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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20240725BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20240725BHJP
   A61F 13/536 20060101ALI20240725BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20240725BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20240725BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61F13/511 500
A61F13/56 110
A61F13/511 100
A61F13/536 100
A61F13/534 100
A61F13/15 200
A61F13/53 200
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023522576
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 JP2022018340
(87)【国際公開番号】W WO2022244585
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2021085801
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】下津 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼阪 翔士
(72)【発明者】
【氏名】田村 侑也
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-218694(JP,A)
【文献】特開2019-170738(JP,A)
【文献】実開昭63-148323(JP,U)
【文献】国際公開第2021/079671(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/059265(WO,A1)
【文献】特開平02-102650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0111075(US,A1)
【文献】特開2009-165863(JP,A)
【文献】特表2019-516464(JP,A)
【文献】特開2021-020009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収コアと、
前記吸収コアよりも肌面側に配置された肌側シートと、
前記肌側シートに設けられ、装着位置を指標する目印部と、を有する吸収性物品であって、
前記目印部の少なくとも一部は、前記吸収性物品の前後方向の中心よりも前側に位置しており、
前記目印部の前端縁は、幅方向の一方側の外側縁に位置する第1前端縁と、前記幅方向の他方側の外側縁に位置する第2前端縁と、を有し、
前記第1前端縁と前記第2前端縁を繋ぐ仮想線は、前記幅方向に沿っており、
前記目印部は、前記前後方向に沿って延び、前記前後方向に間隔を開けて複数設けられた前後目印部と、前記前後目印部間に配置された複数の分断目印部と、を有し
前記分断目印部は、部分的に連なって前記幅方向に沿って延びている、吸収性物品。
【請求項2】
前記分断目印部は、一の前後目印部から前記前後方向に延びる延長線と、当該一の前後目印部に隣り合う前後目印部から前記前後方向に延びる延長線と、を跨がっている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1前端縁は、前記吸収性物品の前記幅方向の中心に対する一方側に位置し、
前記第2前端縁は、前記吸収性物品の前記幅方向の中心に対する他方側に位置する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性物品は、前記吸収コアよりも非肌面側に配置された裏面シートと、前記裏面シートに配置され、着用物品に止着する止着部と、を有し、
前記止着部の前記幅方向の外側縁は、前記第1前端縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記第2前端縁よりも前記幅方向の内側に位置する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品は、前記幅方向に沿う折り目を基点に前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳まれており、
前記折り目は、前記吸収性物品の前記前後方向の中心よりも前側において前記目印部と重なる前折り目を有する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収コアの外側縁又は前記吸収性物品の外側縁の少なくとも一方には、前記幅方向の内側に凹んだ括れ部が設けられている、請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記前後目印部は、前記幅方向に間隔を開けて複数設けられており、
前記分断目印部は、前記幅方向に沿って延びている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記目印部の前端縁は、前記吸収コアの前端縁よりも後側において前記吸収コアに重なっている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収コアは、周囲よりも吸収容量が高い高吸収領域を有しており、
前記目印部の前記前端縁の少なくとも一部は、前記高吸収領域と重なる領域に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記目印部は、前記肌側シートを構成する目印シートに設けられており、
前記目印シートの前端縁は、前記幅方向に沿っており、
前記目印シートの前記幅方向の外側縁は、前記前後方向に沿っている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記肌側シートは、前記吸収性物品の肌面を構成する表面シートを有し、
前記表面シートには、前記前後方向に延びる畝部及び溝部が、前記幅方向に交互に設けられており、
前記目印部の少なくとも一部は、前記溝部に重なっている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記前後目印部は、前記前後方向に沿って延び、かつ前記幅方向に間隔を空けて配置されており、
前記前後目印部の間隔は、前記溝部の前記幅方向の長さと異なり、
前記前後目印部の幅は、前記畝部の前記幅方向の長さよりも長い、請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記肌側シート及び前記吸収コアを厚み方向に圧縮した圧搾部を有し、
前記目印部は、前記圧搾部と重なる積層部と、前記圧搾部と重ならない非積層部と、を有する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着等の着用物品に装着される吸収性物品及び吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品は、適切な位置に装着されることで、その吸収性能を十分に発揮することができる。そのため、装着位置の基準となる目印を付した吸収性物品が提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1の目印は、略同心円状のマークによって構成され、吸収性物品の表面側から視認可能に設けられている。特許文献2の目印は、表面シートの吸収性物品の外縁に設けられている。当該吸収性物品によれば、装着者は、当該目印を基準として吸収性物品を装着できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-80671号公報
【文献】再公表2007-052428号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の目印は、吸収位置の中央を示す同心円のデザインであり、また、特許文献2の目印は、吸収性物品の幅方向の中央を示すデザインである。しかし、特定の位置(製品中央等)に対して吸収性物品を適切に位置決めできた場合であっても、吸収性物品が傾いて装着されると、吸収性物品全体を適切に配置できない。具体的には、吸収性物品の股下域の中央を排泄口の中央に合わせて適切に配置した場合であっても、吸収性物品が傾いて配置されると、吸収性物品の後側域が臀部に対して適切に配置されず、後漏れ等の装着感が悪化するおそれがあった。よって、吸収性物品の前後方向の向きを適切に配置し易い吸収性物品を提供することを目的とする。
【0005】
一態様に係る吸収性物品は、吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置された肌側シートと、前記肌側シートに設けられ、装着位置を指標する目印部と、を有する。前記目印部の少なくとも一部は、前記吸収性物品の前後方向の中心よりも前側に位置している。前記目印部の前端縁は、前記幅方向の一方側の外側縁に位置する第1前端縁と、前記幅方向の他方側の外側縁に位置する第2前端縁と、を有する。前記第1前端縁と前記第2前端縁を繋ぐ仮想線は、前記幅方向に沿っている。
【0006】
一態様に係る吸収性物品の製造方法は、吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置された肌側シートと、前記肌側シートに設けられ、装着位置を指標する目印部と、を有する。吸収性物品の製造方法は、前記肌側シートに前記目印部を付す目印付与工程と、前記目印付与工程の後に、前記肌側シートと前記吸収コアを合流する合流工程と、を有する。前記合流工程は、前記目印部の少なくとも一部を、前記吸収性物品の前後方向の中心よりも前側に配置するとともに、前記目印部の前端縁において幅方向の一方側の外側縁に位置する第1前端縁と、前記目印部の前端縁において前記幅方向の他方側の外側縁に位置する第2前端縁と、を繋ぐ仮想線を前記吸収性物品の幅方向に沿うように配置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る吸収性物品の肌面側から見た平面図である。
図2図2は、実施形態に係る吸収性物品の非肌面側から見た平面図である。
図3図3は、図1に示すA-A線に沿った吸収性物品の断面図である。
図4図4は、目印部の拡大平面図である。
図5図5は、変形例に係る吸収性物品の肌面側から見た平面図である。
図6図6は、吸収性物品の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る吸収性物品は、吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置された肌側シートと、前記肌側シートに設けられ、装着位置を指標する目印部と、を有する。前記目印部の少なくとも一部は、前記吸収性物品の前後方向の中心よりも前側に位置している。前記目印部の前端縁は、前記幅方向の一方側の外側縁に位置する第1前端縁と、前記幅方向の他方側の外側縁に位置する第2前端縁と、を有する。前記第1前端縁と前記第2前端縁を繋ぐ仮想線は、前記幅方向に沿っている。物品前後中心よりも前側の領域は、使用者(装着補助者や着用者)が装着時に目につきやすい領域である。目印部の少なくとも一部が物品前後中心よりも前側に位置するため、使用者は、装着操作時に目印部の存在に気付き易い。また、第1前端縁と前記第2前端縁を繋ぐ仮想線が幅方向に沿っているため、使用者は、目印部に基づいて位置合わせした際に、吸収性物品の左右の傾きに気づきやすい。よって、使用者が吸収性物品の幅方向を傾けずに配置し易く、吸収性物品の前後方向の向きを体の前後方向に沿うように適切に配置し易い。よって、吸収性物品を適切に配置し、漏れ等の装着感の悪化を抑制できる。
【0009】
好ましい一態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1前端縁は、前記吸収性物品の幅方向中心に対する一方側に位置し、前記第2前端縁は、前記吸収性物品の幅方向中心に対する他方側に位置する。本態様によれば、当該構成によれば、目印部に基づく装着向きの調整を、吸収性物品の幅方向の全域に亘って行うことができる。また、物品幅中心に対する一方側のみしか視認できない場合であっても、使用者は、目印部の存在に気づくことができる。
【0010】
好ましい一態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品は、前記吸収コアよりも非肌面側に配置された裏面シートと、前記裏面シートに配置され、着用物品に止着する止着部と、を有する。前記止着部の前記幅方向の外側縁は、前記第1前端縁よりも前記幅方向の内側、かつ前記第2前端縁よりも前記幅方向の内側に位置する。着用物品に吸収性物品を止着する止着部は、第1前端縁及び第2前端縁よりも幅方向の内側に位置し、第1前端縁及び第2前端縁と重なる領域に設けられていない。使用者は、装着時に目印部の第1前端縁(及び第2前端縁)を位置合わせすることがある。このとき、第1前端縁及び第2前端縁を位置合わせしても、止着部を介して着用物品に止着しないため、装着位置を容易に直すことができ、適切な位置に装着し易くなる。
【0011】
好ましい一態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品は、前記幅方向に沿う折り目を基点に前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳まれている。前記折り目は、前記吸収性物品の前後方向の中心よりも前側において前記目印部と重なる前折り目を有する。本態様によれば、目印部の少なくとも一部は、前折り目よりも前側に位置し、前折り目の折癖によって肌面側に起立する。よって、使用者は、目印部の前端縁を視認し易くなり、目印部に基づいて吸収性物品を適切に装着できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から態様4のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部は、前記前後方向に沿って延びる前後目印部を有する。本態様によれば、前後目印部によって吸収性物品の前後方向の向きをより使用者が把握し易くなる。
【0013】
好ましい一態様によれば、態様6に係る発明は、態様5に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収コアの外側縁又は前記吸収性物品の外側縁の少なくとも一方には、前記幅方向の内側に凹んだ括れ部が設けられている。本態様によれば、前後目印部によって示す前後方向は、括れ部と異なる形状であるため、使用者が前後方向を認識し易い。前後目印部による前後方向がより目立ち易くなり、使用者が前後方向の向きをより把握し易くなる。
【0014】
好ましい一態様によれば、態様7に係る発明は、態様5に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記前後目印部は、前記前後方向に間隔を開けて複数設けられている。前記目印部は、前記前後目印部間に配置された分断目印部を有する。本態様によれば、分断目印部によって各前後目印部がより目立ち易くなる。よって、使用者が前後方向の向きをより把握し易くなる。
【0015】
好ましい一態様によれば、態様8に係る発明は、態様7に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記前後目印部は、前記幅方向に間隔を開けて複数設けられている。前記分断目印部は、前記幅方向に沿って延びている。本態様によれば、前後目印部は、前記幅方向に間隔を開けて複数設けられているため、幅方向の広い範囲に亘って前後目印部によって前後方向を示すことができる。前後目印部によって吸収性物品の前後方向を示しつつ、分断目印部によって吸収性物品の幅方向も示すことができる。
【0016】
好ましい一態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部の前端縁は、前記吸収コアの前端縁よりも後側において前記吸収コアに重なっている。本態様によれば、目印部の前端縁によって吸収コアの位置決めを行うことができる。また、吸収コアの前端縁よりも後側に目印部の前端縁が位置するため、吸収コアの前端縁の境界による段差の凹凸等によって目印部の前端縁が歪むのが抑制される。よって、目印部の前端縁による位置決め機能を発揮し易い。
【0017】
好ましい一態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収コアは、周囲よりも吸収容量が高い高吸収領域を有している。前記目印部の前記前端縁の少なくとも一部は、前記高吸収領域と重なる領域に配置されている。本態様によれば、目印部の前端縁を位置決めすることで、高吸収領域の位置決めができる。吸収容量が必要な箇所を適切な位置に取り付けることができる。
【0018】
好ましい一態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部は、前記肌側シートを構成する目印シートに設けられている。前記目印シートの前端縁は、前記幅方向に沿っている。前記目印シートの前記幅方向の外側縁は、前記前後方向に沿っている。本態様によれば、目印シートの前端縁及び外側縁によって前後方向及び幅方向を示すことができ、吸収性物品の向きをより適切に配置できる。
【0019】
好ましい一態様によれば、態様12に係る発明は、態様1から11のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記肌側シートは、前記吸収性物品の肌面を構成する表面シートを有する。前記表面シートには、前記前後方向に延びる畝部及び溝部が、前記幅方向に交互に設けられている。前記目印部の少なくとも一部は、前記溝部に重なっている。本態様によれば、表面シートの溝部及び畝部によって吸収性物品の前後方向を示すことができる。また、溝部と重なって目印部が設けられているため、目印部の視認性を確保し易く、目印部による位置決めも行うことができる。
【0020】
好ましい一態様によれば、態様13に係る発明は、態様12に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印部は、前記前後方向に沿って延び、かつ前記幅方向に間隔を空けて配置されている。前記目印部の間隔は、前記溝部の前記幅方向の長さと異なる。前記目印部の幅は、前記畝部の前記幅方向の長さよりも長い。本態様によれば、目印部の間隔は、前記溝部の前記幅方向の長さと異なるため、目印部の間隔に溝部が完全に重なることを抑制できる。また、目印部の幅は、前記畝部の前記幅方向の長さよりも長いため、畝部と重ならない領域の目印部の視認性を確保できる。
【0021】
好ましい一態様によれば、態様14に係る発明は、態様1から13のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記肌側シート及び前記吸収コアを厚み方向に圧縮した圧搾部を有する。前記目印部は、前記圧搾部と重なる積層部と、前記圧搾部と重ならない非積層部と、を有する。目印部の積層部は、厚み方向に圧搾されている。そのため、積層部の吸収性物品の肌面からの視認性は、非積層部の視認性よりも高い。よって、使用者は、積層部の目印部を把握し易く、目印部により位置決めを容易に行うことができる。また、非積層部は、厚み方向に圧搾されていない。そのため、非積層部は、積層部と比較して厚み方向に変形してなく、平面視における視認性を確保しやすい。
【0022】
態様15に係る吸収性物品の製造方法は、吸収コアと、前記吸収コアよりも肌面側に配置された肌側シートと、前記肌側シートに設けられ、装着位置を指標する目印部と、を有する。吸収性物品の製造方法は、前記肌側シートに前記目印部を付す目印付与工程と、前記目印付与工程の後に、前記肌側シートと前記吸収コアを合流する合流工程と、を有する。前記合流工程は、前記目印部の少なくとも一部を、前記吸収性物品の前後方向の中心よりも前側に配置するとともに、前記目印部の前端縁において幅方向の一方側の外側縁に位置する第1前端縁と、前記目印部の前端縁において前記幅方向の他方側の外側縁に位置する第2前端縁と、を繋ぐ仮想線を前記吸収性物品の幅方向に沿うように配置する。物品前後中心よりも前側の領域は、使用者(装着補助者や着用者)が装着時に目につきやすい領域である。本態様によって得られた吸収性物品は、目印部の少なくとも一部が物品前後中心よりも前側に位置するため、使用者は、装着操作時に目印部の存在に気付き易い。また、第1前端縁と前記第2前端縁を繋ぐ仮想線が幅方向に沿っているため、使用者は、目印部に基づいて位置合わせした際に、吸収性物品の左右の傾きに気づきやすい。よって、使用者が吸収性物品の幅方向を傾けずに配置し易く、吸収性物品の前後方向の向きを体の前後方向に沿うように適切に配置し易い。よって、吸収性物品を適切に配置し、漏れ等の装着感の悪化を抑制できる。
【0023】
好ましい一態様によれば、態様16に係る発明は、態様15に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記目印付与工程は、前記肌側シートの非肌面側に、前記目印部を構成する着色接着剤を塗布する。本態様によれば、吸収性物品において最も肌側に位置する面よりも内側に、着色接着部が配置されているため、吸収性物品の肌面がすれた場合であっても、目印部の視認性が低下しない。また、肌側シートに着色接着剤を設けているため、吸収コアと接着するための接着剤によって目印部を兼ねることができる。
【0024】
好ましい一態様によれば、態様17に係る発明は、態様16に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記合流工程は、前記吸収コアの非肌面側を覆うシートが連続した非肌側連続シートの肌面上に前記吸収コアを配置した状態で、前記肌側シートが連続した肌側連続シートと前記非肌側連続シートとを合流させる連続体合流工程と、前記連続体合流工程の後に、前記幅方向に沿って前記非肌側連続シートと前記肌側連続シートを切断する切断工程と、を有する。本態様によれば、連続体合流工程において、肌側連続シートに目印部を構成する着色接着剤を付した後に、切断工程において、非肌側連続シートと前記肌側連続シートを幅方向に沿って切断するため、着色接着部も幅方向に沿って切断できる。よって、第1前端縁と第2前端縁を繋ぐ仮想線を、容易に幅方向に沿って配置できる。
【0025】
好ましい一態様によれば、態様18に係る発明は、態様17に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記合流工程は、前記連続体合流工程及び前記切断工程の後に、前記切断工程によって得られた上側吸収体と、前記上側吸収体の非肌面側に積層される下側吸収体と、を合流させる上下合流工程と、を有する。本態様によれば、上下合流工程によって、上側吸収体と下側吸収体を有する吸収性物品を得ることができる。着色接着剤が付された上側吸収体は、下側吸収体よりも肌面側に位置しており、着色接着剤による目印部の視認性を確保できる。
【0026】
===本実施の形態に係る吸収性物品について===
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、及び失禁パッド等の着用物品(おむつを含む)に止着されて使用される吸収性物品を例示できる。以下の実施形態では、吸収性物品の一例として軽失禁パッドについて説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0027】
(1)吸収性物品の全体概略構成
図1は、実施形態に係る吸収性物品の肌面側T1から見た平面図である。図2は、実施形態に係る吸収性物品の非肌面側T2から見た平面図である。図3は、図1に示すA-A線に沿った吸収性物品の断面図である。図4は、目印部の拡大平面図である。図3においては、説明の便宜上、吸収性物品を構成する各部材が厚み方向に離間しているが、実際の製品においては、各部材が接合された部分を有する。
【0028】
吸収性物品1は、互いに直交する前後方向Lと幅方向Wを有し、かつ着用者の肌面側T1から非肌面側T2へ延びる厚み方向Tを有する。肌面側T1は、使用時に、着用者の肌に面する側に相当する。非肌面側T2は、使用時に、肌面側T1とは反対側、すなわち着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品1は、前側域S2及び後側域S3を有する。前側域S2は、吸収性物品1の前後方向Lの中心よりも前側に位置し、後側域S3は、吸収性物品1の前後方向Lの中心よりも後側に位置する。前側域S2の前端縁は、吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S3の後端縁は吸収性物品1の後端縁を規定する。本実施の形態において、外側縁は、幅方向Wの外側端であり、内側縁は、幅方向Wの内側端である。前端縁は、前側の縁であり、後端縁は、後側の縁である。
【0029】
吸収性物品1は、吸収コア30と、肌側シート20と、裏面シート25と、を少なくとも有してよい。吸収コア30は、前側域S2及び後側域S3に配置されてよい。吸収コア30は、液体を吸収する吸収材料を有する。本実施の形態は、吸収材料としてのパルプ及びSAP(高吸収性ポリマー)を有してよい。変形例に係る吸収コアの吸収材料は、パルプのみであってもよいし、SAPのみであってもよい。
【0030】
吸収コア30は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。図3等に示すように、本実施の形態の吸収コアは、複数層によって構成され、上側吸収コア31と、上側吸収コア31の非肌面側T2に位置する下側吸収コア32と、を有する。上側吸収コア31は、2枚のシート間に配置されたSAPが配置されたSAPシートによって構成されている。下側吸収コア32は、パルプとSAPを含んでいる。上側吸収コア31は、平面視にて矩形である。上側吸収コア31の前後方向Lの端縁は、下側吸収コア32の前後方向Lの端縁よりも前後方向Lの内側に位置してよい。下側吸収コア32は、平面視にて砂時計形状である。下側吸収コア32の外側縁は、幅方向の内側に凹んだ括れ部32Cが設けられている。吸収コア30は、上側吸収コア31及び下側吸収コア32の一方のみが配置された低吸収領域と、上側吸収コア31と下側吸収コア32が重なり、周囲(低吸収領域)よりも吸収容量が高い高吸収領域と、を有する。
【0031】
吸収コア30は、コアラップによって覆われてよい。コアラップは、吸収コア30の肌面側T1に位置する肌側コアラップ層35と、吸収コア30の非肌面側T2に位置する非肌側コアラップ層36と、を有してよい。本実施の形態の肌側コアラップ層35は、上側吸収コア31において肌面側T1に位置するシートによって構成され、非肌側コアラップ層36は、下側吸収コア32において非肌面側T2に位置するシートによって構成されている。肌側コアラップ層35と非肌側コアラップ層36は、別々のシートによって構成され、互いに離間していている。肌側コアラップ層35は、上側吸収コア31を覆っており、その前後方向Lの長さは、非肌側コアラップ層36の前後方向Lの長さよりも短い。なお、変形例において、肌側コアラップ層35と非肌側コアラップ層36は、同じシートによって構成され、互いに連なっていてもよい。また、コアラップは、肌側コアラップ層35及び非肌側コアラップ層36以外のシートを有してよい。
【0032】
肌側シート20は、吸収コア30よりも肌面側T1に配置されているシートである。本実施の形態のように、複数の吸収コアを有する形態にあっては、最も肌面側に位置する吸収コアよりも肌面側T1に位置するシートが、肌側シートを構成する。肌側シート20は、表面シート10と肌側コアラップ層35を含んでいる。肌側シート20は、表面シート10と肌側コアラップ層35の間に配置されたクッションシート15を更に有してよい。本実施の形態の肌側シート20は、肌側コアラップ層35と、表面シート10と、クッションシート15と、を含む。表面シート10は、吸収性物品1の肌面を構成し、着用者に当接するシートである。表面シート10は、不織布によって構成されてよい。
【0033】
本実施の形態の表面シート10は、吸収コア30の幅方向中央を覆う親水性のセンターシート11と、センターシート11の側方を覆う疎水性のサイドシート12と、を有してもよい。サイドシート12は、前後方向Lに沿った折り目を基点に幅方向Wの外側に向けて折り返された折り返し部13を有する。折り返し部13には、前後方向Lに伸長された状態で配置された弾性部材14が配置されている。折り返し部13は、弾性部材14の収縮によって肌面側T1に起立可能に構成されている。なお、変形例において、表面シート10は、吸収性物品の全域に配置された1枚のシートによって構成されてよい。表面シート10のうち、少なくともセンターシート11には、前後方向Lに延びる畝部及び溝部(図示せず)が、幅方向Wに交互に設けられてよい。畝部は、センターシート11の全体の厚み方向Tの中心よりも肌面側T1に位置する部分であり、溝部は、センターシート11の全体の厚み方向Tの中心よりも非肌面側T2に位置する部分である。畝部の幅は、溝部の幅よりも長くてよい。例えば、畝部の幅は、1.3mm以上1.5mm以下であってよく、溝部の幅は、1.1mm以上1.3未満であってよい。畝部及び溝部は、センターシート11の前後方向Lの全域に配置されてよい。
【0034】
クッションシート15は、体液の非肌面側T2への引き込み性を高めるシートである。クッションシート15は、吸収性物品1の前後方向Lの全域に亘って配置されてよい。クッションシート15の外側縁15Eは、前後方向Lに沿っており、肌側コアラップ層35の外側縁35E(上側吸収コア31の外側縁31E)よりも幅方向Wの内側に位置してよい。クッションシート15の外側縁15Eは、サイドシート12の内側縁12Iよりも幅方向Wの外側に位置してよい。
【0035】
裏面シート25は、吸収性物品1の全域に配置されており、着用物品に当接する。裏面シート25は、非肌側コアラップ層36の非肌面側T2に配置されている。裏面シート25は、液不透過性のシート(例えば、フィルム)によって構成されてよい。図2等に示すように、裏面シート25の非肌面には、吸収性物品1を下着等の着用物品に止着するための止着部60が設けられてよい。止着部60は、ホットメルト型接着剤等の接着剤が塗布された領域であってもよいし、メカニカルフックが設けられた領域であってもよい。止着部60は、吸収コア30と重なる領域に配置されてよい。止着部60は、使用前に、図示しない剥離シート又は包装シートによって覆われてよい。
【0036】
止着部60は、吸収性物品1の幅方向Wの中心である物品幅中心1CWに対して左右対称に配置されてよい。止着部60は、前後方向Lに沿って延びてよく、物品幅中心1CW側に位置する一対の第1止着部61と、各第1止着部61の幅方向Wの外側に位置する第2止着部62と、を有してよい。第1止着部61は、前側域S2と後側域S3を跨がって延びている。第2止着部62は、前側域S2と、後側域S3と、のそれぞれに互いに離間して配置されている。前側域S2において、第2止着部62の前端縁62Fは、第1止着部61の前端縁61Fよりも前側に位置し、後側域S3において、第2止着部62の後端縁62Rは、第1止着部61の後端縁61Rよりも後側に位置している。
【0037】
吸収性物品1は、肌側シート20及び吸収コア30を厚み方向に圧縮した圧搾部50を有する。圧搾部50は、複数の肌側シート20のうち少なくとも表面シート10と吸収コア30に設けられていてよい。圧搾部50は、前後方向Lに曲線状に延びてよく、物品幅中心1CWの両側に一対で設けられてよい。圧搾部50は、幅方向Wの内側に向けて曲線状に凹む第1曲部51と、幅方向Wの外側に向けて曲線状に膨らむ第2曲部52と、を有してよい。第1曲部51は、物品前後中心1CLを跨いで配置されている。第2曲部52は、第1曲部51の前側と後側にそれぞれ配置されている。第1曲部51と第2曲部52は、前後方向Lに連なっている。
【0038】
吸収性物品1は、使用前に、幅方向Wに沿う折り目を基点に、吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳まれてよい。図1等に示すように、折り目は、幅方向Wに延びる前折り目FW2及び後折り目FW1を有してよい。前折り目FW2は、前側域S2に設けられ、後折り目FW1は、後側域S3に設けられている。前折り目FW2は、後折り目FW1と前後方向Lに離間しており、後折り目FW1よりも前側に位置してよい。また、変形例において、複数の折り目は、前後方向Lに延びる前後折り目を有してもよい。
【0039】
本実施の形態の吸収性物品1は、装着時に、吸収性物品1の前後方向Lの向きを適切に配置し易く構成されている。次いで、吸収性物品1の前後方向Lの向きを適切に配置し易くするための構成について、詳細に説明する。吸収性物品1は、装着位置を指標する目印部80を有する。目印部80は、肌側シート20に設けられている。すなわち、目印部80は、吸収コア30よりも肌面側T1に配置されており、表面シート10、クッションシート15及び肌側コアラップ層35の少なくともいずれかに設けられている。目印部80は、肌側シート20に印刷されていてもよいし、肌側シート20にインクや着色接着剤によって付されていてもよい。本実施の形態の目印部80は、肌側コアラップ層35に印刷されている。よって、肌側コアラップ層35は、本発明の目印シートを構成する。目印シートは、肌側シート20のうち、目印部80が付されたシートである。目印シートは、本実施の形態のように一枚であってもよいし、複数枚であってもよい。図4は、肌側コアラップ層35を肌面側T1から見た状態であり、目印部80の拡大平面図である。
【0040】
目印部80の少なくとも一部は、物品前後中心1CLよりも前側に位置している。すなわち、目印部80の前端縁80Fは、物品前後中心1CLよりも前側に位置している。目印部80の前端縁80Fは、前端縁80Fの幅方向の一方側の外側縁に位置する第1前端縁80F1と、前端縁80Fの幅方向Wの他方側の外側縁に位置する第2前端縁80F2と、を有する。目印部80の前端縁が幅方向に連続している形態にあっては、第1前端縁80F1と第2前端縁80F2は、互いに連なっている。目印部80の前端縁80Fが幅方向Wに連続していない形態(本実施の形態のように幅方向Wに離間している)形態にあっては、第1前端縁80F1と第2前端縁80F2は、互いに離間している。第1前端縁80F1と第2前端縁80F2を繋ぐ仮想線EL1は、幅方向Wに沿っている。なお、本発明において、任意の方向(例えば、幅方向)に沿う構成は、任意の方向に対して平行な構成のみならず、任意の方向に対して僅かに傾斜していてもよく、例えば、任意の方向に対して5度以内の角度であってよい。よって、仮想線EL1は、幅方向Wに対して平行であってもよいし、幅方向Wに対して5度以内の角度で傾斜していてもよい。
【0041】
仮想線EL1は、以下のように設定できる。目印部80において最も前端縁に位置する点(P1)を決める。P1から幅方向Wに平行に線を延ばし、当該線上にP1以外の目印部が位置すれば、P1から幅方向Wに対して平行に延びる線を、仮想線EL1とする。また、P1から幅方向Wに平行に線を延ばし、当該線上にP1以外の目印部が位置しない場合、P1から幅方向Wに対して平行に延びる線を、P1を中心点として徐々に傾ける。線を傾けていき、P1以外の目印部で最初に線上に配置された点をP2とする。P1とP2を繋いだ線と、P1から幅方向Wに対して平行に延びる線と、の角度が5度以内の場合、当該P1とP2を繋いだ線を仮想線EL1とする。なお、P1とP2は、一体化された目印部(例えば、目印部)に含まれる点であってもよいし、別々の目印部(互いに幅方向Wに離間した目印部)の点であってもよい。
【0042】
物品前後中心1CLよりも前側の領域は、使用者(装着補助者や着用者)が装着時に目につきやすい領域である。目印部80の少なくとも一部が物品前後中心1CLよりも前側に位置するため、使用者は、装着操作時に目印部80の存在に気付き易い。また、使用者によっては、吸収性物品1の前側から位置合わせした後に、吸収性物品1の前側から後側に向けて吸収性物品1の全体の位置合わせを行うことがある。目印部80に基づいて位置合わせした際に、仮想線EL1が幅方向Wに沿っているため、使用者が吸収性物品1の傾きに気づきやすい。よって、使用者は、吸収性物品1の前後方向Lの向きを体の前後方向に沿うように適切に配置し易い。よって、吸収性物品1を適切に配置し、漏れ等の装着感の悪化を抑制できる。特に、吸収性物品をトイレ等、比較的暗い場所で使用する場合や、高齢等の要因によって視覚的に文字が見難い使用者が吸収性物品を装着する場合、適切に吸収性物品を装着できないおそれがある。しかし、目印部によって吸収性物品の方向を示すことができるため、使用者は、直感的に吸収性物品の方向を把握し、吸収性物品を適切に装着できる。
【0043】
なお、目印部80は、少なくとも一部が前側域S2に配置されていればよく、前側域S2のみに配置されていてもよい。また、目印部は、前側域S2と後側域S3に配置されていてもよい。また、前側域S2に配置された目印部と後側域S3に配置された目印部は、連なっていてもよいし、離間していてもよい。また、目印部は、後述する変形例のように、物品幅中心1CWに対する一方側に配置され、物品幅中心1CWに対する他方側に配置されていなくてもよい。
【0044】
第1前端縁80F1は、物品幅中心1CWに対する一方側に位置し、第2前端縁80F2は、物品幅中心1CWに対する他方側に位置してよい。すなわち、目印部の前端縁80Fは、物品幅中心1CWを挟んだ両側に配置されてよい。当該構成によれば、目印部80に基づく装着向きの調整を、吸収性物品1の幅方向Wの全域に亘って行うことができる。また、物品幅中心1CWに対する一方側のみしか視認できない場合であっても、使用者は、目印部80の存在に気づくことができる。好適には、目印部80は、物品幅中心1CWに対して左右対称に配置されてよい。使用者は、目印部80に基づいて左右をバランスよく配置できるとともに、物品幅中心1CWの位置を意識することができ、吸収性物品1をより適切に配置し易い。
【0045】
第1前端縁80F1と第2前端縁80F2が幅方向Wに離間している形態にあっては、第1前端縁80F1と第2前端縁80F2の間に、他の前端縁80Fが配置されてよい。すなわち、仮想線EL1上に、前端縁80Fを構成する点が複数配置されてよい。本実施の形態では、仮想線EL1上に、前端縁80Fが幅方向に離間して4箇所配置されている。当該形態にあっては、前端縁80Fの位置、及び仮想線EL1による幅方向Wに沿う方向をより目立たせることができる。
【0046】
目印部80は、前後方向Lに沿って延びる前後目印部81を有してよい。当該構成によれば、前後目印部81によって吸収性物品1の前後方向Lの向きをより使用者が把握し易くなる。また、前後目印部81は、前後方向Lに延びる直線形状であってもよいし、点等の構成部が直線状に複数配置された形状であってもよい。好適には、前後目印部81は、幅方向Wに間隔を空けて複数配置されてよい。1本の前後目印部が設けられた構成と比較して、使用者は、複数の前後目印部81によって吸収性物品1全体の傾きを把握し易くなる。また、より好適には、前後目印部81は、物品幅中心1CWを挟んだ両側にそれぞれ配置されてよい。当該構成によれば、吸収性物品1の幅方向Wの全域に亘って、吸収性物品1の傾きをより把握し易くなる。
【0047】
前後目印部81は、前後方向Lに間隔を開けて複数設けられてよい。目印部80は、前後方向Lにおける前後目印部81の間に配置された分断目印部82を有してよい。当該構成によれば、分断目印部82によって各前後目印部81がより目立ち易くなる。分断目印部82は、前後目印部81と異なる形状であればよい。分断目印部82の幅方向Wの長さは、前後目印部81の幅方向Wの長さと異なっていてよく、好適には、前後目印部81の幅方向Wの長さよりも長くてよい。当該構成によれば、分断目印部82によって前後目印部81を目立たせる効果をより高めることができる。
【0048】
分断目印部82は、幅方向Wに沿って延びてよい。分断目印部82が幅方向Wに延びる構成は、分断目印部82が幅方向Wに直線状に延びる構成のみならず、複数の分断目印部82が部分的に連なって幅方向Wに延びていてもよい。当該構成によれば、前後目印部81によって吸収性物品1の前後方向Lを示しつつ、分断目印部82によって吸収性物品1の幅方向Wも示すことができる。本実施の形態の分断目印部82は、複数のハート柄とそれを繋ぐ紐形状によって構成されている。幅方向Wに間隔を空けて配置された前後目印部81のそれぞれの前後方向の延長線上にハート柄が設けられ、各ハート柄同士を繋ぐ紐形状が配置されている。他の形態において、分断目印部82は、図形、絵柄、文字、記号等のいずれかによって構成されてよい。分断目印部82は、前後目印部81と離間していてもよい。当該構成によれば、分断目印部82によって各前後目印部81がより目立ち易くなる。他の形態において、分断目印部82は、前後目印部81と部分的に連なっていてもよい。
【0049】
目印部80の前端縁80Fは、前後目印部81によって構成されていてもよいし、分断目印部82によって構成されていてもよい。本実施の形態の目印部80は、目印シートとしての肌側コアラップ層35に印刷されており、より詳細には肌側コアラップ層35の肌面側T1の面に印刷されている。目印部80は、肌側コアラップ層35が前後方向に連続した状態で印刷され、印刷された後に、製品1個分の肌側コアラップ層35に切断される。よって、吸収性物品1によって目印部80の前端縁80Fを構成する目印部が異なり、前後目印部81が前端縁80Fに配置された吸収性物品と、分断目印部82が前端縁80Fに配置された吸収性物品と、を含む。当該構成によれば、使用者は、目印部80の前端縁80Fを視認した際に、デザインの違いによって目印部80の前端縁80Fをより注意深く見ることとなり、目印部80の存在及びそのデザインをより把握し易くなる。
【0050】
吸収コア30の外側縁又は吸収性物品1の外側縁の少なくとも一方には、幅方向の内側に凹んだ括れ部が設けられてよい。本実施の形態の吸収コアとしての下側吸収コア32の外側縁は、下側吸収コア32の前後方向Lの中央において幅方向Wの内側に凹んだ括れ部32Cを有し、吸収性物品(表面シート10及び裏面シート25)の外側縁は、吸収性物品の前後方向Lの中央において幅方向Wの内側に凹んだ括れ部1Cを有する。当該構成によれば、前後目印部81によって示す前後方向Lは、括れ部32C、1Cと異なる形状であるため、前後方向Lを認識し易い。前後目印部81による前後方向Lがより目立ち易くなり、使用者が吸収性物品1の前後方向Lの向きをより把握し易くなる。
【0051】
目印シートの前端縁は、幅方向に沿ってよく、目印シートの幅方向の外側縁は、前後方向に沿ってよい。目印シートの端縁によって前後方向L及び幅方向Wを示すことができ、使用者が吸収性物品1の向きをより適切に配置できる。目印部80の前端縁80Fは、目印シート(肌側コアラップ層35)の前端縁と離間していてもよいが、好適には、目印シート(肌側コアラップ層35)の前端縁に一致してもよい。目印シートの前端縁が幅方向Wに沿う構成にあっては、目印シートの前端縁と、仮想線EL1と、がそれぞれ幅方向Wに延び、使用者が吸収性物品の幅方向Wをより意識し、かつ把握し易くなる。また、目印部80の前端縁80Fは、図形などのデザインの端縁に一致していなくてよく、分断されたデザインが配置されてよい。使用者は、分断されたデザインを認識し易く、当該分断された位置及びそのデザインを繋ぐ仮想線EL1を把握し易い。よって、使用者は、吸収性物品の幅方向Wをより認識し易くなる。
【0052】
目印部80の幅方向Wの外側縁80Eは、前後方向Lに延びる前後仮想線EL2上に配置されてよい。当該形態にあっては、前後仮想線EL2によって、使用者が吸収性物品1の前後方向Lを認識でき、吸収性物品1の前後方向の向きを体の前後方向に沿うように適切に配置し易い。よって、吸収性物品を適切に配置し、漏れ等の装着感の悪化を抑制できる。また、目印部80の外側縁80Eは、目印シートである肌側コアラップ層35の外側縁35Eに一致してもよいし、目印シートの外側縁と離間していてもよい。目印シートの外側縁が前後方向Lに沿う構成にあっては、目印シートの外側縁と、前後仮想線EL2と、がそれぞれ前後方向Lに延び、使用者が吸収性物品の前後方向をより意識し、かつ把握し易くなる。また、目印部の外側縁は、図形などのデザインの端部に一致していなくてよく、分断されたデザインが配置されてよい。使用者は、分断されたデザインを認識し易く、当該分断された位置及びそのデザインを繋ぐ前後仮想線EL2を把握し易い。よって、使用者は、吸収性物品の前後方向Lをより認識し易い。
【0053】
クッションシート15の外側縁15Eは、前後方向Lに沿ってよい。クッションシート15の外側縁15Eによっても前後方向Lを示すことができ、使用者は、吸収性物品1の向きをより適切に配置できる。クッションシート15の外側縁15Eは、目印部80の外側縁80Eに一致していなくてよい。クッションシート15の外側縁15Eは、目印部80に重なっていてよい。目印部80と重なる領域に、クッションシート15の外側縁15Eによって前後方向Lに延びる線が形成される。よって、使用者は、吸収性物品の前後方向Lをより認識し易い。また、サイドシートの内側縁12Iは、目印部80に重なっていてよい。目印部80がサイドシート12によって覆われた領域と、目印部80がサイドシート12によって覆われていない領域と、が形成され、当該領域の境界が前後方向Lに延びる。よって、使用者は、吸収性物品の前後方向Lをより認識し易い。
【0054】
表面シート10の畝部及び溝部は、目印部80に重なってよい。表面シート10の溝部及び畝部によっても吸収性物品1の前後方向Lを示すことができる。また、目印部80の少なくとも一部は、表面シート10の溝部に重なってよい。また、溝部と重なって目印部80が設けられているため、目印部80の視認性を確保し易く、目印部80による位置決めも行うことができる。表面シート10の畝部の幅方向Wのピッチ、及び溝部の幅方向Wのピッチは、前後目印部81の幅方向Wのピッチと異なってよい。使用者は、前後目印部81の存在をより気づき易く、目印部80による位置合わせをより適切に行うことができる。
【0055】
目印部80は、前後方向Lに沿って延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されてよい。目印部80の間隔は、溝部の幅方向Wの長さと異なってよい。目印部80の幅は、畝部の幅方向の長さよりも長い。仮に目印部80の間隔と溝部の幅方向の長さが一致していると、目印部80の間隔に溝部が重なって、溝部を介して目印部80が視認されないおそれがある。しかし、目印部80の間隔が溝部の幅方向の長さと異なることにより、目印部80の間隔に溝部が完全に重なることを抑制できる。また、目印部80の幅は、畝部の幅方向の長さよりも長いため、畝部と重ならない領域の目印部80の視認性を確保できる。本実施の形態では、目印部80の幅方向の長さ及び目印部同士の間隔は、いずれも2mmであり、畝部の幅方向の長さ及び溝部の幅方向の長さは、いずれも1mmである。すなわち、畝部の幅方向の長さ及び溝部の幅方向の長さは、目印部の幅方向の長さ及び目印部同士の間隔よりも短くてよい。
【0056】
前折り目FW2は、物品前後中心1CLよりも前側において目印部80と重なっていてもよい。前折り目FW2は、吸収性物品1の肌面側T1同士が向き合うように折り畳む折り目であり、前折り目FW2の折り癖によって前折り目FW2よりも前側の領域が肌面側T1に起立しやすい。本態様によれば、目印部80の少なくとも一部(目印部の少なくとも前端縁80F)は、前折り目FW2よりも前側に位置し、前折り目FW2の折癖によって肌面側T1に起立する。よって、使用者は、目印部80の前端縁80Fを視認し易くなり、目印部80による位置合わせを容易に行うことができる。また、後折り目FW1は、物品前後中心1CLよりも後側において目印部80と重なっていてもよい。当該構成によれば、目印部80の少なくとも一部は、後折り目FW1よりも前側に位置し、後折り目FW1の折癖によって肌面側T1に起立する。よって、使用者は、目印部80の後端縁80Rを視認し易くなり、目印部による位置合わせを容易に行うことができる。また、目印部80の後端縁80Rにおいて幅方向の一方側の外側縁に位置する第1後端縁と、目印部80の後端縁80Rにおいて幅方向の他方側の外側縁に位置する第2後端縁と、を繋ぐ仮想線も吸収性物品1の幅方向に沿っていてもよい。当該構成によれば、目印部80の後端縁80Rを視認した場合であっても、目印部80に基づいて位置合わせした際に、吸収性物品1の左右の傾きに気づきやすい。
【0057】
図1に示すように、目印部80は、圧搾部50と重なる積層部R11と、圧搾部50と重ならない非積層部R12と、を有してよい。目印部80の積層部R11は、厚み方向Tに圧搾されている。そのため、積層部R11の吸収性物品1の肌面からの視認性は、非積層部R12の視認性よりも高い。よって、使用者は、積層部R11の目印部80を把握し易く、目印部80により位置決めを容易に行うことができる。また、非積層部R12は、厚み方向Tに圧搾されていない。そのため、非積層部R12は、積層部R11と比較して厚み方向Tに変形してなく、平面視における視認性を確保しやすい。また、圧搾部50は、第1曲部51と第2曲部52を有する湾曲形状である。圧搾部50が曲線形状であるため、前後目印部81によって示す前後方向Lがより目立ち易くなり、使用者が吸収性物品1の前後方向Lをより把握し易くなる。
【0058】
使用者は、目印部80を視認して目印部に基づいて吸収性物品1の方向を調整するだけでなく、目印部80によって吸収性物品を位置決めすることがある。次いで、目印部80によって位置決めする際に好適な構成について説明する。止着部60の幅方向Wの外側縁60Eは、第1前端縁80F1よりも幅方向Wの内側、かつ第2前端縁80F2よりも幅方向Wの内側に位置してよい。すなわち、着用物品に吸収性物品を止着する止着部60は、第1前端縁80F1及び第2前端縁80F2よりも幅方向Wの内側に位置し、第1前端縁80F1及び第2前端縁80F2と重なる領域に設けられていない。本実施の形態では、第2止着部62の外側縁62Eは、第1前端縁80F1よりも幅方向Wの内側、かつ第2前端縁80F2よりも幅方向Wの内側に位置している。使用者は、装着時に目印部80の第1前端縁80F1(及び第2前端縁80F2)を着用物品に対して位置合わせすることがある。このとき、第1前端縁80F1及び第2前端縁80F2を着用物品に位置決めしても、止着部を介して着用物品に止着しないため、装着位置を容易に直すことができ、適切な位置に吸収性物品を装着し易くなる。
【0059】
目印部80の前端縁80Fは、吸収コア30の前端縁よりも後側において吸収コア30に重なってよい。目印部80の前端縁80Fを位置決めすることにより、吸収コア30の位置決めを行うことができる。また、吸収コア30の前端縁よりも目印部80の前端縁80Fが後側に位置するため、吸収コア30の前端縁80Fの境界による段差の凹凸等によって目印部80の前端縁80Fが歪むのが抑制される。よって、目印部の前端縁による位置決め機能をより発揮できる。また、目印部の後端縁80Rは、吸収コアの前端縁よりも後側において吸収コアに重なってよい。目印部の後端縁によって吸収コアの位置決めを行うことができる。また、吸収コアの後端縁よりも目印部の後端縁が前側に位置するため、吸収コアの段差によって目印部の前端縁が凹凸等によって歪むのが抑制される。よって、目印部80の前端縁80Fによる位置決め機能を発揮し易い。
【0060】
目印部80の前端縁80Fの少なくとも一部は、高吸収領域と重なる領域に配置されてよい。本態様によれば、目印部80の前端縁80Fを位置決めすることで、高吸収領域の位置決めができ、吸収容量が必要な箇所を適切な位置に取り付けることができる。本実施の形態の高吸収領域は、上側吸収コア31が配置された領域と略一致しており、目印部80の前端縁80Fと、高吸収領域の前端縁と、が一致する。そのため、使用者は、目印部80の前端縁80Fに基づいて、高吸収領域の前端縁の位置を把握できる。
【0061】
次いで、変形例に係る吸収性物品について説明する。以下の変形例の説明においては、実施形態と異なる構成について詳細に説明し、実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図5(A)は、変形例1に係る吸収性物品1Xの平面図である。変形例1に係る吸収性物品の目印部80Xは、物品幅中心1CWを挟んで両側に配置されてなく、物品幅中心1CWの一方側のみに配置されている。変形例に係る吸収性物品1Xによれば、吸収性物品1Xの一方側を視認した際において目印部による位置合わせを行うことができる。より詳細には、筋力の低下等で片方の手しか十分に使えない際に、吸収性物品1Xの一方側に配置された目印部に基づいて、装着時の位置合わせを行うことができる。
【0062】
図5(B)は、変形例2に係る吸収性物品1Yの平面図である。変形例2に係る吸収性物品の目印部80Yは、肌側シート20に付された着色接着剤によって構成されている。目印部80Yは、前後方向Lに延びる直線状(筋状)であり、幅方向Wに間隔を空けて複数設けられている。当該構成によっても、使用者が吸収性物品の幅方向を傾けずに配置し易く、吸収性物品の前後方向の向きを体の前後方向に沿うように適切に配置し易い。目印部80を構成する着色接着剤は、肌側シート同士を接着する接着剤であってもよいし、肌側シートと吸収コアを接着する接着剤であってもよい。着色接着剤によって目印部80Yが構成されているため、目印部80Yが設けられた領域は、目印部80Yが設けられていない領域と比較して、シート同士の距離又はシートと吸収コアの距離が近くなる。よって、吸収性物品の肌面側T1からの目印部80Yの視認性をより高めることができる。なお、変形例2において、着色接着剤が延びる方向は、前後方向Lに限られない。例えば、着色接着剤は、幅方向Wに延び、前後方向Lに間隔を空けて配置されていてもよい。
【0063】
変形例2に係る目印部80Yは、肌側コアラップ層35の非肌面と、吸収コアとしてのSAPと、を接合する接着剤によって構成されている。変形例2に係るSAPシートの製造方法の一例を説明する。SAPシートを構成する2枚のシートのうち非肌面側に位置するシートが前後方向に連続した非肌側連続シートを搬送する。次いで、非肌側連続シート上に、2枚のシートの幅方向の外側部同士を接着するための接着剤と、SAPと、を配置する。なお、2枚のシート同士を接着するための接着剤は、SAPよりも幅方向の外側に位置しており、無色であってもよいし、有色であってもよい。次いで、非肌側連続シートと、肌側コアラップ層35を構成するシートが前後方向に連続した肌側連続シートと、を合流させる。当該合流の前に、肌側連続シートの非肌側連続シート側(非肌面側)の面に、着色接着剤を塗布する。当該着色接着剤が目印部を構成してよい。すなわち、着色接着剤を塗布された状態の肌側連続シートを、非肌側連続シート上に配置し、肌側連続シートと非肌側連続シートによってSAPを挟む。次いで、肌側連続シートと非肌側連続シートを幅方向に沿う切断線において切断し、個々のSAPシートを得ることができる。なお、非肌側連続シートに付す接着剤は、2枚のシートを接着するための接着剤でなくてもよく、目印部を構成する接着剤であってもよい。また、肌側連続シートに、2枚のシートを接着するための接着剤を付してもよい。
【0064】
次いで、吸収性物品の製造方法の一例について、図6に基づいて説明する。吸収性物品の製造方法は、変形例2に係る吸収性物品1Yの製造方法であってよい。当該製造方法によって得られる吸収性物品1Yの吸収体は、上側吸収コア31を含む上側吸収体41を少なくとも有する。本実施の形態の吸収体は、上側吸収体41と、下側吸収コア32を含む下側吸収体42を有している。上側吸収体41は、肌側シート20と、肌側シート20に設けられ、装着位置を指標する目印部80と、を有する。吸収性物品の製造方法は、肌側シート20に目印部80を付す目印付与工程S10と、目印付与工程S10の後に、肌側シート20と吸収コア(上側吸収体41)を合流する合流工程S20と、を有する。合流工程S20は、目印部80の少なくとも一部を、吸収性物品1Yの前後方向の中心よりも前側に配置するとともに、目印部80の前端縁において幅方向の一方側の外側縁に位置する第1前端縁80F1と、目印部80の前端縁において幅方向の他方側の外側縁に位置する第2前端縁80F2と、を繋ぐ仮想線EL1を吸収性物品1Yの幅方向に沿うように配置する。当該製造方法によって得られた吸収性物品1Yによれば、目印部80の少なくとも一部が物品前後中心1CLよりも前側に位置するため、使用者は、装着操作時に目印部80の存在に気付き易い。また、第1前端縁80F1と第2前端縁80F2を繋ぐ仮想線EL1が幅方向Wに沿っているため、使用者は、目印部80に基づいて位置合わせした際に、吸収性物品1Yの左右の傾きに気づきやすい。よって、使用者が吸収性物品1Yの幅方向Wを傾けずに配置し易く、吸収性物品1Yの前後方向Lの向きを体の前後方向に沿うように適切に配置し易い。よって、吸収性物品1Yを適切に配置し、漏れ等の装着感の悪化を抑制できる。
【0065】
目印付与工程S10は、肌側シート20の非肌面側T2に、目印部80を構成する着色接着剤を塗布してよい。吸収性物品1Yにおいて最も肌側に位置する面よりも内側に、着色接着部が配置されているため、吸収性物品1Yの肌面がすれた場合であっても、目印部80の視認性が低下しない。また、吸収コア30よりも肌面側に位置する肌側シート20に着色接着剤を設けているため、吸収コア30と接着するための接着剤によって目印部80を兼ねることができる。なお、変形例において、目印付与工程S10は、肌側シート20に印刷によって目印部80を付与してもよい。
【0066】
合流工程S20は、吸収コア30の非肌面側T2を覆うシートが連続した非肌側連続シートC21の肌面上に吸収コア30を配置した状態で、非肌側連続シートC21と肌側連続シートC20を合流させる連続体合流工程S21と、連続体合流工程S21の後に、幅方向Wに沿って非肌側連続シートC21と肌側連続シートC20を切断する切断工程S22と、を有してよい。本形態によれば、連続体合流工程S21において、肌側連続シートC20に目印部80を構成する着色接着剤を付した後に、切断工程S22において、非肌側連続シートC21と肌側連続シートC20を幅方向Wに沿って切断するため、着色接着部も幅方向に沿って切断できる。よって、第1前端縁と第2前端縁を繋ぐ仮想線を、容易に幅方向に沿って配置できる。
【0067】
本実施の形態の連続体合流工程S21は、上側吸収コア31としてのSAPの非肌面側を覆うシートが連続した非肌側連続シートC21の肌面上に上側吸収コア31を配置した状態で、肌側シート20が連続した肌側連続シートC20と非肌側連続シートC21とを合流させる。これにより、肌側連続シートC20、上側吸収コア31(SAP)、及び非肌側連続シートC21が積層された連続体を得ることができる。当該連続体は、上側吸収体41が前後方向Lに連続している。切断工程S22は、幅方向Wに沿って非肌側連続シートC21と肌側連続シートC20を切断する。これにより、個々の上側吸収体41を得ることができる。なお、切断工程S22は、少なくとも非肌側連続シートC21と肌側連続シートC20を切断すればよく、パルプ、不織布等からなる連続した吸収コアを含む場合にあっては、非肌側連続シートC21と肌側連続シートC20と共に、上側吸収コア31の連続体も切断してもよい。また、非肌側連続シートC21と肌側連続シートC20を合流させる前に、非肌側連続シートC21の肌面側に接着剤を付してもよいし、肌側連続シートC20の非肌面側に接着剤を付してもよい。これらの接着剤は、無色であってもよいし、有色であってもよい。また、これらの接着剤は、着色接着剤によって構成され、目印部を構成してもよいし、非肌側連続シートC21と肌側連続シートC20を接合する接着剤であってもよい。
【0068】
合流工程S20は、連続体合流工程S21及び切断工程S22の後に、切断工程S22によって得られた上側吸収体41と、上側吸収体41の非肌面側T2に積層される下側吸収体42と、を合流させる上下合流工程S23と、を有してよい。本態様によれば、上下合流工程S23によって、上側吸収体41と下側吸収体42を有する吸収性物品1Yを得ることができる。着色接着剤が付された上側吸収体41は、下側吸収体42よりも肌面側T1に位置しており、着色接着剤による目印部80の視認性を確保できる。また、上下合流工程S23において、目印部の少なくとも一部を、物品前後中心1CLよりも前側に配置するとともに、第1前端縁と第2前端縁とを繋ぐ仮想線を吸収性物品の幅方向に沿うように配置してよい。
【0069】
なお、本実施の形態の製造方法は、上側吸収体41を構成する肌側シートに目印部を付しているが、当該形態に限定されない。複数の吸収コアを有する形態にあっては、いずれかの吸収コアよりも肌面側に位置する肌側シート(例えば、下側吸収コア32よりも肌面側に位置し、下側吸収コア32と上側吸収コア31の間に配置されたシート)に目印部を付してもよい。また、当該製造方法は、目印付与工程S10及び合流工程S20以外の工程を有してよく、当該工程は、従来の吸収性物品の製造方法を適用できる。
【0070】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0071】
なお、2021年5月21日に出願された日本国特許出願第2021-085801号の全内容が、参照により、本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本態様によれば、吸収性物品の前後方向の向きを適切に配置し易い吸収性物品を提供できる。
【符号の説明】
【0073】
1、1X、1Y :吸収性物品
1CL :物品前後中心
1CW :物品幅中心
10 :表面シート(肌側シート20)
15 :クッションシート(肌側シート20)
30 :吸収コア
31 :上側吸収コア
32 :下側吸収コア
35 :肌側コアラップ層(肌側シート20)
36 :非肌側コアラップ層
50 :圧搾部
60 :止着部
80 :目印部
80F1 :第1前端縁
80F2 :第2前端縁
81 :前後目印部
82 :分断目印部
EL1 :仮想線
FW1 :後折り目
FW2 :前折り目
L :前後方向
T :厚み方向
T1 :肌面側
T2 :非肌面側
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6