(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6555 20140101AFI20240726BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240726BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240726BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240726BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240726BHJP
H01M 10/6569 20140101ALI20240726BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240726BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20240726BHJP
H01M 10/652 20140101ALI20240726BHJP
【FI】
H01M10/6555
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/6568
H01M10/6569
H01M10/647
H01M50/20
H01M10/652
(21)【出願番号】P 2021030027
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】田中 賢吾
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-29000(JP,A)
【文献】特開2018-29001(JP,A)
【文献】特開2018-29002(JP,A)
【文献】特開2018-22603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6555
H01M 10/613
H01M 10/6556
H01M 10/625
H01M 10/6568
H01M 10/6569
H01M 10/647
H01M 50/20
H01M 10/652
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上のバッテリセルと、
前記バッテリセルの厚さ方向に積層され、前記バッテリセルの外面に沿って延びるとともに、前記バッテリセルの外周側の端部よりも外側に延出する延出部を有し、前記バッテリセルから放出される熱が伝達される少なくとも1つ以上の伝熱部材と、
前記延出部の厚さ方向の両外側に設けられ、前記バッテリセルから放出されて前記伝熱部材に伝わる熱を吸収する吸熱部と、
前記延出部の厚さ方向の一方側に位置する前記吸熱部と前記延出部との間に挿入され、前記延出部の厚さ方向の他方側に位置する前記吸熱部に前記延出部を当接させる方向に前記延出部を押圧する押圧部材と、を備える
電池モジュール。
【請求項2】
前記伝熱部材は、内部を作動液が移動可能な中空に形成され、前記作動液が前記バッテリセルから放出される熱を吸収して蒸発し、蒸発した前記作動液が前記延出部において放熱して凝縮することによって、前記バッテリセルから放出される熱を前記吸熱部に伝達する
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記延出部と前記吸熱部との間に挿入される端部に向かって徐々に厚さ寸法が小さくなるように形成され、
前記延出部の厚さ方向の両側に位置する前記吸熱部は、前記押圧部材が挿入される側の端部に向かって間隔が徐々に大きくなるように形成される
請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記延出部の厚さ方向の一方側に位置する前記吸熱部と前記延出部との間に挿入された状態で、前記延出部の厚さ方向の他方側に位置する前記吸熱部側に向かう方向に前記延出部を付勢するばね構造を有する
請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記押圧部材は、熱伝導性を有する部材によって形成される
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリセルから放出される熱を伝える伝熱部材を有する電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電池モジュールは、板状のバッテリセルと、バッテリセルの厚さ方向に積層され、バッテリセルの外面に沿って延びるように構成され、バッテリセルから放出される熱が伝達される板状の伝熱部材と、バッテリセルから放出されて伝熱部材に伝わる熱を吸収する吸熱部と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の電池モジュールは、複数のバッテリセルおよび複数の伝熱部材が交互に積層され、交互に積層された複数のバッテリおよび複数の伝熱部材の側面側を吸熱部がバッテリセルおよび伝熱部材の積層方向に延びるように配置されている。
【0004】
伝熱部材は、バッテリセルから放出されて伝熱部材に伝わる熱を吸熱部に吸収させるために、吸熱部の外側面に当接する当接部を有している。当接部は、伝熱部材の吸熱部側の端部からバッテリセルおよび伝熱部材の積層方向に延びるように形成されている。従来の電池モジュールは、当接部を介して伝熱部材から吸熱部に熱が伝わることになるため、超急速充電時等、バッテリセルからの放熱量の増加に対して冷却性能を維持するために、当接部と吸熱部との接触面積を大きくする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、当接部と吸熱部との接触面積を大きくする場合、当接部は、バッテリセルおよび伝熱部材の積層方向の寸法が大きくなることになり、電池モジュールが大型化するおそれがある。
【0007】
本発明の目的とするところは、装置の大型化を抑制するとともに、バッテリセルから確実に放熱させることができる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電池モジュールは、少なくとも1つ以上のバッテリセルと、前記バッテリセルの厚さ方向に積層され、前記バッテリセルの外面に沿って延びるとともに、前記バッテリセルの外周側の端部よりも外側に延出する延出部を有し、前記バッテリセルから放出される熱が伝達される少なくとも1つ以上の伝熱部材と、前記延出部の厚さ方向の両外側に設けられ、前記バッテリセルから放出されて前記伝熱部材に伝わる熱を吸収する吸熱部と、前記延出部の厚さ方向の一方側に位置する前記吸熱部と前記延出部との間に挿入され、前記延出部の厚さ方向の他方側に位置する前記吸熱部に前記延出部を当接させる方向に前記延出部を押圧する前記押圧部材と、を備える。
【0009】
また、本発明に係る電池モジュールは、前記伝熱部材が、内部を作動液が移動可能な中空に形成され、前記作動液が前記バッテリセルから放出される熱を吸収して蒸発し、蒸発した前記作動液が前記延出部において放熱して凝縮することによって、前記バッテリセルから放出される熱を前記吸熱部に伝達する。
【0010】
また、本発明に係る電池モジュールは、前記押圧部材が、前記延出部と前記吸熱部との間に挿入される端部に向かって徐々に厚さ寸法が小さくなるように形成され、前記延出部の厚さ方向の両側に位置する前記吸熱部は、前記押圧部材が挿入される側の端部に向かって間隔が徐々に大きくなるように形成される。
【0011】
また、本発明に係る電池モジュールは、前記押圧部材が、前記延出部の厚さ方向の一方側に位置する前記吸熱部と前記延出部との間に挿入された状態で、前記延出部の厚さ方向の他方側に位置する前記吸熱部側に向かう方向に前記延出部を付勢するばね構造を有する。
【0012】
また、本発明に係る電池モジュールは、前記押圧部材が、熱伝導性を有する部材によって形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ベーパーチャンバと吸熱部との間で熱交換するために必要な接触面積を確保するために、ベーパーチャンバの積層方向に大型化する必要がなく、吸熱部における必要な吸熱量を確保することが可能となるので、装置の大型化を抑制するとともに、バッテリセルから確実に放熱させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る電池モジュールの要部断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る押圧部材を組み付ける方法を説明する電池モジュールの要部断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る電池モジュールの要部断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る押圧部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1乃至
図4は、本発明の第1実施形態を示すものである。
図1は電池モジュールの斜視図であり、
図2は電池モジュールの分解斜視図であり、
図3は電池モジュールの要部断面図であり、
図4は押圧部材を組み付ける方法を説明する電池モジュールの要部断面図である。本実施形態では、
図1におけるX方向を右方、Y方向を前方、Z方向を上方として説明する。
【0016】
本実施形態の電池モジュール1は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両に適用されるものであり、動力源としての電動モータに電力を供給するためのものである。
【0017】
電池モジュール1は、
図1および
図2に示すように、厚さ方向(
図1中のY方向)に並べて配置される複数のバッテリセル10と、各バッテリセル10に対して積層され、バッテリセル10から放出される熱が伝達される複数の伝熱部材としてのベーパーチャンバ20と、ベーパーチャンバ20から放出される熱を吸収するための一対の冷却ジャケット30と、ベーパーチャンバ20と冷却ジャケット30の後述する吸熱部とを互いに当接させる方向にベーパーチャンバ20の後述する延出部を押圧するための押圧部材40と、を備えている。
【0018】
複数のバッテリセル10は、それぞれ、例えば、リチウムイオン二次電池である。複数のバッテリセル10は、それぞれ、電極および電解質等の材料をラミネートフィルムによって覆うことによって矩形の板状に形成されている。バッテリセル10は、厚さ方向の大きさが、例えば、3mm~5mmに形成されている。本実施形態では、複数のバッテリセル10を示しているが、これに限られるものではなく、少なくとも1つ以上のバッテリセルを有する電池モジュールであれば本発明を適用可能である。
【0019】
複数のベーパーチャンバ20は、それぞれ、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅合金等の金属からなる矩形の板状に形成された中空の部材の内部に水等の作動液を封入することによって構成されている。複数のベーパーチャンバ20は、それぞれ、幅方向の中央部側に設けられ、隣接するバッテリセル10に接触する接触部20aと、接触部20aの幅方向の端部から幅方向外側に延出する延出部20bと、を有している。複数のベーパーチャンバ20は、それぞれ、接触部20aにおいてバッテリセル10から放出される熱を吸収し、延出部20bにおいて冷却ジャケット30に向けて熱を放出する。詳細に説明すると、ベーパーチャンバ20は、接触部20aにおいて熱を吸収して作動液を蒸発させて延出部20b側に流通させ、延出部20bにおいて熱を放出させて作動液を凝縮して接触部20a側に流通させることにより、バッテリセル10から放出される熱を冷却ジャケット30に伝えるようになっている。本実施形態では、複数のベーパーチャンバ20を示しているが、これに限られるものではなく、少なくとも1つ以上のベーパーチャンバを有する電池モジュールであれば本発明を適用可能である。
【0020】
一対の冷却ジャケット30は、それぞれ、例えば、アルミニウム合金等の金属製の部材からなる。一対の冷却ジャケット30は、それぞれ、ベーパーチャンバ20の延出部20bの下方を複数のベーパーチャンバ20が並ぶ方向に延びる流入側ヘッダ31と、ベーパーチャンバ20の延出部20bの上方を複数のベーパーチャンバ20が並ぶ方向に延びる流出側ヘッダ32と、それぞれ上下方向に延びるように設けられ、流入側ヘッダ31と流出側ヘッダ32とを連通する複数の吸熱部33と、を有している。一対の冷却ジャケット30には、図示しないポンプ等の機器によって圧送された冷却水が流通する。一対の冷却ジャケット30を流通する冷却水は、例えば、ラジエータにおいて放熱した後の冷却水である。冷却水は、水、または、エチレングリコール等のクーラントである。
【0021】
流入側ヘッダ31は、ベーパーチャンバ20が並ぶ方向に延びる円筒状に形成され、例えば、ラジエータの冷却水流出口側に接続されている。
【0022】
流出側ヘッダ32は、ベーパーチャンバ20が並ぶ方向に延びる円筒状に形成され、例えば、ラジエータの冷却水流入口側に接続されている。
【0023】
複数の吸熱部33は、それぞれ、直線状に延びる扁平形状の管部材であり、厚さ方向をベーパーチャンバ20が並ぶ方向に向けられた姿勢で、一端部が流入側ヘッダ31に接続され、他端部が流出側ヘッダ32に接続されている。また、複数の吸熱部33は、それぞれ、幅方向外側に向かって徐々に厚さ方向の寸法が小さくなるように形成されている。複数の吸熱部33は、それぞれ、隣接する吸熱部33と間隔をおいて流入側ヘッダ31および流出側ヘッダ32に接続されており、流入側ヘッダ31、流出側ヘッダ32、互いに隣り合う吸熱部33に囲まれて形成される貫通孔30aにベーパーチャンバ20の延出部20bが挿入される。また、互いに隣接する吸熱部33は、幅方向外側に向かって間隔が徐々に大きくなるように形成される。
【0024】
複数の押圧部材40は、それぞれ、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅合金等の熱伝導性を有する部材を、薄板状に形成した部材である。複数の押圧部材40は、
図3および
図4に示すように、それぞれ、断面形状が、幅方向一端部から他端部に向かって徐々に厚さ方向の寸法が小さくなるように形成されている。複数の押圧部材40は、それぞれ、幅方向の一端部を電池モジュール1の幅方向外側に向けた姿勢で、他端部を幅方向外側から貫通孔30aに挿入されるようになっている。
【0025】
電池モジュール1は、複数のバッテリセル10および複数のベーパーチャンバ20を交互に積層した状態で、複数のベーパーチャンバ20のそれぞれの幅方向両側に位置する延出部20bを冷却ジャケット30の貫通孔30aに挿入し、複数の押圧部材40を、貫通孔30aの幅方向外側から挿入することによって、組付けられる。
【0026】
このとき、押圧部材40は、貫通孔30aの内側においてベーパーチャンバ20の延出部20bを押圧し、延出部20bと冷却ジャケット30の吸熱部33とを当接させる。
【0027】
以上のように構成された電池モジュール1において、バッテリセル10から放出された熱は、ベーパーチャンバ20の接触部20aに伝達される。ベーパーチャンバ20の接触部20aに伝達された熱は、作動液を蒸発させる。蒸発した作動液は、ベーパーチャンバ20の幅方向外側に流通し、延出部20bにおいて冷却ジャケット30の吸熱部33に対して熱を放出して凝縮し、ベーパーチャンバ20の幅方向中央部側に向かって流通する。ベーパーチャンバ20の延出部20bから放出された熱は、冷却ジャケット30の吸熱部33において冷却水に吸収される。熱を吸収した冷却水は、冷却ジャケット30から流出した後、例えば、ラジエータを流通することにより、熱を空気中に放出する。
【0028】
このように、本実施形態の電池モジュール1によれば、少なくとも1つ以上のバッテリセル10と、バッテリセル10の厚さ方向に積層され、バッテリセル10の外面に沿って延びるとともに、バッテリセル10の外周側の端部よりも外側に延出する延出部20bを有し、バッテリセル10から放出される熱が伝達される少なくとも1つ以上のベーパーチャンバ20と、延出部20bの厚さ方向の両外側に設けられ、バッテリセル10から放出されてベーパーチャンバ20に伝わる熱を吸収する吸熱部33と、延出部20bの厚さ方向の一方側に位置する吸熱部33と延出部20bとの間に挿入され、延出部20bの厚さ方向の他方側に位置する吸熱部33に延出部20bを当接させる方向に延出部20bを押圧する押圧部材40と、を備える。
【0029】
これにより、ベーパーチャンバ20と吸熱部33との間で熱交換するために必要な接触面積を確保するために、ベーパーチャンバ20の積層方向に大型化する必要がなく、吸熱部33における必要な吸熱量を確保することが可能となるので、装置の大型化を抑制するとともに、バッテリセル10から確実に放熱させることが可能となる。
【0030】
また、伝熱部材は、内部を作動液が移動可能な中空に形成され、作動液がバッテリセル10から放出される熱を吸収して蒸発し、蒸発した作動液が延出部20bにおいて放熱して凝縮することによって、バッテリセル10から放出される熱を吸熱部33に伝達するベーパーチャンバ20である、ことが好ましい。
【0031】
これにより、ベーパーチャンバ20によって、バッテリセル10から放出される熱を効率的に吸熱部33に伝達することが可能となるため、バッテリセル10からより効率的に放熱させることが可能となる。
【0032】
また、押圧部材40は、延出部20bと吸熱部33との間に挿入される端部に向かって徐々に厚さ寸法が小さくなるように形成され、延出部20bの厚さ方向の両側に位置する吸熱部33は、押圧部材40が挿入される側の端部に向かって間隔が徐々に大きくなるように形成される、ことが好ましい。
【0033】
これにより、隣接する吸熱部33の間において、押圧部材40を挿入することによって、隙間なく延出部20bを吸熱部33に当接させることが可能となるので、延出部20bと吸熱部33との間の伝熱効率を向上させることが可能となる。また、複数のバッテリセル10それぞれの厚さ方向の寸法がばらつきを有することによって、延出部20bと吸熱部33との間隔にばらつきが生じる場合には、延出部20bと吸熱部33との間に対する押圧部材40の挿入量を調整することで、延出部20bと吸熱部33とを確実に当接させることが可能となる。これにより、厚さ方向の寸法がばらつきを有する複数のバッテリセル10を積層する場合に生じる延出部20bと吸熱部33との間隔の誤差を、押圧部材40によって吸収し、延出部20bと吸熱部33とを確実に当接させることができるので、バッテリセル10からより確実に放熱させることができる。
【0034】
また、押圧部材40は、熱伝導性を有する部材によって形成される、ことが好ましい。
【0035】
これにより、押圧部材40を介して延出部20bに対向する吸熱部33に延出部20bから放出される熱を伝達することが可能となるので、バッテリセル10からより効率的に放熱させることが可能となる。
【0036】
また、押圧部材40と延出部20bとの間に、熱伝導グリス等の潤滑剤を介在させることで、延出部20bと吸熱部33との間への押圧部材40の挿入を容易とすることができるとともに、押圧部材40と延出部20bとの間の熱抵抗を低減することが可能となり、バッテリセル10からより効率的に放熱させることが可能となる。
【0037】
<第2実施形態>
図5および
図6は、本発明の第2実施形態を示すものである。
図5は電池モジュールの要部断面図であり、
図6は押圧部材の斜視図である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0038】
本実施形態の電池モジュール1の複数の押圧部材41は、それぞれ、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅合金等の熱伝導性を有すると共に弾性を有する部材からなる。複数の押圧部材41には、
図6に示すように、それぞれ、板状の部材の複数個所を切り起こすことによってベーパーチャンバ20の延出部20bまたは冷却ジャケット30の吸熱部33に当接する複数の押圧片41aが形成されている。押圧片41aは、押圧部材41の厚さ方向の力に対して弾性変形する。押圧部材41は、延出部20bの厚さ方向の一方側に位置する吸熱部33と延出部20bとの間に挿入された状態で、延出部20bの厚さ方向の他方側に位置する吸熱部33側に向かう方向に延出部20bを付勢するばね構造を有する。
【0039】
以上のように構成された電池モジュール1において、押圧部材41は、押圧片41aを弾性変形させながら貫通孔30aに挿入することによって、貫通孔30aの内側の延出部20bと吸熱部33との間に取り付けられる。押圧部材41は、
図5に示すように、押圧片41aの弾性力によって、貫通孔30aの内側においてベーパーチャンバ20の延出部20bを冷却ジャケット30の吸熱部33側に付勢し、延出部20bと吸熱部33とを当接させる。
【0040】
このように、本実施形態の電池モジュール1によれば、第1実施形態と同様に、ベーパーチャンバ20と吸熱部33との間で熱交換するために必要な接触面積を確保するために、ベーパーチャンバ20の積層方向に大型化する必要がなく、吸熱部33における必要な吸熱量を確保することが可能となるので、装置の大型化を抑制するとともに、バッテリセル10から確実に放熱させることが可能となる。
【0041】
また、押圧部材41は、延出部20bの厚さ方向の一方側に位置する吸熱部33と延出部20bとの間に挿入された状態で、延出部20bの厚さ方向の他方側に位置する吸熱部33側に向かう方向に延出部20bを付勢するばね構造を有する、ことが好ましい。
【0042】
これにより、隣接する吸熱部33の間において、押圧部材41を挿入することによって、押圧部材41の付勢力によって延出部20bを吸熱部33に当接させることが可能となるので、延出部20bと吸熱部33との間の伝熱効率を向上させることが可能となる。
【0043】
尚、前記実施形態では、ベーパーチャンバ20の幅方向の両側に熱を放出する延出部20bを設け、幅方向両側の延出部20bのそれぞれに当接する吸熱部33を有する幅方向一対の冷却ジャケット30を示したが、これに限られるものではない。例えば、ベーパーチャンバの一端側に延出部を設け、ベーパーチャンバの一端側の延出部に当接する吸熱部を有する1つの冷却ジャケットを構成してもよい。
【0044】
また、前記第2実施形態では、板状の部材の複数個所に押圧片41aを形成することによって、押圧部材41にばね構造を構成したもの示したが、これに限られるものではない。ばね構造を有する押圧部材としては、延出部20bの厚さ方向の一方側に位置する吸熱部33と延出部20bとの間に挿入された状態で、延出部20bの厚さ方向の他方側に位置する吸熱部33側に向かう方向に延出部20bを付勢するものであれば、例えば、弾性を有する板状部材を屈曲した状態で、延出部20bの厚さ方向の一方側に位置する吸熱部33と延出部20bとの間に挿入してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 電池モジュール
10 バッテリセル
20 ベーパーチャンバ(伝熱部材)
20b 延出部
30 冷却ジャケット
33 吸熱部
40 押圧部材
41 押圧部材
41a 押圧片