(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ヘッド清掃装置、液体を吐出する装置、ヘッド清掃方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240730BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240730BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/01 303
B41J2/21
(21)【出願番号】P 2020035524
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2019216063
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】尾ヶ口 宗之
(72)【発明者】
【氏名】柏木 賢太
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-190285(JP,A)
【文献】特開平07-276653(JP,A)
【文献】特開2018-103399(JP,A)
【文献】実開平4-50234(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0001710(US,A1)
【文献】特開2014-46502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドのノズル面を払拭する払拭部材を含む払拭手段と、
前記払拭手段を保持し、液体を吐出する装置に着脱可能なホルダと、を備え、
前記ホルダは、前記液体を吐出する装置における前記ヘッドを搭載するキャリッジ、又は、前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材に対して、接続部によって着脱可能であり、
前記ホルダは、前記払拭手段を前記キャリッジに対して前記キャリッジの移動方向となる主走査方向、又は、前記主走査方向と直交する副走査方向に移動可能に保持する
ことを特徴とするヘッド清掃装置。
【請求項2】
前記払拭手段は、前記払拭部材と、前記払拭部材を保持し、前記ホルダに移動可能に保持されるスライダ部材と、を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッド清掃装置。
【請求項3】
前記払拭部材は、前記スライダ部材に交換可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッド清掃装置。
【請求項4】
前記ホルダには、前記払拭手段の移動方向に沿ってガイド部が設けられ、
前記スライダ部材には、前記ホルダのガイド部で案内される凸部が設けられている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッド清掃装置。
【請求項5】
ヘッドのノズル面を払拭する払拭手段と、
前記払拭手段を保持するホルダと、を備え、
前記ホルダは、前記ヘッドを搭載するキャリッジ、又は、前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材に対して、接続部によって着脱可能であり、
前記ホルダは、前記払拭手段を移動可能に保持し、
前記払拭手段は、払拭部材と、前記払拭部材を保持し、前記ホルダに移動可能に保持されるスライダ部材と、を備え、
前記ホルダには、前記払拭手段の移動方向に沿ってガイド部が設けられ、
前記スライダ部材には、前記ホルダのガイド部で案内される凸部が設けられ、
前記ガイド部は、前記ノズル面と平行に形成されている
ことを特徴とするヘッド清掃装置。
【請求項6】
ヘッドのノズル面を払拭する払拭手段と、
前記払拭手段を保持するホルダと、を備え、
前記ホルダは、前記ヘッドを搭載するキャリッジ、又は、前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材に対して、接続部によって着脱可能であり、
前記ホルダは、前記払拭手段を移動可能に保持し、
前記接続部は、前記案内部材に着脱可能に引っ掛ける引っ掛け部である
ことを特徴とするヘッド清掃装置。
【請求項7】
前記接続部は、磁性体である
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のヘッド清掃装置。
【請求項8】
ヘッドを搭載したキャリッジと、
前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材と、を備え、
請求項1ないし7のいずれかに記載のヘッド清掃装置が着脱可能に取付けられる
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項9】
前記案内部材は、前記キャリッジの移動方向と直交する副走査方向において前記キャリッジを挟んで少なくとも2つ配置され、
前記ホルダは、2つの前記案内部材に接続可能である
ことを特徴とする請求項8に記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
前記接続部は、前記案内部材に着脱可能に引っ掛ける引っ掛け部であり、
前記引っ掛け部は、2つの前記案内部材のうち、前記副走査方向において装置の媒体排出口がある側と反対側に設けられた案内部材に引っかかる
ことを特徴とする請求項9に記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
前記ホルダは、前記副走査方向において前記引っ掛け部が設けられた側と逆側に切り欠き部を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の液体を吐出する装置。
【請求項12】
ヘッドを搭載したキャリッジと、
前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材と、を備え、
請求項4又は5に記載のヘッド清掃装置であって、前記接続部が前記案内部材に着脱可能に引っ掛ける引っ掛け部であるヘッド清掃装置が着脱可能に取付けられ、
前記ヘッド清掃装置の前記ガイド部は、
前記キャリッジの移動方向となる主走査方向と直交する副走査方向において前記引っ掛け部が設けられた側と逆側の端部に壁部を有する
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項13】
ヘッドを搭載したキャリッジと、
前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材と、を備え、
ヘッドのノズル面を払拭する払拭手段と、
前記払拭手段を保持するホルダと、を備え、
前記ホルダは、前記ヘッドを搭載するキャリッジ、又は、前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材に対して、接続部によって着脱可能であり、
前記ホルダは、前記払拭手段を移動可能に保持するヘッド清掃装置が着脱可能に取付けられ、
前記案内部材は、前記キャリッジの移動方向と直交する副走査方向において前記キャリッジを挟んで少なくとも2つ配置され、
ヘッド清掃装置の前記ホルダは、2つの前記案内部材に接続可能である
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項14】
カラーインクを吐出するカラーノズル列と、
白インクを吐出する白ノズル列と、
複数の前記払拭部材と、を備え、
前記ヘッド清掃装置が前記液体を吐出する装置に装着されているとき、前記白ノズル列に対応する前記払拭部材の高さは、前記カラーノズル列に対応する前記払拭部材よりも低くなるように構成されている
ことを特徴とする請求項8ないし13のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項15】
前記ヘッドから吐出される液体を付与する液体付与対象が布地である
ことを特徴とする請求項8ないし14のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項16】
ヘッドのノズル面を払拭する払拭手段と、前記払拭手段を保持し、液体を吐出する装置に着脱可能なホルダと、を備えるヘッド清掃装置の前記ホルダを、前記液体を吐出する装置における前記ヘッドを搭載するキャリッジ、又は、前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材に対して、接続部によって着脱可能に装着する工程と、
前記ホルダに移動可能に保持された前記払拭手段を前記キャリッジに対して前記キャリッジの移動方向となる主走査方向、又は、前記主走査方向と直交する副走査方向に移動させて前記ノズル面を払拭する工程と、を行う
ことを特徴とするヘッド清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッド清掃装置、液体を吐出する装置、ヘッド清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するヘッドにあっては、ヘッドの性能を維持、回復するために、ノズル面を払拭部材で払拭して清掃することが行われる。
【0003】
従来、布地に印刷する印刷装置において、ヘッドのノズル面を払拭するワイパなどを有するメンテナンス部を備えるものが知られている(特許文献1)。
(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、捺染装置などの布地に印刷する装置において、手動でノズル面の清掃を行うようにしたものがある。このような装置では、ヘッドはノズル面を下方に向けて配置されているため、ノズル面を下方から見上げて清掃することなり、清掃作業が困難になるという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ノズル面の清掃を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係るヘッド清掃装置は、
ヘッドのノズル面を払拭する払拭部材を含む払拭手段と、
前記払拭手段を保持し、液体を吐出する装置に着脱可能なホルダと、を備え、
前記ホルダは、前記液体を吐出する装置における前記ヘッドを搭載するキャリッジ、又は、前記キャリッジの往復移動を案内する案内部材に対して、接続部によって着脱可能であり、
前記ホルダは、前記払拭手段を前記キャリッジに対して前記キャリッジの移動方向となる主走査方向、又は、前記主走査方向と直交する副走査方向に移動可能に保持する
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノズル面の清掃を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の側面説明図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るヘッド清掃装置の斜視説明図である。
【
図8】同実施形態のヘッド清掃装置を案内部材に接続した状態の斜視説明図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るヘッド清掃装置を接続するキャリッジ部分の平面説明図である。
【
図10】同ヘッド清掃装置を接続した状態の側面説明図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係るヘッド清掃装置を接続した状態のキャリッジ部分の側面説明図である。
【
図12】本発明の第4実施形態に係るヘッド清掃装置を接続したキャリッジ部分の斜視説明図である。
【
図13】本発明の第5実施形態に係るヘッド清掃装置を接続した状態のキャリッジ部分の側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について
図1ないし
図3を参照して説明する。
図1は同印刷装置の側面説明図、
図2は同じく正面説明図、
図3は同じく平面説明図である。
【0011】
印刷装置1は、装置本体10内に、保持部材であるトレイ300に保持された印刷対象である布地400に印刷する印刷手段100と、印刷手段100で印刷された印刷対象である布地400を加熱する加熱手段500とが配置されている。
【0012】
そして、保持部材であるトレイ300を、装置本体10の搬入口11から搬入し、印刷手段100及び加熱手段500を経由して、搬出口12から搬出させる搬送経路を構成する搬送手段200を有している。
【0013】
印刷手段100は、液体を吐出する1又は複数の液体吐出ヘッド101と、液体吐出ヘッド101を搭載したキャリッジ102とを備えている。キャリッジ102は案内部材である主ガイド部材103と副ガイド部材104(
図2では省略)とで主走査方向(X方向)に往復移動可能に案内される。
【0014】
また、液体吐出ヘッド101のノズル面101aをキャッピングするキャップなどを含むメンテナンスユニット111がキャリッジ102のホーム位置側に配置されている。
【0015】
加熱手段500は、例えばヒータ501を備えている。なお、加熱手段500としては、温風ドライヤー、熱板によるプレスなどの接触加熱、非接触加熱などの手段を備えることができる。
【0016】
搬送手段200は、例えばタイミングベルト、コンベアなどで構成することができる。搬送手段200は、トレイ300を印刷手段100に対向して矢印Y方向に搬送する第1搬送手段201と、トレイ300を加熱手段500に対向して矢印Y方向に搬送する第2搬送手段202とで構成されている。
【0017】
トレイ300は、印刷対象(液体を付与する液体付与対象)となるTシャツなどの布地400を着脱可能に保持することができる。なお、保持部材は、トレイ構成の他、カセット構成とすることもでき、印刷対象を保持する部材であればよい。
【0018】
次に、本発明の第1実施形態に係るヘッド清掃装置について
図4ないし
図7を参照して説明する。
図4は同ヘッド清掃装置の斜視説明図、
図5は同じく払拭手段の斜視説明図、
図6は同じくスライダ部材の斜視説明図、
図7は同じくホルダの斜視説明図である。
【0019】
ヘッド清掃装置600は、払拭手段601と、払拭手段601を移動可能に保持するホルダ602とを備えている。
【0020】
払拭手段601は、吸収体などの払拭部材611と、払拭部材611を取り付けるスライダ部材612とを備えている。
【0021】
スライダ部材612は、箱状のスライダ本体612aと、スライダ本体612a内に配置され、払拭部材611を交換可能に保持する保持部材612bとを有している。また、スライダ部材612は、スライダ本体612aの外側面に手動操作用のつまみ部としての凸部612cを備えている。なお、本実施形態では、複数の払拭部材611をスライダ部材612にセットすることができる。
【0022】
また、各払拭部材611は、例えばCMYKの各色と、白インクを吐出するそれぞれのヘッド(又はノズル列)に対応するように配置されている。
【0023】
なお、従来から、ヘッドに固着した汚れを取り除くため、払拭部材に洗浄液を含ませる技術が一般的に用いられている。ここで、払拭部材としては「洗浄液をできるだけ多量に保持できる部材(例えばスポンジ)」であることが好ましい。しかしながら、従来のような装置本体内に組み込む払拭機構では、交換頻度や設置スペースの問題で採用が難しかった。一方で、本発明の払拭機構は、装置本体から容易に着脱でき、洗浄や交換が容易なため、従来では採用しづらかったスポンジを使用できる。
【0024】
特に、白インクに含まれる酸化チタン等の白色顔料は固いため、従来から払拭部材として用いられたワイパ等ではきれいに払拭することが困難であり、払拭時にノズル面を傷つけるおそれがあった。また、酸化チタン等の白色顔料は粒径が大きいため、例えば洗浄液を含ませたウェブ部材では粒径に対して空隙量が小さく、白色顔料(汚れ)を効率的に吸収することができなかった。したがって、本発明のように、特に白インクを吐出するヘッド(又はノズル列)に対しては、空隙量が比較的大きいスポンジを用いることが好ましい。
【0025】
ホルダ602は、払拭手段601を移動可能に保持する保持部621を有している。ホルダ602の保持部621は、底部622aと、底部622aの両側の側板部622b、622bで形成されている。
【0026】
ホルダ602の側板部622b、622bには、印刷装置1の主ガイド部材103に引っ掛けて、ヘッド清掃装置600を主ガイド部材103に着脱可能に接続する接続部の一例としての引っ掛け部623が設けられている。
【0027】
また、ホルダ602の側板部622bには、払拭手段601のスライダ部材612の凸部612cを矢印Y方向(払拭手段601の移動方向)に沿う方向に移動可能に案内する溝状のガイド部624が設けられている。
【0028】
さらに、ガイド部624の端部(より具体的には、副走査方向において、引っ掛け部623が設けられている側の端部)に開放部624aが設けられており、開放部624aを通して凸部612cがガイド部624から取り外すことができる。
【0029】
また、この開放部624aにはストッパー625が設けられている。ストッパー625は、弾性部材や、樹脂部材とバネの組み合わせによって構成され、ガイド部624内に配置された凸部612cと引っ掛かることで、スライダ部材612がホルダ602から簡単に外れないようにしている。
【0030】
更に、ガイド部624の端部(より具体的には、副走査方向において、引っ掛け部623が設けられている側と反対側の端部)に壁部622cが設けられている。
【0031】
また、ホルダ602の両方の側板部622bには、固定板取付部622eが設けられている。固定板取付部622eには、後述する固定板603が取り付けられる。
【0032】
また、ホルダ602の両方の側板部622bの角部(より具体的には、側板部622bのうち、副走査方向において、引っ掛け部623が設けられている側と反対側の上面)には、切り欠き部としての傾斜部622dが設けられている。
【0033】
次に、本実施形態のヘッド清掃装置600によるヘッド清掃方法について
図8を参照して説明する。
図8はヘッド清掃装置を案内部材に接続した状態の斜視説明図である。
【0034】
図8(a)に示すように、ヘッド清掃装置600のホルダ602の引っ掛け部623を案内部材である主ガイド部材103に引っ掛けて接続する。本実施形態では、引っ掛け部623は、2つの案内部材(主ガイド部材103及び副ガイド部材104)のうち、副走査方向において装置の媒体排出口である排出口12がある側と反対側に設けられた案内部材である主ガイド部材103に引っかかる。
【0035】
そして、
図8(b)に示すように、ホルダ602を回動させて、払拭手段601の払拭部材611をヘッド101のノズル面101aに接触させる。
【0036】
このとき、固定板取付部622eに固定板(接続部の一例)603を取り付けることで、ヘッド清掃装置600が主ガイド部材103及び副ガイド部材104に対して固定される。なお、本実施形態では固定板取付部622e及び固定板603を用いてヘッド清掃装置600の副ガイド部材104に対する固定を行ったが、固定方法は問わない。例えば、接続部として、磁石を用いた固定でも良いし、スナップフィットを用いた固定でも良い。
【0037】
また、ホルダ602が前述した傾斜部622dを有することで、
図8(a)から
図8(b)にかけての固定作業において、ホルダ602の一部が副ガイド部104に接触しなくなる。ホルダ602の取り付け性や、払拭手段601の摺動範囲から考えると、ホルダ602は可能な限り大きなサイズとすることが好ましい。このような傾斜部622dを備えることで、取り付け性や摺動範囲を確保しつ、ホルダ602と装置本体との干渉を防ぐことができる。なお、切り欠き部の形状は問わず、R面、C面、切れ込みなどでもよい。
【0038】
また、ガイド部624が、前述した壁部622cを、副走査方向において、引っ掛け部623が設けられている側と反対側の端部に有することで、
図8(a)から
図8(b)にかけての固定作業において、ホルダ602が自重で落下するのを防ぐことができる。
【0039】
この状態で、払拭手段601のスライダ部材612の凸部612cを把持して、手動で、スライダ部材612をガイド部624に沿って矢印Y方向に沿う方向に移動させることで、払拭部材611によってヘッド101のノズル面101aが払拭され、清掃される。
【0040】
これにより、ヘッド101の下方を向いて配置されているノズル面101aの清掃を容易に行うことができる。
【0041】
この場合、払拭手段601には複数ヘッド分の払拭部材611を備えているので、一度に複数のヘッド101のノズル面101aを払拭清掃することができる。
【0042】
これにより、短い清掃時間で清掃を行うことができる。
【0043】
つまり、本実施形態では、ヘッド101のノズル面101を払拭する払拭手段601と、払拭手段601を保持するホルダ602とを備えるヘッド清掃装置600のホルダ602を、ヘッド101を搭載するキャリッジ102の往復移動を案内する排出口12側と反対側の主ガイド部材103に対して、接続部(引っ掛け部623)によって着脱可能に装着する工程と、ホルダ602に移動可能に保持された払拭手段601を移動させてノズル面101aを払拭する工程とを行うヘッド清掃方法を実施する。
【0044】
なお、ヘッド清掃装置600のホルダ602に、スライダ部材612を往復移動させる駆動源及び駆動機構を備えることで、自動で清掃することができる。
【0045】
また、払拭部材611の形状を清掃するヘッド101のノズル面101aの形状合わせることでより効果のある清掃を行うことができる。
【0046】
さらに、清掃用に使用する払拭部材611は、カラー液体を吐出するヘッドと、白色液体を吐出するヘッドとで、異なる材質、又は形状にすることで、汚れ方や汚れの落ちやすさに違いがあるカラー液体と白色液体とでそれぞれより効果的に清掃することができる。
【0047】
なお、本実施形態ではガイド部624を副走査方向に沿って設けているため、払拭手段の移動方向も副走査方向となるが、ガイド部624を主走査方向に沿って設けることで、払拭手段の移動方向を主走査方向とすることもできる。
【0048】
また、本実施形態では、ホルダ602が取り付けられたときに、ガイド部624がノズル面と平行になるように構成している。これにより、ユーザーがスライダ部材612を動かすときに、スライダ部材612とノズル面の距離が変化しづらくなり、払拭力のムラを低減することができる。特に、固くて粒径の大きな酸化チタン等を含むインク(例えば白インク)を吐出するヘッドでは、ノズル面を強く払拭しすぎるとノズル面を傷つけるおそれが大きいため、上記効果(払拭力のムラ低減や、最大払拭力の制限)が重要である。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態について
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は同実施形態に係るヘッド清掃装置を接続するキャリッジ部分の平面説明図、
図10は同ヘッド清掃装置を接続した状態の側面説明図である。
【0050】
本実施形態では、キャリッジ102を案内する案内部材である主ガイド部材103、副ガイド部材104はロッド形状ではなく、断面矩形状のステー部材で構成している。
【0051】
このような案内部材に対してもヘッド清掃装置600のホルダ602を接続できる構成とすることで、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0052】
また、本実施形態では、ホルダ602の接続部として磁性体としての磁石605を設けることにより、各ガイド部624への固定を可能としている。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態について
図11を参照して説明する。
図11は同実施形態に係るヘッド清掃装置を接続した状態のキャリッジ部分の側面説明図である。
【0054】
本実施形態では、主ガイド部材103と副ガイド部材104の形状が、前記第2実施形態と異なる。このような場合、例えば、引っ掛け部602a及び引っ掛け部602bを、ガイド部材103、104がもつ平面部103a、104aに引っ掛かるような形状とすることで、ホルダ602をガイド部材103、104に対して固定することができる。
【0055】
次に、本発明の第4実施形態について
図12を参照して説明する。
図12は同実施形態に係るヘッド清掃装置を接続したキャリッジ部分の斜視説明図である。
【0056】
本実施形態では、ヘッド清掃装置600のホルダ602をキャリッジ102に着脱可能に接続している。例えば、接続部606として、磁石を用いたり、係合部を設けることで、ホルダ602をキャリッジ102に対して着脱可能となる。
【0057】
これにより、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。また、ヘッド清掃装置のホルダをキャリッジに接続することで、キャリッジを案内する案内部材を傷つけることがなくなる。
【0058】
次に、本発明の第5実施形態について
図13を参照して説明する。
図13は同実施形態に係るヘッド清掃装置を接続した状態のキャリッジ部分の側面説明図である。
【0059】
本実施形態では、カラーインクを吐出するカラーノズル列を含むカラーヘッド101Aに対応するスポンジ611Aと、白インクを吐出する白ノズル列を含む白ヘッド101Bに対応するスポンジ611Bとを備えている。なお、白インクは、少なくとも、酸化チタン等の白色顔料と、有機溶剤が含まれている。
【0060】
ここで、
h1:スライダ部材612の上面からスポンジ611Aの上面までの高さ
h2:スライダ部材612の上面からスポンジ611Bの上面までの高さ
とするとき、h2<h1、の関係にしている。
【0061】
つまり、白インクに含まれる酸化チタン等の白色顔料に対しては、比較的小さい払拭力で払拭することで、ノズル面に傷をつけにくくなる。本発明は、ユーザーが行う払拭部材の移動速度や周波数等が一定ではないため、特に、白インクに対しては予め小さめの払拭力としておくことが好ましい。
【0062】
なお、上記実施形態においては、ヘッド清掃装置を着脱自在に接続可能な液体を吐出する装置が、布地を液体付与対象として印刷する印刷装置について説明しているが、これにかぎるものではない。液体付与対象をシート材とする液体を吐出する装置などにも同様に本発明を適用することができる。
【0063】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備
え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置に
は、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を
気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0064】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手
段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0065】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装
置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形
成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0066】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像
が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパター
ン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0067】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0068】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0069】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0070】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0071】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用
紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶
液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装
置などがある。
【符号の説明】
【0072】
1 印刷装置
10 装置本体
100 印刷手段
101 ヘッド
102 キャリッジ
103 主ガイド部材(案内部材)
200 搬送手段
500 加熱手段
600 ヘッド清掃装置
601 払拭手段
602 ホルダ
603 固定板(接続部)
605 磁石(接続部)
606 接続部
611 払拭部材
612 スライダ部材
621 保持部
623 引っ掛け部(接続部)