(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】自動車部品としてのパネル構造、同パネル構造の製造方法及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/42 20060101AFI20240729BHJP
B29B 11/16 20060101ALI20240729BHJP
B29B 15/14 20060101ALI20240729BHJP
B29C 43/02 20060101ALI20240729BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20240729BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20240729BHJP
C08G 18/72 20060101ALI20240729BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20240729BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20240729BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20240729BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240729BHJP
【FI】
B29C70/42
B29B11/16
B29B15/14
B29C43/02
C08G18/32 003
C08G18/48
C08G18/72
C08G18/76 057
C08J5/24 CFF
B29K105:08
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2021528492
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019070182
(87)【国際公開番号】W WO2020021066
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-22
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】シャクール,エリアス ルーダ
(72)【発明者】
【氏名】リオンズ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シャナー,ブライアン イー
(72)【発明者】
【氏名】シーバー,トッド エイ
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0285612(US,A1)
【文献】国際公開第2017/216251(WO,A1)
【文献】特表2016-539259(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0087373(US,A1)
【文献】米国特許第05536465(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02415933(GB,A)
【文献】国際公開第2004/026948(WO,A2)
【文献】特開平02-006653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29C 43/00-43/58
B32B 1/00-43/00
C08G 18/00-18/87
C08G 71/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル構造を製造する方法であって、
(S1)ポリウレタン樹脂組成物を少なくとも1つの繊維マット層に噴霧し、前記ポリウレタン樹脂組成物が
(a)イソシアネート、及び
(b)イソシアネートに反応性の化合物
を反応させることによって得られ、
(a)及び(b)が、100~150の間のイソシアネート指数で存在し、
前記ポリウレタン樹脂組成物が、少なくとも1つの繊維マット層にポリウレタン皮膜を形成して、
予備含浸ブランクを生じさせる工程、並びに
(S2)予備含浸ブランクを圧縮成形して、前記パネル構造を生じさせる工程
を含み、
前記ポリウレタン樹脂組成物は、硬質のポリウレタンフォームであり、及び
前記パネル構造は1mm~30mmの間の厚みを有し、且つ
前記繊維マット層は300g/m
2~1500g/m
2の間の面積質量を有
し、
前記予備含浸ブランクは、ポリウレタン被膜が形成された前記少なくとも1つの繊維マット層以外の他の層を含まない、方法。
【請求項2】
前記パネル構造が、前記少なくとも1つの繊維マット層及び前記ポリウレタン皮膜を含む単層システムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂組成物は霧化される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
スプレートランスファー成形方法である、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パネル構造は、1mm~10mmの間の厚みを有する、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維マット層はガラス繊維から作製される、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記イソシアネート指数が100~120の間である、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記イソシアネートは芳香族イソシアネートである、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート及び/又は高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
イソシアネートに反応性の前記化合物が、2.0~8.0の間の平均官能価、及び15mgKOH/g~1800mgKOH/gの間のヒドロキシル数を有するポリオールである、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリウレタン樹脂組成物が、49g/mol~399g/molの間の分子量を有する連鎖延長剤及び/又は架橋剤をさらに含む、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリウレタン樹脂組成物が、触媒、添加剤及び充填剤をさらに含む、請求項1~12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記添加剤が、顔料、染料、界面活性剤、難燃剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、安定剤、消泡剤、内部用離型剤、乾燥剤、発泡剤、硬化剤及び帯電防止剤又はそれらの組み合わせから選択することができる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記パネル構造が、少なくとも1つの前記繊維マット層と前記ポリウレタン皮膜との間に接着剤を全く含まない、請求項1~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載の方法によって得られる、パネル構造を自動車部品として使用する方法。
【請求項17】
前記自動車部品は、下側サウンドシールド、音響ベリーパン、エアロシールド、スプラッシュシールド、アンダーボディパネル、シャーシシールド、ドアモジュール、リアパッケージシェルフ及びリーフスプリングから選択される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部品としてのパネル構造の製造方法及びそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造的熱硬化性複合体は、その他の材料に比べて、軽量でより高い強度であるために自動車産業にとって望ましい材料である。パネル構造は、自動車について構造補強として使用される形状部品である。これらの複合体は、概して、樹脂トランスファー成形(RTM)技術を使用して製造され、熱硬化性樹脂が密閉金型中で繊維マット層を飽和する。
【0003】
これらの複合体及びこれらの複合体の製造方法は、当該技術分野で周知である。さらに、ハニカムサンドイッチパネルも自動車産業で広く使用されている。ハニカムサンドイッチパネルは、厚い軽量のハニカム構造コアに結合する2つの薄くて硬質の表面シートから構成される。ハニカム構造は良好な機械特性を提供するが、得られるパネルの厚みが増加するため適用性が限定的である。
【0004】
自動車産業における適用のために既存の状態の当該技術分野のパネル構造は、さらに制限を有する。自動車部品を製造するための製造速度又は加工時間は、RTMなどの既存の技術を使用したパネル構造の製造に関与する複雑さによって高い。さらに、繊維の整列、繊維の湿潤範囲及び最終複合体の厚みの保持も課題である。特に、とりわけ繊維マット層の縁の不完全な繊維湿潤は、不適切な補強構造になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、減少した厚みをパネル構造に提供することであり、これは製造技術の複雑さを少なくすることにより加工時間をより短くすることを必要とし、繊維の完全な湿潤を確実にし、それによって、自動車部品、特に、下側サウンドシールド、音響ベリーパン、エアロシールド、スプラッシュシールド、アンダーボディパネル、シャーシシールド、ドアモジュール、リアパッケージシェルフ及びリーフスプリングなどの使用のために、強力で、軽量な経済的な材料を生み出す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、ポリウレタン樹脂組成物を少なくとも1つの繊維マット層に噴霧するパネル構造を提供することによって、前述の目的を満足することが判明した。
【0007】
別の態様において、本発明は、パネル構造を製造する方法であって、:
(S1)ポリウレタン樹脂組成物を少なくとも1つの繊維マット層に噴霧し、前記ポリウレタン樹脂組成物が
(a)イソシアネート、及び
(b)イソシアネートに反応性の化合物
を反応させることによって得られ、
(a)及び(b)が、100~150の間のイソシアネート指数で存在し、
前記ポリウレタン樹脂組成物が、少なくとも1つの繊維マット層にポリウレタン皮膜を形成して、
予備含浸ブランクを生じさせる工程、並びに
(S2)予備含浸ブランクを圧縮成形して、パネル構造を生じさせる工程
を含む方法に関する。
【0008】
別の態様において、本発明は、前述の方法から得られるパネル構造に関する。
【0009】
別の態様において、本発明は、自動車部品として前述のパネル構造を使用することに関する。
【0010】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含む下側サウンドシールドに関する。
【0011】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含む音響ベリーパンに関する。
【0012】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含むエアロシールドに関する。
【0013】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含むスプラッシュシールドに関する。
【0014】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含むアンダーボディパネルに関する。
【0015】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含むシャーシシールドに関する。
【0016】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含むリアパッケージシェルフに関する。
【0017】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含むリーフスプリングに関する。
【0018】
別の態様において、本発明は、前述のパネル構造を含む自動車部品に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の組成物及び本発明の配合物を記載する前に、このような組成物及び配合物が当然ながら変化し得るため、本発明は、記載の特定の組成物及び配合物に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってしか限定されないため、限定することを意図していないことを理解されたい。
【0020】
本明細書で使用する「含む」(「comprising」、「comprises」)及び「から構成される」(「comprised of」)は、「含む」(「including」、「includes」、又は「containing」、「contains」)と同義であり、包括的又はオーブンエンドであり、追加の、未記述の部材、要素又は方法工程を除外しない。本明細書で使用する「含む」(「comprising」、「comprises」)及び「から構成される」(「comprised of」)は、「からなる」(「consisting of」、「consists」及び「consists of」)という用語を含む。
【0021】
さらに、記載及び特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」等の用語は、同様の要素を区別するために使用し、必ずしも連続的又は経時的順序を記述するためではない。このように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載の実施形態は、本明細書に記載又は図示されるその他のシークエンスにおいて、動作させることができることを理解されたい。「第1の」、「第2の」、「第3の」又は「(A)」、「(B)」及び「(C)」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」等の用語が方法の工程又は使用又はアッセイに関する場合、工程間に時間又は時間間隔の一貫性はなく、工程は、前述若しくは以下に記載されるように、本出願において他に断りの無い限り、同時に実行されてもよいし、又はこのような工程の間で数秒、数分、数時間、数日、数週、数か月又はさらに数年の時間間隔があってもよい。
【0022】
本発明の異なる態様を以下の節に、より詳細に規定する。規定する各態様は、そうでないことが明確に示されない限り、任意のその他の態様と組み合わせてもよい。特に、好ましい又は有利であると示される任意の特徴を好ましい又は有利であると示される任意のその他の特徴と組み合わせてもよい。
【0023】
本明細書全体において、「一実施形態」又は「実施形態」を参照することは、実施形態と結び付けて記載される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体において様々な箇所で「一実施形態において」又は「実施形態において」というフレーズが出現することは、必ずしも同じ実施形態を全て参照することではないが、そうかもしれない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から、当業者に明白であるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態が、いくつかの特徴を含むが、その他の実施形態に含まれるその他の特性を含まないが、当業者に理解されるように、異なる実施形態の特徴の組み合わせが本発明の範囲にあり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれかを任意の組み合わせで使用することができる。
【0024】
さらに、本明細書にわたって規定される範囲は、終値も含み、すなわち、1~10の範囲は1と10の両方がこの範囲に含まれることを意味する。疑義が生じるのを避けるために、出願人は、準拠法に従った任意の等価物を受ける資格を有するものとする。
【0025】
本発明の態様は、パネル構造を製造する方法であって、
(S1)ポリウレタン樹脂組成物を少なくとも1つの繊維マット層に噴霧し、
前記ポリウレタン樹脂組成物が
(a)イソシアネート、及び
(b)イソシアネートに反応性の化合物
を反応させることによって得られ、
(a)及び(b)が、100~150の間のイソシアネート指数で存在し、
前記ポリウレタン樹脂組成物が、少なくとも1つの繊維マット層にポリウレタン皮膜を形成して、
予備含浸ブランクを生じさせる工程、並びに
(S2)予備含浸ブランクを圧縮成形して、パネル構造を生じさせる工程
を含む方法に関する。
【0026】
一実施形態において、パネル構造は、モノリシック複合体であり、上に記載されるように、少なくとも1つの繊維マット層及びポリウレタン皮膜を含む、モノリシックパネル構造又は単層システムとも称される。「モノリシックパネル構造」という用語は、少なくとも1つの繊維マット層を含み、その他の層、特にハニカム構造を含まないパネル構造を指す。
【0027】
別の実施形態において、前記ポリウレタン皮膜は、繊維マット層に噴霧されるポリウレタン樹脂組成物から製造される。本発明の文脈において、「ポリウレタン皮膜」という用語は、繊維マット層に噴霧する場合、それ自体を繊維マット層に結合させ、それ自体の厚みを有しない霧化ポリウレタン樹脂を指す。すなわち、ポリウレタン皮膜は、繊維マット層に別個の層として存在しない。また、本明細書における「霧化」という用語は、限定されないが、ノズル又はアトマイザなどの適切な噴霧手段から得られるポリウレタン樹脂組成物の粒子又は液滴を指す。
【0028】
別の実施形態において、パネル構造は、好ましくは、1mm~30mmの間、又は1mm~20mmの間又は1mm~10mmの間の厚みを有する。
【0029】
前述のように、繊維マット層は、不織繊維又は布、織物若しくはノークリンプ布から構成される。一実施形態において、繊維マットは、不織布を含む。
【0030】
繊維は、天然、合成又はガラス繊維である。合成繊維は、例えば、炭素繊維又はポリエステル繊維である。天然繊維は、例えば、セルロース靭皮繊維である。不織繊維は、少量の合成熱可塑性繊維、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET)も含有し得る。繊維は、合成ポリエステル繊維又はその他の繊維又は同様の特徴物であり得る。
【0031】
一実施形態において、繊維マット層はガラス繊維から作製される。パネル構造に埋め込まれるガラス繊維の存在は、全てのその他の望ましい機械的及び加工特性を保持しながら、その寸法安定性を劇的に改善する。適切なガラス繊維マット層は、当業者に周知である。例えば、チョップドガラス繊維及び連続ガラス繊維をこの目的に使用することができる。
【0032】
別の実施形態において、繊維マット層はチョップドガラス繊維から得られる。チョップドガラス繊維は、任意の形状及びサイズで得ることができる。例えば、チョップドガラス繊維は、限定されないが、横方向及び長さ方向(through-plane)の寸法を有する繊維のストランド、又は直径を有する球形粒子であってもよい。本発明は、当業者なら承知しているように、チョップドガラス繊維の形状及びサイズの選択によって限定されない。一実施形態において、チョップドガラス繊維は、10mm~150mmの間、又は10mm~130mmの間又は10mm~100mmの間の長さを有する。
【0033】
チョップドガラス繊維を結合するために任意の適切な結合剤を使用することができるが、アクリル結合剤が好ましい。アクリル結合剤は、硬化性水性系アクリル樹脂である。結合剤は、例えば、カルボン酸基及び多官能性アルコールによって硬化する。
【0034】
アクリル結合剤は、アクリル酸、メタクリル酸、それらのエステル又は関連の誘導体の単位を含有するポリマー又はコポリマーである。アクリル結合剤は、例えば、(メタ)アクリル酸(通常の(メタ)アクリルは、アクリルとメタクリルの両方を含むことを意図する)、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリル酸、プロピル(メタ)アクリル酸、イソプロピル(メタ)アクリル酸、ブチル(メタ)アクリル酸、アミル(メタ)アクリル酸、イソブチル(メタ)アクリル酸、t-ブチル(メタ)アクリル酸、ペンチル(メタ)アクリル酸、イソアミル(メタ)アクリル酸、ヘキシル(メタ)アクリル酸、ヘプチル(メタ)アクリル酸、オクチル(メタ)アクリル酸、イソオクチル(メタ)アクリル酸、2-エチルヘキシル(メタ)アクリル酸、ノニル(メタ)アクリル酸、デシル(メタ)アクリル酸、イソデシル(メタ)アクリル酸、ウンデシル(メタ)アクリル酸、ドデシル(メタ)アクリル酸、ラウリル(メタ)アクリル酸、オクタデシル(メタ)アクリル酸、ステアリル(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリル酸、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリル酸、シクロヘキシル(メタ)アクリル酸、フェノキシエチル(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリル酸、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリル酸、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリル酸、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリル酸、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリル酸、ジシクロペンタニル(メタ)アクリル酸、トリシクロデカニル(メタ)アクリル酸、イソボルニル(メタ)アクリル酸、ボルニル(メタ)アクリル酸又はそれらの混合物を使用する水性エマルジョン重合によって形成される。
【0035】
概して少量の(メタ)アクリルモノマーと共重合することができるその他のモノマーとして、スチレン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、t-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチル-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン;ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、及び2-エチルヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル;マレイン酸エステル;フマル酸エステル及び類似の化合物が挙げられる。
【0036】
多官能性アルコールは、例えば、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、クレゾール又は2~12個の炭素原子を含むアルキレンポリオールであり、エチレングリコール、1,2-又は1,3-プロパンジオール、1,2-、1,3-若しくは1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-シクロペンタンジオール、1,2-、1,3-若しくは1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β-ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール及びソルビトールが挙げられる。
【0037】
水性系アクリル結合剤は、BASF社からACRODUR(登録商標)という名前で市販されている。
【0038】
水性系アクリル樹脂は、繊維マットに注入される。すなわち、繊維マットは、アクリル樹脂で含浸される。繊維マットは、熱及び圧力で圧縮され、硬化する。硬化のために圧力は必要とされないが、所望の厚み又は密度又は形状を設定するために必要とされる。成形は、例えば、加熱された成形型の中で行って、所望の形状にする。
【0039】
水性系アクリル結合剤を浸漬・脱水法(dip-and-squeeze method)、カーテンコーター、又は射出発泡法(foam injection method)のいずれかで、不織繊維又は布に適用することができる。混合物を熱硬化する前に低水分量、好ましくは、4.0質量%~7.0質量%の間の量で乾燥させる。これが繊維マットプリプレグである。
【0040】
最初の加熱及び圧縮の間、圧縮開放によって湿気を排出することができる。排出の回数は、未硬化マットに含まれる湿気の量に依存する。硬化繊維マットは、水分をそれほど含まない。一実施形態において、水分量は、繊維マット層の乾燥質量に対して0質量%~3.0質量%の間である。
【0041】
硬化すると、繊維マットは、それほど膨張しない。好ましいマットの基本質量は、100グラム/平方メートル(gsm)~1400グラム/平方メートルである。アクリル樹脂荷重は、最終のマット質量に対して、乾燥樹脂の15質量%~50質量%の間、又は20質量%~40質量%の間である。
【0042】
別の実施形態において、繊維マット層が連続ガラス繊維から作製される場合、前述のように結合剤の使用を回避することができる。本発明は、当業者なら承知しているように、連続ガラス繊維の形状及びサイズの選択によって限定されない。連続ガラス繊維は、一方向又はいくつかの方向、例えば、横方向、垂直、又は横方向と垂直の間の任意の角度に向いている可能性がある。連続ガラス繊維から構成される繊維マット層は、好ましくは100g/m2~1000g/m2の間の公称質量を有する。
【0043】
さらに別の実施形態において、繊維マット層は、チョップドガラス繊維の少なくとも1つの層及び連続ガラス繊維の少なくとも1つの層から構成されるハイブリッド層であってもよい。一実施形態において、薄い皮膜又はスクリムも含んで、表面品質を向上させることができる。前記薄い皮膜又はスクリムをハイブリッド層の上部に挿入することができる。
【0044】
繊維マット層は、前述のように、100g/m2~1500g/m2の間の面積質量、及び1mm~30mmの間の厚みを有する。面積質量及び厚みを測定するための適切な技術は、当業者に周知である。
【0045】
別の実施形態において、パネル構造は、複数の繊維マット層、例えば、2、3、4又は5つの繊維マット層を含んで、多層システムを形成することもできる。このような場合、繊維マットは同じであっても異なっていてもよい。繊維マットは、同じ基本質量若しくは厚みを有していても、異なる基本質量若しくは厚みを有してもよい。また、多層システムに使用される繊維は、同じであっても、異なっていてもよい。層及びそのための繊維マットの数の選定・選択は、当業者に周知である。このような実施形態において、ポリウレタン樹脂組成物を各繊維マット層に噴霧して、ポリウレタン皮膜を得る。繊維マット層は、任意に、繊維マット層を結合させるための適切な接着剤から構成されるが、繊維マット層とポリウレタン皮膜との間に接着剤はない。繊維マット層を結合させるための適切な接着剤は、当業者に周知である。
【0046】
前述のように、ポリウレタン皮膜は、
(a)イソシアネート、及び
(b)イソシアネートに反応性の化合物
を反応させることによって得られるポリウレタン樹脂組成物から製造され、
(a)及び(b)は、100~150の間のイソシアネート指数で存在する。
【0047】
一実施形態において、ポリウレタン樹脂組成物は、パネル構造のマトリックス構造を形成する。
【0048】
本発明の目的のために、イソシアネートは、少なくとも2.0、又は2.0~3.0の間の平均機能性を有する。これらのイソシアネートは、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート及びそれらの組み合わせから選択することができる。「脂肪族イソシアネート」という用語は、芳香族環に直接的及び/又は間接的に結合される2つ以上のイソシアネート基を有する分子を指す。さらに、イソシアネートは、脂肪族及び芳香族イソシアネートの単量体と高分子量形態の両方を含むことを理解されたい。「高分子量」という用語は、互いに独立して、異なるオリゴマー及び同族体を含む脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートの高分子量グレードを指す。
【0049】
別の実施形態において、イソシアネートは、トルエンジイソシアネート;高分子量トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート;高分子量メチレンジフェニルジイソシアネート;m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;4-クロロ-1;3-フェニレンジイソシアネート;2,4,6-トルイレントリイソシアネート、1,3-ジイソプロピルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1-メチル-3,5-ジエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリイソプロプリ-フェニレン-2,4-ジイソシアネート;3,3’-ジエチル-ビスフェニル-4,4’-ジイソシアネート;3,5,3’,5’-テトラエチル-ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;3,5,3’、5’-テトライソプロピルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;1-エチル-4-エトキシ-フェニル-2,5-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート;1-エチル-3,5-ジイソプロピルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,3,5-トリイソプロピルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート及びそれらの混合物から選択される芳香族イソシアネートを含む。その他の実施形態において、芳香族イソシアネートは、トルエンジイソシアネート;高分子量トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート;高分子量メチレンジフェニルジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;4-クロロ-1;3-フェニレンジイソシアネート;2,4,6-トルイレントリイソシアネート、1,3-ジイソプロピルフェニレン-2,4-ジイソシアネート及び1-メチル-3,5-ジエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネートから選択される。その他の実施形態において、芳香族イソシアネートは、トルエンジイソシアネート;高分子量トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート;高分子量メチレンジフェニルジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート及び1,5-ナフタレンジイソシアネート又はそれらの組み合わせから選択される。さらにその他の実施形態において、芳香族イソシアネートは、トルエンジイソシアネート;高分子量トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート及び高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートから選択される。一実施形態において、芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート及び/又は高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートを含む。
【0050】
メチレンジフェニルジイソシアネートは、3つの異なる異性体形態、主に2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(2,4’-MDI)及び4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’-MDI)で使用可能である。メチレンジフェニルジイソシアネートは、技術的なメチレンジフェニルジイソシアネートとして示される単量体メチレンジフェニルジイソシアネート及び高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートに分類することができる。高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートとして、オリゴマー種及びメチレンジフェニルジイソシアネート異性体が挙げられる。したがって、高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートは、1つのメチレンジフェニルジイソシアネート異性体又は2つ若しくは3つのメチレンジフェニルジイソシアネート異性体の異性体混合物を含み得、オリゴマー種が優勢である。高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートは、2個より多いイソシアネート官能価を有する傾向がある。異性体比及びオリゴマー種の量は、これらの産物において広い範囲で変化する可能性がある。例えば、高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートは、通常、メチレンジフェニルジイソシアネート異性体の30質量%~80質量%を含有し得、前記オリゴマー種が優勢である。メチレンジフェニルジイソシアネート異性体は、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート及び非常に低いレベルの2,2’-メチレンジフェニルジイソシアネートの混合物であることが多い。
【0051】
さらに、ポリイソシアネートの多価ポリオールとの反応産物並びにその他のジイソシアネート及びポリイソシアネートとの混合物も使用することができる。
【0052】
一実施形態において、イソシアネートは、高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートを含む。限定されないが、BASF社のLupranat(登録商標)という名前で市販されているイソシアネートも本発明の目的のために使用することができる。
【0053】
イソシアネートに反応性である適切な化合物は、400g/mol以上の分子量を有する化合物、並びに49g/mol~399g/molの間の分子量を有する連鎖延長剤及び/又は架橋剤を含む。
【0054】
一実施形態において、イソシアネートに対して反応性であり、400g/mol以上の分子量を有する化合物は、ヒドロキシル基を有する化合物であり、ポリオールとも称される。適切なポリオールは、好ましくは2.0~8.0の間、又は2.0~6.5の間、又は2.5~6.5の間の平均官能価を有し、好ましくは15mgKOH/g~1800mgKOH/gの間、又は15mgKOH/g~1500mgKOH/gの間、又はさらに100mgKOH/g~1500mgKOH/gの間のヒドロキシル数を有する。イソシアネートに反応性である化合物は、ポリウレタン樹脂組成物の総質量に対して、好ましくは1質量%~99質量%の間の量でポリウレタン樹脂組成物に存在することができる。
【0055】
一実施形態において、ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル-エステルポリオール及びそれらの組み合わせから選択される。
【0056】
別の実施形態において、ポリオールは、ポリエーテルポリオールを含む。さらに別の実施形態において、ポリオールは、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールの混合物を含む。
【0057】
ポリエーテルポリオールは、本発明によると、2.0~8.0の間、又は2.5~6.5の間、又は2.5~5.5の間の平均官能価を有し、15mgKOH/g~1500mgKOH/gの間、又は100mgKOH/g~1500mgKOH/gの間、又はさらに250mgKOH/g~1000mgKOH/gの間のヒドロキシル数を有する。
【0058】
別の実施形態において、ポリエーテルポリオールは、例えば、触媒として、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム、又はアルカリ金属アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド若しくはカリウムイソプロポキシドでアニオン重合することによって、又は触媒として、五塩化アンチモン、三弗化硼素エーテラート、若しくはアルキレン部分に2~4個の炭素原子を有する1つ以上のアルキレンオキシドからフラー土のようなルイス酸でカチオン重合によって、公知の方法によって得ることができる。
【0059】
出発分子は、概して、その平均官能価が好ましくは2.0~8.0の間、又は3.0~8.0の間になるように、選択される。任意に、適切な出発分子の混合物を使用する。
【0060】
ポリエーテルポリオールについての出発分子として、アミン含有及びヒドロキシル含有出発分子が挙げられる。適切なアミン含有出発分子として、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン及びその異性体などの脂肪族及び芳香族ジアミンが挙げられる。
【0061】
その他の適切な出発分子として、アルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、N-メチルエタノールアミン及びN-エチルエタノールアミン、ジアルカノールアミン、例えば、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン及びN-エチルジエタノールアミン、並びにトリアルカノールアミン、例えば、トリエタノールアミン及びアンモニアがさらに挙げられる。
【0062】
適切なアミン含有出発分子は、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン及びその異性体から選択される。一実施形態において、適切なアミン含有出発分子はエチレンジアミンである。
【0063】
ヒドロキシル含有出発分子は、糖類、糖アルコール、例えば、グルコース、マンニトール、ショ糖、ペンタエリスリトール、ソルビトール;多価フェノール、レゾール、例えば、フェノール及びホルムアルデヒドから形成されるオリゴマー縮合物、トリメチロールプロパン、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール並びにグリコール及びポリプロピレングリコールなどの縮合物などのグリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、並びに水又はそれらの組み合わせから選択される。
【0064】
適切なヒドロキシル含有出発分子は、糖並びにショ糖、ソルビトール、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びそれらの混合物などの糖アルコール類から選択される。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル含有出発分子は、ショ糖、グリセロール、ペンタエリスリトール及びトリメチロールプロパンから選択される。
【0065】
2~4個の炭素原子を有する適切なアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド及びスチレンオキシドである。アルキレンオキシドは、単一で、交互に連続して、又は混合物として使用することができる。一実施形態において、アルキレンオキシドは、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドである。いくつかの実施形態において、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド及び50質量%超のプロピレンオキシドを含むプロピレンオキシドの混合物である。
【0066】
ポリエーテルポリオールの量は、ポリウレタン樹脂組成物の総質量に対して、1質量%~99質量%の間であり、又は20質量%~99質量%の間又はさらに40質量%~99質量%の間である。
【0067】
適切なポリエステルポリオールは、2.0~6.0の間、又は2.0~5.0の間、又は2.0~4.0の間の平均官能価を有し、30mgKOH/g~250mgKOH/gの間、又は100mgKOH/g~200mgKOH/gの間のヒドロキシル数を有する。
【0068】
ポリエステルポリオールは、本発明によると、カルボン酸又は無水物のヒドロキシ基含有化合物との反応産物に基づく。適切なカルボン酸又は無水物は、好ましくは2~20個の炭素原子、又は4~18個の炭素原子、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オレイン酸、無水フタル酸を有する。特に、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オレイン酸、無水フタル酸又はそれらの組み合わせを含む。
【0069】
適切なヒドロキシル含有化合物は、エタノール、エチレングリコール、プロピレン-1,2-グリコール、プロピレン-1,3-グリコール、ブチレン-1,4-グリコール、ブチレン-2,3-グリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4-ビス-ヒドロキシ-メチルシクロヘキサン)、2-メチル-プロパン-1,3-ジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、ブタン-1,2,4-トリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコールから選択される。一実施形態において、ヒドロキシル含有化合物は、エチレングリコール、プロピレン-1,2-グリコール、プロピレン-1,3-グリコール、ブチレン-1,4-グリコール、ブチレン-2,3-グリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4-ビス-ヒドロキシ-メチルシクロヘキサン)、2-メチル-プロパン-1,3-ジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、ブタン-1,2,4-トリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド及びジエチレングリコールから選択される。別の実施形態において、ヒドロキシル含有化合物は、エチレングリコール、プロピレン-1,2-グリコール、プロピレン-1,3-グリコール、ブチレン-1,4-グリコール、ブチレン-2,3-グリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールから選択される。さらに別の実施形態において、ヒドロキシル含有化合物は、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールから選択される。
【0070】
適切なポリエーテル-エステルポリオールは、100mgKOH/g~460mgKOH/gの間、又は150mgKOH/g~450mgKOH/gの間、又はさらに250mgKOH/g~430mgKOH/gの間のヒドロキシル数を有し、これらの実施形態のいずれかにおいて、2.3~5.0の間、又はさらに3.5~4.7の間の平均官能価を有し得る。
【0071】
このようなポリエーテル-エステルポリオールは、i)少なくとも1種のヒドロキシル含有出発分子;ii)1種以上の脂肪酸、脂肪酸モノエステル若しくはそれらの混合物;iii)2~4個の炭素原子を有する1種以上のアルキレンオキシドの反応産物として得ることができる。
【0072】
成分i)の出発分子は、概して、成分i)の平均官能価が好ましくは3.8~4.8、又は4.0~4.7、又はさらに4.2~4.6になるように選択される。任意に、適切な出発分子の混合物を使用する。
【0073】
成分i)の適切なヒドロキシル含有出発分子は、糖類、糖アルコール(グルコース、マンニトール、ショ糖、ペンタエリスリトール、ソルビトール)、多価フェノール、レゾール、例えば、フェノール及びホルムアルデヒドから形成されるオリゴマー縮合物、トリメチロールプロパン、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール並びにポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどの縮合物などのグリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、並びに水又はそれらの組み合わせから選択される。
【0074】
一実施形態において、成分i)のヒドロキシル含有出発分子は、糖類並びにショ糖及びソルビトール、グリセロールなどの糖アルコール、並びに糖類及び/又は糖アルコールのグリセロールとの混合物、水並びに/又は例えば、ジエチレングリコール及び/又はジプロピレングリコールなどのグリコールから選択される。
【0075】
前記脂肪酸又は脂肪酸モノエステルii)は、ポリヒドロキシ脂肪酸、リシノール酸、ヒドロキシル修飾油、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、a-及びg-リノール酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、クルパノドン酸及びセルボン酸に基づくヒドロキシル修飾脂肪酸及び脂肪酸エステル又はそれらの組み合わせから選択される。脂肪酸は、純粋に脂肪酸として使用することができる。この点について、例えば、バイオディーゼル又はオレイン酸メチルなどの脂肪酸メチルエステルを使用することが好ましい。
【0076】
バイオディーゼルは、2010年からEN14214標準の意味における意味合いの脂肪酸メチルエステルとして理解される。バイオディーゼルの主要構成要素は、概して、ナタネ油、大豆油、パーム油から生成され、飽和C16-C18脂肪酸のメチルエステル、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸などの一又は多不飽和C18脂肪酸のメチルエステルである。
【0077】
2~4個の炭素原子を有する適切なアルキレンオキシドiii)は、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド及び/又はスチレンオキシドである。アルキレンオキシドは、単一で、交互に連続して、又は混合物として使用することができる。
【0078】
一実施形態において、アルキレンオキシドは、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドを含む。その他の実施形態において、アルキレンオキシドは、エチレンオキシド及び50質量%超のプロピレンオキシドを含むプロピレンオキシドの混合物である。別の実施形態において、アルキレンオキシドは、純粋にプロピレンオキシドを含む。
【0079】
一実施形態において、適切な連鎖延長剤及び/又は架橋剤も前述のように、ポリウレタン樹脂組成物に存在することができる。二官能性連鎖延長剤、三官能性及び四官能性架橋剤の添加、又は適切な場合、それら混合物を添加してもよい。使用する連鎖延長剤及び/又は架橋剤は、好ましくはアルカノールアミン及び特に、好ましくは60g/mol~300g/molの間の分子量を有するジオール及び/又はトリオールである。適切な量のこれらの連鎖延長剤及び/又は架橋剤を添加することができ、当業者に公知である。例えば、連鎖延長剤及び/又は架橋剤は、ポリウレタン樹脂組成物の総質量に対して、最大99質量%又は最大20質量%の量で存在することができる。
【0080】
別の実施形態において、イソシアネートに反応性である市販されている化合物、例えば、BASF社のSovermol(登録商標)、Pluracol(登録商標)及びQuadrol(登録商標)も使用することができる。
【0081】
一実施形態において、イソシアネート及びイソシアネートに反応性である化合物は、本明細書に記載されるように、100~150の間のイソシアネート指数で存在する。100のイソシアネート指数は、1つのイソシアネート反応基につき1つのイソシアネート基に対応する。
【0082】
別の実施形態において、イソシアネート指数は、100~140の間、又は100~130の間、又は100~120の間である。別の実施形態において、イソシアネート指数は、100~115、又は105~115の間である。
【0083】
一実施形態において、ポリウレタン樹脂組成物は、本明細書に記載されるように、硬質のポリウレタンフォームである。
【0084】
ポリウレタン樹脂組成物は、前述のように、触媒及び添加剤をさらに含む。
【0085】
ポリウレタン樹脂組成物に適した触媒は、当業者に周知である。例えば、三級アミン及びホスフィン化合物、様々な金属のキレートなどの金属触媒、強酸の酸性金属塩;強塩基、様々な金属のアルコラート及びフェノラート、様々な金属を有する有機酸の塩、三価スズの有機金属誘導体、三価及び五価のAs、Sb及びBi並びに鉄及びコバルトの金属カルボニル並びにそれらの混合物を触媒として使用することができる。
【0086】
適切な三価アミンとして、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン及び高次の同族体(例えば、DE-A2,624,527及び2,624,528に記載されるように)、1,4-ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン、N-メチル-N’-ジメチル-アミノエチルピペラジン、ビス-(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチル-ベンジルアミン、ビス-(N,N-ジエチルアミノエチル)アジピン酸、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニルエチルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、単環式及び二環式アミン、並びに2,2-ビス-(ジメチルアミノエチル)エーテルなどのビス-(ジアルキルアミノ)アルキルエーテルが挙げられる。限定されないが、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンなどのトリアジン化合物も使用することができる。
【0087】
適切な金属触媒として、金属塩並びにスズ-、チタン-、ジルコニウム-、ハフニウム-、ビスマス-、亜鉛-、アルミニウム-及び鉄化合物を含む有機金属が挙げられ、例えば、スズ有機化合物、好ましくはジメチルスズ若しくはジエチルスズなどのスズアルキル、又は脂肪族カルボン酸に基づくスズ有機化合物、好ましくは二酢酸スズ、ジラウリン酸スズ、ジブチル二酢酸スズ、ジブチルジラウリン酸スズ、ビスマスアルキルなどのビスマス化合物若しくは関連の化合物、又は鉄化合物、好ましくは、鉄-(Il)-アセチルアセトン酸又はカルボン酸の金属塩、例えば、スズ-II-イソオクトエート、スズジオクトエート、チタン酸エステル又はビスマス-(III)-ネオデカノエート又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0088】
触媒は、前述のように、ポリウレタン樹脂組成物の総質量に対して、好ましくは最大20質量%の量で存在することができる。
【0089】
存在する場合、添加剤は、顔料、染料、界面活性剤、難燃剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、安定剤、消泡剤、内部用離型剤、乾燥剤、発泡剤、硬化剤及び帯電防止剤又はそれらの組み合わせから選択することができる。添加剤についてのさらなる詳細は、例えば、Kunststoffhandbuch、第7巻、“Polyurethane”Carl-Hanser-Verlag Munich、第1版、1966第2版、1983及び第3版、1993に見出すことができる。これらの添加剤の適切な量は当業者に周知である。しかしながら、例えば、添加剤は、ポリウレタン樹脂組成物の総質量に対して、最大20質量%の量で存在することができる。
【0090】
一実施形態において、ポリウレタン樹脂組成物は、本明細書に記載されるように、補強剤も含むことができる。適切な補強剤は、本発明の文脈において充填剤を指す。
【0091】
適切な充填剤として、限定されないが、シリカ性鉱物、例えば、微細石英、アンチゴライト、セルペンチン、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル及びタルクなどのフィロシリケート;カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロマグネサイト、酸化チタン及び酸化鉄などの金属酸化物、チョーク、重晶石などの金属塩、及び硫化カドミウム、硫化亜鉛などの無機顔料、並びにガラス及びその他が挙げられる。カオリン(china clay)、微細石英、及び硫酸バリウムとケイ酸アルミニウムの共沈殿物が好ましい。
【0092】
適切な充填剤は、0.1μm~500μm、又は1μm~100μm、又は1μm~10μmの間の平均粒径を有する。この文脈における直径は、非球形粒子の場合、空間における最も短い軸に沿ってその範囲を指す。
【0093】
適切な量の充填剤は、当業者に公知であるポリウレタン樹脂組成物に存在することができる。例えば、充填剤は、ポリウレタン樹脂組成物の総質量に対して、最大50質量%の量で存在することができる。
【0094】
別の実施形態において、パネル構造において、前述のように、ポリウレタン皮膜を少なくとも1つの繊維マット層に結合するための接着剤及び/又は締結手段を必要としない。接着剤及び/又は締結手段の欠如に関連する利点は、パネル構造の厚みの抑制、及びパネル構造のより速く経済的な製造である。パネル構造は、General Motors Worldwide(GMW)社及びFord Motor Company社の必要条件に応じて、改善された特性、特に衝撃性能を有する。
【0095】
さらに別の実施形態において、パネル構造は、本明細書に記載されるように、任意のハニカム構造が存在しないことで、既存のハニカムサンドイッチパネルより薄く、軽い。これは、機械的特性及び耐薬品性を損なうことなく、薄い複合体を必要とする用途に使用されるためのパネル構造を提供する。特に、パネル構造は、限定されないが、GMW14864、FLTM BI 168-01、GMW14334、SAE J369、GMW16600、GMW14729、WSS-M99P32-E4-E5及びGMW16381 3.8などのGMW、Ford Motor Company及びSAEの必要条件を満たすことができる。これらの基準は、様々な条件に供される場合、パネル構造の性能を決定する手順を提供し、当業者に公知である。
【0096】
パネル構造のその他の利点は、機械的に安定であり、シームレスなパネルであり、顔料を取り入れることで様々な色を使用することができ、車体技術により現場で修復可能であり、良好な熱衝撃耐性を有し、高い強度/低質量を有し、容易な取り扱い性及び移動性を有し、製造工程を減少し、高い制音性を有し、天候及び湿気耐性があり、不透性である。さらに、パネル構造は、そりがより少なく、又は実際にはそりがなく、高温の天候の間の保管又は輸送に有益である。
【0097】
別の実施形態において、パネル構造は、さらに、当業者に公知である適切な技術を使用して、前記パネル構造に配置される追加の材料をさらに含むことができる。これらの追加の材料は、限定されないが、ポリイソシアネート重付加産物のようなものであってもよい。「ポリイソシアネート重付加産物」という用語は、好ましくは500g/mol以上の分子量を有するイソシアネートに反応性であるポリイソシアネート及び化合物の適切な量の反応産物を指す。
【0098】
ポリイソシアネート重付加産物として、限定されないが、多孔性ポリウレタンエラストマー及び柔軟で、半硬質又は硬質ポリウレタンフォームが挙げられる。一実施形態において、限定されないが、ポリウレタン-尿素、連続及び独立ポリウレタンフォームなどのポリイソシアネート重付加産物の少なくとも1種を、パネル構造に配置することができる。例えば、ポリイソシアネート重付加産物は、追加の層として配置することができ、又はパネル構造に噴霧若しくは含浸させることができる。これらのポリイソシアネート重付加産物の添加は、パネル構造の機械特性をさらに高め、パネル構造を、限定されないが、自動車産業における使用に適したものにする。
【0099】
一実施形態において、前述の方法は、スプレートランスファー成形方法である。
【0100】
工程(S1)において、イソシアネート及びイソシアネートに反応性の化合物を反応させることによって得られるポリウレタン樹脂組成物の噴霧は、イソシアネート成分及びイソシアネートに反応性の化合物を含む成分から構成される2成分システムを指す。一実施形態において、2成分システムは、イソシアネート成分及びポリオール成分を含む。「成分」という用語は、前述のように、触媒、添加剤及び充填剤と共にイソシアネート、並びに触媒、添加剤及び充填剤と共にポリオールを含む混合物を指す。ポリオール成分及び/又はイソシアネート成分における触媒、添加剤及び充填剤の存在は、任意であり、最終のポリウレタン樹脂組成物の望ましい特性に依存する。例示的な実施形態において、ポリオール成分は、ポリオール、触媒、添加剤及び充填剤を含み、イソシアネート成分は、前述のように、主にイソシアネートから構成される。
【0101】
別の実施形態において、3種以上の成分を含む多成分システムも前述のように、使用することができる。例えば、通常使用されるポリオール成分及びイソシアネート成分の他に、少なくとも1種の追加の成分も存在することができる。追加の成分として適切な化合物は、イソシアネートに反応性である化合物、イソシアネート、触媒、添加剤、充填剤及びそれらの混合物から選択することができる。一実施形態において、少なくとも1種の追加の成分は、ポリオール成分及びイソシアネート成分と異なる。
【0102】
工程(S1)において、ポリウレタン樹脂組成物を少なくとも1つの繊維マット層に噴霧することは、当業者に周知である適切な手段を使用して実行することができる。しかしながら、ポリウレタン樹脂組成物として少なくとも1つの繊維マット層にポリウレタン樹脂組成物を噴霧して、予備含浸ブランクを得る前に、イソシアネート及びイソシアネートに反応性の成分を混合装置で混合して、反応性混合物を得ることができる。この目的に適した混合装置は、好ましくはミキシングヘッド又は静的ミキサーである。
【0103】
例示的な実施形態において、反応混合物は、少なくとも2つの流れを混合装置に供給することによって得られ、
(i)第1の流れは、少なくとも1種のイソシアネート成分を含み、
(ii)第2の流れは、少なくとも1種のポリオール成分を含み、
触媒、添加剤及び充填剤の少なくとも1つは、(i)及び(ii)の少なくとも1つに存在する。
【0104】
一実施形態において、イソシアネート成分及びポリオール成分は、100~150の間のイソシアネート指数で存在する。別の実施形態において、イソシアネート指数は、100~140の間、又は100~130の間、又は100~120の間である。別の実施形態において、イソシアネート指数は、100~115の間、又は105~115の間である。
【0105】
反応混合物を加工するために適した温度は、当業者に周知である。一実施形態において、第1の流れ及び第2の流れは、互いに独立して、限定されないが、静的ミキサーなどの適切な混合手段で予め混合することができる。
【0106】
混合装置は、低圧又は高圧の混合装置であってもよく、
-流れを供給するためのポンプ、
-前述のように、流れを混合する高圧ミキシングヘッド、
-第1の流れをミキシングヘッドに導入する高圧ミキシングヘッドに適合した第1の供給ライン、及び
-第2の流れをミキシングヘッドに導入する高圧ミキシングヘッドに適合した第2の供給ライン
を含む。
【0107】
任意に、混合装置は、前述のように、ミキシングヘッドの各供給ラインの圧力を確立するために、少なくとも1つの測定及び制御ユニットをさらに含むことができる。また、「低圧」という用語は、本明細書において、0.1MPa~5MPaの間の圧力を指し、「高圧」という用語は、5MPa超の圧力を指す。
【0108】
一実施形態において、反応混合物は、ミキシングヘッドから混合装置に向かって通過する。固体/気体混合物を追加の入り口を通って添加することができる。「固体」とは、前述のように、物質の固体状態にある充填剤を指す。
【0109】
混合装置から得られる反応混合物は、噴霧手段に供給される。適切な噴霧手段として、限定されないが、スプレーヘッドが挙げられる。一実施形態において、ポリウレタン樹脂組成物を噴霧するためのスプレーヘッドは、少なくとも1つのポリウレタンスプレージェットを含む。ポリウレタンスプレージェットは、ポリウレタン樹脂組成物、すなわち、反応混合物の微粒子又は液滴から本質的になり、好ましくは気流に分散する。このようなポリウレタンスプレージェットは、例えば、それに導入される気流によって、ポリウレタン樹脂組成物の反応混合物の液体ジェットを霧化することによって、又は対応するノズル若しくはアトマイザから反応混合物の液体ジェットを放出することによって、異なる方法で得ることができる。「反応混合物の液体ジェット」という用語は、気流、すなわち、特に液体粘性相に分散される微細な反応混合物の液滴の形態には未だなっていないポリウレタン樹脂組成物の反応混合物の流体ジェットを指す。したがって、特に、このような「反応混合物の液体ジェット」は、前述のように、ポリウレタンスプレージェットを意味しない。このような方法は、例えば、DE10 2005 048 874 A1、DE101 61 600 A1、WO2007/073825A2、US3,107,057A及びDE1 202 977Bに記載されている。
【0110】
あるいは、固体含有気流も前述のように、気流の代わりに使用することができる。固体含有気流は、気流をセルラーホイールスルース(cellular wheel sluice)の固体含有計量セルを通過させることによって製造することができる。セル空間に流すことによって、固体が圧力のかかった気流にひきずりこまれ、固体/空気又は固体/気体混合物として、ミキシングヘッドに移動する。脈動を回避するために、計量水路の内部の水路を、積極的なオーバーラップを除外する直径で設計しなければならない。この実施形態は、さらに、セルラーホイールスルースの計量が停止し、1分あたりの回転が変化しても、反応混合物を噴霧するための定量的に未変化の気流の速度を確実に使用することができ、したがってあるいは可変の充填剤の量がない場合とある場合に噴霧を起こすことができる。このようなセルラーホイールスルースの特定の利点のように、予備含浸ブランクにおいて製造される固体の割合は、可変に調整することができる。
【0111】
ポリウレタンスプレージェットは、前述のように、500mm未満の調整可能な振幅で変動する噴霧領域に含浸させる。「噴霧領域」という用語は、少なくとも1つの繊維マット層の目標領域を指す。
【0112】
噴霧している間、少なくとも1つの繊維マット層は、ポリウレタン樹脂組成物で湿潤している。一実施形態において、ポリウレタン樹脂組成物の噴霧は、少なくとも1つの繊維マット層の両側になされる。
【0113】
手動又は自動のいずれかで少なくとも1つの繊維マット層を操作することができる。「自動的に」という用語は、ヒューマンインターフェース、例えば、産業用ロボットを介して、少なくとも1つの繊維マット層を操作することを指す。好ましい実施形態において、好ましくは6軸を有し、柔軟なロボットコントローラを使用して製造施設に特に適合させた産業用ロボットを使用する。ロボットは、制御キャビネットに組み込まれた処理ソフトウェアによって動作する。制御は、外部制御システムに連通するのに適している。ロボットは、高度に開発された二重ポート安全システムを備えることができ、ロボットの機能を連続してモニタリングする。失敗又は故障がある場合、モーターの電気供給を停止し、ブレーキを起動させることができる。さらに、各軸の移動は、ソフトウェア機能によって制限することができる。好ましい実施形態において、ロボットは、全ての軸にブレーキを有するブラシレス3相サーボモーターを介して起動する。
【0114】
工程(S1)において得られる予備含浸ブランクは、続けて工程(S2)において、例えば加熱された圧縮成形型の中で圧縮成形され、必要とされるパネル構造の形状に従って圧縮され、硬化される。続いて、パネル構造が輪郭切断、すなわち成形するための粗い切断のために、圧縮成形型に残ったままで、型の周囲で、又は型の形状の周囲で実行することも任意に可能である。
【0115】
別の実施形態において、必要な場合、パネル構造を圧縮成形型において、又は圧縮成形型の外部で、冷却し、又は熱的に安定させ、好ましくは、さらなる工具、特にワーク冷却装置において冷却若しくは冷却若しくは熱的に安定させることも可能である。
【0116】
実施形態により、「熱的に安定した」とは、パネル構造が、安定した状態を達成するために、以前の転移温度未満の温度を呈することを意味することを理解されたい。本明細書では、ワーク冷却装置における冷却が、特に、1種だけのパネル構造の連続的製造について、最短の製造時間を実現することを可能にする。
【0117】
別の実施形態において、パネル構造の焼き戻し、すなわち、温度プロセスは、歪みを補い、及び/又は材料の架橋レベルを増加させるために、さらなる工具又はさらなる装置で実施する。例えば、冷却するために、パネル構造をフレームに単に置くか、又は表面の片側によって置くことができる。しかしながら、全周にパネル構造を取り囲む密閉式冷却装置を使用することもでき、温度を調節することができる。パネル構造のさらなる冷却を任意に実行することができる。
【0118】
さらに別の実施形態において、冷却に続いて、必要とされるパネル構造の輪郭に従って、外郭をトリミングし、又は側方領域/縁の形状に切断し、任意に、例えば、外郭をミリングし、パネル構造の挿入物及びその他の同様の凹部について、ミリングし、ドリルするように、切屑詰まり除去マシニング方法も行ってもよい。
【0119】
本発明のさらなる別の態様は、前述の方法により得られるパネル構造に関する。
【0120】
本発明の別の態様は、自動車部品として前述のパネル構造を使用する方法に関する。一実施形態において、自動車部品は、下側サウンドシールド、音響ベリーパン、エアロシールド、スプラッシュシールド、アンダーボディパネル、シャーシシールド、ドアモジュール、リアパッケージ及びリーフスプリングから選択される。
【0121】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含む自動車部品に関する。
【0122】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含む下側サウンドシールドに関する。
【0123】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含む音響ベリーパンに関する。
【0124】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含むエアロシールドに関する。
【0125】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含むスプラッシュシールドに関する。
【0126】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含むアンダーボディパネルに関する。
【0127】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含むシャーシシールドに関する。
【0128】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含むリアパッケージシェルフに関する。
【0129】
本発明のさらなる別の態様は、前述のように、パネル構造を含むリーフスプリングに関する。
【0130】
本発明は、対応する従属する参考文献及びリンクから生じる以下の実施形態及び実施形態の組み合わせによって、より詳細に説明する。
【0131】
1.以下を含むパネル構造:
(A)少なくとも1つの繊維マット層、及び
(B)以下を反応させることによって得られるポリウレタン樹脂組成物から製造されるポリウレタン皮膜:
(a)イソシアネート、及び
(b)イソシアネートに反応性の化合物、
(a)及び(b)は、100~150の間のイソシアネート指数で存在し、
ポリウレタン樹脂組成物を少なくとも1つの繊維マット層に噴霧して、ポリウレタン皮膜を得る、パネル構造。
【0132】
2.パネル構造が1mm~30mmの間の厚みを有する、実施形態1に記載のパネル構造。
【0133】
3.繊維マット層が100g/m2~1500g/m2の間の面積質量を有する、実施形態1又は2に記載のパネル構造。
【0134】
4.繊維マット層が不織布セルロース靭皮繊維、不織布ポリエステル繊維又はガラス繊維から作製される、実施形態1~3の1つ以上に記載のパネル構造。
【0135】
5.繊維マット層はガラス繊維から作製される、実施形態4に記載のパネル構造。
【0136】
6.ガラス繊維は、連続ガラス繊維又はチョップドガラス繊維である、実施形態5に記載のパネル構造。
【0137】
7.イソシアネートは脂肪族イソシアネート又は芳香族イソシアネート又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~6の1つ以上に記載のパネル構造。
【0138】
8.イソシアネートは芳香族イソシアネートである、実施形態7に記載のパネル構造。
【0139】
9.芳香族イソシアネートは、トルエンジイソシアネート;高分子量トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート;高分子量メチレンジフェニルジイソシアネート;m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;4-クロロ-1;3-フェニレンジイソシアネート;2,4,6-トルイレントリイソシアネート、1,3-ジイソプロピルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1-メチル-3,5-ジエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリイソプロピル-フェニレン-2,4-ジイソシアネート;3,3’-ジエチル-ビスフェニル-4,4’-ジイソシアネート;3,5,3’,5’-テトラエチル-ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;3,5,3’、5’-テトライソプロピルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;1-エチル-4-エトキシ-フェニル-2,5-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート;1-エチル-3,5-ジイソプロピルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、及び1,3,5-トリイソプロピルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート又はそれらの組み合わせを含む、実施形態8に記載のパネル構造。
【0140】
10.芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート、高分子量メチレンジフェニルジイソシアネート又はそれらの組み合わせを含む、実施形態9に記載のパネル構造。
【0141】
11.ポリウレタン組成物は、100~120の間のイソシアネート指数を有する、実施形態1~10の1つ以上に記載のパネル構造。
【0142】
12.イソシアネートに反応性の化合物は、400g/mol以上の分子量を有する、実施形態1~11の1つ以上に記載のパネル構造。
【0143】
13.イソシアネートに反応性の化合物は、2.0~8.0の間の平均官能価、15mgKOH/g~1800mgKOH/gの間のヒドロキシル数を有するポリオールである、実施形態1~12の1つ以上に記載のパネル構造。
【0144】
14.ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル-エステルポリオール又はその組み合わせから構成される、実施形態13に記載のパネル構造。
【0145】
15.ポリオールはポリエーテルポリオールである、実施形態14に記載のパネル構造。
【0146】
16.ポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン組成物の総質量に関して、1質量%~99質量%の間の量でイソシアネートに反応性の化合物を含む、実施形態1~15の1つ以上に記載のパネル構造。
【0147】
17.ポリウレタン樹脂組成物は、49g/mol~399g/molの間の分子量を有する連鎖延長剤及び/又は架橋剤をさらに含む、実施形態1~16の1つ以上に記載のパネル構造。
【0148】
18.ポリウレタン樹脂組成物は、触媒、添加剤及び充填剤をさらに含む、実施形態1~17の1つ以上に記載のパネル構造。
【0149】
19.添加剤は、顔料、染料、界面活性剤、難燃剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、安定剤、消泡剤、内部用離型剤、乾燥剤、発泡剤、硬化剤及び帯電防止剤又はそれらの組み合わせから選択することができる、実施形態18に記載のパネル構造。
【0150】
20.(A)少なくとも1つの繊維マット層及び(B)ポリウレタン皮膜を含む単層システムである、実施形態1~19の1つ以上に記載のパネル構造。
【0151】
21.パネル構造は、(A)少なくとも1つの繊維マット層と(B)ポリウレタン皮膜との間に接着剤を全く含まない、実施形態1~20の1つ以上に記載のパネル構造。
【0152】
22.パネル構造を製造する方法であって、
(S1)ポリウレタン樹脂組成物を少なくとも1つの繊維マット層に噴霧し、前記ポリウレタン樹脂組成物が
(a)イソシアネート、及び
(b)イソシアネートに反応性の化合物
を反応させることによって得られ、
(a)及び(b)が、100~150の間のイソシアネート指数で存在し、
前記ポリウレタン樹脂組成物が、少なくとも1つの繊維マット層にポリウレタン皮膜を形成して、
予備含浸ブランクを生じさせる工程、並びに
(S2)予備含浸ブランクを圧縮成形して、パネル構造を生じさせる工程
を含む方法。
【0153】
23.ポリウレタン樹脂組成物は霧化される、実施形態22に記載の方法。
【0154】
24.スプレートランスファー成形方法である、実施形態22又は23に記載の方法。
【0155】
25.実施形態22~24の1つ以上の方法により得られる、パネル構造。
【0156】
26.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を自動車部品として使用する方法。
【0157】
27.自動車部品は、下側サウンドシールド、音響ベリーパン、エアロシールド、スプラッシュシールド、アンダーボディパネル、シャーシシールド、ドアモジュール、リアパッケージシェルフ及びリーフスプリングから選択される、実施形態26に記載の方法。
【0158】
28.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、自動車部品。
【0159】
29.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、下側サウンドシールド。
【0160】
30.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、音響ベリーパン。
【0161】
31.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、エアロシールド。
【0162】
32.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、スプラッシュシールド。
【0163】
33.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、アンダーボディパネル。
【0164】
34.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、シャーシシールド。
【0165】
35.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、リアパッケージシェルフ。
【0166】
36.実施形態1~21の1つ以上に記載の、又は実施形態22~24の1つ以上に記載の方法によって得られるパネル構造を含む、リーフスプリング。
【0167】
37.パネル構造を製造する方法であって、
(S1)ポリウレタン樹脂組成物を少なくとも1つの繊維マット層に噴霧し、前記ポリウレタン樹脂組成物が
(a)イソシアネート、及び
(b)イソシアネートに反応性の化合物
を反応させることによって得られ、
(a)及び(b)が、100~150の間のイソシアネート指数で存在し、
前記ポリウレタン樹脂組成物が、少なくとも1つの繊維マット層にポリウレタン皮膜を形成して、
予備含浸ブランクを生じさせる工程、並びに
(S2)予備含浸ブランクを圧縮成形して、パネル構造を生じさせる工程
を含む方法。
【0168】
38.パネル構造が少なくとも1つの繊維マット層及びポリウレタン皮膜を含む単層システムである、実施形態37に記載のパネル構造。
【0169】
39.ポリウレタン樹脂組成物は霧化される、実施形態37又は38に記載の方法。
【0170】
40.スプレートランスファー成形方法である、実施形態37~39の1つ以上に記載の方法。
【0171】
41.パネル構造が1mm~30mmの間の厚みを有する、実施形態37~40の1つ以上に記載の方法。
【0172】
42.繊維マット層が100g/m2~1500g/m2の間の面積質量を有する、実施形態37~41の1つ以上に記載の方法。
【0173】
43.繊維マット層がガラス繊維から作製される、実施形態37~42の1つ以上に記載の方法。
【0174】
44.イソシアネート指数が100~120の間である、実施形態37~43の1つ以上に記載の方法。
【0175】
45.イソシアネートは芳香族イソシアネートである、実施形態37~44の1つ以上に記載の方法。
【0176】
46.芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート及び/又は高分子量メチレンジフェニルジイソシアネートを含む、実施形態45に記載の方法。
【0177】
47.イソシアネートに反応性の化合物は、400g/mol以上の分子量を有する、実施形態37~46の1つ以上に記載の方法。
【0178】
48.イソシアネートに反応性の化合物は、2.0~8.0の間の平均官能価、及び15mgKOH/g~1800mgKOH/gの間のヒドロキシル数を有するポリオールである、実施形態37~47の1つ以上に記載の方法。
【0179】
49.ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル-エステルポリオール又はその組み合わせから構成される、実施形態48に記載の方法。
【0180】
50.ポリオールはポリエーテルポリオールである、実施形態49に記載の方法。
【0181】
51.ポリウレタン樹脂組成物は、ポリウレタン組成物の総質量に関して、1質量%~99質量%の間の量でイソシアネートに反応性の化合物を含む、実施形態37~50の1つ以上に記載の方法。
【0182】
52.ポリウレタン樹脂組成物は、49g/mol~399g/molの間の分子量を有する連鎖延長剤及び/又は架橋剤をさらに含む、実施形態37~51の1つ以上に記載の方法。
【0183】
53.ポリウレタン樹脂組成物は、触媒、添加剤及び充填剤をさらに含む、実施形態1~52の1つ以上に記載の方法。
【0184】
54.添加剤は、顔料、染料、界面活性剤、難燃剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、安定剤、消泡剤、内部用離型剤、乾燥剤、発泡剤、硬化剤及び帯電防止剤又はそれらの組み合わせから選択することができる、実施形態53に記載の方法。
【0185】
55.パネル構造は、少なくとも1つの繊維マット層とポリウレタン皮膜との間に接着剤を全く含まない、実施形態37~54の1つ以上に記載の方法。
【0186】
56.実施形態37~55の1つ以上の方法により得られるパネル構造。
【0187】
57.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を自動車部品として使用する方法。
【0188】
58.自動車部品は、下側サウンドシールド、音響ベリーパン、エアロシールド、スプラッシュシールド、アンダーボディパネル、シャーシシールド、ドアモジュール、リアパッケージシェルフ及びリーフスプリングから選択される、実施形態57に記載の方法。
【0189】
59.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含む、自動車部品。
【0190】
60.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含む、下側サウンドシールド。
【0191】
61.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含む、音響ベリーパン。
【0192】
62.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含む、エアロシールド。
【0193】
63.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含む、スプラッシュシールド。
【0194】
64.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含むアンダーボディパネル。
【0195】
65.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含む、シャーシシールド。
【0196】
66.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含む、リアパッケージシェルフ。
【0197】
67.実施形態56に記載の、又は実施形態37~55の1つ以上に記載の方法によって得られる、パネル構造を含む、リーフスプリング。
【実施例】
【0198】
化合物
【0199】
【0200】
標準方法
【0201】
【0202】
試験試料の一般的な合成
本発明の試料は、前述のように、イソシアネート成分及びポリオール成分を含む2成分システムを使用して得た。2つの成分を108のイソシアネート指数で、混合装置に供した。続いて、ポリウレタン樹脂組成物を繊維マットに噴霧した。
【0203】
様々な寸法を有する繊維マットを取り付け具に位置決めした。ロボットのアーム末端作業は繊維マットをつかみ、ポリウレタンスプレーヘッドの下に置いた。ポリウレタン樹脂組成物を繊維マットの両側に噴霧し、続いて、加熱金型の下に位置決めして、試験試料を形成し、硬化した。金型の温度及び圧力を120℃に維持した。
【0204】
40質量%のガラス繊維ロービングを含むダイレクト成形長繊維熱可塑性ポリプロピレン(Direct long fiber thermoplastic polypropylene)(DLFT PP)を比較のために使用した。
【0205】
本発明の試料及び比較の試料を衝撃靭性測定に供した。以下の表1は、得られた結果の要約を示す。
【0206】
【0207】
比較の試料CS1は、23℃±5℃及び10Jで衝撃靭性測定に供した場合、試験を合格することができず、衝撃領域に割れが報告された。他方、本発明の試料IS1は、CS1より厚みが薄いものの、23℃±5℃及び10Jで割れもなく、試験を合格した。
【0208】
アンダーボディパネルの一般的な合成
アンダーボディパネルも本明細書に記載されるように、繊維マット及びポリウレタン樹脂組成物で得た。試験試料を得るのと同様に、ポリウレタン樹脂組成物を繊維マットに噴霧した。繊維マットは、両側にポリウレタン樹脂組成物を噴霧し、加熱金型の下に位置決めして、101.6mm×304.8mm×1mmの寸法を有するアンダーボディパネルを得た。
【0209】
アンダーボディパネルをGMW16381及びGMW14903に従って衝撃耐性に供した。衝撃耐性の試験を行う前に試験パネルをGMW3221に従ってプレコンディショニングした。GMW14700方法Bに記載の手順を選択した。試料を90°の衝突角度で、23℃、50%の相対湿度で、16時間後に100kgの砂利衝突に供した。23℃±5℃及び-18℃±2℃の温度で石の最大衝突直径(mm)に対して、パネルを評価した。1~10のスケールで、10のレーティングは、パネルに欠け及び表面傷がないことを意味し、6未満は、品質の悪いパネルを意味した。アンダーボディパネルを自動車用途に使用するために、9+を超えるレーティングが望ましく、本発明によるアンダーボディパネルによって達成することができた。
【0210】
さらに、アンダーボディパネルも様々な耐薬品性試験に供した。試験の結果を表2にまとめる。表2で明らかなように、アンダーボディパネルは、許容可能な耐薬品性を提供し、したがって、自動車に有利に使用することができる。
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