(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】SiC基板及びSiC単結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/36 20060101AFI20240730BHJP
C30B 23/06 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B23/06
(21)【出願番号】P 2019222344
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-10-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】松瀬 朗浩
【審査官】富永 泰規
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-250864(JP,A)
【文献】特表2008-538542(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029952(WO,A1)
【文献】特開2011-251885(JP,A)
【文献】特開2002-234800(JP,A)
【文献】特開2009-256155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00 - 35/00
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3×10
14cm
-3以上1×10
15cm
-3以下のタンタル又はニオブと、
1×10
16cm
-3以上1×10
20cm
-3以下の窒素と、を含有する、
4H-SiC基板。
【請求項2】
アルミニウムの含有量が1×10
16cm
-3未満である、請求項1に記載の
4H-SiC基板。
【請求項3】
ボロンの含有量が1×10
16cm
-3未満である、請求項1又は2に記載の
4H-SiC基板。
【請求項4】
原料から昇華したガスを種結晶の表面で再結晶化させることで単結晶が成長する昇華法を用いたSiC単結晶の製造方法であって、
前記原料は、1wt%以上8wt%以下のタンタル又はニオブを含み、
前記原料の前記種結晶と対向する表面におけるタンタル又はニオブの濃度は、原料の内部より薄い、SiC単結晶の製造方法。
【請求項5】
前記原料を平面視した際に、中央におけるタンタル又はニオブの濃度は外側より濃い、請求項4に記載のSiC単結晶の製造方法。
【請求項6】
原料から昇華したガスを種結晶の表面で再結晶化させることで単結晶が成長する昇華法を用いたSiC単結晶の製造方法であって、
前記原料と前記種結晶との間に、前記原料に対して1wt%以上8wt%以下の量の粉末又は板状の金属タンタル又は金属ニオブを設置して、前記原料を昇華させる、SiC単結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC基板及びSiC単結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きい。また、炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて熱伝導率が3倍程度高い等の特性を有する。そのため炭化珪素(SiC)は、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。このため、近年、上記のような半導体デバイスにSiCエピタキシャルウェハが用いられるようになっている。
【0003】
SiCエピタキシャルウェハは、SiCインゴットから切り出されたSiC基板の表面にエピタキシャル層を積層することで得られる。以下、エピタキシャル層を積層前の基板をSiC基板と称し、エピタキシャル層を積層後の基板をSiCエピタキシャルウェハと称する。
【0004】
近年、市場の要求に伴い、SiC基板の高品質化及び生産効率の向上が求められている。例えば、特許文献1には、ケイ素より大きな原子半径を有する軽金属を除く金属元素を含有する炭化珪素単結晶が記載されている。ケイ素より大きな原子半径を有する軽金属を除く金属元素が添加されることで、結晶中における格子歪みが解消され、炭化珪素単結晶の品質が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の範囲の金属元素を添加しても、SiC基板中に炭化や多形が生じる場合があった。ここで炭化とは、SiとCとが結びつかず、Cのみが析出した状態を言い、多形とはポリタイプの異なる結晶が混在することをいう。SiCは、例えば、3C-SiC、4H-SiC、6H-SiC、15R-SiC等のポリタイプを有する。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、高純度で炭化及び多形の少ないSiC基板及びSiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、SiC基板の基となるSiCインゴットを作製する際において、昇華ガスのC/Si比が大きく揺らぐことが、炭化や多形の原因の一つであることを見出した。すなわち、高純度で炭化及び多形の少ないSiC基板を得るためには、特許文献1に記載のように格子歪みを解消しただけでは十分ではなく、より厳密な制御が求められることを見出した。すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0009】
(1)第1の態様にかかるSiC基板は、3×1014cm-3以上1×1015cm-3以下のタンタル又はニオブと、1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下の窒素と、を含有する。
【0010】
(2)上記態様にかかるSiC基板は、アルミニウムの含有量が1×1016cm-3未満であってもよい。
【0011】
(3)上記態様にかかるSiC基板は、ボロンの含有量が1×1016cm-3未満であってもよい。
【0012】
(4)第2の態様にかかるSiC単結晶製造方法は、原料から昇華したガスを種結晶の表面で再結晶化させることで単結晶が成長する昇華法を用いたSiC単結晶の製造方法であって、前記原料は、タンタル又はニオブを含む。
【0013】
(5)上記態様にかかるSiC単結晶製造方法において、前記原料内におけるタンタル又はニオブの濃度は略一定であってもよい。
【0014】
(6)上記態様にかかるSiC単結晶製造方法において、前記原料の前記種結晶と対向する表面におけるタンタル又はニオブの濃度は、原料の内部より薄くてもよい。
【0015】
(7)上記態様にかかるSiC単結晶製造方法において、前記タンタル又はニオブは、SiCの原料の表面に堆積していてもよい。
【0016】
(8)上記態様にかかるSiC単結晶製造方法において、前記原料の前記種結晶と対向する表面におけるタンタル又はニオブの濃度は、原料の内部より濃くてもよい。
【0017】
(9)上記態様にかかるSiC単結晶製造方法において、前記原料を平面視した際に、中央におけるタンタル又はニオブの濃度を外側より濃くてもよい。
【0018】
(10)第3の態様にかかるSiC単結晶製造方法は、原料から昇華したガスを種結晶の表面で再結晶化させることで単結晶が成長する昇華法を用いたSiC単結晶の製造方法であって、前記原料と前記種結晶との間に、粉末又は板状のタンタル又はニオブを設置して、前記原料を昇華させる。
【発明の効果】
【0019】
上記態様にかかるSiC基板は、高純度で炭化及び多形が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態にかかるSiC基板の製造方法を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態にかかるSiC基板等について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本実施形態の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0022】
本実施形態に係るSiC基板は、タンタル又はニオブと窒素とを含む。窒素は、n型のドーパントである。SiC基板が窒素を含むことで、SiC基板の抵抗値が低下する。窒素の含有量は、1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下である。窒素の含有量は、好ましくは1×1017cm-3以上1×1019cm-3以下であり、より好ましくは1×1018cm-3以上1×1019cm-3以下である。窒素の含有量がこの範囲であると、低抵抗で結晶性に優れるSiC基板となる。
【0023】
SiC基板中のタンタル又はニオブは、SiC基板中で単体又は炭化した状態で存在する。タンタルとニオブはいずれも同じ5族に属し、最外殻の電子状態が類似しており、いずれも炭素と結合しやすいという特性を有する。タンタル及びニオブは、結晶成長中において炭素の存在比を調整する役割を担う。
【0024】
タンタル又はニオブの含有比は、それぞれ3×1014cm-3以上1×1015cm-3以下である。タンタル又はニオブの含有比は、好ましくはそれぞれ5×1014cm-3以上8×1014cm-3以下である。
【0025】
タンタル又はニオブの含有比は、厚み方向に一様でも、異なってもよい。例えば、SiC基板の第1面と第2面とでタンタル又はニオブの含有比が異なってもよく、第1面から第2面に向うに従い、含有比が減少してもよい。
【0026】
本実施形態に係るSiC基板において、アルミニウムの含有量は1×1016cm-3未満であってもよい。また本実施形態に係るSiC基板において、ボロンの含有量が1×1016cm-3未満であってもよい。アルミニウム及びボロンは、SiC基板においてアクセプタとして機能する。n型の半導体基板において、アルミニウム及びボロンが少ないSiC基板は高純度であり、SiCエピタキシャルウェハ及びSiCデバイスの作製に有利である。
【0027】
また本実施形態に係るSiC基板は、重金属元素が少ないことが好ましい。重金属元素とは、例えば、バナジウム、タングステン、ネオジム等である。重金属元素の含有量は、例えば、1×1014cm-3未満であってもよい。
【0028】
次いで、本実施形態に係るSiC基板の作製方法を説明する。本実施形態に係るSiC基板はSiCインゴットの成長工程と、SiCインゴットの切断工程とを有する。SiC基板は、SiCインゴットをスライスして得られる。
【0029】
図1は、本実施形態に係るSiC基板の作製方法を説明するための断面図である。
図1は、昇華法を用いたSiCインゴットの製造過程の一例を示す。
図1に示すSiCインゴットの製造装置100は、坩堝10とコイル20とを備える。坩堝10の内底面には原料Gが収容され、原料Gと対向する位置に種結晶Sが設置される。誘導加熱により原料Gが加熱されることで、原料Gが昇華する。昇華した原料Gは、種結晶S上で再結晶化し、単結晶Cが成長する。単結晶Cを坩堝10から取り外したものがSiCインゴットである。
【0030】
本実施形態に係るSiC基板の作製方法では、SiCインゴットの成長工程において原料Gにタンタル又はニオブを添加する。原料Gは、例えばSiCの粉末である。タンタル又はニオブは、例えば、粉として添加される。原料G内におけるタンタル又はニオブの濃度は、例えば、略一定である。本明細書において略一定であるとは、原料Gを坩堝10の内底面から高さ方向に10分割し、それぞれの領域におけるタンタル又はニオブの濃度のブレが10%以内であることをいう。添加するタンタル又はニオブの粒径は、SiC粉末の粒度分布の範囲内にあることが好ましい。例えば、SiC粉末の粒径が0.01mm以上2.0mm以下であり、タンタル又はニオブの粒径が0.1mm以上1.0mm以下である。
【0031】
タンタル又はニオブの添加量は、例えば、1wt%以上8wt%以下であり、好ましくは2wt%以上6wt%以下である。
【0032】
単結晶Cは、SiCの昇華ガスが再結晶化することで得られる。昇華ガスにおける炭素組成比が高いと、単結晶Cの一部が炭化する。また昇華ガスにおけるシリコン組成比が高いと、4H-SiCの結晶成長が不安定化し多形が発生する場合や、シリコンドロップレットが生じる場合がある。昇華ガスにおけるシリコンと炭素の組成比(C/Si比)は常に一定ではなく、揺らいでいる。この揺らぎが大きいと、単結晶Cに炭化や多形が生じやすくなる。
【0033】
原料Gにタンタル又はニオブを添加すると、タンタル又はニオブは、昇華ガスにおけるシリコンと炭素の組成比を調整する。例えば、タンタル及びニオブは、炭素と結合し、昇華ガスにおける炭素組成比が過剰になることを抑制する。
【0034】
適切な量のタンタル又はニオブが添加されていることで、C/Si比が調整され、単結晶C中に炭化や多形が生じることを抑制できる。タンタル又はニオブの量が過剰だと、昇華ガスにおけるシリコン組成比が増加し、多形が増える。タンタル又はニオブの量が少ないと、昇華ガスにおける炭素組成比が増加し、炭化が生じる。タンタル又はニオブは、炭素と結合し、炭化タンタル又は炭化ニオブの状態でSiCインゴットに取り込まれる。
【0035】
本実施形態に係るSiCインゴットの製造方法によれば、多形及び炭化を抑制でき、高純度な結晶を製造しやすくなる。SiC基板はSiCインゴットをスライスすることで作製できるため、作製されたSiC基板も高純度になる。また作製されたSiC基板は、高純度であり、SiCエピタキシャルウェハ及びSiCデバイスの作製に有利である。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0037】
例えば、原料Gにタンタル又はニオブを添加する際に、原料中におけるタンタル又はニオブの存在比は、原料G全体で一様でなくてもよい。例えば、原料Gの表面におけるタンタル又はニオブの濃度は、原料Gの内部より薄くてもよい。シリコンの蒸気圧はカーボンの蒸気圧より高く、結晶成長初期はカーボンよりシリコンが昇華しやすい。結晶成長初期のタンタル又はニオブの昇華量が増えると、昇華ガスにおけるシリコン組成比が高くなり、多形が生じやすくなる。原料Gの表面におけるタンタル又はニオブの濃度が低いと、結晶成長初期に昇華するタンタル又はニオブの量が少なくなる。結晶初期はシリコン組成比が高くなりやすく、タンタル又はニオブによる炭素の吸着量を少なくすることで、多形の発生がより低減される。この場合、結晶成長する単結晶Cにおいて、タンタル又はニオブの濃度は、種結晶Sに近い第1面の方が、第1面と反対の第2面より低くなる。
【0038】
また例えば、原料Gの表面におけるタンタル又はニオブの濃度を、原料Gの内部より濃くしてもよい。例えば、原料Gを高さ方向に2分割した際に、種結晶側となる上層のみにタンタル又はニオブを添加してもよい。原料Gの表面近傍にタンタル又はニオブが存在することで、タンタル又はニオブの昇華効率を高めることができる。
【0039】
また例えば、原料Gを平面視した際に、中央におけるタンタル又はニオブの濃度を外側
より濃くしてもよい。SiCガスは、高温領域から低温領域に向って流れる。坩堝10は、外側から加熱されるため、外側の温度は中央側の温度より高い。すなわち、昇華するSiCガスの一部は、外側から中央側に向って流れる。また昇華するSiCガスが、タンタル又はニオブの濃度が濃い領域を通過することで、C/Si比が適切に調整される。
【0040】
また例えば、原料Gは、SiCからなる部分と、タンタル又はニオブからなる部分に分かれてもよい。
例えば、SiC原料の表面にタンタル又はニオブが堆積していてもよい。原料Gの表面近傍にタンタル又はニオブが存在することで、タンタル又はニオブの昇華効率を高めることができる。また昇華するSiCガスが、タンタル又はニオブからなる層を通過することで、C/Si比が適切に調整される。
また例えば、原料Gを平面視した際に、中央の領域にタンタル又はニオブを充填し、その外周領域にSiC原料を充填してもよい。上述のように、昇華するSiCガスの一部は、外側から中央側に向って流れるため、昇華するSiCガスが通過する位置に、タンタル又はニオブを配置することで、C/Si比が適切に調整される。
【0041】
また例えば、タンタル又はニオブを原料G以外の部分に設置してもよい。例えば、高さ方向において、原料Gと種結晶Sの間のいずれかの位置に、粉末又は板状のタンタル又はニオブを設置してもよい。例えば、坩堝の内面から内側に向って突出する突出部の上に、粉末又は板状のタンタル又はニオブを設置する。タンタル又はニオブが設置される突出部は、平面視で、種結晶と重なる部分を有しても有さなくてもよい。昇華するSiCガスが通過する位置に、タンタル又はニオブを配置することで、C/Si比が適切に調整される。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
Taの含有量が検出限界以下のSiC原料粉末に、3wt%のTa粉を添加し、坩堝内に収容した。そして、坩堝内に収容された原料と対向する位置に種結晶を設置し、昇華法により単結晶を成長させた。得られた単結晶におけるタンタルの含有率は、5×1014cm-3であった。同様の実験を20回行った。そして、実施例1の単結晶化率を求めた。単結晶化率は、実験数に対して単結晶中に異種多形が発生しなかった割合である。実施例1の単結晶化率は95%であった。
【0043】
(実施例2)
Taの含有量が検出限界以下のSiC原料粉末に、1wt%のTa粉を添加し、坩堝内に収容した。そして、坩堝内に収容された原料と対向する位置に種結晶を設置し、昇華法により単結晶を成長させた。得られた単結晶におけるタンタルの含有率は、3×1014cm-3であった。同様の実験を20回行った。そして、実施例2の単結晶化率を求めた。単結晶化率は、実験数に対して単結晶中に異種多形が発生しなかった割合である。実施例2の単結晶化率は90%であった。
【0044】
(実施例3)
Taの含有量が検出限界以下のSiC原料粉末に、8wt%のTa粉を添加し、坩堝内に収容した。そして、坩堝内に収容された原料と対向する位置に種結晶を設置し、昇華法により単結晶を成長させた。得られた単結晶におけるタンタルの含有率は、1×1015cm-3であった。同様の実験を20回行った。そして、実施例3の単結晶化率を求めた。単結晶化率は、実験数に対して単結晶中に異種多形が発生しなかった割合である。実施例3の単結晶化率は90%であった。
【0045】
(比較例1)
Taの含有量が検出限界以下のSiC原料粉末に、添加するTa粉の質量比を10wt%とした点が実施例1と異なる。得られた単結晶におけるタンタルの含有率は、2×1015cm-3であった。同様の実験を20回行った。そして、比較例1の単結晶化率を求めた。単結晶化率は、実験数に対して単結晶中に異種多形が発生しなかった割合である。比較例1の単結晶化率は80%であった。
【0046】
(比較例2)
Taの含有量が検出限界以下のSiC原料粉末に、添加するTa粉の質量比を0.5wt%とした点が実施例1と異なる。得られた単結晶におけるタンタルの含有率は1×1014cm-3であった。同様の実験を20回行った。そして、比較例2の単結晶化率を求めた。単結晶化率は、実験数に対して単結晶中に異種多形が発生しなかった割合である。比較例2の単結晶化率は80%であった。
【符号の説明】
【0047】
10 坩堝
20 コイル
100 製造装置
C 単結晶
G 原料
S 種結晶