(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ミラーを備えた有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイス及びそれを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/85 20230101AFI20240726BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240726BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240726BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240726BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240726BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20240726BHJP
H10K 71/60 20230101ALI20240726BHJP
【FI】
H10K50/85
G09F9/30 365
G09F9/00 338
H10K50/10
H10K59/10
H10K59/80
H10K71/60
(21)【出願番号】P 2022544183
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021014012
(87)【国際公開番号】W WO2021150526
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-09-16
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ガン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チャン-チア
(72)【発明者】
【氏名】リン, ワン-ユ
(72)【発明者】
【氏名】バン, ヒョンスン
(72)【発明者】
【氏名】シュ, リソン
(72)【発明者】
【氏名】クワク, ビョン スン
(72)【発明者】
【氏名】フィッサー, ロバート ヤン
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0358779(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード(OLED)構造を製造するための方法であって、
下部金属層及び上部金属層を含む金属積層体を、基板上にOLED構造のピクセルを画定するウェル構造の上方に堆積することと、
2トーンマスクを使用してリソグラフィプロセスを実施して、前記金属積層体上に2トーンフォトレジスト層を形成することと、
第1のトーンを有する前記フォトレジスト層の一部を除去して、前記ウェル構造の外側の前記金属積層体の領域を露出させることと、
前記フォトレジスト層をマスクとして使用して、前記ウェル構造の外側の前記金属積層体の一部を除去することと、
第2のトーンを有する前記フォトレジスト層の一部を除去して、前記ウェル構造の側壁に対応する前記金属積層体の領域を露出させることと、
前記フォトレジスト層をマスクとして使用して、前記ウェル構造の底部に対応するエリアの上方の前記上部金属層を保護しながら、前記ウェル構造の前記側壁上の前記上部金属層の一部を除去することと、
前記ウェル構造の前記底部に対応する前記エリアに下部電極が作成され、かつ前記側壁に対応するエリアに誘電体パッシベーション層が作成されるように、少なくとも1つの露出した表面を酸化させることとを含む、方法。
【請求項2】
露出した表面を酸化させることが、前記側壁上の前記下部金属層の一部を酸化させて、前記誘電体パッシベーション層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォトレジスト
層が、前記ウェル構造の前記底部の上方の前記上部金属層の一部の酸化をブロックする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェル構造の前記底部の上方の前記領域から前記フォトレジスト層を剥離して、前記酸化の後に前記下部電極を提供する前記上部金属層を露出させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェル構造の前記底部の上方の前記領域から前記フォトレジスト層を剥離して、前記酸化の前に前記上部金属層を露出させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化が、前記上部金属層を酸化させて、前記下部電極を提供する導電性金属酸化物を形成する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
OLED積層体を少なくとも前記下部電極の上方に堆積することと、屈折率整合充填材料で前記ウェル
構造を少なくとも部分的に充填して、前記ウェル
構造に光抽出層を提供することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記光抽出層及び前記誘電体パッシベーション層が、整合する屈折率を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ウェル構造の側壁に対応する前記金属積層体の前記領域を露出させた後に、前記上部金属層の外側エッジの前記下部金属層の一部を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記上部金属層の前記外側エッジの前記下部金属層の前記一部を除去することが、前記ウェル構造の前記側壁上の前記上部金属層の一部を除去する間のウェットエッチングを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ディスプレイのピクセルを提供するための有機発光ダイオード(OLED)デバイスであって、
基板と、
前記基板上のウェル構造であって、側壁及び床を備えた凹部を含むウェル構造と、
前記ウェル
構造の前記床及び前記側壁を覆う下部金属層と、
前記ウェル
構造の前記床を覆うとともに前記下部金属層と接触する、前記下部金属層上の上部導電層であって、前記側壁と前記床との交点の周りに外側エッジを有する、上部導電層と、
前記上部導電層を覆うことなく前記ウェル
構造の前記側壁を覆う前記下部金属層の酸化物で形成された誘電体層と、
前記ウェル
構造の少なくとも前記床を覆うOLED層の積層体であって、前記上部導電層が前記OLED層の積層体用の電極を提供する、OLED
層の積層体と、
前記OLED層の積層体及び前記誘電体層の上方の前記ウェル
構造内の光抽出層(LEL)と
を含む、OLEDデバイス。
【請求項12】
上部導電層が、前記下部金属層の導電性金属酸化物である、請求項
11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記下部金属層が、前記側壁上にミラーを提供する、請求項
11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記上部導電層が、前記ディスプレイのピクセル用の薄膜トランジスタ(TFT)ドライバの金属電極の上方に作成される、請求項
11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記OLED層の積層体と前記光抽出層(LEL)との間にUVブロッキング層をさらに含む、請求項
11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(有機エレクトロルミネッセント)ダイオードとしても知られる有機発光ダイオード(OLED又は有機LED)は、発光エレクトロルミネセント層が、電流に応答して発光する有機化合物の膜である、発光ダイオード(LED)である。この有機層は、2つの電極の間にあり、典型的には、これらの電極のうちの少なくとも1つは透明である。OLEDは、テレビスクリーン、コンピュータモニタ、ポータブルシステム、例えば、スマートウォッチ、スマートフォン、携帯ゲーム操作器、PDA、及びラップトップなどのデバイスのデジタルディスプレイを作成するために使用される。
【0003】
OLEDディスプレイは、パッシブマトリックス(PMOLED)又はアクティブマトリックス(AMOLED)制御スキームで駆動され得る。PMOLEDスキームでは、ディスプレイ中の各列(及びライン)は、一つずつ連続して制御され、その一方、AMOLED制御は、薄膜トランジスタのバックプレーンを使用して、各個別のピクセルに直接アクセスしてオン又はオフを切り替え、より高速な応答、より高い解像度、及びより大きなディスプレイサイズを可能にする。
【0004】
AMOLEDディスプレイは、従来のLCDディスプレイと比較して、高いピクセル密度、優れた画質、及び薄いフォームファクタで魅力的である。AMOLEDディスプレイは、薄膜プロセスで薄くて柔軟な基板上に作成できる自己発光デバイスであり、LCDディスプレイで使用されるようなバックライトを必要としない。LCDデバイスよりも優れた電力効率に加えて、AMOLEDデバイスは、「点灯時に電力のみを消費する」及び「発光強度に対応して必要な電力のみを消費する」などの特徴で注目されている。よって、AMOLEDディスプレイは、バッテリ駆動のポータブル製品にとって魅力的なディスプレイ技術と見なされてきた。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、有機発光ダイオード(OLED)構造を製造するための方法は、下部金属層及び上部金属層を含む金属積層体を、基板上にOLED構造のピクセルを画定するウェル構造の上方に堆積することと、2トーンマスクを使用してリソグラフィプロセスを実施して、金属積層体上に2トーンフォトレジスト層を形成することと、第1のトーンを有するフォトレジスト層の一部を除去して、ウェル構造の外側の金属積層体の領域を露出させることと、フォトレジスト層をマスクとして使用してウェル構造の外側の金属積層体の一部を除去することと、第2のトーンを有するフォトレジスト層の一部を除去して、ウェル構造の側壁に対応する金属積層体の領域を露出させることと、フォトレジスト層をマスクとして使用して、ウェル構造の底部に対応するエリアの上方の上部金属層を保護しながら、ウェル構造の側壁上の上部金属層の一部を除去することと、ウェル構造の底部に対応するエリアに下部電極が作成され、かつ側壁に対応するエリアに誘電体パッシベーション層が作成されるように、少なくとも1つの露出した表面を酸化させることとを含む。
【0006】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。下部金属層は、側壁上にミラーを提供し得る。各下部電極は、OLED構造のピクセル用に薄膜トランジスタ(TFT)ドライバの金属電極の上方に作成され得る。下部金属層は、アルミニウム、AlNd、又はアルミニウム合金であり得る。下部金属層は、In、Zn、Ti、Ta、Sn、Mo、Ni、Nb、Cu、Mg、又はそれらの金属合金を含み得る。金属積層体を堆積することは、スパッタリングプロセスを含み得る。
【0007】
別の態様では、ディスプレイのピクセルを提供するための有機発光ダイオード(OLED)デバイスは、基板と、基板上のウェル構造であって、側壁及び床を備えた凹部を有するウェル構造と、ウェルの少なくとも床を覆うOLED層の積層体と、OLED層の積層体の上方のウェル内の光抽出層(LEL)とを含む。ピクセルは、側壁上のミラーによって寸法的に画定され、側壁上のミラーは、OLEDピクセルに基づくOLEDデバイスが1インチあたり1000ピクセル(PPI)超のピクセルを有するように、8um内の外寸法を有する。
【0008】
別の態様では、ディスプレイのピクセルを提供するための有機発光ダイオード(OLED)デバイスは、基板と、基板上のウェル構造であって、側壁及び床を備えた凹部を有するウェル構造と、ウェルの床及び側壁を覆う下部金属層と、ウェルの床を覆うとともに下部金属層と接触する、下部金属層上の上部導電層であって、側壁と床との交点の周りに外側エッジを有する、上部導電層と、上部導電層を覆うことなくウェルの側壁を覆う下部金属層の酸化物で形成された誘電体層と、ウェルの少なくとも床を覆うOLED層の積層体であって、上部導電層がOLED層の積層体用の電極を提供する、OLEDの積層体と、OLED層の積層体と誘電体層の上方のウェル内の光抽出層(LEL)とを含む。
【0009】
利点には、限定されないが、以下の1つ又は複数が含まれ得る。
【0010】
外部光効率が改善されたOLEDディスプレイを実現するには、頂部発光OLEDデバイスの下部電極と周辺ミラーを製造するために、さらに2つのリソグラフィパターニングプロセス工程が必要になる場合がある。製造プロセスは、反射性の下部ピクセル電極とそれを取り囲むミラーを実現するために、単一堆積及びリソグラフィのパターニング工程を使用することによって簡素化することができる。ミラーエリア上方の誘電体コーティングは、上部電極と下部電極の間に挟まれたOLED積層体層の光学指数と一致する光学指数を有する、下にある金属ミラーの表面酸化に基づく場合がある。この方法の自己整合の性質により、フォトリソグラフィプロセスが不要になる場合がある(よって、マスクの整列とエッチングに伴う歩留まりの損失がなくなる場合がある)。本開示に記載される自己整合構造及び方法は、凹型ウェルを小さい寸法で作製することを可能にし、よってOLEDディスプレイをより高いピクセル密度で動作させることができる。
【0011】
本明細書に記載された主題の1つ又は複数の態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載で説明される。その他の特徴、態様、及び利点は、本記載、図面、及び特許請求の範囲から自明となろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】屈折率整合材料のパターン化/構造化光抽出層を有する頂部発光OLEDピクセルの断面図の例を示す。
【
図1B】屈折率整合材料のパターン化/構造化光抽出層を有する頂部発光OLEDピクセルの断面図の例を示す。
【
図1C】屈折率整合材料のパターン化/構造化光抽出層を有する頂部発光OLEDピクセルのアレイの断面図の例を示す。
【
図2A】パターン化/構造化光抽出層の下のUVブロッキング層を有する頂部発光OLEDピクセルの断面図の例を示す。
【
図2B】薄膜トランジスタドライバに連結された頂部発光OLEDピクセルの断面図の例を示す。
【
図3A】下部電極及び周辺ミラーを有するOLEDピクセルの断面図を示す。
【
図3B】下部電極及び周辺ミラーを有するOLEDピクセルの例の上面図を示す。
【
図4A】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造する例の断面図を示す。
【
図4B】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造する例の断面図を示す。
【
図4C】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造する例の断面図を示す。
【
図4D】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造する例の断面図を示す。
【
図5A】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造する別の例の断面図を示す。
【
図5B】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造する別の例の断面図を示す。
【
図5C】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造する別の例の断面図を示す。
【
図5D】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造する別の例の断面図を示す。
【
図6A】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造するさらに別の例の断面図を示す。
【
図6B】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造するさらに別の例の断面図を示す。
【
図6C】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造するさらに別の例の断面図を示す。
【
図6D】本開示のいくつかの実装形態による、OLEDピクセル内の下部電極及び周辺ミラーを製造するさらに別の例の断面図を示す。
【
図7】本開示のいくつかの実装形態による、薄膜トランジスタ(TFT)ドライバの上部に製造されたOLEDピクセルの例を示す。
【
図8A】本開示のいくつかの実装形態による、複数のベースユニットを有するOLEDピクセルを示す。
【
図8B】本開示のいくつかの実装形態による、複数のベースユニットを有するOLEDピクセルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図面における類似の参照記号は、類似の要素を示している。
【0014】
OLEDは、2つの電極間に挟まれた発光有気層を含む有機層の積層体を有する2端子薄膜デバイスである。電極のうちの少なくとも1つは透明であり、よって、放射された光の通過を可能にする。典型的には、カプセル化又はパッシベーションは、OLED積層体をカバーする。OLED積層体とその上のカプセル化又はパッシベーション層との光学パラメータの不一致により、大幅な効率の低下が発生する可能性がある。さらに、平面層の積層体を有する従来のデバイス構成では、かなりの光が支持基板に吸収され得るか、又は低角度で発せられる。
【0015】
内部量子効率(IQE)は、変換された光子の数と入力電子の数の比を定量化するが、外部量子効率(EQE)は、入力電子の数から変換された放出及び抽出された光子の数の比を示す。これに関連して、IQEはほぼ完璧であるが、大量の発光が、OLEDディスプレイ内部に捕捉され得るか、又は水平方向(基板に平行)に沿って導波され得るため、EQEは理想からはほど遠い可能性がある。一例では、理想的なIQE(たとえば、リン光材料の場合は約100%)でも、従来のデバイス構成の商用OLEDでは約20~25%のEQEが実現された。出力放射による光エネルギー損失に加えて、内部に捕捉された光は隣接するピクセルに導波され、正面に散乱する可能性があり、「光漏れ」又は「光クロストーク」を引き起こし、ディスプレイの鮮明さ及びコントラストを低下させる。
【0016】
図1Aから1Cを参照すると、この問題に対する1つの解決策は、ウェル構造103内に、ウェルの底部103B及び斜めの側壁103Aの部分に沿ったミラーと、ウェルを充填するパターン化光抽出層108とを有する、OLED積層体を形成することである。上面発光OLED構造の例が、
図1A及び1Bに示される。OLED構造は、支持基板100上に形成され、支持基板100は、場合によっては、製造プロセスの後に除去され得る。
【0017】
ウェルは、支持基板100の上方に配置される誘電体ピクセル画定層(PDL)111内の凹部によって提供され得る。1つ又は複数の薄膜トランジスタ(TFT)で作製されたピクセル駆動回路が基板100上に形成された後に、ピクセル画定層(PDL)111が形成され得る。PDL111は、ポリマー材料であり得、例えば、フォトレジスト材料の層を堆積することにより、形成され得る。ポリマー材料の層は、その後、選択的にパターン化されて、ウェルを提供する凹部を形成する。上面PDLは、デバイス内の個別のOLEDサブピクセルを分離するプラトーを提供する。
【0018】
導電性アノード101は、ウェル構造103の底部又はウェル構造103より下に形成される。アノード101は、ウェルの斜めの側壁103Aの一部の上方に延びることができる。アノード101は、銀及び/又は別の反射性導電性材料であり得るか、又は導電性光反射性材料でコーティングされた導電性非反射性材料由来であり得る。いくつかの実装形態では、アノード101は、ミラーとして機能するのに十分反射性である。
【0019】
アノード101は、PDL111より前に処理され、薄膜トランジスタ(TFT)が基板100上に形成された後に形成され得る。例えば、薄膜トランジスタは、トランジスタのゲート、ドレイン、及びソース領域のための導電性端子を含むことができる。ここでは、アノード101は、TFTの上方に配置され、例えば誘電体層を通る導電性バイアスによって、TFTのドレインと電気的に接触して配置され得る。
【0020】
図1A及び1Bに示すように、アノード101は、ピクセル画定層(PDL)111が堆積され、パターン化された後に、形成され得る。アノード101の一部は、斜めの側壁103Aの上方に、PDL傾斜の領域内、例えば、エリア101A内などに、部分的又は完全に延びることができる。よって、アノード101は、凹部の上部(すなわち、プラトーの上部)から離間されている。結果として、アノード101によって提供されたミラーは、斜めの側壁103Aの上方に部分的又は完全に延びることができる。
【0021】
あるいは、アノード101は、PDL111より前に堆積され得る。アノード101の一部は、ピクセル画定層(PDL)111の下方に延びることができる。例えば、アノード202は、平坦な底部領域103Bのエリアのみに堆積され得る。この場合、ウェルの底部103Bをカバーし、斜めの側壁103Aの上方に部分的又は完全に延びる、別個のミラー層が形成され得る。
【0022】
アノード101がPDL111の上方に形成されると仮定すると、透明な誘電体層102は、アノード101の一部の上方、及びPDL111の露光部分の上方に形成され得る。誘電体層102の開孔は、OLEDの発光エリアを画定することになる。誘電体層102は、フォトレジストタイプの材料を使用して形成され得る。図示されているように、誘電体層102は、ウェルの底部103Bの外側エッジで、及び斜めの側壁103A上で、アノード101をカバーすることができる。しかし、ウェルの底部103B内への誘電体層102の延びは、通常最小限に抑えられる。
【0023】
発光ゾーン107を含むOLED層積層体104は、アノード101の上方に形成される。例えば上面発光OLED積層体中の、OLED層積層体104は、電子注入層(EIL)、電子移送層、孔ブロッキング層、発光層(EML)、電子ブロッキング層(EBL)、孔移送層(HTL)、及び孔注入層(HIL)を含み得るが、これは可能な層のセットの1つに過ぎない。OLED積層体104の最下層は、直接、又はアノード上に配置された導電性ミラー層を通じてのいずれかで、アノード101と電気的に接触している。誘電体層102の開孔を通じて露出したアノード101の領域の上方の発光層(EML)の一部は、発光ゾーン107を提供し得る。
【0024】
別の透明な電極106、例えばカソードは、OLED積層体104の上方に形成され得る。OLED積層体104の上部層は、カソード106と電気的に接触している。
【0025】
キャッピング層(CPL)は、カソード106の上部に置くことができる。CPLは、典型的には、非EML OLED層と同様の有機材料である。CPL層上には、パッシベーション層が堆積され得る。
【0026】
電極106は、ディスプレイ全体をカバーし、すべてのピクセルに接続する連続する層であり得る。それと比較して、各OLEDの独立した制御が達成され得るように、アノード101は連続的に作製されていない。これはサブピクセルの制御を可能にし、各ピクセルは、異なる色の3つのサブピクセル、例えば、R、G、及びBを含み得る。
【0027】
アノード101が側壁ミラー(例えば、PDLの傾斜に沿って堆積される)として機能する実装形態では、発光エリアは、そのような側壁ミラーの上方に誘電体層102を置くことによってさらに制御され得る。誘電体層102の範囲は変化し得る。通常、OLED発光は、層の厚さに大きく依拠する。誘電体層102は、側壁上に形成されたOLED構造からの発光を抑制することを可能にし(デバイス製造中)、一方、ウェルの側壁と底部との間の厚さの差は、発光スペクトル及び色座標を含む、一貫性のない発光特性をもたらし得る。
【0028】
OLED構造は、ウェル構造103の凹型エリアの内部に配置される屈折率整合充填材料108をさらに有する。屈折率整合充填材料/層の上面108aは、平坦(
図1Aを参照)又は湾曲/非平坦(
図1B)であり得る。適切なデバイス設計により、OLED発光ゾーン及び光抽出層の周囲にミラーを導入することにより(凹面の屈折率整合材料を介して)、EQEは、従来のOLED設計から2~3倍改善され得る。結果として、ポータブルアプリケーションにおけるOLEDディスプレイの電力消費は2から3倍削減することができる。これにより、タッチスクリーン、電話、パッド、及びラップトップなどの現在のモバイルデバイスで使用されているものよりも小型で軽量の充電式バッテリを使用することができ、充電時間を短縮することができる。同様の趣旨で、高効率のOLEDディスプレイを有する同じモバイルデバイスは、元のバッテリの1回の充電で、はるかに長い時間(例えば、2~3倍よりもわずかに短く)動く。このような非常に効率的なピクセルアーキテクチャの別の利点は、ピクセルがより低い電流及び電圧で所望の輝度を実現し、これにより劣化現象が少なくなるため、デバイスの寿命が長くなることである。さらに別の利点は、より高いEQEがより小さな発光領域が以前と同じ明るさを達成することを可能にするため、より高いピクセル密度を達成することの技術的実現可能性である。
【0029】
しかし、新しく追加された光抽出層(LEL)は、従来の技術を使用して商業的に実行可能な価格で製造されない場合がある。この追加された層には、追加のプロセスと対応するツールが必要である。特に、液滴放出技法、例えば、液滴放出を使用する3D印刷技法を使用して、フィラー層を堆積させることが望ましいであろう。液滴として放出される液体材料は、「インク」と呼ばれることが多いが、色素沈着を含む必要はない(通常は含まない)。
【0030】
LELに有望な充填「インク」の1つのタイプは、有機結合ユニットでパッシベーションされた表面の有無にかかわらず、有機金属分子又は金属酸化物ナノ粒子を含む溶液である(「MOインク」と称され、以下で詳述する)。このタイプの充填インクは、高い固体負荷(例えば、スラリー混合物に含まれ得る固体/インク体積の形成率が高い)、及び出力放出を最大化する可能性のある調整可能な誘電率を有する。硬化方法は、高温でのポストアニーリング時間の持続時間とともに、充填インクをUV放射に曝露することを含む。残念ながら、LEL前駆体材料の硬化に必要なUV照射線量は、下のOLED構造に害を及ぼす可能性がある。
【0031】
光抽出層の屈折率整合材料のUV硬化インクによって引き起こされる製造上の課題に対処するために、本開示は、LEL層の下にUVブロッキング層を導入する解決策を提案し、そのため、下のOLED積層体の性能を損なうことなく、UV硬化性インクをパターン化LEL層に採用することができる。有機材料と無機材料のどちらも、UVブロッキング層に使用することができる。
【0032】
加えて、適切な表面プロファイル又は疎水性表面を提供することができ、これにより、製造中に位置がずれたインク液滴を重力及びドーム上部の表面特性によってウェルに戻すことができる(以下の
図4Bでさらに詳述する)。これらの技法は、OLED積層体の上方に堆積されたUVブロッキング層と併せて、又はそれとは独立して、使用することができる(以下の
図2A及び2Bでさらに詳述する)。
【0033】
さらに、本開示のインクジェットプロセスを用いると、屈折率の勾配を有するパターン化LEL層を形成することができる。複数のコーティング工程を有するインクジェット印刷又はスロットダイコーティングにより、屈折率勾配型のパターン化LELが可能になり、カバーガラス(又はオンセルタッチ構成のタッチパネル)と統合される。
【0034】
図1Cは、基板100上の層状構造112内に配置されたOLEDピクセルのアレイ110の断面図を示す。
【0035】
図2Aをさらに参照すると、OLED構造200Aの断面図は、OLED層104の上面104Aとパターン化LEL層108の間のUVブロッキング層202を示す。以下に記載される場合を除いて、OLED構造200Aは、
図1A及び1Bを参照して記載されたOLED構造100A及び100Bと同様であり得る。OLED構造200Aは、基板100上に形成され、ウェル構造103のアレイを含む。各ウェル構造は、底部領域103Bと側壁領域103Aとを含む。ウェル構造103は、プラトー105によって分離される。上記のとおり、誘電体層102は、PDL111の傾斜上に形成され、底部領域103Bのエッジエリアまで延びるが、凹型の底部領域への延びは可能であるが通常最小限に抑えられる。
【0036】
アノード101は、底部領域103B内に形成され、部分的に側壁103Aの上方へ延びることができる。上記のとおり、アノード101は、反射性であり得るか、又は導電性光反射性材料でコーティングされた導電性非反射性材料であり得る。
【0037】
より詳細には、各ウェル構造103の床は、基板100の上方の底部の平坦な面であり、これは、薄膜トランジスタ(TFT)回路プロセス中の形成された平坦な上部金属面(薄膜トランジスタTFTのソース及びドレイン電極に使用される金属層など)を表す。ミラー層101Mは、アノード101の上方に形成され得る。ミラー層101Mは、銀(Ag)又は他の反射性金属を使用し得る。あるいは、アノードは、導電性又は非導電性の反射性層の上方に堆積された透明な導電性材料であり得る。例えば、アノード101は、反射性のミラー層101Mの上部に堆積された導電性の酸化インジウムスズ(ITO)であり得る。OLEDのアノードには、内部全反射が所望される。
【0038】
いくつかの実装形態では、アノードは底部領域103Bに限定される。いくつかの実装形態では、アノードはまた、凹部の傾斜した側壁103Aの上方に部分的又は完全に延びる。いくつかの実装形態では、ミラー層101Mは、凹部の傾斜した側壁103A上に延びる導電性の反射性金属である。最初のアノードの上に形成されるこの導電性の反射性金属は、ピクセルの底部/床領域に潜在的な新しいアノードをもたらす可能性がある。上述のとおり、透明な誘電体層102が堆積及びパターン化されて、側壁領域103Aから電気的励起及び発光を排除し得る。
【0039】
カソード106は、パターン化されていない透明な連続層であり得る。上部発光構成では、光抽出層(LEL)108がUVブロッキング層202の上部にあり、UVブロッキング層202はカソード106の上部にある。この構成では、パッシベーション層は、カソード106の真上にあるキャッピング層(CPL)の上に堆積され得る。
【0040】
例えば、
図1Aから1Cに示されるように、LEL層108は、OLED積層体104及び上部カソード106の上方に配置される。LEL層108は、各ウェルを少なくとも部分的に充填する。いくつかの実装形態では、LEL層108Aは、プラトー105の上面の上方に突出する凸状の上面109を形成するようにウェルを「過剰充填」する。
【0041】
OLED層積層体104の上面104Aとパターン化LEL108の間には、UVブロッキング層202がある。UVブロッキング層202は、OLED層の形成に使用されるのと同様のプロセス(物理気相堆積など)で、又は異なるプロセス(化学気相堆積など)によって形成することができる。UVブロッキング層202は、スピンコーティングなどのコーティング法によっても形成することができる。UVブロッキング層202は、LEL層108/108aの処理に使用されるUV波長で強い吸収を有する(例えば、少なくとも90%から100%の吸収)。UVブロッキング層202は、比較的薄くてもよい(例えば、50から500nmの厚さ)。UVブロッキング層202の材料の例は、以下に見出すことができる。UVブロッキング層を堆積するための所望のプロセスは、選択された材料に依拠し得る。通常、蒸発プロセスは有利であり得るが、これは、スパッタリング又は化学気相堆積(CVD)がさらなるデバイス損傷要素(例えば、スパッタリング中のプラズマ、汚染物質、及び場合によってはCVD/PECVD中のプラズマ)につながり得るためである。
【0042】
パッシベーション層はCPL層上に堆積され得るが、いくつかの実装形態では、UVブロッキング層もパッシベーション層として機能し、CPL層上に別個のパッシベーション層は必要ではない。この場合、UVブロッキング層は、インクジェット印刷(IJP)のような、可能性のあるウェットLEL堆積のための透過ブロッキング層として機能し得る。
【0043】
以下の記載は、低コストの材料を使用して、統合プロセスによって、ミラー及び下部電極、並びにピクセル画定誘電体層を形成する方法についてのより詳細な説明を提供する。さらに
図2Bを参照すると、頂部発光OLEDディスプレイのアクティブマトリックスディスプレイピクセルの一例の断面図が示されている。TFTピクセルドライバ220は、ゲート221、ゲートインシュレータ222、及びソース/ドレインチャネル223を含む。ピクセルドライバ220は、基板100の頂部に配置される。頂部発光OLED構造200Aは、TFTピクセルドライバ220の上に配置される。示されているように、下部電極(例えば、アノード)101は、ビアホール(図示せず)を通じてTFTドライバ220、例えばドレインに接続される。ビアホールは、下部電極(アノード)101の下の平坦化層を貫通する。ビアホールは、底部、反射ミラー101Mの上方の誘電体コーティング102の開口部によって画定される発光要素の外のエリアにある。発光ゾーン107と透明な頂部共通電極105を含む有機積層体104は、連続層を表す。各凹型ウェル103を充填する透明な充填材料108は、放射光のアウトカップリングを改善する。
【0044】
テーパ状の側壁103Aを有するPDL111は、発光ダイオードエリアを取り囲む(例えば、下から)ミラー構造(例えば、
図1Aから1Cの101Mとして示される)を画定する。外部効率が改善されたそのようなOLEDを実現するためには、さらに2つのリソグラフィパターニングプロセス工程を使用することができる。その1つは、パターン化されたミラー層(例えば、
図1Aから1Cの層101M)を製造するためのものであり、もう1つは、パターン化された誘電体層(
図1Aから1Cの層102)を製造するためのものである。そのような2工程プロセスは、例えばミラー層と誘電体層のパターンの不一致により、歩留りを低下させる可能性がある。しかしながら、リソグラフィパターニングプロセスは、以下に詳述するように、依然としてスループットと歩留まりを改善し、製造コストを削減しながら、簡素化することができる。
【0045】
一例では、単一堆積及びリソグラフィパターニング工程を伴う処理方法は、反射性の底部ピクセル電極(例えば
図1Aから1Cの電極101)及び周辺ミラー(例えば
図1Aから1Cの層101M)を製造するために実施される。ミラーエリア上方の誘電体コーティング102は、上部電極106と下部電極101の間に挟まれた有機積層体層の光学指数と一致する光学指数を有する、下にある金属ミラー(例えば
図1Aから1Cの層101M)の表面酸化に基づく。
【0046】
本開示における形成方法の自己整合の性質により、フォトリソグラフィプロセスが不要にすることができる(よって、マスクの整列とエッチングに伴う対応する歩留まりの損失をなくすことができる)。本開示に記載される自己整合構造及び方法は、凹型ウェルの寸法を削減することができ、よってより高いピクセル密度を有するOLEDディスプレイを可能にする。
【0047】
利点には、パワーTFTのドレイン電極の真上に位置するOLEDエミッタの底部を備えた、高ピクセル密度、小ピクセルピッチの頂部発光OLEDピクセルも含まれる。このような有利な構成により、電気エネルギーを光エネルギーに変換する高効率が達成され、電話ディスプレイの密度レベルを超えてAMOLEDディスプレイのピクセル密度が向上し、拡張現実/仮想現実(AR/VR)のアプリケーションが実現可能になる。
【0048】
さらに
図3Aを参照すると、いくつかの実装形態による、底部ピクセル電極構造300の一例が示されている。この例では、下部電極301Aは、TFTバックパネル(例えば、
図2Aに示されるTFTバックパネル220)の上方に構成することができる。平坦な底部301A及び斜めの側壁301Bを有するウェル構造301は、有機誘電体材料若しくは無機誘電体材料のいずれか、又はそれらの組み合わせで作製することができる。ウェル構造301を有機誘電体材料で作製するために、光パターン化可能ポリマー(フォトレジスト)を直接使用することができる。平坦な底部301Aの厚さは、0.5μmから5μmの範囲であり得る。平坦な底部301Aが有機材料で作製される場合、選択される厚さは2から4μmである。ウェル構造103は、有機層と無機層の積層体でも作製することができ、例えば、光パターン化可能ポリマー(例えば、東レ4000シリーズ、DL1000シリーズ、又は同等物)は、頂部層(例えば、
図2Aで示される頂部層105)に使用することができ、無機誘電体層(例えば、
図2Aに示されるような誘電体層102)をパターニングするために、下にある(例えば、SiN、SiON、SiO
2、又はそれらの積層体)ビルトインマスクとしても使用することができる。
【0049】
ミラー302は、ウェル構造301の上方に配置されるが、ウェルの底部301A上の導電性電極304と斜めの側壁301B上の表面酸化ミラープロテクタ306との両方の下に配置される。可視スペクトル範囲で高い光反射率を有する酸化可能な金属(例えば、Al、ANd、Ti、又はそれらの金属積層体)をミラー302として使用することができる。底部ピクセル電極のパターニングは、酸化プロセス中にビルトインマスクとして使用される。側壁エリア301Bの酸化した金属、例えばアルミニウム(又はアルミニウム合金)は、パッシベーションされ、よって、ピクセル画定誘電体層を形成する(
図1A及び1Bの誘電体層102を参照)。
【0050】
そのような構造及び選択された材料は、
図1Aから1C及び
図2Aに関して上に記載したように、高い光抽出効率を有するOLEDにより有利であり得る。いくつかの場合、ミラー層302は、主にアルミニウム又はアルミニウム合金で形成される。例えば、ミラー層302は、堆積後のプロセスでの加工性を改善するために数パーセントのNdを含む、AlNdであり得る。Alは、可視スペクトル範囲全体にわたって高い光反射率を有する。このような材料は、より薄い金属の厚さ(例えば、約100nm)及び可視範囲全体にわたって100%に近い光反射率を有するほぼ完全なミラーを可能にする、より高い光学指数(nとkの両方、以下の例を含む)を有する。ミラー層302の表面は、簡潔な低温プロセスで酸化し得る。そのような酸化した表面は、OLEDエミッタで使用される有機層のものと整合する屈折率を提供し得る(例えば、nは約1.78、kは約0)。例えば、酸化したAl
2O
3は、700nmで約1.76、及び400nmで約1.79のnを有し、その間のkは約0で単調変化する。
【0051】
底部電極304及び周辺のピクセル画定誘電体層306は、さまざまな形状で設計され得る。角が鋭い四角形構成、角が丸い四角形構成、及び円形構成を含む、複数の可能性が
図3Bに示されている。x及びy方向に等しい寸法を有するパターンに加えて、x及びyが等しくないパターン(RGBサブピクセル設計に使用されることが多いストリップ電極など)も可能である。等しくないx及びy軸は、長軸及び短軸としても知られている場合がある。
【0052】
周辺ミラーリフレクタを有する底部ミラー電極の例(上記の
図3Aから3Bで示す)は、以下で詳述するように、1又は2のマスク工程を用いて作製することができる。
【0053】
図4Aから4Dは、いくつかの実装形態による、周辺ミラーリフレクタを有する底部ミラー電極を製造するためのマスクプロセスの例を示している。
図4Aは、基板400の上方の積層体内の有機誘電体若しくは無機誘電体又はそれらの組み合わせで構築されたウェル構造401の例を示している。そのようなウェル構造401は、単一のマスク工程で達成され得る。いくつかの場合、光パターン化可能ポリマーがPDL層111に使用されるとき、ポリマーはそのようなウェル構造401を構成するために直接使用され得る。光パターン化可能材料の例には、東レ4000若しくは1000シリーズ、又はJSRシリーズが含まれる。非感光性誘電体(有機若しくは無機又はその両方)が使用されるとき、従来のフォトレジストは、誘電体上にコーティングされ、露光され、ウェル構造401の上方の露光エリアで現像され得る。ウェル構造401は、その後、ウェットエッチング工程又はドライエッチング工程のいずれかを伴うエッチングプロセスによって形成され得る。
【0054】
ミラー402及びエリア401Aの下部電極を形成するのに使用される金属積層体は、
図4Bに示されるように順次堆積され得る2つの金属層を含む。
図4Cは、堆積及びパターニングの後にミラー構造402が形成される例を示している。金属積層体は、例えば、高反射率Al、又はAlNd、AlSiなどのAl合金で形成された下部金属層404と、ITO(In-Sn-O)、AZO(Al-Zn-O)、GZO(GaZnO)、TZO(Sn-Zn-O)、IZO(In-Zn-O)などの薄い導電性金属酸化物(TCO)で形成された上部金属層406とを含み得る。金属層404、406は、例えば室温でDC、パルス又はACスパッタリングを用いてブランケット堆積することができる。金属積層体の堆積の後には、金属積層体の頂面を酸化させる工程が続く。基板を加熱せず、非晶質又は非晶質/ナノ結晶形態で処理されたコーティングは、直接使用することができる。このようなプロセスは、金属及びピクセル電極プロセス用のTFT製造ラインによっても使用され得る。
【0055】
上述の2マスクプロセス工程に加えて、
図4Cに示される異なる表面ゾーンを有するミラー構造402は、2トーン(ハーフトーン又はデュアルトーンとも呼ばれる)マスク及び適切なフォトレジストを伴う単一マスクリソグラフィプロセスで製造することができる。特に、フォトレジスト層408は、マスク積層体の上方に堆積され得る。フォトレジスト層408は、2トーンマスクを使用して単一リソグラフィ工程で露光され、ウェル401の外側の領域408aの上方で第1の量(2トーンマスクの第1のトーンパターンによって生じる)の分、現像され、側壁領域401Bの上方の領域408bで第2の低量(2トーンマスクの第2のトーンパターンによって生じる)の分、現像される。底部401Aの上方のフォトレジストの領域は、パターン化される必要はない。
【0056】
第1の量によって現像されたフォトレジストは、剥離されて、ウェル401の外側の領域で下にある金属積層体を露出させる。このパターン化されたフォトレジスト層は、その後、マスクとして使用されて、ウェルの外側の金属積層体(金属下部層404と金属層406の両方)の一部をエッチング及び除去する。次に、第2の量の分現像されたフォトレジストは、剥離されて、側壁エリア401B上の領域で下にある金属積層体を露出させ、その一方、ウェル401の底部401A上の金属積層体を覆うフォトレジストの一部をそのままにする。残りのフォトレジストをマスクとして使用して、透明導電酸化物(TCO)層を提供する上部金属層406は、ウェルの側壁401B上の露光エリアでウェットエッチング法又はドライエッチング法のいずれかによって除去される。ウェルの底部401A上の金属積層体を覆うフォトレジストの一部は、マスクとして機能して、上部金属層406のエッチングを防止する。フォトレジストは、酸素プラズマ(例えば、ドライストリッピング)プロセス又はウェットストリッピングプロセスによって上記のさまざまな工程で除去され得る。単一マスクが使用されるため、下部金属層404及び上部金属層406の不整合の危険性は除去又は排除され、よって歩留まりを改善する。
【0057】
2トーンリソグラフィプロセスのこの例は、TFTソース/ドレイン、及びTFT製造ラインにおけるチャネル形成プロセスにも使用することができる。側壁エリア401BでのTCO除去後の連続酸素プラズマ処理は、側壁エリア401Bの酸化をもたらし、底部エリア401Aに残存するフォトレジストが除去され、OLED用の導電ピクセル電極が開口され得る。
【0058】
Alの厚さの例は100nmである。詳細なディスプレイ設計及び製品仕様に応じて、50nm~200nmの範囲の厚さの他の例も選択することができる。TCO層の例示の厚さは10nmである。5~30nmの範囲の厚さの他の例も選択することができる。
【0059】
この下部電極設計で採用された底部エリア401AのTCO層は、側壁エリア401Bに隣接するエリアに、図示された小さなステップをもたらすことができ、ミラー402のエッジを覆う他のバンク構造の必要性を排除することができる。
【0060】
アルミニウムミラーの消衰係数が高いと、Al の厚さを薄くすることができる。さらに、金属下部層404のエッジに対応する領域の外側エッジにおけるテーパ状のエッジのためのエッチングプロセスは、これらのエッジにおけるステップカバレージの問題を緩和することができる。
【0061】
図4Cに示すように、底部エリア401Aを覆うフォトレジスト408は、後続の表面酸化プロセス中に保持され得る。
図4Cに示すように、頂面が覆われた状態で、表面酸化プロセスを進めて、側壁に誘電体パッシベーション層410を形成することができる。そのあと、フォトレジスト408は剥離され得る。
【0062】
表面酸化は、以下のプロセスのうちの1つ又はそれらの組み合わせを使用することができる。
1. 熱酸化。室温での自然酸化は、露出したすべてのアルミニウムエリアに3~7nmの酸化パッシベーションをもたらし得る。上昇した温度での酸化は、酸化層を10nmに増加させ得る。
2. 酸素プラズマ。より厚い酸化層が好まれるとき、O2、又はO2を含む混合空気下のプラズマが、50nm超の酸化層を達成するのに使用され得る。
3. 液体酸化。露出したアルミニウム表面を液体酸化剤(H2O2又は他の酸化剤化学物質など)に浸すことにより、露出したアルミニウム表面に緻密な酸化層が作製され得る。
4. 陽極酸化。
図4Bに示すように、電極を陽極酸化槽に浸し、電極に陽極酸化電流を流し、反対極性の電極が作製される(図示せず)と、露出したAl表面に緻密な酸化層が形成され得る。電流の例は、0.2-2mA/cm2の間で選択され得る。しかしながら、ピンホール非含有酸化膜は、マイクロアンペア/cm2の範囲に低下した、低い陽極酸化電流密度で形成され得る。バイアス電圧が8Vに達し得る場合もあるが、酸化層の厚さは約10nmに達する。その電圧での酸化層は、酸化電流が閾値レベルまで減少するまで(初期電流の1%未満など)、さらに封止され得る。実際には、さまざまな電解質/水溶液が陽極酸化プロセスに使用され得る。水ベースの溶液に使用される電解質の例には、クエン酸又は/及び酒石酸アンモニウムが含まれる。例えば、脱イオン(DI)水中の酒石酸アンモニウムは、約3.7重量%である。1:10比でエチレングリコールを加えることは、膜の誘電体特性をさらに改善するために使用され得ることがある。陽極酸化されたピンホール非含有Al2O3膜は、弱無機酸(ホウ酸など)、及び/又は無機塩を含む溶液でも作製することができ、例えば、エチレングリコール中に30重量%の五ホウ酸アンモニウム(NH4B5O8)が含まれる。
【0063】
一例として、1つの設計では、120nmのAl層は、ガラス基板全体にわたって10%未満の厚さの変動で、DCスパッタを用いて室温でブランケット堆積される。この例では、In:Znの原子比が1:1の10nmのInZnO(IZO)が、室温で堆積される。Al及びIZOを選択的にパターニングし、中央の底部エリア401Aの表面をIZOで形成し、側壁エリア401Bの周辺エリアをAlで形成した後、表面酸化プロセスは、酸素プラズマ(ICP又はRIE機器のいずれかを用いる)で行われ、その後、例えば200℃未満で、例えば60分未満の熱後アニーリングで行われる。熱酸化を使用する第2の工程は、基板をH2O2槽に含浸させることなどのウェット酸化プロセスと置き換えることができる。酸化したAl酸化物の体積は、アルミニウムの体積よりも約30~40%大きく、底部エリア401Aと側壁エリア401Bとの間の境界における厚さの差(底部エリア401Aと側壁エリア401Bの間のステップ)は、10nmから6~7nmまで、30~40%減少する。
【0064】
底部エリア401Aと側壁エリア401Bの間の境界におけるそのような小さなステップは、統合されたOLEDアレイにステップカバレッジの問題を引き起こさない場合がある(後述)。
【0065】
赤、緑、青の色要素が並んでいるいくつかのOLEDディスプレイの場合、有機積層体層の総厚は、100~150nmの範囲になり得る。熱堆積でのこのような薄いプロファイルは、下部電極のエッジカバレッジに非常に敏感であり得る。いくつかの設計では、局所電界によるデバイスの漏れを回避するために、別の有機又は無機の誘電体バンク層が追加されて、エリア401Aの下部電極のエッジをマスクする。無機誘電体を使用する場合、既存のTFTバックパネルを下に収容するように低温PECVDプロセスが選択されることが多い。200~400nmの範囲の厚さの例は、特に、低温(<250℃)PECVDプロセスが使用されるときに、十分な誘電体特性を達成するのに使用され得る。追加のバンク層とピクセル電極401Aとの間の整列は、下部電極401Aのピクセル寸法に制限を設定する。本開示で説明するように、周辺エリアにパッシベーションされた光学ミラーを備えた下部OLED電極は、低い材料及びプロセスのコストと、高効率OLEDの高い光学的及び電気的特性とを備えた簡潔化されたプロセスを提供することができる。
【0066】
別の例では、ウェルの底部エリア501A内の導電下部電極は、以下の
図5Aから5Dに示すように、導電性金属酸化物膜510で作製することができる。特に、薄い金属膜506は、下部金属層504の上方に堆積される。その後、少なくともこの薄膜506の頂面は、酸化して、導電性酸化物膜510を形成する。下部電極を提供する導電性金属酸化膜510を形成するための金属膜の酸化は、誘電体パッシベーション層512を形成する側壁エリア501Bにおける下部金属層504の表面の酸化プロセスと同時に行うことができる。
【0067】
プロセスフローは、
図4A~4Cに示した前の例と同様である。
図5Aに示すウェル構造及び形成方法は、
図4Aで使用されるものと同一である。ミラー及び下部電極を形成するのに使用される金属積層体は、
図5Bに示されるように、例えば室温でのDCスパッタを用いて順次堆積され得る2つの金属層を含む。第1の層404は、アルミニウム、AlNd、又は他のアルミニウム合金であり得る。第2の層406に使用される金属は、酸素環境で酸化可能である薄い金属層であり得る。特に、金属は、表面酸化プロセス後に十分な表面伝導を維持して下部電極として機能するように選択することができる。そのような特性を有する金属は、In、Zn、Ti、Ta、Sn、Mo、Ni、Nb、Cu、Mg、又はそれらの金属合金を含む。金属層は、
図4Aから4Dで上述したように、ハーフトーン(グレートーン)フォトプロセスによる単一のフォト工程で、又は2つのフォトパターニング工程を伴う標準的なフォトリソグラフィによって、
図5Cに示される形状にパターン化することができる。
【0068】
パターニングプロセスが完了すると、
図5Cの底部エリア501A及び側壁エリア501Bの2つのゾーンに露出した金属表面が形成される。頂面が露出した状態で、導電性電極510は底部エリア501Aに形成され得、誘電体パッシベーション層512は側壁エリア501Bに形成され得る。誘電体パッシベーション層512は、
図5Dに示すように、上記の有機積層体のものと一致する屈折率で形成され得る。特に、上記のように、金属膜506及び下部金属層504の頂面は酸化し、よって、それぞれ導電性酸化物膜510及び誘電体パッシベーション層512を形成する。
【0069】
とりわけ、底部エリア501Aにおける下部電極の表面抵抗率は、非常に低い床レベル内に維持される必要はない。例えば、表面伝導が106オーム未満の金属酸化物が使用され得る。これにより、OLEDインピーダンスと比較して一般に無視できる直列抵抗が得られる。実際には、側壁エリア501Bにおけるパッシベーション層の表面抵抗は、非常に高いレベルを超えて維持される必要はない。いくつかの場合、同じOLEDバイアス条件下で<1%の漏れ電流など、無視できる程度の漏れを維持する数値は、108オームより高いことがある。基準点として、表面が酸化した酸化アルミニウムの典型的な表面の漏れ電流は、10Vで<10nA/cm2である。ミラーエリア100μm×100μm=10-4cm2の場合、表面抵抗は、1012オームであり、必要な基準を十分上回る。
【0070】
底部エリア501A及び側壁エリア501Bにおける酸化層510及び512の厚さは異なり得る。底部エリア501Aでは、酸化層510とその下の金属との間の境界を、還元金属及び酸化金属酸化物形態の両方で導電性である第2の金属層内に設定することが有利であり得る。
【0071】
例示すると、設計の一例では、100~150nmのAl及び20nmのTiが室温でDCスパッタによりブランケット堆積される(
図5B)。Al及びTiを選択的にパターニングし、中央の501Aの表面をTiで形成し、周辺エリアの501BをAlで形成した後、
図5Cに示すように、表面酸化プロセスは、酸素プラズマ(ICP又はRIE機器のいずれかを用いる)で行われ、その後、例えば200℃未満で、例えば10~60分の熱後アニーリングで行われる。熱酸化を伴う第2の工程は、基板を液体酸化剤を含む槽に含浸させることなどのウェット酸化プロセスと置き換えることができる。槽の温度及び含浸時間は、酸化層の最終的な厚さの封止及び調整を最適化するために使用され得る。
【0072】
501Aエリアにおけるドープされた金属酸化物の有効仕事関数は、出発金属の仕事関数、及び最終金属酸化物のキャリア密度に基づいて構築され得る。たとえば、ZnO2-x、TiO2-xなどのn型金属酸化物は、4eVに近い仕事関数を有し、MgOxは、3.5eVに近い仕事関数を有する。キャリア密度は、酸素空孔の数で調整できることに加えて、混合原子価を用いた金属合金化でも調整できる。後者は、キャリア注入を最適化するために下部電極の有効仕事関数を調整するためにも使用され得る。OLEDデバイスの底部カソードとして使用される金属酸化物の場合、Li含有有機金属化合物(Liqなど)、又は低仕事金属のうちの1つ(Li、Cs、Ba、Ca)を含む無機化合物を熱堆積することにより、Liの仕事関数に近い低い仕事関数が達成され得る。そのような金属化合物の例には、LiF、Cs(CO)x)が含まれる。そのような材料は、OLEDデバイスにおいて電子注入層(EIL)として使用されてきた。
【0073】
501Aの金属酸化物が、Mo、Cu、Ni、又はそれらの合金のうちの1つを酸化させることから作製されるとき、下部電極501Aは、効果的なホール注入層として機能し、これを通じて、10nmのMoOxが5.3~5.5eVの範囲の仕事関数で効率的に通過することができる。よって、本開示に記載される周辺ミラーを有する底部反射性導電電極は、アノード又はカソードのいずれかとして使用することができる。
【0074】
図6Aから6Dは、いくつかの実装形態による製造プロセスのさらに別の例の断面図を示す。例えば、速いスイッチ速度及び低いOLEDキャパシタンスが望まれるいくつかのOLED用途では、底部エリア601Aと側壁エリア601Bとの間の境界における誘電体間隙620は、OLEDピクセルエミッタに関連するキャパシタンスを減少させるのに有利であり得る。そのような構造は、
図6Cに示すように、自己整合エッチング及び後表面酸化によって達成され得る。
【0075】
この例では、追加のリソグラフィパターニングプロセスは必要ではない。特に、
図6A及び
図6Bの工程は、
図4A-4B及び
図5A-5Bのものと同じである。しかしながら、異なる電気化学ポテンシャルを有する底部金属層604及び頂部金属層606の金属材料を選択することができる。
図6Cに示すエッチングプロセス中、ガルバニック効果を利用して601A/601Bの境界付近の底部金属層604を部分的又は完全にエッチング除去するようにウェットエッチャントを選択することができる。
【0076】
図4D及び5Dに関連して上述したような表面酸化プロセスの後、601A/601B境界付近の間隙を含む、露出した側壁エリア601Bの頂面は、金属酸化物層612で、例えばAl
2O
3で完全に封止することができる。側壁エリア601Bのミラーは、ピクセルキャパシタンスに寄与しない場合がある。よって、
図4A-4D、
図5A-5D、及び
図6A-6Dで示す例は、異なるOLEDキャパシタンスを有する底部ミラー電極を提供し、これにより、さまざまなアプリケーション仕様に対応するさまざまなピクセル回路設計に柔軟性を提供する。
【0077】
図5Aから5Dに関連して上述した底部エリア501A及び側壁エリア501Bにおける層の導電率範囲及び光反射率は、本開示に記載されるすべての実装形態に概して適用可能である。
図4Aから4Dに関連して上述するように、底部ミラー電極は、401aに対応する金属酸化物を選択することによって、アノード又はカソードのいずれかに使用され得る。例えば、TiO
x、TaO
x、CsO
xはカソードに使用することができ、その一方、MoO
x又はNiO
xはアノード接触に使用することができる。
図1Aから1C、
図2Aから2C、及び
図3Aから3Bに関連して上述するように、表面酸化法によって作製された酸化したAl
2O
3は、約1.7から1.8の屈折率n及び約0のkを有し得る。絶縁破壊は典型的には10~20Vを超えており、OLED発光素子が10V未満で動作するAMOLEDデバイスには十分である。
【0078】
下部電極とウェルの底部上に位置するパッシベーション層との間に境界を構成することに加えて、境界は斜めの側壁エリアにも位置し得る。このような底部ミラー電極は、特定の用途に使用できる場合がある。
【0079】
側壁エリア401B/501B/601Bの誘電体ミラーは、例えば酸化アルミニウムによる、高品質の表面パッシベーションで、底部エリア401A/501A/601Aの導電ミラー電極と自己整合する。よって、そのような底部ミラー電極は、従来のフォトリソグラフィよるものよりも小さい物理的寸法で達成され得る。そのような下部電極は、高いピクセル密度を有する頂部発光AMOLEDを可能にする。例えば、PDL111を形成するための有機材料では(例えば
図4を参照)、底部エリア401A/501A/601Aは、4μm×4μmの寸法で作製することができ、側壁エリア401B/501B/601Bの外寸は、約8μm×8μmであり得る。無機誘電体では、底部エリア401A/501A/601Aの寸法は、2μm×2μm未満に減少させることができ、側壁エリア401B/501B/601Bの外寸は、4μm×4μm近くになり得る。そのようなピクセル設計は、1インチあたり1000ピクセル(PPI)を超えるピクセルを有するフルカラーのAMOLEDを可能にする。
【0080】
いくつかの場合、頂部発光OLEDピクセル用の底部OLED電極は、ピクセル電極ドライビングTFTのTFTドレイン電極に接続するビアを有する平坦化層の上方に配置される。これらの場合では、ビアは、OLEDピクセル電極エリアの外側に位置する。本開示で開示されるピクセル電極構造は、実際には、平坦化層及びビアホールプロセスを省略することができ、以下の
図7に示すように底部領域401A/501A/601A内の下部電極をドレイン金属電極の直上に構築して、プロセス工程及びピクセルのスペースを節約することができる。そのようなピクセル構造は、より高いピクセル密度を有する頂部発光AMOLEDを可能にすることができる。
【0081】
図7は、エリア701Aに下部電極を有し、側壁エリア701Bに周辺ミラーを有する、頂部発光AMOLEDピクセル701を示す。底部エリア701Aの下部電極は、ピクセル701を駆動するTFT720のソース又はドレイン電極金属723の直上に位置する。TFT720は、ゲート720、ゲートインシュレータ722をさらに含む。
【0082】
一方、底部ミラー電極とのアウトカップリングの改善は、底部平坦エリアの寸法及びと外部ミラーの寸法の比に依存し得る。自己整合構造によって処理された下部電極を用いると、より多くのベースユニット(
図3Bに示すように)を1つのOLEDディスプレイピクセルに配置することができる。
図8Aから8Bは、1つのOLEDディスプレイピクセルの4つのベースユニットを有する一例を示す。そのような設計は、アウトカップリング効率とカラーピクセルパターニングの両方を独立してさらに改善することができる。実際、本開示で開示される高効率の頂部発光OLED設計は、低コスト材料を使用してOLED発光効率に対する要求に効果的に対処し、広帯域発光OLEDと膜セットを備えたフルカラーOLEDディスプレイを可能にすることができる。
【0083】
本明細書で使用される場合、「例示的」という用語は、「例、実例、又は例示として役立つ」ことを意味し、本明細書に開示される他の構成よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0084】
本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、特性、パラメータ、及び寸法の変動など、値の範囲の上限及び下限に存在し得る変動をカバーすることを目的としている。1つの非限定的な例では、「約」及び「およそ」という用語は、プラス又はマイナス10パーセント以下を意味する。
【0085】
上述の特定の実施形態は、例として示されており、これらの実施形態は、さまざまな改変及び代替的な形態の影響を受けやすい場合があることを理解されたい。特許請求の範囲は、開示された特定の形態に限定されることを意図するのではなく、むしろ、本開示の精神及び範囲内にあるすべての改変、同等物、及び代替を網羅することを意図することをさらに理解されたい。