(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】乾燥装置、印刷装置
(51)【国際特許分類】
F26B 13/08 20060101AFI20240730BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
F26B13/08 A
B41J2/01 125
B41J2/01 103
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2020069504
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2019131342
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】西村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】三橋 将人
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-170883(JP,A)
【文献】特開2016-205813(JP,A)
【文献】特開平08-216467(JP,A)
【文献】特開2012-076227(JP,A)
【文献】米国特許第09994049(US,B1)
【文献】特開2017-207250(JP,A)
【文献】特開2001-060049(JP,A)
【文献】特開2005-187982(JP,A)
【文献】特開2007-010812(JP,A)
【文献】特開2001-088276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0368838(US,A1)
【文献】特開2020-152037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 13/08
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の間に、前記シートを前記第1
加熱回転体に押し付けるように案内する押し付けローラを有し、
前記押し付けローラは、前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の内、上流側の位置する前記第1加熱回転体よりも下流側に位置する前記第1加熱回転体側に偏って配置され
、
前記第2加熱回転体のうち、2つの前記第2加熱回転体は、周面に掛け回されたベルト部材を有している
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記第2加熱回転体のうち、2つの前記第2加熱回転体は、周面に掛け回されたベルト部材を有している
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項3】
シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記複数の第1加熱回転体の内、搬送経路の最上流側の前記第1加熱回転体は他の前記第1加熱回転体よりも大径である
ことを特徴とする乾燥装置。
【請求項4】
前記複数の第1加熱回転体は前記シートとの接触距離が異なる少なくとも2つの前記第1加熱回転体を含む
ことを特徴とする請求項
2又は3のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記複数の第1加熱回転体は楕円弧状に配置されている
ことを特徴とする請求項
2ないし4のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記第2加熱回転体の内の少なくとも1つは前記第1加熱回転体と同じ径である
ことを特徴とする請求項
2ないし5のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記複数の第1加熱回転体の並びに、2つの前記第1加熱回転体間に前記シートが異なる方向から二回接触する案内ローラを含む
ことを特徴とする請求項
2ないし6のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項8】
シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の間に、前記シートを前記第1加熱回転体に押し付けるように案内する押し付けローラを有し、
前記押し付けローラは、前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の内、上流側の位置する前記第1加熱回転体よりも下流側に位置する前記第1加熱回転体側に偏って配置され、
前記複数の第1加熱回転体の内、搬送経路の最上流側の前記第1加熱回転体は他の前記第1加熱回転体よりも大径である
ことを特徴とす
る乾燥装置。
【請求項9】
シートに液体を付与する液体付与手段と、
請求項1ないし
8のいずれかに記載の乾燥装置と、を備えている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
前記乾燥装置を含む第1乾燥部及び第2乾燥部と、
前記
シートの搬送方向を転換するとともに、前記
シートの第一面と前記第一面とは反対の第二面とを反転する反転部と、を備え、
前記第1乾燥部と前記第2乾燥部とは並列配置されている
ことを特徴とする請求項
9に記載の印刷装置。
【請求項11】
シートに液体を付与する液体付与手段と、
乾燥装置を含む第1乾燥部及び第2乾燥部と、
前記シートの搬送方向を転換するとともに、前記シートの第一面と前記第一面とは反対の第二面とを反転する反転部と、を備え、
前記第1乾燥部と前記第2乾燥部とは並列配置され、
前記第1乾燥部及び前記第2乾燥部は、送風孔及び吸気孔を有する送風手段をそれぞれ備え、
前記第1乾燥部及び前記第2乾燥部の各送風手段の吸気孔から吸引された空気を、前記第1乾燥部及び前記第2乾燥部に共通の排気孔から排気する手段を備え
、
前記乾燥装置は、
前記シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の間に、前記シートを前記第1加熱回転体に押し付けるように案内する押し付けローラを有し、
前記押し付けローラは、前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の内、上流側の位置する前記第1加熱回転体よりも下流側に位置する前記第1加熱回転体側に偏って配置されている
ことを特徴とす
る印刷装置。
【請求項12】
シートに液体を付与する液体付与手段と、
乾燥装置を含む第1乾燥部及び第2乾燥部と、
前記シートの搬送方向を転換するとともに、前記シートの第一面と前記第一面とは反対の第二面とを反転する反転部と、を備え、
前記第1乾燥部と前記第2乾燥部とは並列配置され、
前記第1乾燥部及び前記第2乾燥部は、送風孔及び吸気孔を有する送風手段をそれぞれ備え、
前記第1乾燥部の前記送風手段と前記第2乾燥部の前記送風手段とが分離可能に接続され
、
前記乾燥装置は、
前記シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の間に、前記シートを前記第1加熱回転体に押し付けるように案内する押し付けローラを有し、
前記押し付けローラは、前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の内、上流側の位置する前記第1加熱回転体よりも下流側に位置する前記第1加熱回転体側に偏って配置されている
ことを特徴とす
る印刷装置。
【請求項13】
シートに液体を付与する液体付与手段と、
乾燥装置を含む第1乾燥部及び第2乾燥部と、
前記
シートの搬送方向を転換するとともに、前記
シートの第一面と前記第一面とは反対の第二面とを反転する反転部と、を備え、
前記第1乾燥部と前記第2乾燥部とは、前記
シートの搬送方向に位置をずらして並列に配置され
、
前記乾燥装置は、
前記シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の間に、前記シートを前記第1加熱回転体に押し付けるように案内する押し付けローラを有し、
前記押し付けローラは、前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の内、上流側の位置する前記第1加熱回転体よりも下流側に位置する前記第1加熱回転体側に偏って配置されている
ことを特徴とす
る印刷装置。
【請求項14】
シートに液体を付与する液体付与手段と、
乾燥装置を含む第1乾燥部及び第2乾燥部と、
前記シートの搬送方向を転換するとともに、前記シートの第一面と前記第一面とは反対の第二面とを反転する反転部と、を備え、
前記第1乾燥部と前記第2乾燥部とは並列配置され、
前記液体付与手段は、前記
シートの第一面及び
前記第一面とは反対の第二面に前記液体を付与する1つの吐出ユニットであ
り、
前記乾燥装置は、
前記シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の間に、前記シートを前記第1加熱回転体に押し付けるように案内する押し付けローラを有し、
前記押し付けローラは、前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の内、上流側の位置する前記第1加熱回転体よりも下流側に位置する前記第1加熱回転体側に偏って配置されている
ことを特徴とす
る印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥装置、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートなどの印刷対象に液体を付与して印刷を行う印刷装置として、加熱手段を含む乾燥装置を備えて、付与された液体の乾燥を促進するものがある。
【0003】
従来、加熱ドラムの周囲に円弧状に複数の加熱ローラを配置し、加熱ローラに対して異なる方向からシートを2回接触させる乾燥装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の構成にあっては、乾燥性能を向上できるものの、加熱ドラムの径が大きくなって装置が大型化するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る乾燥装置は、
シートが異なる方向から二回接触する複数の第1加熱回転体と、
前記シートが一回接触する第2加熱回転体と、を備え、
前記第1加熱回転体に一面が接触して通過した前記シートを前記シートの一面が前記第1加熱回転体に接触するように案内する経路に、少なくとも3つの前記第2加熱回転体が配置され、
前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の間に、前記シートを前記第1加熱回転体に押し付けるように案内する押し付けローラを有し、
前記押し付けローラは、前記シートの搬送方向において隣り合う2つの前記第1加熱回転体の内、上流側の位置する前記第1加熱回転体よりも下流側に位置する前記第1加熱回転体側に偏って配置され、
前記第2加熱回転体のうち、2つの前記第2加熱回転体は、周面に掛け回されたベルト部材を有している
構成とした。
【0008】
本発明によれば、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
【
図3】同乾燥装置の加熱回転体の配置説明に供する説明図である。
【
図4】同じく加熱回転体の巻き付け角度、巻き付け距離の一例の説明図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る乾燥装置の正面説明図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る乾燥装置の正面説明図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る乾燥装置の異なる例の正面説明図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係る乾燥装置の正面説明図である。
【
図10】本発明の第6実施形態に係る乾燥装置の正面説明図である。
【
図11】本発明の第7実施形態に係る乾燥装置正面説明図である。
【
図12】本発明の第8実施形態に係る乾燥装置の異なる例の正面説明図である。
【
図13】本発明の第9実施形態に係る印刷装置の概略説明図である。
【
図14】本発明の第10実施形態に係る印刷装置の概略説明図である。
【
図15】本発明の第11実施形態に係る乾燥装置の正面説明図である。
【
図16】本発明の第12実施形態に係る乾燥装置の正面説明図である。
【
図17】本発明の第13実施形態に係る印刷装置の概略説明図である。
【
図18】本発明の第14実施形態に係る乾燥装置の概略説明図である。
【
図19】本発明の第15実施形態に係る印刷装置の概略説明図である。
【
図20】本発明の第16実施形態に係る乾燥装置の概略説明図である。
【
図21】本発明の第17実施形態に係る印刷装置の平面説明図である。
【
図22】同じく元巻きローラから反転部まで正面説明図である。
【
図23】同じく反転部から第2乾燥部までの正面説明図である。
【
図24】同実施形態における送風手段の一例の斜視説明図である。
【
図25】同実施形態における送風手段と装置本体側からのダクトとの接続構成の説明に供する斜視説明図である。
【
図27】本発明の第18実施形態に係る印刷装置の乾燥部における送風手段と装置本体側からのダクトとの接続構成の説明に供する模式的断面説明図である。
【
図28】本発明の第19実施形態に係る印刷装置の平面説明図である。
【
図30】本実施形態に係る印刷装置における気流の経路の説明に供する模式的断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について
図1を参照して説明する。
図1は同印刷装置の概略説明図である。
【0011】
この液体を吐出する装置である印刷装置100は、インクジェット記録装置であり、印刷対象(乾燥対象)である連帳紙などのシートであるウェブ110に対して所要の色の液体であるインクを吐出付与する液体付与手段である液体吐出ヘッドを含む液体付与部101を有している。
【0012】
液体付与部101は、例えば、ウェブ110の搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッド111A、111B、111C、111Dが配置されている。各ヘッド111は、それぞれ、ウェブ110に対してブラックK,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を付与する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0013】
ウェブ110は、元巻きローラ102から繰り出され、搬送部103の搬送ローラ112によって、液体付与部101に対向して配置された搬送ガイド部材113上に送り出され、搬送ガイド部材113で案内されて搬送(移動)される。
【0014】
液体付与部101によって液体が付与されたウェブ110は、案内ローラ114を経て本発明に係る乾燥装置300を含む乾燥部104に送られて液体が乾燥され、乾燥部104を経て複数の案内ローラ115で案内され、排出ローラ116によって送られて、巻取りローラ105に巻き取られる。
【0015】
次に、本発明の第1実施形態に係る乾燥装置について
図2ないし
図4を参照して説明する。
図2は同乾燥装置の正面説明図、
図3は同じく加熱回転体の配置説明に供する説明図、
図4は加熱回転体の巻き付け角度、巻き付け距離の一例の説明図である。
【0016】
乾燥装置300は、ウェブ110に接触してウェブ110を加熱する複数の加熱ローラ11(11A~11G)と、加熱ローラ12と、2つの加熱ドラム13(13A、13B)とを備えている。
【0017】
ここで、加熱ローラ11A~11Gは、ウェブ110が異なる方向から二回接触する第1加熱回転体である。加熱ローラ12及び2つの加熱ドラム13A、13Bは、ウェブ110が一回接触する第2加熱回転体である。加熱ローラ12は加熱ローラ11A~11Gと同じ径であり、2つの加熱ドラム13A、13Bは、加熱ローラ11A~11Gよりも大径である。加熱ドラム13A、13Bは、ともに同じ径である。
【0018】
複数の加熱ローラ11A~11Gは、
図3に示すように、略楕円弧Caの軌跡上に配置し、複数の加熱ローラ11の並びの内側(楕円弧Caを含む楕円形の内部の意味。以下、同じである。)に、2つの加熱ドラム13A、13Bを配置している。
【0019】
複数の加熱ローラ11A~11Gは、略楕円弧Caの軌跡上に配置しているので、ウェブ110との接触角(接触距離)は個々の加熱ローラ11によって異なっている。各加熱ローラ11A~11G、加熱ローラ12のウェブ110の巻き付け角、巻き付け距離(ニップ長さ)の一例を
図4に示している。
【0020】
また、加熱ローラ11A~11Gにウェブ110が押し付けられるように案内する複数の押し付けローラである案内ローラ14(14A~14H)を備えている。
【0021】
本実施形態では、加熱ローラ11Gから案内ローラ14Aまでの経路に、3つの第2加熱回転体である、加熱ローラ12及び加熱ドラム13A、13Bと、2つの案内ローラ15A,15Bが配置されている。
【0022】
これらの加熱ローラ12及び加熱ドラム13A、13Bと、2つの案内ローラ15A、15Bによって、第1加熱回転体である加熱ローラ11Gに第一面(ウェブ110の液体が付与された面と反対側の面)が接触して通過したウェブ110の第一面を当該加熱ローラ11Gに再度接触するように案内する経路(これを「折り返し部」という。)10を構成している。
【0023】
これにより、折り返し部10には、3つの第2加熱回転体である、加熱ローラ12及び加熱ドラム13A、13Bが配置される。
【0024】
なお、加熱ドラム13Bから案内ローラ14Aまでの経路にある案内ローラ15Aは、加熱ドラム13Bに対するウェブ110の巻き付け角度を規定する回転体である。また、案内ローラ15Bは、案内ローラ15Aから案内ローラ14Aへ掛け渡す回転体である。
【0025】
案内ローラ14A~14Gは、案内ローラ14の搬送方向両側にある2つの加熱ローラ11、11の内、搬送経路の下流側に位置する加熱ローラ11の近くに配置している。例えば、加熱ローラ11G、11F間の案内ローラ14Bは、搬送経路の上流側に位置する加熱ローラ11Gよりも下流側に位置する加熱ローラ11Fに相対的に偏らせて配置している
【0026】
次に、本実施形態の作用効果について
図5も参照して説明する。
図5は同作用説明に供する説明図である。
【0027】
本実施形態において、複数の加熱ローラ11A~11Gは、前述したように、略楕円弧Caの軌跡上に配置し、複数の加熱ローラ11の並びの内側に、2つの加熱ドラム13A、13Bを配置している。このとき、複数の加熱ローラ11の配置上の高さは、
図5に示すように、例えば高さHaに抑えることができる。また、略楕円弧とは、滑らかな曲線でなくてよく、また、中心から外周までの距離が全て同じではない。例えば、また、
図5において、加熱ローラ11A~11Gで形成されるウェブの経路における上下方向の高さが左右方向の幅がよりも小さいということもできる。
【0028】
したがって、本実施形態によれば、乾燥装置300の高さ方向の小型化を図ることができる。
【0029】
これに対して、2つの加熱ドラム13A、13Bに相当する熱量の1個の加熱ドラムを使用する場合、
図5に示すように、加熱ドラムの周りで、真円弧Cbの軌跡上に複数の加熱ローラ11を並べることになる。この場合、複数の加熱ローラ11の配置上の高さは例えば高さHb(Hb>Ha)になり、本実施形態よりも装置が大型化する。
【0030】
次に、本発明の第2実施形態に係る乾燥装置について
図6を参照して説明する。
図6は同乾燥装置の正面説明図である。
【0031】
本実施形態では、加熱ローラ11B~11Gの各ローラ間、加熱ローラ11G、12間、加熱ドラム13A~13Bの間及び周囲に、ウェブ110の液体が付与された面(一面)に風を吹き付ける送風手段17(17A~17K)を配置している。なお、送風手段17の配置位置及び数はこれに限定されるものではない。
【0032】
ウェブ110上に付与された液体は、加熱ローラ11、加熱ローラ12、加熱ドラム13に接触しながら搬送され、温度が上昇させる。液体の温度が上昇することによって、液体表面の蒸気圧が上昇されながら、送風手段17により液体表面に衝突噴流を与えることによって、液体の蒸発が促進される。
【0033】
本実施形態においては、ウェブ110が加熱ローラ11、加熱ローラ12、加熱ドラム13に断続的に当接することによって変形(コックリング)が矯正されながら、送風手段17によって液体の蒸発を促進することにより、乾燥性を向上することができる。なお、他の実施形態に本実施形態の送風手段17を適用することができる。
【0034】
次に、本発明の第3実施形態に係る乾燥装置について
図7を参照して説明する。
図7は同乾燥装置の正面説明図である。
【0035】
本実施形態では、折り返し部10内に、第2加熱回転体として加熱ローラ12A~12Eを配置している。ここで、複数の加熱ローラ11の並びの内側には、4個の加熱ローラ12B~12Eを配置している。加熱ローラ12A~12Eは、加熱ローラ11と同径としている。
【0036】
これにより、必要な乾燥性を確保しながら乾燥装置300を省スペース化することができるとともに、第1加熱回転体と第2加熱回転体を同じ形状の回転体とすることができ、装置の低コスト化を図ることができる。
【0037】
次に、本発明の第4実施形態に係る乾燥装置の異なる例について
図8を参照して説明する。
図8は同乾燥装置の異なる例の正面説明図である。
【0038】
本実施形態は、前記第1実施形態の構成において、2つの加熱ドラム13A、13Bは周面に掛け回された無端状のベルト部材18を備えている。そして、
図8(a)に示す第1例ではベルト部材18を単に加熱ドラム13A、13B間に掛け回し、
図8(b)に示す第2例ではベルト部材18を押圧するテンションローラ19を配置している。
【0039】
これにより、ベルト部材18は加熱ドラム13A、13Bによって加熱されながらウェブ110と接触することで、加熱ドラム13Aから加熱ドラム13Bまでの経路におけるウェブ110の温度低下が抑制され、より乾燥性を向上することができる。
【0040】
次に、本発明の第5実施形態に係る乾燥装置について
図9を参照して説明する。
図9は同乾燥装置の正面説明図である。
【0041】
本実施形態では、加熱ドラム13A、13Bを上下方向に配置し、加熱ドラム13A、13Bの周りに複数の加熱ローラ11A~11Gを楕円弧状に配置している。複数の加熱ローラ11A~11Gによって、乾燥装置300内で上下方向にウェブ110が搬送される。なお、案内ローラ14Hを経由したウェブ110を装置外に導くための案内ローラ20Aも配置している。また、乾燥装置300に進入してから最初の加熱ローラ11Aと接触するウェブ110の面は、ウェブ110の液体が付与された面と反対側の面(第一面)である。
【0042】
これにより、乾燥に必要なパス長を確保して良好な乾燥性を確保しながら、複数の加熱ローラ11を搬送経路が真円弧状になるように配置した場合に比べて幅方向(横方向:水平方向)で装置を小型化することができる。
【0043】
次に、本発明の第6実施形態に係る乾燥装置について
図10を参照して説明する。
図10は同乾燥装置の正面説明図である。
【0044】
本実施形態では、加熱ドラム13A、13Bを水平方向に対して斜めに傾けて配置し、加熱ドラム13A、13Bの周りに複数の加熱ローラ11A~11Gを楕円弧状に配置している。
【0045】
また、ウェブ110を加熱ローラ11Aに案内する案内ローラ21Aを配置している。さらに、案内ローラ14Hを経由したウェブ110を冷却する冷却手段である冷却ローラ30(30A、30B)を配置している。また、冷却ローラ30Bを通過したウェブ110を装置外に案内する案内ローラ20B、20Aを配置している。
【0046】
冷却ローラ30Aはウェブ110の液体が付与された面を冷却し、その後、冷却ローラ30Bはウェブ110の液体が付与された面と反対側の面を冷却する。また、乾燥装置300に進入してから案内ローラ21Aと接触するウェブの面は、ウェブ110の液体が付与された面と反対側の面(第一面)である。
【0047】
これにより、加熱ローラ11、12、加熱ドラム13などで加熱したウェブ110を冷却ローラ30によって冷却することができる。この場合、冷却ローラ30を駆動ローラとすることもできる。
【0048】
本実施形態によれば、乾燥装置300の設置スペースを効率的に使用することができ、装置の小型化を図ることができる。より具体的には、加熱ドラム13A、13Bを水平方向に対し斜めに傾けて配置することでできる上方の空間に、冷却ローラ30を配置することで、乾燥装置300の設置スペースを効率的に使用することができる。
【0049】
なお、本実施形態の配置に限られず、上下方向を反転して冷却ローラ30を下方に配置することも可能である。冷却ローラ30を下方に配置することで、加熱ドラム13や加熱ローラ11、12から発生し上昇する熱の影響を受けにくくすることができる。
【0050】
次に、本発明の第7実施形態に係る乾燥装置について
図11を参照して説明する。
図11は同乾燥装置の正面説明図である。
【0051】
本実施形態では、前記第1実施形態の構成において、加熱ドラム13Bから案内ローラ14Aまでの経路に、3つの案内ローラ15A~15Cを配置している。案内ローラ15を3つにすることで、加熱ドラム13Bに対するウェブ110の巻き付け角度を大きくすることができる。なお、乾燥装置300に進入してから最初の加熱ローラ11Aと接触するウェブ110の面は、ウェブ110の液体が付与された面と反対側の面(第一面)である。
【0052】
これにより、加熱ドラム13Bによってより効率的な加熱を行うことができる。
【0053】
次に、本発明の第8実施形態に係る乾燥装置の異なる例について
図12を参照して説明する。
図12は同乾燥装置の異なる例の正面説明図である。
【0054】
本実施形態では、前記第1実施形態における加熱ローラ11A~11G、加熱ローラ12の一部を加熱ローラではなく、単なる案内ローラ22としている。
【0055】
例えば、
図12(a)に示す第1例では、加熱ローラ11Dに代えて案内ローラ22Aを配置している。つまり、複数の加熱ローラ11を楕円弧状に配置する場合、楕円形状における短軸と交わる位置に配置される加熱ローラ11Dはウェブ110との接触距離(接触角)が最も小さくなる。そこで、この加熱ローラ11Dを案内ローラ22Aとしている。
【0056】
また、
図12(b)に示す第2例では、加熱ローラ11D、11B、11Fに代えてそれぞれ案内ローラ22A、22B、22Cを使用し、加熱ローラ12に代えて案内ローラ22Dを配置している。この例では、折り返し部10には2つの加熱ドラム13A、13Bが配置される構成となる。
【0057】
本実施形態のように、加熱ローラの数を減らすことで、乾燥性能の低下を抑制しつつ、コストを低減することができる。
【0058】
次に、本発明の第9実施形態に係る印刷装置について
図13を参照して説明する。
図13は同印刷装置の概略説明図である。
【0059】
印刷装置100は、元巻きローラ102から繰り出されたウェブ110を搬送ローラ112によって搬送し、液体付与部101のヘッド111に対向して搬送ガイド部材113で案内しながら、ヘッド111によってウェブ110に対して液体を付与して印刷する。
【0060】
そして、ウェブ110は、案内ローラ114を経て本発明に係る乾燥装置300を経由して乾燥され、複数の案内ローラ115で案内され、冷却ローラ117によって冷却された後、巻取りローラ105に巻き取られる。
【0061】
本発明に係る乾燥装置300を備えることで、印刷装置100の高さを抑えることができる。また、加熱ローラ11Aから案内ローラ115までの経路を走行する間でウェブ110の熱を低下させてから、冷却ローラ117で冷却するので、より効率的に冷却することができる。また、乾燥装置300の上に液体付与部101を配置したことで、印刷装置100の長さを抑えることができる。
【0062】
次に、本発明の第10実施形態に係る印刷装置について
図14を参照して説明する。
図14は同印刷装置の概略説明図である。
【0063】
印刷装置100は、元巻きローラ102から繰り出されたウェブ110を搬送ローラ112によって搬送し、液体付与部101のヘッド111に対向して対向ローラ123で案内しながら、ヘッド111によってウェブ110に対して液体を付与して印刷する。
【0064】
そして、ウェブ110は、ヘッド111Dに対向する対向ローラ123を経て本発明に係る乾燥装置300を経由して乾燥され、複数の案内ローラ115で案内され、冷却ローラ117によって冷却された後、巻取りローラ105に巻き取られる。
【0065】
なお、液体付与部101のヘッド111A、111Bの群と、ヘッド111C、111Dの群に分けられて配置され、また、冷却ローラ117は出口付近に配置されている。
【0066】
また、乾燥装置300は、前記第1実施形態の構成に加えて、加熱ローラ11にウェブ110を押し付ける案内ローラ14の内、搬送経路の最下流側に位置する案内ローラ14Hよりも下流側に、加熱ローラ23A~23Cと案内ローラ24A~24Cを交互に配置し、乾燥能力を高めている。また、加熱ローラ12Aから加熱ドラム13Aまでの斜めの搬送経路の上方に加熱ローラ23A~23Cと案内ローラ24A~24Cを配置しているので、乾燥装置300の高さ方向を省スペース化することができる。
【0067】
次に、本発明の第11実施形態に係る乾燥装置について
図15を参照して説明する。
図15は同乾燥装置の正面説明図である。
【0068】
本実施形態の乾燥装置300では、ウェブ110が二回接触する加熱ローラ11A~11Kと、折り返し部10においてウェブ110が一回接触する加熱ローラ12A~12Iと、加熱ローラ11A~11Kにウェブ110を押し付ける案内ローラ14A~14Kと、折り返し部10に配置した案内ローラ15Aとを備えている。
【0069】
そして、加熱ローラ11の内、搬送経路の最上流側に位置にする加熱ローラ11Aは、他の加熱ローラ11よりも大径として、初期に大きな熱量をウェブ110に与えられる構成としている。また、加熱ローラ11Aを他の加熱ローラ11よりも大径とすることで、案内ローラ14Kから案内ローラ14Lに向けて緩やかな経路を形成している。
【0070】
また、前記第10実施形態と同様に、加熱ローラ11にウェブ110を押し付ける案内ローラ14の内、搬送経路の最下流側に位置する案内ローラ14Lよりも下流側に、加熱ローラ23A~23Cと案内ローラ24A~24Cを交互に配置し、乾燥能力を高めている。そして、加熱ローラ11Jから加熱ローラ12Aまでの斜めの搬送経路の上方に加熱ローラ23A~23Cと案内ローラ24A~24Cを配置しているので、乾燥装置300の高さ方向を省スペース化することができる。
【0071】
次に、本発明の第12実施形態に係る乾燥装置について
図16を参照して説明する。
図16は同乾燥装置の正面説明図である。
【0072】
本実施形態の乾燥装置300では、前記第11実施形態の構成において、折り返し部10において加熱ローラ12Iの下流側に、加熱ドラム13Aを配置し、案内ローラ14Aとの間に、案内ローラ15A~15Dを配置している。
【0073】
本実施形態では、前記第11実施形態よりも加熱ローラ11に対する巻き付け角度を大きくしているので、全体の高さは、相対的に高くなっている。
【0074】
これにより、加熱ドラム13Aによる加熱を加えることができ、第10実施形態の構成よりも乾燥能力が向上する。
【0075】
次に、本発明の第13実施形態に係る印刷装置について
図17を参照して説明する。
図17は同印刷装置の概略説明図である。
【0076】
印刷装置100は、印刷部201と、乾燥部104と、印刷及び乾燥を行う印刷乾燥部202とを備えている。
【0077】
そして、元巻きローラ102から繰り出されたウェブ110を搬送ローラ112によって印刷部201に搬送する。印刷部201では、ウェブ110を複数の案内ローラ114と搬送ガイド部材113によって液体付与部101Aのヘッド111に対向させて案内し、ヘッド111からウェブ110に対して液体を付与して印刷する。
【0078】
そして、ウェブ110は、案内ローラ114によって、ウェブ110の液体が付与された面(第二面)を下向きにして乾燥部104に送られ、本発明に係る乾燥装置300Aを経由して乾燥され、複数の案内ローラ115で案内されて印刷乾燥部202に送られる。
【0079】
印刷乾燥部202に送られたウェブ110は、ウェブ110の液体が付与されていない面(第一面)を上向きにして、下流側の液体付与部101Bのヘッド111に対向させて案内される。液体付与部101Bのヘッド111は、ウェブ110の第一面に対して液体を付与して印刷する。
【0080】
そして、ウェブ110は、その第一面を搬送経路の外側を向くようにして下流側の乾燥装置300Bに進入し、ウェブ110の第一面は乾燥装置300Bで乾燥され、案内ローラ118を経て排出ローラ116で送られて巻取りローラ105に巻き取られる。
【0081】
本実施形態の上流側の乾燥装置300Aは、第5実施形態と同様に、加熱ドラム13A、13Bを上下方向に配置した構成としている(ただし、第5実施形態とは上下が逆の配置である。)。これにより、印刷装置100全体の長さを抑えることができる。
【0082】
また、下流側の乾燥装置300Bは、第6実施形態と同様に、加熱ドラム13A、13Bを水平方向に対して斜めに傾けて配置し、加熱ドラム13A、13Bの周りに複数の加熱ローラ11A~11Gを楕円弧状に配置した構成としている。そして、乾燥装置300Bの上方に液体付与部101Bを配置した構成としている。これにより、印刷装置100全体の長さを抑えることができる。
【0083】
次に、本発明の第14実施形態に係る乾燥装置について
図18を参照して説明する。
図18は同乾燥装置の概略説明図である。
【0084】
本実施形態では、前記第8実施形態における加熱ローラ11(11A~11G)を、加熱ドラム13Bよりも下流側の搬送経路(これを「折り返し経路52」という。)においてのみウェブ110と接触する構成としている。
【0085】
乾燥装置300の搬送経路入口から案内ローラ22Dまでの搬送経路(これを「第1経路51」という。)には、ウェブ110を掛け回す案内ローラ22E、22F、22Gを有する。さらに、ウェブ110の液体が付与された面を非接触で加熱する第1加熱手段であるヒータ240が配置されている。ヒータ240としては、赤外線ヒータやハロゲンヒータなどを適用することができる。
【0086】
ウェブ110は、ヒータ240によりウェブ110の液体が付与された面(第二面)が乾燥され、加熱ドラム13A、13B、及び、折り返し経路52において、案内ローラ14で押し付けられる加熱ローラ11により、ウェブ110の液体が付与された面と反対側の面(第一面)が加熱される。
【0087】
ここで、折り返し経路52は、第2加熱回転体である加熱ドラム13を通過したウェブ110を第1加熱回転体である加熱ローラ11に接触するように案内ローラ14で案内する経路であり、この経路の内側に、2つの第2加熱回転体である加熱ドラム13A、13Bが配置されている構成としている。
【0088】
つまり、加熱ドラム13A、13Bの外側に折り返し経路52を配置し、折り返し経路52の外側に第1経路51を配置する構成としている。
【0089】
これにより、必要な乾燥性を確保しながら乾燥装置300を省スペース化することができる。なお、本実施形態における第1経路を、他の実施形態に適用することができる。
【0090】
次に、本発明の第15実施形態に係る印刷装置について
図19を参照して説明する。
図19は同印刷装置の概略説明図である。
【0091】
本実施形態では、前記第14実施形態における第1経路51を、加熱ドラム13A、13Bを挟んで折り返し経路52と反対側に配置した構成としている。また、ヒータ240の下流に加熱ローラ12を配置している。
【0092】
ここでも、折り返し経路52は、第2加熱回転体である加熱ドラム13を通過したウェブ110を第1加熱回転体である加熱ローラ11に接触するように案内ローラ14で案内する経路であり、この経路の内側に、3つの第2加熱回転体である加熱ローラ12、加熱ドラム13A、13Bが配置されている構成としている。
【0093】
本実施形態においても加熱ドラム13A、13Bの外側に折り返し経路52を配置しているので、乾燥装置300を省スペース化することができる。
【0094】
次に、本発明の第16実施形態に係る乾燥装置について
図20を参照して説明する。
図20は同乾燥装置の概略説明図である。
【0095】
本実施形態では、第2加熱回転体は、駆動回転体である加熱ドラム13Aと従動回転体である従動ドラム63との間に掛け回したベルト部材18で構成している。従動ドラム63側には、ウェブ110の液体が付与された面を非接触で加熱する非接触加熱手段であるヒータ240が配置されている。ヒータ240は、赤外線ヒータやハロゲンヒータなどを適用することができる。
【0096】
これにより、ウェブ110の液体が付与された面(第二面)をヒータ240で加熱するので、案内ローラ15Aへウェブ110上の液体が付着することを抑制できる。
【0097】
また、折り返し経路52は、第2加熱回転体であるベルト部材18を通過したウェブ110を第1加熱回転体である加熱ローラ11に接触するように案内ローラ14で案内する経路であり、この経路の内側に、ベルト部材18が配置されている構成としている。
【0098】
次に、本発明の第17実施形態に係る印刷装置について
図21ないし
図23を参照して説明する。
図21は同印刷装置の平面説明図、
図22は同じく元巻きローラから反転部まで正面説明図、
図23は同じく反転部から第2乾燥部までの正面説明図である。
【0099】
印刷装置100は、元巻きローラ102と、液体付与部101と、第1乾燥部(上流側乾燥部)104aと、方向転換部200と、第2乾燥部104bと、巻取りローラ105とを含む。
【0100】
この印刷装置100は、元巻きローラ102から繰り出されたウェブ110を搬送ローラ112によって搬送し、
図22に示す液体付与部101のヘッド111に対向する位置で、ヘッド111によってウェブ110の第一面に対して液体を付与して印刷する。
【0101】
そして、ウェブ110は、案内ローラ114を経て本発明に係る乾燥装置300を含む第1乾燥部104aを経由して乾燥され、冷却ローラ117aによって冷却される。その後、ウェブ110は、反転部200によって、搬送方向が90°曲げられるとともに表裏が反転され、搬送方向が再度90°曲げられて搬送される。
【0102】
次いで、
図23に示す液体付与部101のヘッド111に対向する位置で、ヘッド111によってウェブ110の第二面に対して液体を付与して印刷する。
【0103】
そして、本発明に係る乾燥装置300を含む第2乾燥部104bを経由して乾燥され、冷却ローラ117bによって冷却された後、巻取りローラ105に巻き取られる。
【0104】
ここで、
図21に示すように、元巻きローラ102からウェブ110の第一面の印刷及び乾燥までを印刷装置100の背面側に配置し、ウェブ110の第二面の印刷から巻取りローラ105までを印刷装置100の手前側(前面側)に配置している。
【0105】
また、液体付与部101は、ウェブ110の第一面及び第二面を印字する1つのヘッドユニット(吐出ユニット)であり、印刷装置100の手前側から背面側に跨って配置している。
【0106】
そして、反転部200は、搬送ローラ112から液体付与部101までのウェブ搬送路の下方に位置し、さらに、第1乾燥部104a及び第2乾燥部104bの側方に位置している。反転部200は、ウェブ110の搬送方向に対して斜めに位置する反転ローラ200aと反転ローラ200bを有している。
【0107】
反転ローラ200aは、下に向いているウェブ110の第一面を上向きに反転し、
図21及び
図22において左から右に搬送されたウェブ110の搬送方向を印刷装置100の背面から手前側に転換して案内する。
【0108】
反転ローラ200bは、下に向いているウェブ110の第二面を上向きに反転し、印刷装置100の背面から手前側に搬送されたウェブ110の搬送方向を右から左に転換して案内する。
【0109】
これにより、印刷装置100の元巻きローラ102から巻取りローラ105までの幅を抑えることができる。
【0110】
また、第1乾燥部104a及び第2乾燥部104bは同じ構成であり、加熱ローラ11(11A~11I)、加熱ローラ12(12A、12B)、加熱ローラ33、案内ローラ14(14A~14I)、案内ローラ21A、送風手段17(17A~17J)を備えている。
【0111】
ここで、加熱ローラ11Hから案内ローラ14Aまでの経路に、3つの第2加熱回転体である加熱ローラ12A、12B、加熱ローラ33と、1つの案内ローラ14Aが配置されている。
【0112】
加熱ローラ33は、加熱ローラ12A、12Bよりも大径であり、加熱ローラ33のウェブ110との接触距離が加熱ローラ12A、12Bの接触距離よりも長い。加熱ローラ33は、加熱ローラ33の中心から加熱ローラ11Gの中心までの距離と加熱ローラ33の中心から加熱ローラ11Dの中心までの距離とが異なるように位置している。さらに、加熱ローラ11Hから加熱ローラ12Aまでの外周経路における左右方向の幅が上下方向の高さよりも小さい。また、加熱ローラ11Aから加熱ローラ12Aまでの外周経路は、楕円弧状である。
【0113】
これにより、乾燥部104(第1乾燥部104a、第2乾燥部104b)の幅方向の小型化を図ることができる。
【0114】
また、加熱ローラ33、加熱ローラ12Bは、加熱ローラ11Aから加熱ローラ12Aまでの外周経路の内側に位置している。さらに、加熱ローラ33のウェブ110の巻き付け角は180°未満である。加熱ローラ11Hから加熱ローラ11Aまでの内周経路は、加熱ローラ12Aから案内ローラ14Aまでの外周経路と対向する。
【0115】
なお、加熱ローラ33は、加熱ローラ12Bと同じ径であってもよい。また、加熱ローラ12Aと加熱ローラ12Bは同じ径であるが、加熱ローラ12Bの径を加熱ローラ12Aより大きくしてもよいし、加熱ローラ12Bの径を加熱ローラ33の径と同じとしてもよい。
【0116】
また、送風手段17は、隣り合う加熱ローラ11、11間、加熱ローラ11H、12A間、加熱ローラ12A、12B間に配置している。
【0117】
次に、本実施形態における送風手段の一例について
図24を参照して説明する。
図24は同送風手段の斜視説明図である。
【0118】
送風手段17は、ウェブ110に対向する送風孔172と、吸気孔171(171a、171b)を有する。送風孔172は、給気ダクト174と連通し、ウェブ110に向けて送風する。吸気孔171aは吸引ダクト173aと、吸気孔171bは吸引ダクト173bと、それぞれ連通し、浮遊する蒸気を吸い込む。吸引ダクト173(173a、173b)及び給気ダクト174は、送風手段17の長手方向に備えられている。
【0119】
次に、送風手段とダクトとの接続構成について
図25及び
図26を参照して説明する。
図25は同説明に供する斜視説明図、
図26は同じく模式的断面説明図である。
【0120】
第1乾燥部104aの送風手段17と第2乾燥部104bの送風手段17とは、長手方向で互いに接続している。第2乾燥部104bの送風手段17は、印刷装置100の手前側の給気ダクト181及び排気ダクト182と接続している。第1乾燥部104aの送風手段17は、印刷装置100の背面側の給気ダクト181及び吸気ダクト182と接続している。
【0121】
給気孔183は印刷装置100の手前側に位置し、吸気孔183から放射状に延びる各給気ダクト181に連通している。印刷装置100の手前側の各給気ダクト181からの気流は、給気ダクト174を通り、給気孔172からウェブ110に向けて送風される。
【0122】
一方、印刷装置100の背面側からは、給気孔185から給気ダクト181を気流が通過し、給気ダクト174を通り、給気孔172からウェブ110に向けて送風される。
【0123】
排気孔184は、印刷装置100の背面側に位置し、排気孔184から放射状に延びる各排気ダクト182へ連通している。浮遊している蒸気は、吸気孔171により吸引され、吸引ダクト173から排気ダクト182を通り、排気孔184から印刷装置100の背面側に排気される。
【0124】
印刷装置100の手前側の各排気ダクト182を通る気流は、ダクト186に集約して印刷装置100の背面側の排気孔184にむけて排出される。
【0125】
なお、加熱ローラ12B、加熱ローラ33、加熱ローラ11Hから加熱ローラ11Aに向かって形成されるウェブ搬送経路の内側(
図22及び
図23)に、ダクト186を配置している。
【0126】
これにより、乾燥部104の大型化を抑制しつつ、乾燥部104内部の湿度環境を適切にしてウェブ110を乾燥させることができる。
【0127】
また、第1乾燥部104aをメンテナンスするときは印刷装置100の背面側からアクセスし、第2乾燥部104bをメンテナンスするときは印刷装置100の手前側からアクセスすることができる。
【0128】
ここで、第1乾燥部104aと第2乾燥部104bとを相対的に前後方向に分離するように構成してもよい。この場合、第1乾燥部104aの送風手段17と第2乾燥部104bの送風手段17の接続部から分離させることができる。また、
図26に示すダクト186も前後方向に分離可能な構成とすることができる。
【0129】
次に、本発明の第18実施形態に係る印刷装置の乾燥部について
図27を参照して説明する。
図27は同印刷装置の乾燥部における送風手段と装置本体側からのダクトとの接続構成の説明に供する模式的断面説明図である。
【0130】
本実施形態では、印刷装置100の背面側の吸気孔185から導入した気流を、給気ダクト181を経由し、印刷装置100の背面側の第1乾燥部104aの送風手段17と、印刷装置100の手前側の第2乾燥部104bの送風手段17と、に分配している。
【0131】
また、印刷装置100の背面側の第1乾燥部104aの送風手段17と、印刷装置100の手前側の第2乾燥部104bの送風手段17とのそれぞれから吸気した蒸気をダクト186に集約し、印刷装置100の背面側に排出している。
【0132】
つまり、本実施形態では、前記第17実施形態と異なり、第2乾燥部104bの印刷装置100の手前側面には、ダクトが配置されていない。
【0133】
したがって、加熱ローラ12B、加熱ローラ33、加熱ローラ11Hから加熱ローラ11Aで形成されるウェブ搬送経路の内側(
図22及び
図23)の空間をメンテナンスするとき、印刷装置100の手前側からのアクセスが容易になる。これにより、メンテナンス性が向上する。また、給気ダクト181を、第1乾燥部104a及び第2乾燥部104bとで共通化したため、印刷装置100の前後方向の大型化を抑制できる。
【0134】
次に、本発明の第19実施形態に係る印刷装置について
図28及び
図29を参照して説明する。
図28は同印刷装置の平面説明図、
図29は同じく側面説明図である。
【0135】
本実施形態では、前記第17実施形態と異なり、第1乾燥部104aと第2乾燥部104bとをウェブ搬送方向にずらして並列に(千鳥状に)配置している。第2乾燥部104bの下部の搬送路を通過したウェブ110は、
図29に示すように、メンテナンス台1000の下方を搬送される。
【0136】
メンテナンス台1000は、第1乾燥部104aの手前で第2乾燥部104bの横に位置している。したがって、第1乾燥部104aをメンテナンスするときは、メンテナンス台1000にメンテナンスする者が乗り、印刷装置100の正面側から第1乾燥部104aにアクセスすることができる。第1乾燥部104a及び第2乾燥部104bをともに印刷装置100の正面側から(同じ側から)アクセス可能とすることで、メンテナンス性が向上する。
【0137】
次に、本実施形態に係る印刷装置における気流の経路について
図30を参照して説明する。
図30は同説明に供する模式的断面説明図である。
【0138】
本実施形態では、前記第18実施形態(
図27)に示す第1乾燥部104bの気流経路を、第1乾燥部104a及び第2乾燥部104bにそれぞれ適用し、印刷装置100の背面側にそれぞれ排気孔184を配置している。
【0139】
第1乾燥部104a及び第2乾燥部104bは同じ構成とすることができ、組付け性やメンテナンス性が容易になる。また、第1乾燥部104a及び第2乾燥部104bの正面側にダクトが配置されていないため、印刷装置100の正面側からアクセスできる。
【0140】
なお、送風手段17の印刷装置100の前後方向から気流を導入し、印刷装置100の背面側から排気する前記第16実施形態(
図26)の構成を、第1乾燥部104a及び第2乾燥部104bにそれぞれ適用することもできる。
【0141】
以上各実施形態で説明したように、乾燥装置300においては、ウェブ110が乾燥装置300に進入するとき、ウェブ110の液体が付与された面が搬送経路外側を向くように搬送されることが好ましい。
【0142】
また、上述した各実施形態において、複数の加熱ローラ11A~11Gは、略楕円弧Ca(
図5)の軌跡上に配置している構成で説明したが、高さHaに抑えることができる軌跡であれば略楕円弧形状に限られない。例えば、
図5の真円弧Cbの高さをHaに抑えた円弧状としてもよい。
【0143】
また、上述した各実施形態において、加熱ローラ11と案内ローラ14で形成される折り返し経路より内側に加熱ドラム13A、13Bが配置されている、または、加熱ローラ12が配置されているということができる。
【0144】
また、加熱ドラム13Aと加熱ドラム13Bが並ぶ方向の両側に折り返し経路が配置されているということができる。さらに、加熱ドラム13Aから加熱ドラム13Bへの経路と折り返し経路が対向しているということができる。また、加熱ドラム13Aから加熱ドラム13Bへの経路の長さは、対向する折り返し経路の長手方向の長さよりも短いということができる。さらに、加熱ドラム13A、13B、折り返し経路で構成する領域は、扁平状ということができる。このような配置関係により、必要な乾燥性を確保しながら乾燥装置300を省スペース化することができる。
【0145】
なお、上記各実施形態においては、乾燥対象、印刷対象、搬送対象となるウェブが連帳紙である例で説明しているが、ウェブには、連帳紙、連続用紙、ロール紙などの連続体を含み、シートにはウェブのほかにも、壁紙、プリプレグ等の電子回路基板用シートのような被印刷物などを含む。
【0146】
また、印刷装置によって、印刷対象には、インク等の液体で文字や図形等の画像を記録する以外にも、加飾・装飾などを目的として、パターン等の意味を持たない画像をインク等の液体で付与してよい。
【0147】
本願において、付与される液体は、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0148】
液体付与手段として液体吐出ヘッドを使用するとき、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0149】
なお、本願における印刷は、画像形成、記録、印字、印写等とも同じ意味である。
【符号の説明】
【0150】
10 折り返し経路
11A~11K 加熱ローラ(第1加熱回転体)
12、12A~12E 加熱ローラ(第2加熱回転体)
13A、13B 加熱ドラム(第2加熱回転体)
14A~14L 案内ローラ(押し付けローラ)
15A~15C 案内ローラ
33 加熱ローラ
100 印刷装置
101 液体付与部
104 乾燥部
104a 第1乾燥部
104b 第2乾燥部
110 ウェブ
300 乾燥装置