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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】バッテリー状態検知装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240726BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20240726BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20240726BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20240726BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20240726BHJP
   H01R 4/38 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01M10/48 P
F16B5/02 U
F16B35/00 Q
F16B41/00 B
H01M50/543
H01R4/38 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020140232
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035721
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】本椙 憲仁
(72)【発明者】
【氏名】東海 啓之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輔
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-096856(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002356(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/015380(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 -10/48
H01M 50/50 -50/598
F16B 35/00
F16B 41/00
F16B 5/02
H01R 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーポストに接続される把持部、及び、前記把持部を締め付けるための締付部が形成されたポスト接続端子と、
前記締付部に取り付けることで前記把持部が締め付けられるホルダと、
前記ホルダを貫通するように配置されている軸部材と、
前記軸部材に締め付けられることで前記ホルダを前記ポスト接続端子に固定するナットと、
を備え、
前記軸部材は、
前記ナットを締め付けるためのネジ部と、
前記ナットが前記ホルダを固定していない状態において当該ナットが前記軸部材から抜けることを防止する抜止め部と、
前記ネジ部と前記抜止め部との間に位置しており、ネジ部が形成されておらず、前記ナットが軸方向に移動可能である連結部と、
を備え
前記軸部材には分岐部が形成されており、前記抜止め部は、当該分岐部に折曲げが形成された構成であることを特徴とするバッテリー状態検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリー状態検知装置であって、
前記軸部材に固定される台座を備え、
前記ナットを締め付けた際に、前記ナットと前記台座で前記ホルダが挟み込まれることにより、前記ホルダが前記ポスト接続端子に固定され、
前記締付部には、前記台座のうち前記ホルダと反対側に接触することで、前記台座及び前記軸部材の脱落を防止する脱落防止部が形成されていることを特徴とするバッテリー状態検知装置。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリー状態検知装置であって、
前記締付部は、板材から構成されており、前記脱落防止部は、板材の一部を折り曲げた構成であることを特徴とするバッテリー状態検知装置。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリー状態検知装置であって、
前記締付部は、前記板材から前記軸部材の軸方向の前記台座側に延びた延出部を備え、
前記脱落防止部は、前記延出部を折り曲げた構成であることを特徴とするバッテリー状態検知装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載のバッテリー状態検知装置であって、
前記ナットが締め付けられて前記ホルダが固定された状態において、前記ナットの軸方向の全体が前記ネジ部と噛み合っていることを特徴とするバッテリー状態検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、バッテリーポストに接続されるポスト接続端子を含むバッテリー状態検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、バッテリーポスト端子をバッテリーポストに固定する構造を開示する。具体的には、バッテリーポスト端子は、バッテリーポストを把持する把持部と、把持部を締め付ける締付部と、を備える。締付部には、ネジ部が形成されたベース部材が差し込まれている。ベース部材にホルダを差し込んでベース部材にナットを入れて締め付けることで、ホルダが締付部を押圧して把持部がバッテリーポストを把持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-142993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1ではベース部材の軸方向の全体にネジ部が形成されているので、ナットが緩んだ際にナットがベース部材から外れることがある。その結果、ベース部材、ホルダ、ナット、バッテリーポスト端子がバラバラになってしまう事態が発生し得る。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、ナットが緩んだ場合でも分解せずに一体的に取扱い可能な構成のバッテリー状態検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成のバッテリー状態検知装置が提供される。即ち、バッテリー状態検知装置は、ポスト接続端子と、ホルダと、軸部材と、ナットと、を備える。前記ポスト接続端子には、バッテリーポストに接続される把持部、及び、前記把持部を締め付けるための締付部が形成される。前記ホルダには、前記締付部に取り付けることで前記把持部が締め付けられる。前記軸部材は、前記ホルダを貫通するように配置されている。前記ナットは、前記軸部材に締め付けられることで前記ホルダを前記ポスト接続端子に固定する。前記軸部材は、ネジ部と、抜止め部と、連結部と、を備える。前記ネジ部は、前記ナットを締め付けるための部分である。前記抜止め部は、前記ナットが前記ホルダを固定していない状態において当該ナットが前記軸部材から抜けることを防止する。前記連結部は、前記ネジ部と前記抜止め部との間に位置しており、ネジ部が形成されておらず、前記ナットが軸方向に移動可能である。前記軸部材には分岐部が形成されており、前記抜止め部は、当該分岐部に折曲げが形成された構成である。
【0008】
これにより、軸部材に連結部が形成されていることでナットを緩める際にナットが空転し易いので、軸部材からナットが外れにくい。また、軸部材に抜止め部が形成されていることにより、軸部材からのナットの外れをより確実に防止できる。以上により、ナットが緩んでいる状態においても、バッテリー状態検知装置を構成する各部材がバラバラになる事態が発生しにくい。また、軸部材に連結部が形成されていない構造では、ナットを電動工具等を使って外す際に、ナットが空転せずに抜止め部に当たることがあり、その場合は各所に無理な力が掛かることがある。この点、本発明の軸部材には連結部が形成されているため、ナットが空転するので無理な力が掛かることを防止できる。また、簡単な作業で抜止め部を形成できる。
【0009】
前記のバッテリー状態検知装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、バッテリー状態検知装置は、前記軸部材に固定される台座を備える。前記ナットを締め付けた際に、前記ナットと前記台座で前記ホルダが挟み込まれることにより、前記ホルダが前記ポスト接続端子に固定される。前記締付部には、前記台座のうち前記ホルダと反対側に接触することで、前記台座及び前記軸部材の脱落を防止する脱落防止部が形成されている。
【0010】
これにより、締付部から台座が脱落しにくいので、バッテリー状態検知装置を構成する各部材がバラバラになる事態がより一層発生しにくい。
【0011】
前記のバッテリー状態検知装置においては、前記締付部は、板材から構成されており、前記脱落防止部は、板材の一部を折り曲げた構成であることが好ましい。
【0012】
これにより、簡単な作業で脱落防止部を形成できる。
【0013】
前記のバッテリー状態検知装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記締付部は、前記板材から前記軸部材の軸方向の前記台座側に延びた延出部を備える。前記脱落防止部は、前記延出部を折り曲げた構成である。
【0014】
これにより、簡単な作業で脱落防止部を形成できる。
【0015】
前記のバッテリー状態検知装置においては、前記ナットが締め付けられて前記ホルダが固定された状態において、前記ナットの軸方向の全体が前記ネジ部と噛み合っていることが好ましい。
【0016】
これにより、ナット締付時における保持力を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリー状態検知装置の斜視図。
図2】ポスト接続端子、ホルダ、軸部材、及びナットの分解斜視図。
図3】ナット締付前とナット締付後の各部材の位置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1を参照して、バッテリー状態検知装置1の概要について説明する。図1は、バッテリー状態検知装置1の斜視図である。
【0021】
バッテリー状態検知装置1は、例えば、自動車等に搭載されたバッテリーのバッテリーポストに取り付けられる。バッテリー状態検知装置1は、バッテリーポストを流れる電流の大きさ等を検出することにより、バッテリーの状態を検知する。バッテリー状態検知装置1は、電流の検出結果を、図示しない外部装置に出力する。出力先の外部装置としては、例えば、自動車のエンジンを制御するエンジンコントロールユニット(ECU)を挙げることができる。
【0022】
図1に示すように、バッテリー状態検知装置1は、ポスト接続端子2と、ハーネス接続端子3と、コネクタ4と、ケーシング5と、シャント抵抗6と、回路基板7と、を主要な構成として備える。
【0023】
ポスト接続端子2は、図示しないバッテリーのバッテリーポストに接続される。ポスト接続端子2は、金属板をプレス、折曲げ加工、又は鍛造加工することにより形成されている。ポスト接続端子2の詳細な構造は後述する。
【0024】
ハーネス接続端子3は、導電性を有するボルト(例えば、スタッドボルト)から構成されている。ハーネス接続端子3は、図略のハーネスに電気的に接続される。ハーネス接続端子3は、その軸方向を上下方向に向けて配置され、下側でシャント抵抗6に取り付けられる。また、ハーネス接続端子3は、上側でハーネスと接続される。
【0025】
コネクタ4は、バッテリー状態検知装置1の検知結果をECU等へ出力するためのインタフェースとして構成されている。コネクタ4の内部には、回路基板7と接続された出力端子が設けられている。
【0026】
ケーシング5は、細長い略直方体状に形成された部材である。ケーシング5は、例えば合成樹脂から構成される。ケーシング5には、回路基板7等が設けられる。本実施形態では、ケーシング5は、下側が開放された中空状に形成されている。そして、ケーシング5の内部に、シャント抵抗6の一部及び回路基板7等が収容されている。シャント抵抗6には、ケーシング5からポスト接続端子2側へ突出する突出部6aが備えられている。突出部6aは、ポスト接続端子2と接続されている。
【0027】
シャント抵抗6は、2つの導体と、抵抗値が既知である抵抗体と、から構成されている。シャント抵抗6の2つの導体のそれぞれには、基板接続端子が設けられている。これらの基板接続端子を介して、シャント抵抗6は、回路基板7に対して機械的及び電気的に接続される。
【0028】
回路基板7は、ケーシング5の内部においてシャント抵抗6の下方に配置されている。回路基板7には、電子回路が実装されている。この電子回路により、前記の基板接続端子を介してシャント抵抗6の2つの導体の電位差を測定することができる。測定された電位差の情報は、シャント抵抗6の抵抗体に流れる電流の大きさ等を取得するために用いられる。
【0029】
回路基板7は、コネクタ4の内部に備えられた出力端子に接続されている。回路基板7は、シャント抵抗6に発生する電位差に基づいて、抵抗体における電流の大きさを計算する。回路基板7は、電位差及び電流の大きさ等に基づいて、バッテリーの状態を検知する。回路基板7は、得られた検知結果を、コネクタ4の出力端子を介してECU等へ出力する。
【0030】
次に、図2を参照して、ポスト接続端子2の構造及びポスト接続端子2をバッテリーポストに取り付けるための構造について説明する。図2は、ポスト接続端子2、ホルダ30、台座40、軸部材50、及びナット60の分解斜視図である。また、以下では、軸部材50の軸方向を単に軸方向と称することがある。
【0031】
ポスト接続端子2は、接触部11と、把持部12と、締付部13と、を備える。
【0032】
接触部11は、図1に示すように、把持部12の外周面下端部から把持部12と離れる向きに延びるように設けられている。接触部11は、シャント抵抗6(突出部6a)に電気的及び機械的に接続されている。
【0033】
把持部12は、環状に形成されている。詳細には、把持部12は、環状の一部が途切れた形状(言い換えれば、円弧状)に形成されており、その内側にバッテリーポストを差し込むことができるように構成されている。また、把持部12の内壁にはバッテリーポストからポスト接続端子2を外れにくくするための溝が形成されている。
【0034】
締付部13は、円弧状の把持部12の両端(即ち、環状が途切れている部分)から延びるように配置され、把持部12と一体的に形成されている。締付部13は枠状に構成されており、枠で覆われる空間を小さくするように締付部13を変形させることで、把持部12の内径が減少する。これにより、ポスト接続端子2をバッテリーポストに取り付けることができる。
【0035】
締付部13は、把持部12に近い順に、第1傾斜部21と、第2傾斜部22と、第3傾斜部23と、を備える(以下、これらの傾斜部をまとめて傾斜部21~23と記載する)。締付部13は、傾斜部21~23を2つずつ備え、傾斜部21~23は、互いに対称となるように配置されている。また、傾斜部21~23は、何れも平板状に形成され、締付部13に一体的に形成されている。
【0036】
把持部12に近い側の第1傾斜部21は、把持部12の端部と繋がるように配置されている。また、この第1傾斜部21は、軸方向に対して一側に傾斜する傾斜面を有している。2つの第1傾斜部21は、バッテリーポストの根元側から先端側に近づくに従って間隔を減少させるように配置されている。
【0037】
第2傾斜部22は、前記の第1傾斜部21を挟んで把持部12と反対側に配置されている。第2傾斜部22は、第1傾斜部21の傾斜面とは同じ向きで傾斜する傾斜面を有している。従って、2つの第2傾斜部22は、バッテリーポストの根元側から先端側に近づくに従って間隔を減少させるように配置されている。
【0038】
第3傾斜部23は、第2傾斜部22を挟んで第1傾斜部21と反対側に配置されている。この第3傾斜部23は、第1傾斜部21の傾斜面と同じ向きに略同じ傾斜角度で傾斜する傾斜面を有している。従って、2つの第3傾斜部23は、バッテリーポストの根元側から先端側に近づくに従って間隔を減少させるように配置されている。
【0039】
一対の第3傾斜部23のうち一方には、閉鎖部24が接続されている。閉鎖部24は、一方の第3傾斜部23から略垂直に折れ曲がって、他方の第3傾斜部23に向かって延びており、締付部13で覆われている空間を閉鎖するように配置されている。また、閉鎖部24のうち軸方向の一端(後述の台座40が位置する側)には、軸方向(詳細にはバッテリーポストの根元側)に延びるように延出部26が形成されている。
【0040】
ホルダ30は、締付部13に対して軸方向の一側に配置されている。このホルダ30は、平板部31と、4つの脚部32と、を備える。
【0041】
平板部31は、平板状の部分として形成され、その厚み方向が軸方向と平行となるように配置されている。また、平板部31は細長い矩形状に形成されている。また、平板部31の中央には、軸部材50を差し込むことが可能な貫通状の円形孔33が形成されている。
【0042】
脚部32は、平板部31の4隅から平板部31に対して垂直に(軸方向に沿う方向に)突出するように配置され、平板部31と一体的に形成されている。これらの脚部32は、何れも平板状の突起として形成されている。脚部32は、平板部31の長手方向一側に2つ、他側に2つそれぞれ配置されている。脚部32は、第1傾斜部21及び第3傾斜部23の傾斜面に対応する傾斜面を有し、それぞれが接するようにホルダ30を締付部13に取付可能である。なお、4つの脚部32で囲まれる空間には、締付部13が有する2つの第2傾斜部22を位置させることができる。
【0043】
台座40は、締付部13を挟んでホルダ30の反対側に配置されている。締付部13は、ホルダ30及び台座40に挟まれるようにして固定される。台座40には、軸部材50が固定されている。
【0044】
軸部材50は、細長状かつ断面が円形の部材である。軸部材50は、支持軸51と、ネジ部52と、連結部53と、を備える。また、軸部材50の説明において、台座40から軸方向に沿ってホルダ30側に向かう方向を先端側と称する。
【0045】
支持軸51は、台座40に固定されている。支持軸51は、台座40から先端側に突出するように立設されている。
【0046】
ネジ部52は、支持軸51よりも先端側に位置している。ネジ部52には、ナット60が係合可能なネジが形成されている。
【0047】
連結部53は、ネジ部52よりも先端側に位置している。連結部53にはネジは形成されていない。また、連結部53の外径はネジ部52の外径(ナット60の内径、穴径)よりも小さいため、ナット60を軸方向に通過させることができる。
【0048】
連結部53の先端には、分岐部55が形成されている。分岐部55は、連結部53の一部を切り欠くことで、分岐させた部分である。詳細には、連結部53の先端の中心を通るように線状に切り欠くことで分岐部55が形成されている。分岐部55は先端を折り曲げる加工を容易にするために形成されている。
【0049】
ポスト接続端子2にホルダ30等を取り付ける際には、初めに、図3の上側の図に示すように、軸部材50をポスト接続端子2の締付部13の空間に差し込む。次に、締付部13から突出している軸部材50をホルダ30の円形孔33に挿通する。これにより、軸部材50がホルダ30を軸方向で貫通する。その後、軸部材50の先端側にナット60を入れる。そして、ナット60をネジ部52まで移動させて軽く締め付ける。これにより、ポスト接続端子2、ホルダ30、台座40、及び軸部材50を連結させることができる。
【0050】
次に、この連結が解除されないように(バラバラにならないように)、延出部26と分岐部55を変形させる。具体的には、延出部26を台座40の裏面に沿うように垂直に折り曲げて、脱落防止部25(図1図3)を形成する。脱落防止部25は、台座40が締付部13から脱落することを防止することができる。また、分岐部55の先端を折り曲げることにより、抜止め部54(図1図3)を形成する。抜止め部54は、ナット60が緩んだ場合であってもナット60が軸部材50から外れることをより確実に防止できる。図3の上側の図には、延出部26を変形させて脱落防止部25を形成し、かつ、分岐部55を変形させて抜止め部54を形成した後の状態が示されている。
【0051】
なお、本実施形態では連結部53に相当する箇所にネジが形成されていないので、ナット60が緩んでネジ部52から外れそうになった場合、ナット60が空転し易い。従って、ナット60が緩んでもナット60が軸部材50から外れにくい。ただし、確実にナット60の外れを防止するために、本実施形態では抜止め部54を設けている。また、軸部材50に連結部53が形成されていない構造では、ナット60を電動工具等を使って外す際に、ナット60が空転せずに抜止め部54に当たることがある。その後、ナット60を回転させる力が軸部材50に伝達することで、ホルダ30及び締付部13等が破損する可能性がある。この点、本実施形態の軸部材50には連結部53が形成されているため、電動工具等を用いてナット60を外す際にもネジ部52から外れた後にナット60が空転するので、ホルダ30及び締付部13等の破損を防止できる。
【0052】
以上の連結作業は、バッテリー状態検知装置1の出荷時に行ってもよい。これにより、バッテリーにバッテリー状態検知装置1を取り付ける作業を短くすることができる。更に、バッテリー状態検知装置1を構成する各部材がバラバラになりにくいので、紛失を防止したり、取り回しを向上したりできる。なお、この連結作業をバッテリーへの取付けの直前に行ってもよい。
【0053】
次に、把持部12にバッテリーポストを差し込んだ後に、図3の上側の図に示すように、ナット60を更に回転させて締め付ける。これにより、ナット60がホルダ30を台座40側に押圧することで、ホルダ30が台座40側に移動する。これにより、ホルダ30は、ナット60と台座40に挟まれて固定され、その結果、ホルダ30がポスト接続端子2に固定される。また、ホルダ30の脚部32が第1傾斜部21及び第3傾斜部23を押圧するため、第1傾斜部21同士の間隔、及び、第3傾斜部23同士の間隔が短くなる。その結果、把持部12が締め付けられ、ポスト接続端子2がバッテリーポストに取り付けられる。
【0054】
また、本実施形態では、ナット締付後において、ナット60の軸方向の全体がネジ部52と噛み合っている。そのため、強い保持力を実現できる。
【0055】
また、ナット締付後において、仮にナット60が緩んだ場合においても、上述したようにナット60の空転によってナット60が軸部材50から外れにくく、仮にナット60が空転しなかった場合でも抜止め部54が存在するため、ナット60が軸部材50から外れない。更に、台座40の下方への移動が脱落防止部25によって規制されているので、台座40が下方へ脱落することもない。
【0056】
従って、ナット締付後にナット60が緩んだ場合であっても、バッテリー状態検知装置1を構成する部材がバラバラになる事態が発生しにくい。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態のバッテリー状態検知装置1は、ポスト接続端子2と、ホルダ30と、軸部材50と、ナット60と、を備える。ポスト接続端子2には、バッテリーポストに接続される把持部12、及び、把持部12を締め付けるための締付部13が形成される。ホルダ30を締付部13に取り付けることで把持部12が締め付けられる。軸部材50は、ホルダ30を貫通するように配置されている。ナット60は、軸部材50に締め付けられることでホルダ30をポスト接続端子2に固定する。軸部材50は、ネジ部52と、抜止め部54と、連結部53と、を備える。ネジ部52は、ナット60を締め付けるための部分である。抜止め部54は、ナット60がホルダ30を固定していない状態において当該ナット60が軸部材50から抜けることを防止する。連結部53は、ネジ部52と抜止め部54との間に位置しており、ネジ部が形成されておらず、ナット60が軸方向に移動可能である。
【0058】
これにより、軸部材50に連結部53が形成されていることでナット60の緩み時にナット60が空転し易いので、軸部材50からナット60が外れにくい。更に、軸部材50に抜止め部54が形成されていることにより、軸部材50からのナット60の外れをより確実に防止できる。以上により、ナット60が緩んでいる状態においても、バッテリー状態検知装置1を構成する各部材がバラバラになる事態が発生しにくい。
【0059】
また、本実施形態のバッテリー状態検知装置1は、軸部材50に固定される台座40を備える。ナット60を締め付けた際に、ナット60と台座40でホルダ30が挟み込まれることにより、ホルダ30がポスト接続端子2に固定される。締付部13には、台座40のうちホルダ30と反対側に接触することで、台座40及び軸部材50の脱落を防止する脱落防止部25が形成されている。
【0060】
これにより、締付部13から台座40が脱落しにくいので、バッテリー状態検知装置1を構成する各部材がバラバラになる事態がより一層発生しにくい。
【0061】
また、本実施形態のバッテリー状態検知装置1において、締付部13は、板材から構成されており、脱落防止部25は、板材の一部を折り曲げた構成である。
【0062】
これにより、簡単な作業で脱落防止部25を形成できる。
【0063】
また、本実施形態のバッテリー状態検知装置1において、ナット60が締め付けられてホルダ30が固定された状態において、ナット60の軸方向の全体がネジ部52と噛み合っている。
【0064】
これにより、ナット締付時における保持力を高くすることができる。
【0065】
また、本実施形態のバッテリー状態検知装置1において、締付部13は、板材から軸部材50の軸方向の台座40側に延びた延出部26を備える。脱落防止部25は、延出部26を折り曲げた構成である。
【0066】
これにより、簡単な作業で脱落防止部25を形成できる。
【0067】
また、本実施形態のバッテリー状態検知装置1において、軸部材50には分岐部55が形成されており、抜止め部54は、当該分岐部55に折曲げが形成された構成である。
【0068】
これにより、簡単な作業で抜止め部54を形成できる。
【0069】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0070】
上記実施形態では、分岐部55を変形させることで抜止め部54を形成したが、Eリング等の別部材を取り付けることで抜止め部としてもよい。同様に、延出部26を変形させて脱落防止部25を形成する構成に代えて、別部材を取り付けて脱落防止部としてもよい。
【0071】
上記実施形態では、ネジ部52よりも台座40側には、ネジが形成されていない支持軸51が位置しているが、台座40の近傍までネジ部52が位置していてもよい。台座40の近傍においてネジ部は不要であるが、軸部材50の構成をシンプルにすることができる。
【0072】
ナット60を締め付けて把持部12を締め付けるための構成(締付部13及びホルダ30)の形状は一例であり、本実施形態とは異なっていてもよい。例えば、第2傾斜部22の傾斜方向が第1傾斜部21とは異なっていてもよい。
【0073】
上記実施形態では、締付部13に形成された脱落防止部25によって、台座40の脱落を防止するが、それに代えて又は加えて、把持部12に形成された同種の脱落防止部によって、台座40の脱落を防止してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 バッテリー状態検知装置
2 ポスト接続端子
30 ホルダ
40 台座
50 軸部材
60 ナット
図1
図2
図3