(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスク
(51)【国際特許分類】
G03F 1/26 20120101AFI20240729BHJP
【FI】
G03F1/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023114726
(22)【出願日】2023-07-12
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0103470
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イ、ゴンゴン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ミンギョ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テヨン
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-122806(JP,A)
【文献】特開2006-184353(JP,A)
【文献】特開2019-020749(JP,A)
【文献】特開2003-262946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00-1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される多層膜とを含み、
前記多層膜は、前記光透過性基板上に配置される遮光膜、及び前記光透過性基板と前記遮光膜との間に配置され、前記遮光膜と向かい合う上面及び前記上面に連結される側面を含む位相反転膜を含み、
前記遮光膜は、前記位相反転膜の上面及び側面を覆うように配置され、
前記多層膜の上面視において、前記多層膜は、中央部、及び前記中央部を取り囲む外周部を含み、
前記外周部は、屈曲した上面を有
し、
前記多層膜の外周部は、前記多層膜の縁側から前記多層膜の内側方向に前記多層膜の厚さが連続的に増加する傾斜領域を含み、
前記多層膜で測定した下記式2によるdT値のうちの最大値が10nm~30nmである、ブランクマスク。
[式2]
dT=T1-T2
(前記式2において、
前記T1は、前記多層膜内に位置する第1点で測定した前記多層膜の厚さであり、
前記T2は、前記第1点から前記多層膜の一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第2点で測定した前記多層膜の厚さである。)
【請求項2】
前記光透過性基板は、前記位相反転膜と向かい合う上面を含み、
前記遮光膜は、前記光透過性基板の上面の少なくとも一部を覆うように設けられる、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項3】
前記光透過性基板は、前記光透過性基板の上面に連結される側面をさらに含み、
前記光透過性基板の側面は、前記光透過性基板の上面から折り曲げられて延びる第1面、及び前記第1面から前記ブランクマスクの上下方向に延びる第2面を含み、
前記遮光膜は、前記光透過性基板の第1面の少なくとも一部を覆うように設けられる、請求項2に記載のブランクマスク。
【請求項4】
前記多層膜の上面視において、前記光透過性基板の面積(A)、前記遮光膜の面積(B)、及び前記位相反転膜の面積(C)が下記式1の条件を満たす、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項5】
前記多層膜の最外郭に前記傾斜領域が配置され、
前記多層膜の断面視において、前記傾斜領域は、前記多層膜の面内方向に0.2mm~1.0mmの幅を有する、
請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項6】
前記多層膜で測定した下記式3によるddT値のうちの最大値が30nm以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
[式3]
ddT=|(T1-T2)-(T2-T3)|
(前記式3において、
前記T1は、前記多層膜内に位置する第1点で測定した前記多層膜の厚さであり、
前記T2は、前記第1点から前記多層膜の一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第2点で測定した前記多層膜の厚さであり、
前記T3は、前記第2点から前記多層膜の前記一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第3点で測定した前記多層膜の厚さである。)
【請求項7】
前記多層膜は、前記光透過性基板と向かい合う下面を含み、
前記位相反転膜は、前記光透過性基板と向かい合う下面を含み、
断面視において、前記多層膜の下面は、一端である第1縁、及び前記第1縁に対向して位置する他端である第2縁を含み、前記位相反転膜の下面は、前記第1縁に隣接して位置する一端である第3縁、及び前記第2縁に隣接して位置する他端である第4縁を含み、
前記第1縁と前記第3縁との間の距離の値、及び前記第2縁と前記第4縁との間の距離の値のうち小さい値は0.1nm以上である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項8】
請求項1に記載のブランクマスクから具現されたフォトマスク。
【請求項9】
光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含み、
前記フォトマスクは、請求項1に記載のブランクマスクから具現されたものである、半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスクなどに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどの高集積化により、半導体デバイスの回路パターンの微細化が求められている。これにより、ウエハの表面上にフォトマスクを用いて回路パターンを現像する技術であるリソグラフィー技術の重要性が益々高まっている。
【0003】
微細化された回路パターンを現像するためには、露光工程で用いられる露光光源の短波長化が要求される。最近用いられている露光光源としてはArFエキシマレーザー(波長193nm)などがある。
【0004】
一方、フォトマスクにはバイナリマスク(Binary mask)と位相反転マスク(Phase shift mask)などがある。
【0005】
バイナリマスクは、光透過性基板上に遮光層パターンが形成された構成を有する。バイナリマスクは、パターンが形成された面において、遮光層を含まない透過部は露光光を透過させ、遮光層を含む遮光部は露光光を遮断することによって、ウエハ表面のレジスト膜上にパターンを露光させる。但し、バイナリマスクは、パターンが微細化されるほど、露光工程で透過部の縁部で発生する光の回折により、微細パターンの現像に問題が発生することがある。
【0006】
位相反転マスクとしては、レベンソン型(Levenson type)、アウトリガー型(Outrigger type)、及びハーフトーン型(Half-tone type)がある。その中でハーフトーン型位相反転マスクは、光透過性基板上に半透過膜で形成されたパターンが形成された構成を有する。ハーフトーン型位相反転マスクは、パターンが形成された面において、半透過層を含まない透過部は露光光を透過させ、半透過層を含む半透過部は減衰された露光光を透過させる。前記減衰された露光光は、透過部を通過した露光光と比較して位相差を有するようになる。これにより、透過部の縁部で発生する回折光は、半透過部を透過した露光光によって相殺され、位相反転マスクは、ウエハの表面にさらに精巧な微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本登録特許第4587806号
【文献】日本登録特許第5141504号
【文献】韓国登録特許第10-1079759号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
具現例の目的は、洗浄液などによる位相反転膜の損傷を実質的に抑制し、位相反転膜及び遮光膜に由来するパーティクルの発生頻度が効果的に減少したブランクマスクなどを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクは、光透過性基板と、前記光透過性基板上に配置される多層膜とを含む。
【0010】
前記多層膜は、前記光透過性基板上に配置される遮光膜、及び前記光透過性基板と前記遮光膜との間に配置され、前記遮光膜と向かい合う上面及び前記上面に連結される側面を含む位相反転膜を含む。
【0011】
前記遮光膜は、前記位相反転膜の上面及び側面を覆うように配置される。
【0012】
前記多層膜の上面視において、前記多層膜は、中央部、及び前記中央部を取り囲む外周部を含む。
【0013】
前記外周部は、屈曲した上面を有する。
【0014】
前記光透過性基板は、前記位相反転膜と向かい合う上面を含むことができる。
【0015】
前記遮光膜は、前記光透過性基板の上面の少なくとも一部を覆うように設けられ得る。
【0016】
前記光透過性基板は、前記光透過性基板の上面に連結される側面をさらに含むことができる。
【0017】
前記光透過性基板の側面は、前記光透過性基板の上面から折り曲げられて延びる第1面、及び前記第1面から前記ブランクマスクの上下方向に延びる第2面を含むことができる。
【0018】
前記遮光膜は、前記光透過性基板の第1面の少なくとも一部を覆うように設けられ得る。
【0019】
前記多層膜の上面視において、前記光透過性基板の面積(A)、前記遮光膜の面積(B)、及び前記位相反転膜の面積(C)が下記式1の条件を満たすことができる。
【0020】
【0021】
前記多層膜の外周部は、前記多層膜の縁側から前記多層膜の内側方向に前記多層膜の厚さが連続的に増加する傾斜領域を含むことができる。
【0022】
前記多層膜の最外郭に前記傾斜領域が配置され得る。
【0023】
前記多層膜の断面視において、前記傾斜領域は、前記多層膜の面内方向に0.2mm~1.0mmの幅を有することができる。
【0024】
前記多層膜で測定した下記式2によるdT値のうちの最大値が10nm~30nmであり得る。
【0025】
[式2]
dT=T1-T2
【0026】
前記式2において、前記T1は、前記多層膜内に位置する第1点で測定した前記多層膜の厚さである。
【0027】
前記T2は、前記第1点から前記多層膜の一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第2点で測定した前記多層膜の厚さである。
【0028】
前記多層膜で測定した下記式3によるddT値のうちの最大値が30nm以下であり得る。
【0029】
[式3]
ddT=|(T1-T2)-(T2-T3)|
【0030】
前記式3において、前記T1は、前記多層膜内に位置する第1点で測定した前記多層膜の厚さである。
【0031】
前記T2は、前記第1点から前記多層膜の一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第2点で測定した前記多層膜の厚さである。
【0032】
前記T3は、前記第2点から前記多層膜の前記一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第3点で測定した前記多層膜の厚さである。
【0033】
前記多層膜は、前記光透過性基板と向かい合う下面を含むことができる。
【0034】
前記位相反転膜は、前記光透過性基板と向かい合う下面を含むことができる。
【0035】
断面視において、前記多層膜の下面は、一端である第1縁、及び前記第1縁に対向して位置する他端である第2縁を含むことができる。
【0036】
前記多層膜の断面視において、前記位相反転膜の下面は、前記第1縁に隣接して位置する一端である第3縁、及び前記第2縁に隣接して位置する他端である第4縁を含むことができる。
【0037】
前記第1縁と前記第3縁との間の距離の値、及び前記第2縁と前記第4縁との間の距離の値のうち小さい値は0.1nm以上であり得る。
【0038】
本明細書の他の実施例に係るフォトマスクは、前記ブランクマスクから具現される。
【0039】
本明細書の更に他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0040】
前記フォトマスクは前記ブランクマスクから具現される。
【発明の効果】
【0041】
具現例に係るブランクマスクなどは、洗浄液などによる位相反転膜の損傷が実質的に抑制され、位相反転膜及び遮光膜に由来するパーティクルの発生頻度が効果的に減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本明細書の一実施例に係るブランクマスクの平面図である。
【
図3A】多層膜などの下面の縁を説明する概念図である。
【
図4】本明細書の他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
【
図5】本明細書の更に他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
【
図6】実施例1の遮光膜及び実施例2の多層膜の表面プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、具現例の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、実施例について詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0044】
本明細書で使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質の許容誤差が提示されるとき、その数値で又はその数値に近接した意味で使用され、具現例の理解を助けるために正確又は絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0045】
本明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0046】
本明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0047】
本明細書全体において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0048】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上にBが位置したり、それらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置したりすることができることを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0049】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0050】
本明細書において、「取り囲む」は、取り囲まれる対象に接して取り囲むこと、及び取り囲まれる対象に接することなく取り囲むことをいずれも含む意味で解釈される。
【0051】
製造されたブランクマスクに残留する汚染源を除去するために、ブランクマスクを洗浄することができる。ブランクマスクの洗浄工程に適用される洗浄溶液は、相対的に化学的反応性が高い溶液が適用される場合が多い。ブランクマスクに含まれた薄膜のうちの位相反転膜は、他の薄膜に比べて相対的に耐化学性が劣る。特に、位相反転膜の側面は、洗浄過程で洗浄液に直接的にさらされるため、洗浄工程中に容易に損傷することがある。
【0052】
一方、洗浄を終えたブランクマスクから、時間が経過するにつれて持続的にパーティクルが発生する問題が生じることもある。これは、ブランクマスクの保管及び移動中に、洗浄溶液によって損傷した位相反転膜に由来したパーティクルが形成されたり、衝撃や酸化などによって遮光膜が損傷してパーティクルが多数形成されたりするためであると考えられる。特に、遮光膜の角部が外部の衝撃に脆弱であると考えられる。
【0053】
具現例の発明者らは、遮光膜に位相反転膜の上面及び側面を覆う構造を適用し、遮光膜の外周部が屈曲した上面を有するようにすることによって、洗浄溶液から位相反転膜を安定的に保護することができ、位相反転膜及び遮光膜に由来するパーティクルの形成を効果的に抑制することができることを実験的に確認し、具現例を完成した。
【0054】
以下、具現例について具体的に説明する。
【0055】
多層膜の形状及び構造
図1は、本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する平面図である。
図2A乃至
図2Cは、多層膜の外周部を説明する概念図である。前記
図1、及び
図2A乃至
図2Cを参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0056】
ブランクマスク100は、光透過性基板10と、前記光透過性基板10上に配置される多層膜20とを含む。
【0057】
光透過性基板10の素材は、露光光に対する光透過性を有し、ブランクマスク100に適用できる素材であれば制限されない。具体的に、光透過性基板10の波長193nmの露光光に対する透過率は85%以上であってもよい。前記透過率は87%以上であってもよい。前記透過率は99.99%以下であってもよい。例示的に、光透過性基板10は、合成クォーツ基板が適用されてもよい。このような場合、光透過性基板10は、前記光透過性基板10を透過する光の減衰(attenuated)を抑制することができる。
【0058】
また、光透過性基板10は、平坦度及び粗さなどの表面特性を調節して、光学歪みの発生を抑制することができる。
【0059】
多層膜20は、光透過性基板10上に配置される遮光膜22、及び前記光透過性基板10と前記遮光膜22との間に配置され、前記遮光膜22と向かい合う上面及び前記上面に連結される側面を含む位相反転膜21を含む。
【0060】
位相反転膜21は、前記位相反転膜21を透過する露光光の強度を減衰する機能を有する。これを通じて、露光光の位相差を調節して、転写パターンの縁部に発生する回折光を実質的に抑制することができる。
【0061】
遮光膜22は、光透過性基板10の上面(top side)上に位置することができる。遮光膜22は、光透過性基板10の下面(bottom side)側に入射する露光光を少なくとも一定部分遮断する特性を有することができる。また、遮光膜22は、位相反転膜21をパターニングする工程においてエッチングマスクとして使用され得る。
【0062】
遮光膜22は、位相反転膜21の上面21f及び側面21sを覆うように配置される。前記遮光膜22は、位相反転膜21の上面21fに接して配置され得る。前記遮光膜22は、位相反転膜21の側面21sに接して配置され得る。遮光膜22と位相反転膜21との間に他の薄膜(図示せず)が位置する場合、遮光膜22は、位相反転膜21の上面21f及び側面21sに接することなく配置され得る。このような構造を有する遮光膜は、洗浄工程において洗浄溶液から位相反転膜21を安定的に保護することができる。
【0063】
多層膜20の上面視において、前記多層膜20は、中央部201と、前記中央部201を取り囲む外周部202とを含む。
【0064】
中央部201は、多層膜20の中心(中央)に位置し、相対的に均一な厚さ分布を有する領域である。中央部201が相対的に均一な厚さ分布を有するということは、中央部201内の各地点で測定した下記式2によるdT値の絶対値が8nm以下であることを意味する。
【0065】
[式2]
dT=T1-T2
【0066】
前記式2において、前記T1は、前記多層膜20の上面に位置する第1点で測定した前記多層膜20の厚さである。
【0067】
前記T2は、前記第1点から前記多層膜20の一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第2点で測定した前記多層膜20の厚さである。
【0068】
多層膜の前記一縁は、多層膜の縁のうち、第1点と最も近くに位置したものである。
【0069】
前記T1値及びT2値は、表面プロフィルメータ(Surface Profilometer)を用いて測定する。例示的に、スタイラス半径(Stylus radius)を12.5μm、Forceを3.00mgに設定し、Hills&Valleys測定方式を適用して、表面プロフィルメータを用いてT1値及びT2値を測定することができる。
【0070】
T1値及びT2値は、測定対象のブランクマスク100自体で測定してもよく、または前記ブランクマスク100をカッティングして形成したサンプルで測定してもよい。
【0071】
測定しようとするブランクマスク100の光透過性基板10が縁に面取り面(chamfer)を含む場合(
図4参照)、多層膜20において前記面取り面上に形成された部分は測定対象から除外する。
【0072】
例示的に、表面プロフィルメータは、Veeco社のDektak150モデルを適用することができる。
【0073】
外周部202は、多層膜20において中央部201を除いた残りの領域を意味する。
【0074】
外周部202は、屈曲した上面を有する。外周部202が屈曲した上面を有するということは、外周部202において、多層膜20の面内方向に多層膜20の厚さが少なくとも一部で連続的に変化することを意味する(
図2A乃至
図2C参照)。
【0075】
多層膜の外周部に屈曲した上面を適用する場合、ブランクマスクの保管又は移動中に多層膜に外力が作用する際に、多層膜内の特定の部分に外力が過度に集中して多層膜が損傷することを実質的に抑制することができる。
【0076】
光透過性基板10は、位相反転膜21と向かい合う上面を含むことができる。遮光膜22は、光透過性基板10の上面の少なくとも一部を覆うように設けられ得る。具体的に、遮光膜22は、光透過性基板10の上面において位相反転膜21が位置しない領域の全部又は一部を覆うことができる。このような場合、多層膜は、位相反転膜の側面が外部に露出しない構造を有することができる。
【0077】
多層膜20の上面視において、光透過性基板10の面積(A)、前記遮光膜22の面積(B)、及び前記位相反転膜21の面積(C)が、下記式1の条件を満たすことができる。
【0078】
【0079】
前記条件を満たす場合、洗浄工程において、耐洗浄性が脆弱な位相反転膜が、洗浄溶液から安定的に保護され得る。
【0080】
図3Aは、多層膜などの下面の縁を説明する概念図であり、
図3Bは、
図3Aの多層膜の外周部の部分拡大図である。以下、
図3A及び
図3Bを参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0081】
多層膜20の外周部202は、多層膜20の縁側から多層膜20の内側方向に前記多層膜20の厚さが連続的に増加する傾斜領域SAを含むことができる。傾斜領域SAにおいて、多層膜20の縁側から多層膜20の内側方向に多層膜20の厚さが不規則かつ連続的に増加することができる。
【0082】
傾斜領域SAは、多層膜20の外周部202の少なくとも一部の領域に形成されてもよい。傾斜領域SAは、多層膜20の外周部202の全領域に形成されてもよい。多層膜20の外周部202は、一つの傾斜領域SAまたは複数個の傾斜領域SAを含むことができる。
【0083】
多層膜20の最外郭に傾斜領域SAが配置され得る。多層膜20の断面視において、傾斜領域SAは、前記多層膜20の面内方向に0.2mm~1.0mmの幅wを有することができる。前記幅wは0.3mm以上であってもよい。前記幅wは0.8mm以下であってもよい。このような場合、多層膜の側面が多層膜の耐衝撃性を向上させるのに適した傾斜を有するようにするのに役立ち得る。
【0084】
例示的に、多層膜20の断面で観察した傾斜領域SAの面内方向の幅wは、表面プロフィルメータを通じて測定することができる。表面プロフィルメータを通じて前記幅を測定する方法は、前述した内容と重複するので省略する。
【0085】
位相反転膜21は、光透過性基板10と向かい合う下面を含むことができる。
【0086】
多層膜20は、光透過性基板10と向かい合う下面を含むことができる。
【0087】
多層膜20の下面は、位相反転膜21の下面が水平に延びた面であり得る。このような場合、多層膜20の下面は、位相反転膜21の下面を含むことができる。
【0088】
断面視において、多層膜20の下面は、一端である第1縁e1、及び前記第1縁e1に対向して位置する他端である第2縁e2を含むことができる。位相反転膜21の下面は、第1縁e1に隣接して位置する一端である第3縁e3、及び前記第2縁e2に隣接して位置する他端である第4縁e4を含むことができる。第1縁e1と第3縁e3は互いに並んでいてもよく、第2縁e2と第4縁e4は互いに並んでいてもよいが、これに限定されるものではない。
【0089】
第1縁e1と第3縁e3との間の距離の値、及び第2縁e2と第4縁e4との間の距離の値のうち小さい値は0.1nm以上であってもよい。前記小さい値は0.3nm以上であってもよい。前記小さい値は0.5nm以上であってもよい。前記小さい値は1nm以上であってもよい。前記小さい値は1.5nm以上であってもよい。前記小さい値は5nm以下であってもよい。前記小さい値は3nm以下であってもよい。
【0090】
このような場合、洗浄工程による位相反転膜の側面の化学的損傷を効果的に抑制することができる。
【0091】
多層膜20の断面で観察した各縁間の距離の値は、表面プロフィルメータを通じて測定する。具体的に、表面プロフィルメータを用いて多層膜20の表面プロファイルを測定し、前記多層膜20の遮光膜22をエッチングして除去する。その後、位相反転膜21の表面プロファイルを測定して、前記各縁間の距離の値を算出する。
【0092】
例示的に、スタイラス半径(Stylus radius)を12.5μm、Forceを3.00mgに設定し、Hills&Valleys測定方式を適用して、多層膜及び位相反転膜の表面プロファイルを測定することができる。
【0093】
多層膜20で測定した式2によるdT値のうちの最大値が10nm~30nmであってもよい。
【0094】
具現例は、多層膜20で測定したdT値の最大値を、具現例で予め設定した範囲内に制御することができる。これを通じて、多層膜の上面の角張った程度を下げて、多層膜の耐久性をさらに向上させると同時に、限定された面積を有する基板上で位相反転膜の側面を安定的に保護することができる。
【0095】
多層膜20で測定したdT値の最大値は10nm~30nmであってもよい。前記最大値は12nm以上であってもよい。前記最大値は14nm以上であってもよい。前記最大値は28nm以下であってもよい。前記最大値は26nm以下であってもよい。前記最大値は24nm以下であってもよい。このような場合、洗浄液から位相反転膜を効果的に保護することができ、多層膜の耐久性をさらに向上させることができる。
【0096】
多層膜20で測定した下記式3によるddT値のうちの最大値が25nm以下であってもよい。
【0097】
[式3]
ddT=|(T1-T2)-(T2-T3)|
【0098】
前記式3において、前記T1は、前記多層膜20内に位置する第1点で測定した前記多層膜20の厚さである。
【0099】
前記T2は、前記第1点から前記多層膜20の一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第2点で測定した前記多層膜20の厚さである。
【0100】
前記T3は、前記第2点から前記多層膜20の前記一縁の方向に0.1mm離隔して位置する第3点で測定した前記多層膜20の厚さである。
【0101】
具現例は、多層膜20で測定したddT値のうちの最大値を、具現例で予め設定した範囲内に制御することができる。これを通じて、多層膜20の上面が比較的滑らかな形状を有するようにして、多層膜20の損傷によるパーティクルの発生頻度を効果的に低減することができる。
【0102】
式3によるddT値は、前記T1値、T2値及びT3値から算出する。前記T1値、T2値及びT3値は、表面プロフィルメータを通じて測定する。前記T1値、T2値及びT3値を測定する方法は、前述した内容と重複するので省略する。
【0103】
多層膜20で測定した式3によるddT値のうちの最大値は30nm以下であってもよい。前記最大値は28nm以下であってもよい。前記最大値は25nm以下であってもよい。前記最大値は22nm以下であってもよい。前記最大値は1nm以上であってもよい。前記最大値は5nm以上であってもよい。前記最大値は10nm以上であってもよい。このような場合、多層膜20の耐衝撃性がさらに向上することができる。
【0104】
図4は、本明細書の他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。以下、
図4を参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0105】
光透過性基板10は、前記光透過性基板10の上面に連結される側面をさらに含むことができる。
【0106】
光透過性基板10の側面は、前記光透過性基板10の上面から折り曲げられて延びる第1面s1と、前記第1面s1から前記ブランクマスク100の上下方向に延びる第2面s2とを含むことができる。
【0107】
遮光膜22は、前記光透過性基板10の第1面s1の少なくとも一部を覆うように設けられ得る。
【0108】
光透過性基板10の側面に前記第1面s1及び第2面s2を同時に適用する場合、衝撃による角部の損傷が抑制され得る。
【0109】
具現例は、遮光膜22が光透過性基板10の第1面s1の少なくとも一部を覆う構造を適用することができる。これを通じて、遮光膜は、位相反転膜の側面をさらに安定的に保護することができる。
【0110】
図5は、本明細書の更に他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。以下、
図5を参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0111】
遮光膜22は、第1遮光層221と、前記第1遮光層221上に配置される第2遮光層222とを含むことができる。
【0112】
多層膜の厚さ
多層膜20の中央部201の厚さは80nm以上であってもよい。前記厚さは90nm以上であってもよい。前記厚さは100nm以上であってもよい。前記厚さは110nm以上であってもよい。前記厚さは160nm以下であってもよい。前記厚さは150nm以下であってもよい。前記厚さは140nm以下であってもよい。前記厚さは130nm以下であってもよい。このような場合、多層膜20は、露光光の透過を実質的に抑制することができる。
【0113】
多層膜20の外周部202の厚さの最小値は0.1nm以上であってもよい。前記最小値は0.3nm以上であってもよい。前記最小値は0.5nm以上であってもよい。前記最小値は5nm以下であってもよい。前記最小値は3nm以下であってもよい。
【0114】
多層膜20の縁で測定した多層膜20の厚さは0.1nm以上であってもよい。前記厚さは0.3nm以上であってもよい。前記厚さは0.5nm以上であってもよい。前記厚さは5nm以下であってもよい。前記厚さは3nm以下であってもよい。
【0115】
遮光膜22の縁で測定した遮光膜22の厚さは0.1nm以上であってもよい。前記厚さは0.3nm以上であってもよい。前記厚さは0.5nm以上であってもよい。前記厚さは5nm以下であってもよい。前記厚さは3nm以下であってもよい。
【0116】
このような場合、多層膜の側面部及び角部の耐久性をさらに向上させることができる。
【0117】
多層膜20の厚さ及び遮光膜22の縁での遮光膜22の厚さは、表面プロフィルメータを通じて測定する。前記厚さを測定する方法は、前述した内容と重複するので省略する。
【0118】
遮光膜22の厚さは280~850Åであってもよい。前記厚さは380~700Åであってもよい。前記厚さは440~630Åであってもよい。このような場合、遮光膜は、安定した消光特性を示すことができる。
【0119】
第1遮光層221の厚さは250~650Åであってもよい。第1遮光層221の厚さは350~600Åであってもよい。第1遮光層221の厚さは400~550Åであってもよい。
【0120】
第2遮光層222の厚さは30~200Åであってもよい。第2遮光層222の厚さは30~100Åであってもよい。第2遮光層222の厚さは40~80Åであってもよい。
【0121】
このような場合、遮光膜22は、優れた消光特性を示すことができ、さらに精巧な遮光パターン膜の具現が可能である。
【0122】
第1遮光層221の厚さに対する第2遮光層222の厚さの比率は0.05~0.3であってもよい。前記厚さの比率は0.07~0.25であってもよい。前記厚さの比率は0.1~0.2であってもよい。このような場合、パターニングを通じて形成される遮光パターン膜の側面の形状をさらに精巧に制御することができる。
【0123】
遮光膜22及び遮光膜22に含まれた各層の厚さは、TEMを通じて測定する。遮光膜22及び遮光膜22に含まれた各層の厚さは、多層膜20の中央部201に対応する領域で測定する。
【0124】
位相反転膜21の厚さは40nm以上であってもよい。前記厚さは50nm以上であってもよい。前記厚さは60nm以上であってもよい。前記厚さは100nm以下であってもよい。前記厚さは90nm以下であってもよい。前記厚さは80nm以下であってもよい。このような場合、位相反転膜は、回折光を相殺させるのに十分な位相転移特性を示すことができる。
【0125】
位相反転膜21の厚さは、TEMを通じて測定する。位相反転膜21の厚さは、多層膜20の中央部201に対応する領域で測定する。
【0126】
多層膜内の各薄膜別の組成
具現例は、多層膜20に要求される耐久性、エッチング特性などを考慮して、多層膜20内の各膜別の組成などを制御することができる。
【0127】
多層膜20の各薄膜内の元素別の含量は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いたデプスプロファイル(depth profile)を測定して確認する。具体的には、ブランクマスク100を横15mm、縦15mmのサイズに加工して試験片を準備する。その後、前記試験片をXPS測定装備内に配置し、前記サンプルの中心部に位置する横4mm、縦2mmの領域をエッチングして各層の元素別の含量を測定する。
【0128】
例示的に、各薄膜の元素別の含量は、サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のK-alphaモデルを通じて測定することができる。
【0129】
第1遮光層221は遷移金属を25at%以上含んでもよい。第1遮光層221は遷移金属を30at%以上含んでもよい。第1遮光層221は遷移金属を35at%以上含んでもよい。第1遮光層221は遷移金属を50at%以下含んでもよい。第1遮光層221は遷移金属を45at%以下含んでもよい。
【0130】
第1遮光層221は酸素を30at%以上含んでもよい。第1遮光層221は酸素を35at%以上含んでもよい。第1遮光層221は酸素を55at%以下含んでもよい。第1遮光層221は酸素を50at%以下含んでもよい。第1遮光層221は酸素を45at%以下含んでもよい。
【0131】
第1遮光層221は窒素を2at%以上含んでもよい。第1遮光層221は窒素を5at%以上含んでもよい。第1遮光層221は窒素を8at%以上含んでもよい。第1遮光層221は窒素を25at%以下含んでもよい。第1遮光層221は窒素を20at%以下含んでもよい。第1遮光層221は窒素を15at%以下含んでもよい。
【0132】
第1遮光層221は炭素を2at%以上含んでもよい。第1遮光層221は炭素を5at%以上含んでもよい。第1遮光層221は炭素を10at%以上含んでもよい。第1遮光層221は炭素を25at%以下含んでもよい。第1遮光層221は炭素を20at%以下含んでもよい。第1遮光層221は炭素を18at%以下含んでもよい。
【0133】
このような場合、遮光膜22が優れた消光特性を有するようにするのに役立ち、第1遮光層が第2遮光層に比べて相対的に高いエッチング速度を有するようにするのに役立ち得る。
【0134】
第2遮光層222は遷移金属を40at%以上含んでもよい。第2遮光層222は遷移金属を45at%以上含んでもよい。第2遮光層222は遷移金属を50at%以上含んでもよい。第2遮光層222は遷移金属を70at%以下含んでもよい。第2遮光層222は遷移金属を65at%以下含んでもよい。第2遮光層222は遷移金属を62at%以下含んでもよい。
【0135】
第2遮光層222は酸素を5at%以上含んでもよい。第2遮光層222は酸素を8at%以上含んでもよい。第2遮光層222は酸素を10at%以上含んでもよい。第2遮光層222は酸素を35at%以下含んでもよい。第2遮光層222は酸素を30at%以下含んでもよい。第2遮光層222は酸素を25at%以下含んでもよい。
【0136】
第2遮光層222は窒素を5at%以上含んでもよい。第2遮光層222は窒素を8at%以上含んでもよい。第2遮光層222は窒素を30at%以下含んでもよい。第2遮光層222は窒素を25at%以下含んでもよい。第2遮光層222は窒素を20at%以下含んでもよい。
【0137】
第2遮光層222は炭素を1at%以上含んでもよい。第2遮光層222は炭素を4at%以上含んでもよい。第2遮光層222は炭素を25at%以下含んでもよい。第2遮光層222は炭素を20at%以下含んでもよい。第2遮光層222は炭素を16at%以下含んでもよい。
【0138】
このような場合、多層膜がさらに向上した耐久性を有するのに寄与することができ、遮光膜にさらに精巧なパターニングを具現できるようにするのに役立ち得る。
【0139】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。前記遷移金属はCrであってもよい。
【0140】
位相反転膜21は遷移金属を1~10原子%含んでもよい。位相反転膜21は遷移金属を2~7原子%含んでもよい。
【0141】
位相反転膜21は珪素を15~60原子%含んでもよい。位相反転膜21は珪素を25~50原子%含んでもよい。
【0142】
位相反転膜21は窒素を30~60原子%含んでもよい。位相反転膜21は窒素を35~55原子%を含んでもよい。
【0143】
位相反転膜21は酸素を5~35原子%含んでもよい。位相反転膜21は酸素を10~25原子%含んでもよい。
【0144】
このような場合、位相反転膜21は、短波長の露光光、具体的に200nm以下の波長を有する光を用いたリソグラフィー工程に適した光学特性を有することができる。
【0145】
位相反転膜21に適用される遷移金属は、モリブデン、タンタル、及びジルコニウムのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。前記遷移金属はモリブデンであってもよい。
【0146】
位相反転膜21は、前記言及された元素以外に他の元素をさらに含むことができる。例示的に、位相反転膜21は、アルゴン、ヘリウムなどを含むことができる。
【0147】
多層膜の光学特性
波長193nmの光に対する多層膜20の光学密度が2.5以上であってもよい。前記光学密度が2.8以上であってもよい。前記光学密度が3.0以上であってもよい。前記光学密度が5.0以下であってもよい。
【0148】
波長193nmの光に対する遮光膜22の光学密度が1.3以上であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜22の光学密度が1.4以上であってもよい。
【0149】
波長193nmの光に対する遮光膜22の透過率が2%以下であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜22の透過率が1.9%以下であってもよい。
【0150】
このような場合、遮光膜は、露光光の透過を効果的に遮断することを助けることができる。
【0151】
波長193nmの光に対する位相反転膜21の位相差が170°~190°であってもよい。波長193nmの光に対する位相反転膜21の位相差が175°~185°であってもよい。
【0152】
波長193nmの光に対する位相反転膜21の透過率が3~10%であってもよい。波長193nmの光に対する位相反転膜21の透過率が4~8%であってもよい。
【0153】
このような場合、パターン膜の縁部で発生し得る回折光を効果的に抑制することができる。
【0154】
多層膜及び前記多層膜に含まれた薄膜別の光学密度、透過率及び位相差は、分光エリプソメータ(spectroscopic ellipsometer)を用いて測定する。例示的に、光学密度などは、ナノビュー社のMG-Proモデルを用いて測定することができる。
【0155】
その他の薄膜
遮光膜22上にハードマスク(図示せず)が位置することができる。ハードマスクは、遮光膜22のパターンエッチング時にエッチングマスク膜の機能を行うことができる。ハードマスクは、珪素、窒素及び酸素を含むことができる。
【0156】
遮光膜22上にレジスト膜(図示せず)が位置することができる。レジスト膜は、遮光膜22の上面に接して形成されてもよい。レジスト膜は、遮光膜22上に配置された他の薄膜の上面に接して形成されてもよい。
【0157】
レジスト膜は、電子ビームの照射及び現像を通じてレジストパターン膜を形成することができる。レジストパターン膜は、遮光膜22のパターンエッチング時にエッチングマスク膜の機能を行うことができる。
【0158】
レジスト膜は、ポジティブレジスト(positive resist)が適用されてもよい。レジスト膜は、ネガティブレジスト(negative resist)が適用されてもよい。例示的に、レジスト膜は、Fuji社のFEP255モデルを適用することができる。
【0159】
フォトマスク
本明細書の更に他の実施例に係るフォトマスクは、前記ブランクマスクから具現され得る。
【0160】
ブランクマスクについての説明は、前述した内容と重複するので省略する。
【0161】
ブランクマスクの製造方法
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、光透過性基板上に多層膜を形成する多層膜形成ステップを含む。多層膜形成ステップは、光透過性基板上に位相反転膜を形成する位相反転膜形成過程と、前記位相反転膜上に遮光膜を形成する遮光膜形成過程とを含むことができる。
【0162】
位相反転膜形成過程において、光透過性基板及びスパッタリングターゲットが配置されたスパッタリングチャンバを用いてスパッタリングを行うことができる。これを通じて、前記光透過性基板上に位相反転膜を成膜することができる。
【0163】
光透過性基板についての説明は、前述した内容と重複するので省略する。
【0164】
位相反転膜形成過程において、成膜される位相反転膜の組成を考慮してスパッタリングターゲットを適用することができる。
【0165】
位相反転膜形成過程において、遷移金属と珪素をいずれも含有する一つのスパッタリングターゲットを適用してもよい。位相反転膜形成過程において、遷移金属を含有したスパッタリングターゲットと珪素を含有したスパッタリングターゲットを含んで2つ以上のスパッタリングターゲットを適用してもよい。
【0166】
位相反転膜形成過程において一つのスパッタリングターゲットが適用される場合、前記スパッタリングターゲットの遷移金属の含量は30at%以下であってもよい。前記遷移金属の含量は20at%以下であってもよい。前記遷移金属の含量は2at%以上であってもよい。
【0167】
前記スパッタリングターゲットの珪素の含量は70at%以上であってもよい。前記珪素の含量は80at%以上であってもよい。前記珪素の含量は98at%以下であってもよい。
【0168】
位相反転膜形成過程でスパッタリングチャンバ内に雰囲気ガスを注入することができる。雰囲気ガスは、不活性ガス及び反応性ガスを含むことができる。不活性ガスは、成膜された薄膜を構成する元素を含まないガスである。反応性ガスは、成膜された薄膜を構成する元素を含むガスである。
【0169】
不活性ガスは、プラズマ雰囲気でイオン化してターゲットと衝突するガスを含むことができる。不活性ガスはアルゴンを含むことができる。不活性ガスは、成膜される薄膜の応力調節などの目的のためにヘリウムをさらに含むことができる。
【0170】
雰囲気ガスはアルゴンを2体積%以上含んでもよい。雰囲気ガスはアルゴンを5体積%以上含んでもよい。雰囲気ガスはアルゴンを30体積%以下含んでもよい。雰囲気ガスはアルゴンを20体積%以下含んでもよい。
【0171】
雰囲気ガスはヘリウムを20体積%以上含んでもよい。雰囲気ガスはヘリウムを25体積%以上含んでもよい。雰囲気ガスはヘリウムを30体積%以上含んでもよい。雰囲気ガスはヘリウムを60体積%以下含んでもよい。雰囲気ガスはヘリウムを55体積%以下含んでもよい。雰囲気ガスはヘリウムを50体積%以下含んでもよい。
【0172】
反応性ガスは、窒素元素を含むガスを含むことができる。前記窒素元素を含むガスは、例示的に、N2、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。反応性ガスは、酸素元素を含むガスを含むことができる。前記酸素元素を含むガスは、例示的にO2、CO2などであってもよい。反応性ガスは、窒素元素を含むガス、及び酸素元素を含むガスを含むことができる。前記反応性ガスは、窒素元素と酸素元素の両方を含むガスを含むことができる。前記窒素元素と酸素元素の両方を含むガスは、例示的に、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。
【0173】
雰囲気ガスは反応性ガスを20体積%以上含んでもよい。雰囲気ガスは反応性ガスを30体積%以上含んでもよい。雰囲気ガスは反応性ガスを40体積%以上含んでもよい。雰囲気ガスは反応性ガスを80体積%以下含んでもよい。
【0174】
位相反転膜形成過程において、ターゲットと基板との間の距離であるT/S距離を240mm~260mmとして適用することができる。基板とターゲットとの間の角度は20°~30°として適用することができる。基板の回転速度は2RPM~20RPMであってもよい。
【0175】
位相反転膜形成過程において、スパッタリングターゲットに電力を加えてスパッタリングを行うことができる。スパッタリングターゲットに電力を加える電源はDC電源であってもよく、またはRF電源であってもよい。
【0176】
スパッタリングターゲットに加える電力は1kW~3kWであってもよい。前記電力は1.5kW~2.5kWであってもよい。前記電力は1.8kW~2.2kWであってもよい。
【0177】
位相反転膜形成過程において、スパッタリングを600秒以上800秒以下の間行うことができる。
【0178】
位相反転膜の成膜時に光透過性基板上にマスクシールド(Mask Shield)を配置することができる。マスクシールドは、開口部、及び前記開口部を取り囲むシールド部を含むことができる。このような場合、スパッタリングが行われる間、マスクシールドは、開口部に向かうスパッタリング粒子を通過させ、シールド部に向かうスパッタリング粒子が基板上に蒸着されることを防ぐことができる。これを通じて、成膜される位相反転膜の形状及び面積を制御することができる。
【0179】
蒸着対象基板の上面の面積に対するマスクシールドの開口部の面積の比率は0.98以下であってもよい。前記比率は0.95以下であってもよい。前記比率は0.93以下であってもよい。前記比率は0.5以上であってもよい。
【0180】
マスクシールドの開口部は正方形の形状を有することができる。蒸着対象基板の一辺の長さに対するマスクシールドの開口部の一辺の長さの比率は0.98以下であってもよい。前記比率は0.7以上であってもよい。前記比率は0.8以上であってもよい。
【0181】
位相反転膜形成過程において、マスクシールドは、蒸着対象基板の上面から0.5mm以上離隔して配置されてもよい。マスクシールドは、蒸着対象基板の上面から1mm以上離隔して配置されてもよい。マスクシールドは、蒸着対象基板の上面から5mm以下離隔して配置されてもよい。
【0182】
このような場合、遮光膜の成膜を通じた位相反転膜の側面の保護が容易なように位相反転膜の形状及び面積が制御され得る。
【0183】
マスクシールドの素材は、スパッタリング分野で適用可能な素材であれば制限されない。例示的に、マスクシールドの素材はアルミニウム合金であってもよい。
【0184】
成膜された位相反転膜は、内部応力の解消及び耐光性の向上のために熱処理され得る。
【0185】
ブランクマスクの製造方法は、位相反転膜上に遮光膜を形成する遮光膜形成過程を含む。
【0186】
遮光膜形成過程に適用されるスパッタリングターゲットは、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを90重量%以上含んでもよい。前記スパッタリングターゲットは、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを95重量%以上含んでもよい。前記スパッタリングターゲットは、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを99重量%以上含んでもよい。前記スパッタリングターゲットは、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを99重量%以上含んでもよい。
【0187】
遮光膜形成過程に適用されるスパッタリングターゲットはCrを90重量%以上含んでもよい。前記スパッタリングターゲットはCrを95重量%以上含んでもよい。前記スパッタリングターゲットはCrを99重量%以上含んでもよい。前記スパッタリングターゲットはCrを100重量%以下含んでもよい。
【0188】
遮光膜形成過程は、第1遮光層成膜工程及び第2遮光層成膜工程を含むことができる。遮光膜形成過程において、遮光膜に含まれた各層別にスパッタリング工程の条件を異なって適用することができる。具体的に、各層別に要求される消光特性及びエッチング特性などを考慮して、雰囲気ガスの組成、スパッタリングターゲットに加える電力、成膜時間などの各種工程条件を各層別に異なって適用することができる。
【0189】
雰囲気ガスは、不活性ガス及び反応性ガスを含むことができる。
【0190】
不活性ガスは、プラズマ雰囲気でイオン化してターゲットと衝突するガスを含むことができる。不活性ガスはアルゴンを含むことができる。不活性ガスは、成膜される薄膜の応力調節などの目的のためにヘリウムをさらに含むことができる。
【0191】
反応性ガスは、窒素元素を含むガスを含むことができる。前記窒素元素を含むガスは、例示的に、N2、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。反応性ガスは、酸素元素を含むガスを含むことができる。前記酸素元素を含むガスは、例示的にO2、CO2などであってもよい。反応性ガスは、窒素元素を含むガス、及び酸素元素を含むガスを含むことができる。前記反応性ガスは、窒素元素と酸素元素の両方を含むガスを含むことができる。前記窒素元素と酸素元素の両方を含むガスは、例示的に、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。
【0192】
遮光膜形成過程において、遮光膜の成膜時に位相反転膜上にマスクシールドを配置することができる。
【0193】
位相反転膜形成過程に適用されたマスクシールドの開口部の面積に対する、遮光膜形成過程に適用されたマスクシールドの開口部の面積の比率は1.01以上であってもよい。前記比率は1.02以上であってもよい。前記比率は1.03以上であってもよい。前記比率は5以下であってもよい。
【0194】
位相反転膜形成過程及び遮光膜形成過程に適用されたマスクシールドの開口部は、正方形の形状を有することができる。位相反転膜形成過程に適用されたマスクシールドの開口部の一辺の長さに対する、遮光膜形成過程に適用されたマスクシールドの開口部の一辺の長さの比率は1.005以上であってもよい。前記比率は1.01以上であってもよい。前記比率は2.3以下であってもよい。
【0195】
遮光膜形成過程において、マスクシールドは、蒸着対象基板の上面から0.5mm以上離隔して配置されてもよい。マスクシールドは、蒸着対象基板の上面から1mm以上離隔して配置されてもよい。マスクシールドは、蒸着対象基板の上面から5mm以下離隔して配置されてもよい。
【0196】
このような場合、洗浄液から位相反転膜を安定的に保護することができ、パーティクルの発生頻度が減少した多層膜を形成することができる。
【0197】
マスクシールドの素材は、スパッタリング分野で適用可能な素材であれば制限されない。例示的に、マスクシールドの素材はアルミニウム合金であってもよい。
【0198】
第1遮光層成膜工程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5kW以上2.5kW以下として適用してもよい。前記スパッタリングターゲットに加える電力を1.6kW以上2kW以下として適用してもよい。
【0199】
第1遮光層成膜工程において、雰囲気ガスの不活性気体の流量に対する反応性気体の流量の比率は0.5以上であってもよい。前記流量の比率は0.7以上であってもよい。前記流量の比率は1.5以下であってもよい。前記流量の比率は1.2以下であってもよい。前記流量の比率は1以下であってもよい。
【0200】
前記雰囲気ガスにおいて、不活性気体全体の流量に対するアルゴン気体の流量の比率は0.2以上であってもよい。前記流量の比率は0.25以上であってもよい。前記流量の比率は0.3以上であってもよい。前記流量の比率は0.55以下であってもよい。前記流量の比率は0.5以下であってもよい。前記流量の比率は0.45以下であってもよい。
【0201】
前記雰囲気ガスにおいて、反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は1.5以上4以下であってもよい。前記比率は1.8以上3.8以下であってもよい。前記比率は2以上3.5以下であってもよい。
【0202】
このような場合、成膜された第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有することを助けることができる。また、遮光膜のパターニング過程で遮光パターン膜の形状を精密に制御することを助けることができる。
【0203】
第1遮光層成膜工程は、200秒以上300秒以下の時間行ってもよい。第1遮光層成膜工程は、230秒以上280秒以下の時間行ってもよい。このような場合、成膜された第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有するように助けることができる。
【0204】
第2遮光層成膜工程において、スパッタリングターゲットに加える電力を1~2kWとして適用してもよい。前記電力を1.2~1.7kWとして適用してもよい。このような場合、第2遮光層の耐衝撃性がさらに向上することができ、遮光膜が目的とする光学特性及びエッチング特性を有することを助けることができる。
【0205】
第2遮光層成膜工程において、雰囲気ガスに含まれた不活性気体の流量に対する反応性気体の流量の比率は0.4以上であってもよい。前記流量の比率は0.5以上であってもよい。前記流量の比率は0.65以上であってもよい。前記流量の比率は1以下であってもよい。前記流量の比率は0.9以下であってもよい。前記流量の比率は0.8以下であってもよい。
【0206】
前記雰囲気ガスにおいて、不活性気体全体の流量に対するアルゴン気体の流量の比率は0.8以上であってもよい。前記流量の比率は0.9以上であってもよい。前記流量の比率は0.95以上であってもよい。前記流量の比率は1以下であってもよい。
【0207】
第2遮光層成膜工程において、反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は0.3以下であってもよい。前記比率は0.1以下であってもよい。前記比率は0.001以上であってもよい。前記比率は0以上であってもよい。
【0208】
このような場合、遮光膜の表面が安定した耐久性及び優れた消光特性を有するようにすることができる。
【0209】
第2遮光層成膜工程は、10秒以上30秒以下の時間行ってもよい。第2遮光層の成膜時間は、15秒以上25秒以下の時間行ってもよい。このような場合、優れた耐久性を有する遮光膜を形成することができ、遮光膜のパターニングをさらに精巧に具現することができる。
【0210】
遮光膜の内部応力を解消するために、多層膜に熱処理を行うことができる。
【0211】
半導体素子の製造方法
本明細書の他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0212】
フォトマスクは、前記ブランクマスクから具現されたものである。
【0213】
準備ステップにおいて、光源は、短波長の露光光を発生させることができる装置である。露光光は、波長200nm以下の光であってもよい。露光光は、波長193nmのArF光であってもよい。
【0214】
フォトマスクと半導体ウエハとの間にレンズがさらに配置されてもよい。レンズは、フォトマスク上の回路パターンの形状を縮小して半導体ウエハ上に転写する機能を有する。レンズは、ArF半導体ウエハ露光工程に一般に適用できるものであれば限定されない。例示的に、前記レンズは、フッ化カルシウム(CaF2)で構成されたレンズを適用できる。
【0215】
露光ステップにおいて、フォトマスクを介して、半導体ウエハ上に露光光を選択的に透過させることができる。このような場合、レジスト膜における露光光が入射した部分で化学的変性が発生することができる。
【0216】
現像ステップにおいて、露光ステップを終えた半導体ウエハを現像溶液で処理して半導体ウエハ上にパターンを現像することができる。塗布されたレジスト膜がポジティブレジスト(positive resist)である場合、レジスト膜における露光光が入射した部分が現像溶液によって溶解され得る。塗布されたレジスト膜がネガティブレジスト(negative resist)である場合、レジスト膜における露光光が入射していない部分が現像溶液によって溶解され得る。現像溶液の処理によって、レジスト膜はレジストパターンとして形成される。前記レジストパターンをマスクとして半導体ウエハ上にパターンを形成することができる。
【0217】
フォトマスクについての説明は、前述の内容と重複するので省略する。
【0218】
以下、具体的な実施例についてより詳細に説明する。
【0219】
製造例:遮光膜の成膜
実施例1:DCスパッタリング装備のチャンバ内に、横6インチ、縦6インチ、厚さ0.25インチ、平坦度500nm未満のクォーツ素材の光透過性基板を配置した。光透過性基板は、縁に幅0.45mmの面取り面が適用された。T/S距離が255mm、基板とターゲットとの間の角度が25°を形成するようにスパッタリングターゲットをチャンバ内に配置した。前記スパッタリングターゲットのモリブデンの含量は10at%、珪素の含量は90at%である。
【0220】
光透過性基板上に、横149.4mm、縦149.4mmの開口部を有するアルミニウム合金素材のマスクシールドを配置した。マスクシールドは、光透過性基板の上面から2mm離隔した位置に配置した。
【0221】
その後、Ar:N2:He=9:52:39の比率で混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリング電力を2kWに設定して、位相反転膜の成膜を600秒以上800秒以下の時間行った。
【0222】
成膜を終えた位相反転膜を、1Paで400℃で30分間アニーリングした後、自然冷却した。
【0223】
実施例2:実施例1と同じ条件で光透過性基板上に位相反転膜を成膜した。前記位相反転膜上に第1遮光層を成膜した。第1遮光層の成膜時のスパッタリングターゲットはクロムターゲットを適用し、T/S距離及び基板とターゲットとの間の角度は、位相反転膜の成膜時と同様に適用した。
【0224】
第1遮光層の成膜時に、位相反転膜上に、横151.4mm、縦151.4mmの開口部を有するアルミニウム合金素材のマスクシールドを配置した。マスクシールドは、位相反転膜の上面から2mm離隔した位置に配置した。
【0225】
第1遮光層成膜工程において、Ar19体積比%、N211体積比%、CO236体積比%、He34体積比%が混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリングターゲットに加える電力を1.85kWとして適用し、250秒間スパッタリング工程を行って第1遮光層を成膜した。
【0226】
第1遮光層の成膜を終えた後、第1遮光層上に、Ar57体積比%とN243体積比%が混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5kWとして適用し、25秒間スパッタリング工程を行って第2遮光層を成膜した。第2遮光層の成膜時のマスクシールドの配置条件は、第1遮光層の成膜時と同様に適用した。
【0227】
第2遮光層の成膜を終えたブランクマスクを熱処理チャンバ内に配置した。その後、雰囲気温度を250℃として適用して15分間熱処理を行った。
【0228】
比較例1:位相反転膜及び遮光膜の成膜時にマスクシールドを適用しなかった以外は、実施例2と同様の方法でブランクマスクを製造した。
【0229】
評価例:位相反転膜及び多層膜の表面プロファイルの測定
実施例1の位相反転膜及び実施例2の多層膜の表面プロファイルを測定した。具体的に、各サンプル別にマスクの縁からマスクの内側方向に0.5mm離隔した地点を測定開始点として設定した。前記開始点からマスクの内側方向に4mm離隔した地点までの区間で薄膜の表面プロファイル(即ち、各位置での薄膜の厚さ)を0.1mm間隔で測定した。表面プロファイルは、Veeco社のDektak150モデルの表面プロフィルメータを用いて測定した。測定時にスタイラス半径(Stylus radius)を12.5μm、Forceを3.00mgに設定し、Hills&Valleys測定方式を適用した。
【0230】
実施例1の各位置別の位相反転膜の厚さ、及び実施例2の各位置別の多層膜の厚さ、dT値及びddT値は下記表1に記載し、実施例2のdT値の最大値及びddT値の最大値は下記表2に記載した。実施例1及び2から測定した表面プロファイルを示すグラフは
図6に記載した。
【0231】
評価例:洗浄工程による位相反転膜の損傷の程度の評価
実施例2及び比較例1のブランクマスクをSC-1(standard clean-1)溶液に800秒間浸漬し、オゾン水で洗浄した。前記SC-1溶液は、NH4OHを14.3重量%、H2O2を14.3重量%、H2Oを71.4重量%含む溶液を適用した。
【0232】
その後、前記マスクの断面をTEMを通じて観察した。ブランクマスクの断面イメージから位相反転膜の損傷が観察されない場合にP、位相反転膜の損傷が観察される場合にFと評価した。
【0233】
実施例及び比較例別の測定結果は、下記表3に記載した。
【0234】
評価例:パーティクルの評価
実施例及び比較例の多層膜の上面をイメージ測定し、観察されるパーティクルの数を測定した。具体的に、実施例及び比較例別のサンプルを、レーザーテック(Lasertec)社のM6641Sモデルの欠陥検査機に配置した。その後、多層膜の上面内の横146mm、縦146mmの領域でパーティクルの数を測定した。パーティクル数の測定時に、検査光は波長532nmの緑色光レーザー、レーザーパワーは3000mW(測定対象基板の表面で測定したレーザー出力1050mW)、ステージ(stage)移動速度は2を適用して測定した。
【0235】
その後、実施例及び比較例別のサンプルをSMIF(Standard Mechanical InterFace)ポッド(pod)に一週間保管した後、欠陥検査機の内部で開封した。そして、SMIF保管前のパーティクルの測定時と同じ条件で多層膜の上面のパーティクルの数を測定した。
【0236】
各サンプル別に、SMIF保管前のサンプルと比較してSMIF保管後のサンプルで探知されたパーティクル数の増加が観察される場合にF、パーティクル数の増加が観察されない場合にPと評価した。
【0237】
実施例及び比較例別の測定結果は、下記表3に記載した。
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
前記表3において、実施例2は、位相反転膜の損傷の有無の評価及びパーティクルの評価においていずれもPと評価されたのに対し、比較例1はいずれもFと評価された。
【0242】
以上、好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している具現例の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0243】
100 ブランクマスク
10 光透過性基板
20 多層膜
201 中央部
202 外周部
21 位相反転膜
21f 位相反転膜の上面
21s 位相反転膜の側面
22 遮光膜
221 第1遮光層
222 第2遮光層
e1 第1縁
e2 第2縁
e3 第3縁
e4 第4縁
SA 傾斜領域
w 多層膜の最外郭に配置された傾斜領域の幅
s1 第1面
s2 第2面