(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】セルロースナノファイバー水分散液
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240726BHJP
C09D 11/00 20140101ALI20240726BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240726BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240726BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240726BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240726BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240726BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240726BHJP
C08L 5/00 20060101ALI20240726BHJP
C08L 1/02 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A61K8/73
C09D11/00
A61Q1/00
A61K8/37
A61K8/39
A61K47/38
A61K47/26
A23L5/00 N
C08L5/00
C08L1/02
(21)【出願番号】P 2020131480
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 徳馬
(72)【発明者】
【氏名】森田 友岳
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-089870(JP,A)
【文献】特開2016-065116(JP,A)
【文献】特開2018-048218(JP,A)
【文献】国際公開第2018/038194(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)セルロースナノファイバー水分散液に、糖型バイオ界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群から選択される一種または二種以上の界面活性剤を含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(2)前記(1)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記糖型バイオ界面活性剤が、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッド、セロビオースリピッドからなる群から選択される一種または二種以上である、セルロースナノファイバー水分散液、
(3)前記(1)または前記(2)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記界面活性剤を、セルロースナノファイバー固形量の0.1~100重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(4)前記(1)から前記(3)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液であって、極性有機溶媒を0.1~10重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
の前記(1)から前記(4)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液を含む
、化粧料。
【請求項2】
(1)セルロースナノファイバー水分散液に、糖型バイオ界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群から選択される一種または二種以上の界面活性剤を含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(2)前記(1)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記糖型バイオ界面活性剤が、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッド、セロビオースリピッドからなる群から選択される一種または二種以上である、セルロースナノファイバー水分散液、
(3)前記(1)または前記(2)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記界面活性剤を、セルロースナノファイバー固形量の0.1~100重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(4)前記(1)から前記(3)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液であって、極性有機溶媒を0.1~10重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
の前記(1)から前記(4)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液を含む
、インク。
【請求項3】
(1)セルロースナノファイバー水分散液に、糖型バイオ界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群から選択される一種または二種以上の界面活性剤を含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(2)前記(1)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記糖型バイオ界面活性剤が、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッド、セロビオースリピッドからなる群から選択される一種または二種以上である、セルロースナノファイバー水分散液、
(3)前記(1)または前記(2)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記界面活性剤を、セルロースナノファイバー固形量の0.1~100重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(4)前記(1)から前記(3)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液であって、極性有機溶媒を0.1~10重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
の前記(1)から前記(4)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液を含む
、医薬部外品。
【請求項4】
(1)セルロースナノファイバー水分散液に、糖型バイオ界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群から選択される一種または二種以上の界面活性剤を含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(2)前記(1)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記糖型バイオ界面活性剤が、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッド、セロビオースリピッドからなる群から選択される一種または二種以上である、セルロースナノファイバー水分散液、
(3)前記(1)または前記(2)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記界面活性剤を、セルロースナノファイバー固形量の0.1~100重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(4)前記(1)から前記(3)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液であって、極性有機溶媒を0.1~10重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
の前記(1)から前記(4)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液を含む
、食品。
【請求項5】
(1)セルロースナノファイバー水分散液に、糖型バイオ界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群から選択される一種または二種以上の界面活性剤を含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(2)前記(1)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記糖型バイオ界面活性剤が、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッド、セロビオースリピッドからなる群から選択される一種または二種以上である、セルロースナノファイバー水分散液、
(3)前記(1)または前記(2)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記界面活性剤を、セルロースナノファイバー固形量の0.1~100重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(4)前記(1)から前記(3)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液であって、極性有機溶媒を0.1~10重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
の前記(1)から前記(4)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液を含む
、スプレー剤。
【請求項6】
(1)セルロースナノファイバー水分散液に、糖型バイオ界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群から選択される一種または二種以上の界面活性剤を含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(2)前記(1)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記糖型バイオ界面活性剤が、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッド、セロビオースリピッドからなる群から選択される一種または二種以上である、セルロースナノファイバー水分散液、
(3)前記(1)または前記(2)のセルロースナノファイバー水分散液であって、前記界面活性剤を、セルロースナノファイバー固形量の0.1~100重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
(4)前記(1)から前記(3)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液であって、極性有機溶媒を0.1~10重量%含有する、セルロースナノファイバー水分散液、
の前記(1)から前記(4)のいずれかのセルロースナノファイバー水分散液を含む
、保形剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースナノファイバー水分散液、およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
植物資源から得られる天然繊維であるセルロースナノファイバー(以下、「CNF」ともいう。)は、木質繊維をナノサイズまで解繊すること等により得られ、新しい素材として研究・開発が進められている。CNFは、水中で3次元網目構造を形成するため、チキソトロピー性、分散安定性、乳化安定性という特徴的なレオロジー挙動を示す。水中で粘性を付与したり、微粒子を分散できることから、水分散液の用途は幅が広く、化粧料、医薬品、医薬部外品、食品、塗料、インクなどにおいて、保水剤、保湿剤、保形剤、分散安定剤、乳化安定剤、増粘剤として用いられる。
【0003】
水分散液のチキソトロピー性とは、静置状態では高粘度で形状を保ち、力(せん断力)を加えると粘度が低下して流動性を示す性質であり、特に化粧品素材やインク等への適用が進められている。特許文献1には、特定の脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤を含有させることにより、腐敗が防止され、安全性が高いCNF水分散液組成物が記載され、特許文献2には、 酸化処理を行っていない数平均繊維短径が10~200nmであるCNFを含有する、インク垂れや描線の滲みがない筆記具用水性インク組成物が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、セルロースナノファイバー水分散液に酸を加えることで、セルロースナノファイバーをゲル化して製造される物理ゲルの用途として、断熱材、微粒子補足用のフィルター、触媒の担体等が示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6362496号公報
【文献】特開2017-105907号公報
【文献】特許第5791065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セルロースナノファイバー水分散液は、分散安定性、保湿性、チキソ性、保湿効果など様々な機能を示し、各種用途に適用可能な優れた天然素材である。特定の用途に使用する場合には、その機能を高める添加剤を使用することが一般的である。
本願発明は、セルロースナノファイバー(CNF)が本来有する優れた安全性、環境・生体適合性などの特徴を損ねることなく、かつCNFと相性の良い天然系の添加剤を使用して、CNFの特定の機能をより高める水分散液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、分子構造上CNFと相性が良いと考えられる親水基が糖で構成された糖型界面活性剤のうち、特に微生物由来の天然界面活性剤であり安全性の高い糖型バイオ界面活性剤に着目した。そして、糖型バイオ界面活性剤および特定の糖型界面活性剤をCNF水分散液に添加することにより、CNF水分散液のチキソ性が向上することを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明は、下記(1)~(4)に記載のセルロースナノファイバー水分散液に関する。
(1)セルロースナノファイバー水分散液に、糖型バイオ界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群から選択される一種または二種以上の界面活性剤を含有する、セルロースナノファイバー水分散液。
(2)前記糖型バイオ界面活性剤が、マンノシルエリスリトールリピッド、ソホロリピッド、セロビオースリピッドからなる群から選択される一種または二種以上である、上記(1)に記載のセルロースナノファイバー水分散液。
(3)前記界面活性剤を、セルロースナノファイバー固形量の0.1~100重量%含有する、上記(1)または(2)に記載のセルロースナノファイバー水分散液。
(4)極性有機溶媒を0.1~10重量%含有する、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のセルロースナノファイバー水分散液。
【0009】
また、本発明は、下記(5)~(10)の記載のセルロースナノファイバー水分散液を含む各製品または剤に関する。
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のセルロースナノファイバー水分散液を含む化粧料。
(6)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のセルロースナノファイバー水分散液を含むインク。
(7)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のセルロースナノファイバー水分散液を含む医薬部外品。
(8)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のセルロースナノファイバー水分散液を含む食品。
(9)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のセルロースナノファイバー水分散液を含むスプレー剤。
(10)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のセルロースナノファイバー水分散液からなる保形剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明のCNF水分散液は、より鋭敏なチキソ性を示すため、これを用いる化粧料、医薬品、医薬部外品、食品、塗料、インクなどにおいて、より質の高い保水剤、保形剤、増粘剤等として用いることができる。また、特に微生物由来の天然界面活性剤である糖型バイオ界面活性剤の使用により、各製品の安全性を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】貯蔵弾性率(G’:黒□実線)、損失弾性率(G”:黒□破線)の変化を縦軸に、ひずみ(%)を横軸にプロットした、実施例1で調製したMEL-A含有CNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図2】実施例1で調製したMEL-B含有CNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図3】実施例1で調製したSpan20含有CNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図4】実施例1で調製したTween20含有CNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図5】実施例2で調製したLSL含有CNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図6】実施例2で調製したASL含有CNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図7】実施例2で調製したCLU含有CNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図8】実施例3で調製したMEL-A含有LCNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図9】実施例3で調製したMEL-B含有LCNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図10】実施例3で調製したSpan20含有LCNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図11】実施例3で調製したTween20含有LCNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図12】実施例4で調製したLSL含有LCNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図13】実施例4で調製したASL含有LCNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図14】実施例4で調製したCLU含有LCNF水分散液の粘弾性の振動測定の結果を示す。
【
図15】せん断粘度の時間変化を表す、実施例1で調製したMEL-A含有CNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図16】実施例1で調製したMEL-B含有CNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図17】実施例1で調製したSpan20含有CNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図18】実施例1で調製したTween20含有CNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図19】実施例2で調製したLSL含有CNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図20】実施例2で調製したASL含有CNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図21】実施例2で調製したCLU含有CNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図22】実施例3で調製したMEL-A含有LCNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図23】実施例3で調製したMEL-B含有LCNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図24】実施例3で調製したSpan20含有LCNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図25】実施例3で調製したTween20含有LCNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図26】実施例4で調製したLSL含有LCNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図27】実施例4で調製したASL含有LCNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【
図28】実施例4で調製したCLU含有LCNF水分散液の粘弾性の回転測定の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、糖型バイオ界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートからなる群から選択される一種または二種以上の界面活性剤を含有することを技術的特徴とする、セルロースナノファイバー水分散液である。
【0013】
本発明で使用するCNFは、限定するものではないが、繊維径が1~200nm、好ましくは2~100nmであり、長さが1~5μm程度のものであり、単一繊維からなるシングルCNFであっても良いし、単一繊維が束ねてできたマルチCNFであっても良い。
本発明におけるCNFは、公知の原料を用い公知の製造方法により製造することができるが、通常は、セルロース系原料を水中で解繊処理を施すことによりCNF水分散液の形態として得られるものを利用することができる。
CNF水分散液におけるCNF濃度は、限定するものではないが、通常、1~20wt%、好ましくは2~10wt%のものを使用することができる。
【0014】
本発明で使用する糖型バイオ界面活性剤としては、限定するものではないが、例えば、ソホロリピッド(SL)、マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)、セロビオースリピッド(CL)、ラムノリピッド、トレハロースリピッド、サクシノイルトレハロースリピッド、グルコースリピッド、ポリオールリピッド、オリゴ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
このうち、MEL、SL、CLの構造式を化学式1~3に示す。
【化1】
【化2】
【化3】
【0015】
本発明で使用する糖型界面活性剤は、ソルビタンモノラウレート(Span20)とポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)であり、それぞれの構造式を化学式4、5に示す。
【化4】
【化5】
【0016】
CNF水分散液に添加する界面活性剤の量は、限定するものではないが、CNF水分散液中のCNFに対し通常0.01~100wt%、好ましくは0.1~50wt%、より好ましくは1~30wt%である。界面活性剤の量が1wt%以下のように少ない場合、チキソ性の改善効果が小さい。一方、50wt%以上のように添加量が多い場合、単位添加量当たりの改善効果が低下し、添加による経済性が低下する。
界面活性剤は、CNF水分散液に対しそのまま添加しても良いが、界面活性剤水分散液とした後に添加するほうが均一な分散液とすることができる。界面活性剤の分散性を改善するためにメタノール、エタノール等の有機溶媒を少量添加することもできる。
【実施例】
【0017】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。実施例では、粘弾性の振動測定における「ひずみ(%)」以外の「%」は、「wt%」を意味する。
【0018】
[実施例1]糖型界面活性剤含有セルロースナノファイバー分散液の調製(1)
エタノールに易溶な糖型界面活性剤のグループ(1)(MEL-A、MEL-B、Span20、Tween20)について、以下の手順でCNF分散液を調製した。
例として、MEL-A含有CNF分散液の調製方法を記載する。
10%MEL-Aエタノール溶液をあらかじめ調製し、CNF水分散液(5.65%、パルプ由来)20gに対して上記MEL-A溶液を0.226mL添加した。混合液が均一になるようにガラス棒で十分にかき混ぜ、一晩以上静置することでCNF固形分重量に対してMEL-Aを約2%含むCNF水分散液を得た。
上記と同じ手順で、MEL-A、Span20、Tween20を各約2%(対CNF固形分重量)含むCNF水分散液を得た。
【0019】
[比較例1]セルロースナノファイバー分散液の調製(1)
上記と同じCNF水分散液(5.65%、パルプ由来)20gに対してエタノール0.226mLを添加し、混合液が均一になるようにガラス棒で十分にかき混ぜ、一晩以上静置することで、糖型界面活性剤を含まない対照実験用のCNF水分散液(1)を得た。
【0020】
[実施例2]糖型界面活性剤含有セルロースナノファイバー分散液の調製(2)
エタノールに難溶な糖型界面活性剤のグループ(2)(ASL、LSL、CLU)についてはメタノールを分散媒として、以下の手順でCNF分散液を調製した。
例として、ASL含有CNF分散液の調製方法を記す。
10%ASLメタノール溶液をあらかじめ調製し、CNF水分散液(5.65%、パルプ由来)20gに対して上記ASL溶液を0.226mL添加した。混合液が均一になるようにガラス棒で十分にかき混ぜ、一晩以上静置することでCNF固形分重量に対してASLを約2%含むCNF水分散液を得た。
上記と同じ手順でLSL、CLUを各約2%(対CNF固形分重量)含むCNF水分散液を得た。
【0021】
[比較例2]セルロースナノファイバー分散液の調製(2)
上記と同じCNF水分散液(5.65%、パルプ由来)20gに対してメタノール0.226mLを添加し、混合液が均一になるようにガラス棒で十分にかき混ぜ、一晩以上静置することで、糖型界面活性剤を含まない対照実験用のCNF水分散液(2)を得た。
【0022】
[実施例3]糖型界面活性剤含有リグノセルロースナノファイバー(LCNF)分散液の調製(1)
LCNF水分散液(5.58%、ヒノキ由来)を用いて実施例1と同じ手順(LCNF液20gに対して10%界面活性剤エタノール液約0.223mL添加)により、MEL-A、MEL-B、Span20、Tween20を各約2%(対LCNF固形分重量)含むLCNF水分散液を得た。
【0023】
[比較例3]リグノセルロースナノファイバー分散液の調製(1)
上記と同じLCNF水分散液(5.85%、ヒノキ由来)を用いて比較例1と同じ手順(LCNF液20gに対してエタノール約0.223mL添加)で糖型界面活性剤を含まない対照実験用のLCNF水分散液(1)を得た。
【0024】
[実施例4]糖型界面活性剤含有リグノセルロースナノファイバー分散液の調製(2)
LCNF水分散液(5.58%、ヒノキ由来)を用いて実施例2と同じ手順(LCNF液20gに対して10%界面活性剤メタノール液約0.223mL添加)でASL、LSL、CLUを各約2%(対LCNF固形分重量)含むLCNF水分散液を得た。
【0025】
[比較例4]リグノセルロースナノファイバー分散液の調製(2)
上記と同じLCNF水分散液(5.58%、ヒノキ由来)を用いて比較例2と同じ手順(LCNF液20gに対してメタノール約0.223mL添加)で糖型界面活性剤を含まない対照実験用のLCNF水分散液(2)を得た。
【0026】
[実施例5~8]糖型界面活性剤含有CNF水分散液(1)の粘弾性測定(振動測定)
レオメーター(Anton Paar社製MCR302)を用いて、実施例1で調製した各糖型界面活性剤含有CNF水分散液(1)の粘弾性測定を行った。
試料台上に分散液約1gを載せてコーンプレート(CP25-6)で挟み込み(間隔1mm、はみ出た試料は掻き取り)、25℃、周波数1Hz一定で、ひずみを0.1%から100%まで対数上昇させる振動測定(測定点数30点)を行った。
貯蔵弾性率(G’:黒□実線)、損失弾性率(G”:黒□破線)の変化をプロットした各測定結果をそれぞれMEL-A(実施例5:
図1)、MEL-B(実施例6:
図2)、Span20(実施例7:
図3)、Tween20(実施例8:
図4)として示す。
【0027】
[比較例5]CNF水分散液(1)の粘弾性測定(振動測定)
比較例1で調製したCNF水分散液(1)について、実施例5と同じ方法で粘弾性測定を行った。比較例5の貯蔵弾性率(G’:灰色●実線)、損失弾性率(G”:灰色●破線)の測定結果を、
図1~4に対照としてプロットした。
【0028】
各測定結果を比較したところ、対照の糖型界面活性剤を含有しないCNF水分散液(1)(比較例5)に対して、糖型界面活性剤を含有するCNF水分散液(実施例5~8)では、以下のような効果が見られた。
MEL-A含有CNF水分散液(実施例5:
図1)では、静置状態(グラフの起点=ひずみ0.1%)においてG’、G”の値が対照よりも高く、より硬いクリーム状になっていると言える。一方、対照と比べてG’とG”の交点が低ひずみ領域にシフトしていることから、より小さな変形を与えるだけで流動性が上がる(容易にほぐれる)ことが分かる。このように、MEL-Aを含有するCNF水分散液はチキソ性がより鋭敏になっていることが示された。
MEL-B(実施例6:
図2)、Span20(実施例7:
図3)、Tween20(実施例8:
図4)を含有するCNF水分散液では、静置状態でのG’、G”の値はほぼ変化ないものの、G’とG”の交点が同様に低ひずみ領域にシフトしており、これらの糖型界面活性剤含有CNF水分散液(1)はいずれも同じく、対照のCNF水分散液(1)と比べてチキソ性が鋭敏になっていることが示された。
【0029】
[実施例9~11]糖型界面活性剤含有CNF水分散液(2)の粘弾性測定(振動測定)
実施例2で調製した各糖型界面活性剤含有CNF水分散液(2)について、実施例5と同じ方法で粘弾性測定を行った。貯蔵弾性率(G’:黒□実線)、損失弾性率(G”:黒□破線)の変化をプロットした各測定結果をそれぞれLSL(実施例9:
図5)、ASL(実施例10:
図6)、CLU(実施例11:
図7)として示す。
【0030】
[比較例6]CNF水分散液(2)の粘弾性測定(振動測定)
比較例2で調製したCNF水分散液(2)について、実施例5と同じ方法で粘弾性測定を行った。貯蔵弾性率(G’:灰色●実線)、損失弾性率(G”:灰色●破線)の測定結果を、
図5~7に対照としてプロットした。
【0031】
各測定結果を比較したところ、対照の糖型界面活性剤を含有しないCNF水分散液(2)(比較例6)に対して、糖型界面活性剤を含有するCNF水分散液(実施例9~11)では以下のような効果が見られた。
LSL(実施例9:
図5)、ASL(実施例10:
図6)、CLU(実施例11:
図7)を含有するCNF水分散液は、いずれも静置状態(グラフの起点=ひずみ0.1%)において対照よりもG’、G”の値が高く、より硬いクリーム状になっている。また、対照と比べてG’とG”の交点も高ひずみ領域にシフトしており、流動させるにはより大きな変形を与える必要があることが分かる。このように、これらの糖型界面活性剤含有CNF水分散液(2)は対照のCNF水分散液(2)と比べて、触感の硬い水分散液になっていることが示された。
【0032】
[実施例12~15]糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(1)の粘弾性測定(振動測定)
実施例3で調製した各糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(1)について、実施例5と同じ方法で粘弾性測定を行った。貯蔵弾性率(G’:黒□実線)、損失弾性率(G”:黒□破線)の変化をプロットした各測定結果をそれぞれMEL-A(実施例12:
図8)、MEL-B(実施例13:
図9)、Span20(実施例14:
図10)、Tween20(実施例15:
図11)として示す。
【0033】
[比較例7]LCNF水分散液(1)の粘弾性測定(振動測定)
比較例3で調製したLCNF水分散液(1)について、実施例5と同じ方法で粘弾性測定を行った。貯蔵弾性率(G’:灰色●実線)、損失弾性率(G”:灰色●破線)の測定結果を、
図8~11に対照としてプロットした。
【0034】
各測定結果を比較したところ、対照の糖型界面活性剤を含有しないLCNF水分散液(1)(比較例5)に対して、糖型界面活性剤を含有するLCNF水分散液(実施例12~15)では以下のような効果が見られた。
MEL-A(実施例12:
図8)、MEL-b(実施例13:
図9)、Span20(実施例14:
図10)、Tween20(実施例15:
図11)を含有するLCNF水分散液(実施例5:
図1)では、いずれも静置状態(グラフの起点=ひずみ0.1%)においてG’、G”が非添加系と同等以上の値を示し、より硬いクリーム状になっていると言える。一方、対照と比べていずれもG’とG”の交点が低ひずみ領域にシフトしていることから、より小さな変形を与えるだけで流動性が上がる(容易にほぐれる)ことが分かる。このように、これらの糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(1)はチキソ性がより鋭敏になっていることが示された。
【0035】
[実施例16~18]糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(2)の粘弾性測定(振動測定)
実施例4で調製した各糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(2)について、実施例5と同じ方法で粘弾性測定を行った。貯蔵弾性率(G’:黒□実線)、損失弾性率(G”:黒□破線)の変化をプロットした各測定結果をそれぞれLSL(実施例16:
図12)、ASL(実施例17:
図13)、CLU(実施例18:
図14)として示す。
【0036】
[比較例8]LCNF水分散液(2)の粘弾性測定(振動測定)
比較例4で調製したLCNF水分散液(2)について、実施例5と同じ方法で粘弾性測定を行った。貯蔵弾性率(G’:灰色●実線)、損失弾性率(G”:灰色●破線)の測定結果を、
図12~14に対照としてプロットした。
【0037】
各測定結果を比較したところ、対照の糖型界面活性剤を含有しないLCNF水分散液(2)(比較例8)に対して、糖型界面活性剤を含有するLCNF水分散液(実施例16~18)では以下のような効果が見られた。
LSL(実施例16:
図12)、ASL(実施例17:
図13)、CLU(実施例18:
図14)を含有するLCNF水分散液は、いずれも静置状態(グラフの起点=ひずみ0.1%)においてG’、G”の値が非添加系とほぼ同等でありながら、G’とG”の交点が低ひずみ領域にシフトしており、より小さな変形を与えるだけで流動性が上がる(容易にほぐれる)ことが分かる。このように、これらの糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(2)はチキソ性がより鋭敏になっていることが示された。
【0038】
[実施例19~22]糖型界面活性剤含有CMF水分散液(1)の粘弾性測定(回転測定)
レオメーター(Anton Paar社製MCR302)を用いて、実施例1で調製した各糖型界面活性剤含有CNF水分散液(1)の粘弾性測定を行った。
試料台上に分散液約1gを載せてコーンプレート(CP25-6)で挟み込み(間隔1mm、はみ出た試料は掻き取り)、25℃、初めはせん断(回転)速度0.1(1/s)の微小変形を100秒間与えた後(測定間隔固定5s×20点)、一気に速度を500(1/s)に上げて60秒間大変形を与え(測定間隔固定3s×20点)、その後すぐに回転速度を0.1(1/s)に戻す回転測定(測定間隔対数0.1s→20s×100点)を行った。せん断粘度の時間変化(黒□実線)をプロットした各測定結果をそれぞれ、MEL-A(実施例19:
図15)、MEL-B(実施例20:
図16)、Span20(実施例21:
図17)、Tween20(実施例22:
図18)として示す。
【0039】
[比較例9]CNF水分散液(1)の粘弾性測定(回転測定)
比較例1で調製したCNF水分散液(1)について、実施例19と同じ方法で粘弾性測定を行った。せん断粘度の時間変化(灰色●実線)の測定結果を、
図15~18に対照としてプロットした。
【0040】
各測定結果を比較したところ、対照の糖型界面活性剤を含有しないCNF水分散液(1)(比較例9)に対して、糖型界面活性剤を含有するCNF水分散液(実施例19~22)では以下のような効果が見られた。
MEL-A含有CNF水分散液(実施例19:
図15)では、初めの微小変形時、その後の大回転時のせん断粘度は非添加のCNF水分散液とほぼ変わらなかったが、大回転を与えた直後に微小変形に戻した際(
図15の拡大図)、せん断粘度が急激に元の状態に回復する様子が見られた。すなわち、MEL-A含有CNF水分散液は大きな変形を与えて流動的にした後、変形を解除すると直ちに元の静置状態に戻る復元力に優れることが示された。この結果からも、MEL-Aを含有するCNF水分散液はチキソ性がより鋭敏になっていることが示された。
一方、MEL-B(実施例20:
図16)、Span20(実施例21:
図17)、Tween20(実施例22:
図18)を含有するCNF水分散液では、微小変形時のせん断粘度が大きく低下しており、小さなせん断力で分散液の粘性が低下する挙動が見られた。また、MEL-B、Tween20においては、大回転から微小変形に戻した直後(
図16、
図18の拡大図)のせん断粘度の回復が鋭角になっており、これらの糖型界面活性剤含有CNF水分散液(1)もMEL-Aと同様に、チキソ性が鋭敏になっていることが示された。
【0041】
[実施例23~25]糖型界面活性剤含有CNF水分散液(2)の粘弾性測定(回転測定)
実施例2で調製した各糖型界面活性剤含有CNF水分散液(2)について、実施例19と同じ方法で粘弾性測定を行った。せん断粘度の時間変化(黒□実線)をプロットした各測定結果をそれぞれLSL(実施例23:
図19)、ASL(実施例24:
図20)、CLU(実施例25:
図21)として示す。
【0042】
[比較例10]CNF水分散液(2)の粘弾性測定(回転測定)
比較例2で調製したCNF水分散液(2)について、実施例19と同じ方法で粘弾性測定を行った。せん断粘度の時間変化(灰色●実線)の測定結果を、
図19~21に対照としてプロットした。
【0043】
各測定結果を比較したところ、対照の糖型界面活性剤を含有しないCNF水分散液(2)(比較例10)に対して、糖型界面活性剤を含有するCNF水分散液(実施例23~25)では以下のような効果が見られた。
LSL(実施例23:
図19)、ASL(実施例24:
図20)、CLU(実施例25:
図21)を含有するCNF水分散液では、いずれも微小変形時のせん断粘度が同等以上の高い値を示しており、分散液の粘性が維持されている挙動が見られた。特にLSLにおいては、大回転から微小変形に戻した直後(
図23の拡大図)にせん断粘度が急激に回復しており、チキソ性がより鋭敏になっていることが示された。
【0044】
[実施例26~29]糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(1)の粘弾性測定(回転測定)
実施例3で調製した各糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(1)について、実施例19と同じ方法で粘弾性測定を行った。せん断粘度の時間変化(黒□実線)をプロットした各測定結果をそれぞれMEL-A(実施例26:
図22)、MEL-B(実施例27:
図23)、Span20(実施例28:
図24)、Tween20(実施例29:
図25)として示す。
【0045】
[比較例11]LCNF水分散液(1)の粘弾性測定(回転測定)
比較例3で調製したLCNF水分散液(1)について、実施例19と同じ方法で粘弾性測定を行った。せん断粘度の時間変化(灰色●実線)の測定結果を、
図22~25に対照としてプロットした。
【0046】
各測定結果を比較したところ、対照の糖型界面活性剤を含有しないLCNF水分散液(1)(比較例11)に対して、糖型界面活性剤を含有するLCNF水分散液(実施例26~29)では以下のような効果が見られた。
MEL-A含有LCNF水分散液(実施例26:
図22)では、大回転を与えた直後に微小変形に戻した際(
図22の拡大図)、せん断粘度が急激に元の状態に回復する様子が見られた。すなわち、MEL-A含有LCNF水分散液は大きな変形を与えて流動的にした後、変形を解除すると直ちに元の静置状態に戻る復元力に優れることが示された。この結果からも、MEL-Aを含有するLCNF水分散液はチキソ性がより鋭敏になっていることが示された。
一方、MEL-B(実施例27:
図23)、Span20(実施例28:
図24)、Tween20(実施例29:
図25)を含有するLCNF水分散液では、微小変形時のせん断粘度が低下しており、小さなせん断力で分散液の粘性が低下する挙動が見られた。
【0047】
[実施例30~32]糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(2)の粘弾性測定(回転測定)
実施例4で調製した各糖型界面活性剤含有LCNF水分散液(2)について、実施例19と同じ方法で粘弾性測定を行った。せん断粘度の時間変化(黒□実線)をプロットした各測定結果をそれぞれLSL(実施例30:
図26)、ASL(実施例31:
図27)、CLU(実施例32:
図28)として示す。
【0048】
[比較例12]LCNF水分散液(2)の粘弾性測定(回転測定)
比較例4で調製したLCNF水分散液(2)について、実施例19と同じ方法で粘弾性測定を行った。せん断粘度の時間変化(灰色●実線)の測定結果を、
図26~28に対照としてプロットした。
【0049】
各測定結果を比較したところ、対照の糖型界面活性剤を含有しないLCNF水分散液(2)(比較例12)に対して、糖型界面活性剤を含有するLCNF水分散液(実施例30~32)では以下のような効果が見られた。
LSL(実施例30:
図26)ASL(実施例31:
図27)、CLU(実施例32:
図28)を含有するLCNF水分散液では、多くの分散液で微小変形時のせん断粘度が低下しており、小さなせん断力で分散液の粘性が低下する挙動が見られた。また、特にLSLにおいては、大回転から微小変形に戻した直後(
図26の拡大図)にせん断粘度が急激に回復しており、チキソ性がより鋭敏になっていることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の糖型界面活性剤添加CNF水分散液は、未添加CNF水分散液と比較して粘弾性、特にチキソ性の向上した分散液となる。すなわち、静置状態ではより硬いものの、より小さな力で解れる分散液であることから、より塗り拡げ易すく固着しやすいクリームや、分散し易すく固まりやすいスプレー、インクなどに利用することができる。糖型バイオ界面活性剤は抗菌活性を有するものも多く、これを添加したCNF水分散液は保存安定性に優れるという製品としての利点もある。