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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】導電性粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240730BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20240730BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240730BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240730BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20240730BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J9/02
C09J11/04
C09J201/00
C09J133/00
H01B1/22 D
H01B1/22 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019223692
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021091801
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】山川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山上 晃
(72)【発明者】
【氏名】木村 雪花
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-127606(JP,A)
【文献】特開2005-123479(JP,A)
【文献】特開2002-338309(JP,A)
【文献】特開平11-302615(JP,A)
【文献】特開2007-087438(JP,A)
【文献】特開2019-201073(JP,A)
【文献】特開2001-172582(JP,A)
【文献】特開2019-1909(JP,A)
【文献】特開2019-173023(JP,A)
【文献】特開平11-349089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
H01B 1/00- 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を有する導電性粘着シートであって、
前記粘着剤層は、カーボン粒子、金属粒子、及び粘着剤を含有し、
前記カーボン粒子の平均粒子径が100nm以下であり、
前記カーボン粒子の含有量が、前記粘着剤の固形分100質量部に対して、75質量部以下であり、
前記金属粒子の含有量が、前記粘着剤の固形分100質量部に対して、145質量部以下であり、
前記カーボン粒子の前記粘着剤層中の含有量Aと、前記金属粒子の前記粘着剤層中の含有量Bとの質量比(A/B)が、2/10以上7/10以下であることを特徴とする導電性粘着シート。
【請求項2】
前記カーボン粒子の含有量が、前記粘着剤の固形分100質量部に対して、3質量部以上50質量部以下である請求項1に記載の導電性粘着シート。
【請求項3】
前記金属粒子の含有量が、前記粘着剤の固形分100質量部に対して、10質量部以上120質量部以下である請求項1から2のいずれかに記載の導電性粘着シート。
【請求項4】
前記金属粒子が球状又はフィラメント状である請求項1から3のいずれかに記載の導電性粘着シート。
【請求項5】
前記粘着剤が(メタ)アクリル重合体を含有するアクリル系粘着剤である請求項1から4のいずれかに記載の導電性粘着シート。
【請求項6】
導電性粘着シートの一方の面に銅箔を貼付した後、15mm幅×100mm幅のサイズに裁断し前記導電性粘着シートの他方の粘着剤層に2枚のスズメッキ板をそれぞれ貼付面積が15mm×15mmとなるよう貼付して作製した試験片について、測定した初期の抵抗値と、前記試験片を23℃下で168時間放置した後測定した抵抗値とから求めた、抵抗値の変化率[(168時間放置後の抵抗値/初期の抵抗値)×100]が300%以下である請求項1から5のいずれかに記載の導電性粘着シート。
【請求項7】
導電性基材を有する請求項1から6のいずれかに記載の導電性粘着シート。
【請求項8】
電気又は電子機器の内部及び外部における電磁波シールド用及びアース用の少なくともいずれかに用いられる請求項1から7のいずれかに記載の導電性粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
導電性粘着シートはその取扱いの容易さから、電気又は電子機器等から輻射する不要な漏洩電磁波のシールド用、他の電気又は電子機器から発生する有害な空間電磁波のシールド用、静電気帯電防止のアース用などに使用されており、近年の電気又は電子機器の小型化及び薄膜化に伴い、これらに用いられる導電性粘着シートも薄膜化及び小型化が求められている。
【0003】
前記導電性粘着シートとしては、例えば、導電性基材上に、金属フィラーを粘着性物質中に分散させた導電性粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、粘着性樹脂及び炭素系フィラーを含む粘着剤層を有する導電性粘着シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-53102号公報
【文献】国際公開2016/051829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の粘着シートは、導電性粒子として金属フィラーを添加しているため経時で剥がれが生じやすくなり、接点が減少することによって経時において導電性が低下するという問題がある。また、前記特許文献2に記載の導電性粘着シートは、導電性粒子として炭素系フィラーを添加しているため近年の小面積化に伴う低抵抗化の要求に対して十分満足できる導電性が得られないという課題がある。
本発明は、高い接着力を保持しつつ、初期及び経時のいずれにおいても優れた導電性を有する導電性粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> 粘着剤層を有する導電性粘着シートであって、
前記粘着剤層は、カーボン粒子、金属粒子、及び粘着剤を含有し、
前記カーボン粒子の含有量が、前記粘着剤の固形分100質量部に対して、75質量部以下であり、
前記金属粒子の含有量が、前記粘着剤の固形分100質量部に対して、145質量部以下であることを特徴とする導電性粘着シートである。
<2> 前記カーボン粒子の前記粘着剤層中の含有量Aと前記金属粒子の前記粘着剤層中の含有量Bとの質量比(A/B)が1/10以上7/10以下である前記<1>に記載の導電性粘着シートである。
<3> 前記カーボン粒子の含有量が、前記粘着剤の固形分100質量部に対して、3質量部以上50質量部以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の導電性粘着シートである。
<4> 前記金属粒子の含有量が、前記粘着剤の固形分100質量部に対して、10質量部以上120質量部以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の導電性粘着シートである。
<5> 前記金属粒子が球状又はフィラメント状である前記<1>から<4>のいずれかに記載の導電性粘着シートである。
<6> 前記カーボン粒子の平均粒子径が100nm以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の導電性粘着シートである。
<7> 前記粘着剤が(メタ)アクリル重合体を含有するアクリル系粘着剤である前記<1>から<6>のいずれかに記載の導電性粘着シートである。
<8> 導電性粘着シートの一方の面に銅箔を貼付した後、15mm幅×100mm幅のサイズに裁断し前記導電性粘着シートの他方の粘着剤層に2枚のスズメッキ板をそれぞれ貼付面積が15mm×15mmとなるよう貼付して作製した試験片について、測定した初期の抵抗値と、前記試験片を23℃下で168時間放置した後測定した抵抗値とから求めた、抵抗値の変化率[(168時間放置後の抵抗値/初期の抵抗値)×100]が300%以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の導電性粘着シートである。
<9> 導電性基材を有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の導電性粘着シートである。
<10> 電気又は電子機器の内部及び外部における電磁波シールド用及びアース用の少なくともいずれかに用いられる前記<1>から<9>のいずれかに記載の導電性粘着シートである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、高い接着力を保持しつつ、初期及び経時のいずれにおいても優れた導電性を有する導電性粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の導電性粘着シートの一例を示す概略断面図である。
図2図2は、本発明の導電性粘着シートの他の一例を示す概略断面図である。
図3図3は、本発明の導電性粘着シートの他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(導電性粘着シート)
本発明の導電性粘着シートは、粘着剤層を有し、前記粘着剤層は、カーボン粒子、金属粒子、及び粘着剤を含有する。
前記導電性粘着シートは、前記粘着剤層以外にも、導電性基材及び剥離ライナーを有することが好ましく、本発明の目的を損なわない範囲において、中間層、下塗り層等のその他の層を有していてもよい。
【0010】
本発明者は、粘着剤層に金属粒子を添加した場合における経時での電気抵抗値の上昇を抑制する手段について鋭意検討を重ねた結果、粘着剤層中に金属粒子とカーボン粒子を所定の含有量で併用することによって、互いに異なる特性を有する2種類の導電性粒子(金属粒子とカーボン粒子)が相乗的に働き合って、高い粘着力を損なうことなく、経時による接点の減少を抑制することが実現でき、初期及び経時のいずれにおいても優れた導電性を有する導電性粘着シートが得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
本発明の導電性粘着シートにおける「シート」とは、粘着剤層のみからなる形態、少なくとも1層の粘着剤層を導電性基材上又は剥離ライナー上に有する形態を意味し、例えば、毎葉、ロール状、薄板状、又は帯状(テープ状)等のすべての製品形態を含む。
「導電性粘着シート」は、「導電性粘着テープ」、「導電性粘着フィルム」と称することもあるが、以下では、「導電性粘着シート」に統一して説明する。なお、導電性粘着シートにおける粘着剤層の表面を「粘着面」と称する場合がある。
【0012】
本発明の導電性粘着シートは、シートの両面が粘着面となっている両面粘着型であってもよいし、シートの片面のみが粘着面となっている片面粘着型であってもよい。
【0013】
両面粘着型の導電性粘着シートとしては、金属箔等の導電性基材を備えていない、いわゆる基材レス導電性両面粘着シートであってもよいし、前記導電性基材を備えている、いわゆる基材付き導電性両面粘着シートであってもよい。
【0014】
前記基材レス導電性両面粘着シートとしては、例えば、図1に示すように、粘着剤層2のみからなる導電性粘着シート10が挙げられる。
前記基材付き導電性両面粘着シートとしては、例えば、図2に示すように、導電性基材1の両面にそれぞれ粘着剤層2が形成された導電性粘着シート10が挙げられる。
【0015】
また、片面粘着型の導電性粘着シートとしては、例えば、図3に示すように、金属箔等の導電性基材1の片面に、粘着剤層2が形成された導電性粘着シート10が挙げられる。図1図3において、粘着剤層2中に含まれるカーボン粒子3、金属粒子4が模式的に示されている。なお、図示を省略しているが、図1図3において、粘着剤層2の表面には、剥離ライナーを有することが好ましい。
【0016】
<粘着剤層>
粘着剤層は、導電性粘着シートの粘着面を提供しつつ、導電性(電気伝導性)を備える層である。粘着剤層の粘着面が、被着体に貼り付けられると、導体等の被着体と粘着剤層との間の電気的導通が確保される。
前記粘着剤層は、カーボン粒子、金属粒子、及び粘着剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0017】
<<粘着剤>>
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらの中でも、高い接着性、低コスト、及び高い耐久性の点から、(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。
【0018】
-(メタ)アクリル系粘着剤-
(メタ)アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体を含有し、粘着付与樹脂及び架橋剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0019】
-(メタ)アクリル重合体-
(メタ)アクリル重合体としては、炭素数1~14の(メタ)アクリレートモノマーを主たるモノマー成分とするアクリル共重合体が好適に挙げられる。
炭素数1~14の(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルキル基の炭素数が4~12の(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が4~9の直鎖又は分岐構造を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、高い接着力を有する導電性粘着シートが得られる点から、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが更に好ましい。
【0020】
(メタ)アクリル重合体中の炭素数1~14の(メタ)アクリレートの含有量は、(メタ)アクリル重合体を構成するモノマー成分中の70質量%以上95質量%以下であることが好ましく、80質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
前記アクリル重合体の製造に使用可能な単量体としては、前記したものの他に必要に応じて高極性ビニル単量体を使用することができる。
前記高極性ビニル単量体としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体、アミド基を有する(メタ)アクリル単量体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル単量体などが挙げられる。
【0023】
カルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2量体、クロトン酸、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレート等の(メタ)アクリル単量体などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸を使用することが好ましい。
【0024】
アミド基を有するビニルとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリル単量体などが挙げられる。
【0025】
前記高極性ビニル単量体としては、前記したものの他に、酢酸ビニル、エチレンオキサイド変性琥珀酸アクリレート、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルフォン酸等のスルホン酸基含有単量体などを使用することができる。
【0026】
前記高極性ビニル単量体は、前記アクリル重合体の製造に使用する単量体の全量に対して1.5質量%以上20質量%以下の範囲で使用することが好ましく、1.5質量%以上10質量%以下の範囲で使用することがより好ましく、2質量%以上8質量%以下の範囲で使用することが、凝集力、保持力、接着性の点でバランスのとれた粘着剤層を形成できるためさらに好ましい。
【0027】
前記高極性ビニル単量体のうち、前記水酸基を有するビニル単量体は、前記粘着剤としてイソシアネート系架橋剤を含有するものを使用する場合に、使用することが好ましい。具体的には、前記水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記水酸基を有するビニル単量体は、前記アクリル重合体の製造に使用する単量体の全量に対して、0.01質量%以上1.0質量%以下の範囲で使用することが好ましく、0.03質量%以上0.3質量%以下の範囲で使用することがより好ましい。
【0028】
前記アクリル重合体は、前記単量体を溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合方法で重合させることによって製造することができ、これらの中でも、溶液重合法や塊状重合法で製造することが好ましい。
前記重合の際には、必要に応じて、過酸化ベンゾイルや過酸化ラウロイル等の過酸化物系熱重合開始剤、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾの熱重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキシド系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤等を使用することができる。
【0029】
上記の方法で得られる(メタ)アクリル重合体としては、重量平均分子量(Mw)が500,000以上2,500,000以下であることが好ましく、700,000以上2,000,000以下であることがより好ましく、900,000以上1,800,000以下であることが更に好ましい。
前記重量平均分子量は、ゲルパーミエッションクロマトグラフ(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算での重量平均分子量である。
【0030】
GPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8329GPC)を用いて以下の測定条件で測定される、スタンダードポリスチレン換算値である。
[測定条件]
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・測定温度:40℃
・本カラム:TSKgel GMHHR-H(20)2本
・ガードカラム:TSKgel HXL-H
・検出器:示差屈折計
・スタンダードポリスチレン分子量:10,000~20,000,000(東ソー株式会社製)
【0031】
-粘着付与樹脂-
前記(メタ)アクリル系粘着剤としては、被着体との密着性や面接着強度を向上させるため、粘着付与樹脂を含有するものを使用することが好ましい。
前記粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、重合性ロジン系粘着付与樹脂、重合性ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、安定化ロジンエステル系粘着付与樹脂、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、石油樹脂系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート系粘着付与樹脂などを使用することができる。
【0032】
なかでも、前記粘着付与樹脂としては、不均化ロジンエステル系粘着付与樹脂、重合性ロジンエステル系粘着付与樹脂、ロジンフェノール系粘着付与樹脂、水添ロジンエステル系粘着付与樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、テルペンフェノール系樹脂を、単独または2種以上組み合わせ使用することが好ましい。
【0033】
前記粘着付与樹脂としては、30℃以上180℃以下の軟化点を有するものを使用することが好ましく、70℃以上140℃以下の軟化点を有するものを使用することが、高い接着性能を備えた粘着剤層を形成するうえでより好ましい。なお、(メタ)アクリレート系の粘着付与樹脂を使用する場合には、そのガラス転移温度が30℃以上200℃以下のものを使用することが好ましく、50℃以上160℃以下のものを使用することがより好ましい。
【0034】
前記粘着付与樹脂は、前記(メタ)アクリル重合体100質量部に対して5質量部以上65質量部以下の範囲で使用することが好ましく、8質量部以上55質量部以下の範囲で使用することが、被着体との密着性を確保しやすくいためより好ましい。
【0035】
-架橋剤-
前記(メタ)アクリル系粘着剤としては、粘着剤層の凝集力をより一層向上させるうえで、架橋剤を含有するものを使用することが好ましい。前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤等を使用することができる。なかでも、架橋剤としては、アクリル重合体の製造後に混合し、架橋反応を進行させるタイプの架橋剤が好ましく、アクリル重合体との反応性に富むイソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。
【0036】
前記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらの中でも、3官能のポリイソシアネート系化合物が好ましい。3官能のイソシアネート系化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート又はこれらのトリメチロールプロパン付加体、トリフェニルメタンイソシアネートなどが挙げられる。
【0037】
架橋度合いの指標として、粘着剤層をトルエンに24時間浸漬した後の不溶分を測定するゲル分率の値が用いられる。粘着剤層のゲル分率は、10質量%以上70質量%以下であることが好ましく、25質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、35質量%以上60質量%以下であることが更に好ましく、40質量%以上55質量%以下であることが特に好ましい。
【0038】
なお、ゲル分率は、下記の方法で測定された値を指す。剥離シート上に、乾燥後の厚さが50μmになるように粘着剤組成物を塗工し、100℃で3分間乾燥し、40℃で2日間エージングしたものを50mm角に切り取り、これを試料とする。次に、予め上記試料のトルエン浸漬前の質量(G1)を測定しておき、トルエン溶液中に23℃で24時間浸漬した後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率が求められる。なお、試料中の導電性粒子(カーボン粒子+金属粒子)の重量(G3)は、試料の質量(G1)と粘着剤の組成から算出する。
ゲル分率(質量%)=(G2-G3)/(G1-G3)×100
【0039】
<カーボン粒子>
カーボン粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ガラス状炭素、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンファイバーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カーボン粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球形、楕円形、柱状、円筒状、繊維状などが挙げられる。
【0040】
前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
【0041】
前記グラファイトとしては、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、人造黒鉛等が挙げられる。なお、人造黒鉛は、異方性黒鉛であっても、等方性黒鉛であってもよく、これらの混合物であってもよいが、カーボン粒子の機械的強度の観点から、等方性黒鉛であることが好ましい。また、グラファイトは結晶性であっても非晶性であってもよく、これらの混合物であってもよい。なお、グラファイトは、黒鉛を炭素繊維で強化した炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)であってもよい。
【0042】
前記フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C80、C84、C96などが挙げられる。
【0043】
前記カーボンナノチューブは、炭素6員環構造を主構造とするグラファイト(黒鉛)シートが円筒状に閉じた構造を有する筒状の炭素多面体である。カーボンナノチューブには、1層の黒鉛シートが円筒状に閉じた構造を有する単層カーボンナノチューブと、2層の黒鉛シート円筒状に閉じた構造を有する二層カーボンナノチューブと、3層以上の黒鉛シートが同心筒状に閉じた多層構造を有する多層カーボンナノチューブとがあり、これらのいずれも用いることができる。
【0044】
前記カーボン粒子の平均粒子径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下が更に好ましい。前記カーボン粒子の平均粒子径が100nm以下であると、高い接着力と初期及び経時での優れた導電性とを両立することができる。
前記カーボン粒子の平均粒子径は、体積基準の平均粒子径であり、その測定装置としては、例えば、日機装株式会社製マイクロトラックMT3000II、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3000などが挙げられる。
【0045】
前記カーボン粒子の含有量は、粘着剤の固形分100質量部に対して、75質量部以下であり、3質量部以上50質量部以下が好ましく、5質量部以上30質量部以下がより好ましく、10質量部以上20質量部以下が更に好ましい。前記カーボン粒子の含有量が上記含有量の範囲であると、高い接着力と初期及び経時での優れた導電性とを両立することができる。
【0046】
<金属粒子>
前記金属粒子としては、金属粉等の導電性を有する粒子であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、鉄、クロム、コバルト、アルミニウム、アンチモン、モリブデン、銅、銀、白金、金等の金属、半田、ステンレス等の合金などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ニッケル、銅、銀が好ましく、カルボニル法で製造したニッケル粉がより好ましい。
カルボニル法で製造したニッケル粉としては、例えば、Vale社製のNi123(球状)、Vale社製のNi255(フィラメント状)などが挙げられる。
【0047】
金属粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、フィラメント状(数珠状)、フレーク状(薄片状)、スパイク状(毬栗状)などが挙げられる。これらの中でも、粘着力の確保、及び粘着剤層中における金属粒子による導電路の形成し易さの観点から、球状又はフィラメント状が好ましい。
【0048】
金属粒子の粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子径d40は5μm以上30μm以下が好ましく、10μm以上20μm以下がより好ましい。
粒子径d70は10μm以上50μm以下が好ましく、20μm以上40μm以下がより好ましい。
前記粒子径d40は体積粒度分布における40%累積体積粒子径を指し、前記粒子径d70は体積粒度分布における70%累積体積粒子径を指し、レーザー解析・散乱法により測定される値である。測定装置としては、例えば、日機装株式会社製マイクロトラックMT3000II、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3000などが挙げられる。
【0049】
前記数値範囲の粒子径d40及びd70に調整する方法としては、例えば、金属粒子をジェットミルで粉砕する方法や篩等による篩分け法などが挙げられる。
【0050】
前記金属粒子の含有量は、粘着剤の固形分100質量部に対して、145質量部以下であり、10質量部以上120質量部以下が好ましく、20質量部以上80質量部以下がより好ましい。金属粒子の含有量を上記範囲にすることで、高い接着力と初期及び経時での優れた導電性とを両立することができる。
【0051】
本発明においては、前記カーボン粒子の前記粘着剤層中の含有量Aと前記金属粒子の前記粘着剤層中の含有量Bとの質量比(A/B)は、1/10以上7/10以下が好ましく、2/10以上5/10以下がより好ましく、2.5/10以上4/10以下が更に好ましい。
前記質量比(A/B)を上記範囲とすることによって、高い接着力と初期及び経時での優れた導電性とを両立することができる。
【0052】
粘着剤層中に前記金属粒子及び前記カーボン粒子を分散する方法としては、例えば、(メタ)アクリル重合体、金属粒子、カーボン粒子、溶剤、添加剤等を分散撹拌機で分散する方法が挙げられる。市販の分散撹拌機としては、株式会社井上製作所製ディゾルバー、バタフライミキサー、BDM2軸ミキサー、プラネタリーミキサーなどが挙げられる。これらの中でも、撹拌中の粘着剤の増粘が少ない中程度のシェアをかけられるディゾルバーやバタフライミキサーが好ましい。
【0053】
<その他の成分>
粘着剤層におけるその他の成分としては、例えば、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、可塑剤、軟化剤、難燃剤、金属不活性剤、シリカビーズ、有機ビーズ等の添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモン等の無機系充填剤などが挙げられる。
【0054】
本発明の導電性粘着テープは、例えば、剥離ライナー上又は導電性基材上に、ロールコーターやダイコーター等を用いて前記粘着剤を塗布し、乾燥することによって製造することができる。また、剥離ライナー上に形成した粘着剤層と導電性基材を貼り合せる転写法によって製造することができる。
両面粘着テープは、予め離型ライナーの表面にロールコーター等を用いて前記粘着剤を塗布し、乾燥することによって粘着剤層を形成し、次いで、前記粘着剤層を導電性基材の両面に貼り合せる転写法によって製造することができる。
【0055】
剥離ライナー上に形成した粘着剤層と導電性基材を貼り合せる際には、熱ラミネートをすることが、導電性基材と粘着剤層との優れた密着性を付与する観点から好ましい。熱ラミネートの温度は60℃以上150℃以下が好ましく、70℃以上130℃以下がより好ましく、80℃以上110℃以下が密着性と導電性基材の収縮を抑制するうえで更に好ましい。
【0056】
-剥離ライナー-
剥離ライナーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙類、ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、前記紙類と樹脂フィルムを積層したラミネート紙、前記紙類にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面もしくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したものなどが挙げられる。
【0057】
-導電性基材-
本発明の導電性粘着シートに用いることができる導電性基材としては、金属箔基材や湿式のポリエステル系不織布基材にメッキが施された導電性基材などが挙げられる。
金属箔の材質としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、錫、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、銅を含有する導電性基材が好ましく、銅箔が導電性、加工性、及びコストの点からより好ましい。
【0058】
銅箔には防錆処理を施すことが好ましい。防錆処理の種類としては、有機防錆と無機防錆が挙げられるが、そのなかでも、クロメート処理による無機防錆が最も好ましい。市販の電解銅箔としては、福田金属箔粉工業株式会社製CF-T9FZ-HS-12(12μm:クロメート処理)やCF-T9FZ-HS-9(9μm:クロメート処理)などが挙げられる。市販の圧延銅箔としては、日本製箔株式会社製TCU-H-8-RT(8μm:有機防錆処理)、JX日鉱日石金属株式会社製BAY-64T-DT(35μm:クロメート処理)などが挙げられる。
【0059】
上記湿式のポリエステル系不織布基材にメッキが施された導電性基材としては、当該メッキとして無電解金属メッキを使用したものである。メッキする金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、白金、アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、導電性及びコストの点から、銅又はニッケルが好ましい。
【0060】
導電性基材の厚さは、1μm以上40μm以下が好ましく、3μm以上35μm以下がより好ましく、6μm以上25μm以下が更に好ましい。上記数値範囲であれば、薄型化が可能であり、かつ加工性に優れるため好ましい。
【0061】
本発明の導電性粘着シートは、導電性基材を備えていない、いわゆる基材レス導電性粘着シートであってもよいし、導電性基材を備えている、いわゆる基材付き導電性粘着シートであってもよい。
【0062】
基材レス導電性粘着シートは、粘着剤層のみからなり、粘着剤層の平均厚さが導電性粘着シートの総厚さとなる。基材レス導電性粘着シートは剥離ライナー上に形成され、使用時まで剥離ライナーが被覆されている。
基材レス導電性粘着シートの平均厚さ(粘着剤層の平均厚さ)は、30μm以下が好ましく、5μm以上25μm以下がより好ましく、10μm以上20μm以下が更に好ましい。上記数値範囲にある場合に、優れた接着性及び導電性と薄型とを両立することができる。
【0063】
基材付き導電性粘着シートの総厚さは、100μm以下が好ましく、65μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。上記範囲にあることで、接着性及び導電性を確保しつつ、導電性粘着シートの薄型化を図ることができ、携帯電子機器の薄型化に貢献できる。なお、導電性粘着シートの総厚みとは、剥離ライナーを含まない導電性粘着シート自体の厚みである。
【0064】
本発明の導電性粘着シートは、前記導電性粘着シートを温度23℃、湿度50%RHの環境下で、ステンレス板(SUS板)に対し、2kgのローラーを使用して圧着回数一往復で圧着し、1時間静置した後の300mm/minでの180度剥離接着力は、5N/25mm以上であることが好ましい。
上記範囲内であると、剥がれを抑制しやすく、また、製造工程における貼り合わせ不良品において導電性粘着シートの剥離が可能となる。
【0065】
本発明の導電性粘着シートは、前記導電性粘着シートの一方の面に銅箔を貼付した後、15mm幅×100mm幅のサイズに裁断し前記導電性粘着シートの他方の粘着剤層に2枚のスズメッキ板をそれぞれ貼付面積が15mm×15mmとなるよう貼付して作製した試験片について、測定した初期の抵抗値と、前記試験片を23℃下で168時間放置した後測定した抵抗値とから求めた、抵抗値の変化率[(168時間放置後の抵抗値/初期の抵抗値)×100]が300%以下であることが好ましく、200%以下がより好ましく、150%以下が更に好ましい。
前記抵抗値の変化率が300%以下であると、初期及び経時での優れた導電性を実現することができる。
【0066】
<用途>
本発明の導電性粘着シートは、高い接着力と初期及び経時での優れた導電性とを両立することができるので、例えば、電気又は電子機器等に用いる電磁波のシールド用、他の電気、電子機器より発生する有害な空間電磁波のシールド用、静電気帯電防止のアース固定用として有用である。これらの中でも、薄型化が進み、筐体内での容積制限が厳しい携帯電子機器用途に好適に適用でき、特に、小型電子端末の内蔵部品に貼り付けて使用するのに好適である。
【実施例
【0067】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いたアクリル共重合体の重量平均分子量、カーボン粒子の平均粒子径、及び金属粒子の粒子径d40、粒子径d70は、以下の方法で測定したものである。
【0068】
<アクリル共重合体の重量平均分子量>
アクリル共重合体のGPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8329GPC)を用いて以下の測定条件で測定される、スタンダードポリスチレン換算値である。
[測定条件]
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・測定温度:40℃
・本カラム:TSKgel GMHHR-H(20)2本
・ガードカラム:TSKgel HXL-H
・検出器:示差屈折計
・スタンダードポリスチレン分子量:10,000~20,000,000(東ソー株式会社製)
【0069】
<カーボン粒子の平均粒子径>
カーボン粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径であり、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3100を用い、分散媒としてイソプロパノールを使用して測定した値である。
【0070】
<金属粒子の粒子径d40、粒子径d70>
金属粒子の粒子径d40、粒子径d70は、体積基準の累積40%粒子径、累積70%粒子径であり、株式会社島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定器SALD-3100を用い、分散媒としてイソプロパノールを使用して測定した値である。
【0071】
(アクリル共重合体の合成例1)
<アクリル共重合体(1)>
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート92質量部と、アクリル酸6質量部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート2質量部と、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して、重量平均分子量70万のアクリル共重合体(1)を得た。
【0072】
(アクリル共重合体の合成例2)
<アクリル共重合体(2)>
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート92質量部と、アクリル酸6質量部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート2質量部と、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリル0.1質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して、重量平均分子量140万のアクリル共重合体(2)を得た。
【0073】
(アクリル共重合体の合成例3)
<アクリル共重合体(3)>
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗、及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n-ブチルアクリレート70質量部と、2-エチルヘキシルアクリレート22質量部と、アクリル酸6質量部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート2質量部と、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して、重量平均分子量70万のアクリル共重合体(3)を得た。
【0074】
(粘着剤の調製例1)
-粘着剤Aの調製-
前記アクリル共重合体(1)100質量部に対して、重合性ロジンエステル系粘着付与樹脂(D-125、荒川化学工業株式会社製)5質量部と、石油系粘着付与樹脂(FTR6125、三井化学株式会社製)15質量部とを混合し、撹拌した後、酢酸エチルを加えることによって、固形分40質量%の粘着剤Aを得た。
【0075】
(粘着剤の調製例2)
-粘着剤Bの調製-
前記アクリル共重合体(2)100質量部に対して、重合性ロジンエステル系粘着付与樹脂(D-125、荒川化学工業株式会社製)5質量部と、石油系粘着付与樹脂(FTR6125、三井化学株式会社製)15質量部とを混合し、撹拌した後、酢酸エチルを加えることによって、固形分40質量%の粘着剤Bを得た。
【0076】
(粘着剤の調製例3)
-粘着剤Cの調製-
前記アクリル共重合体(3)100質量部に対して、重合性ロジンエステル系粘着付与樹脂(D-125、荒川化学工業株式会社製)5質量部と、石油系粘着付与樹脂(FTR6125、三井化学株式会社製)15質量部とを混合し、撹拌した後、酢酸エチルを加えることによって、固形分40質量%の粘着剤Cを得た。
【0077】
(粘着剤の調製例4)
-粘着剤Dの調製-
ポリエステル系樹脂(NP-110S50EO、三菱ケミカル株式会社製)に酢酸エチルを加えることによって、固形分40質量%の粘着剤Dを得た。
【0078】
(実施例1)
<導電性粘着剤組成物Aの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Aを作製した。
【0079】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Aを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例1の導電性粘着シートを作製した。
【0080】
(実施例2)
<導電性粘着剤組成物Bの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(ライオンスペシャリティ株式会社製、ケッチェンブラックEC、平均粒子径30μm、ガス化法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Bを作製した。
【0081】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Bを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例2の導電性粘着シートを作製した。
【0082】
(実施例3)
<導電性粘着剤組成物Cの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(電気化学工業株式会社製、デンカブラックFX-35、平均粒子径23μm、アセチレン法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Cを作製した。
【0083】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Cを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例3の導電性粘着シートを作製した。
【0084】
(実施例4)
<導電性粘着剤組成物Dの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)7質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Dを作製した。
【0085】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Dを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例4の導電性粘着シートを作製した。
【0086】
(実施例5)
<導電性粘着剤組成物Eの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)40質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Eを作製した。
【0087】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Eを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例5の導電性粘着シートを作製した。
【0088】
(実施例6)
<導電性粘着剤組成物Fの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni255、Vale社製、フィラメント状、粒子径d40=17.2nm、粒子径d70=35.4nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Fを作製した。
【0089】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Fを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例6の導電性粘着シートを作製した。
【0090】
(実施例7)
<導電性粘着剤組成物Gの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni255、Vale社製、フィラメント状、粒子径d40=17.2nm、粒子径d70=35.4nm)40質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Gを作製した。
【0091】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Gを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例7の導電性粘着シートを作製した。
【0092】
(実施例8)
<導電性粘着剤組成物Hの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni255、Vale社製、フィラメント状、粒子径d40=17.2nm、粒子径d70=35.4nm)100質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Hを作製した。
【0093】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Hを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例8の導電性粘着シートを作製した。
【0094】
(実施例9)
<導電性粘着剤組成物Iの製造>
前記粘着剤B 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Iを作製した。
【0095】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Iを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例9の導電性粘着シートを作製した。
【0096】
(実施例10)
<導電性粘着剤組成物Jの製造>
前記粘着剤C 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Jを作製した。
【0097】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Jを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例10の導電性粘着シートを作製した。
【0098】
(実施例11)
<導電性粘着剤組成物Kの製造>
前記粘着剤D 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)9質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)20質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Kを作製した。
【0099】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Kを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、実施例11の導電性粘着シートを作製した。
【0100】
(比較例1)
<導電性粘着剤組成物Lの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Lを作製した。
【0101】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Lを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、比較例1の導電性粘着シートを作製した。
【0102】
(比較例2)
<導電性粘着剤組成物Mの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)20質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Mを作製した。
【0103】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Mを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、比較例2の導電性粘着シートを作製した。
【0104】
(比較例3)
<導電性粘着剤組成物Nの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)20質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)150質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Nを作製した。
【0105】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Nを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、比較例3の導電性粘着シートを作製した。
【0106】
(比較例4)
<導電性粘着剤組成物Oの製造>
前記粘着剤A 100質量部(固形分)に対して、カーボン粒子(VULCAN XC72、Cabot社製、平均粒子径30μm、ファーネス法)80質量部、金属粒子(ニッケル、Ni123、Vale社製、球状、粒子径d40=8.2nm、粒子径d70=16.6nm)80質量部、バーノックD-40(DIC株式会社製、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソシアネート基含有率7質量%、不揮発分40質量%)2質量部を配合し、酢酸エチルで固形分濃度を40質量%に調整し、分散撹拌機で混合して、導電性粘着剤組成物Oを作製した。
【0107】
<導電性粘着シートの作製>
得られた導電性粘着剤組成物Oを剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)上に乾燥後の平均厚さが20μmとなるようにコンマコーターで塗工し、80℃の乾燥器中で2分間乾燥させた。次に、剥離ライナー(PET38×1、A3、ニッパ社製)に貼り合わせた後、40℃で48時間養生して、比較例4の導電性粘着シートを作製した。
【0108】
次に、得られた実施例1~11及び比較例1~4の導電性粘着シートについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1~表3に示した。
【0109】
<導電性粘着シートの平均厚さの測定>
各導電性粘着シートの平均厚さは、剥離ライナーを剥がしたもの(粘着剤層のみ)の厚さを、株式会社尾崎製作所製のダイヤルシクネスゲージG型を用いて長さ方向に100mm間隔で5箇所の厚さを測定した平均値である。
【0110】
<接着力の評価方法>
導電性粘着シートの接着力は、JIS-Z0237(2000)の180度引き剥がし接着力の試験方法に従って下記の手順により求めた。
実施例及び比較例で得た導電性粘着シートを、幅25mmの大きさに裁断した。
次に、前記導電性粘着シートの片面側の粘着剤層を、厚さ25μmのポリエステルフィルムで裏打ちした。
次に、環境温度23℃及び湿度50%RHの条件下、前記裏打ちされた導電性粘着シートを、ステンレス板(SUS板)に貼付し、その上面を2kgのローラーで1往復しそれらを圧着させ、その後、上記温度下に1時間放置したものを試験片とした。
前記試験片を、テンシロン万能引張試験機(オリエンテック株式会社製、RTA100)を用い、上記と同一の温度湿度条件下、で300mm/minの速度で引き剥がすことによって、180度引き剥がし接着力を測定した。前記接着力が5N/25mm以上である場合を、接着性に優れていると評価した。
【0111】
<導電性の評価方法>
導電性粘着シートの一方の面に、銅箔(厚さ12μm)を貼付した。15mm幅×100mm幅のサイズに導電性粘着シートを裁断した。裁断した導電性粘着シートの他方の粘着剤層を2枚のスズメッキ板に、それぞれ貼付面積が15mm×15mmとなるよう貼付して試験片を作製した。23℃及び50%RHの環境下、スズメッキ面の導電性粘着シート貼付位置から約100mm離れた位置に端子を接続し、抵抗率計(Loresta-GP MCP-T600、三菱化学株式会社製)を用いて10μAの電流を流し、初期の抵抗値を測定した。
作製した試験片を23℃下で168時間放置した後、前記同様に抵抗値を測定し、抵抗値の変化率[(168時間放置後の抵抗値/初期の抵抗値)×100]を求めた。
なお、168時間後の抵抗値が100mΩ以下であり、かつ抵抗値の変化率が300%以下である場合を、導電性に優れていると評価した。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【符号の説明】
【0115】
1 導電性基材
2 粘着剤層
3 カーボン粒子
4 金属粒子
10 導電性粘着シート
図1
図2
図3