(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】内視鏡及び当該内視鏡に設けられた撮像部
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61B1/00 731
A61B1/00 511
A61B1/00 512
(21)【出願番号】P 2021068485
(22)【出願日】2021-04-14
(62)【分割の表示】P 2020168514の分割
【原出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】319016932
【氏名又は名称】ニレック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】片平 晴康
(72)【発明者】
【氏名】隅田 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】金山 茂弘
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-016545(JP,A)
【文献】特開2018-027272(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126000(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡であって、
患者の体内に挿入される前記内視鏡の部分に相当するスコープと、
前記スコープ内に収容され、前記患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を受光することで前記生体組織を撮像するように構成された撮像部と、を備えた内視鏡であって、
前記撮像部は、
第1プリズムと、
前記第1プリズムに対向する第2プリズムと、
前記第1プリズムの斜面と前記第2プリズムの斜面との間に設けられ、前記生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を分離するように構成された反射膜と、
可視域の光を透過させる一方で近赤外域の光を遮断するように構成され、前記反射膜を介して前記第1プリズムを透過した前記可視光が入射する第1トリミングフィルタと、
前記第1トリミングフィルタを透過した前記可視光を受光するように前記第1トリミングフィルタに対向すると共に、前記受光した可視光を電気信号に変換するように構成された第1イメージセンサと、
近赤外域の光を透過させる一方で可視域の光を遮断するように構成され、前記反射膜を介して前記第2プリズムを透過した前記近赤外光が入射する第2トリミングフィルタと、
前記第2トリミングフィルタを透過した前記近赤外光を受光するように前記第2トリミングフィルタに対向すると共に、前記受光した近赤外光を電気信号に変換するように構成された第2イメージセンサと、を備え、
前記第1プリズムは、前記第2プリズムに固定され、
前記第1トリミングフィルタは、前記第1プリズムに固定され、
前記第2トリミングフィルタは、前記第2プリズムに固定されてい
て、
前記撮像部は、
前記第1トリミングフィルタと前記第1イメージセンサとの間に設けられ、可視域の光を透過させる一方で近赤外域の光を遮断するように構成された赤外光遮断膜と、
前記第2トリミングフィルタと前記第2イメージセンサとの間に設けられ、近赤外域の光を透過させる一方で可視域の光を遮断するように構成された可視光遮断膜と、
をさらに備え、
前記赤外光遮断膜と前記可視光遮断膜は、前記生体組織に照射され、中心波長が700nmから800nmの波長帯に含まれる励起光を遮断するように構成されている、
内視鏡。
【請求項2】
患者の体内に挿入される内視鏡の部分に相当するスコープ内に収容され、患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を受光することで前記生体組織を撮像するように構成された撮像部であって、
第1プリズムと、
前記第1プリズムに対向する第2プリズムと、
前記第1プリズムの斜面と前記第2プリズムの斜面との間に設けられ、前記生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を分離するように構成された反射膜と、
可視域の光を透過させる一方で近赤外域の光を遮断するように構成され、前記反射膜を介して前記第1プリズムを透過した前記可視光が入射する第1トリミングフィルタと、
前記第1トリミングフィルタを透過した前記可視光を受光するように前記第1トリミングフィルタに対向すると共に、前記受光した可視光を電気信号に変換するように構成された第1イメージセンサと、
近赤外域の光を透過させる一方で可視域の光を遮断するように構成され、前記反射膜を介して前記第2プリズムを透過した前記近赤外光が入射する第2トリミングフィルタと、
前記第2トリミングフィルタを透過した前記近赤外光を受光するように前記第2トリミングフィルタに対向すると共に、前記受光した近赤外光を電気信号に変換するように構成された第2イメージセンサと、
を備え、
前記第1プリズムは、前記第2プリズムに固定され、
前記第1トリミングフィルタは、前記第1プリズムに固定され、
前記第2トリミングフィルタは、前記第2プリズムに固定されてい
て、
前記撮像部は、
前記第1トリミングフィルタと前記第1イメージセンサとの間に設けられ、可視域の光を透過させる一方で近赤外域の光を遮断するように構成された赤外光遮断膜と、
前記第2トリミングフィルタと前記第2イメージセンサとの間に設けられ、近赤外域の光を透過させる一方で可視域の光を遮断するように構成された可視光遮断膜と、
をさらに備え、
前記赤外光遮断膜と前記可視光遮断膜は、前記生体組織に照射され、中心波長が700nmから800nmの波長帯に含まれる励起光を遮断するように構成されている、
撮像部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡及び当該内視鏡に設けられた撮像部に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、RGBカラーフィルタ及びIR(赤外光)フィルタを備えた単一のイメージセンサがスコープの先端の付近に配置された内視鏡が開示されている。特許文献1の内視鏡では、可視光及び励起光が交互に患者の生体組織に照射されることで、単一のイメージセンサによって可視光画像データと近赤外光画像データが時間軸上において交互に取得されている。この点において、特許文献1の内視鏡では、可視光画像データ及び近赤外光画像データを同タイミングで取得することができないといった課題が存在する。さらに、赤色用画素、緑色用画素、青色用画素、IR用画素の4種類の画素が単一のイメージセンサ内に設けられている。このため、当該イメージセンサの各IR用画素から出力される赤外光映像信号にノイズが生じやすく、最終的に生成される近赤外光画像データの画質が低下してしまうといった課題が存在する。
【0003】
一方、特許文献2では、4色分解プリズムと4つのイメージセンサがカメラヘッド内に配置された内視鏡が開示されている。特許文献2の内視鏡では、リレーレンズから出射された光が4色分解プリズムによって赤色光、緑色光、青色光及び近赤外光の4つの光成分に分解された後に、4つの光成分の各々が4つのイメージセンサのうちの対応する一つによって受光されている。特許文献2の内視鏡は、可視光画像データと近赤外光画像データを同時に取得できる。その一方で、4つのイメージセンサがスコープ(光学視管)の先端から離れた位置に配置されているため、患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光が4つのイメージセンサに到達するまでの間において、当該可視光及び近赤外光(特に、近赤外光)の光強度(光量)が低下してしまう。この結果として、可視光画像データ及び近赤外光画像データの画質が低下してしまうといった課題が存在する。さらに、4色分解プリズムの全体寸法が大きいため、4色分解プリズムを例えば、カメラヘッド内に配置する必要がある。このため、患者の生体組織によって反射された可視光及び近赤外光をスコープ先端から4色分解プリズムまで導くために、リレーレンズ等の高価な光学部品を内視鏡に設ける必要があり、内視鏡全体の製造コストが高くなってしまうといった課題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-209143号公報
【文献】特開2019-000339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記観点より、本開示は、製造コストを抑えた上で、患者の生体組織を示す可視光画像データ及び近赤外画像データの画質を向上させることが可能な内視鏡及び当該内視鏡に設けられた撮像部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る内視鏡は、患者の体内に挿入されるスコープと、前記スコープ内に収容され、前記患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を受光することで前記生体組織を撮像するように構成された撮像部と、を備える。
前記撮像部は、
第1プリズムと、
前記第1プリズムに対向する第2プリズムと、
前記第1プリズムの斜面と前記第2プリズムの斜面との間に設けられ、前記生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を分離するように構成された反射膜と、
可視域の光を透過させる一方で近赤外域の光を遮断するように構成され、前記反射膜を介して前記第1プリズムを透過した前記可視光が入射する第1トリミングフィルタと、
前記第1トリミングフィルタを透過した前記可視光を受光するように前記第1トリミングフィルタに対向すると共に、前記受光した可視光を電気信号に変換するように構成された第1イメージセンサと、
近赤外域の光を透過させる一方で可視域の光を遮断するように構成され、前記反射膜を介して前記第2プリズムを透過した前記近赤外光が入射する第2トリミングフィルタと、
前記第2トリミングフィルタを透過した前記近赤外光を受光するように前記第2トリミングフィルタに対向すると共に、前記受光した近赤外光を電気信号に変換するように構成された第2イメージセンサと、を備える。
前記第1プリズムは、前記第2プリズムに固定されている。
前記第1トリミングフィルタは、前記第1プリズムに固定されている。
前記第2トリミングフィルタは、前記第2プリズムに固定されている。
【0007】
上記構成によれば、第1プリズムと第2プリズムが互いに固定されている。また、第1トリミングフィルタが第1プリズムに固定されると共に、第2トリミングフィルタが第2プリズムに固定されている。このような構成により、撮像部全体のサイズを小型化することができ、撮像部をスコープ内に収容することが可能となる。また、撮像部がスコープ内に収容されているため、患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光は、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサのそれぞれによって効率的に受光される。このように、SN比(信号対雑音比)を低下させずに第1イメージセンサによって生体組織を示す電気信号(可視光映像信号)が取得されるため、生体組織を示す可視光画像データの画質が向上する。さらに、SN比を低下させずに第2イメージセンサによって生体組織を示す電気信号(近赤外光映像信号)が取得されるため、生体組織を示す近赤外光画像データの画質が向上する。また、可視光映像信号と近赤外光映像信号が同タイミングで取得されるため、可視光画像データの各フレームの時間軸と近赤外光画像データの各フレームの時間軸が互いに一致する。このように、可視光画像データのフレームの時間軸と近赤外光画像データのフレームの時間軸が一致することから、可視光画像データと近赤外光画像データとの合成によって生成される合成画像データの精度が向上する。さらに、撮像部がスコープ内に収容されているため、患者の生体組織からの可視光及び近赤外光を撮像部に導くための高価なリレーレンズ等をスコープに設ける必要がないため、内視鏡全体の製造コストを低減することが可能となる。従って、製造コストを抑えた上で、患者の生体組織を示す可視光画像データ及び近赤外光画像データの画質を向上させることが可能な内視鏡を提供することができる。
【0008】
また、前記第1イメージセンサは、前記第1トリミングフィルタに固定されてもよい。
前記第2イメージセンサは、前記第2トリミングフィルタに固定されてもよい。
【0009】
上記構成によれば、撮像部全体のサイズを小型化することができ、撮像部をスコープ内に収容することが可能となる。この点において、例えば、撮像部を内径が小さいスコープ内に収容することが可能となる。
【0010】
また、前記撮像部は、前記生体組織に対向する前記内視鏡の先端面の付近に配置されてもよい。
【0011】
上記構成によれば、撮像部が生体組織に対向する内視鏡の先端面の付近に配置されているため、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサは、患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を効率的に受光すること可能となる。この結果、内視鏡を通じて取得される可視光画像データ及び近赤外光画像データの画質が向上する。
【0012】
また、前記撮像部は、
前記第1トリミングフィルタと前記第1イメージセンサとの間に設けられ、可視域の光を透過させる一方で近赤外域の光を遮断するように構成された赤外光遮断膜と、
前記第2トリミングフィルタと前記第2イメージセンサとの間に設けられ、近赤外域の光を透過させる一方で可視域の光を遮断するように構成された可視光遮断膜と、をさらに備えてもよい。
前記赤外光遮断膜と前記可視光遮断膜は、前記生体組織に照射され、中心波長が700nmから800nmの波長帯に含まれる励起光を遮断するように構成されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、生体組織に照射され、中心波長が700nmから800nmの波長帯の励起光が赤外光遮断膜と可視光遮断膜によって遮断されるため、当該励起光が可視光画像データ及び近赤外光画像データの画質に悪影響を与える状況を好適に防止すること可能となる。
【0014】
また、前記撮像部は、前記生体組織に関連付けられた前記可視光及び前記近赤外光を前記第1プリズムに向けて導くように前記第1プリズムに固定されたレンズユニットをさらに備えてもよい。
【0015】
上記構成によれば、レンズユニットによって生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を効率的に第1プリズムに入射させることが可能となると共に、適切な撮像部の画角を確保することが可能となる。さらに、レンズユニットと第1プリズムとの間に空隙が設けられていないため、当該空隙内に埃等のゴミが進入することが好適に防止され、内視鏡のメンテナンスに要する負担が軽減されうる。
【0016】
また、前記レンズユニットの先端と前記生体組織に対向する内視鏡の先端面との間の距離は、0.5mmから5mmの範囲内であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、レンズユニットの先端と生体組織に対向する内視鏡の先端面との間の距離が0.5mmから5mmの範囲内となるため、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサは、患者の生体組織によって反射された可視光及び近赤外光を効率的に受光することが可能となる。さらに、適切な撮像部の画角を確保することが可能となる。
【0018】
また、前記内視鏡は、前記レンズユニットと、前記第1プリズムと、前記第2プリズムとを支持するように構成されると共に、前記スコープ内に収容される第1支持部材をさらに備えてもよい。
前記第1支持部材は、前記レンズユニットと、前記第1プリズムと、前記第2プリズムとに固定されてもよい。
【0019】
上記構成によれば、第1レンズユニットと、第1プリズムと、第2プリズムが第1支持部材により支持及び固定されているため、第1支持部材によって撮像部全体の強度を向上させることが可能となる。
【0020】
また、前記内視鏡は、前記第1支持部材及び前記スコープに固定されると共に、前記スコープ内に収容される第2支持部材をさらに備えてもよい。
【0021】
上記構成によれば、撮像部に固定された第1支持部材は、第2支持部材を介してスコープに固定されている。このように、第1支持部材及び第2支持部材によって撮像部をスコープに確実に固定することが可能となる。
【0022】
また、前記第1イメージセンサは、前記生体組織の反転像を形成する前記可視光から前記生体組織の正転像を示す可視光映像信号を生成するように構成されたCMOSイメージセンサであってもよい。
【0023】
上記構成によれば、第1イメージセンサが生体組織の正転像を示す可視光映像信号を生成するように構成されたCMOSイメージセンサであるため、可視光画像データと近赤外光画像データを同タイミングで取得することができる。具体的には、第1イメージセンサがCCDイメージセンサである場合には、生体組織の反転像を示す可視光映像信号から生体組織の正転像を示す可視光画像データを生成するための画像反転処理を映像処理回路側で別途実行する必要がある。このため、可視光画像データの生成タイミングが近赤外光画像データの生成タイミングよりも遅れてしまう状況が発生し、映像処理回路側において可視光画像データと近赤外光画像データを同タイミングで取得することが困難となる。一方で、第1イメージセンサがCMOSイメージセンサである場合には、映像処理回路側において当該画像反転処理を実行する必要がないため、映像処理回路側において可視光画像データと近赤外光画像データを同タイミングで取得することが可能となる。
【0024】
また、前記第1イメージセンサと前記第2イメージセンサは、同一の構成を有してもよい。
【0025】
上記構成によれば、第1イメージセンサと第2イメージセンサ用に別々の種類のイメージセンサを用意する必要がないため、内視鏡の製造コストを低減することが可能となる。例えば、ベイヤー配列のカラーフィルタを備えたCMOSイメージセンサを第1イメージセンサ及び第2イメージセンサの両方に適用可能となる。
【0026】
前記第1イメージセンサの撮像面と前記第2イメージセンサの撮像面は、互いに直交してもよい。
【0027】
上記構成によれば、第1イメージセンサの撮像面と第2イメージセンサの撮像面が互いに直交しているため、撮像部全体のサイズを小型化することができ、撮像部をスコープ内に首尾よく収容することが可能となる。
【0028】
また、前記反射膜と、前記第1トリミングフィルタと、前記赤外光遮断膜との組み合わせからなる可視光チャンネルは、720nmから1050nmの波長帯における光の透過率が0.1%以下となるような分光特性を有してもよい。
前記反射膜と、前記第2トリミングフィルタと、前記可視光遮断膜との組み合わせからなる近赤外光チャンネルは、400nmから798nmの波長帯における光の透過率が0.5%以下となるような分光特性を有してもよい。
【0029】
上記構成によれば、可視光反射膜と、第1トリミングフィルタと、赤外光遮断膜との組み合わせからなる可視光チャンネルは、720nmから1050nmの波長帯における光の透過率が0.1%以下となるような分光特性を有する。このため、生体組織に照射される700nmから800nmの波長帯の励起光及び近赤外光が可視光画像データの画質に悪影響を与える状況を好適に防止可能となる。また、可視光反射膜と、第2トリミングフィルタと、可視光遮断膜との組み合わせからなる近赤外光チャンネルは、400nmから798nmの波長帯における光の透過率が0.5%以下となるような分光特性を有する。このため、生体組織に照射される700nmから800nmの波長帯の励起光及び可視光が近赤外光画像データの画質に悪影響を与える状況を好適に防止可能となる。
【0030】
本開示の一態様に係る撮像部は、内視鏡のスコープ内に収容され、患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を受光することで前記生体組織を撮像するように構成されている。
前記撮像部は、
第1プリズムと、
前記第1プリズムに対向する第2プリズムと、
前記第1プリズムの斜面と前記第2プリズムの斜面との間に設けられ、前記生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を分離するように構成された反射膜と、
可視域の光を透過させる一方で近赤外域の光を遮断するように構成され、前記反射膜を介して前記第1プリズムを透過した前記可視光が入射する第1トリミングフィルタと、
前記第1トリミングフィルタを透過した前記可視光を受光するように前記第1トリミングフィルタに対向すると共に、前記受光した可視光を電気信号に変換するように構成された第1イメージセンサと、
近赤外域の光を透過させる一方で可視域の光を遮断するように構成され、前記反射膜を介して前記第2プリズムを透過した前記近赤外光が入射する第2トリミングフィルタと、
前記第2トリミングフィルタを透過した前記近赤外光を受光するように前記第2トリミングフィルタに対向すると共に、前記受光した近赤外光を電気信号に変換するように構成された第2イメージセンサと、を備える。
前記第1プリズムは、前記第2プリズムに固定されている。
前記第1トリミングフィルタは、前記第1プリズムに固定されている。
前記第2トリミングフィルタは、前記第2プリズムに固定されている。
【発明の効果】
【0031】
本開示によれば、製造コストを抑えた上で、患者の生体組織を示す可視光画像データ及び近赤外画像データの画質を向上させることが可能な内視鏡及び当該内視鏡に設けられた撮像部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本実施形態に係る内視鏡を示す分解斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る内視鏡を示す断面図である。
【
図3】可視光に対する可視光反射膜の反射特性及び近赤外光に対する可視光反射膜の透過特性の一例を示す図である。
【
図4】第1トリミングフィルタの透過特性と第2トリミングフィルタの透過特性の一例を示す図である。
【
図5】赤外光遮断膜の透過特性と可視光遮断膜の透過特性の一例を示す図である。
【
図6】可視光チャンネルの分光透過特性と近赤外光チャンネルの分光透過特性の一例を示す図である。
【
図7】可視光チャンネル上のRGBカラーフィルタの透過特性と近赤外光チャンネル上のRGBカラーフィルタの透過特性を説明するための図である。
【
図8】ベイヤー配列のRGBカラーフィルタを備えたCMOSイメージセンサを概略的に示す図である。
【
図9】内視鏡システムの構成を説明するための図である。
【
図10】可視光画像データと近赤外光画像データとを合成することで得られる合成画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本開示の実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)に係る内視鏡1について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0034】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、内視鏡1のX軸、Y軸、Z軸方向について適宜言及する場合がある。これらの方向は、
図1に示す内視鏡1について設定された相対的な方向である。X軸、Y軸、Z軸のうちの一方は、残りの2軸に対して直交するものとする。Z軸は、内視鏡1のスコープ3の延出方向に相当する。
【0035】
最初に、
図1及び
図2を参照することで、本実施形態に係る内視鏡1の構成について以下に説明する。
図1は、本実施形態に係る内視鏡1を示す分解斜視図である。
図2は、撮像部2がスコープ3内に収容された状態での内視鏡1を示す断面図である。
【0036】
図1及び
図2に示すように、内視鏡1は、スコープ3と、撮像部2と、ライトガイド4と、第1支持部材5と、第2支持部材6と、レンズカバー7とを備える。医療従事者は、内視鏡1を患者の体内に挿入することで、患者の内蔵等の生体組織をリアルタイムで観察することができる。内視鏡1は、例えば、腹腔鏡手術下で使用される硬性の内視鏡であってもよい。尚、内視鏡1は、硬性の内視鏡に限定されるものではない。
【0037】
また、内視鏡1を通じて患者の生体組織の可視光画像データと近赤外画像データの両方を同時に取得することが可能となる。この点において、腹腔鏡手術下においては、ICG(インドシアニングリーン)等の近赤外光を発光する蛍光造影剤が使用されている。ICGに励起光(レーザ光)が照射されることで、ICGは近赤外光を発光する。励起光であるレーザ光の中心波長λは、例えば、700nmから800nmの範囲内、より具体的には、785nmから795nmの範囲内となる。医療従事者は、ICGを患者の静脈に注入した後に、内視鏡1を通じて取得された近赤外光画像データを視認することで、ICGが留まる患部を確実に特定することが可能となる。このように、外科医等の医療従事者は、ICGによって特定された患部に対して外科的処置(患部の切除等)を施すことができる。
【0038】
スコープ3は、内視鏡1のうち患者の体内に挿入される部分である。スコープ3は、例えば、空間Sを有する硬性のチューブとして構成されている。スコープ3の外径は、例えば、約10mmであると共に、スコープ3の内径は、例えば、約9mmである。撮像部2は、患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光を受光することで生体組織を撮像するように構成されている。具体的には、撮像部2は、患者の生体組織によって反射された可視光及び生体組織に留まる蛍光造影剤(ICG等)から出射された近赤外光を受光することで生体組織を撮像するように構成されている。本実施形態では、撮像部2は、スコープ3の空間S内に収容されている。この点において、撮像部2は、内径が約9mmのスコープ3内に収容可能な程度に小型化されている。また、撮像部2は、スコープ3の先端3a(
図2参照)の付近に配置されている。スコープ3の先端3aは、内視鏡1が患者の体内に挿入された状態において患者の生体組織に対向する。撮像部2の具体的構成については後述する。
【0039】
ライトガイド4は、図示しない可視光光源から出射された可視光及び図示しない励起光光源から出射された励起光を患者の生体組織に向けて導くように構成されている。ライトガイド4は、可視光及び励起光が伝搬する多数の光ファイバによって構成されている。
図1では、図示簡略化の観点より、ライトガイド4の一部のみが図示されているが、ライトガイド4は、スコープ3の空間S内に収容されていると共に、Z軸方向に沿って可視光光源及び励起光光源まで延出している。ライトガイド4から出射された可視光は、生体組織によって反射された後に、撮像部2によって受光される。また、ライトガイド4から出射された励起光は、生体組織内に留まるICG等の蛍光造影剤に照射される。その後、励起光の照射を通じて蛍光造影剤から出射された近赤外光(蛍光)が撮像部2によって受光される。
【0040】
図2に示すように、第1支持部材5は、スコープ3の空間S内に収容されており、撮像部2を支持するように構成されている。特に、第1支持部材5は、接着剤によって撮像部2に固定されている。より具体的には、第1支持部材5は、撮像部2を構成するレンズユニット20と、第1プリズム21と、第2プリズム22とを支持するように構成されていると共に、接着剤によってレンズユニット20と、第1プリズム21と、第2プリズム22とに固定されている。このように、第1支持部材5によって撮像部2の全体の強度を向上させることが可能となる。
【0041】
第2支持部材6は、スコープ3の空間S内に収容されており、接着剤によって第1支持部材5及びスコープ3に固定されている。また、第2支持部材6は、ライトガイド4が挿入される挿入孔62と、レンズユニット20が挿入される挿入孔63と、レンズカバー7が挿入される挿入孔64とを有する。ライトガイド4が挿入孔62に挿入された状態で、ライトガイド4は第2支持部材6によって支持される。挿入孔63と挿入孔64は互いに連通している。レンズカバー7が挿入孔64に挿入された状態で、レンズカバー7は第2支持部材6によって固定及び支持される。第2支持部材6の前面65と、レンズカバー7の前面7aと、ライトガイド4の端面4aが、生体組織に対向する内視鏡1の先端面1aを構成する。
【0042】
このように、第1支持部材5は、撮像部2に固定されていると共に、第2支持部材6は、第1支持部材5及びスコープ3に固定されているため、第1支持部材5及び第2支持部材6によって撮像部2をスコープ3に確実に固定することが可能となる。
【0043】
(撮像部2の具体的な構成)
次に、
図2を参照することで撮像部2の具体的な構成について以下に説明する。
図2に示すように、撮像部2は、レンズユニット20と、第1プリズム21と、第2プリズム22と、可視光反射膜27(反射膜の一例)とを備える。撮像部2は、第1トリミングフィルタ23と、赤外光遮断膜28と、第1イメージセンサ24と、第1回路基板32とをさらに備える。撮像部2は、第2トリミングフィルタ25と、可視光遮断膜29と、第2イメージセンサ26と、第2回路基板33とをさらに備える。
【0044】
レンズユニット20は、生体組織からの可視光及び近赤外光を第1プリズム21に向けて導くように構成されている。撮像部2の画角(視野角)を広げると共に、生体組織からの可視光及び近赤外光をより効率的に取り込むためには、レンズユニット20はスコープ3の先端3aの付近若しくは内視鏡1の先端面1aの付近に配置されていることが好ましい。本実施形態では、Z軸方向におけるレンズユニット20の先端となるレンズユニット20の入射面20aと内視鏡1の先端面1aとの間の距離は、0.5mmから5mmの範囲内となる。好ましくは、Z軸方向における入射面20aと先端面1aとの間の距離は、0.5mmから2mmの範囲内となる。より好ましくは、Z軸方向における入射面20aと先端面1aとの間の距離は、0.5mmから1mmの範囲内となる。
【0045】
また、レンズユニット20と第1プリズム21は、第1支持部材5を介して互いに固定されている。この点において、レンズユニット20の出射面20bと第1プリズム21の入射面21bは、互いに接触しており、レンズユニット20と第1プリズム21との間に空隙が存在しない。このため、当該空隙内に埃等のゴミが進入することが好適に防止され、内視鏡1のメンテナンスに要する負担が軽減されうる。
【0046】
第1プリズム21及び第2プリズム22は、直角プリズムとして構成されている。第1プリズム21及び第2プリズム22は、例えば、透明のガラス材料若しくは透明のプラスチック材料により形成されている。第1プリズム21と第2プリズム22は、互いに対向としており、接着剤によって互いに固定されている。特に、第1プリズム21の斜面21aと第2プリズム22の斜面22aが互いに対向した状態で第1プリズム21と第2プリズム22が互いに固定されている。このように、互いに固定された第1プリズム21と第2プリズム22の2つの形状が直方体形状となるため、撮像部2の全体のサイズを小型化することが可能となり、撮像部2をスコープ3内に収容することができる。
【0047】
可視光反射膜27(反射膜の一例)が第1プリズム21の斜面21aと第2プリズム22の斜面22aとの間に設けられている。本実施形態では、可視光反射膜27が斜面21a又は斜面22aのいずれか一方に形成された後に、接着剤を介して第1プリズム21と第2プリズム22とが互いに固定される。可視光反射膜27は、生体組織からの可視光及び近赤外光を分離するように構成されている。より具体的には、可視光反射膜27は、生体組織から出射されて、レンズユニット20及び第1プリズム21を透過した可視光を第1トリミングフィルタ23に向けて反射させるように構成されている。さらに、可視光反射膜27は、生体組織から出射されて、レンズユニット20及び第1プリズム21を透過した近赤外光を第2トリミングフィルタ25に向けて透過させるように構成されている。
【0048】
第1プリズム21の斜面21a及び第2プリズム22の斜面22aがZ軸方向に対して45度傾いているため、可視光反射膜27もZ軸方向に対して45度傾いている。このため、可視光反射膜27は、可視光の伝搬方向が90度だけ変化するように可視光を反射させる一方で、近赤外光の伝搬方向が変化しないように近赤外光を透過させる。このように、可視光の伝搬方向は、可視光反射膜27によってZ軸方向からY軸方向に変換される一方で、Z軸方向に進行する近赤外光の伝搬方向は可視光反射膜27によって変化しない。
【0049】
可視光反射膜27は、高屈折率の誘電体薄膜(高屈折率層)と低屈折率の誘電体薄膜(低屈折率層)を交互に積層することで形成された誘電体多層膜からなるダイクロイックミラーである。高屈折率層の材料は、例えば、TiO2(屈折率nH=2.35)が使用されてもよい。低屈折率層の材料は、例えば、SiO2(屈折率nL=1.47)が使用されてもよい。高屈折率層の層数及び低屈折率層の層数は、例えば、80層である。
【0050】
図3は、可視光に対する可視光反射膜27の反射特性及び近赤外光に対する可視光反射膜27の透過特性の一例を示している。
図3に示すように、可視光反射膜27は、波長帯400nm~650nmの可視光に対する反射率が90%以上となるように可視光を反射させる。その一方で、可視光反射膜27は、波長帯800nm~1050nmの近赤外光を殆ど反射させない。換言すると、可視光反射膜27は、波長帯400nm~650nmの可視光に対する透過率が10%以下となるように可視光を透過させる。また、可視光反射膜27は、波長帯800nm~1050nmの近赤外光の殆どを透過させる。
【0051】
第1トリミングフィルタ23は、接着剤によって第1プリズム21に固定されている。第1トリミングフィルタ23の入射面23bと第1プリズム21の出射面21cは、接着剤を介して互いに接触している。第1トリミングフィルタ23は、可視域の光(可視光)を透過させる一方で、近赤外域の光(近赤外光)を遮断するように構成されている。可視光反射膜27によって反射されて、第1プリズム21を透過した光が、第1トリミングフィルタ23に入射する。第1トリミングフィルタ23は、第1トリミングフィルタ23に入射した入射光のうち可視光成分を透過させる一方、当該入射光のうち近赤外光成分を遮断する。
図4に第1トリミングフィルタ23の透過特性の一例が示されている。
図4に示すように、波長帯400nm~600nmの可視光に対する第1トリミングフィルタ23の透過率が90%以上である一方で、800nm以上の波長の近赤外光に対する第1トリミングフィルタ23の透過率は20%以下となる。第1トリミングフィルタ23は、赤外光を遮断する色ガラスにより形成されている。
【0052】
赤外光遮断膜28は、Y軸方向において第1トリミングフィルタ23と第1イメージセンサ24との間に設けられている。本実施形態では、赤外光遮断膜28が第1トリミングフィルタ23の出射面23a上に形成された後に、接着剤を介して第1トリミングフィルタ23と第1イメージセンサ24とが互いに固定される。赤外光遮断膜28は、可視域の光(可視光)を透過させる一方で、近赤外域の光(近赤外光)及び中心波長が700nm~800nmの波長帯に含まれる生体組織に照射される励起光を遮断するように構成されている。赤外光遮断膜28は、第1トリミングフィルタ23を透過して赤外光遮断膜28に入射した入射光のうち可視光成分を透過させる一方、当該入射光の近赤外光成分を遮断する。
図5に赤外光遮断膜28の透過特性の一例が示されている。
図5に示すように、波長帯400nm~650nmの可視光に対する赤外光遮断膜28の透過率が95%以上である一方で、700nm以上の波長の光に対する透過率が1%以下となる。
【0053】
赤外光遮断膜28は、高屈折率層と低屈折層を交互に積層することで形成された誘電体多層膜からなるダイクロイックミラーである。高屈折率層の材料は、例えば、TiO2(屈折率nH=2.35)が使用されてもよい。低屈折率層の材料は、例えば、SiO2(屈折率nL=1.47)が使用されてもよい。高屈折率層の層数及び低屈折率層の層数は、例えば、50層である。
【0054】
このように、患者の生体組織によって反射された可視光は、可視光反射膜27、第1トリミングフィルタ23及び赤外光遮断膜28との組み合わせからなる可視光チャンネルを通じて第1イメージセンサ24に入射する。
図6は、可視光反射膜27、第1トリミングフィルタ23及び赤外光遮断膜28との組み合わせからなる可視光チャンネルの分光透過特性の一例を示している。
図6に示すように、波長帯400nm~600nmの可視光に対する可視光チャンネルの透過率が80%以上となる一方で、波長帯720nm~1050nmの光の透過率が0.1%以下となる。この点において、可視光チャンネルは、720nm~1050nmの波長帯における光の透過率が0.01%以下となるような分光特性を有するのが好ましい。
【0055】
第1イメージセンサ24は、第1回路基板32に搭載されていると共に、Y軸方向において撮像面が第1トリミングフィルタ23及び赤外光遮断膜28に対向するように配置されている。第1イメージセンサ24は、接着剤によって赤外光遮断膜28を介して第1トリミングフィルタ23に固定されている。第1イメージセンサ24は、可視光反射膜27、第1トリミングフィルタ23及び赤外光遮断膜28との組み合わせからなる可視光チャンネルを透過した可視光を受光すると共に、受光した可視光を電気信号に変換するように構成されている。
【0056】
第1イメージセンサ24は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。この点において、撮像部2に入射した可視光は、可視光反射膜27によって1回反射された後に第1イメージセンサ24に入射するため、第1イメージセンサ24に入射する生体組織の像は反転像となる。一方で、CMOSイメージセンサは、生体組織の反転像を形成する可視光から生体組織の正転像を示す可視光映像信号を生成することが可能であることから、第1イメージセンサ24は、CMOSイメージセンサであることが好ましい。この点において、CMOSイメージセンサの各フォトダイオードに蓄積された電荷の読み出す順番を調整することで、生体組織の正転像を示す可視光映像信号を生成することが可能となる。
【0057】
図8に示すように、第1イメージセンサ24は、ベイヤー配列のカラーフィルタアレイと、マトリックス状に配列された複数のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイとを備える。カラーフィルタアレイは、複数の赤色フィルタと、複数の緑色フィルタと、複数の青色フィルタとから構成されている。ベイヤー配列のカラーフィルタアレイでは、緑色フィルタの数は、赤色フィルタの数及び青色フィルタの数の2倍となる。フォトダイオードアレイに含まれる各フォトダイオードは、複数のカラーフィルタ(赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタ)の一つに対向している。このように、第1イメージセンサ24は、受光した可視光を電気信号に変換することで生体組織の像を示す可視光映像信号(RAWデータ)を生成した上で、電気配線35を介して当該生成した可視光映像信号を可視光画像データ生成回路41(
図9参照)に送信する。その後、可視光画像データ生成回路41は、可視光映像信号(RAWデータ)に対して画像データ変換処理等(RAWデータ→RGBデータ)を行うことで、可視光画像データを生成する。尚、以降の説明では、カラーフィルタアレイの赤色フィルタ、緑色フィルタ、青色フィルタを単に「RGBカラーフィルタ」と総称する場合がある。
【0058】
図7には、可視光チャンネル上のRGBカラーフィルタの透過特性が示されている。生体組織からの可視光は、撮像部2の可視光チャンネルを通過した後に、第1イメージセンサ24のRGBカラーフィルタを通過する。その後、RGBカラーフィルタを通過した可視光はフォトダイオードによって受光される。
図7に示すように、可視光チャンネル上の赤色フィルタの透過特性では、720nm以上の波長の光の透過率が0.1%以下となる。可視光チャンネル上の緑色フィルタの透過特性では、720nm以上の波長の光の透過率が0.1%以下となる。可視光チャンネル上の青色フィルタの透過特性では、720nm以上の波長の光の透過率が0.1%以下となる。
【0059】
このように、生体組織に照射される中心波長が700nm~800nmの励起光(より具体的には、中心波長が785nmから795nmの励起レーザ光)及び近赤外光がRGBカラーフィルタを透過することが好適に防止される。この結果、励起光及び近赤外光が第1イメージセンサ24のフォトダイオードによって受光されることが好適に防止されるため、生体組織を示す可視光画像データの精度又は信頼性が向上する。
【0060】
第2トリミングフィルタ25は、接着剤によって第2プリズム22に固定されている。第2トリミングフィルタ25の入射面25bと第2プリズム22の出射面22bは、接着剤を介して互いに接触している。第2トリミングフィルタ25は、近赤外域の光(近赤外光)を透過させる一方で、可視域の光(可視光)を遮断するように構成されている。可視光反射膜27及び第2プリズム22を透過した光が、第2トリミングフィルタ25に入射する。第2トリミングフィルタ25は、第2トリミングフィルタ25に入射した入射光のうち近赤外光成分を透過させる一方、当該入射光のうち可視光成分を遮断する。
図4に第2トリミングフィルタ25の透過特性の一例が示されている。
図4に示すように、850nm以上の波長の近赤外光に対する第2トリミングフィルタ25の透過率が90%以上である一方で、波長帯400nm~750nmの可視光に対する第2トリミングフィルタ25の透過率は1%以下となる。第2トリミングフィルタ25
は、可視光を遮断する色ガラスにより形成されている。
【0061】
可視光遮断膜29は、Z軸方向において第2トリミングフィルタ25と第2イメージセンサ26との間に設けられている。本実施形態では、可視光遮断膜29が第2トリミングフィルタ25の出射面25a上に形成された後に、接着剤を介して第2トリミングフィルタ25と第2イメージセンサ26とが互いに固定される。可視光遮断膜29は、近赤外域の光(近赤外光)を透過させる一方で、可視域の光(可視光)及び中心波長が700nm~800nmの波長帯に含まれる生体組織に照射される励起光を遮断するように構成されている。可視光遮断膜29は、第2トリミングフィルタ25を透過して可視光遮断膜29に入射した入射光のうち赤外光成分を透過させる一方、当該入射光の可視光成分を遮断する。
図5に可視光遮断膜29の透過特性の一例が示されている。
図5に示すように、波長850nm以上の近赤外光に対する可視光遮断膜29の透過率が95%以上である一方で、700nm~800nmの波長帯の光に対する可視光遮断膜29の透過率が1%以下となる。
【0062】
可視光遮断膜29は、高屈折率層と低屈折層を交互に積層することで形成された誘電体多層膜からなるダイクロイックミラーである。高屈折率層の材料は、例えば、TiO2(屈折率nH=2.35)が使用されてもよい。低屈折率層の材料は、例えば、SiO2(屈折率nL=1.47)が使用されてもよい。高屈折率層の層数及び低屈折率層の層数は、例えば、50層である。
【0063】
このように、生体組織内に存在する蛍光造影剤から出射された近赤外光は、可視光反射膜27、第2トリミングフィルタ25及び可視光遮断膜29との組み合わせからなる近赤外光チャンネルを通じて第2イメージセンサ26に入射する。
図6は、可視光反射膜27、第2トリミングフィルタ25及び可視光遮断膜29との組み合わせからなる近赤外光チャンネルの分光透過特性の一例を示している。
図6に示すように、870nm以上の波長の近赤外光に対する近赤外光チャンネルの透過率が90%以上となる一方で、400nm~798nmの波長帯における光に対する近赤外光チャンネルの透過率が0.5%以下となる。この点において、近赤外光チャンネルは、400nm~798nmの波長帯における光の透過率が0.01%以下となるような分光特性を有するのが好ましい。
【0064】
第2イメージセンサ26は、第2回路基板33に搭載されていると共に、Z軸方向において撮像面が第2トリミングフィルタ25及び可視光遮断膜29に対向するように配置されている。第2イメージセンサ26は、接着剤によって可視光遮断膜29を介して第2トリミングフィルタ25に固定されている。第2イメージセンサ26の撮像面と第1イメージセンサ24の撮像面は、互いに直交している。第2イメージセンサ26は、可視光反射膜27、第2トリミングフィルタ25及び可視光遮断膜29との組み合わせからなる赤外光チャンネルを透過した赤外光を受光すると共に、受光した赤外光を電気信号に変換するように構成されている。
【0065】
第2イメージセンサ26は、受光した赤外光を電気信号に変換することで生体組織の像を示す近赤外光映像信号を生成した上で、電気配線36を介して当該生成した近赤外光映像信号を近赤外光画像データ生成回路42(
図9参照)に送信する。その後、近赤外光画像データ生成回路42は、近赤外光映像信号に対して所定の処理を行うことで近赤外光画像データを生成する。
【0066】
第2イメージセンサ26は、CMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサである。この点において、第2イメージセンサ26と第1イメージセンサ24が同一の構成を有することが内視鏡1の製造コストの観点から好ましい。この場合、第1イメージセンサ24と第2イメージセンサ26用に別々の種類のイメージセンサを用意する必要がないため、内視鏡1の製造コストを低減することが可能となる。例えば、第2イメージセンサ26は、第1イメージセンサ24と同様に、ベイヤー配列のカラーフィルタアレイと、マトリックス状に配列された複数のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイとを備えてもよい。以下の説明では、第2イメージセンサ26はベイヤー配列のカラーフィルタアレイを備えるものとする。
【0067】
図7には、近赤外光チャンネル上のRGBカラーフィルタの透過特性が示されている。生体組織に存在する蛍光造影剤から出射された近赤外光は、撮像部2の近赤外光チャンネルを通過した後に、第2イメージセンサ26のRGBカラーフィルタを通過する。その後、RGBカラーフィルタを通過した近赤外光はフォトダイオードによって受光される。
図7に示すように、赤外光チャンネル上の青色フィルタの透過特性では、400nm~798nmの波長帯の光の透過率が0.5%以下となる一方で、波長850nm付近の光の透過率が最も高くなる。同様に、赤外光チャンネル上の緑色フィルタの透過特性では、400nm~798nmの波長帯の光の透過率が0.5%以下となる一方で、波長850nm付近の光の透過率が最も高くなる。赤外光チャンネル上の赤色フィルタの透過特性では、400nm~798nmの波長帯の光の透過率が0.5%以下となる一方で、波長850nm付近の光の透過率が最も高くなる。また、
図7に示すように、蛍光造影剤から出力される蛍光(近赤外光)のスペクトル特性によれば、近赤外光の中心波長が波長830nm付近に存在する。
【0068】
このように、第2イメージセンサ26がベイヤー配列のカラーフィルタアレイを備えている場合であっても、蛍光造影剤から出力される近赤外光を電気信号に変換することができると共に、可視光及び励起光が第2イメージセンサ26のフォトダイオードによって受光されることが好適に防止される。このように、内視鏡1の製造コストを抑えると共に、生体組織を示す赤外光画像データの精度又は信頼性が向上する。
【0069】
また、特許文献1に開示されている単一のイメージセンサでは、青色用画素、緑色用画素、赤色用画素、IR用画素の4種類の画素が存在している。このため、IR用画素の画素値が低くなり、単一のイメージセンサから出力される近赤外光映像信号にノイズが生じやすく、近赤外光画像データの画質が低下してしまうといった問題が存在する。一方で、第2イメージセンサ26では、全ての画素がIR用画素となるため、水平(H)方向及び垂直(V)方向に隣接する画素の画素値を加算する処理であるH/V画素加算処理を通じて、各IR用画素の画素値を大きくすることが可能となる。このように、第2イメージセンサ26では、H/V画素加算処理を通じて各IR用画素の画素値を大きくすることができるため、第2イメージセンサ26から出力される近赤外光映像信号にノイズが生じにくくなり、生体組織を示す赤外光画像データの精度又は信頼性が向上する。
【0070】
次に、
図9を参照して内視鏡システム100について以下に説明する。
図9は、内視鏡システム100の構成を説明するための図である。
図9に示すように、内視鏡システム100は、撮像部2を備えた内視鏡1と、映像処理回路40と、表示部50とを備える。尚、
図9では、説明の便宜上、内視鏡1及び映像処理回路40の一部の構成のみが図示されている。映像処理回路40は、可視光画像データ生成回路41と、近赤外光画像データ生成回路42と、合成画像データ生成回路43と、出力インターフェース44とを備える。
【0071】
映像処理回路40は、撮像部2から送信された映像信号(デジタル信号)に基づいて生体組織を示す画像データを生成した上で、当該生成された画像データを表示部50に送信するように構成されている。映像処理回路40は、所定のフレームレート(例えば、60fps)で画像データを生成する。画像データのフレームレートは特に限定されるものではない。本実施形態では、映像処理回路40は、同一タイミング及び同一フレームレートで可視光画像データ及び近赤外光画像データを生成することができる。
【0072】
映像処理回路40は、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むマイクロコンピュータと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路とを有してもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。映像処理回路40は、マイクロコンピュータに加えて又は代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の非ノイマン型コンピュータシステムを有してもよい。
【0073】
可視光画像データ生成回路41は、上記したように、第1イメージセンサ24から可視光映像信号(RAWデータ)を受信した上で、当該可視光映像信号に基づいて可視光画像データを生成するように構成されている。可視光画像データ生成回路41は、可視光画像データを合成画像データ生成回路43及び出力インターフェース44に送信する。
【0074】
近赤外光画像データ生成回路42は、第2イメージセンサ26から近赤外光映像信号を受信した上で、当該近赤外光映像信号に基づいて近赤外光画像データを生成するように構成されている。近赤外光画像データ生成回路42は、近赤外光画像データを合成画像データ生成回路43及び出力インターフェース44に送信する。
【0075】
合成画像データ生成回路43は、受信した可視光画像データ及び近赤外光画像データを合成することで合成画像データを生成するように構成されている。合成画像データ生成回路43は、近赤外光画像データを所定の色(蛍光色)で着色した上で合成画像データを生成してもよい。近赤外光画像データはICG等の蛍光造影剤が存在する生体組織を示しているため、近赤外光画像データが所定の色で着色されることで、蛍光造影剤が存在する生体組織(患部)が合成画像データ上において強調して表示される(例えば、
図10参照)。このため、外科医等の医療従事者は、表示部50上に表示された合成画像データを視認することで、患部を明確に把握することができる。
【0076】
可視光画像データ、近赤外光画像データ及び合成画像データは、出力インターフェース44を通じて表示部50に送信される。表示部50は、可視光画像データ、近赤外光画像データ及び合成画像データのうちの少なくとも一方を表示するように構成されている。また、表示部50に送信される画像データは、内視鏡システム100に対する医療従事者の操作に応じて、適宜変更されてもよい。表示部50は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイであってもよいし、医療従事者の頭部に装着された透過型又は非透過型のヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0077】
本実施形態によれば、直角プリズムである第1プリズム21と第2プリズム22が互いに固定されている。また、第1トリミングフィルタ23が第1プリズム21及び第1イメージセンサ24に固定されると共に、第2トリミングフィルタ25が第2プリズム22及び第2イメージセンサ26に固定されている。さらに、第1イメージセンサ24の撮像面と第2イメージセンサ26の撮像面が互いに直交している。このような構成により、撮像部2の全体のサイズを小型化することができ、撮像部2を内径が小さいスコープ3の空間S内に収容することが可能となる。また、撮像部2が内視鏡1の先端面1a付近の空間S内に収容されているため、患者の生体組織に関連付けられた可視光及び近赤外光は、第1イメージセンサ24及び第2イメージセンサ26のそれぞれによって効率的に受光される。このように、SN比(信号対雑音比)を低下させずに第1イメージセンサ24によって生体組織を示す可視光映像信号が取得されるため、生体組織を示す可視光画像データの画質が向上する。さらに、SN比を低下させずに第2イメージセンサ26によって生体組織を示す近赤外光映像信号が取得されるため、生体組織を示す近赤外光画像データの画質が向上する。また、可視光映像信号と近赤外光映像信号が同タイミングで取得されるため、可視光画像データの各フレームの時間軸と近赤外光画像データの各フレームの時間軸が互いに一致する。このように、可視光画像データのフレームの時間軸と近赤外光画像データのフレームの時間軸が一致することから、可視光画像データと近赤外光画像データとの合成によって生成される合成画像データの精度が向上する。さらに、撮像部2がスコープ3の空間S内に収容されているため、患者の生体組織からの可視光及び近赤外光を撮像部2に導くための高価なリレーレンズ等をスコープ3に設ける必要がないため、内視鏡1の全体の製造コストを低減することが可能となる。従って、製造コストを抑えた上で、患者の生体組織を示す可視光画像データ、近赤外光画像データ及び合成画像データの画質を向上させることが可能な内視鏡1を提供することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、第1イメージセンサ24が生体組織の正転像を示す可視光映像信号を生成するように構成されたCMOSイメージセンサである場合に、可視光画像データと近赤外光画像データを同タイミングで取得することができる。具体的には、第1イメージセンサ24がCCDイメージセンサである場合には、生体組織の反転像を示す可視光映像信号から生体組織の正転像を示す可視光画像データを生成するための画像反転処理を映像処理回路40側で別途実行する必要がある。このため、可視光画像データの生成タイミングが近赤外光画像データの生成タイミングよりも遅れてしまう状況が発生し、映像処理回路40側において可視光画像データと近赤外光画像データを同タイミングで取得することが困難となる。一方で、第1イメージセンサ24がCMOSイメージセンサである場合には、映像処理回路40側において当該画像反転処理を実行する必要がないため、映像処理回路側において可視光画像データと近赤外光画像データを同タイミングで取得することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態によれば、可視光反射膜27と、第1トリミングフィルタ23と、赤外光遮断膜28との組み合わせからなる可視光チャンネルは、720nmから1050nmの波長帯における光の透過率が0.1%以下となるような分光特性を有する。このため、生体組織に照射される700nmから800nmの波長帯の励起光及び近赤外光が可視光画像データの精度又は信頼性に悪影響を与える状況を好適に防止可能となる。また、可視光反射膜27と、第2トリミングフィルタ25と、可視光遮断膜29との組み合わせからなる近赤外光チャンネルは、400nmから798nmの波長帯における光の透過率が0.5%以下となるような分光特性を有する。このため、生体組織に照射される励起光及び可視光が近赤外光画像データの精度又は信頼性に悪影響を与える状況を好適に防止可能となる。さらに、第2イメージセンサ26では、H/V画素加算処理を通じて各IR用画素の画素値を大きくすることができるため、第2イメージセンサ26から出力される近赤外光映像信号にノイズが生じにくくなり、赤外光画像データの精度又は信頼性が向上する。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0081】
本実施形態では、生体組織からの可視光及び近赤外光を分離する反射膜の一例として可視光反射膜27が挙げられているが、反射膜は可視光反射膜に限定されるものではない。例えば、可視光及び近赤外光を分離する反射膜は、可視光を透過させると共に、近赤外光を反射させるように構成された近赤外光反射膜であってもよい。この場合、第1プリズム21の位置と第2プリズム22の位置が互いに入れ替わると共に、赤外光遮断膜28が形成された第1トリミングフィルタ23の位置と可視光遮断膜29が形成された第2トリミングフィルタ25の位置が互いに入れ替わる。さらに、第1イメージセンサ24の位置と第2イメージセンサ26の位置が互いに入れ替わる。近赤外光反射膜の場合も同様に、高屈折率の誘電体薄膜(高屈折率層)と低屈折率の誘電体薄膜(低屈折率層)を交互に積層することで形成された誘電体多層膜からなるダイクロイックミラーとなる。
【0082】
また、本実施形態では、第1プリズム21と第2プリズム22は、直角プリズムとして構成されているが、第1プリズム21と第2プリズム22の形状は、直角三角柱に限定されるものではない。
【0083】
また、第1イメージセンサ24と第2イメージセンサ26は、互いに異なる構成を有してもよい。例えば、第2イメージセンサ26は、カラーフィルタアレイを備えていなくてもよい。この場合、第2イメージセンサ26の手前に配置された近赤外光チャンネルが、可視光及び励起光を遮断する一方で近赤外光を透過させるため、第2イメージセンサ26のフォトダイオードに近赤外光のみを入射させることが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1:内視鏡
2:撮像部
3:スコープ
4:ライトガイド
5:第1支持部材
6:第2支持部材
7:レンズカバー
20:レンズユニット
21:第1プリズム
22:第2プリズム
23:第1トリミングフィルタ
24:第1イメージセンサ
25:第2トリミングフィルタ
26:第2イメージセンサ
27:可視光反射膜
28:赤外光遮断膜
29:可視光遮断膜
32:第1回路基板
33:第2回路基板
40:映像処理回路
41:可視光画像データ生成回路
42:近赤外光画像データ生成回路
43:合成画像データ生成回路
44:出力インターフェース
50:表示部
100:内視鏡システム