(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】広帯域放射発生用の中空コアフォトニック結晶ファイバに基づく光学部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20240729BHJP
G02B 6/032 20060101ALI20240729BHJP
G01B 11/24 20060101ALN20240729BHJP
G03F 9/02 20060101ALN20240729BHJP
【FI】
G02B6/02 421
G02B6/02 451
G02B6/032 Z
G01B11/24 F
G03F9/02 H
(21)【出願番号】P 2022523942
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2020079383
(87)【国際公開番号】W WO2021078690
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ユーベル、パトリック、セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ、ペーター、マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】バウアーシュミット、セバスチャン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】バルティス、コーエン、ヒューベルトゥス、マテウス
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェンスベルヘン、ヤンネケ
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第03039289(FR,A1)
【文献】国際公開第2018/210598(WO,A1)
【文献】米国特許第05276761(US,A)
【文献】中国特許出願公開第104064940(CN,A)
【文献】特表2009-524835(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0165991(US,A1)
【文献】特開2004-271860(JP,A)
【文献】特開2009-230080(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0182719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02 - 6/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射を誘導するための内側キャピラリと、前記内側キャピラリを覆う外側キャピラリと、を含む中空コアフォトニック結晶ファイバと、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端に配置される出力側外端キャピラリであって、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの中央部分に沿った前記外側キャピラリの内径よりも、当該出力側外端キャピラリの少なくとも一部にわたってより大きな内径を有する、出力側外端キャピラリと、
を備え、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバの前記内側キャピラリはコラプスされて、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部にテーパーコア領域を規定し、前記テーパーコア領域は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの中空コアの直径が前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部に向かって増加する領域を含み、
前記出力側外端キャピラリは、第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部から前記第2の端部に向かうに従って内径が拡大するテーパー外端キャピラリであり、
前記出力側外端キャピラリの前記第1の端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端に接合される、
光学部品
を製造する方法であって、
前記出力側外端キャピラリを前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端にスプライシングすることを含み、
前記出力側外端キャピラリと前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端とのスプライシング中に、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの前記内側キャピラリがコラプスされて、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端に前記テーパーコア領域が形成される、方法。
【請求項2】
前記出力側外端キャピラリは、前記中空コアフォトニック結晶ファイバから放出される発散広帯域放射が、軸方向の伝搬方向において前記出力側外端キャピラリによって遮断されないように構成される、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記光学部品は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの入力端に接合される入力側外端キャピラリ
をさらに備え、
当該方法は、前記入力側外端キャピラリを前記中空コアフォトニック結晶ファイバの入力端にスプライシングすることをさらに含み、
前記入力側外端キャピラリと前記中空コアフォトニック結晶ファイバの入力端とのスプライシング中に、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの前記内側キャピラリがコラプスされて、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの入力端に前記テーパーコア領域が形成される、請求項1または2に記載の
方法。
【請求項4】
前記入力側外端キャピラリを透明な第1のエンドキャップで封止することと、
前記出力側外端キャピラリを透明な第2のエンドキャップで封止することと、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバ、前記入力側外端キャピラリ、前記出力側外端キャピラリ、前記第1のエンドキャップおよび前記第2のエンドキャップにより集合的に規定される空間内にガス媒体を充填することと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のエンドキャップは、スーパーコンティニウム発生のために前記ガス媒体を励起するためにポンプ放射のビームを受け取るように構成され、前記第2のエンドキャップは、スーパーコンティニウム発生から生じる出力ビームを放出するよう構成される、請求項
4に記載の
方法。
【請求項6】
前記中空コアフォトニック結晶ファイバ
にファイバコーティング
を施すこと含む、請求項1から
5のいずれかに記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2019年10月24日に出願された欧州出願第19204985.6号および2019年12月18日に出願された欧州出願19217381.3号の優先権を主張し、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、中空コアフォトニック結晶ファイバに基づく広帯域放射発生器、特に、集積回路の製造における計測用途に関連するそのような広帯域放射発生器に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターン(「設計レイアウト」または「設計」とも呼ばれる)を、基板(例えばウェハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている代表的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm、13.5nmである。4~20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を用いて、例えば波長193nmの放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
【0005】
低k1リソグラフィを使用して、リソグラフィ装置の古典的な解像限界よりも小さい寸法のフィーチャを処理することができる。このようなプロセスでは、解像度の式はCD=k1×λ/NAとして表すことができる。ここで、λは使用する放射の波長、NAはリソグラフィ装置の投影光学系の開口数、CDは「限界寸法」(通常、印刷される最小のフィーチャサイズであるが、この場合はハーフピッチ)およびk1は経験的な解像度係数である。一般に、k1が小さいほど、特定の電気的機能と性能を実現するために回路設計者が計画した形状と寸法に似たパターンを基板に再現することが難しくなる。これらの困難を克服するために、高度な微調整ステップをリソグラフィ投影装置および/または設計レイアウトに適用することができる。これらには、たとえば、NAの最適化、カスタマイズされた照明スキーム、位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光学近接効果補正(OPC:optical proximity correction、「光学補正およびプロセス補正」とも呼ばれる)などの設計レイアウトのさまざまな最適化、または一般に「解像度向上技術」(RET:resolution enhancement techniques)として定義されている他の方法が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、リソグラフィ装置の安定性を制御するための厳しい制御ループを使用して、低k1でのパターンの再現を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
計測ツールは、IC製造プロセスの多くの側面で使用され、例えば、露光前に基板を適切に配置するためのアライメントツール、基板の表面トポロジーを測定するためのレベリングツール、例えば、プロセス制御で露光および/またはエッチングされた製品を検査/測定するための焦点制御およびスキャトロメトリに基づくツールとして使用される。いずれの場合も、放射源が必要である。測定のロバスト性および精度など、さまざまな理由から、このような計測アプリケーションでは広帯域または白色光の放射源の使用が増えている。広帯域放射発生のための現在のデバイスを改善することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様では、光学部品が提供される。この光学部品は、放射を誘導するための内側キャピラリと、内側キャピラリを覆う外側キャピラリと、を含む中空コアフォトニック結晶ファイバと、少なくとも1つの出力端部であって、中空コアフォトニック結晶ファイバの中央部分に沿った外側キャピラリの内径よりも、当該出力端部の少なくとも一部にわたってより大きな内径を有する、出力端部と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様では、光学部品が提供される。この光学部品は、空コアフォトニック結晶ファイバと、中空コアフォトニック結晶ファイバの各端の少なくともそれぞれの端部分を覆う少なくとも1つのスリーブを含むスリーブ構成と、を備える。中空コアフォトニック結晶ファイバの内側キャピラリはコラプスされて、中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部にテーパーコア領域を規定し、テーパーコア領域は、中空コアフォトニック結晶ファイバの中空コアの直径が中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部に向かって増加する領域を含む。スリーブ構成が中空コアフォトニック結晶ファイバと接触する接触領域は、すべて、中空コアフォトニック結晶ファイバの主軸に関してテーパーコア領域にあるか、またはそれを超えている。
【0009】
本発明の他の態様は、第1および第2の態様の光学部品を備える広帯域光源および計測装置と、第1および第2の態様の光学部品の製造方法と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施形態は、添付の概略図を参照して、例としてのみ説明される。
【
図3】半導体製造を最適化するための3つの主要技術間の連携を表す、全体的なリソグラフィの概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による放射源を含み得る、計測装置として使用されるスキャトロメトリ装置の概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による放射源を含み得るレベルセンサ装置の概略図である。
【
図6】本発明の実施形態による放射源を含み得るアライメントセンサ装置の概略図である。
【
図7】スーパーコンティニウム発生用の多数のHC-PCF設計の横断面の概略図である。
【
図8】既知の構成のガス充填HC-PCFに基づく広帯域光源装置の概略図である。
【
図9】
図9(a)は第1実施形態によるガス充填HC-PCFバルブの概略図であり、
図9(b)は第2実施形態によるガス充填HC-PCFバルブの概略図である。
【
図10】本明細書に開示されるような光学デバイスを取り付けるために使用可能な取り付け構成を概略的に示している。
【
図11】
図11(a)-(c)は、3つの異なる構成における第2実施形態の光学部品の例の概略図である。
【
図12】本発明の実施形態によるHC-PCFの拡大された端部の概略図である。
【
図13】本発明の実施形態によるHC-PCFの別の拡大された端部の概略図である。
【
図14】
図14(a)-(e)は、
図12および
図13に示すようなHC-PCFを製造するための製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、「放射線」および「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、波長が365、248、193、157または126nm)およびEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する)を含むすべてのタイプの電磁放射線を包含するために使用される。
【0012】
本明細書で使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」という用語は、入射放射ビームに基板の目標部分に作成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を与えるために使用できる一般的なパターニングデバイスを指すと広く解釈され得る。「ライトバルブ」という用語もこの文脈で使用できる。標準的なマスク(透過型または反射型、バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のこのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDアレイを含む。
【0013】
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。このリソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射またはEUV放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構築され、特定のパラメータにしたがってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするよう構成される第1位置決め装置PMに接続されるマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと;基板(例えばレジストコートされたウェハ)Wを保持するよう構築され、特定のパラメータにしたがって基板サポートを正確に位置決めするよう構成される第2位置決め装置PWに接続される基板サポート(例えばウェハテーブル)WTと;パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一以上のダイを含む)目標部分Cに投影するよう構成される投影システム(例えば屈折型投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0014】
動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOからビームを受け取る。照明システムILは、放射を方向付け、放射を成形し、および/または放射を制御するための屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型、および/または他の形式の光学素子といった各種光学素子またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの平面におけるその断面において所望の空間および角度強度分布を有するように放射ビームBを調整するために使用されてもよい。
【0015】
本明細書において使用する「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、および/または液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁光学システムおよび/または静電光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0016】
リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wの間の隙間を埋めるように、基板の少なくとも一部が比較的高屈折率を有する液体(例えば水)により覆われる形式の装置であってよい。これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細については、米国特許第6952253号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
リソグラフィ装置LAはまた、2つ以上の基板サポートWT(「デュアルステージ」とも呼ばれる)を有するタイプのものであり得る。そのような「多段」機械では、基板サポートWTを並行して使用することができ、および/または基板Wのその後の露光の準備におけるステップを、基板サポートWTの1つに位置する基板W上で実行することができる。他の基板サポートWT上の基板Wは、他の基板W上のパターンを露光するために使用されている。
【0018】
基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージを含み得る。測定ステージは、センサおよび/または洗浄装置を保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するように配置することができる。測定ステージは、複数のセンサを保持することができる。洗浄装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部または液浸液を提供するシステムの一部を洗浄するように構成することができる。基板サポートWTが投影システムPSから離れているとき、測定ステージは投影システムPSの下に移動することができる。
【0019】
動作中、放射ビームBは、マスクサポートMTに保持されるパターニングデバイス、例えばマスクMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によりパターン化される。マスクMAの通過後、放射ビームBはビームを基板Wの目標部分Cに合焦させる投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置測定システムIFの助けを借りて、放射ビームBの経路内の異なる目標部分Cを集束されアライメントされた位置に位置するように基板サポートWTを正確に移動できる。同様に、第1位置決め装置PMおよび場合により別の位置センサ(
図1には明示されていない)は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために用いることができる。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示の基板アライメントマークP1、P2は専用の目標部分を占めるが、それらは目標部分の間のスペースに配置されてもよい。基板アライメントマークP1、P2は、これらが目標部分Cの間に配置されるとき、スクライブレーンアライメントマークとして知られている。
【0020】
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、たまにリソセルまたは(リソ)クラスタとも称され、しばしば基板W上での露光前および露光後プロセスを実行するための装置も含むリソグラフィシセルLCの一部を形成してよい。従来、これらは、例えば基板Wの温度を調整するため、例えばレジスト層の溶剤を調整するために、レジスト層を堆積させるスピンコート装置SC、露光されたレジストを現像する現像装置DE、冷却プレートCH、およびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板Wを入力/出力ポートI/O1,I/O2から取り出し、それらを異なるプロセス装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置LAのローディングベイLBに基板Wを運ぶ。リソセルの装置(しばしば集合的にトラックとも称される)は、通常はトラック制御ユニットTCUの制御下にあり、TCU自体は監視制御システムSCSにより制御され、SCSは例えばリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置LAを制御してもよい。
【0021】
リソグラフィ装置LAによって露光された基板Wを正確かつ一貫して露光するために、基板を検査して、後続の層間のオーバーレイエラー、線幅、限界寸法(CD)などのパターン構造の特性を測定することが望ましい。この目的のために、検査ツール(図示せず)をリソセルLCに含めることができる。エラーが検出された場合、たとえば、特に同じバッチまたはロットの他の基板Wがまだ露光または処理される前に検査がなされる場合には、後続の基板の露光または基板Wで実行される他の処理ステップを調整することができる。
【0022】
計測装置と呼ばれることもある検査装置は、基板Wの特性、特に、異なる基板Wの特性がどのように変化するか、または同じ基板Wの異なる層に関連する特性が層ごとにどのように変化するかを決定するために使用される。あるいは、検査装置は、基板W上の欠陥を特定するように構成されてもよく、例えば、リソセルLCの一部であってもよく、またはリソグラフィ装置LAに統合されてもよく、または独立型(スタンドアロン)の装置であってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層の画像)、または半潜像(後露光ベークステップPEB後のレジスト層の画像)、または現像されたレジスト画像(レジストの露光部分または非露光部分が除去された画像)、またはエッチングされた画像(エッチングなどのパターン転写ステップ後)の特性を測定することができる。
【0023】
通常、リソグラフィ装置LAでのパターニングプロセスは、基板W上の構造のディメンジョニングおよび配置の高精度を必要とする処理における最も重要なステップの1つである。この高精度を保証するために、
図3に概略的に示すように、3つのシステムをいわゆる「全体的な」統制環境で組み合わせることができる。これらのシステムの1つは、計測ツールMT(2番目のシステム)とコンピュータシステムCL(3番目のシステム)に(実質的に)接続されているリソグラフィ装置LAである。そのような「全体的な」環境の鍵は、これら3つのシステム間の連携を最適化してプロセスウィンドウ全体を強化し、リソグラフィ装置LAによって実行されるパターニングがプロセスウィンドウ内にとどまることを保証する厳密な制御ループを提供することである。プロセスウィンドウは、特定の製造プロセスが定義された結果(機能的半導体デバイスなど)を生成する一連のプロセスパラメータ(たとえば、ドーズ、フォーカス、オーバーレイ)、通常、その範囲内でリソグラフィプロセスまたはパターニングプロセスのプロセスパラメーターが変化を許可される、を定義する。
【0024】
コンピュータシステムCLは、パターン化される設計レイアウト(の一部)を使用して、どの解像度向上技術を使用するかを予測し、計算機によるリソグラフィシミュレーションおよび計算を実行して、どのマスクレイアウトおよびリソグラフィ装置設定がパターニングプロセスの最大の全体的なプロセスウィンドウを達成するかを決定することができる(
図3において第1スケールSC1の二重矢印で示されている)。通常、解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニングの可能性に一致するように構成される。コンピュータシステムCLはまた、例えば次善の処理によって欠陥が存在するかどうかを予測するために、プロセスウィンドウ内のどこでリソグラフィ装置LAが現在動作しているか(例えば、計測ツールMTからの入力を使用して)を検出するために使用されてもよい(
図3において第2スケールSC2の「0」を指す矢印で示されている)。
【0025】
計測ツールMTは、コンピュータシステムCLに入力を提供して、正確なシミュレーションおよび予測を可能にすることができ、リソグラフィ装置LAにフィードバックを提供して、例えばリソグラフィ装置LAの較正状態にいて起こり得るドリフトを特定することができる(
図3において第3スケールSC3の複数の矢印で示されている)。
【0026】
リソグラフィプロセスでは、例えばプロセス制御および検証のために、作成された構造の測定を頻繁に行うことが望ましい。このような測定を行うためのツールは、通常、計測ツールMTと呼ばれる。そのような測定を行うための様々なタイプの計測ツールMT、走査型電子顕微鏡または様々な形態のスキャトロメータ計測ツールMTが含まれる、が知られている。スキャトロメータは、瞳またはスキャトロメータの対物レンズの瞳との共役面にセンサを有することにより(通常は瞳ベースの測定と呼ばれる測定)、または像平面または像平面との共役面にセンサを有することにより、リソグラフィプロセスのパラメータの測定(この場合、測定は、通常、画像またはフィールドベースの測定と呼ばれる)を可能とする汎用性の高い機器である。このようなスキャトロメータおよび関連する測定技術は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、特許出願US20100328655号、US2011102753A1号、US20120044470A号、US20110249244号、US20110026032号またはEP1,628,164A号にさらに記載されている。上述のスキャトロメータは、軟X線からの光および可視から近赤外の波長範囲の光を使用して格子を測定することができる。
【0027】
第1の実施形態では、スキャトロメータMTは、角度分解スキャトロメータである。そのようなスキャトロメータでは、回折格子の特性を再構成または計算するために、測定された信号に再構成法を適用することができる。そのような再構成は、例えば、散乱放射とターゲット構造の数学的モデルとの相互作用をシミュレーションし、シミュレーション結果を測定結果と比較することから生じ得る。数学的モデルのパラメータは、シミュレートされた相互作用が実際のターゲットから観察されたものと同様の回折パターンを生成するまで調整される。
【0028】
第2の実施形態では、スキャトロメータMTは分光スキャトロメータMTである。そのような分光スキャトロメータMTでは、放射源から放出された放射はターゲットに向けられ、ターゲットからの反射または散乱放射は、正反射性の反射放射のスペクトルを測定する(つまり、波長の関数としての強度の測定)スペクトロメータ検出器に向けられる。このデータから、例えば厳密結合波解析と非線形回帰により、またはシミュレーションされたスペクトルのライブラリとの比較により、検出されたスペクトルを生じさせるターゲットの構造またはプロファイルを再構築できる。
【0029】
第3の実施形態では、スキャトロメータMTは、エリプソメトリックスキャトロメータである。エリプソメトリックスキャトロメータは、各偏光状態の散乱放射を測定することにより、リソグラフィプロセスのパラメータを決定することを可能にする。そのような計測装置は、例えば、計測装置の照明セクションに適切な偏光フィルタを使用することにより、(直線、円、または楕円などの)偏光を放出する。計測装置に適した放射源は、偏光放射も提供してもよい。既存のエリプソメトリックスキャトロメータの様々な実施形態は、米国特許出願第11/451,599号、第11/708,678号、第12/256,780号、第12/486,449号、第12/920,968号、第12/922,587号、第13/000,229号、第13/033,135号、第13/533,110号および第13/891,410号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
散乱計などの計測装置を
図4に示す。これは、放射を基板Wに投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を備える。反射または散乱された放射は、分光計検出器4に渡される。分光計検出器4は、鏡面反射による放射のスペクトル6(つまり、波長の関数としての強度の測定)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルを生じさせる構造またはプロファイル8は、処理ユニットPUによって、例えば厳密結合波解析と非線形回帰によって、または
図3の下部に示すように、シミュレートされたスペクトルのライブラリとの比較によって、再構成され得る。一般に、再構成では、構造の一般的な形式がわかっており、構造が作成されたプロセスの知識からいくつかのパラメータが想定され、スキャトロメトリデータから決定される構造のパラメータはわずかである。そのようなスキャトロメータは、法線入射スキャトロメータまたは斜め入射スキャトロメータとして構成することができる。
【0031】
計測ターゲットの測定によるリソグラフィパラメータの全体的な測定品質は、このリソグラフィパラメータの測定に用いる測定レシピによって少なくとも部分的に決まる。「基板測定レシピ」の用語は、測定自体の一以上のパラメータを含んでもよいし、測定された一以上のパターンの一以上のパラメータを含んでもよいし、または両方を含んでもよい。例えば、ある基板測定レシピに用いられる測定が回折ベースの光学測定である場合、測定の一以上のパラメータは、放射の波長、放射の偏光、基板に対する放射の入射角、基板上のパターンに対する放射の向きなどを含んでもよい。測定レシピを選択する基準の一つは、例えば、プロセスの変動に対する一つの測定パラメータの感受性であってもよい。より多くの例は、米国特許出願US2016-0161863号および公開された米国特許出願US2016/0370717に記載されており、その全体が参照により本書に組み込まれる。
【0032】
IC製造で使用される別のタイプの計測ツールは、トポグラフィ測定システム、レベルセンサ又は高さセンサである。そのようなツールは、基板(またはウェハ)の上面のトポグラフィを測定するために、リソグラフィ装置に統合することができる。基板のトポグラフィのマップは、高さマップとも称され、基板の高さを基板上の位置の関数として示すこれらの測定から生成され得る。この高さマップはその後、基板上の適正合焦位置でパターニングデバイスの空間像を提供するべく、基板へのパターンの転写の際に基板の位置を補正するために用いられ得る。この文脈において、「高さ」とは、基板に対して概して面外の寸法(Z軸とも称される)を指すことが理解されるであろう。典型的には、レベル又は高さセンサは(自身の光学系に対して)固定された場所で測定を実施し、基板とレベル又は高さセンサの光学系との間の相対移動が基板全体の各場所での高さ測定をもたらす。
【0033】
本技術分野において既知のレベル又は高さセンサLSの一例が
図5に概略的に示されている。同図は動作の原理のみを図示している。この例において、レベルセンサは、投影ユニットLSP及び検出ユニットLSDを含む光学系を備えている。投影ユニットLSPは、投影ユニットLSPの投影格子PGRによって付与される放射ビームLSBを提供する放射源LSOを備えている。放射源LSOは、例えば、スーパコンティニューム光源のような狭帯域又は広帯域光源、偏光又は非偏光レーザビームのような偏光又は非偏光、パルス又は連続であってもよい。放射源LSOは、複数のLEDなど、異なる色又は波長範囲を有する複数の放射源を含んでいてもよい。レベルセンサLSの放射源LSOは、可視放射に限定されず、追加的又は代替的にはUV及び/又はIR放射並びに基板の表面からの反射に適した任意の範囲の波長を包含し得る。
【0034】
投影格子PGRは、周期的に変化する強度を有する放射ビームBE1をもたらす周期構造を備える周期的格子である。周期的に変化する強度を有する放射ビームBE1は、入射基板表面に垂直な軸(Z軸)に対して0度から90度、典型的には70度から80度の入射角ANGをもって、基板W上の測定場所MLOの方に誘導される。測定場所MLOで、パターン形成された放射ビームBE1は、基板Wによって反射され(矢印BE2によって示される)、検出ユニットLSDの方に誘導される。
【0035】
測定場所MLOにおける高さレベルを判定するために、レベルセンサは更に、検出格子DGRと、検出器DETと、検出器DETの出力信号を処理する処理ユニット(図示しない)とを備える検出システムを備えている。検出格子DGRは投影格子PGRと同一であってもよい。検出器DETは、受光した光を示す、例えば、光検出器のように受光した光の強度を示す、又はカメラのように受光した強度の空間的分布を表す、検出器出力信号を生成する。検出器DETは1つ以上の検出器タイプの任意の組み合わせを備えていてもよい。
【0036】
三角測量技術によって、測定場所MLOにおける高さレベルを判定することができる。検出された高さレベルは、典型的には検出器DETによって測定された信号強度に関係しており、その信号強度は、とりわけ投影格子PGRの設計及び(斜め)入射角ANGに応じて決まる周期性を有する。
【0037】
投影ユニットLSP及び/又は検出ユニットLSDは、投影格子PGRと検出格子DGRとの間のパターン形成された放射ビームの経路に沿って、レンズ及び/又はミラーなど、更なる光学素子を含んでいてもよい(図示せず)。
【0038】
一実施形態においては、検出格子DGRは省略されてもよく、検出器DETは検出格子DGRがある位置に設置されてもよい。そのような構成は、投影格子PGRの像のより直接的な検出を提供する。
【0039】
基板Wの表面を効果的にカバーするために、レベルセンサLSは、測定ビームBE1のアレイを基板Wの表面上に投影し、それによってより大きな測定範囲をカバーする測定領域MLO又はスポットのアレイを生成するように構成されていてもよい。
【0040】
一般的なタイプの様々な高さセンサが、例えば、参照により組み込まれる米国特許第7265364号明細書及び米国特許第7646471号明細書に開示されている。可視又は赤外放射の代わりにUV放射を用いた高さセンサが、参照により組み込まれる米国特許出願公開第2010233600A1号明細書に開示されている。参照により組み込まれる国際公開第2016102127A1には、多素子検出器を用いて、検出格子を必要とせずに、格子像の位置を検出及び認識する小型の高さセンサが記載されている。
【0041】
IC製造で使用される別のタイプの計測ツールは、アライメントセンサである。したがって、リソグラフィ装置の性能の重要な態様は、付与されたパターンを、以前の層において(同じ装置又は異なるリソグラフィ装置によって)定められたフィーチャに関して正しくまた正確に配置するための能力である。このために、マークまたはターゲットの1つ以上のセットが基板に提供される。各マークは、その位置を、位置センサ、典型的には光学位置センサによって後に測定することが可能な構造である。位置センサは「アライメントセンサ」と呼ばれ、マークは「アライメントマーク」と呼ばれることがある。
【0042】
リソグラフィ装置は、1つまたは複数の(例えば、複数の)アライメントセンサを含むことができ、それによって、基板上に設けられたアライメントマークの位置を正確に測定することができる。アラインメント(または位置)センサは、回折や干渉などの光学現象を使用して、基板上に形成されたアラインメントマークから位置情報を取得し得る。現在のリソグラフィ装置で使用されているアライメントセンサの例は、米国特許6961115号に記載されている自己参照干渉計に基づいている。たとえば、米国特許公開2015261097A1号に開示されているように、位置センサのさまざまな拡張と変更が開発されている。これらすべての公表文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
図6は、例えば、援用により本願に含まれる米国特許6961116号に記載されているような既知のアライメントセンサASの一実施形態の概略ブロック図である。放射源RSOは、1つ以上の波長の放射ビームRBを提供し、この放射ビームRBは、誘導(diverting)光学系によって、基板W上に位置付けられたマークAMのようなマーク上へ照明スポットSPとして誘導される。この例では、誘導光学系はスポットミラーSM及び対物レンズOLを含む。マークAMを照明する照明スポットSPは、マーク自体の幅よりもわずかに小さい直径とすることができる。
【0044】
アライメントマークAMによって回折された放射は、(この例では対物レンズOLを介して)情報保持ビームIBにコリメートされる。「回折される」という用語は、マークからのゼロ次回折(反射と呼ぶことができる)を含むことが意図される。例えば上記の米国特許6961116号に開示されているタイプの自己参照干渉計SRIは、ビームIBをそれ自体と干渉させ、その後ビームは光検出器PDによって受光される。放射源RSOによって2つ以上の波長が生成される場合は、追加の光学系(図示せず)を含ませて別個のビームを提供してもよい。光検出器は単一の要素とするか、又は所望の場合は多くの画素を含むことができる。光検出器はセンサアレイを含み得る。
【0045】
この例ではスポットミラーSMを含む誘導光学系が、マークから反射したゼロ次放射を阻止するよう機能することで、情報保持ビームIBがマークAMからの高次回折放射だけを含むようにしてもよい(これは測定に必須ではないが、信号対雑音比を改善する)。
【0046】
強度信号SIが処理ユニットPUに供給される。ブロックSRIにおける光学処理とユニットPUにおける計算処理の組み合わせによって、基準フレームに対する基板上のX及びYの位置の値が出力される。
【0047】
図示されているタイプの単一測定は、マークの1つのピッチに対応する特定範囲内のマークの位置を固定するだけである。これと関連付けてもっと粗い測定技法を用い
て、このマーク位置を含む正弦波の周期を識別する。マークが作製されている材料やマークの下及び/又は上に提供されている材料とは無関係に、精度の向上及び/又はマークのロバストな検出のため、様々な波長で、粗いレベル及び/又は微細レベルで同一のプロセスを繰り返すことができる。波長は、同時に処理されるように光学的に多重化及び逆多重化すること、及び/又は時分割もしくは周波数分割によって多重化することができる。
【0048】
この例では、アライメントセンサ及びスポットSPは固定状態のままであり、移動するのは基板Wである。従ってアライメントセンサは、基準フレームに堅固かつ高精度に搭載されながら、実質的に基板Wの移動方向と反対の方向にマークAMをスキャンすることができる。基板Wのこの移動は、基板Wが基板サポートに搭載されると共に基板位置決めシステムが基板サポートの移動を制御することによって制御される。基板サポート位置センサ(例えば干渉計)が、基板サポート(図示せず)の位置を測定する。一実施形態では、基板サポート上に1つ以上の(アライメント)マークが設けられている。基板サポート上に設けられたマークの位置を測定することにより、位置センサで決定される基板サポートの位置を較正できる(例えばアライメントシステムが接続されているフレームに対して)。基板上に設けられたアライメントマークの位置を測定することにより、基板サポートに対して基板の位置を決定できる。
【0049】
光半導体計測の場合、前述の計測ツールのいずれかなどの検査アプリケーションでは、コヒーレント放射を出力し、同時に広波長域(例えば、UVからIRまで)をカバーする明るい光源がしばしば好ましい。このような広帯域光源は、ハードウェアを変更することなく(たとえば、特定の波長を有するために光源を変更すること)、同じセットアップ/システムで異なる材料特性を持つウェハを光学的に検査できるようにすることで、アプリケーションのフレキシビリティとロバスト性を向上させるのに役立つ。特定のアプリケーションに合わせて波長を最適化できるということは、測定の精度をさらに高めることができることも意味する。
【0050】
複数の波長を同時に放出するガス放電効果に基づくガスレーザは、これらのアプリケーションで使用することができる。ただし、ガスレーザに関連する高強度の不安定性や低空間インコヒーレンスなどの固有の問題により、それらが不適切になる可能性がある。あるいは、異なる波長の複数のレーザ(例えば、固体レーザ)からの出力を、複数の波長の光源を提供するために、計測または検査システムの光路に空間的に組み合わせることができる。必要な波長の数とともに増加する複雑さと高い実装コストは、そのようなソリューションが広く使用されることを妨げる。対照的に、スーパーコンティニウムレーザとも呼ばれるファイバに基づく広帯域または白色光レーザは、高い空間コヒーレンスと広いスペクトル範囲(UVからIRなど)の放射を放出できるため、非常に魅力的で実用的なオプションである。
【0051】
中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)は、中央の中空コア領域と、中空コアを取り囲む内部クラッド構造とを備え、それらの両方ともファイバ全体に沿って軸方向に延びる特殊なタイプの光ファイバである。光ガイダンスメカニズムは、例えば、薄肉ガラス要素を含み得る内部クラッド導波路構造によって可能になる。したがって、放射は主に中空コアの内部に閉じ込められ、横コアモードの形でファイバに沿って伝播する。
【0052】
いくつかのタイプのHC-PCFは、それぞれが異なる物理的ガイダンスメカニズムに基づいて設計することができる。このような2つのHC-PCFには、中空コアフォトニックバンドギャップファイバ(HC-PBF)と中空コア反共振反射ファイバ(HC-ARF)が含まれる。
【0053】
HC-PCFは、流体で満たされた中空チャネルを含み、その結果、それらは、たとえば、HC-PBFを使用した高出力ビームデリバリや、HC-ARFを使用したガスベースの白色光発生(またはスーパーコンティニウム発生)などの様々な光ガイダンスアプリケーションのために結果として生じる所望の特性を有する。HC-PCFの設計と製造の詳細は、米国特許US2004175085号(HC-PBFの場合)および国際特許出願WO2017032454号(HF-ARFの場合)に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。HC-PBFは、中央の中空コアを囲むクラッド構造によって確立されたフォトニックバンドギャップ効果によって、低損失であるが狭帯域幅の光ガイダンスを提供するように構成されている。一方、HC-ARFは、クラッドからの光の反共振反射によって伝送帯域幅を大幅に広げるように設計されている。
【0054】
図7は、いくつかの既知のタイプのHC-PCFを断面図で示しており、本明細書に開示される概念を組み合わせて使用することができ、および/または適用することができるHC-PCFの例である。
図7(a)は、カゴメ格子構造を構成するカゴメファイバを示す。
図7(b)は、中空のコア領域が形成され、非接触リングの層で囲まれている、シングルリングまたはリボルバファイバを示す。
【0055】
図7(c)は、前述の国際特許出願WO2017032454号に開示されているHC-PCFの別の実際的な例の横断面を示している。円はAREの固体材料、または石英ガラスやシリカなどの外側のクラッド領域を表し、影付きの部分には固体材料がない(真空またはガスまたは液体で満たされている)。HC-PCFは、中空コア領域10(
図7(c)に点線の円で表される)と、複数の反共振要素(ARE)21を備えた内側クラッド領域20と、外側クラッド領域30と、を含む。
中空コア領域10は、ARE21の間の、HC-PCFの長手方向の長さに沿って延在し、最小の横方向コア寸法Dを有する空きスペースである。内側クラッド領域20のARE21は、肉厚tおよび最小の横方向のARE寸法dを有するキャピラリを含み得る。ARE21は、外側クラッド領域30の内面に固定することができる。外側クラッド領域30は、例えばガラスから成るよりおおきなキャピラリを含み、HC-PCFの閉じたクラッドを提供する。
図7(c)のHC-PCFは、直径D(直径方向に向かい合ったARE21間の最短距離)の中央の中空コアを作るために、ARE21が、外側クラッド領域30のより大きなキャピラリ内に6重の対称パターン(six-fold symmetric pattern)で配置された、円形の横断面を有する6つの薄肉のキャピラリのシングルリングを含む実施形態を示す。
【0056】
図7(c)に示される本発明のHC-PCFの例は、特に、ARE21の数に関して修正することができる。AREは、例えば、4、5、または7以上の数であり得る。AREの配置は、他の多くの方法で変更できる。各ARE21は、例えば、楕円形または多角形の断面を有することができる。外側クラッド30の内側形状は、例えば多角形の断面を有することができる。ARE21の固体材料は、例えば、PMAのようなプラスチック材料、シリカのようなガラス、または軟ガラスを含み得る。
【0057】
ガスベースの白色光発生の場合、HC-PCFは、例えば、最大数十バール(例えば、最大100バール)の圧力で動作するように設計されたガスセル内に含まれ得る。ガスで満たされたHC-PCFは、十分なピークパワーを持つ超短ポンプレーザパルスによって励起されると、光周波数コンバータとして機能する。超短ポンプレーザパルスから広帯域レーザパルスへの周波数変換は、ガス充填ファイバ内の分散と非線形光学プロセスの複雑な相互作用によって可能になる。変換されたレーザパルスは、主に横方向コアモードの形で中空コア内に閉じ込められ、ファイバ端に導かれる。放射の一部、たとえば高次の横コアモードまたは特定の波長は、ファイバに沿って伝播する間に、中空コアから内側のクラッド導波路構造を通って漏れ、強い減衰を受ける可能性がある。HC-PCFのコア領域とクラッド領域は、高次のコアモードが高次のクラッドモードと位相が一致するように構成できる。
【0058】
レーザパルスの時空間伝送特性、例えば、HC-PCFに沿って伝送されるそのスペクトルの振幅と位相は、ポンプレーザのパラメータ、充填ガスのパラメータ、およびファイバのパラメータを調整することで変更および調整できる。前記伝送特性は、出力パワー、出力モードプロファイル、出力時間プロファイル、出力時間プロファイルの幅(または出力パルス幅)、出力スペクトルプロファイル、および出力スペクトルプロファイルの帯域幅(または出力スペクトル帯域幅)のうちの1つまたは複数を含み得る。前記ポンプレーザパラメータは、ポンプ波長、ポンプパルスエネルギー、ポンプパルス幅、ポンプパルス繰り返し率、またはポンプパルス形状のうちの1つまたは複数を含み得る。前記ファイバパラメータは、ファイバの長さ、中空コアのサイズおよび形状、クラッド構造のサイズおよび形状(またはキャピラリ数)、中空コアを取り囲む壁の厚さ、のうちの1つまたは複数を含み得る。前記充填ガスパラメータは、ガスの種類、ガス圧力、およびガス温度、のうちの1つまたは複数を含み得る。ファイバおよび/またはガスのパラメータもまた、ファイバに沿って変化する。例えば、ファイバがテーパーしていてもよいし、ガス勾配があってもよい。
【0059】
充填ガスは、アルゴン、クリプトン、およびキセノンなどの希ガス、水素、重水素および窒素などのラマン活性ガス、またはアルゴン/水素混合物、キセノン/重水素混合物、クリプトン/窒素混合物、または窒素/水素混合物などのガス混合物であり得る。充填ガスの種類に応じて、非線形光学プロセスには、変調不安定性(MI)、ソリトン核分裂、カー効果、ラマン効果、および分散波発生が含まれる。これらの詳細は、WO2018/127266A1号およびUS9160137B1号(それらの両方が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。ガスセルの圧力を変えることで充填ガスの分散を調整できるため、周波数変換を最適化するために、生成される広帯域パルスダイナミクスと関連するスペクトル広がり特性を調整できる。生成された広帯域レーザ出力は、UV(たとえば、<200nm)から中赤外(たとえば、>2000nm)までの波長をカバーできる。
【0060】
図8に示されるように、広帯域光源装置100は、一連のポンプパルス111を出力するポンプレーザ110と、入力ポンプパルスをスペクトル的に拡大する光学部品120と、出力広帯域スペクトルを測定する光学診断デバイス130と、を備える。光学部品120は、特定のファイバ長を有するHC-PCF(例えば、HC-ARF)101と、特定の圧力または圧力分布を有する作動ガスまたはガス混合物で満たされたガスセル102と、を備える。ガスセル102は、ガスセル102のそれぞれの端部に配置された入力光学窓103aおよび出力光学窓103bをさらに備える。入力光学窓103aは、窓を介して超短ポンプレーザパルスをガスセル102に入れるように動作可能である。ガスで満たされたHC-PCF101に結合された後、ポンプレーザパルス111は、ファイバに沿って伝播し、そこで大幅なスペクトルの広がりを受ける。結果として生じる広帯域レーザパルスは、続いて、出力光学窓103bを介してガスセル102から放出され、光学診断デバイス130(例えば、分光計)によって測定される。
【0061】
HC-PCF101を作動ガスで満たすために、ガスセル102は、加圧ガス供給またはリザーバ(図示せず)と連通していてもよい。ガスセル102の壁および窓103a、103bの内面は、空洞(キャビティ)を取り囲んでいる。ガスセルの軸は、HC-PCF101の軸に平行である。
【0062】
典型的には、HC-PCFは、本明細書に記載されるような計測用途で使用される場合、光学システム内の固定点に対してファイバを配置するマウントを使用して、少なくともその両端で支持される。従来技術の取り付け方法には、バネ仕掛けのホルダまたは磁石を使用して、スロット付きフェルール、V溝を介して適用される接着剤、テープおよびクランプ力の使用が含まれる。本発明者らは、参照により本明細書に組み込まれるオランダ特許出願NL2023515A号において、これらの方法の使用がガスベースのスーパーコンティニウム(または白色光源)源に適していないことを最近開示した。この理由には、接着剤のガス放出による汚染と寿命の短縮、およびHC-PCFに誘発される応力による光学性能の低下が含まれる。NL2023515A号では、内部HC-PCF構造に対して対称的な応力分布を持つように設計されたマウントを使用することで、これらの欠点を軽減できることが示されている。
【0063】
HC-PCFベースの光源を操作する場合、汚染物質は、時間の経過とともにHC-PCFの端面で成長する。特に、本発明者らは、汚染の成長が主にHC-PCFの出力ファセット(facet)で発生することを観察した。汚染の成長は、光の強度が高い場所で発生するように見える。汚染の成長は、光がスペクトル的に広がっている場合にも発生するように見える。特に、汚染は入力ファセットではそれほど強く成長しない。さらに、汚染は主にHC-PCFの出力ファセットで観察され、HC-PCF自体の内部では観察されない。
【0064】
汚染物質は、ガスセルの窓から、またはHC-PCFから除去されるシリカ粒子に起因して発生する可能性がある。汚染物質は、PCFからの広がった出力光で光誘起プロセスを経て、それらの化学構造を変化させたり、出力ファセットで結晶化したりする可能性がある。一定時間の動作後(たとえば、一定の線量(J)のレーザエネルギーが伝送された後)、この汚染によりファイバの性能が低下する。この劣化は、ガラス成長現象(GGP:glassy growth phenomenon)と呼ばれることがある。あるいは、GGPは、物理的または化学的スパッタリングを介したシリコンのモビリゼーション(原子として、またはSiH4などの揮発性種として)、および/またはファイバの出力端でのプラズマ誘導または温度誘導堆積に関連し得る。
【0065】
これらの汚染物質の蓄積は、光源の寿命の減少をもたらす。GGPとその結果生じる出力ファセットでの汚染物質の成長は、発散ビームの光路に突き出る可能性がある。これにより、出力光が散乱し、光源の出力パワーが減衰する。GGPは、光源の寿命を短くする。GGPは光散乱を引き起こすため、ファイバの性能が低下する。これにより、たとえば、センサに必要なフォトンバジェット(photon budget)が一定期間後に満たされなくなる可能性がある。また、GGPは、光源パワー/スペクトル密度およびモードプロファイルのドリフトを引き起こす。これが解決されない場合は、頻繁な再キャリブレーションが必要になる。そのため、ファイバの寿命が短いということは、現場で頻繁にファイバを交換することを意味する。
【0066】
HC-PCFの端面での汚染物質の成長を低減するために、HC-PCFのキャピラリをコラプス(collapsed)させることができる。キャピラリの先細りの端(テーパー端)は、汚染物質の成長を防ぐことができる。ただし、この解決策は、装置内の汚染物質の根本的な問題に対処しておらず、特にキャピラリのテーパーが完全でない場合、汚染物質の増加を完全に回避することはできない。
【0067】
次に、HC-PCFの寿命を延ばすための改善された方法および配置について説明する。いくつかの実施形態では、これは、スーパーコンティニウム放射源内にHC-PCFを取り付ける改善された方法を含み得る。他の方法は、GGPの形成を減らすためにHC-PCF形状を改善することを含み得る。
【0068】
(HC-PCFバルブ)
第1実施形態では、ガスセル102を完全に省くことが提案されている。代わりに、HC-PCF101内(つまり、実際のファイバ内)の中空領域を主要なガスリザーバとして使用することが提案されている。このような概念は、照明アプリケーションで使用される従来のライトバルブの概念に類似していると考えることができる。したがって、この実施形態の提案されたHC-PCF配置は、説明全体を通してHC-PCFバルブと呼ばれる。
【0069】
図9は、2つのそのような実施形態による、組み合わされたHC-PCFバルブ900、900’の一端を示している。いずれの場合も、もう一方の端は本質的に類似していてもよく、そうでなければ、HC-PCFファイバ910は、一方の端に
図9(a)の配置を、もう一方の端に
図9(b)の配置(または本開示の範囲内にある他の任意の組み合わせ)を持っていてもよい。
【0070】
各実施形態において、HC-PCFファイバ910の端部は、端部または外端キャピラリ920、920’およびエンドキャップ930を含む。外端キャピラリ920、920’は、外端キャピラリ920、920’の少なくとも一部にわたって、HC-PCFファイバ910の内径よりも大きい内径を備える。
図9(a)の実施形態では、外端キャピラリ920、920’は、HC-PCFファイバ910の各端部に接合され、エンドキャップ(例えば、透明な窓)930によって封止され得る。エンドキャップ930は、たとえば、ガラスで形成され得る。エンドキャップ930はまた、一方の端にポンプビームを結合するための入力レンズおよび/または他方の端に出力ビームをコリメートするための出力レンズを備えることができる(または任意選択でレンズは分かれていてもよい)。
【0071】
図9(a)において、外端キャピラリ920は、それぞれが外側にテーパーしているテーパー外端キャピラリ920を含む(エンドキャップ930に向かって、HC-PCFファイバ910の長さに沿って、HC-PCFファイバ外側キャピラリまたは外側ジャケット925の内径から拡大する内径を規定する)。これは、ポンプレーザの超短レーザビームが、HC-PCFファイバ910に直接取り付けられたエンドキャップに不可逆的な損傷を与える可能性があるためである。さらに、局部的なキャピラリ直径は、入力/出力端での集束/発散レーザビームよりもかなり大きくする必要がある。
図9(b)において、端部または外端キャピラリ920’は、HC-PCFファイバ外側キャピラリ925の内径よりも大きいほぼ均一な内径を含む。これらは単なる例であり、HC-PCF910から放出された発散する広帯域放射がHC-PCFファイバ910の端部から軸方向の伝搬方向のそれぞれの端部によって遮断されない(または集束ポンプ放射がHC-PCFファイバ910に入るのを妨げられない)ように、端部の少なくとも一部に対してより大きな内径を有する端部を有する任意の構成が、本開示の範囲内にある。
【0072】
外端キャピラリ920、920’をHC-PCFファイバ910にスプライシングすることは、市販のファイバスプライシングマシン(例えば、電気アーク、フィラメントを使用する)、または火炎またはレーザなどの代替方法を使用して、比較的簡単な方法で実施することができる。エンドキャピラリ920、920’とHC-PCFファイバ外側キャピラリ925との接合中に、HC-PCFファイバ910の内側キャピラリはコラプスし(collapsed)、拡大またはテーパー状のコア領域940を形成し得る(ファイバ端に向かって中空コア直径を拡大する)。これは、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願EP17171468号に記載されているように、スーパーコンティニウム源の寿命を改善することができる。エンドキャップ930をエンドキャピラリ920、920’に接合することも同様に達成することができる。あるいは、内側キャピラリのコラプシング(collapsing)は、最初のステップで実行され、その後、スプライシングを実行する第2のステップが続くことができる。
【0073】
HC-PCFへの加圧ガスの充填は、最後のスプライスが行われる前に実施されるべきである。数十バールの圧力が必要なため、ガラスに熱が放散されると、ファイバが膨張する可能性がある。加圧ガラスライトバルブまたはプラズマランプを製造するための確立された方法は、本明細書に開示されるようなHC-PCFバルブ900を製造するために適合させることができる。そのような方法は、(最終スプライスの前に)HC-PCFバルブ900を、(HC-PCFバルブ900から空気を除去するために)排気された容器に挿入し、HC-PCFバルブ900を加圧ガスで洗い流すことを含み得る。次に、最終的なスプライスは、HC-PCFファイバ910を局所的に膨張させないように高圧環境で行われる。スプライスが漏れのない接続を形成する場合、HC-PCFバルブ900は、容器から取り出されたときに加圧ガスを閉じ込めたままにする。別の方法は、接続の1つ(例えば、エンドキャピラリ920、920’とエンドキャップ930との間の接続)の間にノズルを挿入し、ノズルを使用して加圧ガスを注入することを含み得る。ノズルを迅速に取り外しながらファイバを加熱することにより、HC-PCFバルブ900内の加圧ガスを維持しながら、最後に開いた接続をシールすることができる。
【0074】
作動ガスは主に、シリカ中での拡散が少ない比較的大きな原子(例えば、クリプトン)からなるが、水素は、HC-PCFバルブ900の寿命を延ばすのを助けるために最初に加えられてもよい。この水素は、HC-PCFバルブ900から外へ、より急速に拡散する傾向がある。 HC-PCFバルブ900は、特定の用途において、HC-PCFバルブ900内に最初に存在するものと同じまたは同様の水素分圧を有する環境に挿入され得る。(一実施形態では)HC-PCFバルブ900のガス消費量は、最終的には、溶融シリカ(またはより一般的にはHC-PCFバルブ900の材料)への作動ガスの溶解性と拡散性、およびエンドキャピラリ920、920’がメインHC-PCFファイバ910に接合される接合点の忠実度によって決まる。外部ガスセルと比較して、Oリング接続(またはマルチマテリアルシーラントまたは接着剤)が回避され、ガス漏れが減少する。
【0075】
HC-PCF900の軸方向寸法は、
図8の従来のガスセル配置に関して変更されていないが、横方向寸法は、サブmmスケールに縮小され得る。これにより、現在のガスセルのコンセプト(直径5cm)と比較して断面直径が約20~100倍減少する。最小化されたガス量と管状設計は、ガスセルの概念と比較して安全面を改善し得る。
【0076】
HC-PCFバルブ900の全体的な少量ガスリザーバは、作動ガスの原子/分子の数密度を最小化する。その結果、汚染物質の数が大幅に減少する。一般的なガスセルと比較して、汚染物質の数密度は100分の1以上に減少する可能性がある(例えば、ガスセルの内部直径が1mm(実際には現在の典型的なものよりも小さい)であり、ここに開示されているHC-PCFバルブ900の中空直径が0.1mmであると仮定した場合)。さらに、HC-PCFバルブ900は、不活性材料(シリカおよび作動ガス)から製造することができる。その結果、汚れた表面(金属ガスセルの製造中に使用される潤滑剤など)からの汚染物質や、Oリングからの有機分子が回避される。
【0077】
HC-PCFバルブ900を取り付けるために、それは、キャピラリ920、920’上の点でクランプされ得る。その結果、実際の導波路(ファイバ940)への機械的ストレスが回避される。これにより、HC-PCFを外部ガスセルに取り付けるために必要な特別なマウントとは対照的に、工業化されたマウントの概念を使用できるようになる。
【0078】
外部ガスセルでは、HC-PCFファイバのポリマーコーティングを注意深く除去する必要がある。そうでなければガス放出がガス環境を汚染し、スーパーコンティニウム源の寿命を縮めるからである。本明細書に開示されるHC-PCFバルブ900において、ファイバコーティングを無傷に保つか、または追加の保護のためにコーティングを強化することさえ(例えば、再コーティング機を使用して)好ましい場合がある。これにより、安定性が向上し、HC-PCFバルブ900が環境の影響(引っかき傷、機械的衝撃など)から保護される。
【0079】
そのようなHC-PCFバルブ900のコストは、外部ガスセル設計と比較して削減されることが期待される。金属ガスセルの製造コストはなくなる。もちろん、HC-PCFバルブ900の製造コストは発生するが、ガラスのみで構成されているため、材料費はほとんど無視できる。必要な機械には、コストのかかる機械加工ツール(CNCマシンなど)は含まれない。
【0080】
(マウントを改善するためのスリーブ付きHC-PCF)
すでに説明したように、NL2023515Aは、従来のマウントよりも、より対称的な応力分布を提供するいくつかのマウント構成を説明している。NL2023515Aは、HC-PCFを含むマウントされた中空コアファイバ構成と、マウント構成を開示しており、マウント構成は、中空コアファイバの外層に力を加えるように構成された複数のマウント接点を含む。中空コアファイバの一部は、マウント構成の受入領域に配置されている。複数のマウント接点は、受入領域の周りに配置されている。マウント接点は、受入領域の周りに分布しており、マウント接点の分布は、中空コアファイバの微細構造の特徴の分布に対応している。特に、マウント接点の分布は、対称的な応力分布を保証する(たとえば、応力分布の対称性を最大化する)。
【0081】
図10は、NL2023515Aに開示されているようなマウント構成の例を示している。HC-PCFファイバ1000は、マウント装置の受入領域1030内に配置されている。マウント構成は、ベース1020および蓋1040を含む。(例えば、調整可能な)力AFを、蓋1040(または蓋とベースの両方)に加えて、それらが互いに向かって押し付けられるようにすることができる。力は、例えば、ばね式ねじ、電気的構成(例えば、マウント構成のいずれかの側で反対に帯電したプレートを使用する静電引力を介して)または磁気的構成(例えば、マウントのいずれかの側で磁石を使用する)を介して加えることができる。ベース1020は、受入領域1030を規定する溝を含み得る。示されている例では、溝はV字形の溝である。しかしながら、1つまたは複数の溝(例えば、ベース1020および蓋1040に相補的な溝があり得る)は、多角形(例えば、五角形または六角形)、湾曲した形状または不規則な形状を有する受入領域1030を規定し得る。
【0082】
NL2023515Aに記載されているように(そしてその刊行物の
図8に示されているように)、あまりにも高いクランプ力の適用は、スーパーコンティニウム光源の光学性能を低下させる。ただし、
図10のマウント構成を使用する場合でも、許容されるクランプ力(つまり、そのような性能低下の前)は、特に工業環境で加えられる衝撃や振動に対して、ファイバをしっかりとマウントするには不十分である可能性がある。より高いクランプ力を可能にするには、ファイバマウントコンセプトの概念がより対称的な応力分布を保証するか、ファイバがより耐応力性である必要がある。前者はすでにNL2023515Aで対処されており、応力分布の対称性の大幅なさらなる改善が実際に達成される可能性は低い。ファイバをより耐応力性にするためには、異なるファイバ構造が必要である(例えば、参照により本明細書に組み込まれるオランダ特許出願NL2022892Aに開示されるようなより大きなファイバ外径またはファイバ内応力吸収材)。ただし、これらの概念には実験的な検証が必要であり、実装が難しい場合がある。
【0083】
本明細書に開示されるのは、HC-PCFファイバがキャピラリ(例えば、スリーブ)に挿入されるハイブリッドコンセプトである。スリーブは、HC-PCFファイバの外径よりも(わずかに)大きい内径を有する。そして、スリーブは、適切なマウント、たとえばNL2023515Aに開示され、
図10に示されているマウント、によってしっかりとクランプできる。このような構成の利点は、クランプ力を比較的強くできることである(たとえば、工業化に十分であり、ファイバに直接適用した場合に可能なものよりも強力)。一方、力はHC-PCFに直接加えられないため、光学性能を損なうことはない。
【0084】
図11は、このコンセプトによるいくつかの実施形態を示している。示される実施形態のそれぞれにおいて、HC-PCFファイバ1100は、各端部でスリーブ1130に挿入される。これらのスリーブのそれぞれは、一端にわずかにテーパーの付いたプロファイル1140を有することができる。このテーパープロファイル1140はオプションであり、HC-PCF1100は、代わりに、軸方向に一様なスリーブ内に組み込まれ得ることに留意されたい。一実施形態では、HC-PCFファイバ1100の端部は、テーパープロファイル1140と(接触点1150で)ぴったり重なるまで、テーパースリーブ1130に挿入され得る。そのような実施形態は、HC-PCFファイバ1100とスリーブ1130との間の間隔が、スリーブがクランプされるときに追加のばねとして機能するという利点を有する。
【0085】
図11(a)において、HC-PCFファイバ1100およびスリーブ1130の両方は、両端でHC-PCFファイバ1100を超えるスリーブがほとんどまたは全くないように、同じ位置1160でまたはその近くで終端する(
図11(a)と
図11(b)は一方の端のみを示している。両端は類似している)。
図11(b)には、スリーブ1130’がHC-PCFファイバ1100の端面から突き出ている(1160’)実施形態が示されている。これは、クランプを改善し、ガスの乱流と汚染物質の蓄積を低減し、システムの寿命を延ばす可能性があるという追加の利点を有する。
【0086】
図11(c)は、各端部にスリーブが存在する代わりに、ファイバ1100全体に沿って延びる単一のスリーブ1130’’が設けられる別の実施形態を示す。示される実施形態では、ファイバは両端で突き出ていてもよく(
図11(b)に示すものと同様の方法で)、スリーブの端はそれぞれの透明な窓を備えたエンドキャップ1170によって封止されている(例えば、ポンプレーザ放射を受け取るための入力窓およびスーパーコンティニウム放射を出力するための出力窓)。このようにして、スリーブは、ガスセル(例えば、
図8のガスセル102)として機能し、効果的に置き換えることができる。これには、従来のガスセル構成と比較して、少量のガスセルという利点がある。エンドキャップ1170は、一方の端にポンプビームを結合するための入力レンズおよび/または他方の端に出力ビームをコリメートするための出力レンズを備えることができる。
【0087】
規定されたクランプを確実にするために、スリーブ1130、1130’、1130’’とHC-PCF1100との間の強固な接続が確立されるべきである。たとえば、スリーブとHC-PCFの間に化学的接続を形成する。提案された方法の1つは、スリーブ1130、1130’、1130’’をHC-PCF1100上にコラプシング(collapsing)することを含む。これは、HC-PCF1100の材料(通常はTg≒1200℃のシリカで構成されている)よりも低い転移温度(Tg)を持つスリーブ材料を使用することで実現できる。例として、Tg≒165℃の転移温度を持つホウケイ酸ガラスを使用することができる。他の例には、カルコゲニドまたはテルライトなどの軟質ガラスが含まれる。ただし、より低い遷移温度は必要ではなく、スリーブを折りたたむこの方法は、スリーブの材料がファイバと同じ材料(シリカなど)の場合にも機能する。コラプシングは、局所的なHC-PCF構造を歪めることなく、強固な機械的接続が実現されるまで加熱強度および加熱時間を調整しながら、スリーブ-HC-PCFハイブリッド構造を局所的に加熱することによって(たとえば、炎、フィラメント、電気アーク、またはレーザ光による加熱を適用)達成できる。
【0088】
HC-PCF上のスリーブのコラプシングは応力を導入することに留意されたい。これは、材料間の熱膨張係数の差が大きいほど顕著になる(HC-PCFの熱膨張係数は0~200℃の範囲で約0.57×10-6/K;ホウケイ酸塩の熱膨張係数は約5倍大きい)。公知であることに基づくと(例えば、NL2023515Aに記載されているように)、これはスーパーコンティニウム光源の光学性能を低下させる可能性がある。これに対処するために、一実施形態では、局所的コラプシングの位置を、HC-PCFの導波領域から切り離すことが提案されている。HC-PCFバルブの実施形態に関してすでに説明したように、HC-PCFは、両端でテーパー1110を製造するように処理され得る(例えば、EP17171468に記載されるようなスーパーコンティニウム源の寿命を改善するために)。これは、スリーブを付ける前に薄肉の内側キャピラリをコラプシングし、従って中空コアの直径が端に向かって増加する領域を規定することによって、行うことができる。本発明者らは、この領域(通常は数百μmの長さ)では、HC-PCFは実際には導波路ではなく、したがってこの領域は局所的により耐応力性であることに気付いた。コラプスしたスリーブがテーパ-領域1110内にある場合、誘発された応力は、堅牢なマウントソリューションを提供するとはいえ、光学性能を損なうべきではない(またはある程度だけにすべきである)。
【0089】
したがって、スリーブ付きHC-PCF(記載された実施形態のいずれか)は、HC-PCF内部テーパ-領域1110と一致するように配置されたコラプススリーブ領域1140(スリーブテーパ-領域)で組み立てられることが提案される。特に、前記スリーブ構成が前記中空コアフォトニック結晶ファイバと接触する任意の接触領域は、中空コアフォトニック結晶ファイバ軸に沿ったテーパ-コア領域またはそれを超える(この文脈におけるテーパ-コア領域を超えるとは、それぞれの端に向かう方向にテーパ-コア領域を超えることを意味する)。スリーブ1130とファイバ1100との間の接触領域は、接触領域とHC-PCFの主導波路領域が軸方向長さに沿って一致しないように、テーパー長よりも小さく、テーパー長と一致する軸方向長さを含み得る。
【0090】
(トランペットHC-PCF)
説明したように、HC-PCFの限られた寿命の主な原因であるガラスの成長現象は、主に、ファイバの出力端面、特にキャピラリの鋭いエッジおよび光ファイバを覆う外側キャピラリまたは外側ジャケットのエッジで見られる。
【0091】
この実施形態では、ファイバのガラス外側ジャケットを発散ビームからさらに遠ざけるように移動する、および/またはファイバの端面での開いたガラス断面を効果的に回避する構成が説明される。この構成は、光ビームが下流で使用されることを可能にするために中空コアが遮られないままであるようなものであり得る。このような修正されたファイバは、核形成/凝縮サイトがビームの強い電界から効果的に離れるように移動するため、ガラス材料の成長速度を劇的に低下させる可能性がある。
【0092】
この修正されたファイバを実現するために、ファイバ端部にトランペット形状を作成することが提案されている。そのような構成は、上記のHC-PCFバルブの実施形態のいくつかに類似し得るが、シーリングエンドキャップがない(例えば、この実施形態のファイバがより従来のガスセル構成内で使用され得るように)。トランペットの形状は、例えば、ファイバ出力端部を成形することによって、または適切に成形された出力端部を取り付ける/結合することによって形成することができる。
【0093】
したがって、HC-PCFファイバの出力端部は、出力端部の前の中空コアフォトニック結晶ファイバの中央部分に沿った外側キャピラリ/ジャケットの内径よりも大きな、前記出力端部の少なくとも一部にわたる内径を含み得る。この中央部分は、ファイバ長の主要部分、またはHC-PCFの長さの途中の内径に関連している可能性がある。基本的に、内側キャピラリのテーパーまたは拡大された端部の間の中央部分では、HC-PCF内径は通常、長さに沿って名目上一定であり、処理の欠陥/変動または経時的な損傷による不要な変動を無視する。
【0094】
膨張前のコア内径および外径の寸法は、それぞれ30+/-10μmおよび125+/-25μmであり得る。拡張後、これらの寸法は使用する製造方法によって異なる場合があるが、コアの内径Dcoreは、100μm~4.5mmの範囲であり、外径Douterは、150μm~7mmの範囲であり得る。製造方法ごとのより具体的な範囲を以下に説明する。
【0095】
図12は、HC-PCFファイバFの一端の概略図を示しており、ファイバ端(すなわち、内側キャピラリまたは反共振要素AREおよび外側キャピラリまたは外側ジャケットOJの両方)が外向きにテーパー状となっている、つまり、ファイバの長手方向軸から離れている。さらに、内側キャピラリAREは、この外向きにテーパーした領域(長さL
tpに沿って延びる領域)でコラプス(collapsed)する可能性がある。内側キャピラリAREは、図のようにファイバの端まで伸びている場合もあれば、端の前で終端している場合もある。後者の場合、ガラス成長のための核生成側(nucleation sides)の形成を回避するために、内側キャピラリを外側ジャケットOJに混合することができる。このようなHC-PCFファイバFは、例えば、以下に記載され、
図14(a)および
図14(b)に示されるガラス吹き法のいずれかを使用して製造され得る。
【0096】
図13は、別個に製造されたガラストランペットTP(長さL
tpに沿って延びる)を含むHC-PCFファイバを示し、これは、ファイバFに取り付けられている(例えば、バットカップリングまたはスプライス)。ファイバの内側キャピラリAREはコラプスされていてもよく、示されているように、外側ジャケットOJにブレンドされていてもよい。この実施形態では、ファイバ端部の開いたガラス断面を回避するか、少なくとも大幅に減らすことができる。このようなHC-PCFファイバFは、例えば、以下に記載され、
図14(c)、
図14(d)および
図14(e)に示されるスプライシング方法のいずれかを使用して製造され得る。
【0097】
次に、この実施形態のトランペット端部を製造するためのいくつかの方法について説明する。これらの方法はまた、上記のHC-PCFバルブの実施形態を製造するために使用され得、その実施形態における追加のステップは、ファイバに作動ガスを充填し、作動ガスを封止するためにエンドキャップまたは窓を取り付け/スプライシングすることであることに留意されたい。2つの方法は、熱を加えながらファイバの内部と外部の間に圧力差を作り出すことに依存しており、ガラス吹きとも呼ばれる。他の2つの方法は、トランペットを個別に作成し、それをファイバの端面に融合することに依存している。
【0098】
図14(a)は、第1の吹きガラスの例の配置を概略的に示している。ここでは、ガラス吹きがクリービング(cleaving)後に行われる。現在のファイバ加工では、最終ステップは、内側キャピラリのテーパリングの後にファイバをクリービングすることを含み得る。このファイバ端にトランペット形状を作成するために、ファイバFの先端をカウンタボディCB(たとえば、より大きな直径の固体ファイバであり得る)に近接させ、ファイバFの他端にガス圧を与えることが提案される。示されている例では、ガス圧力は、ガスリザーバGRまたはガス源および圧力調整器PRを使用して加えられ、圧力キャップPCを介してファイバFに導入することができる。カウンタボディCBは、ファイバ先端までの距離が流れの支配的な制限を作り出すという条件で、ファイバ先端での圧力の増大を可能にする。ファイバの内径は~30μmであるため、この距離はたとえば5μm以下であり得る。ただし、形状の融合や制御されていない変形を避けるために、カウンタボディCBがファイバチップと接触してはならないことに留意する。近接して圧力がかかると、ファイバの先端は熱源HSによって軟化温度に向かって加熱され、その時点で半径方向外側に拡張する。この手順全体を、従来のまたは市販のスプライサで実行できる場合がある。そのようなスプライサでは、熱源は、例えば、アーク放電またはCO
2レーザであり得る。拡張後、たとえば、内側コアの直径D
coreは、100μmから450μmの間、外側コアの直径D
outerは、150μmから500μmの間になる得る。トランペットの長さL
tpの値も150μmから500μmの間であり、D
outerの実際の値と同様であり得る。
【0099】
図14(b)は、第2のガラス吹きの例の配置を概略的に示しており、ガラス吹きは、クリービング前に実行される。この配置は、ファイバを最終的な長さにクリービングする前に、ファイバに圧力を加えることによってファイバの端を拡張する。これは、内側キャピラリAREをテーパリングするための任意のテーパリングステップと組み合わせて、またはその代わりとして行うことができる。ガスリザーバGRを介してファイバに圧力をかけ、熱源HSを介して局所的な熱を加えることにより、ファイバを局所的に膨らませて小さな気泡を作ることができる。気泡を生成した後、ファイバを気泡の長さに沿った位置で(例えば、気泡の最も広い点またはその周辺で)切断して、トランペット型のファイバ端を得ることができる。このようなアプローチでは、
図14(a)で説明した方法と同様のコア直径とトランペット長の値が得られる。
【0100】
図14(c)は、第1の製造方法の第1のステップを示しており、ここでは、トランペット端部が、例えば、キャピラリファイバCFから別個の構成要素として製造される。キャピラリファイバCFは、例えば、約1mmの外径を有し得る。ファイバを両端から引っ張りながら熱源HSを適用することにより、テーパーが作成される。テーパーは、このテーパーのウエスト(またはその周辺)の内径がHC-PCFの内径と一致するようにする必要がある。テーパーキャピラリはクリーブされる(たとえば、キャピラリファイバCFの内径がHC-PCFの内径と一致するポイントで)。クリーブされると、トランペットの端部TPは、
図14(e)に示すように、HC-PCFファイバFの端面にスプライスできる。これらの製造ステップは両方とも、従来のファイバスプライサを使用して実行できる。そのような方法に基づいて、例えば、内側コア直径D
coreは300μmから800μmの間であり、外側コア直径D
outerは700μmから1200μmの間であり得る。トランペットの長さL
tpの値は、3mmから7mmの間であり得る。
【0101】
図14(d)は、第2の製造方法の第1のステップを示しており、ここでは、トランペット端部が、例えば、キャピラリファイバCFから別個の構成要素として製造される。この方法では、トランペットの端部TPがファイバ線引きタワーに形成され、そこでガラスが熱源HSを通して引き出される。一旦形成されると、トランペットの端部は、
図14(e)に示すように、ファイバスプライサでHC-PCFの端面にスプライスされる。この構成では、前の例と比較して、より大きな外径を実現できる。例えば、内側コア直径D
coreは、例えば、ミリメートルのオーダー、例えば、1.5mmから4.5mmの間であり、外側コア直径D
outerは、例えば、3mmから7mmの間であり得る。トランペットの長さL
tpの値は、センチメートルのオーダー、たとえば1cmから5cmの間であり得る。
【0102】
HC-PCFバルブまたはトランペットHC-PCFの実施形態は、スリーブ付きHC-PCF実施形態と組み合わせることができることに留意されたい。例えば、HC-PCFバルブまたはトランペットHC-PCFはまた、(例えば、
図11(a)または
図11(b)に示されるような)スリーブを含み得る。スリーブは、テーパー端部920またはトランペット端部TPのスプライシングの前に(または吹きガラスのステップの前に)追加され得る。
【0103】
さらなる実施形態は、後続の番号が付けられた項で論じられている。
1.放射を誘導するための内側キャピラリと、前記内側キャピラリを覆う外側キャピラリと、を含む中空コアフォトニック結晶ファイバと、
少なくとも1つの出力端部であって、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの中央部分に沿った前記外側キャピラリの内径よりも、当該出力端部の少なくとも一部にわたってより大きな内径を有する、出力端部と、
を備える光学部品。
2.前記出力端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバから放出される発散広帯域放射が、軸方向の伝搬方向において前記出力端部によって遮断されないように構成される、項1に記載の光学部品。
3.前記中空コアフォトニック結晶ファイバの前記内側キャピラリはコラプスされて、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部にテーパーコア領域を規定し、前記テーパーコア領域は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの中空コアの直径が前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部に向かって増加する領域を含む、項1または2に記載の光学部品。
4.入力端部と、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバのそれぞれの端部を封止する第1および第2の透明なエンドキャップと、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバ、端部およびエンドキャップにより集合的に規定される空間内に封止されたガス媒体と、
をさらに備え、
前記入力端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの入力端と前記第1のエンドキャップとの間に含まれ、前記出力端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端と前記第2のエンドキャップとの間に含まれる、
項1、2または3に記載の光学部品。
5.前記中空コアフォトニック結晶ファイバに入射する収束ポンプ放射が軸方向の伝搬方向において前記入力端部によって遮断されないように、前記入力端部が構成されている、項4に記載の光学部品。
6.一方または両方の端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバからそれぞれのエンドキャップに向かって拡大する内径を規定するために外側にテーパーするテーパー端部である、項4または5に記載の光学部品。
7.一方または両方の端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバとそれぞれのエンドキャップとの間に実質的に均一な内径を有する、項4または5に記載の光学部品。
8.前記第1の透明エンドキャップは、スーパーコンティニウム発生のために前記ガス媒体を励起するためにポンプ放射のビームを受け取るように構成され、前記第2の透明エンドキャップは、スーパーコンティニウム発生から生じる出力ビームを放出するよう構成される、項4から7のいずれかに記載の光学部品。
9.前記第1の透明エンドキャップは、ポンプ放射のビームをインカップリング(in-coupling)するための入力レンズを含み、および/または前記第2の透明エンドキャップは、出力ビームをコリメートするための出力レンズを含む、項8に記載の光学部品。
10.前記エンドキャップは、シリカまたはホウケイ酸塩からなる、項4から9のいずれかに記載の光学部品。
11.前記出力端部は外側に広がり、前記中空コアフォトニック結晶ファイバから前記出力端部の出力端に向かって拡大する内径を規定する、項1、2、または3に記載の光学部品。
12.前記出力端部は、少なくとも前記外側キャピラリの拡張された出力端部分を含む、項11に記載の光学部品。
13.前記中空コアフォトニック結晶ファイバの前記内側キャピラリは、前記出力端部で当該光学部品の長手方向軸から離れて形作られている、項12に記載の光学部品。
14.前記内側キャピラリは、前記出力端部で前記外側キャピラリにブレンドされている、項13に記載の光学部品。
15.前記出力端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの端部にスプライスまたは他の方法で接合された端部を含む、項15に記載の光学部品。
16.前記出力端部の最も広い点での内径は、100μmから4.5mmの範囲の任意の値であり得る、項11から15のいずれかに記載の光学部品。
17.前記中空コアフォトニック結晶ファイバがファイバコーティングを含む、項1から16のいずれかに記載の光学部品。
18.前記ファイバコーティングがポリマーを含む、項17に記載の光学部品。
19.少なくとも前記出力端部がシリカまたはホウケイ酸塩で構成される、項1から18のいずれかに記載の光学部品。
20.広帯域出力を発生するように構成された広帯域光源装置であって、
項1から19のいずれかに記載の光学部品と、
前記光学部品を前記端部に1つまたは複数の点でクランプするマウント構成と、
を備える、広帯域光源装置。
21.スーパーコンティニウム発生のために前記ガス媒体を励起するために複数のポンプパルスを出力するためのポンプレーザをさらに含む、項20に記載の広帯域光源装置。
22.前記広帯域出力が200nmから2000nmの波長範囲、またはこの範囲内のサブ範囲を含む、項20または項21に記載の広帯域光源装置。
23.項4から10のいずれかに記載の光学部品を製造する方法であって、
それぞれにエンドキャップが取り付けられた前記端部のそれぞれを、前記中空コアフォトニック結晶ファイバのそれぞれの端部にスプライシングすることと、
前記光学部品をガス媒体で満たすことと、
を備える方法。
24.前記スプライシングステップの最終スプライスが実行される前に、前記ガス媒体の充填が実行される、項23に記載の方法。
25.前記最終スプライスの前に、前記光学部品を真空容器に挿入することと、
前記光学部品を加圧ガスで洗い流すことと、
高圧環境で前記最終スプライスを行うことと、
を備える項24に記載の方法。
26.前記洗い流すステップは、該洗い流すステップで使用されるノズルを取り外しながら、前記中空コアフォトニック結晶ファイバを加熱することを含む、項25に記載の方法。
27.項12から14のいずれかに記載の光学部品を製造する方法であって、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバの内部領域と前記中空コアフォトニック結晶ファイバの外部との間に圧力差を確立する一方で、前記中空コアフォトニック結晶ファイバに局所的に熱を加えて、前記熱が加えられた領域において前記中空コアフォトニック結晶ファイバが膨張すること、を備える方法。
28.前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端を最初にクリービングすることを備え、
前記圧力差は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端の近くにカウンタボディを配置して、前記出力端からの流れを妨げ、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの入力端に流体を導入することによって確立される、項27に記載の方法。
29.前記熱が局所的に加えられる前記中空コアフォトニック結晶ファイバの長さに沿って気泡を形成するために前記圧力差を確立することと、
前記気泡で前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端をクリービングすることと、
を備える項27に記載の方法。
30.項15に記載の光学部品を製造する方法であって、
キャピラリファイバに熱源を局所的に加え、前記ファイバの両端から引っ張り力を加えてテーパーを作成ことと、
前記テーパーにおいてファイバーをクリービングして、前記出力端部を作成することと、
前記出力端部を前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端にスプライシングすることと、
を備える方法。
31.項15に記載の光学部品を製造する方法であって、
ファイバ線引きタワーに前記出力端部を形成することと、
前記出力端部を前記中空コアフォトニック結晶ファイバの出力端にスプライシングすることと、
を備える方法。
32.中空コアフォトニック結晶ファイバと、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端の少なくともそれぞれの端部分を覆う少なくとも1つのスリーブを含むスリーブ構成と、を備え、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバの内側キャピラリはコラプスされて、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部にテーパーコア領域を規定し、前記テーパーコア領域は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの中空コアの直径が前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部に向かって増加する領域を含み、
前記スリーブ構成が前記中空コアフォトニック結晶ファイバと接触する接触領域は、すべて、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの主軸に関して前記テーパーコア領域にあるか、またはそれを超えている、光学部品。
33.前記スリーブ構成は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの第1の端部を覆うための第1のスリーブと、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの第2の端部を覆うための第2のスリーブとを含む、項32に記載の光学部品。
34.前記中空コアフォトニック結晶ファイバおよびスリーブ構成を少なくとも部分的に取り囲むためのガスセルと、
前記ガスセル内に含まれるガス媒体と、
を備える項33に記載の光学部品。
35.前記スリーブ構成は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの長さをカバーする単一のスリーブを含む、項32に記載の光学部品。
36.前記スリーブのそれぞれの端部を封止する第1および第2の透明なエンドキャップと、前記スリーブ内に含まれるガス媒体と、を含む項35に記載の光学部品。
37.前記第1の透明エンドキャップは、スーパーコンティニウム発生のために前記ガス媒体を励起するためにポンプ放射のビームを受け取るように構成され、前記第2の透明エンドキャップは、スーパーコンティニウム発生から生じる出力ビームを放出するよう構成される、項36に記載の光学部品。
38.前記第1の透明エンドキャップは、前記ポンプ放射のビームをインカップリングするための入力レンズを含み、および/または前記第2の透明エンドキャップは、前記出力ビームをコリメートするための出力レンズを含む、項37に記載の光学部品。
39.前記スリーブ構成は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部を超えて延びる、項32から38のいずれかに記載の光学部品。
40.前記スリーブ構成は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部またはその近くで終端する、項32から38のいずれかに記載の光学部品。
41.前記スリーブ構成は、前記接触領域に向かう前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部において、前記中空コアフォトニック結晶ファイバに向かうテーパーを含む、項32から40のいずれかに記載の光学部品。
42.前記接触領域のそれぞれは、それぞれのテーパーコア領域のテーパリング長さよりも短い軸方向長さを含むべきである、項32から41のいずれかに記載の光学部品。
43.前記スリーブ材料は、ホウケイ酸ガラス、シリカ、またはカルコゲニド、テルライトまたは他の軟質ガラスを含む、項32から42のいずれかに記載の光学部品。
44.項32から43のいずれかに記載の光学部品を製造する方法であって、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバを前記スリーブ構成に導入することと、
前記スリーブ構成を局所的に加熱して、前記中空コアフォトニック結晶ファイバ上にコラプスすることと、
を備える方法。
45.前記局所的加熱ステップは、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの歪みを最小限に抑えるために、ロバストな機械的接続が実現されるまで、前記ステップ中の加熱強度および加熱時間を調整することを含む、項44に記載の方法。
46.広帯域出力を発生するように構成された広帯域光源装置であって、
項32から43のいずれかに記載の光学部品と、
前記光学部品を前記スリーブ構成にクランプするマウント構成と、
を備える、広帯域光源装置。
47.スーパーコンティニウム発生のために前記中空コアフォトニック結晶ファイバ内に含まれるガス媒体を励起するために複数のポンプパルスを出力するためのポンプレーザをさらに含む、項46に記載の広帯域光源装置。
48.前記広帯域出力は、230nmから2300nmの波長範囲、またはこの範囲内のサブ範囲を含む、項46または47に記載の広帯域光源装置。
49.項20から22、または項46から48のいずれかに記載の広帯域光源装置を含む計測装置。
50.前記計測装置は、スキャトロメータ計測装置として動作可能である、項49に記載の計測装置。
51.前記計測装置は、レベルセンサまたはアライメントセンサとして動作可能である、項49に記載の計測装置。
52.アライメントおよび/またはレベリング計測を実行するための、項51に記載の少なくとも1つの計測装置を含むリソグラフィ装置。
53.項52に記載のリソグラフィ装置と、項50に記載の計測装置と、を備えるリソグラフィセル。
54.中空コアフォトニック結晶ファイバと、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバのそれぞれの端を封止する第1および第2の透明なエンドキャップと、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端とそのそれぞれのエンドキャップとの間の端部であって、前記端部の少なくとも一部にわたって前記中空コアフォトニック結晶ファイバの内径よりも大きい内径を含む端部と、
前記中空コアフォトニック結晶ファイバ、端部およびエンドキャップによって集合的に規定される空間内に封止されたガス媒体と、
を備える光学部品。
55.一方または両方の端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバからそれぞれのエンドキャップに向かって拡大する内径を規定するために外側にテーパーするテーパー端部である、項54に記載の光学部品。
56.一方または両方の端部は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバとそれぞれのエンドキャップとの間に実質的に均一な内径を有する、項54に記載の光学部品。
57.前記中空コアフォトニック結晶ファイバから放出される発散広帯域放射および/または前記中空コアフォトニック結晶ファイバに入る収束ポンプ放射が、軸方向の伝搬方向においてそれぞれの端部によって遮断されないように前記端部が構成される、項54、55または56に記載の光学部品。
58.前記第1の透明エンドキャップは、スーパーコンティニウム発生のために前記ガス媒体を励起するためにポンプ放射のビームを受け取るように構成され、前記第2の透明エンドキャップは、スーパーコンティニウム発生から生じる出力ビームを放出するよう構成される、項54から57のいずれかに記載の光学部品。
59.前記第1の透明エンドキャップは、ポンプ放射のビームをインカップリングするための入力レンズを含み、および/または前記第2の透明エンドキャップは、出力ビームをコリメートするための出力レンズを含む、項58に記載の光学部品。
60.前記中空コアフォトニック結晶ファイバの前記内側キャピラリはコラプスされて、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部にテーパーコア領域を規定し、前記テーパーコア領域は、前記中空コアフォトニック結晶ファイバの中空コアの直径が前記中空コアフォトニック結晶ファイバの各端部に向かって増加する領域を含む、項54から59のいずれかに記載の光学部品。
61.前記中空コアフォトニック結晶ファイバはファイバコーティングを含む、項54から60のいずれかに記載の光学部品。
62.前記ファイバコーティングはポリマーを含む、項61に記載の光学部品。
63.前記端部および/または前記エンドキャップは、シリカまたはホウケイ酸塩で構成される、項54から62のいずれかに記載の光学部品。
64.広帯域出力を発生するように構成された広帯域光源装置であって、
項54から63のいずれかに記載の光学部品と、
前記光学部品を前記端部に1つまたは複数の点でクランプするマウント構成と、
を備える、広帯域光源装置。
65.スーパーコンティニウム発生のために前記ガス媒体を励起するために複数のポンプパルスを出力するためのポンプレーザをさらに含む、項64に記載の広帯域光源装置。
66.前記広帯域出力が200nmから2000nmの波長範囲、またはこの範囲内のサブ範囲を含む、項64または項65に記載の広帯域光源装置。
67.項54から66のいずれかに記載の光学部品を製造する方法であって、
それぞれにエンドキャップが取り付けられた前記端部のそれぞれを、前記中空コアフォトニック結晶ファイバのそれぞれの端部にスプライシングすることと、
前記光学部品を前記ガス媒体で満たすことと、
を備える方法。
68.前記スプライシングステップの最終スプライスが実行される前に、前記ガス媒体の充填が実行される、項67に記載の方法。
69.前記最終スプライスの前に、前記光学部品を真空容器に挿入することと、
前記光学部品を加圧ガスで洗い流すことと、
高圧環境で前記最終スプライスを行うことと、
を備える項68に記載の方法。
70.前記洗い流すステップは、該洗い流すステップで使用されるノズルを取り外しながら、前記中空コアフォトニック結晶ファイバを加熱することを含む、項69に記載の方法。
【0104】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特定の言及がなされ得るが、本明細書に記載されるリソグラフィ装置は、他の用途を有し得ることを理解するべきである。他の可能な用途には、統合光学システム、磁区メモリ、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどのガイダンスと検出パターンの製造が含まれる。
【0105】
本明細書では、リソグラフィ装置との関連で本発明の実施形態を具体的に参照することができるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。そのようなリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0106】
上記では、光学リソグラフィの文脈での本発明の実施形態の使用について具体的に言及してきたが、文脈が許せば、本発明は光学リソグラフィに限定されず、その他のアプリケーション、たとえばインプリントリソグラフィでも使用することができる。
【0107】
本発明の特定の実施形態が上記で説明されたが、本発明は、説明された以外の方法で実施されてもよいことが理解されよう。上記の説明は、限定ではなく例示を意図したものである。したがって、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された本発明に変更を加えることができることが当業者には明らかであろう。