(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】酸化ハフニウム腐食抑制剤
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20240725BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01L21/308 F
H01L21/306 F
(21)【出願番号】P 2021540119
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 US2020013110
(87)【国際公開番号】W WO2020146748
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ウェン ダー リウ
(72)【発明者】
【氏名】イー-チア リー
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-232871(JP,A)
【文献】特開2016-213461(JP,A)
【文献】特表2012-504871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0216315(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0047053(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0107460(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0112728(US,A1)
【文献】国際公開第2006/137497(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、
水と;
水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;
少なくとも1つの過酸化物化合物と;
水混和性の有機溶媒と;
C
4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物
と
を含むエッチング溶液。
【請求項2】
少なくとも1つのキレート剤をさらに含む、請求項1に記載のエッチング溶液。
【請求項3】
前記水酸化第四級アンモニウ
ムが、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウム、水酸化(1-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化コリン、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1
又は2に記載のエッチング溶液。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物が、水酸化アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む、請求項1
又は2に記載のエッチング溶液。
【請求項5】
前記水混和性の有機溶媒がスルホラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びプロピレングリコールからなる群から選択され;かつ前記少なくとも1つの過酸化物化合物が過酸化水素である、請求項
4に記載のエッチング溶液。
【請求項6】
前記少なくとも1つの窒素含有化合物が、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)及びジエチレントリアミン(DETA)から選択される、請求項
5に記載のエッチング溶液。
【請求項7】
前記少なくとも1つの窒素含有化合物がオクチルアミンである、請求項
5に記載のエッチング溶液。
【請求項8】
前記少なくとも1つの窒素含有化合物がポリアルキレンイミンである、請求項
5に記載のエッチング溶液。
【請求項9】
前記ポリアルキレンイミンがポリエチレンイミンである、請求項
8に記載のエッチング溶液。
【請求項10】
前記少なくとも1つの窒素含有化合物がペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)である、請求項
5に記載のエッチング溶液。
【請求項11】
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジアミン)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミン四(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトロ三酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、サッカリン酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8-ヒドロキシキノリン及びシステインから選択される少なくとも1つのキレート剤を含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項12】
前記少なくとも1つのキレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、請求項
11に記載のエッチング溶液。
【請求項13】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~
12のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
【請求項14】
TiSiN及び酸化ハフニウムを含む複合半導体装置において、酸化ハフニウムに対するTiSiNのエッチング速度を選択的に向上させるための方法であって、
前記TiSiN及び酸化ハフニウムを含む複合半導体装置を、請求項1~
13のいずれか1項に記載のエッチング溶液と接触させる接触工程;並びに
前記TiSiNを少なくとも部分的に除去した後に、前記複合半導体装置をすすぐ工程
を含み、酸化ハフニウムに対するTiSiNについてのエッチングの選択性が30より高い、方法。
【請求項15】
前記
複合半導体装置を乾燥する工程をさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記酸化ハフニウムに対するTiSiNについてのエッチングの選択性が500より高い、請求項
14又は
15に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化ハフニウムに対するTiSiNについてのエッチングの選択性が1000より高い、請求項
14又は
15に記載の方法。
【請求項18】
前記接触工程が約60℃以上の温度で行われる、請求項
14~
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、
無希釈で約3.7~約4.5wt%の、水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;
無希釈で約3.9~約4.5wt%の少なくとも1つの過酸化物化合物と;
約10~約15wt%の水混和性の有機溶媒と;
約0.4~約1wt%の、C
4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;
水と
を含むエッチング溶液。
【請求項20】
少なくとも1つのキレート剤をさらに含む、請求項
19に記載のエッチング溶液。
【請求項21】
前記少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物が水酸化アンモニウムであり;
前記少なくとも1つの過酸化物化合物が過酸化水素であり;
前記水混和性の有機溶媒が、スルホラン、プロピレングリコール及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択され;かつ
前記少なくとも1つの窒素含有化合物が、オクチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)及びポリエチレンイミンからなる群から選択される、請求項
19又は
20に記載のエッチング溶液。
【請求項22】
マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、
無希釈で約4.2wt%の水酸化アンモニウムと;
無希釈で約4.3%の過酸化水素と;
無希釈で約0.4~約1.2wt%のフッ化アンモニウムと;
約10%の水混和性の有機溶媒と;
約0.30~約1%の、C
4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;
約0.30~約1%の少なくとも1つのキレート剤と;
水と
を含むエッチング溶液。
【請求項23】
前記水混和性の有機溶媒が、スルホラン、プロピレングリコール及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択され;
前記少なくとも1つの窒素含有化合物が、オクチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)及びポリエチレンイミンからなる群から選択され;かつ
組成物が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジアミン)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミン四(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトロ三酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、サッカリン酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8-ヒドロキシキノリン及びシステインから選択される少なくとも1つのキレート剤を含む、請求項
22に記載のエッチング溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年1月11日に提出された米国仮出願第62/791270号に対する優先権を主張し、その全体の内容は、全ての可能な目的のために、その仮出願に対する参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体装置の製造において使用される水性エッチング溶液に関するものである。より具体的には、本発明は、犠牲材料層を、例えば高誘電率(high k)材料の層に形成されるポリシリコンベースのゲート電極を含む半導体装置を製造するためのプロセスにおけるケイ化窒化チタン(TiSiN)、を選択的にエッチングするために使用されるエッチング溶液に関するものである。
【背景技術】
【0003】
二酸化ケイ素から製造された非常に薄いゲート誘電体を有するMOS電界効果トランジスタは、許容できないゲート漏洩電流を受ける場合がある。二酸化ケイ素の代わりに、特定の高誘電率誘電体材料から、例えば酸化ハフニウムから、ゲート誘電体を形成することは、ゲート漏洩を減少させることができる。しかし、このような誘電体は、装置のゲート電極を製造するために好ましい材料であるポリシリコンと適合しない場合がある。高誘電率ゲート誘電体とポリシリコンベースのゲート電極との間に、多くの高誘電率ゲート誘電体と適合する窒化チタン又はケイ化窒化チタンの薄い層を設置することは、このような誘電体が、このようなゲート電極とともに使用されることを可能とする場合がある。残念なことに、このような層の存在は、トランジスタの閾値電圧を増加させる場合があり、このことは望ましくなく、そのため、このような層は除去されなければならない。
【0004】
特定の装置の製造の間に、例えばp型装置の製造の間に、典型的には、ケイ化窒化チタン(TiSiN)の層が、酸化ハフニウム(HfO2)の高誘電率層に対して、従来の金属ゲート材料(例えばTaN及びTiN)に対して用いられる。ゲート構造をパターニングするために、酸化ハフニウムを損傷させずに、TiSiNに対する高いエッチング選択性を有する湿式化学エッチング組成物を得ることが好ましい。その湿式化学物質が貫通し、HfO2の少なくとも部分的な除去を引き起こす場合、このような損傷は、装置の電気的性能に負の影響を与える。従って、当分野において、先に記載された欠点が問題となることなくHfO2に対して優先的にTiSiNを除去する湿式化学エッチング組成物についての要求が存在する。
【発明の概要】
【0005】
この要求は、発明者が酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために有用な組成物を見出した本開示によって解決される。
【0006】
1つの態様において、マイクロエレクトロニクス装置からの、HfO2に対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、水と;水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;少なくとも1つの過酸化物化合物と;水混和性の有機溶媒と;C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;任意選択で少なくとも1つのキレート剤とを含むエッチング溶液が提供される。
【0007】
別の態様において、TiSiN及びHfO2を含む複合半導体装置において、HfO2に対するTiSiNのエッチング速度を選択的に向上させるための方法であって、TiSiN及びHfO2を含む複合半導体装置を、水と;水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;少なくとも1つの過酸化物化合物と;水混和性の有機溶媒と;C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;任意選択で少なくとも1つのキレート剤とを含む水性組成物と接触させる接触工程;並びにTiSiNを少なくとも部分的に除去した後に、複合半導体装置をすすぐ工程を含む方法が本明細書において提供されていて、ここで、HfO2に対するTiSiNについてのエッチングの選択性は30より高い。
【0008】
別の態様において、マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、無希釈で約3.7~約4.5wt%若しくは約3.7~約5.5wt%の、水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;無希釈で約3.9~約4.5wt%の少なくとも1つの過酸化物化合物と;約7~約12wt%若しくは約10~約15wt%の水混和性の有機溶媒と;約0.4~約0.6wt%、約0.4~約0.8wt%の、C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;水と;任意選択で少なくとも1つのキレート剤とを含むか、から本質的になるか、又は、からなるエッチング溶液が提供される。
【0009】
別の態様において、マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ケイ素に対するポリシリコンの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、無希釈で約4.1wt%の水酸化アンモニウムと;無希釈で約4.3%の過酸化水素と;無希釈で約0.4~約1.2wt%のフッ化アンモニウムと;約10%の水混和性の有機溶媒と;約0.3~約0.5%若しくは約0.3~約0.8%の、C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;水と;任意選択で少なくとも1つのキレート剤とを含むか、から本質的になるか、又は、からなるエッチング溶液が提供される。
【0010】
本発明の実施態様は、単独で、又は互いに組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書において開示される組成物に対してSC1を比較する、XPS分析によるHfO
2損失のグラフ例である。
【
図2】本明細書において開示される組成物に対してSC1を比較する、XPS分析によって測定した場合の、基材に残存するSiのグラフ例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
公報、特許出願及び特許を含む、本明細書において引用される全ての参照文献は、それぞれの参照文献が個別にかつ具体的に参照によって組み込まれることが示された場合、及び本明細書にその全体が記載された場合と同じように、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0013】
本発明を説明する文脈における(とりわけ特許請求の範囲の文脈における)用語「a」、「an」及び「the」並びに類似の指示対象の使用は、本明細書において他に指示されない限り、又は文脈により明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈される。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は、他に言及されない限り、オープンエンドの用語として解釈される(すなわち、「含むが、それらに限定されない」を意味する)。本明細書において、値の範囲の記載は、本明細書において他に指示されない限り、単に、その範囲にあるそれぞれの個別の値を個々に指す略記方法として機能することが意図され、それぞれの個別の値は、それぞれの個別の値が本明細書において個々に記載された場合と同様に、明細書中に組み込まれる。本明細書において説明される全ての方法は、本明細書において他に指示されない限り、又は他で文脈により明確に矛盾しない限り、任意の適した順序で行うことができる。本明細書において提供される任意の及び全ての例、又は例示的な語(例えば「such as」)の使用は、単に本発明をより良く例示することが意図され、他に記載されない限り、本発明の範囲に対する制限をするものではない。本明細書におけるいかなる語も、本発明の実行に不可欠である任意の請求されていない要素を示すとは解釈されるべきない。明細書及び特許請求の範囲における用語「含む(comprising)」の使用は、より狭い語である「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」を含む。
【0014】
本発明を実行するための、発明者が知る最善の方式を含む本発明の実施態様が本明細書において説明される。それらの実施態様の変形は、次の説明を読むことで、当業者にとって明らかとなることができる。発明者は、当業者が適したこのような変形を用いることを予期していて、発明者は、本発明について、本明細書において具体的に説明されるもの以外にも行われることを意図している。従って、本発明は、適用可能な法によって許される、本明細書に添付の特許請求の範囲において記載される内容の全ての変更及び同等なものを含む。さらに、本明細書において他に指示されない限り、又は文脈により明確に矛盾しない限り、その全てのあり得る変形において上で説明される要素の任意の組み合わせが本発明によって包含される。
【0015】
概して、本発明は、マイクロエレクトロニクス装置の製造の間の、その上に酸化ハフニウム、TiSiNを有するマイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために有用な組成物に関する。
【0016】
参照しやすくするために、「マイクロエレクトロニクス装置」又は「半導体装置」は、マイクロエレクトロニクス、集積回路又はコンピュータチップ用途における使用のために製造された半導体基材、例えばウエハ、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリ装置、ソーラーパネル、並びにソーラー基材、光発電装置及び微小電気化学システム(MEMS)を備える他の製品に対応する。ソーラー基材は、ケイ素、非晶質ケイ素、多結晶ケイ素、単結晶ケイ素、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、及びガリウム上のヒ化ガリウムを含むが、それらに限定されない。ソーラー基材は、ドープされているか、又はドープされていなくてよい。用語「マイクロエレクトロニクス装置」又は「半導体装置」は、いかなる方法によるかを限定することを意味せず、最終的にマイクロエレクトロニクス装置又はマイクロエレクトロニクス組立品となる任意の基材を含むと理解される。
【0017】
「複合半導体装置」又は「複合マイクロエレクトロニクス装置」は、装置が1より多い、非導電性基材上に存在する材料及び/又は層及び/又は層の部分を有することを意味する。材料は、高誘電率誘電体及び/又は低誘電率誘電体及び/又はバリア材料及び/又はキャップ材料及び/又は金属層及び/又は当業者にとって公知である他のものを含んでよい。
【0018】
本明細書において定義されるとき、「低誘電率誘電体材料」は、層状のマイクロエレクトロニクス装置において誘電体材料として使用される任意の材料に対応し、材料は約3.5より小さい誘電率を有する。好ましくは、低誘電率誘電体材料は低極性材料、例えばケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有ハイブリッド有機/無機材料、有機シリケートガラス(OSG)、TEOS、フッ化シリケートガラス(FSG)、二酸化ケイ素及び炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスを含む。低誘電率誘電体材料は種々の密度及び種々の多孔性を有してよいと理解される。
【0019】
本明細書において定義されるとき、「高誘電率誘電体材料」は、酸化ケイ素の誘電率より高い誘電率を有する材料をいい、酸化ハフニウムを含む。
【0020】
「実質的に有しない」は、0.001wt%より少ないとして、本明細書において定義される。「実質的に有しない」は、0.000wt%もまた含む。用語「有しない」は、0.000wt%を意味する。
【0021】
本明細書において使用されるとき、「約」は、記載される値の±5%に対応することを意図する。
【0022】
ゼロ下限を含む重量パーセント範囲に関して組成物の具体的な成分が議論される全てのこのような組成物において、このような成分は、組成物の種々の具体的な実施態様において存在するか、又は存在しなくてもよいと、及び例えばこのような組成物が存在する場合、それらは、このような成分が用いられる組成物の合計の重量に対して、0.001重量パーセント程度に低い濃度で存在してよいと理解される。成分の全ての割合は重量パーセントであり、組成物の合計の重量、すなわち100%に対するものであることに注意せよ。
【0023】
この態様の広範の実行において、本開発のエッチング溶液は、水と;水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;少なくとも1つの過酸化物化合物と;少なくとも1つの水混和性の有機溶媒と;C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;任意選択で少なくとも1つのキレート剤とを含むか、から本質的になるか、又は、からなる。
【0024】
幾つかの実施態様において、本明細書において開示されるエッチング溶液組成物は、以下の化学化合物:金属水酸化物、微量金属カチオン、ケイ素含有化合物、塩素含有化合物、臭素含有化合物、ヨウ素含有化合物、リン含有化合物、マグネシウム含有化合物及びアルカノールアミンのうち少なくとも1つを実質的に有しないか、又は有しないように配合される。
【0025】
本発明の組成物は、エレクトロニクス装置上にゲートオールアラウンド構造を製造するためのプロセスにおける使用のために適している。このようなプロセスは当分野において公知であり、例えば米国特許第6617209号明細書、米国特許出願公開第2017/0179248号明細書、米国特許出願公開第2017/0104062号明細書、米国特許出願公開第2017/0133462号明細書及び米国特許出願公開第2017/0040321号明細書において開示されていて、それらの開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0026】
本明細書において用いられる見出しは、限定することを意図するものではなく、むしろ構成の目的のためのみに含まれている。
【0027】
本明細書において開示される組成物は、酸化ハフニウムに対して優先的に、優れたTiSiNの除去を示す。
【0028】
水
本開発のエッチング組成物は水ベースであり、従って水を含む。本発明において、水は、種々の仕方で、例えば組成物の1つ又は複数の成分を溶解するように、成分のキャリアとして、残余物の除去を促進するものとして、組成物の粘度改質剤として、及び希釈剤として、機能する。好ましくは、洗浄組成物において用いられる水は脱イオン(DI)水である。次の段落において、及び本明細書で他に説明される水の範囲は、任意の供給源からの組成物中の水の全てを含む。
【0029】
多くの適用について、組成物における水の重量パーセントは、以下の数字の群:0.5、1、5、10、15、17、20、23、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、72、74、75、76、78、80、82、84、85、86、88、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.2、99.3、99.4及び99.5から選択される始点及び終点を有する範囲で存在すると考えられる。組成物において使用することができる水の範囲の例は、例えば約40wt%~約95wt%若しくは50wt%~約95wt%の水;又は約70wt%~約90wt%、約70wt%~約85wt%、約75wt%~約90wt%若しくは約75wt%~約85wt%の水を含む。さらに他の好ましい本発明の実施態様は、他の原料の所望の重量パーセントを達成する量で水を含むことができる。さらに他の好ましい本発明の実施態様は、無希釈で他の原料の量以外である組成物の割合を含むことができる。
【0030】
アルカリ性アンモニウム化合物
本明細書において開示されるエッチング組成物は、1つ又は複数のアルカリ性アンモニウム化合物をさらに含む。アルカリ性アンモニウム化合物はTiSiNのエッチングを促進するように機能する。1つ又は複数のアルカリ性アンモニウム化合物を、所望されるエッチング速度を提供するように選択することができる。これらのアルカリ性アンモニウム化合物の例は、例えば水酸化アンモニウム(NH4OH)、第四級アンモニウム化合物及びフッ化アンモニウムなどの化合物を含む。第四級アンモニウム化合物は、水酸化第四級アンモニウム、例えば水酸化テトラアルキルアンモニウム及びフッ化第四級アンモニウム、例えばフッ化テトラアルキルアンモニウムを含む。例示的な水酸化第四級アンモニウム(及び水酸化テトラアルキルアンモニウム)は、式[NR1R2R3R4]+OH-を有し、式中、R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立に水素、アルキル基、ヒドロキシアルキル基及びそれらの組み合わせである、このような化合物であってよい。例示的なフッ化第四級アンモニウム(及びフッ化テトラアルキルアンモニウム)は、式[NR--R1R2R3R4]+F-を有し、式中、R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立に水素、アルキル基、フルオロアルキル基及びそれらの組み合わせである、このような化合物であってよい。本明細書において使用される用語「アルキル」は、1~20個の炭素原子、1~8個の炭素原子又は1~4個の炭素原子の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基をいう。適したアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びtertブチルを含む。本明細書において使用される用語「ヒドロキシアルキル」は、1~20個の炭素原子、1~8個の炭素原子又は1~4個の炭素原子の炭化水素基を含有する、直鎖又は分岐鎖のヒドロキシル基をいう。本明細書において使用される用語「フルオロアルキル」は、1~20個の炭素原子、1~8個の炭素原子又は1~4個の炭素原子の炭化水素基を含有する、直鎖又は分岐鎖のフルオロ基をいう。適したフルオロアルキル基の例は、フルオロエチル及びフルオロプロピルを含む。
【0031】
適した水酸化第四級アンモニウム化合物(及び水酸化テトラアルキルアンモニウム)の例は、R基の全てが同じであるもの(しかし全てがHというわけではない)又はR基が全て同じわけではないものを含み、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウム、水酸化(1-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化コリン、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(Triton B)及びそれらの混合物を含む。
【0032】
適したフッ化第四級アンモニウム化合物の例は、R基の全てが同じであるもの(しかし全てがHというわけではない)又はR基が全て同じわけではないものを含み、例えばフッ化テトラメチルアンモニウム(TMAF)、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化トリメチルエチルアンモニウム、フッ化(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、フッ化(2-ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム、フッ化(2-ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウム、フッ化(1-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、フッ化エチルトリメチルアンモニウム、フッ化ジエチルジメチルアンモニウム及びフッ化ベンジルトリメチルアンモニウムを含む。
【0033】
幾つかの実施態様において、本明細書において開示されるエッチング組成物は、アルカリ性アンモニウム成分として水酸化アンモニウムを含む。アルカリ性アンモニウム化合物の濃度に関して、幾つかの実施態様において、合計のアルカリ性アンモニウム化合物は、組成物の合計の重量に対して、約3.7~約5.5wt%、約3.7~約5.5wt%又は約3.7~約4.5wt%(無希釈で、すなわち水溶媒成分を含まずに)である量で使用することができる。幾つかの実施態様において、フッ化アンモニウム又はフッ化第四級アンモニウムが組成物中に存在する場合、それは約0.1~約2.0wt%、約0.1~約1.8wt%又は約0.4~約1.5wt%で存在してよい。
【0034】
他の実施態様において、それぞれのアルカリ性アンモニウム化合物の量又は合計の量は、1つより多くが組成物中に存在する(無希釈で、すなわち水成分を除いて)場合には、多くの適用について、以下の数字の群:0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.5、1.8、2、2.5、3、3.7、3.9、4、4.1、4.5、4.7、5、5.2、5.5、5.7、6、6.2、6.5、7、7.5、8、9、10、11、12、13、14、15、17、18、19及び20から選択される始点及び終点を有する範囲内の重量パーセントを含む。本明細書において開示される組成物中のアルカリ性アンモニウム化合物の範囲のさらなる例は、無希釈で、組成物の約0.5wt%~約20wt%、約1.0wt%~約15wt%又は約1.3wt%~約15wt%であってよい。例として、アルカリ性アンモニウム化合物が水酸化アンモニウム(29%溶液)である(又は、を含む)場合、さらにエッチング配合物の約14wt%で添加される場合、4.06%の有効な水酸化アンモニウム化合物がエッチング配合物中に存在する。
【0035】
幾つかの実施態様において、水酸化アンモニウム及びフッ化アンモニウムを、本発明のエッチング組成物において使用することができる。1つの実施態様において、水酸化アンモニウムは無希釈で約4.0wt%で存在し、フッ化アンモニウムは無希釈で約0.4~1.2wt%で存在する。
【0036】
過酸化物化合物
本明細書において開示される組成物は、これもまたTiSiNをエッチングするように機能する過酸化物化合物を含む。組成物において使用される過酸化物化合物は、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過酢酸、過安息香酸及びそれらの組み合わせを含むことができるが、それらに限定されない。例として、過酸化物化合物が30%過酸化水素溶液である場合、過酸化水素を、組成物において、約1~約80wt%、好ましくは約10~約30wt%、より好ましくは約10~約20wt%、さらにより好ましくは約14~約16wt%の濃度で使用することができる。
【0037】
幾つかの実施態様において、(無希釈基準で)過酸化物化合物は、以下の数字の群:0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、2.5、3、3.5、3.8、3.9、4、4.3、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、28及び30から選択される始点及び終点を有する範囲内の重量パーセントを含む。
【0038】
他の実施態様において、過酸化物化合物は、無希釈で約0.5wt%~約30wt%、約1wt%~約10wt%又は約2wt%~約8wt%で、組成物中に存在する。1つの実施態様において、過酸化物化合物は、無希釈で約4.5wt%で存在する。
【0039】
水混和性の有機溶媒
本発明のエッチング組成物は、任意選択で水混和性の有機溶媒を含む。用いることができる水混和性の有機溶媒の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル(BDG)(例えば、取引名称Dowanol(登録商標)DBの下で商業的に入手可能である)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)ヘキシルオキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホラン、スルホキシド又はそれらの混合物である。好ましい溶媒は、アルコール、ジオール又はそれらの混合物である。最も好ましい溶媒は、スルホラン、並びに例えばエチレングリコール及びプロピレングリコールなどのジオールと、例えばグリセロールなどのトリオールとを含むポリオールである。
【0040】
多くの適用について、組成物中の水混和性の有機溶媒の量は、用いられる場合には、以下の重量パーセントのリスト:0.5、1、3、5、7、10、12、13、14、15、20、25、29、30、33、35、40、44、50、59.5から選択される始点及び終点を有する範囲であってよいと考えられる。溶媒のこのような範囲の例は、組成物の約0.5wt%~約59.5wt%;約5wt%~約50wt%;約1wt%~約40wt%;約0.5wt%~約30wt%;約1wt%~約30wt%;約5wt%~約30wt%;約5wt%~約15wt%;約7wt%~約10wt%、又は約10wt%を含む。
【0041】
窒素含有化合物(酸化ハフニウム腐食抑制剤)
本発明のエッチング組成物は、C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物を含む。好ましくは、少なくとも1つの窒素含有化合物は、無希釈で約0.1wt%~約10wt%で、組成物中に存在する。
【0042】
適したC4-12アルキルアミンの例は、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン及びドデシルアミンを含む。
【0043】
好ましくは、ポリアルキレンイミンはポリエチレンイミン(PEI)である。任意のPEIを使用することができるが、ホモポリマーのポリエチレンイミンが用いられることが好ましい。PEIは分岐鎖又は直鎖であってよいが、好ましくは分岐鎖である。
【0044】
使用されるPEIは、有効性のために任意の式量を有することができることが分かったが、好ましくは、PEIはより小さい式量(FW)を有する。ある実施態様において、PEIは、100~50000、400~25000、800~10000又は1000~3000のFWを有する。
【0045】
ある実施態様において、ポリアルキレンイミンはポリエチレンイミン(PEI)を含み、好ましくは、PEIは、組成物の約0.1~約10wt%、好ましくは5.0wt%未満、好ましくは2.5wt%未満、好ましくは1.5wt%未満、好ましくは1.0wt%未満、又は組成物の0.8wt%未満、又は組成物の0.5wt%未満を含む。好ましくは、PEIは、100~2500、好ましくは200~1500、最も好ましくは400~1200の分子量を有する。
【0046】
好ましい実施態様において、ポリアルキレンイミンは、100~2500、200~1500、400~1200又は700~900の分子量を有する。800の分子量が特に適している。分子量は、当分野において公知である光散乱法によって、適切に決定される。
【0047】
ポリエチレンイミンは商業的に入手可能であり、例えばBASFによって提供されるLupasol(登録商標)800である。
【0048】
ポリアミンの例は、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)及びジエチレントリアミン(DETA)を含む。
【0049】
少なくとも1つの窒素含有化合物は、主に酸化ハフニウムを腐食又はエッチングから保護するように機能する。
【0050】
幾つかの実施態様において、2以上の窒素含有化合物が、本発明のエッチング組成物において使用される。幾つかの実施態様において、2以上のポリアミン、2以上のC4-12アルキルアミン又は2以上のポリアルキレンイミンを、本発明の組成物において使用することができる。代わりの実施態様において、ポリアミン、C4-12アルキルアミン及びポリアルキレンイミンのうち少なくとも2つの混合物を、本発明のエッチング組成物において使用することができる。例えば、幾つかの実施態様において、PMDETAとオクチルアミンとの混合物を使用することができる。代わりの実施態様において、PMDETAとPEIとの混合物を、本発明の組成物において使用することができる。
【0051】
多くの適用について、組成物中のC4-10アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物の合計の量は、以下の重量パーセントのリスト:0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.0、1.25、1.3、1.5、2、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.50、4.75、5、6、7、8、9及び10から選択される始点及び終点を有する範囲であってよいと考えられる。少なくとも1つの窒素含有化合物のこのような範囲の例は、組成物の約0.01wt%~約4.0wt%;約0.10wt%~約3.0wt%;約0.10wt%~約2wt%;約0.3wt%~約1wt%;約0.10wt%~約6wt%;又は約0.3wt%~約2wt%を含む。
【0052】
キレート剤(任意選択)
本発明のエッチング組成物は、任意選択で少なくとも1つのキレート剤を含んでよい。1つ又は複数のキレート剤は、アミノホスホン酸、アミノカルボン酸、有機酸、好ましくは複数の官能基を有する、及び他の公知のキレート剤であってよい。これらは、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジアミン)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミン四(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトロ三酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、サッカリン酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8-ヒドロキシキノリン及びシステインを含む。幾つかの実施態様において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジアミン)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミン四(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)及び1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(DHPTA)から選択される。好ましいキレート剤はアミノカルボン酸、例えばEDTA、CyDTA、DEPTA及びHEDTAである。幾つかの実施態様において、アミノホスホン酸を、例えばEDTMPを使用することができる。幾つかの実施態様において、キレート剤の混合物が使用される。
【0053】
多くの適用について、組成物中の少なくとも1つのキレート剤の合計の量は、以下の重量パーセントのリスト:0、0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.0、1.25、1.3、1.5、2、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.50、4.75、5及び6から選択される始点及び終点を有する範囲であってよいと考えられる。少なくとも1つのキレート剤のこのような範囲の例は、組成物の約0.01wt%~約4.0wt%;約0.10wt%~約3.0wt%;約0.10wt%~約2wt%;約0.3wt%~約1wt%;約0.10wt%~約6wt%;又は約0.3wt%~約2wt%を含む。
【0054】
界面活性剤(任意選択)
本発明のエッチング組成物は、任意選択で少なくとも1つの界面活性剤を含む。界面活性剤は、エッチングから酸化ケイ素を保護するように機能する。本明細書において説明される組成物における使用のための界面活性剤は、両性塩、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されず、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ペルフルオロヘプタン酸、ペルフルオロデカン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ホスホノ酢酸、ドデセニルコハク酸、ジオクタデシル水素ホスフェート、オクタデシル二水素ホスフェート、ドデシルアミン、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ビャクシン酸、12ヒドロキシステアリン酸及びドデシルホスフェートを含むが、それらに限定されない。
【0055】
考えられる非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Emalmin NL-100(Sanyo)、Brij 30、Brij 98、Brij 35)、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド(DSDA、Sanyo)、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート-ブロック-プロポキシレート)テトロール(Tetronic 90R4)、ポリエチレングリコール(例えばPEG 400)、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン又はポリプロピレングリコールエーテル、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドベースのブロックコポリマー(Newpole PE-68(Sanyo)、Pluronic L31、Pluronic 31R1、Pluronic L61、Pluronic F-127)、ポリオキシプロピレンスクロースエーテル(SN008S、Sanyo)、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X100)、10-エトキシ-9,9-ジメチルデカン-1-アミン(TRITON(登録商標)CF-32)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル,分枝(IGEPAL CO-250)、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル,分枝(IGEPAL CO-890)、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレイン酸塩、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレイン酸塩、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレイン酸塩(Tween 80)、ソルビタンモノオレイン酸塩(Span 80)、Tween 80とSpan 80との組み合わせ、アルコールアルコキシレート(例えばPlurafac RA-20)、アルキル-ポリグルコシド、エチルペルフルオロブチレート、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス[2-(5-ノルボルネン-2-イル)エチル]トリシロキサン、モノマーのオクタデシルシラン誘導体、例えばSIS6952.0(Siliclad、Gelest)、シロキサン改質ポリシラザン、例えばPP1-SG10 Siliclad Glide 10(Gelest)、シリコーン-ポリエーテルコポリマー、例えばSilwet L-77(Setre Chemical Company)、Silwet ECO Spreader(Momentive)、並びにエトキシ化フルオロ界面活性剤(ZONYL(登録商標)FSO-100、ZONYL(登録商標)FSN-100)を含むが、それらに限定されない。
【0056】
考えられるカチオン性界面活性剤は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸、テトラエチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(Econol TMS-28、Sanyo)、臭化4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)-1-(4-ニトロベンジル)ピリジウム、塩化セチルピリジニウム一水和物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、p-トルエンスルホン酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化テトラキス(デシル)アンモニウム、Aliquat(登録商標)336及び臭化オキシフェノニウム、グアニジン塩酸塩(C(NH2)3Cl)又はトリフレート塩、例えばトリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、臭化ジメチルジヘキサデシルアンモニウム及び塩化ジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウム(例えばArquad 2HT-75、Akzo Nobel)を含むが、それらに限定されない。幾つかの実施態様において、カチオン性界面活性剤は、例えば臭化物含有界面活性剤、例えば臭化1-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0057】
考えられるアニオン性界面活性剤は、ポリアクリル酸アンモニウム(例えばDARVAN 821A)、水中の改質ポリアクリル酸(例えばSOKALAN CP10S)、リン酸ポリエーテルエステル(例えばTRITON H-55)、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸(DDPA)、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリ(アクリル酸ナトリウム塩)、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム塩、7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル硫酸ナトリウム(Tergitol 4)、SODOSIL RM02、並びにリン酸フルオロ界面活性剤、例えばZonyl FSJ及びZONYL(登録商標)URを含むが、それらに限定されない。
【0058】
双性イオン性界面活性剤は、アセチレンジオール又は改質アセチレンジオール(例えばSURFONYL(登録商標)504)、コカミドプロピルベタイン、エチレンオキシドアルキルアミン(AOA-8、Sanyo)、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、コカミンプロピオン酸ナトリウム(LebonApl-D、Sanyo)、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホン酸塩、及び(3-(4-ヘプチル)フェニル-3-ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニオプロパンスルホン酸塩を含むが、それらに限定されない。好ましくは、少なくとも1つの界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルホスホン酸、ドデシルリン酸塩、TRITON X-100、SOKALAN CP10S、PEG 400及びPLURONIC(登録商標) F-127を含む。
【0059】
存在するときには、界面活性剤の量は、組成物の合計の重量に対して、約0.001wt%~約5wt%、0.001wt%~約1wt%、約0.01~約1wt%又は約0.1wt%~約1w%の範囲であってよい。代わりに、幾つかのの適用について、存在する場合には、1つ又は複数の界面活性剤は、組成物の約0.1wt%~約15wt%;又は組成物の約0.1wt%~約10wt%、約0.5wt%~約5wt%、約0.05wt%~約2wt%若しくは約0.5wt%~約5wt%を含むと考えられる。代わりの実施態様において、組成物の合計の重量に対する、組成物中の界面活性剤の重量パーセントは、以下:0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、4、5、8、10及び15から選択される始点及び終点を有する任意の範囲であってよい。
【0060】
幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、任意の組み合わせで、上に記載された界面活性剤のうちいずれか若しくは全てを、又は任意の組み合わせで、界面活性剤の上に記載された種類のうちいずれかを、有しないか、あるいは実質的に有しない。
【0061】
他の任意選択の原料
本発明のエッチング組成物は、以下の添加剤:化学修飾剤、染料、殺生物剤及び他の添加剤のうち1つ又は複数をさらに含んでよい。1つ又は複数の添加剤は、組成物の性能に不利に影響を与えない範囲で添加することができる。添加剤、例えば染料、殺生物剤などは、従来の量で、例えば組成物の約5wt%以下の合計量で含めることができる。幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、上に記載された添加剤のうちいずれか若しくは全てを、有しないか、又は実質的に有しない。
【0062】
本発明の幾つかの実施態様の例は、約10wt%~約95wt%、約70wt%~約90wt%又は約75wt%~約85wt%の水と;無希釈で約0.5wt%~約50wt%、約1wt%~約20wt%、1wt%~約15wt%又は約1wt%~約10wt%の少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;無希釈で約0.5wt%~約30wt%、約0.5wt%~約20wt%、1wt%~約15wt%又は約1.5wt%~約10wt%の少なくとも1つの過酸化物化合物と;約1wt%~約60wt%、約2wt%~約30wt%又は約5wt%~約15wt%の水混和性の溶媒と;約0.10wt%~約10wt%、約0.01wt%~約5.0wt%、約0.1wt%~約2wt%、約0.1wt%~約1.5wt%又は約0.40wt%~約0.60wt%の、C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;任意選択で、約0.10wt%~約10wt%、約0.01wt%~約5.0wt%、約0.1wt%~約2wt%又は約0.1wt%~約1.5wt%の少なくとも1つのキレート剤とを含む。
【0063】
1つの実施態様において、エッチング溶液は、マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適していて、無希釈で約0.5wt%~約50wt%、約1wt%~約20wt%、1wt%~約15wt%若しくは約1wt%~約10wt%の少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;無希釈で約0.5wt%~約30wt%、約0.5wt%~約20wt%、1wt%~約15wt%若しくは約1.5wt%~約10wt%の少なくとも1つの過酸化物化合物と;約1wt%~約60wt%、約2wt%~約30wt%若しくは約5wt%~約15wt%の水混和性の溶媒と;約0.10wt%~約10wt%、約0.01wt%~約5.0wt%、約0.1wt%~約2wt%、約0.1wt%~約1.5wt%若しくは約0.40wt%~約0.80wt%の、C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;任意選択で、約0.10wt%~約10wt%、約0.01wt%~約5.0wt%、約0.1wt%~約2wt%若しくは約0.1wt%~約1.5wt%の少なくとも1つのキレート剤とから本質的になるか、又は、からなり、残りは水である。
【0064】
別の実施態様において、マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、無希釈で約3.7~約4.5wt%若しくは3.8~約5.6wt%の、水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;無希釈で約3.9~約4.5wt%の少なくとも1つの過酸化物化合物と;約10~約15wt%若しくは約7~約12w%の水混和性の有機溶媒と;約0.4~約0.6wt%若しくは約0.5~約1.6wt%の、C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;水と;任意選択で、約0.4~約0.6wt%若しくは約0.5~約1.6wt%のキレート剤とを含むか、から本質的になるか、又は、からなるエッチング溶液が提供される。
【0065】
別の実施態様において、マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ケイ素に対するポリシリコンの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、無希釈で約4.1wt%の水酸化アンモニウムと;無希釈で約4.3%の過酸化水素と;無希釈で約0.4~約1.2wt%のフッ化アンモニウムと;約10%の水混和性の有機溶媒と;約0.30~約0.8%若しくは約0.2~約1%の、C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;水と;任意選択で、約0.30~約0.8%若しくは約0.2~約1%の少なくとも1つのキレート剤とを含むか、から本質的になるか、又は、からなるエッチング溶液が提供される。
【0066】
典型的には、本発明のエッチング溶液組成物は、全ての固形分が水ベースの媒体中で溶解するまで、容器中で室温において、成分を合わせて混合することによって調製される。
【0067】
方法
別の態様において、TiSiN及び酸化ハフニウムを含む複合半導体装置において、酸化ハフニウムに対するTiSiNのエッチング速度を選択的に向上させるための方法であって、TiSiN及び酸化ハフニウムを含む複合半導体装置を、水と、水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と、少なくとも1つの過酸化物化合物と、水混和性の有機溶媒と、C4-12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と、任意選択で少なくとも1つのキレート剤とを含む水性組成物と接触させる接触工程;並びにTiSiNを少なくとも部分的に除去した後に複合半導体装置をすすぐ工程を含み、酸化ハフニウムに対するTiSiNについてのエッチングの選択性が30より高い方法が提供される。
【0068】
さらなる乾燥工程もまた、方法中に含まれてよい。「少なくとも部分的に除去される」は、材料の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%の除去を意味する。最も好ましくは、本開発の組成物を使用する100%の除去を意味する。
【0069】
接触工程は、任意の適した手段、例えば浸漬、スプレーによって、又はシングルウエハプロセスを介して行うことができる。接触工程の間の組成物の温度は、好ましくは約25~100℃、より好ましくは約40~75℃である。幾つかの実施態様において、接触工程は約60℃以上の温度で行われる。他の実施態様において、接触工程は約40℃以上の温度で行われる。他の実施態様において、接触工程は約40℃~約80℃の温度で行われる。接触時間は約1~60分であってよい。
【0070】
驚くべきことに、本発明の組成物は、TiSiN及び酸化ハフニウムを含む基材に使用されるとき、例えばp型マイクロエレクトロニクス装置の製造の間に、酸化ハフニウムに対するTiSiNについての優れたエッチング選択性を示す。典型的には、用語「選択性」は、2つの材料のエッチング速度の比をいうのに使用される。幾つかの実施態様において、本発明による組成物は、TiSiN/酸化ハフニウム>10の湿式エッチング選択性を示す。他の実施態様においては、TiSiN/酸化ハフニウム>30のエッチング速度選択性である。他の実施態様においては、TiSiN/酸化ハフニウム>100のエッチング速度選択性である。さらに他の実施態様においては、TiSiN/酸化ハフニウム>500のエッチング速度選択性である。さらに他の実施態様においては、TiSiN/酸化ハフニウム>1000のエッチング速度選択性である。さらに他の実施態様においては、TiSiN/酸化ハフニウム>3000のエッチング速度選択性である。さらに他の実施態様においては、TiSiN/酸化ハフニウム>5000のエッチング速度選択性である。
【0071】
任意選択のすすぐ工程が、接触工程の後にある。すすぐ工程は、任意の適した手段によって、例えば脱イオン水を用いて、浸漬又はスプレー技術により基材をすすぐことによって行うことができる。好ましい実施態様において、すすぐ工程は、脱イオン水と、例えばイソプロピルアルコールなどの有機溶媒との混合物を用いて行うことができる。
【0072】
任意の適した手段によって、例えばイソプロピルアルコール(IPA)蒸気乾燥、熱、又は求心力によって行われる任意選択の乾燥工程が、接触工程及び任意選択のすすぐ工程の後にある。
【0073】
特徴及び利点が、下に議論される例示的な実施例によって、さらに十分に示される。
【実施例】
【0074】
洗浄組成物を調製するための一般的な手順
本実施例の対象の全ての組成物を、1/2’’Teflonコート撹拌バーを用いて、250mLビーカー中で成分を混合することによって調製した。典型的には、ビーカーに加えた第一の材料は脱イオン水(DIW)であり、次いで順不同で他の成分を加えた。
【0075】
プロセス条件
250mLビーカー中で、1/2’’丸形Teflon撹拌バーを用いて、400rpmに設定して、100gのエッチング組成物を使用してエッチング試験を行った。エッチング組成物を、ホットプレート上で、約40~60℃の温度に加熱した。試験クーポンを、撹拌の間に約10分間、組成物中で浸漬した。
【0076】
次いで、セグメントを、脱イオン水の浴又はスプレーで3分間すすぎ、続いて、ろ過窒素を使用して乾燥した。エッチング速度を、40℃~60℃で、TiSiNウエハについて2分間、及びHfO2ウエハについて10分間で測定した。TiSiN及びHfO2エッチング速度を、エリプソメータ(SCI Film Tek SE2000)によって測定した。エッチング速度を、浸漬時間によって分けられる処理の前と後との厚さの差によって計算する。典型的な開始層厚さは、TiSiNについて100Å、及び酸化ハフニウムについて20Åであった。
【0077】
使用に際するエッチング溶液の温度を、エッチング条件又は使用する基材の材料に応じて適切に決定することができる。
【0078】
本明細書において説明されるTiSiNエッチング溶液を用いるエッチング処理に際する処理時間、すなわちTiSiNをエッチングするために必要となる時間は、通常は約0.1~約10分間、好ましくは0.2~8分間、より好ましくは0.3~5分間の範囲であり、エッチング条件又は使用する基材の材料に応じて適切に決定することができる。
【0079】
下で、評価した配合物は、アルカリ性配合物中に酸化抑制剤を添加することによって、酸化ハフニウムエッチング速度を抑制することができることを示している。一度抑制剤を添加した後は、TiSiN/酸化ハフニウムについてのエッチング速度選択性を維持することができる。
【0080】
比較のために、以下のデータは、先行技術のSC1エッチング性能についての性能基準を提供する。
表1:SC1(NH
4OH/H
2O
2/DIW=1:1:5)におけるHfO
2エッチング速度
【表1】
【0081】
ブランケットウエハにおけるHfO2のe/rに加えて、XPSを使用して、SC1を用いて処理したときのHfO2損失を確認した。HfO2クーポンを60℃で10分間,
SC1を用いて処理して、次いでXPS分析を行って、Hf強度を監視することによってHfO2損失を確認した。
【0082】
表2に記載するように、HfO2の保護のための有力な候補をスクリーニングした。アミン官能基を有する分子が、最も良いHfO2の保護を提供することが分かった。XPSの結果はまた、PMDETAをSC1に添加することによってHfO2のより良い保護を支持している。
【0083】
表2:HfO
2の腐食抑制の調査
【表2】
ここで、Surfynol(登録商標)485、Dynol(登録商標)607は非イオン性界面活性剤であり、SAS(登録商標)10はアニオン性界面活性剤であり、CTABはカチオン性界面活性剤であり、Lupasol(登録商標)800は窒素含有ポリマーであり、H
2O
2は30%水性溶液である。
【0084】
【0085】
TiSiNパターニングについて、SC1は、50℃で、20~30Å/minの許容可能なTiSiNエッチング速度を与える。しかし、バルクTiSiN膜を除去した後に、幾らかのSi残余物がHfO2の表面に見られる。SC1のSi除去能力を改善することが望まれる。
【0086】
酸化還元反応に関して、TiSiN中のSiは、過酸化水素の存在の下で、SiO2に酸化される。SC1のSiO2エッチング速度を上昇させることは、相互混合層におけるSi残余物を最小化するのを助けることができる。
【0087】
SiO
2のエッチング速度を上昇させるために、溶媒効果及びSiO
2エッチング液を調査した。結果を表3に示す。
表3:TiSiN及びTEOSエッチング速度に対する溶媒効果
【表3】
【0088】
表3から分かるように、DIW溶媒系と比較して、10%の有機共溶媒、例えばスルホラン及びBDGの添加は、TiSiN及びTEOSエッチング速度の両方を上昇させるのを助ける。
【0089】
表4に示すように、TEOSエッチング速度は、NH
4Fを添加することによって、さらに改善することができる。
表4:TiSiN及びTEOSエッチング速度におけるNH
4Fの効果
【表4】
表5:配合物524Oに対する温度の効果
【表5】
【0090】
TiSiN及びTEOSエッチング速度は、表5に示すように温度を上昇させることによって上昇させることができ、HfO2エッチング速度を低いレベルに維持することができる。
【0091】
二重層(HfO
2上のTiSiN)クーポンを使用して、TEOSエッチング速度が、HfO
2表面のSi残余物の除去についての良い指標であるかどうかを調査した。比較のために、524O及びSC1によってTiSiN層をエッチングした。次いで、XPSを行って、HfO
2の表面におけるSi信号を確認した。
図2から分かるように、524Oを用いた処理の後のSi信号は、SC1を用いた場合と比較して、有意に減少した。
【0092】
XPS分析は、酸化物エッチング速度が、相互混合層におけるSi残余物の除去における良い指標であることを示している。
【0093】
先の説明は、主に例示の目的を意図している。本発明は、その例示的な実施態様に関連して示され、説明されたが、その形態及び詳細における、先の及び様々な他の変更、削除及び追加を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、することができることが、当業者によって理解されるべきである。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、
水と;
水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;
少なくとも1つの過酸化物化合物と;
水混和性の有機溶媒と;
C
4-12
アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;
任意選択で少なくとも1つのキレート剤と
を含むエッチング溶液。
(付記2)
前記水酸化第四級アンモニウム化合物が、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウム、水酸化(1-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化コリン、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記1に記載のエッチング溶液。
(付記3)
前記少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物が、水酸化アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む、付記1に記載のエッチング溶液。
(付記4)
前記水混和性の有機溶媒がスルホラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びプロピレングリコールからなる群から選択され;かつ前記少なくとも1つの過酸化物化合物が過酸化水素である、付記3に記載のエッチング溶液。
(付記5)
前記少なくとも1つの窒素含有化合物が、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)及びジエチレントリアミン(DETA)から選択される、付記4に記載のエッチング溶液。
(付記6)
前記少なくとも1つの窒素含有化合物がオクチルアミンである、付記4に記載のエッチング溶液。
(付記7)
前記少なくとも1つの窒素含有化合物がポリアルキレンイミンである、付記4に記載のエッチング溶液。
(付記8)
前記ポリアルキレンイミンがポリエチレンイミンである、付記7に記載のエッチング溶液。
(付記9)
前記少なくとも1つの窒素含有化合物がペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)である、付記4に記載のエッチング溶液。
(付記10)
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジアミン)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミン四(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトロ三酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、サッカリン酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8-ヒドロキシキノリン及びシステインから選択される少なくとも1つのキレート剤を含む、付記1~9のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
(付記11)
前記少なくとも1つのキレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、付記10に記載のエッチング溶液。
(付記12)
界面活性剤をさらに含む、付記1~11のいずれか1項に記載のエッチング溶液。
(付記13)
TiSiN及び酸化ハフニウムを含む複合半導体装置において、酸化ハフニウムに対するTiSiNのエッチング速度を選択的に向上させるための方法であって、
前記TiSiN及び酸化ハフニウムを含む複合半導体装置を、付記1~12のいずれか1項に記載のエッチング溶液と接触させる接触工程;並びに
前記TiSiNを少なくとも部分的に除去した後に、前記複合半導体装置をすすぐ工程
を含み、酸化ハフニウムに対するTiSiNについてのエッチングの選択性が30より高い、方法。
(付記14)
前記半導体装置を乾燥する工程をさらに含む、付記13に記載の方法。
(付記15)
前記酸化ハフニウムに対するTiSiNについてのエッチングの選択性が500より高い、付記13又は14に記載の方法。
(付記16)
前記酸化ハフニウムに対するTiSiNについてのエッチングの選択性が1000より高い、付記13又は14に記載の方法。
(付記17)
前記接触工程が約60℃以上の温度で行われる、付記13~16のいずれか1項に記載の方法。
(付記18)
マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、
無希釈で約3.7~約4.5wt%の、水酸化アンモニウム、水酸化第四級アンモニウム、フッ化アンモニウム及びフッ化第四級アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物と;
無希釈で約3.9~約4.5wt%の少なくとも1つの過酸化物化合物と;
約10~約15wt%の水混和性の有機溶媒と;
約0.4~約1wt%の、C
4-12
アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;
水と
を含むエッチング溶液。
(付記19)
少なくとも1つのキレート剤をさらに含む、付記18に記載のエッチング溶液。
(付記20)
前記少なくとも1つのアルカリ性アンモニウム化合物が水酸化アンモニウムであり;
前記少なくとも1つの過酸化物化合物が過酸化水素であり;
前記水混和性の有機溶媒が、スルホラン、プロピレングリコール及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択され;かつ
前記少なくとも1つの窒素含有化合物が、オクチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)及びポリエチレンイミンからなる群から選択される、付記18又は19に記載のエッチング溶液。
(付記21)
マイクロエレクトロニクス装置からの、酸化ハフニウムに対するTiSiNの選択的な除去のために適したエッチング溶液であって、
無希釈で約4.2wt%の水酸化アンモニウムと;
無希釈で約4.3%の過酸化水素と;
無希釈で約0.4~約1.2wt%のフッ化アンモニウムと;
約10%の水混和性の有機溶媒と;
約0.30~約1%の、C
4-12
アルキルアミン、ポリアルキレンイミン及びポリアミンからなる群から選択される少なくとも1つの窒素含有化合物と;
約0.30~約1%の少なくとも1つのキレート剤と;
水と
を含むエッチング溶液。
(付記22)
前記水混和性の有機溶媒が、スルホラン、プロピレングリコール及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択され;
前記少なくとも1つの窒素含有化合物が、オクチルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)及びポリエチレンイミンからなる群から選択され;かつ
組成物が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジアミン)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミン四プロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミン四(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトロ三酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、サッカリン酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8-ヒドロキシキノリン及びシステインから選択される少なくとも1つのキレート剤を含む、付記21に記載のエッチング溶液。