(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】レーザチャンバにおける放電性能を調整する装置
(51)【国際特許分類】
H01S 3/0971 20060101AFI20240729BHJP
H01S 3/038 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H01S3/0971
H01S3/038
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173043
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2020535037の分割
【原出願日】2018-12-17
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,エドワード,スーチー
(72)【発明者】
【氏名】ウヤズドフスキ,リチャード,カルロ
(72)【発明者】
【氏名】シュー,シュアン
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-243379(JP,A)
【文献】特開平04-184987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0219032(US,A1)
【文献】特開2002-094147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/097-3/0979
H01S 3/03-3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電チャンバと、
前記放電チャンバ内に配置された第1の電極と、
前記放電チャンバ内に配置され、前記第1の電極と第2の電極との間で第1の方向に延びる高さと、前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記第1の方向を横切る第2の方向に延びる長さとを有する電極ギャップを創出するための第2の電極であって、前記第2の電極の横方向に前記放電チャンバの壁から電気的に絶縁される各端部を有する、第2の電極と、
前記第2の電極に電気的に接続され、各々が、前記第1の方向に延びており且つ前記電極ギャップの横に配置された、複数の導電素子であって、前記第2の方向に延びる列に配列されており、第1の間隔で前記第2の方向に離隔した第1対の隣接する導電素子と、前記第1の間隔よりも大きい第2の間隔で前記第2の方向に離隔した第2対の隣接する導電素子とを備える、複数の導電素子と、
前記第2の電極に機械的に連結され且つ前記第2の電極を移動させるように配列された機械的な連係であって、前記第2の電極を電気的に絶縁するように配列された絶縁素子を備える機械的な連係と、
を備える装置。
【請求項2】
前記複数の導電素子のうちのいくつかの前記導電素子は、前記電極ギャップの前記長さの中央線を中心に対称に配置される、請求項1の装置。
【請求項3】
前記複数の導電素子は、第1の複数の導電素子を備えると共に、更に、前記第2の電極に電気的に接続され、各々が、前記電極ギャップの前記第1の複数の導電素子とは反対側で、前記第1の方向に延びており且つ前記電極ギャップの横に配置された、第2の複数の導電素子であって、前記第2の方向に延びる第2の列に配列されており、前記第1の間隔で前記第2の方向に離隔した第3対の隣接する導電素子と、前記第2の間隔で前記第2の方向に離隔した第4対の隣接する導電素子とを備える、第2の複数の導電素子を備える、請求項1の装置。
【請求項4】
前記第1の複数の導電素子のうちのいくつかの前記導電素子は、前記電極ギャップの前記長さの中央線を中心に実質的に対称に配置され、前記第2の複数の導電素子のうちのいくつかの前記導電素子は、前記電極ギャップの前記長さの中央点を中心に対称に配置される、請求項3の装置。
【請求項5】
前記第1対の隣接する導電素子は、前記電極ギャップを挟んで前記第3対の隣接する導電素子の向かいに配置される、請求項3の装置。
【請求項6】
前記第2の電極に電気的に接続された前記複数の導電素子は、前記第2の電極を支持するように配列される、請求項1の装置。
【請求項7】
放電チャンバと、
前記放電チャンバ内に配置された第1の電極であって、第1の方向に延びる第1の電極長を有する第1の電極と、
前記放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、前記第1の方向に延びる第2の電極長を有し、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電極ギャップを定めるように前記第1の電極に対して離隔した関係で配列され、前記第2の電極の横方向に前記放電チャンバの壁から電気的に絶縁される各端部を有する、第2の電極と、
前記第1の電極に電気的に接続され、前記第1の方向に延びる第1の列に配列された第1の複数のキャパシタと、
前記第1の電極に電気的に接続され、前記第1の列に平行に前記第1の方向に延びる第2の列に配列された第2の複数のキャパシタと、
前記第2の電極に機械的に連結され且つ前記第2の電極を移動させるように配列された機械的な連係であって、前記第2の電極を電気的に絶縁するように配列された絶縁素子を備える機械的な連係と、
を備える装置において、
前記第1の複数のキャパシタの数は前記第2の複数のキャパシタの数と同一である、装置。
【請求項8】
前記電極ギャップは、前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記第1の方向を横切る第2の方向に延びる長さを有し、
前記第1の複数のキャパシタのうちのいくつかの前記キャパシタは、前記電極ギャップの前記長さの中央線を中心に対称に配置される、請求項7の装置。
【請求項9】
前記第2の複数のキャパシタのうちのいくつかの前記キャパシタは、前記電極ギャップの前記長さの中央線を中心に対称に配置される、請求項8の装置。
【請求項10】
前記第2の電極に電気的に接続され前記第2の電極を支持するように配列された複数の導電素子を更に備える、請求項7の装置。
【請求項11】
前記機械的な連係は、前記第2の電極の垂直位置を移動させるように配列される、請求項7の装置。
【請求項12】
前記機械的な連係は、前記電極ギャップを変化させるように配列される、請求項11の装置。
【請求項13】
前記機械的な連係は、前記第2の電極の垂直位置を移動させるように配列される、請求項1の装置。
【請求項14】
前記機械的な連係は、前記電極ギャップを変化させるように配列される、請求項13の装置。
【請求項15】
前記絶縁素子は、インサート、留め具、絶縁層、及び絶縁体のうちの1つを含む、請求項1の装置。
【請求項16】
前記絶縁素子は、インサート、留め具、絶縁層、及び絶縁体のうちの1つを含む、請求項7の装置。
【請求項17】
前記機械的な連係は、前記第2の電極を支持する電極支持棒と、前記電極支持棒を移動させるように構成されたアクチュエータと、をさらに備える、請求項1の装置。
【請求項18】
前記機械的な連係は、前記第2の電極を支持する電極支持棒と、前記電極支持棒を移動させるように構成されたアクチュエータと、をさらに備える、請求項7の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[00001] 本願は、2018年5月3日に提出された米国出願第62/666,310号及び2018年1月17日に提出された米国出願第62/618,168号の優先権を主張するものであり、各出願はその全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
[00002] 本願の開示される主題は、集積回路フォトリソグラフィ製造工程に用いられるようなレーザ生成光源に関する。
【背景技術】
【0003】
[00003] エキシマレーザは、スペクトルの深紫外(DUV)部の光を生成するために用いられる。例えば、DUVエキシマレーザチャンバは、Ar-F2混合ガス中でのパルスキャパシティブ放電を用いて193nmのレーザ光を生成する。電極は、典型的には真鍮などの合金で作製されるが、これは放電時に必然的にフッ素化及び浸食して、チャンバの寿命を縮める。放電チャンバモジュールの使用寿命を長くする一つの方策では、アノードを、摩耗を呈さない材料で作製する。アノード材料としての使用に適した材料についての情報は、例えば、2007年11月27日に発行された米国特許第7,301,980号明細書及び2004年2月10日に発行された米国特許第6,690,706号明細書に見出すことができる。両特許はいずれも、本願の譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。材料の選択によって電極ひいてはチャンバの寿命を長くすることができる一方で、これらの寿命をさらに伸ばす必要は依然としてある。この点については、2013年5月21日に発行された米国特許第8,446,928号及び2016年1月26日に発行された米国特許第9,246,298号明細書を参照されたい。両特許はいずれも、本願の譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0004】
[00004] 以下では、本発明の基本的な理解を提供するために、1つ以上の実施形態の簡易化した概要を提示する。この概要は、考えられる全ての実施形態の広範な概観ではない。また、全ての実施形態の鍵となる要素又は重大な要素を特定することや、いずれか又は全ての実施形態の範囲を詳細に描写することを意図するものではない。唯一の目的は、1つ以上の実施形態のいくつかの概念を、簡易化した形で、後述する詳細な説明の前置きとして提示することである。
【0005】
[00005] 一態様によれば、放電チャンバと、放電チャンバ内に配置された第1の電極と、放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の電極と第2の電極との間で第1の方向に延びる高さと、第1の電極と第2の電極との間で第1の方向を横切る第2の方向に延びる長さとを有する電極ギャップを創出するための第2の電極と、第2の電極に電気的に接続され、各々が電極ギャップの横方向である第1の方向に実質的に延びている、複数の導電素子であって、第2の方向に延びる列に配列されており、第1の間隔で第2の方向に離隔した第1対の隣接する導電素子と、第1の間隔よりも大きい第2の間隔で第2の方向に離隔した第2対の隣接する導電素子とを備える、複数の導電素子と、を備える装置が開示される。
【0006】
[00006] 複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置されてもよい。複数の導電素子は、第1の複数の導電素子と、第2の電極に電気的に接続された第2の複数の導電素子とを備えていてもよく、第2の複数の導電素子の各々は、電極ギャップの第1の複数の導電素子とは反対側で、電極ギャップの横方向である第1の方向に実質的に延びており、第2の複数の導電素子は、第2の方向に延びる第2の列に配列されており、第2の複数の導電素子は、第1の間隔で第2の方向に離隔した第3対の隣接する導電素子と、第2の間隔で第2の方向に離隔した第4対の隣接する導電素子とを備えている。第1の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置されてもよく、第2の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央点を中心に実質的に対称に配置される。第1対の隣接する導電素子は、電極ギャップを挟んで第1対の隣接する導電素子の向かいに配置されてもよい。第1の列の長さ及び第2の列の長さは、電極ギャップの長さと実質的に同延であってもよい。
【0007】
[00007] 第2の電極の横方向の端部は、電気的に絶縁されてもよい。例えば、第2の電極の横方向の端部は放電チャンバの壁から電気的に絶縁されてもよく、又は、第2の電極に機械的に連結され且つ第2の電極を移動させるように配列された機械的な連係があってもよく、機械的な連係は、第2の電極を電気的に絶縁するように配列された絶縁素子を含んでいてもよい。
【0008】
[00008] 別の一態様によれば、放電チャンバと、放電チャンバ内に配置された第1の電極であって、第1の方向に延びる第1の電極長を有する第1の電極と、放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の方向に延びる第2の電極長を有し、第1の電極と第2の電極との間に電極ギャップを定めるように第1の電極に対して離隔した関係で配列された第2の電極と、第1の電極に電気的に接続され、第1の方向に延びる第1の列に配列された第1の複数のキャパシタと、第1の電極に電気的に接続され、第1の列に平行に第1の方向に延びる第2の列に配列された第2の複数のキャパシタと、を備える装置であって、第1の複数のキャパシタの数は第2の複数のキャパシタの数と同一である、装置が開示される。
【0009】
[00009] 第1の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタは、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置されてもよい。第2の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタも、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置されてもよい。
【0010】
[00010] 別の一態様によれば、放電チャンバと、放電チャンバ内に配置された第1の電極であって、第1の方向に延びる第1の電極長を有する第1の電極と、放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の方向に延びる第2の電極長を有し、第1の電極と第2の電極との間に電極ギャップを定めるように第1の電極に対して離隔した関係で配列された第2の電極と、第1の電極に電気的に接続され、第1の方向に延びる第1の列に配列された複数の容量素子であって、複数の容量素子のうちの容量素子の少なくとも1つが、複数の容量素子のうち少なくとも1つの他の容量素子とは異なる容量値を有する、複数の容量素子と、を備える装置が開示される。容量素子のうち少なくとも1つは、並列に接続された1対のキャパシタを備えていてもよい。
【0011】
[00011] 別の一態様によれば、放電チャンバと、放電チャンバ内に配置された第1の電極であって、第1の方向に延びる第1の電極長を有する第1の電極と、放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の方向に延びる第2の電極長を有し、第1の電極と第2の電極との間に電極ギャップを定めるように第1の電極に対して離隔した関係で配列された第2の電極と、第1の電極に電気的に接続され、第1の電極長に実質的に平行な第1の列方向で第1の列に配列された第1の列の第1の数Xのキャパシタと、第1の電極に電気的に接続され、第1の電極長に実質的に平行な第2の列方向で第2の列に配列された第2の列の第2の数Yのキャパシタと、を備える装置が開示され、ここで、X及びYは少なくとも4であり、XはYよりも小さく、第2の列の1つ目のキャパシタの容量値と第2の列の最後のキャパシタの容量値とは互いに等しく且つ第2の列の残りのキャパシタの容量値よりも小さい。
【0012】
[00012] 別の一態様によれば、放電チャンバと、放電チャンバ内に配置された第1の電極と、放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の電極と第2の電極との間で第1の方向に延びる高さと、第1の電極と第2の電極との間で第1の方向を横切る第2の方向に延びる長さとを有する電極ギャップを創出するための第2の電極と、第2の電極に電気的に接続され、各々が電極ギャップの横方向である第1の方向に実質的に延びている、第1の複数の導電素子であって、第2の方向に延びる列に配列されており、第1の間隔で第2の方向に離隔した第1対の隣接する導電素子と、第1の間隔よりも大きい第2の間隔で第2の方向に離隔した第2対の隣接する導電素子とを備える、第1の複数の導電素子と、第2の電極に電気的に接続され、各々が、電極ギャップの第1の複数の導電素子とは反対側で、電極ギャップの横方向である第1の方向に実質的に延びている、第2の複数の導電素子であって、第2の方向に延びる第2の列に配列されており、第1の間隔で第2の方向に離隔した第3対の隣接する導電素子と、第2の間隔で第2の方向に離隔した第4対の隣接する導電素子とを備える、第2の複数の導電素子と、第1の電極に電気的に接続され、第1の方向に延びる第1の列に配列された第1の複数のキャパシタと、第1の電極に電気的に接続され、第1の列に平行に第1の方向に延びる第2の列に配列された第2の複数のキャパシタであって、第2の複数のキャパシタのキャパシタのうち少なくとも1つが、第2の複数のキャパシタのうち他の少なくとも1つのキャパシタとは異なる容量値を有する、第2の複数のキャパシタと、を備える装置が開示される。
【0013】
[00013] 第1対の隣接する導電素子は、電極ギャップを挟んで第3対の隣接する導電素子の向かいに配置されてもよい。第1の列の長さ及び第2の列の長さは、電極ギャップの長さと実質的に同延であってもよい。第1の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置されてもよい。第1の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置されてもよく、第2の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央点を中心に実質的に対称に配置される。第1の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタは、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置されてもよい。第2の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタも、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置されてもよい。
【0014】
[00014] 本発明の別の実施形態、特徴、及び利点、並びに様々な実施形態の構造及び動作は、添付図面を参照して以下で詳しく記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[00015] 本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成する添付図面は、限定ではなく一例として本発明の実施形態の方法及びシステムを説明する。詳細な説明と共に、図面は更に、本明細書に提示されている方法及びシステムの原理を説明するように、また、当業者がこの方法及びシステムを作製し使用できるように機能する。図面において、同様の参照番号は同一の又は機能的に同様の要素を示す。
【0016】
【
図1】[00016] 開示される主題の一態様によるフォトリソグラフィシステムの全体的な広い概念の概略図を、正確な縮尺ではなく示す。
【
図2】[00017] 開示される主題の一態様による照明システムの全体的な広い概念の概略図を、正確な縮尺ではなく示す。
【
図3】[00018] 開示される主題の態様によるエキシマレーザ用放電チャンバの正確な縮尺ではない図式断面である。
【
図4A】[00019] 放電チャンバにおける電気部品の配列の斜視図である。
【
図4B】[00020] 放電チャンバにおけるキャパシタのレイアウトパターンの平面図である。
【
図5A】[00021] 放電チャンバにおける電気部品の配列の端面図である。
【
図5B】[00022] 放電チャンバにおける電気部品の配列の側面図である。
【
図6A】[00023] 放電チャンバにおいて使用される電流リターンの斜視図である。
【
図6B】[00024] 本明細書に開示される一実施形態の態様を組み込んだ電流リターンの斜視図である。
【
図7A】[00025] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ放電チャンバにおけるキャパシタのレイアウトパターンの上面図である。
【
図7B】[00025] 上面図本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ放電チャンバにおけるキャパシタのレイアウトパターンの上面図である。
【
図7C】[00025] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ放電チャンバにおけるキャパシタのレイアウトパターンの上面図である。
【
図8A】[00026] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ放電チャンバにおける電気部品の配列の斜視図である。
【
図8B】[00027] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ放電チャンバにおけるキャパシタのレイアウトパターンの上面図である。
【
図9】[00028] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ電極及び電極支持構造の配列の斜視図である。
【
図10A】[00029] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ電極を電極支持に接続するシステムの部分切取側面図である。
【
図10B】[00029] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ電極を電極支持に接続するシステムの部分切取側面図である。
【
図10C】[00029] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ電極を電極支持に接続するシステムの部分切取側面図である。
【
図11A】[00030] 本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ電極を配置するシステムの部分切取側面図である。
【
図11B】本明細書に開示される実施形態の態様を組み込んだ電極を配置するシステムの部分切取側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[00031] これより図面を参照して様々な実施形態について記載する。図面全体を通して、同様の参照番号を用いて同様の要素を示す。以下の記載では、説明の目的で、1つ以上の実施形態の完全な理解を促進するため多数の具体的な詳細事項について述べる。しかしながら、いくつかの場合又はあらゆる場合において、以下に記載されるどの実施形態も、以下に記載される具体的な設計の詳細事項を採用することなく実施できることは明らかであろう。場合によっては、1つ以上の実施形態の記載を容易にするため、周知の構造及びデバイスはブロック図の形態で示されている。以下に、1つ以上の実施形態の基本的な理解を得るため、これらの実施形態の簡略化された概要を提示する。この概要は想定される全ての実施形態の広範にわたる概説でなく、全ての実施形態の重要な又は不可欠な要素を識別することも、任意の又は全ての実施形態の範囲を示すことも意図していない。
【0018】
[00032]
図1を参照すると、フォトリソグラフィシステム100は照明システム105を含む。以下で詳述するように、照明システム105は光源を含み、光源は、パルス光ビーム110を生成して、それをウェーハ120上にマイクロ電子フィーチャをパターニングするフォトリソグラフィ露光装置又はスキャナ115に向ける。ウェーハ120はウェーハテーブル125上に載置される。ウェーハテーブルは、ウェーハ120を保持するように構築されると共に、特定のパラメータに従ってウェーハ120を正確に配置するように構成されたポジショナに接続されている。
【0019】
[00033] フォトリソグラフィシステム100は、深紫外(DUV)域の波長、例えば248ナノメートル(nm)又は193nmの波長を有する光ビーム110を用いる。ウェーハ120上にパターニング可能なマイクロ電子フィーチャの最小寸法は光ビーム110の波長によって決まり、波長が低いほど、より小さな最小フィーチャ寸法がもたらされる。光ビーム110の波長が248nm又は193nmであるとき、マイクロ電子フィーチャの最小寸法は、例えば50nm以下であり得る。光ビーム110の帯域幅は、その光スペクトル(又は発光スペクトル)の実際の瞬時帯域幅であってもよく、これは光ビーム110の光エネルギが異なる波長にわたってどのように分布しているかについての情報を含む。スキャナ115は、例えば1つ以上の集光レンズ、マスク、及び対物レンズ配置を有する光学配置を含む。マスクは、光ビーム110の光軸に沿って又は光軸に垂直な平面内でなど、1つ以上の方向に沿って移動可能である。対物レンズ配置は、投影レンズを含み、マスクからウェーハ120上のフォトレジストへの画像転写が起こることを可能にする。照明システム105は、光ビーム110がマスクに入射する角度の範囲を調節する。また、照明システム105は、マスク全体の光ビーム110の強度分布を均質化する(均一にする)。
【0020】
[00034] スキャナ115は、数ある特徴の中でも、リソグラフィコントローラ130、空調デバイス、及び様々な電気部品のための電源を含み得る。リソグラフィコントローラ130は、ウェーハ120上に層がどのように印刷されるのかを制御する。リソグラフィコントローラ130は、プロセスレシピなどの情報を格納するメモリを含む。プロセスプログラム又はレシピは、ウェーハ120に対する露光の長さを、例えば使用されるマスク、並びに露光に影響を及ぼす他の要因に基づいて、決定する。リソグラフィの際には、光ビーム110の複数のパルスがウェーハ120の同じ領域を照明して照射量を構成してもよい。
【0021】
[00035] フォトリソグラフィシステム100は、好適には制御システム135も含む。概して、制御システム135は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうち1つ以上を含む。制御システム135はメモリも含み、このメモリは読み出し専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリであってもよい。コンピュータプログラム命令及びデータを有形に体現するのに適した記憶デバイスは、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、並びにCD-ROMディスクを含む、あらゆる形の不揮発性メモリを含む。
【0022】
[00036] 制御システム135は、1つ以上の入力デバイス(キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、マウス、ハンドヘルド入力デバイスなど)及び1つ以上の出力デバイス(スピーカ又はモニタなど)も含み得る。また、制御システム135は、1つ以上のプログラム可能プロセッサ、及び1つ以上のプログラム可能プロセッサによる実行のために機械読み取り可能な記憶デバイスにおいて有形に体現された1つ以上のコンピュータプログラム製品も含む。1つ以上のプログラム可能プロセッサは、入力データ上で動作すること及び適切な出力を生成することによって所望の機能を実施するために、各々が命令のプログラムを実行し得る。一般に、プロセッサはメモリから命令及びデータを受信する。前述のもののいずれかは、特別設計のASIC(特定用途向け集積回路)によって補われるか、又はこれに組み込まれてもよい。制御システム135は、一元化されてもよいし、又はフォトリソグラフィシステム100全体にわたって部分的にもしくは完全に分散していてもよい。
【0023】
[00037]
図2を参照すると、例示的な照明システム105は、光ビーム110としてパルスレーザビームを生成するパルスレーザ源である。
図2は、開示される主題の特定の態様の一実施形態によるガス放電レーザシステムを、例示的にブロック図で示す。ガス放電レーザシステムは、例えば、固体又はガス放電シードレーザシステム140、増幅段、例えば電力リング増幅器(「PRA」)段145、リレー光学部品150、及びレーザシステム出力サブシステム160を含んでいてもよい。シードシステム140は、例えば、主発振器(「MO」)チャンバ165を含んでいてもよい。
【0024】
[00038] シードレーザシステム140は、主発振器出力カプラ(「MO OC」)175も含んでいてもよい。主発振器出力カプラは部分反射性ミラーを備えていてもよく、ライン狭隘化モジュール(「LNM」)170内の反射格子(図示しない)と共に発振器空洞を形成する。シードレーザ140は、この発振器空洞内で、シードレーザ出力パルスを形成するように発振する、すなわち、主発振器(「MO」)を形成する。システムは、線中心解析モジュール(「LAM」)180も含み得る。LAM180は、精細な波長測定のためのエタロンスペクトロメータと、より粗い解像度の格子スペクトロメータとを含んでいてもよい。MO波面工学ボックス(「WEB」)185は、MOシードレーザシステム140の出力を増幅段145の方に方向転換させる働きをしてもよく、例えばマルチプリズムビームエキスパンダ(図示しない)によるビーム拡大と、例えば光遅延経路(図示しない)の形でのコヒーレンス破壊とを含んでいてもよい。
【0025】
[00039] 増幅段145は、例えば、発振器であってもよいPRAレーザ発振チャンバ(PRA lasing chamber)200を含み、これは例えば、PRA WEB210に組み込まれてもよくビーム反転器220によってチャンバ200内の利得媒質を通じて戻るように方向転換されてもよいシードビーム入射及び出力結合光学系(図示しない)によって形成される。PRA WEB210は、部分反射性入力/出力カプラ(図示しない)と、公称動作波長(例えばArFシステム用に193nm辺り)のための最大反射性ミラーと、1つ以上のプリズムとを組み込んでいてもよい。
【0026】
[00040] 増幅段145の出力にある帯域幅解析モジュール(「BAM」)230は、増幅段からのパルスの出力レーザ光ビームを受けると共に、その光ビームの一部をメトロロジ目的で、例えば出力帯域幅及びパルスエネルギを測定するために、ピックオフしてもよい。パルスのレーザ出力光ビームはその後、光パルスストレッチャ(「OPuS」)240と、パルスエネルギメータの位置でもあり得る出力複合オートシャッタメトロロジモジュール(「CASMM」)250とを通過する。OPuS240の一つの目的は、例えば、単一の出力レーザパルスをパルス列に変換することであってもよい。元の単一の出力パルスから創出された二次パルスは、互いに対して遅延されてもよい。元のレーザパルスエネルギを二次パルスの列に分散することによって、レーザの有効パルス長が拡大され得ると同時に、ピークパルス強度が低減され得る。従って、OPuS240はPRA WEB210からBAM230を介してレーザビームを受け、OPuS240の出力をCASMM250に向けることができる。
【0027】
[00041] PRAレーザ発振チャンバ200及びMO165はチャンバとして構成されており、これらのチャンバ内では、電極間の放電がレーザ発振ガス(lasing gas)中でのレーザ発振ガス放電(lasing gas discharge)を引き起こして、例えばアルゴン、クリプトン、キセノン、及び/又はフッ素を含む高エネルギ分子の反転分布を創出し、当該技術分野において既知であるように、LNM170において選択される比較的超狭帯域幅(relatively very narrow bandwidth)及び中心波長までライン狭隘化され得る比較的広帯域の放射を生成してもよい。そのようなチャンバ300の構成が
図3に示されている。同図は放電チャンバの高度に様式化された断面図である。チャンバ300は、カソードとして作用する上部電極310と、アノードとして作用する下部電極320とを含む。下部電極320と上部電極310とのうち一方又は両方がチャンバ壁305によって定められるチャンバ300の圧力エンベロープ内に完全に包含されてもよいし、あるいは電極のうち一方はそのように包含されなくてもよい。レーザ発振ガス放電は、これら2つの電極の間で、幅Aを有するギャップにおいて起こる。
図3には、上部絶縁体315と下部絶縁体325も示されている。下部電極320は、タブ306でチャンバ300の壁305に電気的に接続されている。従って、下部電極320は、チャンバ300の上半部に電気的に接続されている。安全上の理由から、チャンバ壁305及びひいては下部電極320は、接地電位に維持するのが望ましい。
図3に示される実施形態においては、上部電極310は、電圧源340によって、下部電極320に対して負の電圧で駆動される。
【0028】
[00042]
図3に示されるようにアノードとして作用しているとき、下部電極320は、摩耗を呈さない材料で作製されるのが有益であるが、実際には腐食コーティング330(「礁」とも称される)を成長させ、その腐食コーディングが下部電極320の表面を下部電極320が新しいときと実質的に同じ位置に維持する。代替的には、電極は、耐浸食コーティングで被覆されてもよい。コーティング330の寸法は、
図3では図示のために誇張されている。代替的には、延長可能なアノード320が垂直上方に移動して、アノード320からの浸食損失を補償する。成長したコーティング330は、レーザ発射時に上部電極310が浸食するように、上部電極310がカソードとして作用しているとき、上部電極には形成されない。なお、上部電極310は小さなバンプ312を備えている。現行のチャンバでは、この浸食は、特に電極310の垂直浸食によってバンプ312が完全に浸食されるとき、放電ギャップの寸法Aの増大及び放電の広がりの両方につながる。
【0029】
[00043] 前述したように、
図3には、カソード310とアノード320との間の放電ギャップにおいて放電を引き起こすパルスを形成する電圧源340も示されている。電圧源340の出力の極性については記号(-)が示されているが、これは絶対極性ではなく相対極性、すなわち、概して電流リターン350及びタブ306を通じて接地(0)電位と電気的に接触する下部電極320の極性と相対的なものであることが理解されるであろう。電流リターン350は、以下で示すようにチャンバ300内に封入されてもよい。上部電極(カソード310)は、大きな(-20kV)負の電圧にチャージされる。
【0030】
[00044]
図3には図示されていないが、電源340の1つの構成要素は、放電を引き起こすパルスを形成するキャパシタのバンクである。放電を引き起こすパルスを形成するキャパシタは、カソード310に近接して設置される。これは
図4Aに図示されており、同図では、1列のキャパシタ360がカソード310の長手方向の半分の上方に配置されている。
図4Aには図示されていないが、カソード310の長手方向のもう半分の上方には、別の1列のキャパシタ360が配置されている。これは
図4Bに図示されている。
図4A及び4Bには、チャンバ300の外部から内部へ電力を伝達する1列のフィードスルーアセンブリ370も示されている。従って、ピーク容量の合計設計値は、非対称的にレイアウトされた2列の平行なキャパシタ360によって達成される。なお、カソード310及びアノード320は、
図4Aにおいてはいずれも矩形の断面を有するものとして図示されている。これは単に図をより容易に理解可能なものとするためである。当業者であれば、これらの電極は概してそれぞれ多数の形のうちいずれか1つを有し得ることがわかるであろう。キャパシタ360はソケット365内に固定される。
図4Bは、空のソケット365を図示している。
【0031】
[00045] やはり
図3に図示されていないのが、電流リターン350のための「胸郭」のような構造である。
図4A及び
図6Aにはこれが図示されている。従来の電流リターン350は、図示されるように、均等に間隔を空け、等しく寸法決めされた、金属の電流リターンワイヤ355から作製される。ワイヤ355は、アノード320の下にあるプレート357に接続される。ワイヤ355は、電流バス358にも接続される。
図4Aには、下部電極320の端部をチャンバ300の壁305に電気的に接続するタブ306のうちの一方も図示されている。
【0032】
[00046]
図4Aには図示されていないが、プレート357の反対側には別の1列のワイヤが接続され、それらのワイヤは電流バスに接続されている。一方の列中の各ワイヤ355は他方の列中の対応するワイヤ355と対称的に配列されているので、ワイヤ355は対になり、各対がカソード310と、放電領域と、アノード320との断片を囲んでいる。概略的な断面である
図5Aにこれが図示されている。高電圧供給375は、キャパシタ360からカソード310に電圧を供給する。カソード310とアノード320との間の放電ギャップにおいて放電318が発生すると、放電318からの電流は、アノード320と、プレート357と、リターンワイヤ355と、電流バス358とを通って接地に流れる。リターンワイヤ355の各対は、カソード310、アノード320、及び放電領域318の領域Dをひとまとめにする。タブ306は、
図5Aでは視認されないが、
図5Bには見られる。
図6Aは、プレート357、リターンワイヤ355、及び電流バス358の物理的な配列も図示している。
【0033】
[00047] 概して、従来の設計では、電流リターン350の長手方向の範囲は実際の放電318の長さとは無関係である。電流リターン350の長手方向の範囲は、実際の放電の長さより長くても短くてもよい。例えば、
図5Bに図示されるように、ワイヤ355の対のうちいくつかは、放電318の長手方向の両端部を越えて位置している。従来の設計では、電流リターンワイヤ355の対向する対(一方の部材が一方の列、対応する部材が他方の列にある)によってひとまとめにされた領域D(
図5Aに図示されている)は、アノード320の長さに沿って同一である。また、従来の設計では、同じ列内の隣り合った電流リターンワイヤ355間の距離(ピッチ)はアノード320の長さに沿って同一であり、その距離は調整又は最適化することなしに任意に一定のものとして選択される。放電は長さ約55cm、高さ約13.5mm、幅約3mmである。
【0034】
[00048] 略言すれば、従来の設計においては、チャンバの内部ジオメトリは電気的に局所レベルに同調されない。ピーキングキャパシタや電流経路などの素子は、積分値(integral value)が基本的なチャンバ性能全体を有効にするように、しかしコンポーネントの選択及び設置が局所的に最適化されないように設計される。また、既存の技術は、最適な放電性能に合わせて電気的に調整されないピーキングキャパシタ(Cpk)のレイアウトも含む。具体的には、チャンバの片側に空いているソケット(
図4Bの空のソケット365)があってもよい。
【0035】
[00049] この新しい実施形態においては、電流リターンは、長手方向の範囲及び平均間隔、局所的な電流リターン間隔、及び区切られた領域という3つのカテゴリの設計変数によって調整可能である。
【0036】
[00050] これらを順に考えると、長手方向の範囲及び平均間隔に関しては、ワイヤ355の長手方向の範囲は、
図5B及び
図6Bに図示される通り、放電が最適化されるように選択されてもよい。放電に対する電流リターン範囲の長さを増大又は減少させることにより、両端部における局所的な放電電流が変化するであろう。最適な局所的放電には最適な電流リターン範囲長さが存在する。
【0037】
[00051] 局所的な電流リターン間隔に関しては、特定の電流リターン間の局所的な間隔は、残りのワイヤ355の間隔が全て同一にならないで、いくつかのワイヤ355はより広い間隔Bを有するギャップによって分離され、他はより狭い間隔Cを有するギャップによって分離され、BはCに等しくないように選択されてもよい。間隔の幅を変えることにより、局所的な放電電流が変化する。
【0038】
[00052] 区切られた領域に関しては、
図5Aにおいて、領域Dは、ワイヤ355、アノード320、放電318、カソード310、高電圧供給375、及びキャパシタ360を含む電流経路によって区切られる。電気的なリターン経路を包含する領域Dは、局所的な放電318に影響を及ぼすように局所的に調節又は「調整」され得る。例えば、電流リターンワイヤ355は、
図5Aに破線のワイヤ355a及び355bによって示される通り、放電318に接近するように又は放電318から離隔するように移動され、従って領域Dを変化させてもよい。これは
図5Aの右側に関連して図示されているが、同様の再構成が左側に対して行われ得ることは理解されるであろう。Dの寸法は局所的な放電電流に影響を及ぼす。よって、局所的な電流は、Dの変動に伴って精細に調整され得る。
【0039】
[00053] キャパシタについては、その物理的な配列の対称性が、放電、特に寿命末期の動作の改善を促進する。従って、キャパシタは、対称的な容量分布を可能にするように配列されるのが有利である。これは、カスタマイズされた値を有するキャパシタを使用すること、並びに、局所的に最適化された放電を達成するべく容量を局所的に調整するようにキャパシタ及び空乏を戦略的に設置することによって達成可能である。
【0040】
[00054]
図4Bに図示される設計と比較して、
図7A,7B,及び7Cは、他の可能なジオメトリを図示している。
図7Aは、キャパシタ360の第1列380とキャパシタ362の第2列382との対称的な配列を示しており、各列は同数(図中の例では14個だが、他の数が用いられてもよい)のキャパシタを有していて、キャパシタの値は総容量が所望の設計値になるように選択される。キャパシタ360及びキャパシタ362は全てが同一の値を有していてもよく、その場合、その配列の容量は、放電領域318の長手軸318a及び短手軸318bについて対称的に分布するであろう。また、キャパシタ362の容量とは異なる容量を有するキャパシタ360を用いることによって、異なる容量分布を有する配列を達成することが可能であり、その結果、容量が、放電領域318の長手軸318aについては非対称的に及び短手軸318bを挟んで対称的に分布する配列がもたらされる。
【0041】
[00055] 配列は、放電領域318について対称的である。
図7Bは、各列が同数のキャパシタを有する2列のキャパシタが用いられる対称的な配列を備えた配列を示しており、キャパシタの値は総容量が所望の設計値になるように選択される。もっとも、
図7Bの配列においてはより少ないキャパシタが用いられ、同じ総容量が達成され得るように、各々がより高い値を有している。そして、
図7Bの配列では、放電領域318を越えるキャパシタがより少ない。
【0042】
[00056]
図7Cの配列は、1列のキャパシタ360及び1列のキャパシタ362を特色とするもので、キャパシタ362の列の両端のキャパシタ364は、列内の他のキャパシタ362の容量とは異なる容量を有している。
図7Cの配列は、放電領域318の長手軸318aを挟んで対称的ではないが、長手軸318aに沿って対称的である。
図7Cの配列は、より少ないキャパシタを用いること、又は、第1の容量を有するいくつかのキャパシタと第1の容量とは異なる第2の容量を有するいくつかのキャパシタとを用いることによって、容量を調整する能力を発揮する。
【0043】
[00057] さらに、個々の容量が同一である2つのキャパシタは、直列接続されると、個々のキャパシタ各々の容量の半分の容量を示すであろう。従って、値が同一の合計で27個のキャパシタを用いて所望の総容量を達成する
図4Bの設計の対称性は、2対の直列接続されたキャパシタを用いて単一の従来のキャパシタと同一の値を達成することによって、改善され得る。そのような配列が
図8A及び8Bに示されている。これにより、27個のキャパシタの総容量に一致する、30個のキャパシタの一群(並列の26個のキャパシタ360と、2対の直列キャパシタ400であって他の26個と並列でもある)がもたらされる。すると、この30個の一群は対称的にレイアウトすることが可能であり、2対の直列にスタックされたキャパシタ400は放電318の長手方向に対称的に位置する。
【0044】
[00058] 当業者であれば、例えばキャパシタの位置、スタックされたキャパシタの位置、空隙又は異なる値のキャパシタによって定義される容量分布は最高の放電性能になるように操作及び調整され得ること、並びに、可能な変形は上記で提供された特定の例によって限定されはしないことを理解するであろう。
【0045】
[00059] また、
図9に図示されるように、下部電極320は、例えば留め具308によってチャンバ300に固定されたタブ306によって支持される。この点については、2011年8月9日に発行された米国特許第7,995,637号明細書を参照されたい。同特許は本願の譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。同様に、
図10Aは、留め具308、例えばねじ付きボルトによって支持要素316に接続されたタブ306を有する下部電極320を示す。また、タブ306を支持要素316に固定するのに必要又は便利であろうワッシャ309及びねじ付きナット314のような追加的な金具も図示されている。支持要素316はチャンバ300に接続される。概して、タブ306及び留め具308は、下部電極320の端部からチャンバ300への導電経路を確立する材料で作製される。もっとも、下部電極320の端部はチャンバ300から電気的に絶縁するのが有利であろう。この点については、2007年3月9日に公開された米国特許出願公開第2007/0071058号明細書を参照されたい。同出願は、本願の譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものであり、アノード支持及びチャンバ壁電流経路を除去してリーフ化(reefing)を促進することを提案している。この電流経路は、チャンバ内部を空間的に調整するための方策としても除去され得る。
【0046】
[00060] 例えば、
図10Bに示すように、タブ306と支持要素316との間の機械的接続は、タブ306を支持構造316から電気的に絶縁するインサートによって補足されてもよい。
図10Bは、協働してタブ306を支持構造316から隔離する、上部インサート部322と下部インサート部324とからなるインサートを示している。
図10Cは、タブ306がプラスチック又はセラミック材料などの絶縁材料で作製されている配列を示す。プラスチック材料は、ポリテトラフルオロエチレンであってもよい。また、留め具308は絶縁材料で作製されてもよく、タブ306と支持要素316との間に絶縁層が設置されてもよい。
【0047】
[00061] いくつかの配列においては、電極320の端部は、電極320の垂直位置を変化させる機械的な連係システムに接続される。この点については、2013年9月3日に発行された米国特許第8,526,481号及び2013年5月21日に発行された米国特許第8,446,928号明細書を参照されたい。両特許はいずれも、本願の譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなシステムが
図11Aに示されている。このシステムにおいては、アクチュエータ520によって移動されるレバー510が、電極320を支持する電極支持棒500を昇降させる。これらの構成要素もやはり、典型的には、電極320の端部からチャンバ300の壁への導電経路を提供する材料で作製される。しかしながら、電極320の端部がチャンバ320の壁から電気的に絶縁されることが望まれる場合には、この経路は、例えばレバー510とアクチュエータ520との間に絶縁体530を介在させることによって遮断され得る。
【0048】
[00062] また、電極320の端部における何らかの機械的又は電気的接続の必要は、システム内の他の構成要素を電極320のための物理的な支持を提供するように改変することによって回避することが可能である。そうでなければ、そのような物理的支持は、端部タブを電極に機械的に固定することによって提供されるであろう。例えば、再び
図6Aを参照すると、電流リターン350は、タブの使用が回避できるように、プレート357上に配置される電極の十分な支持を提供するべく、物理的に十分に強く作製され得る。他の方策と同様、これにより、タブ306を通じた短い電流リターン経路が除去されるであろう。
【0049】
[00063] このように、本明細書に開示されるのは、チャンバ内部ジオメトリの設計と、電極、電流リターン、及びキャパシタなどチャンバ内の構成要素の設置及び分布と、構成要素の一部の選択的な電気的隔離とを含む方策のいずれか1つ又は組み合わせを用いた局所的な電気的調整によって使用寿命が延ばされる、レーザ放電チャンバである。
【0050】
[00064] 上記の記載は複数の実施形態の例を含む。むろん、上述の実施形態を説明する目的のために全ての想定されるコンポーネント又は方法の組み合わせを記載することはできないが、当業者には、様々な実施形態の多くの別の組み合わせ及び並べ替えが可能であることは認められよう。従って、記載される実施形態は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に該当する全てのそのような修正、変更、及び変形を包含することが意図される。更に、「含む(includes)」という用語が詳細な説明又は特許請求の範囲で用いられる限りにおいて、そのような用語は、「備える(comprising)」という用語が請求項で移行語として用いられる場合に解釈されるのと同様に、包含的である(inclusive)ことが意図される。更に、記載される態様及び/又は実施形態の要素は単数で記載又は特許請求され得るが、単数に対する限定が明示的に述べられていない限り複数が想定される。更に、特に明記しない限り、任意の態様及び/又は実施形態の全て又は一部は他の任意の態様及び/又は実施形態の全て又は一部と共に利用され得る。
【0051】
[00065] 本発明の他の態様は、以下の番号が付けられた条項に示される。
1.放電チャンバと、
放電チャンバ内に配置された第1の電極と、
放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の電極と第2の電極との間で第1の方向に延びる高さと、第1の電極と第2の電極との間で第1の方向を横切る第2の方向に延びる長さとを有する電極ギャップを創出するための第2の電極と、
第2の電極に電気的に接続され、各々が電極ギャップの横方向である第1の方向に実質的に延びている、複数の導電素子であって、第2の方向に延びる列に配列されており、第1の間隔で第2の方向に離隔した第1対の隣接する導電素子と、第1の間隔よりも大きい第2の間隔で第2の方向に離隔した第2対の隣接する導電素子とを備える、複数の導電素子と、
を備える装置。
2.複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置される、条項1の装置。
3.複数の導電素子は、第1の複数の導電素子を備えると共に、更に、第2の電極に電気的に接続され、各々が、電極ギャップの第1の複数の導電素子とは反対側で、電極ギャップの横方向である第1の方向に実質的に延びている、第2の複数の導電素子であって、第2の方向に延びる第2の列に配列されており、第1の間隔で第2の方向に離隔した第3対の隣接する導電素子と、第2の間隔で第2の方向に離隔した第4対の隣接する導電素子とを備える、第2の複数の導電素子を備える、条項1の装置。
4.第1の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置され、第2の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央点を中心に実質的に対称に配置される、条項3の装置。
5.第1対の隣接する導電素子は、電極ギャップを挟んで第1対の隣接する導電素子の向かいに配置される、条項2の装置。
6.第1の列の長さ及び第2の列の長さは、電極ギャップの長さと実質的に同延である、条項2の装置。
7.第2の電極の横方向の端部は電気的に絶縁される、条項1の装置。
8.放電チャンバは壁を備え、第2の電極の横方向の端部は放電チャンバの壁から電気的に絶縁される、条項7の装置。
9.第2の電極に機械的に連結され且つ第2の電極を移動させるように配列された機械的な連係を更に備える装置であって、機械的な連係は、第2の電極を電気的に絶縁するように配列された絶縁素子を備える、条項7の装置。
10.第2の電極に電気的に接続された複数の導電素子は、第2の電極を支持するように配列される、条項1の装置。
11.放電チャンバと、
放電チャンバ内に配置された第1の電極であって、第1の方向に延びる第1の電極長を有する第1の電極と、
放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の方向に延びる第2の電極長を有し、第1の電極と第2の電極との間に電極ギャップを定めるように第1の電極に対して離隔した関係で配列された第2の電極と、
第1の電極に電気的に接続され、第1の方向に延びる第1の列に配列された第1の複数のキャパシタと、
第1の電極に電気的に接続され、第1の列に平行に第1の方向に延びる第2の列に配列された第2の複数のキャパシタと、
を備える装置において、
第1の複数のキャパシタの数は第2の複数のキャパシタの数と同一である、装置。
12.第1の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタは、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置される、条項11の装置。
13.第2の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタは、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置される、条項12の装置。
14.第2の電極の横方向の端部は放電チャンバの壁から電気的に絶縁される、条項11の装置。
15.第2の電極に電気的に接続され第2の電極を支持するように配列された複数の導電素子を更に備える、条項11の装置。
16.放電チャンバと、
放電チャンバ内に配置された第1の電極であって、第1の方向に延びる第1の電極長を有する第1の電極と、
放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の方向に延びる第2の電極長を有し、第1の電極と第2の電極との間に電極ギャップを定めるように第1の電極に対して離隔した関係で配列された第2の電極と、
第1の電極に電気的に接続され、第1の方向に延びる第1の列に配列された複数の容量素子であって、複数の容量素子のうちの容量素子の少なくとも1つが、複数の容量素子のうち少なくとも1つの他の容量素子とは異なる容量値を有する、複数の容量素子と、
を備える装置。
17.容量素子のうち少なくとも1つは並列に接続された1対のキャパシタを備える、条項16の装置。
18.放電チャンバと、
放電チャンバ内に配置された第1の電極であって、第1の方向に延びる第1の電極長を有する第1の電極と、
放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の方向に延びる第2の電極長を有し、第1の電極と第2の電極との間に電極ギャップを定めるように第1の電極に対して離隔した関係で配列された第2の電極と、
第1の電極に電気的に接続され、第1の電極長に実質的に平行な第1の列方向で第1の列に配列された第1の列の第1の数Xのキャパシタと、
第1の電極に電気的に接続され、第1の電極長に実質的に平行な第2の列方向で第2の列に配列された第2の列の第2の数Yのキャパシタと、
を備える装置において、
X及びYは少なくとも4であり、XはYよりも小さく、第2の列の1つ目のキャパシタの容量値と第2の列の最後のキャパシタの容量値とは互いに等しく且つ第2の列の残りのキャパシタの容量値よりも小さい、装置。
19.放電チャンバと、
放電チャンバ内に配置された第1の電極と、
放電チャンバ内に配置された第2の電極であって、第1の電極と第2の電極との間で第1の方向に延びる高さと、第1の電極と第2の電極との間で第1の方向を横切る第2の方向に延びる長さとを有する電極ギャップを創出するための第2の電極と、
第2の電極に電気的に接続され、各々が電極ギャップの横方向である第1の方向に実質的に延びている、第1の複数の導電素子であって、第2の方向に延びる列に配列されており、第1の間隔で第2の方向に離隔した第1対の隣接する導電素子と、第1の間隔よりも大きい第2の間隔で第2の方向に離隔した第2対の隣接する導電素子とを備える、第1の複数の導電素子と、
第2の電極に電気的に接続され、各々が、電極ギャップの第1の複数の導電素子とは反対側で、電極ギャップの横方向である第1の方向に実質的に延びている、第2の複数の導電素子であって、第2の方向に延びる第2の列に配列されており、第1の間隔で第2の方向に離隔した第3対の隣接する導電素子と、第2の間隔で第2の方向に離隔した第4対の隣接する導電素子とを備える、第2の複数の導電素子と、
第1の電極に電気的に接続され、第1の方向に延びる第1の列に配列された第1の複数のキャパシタと、
第1の電極に電気的に接続され、第1の列に平行に第1の方向に延びる第2の列に配列された第2の複数のキャパシタであって、第2の複数のキャパシタのキャパシタのうち少なくとも1つが、第2の複数のキャパシタのうち他の少なくとも1つのキャパシタとは異なる容量値を有する、第2の複数のキャパシタと、
を備える装置。
20.第1対の隣接する導電素子は、電極ギャップを挟んで第3対の隣接する導電素子の向かいに配置される、条項19の装置。
21.第1の列の長さ及び第2の列の長さは、電極ギャップの長さと実質的に同延である、条項19の装置。
22.第1の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置される、条項19の装置。
23.第1の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央線を中心として実質的に対称に配置され、第2の複数の導電素子のうちのいくつかの導電素子は、電極ギャップの長さの中央点を中心として実質的に対称に配置される、条項19の装置。
24.第1の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタは、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置される、条項23の装置。
25.第2の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタは、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置される、条項23の装置。
26.第1の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタは、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置される、条項23の装置。
27.第2の複数のキャパシタのうちのいくつかのキャパシタは、電極ギャップの長さの中央線を中心に実質的に対称に配置される、条項19の装置。
28.第2の電極の横方向の端部は電気的に絶縁される、条項19の装置。
29.第1及び第2の複数の導電素子は、第2の電極を支持するように配列される、条項19の装置。