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特許7528466液体吐出装置、液体吐出装置制御方法及び液体吐出装置制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出装置制御方法及び液体吐出装置制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B41J2/01 201
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020035377
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2020147037
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019042064
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】川口 琢史
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-013671(JP,A)
【文献】特開2018-199345(JP,A)
【文献】特開2019-005986(JP,A)
【文献】特開2009-292019(JP,A)
【文献】特開2016-064606(JP,A)
【文献】特開2013-154516(JP,A)
【文献】特開2010-162804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出部の基準吐出量と印刷対象領域の印刷に必要とされる各位置における液体吐出量とを用いて、前記基準吐出量又は前記必要な液体吐出量を用いる第一の印刷処理を実行するための第一の印刷データと、前記吐出部による液体の吐出をスキップするスキップ処理を含む第二の印刷処理を実行するための第二の印刷データと、を作成する印刷データ作成部と、
前記第一の印刷データと前記第二の印刷データとを用いて前記吐出部を制御し、前記印刷対象領域について前記第一の印刷処理と前記第二の印刷処理とを実行する制御部と、
を具備し、
前記印刷データ作成部は、前記基準吐出量と前記各位置における液体吐出量とを比較して、前記各位置における液体吐出量が前記基準吐出量より大きい場合は、前記第一の印刷データを前記基準吐出量とする印刷データとすると共に、前記第二の印刷データを前記各位置における液体吐出量から前記基準吐出量を減じた吐出量とする印刷データとし、前記各位置における液体吐出量が前記基準吐出量以下の場合は、前記第一の印刷データを前記各位置における液体吐出量とする印刷データとすると共に、前記第二の印刷データを前記スキップ処理とする印刷データとし、
前記制御部は、短縮される印刷時間が閾値以上である場合、前記第一の印刷処理と前記第二の印刷処理とを実行する、
液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一の印刷処理を実行した後に前記第二の印刷処理を実行する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第二の印刷処理を実行した後に前記第一の印刷処理を実行する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、描画オブジェクト毎に、前記第一の印刷データおよび前記第二の印刷データを作成するかを判断する、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
液体を吐出する吐出部の基準吐出量と印刷対象領域の印刷に必要とされる各位置における液体吐出量とを用いて、前記基準吐出量又は前記必要な液体吐出量を用いる第一の印刷処理を実行するための第一の印刷データと、前記吐出部による液体の吐出をスキップするスキップ処理を含む第二の印刷処理を実行するための第二の印刷データと、を作成する印刷データ作成ステップと、
前記第一の印刷データと前記第二の印刷データとを用いて前記吐出部を制御し、前記印刷対象領域について前記第一の印刷処理と前記第二の印刷処理とを実行する印刷制御ステップと、
を具備し、
前記印刷データ作成ステップは、前記基準吐出量と前記各位置における液体吐出量とを比較して、前記各位置における液体吐出量が前記基準吐出量より大きい場合は、前記第一の印刷データを前記基準吐出量とする印刷データとすると共に、前記第二の印刷データを前記各位置における液体吐出量から前記基準吐出量を減じた吐出量とする印刷データとし、前記各位置における液体吐出量が前記基準吐出量以下の場合は、前記第一の印刷データを前記各位置における液体吐出量とする印刷データとすると共に、前記第二の印刷データを前記スキップ処理とする印刷データとし、
前記印刷制御ステップは、短縮される印刷時間が閾値以上である場合、前記第一の印刷処理と前記第二の印刷処理とを実行する、
液体吐出装置制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
液体を吐出する吐出部の基準吐出量と印刷対象領域の印刷に必要とされる各位置における液体吐出量とを用いて、前記基準吐出量又は前記必要な液体吐出量を用いる第一の印刷処理を実行するための第一の印刷データと、前記吐出部による液体の吐出をスキップするスキップ処理を含む第二の印刷処理を実行するための第二の印刷データと、を作成する印刷データ作成ステップと、
前記第一の印刷データと前記第二の印刷データとを用いて前記吐出部を制御し、前記印刷対象領域について前記第一の印刷処理と前記第二の印刷処理とを実行する印刷制御ステップと、
を実行させ、
前記印刷データ作成ステップは、前記基準吐出量と前記各位置における液体吐出量とを比較して、前記各位置における液体吐出量が前記基準吐出量より大きい場合は、前記第一の印刷データを前記基準吐出量とする印刷データとすると共に、前記第二の印刷データを前記各位置における液体吐出量から前記基準吐出量を減じた吐出量とする印刷データとし、前記各位置における液体吐出量が前記基準吐出量以下の場合は、前記第一の印刷データを前記各位置における液体吐出量とする印刷データとすると共に、前記第二の印刷データを前記スキップ処理とする印刷データとし、
前記印刷制御ステップは、短縮される印刷時間が閾値以上である場合、前記第一の印刷処理と前記第二の印刷処理とを実行する、
ための液体吐出装置制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出装置制御方法及び液体吐出装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)を用いてTシャツなどの布地に印刷する場合、布地は、紙と比較して液体を吸収する素材であるため、多くのインクを吸着することができる。また、布地印刷については、布地に付着させるインク量を多くした方が、発色性、洗濯堅牢性(洗濯による色落ちへの耐性)の点で優位であることが知られている。従来の一般的な液体吐出装置は、多くのインク量を付着させる場合、同一の印刷データを用いて、各位置につきインク量を一定とした同一印刷処理を繰り返し実行している。
【0003】
また、特許文献1には、画像データにおいてインクの重なりが少なくとも1以上ある場合には、画像データの印字開始を所定時間遅延させ、インクの滲みやカラー印刷における色の混合による色彩の滲みを防止し、解像度又は色再現性を向上させることができるインクジェットプリンタが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の一般的な液体吐出装置、及び特許文献1に開示されたインクジェットプリンタは、生産性の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来に比して生産性の高い印刷処理を実現可能な液体吐出装置、液体吐出装置制御方法及び液体吐出装置制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、液体を吐出する吐出部の基準吐出量と印刷対象領域の印刷に必要とされる各位置における液体吐出量とを用いて、前記基準吐出量又は前記必要な液体吐出量を用いる第一の印刷処理を実行するための第一の印刷データと、前記吐出部による液体の吐出をスキップするスキップ処理を含む第二の印刷処理を実行するための第二の印刷データと、を作成する印刷データ作成部と、前記第一の印刷データと前記第二の印刷データとを用いて前記吐出部を制御し、前記印刷対象領域について前記第一の印刷処理と前記第二の印刷処理とを実行する印刷制御部と、を具備し、 前記印刷データ作成部は、前記基準吐出量と前記各位置における液体吐出量とを比較して、前記各位置における液体吐出量が前記基準吐出量より大きい場合は、前記第一の印刷データを前記基準吐出量とする印刷データとすると共に、前記第二の印刷データを前記各位置における液体吐出量から前記基準吐出量を減じた吐出量とする印刷データとし、前記各位置における液体吐出量が前記基準吐出量以下の場合は、前記第一の印刷データを前記各位置における液体吐出量とする印刷データとすると共に、前記第二の印刷データを前記スキップ処理とする印刷データとし、前記制御部は、短縮される印刷時間が閾値以上である場合、前記第一の印刷処理と前記第二の印刷処理とを実行する、液体吐出装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来に比して生産性の高い印刷処理を実行できる液体吐出装置、液体吐出装置制御方法及び液体吐出装置制御プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、液体吐出装置1の外観を示した斜視図である。
図2図2は、液体吐出装置1の全体構成を説明するための斜視図である。
図3図3は、液体吐出装置1の印刷動作を説明するための上面図である。
図4図4は、液体吐出装置1の印刷動作を説明するための右側面である。
図5図5は、液体吐出装置1のハードウェア構成及び機能を説明するためのブロック図である。
図6図6は、本実施形態に係る液体吐出装置1に関する機能ブロック図である。
図7図7は、液体吐出装置1が印刷対象領域について複数回に亘り印刷処理を実行する場合において、各印刷処理に対応する印刷データを作成する処理を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、布媒体に対して印刷処理を実行することで得られる最終印刷結果を示した図である。
図9図9(a)は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置1を用いて得られる一回目の印刷処理の印刷結果を示した図である。図9(b)は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置1を用いて得られる二回目の印刷処理の印刷結果を示した図である。
図10図10(a)は、従来の液体吐出装置を用いて得られる一回目の印刷処理の結果を示した図である。図10(b)は、従来の液体吐出装置を用いて得られる二回目の印刷処理の結果を示した図である。
図11図11は、グラデーションの有無の判断例を示す図である。
図12図12は、印刷データの作成処理の流れの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る液体吐出装置について説明する。図1は液体吐出装置1の外観を示した斜視図、図2は液体吐出装置1の全体構成を説明するための斜視図である。図3は液体吐出装置1の印刷動作を説明するための上面図である。図4は液体吐出装置1の印刷動作を説明するための右側面図である。
【0010】
液体吐出装置1は、液体を吐出し紙や布地等に印刷する装置である。液体吐出装置1は、印刷装置、画像形成装置、立体造形装置、処理液塗布装置、噴射造粒装置、捺染プリンタ、インクジェットプリンタとも呼ばれる。
【0011】
なお、本実施形態においては、液体吐出装置1を用いて布媒体に印刷する場合を例として説明する。布媒体としては、ハンカチ、タオルなどの一枚の布地で形成されるものだけではなく、Tシャツ、トレーナーなどの衣服として加工された布地、トートバック等の製
品の一部となっている布地にも用いることができる。
【0012】
液体吐出装置1は、装置本体100、カセット200、プラテン部材250から構成されている。装置本体100は、底部筐体部110、搬送ガイド部材111、搬送構造体112、ステージ113、キャリッジ121、液体吐出ユニット122、キャリッジレール123、駆動モータ124を具備している。
【0013】
底部筐体部110は、装置本体100の底部に位置し上面に開口部を有する立方体形状の筐体である。底部筐体部110の長手方向(図面矢印A方向。送り方向又は副走査方向と同じ)に沿って、搬送ガイド部材111が設けられている。搬送構造体112は、搬送ガイド部材111に沿って移動可能に設けられている。ステージ113は、搬送構造体112上に設けられた、カセット200の受け部材である。搬送構造体112が、カセット200を着脱可能に保持するステージ113と共にA方向に沿って進退移動することで、カセット200のプラテン部材25上に設けられた布媒体をA方向に沿って移動させる。
【0014】
キャリッジ121は、矢印B方向(主走査方向)に沿って配置されたキャリッジレール123に沿って移動可能に保持され、駆動モータ124によってタイミングベルトなどの走査機構部を介して矢印B方向に往復移動される。このキャリッジ121には、(液体吐出ヘッド及びヘッドタンクを一体にした液体吐出ユニット122を搭載している。液体吐出ユニット122の液体吐出ヘッドは、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0015】
ここで、「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。また、本願の用語における、印刷、画像形成、記録、印字、印写、造形等はいずれも同義語とする。
【0016】
図3図4に示す様に、布媒体400は、カセット200の上面部分に露出したプラテン部材250上にセットされる。布媒体がセットされたカセット200は、装置本体100内のステージ113に装着され保持される。液体吐出装置1は、カセット200の「A方向のカセット移動」とキャリッジ121の「B方向のキャリッジ移動及びインク吐出」を繰り返すことで、布地400に所要の文字、画像等を印刷する。
【0017】
(液体吐出装置の機能ブロック図)
図5は、液体吐出装置1のハードウェア構成及び機能を説明するためのブロック図である。図5に示されているように、液体吐出装置1は、CPU301(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)304、外部機器接続I/F308、ネットワークI/F309、及びバスライン310を備えている。また、液体吐出装置1は、搬送構造体113、副走査ドライバ312、主走査ドライバ313、キャリッジ121、及び操作パネル330を備えている。更に、キャリッジ121は、液体吐出ヘッド121a、及び液体吐出ヘッドドライバ121bを備えている。
【0018】
CPU301は、液体吐出装置1全体の動作を制御する。また、CPU301は、専用のプログラムをRAM303上で実行することで、本実施形態に係る印刷動作(詳細は後述)を実行する。
【0019】
ROM302は、IPL等のCPU301の駆動に用いられるプログラム等を記憶する。特に、ROM302は、後述する印刷動作を実行するためのプログラムを記憶する。
【0020】
RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。NVRAM304は、プログラム等の各種データを記憶し、液体吐出装置1の電源が遮断されている間も各種データを保持する。外部機器接続I/F306は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により、PC(Personal Computer)に接続され、PCとの間で、制御信号や印刷されるデータの通信を行う。ネットワークI/F309は、インターネット等の通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン310は、CPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0021】
搬送構造体113は、例えば、ローラ、及びローラを駆動する駆動モータ124によって、底部筐体部114内の搬送ガイド部材111に沿って副走査方向へ布媒体を搬送する。副走査ドライバ312は、搬送構造体113の副走査方向への移動を制御する。主走査ドライバ311は、キャリッジ121の主走査方向への移動を制御する。
【0022】
キャリッジ121の液体吐出ヘッド121aは、インク等の液体を吐出するための複数のノズルを有しており、その吐出面(ノズル面)が、印刷用紙側を向くようにキャリッジ121に搭載されている。
【0023】
液体吐出ヘッド121aは、主走査方向に移動しながら、副走査方向に間欠的に搬送される印刷用紙に液体を吐出することで、印刷用紙の所定位置に液体を吐出して画像を形成する。
【0024】
液体吐出ヘッドドライバ121bは、液体吐出ヘッド121aの駆動を制御するためのドライバである。液体吐出ヘッドドライバ121bは、CPU301からの制御信号に従って、複数回に亘る印刷処理のそれぞれに対応する印刷データに基づいて、液体吐出ヘッド121aの駆動を制御する。
【0025】
操作パネル332は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネルやアラームランプ等により構成されている。
【0026】
なお、液体吐出ヘッドドライバ121bは、キャリッジ121に搭載されず、キャリッジ121外で、バスラインに接続されるように構成してもよい。また、主走査ドライバ313、副走査ドライバ312、及び液体吐出ヘッドドライバ121bは、それぞれプログラムに従ったCPU301の命令によって実現する機能であってもよい。
【0027】
図6は、本実施形態に係る液体吐出装置1に関する機能ブロック図である。同図に示す様に、液体吐出装置1は、印刷データ作成部301a、印刷制御部301bとしての機能を有する。なお、図6は、本実施形態に係る液体吐出装置1が有する機能のうち、本発明に関わる機能を便宜上図示したものである。
【0028】
印刷データ作成部301aは、液体を吐出する吐出部の基準吐出量と印刷対象領域の印刷に必要とされる各位置における液体吐出量とを用いて、基準吐出量又は必要な液体吐出量を用いる第一の印刷処理を実行するための第一の印刷データと、吐出部による液体の吐出をスキップするスキップ処理を含む第二の印刷処理を実行するための第二の印刷データと、を作成する。具体的には、印刷データ作成部301aは、外部機器接続I/F308、ネットワークI/F309等を介して取得される印刷対象領域に関する画像データに基づいて、印刷対象領域の各位置において印刷処理に必要な液体吐出量を算出する。印刷データ作成部301aは、印刷対象領域について複数回に亘る印刷処理を実行する場合に、液体吐出ヘッド121aについて設定された一回の吐出処理における吐出量(基準吐出量)と印刷対象領域の各位置において印刷処理に必要な液体吐出量とを用いて、印刷処理毎に、基準吐出量又は必要な液体吐出量を用いる第一の印刷処理を実行するための第一の印刷データと、吐出部による液体の吐出をスキップするスキップ処理を含む第二の印刷処理を実行するための第二の印刷データと、のいずれかを作成する。
【0029】
ここで、基準吐出量は、液体吐出ヘッド121aの最大可能吐出量を上限として任意に設定できるパラメータであるが、本実施形態では、説明を具体的にするため、基準吐出量は液体吐出ヘッド121aの最大可能吐出量であるとする。また、印刷データとは、印刷処理における結果物(印刷物)を得るために、液体吐出ヘッド121aの駆動波形データを特定するための駆動元データに対応するものであり、例えば、画像データや文書データ等の電子データを、印刷可能なPDL(Page Description Language)型式に変換した電子データである。
【0030】
印刷制御部301bは、第一の印刷データと第二の印刷データとを用いて吐出部を制御し、印刷対象領域について第一の印刷処理と第二の印刷処理とを実行する。すなわち、印刷制御部301bは、印刷処理毎に作成された第一の印刷データ又は第二の印刷データに基づいて液体吐出ヘッドドライバ121bを制御し、印刷対象領域について各印刷データに対応した印刷処理を実行する。
【0031】
なお、印刷データ作成部301a、印刷制御部301bは、典型的には、CPU301が専用のプログラムをRAM303上で実行することで、ソフトウェアとして実現される。しかしながら、当該例に限定されず、印刷データ作成部301a及び印刷制御部301bの一部又は全部を、同様の各機能を実行するように設計された専用のハードウェア、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)等の半導体集積回路や従来の回路モジュール等によって実現するようにしてもよい。
【0032】
(印刷動作の説明)
図7は、液体吐出装置1が印刷対象領域について2回に亘り印刷処理を実行する場合において、各印刷処理に対応する印刷データを作成する処理を説明するためのフローチャートである。
【0033】
なお、同図において、(Xa,Yb)は、印刷対象領域の各位置の座標を意味する。Xaは印刷領域の印刷幅Wの範囲内の値をとり、Ybは印刷領域の印刷長Lの範囲内の値をとる。例えば、印刷幅W方向にはn個のドット列が、印刷長L方向にはm個のドット列がそれぞれ存在する場合には、aは1≦a≦nを満たす自然数を取り、bは1≦b≦mを満たす自然数を取ることになる。
【0034】
I(Xa,Yb)は、位置(Xa,Yb)において印刷に必要とされる総インク吐出量を、I1(Xa,Yb)は、位置(Xa,Yb)における一回目の印刷処理で使用されるインク吐出量を、I2(Xa,Yb)は、位置(Xa,Yb)における二回目の印刷処理で使用されるインク吐出量を、Hは基準吐出量(本実施形態では液体吐出ヘッド121aの最大可能吐出量)を、それぞれ意味する。
【0035】
P0(Xa,Yb)は位置(Xa,Yb)における中間調処理後に生成された印刷データを、P1(Xa,Yb)は位置(Xa,Yb)における1回目の印刷処理における印刷データを、P2(Xa,Yb)は位置(Xa,Yb)における2回目の印刷処理における印刷データを、それぞれ意味する。P0(Xa,Yb)は、P1(Xa,Yb)とP2(Xa,Yb)によって得られる最終的な印刷結果と一致することになる。
【0036】
外部機器接続I/F308、ネットワークI/F309等を介して取得される印刷対象領域に関する画像データに対して中間調処理(γ補正等によって階調補正された画像データを液体吐出装置1から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む処理)が実行され中間調処理後の画像データが生成されると、印刷データ作成部301aは、中間調処理後の画像データの各位置(Xa,Yb)における印刷データP0(Xa,Yb)に基づいて、印刷に必要とされる総インク吐出量I(Xa,Yb)を算出する(ステップS1)。
【0037】
次に、印刷データ作成部301aは、印刷データの作成の対象となる位置(Xa,Yb)において、算出された総インク吐出量I(Xa,Yb)と、液体吐出ヘッドについて予め取得され基準吐出量Hとを比較する(ステップS2)。比較の結果、総インク吐出量I(Xa,Yb)が基準吐出量Hを上回る場合には、印刷データ作成部301aは、吐出量I1(Xa,Yb)を基準吐出量Hとして一回目の印刷処理における印刷データP1(Xa,Yb)を作成する。また、印刷データ作成部301aは、総インク吐出量I(Xa,Yb)から基準吐出量H(すなわち、一回目の吐出量I1(Xa,Yb))を減算した減算値を計算し、吐出量I2(Xa,Yb)を減算値I(Xa,Yb)-Hとして二回目の印刷処理における印刷データP2(Xa,Yb)を作成する。
【0038】
一方、比較の結果、総インク吐出量I(Xa,Yb)が基準吐出量H以下の場合には、印刷データ作成部301aは、吐出量I1(Xa,Yb)吐出量を総インク吐出量I(Xa,Yb)として一回目の印刷処理における印刷データP1(Xa,Yb)を作成する。また、印刷データ作成部301aは、吐出量I2(Xa,Yb)吐出量=0として、当該位置をスキップ処理するものとして二回目の印刷処理における印刷データP2(Xa,Yb)を作成する。ここで、「スキップ処理」とは、印刷処理を行わない位置について、吐出処理を行うための主走査(液体吐出ヘッド121aの移動)、副走査(布媒体の搬送)、吐出処理を省略する(スキップする)処理を意味する。
【0039】
次に、印刷データ作成部301aは、aが印刷幅以下であるか否かを判定する(ステップS4a)。判定の結果、Xaが印刷幅W以下である場合には、印刷データ作成部301aは、a=a+1として、印刷データの作成の対象となる位置を印刷対象領域の幅方向の隣の位置に移動させ(ステップS5a)、ステップS1~ステップS4aまでの処理を繰り返す。
【0040】
一方、判定の結果、Xaが印刷幅以下でない場合には、印刷データ作成部301aは、Xbが印刷長L以下であるか否かを判定する(ステップS4b)。判定の結果、Xbが印刷長L以下である場合には、印刷データ作成部301aは、a=0、b=b+1として、印刷データの作成の対象となる位置を印刷対象領域の印刷長方向に(ステップS5b)、さらにa=a+1として印刷対象領域の幅方向に移動させ(ステップS5a)、ステップS1~ステップS4aまでの処理を繰り返す。
【0041】
以上より、第一の印刷データとして、印刷に必要とされる総インク吐出量I(Xa,Yb)又は基準吐出量Hを必ず用いる印刷処理を含む印刷データP1(Xa,Yb)が作成され、第二の印刷データとして、スキップ処理を含む印刷データP2(Xa,Yb)が作成されることになる。
【0042】
作成された一回目の印刷データP1(Xa,Yb)及び二回目の印刷データP1(Xa,Yb)は、印刷データ作成部301aから液体吐出ヘッドドライバ121bへと送られる。液体吐出ヘッドドライバ121bは、印刷制御部301bからの制御信号に従って液体吐出ヘッド121aの駆動を制御し、印刷対象領域について、第一の印刷データを用いる第一の印刷処理と、第二の印刷データを用いる第二の印刷処理とを実行する。
【0043】
(効果)
以上説明した様に、本発明の実施形態に係る液体吐出装置1によれば、液体を吐出する液体吐出ヘッド121a(吐出部)の基準吐出量と印刷対象領域の印刷に必要とされる各位置における液体吐出量とを用いて、基準吐出量又は必要な液体吐出量を用いる第一の印刷処理を実行するための第一の印刷データと、吐出部による液体の吐出をスキップするスキップ処理を含む第二の印刷処理を実行するための第二の印刷データと、を作成する。すなわち、液体吐出装置1は、印刷対象領域について複数回に亘り印刷処理を実行する場合において、各印刷処理について同じ印刷データを用いるのではなく、印刷処理毎に印刷データを作成する。そして、第一の印刷データと第二の印刷データとを用いて液体吐出ヘッド121aを制御し、印刷対象領域について第一の印刷処理と第二の印刷処理とを実行する。
【0044】
これにより、1回目の印刷処理は印刷対象領域全体について実行されるのに対し、2回目の印刷処理は、スキップ処理を含むため印刷対象領域と同等以下の面積について実行される。従って、1回目と2回目を合わせた印刷面積を従来に比して小さくすることができる。その結果、一つの布媒体の印刷処理に必要な総印刷時間を従来に比して短縮させることができ、印刷処理における生産性を向上させることができる。
【0045】
図8は、布媒体に対して印刷処理を実行することで得られる最終印刷結果を示した図である。図9(a)は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置1を用いて得られる一回目の印刷処理の印刷結果を示した図である。図9(b)は、本発明の実施形態に係る液体吐出装置1を用いて得られる二回目の印刷処理の印刷結果を示した図である。
【0046】
液体吐出装置1は、図8に示した最終印刷結果を実現するために、一回目の印刷処理においては図9(a)に示す様な印刷長L-印刷幅Wとし、印刷領域の各位置において必要とされるインク量の範囲内でできる限り多くのインクを吐出する。また、液体吐出装置1は、二回目の印刷処理においては図9(b)に示す様な印刷長L2-印刷幅Wとし、1回目の印刷処理で足りない分の液体を吐出する、或いは、1回目の印刷処理で印刷に必要な液体が吐出されている位置については吐出処理をスキップする。
【0047】
これにより、1回目の印刷処理は印刷対象領域全体について実行されるのに対し、2回目の印刷処理は、印刷対象領域と同等以下の面積について実行される。従って、2回目の印刷長が短くなった部分(すなわち、図9(b)の縦L1横Wの長方形の部分)の印刷動作を行わなくてよい。また、印刷長方向だけでなく、2回目の印刷幅が短くなった部分の印刷動作を行わなくてよい。すなわち、1回目の印刷処理と2回目の印刷処理を合わせた総印刷面積を、従来に比して小さくすることができる。一つの布媒体の印刷処理に必要な総印刷時間を従来に比して短縮させることができ、印刷処理における生産性を向上させることができる。
【0048】
一方、図10(a)は、従来の液体吐出装置を用いて得られる一回目の印刷処理の結果を示した図である。図10(b)は、従来の液体吐出装置を用いて得られる二回目の印刷処理の結果を示した図である。
【0049】
図10(a)、図10(b)に示す様に、従来の液体吐出装置では、一回目の印刷処理と二回目の印刷処理との双方において、同一の印刷データを用いる。従って、従来の液体吐出装置では、2回目の印刷において印刷を行わない領域での印刷動作のスキップは発生せず、一回目の印刷処理と二回目の印刷処理とのいずれにおいても、印刷領域全体にわたって印刷動作が実行されることになる。従来の液体吐出装置による印刷時間と本発明の実施形態に係る液体吐出装置1による印刷時間とを比較した場合、前者の方が長くなることは明らかである。
【0050】
(変形例)
図7に示した例では、1回目の印刷処理では最大可能吐出量によってできる限り多くの液体を吐出し、2回目の印刷処理では、1回目の印刷処理で足りない分の液体を吐出する、或いは、1回目の印刷処理で印刷に必要な液体が吐出されている位置については吐出処理をスキップする場合を示した。しかしながら、本発明の技術的思想は当該例に限定されず、第一の印刷データを用いる第一の印刷処理と、第二の印刷データを用いる第二の印刷処理との順序を入れ替えてもよい。すなわち、液体吐出装置1は、2回目の印刷処理では最大可能吐出量によってできる限り多くの液体を吐出することとし、1回目の印刷処理では、2回目の印刷処理で足りない分の液体を吐出する、或いは、1回目の印刷処理で印刷に必要な液体が吐出されている位置については吐出処理をスキップするようにしてもよい。
【0051】
上記実施形態では、基準吐出量は液体吐出ヘッド121aの最大可能吐出量である場合を例示した。しかしながら、本発明の技術的思想は当該例に限定されず、基準吐出量は、任意の設定値であってもよい。
【0052】
上記実施形態においては、液体吐出装置1が印刷対象領域について2回に亘り印刷処理を実行する場合を例に説明した。本発明の技術的思想は、当然ながら、液体吐出装置1が印刷対象領域について3回以上の複数回に亘り印刷処理を実行する場合にも適用することができる。例えば、印刷対象領域についてn回の複数回に亘り印刷処理を実行する場合には、図7に示したフローチャートにおけるステップS3aの判断処理が、n回繰り返されることになる。その結果、n回の印刷処理のそれぞれについて印刷データが作成される。このn個の印刷データのそれぞれは、第一の印刷データ又は第二の印刷データに分類することができる。
【0053】
上記実施形態で説明した、1回目の印刷処理では最大可能吐出量によってできる限り多くの液体を吐出し、2回目の印刷処理では、1回目の印刷処理で足りない分の液体を吐出するといった構成では、画質、特にグラデーションの表現に対して階調の連続に課題が発生しやすい場合がある。これは、印刷するメディア、環境により、2回目の印刷を行う際に、1回目の印刷の乾燥具合が異なるためである。また、例えば図7のフローにおいて印刷対象領域の各点においてI(Xa,Yb)=2Hである場合等、液体吐出装置1を用いた場合であっても、印刷データによっては同じデータを2回印刷する場合と同じ印刷動作(すなわち、従来の液体吐出装置と同じ印刷動作)となることがある。
【0054】
従って、液体吐出装置1は、劣化防止の観点から、図7に示したフローチャートに従って印刷処理毎の印刷データを作成した後、生産性が向上するかどうかを判断し、生産性が向上する場合(例えば、全ての印刷処理について同じ印刷データを用いる場合と比較して、短縮される印刷時間が閾値以上である場合など)は、本実施形態に係る印刷処理を実行するようにしてもよい。
【0055】
加えて、Tシャツなどの布媒体400に印字する場合、印字直後の品質だけでなく、洗濯後における画質劣化についても考慮する必要がある。
【0056】
例えば、ある単位面積のインクの付着量の場合、小滴インクを複数回吐出するより、大滴インクを少数回で吐出した方が、洗濯した場合に色が落ちにくいことが知られている。これは、大滴の方が、運動エネルギーが大きく、布地の奥まで浸透するためである。
【0057】
ところが、上記実施形態で説明した、1回目の印刷処理では最大可能吐出量によってできる限り多くの液体を吐出し、2回目の印刷処理では、1回目の印刷処理で足りない分の液体を吐出するといった構成では、グラデーションを表現する際に、「大滴のみ」のドットで印字する箇所と「中滴+小滴」のドットで印字する箇所とで境界ができてしまう、という問題がある。これは、印字直後のインク付着量は狙い通りのために差は目立たないが、上述のように洗濯後の色落ち具合が異なるため、グラデーションの階調飛びが目立つこととなるからである。なお、グラデーション等でなく、単色の場合は、一律に色落ちするため階調飛びは発生しない。
【0058】
そこで、液体吐出装置1の印刷データ作成部301aは、画像劣化防止の観点から、図7に示したフローチャートに従って印刷処理毎の印刷データを作成する際に、グラデーションの有無を判断する。
【0059】
図11は、グラデーションの有無の判断例を示す図である。図11に示すように、所定のOSでは呼び出し関数により、描画オブジェクトの区分け(文字、グラフィック、ビットマップ)を判断可能である。そこで、液体吐出装置1の印刷データ作成部301aは、描画オブジェクトが文字およびグラフィックについては「グラデーションなし」と判断し、描画オブジェクトがビットマップについては「グラデーションあり」と判断する。
【0060】
ここで、図12は印刷データの作成処理の流れの変形例を示す図である。図11に示すように、液体吐出装置1の印刷データ作成部301aは、描画要求(文字、グラフィック、ビットマップ)を受け取ると、画像データに対して中間調処理を実行し、中間調処理後の画像データにおけるグラデーションの有無を判断する。
【0061】
液体吐出装置1の印刷データ作成部301aは、画像データに「グラデーションなし」の部分(文字、グラフィック)があると判断すると、当該「グラデーションなし」の部分の画像データについて、基準吐出量又は必要な液体吐出量を用いる一回目の印刷処理を実行するための一回目印字データと、吐出部による液体の吐出をスキップするスキップ処理を含む二回目の印刷処理を実行するための二回目印字データと、を作成する。
【0062】
一方、液体吐出装置1の印刷データ作成部301aは、画像データに「グラデーションあり」の部分(ビットマップ)があると判断すると、当該「グラデーションあり」の部分の画像データについて、従来の液体吐出装置のように、一回目の印刷処理と二回目の印刷処理との双方において用いる、同一の印字データを作成する。
【0063】
そして、液体吐出装置1の印刷データ作成部301aは、「グラデーションあり」の一回目印字データと「グラデーションなし」の印字データをOR合成し、一回目印字データとする。
【0064】
また、液体吐出装置1の印刷データ作成部301aは、「グラデーションあり」の二回目印字データと「グラデーションなし」の印字データをOR合成し、二回目印字データとする。
【0065】
そして、液体吐出装置1の印刷制御部301bは、「グラデーションなし」の部分(文字、グラフィック)については、一回目の印刷処理では最大可能吐出量によってできる限り多くの液体を吐出し、二回目の印刷処理では、一回目の印刷処理で足りない分の液体を吐出する。
【0066】
一方、液体吐出装置1の印刷制御部301bは、「グラデーションあり」の部分(ビットマップ)については、2回とも同じ印字データで印字する。
【0067】
すなわち、二回目の印字において、例えば「グラデーションなし」のグラフィックオブジェクト(Rectangle:グラフィック)の描画がない分、生産性が向上することになる。
【0068】
従って、上記の場合、液体吐出装置1は、印字する描画オブジェクト毎に、「二回とも同じ印字データで印字する」か、「一回目の印字で出来るだけインクを吐出し、二回目の印字で不足分のインクを吐出」かの処理を変えることにより、画質劣化を発生させることなく、生産性向上させることができる。
【0069】
本実施形態において、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0070】
この「液体吐出装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0071】
例えば、「液体吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0072】
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0073】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0074】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0075】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0076】
また、「液体吐出装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0077】
また、「液体吐出装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0078】
また、上述した液体吐出装置1が有する機能を実現するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、各種プログラムを、ROM等の不揮発性の記録媒体に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 液体吐出装置
100 装置本体
111 搬送ガイド部材
112 搬送構造体
113 ステージ
114 底部筐体部
115 搬送ガイド部材
116 スライダ部
121 キャリッジ
122 液体吐出ユニット(ヘッド)
123 キャリッジレール
124 駆動モータ
200 カセット
250 プラテン部材
301 CPU
301a 印刷データ作成部
301b 印刷制御部
302 ROM
303 RAM
304 NVRAM
308 外部機器接続I/F
309 ネットワークI/F
310 バス
312 副走査ドライバ
313 主走査ドライバ
330 走査パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【文献】特開平09-057954号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12