(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240726BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240726BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101C
H01L21/302 101D
H01L21/31 C
H05H1/46 M
H05H1/46 A
(21)【出願番号】P 2020213117
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 裕介
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-118015(JP,A)
【文献】特開2004-047511(JP,A)
【文献】特開2011-187881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で生成されたプラズマにより、内部に配置された基板を処理するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、
導電体を含み、RF電力が供給される基台と、
前記基台の上に配置され、内部に電極を有し、前記電極に印加された電圧により前記基板を吸着する基板吸着部と、
前記チャンバ内に設けられた導電性部材と、
前記電極に電圧を印加する電圧供給部
と、
フィルタ回路と
を備え、
前記電圧供給部の基準電位の端子は、
前記フィルタ回路および前記基台を介して前記導電性部材に接続されており、
前記電圧供給部は、前記導電性部材の電位を基準電位とする電圧を前記電極に印加するプラズマ処理装置。
【請求項2】
内部で生成されたプラズマにより、内部に配置された基板を処理するチャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、内部に電極を有し、前記電極に印加された電圧により前記基板を吸着する基板吸着部と、
前記チャンバ内に設けられた導電性部材と、
前記電極に電圧を印加する電圧供給部と
、
前記電圧供給部の基準電位の端子と接地電位との間に設けられ、前記基準電位を浮遊電位または接地電位に切り替えるスイッチと
を備え、
前記電圧供給部の基準電位の端子は、前記導電性部材に接続されており、
前記電圧供給部は、前記導電性部材の電位を基準電位とする電圧を前記電極に印加するプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記スイッチは、
前記基板が前記基板吸着部に吸着される場合に開状態に制御され、
前記基板と前記基板吸着部との吸着が解除される場合に開状態に制御される請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記導電性部材は、
前記基板吸着部上に配置される前記基板の周囲に配置されたエッジリングである請求項1
から3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記プラズマによる処理の時間の経過に伴って前記電極に印加される電圧の大きさを変更するように前記電圧供給部を制御することにより、前記基板吸着部が前記基板を吸着する力の変動を抑制するように制御する制御部
をさらに備える請求項1
から4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
a) チャンバ内に設けられた基板吸着部内の電極に
電圧供給部から電圧を印加することにより、基板を前記基板吸着部に吸着させる工程と、
b) 前記チャンバ内に生成されたプラズマにより、前記基板を処理する工程と、
c) 前記プラズマによる処理の時間の経過に伴って前記電極に印加される電圧の大きさを変更することにより、前記基板吸着部が前記基板を吸着する力の変動を抑制するように制御する工程と
を含み、
前記電圧供給部の基準電位の端子は、フィルタ回路と、導電体を含み、RF電力が供給される基台と、を介して前記チャンバ内に設けられた導電性部材に接続されており、
前記電極に印加される前記電圧は、
前
記導電性部材の電位を基準電位とする電圧であるプラズマ処理方法。
【請求項7】
a) チャンバ内に設けられた基板吸着部内の電極に
電圧供給部から電圧を印加することにより、基板を前記基板吸着部に吸着させる
と共に、前記電圧供給部の基準電位の端子と接地電位との間に設けられたスイッチを閉状態に制御する工程と、
b) 前記チャンバ内に生成されたプラズマにより、前記基板を処理する工程と、
c) 前記プラズマによる処理の時間の経過に伴って前記電極に印加される電圧の大きさを変更することにより、前記基板吸着部が前記基板を吸着する力の変動を抑制するように制御する工程と
、
d) 前記基板と前記基板吸着部との吸着を解除する際に、前記スイッチを開状態に制御する工程と
を含み、
前記電極に印加される前記電圧は、
前記チャンバ内に設けられた導電性部材の電位を基準電位とする電圧であるプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記導電性部材は、
前記基板吸着部上に配置される前記基板の周囲に配置されたエッジリングである請求項
6または7に記載のプラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の種々の側面および実施形態は、プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、静電チャックに吸着された被吸着物を速やかに離脱するために、不活性ガスのプラズマを用いて静電チャックに吸着されたウエハの残留電荷を除去する際に、チャック電極に除電電圧を印加する技術が開示されている。除電電圧は、プラズマ印加時のウエハのセルフバイアス電位に相当する電圧である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、プラズマ処理中の基板の過剰な帯電を抑制することができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、プラズマ処理装置であって、チャンバと、基板吸着部と、電圧供給部と、導電性部材とを備える。チャンバは、内部で生成されたプラズマにより、内部に配置された基板を処理する。基板吸着部は、チャンバ内に設けられ、内部に電極を有し、当該電極に印加された電圧により基板を吸着する。導電性部材は、チャンバ内に設けられている。電圧供給部は、基板吸着部内の電極に電圧を印加する。電圧供給部の基準電位の端子は、導電性部材に接続されており、電圧供給部は、導電性部材の電位を基準電位とする電圧を基板吸着部内の電極に印加する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の種々の側面および実施形態によれば、プラズマ処理中の基板の過剰な帯電を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態におけるプラズマ処理装置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、静電チャック内の電極、エッジリング、可変直流電源、およびスイッチの接続関係の一例を示す回路図である。
【
図4】
図4は、吸着処理における等価回路の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、比較例におけるプラズマ処理時の等価回路の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態におけるプラズマ処理時の等価回路の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、除電処理時の等価回路の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態におけるプラズマ処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態におけるプラズマ処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示されるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、開示されるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法が限定されるものではない。
【0009】
ところで、プラズマ処理の前には、基板の吸着処理が行われる。吸着処理では、基板と基板を吸着する基板吸着部との間に予め定められた大きさの静電気力が発生するように、基板吸着部内の電極に予め定められた大きさの直流電圧が印加される。しかし、プラズマ処理中には、基板にセルフバイアスが発生する。そのため、プラズマ処理中には、基板と基板吸着部との間の静電気力の強さが予め定められた強さからセルフバイアス分変動し、弱くなると基板が基板吸着部からずれやすくなり、強くなると下記に示すリスクが発生する。
【0010】
基板と基板吸着部との間の静電気力が強くなると、基板と基板吸着部との間の摩擦力が大きくなる。これにより、基板と基板吸着部との間の熱膨張率の差に伴って基板と基板吸着部との間の摩擦により発生するパーティクルの量が増加する場合がある。また、プラズマ処理中に発生するセルフバイアスにより基板が帯電すると、発生したパーティクルが基板に付着しやすくなる。また、基板と基板吸着部との間の静電気力が強くなると、処理後の基板をリフトピン等により基板吸着部から離す場合に、基板が跳ね上がったり基板が割れたりする場合がある。
【0011】
そこで、本開示は、プラズマ処理中の基板の過剰な帯電を抑制することができる技術を提供する。
【0012】
(第1の実施形態)
[プラズマ処理装置100の構成]
図1は、本開示の一実施形態におけるプラズマ処理装置100の一例を示す図である。プラズマ処理装置100は、装置本体1および制御部2を含む。装置本体1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30、および排気システム40を含む。また、装置本体1は、基板支持部11およびガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置されている。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置されている。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(Ceiling)の少なくとも一部を構成する。
【0013】
プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a、および基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間10sからガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。側壁10aは接地されている。シャワーヘッド13および基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁されている。
【0014】
基板支持部11は、本体部111およびリングアセンブリ112を含む。リングアセンブリ112は、エッジリング112aとカバーリング112bとを有する。エッジリング112aは、フォーカスリングと呼ばれることもある。エッジリング112aは、導電性部材の一例である。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域である基板支持面111aと、エッジリング112aを支持するための環状領域であるリング支持面111bとを有する。基板Wはウエハと呼ばれることもある。本体部111のリング支持面111bは、平面視で本体部111の基板支持面111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の基板支持面111a上に配置され、エッジリング112aは、本体部111の基板支持面111a上の基板Wを囲むように本体部111のリング支持面111b上に配置されている。
【0015】
本体部111は、静電チャック1110および基台1111を含む。静電チャック1110は、基板吸着部の一例である。基台1111は、導電性部材を含む。基台1111の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャック1110は、基台1111の上に配置されている。静電チャック1110の上面は、基板支持面111aである。静電チャック1110には、電極1110aが設けられている。電極1110aには、可変直流電源114の一端が接続される。可変直流電源114の他端、即ち、可変直流電源114の基準電位の端子は、スイッチ113を介して接地されている。また、可変直流電源114の他端は、フィルタ回路115を介して基台1111に接続されている。可変直流電源114は、電圧供給部の一例である。電極1110aは、可変直流電源114から印加される直流電圧によって、基板支持面111aにクーロン力等の静電力を発生させる。これにより、静電チャック1110は、基板支持面111aの上に配置された基板Wを吸着する。フィルタ回路115は、基台1111に供給されたRF電力が可変直流電源114内に流入することを抑制する。
【0016】
リングアセンブリ112は、1または複数の環状部材を含む。1または複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリング112aであり、他の少なくとも1つは、カバーリング112bである。エッジリング112aは、例えばシリコン等を含む導電性の部材により形成されており、カバーリング112bは、例えば石英等により形成されている。
図2は、リングアセンブリ112の拡大図である。カバーリング112b内には、例えば
図2に示されるように金属等の導電性部材で形成された接続部材50が設けられている。
【0017】
接続部材50とエッジリング112aとの間には、金属等の導電性部材によりスパイラル状に形成されたシール部材51が設けられている。接続部材50とエッジリング112aとは、シール部材51を介して電気的に接続されている。また、接続部材50と基台1111との間には、金属等の導電性部材によりスパイラル状に形成されたシール部材52が設けられている。接続部材50と基台1111とは、シール部材52を介して電気的に接続されている。これにより、基台1111とエッジリング112aとは、接続部材50を介して電気的に接続される。従って、静電チャック1110内の電極1110a、エッジリング112a、可変直流電源114、およびスイッチ116は、基台1111を介して、例えば
図3のように接続されている。なお、
図3では、フィルタ回路115が省略されている。
【0018】
また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック1110、リングアセンブリ112、および基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wと基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0019】
また、静電チャック1110および基台1111には、静電チャック1110および基台1111を貫通するように、図示しない複数(例えば3本)のリフトピンが設けられている。複数のリフトピンは、静電チャック1110および基台1111を貫通するように上下に移動可能である。プラズマ処理が終了した基板Wは、リフトピンにより持ち上げられ、図示しないロボットアーム等の搬送装置によってプラズマ処理チャンバ10内から搬出される。
【0020】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、および複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1または複数の開口部に取り付けられる1または複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0021】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21および少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、対応するガスソース21から対応する流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成されている。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラまたは圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調またはパルス化する1またはそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0022】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF(Radio Frequency)電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号およびバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号を、基板支持部11の導電性部材、シャワーヘッド13の導電性部材、またはその両方に供給するように構成されている。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1またはそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0023】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31aおよび第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材、シャワーヘッド13の導電性部材、またはその両方に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号を生成するように構成される。ソースRF信号は、ソースRF電力と呼んでもよい。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数の信号を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1または複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材、シャワーヘッド13の導電性部材、またはその両方に供給される。
【0024】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号を生成するように構成される。バイアスRF信号は、バイアスRF電力と呼んでもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数の信号を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1または複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号およびバイアスRF信号のうち少なくとも1つはパルス化されてもよい。
【0025】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC(Direct Current)電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32aおよび第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。他の実施形態において、第1のDC信号は、静電チャック1110内の電極1110aのような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1および第2のDC信号のうち少なくとも1つはパルス化されてもよい。なお、第1のDC生成部32aおよび第2のDC生成部32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0026】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁および真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0027】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程を装置本体1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するように装置本体1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部または全部が装置本体1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部2a1、記憶部2a2、および通信インターフェイス2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)を含んでもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェイス2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して装置本体1との間で通信を行う。
【0028】
[基板Wの吸着処理]
基板Wにプラズマ処理が施される場合、基板Wがプラズマ処理チャンバ10内に搬入される。そして、静電チャック1110の上に基板Wが配置された後、吸着処理が実行されることにより、基板Wが基板支持面111aに吸着される。吸着処理では、予め定められた大きさの直流電圧が可変直流電源114から静電チャック1110内の電極1110aに印加される。そして、ガス供給部20からシャワーヘッド13を介してプラズマ処理空間10s内に処理ガスが供給され、RF電源31から基板支持部11の導電性部材、シャワーヘッド13の導電性部材、またはその両方にRFソース信号が供給される。なお、プラズマ処理空間10s内に供給されるガスは、アルゴンガス等の不活性ガスであってもよい。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、基板Wとエッジリング112aとがプラズマを介して電気的に接続される。これにより、例えば
図4に示されるような閉回路が形成される。なお、吸着処理時には、スイッチ116は開状態に制御されている。
【0029】
例えば
図4に示されるように、基板Wと電極1110aとの間には、容量C
0の容量成分120が存在する。また、基板Wには、プラズマによりセルフバイアスV
dc0が発生する。ここで、吸着処理ではプラズマを介して閉回路を形成するためにプラズマが生成されるが、プラズマにより発生するセルフバイアスV
dc0が大きすぎると、処理ガスを用いたプラズマによる本来の処理を行う前に、吸着処理で基板Wがダメージを受ける場合がある。そのため、吸着処理では、セルフバイアスV
dc0が小さい、弱いプラズマが生成される。
【0030】
可変直流電源114から印加される直流電圧をV
0、容量成分120にチャージされる電荷をQ
0とすると、基板Wと電極1110aとの間に発生する静電気力F
0は、セルフバイアスV
dc0がV
0に対して無視できるほど小さいため、例えば下記の式(1)のように表される。
【数1】
【0031】
上記式(1)において、kは定数であり、rは基板Wと電極1110aとの間の距離である。なお、電極1110aに印加される直流電圧V0は、静電気力F0が予め定められた大きさとなる値に予め設定される。
【0032】
[比較例における基板の帯電]
ここで、可変直流電源114の基準電位の端子が接地されており、可変直流電源114の基準電位の端子がエッジリング112aに接続されていない構成を、比較例として説明する。
図5は、比較例におけるプラズマ処理時の等価回路の一例を示す図である。
【0033】
基板Wに対するプラズマ処理が開始されると、吸着処理におけるセルフバイアスVdc0よりも大きなセルフバイアスVdc1が発生する。また、プラズマ処理が開始されると、プラズマの影響を受けて基板Wと基板支持面111aとの間の吸着状態が変化し、基板Wと電極1110aとの間の容量成分120の容量がC0からC1に変化する。また、プラズマ処理が開始されると、プラズマの影響を受けて基板Wの温度や静電チャック1110の表面の状態が変化し、基板Wと基板支持面111aとの接触面の状態が変化する。これにより、基板Wと電極1110aとの間に容量C2の容量成分121や抵抗値RCの抵抗成分122が発生する。
【0034】
容量成分120に溜まる電荷Q
1、容量成分121に溜まる電荷Q
2は、例えば下記の式(2)のように表される。なお、プラズマ処理中の容量成分120の容量C
1は、吸着処理時の容量成分120の容量C
0とほぼ同じ大きさである。
【数2】
【0035】
ここで、吸着処理時に容量成分120に溜まる電荷Q0はC0V0であるため、上記の式(2)を参照すると、プラズマ処理時には、セルフバイアスVdc1の影響により、吸着処理時に溜まる電荷Q0よりも大きな電荷Q1およびQ2が基板Wに溜まっている。これにより、プラズマ処理中にプラズマ処理空間10s内で発生したパーティクルが基板Wに引き寄せられやすくなる。
【0036】
また、容量成分120および容量成分121により基板Wと電極1110aとの間に発生する静電気力Fは、例えば下記の式(3)のように表される。
【数3】
【0037】
ここで、容量成分121の容量C
2は、容量成分120の容量がC
1に対して無視できるほど小さいため、基板Wと電極1110aとの間に発生する静電気力Fは、例えば下記の式(4)のように近似できる。
【数4】
【0038】
上記式(4)と前述の式(1)とを比較すると、プラズマ処理時の静電気力Fは、セルフバイアスVdc1の影響により、吸着処理時の静電気力F0よりも大きくなっている。そのため、比較例では、プラズマ処理時に、基板Wと静電チャック1110との間の吸着力が過大になっていると考えられる。なお、セルフバイアスVdc1は、プラズマ処理の状態により変動するため、セルフバイアスVdc1を加味した大きさの直流電圧V0を予め正確に設定することは難しい。
【0039】
基板Wと静電チャック1110との間の吸着力が過大になると、基板Wと基板支持面111aとの間の摩擦力が大きくなる。これにより、基板Wと基板支持面111aとの間の熱膨張率の差に伴って基板Wと基板支持面111aとの間の摩擦により発生するパーティクルの量が増加する場合がある。また、基板Wと基板支持面111aとの間の吸着力が過大になると、プラズマ処理後の基板Wをリフトピン等により基板支持面111aから離す場合に、基板Wが跳ね上がったり基板Wが割れたりする場合がある。
【0040】
[本実施形態における基板の帯電]
図6は、本実施形態におけるプラズマ処理時の等価回路の一例を示す図である。本実施形態では、可変直流電源114の基準電位の端子がエッジリング112aに電気的に接続されており、可変直流電源114の基準電位が、エッジリング112aの電位と同等になっている。そして、プラズマ処理チャンバ10内にプラズマが生成されることにより、基板Wとエッジリング112aとがプラズマを介して電気的に接続され、例えば
図6に示されるような閉回路が形成される。なお、プラズマ処理中は、スイッチ116が開状態に制御されている。
【0041】
本実施形態においても、基板Wに対するプラズマ処理が開始されると、吸着処理におけるセルフバイアスVdc0よりも大きなセルフバイアスVdc1が発生する。また、プラズマ処理が開始されると、プラズマの影響を受けて基板Wと基板支持面111aとの間の吸着状態が変化し、基板Wと電極1110aとの間に容量成分120の容量がC1に変化する。また、プラズマ処理が開始されると、プラズマの影響を受けて基板Wの温度や静電チャック1110の表面の状態が変化し、基板Wと電極1110aとの間に容量C2の容量成分121や抵抗値RCの抵抗成分122が発生する。
【0042】
ここで、本実施形態では、可変直流電源114の基準電位の端子がエッジリング112aに電気的に接続されており、基板Wとエッジリング112aとがプラズマを介して電気的に接続されている。そのため、可変直流電源114を含む閉回路内には、プラズマによるセルフバイアスV
dc1の電圧は含まれない。従って、容量成分120および容量成分121に印加される電圧は、吸着処理時と同じ電圧V
0に維持される。これにより、容量成分120に溜まる電荷Q
1’および容量成分121に溜まる電荷Q
2’は、それぞれ下記の式(5)のように表される。
【数5】
【0043】
また、容量成分120および容量成分121により基板Wと電極1110aとの間に発生する静電気力F’は、例えば下記の式(6)のように表される。
【数6】
【0044】
ここで、容量成分121の容量C
2は、容量成分120の容量がC
1に対して無視できるほど小さい。また、容量成分120の容量C
1は、吸着処理時の容量成分120の容量C
0とほぼ同じである。そのため、基板Wと電極1110aとの間に発生する静電気力F’は、例えば下記の式(7)のように近似できる。
【数7】
【0045】
上記の式(1)および式(7)を参照すると、本実施形態では、プラズマ処理時であっても、基板Wには、セルフバイアスVdc1の大きさに関わらず、吸着処理時に基板Wと電極1110aとの間に発生する静電気力F0と同等の静電気力F’が発生している。
【0046】
このように、本実施形態では、可変直流電源114の基準電位の端子がエッジリング112aに電気的に接続されていることにより、プラズマ処理中において基板Wと電極1110aとの間に過剰な静電気力が発生することが抑制される。これにより、基板Wと基板支持面111aとの間の摩擦力の増大が抑制され、基板Wと基板支持面111aとの間の熱膨張率の差に伴って基板Wと基板支持面111aとの間の摩擦により発生するパーティクルが抑制される。また、基板Wと基板支持面111aとの間の吸着力の増大が抑制されるため、プラズマ処理後の基板Wをリフトピン等により基板支持面111aから離す場合に、基板Wが跳ね上がったり基板Wが割れたりすることを抑制することができる。
【0047】
なお、プラズマ処理が終了した場合には、除電処理が行われる。除電処理では、プラズマ処理チャンバ10内にプラズマが生成され、例えば
図7に示されるように、可変直流電源114の電圧が0(即ち短絡状態)に制御され、スイッチ116が閉状態に制御される。これにより、基板Wに溜まっていた電荷が除去される。除電処理ではプラズマを介して閉回路を形成するためにプラズマが生成されるが、プラズマにより発生するセルフバイアスV
dc2が大きすぎると、本来の処理が施された基板Wに対してさらにダメージを与える場合がある。そのため、除電処理では、セルフバイアスV
dc2が小さい、弱いプラズマが生成される。
【0048】
[プラズマ処理方法]
図8は、本開示の第1の実施形態におけるプラズマ処理方法の一例を示すフローチャートである。例えば、静電チャック1110上に処理前の基板Wが配置されることにより、
図8に例示された処理が開始される。
図8に例示された各処理は、制御部2が装置本体1の各部を制御することにより実現される。
【0049】
まず、吸着処理が実行される(S10)。ステップS10は、工程a)の一例である。ステップS10では、可変直流電源114から静電チャック1110内の電極1110aに予め定められた電圧V
0が印加される。そして、ガス供給部20からシャワーヘッド13を介してプラズマ処理空間10s内に処理ガスが供給され、RF電源31から基板支持部11の導電性部材、シャワーヘッド13の導電性部材、またはその両方にRFソース信号が供給される。なお、プラズマ処理空間10s内に供給されるガスは、アルゴンガス等の不活性ガスであってもよい。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、例えば
図4に示されるような閉回路が形成される。そして、基板Wと電極1110aとの間の容量成分120に溜まった電荷Q
0に起因する静電気力F
0により、基板Wが基板支持面111aに吸着される。
【0050】
次に、電極1110aに印加される直流電圧が安定した後に基板Wに対するプラズマ処理が実行される(S11)。ステップS11は、工程b)の一例である。ステップS11では、ガス供給部20からシャワーヘッド13を介してプラズマ処理空間10s内に処理ガスが供給され、RF電源31から基板支持部11の導電性部材、シャワーヘッド13の導電性部材、またはその両方にRFソース信号が供給される。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、例えば
図6に示されたような閉回路が形成される。そして、RF電源31から基板支持部11の導電性部材にバイアスRF信号が供給されることにより基板Wにバイアス電位が発生し、プラズマ中のイオン成分が基板Wに引き込まれ、基板Wにエッチング等の処理が施される。
【0051】
次に、プラズマ処理が終了した後に、除電処理が実行される(S12)。ステップS12では、可変直流電源114の電圧が0(即ち短絡状態)に制御され、スイッチ116が閉状態に制御される。そして、ガス供給部20からシャワーヘッド13を介してプラズマ処理空間10s内にアルゴンガス等の不活性ガスが供給される。そして、RF電源31から基板支持部11の導電性部材、シャワーヘッド13の導電性部材、またはその両方にRFソース信号が供給される。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、基板Wに溜まっていた電荷が除去される。
【0052】
次に、基板Wに溜まっていた電荷が十分に除去されたタイミングで、基板Wは、図示しないリフトピンにより持ち上げられ、図示しないロボットアーム等の搬送装置によってプラズマ処理チャンバ10内から搬出される(S13)。そして、本フローチャートに示されたプラズマ処理方法が終了する。
【0053】
以上、第1の実施形態について説明した。上記したように、本実施形態における装置本体1は、プラズマ処理チャンバ10と、静電チャック1110と、可変直流電源114と、エッジリング112aとを備える。プラズマ処理チャンバ10は、内部で生成されたプラズマにより、内部に配置された基板Wを処理する。静電チャック1110は、プラズマ処理チャンバ10内に設けられ、内部に電極1110aを有し、当該電極1110aに印加された電圧により基板Wを吸着する。エッジリング112aは、プラズマ処理チャンバ10内に設けられている。可変直流電源114は、静電チャック1110内の電極1110aに電圧を印加する。可変直流電源114の基準電位の端子は、エッジリング112aに接続されており、可変直流電源114は、エッジリング112aの電位を基準電位とする電圧を静電チャック1110内の電極1110aに印加する。これにより、プラズマ処理中の基板Wの過剰な帯電を抑制することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
プラズマ処理が行われると、プラズマの影響を受けて基板Wと基板支持面111aとの間の吸着状態が変化し、基板Wと電極1110aとの間の容量成分120の容量がC0からC1に変化し、容量C2の容量成分121や抵抗値RCの抵抗成分122が発生する。プラズマ処理の時間が長くなると、プラズマ処理の開始時に対して、容量成分120の容量C1および容量成分121の容量C2の変化が大きくなる。そのため、容量成分120および容量成分121に印加されている電圧がV0のままであっても、容量成分120および容量成分121に溜まる電荷の量が変化する。これにより、基板Wと静電チャック1110との間の吸着力が変化する。
【0055】
そのため、本実施形態では、制御部2が、プラズマによる処理の時間の経過に伴って静電チャック1110の電極1110aに印加される電圧の大きさを変更するように可変直流電源114を制御する。これにより、静電チャック1110が基板Wを吸着する力の変動が抑制される。例えば、プラズマによる処理の時間の経過に従って、静電チャック1110が基板Wを吸着する力の変動が予め測定される。そして、静電チャック1110が基板Wを吸着する力を一定にするために、プラズマによる処理の時間の経過に従って電極1110aに印加される電圧の大きさが、実験等により予め推定される。制御部2は、プラズマ処理時に、予め推定された電圧の大きさを、プラズマによる処理の時間の経過に従って電極1110aに印加する。これにより、プラズマ処理の時間が長い場合であっても、基板Wと静電チャック1110との間の吸着力が変化を低減することができる。
【0056】
[プラズマ処理方法]
図9は、本開示の第2の実施形態におけるプラズマ処理方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する点を除き、
図9において、
図8と同じ符号を付した処理は、
図8における処理と同様であるため説明を省略する。
【0057】
本実施形態におけるステップS11では、まず、基板Wに対するプラズマ処理が開始される(S110)。ステップS110では、ガス供給部20からシャワーヘッド13を介してプラズマ処理空間10s内に処理ガスが供給され、RF電源31から基板支持部11の導電性部材、シャワーヘッド13の導電性部材、またはその両方にRFソース信号が供給される。これにより、プラズマ処理空間10s内にプラズマが生成され、例えば
図4に示されるような閉回路が形成される。そして、RF電源31から基板支持部11の導電性部材にバイアスRF信号が供給されることにより基板Wにバイアス電位が発生し、プラズマ中のイオン成分が基板Wに引き込まれ、基板Wへのエッチング等の処理が開始される。
【0058】
次に、制御部2は、プラズマ処理が開始されてから予め定められた時間が経過したか否かを判定する(S111)。プラズマ処理が開始されてから予め定められた時間が経過していない場合(S111:No)、再びステップS111に示された処理が実行される。
【0059】
一方、プラズマ処理が開始されてから予め定められた時間が経過した場合(S111:Yes)、制御部2は、電極1110aに印加する電圧の大きさを、プラズマ処理が開始されてからの経過時間に応じた大きさに変更する(S112)。ステップS112は、工程c)の一例である。
【0060】
次に、制御部2は、プラズマ処理が終了したか否かを判定する(S113)。プラズマ処理が終了していない場合(S113:No)、再びステップS111に示された処理が実行される。一方、プラズマ処理が終了した場合(S113:Yes)、ステップS12に示された処理が実行される。
【0061】
以上、第2の実施形態について説明した。上記したように、本実施形態におけるプラズマ処理方法は、工程a)、工程b)、および工程c)を含む。工程a)では、プラズマ処理チャンバ10内に設けられた静電チャック1110内の電極1110aに電圧を印加することにより、基板Wを静電チャック1110に吸着させる。工程b)では、プラズマ処理チャンバ10内に生成されたプラズマにより、基板Wを処理する。工程c)では、プラズマによる処理の時間の経過に伴って静電チャック1110内の電極1110aに印加される電圧の大きさを変更することにより、静電チャック1110が基板Wを吸着する力の変動を抑制するように制御する。静電チャック1110内の電極1110aに印加される電圧は、プラズマ処理チャンバ10内に設けられたエッジリング112aの電位を基準電位とする電圧である。これにより、プラズマ処理中の基板Wの過剰な帯電を抑制することができる。
【0062】
[その他]
なお、本願に開示された技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0063】
例えば、上記した各実施形態では、可変直流電源114の基準電位の端子がエッジリング112aに接続され、可変直流電源114の基準電位がエッジリング112aの電位と同等になるように設定された。しかし、開示の技術はこれに限られない。他の形態として、カバーリング112bが導電性の部材により形成され、可変直流電源114の基準電位の端子がカバーリング112bに接続されてもよい。あるいは、エッジリング112aおよびカバーリング112bが導電性の部材により形成され、可変直流電源114の基準電位の端子がエッジリング112aおよびカバーリング112bに接続されてもよい。
【0064】
また、上記した実施形態では、プラズマ源の一例として、容量結合型プラズマ(CCP)を用いて処理を行うプラズマ処理装置100を説明したが、プラズマ源はこれに限られない。容量結合型プラズマ以外のプラズマ源としては、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)、マイクロ波励起表面波プラズマ(SWP)、電子サイクロトン共鳴プラズマ(ECP)、およびヘリコン波励起プラズマ(HWP)等が挙げられる。
【0065】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
W 基板
100 プラズマ処理装置
1 装置本体
2 制御部
2a コンピュータ
10 プラズマ処理チャンバ
10s プラズマ処理空間
11 基板支持部
111 本体部
111a 基板支持面
111b リング支持面
1110 静電チャック
1110a 電極
1111 基台
112 リングアセンブリ
112a エッジリング
112b カバーリング
114 可変直流電源
115 フィルタ回路
116 スイッチ
120 容量成分
121 容量成分
122 抵抗成分
20 ガス供給部
30 電源
31 RF電源
32 DC電源
40 排気システム
50 接続部材
51 シール部材
52 シール部材