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特許7527150基板処理装置及び搬送スケジュール作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】基板処理装置及び搬送スケジュール作成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240726BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/68 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020133022
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029637
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】松山 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 裕一郎
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-283094(JP,A)
【文献】特開2004-311511(JP,A)
【文献】特開平11-045926(JP,A)
【文献】米国特許第05668733(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0228195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
所定の処理を行う複数の処理部と、
搬送対象体を搬送する搬送機構と、を備え、
複数の搬送対象体が、予め定められた搬入順序で前記基板処理装置内に搬入され、
搬送対象体を前記搬送機構によって少なくとも1つの前記処理部に搬送し当該搬送対象体に対し処理を行うためのプロセスジョブを取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
一の搬送対象体について前記処理部への搬送を開始する前に、前記一の搬送対象体とそれより先に前記基板処理装置内に搬入された先搬入の搬送対象体とで、前記プロセスジョブが異なり、且つ、互いの前記プロセスジョブに、前記処理部が重複し得る同種の処理が含まれる場合、前記先搬入の搬送対象体に対する前記同種の処理が完了する前に前記一の搬送対象体に対して前記同種の処理を先行して実施する先行実施を行うことの可否を判定し、
前記一の搬送対象体に対し、前記プロセスジョブに基づく処理を行う前記処理部が、単一であり、且つ、前記先搬入の搬送対象体と重複する場合、当該重複する処理部に前記先搬入の搬送対象体が到達するまでの予定時間より、当該処理部から前記一の搬送対象体が搬出されるまでの予定時間が短いか否かに基づいて、前記先行実施を行うか否か判定し、
前記一の搬送対象体が搬出されるまでの予定時間の方が短い場合、前記先行実施を行うと判定する、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記プロセスジョブに基づく処理を行う前記処理部が前記一の搬送対象体と前記先搬入の搬送対象体とで重複するか否かに基づいて、前記先行実施を行うか否か判定し、
重複しない場合、前記先行実施を行うと判定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記プロセスジョブに基づく処理を行う前記処理部が、前記一の搬送対象体と前記先搬入の搬送対象体とで複数重複する場合、重複する前記処理部それぞれにおいて、当該処理部に前記先搬入の前記搬送対象体が到達するまでの予定時間より、当該処理部から前記一の搬送対象体が搬出されるまでの予定時間が短いか否かに基づいて、前記先行実施を行うか否か判定し、
重複する前記処理部それぞれにおいて前記一の搬送対象体が搬出されるまでの予定時間の方が短い場合、前記先行実施を行うと判定する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
搬送対象体が待機する待機部をさらに備え、
前記搬送機構は、前記待機部へ搬送することが搬送スケジュールで指定されている搬送対象体について、予め定められた条件を満たす場合、前記待機部を経由しないように搬送する、請求項1~のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記搬送機構は、当該搬送機構によって搬送可能な状態の搬送対象体が前記基板処理装置内に複数存在する場合、前記処理部による処理が未だ行われていない搬送対象体を優先して搬送する、請求項1~のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
搬送対象体は、所定のパターンが形成されたマスクの製造に用いられるマスク基板である、請求項1~のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を処理する基板処理装置内での、搬送対象体の搬送スケジュールを作成する方法であって、
前記基板処理装置は、
所定の処理を行う複数の処理部と、
搬送対象体を搬送する搬送機構と、を備え、
複数の搬送対象体が、予め定められた搬入順序で前記基板処理装置内に搬入され、
前記方法は、
搬送対象体を前記搬送機構によって少なくとも1つの前記処理部に搬送し当該搬送対象体に対し処理を行うためのプロセスジョブを取得する工程と、
一の搬送対象体について前記処理部への搬送を開始する前に、前記一の搬送対象体とそれより先に前記基板処理装置内に搬入された先搬入の搬送対象体とで、前記プロセスジョブが異なり、且つ、互いの前記プロセスジョブに、前記処理部が重複し得る同種の処理が含まれる場合、前記先搬入の搬送対象体に対する前記同種の処理が完了する前に前記一の搬送対象体に対して前記同種の処理を先行して実施する先行実施を行うことの可否を判定する工程と、を含み、
当該判定する工程は、
前記一の搬送対象体に対し、前記プロセスジョブに基づく処理を行う前記処理部が、単一であり、且つ、前記先搬入の搬送対象体と重複する場合、当該重複する処理部に前記先搬入の搬送対象体が到達するまでの予定時間より、当該処理部から前記一の搬送対象体が搬出されるまでの予定時間が短いか否かに基づいて、前記先行実施を行うか否か判定し、
前記一の搬送対象体が搬出されるまでの予定時間の方が短い場合、前記先行実施を行うと判定する、搬送スケジュール作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び搬送スケジュール作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、算出された最小待機サイクルが先投入基板の所定の処理手順の実行に必要な循環搬送の回数に対応する標準待機サイクル未満の場合に、搬送ロボットによる後投入の基板の最初の循環搬送を、先投入の基板の循環搬送の後、最小待機サイクル以上で標準待機サイクル未満の範囲内で遅延させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-153765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板を処理する基板処理装置において、スループットをより向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板を処理する基板処理装置であって、所定の処理を行う複数の処理部と、搬送対象体を搬送する搬送機構と、を備え、複数の搬送対象体が、予め定められた搬入順序で前記基板処理装置内に搬入され、搬送対象体を前記搬送機構によって少なくとも1つの前記処理部に搬送し当該搬送対象体に対し処理を行うためのプロセスジョブを取得する制御部をさらに備え、前記制御部は、一の搬送対象体について前記処理部への搬送を開始する前に、前記一の搬送対象体とそれより先に前記基板処理装置内に搬入された先搬入の搬送対象体とで、前記プロセスジョブが異なり、且つ、互いの前記プロセスジョブに、前記処理部が重複し得る同種の処理が含まれる場合、前記先搬入の搬送対象体に対する前記同種の処理が完了する前に前記一の搬送対象体に対して前記同種の処理を先行して実施する先行実施を行うことの可否を判定し、前記一の搬送対象体に対し、前記プロセスジョブに基づく処理を行う前記処理部が、単一であり、且つ、前記先搬入の搬送対象体と重複する場合、当該重複する処理部に前記先搬入の搬送対象体が到達するまでの予定時間より、当該処理部から前記一の搬送対象体が搬出されるまでの予定時間が短いか否かに基づいて、前記先行実施を行うか否か判定し、
前記一の搬送対象体が搬出されるまでの予定時間の方が短い場合、前記先行実施を行うと判定する
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板を処理する基板処理装置において、スループットをより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる基板処理装置の内部構成の概略を示す説明図である。
図2】本実施形態にかかる基板処理装置の内部構成の概略を示す正面図である。
図3】本実施形態にかかる基板処理装置の内部構成の概略を示す背面図である。
図4】搬送スケジュールの作成処理の一例の流れを示すフローチャートである。
図5】搬送スケジュールの一例を示す図である。
図6】搬送スケジュールの作成処理の他の例の流れを示すフローチャートである。
図7】搬送スケジュールの他の例を示す図である。
図8】搬送スケジュールの作成処理の他の例の流れを示すフローチャートである。
図9】搬送スケジュールの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいては、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成している。このフォトリソグラフィー処理では、所定のパターンが形成されたマスクを用いてウェハの露光処理が行われている。
【0009】
マスク用の基板に所定のパターンを形成する際にもフォトリソグラフィー処理が行われる。すなわち、先ず、基板上にレジスト液を塗布しレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、レジスト膜を所定のパターンに露光する露光処理、露光されたレジスト膜を加熱する加熱処理、露光され加熱されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、基板上に所定のレジストパターンが形成される。その後、このレジストパターンをマスクとして基板のエッチング処理が行われ、そのレジスト膜の除去処理などが行われて、基板に所定のパターンが形成される。
【0010】
上述のフォトリソグラフィー処理に含まれる各処理は、別々の処理ユニットで行われ、例えば、そのうちの複数の処理ユニットは1つの基板処理装置に搭載される。この基板処理装置内における基板の搬送スケジュールは、例えば、当該基板処理装置への搬入順に、基板毎に決定される。
【0011】
ところで、搬送スケジュールの決定方法によっては、処理ユニットが使用されない期間が長くなり、高いスループットが得られないことがある。例えば、基板処理装置で基板に対し行うべき処理が、連続して搬入される基板間で異なる場合、搬送スケジュールの決定方法によっては、処理ユニットが使用されない期間が長くなり、高いスループットが得られないことがある。そのため、従来、搬送スケジュールの決定方法が種々提案されている。
【0012】
本開示にかかる技術は、基板を処理する基板処理装置において、スループットをより向上させる。
【0013】
以下、本実施形態にかかる基板処理装置及び搬送スケジュール決定方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<基板処理装置>
図1は、本実施形態にかかる基板処理装置1の内部構成の概略を示す説明図である。図2及び図3は、各々基板処理装置1の内部構成の概略を示す、正面図と背面図である。以下では、基板としてマスク用の基板Gを処理する場合について説明する。基板Gは例えばガラスからなる。
【0015】
基板処理装置1は、図1に示すように例えば外部との間でカセットCが搬入出されるカセットステーション2と、現像処理やPEB(Post Exposure Bake)処理等の所定の処理を施す複数の各種処理ユニットを備えた処理ステーション3と、を有する。そして、基板処理装置1は、カセットステーション2と、処理ステーション3と、を一体に接続した構成を有している。また、基板処理装置1は、当該基板処理装置1の制御を行う制御部4を有している。
【0016】
カセットステーション2は、例えばカセット搬入出部10と基板搬送部11に分かれている。例えばカセット搬入出部10は、基板処理装置1のX方向負方向(図1の左方向)側の端部に設けられている。
【0017】
カセット搬入出部10には、カセット載置台12が設けられている。カセット載置台12上のY方向正方向(図1の上方向)側は、複数、例えば2つのカセットCを載置可能に構成されている。カセットCは、水平方向のY方向(図1の上下方向)に一列に並べて載置可能である。カセットCは、基板Gを収容可能、且つ、基板処理装置1の外部に設けられたOHT(Overhead Hoist Transfer)等のカセット搬送装置(図示せず)により搬送可能、に構成された可搬容器である。本実施形態では、各カセットCには基板Gが1枚のみ収容される。また、本実施形態では、後述の基板搬送ユニット21によって基板Gが払い出され空となったカセットCは、上記カセット搬送装置によってカセット載置台12上から除去され、基板Gを収容した別のカセットCが上記カセット搬送装置によってカセット載置台12上に載置される。空となったカセットCは、所定のタイミングで、上記カセット搬送装置によってカセット載置台12に戻され、このカセットCから搬出され基板処理装置1により処理された基板Gが、基板搬送ユニット21によって収納される。なお、以下では、基板処理装置1による処理前の基板Gを収容したカセットCをカセットC-IN、基板処理装置による処理後の基板Gを収容するカセットCをカセットC-OUTと言うことがある。
【0018】
また、カセット載置台12のY方向負方向(図1の下方向)側の内部には、待機部としてのバッファユニットSBUが設けられている。バッファユニットSBUは、基板Gを一時的に収容するものである。このバッファユニットSBUは、基板Gが、搬送開始から搬送終了までの間のいずれかのタイミングで待機する部分である。具体的には、バッファユニットSBUは、基板Gが、カセットC-INから搬入され、カセットC-OUTへ搬出されるまでの間のいずれかのタイミングで待機する部分である。なお、以下では、基板処理装置1による処理前の基板Gが待機する搬入側待機部としてのバッファユニットSBUをバッファユニットSBU‐IN、基板処理装置1による処理後の基板Gが待機する搬出側待機部としてのバッファユニットSBUをバッファ部SBU-OUTということがある。
【0019】
基板搬送部11には、図1に示すようにY方向に延びる搬送路20上を移動自在な搬送機構としての基板搬送ユニット21が設けられている。基板搬送ユニット21は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在である。基板搬送ユニット21により、カセット載置台12上のカセットCと、処理ステーション3の後述する第3のブロックG3の受け渡しユニットTRSとの間や、カセット載置台12上のカセットCとカセット載置台12上のバッファユニットSBUとの間、カセット載置台12上のバッファユニットSBUと上記第3のブロックG3の受け渡しユニットTRSとの間、で基板Gを搬送できる。
【0020】
処理ステーション3には、各種ユニットを備えた複数、例えば第1~第3の3つのブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のY方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられている。また、処理ステーション3のカセットステーション2側とは反対側(図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられ、処理ステーション3のカセットステーション2側(図1のX方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられている。
【0021】
第1のブロックG1には、例えば、図2に示すように、基板Gに対してスピン塗布処理可能に構成された2つの液処理ユニット30、31が積層されるように配置されている。液処理ユニット30は、現像処理用のものであり、液処理ユニット31は、リンス処理用のものである。リンス処理とは、現像処理の際に用いられる処理液を用いて基板Gの表面を洗浄する処理である。なお、液処理ユニット30、31の両方が、現像処理にもリンス処理にも用いられるようにしてもよい。液処理ユニット30は、例えば鉛直方向に2つ並べて配置されている。また、液処理ユニットの数や配置は、任意に選択できる。
【0022】
液処理ユニット30では、例えば所定の処理液を用いたスピン塗布処理が基板Gに対して行われる。スピン塗布処理では、例えば吐出ノズル(図示せず)から基板G上に処理液を吐出すると共に、基板Gを回転させて、処理液を基板Gの表面に拡散させる。
【0023】
第2のブロックG2には、例えば、図3に示すように、基板Gの加熱や冷却といった熱処理を行う5つの熱処理ユニット40~44が設けられている。熱処理ユニットの数や配置についても、任意に選択できる。
【0024】
熱処理ユニット40~44は、例えば、冷却板45と、熱板46と、を有する。熱処理ユニット40~44による基板Gの熱処理の際は、例えば、まず、冷却板45に基板Gが載置され、その後に、熱板46に載置される。冷却板45と熱板46との間の基板Gの受け渡しは、例えば、熱処理ユニット40~44に内蔵される搬送機構(図示せず)で行ってもよいし、後述の基板搬送ユニット60で行ってもよい。なお、以下では、冷却板45と熱板46との間の基板Gの受け渡しは、熱処理ユニット40~44内の搬送機構(図示せず)で行われるものとし、この搬送機構による搬送に要する時間は、熱処理ユニット40での熱処理時間に含まれるものとする。
【0025】
第3のブロックG3には、複数、例えば2つの受け渡しユニットTRSが設けられている。なお、以下では、基板処理装置1による処理前の基板Gが収容される受け渡しユニットTRSを受け渡しユニットTRS‐IN、基板処理装置1による処理後の基板Gが収容される受け渡しユニットTRSを受け渡しユニットTRS-OUTということがある。
また、第3のブロックG3には、洗浄用治具を格納する治具保管ユニット50が設けられている。
【0026】
図1に示すように、処理ステーション3の中央には、搬送機構としての基板搬送ユニット60が配置されている。
【0027】
基板搬送ユニット60は、例えばX方向、Y方向、θ方向及び鉛直方向に移動自在な搬送アーム61を有している。基板搬送ユニット60は、処理ステーション3内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2及び第3のブロックG3内の所定のユニットに基板Gを搬送できる。処理ステーション3に配置される基板搬送ユニット60の数は、1つでも複数でもよい。
【0028】
上述の制御部4は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、上述の各種処理ユニットや搬送ユニットなどの駆動系の動作を制御して、基板処理装置1による基板Gの処理を制御するプログラムが格納されている。また、後述の搬送スケジュール作成処理のためのプログラムもプログラム格納部に格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部4にインストールされたものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
【0029】
制御部4は、記憶部4a、取得部4b及び作成部4cを有する。
【0030】
記憶部4aは、各種情報を記憶するものであり、例えば、基板Gの搬送スケジュールを作成するためのデータ等を記憶する。なお、搬送スケジュールには、各基板Gの搬送先の情報及び搬送順序の情報、すなわち、搬送経路の情報が含まれ、さらに、各搬送先への搬送タイミングすなわち搬送時刻の情報も含まれる。また、上記搬送スケジュールを作成するためのデータは、例えば、搬送レシピ及び処理レシピである。
【0031】
搬送レシピには、カセットC-INから搬出された基板Gが基板処理装置1で処理されてカセットC-OUTに搬入されるまでの搬送経路を設定するための情報が設定されている。各搬送レシピは、順に実行される1または複数の搬送工程(ステップ)を含み、搬送工程毎に搬送先候補が1または複数設定されている。
【0032】
処理レシピには、各処理ユニットで行われる処理の内容に関する情報が設定されている。例えば、処理レシピには、液処理ユニット30の場合には、基板Gの回転速度や処理液の供給時間等に関する情報が設定され、熱処理ユニット40の場合には、温度設定値や温調時間等に関する情報が設定されている。処理レシピは、基板Gに設定されている後述のプロセスジョブに応じて、複数種類の中から選択することができる。
【0033】
取得部4bは、プロセスジョブを取得する。プロセスジョブは、基板Gを基板搬送ユニット21及び基板搬送ユニット60によって少なくとも1つの処理ユニットに搬送し当該基板Gに対し処理を行うためのものである。具体的には、プロセスジョブは、基板Gに対し処理ユニットを用いて行う処理を、基板群毎に定めるためのものである。プロセスジョブは、本実施形態では、カセットC毎に(前述のように本実施形態では各カセットCには1枚の基板Gが収容されるため)、すなわち、基板G1枚毎に、予め設定されている。また、プロセスジョブには、プロセスジョブの識別情報や、各プロセスジョブが設定される基板Gの識別情報や、各基板Gに対して実施される処理レシピを特定する情報が含まれる。
【0034】
このプロセスジョブは、例えば、基板処理装置1が設置される工場内の装置を管理するホストコンピュータ(図示せず)に記憶されており、取得部4bは、プロセスジョブを通信部(図示せず)を介して上記ホストコンピュータから取得する。
【0035】
本実施形態において、基板Gの搬送開始位置であるカセットC-INから基板処理装置1内への基板Gの搬入順は、予め定められている。作成部4cは、基板Gの搬送スケジュールを基板G毎且つ上記搬入順に決定する。なお、カセットC-INから基板処理装置1内への基板Gの搬入順は、当該基板Gが収容されたカセットC-INがカセット載置台12に載置された順である。
【0036】
作成部4cは、具体的には、プロセスジョブに設定されている情報に基づいて、スケジュール作成対象の基板G(以下、「作成対象の基板G」と省略することがある。)に対して実施される処理レシピを選択し、この処理レシピに設定されている処理を実行可能な処理ユニットを選択する。作成部4cは、選択した処理ユニットを含み、各処理ユニットに搬入されるまでに基板Gが通過する受け渡しユニットTRSやバッファユニットSBU等を含んだ搬送レシピを選択し、この搬送レシピ72に基づいて、スケジュール作成対象の基板Gの搬送経路を決定する。そして、作成部4cは、決定した搬送経路に基づいて、スケジュール作成対象の基板Gの搬送スケジュールを作成する。
【0037】
作成部4cが作成した搬送スケジュールは記憶部4aに記憶される。
作成部4cによる、より具体的な搬送スケジュールの作成方法については後述する。
【0038】
次に、以上のように構成された基板処理装置1の動作の一例について説明する。
カセット搬送装置(図示せず)によって、カセット載置台12にカセットC-INが搬入されると、取得部4bが、このカセットC-INに収容されている1枚の基板Gについてのプロセスジョブをホストコンピュータ(図示せず)から取得する。次いで、作成部4cが、カセットに収容されている1枚の基板Gについて、取得部4bが取得したプロセスジョブに基づいて、搬送スケジュールを作成する。
【0039】
そして、作成された搬送スケジュールに基づいて、制御部4が、基板搬送ユニット21、60等を制御し、基板Gを搬送しながら、プロセスジョブに基づく処理をこの基板Gに対して行う。例えば、まず、基板搬送ユニット21が、基板Gを、カセットC-INから基板処理装置1内に搬入する。なお、カセットC-INは、基板Gが払い出されると、カセット搬送装置(図示せず)によってカセット載置台12から除去される。
【0040】
次いで、基板搬送ユニット21が、基板Gを、バッファユニットSBU-INを介して又は直接、受け渡しユニットTRS-INへ搬送する。次いで、基板搬送ユニット60が、搬送スケジュールにしたがって、プロセスジョブに基づいて選択された処理ユニットに搬送する。プロセスジョブに基づいて選択された処理ユニット全てで処理が完了すると、最後の処理を行った処理ユニットから、基板搬送ユニット60が、基板Gを、受け渡しユニットTRS-OUTに搬送する。そして、基板搬送ユニット21が、基板Gを、受け渡しユニットTRS-OUTから、バッファユニットSBU-OUTを介して又は直接、搬送終了位置であるカセットC-OUTに搬出する。なお、カセットC-OUTは、対応する基板Gが、受け渡しユニットTRS-OUTまたはバッファユニットSBU-OUTへ搬送されたときに、カセット載置台12に載置される。
【0041】
<搬送スケジュールの作成処理の例1>
続いて、搬送スケジュールの作成処理の一例について説明する。
【0042】
本実施形態では、前述のように、プロセスジョブは基板G1枚毎に予め設定されている。そのため、作成部4cによるスケジュール作成対象の基板Gと、スケジュール作成対象の基板Gが搬入される時点でプロセスジョブに基づく処理が未完了の、先搬入の基板G(以下、「未完了基板G」と省略することがある。)とでは、プロセスジョブ(の識別情報)が異なっている。なお、作成対象の基板Gが搬入される時点とは、具体的には、例えば、作成対象の基板Gを収納したカセットCが基板処理装置1に搬入された時点である。
また、作成対象の基板Gのプロセスジョブと未完了基板Gのプロセスジョブとで異なっていても、前者のプロセスジョブに含まれる、処理ユニットによる処理と同種の処理が、後者のプロセスジョブに含まれる場合がある。
【0043】
作成部4cは、作成対象の基板Gの搬送スケジュールを作成する際、上述のようにプロセスジョブが互いに異なるが双方に同種の処理が含まれる場合、以下のような判定を行う。すなわち、作成部4cは、未完了基板Gに対する上記同種の処理が完了する前に作成対象の基板Gに対して上記同種の処理を先行して実施する先行実施(以下、「同種処理の先行実施」ということがある。)を行うことの可否を判定する。この際、先に作成した、未完了基板Gの搬送スケジュールの変更は行なわない。そして、作成部4cは、同種処理の先行実施の可否の判定結果に基づいて、作成対象の基板Gの搬送スケジュールを作成する。この作成の際、搬送スケジュールに含まれるバッファユニットSBU-INでの待機時間を、上記判定結果に基づいて設定する。
【0044】
作成部4cは、例えば、未完了基板Gと、スケジュール作成対象の基板Gとで、プロセスジョブに基づく処理を行う処理ユニットが重複するか否かに基づいて、同種処理の先行実施の可否を判定する。そして、重複しない場合、作成部4cは、同種処理の先行実施が可能と判定する。
【0045】
図4は、作成部4cによる搬送スケジュールの作成処理の一例の流れを示すフローチャートである。図5は、本例の作成処理で作成された搬送スケジュールの一例を示す図である。なお、以下では、スケジュール作成対象の基板Gのプロセスジョブと未完了基板Gのプロセスジョブとに、同種の処理が含まれているものとする。
【0046】
作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gの搬送スケジュールを作成する際、まず、基本条件を満たすか否か判定する(ステップS1)。具体的には、取得部4bが取得したプロセスジョブの情報に基づいて、スケジュール作成対象の基板Gに対する処理に用いられる処理ユニットを含む、スケジュール作成対象の基板Gの搬送経路を決定する。また、作成部4cは、未完了基板Gについての搬送スケジュールを取得する。そして、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gの搬送経路及びプロセスジョブ、未完了基板Gについての搬送スケジュール等に基づいて、例えば以下の基本条件(A1)~(A4)を全て満たすか否か判定する。
【0047】
(A1)バッファユニットSBUの残り収納枚数以上の基板Gが処理ステーション3内に存在しない。
(A2)スケジュール作成対象の基板Gと、未完了基板Gとでは、プロセスジョブが異なる。
(A3)スケジュール作成対象の基板Gについて決定された搬送経路は、処理ステーション3内での全搬送工程(ステップ)に対しそれぞれ搬送先候補が1つのみ設定されている搬送レシピを使用している。
(A4)スケジュール作成対象の基板Gについて決定された搬送経路にバッファユニットSBU-IN及びバッファユニットSBU-OUTが含まれている。
【0048】
上記(A1)は、同種処理の先行実施を行ったときに、処理ステーション3内で基板Gが滞留するのを防ぐための条件である。
上記(A3)は、同種処理の先行実施の可否の判定を行う機会を限定的にするのための条件である。
上記(A4)のうち、バッファユニットSBU-INに関する条件は、先投入の基板Gについての処理終了まで処理ステーション3内への搬送を保留する必要がある基板Gのための条件である。また、バッファユニットSBU-OUTの条件は、対応するカセットC-OUTがカセット載置台12に載置されるまでカセットC-OUTへの搬送を保留する必要がある基板Gのための条件である。
【0049】
なお、上記(A3)の条件に代えて、上記搬送経路が以下の搬送レシピを使用している、ということを条件としてもよい。すなわち、作成対象の基板G及び未完了基板Gの両方のプロセスジョブに含まれる同種の処理に関する搬送工程のみを抽出した場合に、抽出した搬送工程に対しそれぞれ搬送先候補が1つのみ設定されている搬送レシピを使用している、という条件である。
【0050】
上述の基本条件を満たす場合(ステップS1、YESの場合)、作成部4cは、プロセスジョブに基づく処理を行う処理ユニットが、スケジュール作成対象の基板Gと未完了基板Gとで重複するか否かに基づいて、同種処理の先行実施の可否を判定する(ステップS2)。この判定は、作成部4cが決定したスケジュール作成対象の基板Gの搬送経路及び作成部4cが取得した未完了基板Gについての搬送スケジュール等に基づいて、行われる。
【0051】
処理ユニットが重複せず、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施が可能と判定する場合(ステップS2、NOの場合)、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施が行われるよう搬送スケジュールを作成する(ステップS3)。例えば、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、当該基板Gが、決定された搬送経路に沿って、プロセスジョブに基づく処理を行う処理ユニットに最短で搬送されるよう、バッファユニットSBU-INでの待機時間を設定し、搬送スケジュールを作成する。
【0052】
一方、ステップS2において、処理ユニットが重複し、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施不可と判定する場合(YESの場合)、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、従来と同様に搬送スケジュールを決定する(ステップS4)。例えば、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、バッファユニットSBU-INでの待機時間を以下のように設定して、搬送スケジュールを作成する。すなわち、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gと未完了基板Gとで重複する処理ユニットでの、未完了基板Gに対する処理が完了し、当該処理ユニットから未完了基板Gが搬出されるまで当該処理ユニットにスケジュール作成対象の基板Gが搬送されないように、バッファユニットSBU-INでの待機時間を設定する。
【0053】
また、ステップS1において、上述の基本条件を満たさない場合(NOの場合)、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、ステップS2と同様、従来と同様な方法で搬送スケジュールを作成する(ステップS4)。
【0054】
ここで、図5に示すように、プロセスジョブPJ1の基板G、プロセスジョブPJ2の基板G、プロセスジョブPJ3の基板GがカセットC-INからこの順で基板処理装置1に搬入されるものとする。また、プロセスジョブPJ1の基板Gについて既に搬送スケジュールが作成済みであるものとする。
プロセスジョブPJ1の基板Gの搬送経路は、カセットC-IN→バッファユニットSBU-IN→受け渡しユニットTRS-IN→リンス処理用の液処理ユニット31→熱処理ユニット40→現像処理用の液処理ユニット30→受け渡しユニットTRS-OUT→バッファユニットSBU-OUT→カセットC-OUTである。
プロセスジョブPJ2の基板Gの搬送経路は、カセットC-IN→バッファユニットSBU-IN→受け渡しユニットTRS-IN→現像処理用の液処理ユニット30→受け渡しユニットTRS-OUT→バッファユニットSBU-OUT→カセットC-OUTである。
プロセスジョブPJ3の基板Gの搬送経路は、カセットC-IN→バッファユニットSBU-IN→受け渡しユニットTRS-IN→熱処理ユニット41→受け渡しユニットTRS-OUT→バッファユニットSBU-OUT→カセットC-OUTである。
【0055】
プロセスジョブPJ2の基板Gは、プロセスジョブPJ1の未完了基板Gと、現像処理用の液処理ユニット30が重複するため、ステップS2におけるYESの場合に該当する。したがって、作成部4cは、プロセスジョブPJ2の基板Gについての搬送スケジュールを従来と同様に作成する。そのため、プロセスジョブPJ2の基板Gの搬送スケジュールは、プロセスジョブPJ1の液処理ユニット30での現像処理が終わってから、プロセスジョブPJ2の液処理ユニット30での現像処理が開始されるよう、バッファユニットSBU-INでの待機時間が長く設定されている。
【0056】
それに対し、プロセスジョブPJ3の基板Gは、プロセスジョブPJ1の未完了基板G、プロセスジョブPJ2の未完了基板Gとの間で、重複する処理ユニットがないため、ステップS2におけるNOの場合に該当する。したがって、作成部4cは、プロセスジョブPJ3の基板Gについては、同種処理(ここでは熱処理)の先行実施が行われるよう搬送スケジュールを作成し、具体的には、バッファユニットSBU-INでの待機時間が最短となるような搬送スケジュールを作成する。
【0057】
以上のように本実施形態では、作成部4cが、搬送スケジュールを作成する際に、スケジュール作成対象の基板Gと未完了基板Gとで、プロセスジョブが異なり、且つ、互いのプロセスジョブに同種の処理が含まれる場合、同種処理の先行実施を行うことの可否を判定する。したがって、基板処理装置1において、同種処理の先行実施を行うことの可否に基づいて搬送スケジュールを作成することで、各基板Gの基板処理装置1内への搬入から搬出までの時間(各処理ユニットでの処理の時間も含む)を短縮することができる。言い換えると、未完了基板Gとプロセスジョブが異なるスケジュール作成対象の基板Gについて、基板処理装置1内への搬入から搬出までの時間が短い搬送スケジュールを作成することができる。その結果、スループットをより向上させることができる。
【0058】
<搬送スケジュールの作成処理の例2>
本例では、作成部4cは、作成対象の基板Gに対し処理を行う処理ユニットが、単一であり、且つ、未完了基板Gと重複する場合、この重複する処理ユニットに未完了基板Gが到達するまでの予定時間より、当該処理ユニットからスケジュール作成対象の基板Gが搬出されるまでの予定時間が短いか否か判定する。そして、作成部4cは、上記搬出されるまでの予定時間の方が短い場合、同種処理の先行実施が可能と判定し、スケジュール作成対象の基板Gについて、上記判定結果に基づく搬送スケジュールを作成する。
【0059】
図6は、本例の搬送スケジュールの作成処理の流れを示すフローチャートである。図7は、本例の作成処理で作成された搬送スケジュールの一例を示す図である。なお、以下では、スケジュール作成対象の基板Gのプロセスジョブと未完了基板Gのプロセスジョブとに、同種の処理が含まれているものとする。
【0060】
作成部4cは、ステップS1において、前述の基本条件を満たす場合(ステップS1、YESの場合)、スケジュール作成対象の基板Gに対し処理を行う処理ユニットが、単一であり、且つ、未完了基板Gと重複するか否か判定する(ステップS11)。この判定は、作成部4cが決定したスケジュール作成対象の基板Gの搬送経路及び作成部4cが取得した未完了基板Gについての搬送スケジュール等に基づいて、行われる。
【0061】
単一であるという条件、及び、重複するという条件の少なくともいずれか一方を満たさず、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施不可と判定する場合(ステップS11、NOの場合)、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、従来と同様に搬送スケジュールを決定する。
【0062】
一方、いずれも満たす場合(ステップS11、YESの場合)、作成部4cは、この重複する処理ユニットに未完了基板Gが到達するまでの予定時間T1より、当該処理ユニットからスケジュール作成対象の基板Gが搬出されるまでの予定時間T2が短いか否か判定する(ステップS12)。上記到達するまでの予定時間T1は、未完了基板Gの搬送スケジュールに基づいて、作成部4cが算出する。また、上記搬出されるまでの予定時間T2は、例えば、カセットC-INから当該処理ユニットに基板Gが到達するまでに要する最短の時間T21と当該処理ユニットでの処理時間T22とに基づいて、以下の式に従って作成部4cが算出する。
T2=T21+T22
【0063】
上記搬出されるまでの予定時間T2の算出に必要な、上記最短の時間T21の情報及び当該処理ユニットでの処理時間T22の情報のうち、前者は例えば記憶部4aに予め記憶されており、後者はプロセスジョブにより特定されるプロセスレシピに示されている。
【0064】
なお、作成部4cは、上記搬出されるまでの予定時間T2を、マージンT23を考慮して、以下の式に従って算出してもよい。
T2=T21+T22+T23
マージンT23は、例えば、他の基板Gを搬送することによる遅延時間等を考慮して設定される。
【0065】
上記到達するまでの予定時間T1より上記搬出されるまでの予定時間T2が長く、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施不可と判定する場合(ステップS12、NOの場合)、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、従来と同様に搬送スケジュールを決定する。
一方、上記到達するまでの予定時間T1より上記搬出されるまでの予定時間T2が短く、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施可能と判定する場合(ステップS12、YESの場合)、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施が行われるよう搬送スケジュールを作成する。
【0066】
ここで、図7に示すように、プロセスジョブPJ1の基板G、プロセスジョブPJ2の基板GがカセットC-INからこの順で基板処理装置1に搬入されるものとする。また、プロセスジョブPJ1の基板Gについて既に搬送スケジュールが作成済みであるものとする。
【0067】
プロセスジョブPJ2の基板Gは、当該基板Gに対し処理を行う処理ユニットが、現像処理用の液処理ユニット30のみ、すなわち単一であり、且つ、プロセスジョブPJ1の未完了基板Gと重複するため、ステップS11におけるYESの場合に該当する。また、プロセスジョブPJ1の未完了基板Gが現像処理用の液処理ユニット30に到達するまでの予定時間T1より、プロセスジョブPJ2の基板Gが現像処理用の液処理ユニット30から搬出されるまでの予定時間T2より短い。そのため、プロセスジョブPJ2の基板Gは、ステップS12におけるYESの場合に該当する。
したがって、作成部4cは、プロセスジョブPJ2の基板Gについては、同種処理の先行実施(現像処理の先行実施)が行われるよう搬送スケジュールを作成し、具体的には、バッファユニットSBU-INでの待機時間が最短となるような搬送スケジュールを作成する。
【0068】
同種処理の先行実施の可否を判定する条件が、上述のように、スケジュール作成対象の基板Gに対し処理を行う処理ユニットが単一であるという条件を含むことで以下の効果がある。すなわち、同種処理の先行実施が可能であるという判定をした場合に、他の処理を行う工程への影響の算出が不要なため、搬送スケジュールを容易に作成することができる、という効果がある。
【0069】
<搬送スケジュールの作成処理の例3>
本例では、作成部4cは、プロセスジョブに基づく処理を行う処理ユニットが、スケジュール作成対象の基板Gと、未完了基板Gとで、複数重複する場合、以下の判定を行う。すなわち、作成部4cは、重複する処理ユニットそれぞれについて、当該処理ユニットに未完了基板Gが到達するまでの予定時間より、当該処理ユニットからスケジュール作成対象の基板Gが搬出されるまでの予定時間が短いか否か判定する。そして、作成部4cは、重複する処理ユニットそれぞれにおいて、上記搬出されるまでの予定時間の方が短い場合、同種処理の先行実施が可能と判定し、スケジュール作成対象の基板Gについて、上記判定結果に基づく搬送スケジュールを作成する。
【0070】
図8は、本例の搬送スケジュールの作成処理の流れを示すフローチャートである。図9は、本例の作成処理で作成された搬送スケジュールの一例を示す図である。なお、以下では、スケジュール作成対象の基板Gのプロセスジョブと未完了基板Gのプロセスジョブとに、同種の処理が含まれているものとする。
【0071】
作成部4cは、ステップS1において、前述の基本条件を満たす場合(ステップS1、YESの場合)、プロセスジョブに基づく処理を行う処理ユニットが、スケジュール作成対象の基板Gと、未完了基板Gとで、複数重複するか否か判定する(ステップS21)。この判定は、作成部4cが決定したスケジュール作成対象の基板Gの搬送経路及び作成部4cが取得した未完了基板Gについての搬送スケジュール等に基づいて、行われる。
【0072】
複数重複しておらず、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施不可と判定する場合(ステップS21、NOの場合)、作成部4cは、スケジュール作成対象の基板Gについて、従来と同様に搬送スケジュールを決定する。
【0073】
一方、複数重複している場合(ステップS21、YESの場合)、作成部4cは、重複する複数の処理ユニットそれぞれについて、当該処理ユニットに未完了基板Gが到達するまでの予定時間T1より、当該処理ユニットからスケジュール作成対象の基板Gが搬出されるまでの予定時間T2が短いか否か判定する(ステップS22)。
【0074】
重複する処理ユニットのうち1つでも、上記到達するまでの予定時間T1より上記搬出されるまでの予定時間T2が長く、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施不可と判定する場合(ステップS12、NOの場合)、作成部4cは、このスケジュール作成対象の基板Gについて、従来と同様に搬送スケジュールを決定する。
一方、重複する処理ユニット全てにおいて、上記到達するまでの予定時間T1より上記搬出されるまでの予定時間T2が短く、スケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施可能と判定する場合(ステップS12、YESの場合)、作成部4cは、このスケジュール作成対象の基板Gについて、同種処理の先行実施が行われるよう搬送スケジュールを作成する。
【0075】
ここで、図9に示すように、プロセスジョブPJ1の基板G、プロセスジョブPJ4の基板GがカセットC-INからこの順で基板処理装置1に搬入されるものとする。また、プロセスジョブPJ1の基板Gについて既に搬送スケジュールが作成済みであるものとする。
【0076】
プロセスジョブPJ4の基板Gの搬送経路は、カセットC-IN→バッファユニットSBU-IN→受け渡しユニットTRS-IN→熱処理ユニット40→現像処理用の液処理ユニット30→受け渡しユニットTRS-OUT→バッファユニットSBU-OUT→カセットC-OUTである。
【0077】
プロセスジョブPJ4の基板Gは、プロセスジョブPJ1の未完了基板Gとの間で重複する処理ユニットが、熱処理ユニット40と現像処理用の液処理ユニット30の2つ、すなわち複数であるため、ステップS21におけるYESの場合に該当する。また、熱処理ユニット40と現像処理用の液処理ユニット30のそれぞれについて、プロセスジョブPJ1の未完了基板Gが処理ユニットに到達するまでの予定時間T1より、プロセスジョブPJ4の基板Gが処理ユニットから搬出されるまでの予定時間T2より短い。そのため、プロセスジョブPJ4の基板Gは、ステップS22におけるYESの場合に該当する。
したがって、作成部4cは、プロセスジョブPJ2の基板Gについては、同種処理の先行実施が行われるよう搬送スケジュールを作成し、具体的にはバッファユニットSBU-INでの待機時間が最短となるような搬送スケジュールを作成する。
【0078】
なお、搬送スケジュールの作成処理の例2、3における作成部4cの動作は、まとめて、以下のように言い換えることができる。
上記例2、3では、作成部4cは、プロセスジョブに基づく処理を行う処理ユニットが、スケジュール作成対象の基板Gと、未完了基板Gとで、重複する場合、重複する処理ユニットそれぞれについて、当該処理ユニットに未完了基板Gが到達するまでの予定時間より、当該処理ユニットからスケジュール作成対象の基板Gが搬出されるまでの予定時間が短いか否か判定する。そして、上記例2、3では、作成部4cは、重複する処理ユニットそれぞれにおいて、上記搬出されるまでの予定時間の方が短い場合、同種処理の先行実施が可能と判定し、スケジュール作成対象の基板Gについて、上記判定結果に基づく搬送スケジュールを作成する。
【0079】
なお、搬送スケジュールの作成処理の例1~3全てを併用してもよいし、上記例1~3のいずれか複数の組み合わせを併用してもよい。
【0080】
搬送スケジュールの作成処理の例1~3のように、搬送スケジュールを決定すると、基本的に、バッファユニットSBU-IN及びバッファユニットSBU-OUTへ基板Gを搬送することが搬送スケジュールで指定される。このように指定されている場合であっても、予め定められた条件を満たすか否かに基づいて、基板搬送ユニット21が、バッファユニットSBU-IN及びバッファユニットSBU-OUTを経由しないように、基板Gの搬送を行うようにしてもよい。バッファユニットSBU-INについての上記予め定められた条件とは、例えば、搬送される基板Gが同種処理の先行実施可能と判定されていること、である。バッファユニットSBU-OUTについての上記予め定められた条件とは、例えば、搬送される基板Gに対応するカセットC-OUTがカセット載置台12に載置されていること、である。
このように、バッファユニットSBUを経由しないように基板Gの搬送を行うことで、バッファユニットSBUからの基板Gの搬送、及び、バッファユニットSBUへの基板の搬送を省略することができるため、基板搬送ユニット21の負担が減る。このように負担が減った分、基板搬送ユニット21を、高スループットに寄与する基板の搬送に用いることができる。したがって、バッファユニットSBUを経由しないように基板Gの搬送を行うことで、基板処理装置1のスループットをさらに高くすることができる。
【0081】
以上の搬送スケジュールの作成処理は、基板と同様に基板処理装置1内を搬送される基板以外の搬送対象体の搬送スケジュールの作成にも適用することができる。基板以外の搬送対象体とは、例えば、液処理ユニット30、31に搬送されて、液処理ユニットの洗浄に用いられる洗浄用治具である。なお、治具保管ユニット50が、洗浄用治具の搬送開始位置及び待機部に相当する。
【0082】
また、基板搬送ユニット60によって搬送可能な状態の基板Gが基板処理装置1内に同時に複数存在することもある。この場合、基板搬送ユニット60は、処理ユニットによる処理が未だ行われていない基板を優先して搬送するようにしてもよい。基板搬送ユニット60は、受け渡しユニットTRS-INに収容された基板Gを最も優先して搬送するようにしてもよい。これにより、処理ステーション3内の基板Gの数を増やすことができる。基板搬送ユニット21についても、処理ユニットによる処理が未だ行われていない基板を優先して搬送するようにしてもよい。基板搬送ユニット21は、例えば、受け渡しユニットTRS-INへの基板Gの搬送を最も優先するようにしてもよい。これにより、処理ユニットが使用されていない時間を短縮することができる。
【0083】
さらに、熱処理ユニット40~44による熱処理に際し、熱板46の温度変更が必要な基板Gがスケジュール作成対象の場合、熱板46の温度が静定されるまでの間、バッファユニットSBU-INで待機するよう、当該基板Gの搬送スケジュールが作成されるようにしてもよい。これにより、熱板46の温度が静定されるまでの間、カセットC内で待機する場合に比べて、基板処理装置1内の処理ユニットの未使用時間を短縮できるため、スループットをさらに高めることができる。
【0084】
以上の例では、同種処理の先行実施の可否を、搬送スケジュール作成時に、スケジュール作成対象の基板Gに対し行っていた。同種処理の先行実施の可否の判定は、搬送スケジュールを作成した後、当該搬送スケジュールに従って後搬入の基板Gを処理ユニットに搬送する前に、後搬入の基板Gと先搬入の基板Gとの間で行ってもよい。そして、その判定結果に基づいて、後搬入の基板Gの搬送スケジュールを修正するようにしてもよい。
【0085】
なお、後搬入の基板Gと先搬入の基板Gとで同じ処理ユニットを用いる場合、スループット向上のためには、先搬入基板Gに対する上記同じ処理ユニットを用いた処理が完了した直後に余計な間を置かずに後搬入の基板Gに対する上記同じ処理ユニットを用いた処理が行われることが好ましい。これを可能とするため、後搬入の基板Gの搬送スケジュールにおけるバッファユニットSBU-INでの待機時間は、決定または修正される。
【0086】
同種処理の先行実施の可否の判定結果に基づいて、後搬入の基板Gの搬送スケジュールを修正した場合、上記同種処理以外の処理で、スケジュール上、後搬入の基板Gと先搬入の基板Gとで処理ユニットが重複し得る。したがって、同種処理の先行実施の可否の判定結果に基づいて後搬入の基板Gの搬送スケジュールを修正した場合、待機時間の修正等も必要か判定するようにし、適切な待機時間を設定するようにしてもよい。
【0087】
バッファユニットSBU-INでの待機時間は例えば以下のように決定または修正される。
まず、仮に待機時間を設定しなかったときに、後搬入の基板Gが搬入されるタイミングから直前の先搬入の基板Gが搬出されるタイミングまでの時間が最も長い処理ユニットを特定する。そして、この特定した処理ユニットから先搬入の基板Gが搬出された直後に当該処理ユニットに後搬入の基板Gが搬入されるよう上記待機時間は決定または修正される。
【0088】
この例では、後搬入の基板GについてのバッファユニットSBU-INでの待機時間は、後搬入の基板GをバッファユニットSBU-INに搬入した時点を基準として計測される。
【0089】
後搬入の基板GについてのバッファユニットSBU-INでの待機時間は以下のような時点を基準として計測されてもよい。例えば、後搬入の基板Gと先搬入の基板Gとで時間が重複し得る処理ユニットであって後搬入の基板Gが最初に搬入される処理ユニットに、当該処理ユニットに対する直前の先搬入の基板が搬入された時点を基準として計測されてもよい。この場合、後搬入の基板GについてのバッファユニットSBU-INでの待機時間は、上記時間が重複し得る、最初に搬入される処理ユニットから上記直前の先搬入の基板が搬出された直後に当該処理ユニットに後搬入の基板Gが搬入されるよう、決定または修正される。また他の手法として、当該処理ユニットにおいて先搬入の基板が処理されている途中の当該処理ユニットの動作状態(図示していないが、ユニット内の機器または基板の動作状態など)を、上記の基準としてもよい。
【0090】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 基板処理装置
4b 取得部
4c 作成部
21 基板搬送ユニット
30 液処理ユニット
31 液処理ユニット
40 熱処理ユニット
41 熱処理ユニット
42 熱処理ユニット
43 熱処理ユニット
44 熱処理ユニット
60 基板搬送ユニット
G 基板
G1 第1のブロック
G1 ブロック
PJ1 プロセスジョブ
PJ2 プロセスジョブ
PJ3 プロセスジョブ
PJ4 プロセスジョブ
SBU バッファユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9