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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】漏洩検出システムおよびその検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/28 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
G01M3/28 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020127424
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024692
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】丸山 徹
(72)【発明者】
【氏名】小松 三教
(72)【発明者】
【氏名】神木 啓佑
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-003843(JP,A)
【文献】特開平06-137986(JP,A)
【文献】特開2012-185109(JP,A)
【文献】特開2018-176396(JP,A)
【文献】実開昭58-191544(JP,U)
【文献】米国特許第06272902(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00 - 3/40
B24B 53/00 -57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインからの流体の漏洩を検出する漏洩検出システムの検査方法であって、
前記漏洩検出システムは、
供給弁と戻り弁との間の前記流体ラインに連結され、前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出するための漏洩検出用流体が流体供給源から供給される漏洩検出ラインと、
前記漏洩検出ラインに取り付けられた開閉弁と、
前記漏洩検出ラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量を測定する流量計と、
前記流量計によって測定された第1の流量に基づいて前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出する動作制御部と、
前記流体ラインに接続され、前記流体ラインを介して前記漏洩検出ラインに連通し、前記流量計の下流側に配置されたドレインラインと、
前記ドレインラインに取り付けられたドレイン弁と、を備えており、
前記検査方法は、
前記供給弁および前記戻り弁が閉じている状態で、前記開閉弁および前記ドレイン弁を開き、
前記流量計によって前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の第2の流量を測定し、
前記第2の流量が所定の基準値よりも小さいときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定する、検査方法。
【請求項2】
前記所定の基準値は、前記漏洩検出システムに不具合がないときに前記ドレインラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量と同じか、またはそれよりも小さい値である、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記検査方法は、前記漏洩検出システムが前記流体ラインからの流体の漏洩がないことを決定した後に行われ、
前記漏洩検出システムは、
前記供給弁、前記戻り弁、および前記ドレイン弁を閉じ、
前記開閉弁を開き、
前記流量計によって前記第1の流量を測定し、
前記第1の流量が所定のしきい値以下のときに、前記流体ラインから流体の漏洩がないことを決定するように構成されている、請求項1または2に記載の検査方法。
【請求項4】
前記流体ラインは、熱交換器を備えており、
前記供給弁は、前記熱交換器の上流側に配置されており、
前記戻り弁は、前記熱交換器の下流側に配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項5】
前記熱交換器は、研磨装置の研磨パッド上に配置されている、請求項4に記載の検査方法。
【請求項6】
流体ラインからの流体の漏洩を検出する漏洩検出システムの検査方法であって、
前記漏洩検出システムは、
供給弁と戻り弁との間の前記流体ラインに連結され、前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出するための漏洩検出用流体が流体供給源から供給される漏洩検出ラインと、
前記漏洩検出ラインに取り付けられた開閉弁と、
前記漏洩検出ラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量を測定する流量計と、
前記流量計によって測定された第1の流量に基づいて前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出する動作制御部と、を備えており、
前記検査方法は、
前記開閉弁が閉じている状態で、前記流量計によって第2の流量を測定し、
前記第2の流量が所定の範囲外のときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定する、検査方法。
【請求項7】
前記開閉弁が閉じている状態で、前記第2の流量を測定することは、前記供給弁および前記戻り弁が開き、かつ前記開閉弁が閉じている状態で、前記流量計によって前記第2の流量を測定することである、請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
前記流体ラインは、熱交換器を備えており、
前記供給弁は、前記熱交換器の上流側に配置されており、
前記戻り弁は、前記熱交換器の下流側に配置されている、請求項6または7に記載の検査方法。
【請求項9】
前記熱交換器は、研磨装置の研磨パッド上に配置されている、請求項に記載の検査方法。
【請求項10】
流体ラインからの流体の漏洩を検出する漏洩検出システムであって、
供給弁と戻り弁との間の前記流体ラインに連結され、前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出するための漏洩検出用流体が流体供給源から供給される漏洩検出ラインと、
前記漏洩検出ラインに取り付けられた開閉弁と、
前記漏洩検出ラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量を測定する流量計と、
前記流量計によって測定された第1の流量に基づいて前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出する動作制御部と、
前記流体ラインに接続され、前記流体ラインを介して前記漏洩検出ラインに連通し、前記流量計の下流側に配置されたドレインラインと、
前記ドレインラインに取り付けられたドレイン弁と、を備えており、
前記動作制御部は、
前記供給弁および前記戻り弁を閉じ、
前記開閉弁および前記ドレイン弁を開き、
前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の第2の流量の測定値を前記流量計から取得し、
前記第2の流量が所定の基準値よりも小さいときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定するように構成されている、漏洩検出システム。
【請求項11】
前記所定の基準値は、前記漏洩検出システムに不具合がないときに前記ドレインラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量と同じか、またはそれよりも小さい値である、請求項10に記載の漏洩検出システム。
【請求項12】
前記動作制御部は、
前記供給弁、前記戻り弁、および前記ドレイン弁を閉じ、
前記開閉弁を開き、
前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の前記第1の流量の測定値を前記流量計から取得し、
前記第1の流量が所定のしきい値以下のときに、前記流体ラインから流体の漏洩がないことを決定し、その後、
前記供給弁および前記戻り弁が閉じている状態であって、かつ前記開閉弁が開いている状態で、前記ドレイン弁を開き、
前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の前記第2の流量の測定値を前記流量計から取得し、
前記第2の流量が前記所定の基準値よりも小さいときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定するように構成されている、請求項10または11に記載の漏洩検出システム。
【請求項13】
前記流体ラインは、熱交換器を備えており、
前記供給弁は、前記熱交換器の上流側に配置されており、
前記戻り弁は、前記熱交換器の下流側に配置されている、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の漏洩検出システム。
【請求項14】
前記熱交換器は、研磨装置の研磨パッド上に配置されている、請求項13に記載の漏洩検出システム。
【請求項15】
流体ラインからの流体の漏洩を検出する漏洩検出システムであって、
供給弁と戻り弁との間の前記流体ラインに連結され、前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出するための漏洩検出用流体が流体供給源から供給される漏洩検出ラインと、
前記漏洩検出ラインに取り付けられた開閉弁と、
前記漏洩検出ラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量を測定する流量計と、
前記流量計によって測定された第1の流量に基づいて前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出する動作制御部と、を備えており、
前記動作制御部は、
前記開閉弁を閉じ、
前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の第2の流量の測定値を前記流量計から取得し、
前記第2の流量が所定の範囲外にあるときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定するように構成されている、漏洩検出システム。
【請求項16】
前記動作制御部は、
前記供給弁および前記戻り弁が開いている状態で、前記開閉弁を閉じ、
前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の第2の流量の測定値を前記流量計から取得し、
前記第2の流量が所定の範囲外にあるときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定するように構成されている、請求項15に記載の漏洩検出システム。
【請求項17】
前記流体ラインは、熱交換器を備えており、
前記供給弁は、前記熱交換器の上流側に配置されており、
前記戻り弁は、前記熱交換器の下流側に配置されている、請求項15または16に記載の漏洩検出システム。
【請求項18】
前記熱交換器は、研磨装置の研磨パッド上に配置されている、請求項17に記載の漏洩検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の漏洩検出システムの不具合を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置は、半導体デバイスの製造において、ウェーハの表面を研磨する工程に使用される。CMP装置は、ウェーハを研磨ヘッドで保持してウェーハを回転させ、さらに回転する研磨テーブル上の研磨パッドにウェーハを押し付けてウェーハの表面を研磨する。研磨中、研磨パッドには研磨液(スラリー)が供給され、ウェーハの表面は、研磨液の化学的作用と研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッドの機械的作用により平坦化される。
【0003】
ウェーハの研磨レートは、ウェーハの研磨パッドに対する研磨荷重のみならず、研磨パッドの表面温度にも依存する。これは、ウェーハに対する研磨液の化学的作用が温度に依存するからである。したがって、半導体デバイスの製造においては、ウェーハの研磨レートを上げて更に一定に保つために、ウェーハ研磨中の研磨パッドの表面温度を最適な値に保つことが重要とされる。
【0004】
そこで、研磨パッドの表面温度を調整するためにパッド温度調整装置が従来から使用されている。図10は、従来のパッド温度調整装置の一例を示す模式図である。図10に示すように、パッド温度調整装置は、研磨パッド103との間で熱交換を行う熱交換器111と、該熱交換器111が配置される流体ライン105と、を備えている。流体ライン105は、熱交換器111に接続された流体供給管112および流体排出管150を備え、流体供給管112は、温水供給源に接続された温水供給管115と、冷水供給源に接続された冷水供給管116に分岐している。
【0005】
温水供給管115および冷水供給管116には、温水調整弁120および冷水調整弁121がそれぞれ取り付けられている。制御部130は、温水調整弁120および冷水調整弁121の動作を制御し、温水供給管115を流れる温水の流量、および冷水供給管116を流れる冷水の流量を、それぞれ調整する。温水の流量および冷水の流量を変化させると、熱交換器111の温度が変化する。熱交換器111と研磨パッド103との間で熱交換が行われ、結果として研磨パッド103の表面温度が変化する。
【0006】
熱交換器111を含む流体ライン105から流体が漏洩すると、漏洩した流体が研磨パッド103の表面に付着するおそれがある。ウェーハの研磨中に、流体ライン105から漏洩した流体が研磨パッド103に付着すると、ウェーハの研磨レートの低下および/またはウェーハの汚染が発生するおそれがある。そのため、流体ライン105からの流体の漏洩が発生しているか否かを定期的に検査する必要がある。
【0007】
流体の漏洩を検出するための手段として、流体ライン105に漏洩検出ラインを連結した漏洩検出システムを用いる方法が特許文献1に記載されている。漏洩検出ラインに配置された流量計は、漏洩検出ラインを流れる流体の流量を測定する。流体ラインからの流体の漏洩が発生している場合、流量計によって取得した流量は、所定のしきい値よりも大きくなることから、流体の漏洩を決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2020-3843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の方法で流体の漏洩を正確に検出するためには、漏洩検出システム自体に不具合がないことを確認する必要がある。漏洩検出システムに配置された流量計は、微小な漏洩も検出できるように、微小流量計を用いることがある。微小流量計には様々なタイプのものがある。例えば、歯車式の微小流量計の場合、歯車の摩耗が進行すると流量を正確に測定することができない。すなわち、摩耗により歯車が正常に噛み合わず、微小流量計は、実際の流量とは関係なく0を示してしまうことがある。したがって、微小流量計に不具合が発生していると、流体ラインからの流体の漏洩が正確に検出できない。
【0010】
そこで、従来は、定期的にCMP装置の稼働を停止し、微小流量計のメンテナンスを行っていた。具体的には、専用治具を微小流量計に取り付けて、微小流量計の出力が正常であることを確認する。または、微小流量計を2つ配置して、測定された流量が同じ値を示すことを確認する。しかしながら、このような確認作業は手間がかかり、かつCMP装置のスループットを低下させてしまう。
【0011】
さらに、漏洩検出システムの不具合としては、漏洩検出ラインから流体の漏洩が発生している場合も考えられる。漏洩検出ラインから流体が漏洩すると、流体ラインからの流体の漏洩を正確に検出できないだけでなく、漏洩検出ラインから漏洩した流体が研磨パッドの表面に付着し、研磨レートの低下および/またはウェーハの汚染が発生するおそれがある。CMP装置のスループットを低下させることなく、できる限り素早く漏洩検出システムの不具合を検出することが望まれる。
【0012】
そこで、本発明は、短時間で漏洩検出システムを検査する方法、およびそのような検査方法を実行することができる漏洩検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、流体ラインからの流体の漏洩を検出する漏洩検出システムの検査方法であって、前記漏洩検出システムは、供給弁と戻り弁との間の前記流体ラインに連結され、前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出するための漏洩検出用流体が流体供給源から供給される漏洩検出ラインと、前記漏洩検出ラインに取り付けられた開閉弁と、前記漏洩検出ラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量を測定する流量計と、前記流量計によって測定された第1の流量に基づいて前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出する動作制御部と、前記流体ラインに接続され、前記流体ラインを介して前記漏洩検出ラインに連通し、前記流量計の下流側に配置されたドレインラインと、前記ドレインラインに取り付けられたドレイン弁と、を備えており、前記検査方法は、前記供給弁および前記戻り弁が閉じている状態で、前記開閉弁および前記ドレイン弁を開き、前記流量計によって前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の第2の流量を測定し、前記第2の流量が所定の基準値よりも小さいときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定する、検査方法が提供される。
【0014】
一態様では、前記所定の基準値は、前記漏洩検出システムに不具合がないときに前記ドレインラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量と同じか、またはそれよりも小さい値である。
一態様では、前記検査方法は、前記漏洩検出システムが前記流体ラインからの流体の漏洩がないことを決定した後に行われ、前記漏洩検出システムは、前記供給弁、前記戻り弁、および前記ドレイン弁を閉じ、前記開閉弁を開き、前記流量計によって前記第1の流量を測定し、前記第1の流量が所定のしきい値以下のときに、前記流体ラインから流体の漏洩がないことを決定するように構成されている。
一態様では、前記流体ラインは、熱交換器を備えており、前記供給弁は、前記熱交換器の上流側に配置されており、前記戻り弁は、前記熱交換器の下流側に配置されている。
一態様では、前記熱交換器は、研磨装置の研磨パッド上に配置されている。
【0015】
一態様では、流体ラインからの流体の漏洩を検出する漏洩検出システムの検査方法であって、前記漏洩検出システムは、供給弁と戻り弁との間の前記流体ラインに連結され、前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出するための漏洩検出用流体が流体供給源から供給される漏洩検出ラインと、前記漏洩検出ラインに取り付けられた開閉弁と、前記漏洩検出ラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量を測定する流量計と、前記流量計によって測定された第1の流量に基づいて前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出する動作制御部と、を備えており、前記検査方法は、前記開閉弁が閉じている状態で、前記流量計によって第2の流量を測定し、前記第2の流量が所定の範囲外のときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定する、検査方法が提供される。
一態様では、前記開閉弁が閉じている状態で、前記第2の流量を測定することは、前記供給弁および前記戻り弁が開き、かつ前記開閉弁が閉じている状態で、前記流量計によって前記第2の流量を測定することである。
一態様では、前記流体ラインは、熱交換器を備えており、前記供給弁は、前記熱交換器の上流側に配置されており、前記戻り弁は、前記熱交換器の下流側に配置されている。
一態様では、前記熱交換器は、研磨装置の研磨パッド上に配置されている。
【0016】
一態様では、流体ラインからの流体の漏洩を検出する漏洩検出システムであって、供給弁と戻り弁との間の前記流体ラインに連結され、前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出するための漏洩検出用流体が流体供給源から供給される漏洩検出ラインと、前記漏洩検出ラインに取り付けられた開閉弁と、前記漏洩検出ラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量を測定する流量計と、前記流量計によって測定された第1の流量に基づいて前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出する動作制御部と、前記流体ラインに接続され、前記流体ラインを介して前記漏洩検出ラインに連通し、前記流量計の下流側に配置されたドレインラインと、前記ドレインラインに取り付けられたドレイン弁と、を備えており、前記動作制御部は、前記供給弁および前記戻り弁を閉じ、前記開閉弁および前記ドレイン弁を開き、前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の第2の流量の測定値を前記流量計から取得し、前記第2の流量が所定の基準値よりも小さいときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定するように構成されている、漏洩検出システムが提供される。
【0017】
一態様では、前記所定の基準値は、前記漏洩検出システムに不具合がないときに前記ドレインラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量と同じか、またはそれよりも小さい値である。
一態様では、前記動作制御部は、前記供給弁、前記戻り弁、および前記ドレイン弁を閉じ、前記開閉弁を開き、前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の前記第1の流量の測定値を前記流量計から取得し、前記第1の流量が所定のしきい値以下のときに、前記流体ラインから流体の漏洩がないことを決定し、その後、前記供給弁および前記戻り弁が閉じている状態であって、かつ前記開閉弁が開いている状態で、前記ドレイン弁を開き、前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の前記第2の流量の測定値を前記流量計から取得し、前記第2の流量が前記所定の基準値よりも小さいときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定するように構成されている。
一態様では、前記流体ラインは、熱交換器を備えており、前記供給弁は、前記熱交換器の上流側に配置されており、前記戻り弁は、前記熱交換器の下流側に配置されている。
一態様では、前記熱交換器は、研磨装置の研磨パッド上に配置されている。
【0018】
一態様では、流体ラインからの流体の漏洩を検出する漏洩検出システムであって、供給弁と戻り弁との間の前記流体ラインに連結され、前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出するための漏洩検出用流体が流体供給源から供給される漏洩検出ラインと、前記漏洩検出ラインに取り付けられた開閉弁と、前記漏洩検出ラインを流れる前記漏洩検出用流体の流量を測定する流量計と、前記流量計によって測定された第1の流量に基づいて前記流体ラインからの前記流体の漏洩を検出する動作制御部と、を備えており、前記動作制御部は、前記開閉弁を閉じ、前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の第2の流量の測定値を前記流量計から取得し、前記第2の流量が所定の範囲外にあるときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定するように構成されている、漏洩検出システムが提供される。
一態様では、前記動作制御部は、前記供給弁および前記戻り弁が開いている状態で、前記開閉弁を閉じ、前記漏洩検出ライン内の前記漏洩検出用流体の第2の流量の測定値を前記流量計から取得し、前記第2の流量が所定の範囲外にあるときに、前記漏洩検出システムに不具合があることを決定するように構成されている。
一態様では、前記流体ラインは、熱交換器を備えており、前記供給弁は、前記熱交換器の上流側に配置されており、前記戻り弁は、前記熱交換器の下流側に配置されている。
一態様では、前記熱交換器は、研磨装置の研磨パッド上に配置されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、専用治具等を用いることなく、漏洩検出システムの不具合の有無を短時間で検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。
図2図2は、第1漏洩検出動作での弁の開閉状態を示す模式図である。
図3図3は、第1漏洩検出動作を示すフローチャートである。
図4図4は、漏洩検出システムの検査中の弁の開閉状態を示す模式図である。
図5図5は、漏洩検出システムの検査の一実施形態を示すフローチャートである。
図6図6は、漏洩検出動作および漏洩検出システムの検査を連続して実施しているときの流量の変化を示すグラフである。
図7図7は、他の実施形態に係る漏洩検出システムの検査中の弁の開閉状態を示す模式図である。
図8図8は、図7に示す実施形態に係る漏洩検出システムの検査を示すフローチャートである。
図9図9は、漏洩検出システムの検査を実施しているときの流量の変化を示すグラフである。
図10図10は、従来のパッド温度調整装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、基板の一例であるウェーハWを保持して回転させる研磨ヘッド1と、研磨パッド3を支持する研磨テーブル2と、研磨パッド3の表面に研磨液(例えばスラリー)を供給する研磨液供給ノズル4と、研磨パッド3の表面温度を調整するパッド温度調整システム5とを備えている。研磨パッド3の表面(上面)3aは、ウェーハWを研磨する研磨面を構成する。
【0022】
研磨ヘッド1は鉛直方向に移動可能であり、かつその軸心を中心として矢印で示す方向に回転可能となっている。ウェーハWは、研磨ヘッド1の下面に真空吸着などによって保持される。研磨テーブル2にはモータ(図示しない)が連結されており、矢印で示す方向に回転可能となっている。図1に示すように、研磨ヘッド1および研磨テーブル2は、同じ方向に回転する。研磨パッド3は、研磨テーブル2の上面に貼り付けられている。
【0023】
ウェーハWの研磨は次のようにして行われる。研磨されるウェーハWは、研磨ヘッド1によって保持され、さらに研磨ヘッド1によって回転される。研磨パッド3は、研磨テーブル2とともに回転される。研磨パッド3の表面3aには研磨液供給ノズル4から研磨液が供給され、さらにウェーハWの表面は、研磨ヘッド1によって研磨パッド3の表面3a、すなわち研磨面に対して押し付けられる。ウェーハWの表面は、研磨液の存在下での研磨パッド3との摺接により研磨される。ウェーハWの表面は、研磨液の化学的作用と研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド3の機械的作用により平坦化される。
【0024】
パッド温度調整システム5は、研磨パッド3の表面温度を調整するための流体が流れる流路が内部に形成された熱交換器11と、温度調整された加熱流体および冷却流体を熱交換器11に供給する流体供給システム30とを備えている。熱交換器11は、研磨パッド3の表面3aに対向する底面63を有している。熱交換器11は、研磨テーブル2の上方に位置しており、研磨パッド3の表面3a上に配置される。
【0025】
流体供給システム30は、温度調整された加熱流体を貯留する加熱流体供給源としての加熱流体供給タンク31と、熱交換器11が配置された加熱流体ラインHFLを備えている。加熱流体ラインHFLは、熱交換器11と、加熱流体供給タンク31と熱交換器11とを連結する加熱流体供給ラインHFL1および加熱流体戻りラインHFL2とを備えている。加熱流体供給ラインHFL1および加熱流体戻りラインHFL2の一方の端部は加熱流体供給タンク31に接続され、他方の端部は熱交換器11に接続されている。
【0026】
加熱流体供給タンク31には、加熱流体を加熱流体供給タンク31と熱交換器11との間で循環させるポンプ32が配置されている。ポンプ32が駆動されると、温度調整された加熱流体は、加熱流体供給タンク31から加熱流体供給ラインHFL1を通じて熱交換器11に供給され、熱交換器11内を流れ、そして熱交換器11から加熱流体戻りラインHFL2を通じて加熱流体供給タンク31に戻される。このようにして、加熱流体は、加熱流体供給タンク31と熱交換器11との間を循環する。加熱流体供給タンク31は、ヒータ(図示しない)を有しており、加熱流体はヒータにより所定の温度(例えば、80℃)に加熱される。
【0027】
加熱流体供給ラインHFL1には、第1供給弁SV1および第1流量制御弁R1が配置されている。第1供給弁SV1は、熱交換器11の上流側に配置されており、第1流量制御弁R1は、熱交換器11と第1供給弁SV1との間に配置されている。本明細書において、上流側とは、流体の流れ方向において上流側のことを意味する。下流側とは、流体の流れ方向において下流側のことを意味する。
【0028】
第1供給弁SV1は、加熱流体供給ラインHFL1の流路を開閉する弁であり、加熱流体供給タンク31に隣接して配置されている。第1流量制御弁R1は、加熱流体供給ラインHFL1を流れる流体の流量を調整する流量調整装置である。第1流量制御弁R1の例としては、マスフローコントローラが挙げられる。
【0029】
加熱流体戻りラインHFL2には、その流路を開閉する第1戻り弁RV1と、加熱流体戻りラインHFL2を流れる流体の流量を測定する第1流量計FM1とが配置されている。第1流量計FM1は、第1戻り弁RV1の上流側に配置されている。第1戻り弁RV1は加熱流体供給タンク31に隣接して配置されている。
【0030】
加熱流体戻りラインHFL2には、加熱流体戻りラインHFL2を流れる流体を外部に排出する第1ドレインラインDL1が連結されている。第1ドレインラインDL1は、第1流量計FM1と第1戻り弁RV1との間に配置されている。第1ドレインラインDL1には、第1ドレインラインDL1の流路を開閉する第1ドレイン弁DV1が接続されている。第1ドレイン弁DV1は、通常は閉じられている。
【0031】
流体供給システム30は、熱交換器11が配置された冷却流体ラインCFLをさらに備えている。冷却流体ラインCFLは、熱交換器11と、熱交換器11に連結された冷却流体供給ラインCFL1および冷却流体戻りラインCFL2を備えている。冷却流体供給ラインCFL1は、研磨装置が設置される工場に設けられている冷却流体供給源(例えば、冷水供給源)に接続されている。冷却流体は、冷却流体供給ラインCFL1を通じて熱交換器11に供給され、熱交換器11内を流れ、そして熱交換器11から冷却流体戻りラインCFL2を通じて排出される。一実施形態では、熱交換器11内を流れた冷却流体を、冷却流体戻りラインCFL2を通じて冷却流体供給源に戻してもよい。
【0032】
冷却流体供給ラインCFL1には、第2供給弁SV2および第2流量制御弁R2が配置されている。第2供給弁SV2は、熱交換器11の上流側に配置されており、第2流量制御弁R2は、熱交換器11と第2供給弁SV2との間に配置されている。第2供給弁SV2は冷却流体供給ラインCFL1の流路を開閉する弁であり、第2流量制御弁R2は、冷却流体供給ラインCFL1を流れる流体の流量を調整する流量調整装置である。第2流量制御弁R2の例としては、マスフローコントローラが挙げられる。
【0033】
冷却流体戻りラインCFL2には、その流路を開閉する第2戻り弁RV2と、冷却流体戻りラインCFL2を流れる流体の流量を測定する第2流量計FM2とが配置されている。第2流量計FM2は、第2戻り弁RV2の上流側に配置されている。
【0034】
冷却流体戻りラインCFL2には、冷却流体戻りラインCFL2の流路を流れる流体を外部に排出する第2ドレインラインDL2が接続されている。第2ドレインラインDL2は第2流量計FM2と第2戻り弁RV2との間に配置されており、第2ドレインラインDL2には、第2ドレインラインDL2の流路を開閉する第2ドレイン弁DV2が配置されている。第2ドレイン弁DV2は、通常は閉じられている。
【0035】
本実施形態に係る研磨装置の流体供給システム30は、複数の流体ライン(すなわち、加熱流体ラインHFLと冷却流体ラインCFL)を含んでいる。一実施形態では、流体供給システム30は、加熱流体ラインHFLと冷却流体ラインCFLのいずれか一方を有していてもよいし、加熱流体ラインHFLと冷却流体ラインCFLとは異なる1つのまたは複数の流体ラインをさらに有していてもよい。すなわち、流体供給システム30は、少なくとも1つの流体ラインを有していればよい。
【0036】
パッド温度調整システム5は、研磨パッド3の表面温度(以下、パッド表面温度ということがある)を測定するパッド温度測定器39をさらに備えている。パッド温度測定器39は、研磨パッド3の表面3aの上方に配置されており、非接触で研磨パッド3の表面温度を測定するように構成されている。パッド温度測定器39は、動作制御部40に接続されている。動作制御部40は、パッド温度測定器39により測定されたパッド表面温度に基づいて第1流量制御弁R1および第2流量制御弁R2を操作する。
【0037】
動作制御部40は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。動作制御部40は、プログラムが格納された記憶装置40aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置40bを備えている。記憶装置40aは、RAMなどの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。処理装置40bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部40の具体的構成はこの例に限定されない。
【0038】
動作制御部40は、予め設定された目標温度と、研磨パッド3の表面温度との差を無くすために必要な第1流量制御弁R1の操作量および第2流量制御弁R2の操作量を決定するように構成されている。第1流量制御弁R1の操作量および第2流量制御弁R2の操作量は、第1流量制御弁R1および第2流量制御弁R2にそれぞれに送信される。
【0039】
第1流量制御弁R1の操作量および第2流量制御弁R2の操作量は、言い換えれば、弁開度である。動作制御部40が第1流量制御弁R1の弁開度を調整することにより、加熱流体供給ラインHFL1を流れる加熱流体の流量が調整される。同様に、動作制御部40が第2流量制御弁R2の弁開度を調整することにより、冷却流体供給ラインCFL1を流れる冷却流体の流量が調整される。
【0040】
加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLは、完全に独立した配管である。したがって、加熱流体および冷却流体は、混合されることなく、熱交換器11に供給され、該熱交換器11から排出される。熱交換器11は、内部に加熱流路および冷却流路(図示しない)を有する。加熱流路および冷却流路は、それぞれ加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLの一部である。本実施形態では、熱交換器11の底面63は円形である。一実施形態では、底面63は四角形、五角形などの多角形状を有してもよい。加熱流路、冷却流路、および底面63を形成する材料には、SiC或いはアルミナなどの熱伝導性、耐摩耗性、耐食性に優れた材料を使用することができる。
【0041】
加熱流路および冷却流路は、熱交換器11内で完全に分離して隣接しており、加熱流体および冷却流体が混合されることはない。熱交換器11の底面63のほぼ全体は、加熱流路および冷却流路の下方に位置する。このような配置によれば、熱交換器11は、その底面63の全体において、加熱流体と冷却流体の両方によって研磨パッド3の表面3aの温度を制御し、均一な温度分布を形成することができる。
【0042】
研磨テーブル2および研磨パッド3が回転している間、熱交換器11内を流れる加熱流体および冷却流体は、研磨パッド3と熱交換を行う。ウェーハWの研磨中は、熱交換器11と研磨パッド3の表面との間に研磨液(スラリー)が存在した状態で、熱交換器11を流れる加熱流体および冷却流体と研磨パッド3との間で熱交換が行われ、これによりパッド表面温度が制御される。上記熱交換器11を備えた研磨装置は、ウェーハなどの基板を研磨して均一な研磨プロファイルを達成することができる。
【0043】
熱交換器11の内部に形成されている加熱流路を含む加熱流体ラインHFLを流れる流体が、加熱流体ラインHFLの破損(例えば、熱交換器11の破損)などの原因によって加熱流体ラインHFLから漏洩することがある。同様に、熱交換器11の内部に形成されている冷却流路を含む冷却流体ラインCFLを流れる流体が、冷却流体ラインCFLの破損などの原因によって冷却流体ラインCFLから漏洩することがある。加熱流体ラインHFLおよび/または冷却流体ラインCFLから漏洩した加熱流体および/または冷却流体が研磨パッド3の表面3aに付着した状態で、ウェーハWが研磨されると、ウェーハWの研磨レートの低下および/またはウェーハWの汚染が生じるおそれがある。
【0044】
そこで、図1に示すように、研磨装置は、加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLからの流体の漏洩を検出するための漏洩検出システム200を備えている。本実施形態では、漏洩検出システム200は、第1供給弁SV1から第1戻り弁RV1まで延びる加熱流体ラインHFLからの流体の漏洩と、第2供給弁SV2から第2戻り弁RV2まで延びる冷却流体ラインCFLからの流体の漏洩を検出するシステムとして構成されている。
【0045】
漏洩検出システム200は、流体の漏洩を検出するための流体が貯留される流体供給源(図示せず)に接続された漏洩検出ライン201を備えている。流体供給源から漏洩検出ライン201に供給される流体は、例えば、純水である。漏洩検出ライン201は、流体供給源から延びるメインライン201aと、メインライン201aから分岐して加熱流体ラインHFLに連結される第1連結ライン201bと、メインライン201aから分岐して冷却流体ラインCFLに連結される第2連結ライン201cと、を備えている。
【0046】
メインライン201aには、漏洩検出ライン201を流れる流体の流量を調整可能な流量調整装置である流量制御弁205が配置されている。流量制御弁205の例としては、マスフローコントローラが挙げられる。流量制御弁205は、動作制御部40に接続されており、動作制御部40は、流量制御弁205の動作を制御して、漏洩検出ライン201を流れる流体の流量を制御する。
【0047】
メインライン201aには、漏洩検出ライン201を流れる流体の流量を測定する流量計203がさらに配置されている。流量計203は、第1連結ライン201bおよび第2連結ライン201cの上流側に位置している。流量計203は、流量の測定値を動作制御部40に送信するように構成されている。
【0048】
第1連結ライン201bは、流量計203の下流側でメインライン201aから分岐しており、第1供給弁SV1と熱交換器11との間の位置で加熱流体供給ラインHFL1に連結されている。一実施形態では、第1連結ライン201bは、第1戻り弁RV1と熱交換器11との間の位置で加熱流体戻りラインHFL2に接続されてもよい。
【0049】
第2連結ライン201cは、流量計203の下流側でメインライン201aから分岐しており、第2供給弁SV2と熱交換器11との間の位置で冷却流体供給ラインCFL1に連結されている。一実施形態では、第2連結ライン201cは、第2戻り弁RV2と熱交換器11との間の位置で冷却流体戻りラインCFL2に接続されてもよい。
【0050】
漏洩検出システム200は、第1連結ライン201bに配置された第1開閉弁202Aを備えており、第1開閉弁202Aは、動作制御部40に接続されている。さらに、漏洩検出システム200は、第2連結ライン201cに配置された第2開閉弁202Bを備えており、第2開閉弁202Bは、動作制御部40に接続されている。第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bは、電動弁、電磁弁、エアオペレート弁などのアクチュエータ駆動型弁である。
【0051】
動作制御部40は、第1供給弁SV1、第2供給弁SV2、第1戻り弁RV1、第2戻り弁RV2、第1ドレイン弁DV1、第2ドレイン弁DV2、第1流量制御弁R1、第2流量制御弁R2、第1流量計FM1、および第2流量計FM2にも接続されている。上記弁SV1,SV2,RV1,RV2,DV1,DV2も、電動弁、電磁弁、エアオペレート弁などのアクチュエータ駆動型弁である。
【0052】
漏洩検出ライン201は、メインライン201aから分岐して、加熱流体ラインHFLに連結される第3連結ライン201dをさらに備えている。第3連結ライン201dは、流量計203と流量制御弁205との間の位置でメインライン201aから分岐しており、第1供給弁SV1と熱交換器11との間の位置で加熱流体供給ラインHFL1に連結されている。第3連結ライン201dは、第1連結ライン201bおよび第2連結ライン201cよりも上流側に位置している。第3連結ライン201dには、その流路を開閉する第3開閉弁210が配置されている。動作制御部40は、この第3開閉弁210に接続されており、第3開閉弁210の開閉動作を制御可能に構成される。第3開閉弁210は、電動弁、電磁弁、エアオペレート弁などのアクチュエータ駆動型弁である。
【0053】
第3連結ライン201dは、加熱流体ラインHFLの温度を低下させるために、流体を漏洩検出ライン201から加熱流体ラインHFLに供給するための流体ラインである。上述したように、研磨装置でウェーハWを研磨する際には、熱交換器11に加熱流体が供給されるので、加熱流体ラインHFLの温度が上昇する。したがって、研磨装置のメンテナンスを行う際に、温度が高い状態に維持された加熱流体ラインHFLに作業者が接触すると、作業者がやけどするおそれがある。安全に研磨装置のメンテナンスを実行するために、動作制御部40は、第3供給弁210を開いて、第3連結ライン201dを介して流体を加熱流体ラインHFLに供給する。このとき、動作制御部40は、第1供給弁SV1および第1戻り弁RV1を閉じて、第1ドレイン弁DV1を開く。これにより、加熱流体ラインHFLの加熱流体は、漏洩検出ライン201を流れる低温の流体に置換されるため、素早く加熱流体ラインHFLの温度を低下させることができる。
【0054】
本実施形態では、動作制御部40は、加熱流体ラインHFLの流体漏洩検出動作(第1漏洩検出動作)と、冷却流体ラインCFLの流体漏洩検出動作(第2漏洩検出動作)とを実行するように構成されている。動作制御部40は、第1漏洩検出動作と、第2漏洩検出動作とを別個に実行する。第2漏洩検出動作は、第1漏洩検出動作と同様であるため、以下では、第1漏洩検出動作について説明する。
【0055】
図2は、第1漏洩検出動作での弁の開閉状態を示す模式図である。図2において、白抜きの弁の記号は開状態の弁であることを示しており、黒塗りの弁の記号は閉状態の弁であることを示している。第1漏洩検出動作は、研磨処理が行われていないときに実行される。具体的には、動作制御部40は、研磨ヘッド1に指令を発してウェーハWを研磨パッド3から離間させ、供給弁SV1,SV2および戻り弁RV1,RV2を閉じ、第1開閉弁202Aを開く。第2開閉弁202B、第3開閉弁210、およびドレイン弁DV1,DV2は閉じられたままである。この状態で、動作制御部40は、第1漏洩検出動作を開始する。
【0056】
図3は、第1漏洩検出動作を示すフローチャートである。動作制御部40は、供給弁SV1,SV2および戻り弁RV1,RV2を閉じ、第1開閉弁202Aを開く(ステップS101)。第1開閉弁202Aが開かれると同時またはその後に、動作制御部40は、漏洩検出ライン201内の流体の流量の測定値を流量計203から取得し(ステップS102)、漏洩検出ライン201内の流体の流量のモニタリングを開始する。漏洩検出ライン201に配置された流量計203は、加熱流体供給ラインHFL1に配置された第1流量計FM1の測定精度よりも高い測定精度を有している。本実施形態では、流量計203は、微小な流量を検出可能な微小流量計である。加熱流体ラインHFLを通常流れる加熱流体の流量が6l/min程度である場合は、微小流量計は、例えば、0.2ml/min~2.0ml/minの範囲内の流体の流量を測定することが可能な流量計である。
【0057】
次に、動作制御部40は、第1開閉弁202Aを開いてから所定時間(以下、「ディレイ時間」と称する)が経過した後で、取得された流体の流量と所定のしきい値との比較を開始する(ステップS103)。第1開閉弁202Aが開かれた直後では、漏洩検出ライン201内の流体の流量が急激に上昇することが予想される。そのため、動作制御部40が正確な漏洩検出を行えない可能性があるので、流量の上昇が収束するディレイ時間を設けている。動作制御部40は、このディレイ時間が経過した後で、取得された流体の流量と所定のしきい値との比較を開始するように構成されている。
【0058】
取得された流量が所定のしきい値よりも大きい場合(ステップS103の「YES」)、動作制御部40は、加熱流体ラインHFLからの流体の漏洩を決定する(ステップS104)。この場合、動作制御部40は、リークアラームを発報し、研磨装置の運転を停止する(ステップS105)。流体の流量が所定のしきい値以下の場合(ステップS103の「NO」)、動作制御部40は第1漏洩検出動作を終了し、その後、動作制御部40は、冷却流体ラインCFLの流体漏洩検出動作、すなわち第2漏洩検出動作を実施する。
【0059】
一実施形態では、動作制御部40は、流体の流量が所定のしきい値よりも大きい状態が所定時間(例えば、5秒)継続した場合に、加熱流体ラインHFLからの流体の漏洩を決定してもよい。この所定時間は、例えば、実験によって決定される。
【0060】
冷却流体ラインCFLからの流体の漏洩を検出するための第2漏洩検出動作は、第1漏洩検出動作と同様に行われる。具体的には、動作制御部40は、第1開閉弁202Aを閉じ、第2開閉弁202Bを開き、その後、図3のフローチャートと同様にして第2漏洩検出動作を実行する。一実施形態では、動作制御部40は、第1漏洩検出動作と第2漏洩検出動作を同時に行ってもよい。その場合は、動作制御部40は、第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bの両方を開き、その後、図3のフローチャートと同様にして第2漏洩検出動作を実行する。
【0061】
次に、漏洩検出システム200自体の不具合の検査方法について説明する。漏洩検出システム200の不具合の例として、漏洩検出ライン201からの流体の漏洩や、流量計203の故障が挙げられるが、これに限らない。
【0062】
図4は、漏洩検出システム200の検査中の弁の開閉状態を示す模式図である。図4において、白抜きの弁の記号は開状態の弁であることを示しており、黒塗りの弁の記号は閉状態の弁であることを示している。図4に示すように、動作制御部40は、供給弁SV1,SV2および戻り弁RV1,RV2を閉じ、第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bを開く。第3開閉弁210は閉じられたままである。さらに、動作制御部40は、第1ドレイン弁DV1および第2ドレイン弁DV2を開く。流体(例えば純水)は、漏洩検出ライン201を流れ、熱交換器11を含む加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLを満たし、そして第1ドレインラインDL1および第2ドレインラインDL2を通じて排出される。
【0063】
動作制御部40は、漏洩検出ライン201内の流体の流量の測定値を流量計203から取得し、取得された流体の流量と所定の基準値との比較を開始する。漏洩検出システム200に不具合がなければ、流量計203によって測定された流量は、第1ドレインラインDL1および第2ドレインラインDL2を通じて排出される流体の流量に相当し、その流量は想定された値を示す。これに対し、漏洩検出システム200に不具合があると、流量計203によって測定された流量は、想定された値に到達できない。例えば、漏洩検出ライン201からの流体の漏洩が生じている場合や、流量計203自体に不具合がある場合には、流量計203によって測定された流量は、想定された値よりも低い。
【0064】
そこで、流量計203によって測定された流量が所定の基準値よりも小さい場合、動作制御部40は、漏洩検出システム200に不具合があることを決定する。この場合、動作制御部40は、アラームを発報し、研磨装置の運転を停止する。流体の流量が所定の基準値以上の場合、動作制御部40は、漏洩検出システム200の検査を終了する。
【0065】
図5は、漏洩検出システム200の検査の一実施形態を示すフローチャートである。図5に示すように、この実施形態では、動作制御部40は、漏洩検出システム200の検査の前に上述した第1漏洩検出動作および第2漏洩検出動作を実行し、加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLからの流体の漏洩がないことを決定する(ステップS201)。
【0066】
続いて、第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bが開かれた状態であって、かつ供給弁SV1,SV2、戻り弁RV1,RV2、および第3開閉弁210が閉じられた状態で、動作制御部40は、第1ドレイン弁DV1および第2ドレイン弁DV2を開く(ステップS202)。流体(例えば純水)は、漏洩検出ライン201を流れ、熱交換器11を含む加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLを満たし、そして第1ドレインラインDL1および第2ドレインラインDL2を通じて排出される。
【0067】
動作制御部40は、漏洩検出ライン201内の流体の流量の測定値を流量計203から取得し(ステップS203)、取得された流体の流量と所定の基準値との比較を開始する(ステップS204)。取得された流量が所定の基準値よりも小さい場合(ステップS204の「YES」)、動作制御部40は、漏洩検出システム200に不具合があることを決定する(ステップS205)。この場合、動作制御部40は、アラームを発報し、研磨装置の運転を停止する(ステップS206)。流体の流量が所定の基準値以上の場合(ステップS204の「NO」)、動作制御部40は、漏洩検出システム200の検査を終了する。
【0068】
上記所定の基準値が小さすぎると(例えば1ml/min)、不具合を正確に検出することが困難である。したがって、上記所定の基準値は、例えば2ml/minに設定される。この基準値は、任意に設定されるが、前述した第1漏洩検出動作および第2漏洩検出動作で設定したしきい値と同じでもよいし、漏洩検出システム200に不具合がないときに第1ドレインラインDL1および第2ドレインラインDL2を流れる流体の流量と同じか、またはそれよりも小さい値に設定してもよい。
【0069】
図6は、流体漏洩検出動作および漏洩検出システム200の検査を連続して実施しているときの、漏洩検出ライン201内の流体の流量の変化を示すグラフである。図6に示す例では、加熱流体ラインHFLの第1漏洩検出動作と、冷却流体ラインCFLの第2漏洩検出動作は同時に行われ、その後に続いて、図4および図5に示す実施形態に従って漏洩検出システム200の検査が行われる。
【0070】
具体的には、動作制御部40は、供給弁SV1,SV2および戻り弁RV1,RV2が閉じられた状態で、第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bを開く。その後、所定のディレイ時間が経過した後、動作制御部40は、流量としきい値との比較を開始する。さらに、動作制御部40は、供給弁SV1,SV2および戻り弁RV1,RV2が閉じられた状態であって、かつ第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bが開かれた状態で、第1ドレイン弁DV1および第2ドレイン弁DV2を開く。流体は、第1ドレインラインDL1および第2ドレインラインDL2を通って排出されながら、動作制御部40は、漏洩検出ライン201内の流体の流量を基準値と比較する。
【0071】
上述した実施形態では、加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLから流体の漏洩がないことを確認した後に行ったが、漏洩検出システム200の検査のみを独立して行ってもよい。すなわち、動作制御部40は、研磨処理が行われていないときに、第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bを開き、第1ドレイン弁DV1および第2ドレイン弁DV2を開く。その後、動作制御部40は、流量の測定値を流量計203から取得し、流量を所定の基準値と比較して漏洩検出システム200の不具合の有無を決定してもよい。
【0072】
図4乃至図6を参照して説明した実施形態によれば、専用治具等を用いることなく、漏洩検出システム200の不具合の有無を検査することができる。したがって、漏洩検出システム200の検査時間を短縮することができる。
【0073】
図7は、他の実施形態に係る漏洩検出システム200の検査中の弁の開閉状態を示す模式図である。図7において、白抜きの弁の記号は開状態の弁であることを示しており、黒塗りの弁の記号は閉状態の弁であることを示している。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0074】
図7に示すように、漏洩検出システム200の検査は、第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bを閉じ、かつ供給弁SV1,SV2および戻り弁RV1,RV2を開いた状態で行う。漏洩検出システム200の検査中、第3開閉弁210、第1ドレイン弁DV1、および第2ドレイン弁DV2は閉じられている。本実施形態によれば、流体は、漏洩検出ライン201から加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLに流れないので、漏洩検出システム200の検査は、パッド温度調整機能を維持したまま行うことができる。
【0075】
図8は、図7に示す実施形態に係る漏洩検出システム200の検査を示すフローチャートである。図8に示すように、動作制御部40は、第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bを閉じる(ステップS301)。そして、動作制御部40は、漏洩検出ライン201内の流体の流量の測定値を流量計203から取得し(ステップS302)、取得された流体の流量が所定の範囲内にあるか否かを判断する(ステップS303)。取得された流量が所定の範囲外のとき(ステップS303の「NO」)、動作制御部40は、漏洩検出システム200に不具合があることを決定する(ステップS304)。この場合、動作制御部40は、アラームを発報すると同時に、研磨装置の運転を停止する(ステップS305)。流体の流量が所定の範囲内にある場合(ステップS303の「YES」)、動作制御部40は、漏洩検出システム200の検査を終了する。
【0076】
図9は、漏洩検出システム200の検査を実施しているときの流量の変化を示すグラフである。第1連結ライン201bまたは第2連結ライン201cから流体が漏洩している場合、第1開閉弁202Aおよび第2開閉弁202Bを閉じていてもメインライン201a内を流体が流れる。流量計203から得られる流量の測定値が所定の範囲外を示すとき、動作制御部40は、流体が漏洩していることを決定することができる。流量計203の一例として、歯車式の場合は、流体が下流側から上流側に流れるとき、流量計203は負の値を示す。不具合の状態によっては、流体が下流側から上流側に流れる場合もあるため、所定の範囲は、0を含む任意の範囲に設定してもよい。流量計203の一例として歯車式を挙げたが、本発明はこの実施形態に限定されない。一実施形態では、熱式、超音波式の流量計を用いてもよい。
【0077】
図7乃至図9を参照して説明した実施形態では、パッド温度調整機能を停止することなく、また専用治具等を用いることなく、漏洩検出システム200の不具合の有無を検査することができる。したがって、漏洩検出システム200の検査時間を短縮できる。また、研磨処理中であっても検査可能であるため、作業負担も少ない。
【0078】
上述した実施形態では、パッド温調装置5の加熱流体ラインHFLおよび冷却流体ラインCFLからの流体の漏洩を確認するシステムの検査方法が説明されたが、本発明はこの実施形態に限定されない。本発明は、流体が流れる流体ラインと、流体ラインに配置された供給弁および戻り弁とを有する装置全般に適用可能である。例えば、プレス機に供給されるオイルが流れる流体ラインからのオイルの漏洩を確認するために、上述した実施形態に係る流体の漏洩検出方法を用いてもよい。プレス機に供給されるオイルは、例えば、金型を移動させるための油圧シリンダなどのアクチュエータに用いられる。あるいは、チラーの冷媒が流れる流体ラインからの該冷媒の漏洩を確認するために、上述した実施形態に係る流体の漏液確認方法を使用してもよい。また、流体ラインを流れる流体は、液体、気体に限定されない。
【0079】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0080】
1 研磨ヘッド
2 研磨テーブル
3 研磨パッド
5 パッド温度調整システム
11 熱交換器
30 流体供給システム
31 加熱流体供給タンク
32 ポンプ
39 パッド温度測定器
40 動作制御部
40a 記憶装置
40b 処理装置
63 底面
200 漏洩検出システム
201 漏洩検出ライン
201a メインライン
201b 第1連結ライン
201c 第2連結ライン
201d 第3連結ライン
202A 第1開閉弁
202B 第2開閉弁
203 流量計
205 流量制御弁
210 第3開閉弁
HFL 加熱流体ライン
HFL1 加熱流体供給ライン
HFL2 加熱流体戻りライン
CFL 冷却流体ライン
CFL1 冷却流体供給ライン
CFL2 冷却流体戻りライン
SV1 第1供給弁
SV2 第2供給弁
R1 第1流量制御弁
R2 第2流量制御弁
RV1 第1戻り弁
RV2 第2戻り弁
FM1 第1流量計
FM2 第2流量計
DL1 第1ドレインライン
DL2 第2ドレインライン
DV1 第1ドレイン弁
DV2 第2ドレイン弁

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10