイズのシートがダメージを受けてしまう不具合などが発生してしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、サイズの異なるシートが排出トレイに混載されるときであっても、シートが良好に積載される、シート積載装置、後処理装置、及び、画像形成システム、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるシート積載装置は、排出部から所定の排出方向に排出されたシートが積載可能に載置される排出トレイを備え、前記排出トレイは、前記排出方向と前記排出方向に直交する幅方向とにそれぞれ分割された複数の分割排出トレイを具備し、前記複数の分割排出トレイは、それぞれ、他の分割排出トレイに対して独立して上下動可能な第1状態と、隣接する他の複数の分割排出トレイのうち少なくとも1つと連動して上下動可能な第2状態と、を切替可能に構成され、前記排出トレイにシートが載置されていない状態から1枚目のシートが載置されたときに、前記複数の分割排出トレイのうち前記1枚目のシートが載置されるすべての分割排出トレイが前記第1状態から前記第2状態に切替えられるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サイズの異なるシートが排出トレイに混載されるときであっても、シートが良好に積載される、シート積載装置、後処理装置、及び、画像形成システム、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成システムを示す全体構成図である。
図2】画像形成装置を示す構成図である。
図3】後処理装置を示す構成図である。
図4】シート積載装置を示す斜視図である。
図5】シート積載装置の動作を示す斜視図である。
図6】シート積載装置における接離機構を示す図である。
図7】シート積載装置における制御を示す図である。
図8】シート積載装置における別の制御を示す図である。
図9】変形例1としての、シート積載装置における接離機構を示す図である。
図10】変形例2としての、シート積載装置を示す斜視図である。
図11】変形例3としての、シート積載装置を示す側面図である。
図12】変形例4としての、シート積載装置の動作を示す図である。
図13】変形例5としての、シート積載装置の動作を示す図である。
図14図13のシート剥離装置の一部を示す斜視図である。
図15】変形例6としての、シート積載装置の排出トレイを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成システム100における全体の構成について説明する。
本実施の形態において、画像形成装置1は、後処理装置50が着脱可能に設置されていて、後処理装置50とともに1つの画像形成システム100を構成している。
なお、本実施の形態において、後処理装置50には、特徴的なシート積載装置80(図4参照)が設置されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0011】
次に、図2を用いて、画像形成装置1の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、画像形成装置1の中央上方には、中間転写ベルト8が設置されている。また、中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した感光体ドラム2Y、2M、2C、2K(作像部)が並設されている。さらに、中間転写ベルト8は、その下方で2次転写ローラ15(2次転写ベルト16)に圧接して、画像形成部としての2次転写ニップを形成している。
【0012】
図2に示すように、ブラックに対応した感光体ドラム2Kの周囲には、帯電部3、現像部4、クリーニング部5、除電部などが配置されている。そして、感光体ドラム2K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム2Kの表面にブラック画像が形成されることになる。
【0013】
なお、他の3つの感光体ドラム2Y、2M、2Cの周囲もほぼ同じように構成されていて、それぞれのトナー色に対応した画像が感光体ドラム2Y、2M、2Cの表面に形成される。以下、他の3つの感光体ドラム2Y、2M、2C上の作像プロセスの説明を適宜に省略して、ブラックに対応した作像プロセスのみの説明をおこなうことにする。
【0014】
感光体ドラム2Kは、メインモータによって図2の反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部3の位置で、感光体ドラム2Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム2Kの表面は、露光部7から発せられたレーザ光の照射位置に達して、この位置での幅方向(図2の紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によってブラックに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0015】
その後、感光体ドラム2Kの表面は、現像部4との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、ブラックのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム2Kの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ6の対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2Kの表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8の表面に1次転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム2K上には、僅かながら未転写トナーが残留する。
【0016】
その後、感光体ドラム2Kの表面は、クリーニング部5との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2K上に残留した未転写トナーがクリーニングブレードによってクリーニング部5内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム2Kの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム2K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム2K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0017】
なお、上述した作像プロセスは、他の感光体ドラム2Y、2M、2Cの表面でも、ブラックの感光体ドラム2Kと同様におこなわれる。
そして、それぞれの感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kの表面に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写されることになる。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0018】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ15(2次転写ベルト16)との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ9が、2次転写ローラ15との間に中間転写ベルト8と2次転写ベルト16とを挟み込んで2次転写ニップ(画像形成部)を形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に2次転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残留する。
【0019】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナーなどの付着物が除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0020】
ここで、図1図2を参照して、2次転写ニップ(画像形成部)の位置に搬送されるシートPは、画像形成装置1の下方に配設された給紙カセット10から、給紙ローラ11やレジストローラ12等が配置された搬送経路K1を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙カセット10には、用紙などのシートPが複数枚重ねて収容されている。そして、給紙ローラ11が図2の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが搬送経路K1を経由してレジストローラ12のローラ間に向けて給送される。
なお、本実施の形態において、給紙カセット10は複数設置されている。そのため、複数の給紙カセット10に、異なるサイズのシートPを別々にセットすることができる。
【0021】
レジストローラ12に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ12のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ12が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップ(画像形成部)に向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0022】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、2次転写ベルト16によって搬送されて、2次転写ベルト16から分離された後に、搬送ベルト18によって定着部19の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、排出搬送経路K2を経由して、排紙ローラ25によって画像形成装置1の外部へと排出される。
さらに、画像形成装置1から排出されたシートPは、後処理装置50の内部に搬送されて、後処理装置50内でパンチ処理、綴じ処理などの後処理が施される。そして、後処理が施されたシートP(又は、シート束PT)は、2つの排出トレイ81、82(図1図3等参照)のいずれかに排出される。なお、後処理装置50の構成・動作については後で詳しく説明する。
こうして、画像形成装置1における、一連の画像形成プロセス(画像形成動作)が完了する。
【0023】
なお、図2を参照して、シートPの両面(オモテ面とウラ面とである。)へのプリントをおこなう「両面プリントモード」が選択されている場合には、オモテ面への定着工程が終了したシートPは、第1、第2切替爪35、36の動作により、上述した「片面プリントモード」が選択されているときのようにそのまま画像形成装置1から排出されることなく、垂直搬送経路K4に導かれる。そして、垂直搬送経路K4に導かれたシートPは、第3切替爪37の動作により、反転搬送経路K3に導かれる。そして、反転搬送経路K3に導かれたシートPは、その搬送方向が反転ローラ27の正回転から逆回転の駆動切替によって反転された後に、第3切替爪37の動作により、水平搬送経路K5に導かれる。そして、水平搬送経路K5に導かれたシートPは、再び2次転写ニップ(画像形成部)の位置に向けて搬送される。そして、2次転写ニップの位置で先に説明したものと同様の画像形成プロセス(画像形成動作)によってシートPのウラ面への画像形成がおこなわれ、その後に定着部19での定着工程を経て、排出搬送経路K2を経由して、画像形成装置1から排出される。
すなわち、「両面プリントモード」が選択されている場合には、垂直搬送経路K4、反転搬送経路K3、水平搬送経路K5が両面搬送経路として機能することになる。
なお、「片面プリントモード」、「両面プリントモード」は、ユーザーによる操作表示パネル39(画像形成装置1の外装部に設置されている。)の操作によって選択される。
【0024】
以下、図3を用いて、後処理装置50について詳述する。
まず、画像形成装置1から排出されたシートPは、入口ローラ71によって後処理装置50の内部に送入される。このとき、そのシートPがシート検知センサ70によって検知される。
そして、操作表示パネル39にユーザーによって予め「通常処理モード」が選択されている場合には、切替爪74による搬送経路の切り替えによって、シートPは、上部搬送経路K19を経由して排出ローラ対73によって第2排出トレイ82上に排出されるか、又は、直線搬送経路K20を経由して排出ローラ対72によって第1排出トレイ81上にそのまま排出される。
その際、ユーザーによって操作表示パネル39に予め「パンチ処理」が付加的に選択されている場合には、シートPがパンチ処理部55を通過するときに、パンチ処理部55によってシートPにパンチ処理が施される。
なお、シートPを第1、第2排出トレイ81、82のどちらに排出するかは、ユーザーによる操作表示パネル39の操作により自由に選択することもできるし、一定の制御条件に基づいて予め自動選択することもできる。
また、第1排出ローラ対72によって第1排出トレイ81に向けてシートPが排出されるときは、その状態が第1排出センサ143によって光学的に検知される。また、第2排出ローラ対73によって第2排出トレイ82に向けてシートPが排出されるときは、その状態が第2排出センサ144によって光学的に検知される。
【0025】
また、ユーザーによって操作表示パネル39に予め「ソート処理」が付加的に選択されている場合には、シートPは、上部搬送経路K19又は直線搬送経路K20を経由して排出ローラ対72、73によって第1排出トレイ81又は第2排出トレイ82の載置面上に排出される。そして、シートPが排出ローラ対72、73によって第1、第2排出トレイ81、82上に排出されるときに、ソート処理部として機能する第1、第2排出ローラ対72、73(ソート機能付き排出ローラ対)が、シートPを仕分けるタイミングに合わせて幅方向に移動してソート処理(仕分け処理)が施される。
なお、本実施の形態では、排出ローラ対72、73を幅方向に移動してソート処理をおこなったが、第1、第2排出トレイ81、82を幅方向に移動可能に構成して、第1、第2排出トレイ81、82をシートPを仕分けるタイミングに合わせて幅方向に移動してソート処理をおこなってもよい。
【0026】
これに対して、画像形成装置1の操作表示パネル39にユーザーによって予め「綴じ処理モード」が選択されている場合には、切替爪74による搬送経路の切り替えによって、シートPは綴じ処理用搬送経路K21を経由して内部トレイ76に向けて搬送される。そして、内部トレイ76に積載されたシートP(シート束PT)に対して、搬送方向と幅方向との揃え処理が施される。
【0027】
詳しくは、内部トレイ76の載置面上にシートP(シート束PT)が載置されると、そのたびに、その上方に配置された叩きローラ75が回転軸を中心にして退避位置から最上方のシートPに当接する位置に回動して、叩きローラ75が図3の反時計方向に回転駆動されることで、そのシートPがエンドフェンス78に向けて搬送される。これにより、複数枚のシートP(シート束PT)の後端がエンドフェンス78に突き当たって、複数枚のシートP(シート束PT)の搬送方向の位置が揃えられることになる。
また、このようにシート束PTに対して搬送方向の揃え処理がおこなわれるとき、内部トレイ76の幅方向両端部に設置されたサイドフェンス(ジョガーフェンス)が、内部トレイ76上にシートPが載置されるたびに(又は、所望の枚数のシートPが積載された後に)、シートP(シート束PT)を挟み込むように幅方向(搬送方向に直交する方向であって、図3の紙面垂直方向である。)に移動して、シートP(シート束PT)の幅方向の位置が揃えられることになる。
そして、搬送方向と幅方向とがそれぞれ揃えられたシート束PTの後端に対して、綴じ装置79によって綴じ処理が施されることになる。
その後、綴じ処理が施されたシート束PTは、搬送ベルト(不図示)によって内部トレイ76の載置面に沿って斜め上方に移動して、傾斜搬送経路K22を通過した後に、排出ローラ対72による搬送によって第1排出トレイ81に排紙される。
なお、綴じ処理モード時においても、ユーザーによって操作表示パネル39に予め「パンチ処理」が付加的に選択されている場合には、シートPがパンチ処理部55を通過するときに、パンチ処理部55によってシートPにパンチ処理が施される。
【0028】
以下、本実施の形態における後処理装置50(画像形成システム100)において特徴的な、シート積載装置80について詳述する。
図4等に示すように、後処理装置50には、シートP(シート束PTなども含む。)を積載するためのシート積載装置80が設置されている。
このシート積載装置80には、排出部としての排出口A1、A2(図3参照)から所定の排出方向(図3図4の右方から左方に向かう方向である。)に排出されたシートPが積載可能に載置される排出トレイ81、82(載置部)が設けられている。詳しくは、図3を参照して、第1排出口A1から排出されたシートP(シート束PTを含む。)は下段の第1排出トレイ81のトレイ面(載置面)に積載されて、第2排出口A2から排出されたシートPは上段の第2排出トレイ82のトレイ面に積載される。
【0029】
また、図3図4に示すように、排出トレイ81(82)のシート面は、排出方向の上流側(排出ローラ対72(73)に近い側であって、図3図4の右側である。)が下流側(排出ローラ対72(73)から遠い側であって、図3図4の左側である。)に比べて低くなるように形成されている。すなわち、排出トレイ81(82)のシート面は、排出方向上流側から排出方向下流側に向けて上方に傾斜した傾斜面である。
そして、シート積載装置80には、排出トレイ81に積載されるシートP、PTの排出方向の上流側端部が当接可能な壁部145(壁面)が設けられている。この壁部145は、後処理装置50の外装カバーの一部であって、略垂直方向に延在するとともに、その一部が開口して排出口A1として機能している。
このような構成により、排出ローラ対72(73)によって排出口A1(A2)から排出されたシートPは、トレイ面(又は、トレイ面上に積載された最上方のシートP)上に落下した後に、トレイ面の傾斜に沿うように滑落して、そのシート後端が壁部145に突き当たることになる。こうして、排出トレイ81上に排出されたシートPの排出方向の位置が揃えられることになる。
なお、このように排出トレイ81のトレイ面の傾斜に沿うように滑落するシートPの動作を促進するために、排出トレイ81に積載された最上方のシートPの上面に当接して図4の反時計方向に回転する戻しローラを設けることもできる。
【0030】
ここで、図4図6に示すように、本実施の形態において、排出トレイ81(82)は、排出方向と幅方向(排出方向に直交す方向である。)とにそれぞれ分割された複数の分割排出トレイ81a~81dで構成されている。
詳しくは、4つの分割排出トレイ81a~81d(幅方向2個×排出方向2個)が設置されている。第1分割排出トレイ81aは排出方向上流側の一端側に配置され、第2分割排出トレイ81b排出方向上流側の他端側に配置され、第3分割排出トレイ81cは排出方向下流側の他端側に配置され、第4分割排出トレイ81dは排出方向下流側の一端側に配置されている。第1分割排出トレイ81aと第2分割排出トレイ81bとは排出方向上流側で幅方向に隣接して、第3分割排出トレイ81cと第4分割排出トレイ81dとは排出方向下流側で幅方向に隣接して、第1分割排出トレイ81aと第4分割排出トレイ81dとは幅方向一端側で排出方向に隣接して、第2分割排出トレイ81bと第3分割排出トレイ81cとは幅方向他端側で排出方向に隣接している。
【0031】
そして、本実施の形態において、複数の分割排出トレイ81a~81dは、それぞれ、他の分割排出トレイに対して独立して上下動可能な第1状態と、隣接する他の複数の分割排出トレイのうち少なくとも1つと連動して上下動可能な第2状態と、を切替可能に構成されている。
具体的に、第1状態は、第1分割排出トレイ81aが他の分割排出トレイ81b~81dに対して独立して上下動可能な状態や、第2分割排出トレイ81bが他の分割排出トレイ81a、81c、81dに対して独立して上下動可能な状態や、第3分割排出トレイ81cが他の分割排出トレイ81a、81b、81dに対して独立して上下動可能な状態や、第4分割排出トレイ81dが他の分割排出トレイ81a~81cに対して独立して上下動可能な状態になる。
また、第2状態は、第1分割排出トレイ81aと第2分割排出トレイ81bとが連動して上下動可能な状態や、第3分割排出トレイ81cと第4分割排出トレイ81dとが連動して上下動可能な状態や、第1分割排出トレイ81aと第4分割排出トレイ81dとが連動して上下動可能な状態や、第2分割排出トレイ81bと第3分割排出トレイ81cとが連動して上下動可能な状態や、4つの分割排出トレイ81a~81dのうち3つの分割排出トレイが連動して上下動可能な状態や、4つの分割排出トレイ81a~81dのすべてが連動して上下動可能な状態になる。そして、複数の分割排出トレイが連動して上下動するとき、それらのシート面がほぼ同一平面のまま上下動することになる。
【0032】
詳しくは、図4に示すように、シート積載装置80には、複数の分割排出トレイ81a~81dをそれぞれ上方に付勢する複数の付勢部材としての圧縮スプリング85が設置されている。具体的に、第1分割排出トレイ81aを上方に付勢する第1の圧縮スプリング85と、第2分割排出トレイ81bを上方に付勢する第2の圧縮スプリング85と、第3分割排出トレイ81cを上方に付勢する第3の圧縮スプリング85と、第4分割排出トレイ81dを上方に付勢する第4の圧縮スプリング85と、が各トレイの底部と排出トレイ81のベース部180との間に設置されている。
4つの分割排出トレイ81a~81dのいずれのシート面にもシートPが載置されていないとき、4つの分割排出トレイ81a~81dのすべてのシート面は略同一平面(基準面)に位置している。また、圧縮スプリング85は、分割排出トレイ81a~81dに積載されるシートP(例えば、使用頻度が高いものと想定される坪量のシートである。)の積載量(重さ)の増加にともない、ほぼ比例的にシートPの厚さ分だけ下方に移動するように、そのバネ力が設定されている。
【0033】
また、図6に示すように、シート積載装置80には、複数の分割排出トレイ81a~81dのうち隣接する分割排出トレイ同士を接離可能な複数の接離機構83a~83d、84a~84dが設けられている。
詳しくは、4つの分割排出トレイ81a~81dには、それぞれ、隣接する分割排出トレイに対向する側面に嵌合穴81a1~81d1が形成されている。また、4つの分割排出トレイ81a~81dには、それぞれ、アーム83a~83dと、アーム83a~83dを回動させて嵌合穴81a1~81d1に嵌合させたり嵌合解除したりするためのソレノイド84a~84dと、が設置されている。そして、アーム83a~83dとソレノイド84a~84dとが、隣接する分割排出トレイ同士を接続したり接続解除したりする接離機構として機能することになる。
具体的に、図6に示す排出トレイ81は、第2分割排出トレイ81bのアーム83bが、第3分割排出トレイ81cの嵌合穴81c1に嵌合していて、第2分割排出トレイ81bと第3分割排出トレイ81cとが連動して上下動可能な状態(第2状態)になっている。また、その他の第1、第4分割排出トレイ81a、81dは、いずれも第1状態になっている。
【0034】
このように、本実施の形態では、複数の分割排出トレイ81a~81dを、それぞれ独立して上下動可能な第1状態から隣接する分割排出トレイ同士を連動して上下動可能な第2状態に(又は、第2状態から第1状態に)、切替可能に構成しているため、サイズの異なるシートPが排出トレイ81に混載されるときであっても、排出トレイ81においてシートPを良好に積載することができる(スタック性が向上することになる)。
特に、本実施の形態における後処理装置50は、「ソート処理」をおこなうことが可能であって、排出トレイ81においてシートPが幅方向一端側に排出されたり幅方向他端側に排出されたりする場合があるため、排出方向に加えて幅方向にも排出トレイ81を分割することが有用になる。
【0035】
詳しくは、図5(A)に示すように、まず、最初に小サイズのシートP1(例えば、A4横サイズのシートである。)が排出トレイ81に積載されるものとする。このとき、小サイズのシートP1の積載に関与する第1、第2分割排出トレイ81a、81bが接続されて連動して上下動可能な第2状態になるようにソレノイド84aが制御される(オンされる)。これにより、第1、第2分割排出トレイ81a、81bは、シートP1の積載枚数の増加にともなう重量の増加によって圧縮スプリング85の付勢力に抗するように、第3、第4分割排出トレイ81c、81dよりも下方に移動することになる。
そして、図5(B)に示すように、小サイズのシートP1よりも大きなサイズのシートP2(例えば、A3縦サイズのシートである。)が、排出トレイ81に混載されるものとする。このとき、大サイズのシートP2の積載には、第1、第2分割排出トレイ81a、81bに加えて、第3、第4分割排出トレイ81c、81dが関与することになるが、小サイズのシートP1が積載された第1、第2分割排出トレイ81a、81bは第3、第4分割排出トレイ81c、81dよりも充分に下方に移動している。そのため、第1、第2分割排出トレイ81a、81bに積載された小サイズのシートP1のうち最上方のシートP1と、第3、第4分割排出トレイ81c、81dのトレイ面と、は段差があったとしても、それほど大きなものにはならない。したがって、小サイズのシートP1上において、大サイズのシートP2がきれいに揃った状態で混載(積載)されることになる。また、大きなサイズのシートP2が段差でダメージを受けて折れ曲がってしまうような不具合も生じにくくなる。
すなわち、本実施の形態のものとは異なり、排出トレイ81を複数の分割排出トレイで構成しない場合には、小サイズのシートP1が積載された状態の排出トレイに大サイズのシートP2を混載してしまうと、小サイズのシートP1とトレイ面との段差によって、大サイズのシートP2がきれいに揃わずにバラバラな状態で積載されてしまう不具合や、大きなサイズP1のシートがダメージを受けてしまう不具合などが発生してしまう。
【0036】
これに対して、本実施の形態では、複数の分割排出トレイ81a~81dのうち1枚目のシートP1が載置されるすべての分割排出トレイ81a、81bに1枚目のシートP1と同じサイズのシートP1が積載された後に、それよりも大きなサイズのシートP2が載置される場合、その大きなサイズのシートP1が載置されるすべての分割排出トレイ81a~81dのうち、1枚目のシートP1が載置された分割排出トレイ81a、81bを除いたもののすべてが、第1状態から第2状態に切替えられる。
これにより、サイズの異なるシートP1、P2が排出トレイ81に混載されるときであっても、排出トレイ81においてシートP1、P2を良好に積載することができる。
【0037】
なお、図5(A)を参照して、複数の分割排出トレイ81a~81dのうち1枚目のシートP1が載置されるすべての分割排出トレイ81a、81bに、1枚目のシートP1と同じサイズのシートP1が積載されるときに、その積載された最上方のシートP1のシート面と、その他の分割排出トレイ81c、81dのトレイ面と、が略同一平面となるようにすべての分割排出トレイ81a、81bが下降することが好ましい。
これにより、その後に混載される大サイズのシートP2がきれいに積載されることになる(スタック性が向上することになる)。
【0038】
ここで、本実施の形態では、図5(C)に示すように、最初に大サイズのシートP2が排出トレイ81に積載されて、その後に小サイズのシートP1が混載(積載)される場合には、4つの分割排出トレイ81a~81dがすべて連動して上下動可能な第2状態となるように、4つのソレノイド84a~84dが制御される(オンされる)。
すなわち、本実施の形態では、複数の分割排出トレイ81a~81dのうち1枚目のシートP2が載置されるすべての分割排出トレイ81a~81dに1枚目のシートP2と同じサイズのシートP2が積載された後に、それよりも小さなサイズのシートP1が載置される場合、すべての分割排出トレイ81a~81dは第2状態が維持される。
これにより、大サイズのシートP2上に小サイズのシートP1が積載された状態で、第1、第2分割排出トレイ81a、81bが受ける荷重が、第3、第4分割排出トレイ81c、81dが受ける荷重よりも大きくなってしまっても、第1、第2分割排出トレイ81a、81bのトレイ面と第3、第4分割排出トレイ81c、81dとのトレイ面とに段差が生じない。そのため、トレイ面に段差が生じることによって、トレイ面上に載置された大きなサイズのシートP2がダメージを受けて折れ曲がってしまうような不具合も生じにくくなる。
【0039】
このように、本実施の形態では、排出トレイ81にシートPが載置されていない状態から1枚目のシートPが載置されたときに、複数の分割排出トレイ81a~81dのうち1枚目のシートPが載置されるすべての分割排出トレイが第1状態から第2状態に切替えられることになる(図5(A)、図5(C)参照)。
そのため、サイズの異なるシートP1、P2が排出トレイ81に混載されるときであっても、排出トレイ81においてシートP1、P2を良好に積載することができる。
【0040】
以下、図7図8のフローチャートを用いて、シート積載装置80でおこなわれる制御の一例について説明する。
なお、図6に示すように、4つの分割排出トレイ81a~81dには、そのトレイ面におけるシートPの有無を光学的に検知するセンサ86a~86d(反射型フォトセンサ)がトレイ面に設置されている。具体的に、第1センサ86aは第1分割排出トレイ81aに設置され、第2センサ86bは第2分割排出トレイ81bに設置され、第3センサ86cは第3分割排出トレイ81cに設置され、第4センサ86dは第4分割排出トレイ81dに設置されている。そして、これらの第1~第4センサ86a~86dによる検知結果に基づいて、図7図8に示す第1~第4ソレノイド84a~84dの制御(分割排出トレイ81a~81dの接離制御)がおこなわれることになる。
【0041】
図7は、分割排出トレイ81a~81dを接続するときの制御フローを示すものである。
図7に示すように、まず、排出センサ143、144(図3参照)によって排出口A1、A2からシートPが排出された状態が検知されると(ステップS1)、第1センサ86aがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS2)。そして、第1センサ86aがシートPを検知した場合には、第2センサ86bがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS3)。そして、第2センサ86bがシートPを検知した場合には、第3センサ86cがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS4)。そして、第3センサ86cがシートPを検知した場合には、すべてのソレノイド84a~84dがオンされ、4つの分割排出トレイ81a~81dがすべて接続されて(ステップS5)、本フローを終了する。これに対して、ステップS4にて、第3センサ86cがシートPを検知しない場合には、第1ソレノイド84aがオンされ、第1、第2分割排出トレイ81a、81bが接続されて(ステップS6)、本フローを終了する。
これに対して、ステップS3にて、第2センサ86bがシートPを検知しない場合には、第4センサ86dがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS7)。そして、第4センサ86dがシートPを検知しない場合には、本フローを終了する。これに対して、ステップS7にて第4センサ86dがシートPを検知した場合には、第3センサ86cがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS8)。そして、第3センサ86cがシートPを検知した場合には、第3、第4ソレノイド84c、84dがオンされ、第1、第3、第4分割排出トレイ81a、81c、81d接続されて(ステップS9)、本フローを終了する。これに対して、ステップS8にて、第3センサ86cがシートPを検知しない場合には、第4ソレノイド84dがオンされ、第1、第4分割排出トレイ81a、81dが接続されて(ステップS10)、本フローを終了する。
これに対して、ステップS2にて、第1センサ86aがシートPを検知しない場合には、第2センサ86bがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS11)。そして、第2センサ86bがシートPを検知しない場合には、第3センサ86cがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS12)。そして、第3センサ86cがシートPを検知しない場合には、本フローを終了する。これに対して、ステップS12にて第3センサ86cがシートPを検知した場合には、第4センサ86dがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS13)。そして、第4センサ86dがシートPを検知した場合には、第2、第3ソレノイド84b、84cがオンされ、第2、第3、第4分割排出トレイ81b~81d接続されて(ステップS14)、本フローを終了する。これに対して、ステップS13にて、第4センサ86dがシートPを検知しない場合には、第2ソレノイド84bがオンされ、第2、第3分割排出トレイ81b、81cが接続されて(ステップS15)、本フローを終了する。
これに対して、ステップS11にて、第2センサ86bがシートPを検知しない場合には、第3センサ86cがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS16)。そして、第3センサ86cがシートPを検知しない場合には、本フローを終了する。これに対して、ステップS16にて第3センサ86cがシートPを検知した場合には、第4センサ86dがシートPのエッジを検知したかが判別される(ステップS17)。そして、第4センサ86dがシートPを検知した場合には、第3ソレノイド84cがオンされ、第3、第4分割排出トレイ81c、81d接続されて(ステップS18)、本フローを終了する。これに対して、ステップS17にて、第4センサ86dがシートPを検知しない場合には、本フローを終了する。
【0042】
図8は、分割排出トレイ81a~81dを接続解除するときの制御フローを示すものである。
図8に示すように、まず、第1センサ86aがオンからオフになったかが判別される(ステップS21)。そして、第1センサ86aがオフになった場合には、第2センサ86bがオフになったかが判別される(ステップS22)。そして、第2センサ86bがオフになった場合には、第3センサ86cがオフになったかが判別される(ステップS23)。そして、第3センサ86cがオフになった場合には、第4センサ86dがオフになったかが判別される(ステップS24)。そして、第4センサ86dがオフになった場合には、すべてのソレノイド84a~84dがオフされ、4つの分割排出トレイ81a~81dがすべて接続解除されて(ステップS25)、本フローを終了する。これに対して、ステップS24にて、第4センサ86dがオフになっていない場合には、第1、第2ソレノイド84a、84bがオフされ、第1~第3分割排出トレイ81a~81cが接続解除されて(ステップS26)、本フローを終了する。
これに対して、ステップS23にて、第3センサ86cがオフになっていない場合には、第4センサ86dがオフになったかが判別される(ステップS27)。そして、第4センサ86dがオフになった場合には、第1、第4ソレノイド84a、84dがオフされ、第1、第2、第4分割排出トレイ81a、81b、81dが接続解除されて(ステップS28)、本フローを終了する。これに対して、ステップS27にて、第4センサ86dがオフになっていない場合には、第1ソレノイド84aがオフされ、第1、第2分割排出トレイ81a、81bが接続解除されて(ステップS29)、本フローを終了する。
これに対して、ステップS22にて、第2センサ86bがオフになっていない場合には、第4センサ86dがオフになったかが判別される(ステップS30)。そして、第4センサ86dがオフになっていない場合には、本フローを終了する。これに対して、ステップS30にて、第4センサ86dがオフになった場合には、第3センサ86cがオフになったかが判別される(ステップS31)。そして、第3センサ86cがオフになった場合には、第3、第4ソレノイド84c、84dがオフされ、第1、第3、第4分割排出トレイ81a、81c、81dが接続解除されて(ステップS32)、本フローを終了する。これに対して、ステップS31にて、第3センサ86cがオフになっていない場合には、第4ソレノイド84dがオフされ、第1、第4分割排出トレイ81a、81dが接続解除されて(ステップS33)、本フローを終了する。
これに対して、ステップS21にて、第1センサ86aがオフになっていない場合には、第2センサ86bがオフになったかが判別される(ステップS34)。そして、第2センサ86bがオフになった場合には、第3センサ86cがオフになったかが判別される(ステップS35)。そして、第3センサ86cがオフになっていない場合には、本フローを終了する。これに対して、第3センサ86cがオフになった場合には、第4センサ86dがオフになったかが判別される(ステップS36)。そして、第4センサ86dがオフになった場合には、第2、第3ソレノイド84b、84cがオフされ、第2~第4分割排出トレイ81b~81dが接続解除されて(ステップS37)、本フローを終了する。これに対して、ステップS36にて、第4センサ86dがオフになっていない場合には、第2ソレノイド84bがオフされ、第2、第3分割排出トレイ81b、81cが接続解除されて(ステップS38)、本フローを終了する。
これに対して、ステップS34にて、第2センサ86bがオフになっていない場合には、第3センサ86cがオフになったかが判別される(ステップS39)。そして、第3センサ86cがオフになっていない場合には、本フローを終了する。これに対して、第3センサ86cがオフになった場合には、第4センサ86dがオフになったかが判別される(ステップS40)。そして、第4センサ86dがオフになった場合には、第3ソレノイド84cがオフされ、第3、第4分割排出トレイ81c、81dが接続解除されて(ステップS41)、本フローを終了する。これに対して、ステップS40にて、第4センサ86dがオフになっていない場合には、本フローを終了する。
【0043】
<変形例1>
図9に示すように、変形例1におけるシート積載装置80は、複数の分割排出トレイ81a~81dのうち隣接する分割排出トレイ同士を接離可能な複数の接離機構が磁力を用いたものである点が、複数の接離機構としてアーム83a~83dを用いた図6のものと相違する。
図9に示すように、4つの分割排出トレイ81a~81dには、それぞれ、隣接する分割排出トレイに対向する側面に、電磁石87a~87dが設置されている。また、4つの分割排出トレイ81a~81dには、それぞれ、隣接する分割排出トレイに設置された電磁石87a~87dに対向する位置に、金属板88a~88dが設置されている。
そして、電磁石87a~87dと金属板88a~88dとが、隣接する分割排出トレイ同士を接続したり接続解除したりする接離機構として機能することになる。具体的に、電磁石87a~87dに給電されると、それにより生じる磁力によって隣接する金属板88a~88dに吸着して、隣接する分割排出トレイ同士が接続されることになる。また、電磁石87a~87dへの給電が停止されると、磁力が消失して、隣接する分割排出トレイ同士の接続が解除されることになる。
このような接離機構を用いた場合であっても、サイズの異なるシートPが排出トレイ81に混載されるときに、シートPを良好に積載することができる。
【0044】
<変形例2>
図10に示すように、変形例2におけるシート積載装置80には、複数の分割排出トレイ81a~81dのうち隣接する分割排出トレイ同士を接離可能な複数の接離機構の代わりに、複数の分割排出トレイ81a~81dをそれぞれ独立して昇降可能な複数の昇降機構62a~62dが設けられている。
詳しくは、4つの昇降機構62a~62dは、それぞれ、分割排出トレイ81a~81dに上下方向に延在するように設置されたラックギア621と、後処理装置50の本体に設置されてラックギア621に噛合するピニオンギア622と、で構成されている。そして、制御部によるモータ制御によってピニオンギア622が回転することで、分割排出トレイ81a~81dが上下動することになる。そして、排出トレイ81上に載置されるシートPのサイズに応じて、先に図5等を用いて説明したものと同様に分割排出トレイ81a~81dが下降するように、4つの昇降機構62a~62dが制御されることになる。
なお、変形例2では、4つの分割排出トレイ81a~81dのトレイ面に、それぞれ圧力センサ61a~61dが設置されている。そして、圧力センサ61a~61dによって検知される圧力の大きさに応じて、分割排出トレイ81a~81dの下降量を調整して、排出トレイ81に排出されるシートPのサイズに関わらず、そのシートPが平らな平面上に排出されるようにしている。
このような昇降機構62a~62dを用いた場合であっても、サイズの異なるシートPが排出トレイ81に混載されるときに、シートPを良好に積載することができる。
【0045】
<変形例3>
図11に示すように、変形例3におけるシート積載装置80には、複数の分割排出トレイ81a~81dにそれぞれ積載されたシートPが所定の高さ位置に達した状態(トレイ上のシートの積載量が満杯になった状態である。)を検知する複数の高さ検知センサ(第1の高さ検知センサとしてのフォトセンサ64及びフィラー65と、第2の高さ検知センサとしての測距センサ63と、である。)が、排出口A1の近傍に設けられている。
詳しくは、排出方向上流側の幅方向一端側の第1分割排出トレイ81aに積載されたシートPが所定の高さ位置に達した状態を検知するフォトセンサ64及びフィラー65と、排出方向上流側の幅方向他端側の第2分割排出トレイ81bに積載されたシートPが所定の高さ位置に達した状態を検知するフォトセンサ64及びフィラー65と、排出方向下流側の幅方向他端側の第3分割排出トレイ81cに積載されたシートPが所定の高さ位置に達した状態を検知する測距センサ63と、排出方向下流側の幅方向一端側の第4分割排出トレイ81dに積載されたシートPが所定の高さ位置に達した状態を検知する測距センサ63と、が設置されている。
第1の高さ検知センサとしてのフォトセンサ64及びフィラー65は、第1分割排出トレイ81a(又は、第2分割排出トレイ81b)上に積載されたシートPが満杯状態になったときに、最上方のシートPにフィラー65が押動されて回動した状態をフォトセンサ64が検知することで、その満杯状態を検知する。
これに対して、第2の高さ検知センサとしての測距センサ63は、第3分割排出トレイ81c(又は、第4分割排出トレイ81d)上に積載されたシートPが満杯状態になったときに、最上方のシートPまでの距離を測距センサ63が検知することで、その満杯状態を検知する。第3、第4分割排出トレイ81c、81dは、排出口A1からの距離が長くて、第1の高さ検知センサを用いてしまうとフィラーが長くなってしまうため、測距センサ63を用いることが有用になる。
このように、複数の分割排出トレイ81a~81dの満杯状態を別々に検知する複数の高さ検知センサを設けることで、複数の分割排出トレイ81a~81dの過積載を防止することができる。
【0046】
<変形例4>
変形例4におけるシート積載装置80には、分割排出トレイ81a~81dが下降する動作に連動して、その分割排出トレイ81a~81dに積載されたシートPの端面に対向する位置に移動する対向部材としての押え板66が、分割排出トレイごとに設置されている。
図12(A1)は、シートPが積載されていない状態の分割排出トレイ81a~81dを示す側面図であって、図12(A2)は、その正面図である。また、図12(B1)は、シートPが積載された状態の分割排出トレイ81a~81dを示す側面図であって、図12(B2)は、その正面図である。
図12に示すように、押え板66は、支軸66aを中心に回転可能に、排出トレイ81の筐体に保持されている。そして、シートPの積載量が増加して分割排出トレイ81a~81dが下降すると、分割排出トレイ81a~81dが押え板66の当接部66bに当接して、押え板66が支軸66aを中心に図12(B1)の反時計方向に回転して、積載されたシートPに対向する位置に突出することになる。これにより、分割排出トレイ81a~81d上に積載されたシートPが崩れないように、押え板66によって規制されることになる。
【0047】
<変形例5>
変形例5におけるシート積載装置80には、分割排出トレイ81a~81dが下降する動作に連動して、その分割排出トレイ81a~81dに積載されたシートPの端面に対向する位置に移動する対向部材として、リール方式のものが用いられている。
詳しくは、図13図14に示すように、4つの分割排出トレイ81a~81dには、それぞれ、隣接する分割排出トレイに対向する位置に、リール67が設置されている。このリール67には、対向部材としてのロールスクリーン69が引出し可能に巻付けられている。また、ロールスクリーン69の先端部には、隣接する分割排出トレイの底部に嵌合する嵌合部材68が設けられている。
そして、シートPの積載量が増加して分割排出トレイ81a~81dが下降すると、下降する分割排出トレイ81a~81dによって、隣接する分割トレイの嵌合部材68が押し下げられて、リール67からロールスクリーン69が引出される。これにより、分割排出トレイ81a~81d上に積載されたシートPが崩れないように、ロールスクリーン69によって規制されることになる。
【0048】
<変形例6>
図15に示すように、変形例6における排出トレイ81は、6つの分割排出トレイ81a~81f(幅方向3個×排出方向2個)が設置されている。
図15の排出トレイ81は、一例であって、分割排出トレイの数(分割数)はこれに限定されることなく、自由に設定することができる。また、複数の分割排出トレイ81a~81fは、トレイ面の面積がすべて同じである必要はなく、異なる面積のものを組み合わせて用いることもできる。
そして、分割排出トレイの数や大きさ(トレイ面積)は、通紙可能なシートのサイズに合わせて設定することが好ましい。また、ソート処理機能がある場合に、ソート処理がされることで変化するシートの載置範囲も含めて、分割排出トレイの数や大きさ(トレイ面積)を設定することが好ましい。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態におけるシート積載装置80は、排出口A1、A2(排出部)から所定の排出方向に排出されたシートPが積載可能に載置される排出トレイ81、82が設けられている。この排出トレイ81、82は、排出方向と排出方向に直交する幅方向とにそれぞれ分割された複数の分割排出トレイ81a~81dが設けられている。そして、複数の分割排出トレイ81a~81dは、それぞれ、他の分割排出トレイに対して独立して上下動可能な第1状態と、隣接する他の複数の分割排出トレイのうち少なくとも1つと連動して上下動可能な第2状態と、を切替可能に構成されている。
これにより、サイズの異なるシートPが排出トレイ81<82に混載されるときであっても、シートPを良好に積載することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、カラーの画像形成装置1が設けられた画像形成システム100に対して本発明を適用したが、モノクロの画像形成装置が設けられた画像形成システムに対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、後処理装置50に設置されたシート積載装置80に対して本発明を適用したが、後処理装置50に設置されていないシート積載装置(例えば、画像形成装置1に設置されたシート積載装置である。)に対しても、排出トレイ(載置部)を備えたものであれば、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置1が設けられた画像形成システム100に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることなく、その他の方式の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置や、孔版印刷装置などである。)が設けられた画像形成システムに対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、後処理装置50における後処理機構として、綴じ装置79、パンチ処理部55、ソート処理部72、73、を設けたが、後処理機構はこれらのものに限定されることなく、別の処理(例えば、Z折り、内3つ折り、外3つ折り、中折り処理などの折り処理である。)をもおこなうように後処理機構を構成することもできるし、上述した複数の処理部のうち別の組み合わせからなるように後処理機構を構成することもできる。
そして、そのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、シート積載装置80(後処理装置50)に2つの排出トレイ81、82(載置部)を設けたが、1つ、又は、3つ以上の排出トレイ(載置部)を設けることもできる。
また、本実施の形態において、シート積載装置80を制御する制御部は、後処理装置50に設けることもできるし、画像形成装置1に設けることもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0054】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、平たい用紙に限定されることなく、封筒はもちろんのこと、その他のシート状の記録媒体のすべて、例えば、コート紙、ラベル紙、OHPシート、等も含むものと定義する。
また、本願明細書等において、「排出トレイ」は、いずれも、トレイ状のものに限定されることなく、シートを載置可能なもののすべてを含むものと定義する。
【符号の説明】
【0055】
1 画像形成装置、
50 後処理装置、
61a~61d 圧力センサ、
62a~62d 昇降機構、
63 測距センサ(第2の高さ検知センサ)、
64 フォトセンサ(第1の高さ検知センサ)、
65 フィラー(第1の高さセンサ)、
66 押え板(対向部材)、
67 リール、
68 嵌合部材、
69 ロールスクリーン(対向部材)、
80 シート積載装置、
81、82 排出トレイ(載置部)、
81a 第1分割排出トレイ(分割排出トレイ)、
81b 第2分割排出トレイ(分割排出トレイ)、
81c 第3分割排出トレイ(分割排出トレイ)、
81d 第4分割排出トレイ(分割排出トレイ)、
83a~83d アーム(接離機構)、
84a~84d ソレノイド(接離機構)、
85 圧縮スプリング(付勢部材)、
86a 第1センサ、 86b 第2センサ、
86c 第3センサ、 86d 第4センサ、
87a~87d 電磁石(接離機構)、
88a~88d 金属板(接離機構)、
100 画像形成システム、
A1、A2 排出口(排出部)、
P、P1、P2 シート、 PT シート束。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【文献】特開2001-206613号公報
【文献】特開2004-262623号公報
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