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特許7527569ポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物、それを用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法
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  • 特許-ポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物、それを用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法 図1
  • 特許-ポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物、それを用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法 図2
  • 特許-ポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物、それを用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法 図3
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  • 特許-ポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物、それを用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物、それを用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20240729BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240729BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240729BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20240729BHJP
   C08F 220/38 20060101ALI20240729BHJP
   C08F 220/30 20060101ALI20240729BHJP
   C08F 230/04 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
G03F7/038 601
G03F7/004 503A
G03F7/20 521
G03F7/40 511
C08F220/38
C08F220/30
C08F230/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021501592
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2019047919
(87)【国際公開番号】W WO2020170555
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2019030452
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.集会名:博士論文発表会、開催日:平成30年12月8日 2.集会名:IEUVI Resist TWG meeting、開催日:2019年2月24日 3.集会名:Advanced Lithography 2019(SPIE)、開催日:2019年2月26日 4.集会名:EUVL研究会、開催日:2019年3月18日 5.刊行物:Japanese Journal of Applied Physics,2019,Vol.58,056504.、発行日:2019年4月12日 6.集会名:Photomask Technology+Extreme Ultraviolet Lithography 2019(SPIE)、開催日:2019年9月16日 7.集会名:Photomask Technology+Extreme Ultraviolet Lithography 2019(SPIE)、開催日:2019年9月16日 8.刊行物:International Conference on Extreme Ultraviolet Lithography 2019 SPIE Proceedings Vol.11147、発行日:2019年11月15日 9.集会名:令和元年度第1回量子ビーム科学研究施設研究会、開催日:2019年10月11日 10.刊行物:博士論文「Studies on metal-containing chemically amplified resist utilizing polarity change and crosslinking for extreme ultraviolet lithography」DOI:10.18910/73444(https://doi.org/10.18910/73444)、発行日(インターネットでの公表日):2019年10月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222691
【氏名又は名称】東洋合成工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】榎本 智至
(72)【発明者】
【氏名】古澤 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】町田 康平
(72)【発明者】
【氏名】内藤 倫哉
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/057537(WO,A1)
【文献】特開2017-207532(JP,A)
【文献】特開昭53-076825(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025665(WO,A1)
【文献】特開2005-133065(JP,A)
【文献】特開2004-318044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/38
C08F 230/04
C08F 220/30
G03F 7/20
G03F 7/40
G03F 7/004
G03F 7/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニウム塩構造を有し、粒子線又は電磁波の照射により第1ラジカルを発生するユニットAと、
酸触媒反応により結合する構造を有するユニットBと、を含むポリマーを含有するレジスト組成物であって、
前記ポリマーは炭素原子と炭素原子との多重結合及び炭素原子とヘテロ原子との多重結合からなる群より選択される少なくとも1つの多重結合を含有するラジカル発生構造を有し、粒子線又は電磁波の照射により第2ラジカルを発生するユニットCを含まず、
前記ポリマーはユニットAを25~60mol%含み、ユニットBを25~40mol%含み、
前記ユニットBが、下記式(I)又は(II)で示される化合物が該化合物のいずれかの位置で下記式(1)のSp基と結合したユニットであり、
【化1】
(前記式(I)中、
2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子;及び炭素数1~4のアルコキシ基からなる群より選択されるいずれかであり、
及びR がアルコキシ基の場合は、水酸基が結合するメチン炭素が結合した芳香環の位置に対してオルト位又はパラ位に結合し、
Eは、直接結合;酸素原子;硫黄原子;及びメチレン基;からなる群より選択されるいずれかであり、
1は、0であり、
及びnは、それぞれ1~2の整数であり、n+nは2~4であり、
が1のときn2は0~4の整数であり、nが2のときnは0~6の整数であり、
が1のときn3は0~4の整数であり、nが2のときnは0~6の整数であり、
記式(II)中、
4は、それぞれ独立に、水素原子であり、
5は、水素原子;又は置換基を有してもよいアルキル基であり
は0~7の整数であり、
は1又は2であり、nが1のときnは0~5の整数であり、nが2のときnは0~7の整数であ

【化2】
(前記式(1)中、
Lは、カルボニルオキシ基、及びカルボニルアミノ基からなる群より選択されるいずれかであり、
Spは、直接結合;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;のいずれかであり、前記Sp中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
1は、水素原子;直鎖、及び分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;からなる群より選択されるいずれかであり、該R1中の前記アルキル基中の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよく、
*は前記式(I)又は(II)で示される化合物との結合部位を示す。)
前記ユニットAが下記式(III)で示されるユニットであり、
【化4】
(前記式(III)中、
1、L及びSpは、それぞれ前記式(1)のR1、L及びSpと同じ選択肢から選択され、
はスルホニウムイオン又はヨードニウムイオンであり、
は1価のアニオンである。)
前記X が、アルキルスルホネートアニオン、アリールスルホネートアニオン、アルキルカルボキシレートアニオン、アリールカルボキシレートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフォネートアニオン、ジアルキルスルホニルイミドアニオン、トリアルキルスルホネートメチドアニオン、テトラキスフェニルボレートアニオン、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン、及びこれを含む水素酸アニオンからなる群より選択されるいずれかであり、
中のアルキル基及びアリール基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換されていてもよく、
前記式(III)が下記式(IV)で示される構造を有し、
【化5】
(前記式(IV)中、
1 、L、Sp及びX は、それぞれ前記式(III)のR 1 、L、Sp及びX と同じ選択肢から選択され、
6a は、置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリーレン基であり、
6b は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;又は置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基であり、
6a 及び2つのR 6b のうち2つは、単結合で直接に、又は、メチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、これらが結合している硫黄原子と環構造を形成してもよい。)
レジスト組成物(但し、Al、As、Ti、Zr、Mo、Se、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Rn及びRaからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むオキソ酸アニオンと、オニウムカチオンと、を有するオニウム-オキソ酸塩を10~100質量%含有するレジスト組成物を除く)。
【請求項2】
アリールオキシ基を有するユニットDをさらに含有する請求項1に記載のポリマーを含有するレジスト組成物。
【請求項3】
Sn、Sb、Ge、Bi及びTeからなる群より選択される金属原子を有する有機金属化合物含有ユニットEをさらに含有する請求項1又は2に記載のポリマーを含有するレジスト組成物。
【請求項4】
ハロゲン原子を有する下記式(VIII)で示されるユニットFをさらに有する請求項1~のいずれか一項に記載のポリマーを含有するレジスト組成物。
【化7】
(前記式(VIII)中、
1、L及びSpは、それぞれ前記式(1)のR1、L及びSpと同じ選択肢から選択され、
は、置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキレンオキシ基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニレンオキシ基;置換基を有していても良い炭素数6~14のアリール基;及び置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリール基;からなる群より選択されるいずれかであり、
且つ、炭素原子に置換している水素原子の一部又は全てが、フッ素原子又はヨウ素原子に置換されている。)
【請求項5】
有機金属化合物及び有機金属錯体のいずれかをさらに含有し、
前記金属は、Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Xe、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Rn及びRaからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁線を用いて、前記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、
を含む部材の製造方法。
【請求項7】
前記パターン形成工程における現像を水溶性有機溶剤を含む水溶液を用いて行う請求項に記載の部材の製造方法。
【請求項8】
前記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして前記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、
前記露出したレジストパターン表面部分の前記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、をさらに含む請求項又はに記載の部材の製造方法。
【請求項9】
前記粒子線が電子線であり、前記電磁波は極端紫外線である、請求項のいずれか一項に記載の部材の製造方法。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁線を用いて、前記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むパターン形成方法。
【請求項11】
前記パターン形成工程における現像を水溶性有機溶剤を含む水溶液を用いて行う請求項10に記載の部材の製造方法。
【請求項12】
請求項1~のいずれか一項に記載のレジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁線を用いて、前記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、
前記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして前記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、
前記露出したフォトレジストパターン表面部分の前記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、を含む反転パターンの形成方法。
【請求項13】
前記パターン形成工程における現像を水溶性有機溶剤を含む水溶液を用いて行う請求項12に記載の反転パターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの態様は、レジスト組成物に用いられるポリマーに関する。また、本発明のいくつかの態様は、上記ポリマーを含有するレジスト組成物、該レジスト組成物を用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトレジストを用いるフォトリソグラフィ技術を駆使して、液晶ディスプレイ(LCD)及び有機ELディスプレイ(OLED)等の表示装置の製造並びに半導体素子の形成が盛んに行われている。上記の電子部品や電子製品のパッケージ等には、活性エネルギー線として波長365nmのi線、それより長波長のh線(405nm)及びg線(436nm)等の光が広く用いられている。
【0003】
デバイスの高集積化が進み、リソグラフィ技術の微細化に対する要求が高まっており、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、極短紫外線(EUV、波長13.5nm)及び電子線(EB)のような非常に波長の短い光が露光に使用される傾向にある。これらの波長の短い光、特にEUV又は電子線を用いたリソグラフィ技術はシングルパターニングでの製造が可能であることから、EUV又は電子線等に対し高い感応性を示すレジスト組成物の必要性は、今後更に高まると考えられる。
【0004】
露光光源の短波長化に伴い、レジスト組成物には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性のリソグラフィ特性の向上が求められている。このような要求を満たすレジスト組成物として化学増幅型レジストが知られている(特許文献1)。
しかしながら、従来の化学増幅型レジストにおいては、レジストの解像線幅が微細化するにつれて、レジストパターン倒れ及びラインパターンのラインエッジラフネス(LWR)の低減を十分に抑制することは難しい。レジストパターン倒れを抑制するために、ネガ型化学増幅型レジストにおいては架橋密度を上げることが提案されている。しかし、現像時に膨潤してブリッジ等のディフェクトが発生することがある。レジストパターンの倒れやブリッジ形成の防止が強く求められているが、従来のEUV又は電子線等用の化学増幅型レジスト組成物は、EUV又は電子線の吸収が小さい事及びレジスト中に含まれる少量の酸発生剤より生じる酸を拡散させるため、解像度及びパターン性能を維持して高い感度で架橋密度を上げることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-90637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの態様は、粒子線又は電磁波、特に電子線又はEUV等の照射により酸発生剤から生じる酸を利用するだけではなく、酸触媒反応と同時に電子線又はEUV等の照射により起こる反応を直接利用する事で、酸拡散を大幅に抑制して解像度及びパターン性能の特性に優れたレジスト組成物に用いるポリマーを提供することを課題とする。
本発明のいくつかの態様は、上記ポリマーを含有するレジスト組成物、該レジスト組成物を用いた部材の製造方法、パターン形成方法及び反転パターンの形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、オニウム塩構造を有するユニットAと、特定の構造を有するユニットBと、を含むポリマーをレジスト組成物のポリマーとして用いることで、高感度であり且つラインワイズラフネス(LWR)を抑制できることを見出し、本発明のいくつかの態様を完成するに至った。
より詳しくは、上記ポリマーを含むレジスト組成物は粒子線又は電磁波等を照射されることで以下となることを知見として得た。まず、上記ユニットAが分解しイオン性から非イオン性となる大きな極性変換が起こる。それと共に、上記ユニットAの分解により生じた酸により、上記ユニットB同士、又は、ユニットBと該ユニットBと異なるユニットとの間で分子内架橋反応が起こる。そのため、上記ポリマーを含むレジスト組成物は、酸拡散を抑制でき、高感度であり且つラインワイズラフネス(LWR)を抑制できる。
【0008】
上記課題を解決する本発明の一つの態様は、オニウム塩構造を有し、粒子線又は電磁波照射により第1ラジカルを発生するユニットAと、酸触媒反応により結合する構造を有するユニットBと、を含むポリマーである。
上記ユニットBとしては、下記一般式(I)又は(II)で示される化合物が該化合物のいずれかの位置で下記式(1)のSp基と結合したユニットであることが好ましい。
【化1】
(上記一般式(I)中、
2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子;電子供与性基;及び電子吸引性基;からなる群より選択されるいずれかであり、
1は、0又は1の整数であり、
及びnは、それぞれ1~2の整数であり、n+nは2~4であり、
が1のときnは0~4の整数であり、nが2のときnは0~6の整数であり、
が1のときnは0~4の整数であり、nが2のときnは0~6の整数であり、
が2以上でR2が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR2が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよく、
3が2以上でR3が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR3が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。
上記一般式(II)中、
4は、それぞれ独立に、水素原子;電子供与性基;及び電子吸引性基;からなる群より選択されるいずれかであり、
4のうち少なくとも一つは上記電子供与性基であり、
5は、水素原子;置換基を有してもよいアルキル基;及び置換基を有してもよいアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、上記R5中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
は0~7の整数であり、
は1又は2であり、nが1のときnは0~5の整数であり、nが2のときnは0~7の整数であり、
6が2以上でR4が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR4が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。)
【化2】
(上記式(1)中、
Lは、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、フェニレンジイル基、ナフタレンジイル基、フェニレンジイルオキシ基、ナフタレンジイルオキシ基、フェニレンジイルカルボニルオキシ基、ナフタレンジイルカルボニルオキシ基、フェニレンジイルオキシカルボニル基及びナフタレンジイルオキシカルボニル基からなる群より選択されるいずれかであり、
Spは、直接結合;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;及び置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニレン基;のいずれかであり、上記Sp中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、
1は、水素原子;直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;及び直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、該R1中の上記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよく、
*は上記一般式(I)又は(II)で示される化合物との結合部位を示す。)
【0009】
本発明の一つの態様は、上記ポリマーを含有するレジスト組成物である。
また、本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、粒子線又は電磁波を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含む部材の製造方法である。
【0010】
本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、粒子線又は電磁線を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含むパターン形成方法である。
【0011】
本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、粒子線又は電磁線を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、上記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして上記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、上記露出したレジストパターン表面部分の上記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、を含む反転パターンの形成方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のいくつかの態様に係るポリマーは、レジスト組成物として用いたときに、粒子線又は電磁波等の照射により分解してイオン性から非イオン性となる事で生じる極性変換に加えて、同時に酸及びラジカルを発生する。それによりポリマー内の分子内架橋反応をする2つの反応を同時に利用することで酸拡散を抑制してもパターンが形成できるため、感度、解像度及びパターン性能の特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例8~10で得られたパターニングのSEM画像を示す。
図2図2は、実施例9及び比較例3で得られたパターニングのSEM画像を示す。
図3図3は、本発明の一つの態様のレジスト組成物を用いたパターン形成を説明する図である。
図4図4は、本発明の一つの態様のレジスト組成物を用いたパターン形成を説明する図である。
図5図5は、本発明の一つの態様のレジスト組成物を用いたパターン形成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、「粒子線又は電磁波」とは、電子線及び極端紫外線だけでなく、紫外線等を含むが、好ましくは電子線又は極端紫外線である。
本発明において、「粒子線又は電磁波照射により」とは、ポリマーの少なくとも一部を粒子線又は電磁波に照射することである。粒子線又は電磁波にポリマーの一部が照射されることでポリマーの特定部分が励起又はイオン化され、活性種が生じる。該活性種により上記ユニットの一部が分解するか、該活性種が上記ユニットに付加するか、又は、該活性種により上記ユニットの水素が脱離されるか等の2次反応を起こし、ラジカル又は酸が発生する。ここで「活性種」とは、ラジカルカチオン、ラジカル及び電子等のことである。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0015】
<1>ポリマー
本発明のいくつかの態様であるポリマーは、オニウム塩構造を有する第1ラジカルを発生するユニットAと、酸触媒反応により結合する構造を有するユニットBと、を含むポリマーである。前記ユニットBは、酸触媒反応により2分子間で結合する構造を有していれば特に制限はないが、例えば、上記一般式(I)又は(II)で示される化合物が該化合物のいずれかの位置で上記式(1)のSp基と結合したユニットが好ましい。
【0016】
上記ユニットA及びユニットBを含むポリマーは、ポリマーの少なくとも一部に粒子線又は電磁波で照射することで、上記ユニットAの還元により上記ユニットAからアニオンと第1ラジカルとが発生する。発生したアニオンはプロトンと結合することで酸となる。
酸が触媒となって、上記ユニットB同士、又は、上記ユニットBとそれ以外の水酸基を持つユニットとの反応によりエーテル化することで架橋反応が起こり得る。
ユニットAより生じた第1ラジカルは、第1ラジカル同士、又は、ラジカルを発生するユニットをポリマーに含む場合に発生する第2ラジカルと上記第1ラジカル同士とが結合を形成し、上記ユニットA同士、又は、上記ユニットAとラジカルを発生するユニット(例えば後述のユニットC)との間で分子内架橋反応が起こり得る。
【0017】
(ユニットA)
上記ユニットAとしては、オニウム塩構造を有し、ポリマーの少なくとも一部に粒子線又は電磁波に照射することにより極性変換するもの、すなわち、オニウム塩の還元によりアニオンとラジカルを発生させるものであれば特に制限はない。具体的には、例えば、下記式(I)で示されるものが挙げられる。
本発明において、「極性変換」とは、粒子線又は電磁波の照射により、直接的に又は間接的に、イオン性から非イオン性に極性が変化することを示す。
【0018】
【化3】
【0019】
上記一般式(III)中、Mはスルホニウムイオン又はヨードニウムイオンであり、Xは1価のアニオンである。
【0020】
Lは、ポリマーを構成する主鎖と上記オニウム塩構造とを結合できれば特に制限はないが、例えば、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、フェニレンジイル基、ナフタレンジイル基、フェニレンジイルオキシ基、ナフタレンジイルオキシ基、フェニレンジイルカルボニルオキシ基、ナフタレンジイルカルボニルオキシ基、フェニレンジイルオキシカルボニル基及びナフタレンジイルオキシカルボニル基からなる群より選択されるいずれかが挙げられる。
Lとしては、容易に合成できる点からカルボニルオキシ基等が好ましい。
【0021】
Spは、上記Lと上記オニウム塩とのスペーサーとなり得るものであれば特に制限はないが、例えば、直接結合;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;及び置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニレン基;のいずれかであり、上記Sp中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。
【0022】
Spの炭素数1~6の直鎖アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基及びn-ヘキシレン基等が挙げられる。
Spの炭素数1~6の分岐アルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、イソペンチレン基、tert-ペンチレン基、2-エチルへキシレン基等が挙げられる。
【0023】
Spの炭素数1~6の環状のアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基及びシクロヘキシレン基等が挙げられる。
Sp中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。2価のヘテロ原子含有基としては、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、-NHCO-、-CONH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-、-N(RSp)-、-N(ArSp)-、-S-、-SO-及び-SO2-等からなる群より選ばれる基等が挙げられる。上記RSpとしては、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基が挙げられ、ArSpとしては、フェニル基及びナフチル基等の炭素数12以下のアリール基が挙げられる。なお、上記Spのアルキレン基の炭素数は、Spが有してもよい置換基の炭素数は含まない。
【0024】
Spが有してもよい置換基(以下、「第1の置換基」ともいう)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;直鎖又は環状の炭素数1~12のアルキル基;該アルキル基の少なくとも1つのメチレン基に代えて-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、-NHCO-、-CONH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-、-N(RSp)-、-N(ArSp)-、-S-、-SO-及び-SO2 からなる群より選ばれる1種のヘテロ原子含有基を骨格に含んだアルキル基;アリール基;及びヘテロアリール基等が挙げられる。
Spの第1の置換基としてのアルキル基、ヘテロ原子含有基を骨格に含んだアルキル基としては、上記Spのアルキレン基が1価となったアルキル基が挙げられる。
Spの第1の置換基としてのアリール基としては、上記ArSpと同様のものが挙げられる。
Spの第1の置換基としてのヘテロアリール基としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン及びピラジン等の骨格を有する基が挙げられる。
Spは、直接結合でもよいが、ユニットA同士がラジカル再結合する点及びユニットB同士が架橋反応する点等から、分子が動きやすいようにスペーサー構造となるものが好ましい。好ましくは、アルキレン基、アルキレンオキシ基及びアルキレンカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
1は、水素原子;直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;及び、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、該R1中の上記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよい。Rが有してもよい置換基は、上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0026】
1の炭素数1~6の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基及びn-ヘキシル基等が挙げられる。
1の炭素数1~6の分岐アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、2-エチルエキシル基等が挙げられる。
1の炭素数1~6の環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0027】
1の直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基としては、上記に示す直鎖アルキル基、分岐アルキル基及び環状アルキル基の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが、炭素-炭素二重結合に置換されたものが挙げられる。
また、R1の上記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されたフッ化アルキル基及びフッ化アルケニル基であってもよい。全部の水素原子が上記第1の置換基で置換されたものであってもよい。フッ化アルキル基としては、トリフルオロメチル基等が好ましい。
【0028】
上記ユニットAとして好ましくは、上記式(III)においてRが水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lカルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、上記ユニットAとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、Rはメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれかを有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
【0029】
としては、Spに結合する結合手を有するスルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンであり、具体的には、下記一般式(a1)及び(a2)に示されるもの等が挙げられる。
【0030】
【化4】
【0031】
上記一般式中、R6aは、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキレン基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニレン基;置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリーレン基;置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリーレン基;及び直接結合;からなる群より選択されるいずれかである。
6aの直鎖、分岐又は環状のアルキレン基としては、上記Spのアルキレン基と同様のものが挙げられる。
6aの直鎖、分岐又は環状のアルケニレン基としては、上記Spのアルケニレン基と同様のものが挙げられる。
【0032】
6aの炭素数6~14のアリーレン基としては、フェニレン基及びナフチレン基等が挙げられる。
6aの炭素数4~12のヘテロアリーレン基としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、クロメン、チアントレン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン及びカルバゾール等の骨格を有する2価の基等が挙げられる。
6bのアルキル基、アルケニル基、アリール基及びヘテロアリール基としては、上記R6aのアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基が1価となったものが挙げられる。
【0033】
6a及びR6bの置換基としては、上記Spが有してもよい第1の置換基と同様の置換基が等が挙げられる。
上記式(a1)において、R6a及び2つのR6bのうちのいずれか2つが、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、これらが結合している硫黄原子と共に環構造を形成してもよい。
上記2価の窒素原子含有基としては、上記2価のヘテロ原子含有基のうち、窒素原子を含有するものが挙げられ、具体的には、-NHCO-、-CONH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-、-N(RSp)-及び-N(ArSp)-等が挙げられる。
【0034】
としてのスルホニウムカチオンとしては、例えば下記に示される構造を有し、いずれかの位置で上記Spと結合する結合手を有するものが挙げられる。なお、下記に示す化合物は、上記R6a及びR6bに相当する部分に上記置換基を有していてもよい。
【0035】
【化5】
【0036】
としては、アルキルサルフェートアニオン、アリールサルフェートアニオン、アルキルスルホネートアニオン、アリールスルホネートアニオン、アルキルカルボキシレートアニオン、アリールカルボキシレートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフォネートアニオン、ジアルキルスルホニルイミドアニオン、トリアルキルスルホネートメチドアニオン、テトラキスフェニルボレートアニオン、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン、1価の金属オキソニウムアニオン、及び、これを含む水素酸アニオンからなる群より選択されるいずれかが挙げられる。また、X中のアルキル基及びアリール基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換されていてもよい。
金属オキソニウムアニオンとしては、NiO 及びSbO 等が挙げられる。また、VO 3-、SeO 2-、SeO 2-、MoO 2-、SnO 2-、TeO 2-、TeO 2-、TaO 2-及びWO 2-等の2~3価のものに対し、H、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン及び1~2価の金属カチオン等を適宜付加して価数を1価としたものであってもよい。上記1~2価の金属カチオンとしては、通常のものでよく、例えばNa、Sn2+、Ni2+等が挙げられる。
【0037】
なお、Xが金属オキソニウムアニオンであるとき、該金属が、Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Xe、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Rn及びRaからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。理由としては、粒子線また電磁波に対する感度が向上するからである。金属オキソニウムアニオンとして具体的には、SbF 、SbO 、Sb(OH) 、HWO 等が好ましく挙げられる。
【0038】
上記ユニットAとして、下記式(IV)で示されるものが好ましい。
【0039】
【化6】
【0040】
上記一般式(IV)中、L、Sp及びXは、上記一般式(III)のL、Sp及びXのそれぞれと同様であり、R6a及びR6bは、上記一般式(a1)のR6a及びR6bのそれぞれと同様である。
【0041】
上記ユニットAのアニオンは、フォトレジストパターン形成においてコントラストを向上する点から親水性の高いものであることが好ましい。具体的には、アルキルサルフェートアニオン、アリールサルフェートアニオン、アルキルスルホネートアニオン、アリールスルホネートアニオン、アルキルカルボキシレートアニオン、アリールカルボキシレートアニオン等が挙げられる。
【0042】
本発明の一つの態様は、上記ポリマー中に上記ユニットAを2種以上有してもよい。例えば、1つは光酸発生剤ユニットAとして、もう一方は光崩壊性塩基ユニットAとして使用することが好ましい。上記光崩壊性塩基ユニットAは、上記光酸発生剤ユニットAよりも酸強度が低いものを上記光酸発生剤ユニットAと組み合わせて使用することが好ましい。
また、上記ポリマー中に上記ユニットAを2種以上有する場合、M部分が同じでRやL等の置換基が異なるユニットを用いてもよい。
【0043】
(ユニットB)
下記一般式(I)又は(II)で示される化合物の少なくともいずれかが、該化合物のいずれかの位置で下記式(1)の*部分に結合したものをユニットBとしてポリマーに含む。上記ポリマーが上記ユニットBを含有することで、粒子線又は電磁波に対する感度を向上させることが可能となる。
【0044】
【化7】
【0045】
上記一般式(I)中、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子;電子供与性基;及び電子吸引性基;からなる群より選択されるいずれかである。R2及びR3のうち少なくとも一つは上記電子供与性基であると、酸反応性が向上するため好ましい。
Eは、直接結合;酸素原子;硫黄原子;及びメチレン基;からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。
【0046】
1は、0又は1の整数である。n及びnは、それぞれ1~2の整数である。n+nは2~4である。
が1のときnは0~4の整数である。nが2のときnは0~6の整数である。
が1のときnは0~4の整数である。nが2のときnは0~6の整数である。
が2以上でR2が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR2が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。
3が2以上でR3が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR3が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。
上記式(I)において環構造を形成するための2価の窒素原子含有基は、上記式(a1)における2価の窒素原子含有基と同様のものが挙げられる。
【0047】
上記一般式(II)中、R4は、それぞれ独立に、水素原子;電子供与性基;及び電子吸引性基;からなる群より選択されるいずれかである。R4のうち少なくとも一つは上記電子供与性基とすることで酸反応性が向上するため好ましい。
5は、水素原子;置換基を有してもよいアルキル基;及び置換基を有してもよいアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、上記R5中の少なくとも1つのメチレン基が2価のヘテロ原子含有基で置換されていてもよい。
【0048】
5のアルキル基としては炭素数1~12の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。具体的にはR6bと同様のアルキル基を上げることができる。
5が有する置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0049】
は0~7の整数であり、
は1又は2である。nが1のときn6は0~5の整数である。nが2のときnは0~7の整数である。
【0050】
6が2以上でR4が電子供与性基又は電子吸引性基であるとき、2つのR4が、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、互いに環構造を形成してもよい。
上記式(II)において環構造を形成するための2価の窒素原子含有基は、上記式(a1)における2価の窒素原子含有基と同様のものが挙げられる。
【0051】
【化8】
【0052】
上記式(1)中、R1、L及びSpは、上記一般式(III)と同様である。
【0053】
2、R3及びR4の電子供与性基としては、アルキル基(-R13)、該アルキル基(-R13)の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換されたアルケニル基;、並びに、水酸基が結合するメチン炭素が結合した芳香環の位置に対してオルト位又はパラ位に結合するアルコキシ基(-OR13)及びアルキルチオ基(-SR13);等が挙げられる。
【0054】
上記R13は、炭素数1以上のアルキル基であることが好ましい。炭素数1以上のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基及びn-デシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、2-エチルエキシル基等の分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン-1-イル基、アダマンタン-2-イル基、ノルボルナン-1-イル基及びノルボルナン-2-イル基等の脂環式アルキル基;これらの水素の1つがトリメチルシリル基、トリエチルシリル基及びジメチルエチルシリル基等のトリアルキルシリル基で置換されたシリル基置換アルキル基;上記アルキル基において、上記化合物(I)又は(II)が有する芳香環に直接結合していない炭素原子が持つ水素原子の少なくとも1つがシアノ基又はフルオロ基等で置換されたアルキル基;等が好ましく挙げられる。上記R13は炭素数が4以下であることが好ましい。
【0055】
2、R3及びR4の電子吸引性基としては、-C(=O)R13a(R13aは置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基である。);-C(=O)R13b(R13bは置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基である。);-C(=O)OR13a;-SO2R13a;-SO2R13b;ニトロ基;ニトロソ基、トリフルオロメチル基、水酸基に対してメタ位に置換された-OR13a;水酸基に対してメタ位に置換された-OR13b;水酸基に対してメタ位に置換された-SR13a;水酸基に対してメタ位に置換された-SR13b;及び上記-C(=O)R13a、-C(=O)OR13a、-SO213a及び-SR13a中の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換された基又は炭素-炭素三重結合に置換された基;等が挙げられる。
13aとR13bが有してもよい置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0056】
上記一般式(I)又は(II)で示される化合物として、例えば具体的に下記に示されるものが挙げられる。
【0057】
【化9】
【0058】
本発明のポリマーの一つの態様は、上記一般式(I)又は(II)で表される化合物のいずれかが、該化合物のいずれかの位置で上記式(1)の*部分に結合したユニットBとしてポリマーに含まれた態様である。その場合、上記式(1)の*部分に結合する位置は、R2、R3及びR4のいずれかが好ましい。例えば、上記一般式(I)で表される化合物の場合、R2中の1つのHに代えて、上記式(1)の*部分に結合する結合手を有することが好ましい。
【0059】
上記ユニットBとして好ましくは、上記式(1)においてRが水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lカルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、上記ユニットBとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、Rがメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様は、上記ポリマー中に上記ユニットBを2種以上有してもよい。
【0060】
(ユニットC)
上記ユニットCは、炭素原子と炭素原子との多重結合及び炭素原子とヘテロ原子との多重結合からなる群より選択される少なくとも1つの多重結合を含有するラジカル発生構造を有するユニットであり、ポリマーの少なくとも一部に粒子線又は電磁波で照射することで第2ラジカルを発生させるものであれば特に制限はない。
粒子線又は電磁波等を照射することにより上記ユニットAと上記ユニットCとの間で分子内架橋反応が起こり得る。
上記ユニットCにおける多重結合は、粒子線又は電磁波の影響でラジカルカチオンを発生し、該ラジカルカチオンが第2ラジカルとカチオンとに分解すれば特に制限はないが、ベンゼン系芳香族内に含まれるものでなく、且つ、下記に示される結合の少なくともいずれかであることが好ましい。ベンゼン系芳香族とは、ベンゼンだけでなく、ナフタレン及びアズレン等のベンゼン骨格を有する芳香族も含まれる。「ベンゼン系芳香族内に含まれる多重結合でない」とは、これら芳香族が有する多重結合でないことをいう。
【0061】
【化10】
【0062】
上記多重結合を含有するラジカル発生構造としては、具体的には、アルキルフェノン骨格、アシルオキシム骨格及びベンジルケタールからなる群より選択されるいずれかを有するユニットが挙げられる。これら骨格を有すれば、任意の置換基を有してもよく、アルキルフェノン骨格を有するユニットとしてはα-アミノアセトフェノン骨格等も包含される。より具体的には、下記一般式(V)~(VII)の少なくともいずれかで示されるものが好ましく挙げられる。
【0063】
【化11】
【0064】
上記一般式(V)~(VII)中、R1、L及びSpは上記一般式(III)のL及びSpと同様のものが挙げられる。
7は、それぞれ独立に、水素原子;ヒドロキシ基;-R(Rは置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基である。);-OR;及び該R中の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換された基;及び-R(Rは置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基である。);からなる群より選択されるいずれかである。2つ以上のR3は、単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
としては、R13aのアルキル基と同様のものが挙げられる。Rとしては、R13bのアリール基と同様のものが挙げられる。
【0065】
aとRbが有してもよい置換基としては、上記Spが有する置換基と同様のものが挙げられる。
ただし、上記式(V)においてR7の3つが水素原子でないのが好ましい。また、上記式(V)においては、3つのR7のうち少なくとも1つがOHであることが好ましい。上記ユニットCとしてOHを有することで、ユニットBとユニットCとの間での架橋反応も起こり得る。
【0066】
8は、-R;-R;-OR;-SR;-OR;-SR;-OC(=O)R;-OC(=O)R;-C(=O)OR;-C(=O)OR;-OC(=O)OR;-OC(=O)OR;-NHC(=O)R;-NRC(=O)R;-NHC(=O)R;-NRC(=O)R;-NRC(=O)R;-NRC(=O)R;-N(R2;-N(R2;-N(R)(R);-SO3;-SO3;-SO2;-SO2;該-R中の炭素-炭素一重結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合に置換された基;及びニトロ基;からなる群より選択されるいずれかである。
上記式(V)においてm1が2以上のとき、2つのR8は単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
【0067】
2は1~3の整数であり、m2が1のときm1は0~4の整数であり、m2が2のときm1は0~6の整数であり、m2が3のときm1は0~8の整数である。
【0068】
9は、置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキレン基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキレンオキシ基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニレン基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニレンオキシ基;置換基を有していても良い炭素数6~14のアリーレン基;及び置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリーレン基;からなる群より選択されるいずれかである。)
9が有してもよい置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0069】
上記ユニットCとして、例えば具体的に、下記に示されるものが挙げられる。
【0070】
【化12】
【0071】
上記ユニットCとして好ましくは、上記式(V)~(VII)においてRが水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lカルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、ユニットCとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、Rがメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様は、上記ポリマー中に上記ユニットCを2種以上有してもよい。
【0072】
(ユニットD)
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記ユニットA~Cの他に、アリールオキシ基を有するユニット(以下、「ユニットD」ともいう)をさらに含有することも好ましい。上記ユニットDとしては、フェノール構造が該構造のいずれかの位置で上記式(1)の*部分に結合したユニットが好ましい。
ユニットDは、上記ユニットAが発生した酸の発生効率を向上させることができれば特に制限はないが、例えば具体的には、下記に示されるユニットが挙げられる。
【0073】
【化13】
【0074】
上記一般式中、R11の各々は、独立して、水素原子及びアルキル基からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。R11としてのアルキル基は置換基を有していてもよい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ブチル基、ペンチル基等の炭素数1~5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
上記アルキル基が有しても良い置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
11が有してもよい置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
上記式において、2つ以上のR11が水素原子でないとき、該R11が水素原子でない2つのR11は単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
8は4である。
【0075】
ユニットDとして具体的には、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等のモノマーから構成されるものが挙げられる。
上記ポリマーが上記ユニットDを含有することで、酸の発生効率を向上させることが可能となる。
【0076】
上記ユニットDとして好ましくは、上記式(1)においてRが水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lカルボニルオキシ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、ユニットDとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、Rがメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様は、上記ポリマー中に上記ユニットDを2種以上有してもよい。
【0077】
(ユニットE)
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記ユニットA~Dの他に、Sn、Sb、Ge、Bi及びTeからなる群より選択される金属原子を有する有機金属化合物含有ユニットEを(以下、「ユニットE」ともいう)をさらに含有することも好ましい。
上記ユニットEに含有される金属原子は、EUV又は電子線に対して高い吸収を有するものであれば特に限定はされず、上記金属原子以外に周期表第10~16属の原子であってもよい。
上記ユニットEとしては、アルキル及びアリールスズ、アルキル及びアリールアンチモニー、アルキル及びアリールゲルマン、又はアルキル及びアリールビスムチン構造が該構造のいずれかの位置で上記式(1)の*部分に結合したユニットであることが好ましい。
ユニットEは、EUV照射による2次電子発生効率が高く上記ユニットA及びユニットBの分解効率を上げることが出来る。ユニットEとしては、EUV吸収の高い上記金属原子を含んでいれば特に制限はないが、例えば具体的には下記に示されるユニットが挙げられる。
【0078】
【化14】
【0079】
上記一般式中、R12aの各々は、独立して、水素原子及びアルキル基からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。R12aとしてのアルキル基は置換基を有していてもよい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ブチル基、ペンチル基等の炭素数1~5の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
上記アルキル基が有しても良い置換基としては、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
上記式において、2つ以上のR12aが水素原子でないとき、該R12aが水素原子でない2つのR12aは単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
上記式において、2つのR12bは単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。
9は0~4の整数である。
【0080】
上記一般式中、R12bは、置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素数6~14のアリール基;置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリール基;及び直接結合;からなる群より選択されるいずれかである。
12bの直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、上記R2bのアルキル基と同様のものが挙げられる。
12bの直鎖、分岐又は環状のアルケニル基としては、上記R2bのアルケニル基と同様のものが挙げられる。
【0081】
12bの炭素数6~14のアリール基としては、上記R2bのアリール基と同様のものが挙げられる。R12bの炭素数4~12のヘテロアリール基としては、上記R2bのヘテロアリール基と同様のものが挙げられる。
2つ以上のR12aは単結合で直接に、又は、酸素原子、硫黄原子、2価の窒素原子含有基及びメチレン基からなる群より選択されるいずれかを介して、環構造を形成してもよい。また、3つのR12bのうちのいずれか2つが互いに結合して、これらが結合している金属原子と共に環構造を形成してもよい。
12aとR12bが有してもよい置換基としては、上記Spが有する上記第1の置換基と同様のものが挙げられる。
【0082】
ユニットEとして具体的には、4-ビニルフェニル-トリフェニルスズ、4-ビニルフェニル-トリブチルスズ、4-イソプロペニルフェニル-トリフェニルスズ、4-イソプロペニルフェニル-トリメチルスズ、アクリル酸トリメチルスズ、アクリル酸トリブチルスズ、アクリル酸トリフェニルスズ、メタクリル酸トリメチルスズ、メタクリル酸トリブチルスズ、メタクリル酸トリフェニルスズ、4-ビニルフェニル-ジフェニルアンチモニー、4-イソプロペニルフェニル-ジフェニルアンチモニー、4-ビニルフェニル-トリフェニルゲルマン、4-ビニルフェニル-トリブチルゲルマン、4-イソプロペニルフェニル-トリフェニルゲルマン及び4-イソプロペニルフェニル-トリメチルゲルマン等のモノマーから構成されるユニットが挙げられる。
上記ポリマーが上記ユニットEを含有することで、粒子線又は電磁波を照射した際に2次電子の発生効率を向上させることが可能となる。
【0083】
上記ユニットEとして好ましくは、上記式(1)においてRが水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lカルボニルオキシ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、ユニットEとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、Rがメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様は、上記ポリマー中に上記ユニットEを2種以上有してもよい。
【0084】
(ユニットF)
本発明の一つの態様におけるポリマーは、ハロゲン原子を有する下記式(VIII)で示されるユニットFをさらに有することが好ましい。
【0085】
【化15】
【0086】
上記一般式(VIII)中、R1、L及びSpは、それぞれ上記一般式(1)のR1、L及びSpと同じ選択肢から選択されることが好ましい。
は、置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキレンオキシ基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニレンオキシ基;置換基を有していても良い炭素数6~14のアリール基;及び置換基を有していてもよい炭素数4~12のヘテロアリール基;からなる群より選択されるいずれかであり、且つ、炭素原子に置換している水素原子の一部又は全てが、フッ素原子又はヨウ素原子に置換されている。
のアルキル基、アルケニル基、アルキレンオキシ基のアルキレン基、アルケニレンオキシ基のアルケニレン基、アリール基及びヘテロアリール基は、上記Spと同様のものが挙げられる。
また、これらの置換基もSpの置換基と同様のものが挙げられる。
【0087】
ユニットFとして具体的には、下記に示すモノマーから得られるユニットが挙げられる。
【0088】
【化16】
【0089】
上記ユニットFとして好ましくは、上記式(VIII)においてRが水素原子又は直鎖のアルキル基であり、Lカルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基又はフェニレンジイル基であるものが挙げられる。
また、ユニットFとして、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Spが直接結合であり、Rがメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれか1つ以上を有するユニットはLWRの観点から好ましい。上記第1の置換基を有するR1として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
本発明の一つの態様は、上記ポリマー中に上記ユニットFを2種以上有してもよい。
【0090】
(その他のユニット)
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記ユニットA~Fの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、レジスト組成物として通常用いられるユニットを有していてもよい。
例えば、上記式(1)の*部分にエーテル基、ラクトン骨格、エステル基、ヒドロキシ基、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基等を含有する骨格を有するユニット(以下、「ユニットG」ともいう)が挙げられる。
また、上記式(1)の*部分にアルコール性ヒドロキシ基を有する骨格を有するユニット(以下、「ユニットH」ともいう)が挙げられる。該ユニットHは、上記ユニットA~Gとは異なるものである。上記ユニットHが上記ポリマーに含まれることで分子内架橋反応の割合が高まる傾向があるため好ましい。
エポキシ基、グリシジル基及びオキセタニル基等を含有する骨格を有するユニットは、上記ユニットAから発生する酸が強酸を用いた場合、すなわち、XがCFSO 等の場合、カチオン重合も起こり得るため好ましい。
【0091】
本発明の一つの態様におけるポリマーは、下記一般式(IX)で示されるユニットIを有していてもよい。ユニットIは上記ユニットA~Hとは異なるユニットである。本発明の一つの態様におけるポリマーがユニットIを有することで、粒子線又は電磁波の照射により発生するラジカルの作用でポリマー主鎖が切断されやすくなり、露光境界のポリマー鎖を短くすることができ、LWRを小さくできる効果を有する。
【0092】
【化17】
【0093】
上記一般式(IX)中、各置換基は以下であることが好ましい。
10が直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルキル基;及び、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~6のアルケニル基;からなる群より選択されるいずれかであり、該R1中の上記アルキル基及びアルケニル基中の少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよく、L10は直接結合であり、Rは上記第1の置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリール基であるもの。R10の炭素数1~6のアルキル基及び炭素数1~6のアルケニル基は上記R1の炭素数1~6のアルキル基及び炭素数1~6のアルケニル基と同様の選択肢から選択される。
あるいは、R10がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれかを有し、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Rcが水素原子又は上記第1の置換基を有していてもよい直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキル基であるもの。
また、Lがカルボニルオキシ基又はカルボニルアミノ基であり、Rが水素原子又は直鎖、分岐若しくは環状の炭素数1~6のアルキル基であり、R10がメチル基であり、且つ、該メチル基が上記第1の置換基のうち、炭素数1~4アルキル基、ハロゲン原子及びアリール基の少なくともいずれかを有するもの。上記第1の置換基を有するR10として特に好ましいのは、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ハロゲン化メチル基(フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等)及びベンジル基等が挙げられる。
なお、上記ユニットIは、上記ユニットA~Hとは異なるユニットである。
【0094】
上記ユニットIは、例えば、α-メチルスチレン誘導体、2-エチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-ベンジルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-プロピルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-イソプロピルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-ブチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-sec-ブチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-フルオロメチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-クロロメチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-ブロモメチルアクリル酸及びそのエステル誘導体、2-ヨードメチルアクリル酸及びそのエステル誘導体等のモノマーから誘導されたユニットが挙げられる。
上記ユニットIとして具体的には、下記に示すモノマー由来のものが挙げられる。
【0095】
【化18】
【0096】
本発明の一つの態様におけるポリマーは、下記一般式(X)で示されるユニットJを有していてもよい。
【0097】
【化19】
【0098】
上記式(X)中、R1、L及びSpは、それぞれ前記一般式(1)のR1、L、及びSpと同じ選択肢から選択される。
は、Rdは、置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキルシリル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルキルオキシシリル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニルシリル基;置換基を有していても良い直鎖、分岐又は環状の炭素数1~12のアルケニルオキシシリル基;から選択される。炭素原子の一部がケイ素原子及び酸素原子に置換されることで、結合する水素又は炭素が酸素に置き換わったシロキサン結合を含んでいても良い。
上記ユニットJは、ケイ素を含むことで酸素プラズマのエッチング耐性を高めることができる。さらにポリマー中にユニットJとしてシラン構造を有する場合、上記ユニットBが酸触媒存在下で反応することで水が生じ、該水によりユニットJが加水分解してシラノールとなりシロキサン結合を形成して架橋することで感度や基板密着性を向上できる効果を有するため好ましい。
なお、上記ユニットJは、上記ユニットA~Iとは異なるユニットである。
【0099】
ユニットJは、例えば、4-トリメチルシリルスチレン、4-トリメトキシシリルスチレン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、8-メタクリルオキシオクチルトリメトキシシラン、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチルペンタサイクリック[9,5,13,9,15,15,17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピルメタクリレート、3-アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、8-アクリルオキシオクチルトリメトキシシラン、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチルペンタサイクリック[9,5,13,9,15,15,17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピルメタクリレート等のモノマーから誘導されたユニットが挙げられる。
【0100】
本発明の一つの態様におけるレジスト組成物は、粒子線又は電磁波の照射により分子内架橋反応が起こることを特徴とする。そのため、ユニットAから発生する酸として強酸(X-がCFSO-等)を用いて有機溶剤水溶液を現像液として用いる場合は、その他のユニットとして酸解離性基を有するユニットを本発明におけるポリマーのユニットとして含まないことが好ましい。理由としては、その他のユニットとして酸解離性基を有するユニットを本発明におけるポリマーのユニットとして含む場合、上記ユニットAの分解により生じる酸の作用により上記ポリマーは水溶性現像液への溶解性が高まる傾向があるためである。
【0101】
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記ユニットAに対して、モル比でそれぞれ、上記ユニットBが0.2~5であることが好ましく、上記ユニットCが0~3であることが好ましく、上記ユニットDが0~2であることが好ましく、上記ユニットEが0~2であることが好ましく、上記ユニットFが0~2であることが好ましく、上記ユニットGが0~2であることが好ましく、上記ユニットHが0~2であることが好ましく、上記ユニットIが0~0.5であることが好ましく、上記ユニットJが0~4であることが好ましい。
本発明の一つの態様におけるポリマーは、上記それぞれのユニットを構成するモノマー成分を原料として用い、上記配合割合となるように通常の方法で重合することにより得ることができる。
【0102】
<2>レジスト組成物
本発明の一つの態様のレジスト組成物は、上記ポリマーを含有することを特徴とする。
上記ポリマー以外に、多置換アルコール化合物、有機金属化合物及び有機金属錯体等の成分を任意に含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
レジスト組成物中の上記ポリマーの配合量は、固形分全体で70~100質量%であることが好ましい。
(多置換アルコール化合物)
本発明の一つの態様のレジスト組成物は、上記ポリマーのみ含有する構成であってもよいが、上記ポリマーに加えて、その他の成分、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エリトリトール、アラビトール、1,4-ベンゼンジメタノール及び2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-ベンゼンジメタノール等分子内に2つ以上のヒドロキシル基を持つ化合物をさらに含有してもよい。レジスト組成物にこれらを含有することで、架橋反応の効率が向上し、粒子線又は電磁波に対する感度を高めることができる。
【0103】
(有機金属化合物及び有機金属錯体)
本発明の一つの態様のレジスト組成物は、有機金属化合物及び有機金属錯体のいずれかをさらに含有することが好ましい。
上記金属は、Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Xe、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Rn及びRaからなる群より選択される少なくとも1種であることが、上記ユニットA及び上記ユニットBを増感できることから好ましい。
【0104】
上記有機金属化合物としては、テトラアリール錫、テトラアルキル錫、ビス(アルキルホスフィン)白金等が挙げられる。
有機金属錯体としては、アクリル酸ハフニウム(IV)、アクリル酸ジルコニウム(IV)、アクリル酸ビスマス(III)、酢酸ビスマス(III)、シュウ酸スズ(II)等が挙げられる。
上記有機金属化合物及び有機金属錯体のレジスト組成物中の配合量は、ユニットAに対して0~0.5モル当量であることが好ましい。
【0105】
(その他の成分)
本発明の一つの態様のレジスト組成物は、いずれの態様においても、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を配合してもよい。配合可能な成分としては、公知の添加剤、例えば、含フッ素はっ水ポリマー、トリオクチルアミン等のクエンチャー、界面活性剤、充填剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、イオン補足剤及び溶剤等から選ばれる少なくとも1つを添加してもよい。
上記含フッ素はっ水ポリマーとしては、液浸露光プロセスに通常用いられるものが挙げられ、上記ポリマーよりもフッ素原子含有率が大きい方が好ましい。それにより、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する場合に、含フッ素はっ水ポリマーのはっ水性に起因して、レジスト膜表面に上記含フッ素はっ水ポリマーを偏在化させることができる。
【0106】
<3>レジスト組成物の調製方法
本発明の一つの態様のレジスト組成物の調製方法は特に制限はなく、上記ポリマー及びその他の任意成分を混合、溶解又は混練する等の公知の方法により調製することができる。
上記ポリマーは、上記ユニットA及びユニットBを構成するモノマー、並びに、必要によりその他のユニットを構成するモノマーを通常の方法により適宜重合して合成できる。しかしながら、本発明に係るポリマーの製造方法はこれに限定されない。
【0107】
<4>部材の製造方法
本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、粒子線又は電磁波を用いて、上記レジスト膜をパターン状に露光するフォトリソグラフィ工程と、露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含む部材の製造方法である。
上記部材としては、デバイスやマスク等が挙げられる。
【0108】
フォトリソグラフィ工程において露光に用いる粒子線又は電磁波としては、それぞれ電子線、EUVが挙げられる。
光の照射量は、光硬化性組成物中の各成分の種類及び配合割合、並びに塗膜の膜厚等によって異なるが、1J/cm以下又は1000μC/cm以下であることが好ましい。
上記レジスト組成物は、ポリマー中に増感ユニット(ユニットC)として含むか、又は、増感化合物とし含む場合、粒子線又は電磁波の照射後に、紫外線等で第2の露光を行うことも好ましい。
【0109】
本発明の一つの態様の部材の製造方法は、上記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして上記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、上記露出したレジストパターン表面部分の上記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、をさらに含むことが好ましい。
反転パターン用組成物としては、公知の反転パターン用組成物を用いることができ、例えば、国際公開WO2015/025665号公報に記載のシロキサンポリマーを含む組成物等が挙げられる。
【0110】
また、本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁線を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、を含む反転パターンの形成方法である。
【0111】
また、本発明の一つの態様は、上記レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
粒子線又は電磁線を用いて、上記レジスト膜を露光するフォトリソグラフィ工程と、
露光されたレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得るパターン形成工程と、
上記フォトレジストパターンの少なくとも凹部を被覆するように反転パターン用組成物を塗布して得られた塗膜をエッチングして上記フォトレジストパターン表面を露出させる工程と、
上記露出したレジストパターン表面部分の上記レジスト膜を除去して反転パターンを得る工程と、を含む反転パターンの形成方法である。
上記レジスト組成物を用いること以外は通常の反転パターンの形成方法を用いればよい。
上記基板としては、Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi及びBPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)等の無機基板;例えば、有機反射防止膜等が塗布されるSOG(Spin on Glass)等の塗布系無機基板等がデバイスの製造方法の場合は好ましく挙げられる。
また、マスクの製造方法の場合は、上記基板として、Cr、CrO、CrON、MoSi2及びSiO2等の無機基板が好ましく上げられ、該無機基板にTaO等のEUV吸収層を有していることがより好ましい。マスク製造用の基板は、通常のマスクに用いられる基板と同様の構成とすればよく、例えば透過型マスクの場合は対象の透過光に対して透明であるのが好ましく、反射型マスクの場合は対象の光(EUV等の電磁波等)に対して高い反射率を有することが好ましい。
【0112】
パターン形成工程における現像は、通常の現像液を用いることができ、現像液として例えばアルカリ現像液、中性現像液及び有機溶剤現像液等が挙げられる。
また、上記以外の現像液として、水溶性有機溶剤を含む水溶性現像液も好ましく用いられる。上記水溶性有機溶剤としては、水と任意の割合で混合する炭素数1以上の有機化合物が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、ジグライム、トリグライム、アセトニトリル、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等が具体的に挙げられる。
【0113】
上記水溶性現像液は1種以上の水溶性有機溶剤を含むことで水溶液となっていればよく、非水溶性有機溶媒をさらに混合していても良い。上記非水溶性有機溶剤としては、例えば、水と混和しないアルコール類、水と混和しないエーテル類、水と混和しないニトリル類、水と混和しないケトン類、水と混和しない酢酸エチル等のエステル類及び塩化メチレン等の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。
【実施例
【0114】
以下、本発明のいくつかの態様を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0115】
<ユニットAを構成する化合物A1の合成>
(合成例1)ジベンゾチオフェン-9-オキシドの合成
【0116】
【化20】
【0117】
ジベンゾチオフェン7.0gをギ酸21.0gに溶解して35℃とする。これに35質量%過酸化水素水4.1gを滴下して25℃で5時間撹拌する。冷却後、反応液を純水50gに滴下し固体を析出させる。析出した固体をろ別し、純水20gで2回洗浄した後、アセトンを用いて再結晶する。これをろ過した後に乾燥することでジベンゾチオフェン-9-オキシドを7.6g得る。
【0118】
(合成例2)9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ヨージドの合成
【0119】
【化21】
【0120】
上記合成例1で得たジベンゾチオフェン-9-オキシド4.0gとフェノール2.8gとをメタンスルホン酸16gに溶解して25℃とする。これに五酸化二リン1.5gを添加して室温で15時間撹拌する。その後純水60gを添加してさらに5分撹拌後、酢酸エチル20gで2回洗浄する。これを分液して、得られた水層にヨウ化カリウム3.6gと塩化メチレン30gとを添加して室温で2時間撹拌する。その後これを分液して、得られた有機層を純水40gで4回洗浄する。回収した有機層を濃縮し、ジイソプロピルエーテル100gに滴下して固体を析出させる。析出した固体をろ別して乾燥することで9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ヨージドを6.6g得る。
【0121】
(合成例3)9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートの合成
【0122】
【化22】
【0123】
上記合成例2で得た9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ヨージド6.0gとジメチル硫酸2.3gとをメタノール15gに溶解して25℃として室温で4時間撹拌する。その後酢酸エチル45gを添加して固体を析出させる。析出した固体をろ別して乾燥することで9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートを4.9g得る。
【0124】
(合成例4)9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート(化合物A1)の合成
【0125】
【化23】
【0126】
上記合成例3で得た9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート4.0gとメタクリル酸クロライド1.9gとを塩化メチレン25gに溶解して25℃とする。これに、トリエチルアミン1.4gを塩化メチレン7gに溶解した溶液を滴下して25℃で2時間撹拌する。撹拌後、純水20gを添加してさらに10分撹拌した後に分液する。有機層を純水20gで2回洗浄した後に、回収した有機層を濃縮し、ジイソプロピルエーテル60gに滴下することで固体を析出させる。析出した固体をろ別した後に乾燥させて9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート(化合物A1)を3.0g得る。
【0127】
<ユニットAを構成する化合物A2の合成>
(合成例5)9-(4-アクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート(化合物A2)の合成
【0128】
【化24】
【0129】
メタクリル酸クロライドに代えてアクリル酸クロライドを用いる以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、9-(4-アクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-トリフルオロメタンスルホネート(化合物A2)を4.4g得る。
【0130】
<ユニットAを構成する化合物A3の合成>
(合成例6)9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ベンゾエート(化合物A3)の合成
【0131】
【化25】
【0132】
上記合成例4で得た9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェート4.0gとサリチル酸ナトリウム2.9gとを塩化メチレン25gと純水20gに添加して25℃で2時間撹拌する。撹拌後に分液し、回収した有機層を濃縮する。得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=80/20(体積比))により精製することで、9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ベンゾエート(化合物A3)3.4gを得る。
【0133】
<ユニットAを構成する化合物A4の合成>
(合成例7)(4-ヒドロキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-ヨージドの合成
【0134】
【化26】
【0135】
ジベンゾチオフェン-9-オキシドに代えてジフェニルスルホキシドを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-ヨージドを5.9g得る。
【0136】
(合成例8)(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-トリフルオロメタンスルホネート(化合物A4)の合成
【0137】
【化27】
【0138】
9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを用い、ジイソプロピルエーテルを用いて固体を析出させる代わりにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=9/1)とする以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-メチルサルフェート(化合物A4)を3.8g得る。
【0139】
<ユニットAを構成する化合物A5の合成>
(合成例9)(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-ベンゾエート(化合物A5)の合成
【0140】
【化28】
【0141】
9-(4-メタクリルオキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-メタクリルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを用いる以外は上記合成例6と同様の操作を行うことで、(4-メタクリルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム-メチルサルフェート(化合物A5)を3.5g得る。
【0142】
<ユニットAを構成する化合物A6の合成>
(合成例10)5-(4-ヒドロキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム―トリフルオロメタンスルホネートの合成
【0143】
【化29】
【0144】
ジベンゾチオフェン-9-オキシドに代えてテトラメチレンスルホキシドを用い、フェノールに代えて1-ナフトールを用い、ヨウ化カリウムの代わりにトリフルオロメタンスルホン酸カリウムを用いる以外は上記合成例2と同様の操作を行うことで、5-(4-ヒドロキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム―トリフルオロメタンスルホネートを4.7g得る。
【0145】
(合成例11)5-(4-メタクリルオキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム―トリフルオロメタンスルホネート(化合物A6)の合成
【0146】
【化30】
【0147】
9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて5-(4-ヒドロキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム-トリフルオロメタンスルホンネートを用いる以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、(5-(4-メタクリルオキシナフチル)テトラメチレンスルホニウム-トリフルオロメタンスルホネート(化合物A6)を5.1g得る。
【0148】
<ユニットAを構成する化合物A7の合成>
(合成例12)(4-アミノフェニル)ジフェニルスルホニウム-ブロミドの合成
あらかじめ乾燥させたフラスコにテトラヒドロフラン2.0g、マグネシウム0.4g及び1,2-ジブロモエタンを加えてマグネシウムを活性化させる。活性化したことを確認後、溶液を50℃に昇温し、そこに4-ブロモ-N,N-ビス(トリメチルシリル)アニリン3.0gをTHF6.0gに溶解させたものを滴下する。滴下後、50℃で5h撹拌し、4-[N,N-(ビストリメチルシリル)]アミノフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液を得る。ジフェニルスルホキシド1.9gとトリメチルシリルクロライド1.8gとトリエチルアミン0.8gを塩化メチレン9.5gに溶解した溶液中に、4-[N,N-(ビストリメチルシリル)]アミノフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液を10℃以下で滴下し、その後25℃で1時間撹拌する。撹拌後、10質量%塩化アンモニウム水溶液30gを5℃以下で添加してさらに10分撹拌する。その後、分液して塩化メチレン留去後にメタノール20gとトリエチルアミン1.6gを添加して2時間攪拌する。攪拌後に溶媒を留去することですることで(4-アミノフェニル)ジフェニルスルホニウム-ブロミドを3.1g得る。
【0149】
【化31】
【0150】
(合成例13)(4-メタクリルアミノフェニル)ジフェニルスルホニウム-ブロミドの合成
【0151】
【化32】
【0152】
9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-メチルサルフェートに代えて(4-アミノフェニル)ジフェニルスルホニウム-ブロミドを用いる以外は上記合成例4と同様の操作を行うことで、(4-メタクリルアミノフェニル)ジフェニルスルホニウム-ブロミドを3.8g得る。
【0153】
(合成例14)(4-メタクリルアミノフェニル)ジフェニルスルホニウム-メチルサルフェート(化合物A7)の合成
【0154】
【化33】
【0155】
9-(4-ヒドロキシフェニル)ジベンゾチオフェニウム-ヨージドに代えて4-メタクリルアミノフェニル)ジフェニルスルホニウム-ブロミドを用いる以外は上記合成例3と同様の操作を行うことで、(4-メタクリルアミノフェニル)ジフェニルスルホニウム-メチルサルフェートを2.7g得る。
【0156】
<ユニットBを構成する化合物B1の合成>
(合成例15)2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロールの合成
【0157】
【化34】
【0158】
2,4-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンゾフェノン6.0gをTHF32gに溶解し、これに水素化リチウムアルミニウム2.2gを添加し室温で3時間攪拌する。その後、純水6gを水素の発生を確認しながら添加後さらに10分攪拌する。5%シュウ酸ナトリウム水溶液を添加して10分撹拌後に酢酸エチル30gを添加して分液する。これを水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮することで2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロール5.9gを得る。
【0159】
(合成例16)2,4-ジメトキシ-2'-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B1)の合成
【0160】
【化35】
【0161】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロール4.0gとメタクリル酸無水物4.2gとを塩化メチレン40gに溶解して25℃とする。これに、トリエチルアミン2.8gを塩化メチレン7gに溶解した溶液を滴下して25℃で2時間撹拌する。撹拌後、純水20gを添加してさらに10分撹拌した後に分液する。有機層を純水20gで2回洗浄した後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=15/85(体積比))により精製することで、2,4-ジメトキシ-2'-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B1)を2.6g得る。
【0162】
<ユニットBを構成する化合物B2の合成>
(合成例17)2-ヒドロキシベンゾヒドロールの合成
【0163】
【化36】
【0164】
2,4-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンゾフェノンに代えて2-ヒドロキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例15と同様の操作を行うことで、2-ヒドロキシベンゾヒドロールを3.5g得る。
【0165】
(合成例18)2-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B2)の合成
【0166】
【化37】
【0167】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロールに代えて2-ヒドロキシベンゾヒドロールを用い、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製すること以外は上記合成例16と同様の操作を行うことで、2-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B2)を3.5g得る。
【0168】
<ユニットBを構成する化合物B3の合成>
(合成例19)1-(4-ヒドロキシフェニル)エタノールの合成
【0169】
【化38】
【0170】
2-ヒドロキシベンゾフェノンに代えて4‐ヒドロキシアセトフェノンを用いる以外は上記合成例15と同様の操作を行うことで、1-(4-ヒドロキシフェニル)エタノールを2.7g得る。
【0171】
(合成例20)1-(4-メタクリルオキシフェニル)エタノール(化合物B3)の合成
【0172】
【化39】
【0173】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロールに代えて2-ヒドロキシベンゾヒドロールを用い、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製すること以外は上記合成例16と同様の操作を行うことで、2-メタクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B3)を3.5g得る。
【0174】
<ユニットBを構成する化合物B4の合成>
(合成例21)2,4-ジメトキシ-4'-(2-ビニルオキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
【0175】
【化40】
【0176】
2,4-ジメトキシ-4'-ヒドロキシ-ベンゾフェノン4.0gと2-クロロエチルビニルエーテル4.8gと炭酸カリウム6.4gとをジメチルホルムアミド24gに溶解する。混合物を110℃で15時間攪拌する。そして、混合物を25℃に冷却し、水60gの添加後さらに攪拌した後トルエン24gで抽出し、水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、2,4-ジメトキシ-4'-(2-ビニルオキシ)エトキシベンゾフェノン5.4gを得る。
【0177】
(合成例22)2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾフェノンの合成
【0178】
【化41】
【0179】
2,4-ジメトキシ-4'-(2-ビニルオキシ)エトキシベンゾフェノン5.4gとピリジニウム-p-トルエンスルホン酸0.42gと純水4.2gとをアセトン36gに溶解する。混合物を35℃で12時間攪拌する。そして、3質量%炭酸ナトリウム水溶液添加後に混合物をさらに攪拌後に酢酸エチル42gで抽出し、水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮することで、2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾフェノン4.3gを得る。
【0180】
(合成例23)2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾヒドロールの合成
【0181】
【化42】
【0182】
2-ヒドロキシベンゾフェノンに代えて2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例15と同様の操作を行うことで、2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾヒドロールを2.7g得る。
【0183】
(合成例24)2,4-ジメトキシ-4'-(2-メタクリルオキシ)エトキシベンゾヒドロール(化合物B4)の合成
【0184】
【化43】
【0185】
2,4-ジメトキシ-2'-ヒドロキシベンゾヒドロールに代えて2-ヒドロキシベンゾヒドロールを用い、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製すること以外は上記合成例16と同様の操作を行うことで、2,4-ジメトキシ-4'-(2-メタクリルオキシ)エトキシベンゾヒドロール(化合物B4)を3.5g得る。
【0186】
<ユニットBを構成する化合物B5の合成>
(合成例25)2-エチルアクリル酸クロライドの合成
【0187】
【化44】
【0188】
2-エチルアクリル酸5.0gを塩化メチレン35gに溶解して50℃とする。これに塩化オキサリル5.1gを10分間かけて滴下し還流温度で2時間撹拌することで、2-エチルアクリル酸クロライドの塩化メチレン溶液を26.3g得る。
【0189】
(合成例26)2,4-ジメトキシ-2'-(2-エチル)アクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B5)の合成
【0190】
【化45】
【0191】
メタクリル酸無水物に代えてと2-エチルアクリル酸クロライドを用いる以外は上記合成例16と同様の操作を行うことで2,4-ジメトキシ-2'-(2-エチル)アクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B)を2.4g得る。
【0192】
<ユニットBを構成する化合物B6の合成>
(合成例27)2‐フルオロメチルアクリル酸クロライドの合成
【0193】
【化46】
【0194】
2-エチルアクリル酸に代えて2-フルオロメチルアクリル酸を用いる以外は上記合成例22と同様の方法で、2-フルオロメチルアクリル酸クロライドの塩化メチレン溶液を31.4g得る。
【0195】
(合成例28)2,4-ジメトキシ-2'-(2-エチル)アクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B6)の合成
【0196】
【化48】
【0197】
メタクリル酸無水物に代えて2-フルオロメチルアクリル酸クロライドを用いる以外は上記合成例16と同様の操作を行うことで2,4-ジメトキシ-2'-(2-フルオロメチル)アクリルオキシヒドロキシベンゾヒドロール(化合物B6)を2.8g得る。
【0198】
<ユニットCを構成する化合物C1の合成>
(合成例29)1-[4-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン(化合物C1)の合成
【0199】
【化49】
【0200】
1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(イルガキュア2959)4.0gとメタクリル酸無水物4.6gとを塩化メチレン40gに溶解して25℃とする。これに、トリエチルアミン3.0gを塩化メチレン7gに溶解した溶液を滴下して25℃で2時間撹拌する。撹拌後、純水20gを添加してさらに10分撹拌した後に分液する。有機層を純水20gで2回洗浄した後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、1-[4-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン(化合物C1)を4.9g得る。
【0201】
<ユニットCを構成する化合物C2の合成>
(合成例30)1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンの合成
【0202】
【化50】
【0203】
あらかじめ水分を除去したフラスコにマグネシウム2.0gとTHF10gとを加える。これに、4-(2-エトキシ)エトキシフェニルブロミド 10.0gをTHF50.0gに溶解した溶液を室温で1時間かけて滴下する。滴下後に室温で1時間撹拌した後、得られた4-(2-エトキシ)エトキシフェニルマグネシウムブロミド溶液を別途準備したピバル酸クロライド 9.8gとTHF40gとを加えたフラスコ中に5℃で30分間かけて滴下する。滴下後、30分撹拌した後に3%塩酸150gを加えて、さらに10分間撹拌する。その後、THFを留去し、酢酸エチル150gを用いて抽出する。これを分液し、得られた有機層を純水60gで3回洗浄する。その後、分液して得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=20/80(体積比))により精製することで、1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンを5.8g得る。
【0204】
(合成例31)1-(4-メタクリルオキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C2)の合成
【0205】
【化51】
【0206】
上記合成例30で得た1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン4.0gとメタクリル酸無水物4.1gとを塩化メチレン32gに溶解して25℃とする。これに、トリエチルアミン2.7gを塩化メチレン7gに溶解した溶液を滴下して25℃で2時間撹拌する。撹拌後、純水20gを添加してさらに10分撹拌した後に分液する。有機層を純水20gで2回洗浄した後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、1-(4-メタクリルオキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C2)を4.6g得る。
【0207】
<ユニットCを構成する化合物C3の合成>
(合成例32)1-(4-アクリルオキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C3)の合成
【化52】
【0208】
メタクリル酸無水物に代えてアクリル酸クロライドを用いる以外は上記合成例13と同様の操作を行うことで、1-(4-アクリルオキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C3)を5.3g得る。
【0209】
<ユニットCを構成する化合物C4の合成>
(合成例33)1-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンの合成
【0210】
【化53】
【0211】
4-(2-エトキシ)エトキシフェニルブロミドに代えて2-ブロモ-6-(2-エトキシ)エトキシナフタレンを用いる以外は上記合成例30と同様の操作を行うことで、1-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンを6.9g得る。
【0212】
(合成例34)1-(6-メタクリルオキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C4)の合成
【0213】
【化54】
【0214】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンに代えて1-(6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンを用いる以外は上記合成例30と同様の操作を行うことで、1-(6-メタクリルオキシナフタレン-2-イル)-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C4)を5.3g得る。
【0215】
<ユニットCを構成する化合物C5の合成>
(合成例35)1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2,2-ジメチル-1-プロパノンの合成
【0216】
【化55】
【0217】
4-(2-エトキシ)エトキシフェニルブロミドに代えて4-(2-ビニルオキシ)エトキシフェニルブロミドを用いる以外は上記合成例13と同様の操作を行うことで、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2,2-ジメチル-1-プロパノンを6.3g得る。
【0218】
(合成例36)1-[4-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C5)の合成
【0219】
【化56】
【0220】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンに代えて1-(2-ヒドロキシエトキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンを用いる以外は上記合成例31と同様の操作を行うことで、1-[4-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-2,2-ジメチル-1-プロパノン(化合物C5)を5.6g得る。
【0221】
<ユニットCを構成する化合物C6の合成>
(合成例37)フェニルグリオキシ酸クロライドの合成
【0222】
【化57】
【0223】
フェニルグリオキシ酸5.0gをアニソール35gに溶解して50℃とする。これに塩化オキサリル5.1gを10分間かけて滴下し50℃で2時間撹拌する。これを、70℃として過剰の塩化オキサリルを留去した後に減圧下でアニソールを留去し濃縮することで、フェニルグリオキシ酸クロライドのアニソール溶液を26.3g得る。
【0224】
(合成例38)1-(4-メトキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンの合成
【0225】
【化58】
【0226】
合成例36で得たフェニルグリオキシ酸クロライドのアニソール溶液25.0gを塩化メチレン35gに溶解して0℃とする。これに塩化アルミニウム4.3gを添加して0℃で2時間撹拌する。これに純水35gを加えて10分間撹拌後に分液する。得られた有機層を純水30gで2回洗浄した後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、1-(4-メトキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンを5.6g得る。
【0227】
(合成例38)1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンの合成
【0228】
【化59】
【0229】
4-メトキシベンジル5.0gを酢酸95mlに溶解する。これに、48質量%HBr水溶液33.2gを70℃で10分間かけて滴下する。滴下後、110℃で70時間攪拌する。その後、水150gを添加して結晶化する。これをろ過し、結晶を水250gで洗浄した後、乾燥することで1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンを4.1g得る。
【0230】
(合成例39)2,2-ジメトキシ-1-(4-メタクリルオキシフェニル)エタン-1-オン(化合物C6)の合成
【0231】
【化60】
【0232】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルエタンジオン4.0gと硫酸0.10gとをメタノール12gに溶解して25℃とする。これにオルト蟻酸トリメチル2.2gを滴下して3時間攪拌する。トリエチルアミン0.6gを30℃で添加して5分間攪拌後、溶媒を留去する。得られた残渣にアセトニトリル25g、トリエチルアミン4.5g及びジメチルアミノピリジン0.11gを添加した後、アセトニトリル5.0gで希釈したメタクリル酸無水物6.8gを室温で滴下する。滴下後、25℃にて2時間攪拌した後、3質量%NaHCO3水溶液64gを添加して5分間攪拌する。その後、酢酸エチル32gで抽出し、水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮し、得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、2,2-ジメトキシ-1-(4-メタクリルオキシフェニル)エタン-1-オン(化合物C6)を4.3g得る。
【0233】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンに代えて2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例24と同様の操作を行うことで、2,2-ジメトキシ-1-(4-メタクリルオキシフェニル)エタン-1-オン(化合物C6)を3.7g得る。
【0234】
<ユニットCを構成する化合物C7の合成>
(合成例40)2‐ベンジルアクリル酸クロライドの合成
【0235】
【化61】
【0236】
2-エチルアクリル酸に代えて2-ベンジルアクリル酸を用いる以外は上記合成例Iと同様の方法で、2-ベンジルアクリル酸クロライドの塩化メチレン溶液を31。4g得る。
【0237】
(合成例41)1-{4-[(2-ベンジル)アクリルオキシ)エトキシフェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン(化合物C7)の合成
【0238】
【化62】
【0239】
メタクリル酸無水物に代えて2-ベンジルアクリル酸を用いる以外は上記合成例31と同様の方法で1-{4-[(2-ベンジル)アクリルオキシ)エトキシフェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン(化合物C7)を5.2g得る。
【0240】
<ユニットEを構成する化合物E1の合成>
(合成例42)4-ビニルフェニル-トリフェニルスズ(化合物E1)の合成
【0241】
【化63】
【0242】
あらかじめ水分を除去したフラスコにマグネシウム1.2gとTHF6gとを加える。これに、4-ビニルブロモベンゼン 6.0gをTHF12.0gに溶解した溶液を1時間かけて滴下する。滴下後に1時間撹拌した後、得られた4-ビニルフェニルマグネシウムブロミド溶液を別途準備した塩化トリフェニルスズ7.3gとTHF36gとを加えたフラスコ中に5℃で30分間かけて滴下する。滴下後、30分撹拌した後に1%塩化アンモニウム水溶液600gを加えて、さらに10分間撹拌する。その後、THFを留去し、トルエン60gを用いて抽出する。これを分液し、得られた有機層を純水60gで3回洗浄する。その後、分液して得られた有機層を溶媒留去した後にカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=5/95(体積比))により精製することで、4-ビニルフェニル-トリフェニルスズ(化合物E1)を5.6g得る。
【0243】
<ユニットEを構成する化合物E2の合成>
(合成例43)4-イソプロペニルフェニル-トリフェニルスズ(化合物E2)の合成
【0244】
【化64】
【0245】
4-ビニルブロモベンゼンに代えて4-イソプロペニルブロモベンゼンを用いる以外は上記合成例42と同様の操作を行うことで、4-イソプロペニルフェニル-トリフェニルスズ(化合物E2)を7.1g得る。
【0246】
<ユニットEを構成する化合物E3の合成>
(合成例44)4-ビニルフェニル-トリブチルスズ(化合物E3)の合成
【0247】
【化65】
【0248】
塩化トリフェニルスズに代えて塩化トリブチルスズを用いる以外は上記合成例42と同様の操作を行うことで、4-ビニルフェニル-トリブチルスズ(化合物E3)を5.1g得る。
【0249】
<ユニットEを構成する化合物E4の合成>
(合成例45)4-ビニルフェニル-トリフェニルゲルマン(化合物E4)の合成
【0250】
【化66】
【0251】
塩化トリフェニルスズに代えて塩化トリフェニルゲルマニウムを用いる以外は上記合成例34と同様の操作を行うことで、4-ビニルフェニル-トリブチルゲルマン(化合物E4)を3.1g得る。
【0252】
<ユニットFを構成する化合物F1の合成>
(合成例46)1-トリフルオロメチル-2-ブロモエタノールの合成
【0253】
【化67】
【0254】
1-ブロモ-3,3,3-トリフルオロアセトン6.0gをTHF28gに溶解し、これに水素化リチウムアルミニウム0.3gを添加し室温で3時間攪拌する。その後、純水6gを水素の発生を確認しながら添加後さらに10分攪拌する。5%シュウ酸ナトリウム水溶液を添加して10分撹拌後に酢酸エチル30gを添加して分液する。これを水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮することで1-トリフルオロメチル-2-ブロモエタノール5.9gを得る。
【0255】
(合成例47)1-トリフルオロメチル-2-メタクリルオキシエタノール(化合物F1)の合成
【0256】
【化68】
【0257】
1-トリフルオロメチル-2-ブロモエタノール5.0gをDMF20gに溶解し、これに炭酸カリウム3.9gとメタクリル酸3.3gを添加し80℃で3時間攪拌する。その後、純水20gを添加後さらに10分攪拌する。酢酸エチル30gを添加して分液した後に1%塩酸水溶液10gで洗浄後、水10gで3回洗浄後に回収した有機層を濃縮すること得られた有機層をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=10/90(体積比))により精製することで、1-トリフルオロメチル-2-メタクリルオキシエタノール(化合物F1)4.2gを得る。
【0258】
<ユニットFを構成する化合物F2の合成>
(合成例48)1,3,5-トリヨードフェニルメタクリレート(化合物F2)の合成
【0259】
【化69】
【0260】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンに代えて1,3,5-トリヨードフェノールを用いる以外は上記合成例13と同様の操作を行うことで、1,3,5-トリヨードフェニルメタクリレート(化合物F2)を4.3g得る。
【0261】
<比較化合物b1の合成>
(合成例49)1-(2,4-ジメトキシ)フェニル-1-[4'-(2-ヒドロキシ)エトキシフェニル]-1,1-ジメトキシメタンの合成
【0262】
【化70】
【0263】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニルエタンジオンに代えて2,4-ジメトキシ-4'-(2-ヒドロキシ)エトキシベンゾフェノンを用いる以外は上記合成例24と同様の操作を行うことで、1-(2,4-ジメトキシ)フェニル-1-[4'-(2-ヒドロキシ)エトキシフェニル]-1,1-ジメトキシメタンを3.3g得る。
【0264】
(合成例50)1-(2,4-ジメトキシ)フェニル-1-[4'-(2-メタクリルオキシ)エトキシフェニル]-1,1-ジメトキシメタン(比較化合物b1)の合成
【0265】
【化71】
【0266】
<比較化合物e1の合成>
(合成例51)4-トリフェニルメチルフェニルメタクリレート(比較化合物e1)の合成
【0267】
【化72】
【0268】
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジメチル-1-プロパノンに代えて4-トリフェニルメチルフェノールを用いる以外は上記合成例13と同様の操作を行うことで、4-トリフェニルメチルフェニルメタクリレート(比較化合物e1)を3.1g得る。
【0269】
<ポリマー1の合成>
(合成例52)ポリマー1の合成
【0270】
【化73】
【0271】
ユニットAを構成する化合物A1を3.0g、ユニットBを構成する化合物B1を2.2g、ユニットCを構成する化合物C1を1.9g及びユニットEを構成する化合物E1を3.0g並びに、重合開始剤としてジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)0.61gとα-チオグリセロール0.85gとを、シクロヘキサノン12gとγ-ブチロラクトン19gとの混合溶液に溶解して脱酸素する。これをあらかじめ70℃に加熱したγ-ブチロラクトン4gとシクロヘキサノン4gとの混合液に4時間かけて滴下する。滴下後に2時間撹拌してその後に冷却する。冷却後に90gの酢酸エチルに滴下することで再沈殿する。これをろ過した後にメタノール40g中で10分撹拌後にろ過し、真空乾燥することで目的のポリマー1を7.3g得る。
上記にポリマーのユニット比の開示があるが、本発明のいくつかの態様のポリマーはこれに限定されない。
【0272】
<ポリマー2~15及び比較ポリマー1~2の合成>
(合成例53)ポリマー2~15及び比較ポリマー1~2の合成
上記合成例52に倣い、ユニットAを構成する上記化合物A1~A6、ユニットBを構成する化合物B1~B4、ユニットCを構成する化合物C1~C6、ユニットDを構成する化合物D、ユニットEを構成する化合物E1~E4、ユニットFを構成する化合物F1~F4、比較化合物b1及び比較化合物e1適宜組み合わせて、ポリマー2~11及び比較ポリマー1~2を合成した。合成した各ポリマーの詳細を表1に示す。
化合物D:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート
化合物F3:2-パーフルオロブチルエチルメタクリレート
化合物F4:3,5-ビス(2,2,2-トリフルオロ―1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチルエチル)シクロヘキシルメタクリレート
【0273】
【表1】
【0274】
<レジスト組成物の調製>
上記ポリマーのいずれか400mgをシクロヘキサノン、乳酸エチル及びγブチロラクトンを5:5:1の比率で混合した溶媒に溶解して、実施例1~10及び比較例1~2のレジスト組成物サンプル1~12を調製する。用いたポリマーを表2及び表3に示す。
【0275】
<現像液の調製>
上記ポリマー1~5、9、11及び比較ポリマー1を溶解したレジスト組成物サンプル1~8をスピンコート法によって作製した100nmのフィルムを含浸させて30秒以内で完全に溶解するように、アセトニトリルを組成が0~80質量%の範囲になるように純水と配合し、アセトニトリル濃度が最少量となる濃度のアセトニトリル水溶液をそれぞれのポリマーの現像液とする。
【0276】
<EUV感度評価:実施例1~7及び比較例1>
6インチシリコンウェハ上に滴下してスピンコートした後に、110℃のホットプレートで1分間ベークすることで膜厚100nmのフィルムを形成した。これをEUV露光装置(Energetic EQ-10m)を用いて0.25-3.0mJ/cm照射した後に、あらかじめポリマーごとに未露光部の最低濃度に調製したアセトニトリル水溶液に60秒含侵して現像した。その後に純水に30秒含侵して洗浄することで1×1cmのパターンを得た。得られたパターンを接触式膜厚計(小坂研究所 Surfcorder ET-200)により膜厚測定を行い、感度曲線を作成することで感度(E)を求めた。Eは最大膜厚の50%の膜厚となった時の露光量と定義してサンプル1の感度を比較する。
上記サンプル2~8に対しても、上記と同様にして感度評価を行う。結果を表2に示す。
【0277】
【表2】
【0278】
実施例1と実施例2の比較より、いずれのポリマーも非常に高感度であるが、化合物A4を用いた場合、化合物A1よりも酸発生効率が高くなるため、化合物B1の反応効率を高くすることが出来るため化合物A1を含むポリマー1よりも非常に高感度になることがわかる。
【0279】
実施例3の結果より、化合物A4と光崩壊性塩基として働く化合物A5とを同時に含む場合も高感度であることがわかる。比較例1の比較より、ヒドロキシ基に変わってジメチルアセタール構造とした場合、化合物A4から生じる酸によって起こる反応が異なるため、実施例3と比較して感度が低い。
【0280】
実施例4は実施例7と比較して非常に高感度である。EUV吸収係数の高いスズ原子を含む化合物E1を含むことで2次電子の生成効率が向上するために実施例7よりも感度が高い。
【0281】
実施例5は実施例2よりも感度が高い。化合物Dを含むことで化合物A4の酸発生効率が高くなる。そのため、化合物B1の反応効率が高くなり感度が高くなると考えられる。
【0282】
実施例6の結果より、EUV吸収係数の高いフッ素原子を含む化合物F1を含むことで2次電子の生成効率が向上するために実施例7よりも感度が高いことがわかる。
【0283】
<電子線感度評価:実施例8~10及び比較例2>
シリコンウェハ上に上記レジスト組成物サンプル9をスピンコートする。これを110℃のホットプレート上に1分間プレベークすることで、厚さ30nmの塗布膜が形成された基板を得る。該基板の塗布膜に対し、電子線描画装置(ELS-F100T、(株)エリオニクス製)を用いて、125keVの電子線により25nmのハーフピッチ(HP)パターンを描画する。電子線照射後の基板を、アセニトリル濃度を各ポリマーに最適化した上記現像液に対し、アセトニトリル濃度を5質量%高めて調製したパターニング用の現像液を用いて1分間現像する。その後に純水でリンスすることで25nmのラインアンドスペースパターンを得る。このときの照射量をEmax[μC/cm]として電子線照射による感度を求める。
上記サンプル10~12に対しても、上記と同様にして感度評価を行う。結果を表3に示す。あらかじめポリマーごとに未露光部を溶解する最低濃度のアセトニトリル水溶液を検討したところ、ポリマー2は25質量%、ポリマー4は30質量%、ポリマー5は20質量%である。
【0284】
【表3】
【0285】
実施例8~10の結果より、いずれのポリマーも130~160μC/cmで25nmHPのパターニングが出来たことがわかる。感度は50keVの電子線に換算すると100μC/cmとなり非常に高感度である。化合物A5及び化合物E1は酸を失活する性質を持つため、いずれのポリマーも酸拡散制御剤を添加することなく微細なパターニングすることが出来る。
実施例8~10で得られたパターニングのSEM画像を図1に示す。
【0286】
比較例2はパターニング用の現像液を用いた場合、500μC/cm照射してもパターンを得ることが出来なかった。これは、比較ポリマー2がユニットBを含まないために、ユニットAから発生する酸を反応に利用できないため、十分な架橋密度を得ることが出来ず、溶解性の高い現像液に対して十分に不溶化することが出来ないためである。
【0287】
<電子線パターニングに与える現像液の効果:実施例11及び比較例3>
シリコンウェハ上に上記レジスト組成物サンプル9をスピンコートする。これを110℃のホットプレート上に1分間プレベークすることで、厚さ30nmの塗布膜が形成された基板を得る。該基板の塗布膜に対し、電子線描画装置(ELS-F100T、(株)エリオニクス製)を用いて、125keVの電子線により40nmラインの1:3パターンを描画する。電子線照射後の基板を、アセニトリル濃度を各ポリマーに最適化した現像液及び該現像液のアセニトリル濃度に対し5質量%高めたパターニング用の現像液をそれぞれ用いて1分間現像し、その後に純水でリンスすることで40nmのパターンを得る。このとき、最適化した現像液で現像したときの照射量をEmax A[μC/cm]、最適化した濃度より5質量%高めたパターニング用の現像液を用いて現像したときの照射量をEmax B[μC/cm]として電子線照射による感度を求める。
上記サンプル12に対しても、上記と同様にして感度評価を行う。結果を表4に示す。
ポリマー2及び比較ポリマー2の現像液濃度を検討したところ、あらかじめポリマーごとに未露光部を溶解する最低濃度のアセトニトリル水溶液を検討したところ、ポリマー2は25質量%、比較ポリマー2は32質量%である。
【0288】
【表4】
【0289】
実施例11に示すように、ポリマー2を用いたサンプル9は現像液の種類に依らず120μC/cm照射することでパターンを得ることができる。しかし、パターンの線幅とLWRは現像液の濃度に依存し、最適化した濃度の現像液ではパターンは太く、LWRが大きい。これは酸拡散反応により未露光部のポリマーが僅かに反応することで、最適化現像液に不溶化するためである。
図3の溶解閾値(1)に示すように最適化された現像液は僅かな不溶化効果の影響でポリマーが溶けなくなるため、酸拡散反応の影響を大きく受ける。しかし、アセトニトリル濃度を5質量%高めたパターニング用の水溶性現像液を用いることで、図3の溶解閾値(2)に示すように溶解閾値を高くすることができ、僅かな反応による生じる不溶化反応が起きた未露光部のポリマーも溶解することが出来る傾向がある。一方で、露光部はオニウム塩が分解することで水溶性現像液への不溶化効果が加えられるため照射領域のみ不溶化の効果が高くなり、描画した条件に忠実なラインパターンを低LWRで得ることが出来る。
実施例11得られたパターニングのSEM画像を図2の(A)に示す。
【0290】
比較例3に示すようには、比較ポリマー2を用いたサンプル12は、最適化された現像液を用いた場合、200μC/cm照射することでパターンを得ることができる。最適化された現像液を使った場合、感度はポリマー2を用いる実施例9よりも低感度であるがパターンの線幅とLWRは小さい。これは酸拡散反応を含まないため未露光部のポリマーが反応しないためであると考えられる。しかし、アセトニトリルを5質量%高めたパターニング用の水溶性現像液を用いるとポリマーの溶解性が増加するため、ユニットBを含まない比較ポリマー3は十分な架橋密度を得ることが出来ず、溶解性の高い現像液に対して十分に不溶化することが出来ない傾向がある。
比較例3得られたパターニングのSEM画像を図2の(B)に示す。
【0291】
化学増幅レジストの場合、感度と化学勾配は酸拡散制御剤の濃度に依存するためを高くするため、酸拡散制御剤の濃度が低い場合、少ない露光量で露光部に酸を発生させて拡散できるため感度が高くなるが、酸拡散制御剤の濃度が低いと未露光部への酸拡散を抑制しにくいために化学勾配は低くなりLWRが大きくなる(図4)。化学勾配を大きくするためには露光後の未露光部の酸拡散を制御するために高濃度の酸拡散制御剤をあらかじめ添加する必要があり露光量が多く必要になる(図5)。そのため感度とLWRのトレードオフが生じる。
【0292】
酸触媒反応と露光により直接分解する反応を組み合わせることで、酸触媒反応だけを利用する場合よりも露光部の溶解コントラストを大きくすることが出来るため感度とLWRのトレードオフを緩和して高感度に低LWRのパターンを得ることが出来る。酸触媒反応のパターンへの影響を小さくするために、2分子間の反応を利用することで、レジスト膜中での反応効率を抑制することが出来る。そのため水溶性現像液中の水溶性有機溶剤の濃度を変更することで露光部と未露光部の溶解コントラストを大きくすることが出来る傾向がある。
水溶性現像液中のアセトニトリルの濃度は、レジスト組成物の成分にもよるが、5~60質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましい。アセトニトリルに限らず、水溶性現像液中の水溶性有機溶剤の濃度を未露光部のポリマーを溶解する最少量の有機溶剤濃度よりも2~10質量%高めるとパターン形成能を高められる傾向がある。
【0293】
<ポリマー12及び比較ポリマー3の合成>
(合成例54) 上記合成例52に倣い、ユニットAを構成する上記化合物A4、ユニットBを構成する化合物B1、ユニットCを構成する化合物C1、ユニットDを構成する化合物D1、ユニットIとしてα-メチルスチレンを用いて、ポリマー12を合成する。
比較用にα-メチルスチレンに代えてスチレンを用いて同様に上記合成例52に倣い比較ポリマー3を合成した。
【0294】
【化74】
【0295】
本発明の一つの態様のユニットIを有するポリマーは、露光部で架橋することでポリマーネットワークを形成して溶解性を変化させると同時に直線状のポリマー主鎖が解重合して短くなることで、露光境界面の溶解コントラストが向上してラインワイズラフネス(LWR)が低下することが期待できる。
【0296】
<電子線感度評価:実施例12~13>
シリコンウェハ上に上記レジスト組成物サンプル13をスピンコートする。これを110℃のホットプレート上に1分間プレベークすることで、厚さ30nmの塗布膜が形成された基板を得る。該基板の塗布膜に対し、電子線描画装置(ELS―F100T、(株)エリオニクス製)を用いて、125keVの電子線により50nmの1:3パターンを描画する。電子線照射後の基板を、あらかじめポリマーごとに未露光部の最低濃度に調製したアセトニトリル水溶液を用いて1分間現像し、その後に純水でリンスすることで50nmのラインパターンを得る。得られたパターンを走査型電子顕微鏡(S-5500、(株)日立ハイテクノロジーズ製)によりパターンのラインワイズラフネスを測定する。サンプル14も同様に測定する。実施例12及び13は検討の結果いずれも20質量%のアセトニトリル水溶液を使用する。
【0297】
【表5】
【0298】
実施例12及び実施例13の比較より、本発明の一つの態様のポリマーはユニットIを含むことでポリマー主鎖の解重合が起こりやすくなるために、ユニットIを含まないポリマーよりもLWRが良好であることがわかる。これは、解重合の効果により露光境界面の溶解コントラストが向上してラインワイズラフネス(LWR)が低下した結果と考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0299】
本発明のいくつかの態様により、EUV等の粒子線又は電磁波の吸収効率が大きく、感度、解像度及びパターン性能の特性に優れたポリマー、該ポリマーを含有するレジスト組成物を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5