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特許7528553ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/60 20060101AFI20240730BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20240730BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240730BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20240730BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240730BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B65H29/60 B
B65H37/04
B65H29/60 C
G03G15/00 460
B29C63/02
G03G21/16 195
G03G21/00 500
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020102358
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021195214
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木義人
(72)【発明者】
【氏名】古橋朋裕
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋航
(72)【発明者】
【氏名】浅野翔
(72)【発明者】
【氏名】門馬真也
(72)【発明者】
【氏名】秋山城治
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼航
(72)【発明者】
【氏名】原口陽介
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-328169(JP,A)
【文献】特開2011-068115(JP,A)
【文献】特開平05-338039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021603(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0073234(US,A1)
【文献】特開2015-118116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/54-29/70
B65H 37/00-37/06
G03G 13/00
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/04
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むラミネート処理装置において、
前記2枚重ねシートを剥離する剥離手段と、
前記剥離手段の下流に配置され、少なくとも前記2枚重ねシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の下流に配置され、少なくとも前記2枚重ねシートの搬送経路を定着経路と非定着経路に切り替える切り替え手段と、
前記定着経路に配置され、前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを定着する定着部と、を有し、
前記定着部で定着される前の、前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを、前記切り替え手段により前記非定着経路に搬送することを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項2】
前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを前記定着経路に搬送してラミネート処理を行うラミネート処理モードと、前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを前記非定着経路に搬送して排出するシート状媒体挿入モードと、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置
【請求項3】
前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを前記定着経路に搬送するか、前記非定着経路に搬送するかを、ユーザが選択できる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のラミネート処理装置
【請求項4】
前記定着経路に配置された定着部の異常を検出する検知手段を有し、異常検出結果に応じて前記2枚重ねシート及び/又は前記シート状媒体の処理が制御される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のラミネート処理装置
【請求項5】
前記定着経路に配置された定着部の異常を検出した場合には、前記2枚重ねシートを前記非定着経路に搬送する、ことを特徴とする請求項4に記載のラミネート処理装置
【請求項6】
前記定着経路に配置された定着部の異常を検出した場合には、前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを前記非定着経路に搬送する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載のラミネート処理装置
【請求項7】
2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むラミネート処理装置において、
前記2枚重ねシートを剥離する剥離手段と、
前記剥離手段の下流に配置され、少なくとも前記2枚重ねシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の下流に配置され、少なくとも前記2枚重ねシートの搬送経路を定着経路と非定着経路に切り替える切り替え手段と、
前記定着経路に配置され、前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを定着する定着部と、を有し、
前記定着部の異常を検出する検知手段を有し、異常検出結果に応じて少なくとも前記2枚重ねシートの処理が制御され、
前記検知手段により前記定着部の異常が検出された場合には、前記2枚重ねシートと前記シート状媒体を別々に前記非定着経路に搬送する、ことを特徴とするラミネート処理装置
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のラミネート処理装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
シート状媒体に画像を形成する画像形成装置と、
請求項1~7のいずれか一項に記載のラミネート処理装置と、を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のシートが重ねられ、一辺が接合(接続)された2枚重ねシート(ラミネートシート又はラミネートフィルム)内に、中紙類(用紙、写真など)を挿入し、熱と圧力を加えて2枚重ねシートを接着するラミネート処理という技術が知られている。
【0003】
従来のラミネート処理機では、フィルムに挟み込みたい中紙類(用紙、写真など)を挟み込む作業を1枚1枚人手で実施する必要があるが、フィルムの内側には接着材の層があるため滑りが悪く、手で剥離することが面倒なことと、剥離後に挟み込みたいシート類を正確な位置に挟みこむことが手間であった。また、1枚の準備ができ、処理機(ラミネータ)にセットすると、ラミネート処理には30~60秒の時間がかかるため、次の処理まで待つ必要があった。その結果、数十枚程度のラミネート処理をするだけで、長時間ラミネート処理装置から人が離れることができず、シートを挟み込む、セットしてラミネート処理する、待っている間にシートを挟み込む・・・という作業をユーザが繰り返す必要があり、時間と人手が必須になるという問題があった。また、それを回避しようとすれば、ロールフィルムを使った専用のラミネータ装置が必要であり、非常に高価(数十万円~数百万円)になるという問題があった。
【0004】
また、フィルムの剥離を自動で行うフィルム剥離装置では、面倒な挟み込み作業は自動化により行いたいが、生産性を考慮してラミネート処理をオフライン機でも実施したいという要望があった。
【0005】
特許文献1は、一辺が接続されたラミネートシートにおいて、シート同士を剥離して、その間に中紙を挿入するラミネート装置を開示している。シートの剥離を自動で行えるため、ユーザの作業効率が向上する。しかし、生産性を考慮してラミネート処理を別なオフライン機でも実施したいというユーザの要望には応えられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むラミネート処理装置において、シート処理作業の生産性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、2枚のシートが重ねられ、その一部が接合された2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むラミネート処理装置において、前記2枚重ねシートを剥離する剥離手段と、前記剥離手段の下流に配置され、少なくとも前記2枚重ねシートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段の下流に配置され、少なくとも前記2枚重ねシートの搬送経路を定着経路と非定着経路に切り替える切り替え手段と、前記定着経路に配置され、前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを定着する定着部と、を有し、前記定着部で定着される前の、前記シート状媒体が挟み込まれた前記2枚重ねシートを、前記切り替え手段により前記非定着経路に搬送することを特徴とするラミネート処理装置により解決される。
【発明の効果】
【0008】
2枚重ねシートにシート状媒体を挟み込むラミネート処理装置において、シート処理作業の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
図2図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
図3】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
図4】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
図5】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
図6】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
図7】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
図8】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
図9】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
図10】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
図11】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その10)である。
図12】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その11)である。
図13】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その12)である。
図14】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その13)である。
図15】本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
図16】ラミネート処理装置200に設けられた操作パネル10の例を示す図である。
図17】熱加圧ローラ120の異常を検知する検知手段を備えたラミネート処理装置を示す概略側面図である。
図18】ラミネート処理装置200に設けられた操作パネル10の別な例を示す図である。
図19】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図20】本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。
図21】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置における一連の動作を示したフローチャートである。
図22】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置における一連の動作を示した別なフローチャートである。
図23】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置における一連の動作を示した別なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。本実施形態のシート処理装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させるものである。
【0011】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0012】
中紙Pは、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0013】
図1に示すように、シート処理装置100は、中紙Pを積載する第1積載手段であるシートトレイ102と、シートトレイ102から中紙Pを給送するピックアップローラ105と、搬送ローラ対107と、中紙Pを反転する経路とを備える。またシート処理装置100は、シートSを積載する第2積載手段である給紙トレイ103と、給紙トレイ103からシートSを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0014】
シート処理装置100は、それぞれ異なる給紙経路と搬送経路を有し、生産性を向上させるために、剥離動作を行うシートSの搬送のためにストレート経路を用いることで最短距離にて搬送する。中紙Pに関しては、シート剥離動作完了まで待機させる必要があるため、予め分離給紙し、待機可能な距離が確保された反転可能な搬送経路にて待機させる。
【0015】
小型化且つ生産性向上を両立させるため、中紙搬送を行うピックアップローラ105から入口ローラ対108までの経路よりも、シート搬送を行うピックアップローラ106から入口ローラ対108までの経路が短いように構成され、入口ローラ対108よりも上流でそれらの経路が合流している。
【0016】
中紙挿入が完了したシートSは、出口ローラ対113又はそれ以降に配置されたローラ等で排紙トレイ104に排出・スタックする。中紙Pを反転する経路を備えることで、シートトレイ102にスタックしたページ順で、排紙トレイ104に排出・スタックすることが可能となる。
【0017】
搬送ローラ対107の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、ピックアップローラ106の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0018】
またシート処理装置100は、搬送ローラ対107及びピックアップローラ106の下流に、第1搬送手段である入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第2搬送手段である出口ローラ対113と、排紙トレイ104などを備える。巻付けローラ109と出口ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離爪116を備える。剥離爪116はシートSを剥離する剥離手段の一例である。
【0019】
入口ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、巻付けローラ109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられている。そして、出口ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0020】
なお、ピックアップローラ105、搬送ローラ対107、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例であり、ピックアップローラ106、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は第2給送手段の一例である。
【0021】
シート処理装置100の外装部には、シート処理装置100における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。また、この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。なお、代替として、操作パネル10以外の報知手段を、シート処理装置100に別途設ける構成としてもよい。
【0022】
本実施形態のシート処理装置100は、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、シートSを搬送しながら、2枚のシートに剥離・開口し、その開口内に中紙Pを挿入する。そして、中紙Pが挿入されたシートSを、排紙トレイ104に排出・積載する。
【0023】
図2は、図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。図2に示すように、入口ローラ対108及び出口ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により回転駆動される。入口ローラ対108は一方向に回転駆動され、出口ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0024】
入口ローラ対108は、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送する。この搬送方向を正搬送方向(矢印A方向)と呼ぶ。
【0025】
一方、出口ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。挟持したシートSを正搬送方向である排紙トレイ104(図1参照)に向けて搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを搬送することもできる。この巻付けローラ109に向けて搬送する方向(正搬送方向に対し、逆方向)を、逆搬送方向(矢印B方向)と呼ぶ。
【0026】
また、シート処理装置100は、これら入口ローラ対108と出口ローラ対113との間に、回転部材である巻付けローラ109と、剥離爪116とを備える。巻付けローラ109は、駆動手段(モータなど)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0027】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。可動の把持手段110は、ローラ部材111とともにシートSの先端を把持することを特徴とする。この把持手段110は、ローラ部材111の外周に一体に成形してもよいし、別部品として構成してもよい。
【0028】
続いて、図1図14を用いて、シート処理装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作を説明する。なお、図3図14において、図1、2と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0029】
図1において、給紙トレイ103上のシートSは、2枚のシートの接合された一部が、ピックアップローラ106の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、シート処理装置100は、給紙トレイ103上のシートSをピックアップローラ106にてピックし、入口ローラ対108に向けて搬送する。
【0030】
次いで、図2に示すように、入口ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでシート処理装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を正搬送方向(矢印A方向)の下流側として搬送する。
【0031】
続いて図3に示すように、シート処理装置100は、正搬送方向におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。なお、これら動作は、搬送センサC3によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC3から指定量搬送することで実施される。
【0032】
次に、図4に示すように、シート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、出口ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。
【0033】
続いて、図5に示すように、シート処理装置100は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0034】
次いで、図6に示すように、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートの接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0035】
図7に示すように、シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシート間に空間が生じる。この生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシート間の空間を確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0036】
シート処理装置100は、シートSに生じた空間に剥離爪116を挿入した状態で(図7参照)、巻付けローラ109を時計回りに回転し、図8に示すように、シートSの剥離した空間をシートSの正搬送方向(矢印A方向)における後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0037】
この状態で、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離爪116をシート幅方向へ更に移動することで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0038】
図8の状態になったら、図9に示すように、シート処理装置100は今度は出口ローラ対113を反時計回りに回転させ、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。シート先端が搬送センサC5を抜けたタイミングで、分岐爪118を切り替えることが可能となる。非定着経路にシートSを搬送する場合、分岐爪118は図示の位置のままとなるが、定着経路128にシートSを搬送する場合は、分岐爪118は定着経路側に切り替えられる。
【0039】
分岐爪118の切り替えは、シート先端が搬送センサC5を抜けたタイミングから中紙挿入後にシート先端が分岐爪118に到達するまでに完了していれば良い。このタイミングよりも前に分岐爪118を切り替えてしまうと、中紙挿入前のシートSが定着経路に入り込んでシートの一部が定着してしまう。また、それを防止するために定着部の位置をより下流に配置する場合、装置が大型化してしまう。
【0040】
図9に示すように、シートSの剥離された2枚のシートは、剥離爪116によりそれぞれ上下方向に案内され、2枚のシート全体が互いに剥離される。そして、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部を出口ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0041】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0042】
図10図12は、ユーザが操作パネル10にてラミネート処理モードを選択した場合に、定着経路128にシートSを搬送する際のシート処理装置100の動作を示す。
次いで、図10に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、シートトレイ102(図1参照)からピックアップローラ105や搬送ローラ対107によって搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)に搬送する。
【0043】
続いて、図11に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
【0044】
次いで、図12に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113により、中紙Pが挿入されたシートSを正搬送方向(矢印A方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。そして、中紙Pが挟み込まれたシートSを、出口ローラ対113又はそれ以降に配置されたローラ等により、熱加圧ローラ120を有する定着部へ搬送し、排紙トレイ104に排出・積載する(図1参照)。
図2図12までが、ラミネート処理する場合の基本的な剥離動作及び定着Md(定着部)への搬送動作を示す。
【0045】
このように本実施形態のシート処理装置100は、シートSを大きく開口し、その中に中紙Pを挿入・挟持させることができる。したがって、例えば、バキューム装置を用いる特許文献1のラミネート装置に比べ、単純な構成であり、装置全体を簡略化、小型化できる。
【0046】
また、本実施形態のシート処理装置100は、図1で示したように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、それぞれ別々に搬送できる。このため、シートSと中紙Pを予め決められた順番に積載する必要がなく、利便性を向上できる。
【0047】
一方、ユーザが操作パネル10にて中紙挿入モードを選択した場合は、シート処理装置100は図13図14のように動作する。
図2図9まではシート処理装置100は同様に動作するが、図13に示すように、中紙Pを非定着経路129へ搬送するために、分岐爪118の切り替えを行わずに、そのまま搬送する。
【0048】
次いで、図14に示すように、シートSと中紙Pの両方を把持(ニップ)した状態で、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113で搬送することで、2枚のシートS内に中紙Pを挿入する。続けて熱加圧ローラ120を有しない非定着経路129にシートSを搬送し、排紙トレイ126(図15参照)に排出・積載することで排紙完了となる。
このようにして、ユーザは中紙挿入状態のシートを得ることができ、当該シートのオフライン機での定着処理が可能となる。
【0049】
図15は、本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。ラミネート処理装置200は、先に説明したシート処理装置100を包含している。ラミネート処理装置200は、シートSを剥離する剥離手段である剥離爪116と、剥離爪116の下流に配置され、シートSを搬送する搬送手段である出口ローラ対113と、出口ローラ対113の下流に配置され、シートSの搬送経路を切り替える切り替え手段である分岐爪118と、を有する。分岐爪118により、シートSが、シートSを定着するための定着経路128又はシートSを定着しない非定着経路129(図12図14参照)に搬送される。これにより、ユーザが非定着モード(中紙挿入モード)を選択したとき、中紙PをシートSに挿入した状態で非定着経路129を用いてシートSを定着させずに排出することが可能となる。よって、中紙挿入は手間をかけずに自動化により行われ、ユーザは別のオフライン機でラミネート作業をすることができ、並列作業も可能になるため、作業の生産性が向上する。
【0050】
またラミネート処理装置200は、熱加圧ローラ120の下流に設けられた排出ローラ121と、定着経路128を搬送されたシートSをスタックする排紙トレイ104と、熱加圧ローラ120を有しない非定着経路129を搬送されたシートSをスタックする排紙トレイ126とを備える。
【0051】
このラミネート処理装置200は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。
【0052】
ただし、ラミネート処理はシート処理の一例であって、ラミネート処理装置は広義にはシート処理装置と言ってもよい。
【0053】
図16は、ラミネート処理装置200に設けられた操作パネル10の例を示す図である。
ラミネート処理装置200は、シートSにシート状媒体である中紙Pを挟み込みシートSを定着経路128に搬送してラミネート処理を行うラミネート処理モードと、シートSにシート状媒体である中紙Pを挟み込みシートSを非定着経路129に搬送して排出する中紙挿入モード(シート状媒体挿入モード)を有する。
【0054】
またユーザは、操作パネル10よりラミネート処理をしてシートを排紙するラミネート処理モードか、ラミネート処理をせずに2枚のシート内に中紙Pを挿入した状態のシートを排紙する中紙挿入モードかを選択することができる。よって、シートSを定着経路128に搬送するか、非定着経路129に搬送するかを、ユーザが選択できる。装置にこのようなユーザインタフェースを設けることで、シートSを定着処理するか、中紙Pを挿入したシートSを非定着のまま排紙するかを、ユーザが操作パネル10で選択することが可能となり、所望の状態でシートSが排紙される。
【0055】
本実施形態では、操作パネルを例として挙げているが、スイッチやパーソナルコンピュータからのコマンド等で排紙設定を切り替えても良い。
【0056】
図17は、熱加圧ローラ120の異常を検知する検知手段を備えたラミネート処理装置を示す概略側面図である。
図示のように、ラミネート処理装置200は、定着経路128に配置された定着部である熱加圧ローラ120の異常を検知する検知手段130を有する。検知手段130は、例えば熱加圧ローラ120の温度検出が可能なサーミスタや非接触温度センサである。定着部で異常がない場合は、そのままラミネート処理又は中紙挿入処理を行えるが、定着部で異常が発生したときにシートSが定着経路128に搬送されるとジャムが生じるため、ユーザがジャム処理をする必要が生じる。定着部での異常とは、具体的には熱加圧ローラ120が高温や低温等の温度異常状態になることであり、この場合、シートSを搬送しても熱加圧ローラ120で正常な定着処理が出来ず、ジャムが発生する恐れがある。そこで、異常検出結果に応じて、具体的には熱加圧ローラ120の異常を検出した際には、シートSの搬送をストップしたり、図示のように分岐爪118の位置を切り替えてシートSを非定着経路129に搬送したりするなど、シートの処理を制御することで、ユーザのジャム処理の手間を省くことが出来る。
【0057】
図18は、ラミネート処理装置200に設けられた操作パネル10の別な例を示す図である。
本実施形態の操作パネル10によれば、ユーザは、図16で示したラミネート処理の排紙設定に加えて、定着異常時の排紙設定をも設定することができる。具体的には、ユーザは、図17で示した熱加圧ローラ120の異常を検出した場合の排紙設定方法を選択することができ、異状検知時に中紙Pを挿入して排紙するか(「中紙挿入」)、中紙Pを挿入せずにシートSと中紙Pを個別に排紙するか(「個別排紙」)を設定できる。
【0058】
「中紙挿入」では、定着経路128に配置された定着部である熱加圧ローラ120の異常を検出した場合には、シートSを中紙Pを挿入した状態で非定着経路129に搬送する。これにより、熱加圧ローラ120の故障の復旧まで、別のオフライン機などでの、中紙Pを挿入したシートSのラミネート処理が効率的に実施可能となる。
【0059】
「個別排紙」では、定着経路128に配置された定着部である熱加圧ローラ120の異常を検出した場合には、シートSと中紙Pを別々に非定着経路129に搬送する。これにより、ユーザが同様のオンラインシート剥離装置を2台所有していた場合、挿入した中紙Pを取り出すという無駄な作業をせずに、もう一台の正常な装置でそのままラミネート処理を行うことができる。
【0060】
続いて、本発明に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムについて説明する。
【0061】
図19は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。この画像形成装置300は、ラミネート処理装置部として、内部にラミネート処理装置200aを備える。
【0062】
ここで、ラミネート処理装置200aは、シートS又は中紙Pを積載するシートトレイ102を備えるとともに、シートS及び/又は中紙Pを画像形成装置300から給紙可能な構成である。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、シートS又は中紙Pに画像をインラインで挿入できる。
【0063】
画像形成装置本体300の構成を具体的に説明する。図20に示すように、画像形成装置本体300内には、中間転写装置150が設けられている。中間転写装置150は、複数のローラに掛けまわしてエンドレスの中間転写ベルト152をほぼ水平に張り渡し、反時計まわりに走行する。
【0064】
中間転写装置150の下には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像装置154c、154m、154y、154kが、中間転写ベルト152の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けられている。各作像装置154は、図中時計まわりに回転するドラム状の像担持体のまわりに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成される。各作像装置154の下には、露光装置156が設けられている。
【0065】
露光装置156の下には、給紙装置158が設けられている。給紙装置158は、シートSを収納する第1給紙カセット160と、中紙Pを収納する第2給紙カセット162とを備える。なお、第1給紙カセット160は、2枚重ねシートを積載する第3積載手段の一例であり、第2給紙カセット162は、シート状媒体を積載する第4積載手段の一例である。
【0066】
第1給紙カセット160の右上には、第1給紙カセット160内のシートSを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第1給紙コロ166が設けられている。また、第2給紙カセット162の右上には、給紙カセット内の中紙Pを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第2給紙コロ168が設けられている。
【0067】
用紙搬送路164は、画像形成装置本体300内の右側に下方から上方に向けて形成され、画像形成装置本体300内のラミネート処理装置200aへと通ずる。用紙搬送路164には、搬送ローラ170、中間転写ベルト152と対向して二次転写装置174、定着装置176、一対の排紙ローラよりなる排紙装置178などが順に設けられている。
【0068】
なお、第1給紙コロ166、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第1給紙カセット160(第3積載手段)から2枚重ねシートを給送する第3給送手段の一例である。また、第2給紙コロ168、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第2給紙カセット162(第4積載手段)からシート状媒体を給送する第4給送手段の一例である。さらに、中間転写装置150、及び定着装置176などは、2枚重ねシート又はシート状媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。
【0069】
続いて、本実施形態の画像形成装置300において、シートSに画像形成をした後、ラミネート処理を行う動作について説明する。
【0070】
シートSに画像を形成する際、はじめに、画像読取装置188で原稿画像を読み取り、露光装置156で書き込みを行う。次いで、各作像装置154c、154m、154y、154kのそれぞれの像担持体上に各色トナー画像を形成し、そのトナー像を一次転写装置180c、180m、180y、180kで順次転写して中間転写ベルト152上にカラー画像を形成する。
【0071】
一方、画像形成装置300は、第1給紙コロ166を回転してシートSを繰り出して用紙搬送路164に入れる。そして、用紙搬送路164を通して搬送ローラ170で搬送してタイミングを取って二次転写位置へと送り込み、上記したように中間転写ベルト152上に形成したカラー画像が二次転写装置174でシートSに転写される。
【0072】
画像転写後のシートSは、定着装置176で画像定着後、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送られる。
【0073】
また、画像形成装置300は、第2給紙コロ168を回転して中紙Pを繰り出して用紙搬送路164に入れ、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送る。
【0074】
このようにして、画像形成されたシートSと、中紙Pをラミネート処理装置200aに送ることで、ラミネート処理が行われる。ラミネート処理の詳細は、上記したので省略する。
【0075】
本実施形態の画像形成装置300は、上記した構成であるので、中紙Pに画像形成をした後に、ラミネート処理装置200aにより、ラミネート処理を行うこともできる。また、中紙PとシートSに画像形成した後に、ラミネート処理を行うこともできる。
【0076】
次に、本発明に係るシート処理装置を備える画像形成装置の変形例、及び画像形成システムについて説明する。
【0077】
図20は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。この画像形成装置400は、画像形成装置本体側に本体排出ローラ122と、本体排紙トレイ123とを備える点で、図19の画像形成装置300と異なる。
【0078】
画像形成装置400は、ラミネート処理を実施しない場合、本体排出ローラ122を用いて画像形成した記録媒体を本体排紙トレイ123に排出できる。したがって、画像形成装置400は、ラミネート処理をしない場合、画像形成の出力速度を下げない。
【0079】
なお、画像形成装置400は、ラミネート処理装置200aを内部に脱着可能に備える構成としてもよい。すなわち、ラミネート処理が不要な際は、ラミネート処理装置200aを画像形成装置400から外してもよい。
【0080】
また、その外したラミネート処理装置200aに、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを装着し、図15に示すものと同様なラミネート処理機単体として利用できるとしてもよい。
【0081】
図19に示した画像形成装置300、及び図20に示した画像形成装置400は、ラミネート処理機に代えて、シート処理装置を備える構成としてもよい。また、図20に示した画像形成装置400では、シート処理装置を着脱可能な構成としてもよい。
【0082】
また、画像形成システムとして、画像形成装置と、前記画像形成装置に着脱可能に接続されたシート処理装置100、又はラミネート処理装置200を備えるシステムを構成してもよい。さらにまた、給紙装置(スタッカ)、及び/又はくるみ製本装置などを備えるシステムを構成してもよい。なお、シートSを定着装置176の間を通す場合、そのシートSは、定着温度では接着されず、それよりも高温の熱を与えることにより接着されるものである。
【0083】
さらに、画像形成装置300、400は、シートSと中紙に画像を形成する方式として、電子写真方式を用いているがこれに限定されるものでなく、インクジェット方式や孔版印刷方式などの公知の画像形成方式を用いてもよい。
【0084】
また本発明の実施形態に係るラミネート処理装置200は、前述したシート処理装置100と、シートSを加熱及び加圧可能な熱加圧ローラ120とを有する。
【0085】
また本発明の実施形態に係る画像形成装置300は、前述したシート処理装置100を有する。シート処理装置100は画像形成装置に内蔵されてもよい。
【0086】
また本発明の実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置300の内部に備えられたシート処理装置100を有する。また本発明の実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置300の内部に備えられたシート処理装置100と、シート処理装置100の搬送方向下流に備えられた後処理装置とを有してもよい。後処理装置は、例えば印刷済みシートをステープル処理することができる。
【0087】
図21は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置における一連の動作を示したフローチャートである。
ステップS11において、ユーザが、例えばラミネート処理装置200の操作パネル10よりラミネート処理の実施有無を選択し、ステップS12においてスタートボタンを押し下げる。次いで、ステップS13において、ラミネート処理装置200はシートSの給紙動作を行い、続いてステップS14において、中紙Pの給紙動作を行う。次いで、ラミネート処理装置200は、ステップS15においてシートSの巻付け動作を行い、ステップS16においてシートSの剥離動作を行う。
【0088】
次いで、シートSの先端が搬送センサC5を通過したら(S17,Yes)、ラミネート処理装置200は、ユーザにより「ラミネート処理モード」が選択されているかどうか判定する(S18)。「ラミネート処理モード」が選択されている場合(S18,Yes)、ラミネート処理装置200は、検知手段130により熱加圧ローラ120に異常がないことを確認し(S19,Yes)、分岐爪118の位置を定着経路側に切り替え(S20)、中紙Pの挿入後に(S21)、定着処理を行い(S22)、ラミネート処理用の排紙トレイ104に排紙する(S23)。
【0089】
一方で、「ラミネート処理モード」ではなく、「中紙挿入モード」が選択されている場合は(S18,No)、ラミネート処理装置200は、分岐爪118の切り替えは行わず、中紙Pの挿入後に(S24)、非定着経路129用の排紙トレイ126に排紙する(S25)。
同様に、検知手段130により定着部である熱加圧ローラ120に異常が検知された場合には(S19,No)、分岐爪118の切り替えは行わず、中紙Pの挿入後に(S24)、非定着経路129用の排紙トレイ126に排紙する(S25)。
【0090】
図22は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置における一連の動作を示した別なフローチャートである。
ステップS31において、ユーザが、例えばラミネート処理装置200の操作パネル10よりラミネート処理の実施有無を選択し、ステップS32においてスタートボタンを押し下げる。次いで、ステップS33において、ラミネート処理装置200はシートSの給紙動作を行い、続いてステップS34において、中紙Pの給紙動作を行う。次いで、このフローチャートでは、ラミネート処理装置200は、図21の処理とは異なり、検知手段130により定着部である熱加圧ローラ120に異常が検知された場合には(S35,No)、中紙Pの挿入動作を行わずに、シートSと中紙Pを別個に非定着経路129用の排紙トレイ126に排紙する(S44)。
【0091】
一方で、異常が検知されなかった場合には(S35,Yes)、ラミネート処理装置200は、ステップS26においてシートSの巻付け動作を行い、ステップS37においてシートSの剥離動作を行う。
【0092】
次いで、シートSの先端が搬送センサC5を通過したら(S38,Yes)、ラミネート処理装置200は、ユーザにより「ラミネート処理モード」が選択されているかどうか判定する(S39)。「ラミネート処理モード」が選択されている場合(S39,Yes)、ラミネート処理装置200は、分岐爪118の位置を定着経路側に切り替え(S40)、中紙Pの挿入後に(S41)、定着処理を行い(S42)、ラミネート処理用の排紙トレイ104に排紙する(S43)。
【0093】
図23は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置における一連の動作を示した別なフローチャートである。
このフローチャートは、図21図22の処理を組み合わせたように構成されている。すなわち、ユーザが、定着部の異常を検出した場合の排紙方法として中紙挿入して排紙するか、シートSと中紙Pを個別に排紙するかを選択することができる。
【0094】
ステップS51において、ユーザが、例えばラミネート処理装置200の操作パネル10よりラミネート処理の実施有無及び定着異常時の排紙方法を選択し、ステップS52においてスタートボタンを押し下げる。次いで、ステップS53において、ラミネート処理装置200はシートSの給紙動作を行い、続いてステップS54において、中紙Pの給紙動作を行う。次いで、検知手段130により定着部である熱加圧ローラ120に異常が検知された場合には(S55,No)、ラミネート処理装置200は、「中紙挿入排紙」が選択されていた場合には(S64,Yes)、ステップS65においてシートSの巻付け動作を行い、ステップS66においてシートSの剥離動作を行う。次いで、シートSの先端が搬送センサC5を通過したら(S67,Yes)、ラミネート処理装置200は、中紙Pの挿入動作を行い(S68)、次いで定着処理を行わずにそのまま中紙Pを挿入したシートSを非定着経路129用の排紙トレイ126に排紙する(S69)。
また、ラミネート処理装置200は、「中紙挿入排紙」が選択されていない場合には(S64,No)、シートSと中紙Pを別個に非定着経路129用の排紙トレイ126に排紙する(S69)。
【0095】
一方で、異常が検知されなかった場合には(S55,Yes)、ラミネート処理装置200は、ステップS56においてシートSの巻付け動作を行い、ステップS57においてシートSの剥離動作を行う。
【0096】
次いで、シートSの先端が搬送センサC5を通過したら(S58,Yes)、ラミネート処理装置200は、ユーザにより「ラミネート処理モード」が選択されているかどうか判定する(S59)。「ラミネート処理モード」が選択されている場合(S59,Yes)、ラミネート処理装置200は、分岐爪118の位置を定着経路側に切り替え(S60)、中紙Pの挿入後に(S61)、定着処理を行い(S62)、ラミネート処理用の排紙トレイ104に排紙する(S63)。
また、ラミネート処理装置200は、「ラミネート処理モード」が選択されていない場合には(S59,No)、中紙Pの挿入動作を行い(S68)、次いで定着処理を行わずにそのまま中紙Pを挿入したシートSを非定着経路129用の排紙トレイ126に排紙する(S69)。
【0097】
以上のように、本発明の実施形態に係るシート処理装置によれば、ラミネート処理を実施するラミネート処理モードと、定着処理を実施せずにラミネートフィルムに中紙挿入のみを実施する中紙挿入モードとを実行できる。よって、通常のラミネート処理とは別に、面倒な挟み込み作業のみ自動化により行うことができ、その後のラミネート処理を別なオフライン機で実施することで作業の生産性を向上することができる。
【符号の説明】
【0098】
100 シート処理装置
113 出口ローラ対(搬送手段)
116 剥離爪(剥離手段)
118 分岐爪(切り替え手段)
120 熱加圧ローラ(熱加圧部材)
128 定着経路
129 非定着経路
200 ラミネート処理装置
S 2枚重ねシート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【文献】特開2006-160429号公報
図1
図2
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図5
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