(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】保護部材、加熱装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
G03G15/20 510
(21)【出願番号】P 2020125642
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】染矢 幸通
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144411(JP,A)
【文献】特開2019-158947(JP,A)
【文献】特開2016-186651(JP,A)
【文献】特開2016-109700(JP,A)
【文献】特開2013-041129(JP,A)
【文献】特開2015-038550(JP,A)
【文献】特開平10-048977(JP,A)
【文献】特開2016-109732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な回転部材の長手方向端部と、前記回転部材の長手方向への移動を規制する規制部と、の間に設けられる保護部材であって、
前記回転部材の長手方向端部に対向する前記保護部材の対向面に、前記回転部材の回転方向へ断続的に設けられた複数の凸部
と、前記複数の凸部の間に設けられた複数の凹部とを有し、
前記複数の凸部及び前記複数の凹部は、それぞれ前記保護部材の内径端から外径端まで連続して設けられることにより、前記複数の凸部同士は互いに連続せずに独立して形成され、前記複数の凹部同士も互いに連続せずに独立して形成され、
前記各凸部は、前記回転部材の長手方向端部と前記規制部との間に前記保護部材が設けられた状態で、非回転時の前記回転部材の長手方向端部が長手方向に投影された投影像の少なくとも最小径の位置から最大径の位置までの連続した範囲に渡って、前記回転部材の長手方向端部と接触可能な接触領域を有する保護部材。
【請求項2】
前記各凸部は、前記回転部材の回転方向へ等間隔に設けられる請求項1に記載の保護部材。
【請求項3】
前記接触領域における前記各凸部の突出量は、同じである請求項1又は2に記載の保護部材。
【請求項4】
前記各凸部は、円形である前記保護部材の中心から径方向に伸びる直線に沿って放射状に設けられる請求項1から3のいずれかに記載の保護部材。
【請求項5】
前記各凸部は、円形である前記保護部材の中心から径方向に伸びる直線に対して外径方向に向かって前記回転部材の回転方向へ傾斜するように設けられる請求項1から2のいずれかに記載の保護部材。
【請求項6】
前記回転部材の回転方向における前記保護部材の前記各凸部の幅は、外径側よりも内径側で大きい請求項1から5のいずれかに記載の保護部材。
【請求項7】
前記各凸部は、弾性材料によって構成される請求項1から6のいずれかに記載の保護部材。
【請求項8】
回転可能な回転部材と、
前記回転部材の長手方向への移動を規制する規制部と、
前記回転部材の長手方向端部と前記規制部との間に設けられた保護部材と、
を備え、記録媒体を加熱する加熱装置であって、
前記保護部材として、請求項1から7のいずれかに記載の保護部材を用いる加熱装置。
【請求項9】
請求項8に記載の加熱装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護部材、加熱装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタなどの画像形成装置において、用紙などの記録媒体を加熱する加熱装置として、熱により用紙上の画像を定着させる定着装置や、用紙上のインクを乾燥させる乾燥装置が知られている。
【0003】
例えば、定着装置においては、省エネルギー化や高速化などの要求に応じて、ローラよりも熱容量の小さい無端状のベルトやフィルムなどの回転部材が用いられるようになってきている。
【0004】
このようなベルトやフィルムなどの回転部材を用いる定着装置においては、一般的に、回転部材の片寄りを規制する規制部が設けられている。回転部材に片寄りが発生した場合は、回転部材の長手方向の一端が規制部に接触することにより、それ以上の回転部材の長手方向の移動が規制される。
【0005】
しかしながら、回転部材の長手方向の一端が規制部に接触した状態で回転部材が回転すると、回転部材が規制部に対して摺動するため、回転部材の長手方向の一端が摩耗し、回転部材が損傷するといった問題がある。そのため、特許文献1(特開2009-288284号公報)では、回転部材と規制部との間に、リング状の保護部材を設け、回転部材の長手方向端部の摩耗を抑制する構成が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような保護部材を備える構成においては、回転部材に片寄りが発生し、回転部材の長手方向端部が保護部材に接触すると、回転部材と一緒に保護部材が従動回転することにより、回転部材の摩耗を抑制することができる。
【0007】
しかしながら、回転部材の長手方向への移動力(寄り力)が大きくなると、保護部材が規制部に押し付けられた際の保護部材と規制部との間で生じる摩擦抵抗が大きくなるため、保護部材が回転部材に対して従動回転しにくくなる懸念がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、 回転可能な回転部材の長手方向端部と、前記回転部材の長手方向への移動を規制する規制部と、の間に設けられる保護部材であって、前記回転部材の長手方向端部に対向する前記保護部材の対向面に、前記回転部材の回転方向へ断続的に設けられた複数の凸部と、前記複数の凸部の間に設けられた複数の凹部とを有し、前記複数の凸部及び前記複数の凹部は、それぞれ前記保護部材の内径端から外径端まで連続して設けられることにより、前記複数の凸部同士は互いに連続せずに独立して形成され、前記複数の凹部同士も互いに連続せずに独立して形成され、前記各凸部は、前記回転部材の長手方向端部と前記規制部との間に前記保護部材が設けられた状態で、非回転時の前記回転部材の長手方向端部が長手方向に投影された投影像の少なくとも最小径の位置から最大径の位置までの連続した範囲に渡って、前記回転部材の長手方向端部と接触可能な接触領域を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保護部材を回転部材に対して従動回転しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る定着装置の概略構成図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るスリップリングを用いたベルト保持構造の断面図である。
【
図7】前記第1実施形態に係るスリップリングの斜視図である。
【
図8】前記第1実施形態に係るスリップリングの平面図である。
【
図9】非回転時の定着ベルトの長手方向端部が投影されたスリップリングの平面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るスリップリングの斜視図である。
【
図11】前記第2実施形態に係るスリップリングの平面図である。
【
図12】回転時における凸部に対する定着ベルトの進入角度を示す図であって、(a)は第1実施形態における進入角度を示す図、(b)は第2実施形態における進入角度を示す図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係るスリップリングの斜視図である。
【
図14】前記第3実施形態に係るスリップリングの平面図である。
【
図15】本発明の第4実施形態に係るスリップリングの斜視図である。
【
図18】さらに別の定着装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0013】
図1に示す画像形成装置100は、画像形成部200と、転写部300と、定着部400と、記録媒体供給部500と、記録媒体排出部600と、を備えている。
【0014】
画像形成部200には、4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkと、露光装置6と、が設けられている。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。また、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色の現像剤を収容している以外、基本的に同様の構成である。具体的に、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、表面に画像を担持する像担持体である感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段である帯電ローラ3と、感光体2上にトナー画像を形成する現像手段である現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段であるクリーニングブレード5と、を備えている。露光装置6は、画像情報に基づいて感光体2の帯電面を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段である。
【0015】
転写部300には、記録媒体である用紙に画像を転写する転写装置8が設けられている。なお、画像が形成(転写)される記録媒体は、紙(普通紙、厚紙、薄紙、コート紙、ラベル紙、封筒などを含む)のほか、OHPシートなどの樹脂製のシートであってもよい。転写装置8は、中間転写ベルト11と、4つの一次転写ローラ12と、二次転写ローラ13と、を有している。中間転写ベルト11は、表面に画像を担持してその画像を用紙に転写する転写部材であり、無端状のベルト部材で構成されている。各一次転写ローラ12は、中間転写ベルト11を介してそれぞれ別の感光体2に接触している。これにより、中間転写ベルト11と各感光体2との間に、中間転写ベルト11と各感光体2とが接触する一次転写ニップが形成されている。一方、二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11を介して中間転写ベルト11を張架する複数のローラの1つに接触し、中間転写ベルト11との間に二次転写ニップを形成している。
【0016】
定着部400には、用紙を加熱する加熱装置であって、熱により用紙上の画像を定着させる定着装置9が設けられている。
【0017】
記録媒体供給部500には、用紙Pを収容する給紙カセット14と、給紙カセット14から用紙Pを送り出す給紙ローラ15と、が設けられている。
【0018】
記録媒体排出部600には、用紙を画像形成装置外に排出する一対の排紙ローラ17と、排紙ローラ17によって排出された用紙を載置する排紙トレイ18と、が設けられている。
【0019】
次に、
図1を参照しつつ本実施形態に係る画像形成装置100の印刷動作について説明する。
【0020】
印刷動作開始の指示があると、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkの感光体2、及び中間転写ベルト11が回転を開始する。また、給紙ローラ15が回転することにより、給紙カセット14から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、一対のタイミングローラ16に接触して一旦停止される。
【0021】
各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkでは、まず、帯電ローラ3によって感光体2の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント画像情報に基づいて、露光装置6が各感光体2の表面(帯電面)に露光する。これにより、露光された部分の電位が低下して各感光体2の表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置4からトナーが供給され、各感光体2上にトナー画像が形成される。各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、回転する中間転写ベルト11上に順次重なり合うように転写される。かくして、中間転写ベルト11上にフルカラーのトナー画像が形成される。また、感光体2から中間転写ベルト11へトナー画像が転写された後、各感光体2上に残留するトナーやその他の異物はクリーニングブレード5によって除去され、感光体2は次の静電潜像の形成に備えられる。
【0022】
中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、タイミングローラ16によって搬送されてきた用紙P上に転写される。そして、トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置9へと搬送され、定着装置9によって用紙Pにトナー画像が定着される。その後、用紙Pは排紙ローラ17によって排紙トレイ18へ排出され、一連の印刷動作が完了する。
【0023】
以上の印刷動作の説明は、フルカラー画像を形成するときの動作についてであるが、4つの作像ユニットのうち、いずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像ユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。また、本発明に係る画像形成装置は、カラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置であってもよい。
【0024】
続いて、本実施形態に係る定着装置9の構成について説明する。
【0025】
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置9は、定着ベルト20と、加圧ローラ21と、ヒータ22と、ヒータホルダ23と、ステー24と、温度センサ19と、を備えている。
【0026】
定着ベルト20は、用紙Pの未定着トナー担持面に接触して用紙Pにトナー画像を定着させる定着部材としての回転部材(第1回転部材)である。定着ベルト20は、例えば、外径が25mmで厚みが40~120μmの筒状基材を有する無端状のベルト部材で構成される。基材の材料は、ポリイミドのほか、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル、SUSなどの金属材料であってもよい。また、耐久性を高めると共に離型性を確保するため、基材の外周面に、PFAやPTFEなどのフッ素樹脂から成る離型層が設けられてもよい。また、基材と離型層との間に、ゴムなどから成る弾性層が設けられてもよい。さらに、基材の内周面に、ポリイミドやPTFEなどから成る摺動層が設けられてもよい。
【0027】
加圧ローラ21は、定着ベルト20の外周面に対向するように配置された対向部材としての回転部材(第2回転部材)である。加圧ローラ21は、例えば、外径が25mmであって、鉄製の芯金と、この芯金の外周面に設けられたシリコーンゴム製の弾性層と、弾性層の外周面に設けられたフッ素樹脂製の離型層とを有するローラで構成される。
【0028】
加圧ローラ21は、バネなどの付勢部材によって定着ベルト20に対して加圧(圧接)され、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。加圧ローラ21が定着ベルト20へ加圧された状態で、加圧ローラ21が回転駆動すると、その回転駆動力がニップ部Nにおいて定着ベルト20に伝達され、定着ベルト20が従動回転する。そして、
図2に示すように、未定着画像を担持する用紙Pが、回転する定着ベルト20と加圧ローラ21との間(ニップ部N)に進入すると、定着ベルト20と加圧ローラ21とによって用紙Pが加熱されると共に加圧され、未定着画像が用紙Pに定着される。
【0029】
ヒータ22は、定着ベルト20を加熱する加熱源である。本実施形態では、加熱源として、定着ベルト20の内側に配置される板状のヒータ22が用いられている。なお、加熱源は、板状のヒータ22のほか、ハロゲンヒータやカーボンヒータなどの他の輻射熱式のヒータや、電磁誘導加熱方式の加熱源であってもよい。
【0030】
具体的に、ヒータ22は、板状の基材50と、基材50上に設けられた第1絶縁層51と、第1絶縁層51上に設けられた導体層52と、導体層52を被覆する第2絶縁層53と、により構成されている。
【0031】
基材50は、例えば、ステンレス(SUS)や鉄、アルミニウムなどの金属材料で構成される。また、基材50の材料として、金属材料のほか、セラミック、ガラスなどを用いることも可能である。基材50にセラミックなどの絶縁材料を用いた場合は、基材50と導体層52との間の第1絶縁層51を省略することが可能である。一方、金属材料は、急速加熱に対する耐久性に優れ、加工もしやすいため、低コスト化を図るのに好適である。金属材料の中でも、特にアルミニウムや銅は熱伝導性が高く、温度ムラが発生しにくい点で好ましい。また、ステンレスはこれらに比べて安価に製造できる利点がある。
【0032】
導体層52は、給電により発熱する発熱部60を有している。具体的に、発熱部60は、厚さ1μm~5μm程度の抵抗発熱体によって構成される。抵抗発熱体は、例えば、銀パラジウム(AgPd)やガラス粉末などを調合したペーストを、スクリーン印刷などの方法により基材50又は第1絶縁層51に塗工し、その後、焼成することによって形成される。また、抵抗発熱体の材料として、銀合金(AgPt)や酸化ルテニウム(RuO2)の抵抗材料を用いてもよい。
【0033】
また、導体層52は、発熱部60のほか、発熱部60に給電するための複数の電極部や、電極部と発熱部60とを接続する給電線(導電部)を有している。各電極部に給電部材としてのコネクタが接続され、コネクタを介して画像形成装置本体の電源から発熱部60へ電力が供給されることにより、発熱部60が発熱する。
【0034】
各絶縁層51,53は、例えば、耐熱性ガラスなどの絶縁性を有する材料で構成される。また、これらの材料として、セラミックあるいはポリイミドなどを用いてもよい。また、基材50の第1絶縁層51や第2絶縁層53が設けられる面とは反対側の面に、別途絶縁層が設けられてもよい。
【0035】
本実施形態では、発熱部60が基材50よりもニップ部N側に配置されているが、これとは反対に、基材50が発熱部60よりもニップ部N側に配置されてもよい。ただしその場合は、発熱部60の熱が基材50を介して定着ベルト20に伝達されることになるため、基材50は窒化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料で構成されることが望ましい。
【0036】
本実施形態では、ヒータ22から定着ベルト20への熱伝達効率を高めるため、ヒータ22が定着ベルト20の内周面に対して直接接触するように配置されている。また、これに限らず、ヒータ22は定着ベルト20に対して非接触に配置されていてもよいし、低摩擦シートなどを介して間接的に接触するように配置されていてもよい。また、ヒータ22は、定着ベルト20の内側に配置される場合に限らず、外側に配置されていてもよい。
【0037】
ヒータホルダ23は、定着ベルト20の内側でヒータ22を保持する加熱源保持部材である。ヒータホルダ23は、ヒータ22の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で構成されることが望ましい。特に、ヒータホルダ23が、LCPやPEEKなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で構成される場合は、ヒータホルダ23の耐熱性を確保しつつ、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱が抑制されるので、効率的に定着ベルト20を加熱することが可能である。
【0038】
ステー24は、定着ベルト20の内側に配置される補強部材である。ステー24によってヒータホルダ23のニップ部N側の面とは反対の面が支持されることにより、ヒータホルダ23が加圧ローラ21の加圧力によって撓むのが抑制される。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間に均一な幅のニップ部Nが形成される。ステー24は、その剛性を確保するため、SUSやSECCなどの鉄系金属材料によって形成されることが好ましい。
【0039】
温度センサ19は、ヒータ22の温度を検知する温度検知手段である。温度センサ19の検知結果に基づいてヒータ22の出力が制御されることにより、定着ベルト20の温度が所望の温度(定着温度)となるように維持される。温度センサ19としては、接触型のセンサでもよいし、非接触型のセンサでもよく、例えば、サーモパイル、サーモスタット、サーミスタ、NCセンサなどの公知の温度センサを適用可能である。
【0040】
ここで、
図3~
図5に基づき、定着ベルト20を保持する一般的なベルト保持構造について説明する。なお、以下の説明では、定着ベルト20の長手方向Xの一端部を保持するベルト保持構造のみについて説明し、定着ベルト20の反対側の端部(他端部)を保持するベルト保持構造については同様の構成であるので説明を省略する。また、本明細書において、「定着ベルトの長手方向」とは、加圧ローラの軸方向、あるいは、通紙方向とは直交する用紙幅方向と同方向を意味する。
【0041】
図3~
図5に示すように、一般的に、定着ベルト20を備える定着装置においては、定着ベルト20を回転可能に保持する回転保持部材として、定着ベルト20の長手方向Xの両端に挿入されるベルト保持部材25が用いられる。ベルト保持部材25は、耐熱性樹脂などにより構成され、側板などの定着装置のフレーム部材に固定される。
【0042】
ベルト保持部材25は、定着ベルト20の内側に挿入されるC字状又は円筒状の定着部材保持部26と、定着ベルト20の長手方向Xの移動(片寄り)を規制する規制部27と、定着部材保持部26と規制部27との間に設けられた保護部材保持部28と、を有している。
【0043】
定着部材保持部26は、定着ベルト20の内径よりも小さい径の外周面を有しており、定着ベルト20の内側に余裕をもって挿入される。このため、定着ベルト20は、その両端に一対のベルト保持部材25が挿入された非回転状態では基本的に周方向の張力が付与されない、いわゆるフリーベルト方式で保持される。
【0044】
一方、規制部27は、定着ベルト20の内径や定着部材保持部26の外径よりも大きい外径に形成されている。このため、定着ベルト20に長手方向Xの移動(片寄り)が生じた場合は、定着ベルト20の長手方向端部20a(
図5参照)が後述のスリップリング29を介して規制部27に接触することにより、それ以上の定着ベルト20の移動が規制される。
【0045】
保護部材保持部28は、定着部材保持部26と規制部27との間で定着部材保持部26の外径よりも小さい外径に形成された溝状の部分である。保護部材保持部28には、定着ベルト20の長手方向端部20aを保護する保護部材としてのスリップリング29が装着される。スリップリング29は、円環状の部材であり、保護部材保持部28の外径よりも大きい内径に形成されている。このため、スリップリング29は、保護部材保持部28の外周面に対して余裕をもって装着され、保護部材保持部28によって回転可能に保持される。また、スリップリング29は、定着ベルト20の熱により熱くなるため、例えば、PEEK、PPS、PAI、又はPTFEなどの耐熱性に優れる材料で構成されることが好ましい。
【0046】
このように、スリップリング29は、保護部材保持部28の外周面に対して余裕をもって装着されるため、定着ベルト20が回転しながらスリップリング29に接触すると、スリップリング29は定着ベルト20と一緒に従動回転する。これにより、規制部27に対する定着ベルト20の摺動を回避でき、定着ベルト20の長手方向端部20aの摩耗及び損傷を抑制することが可能である。
【0047】
しかしながら、定着ベルト20に長手方向Xの大きな移動力(寄り力)が生じ、この移動力によってスリップリング29が規制部27に強く押し付けられた場合は、スリップリング29と規制部27との間で生じる摩擦抵抗が大きくなるため、スリップリング29が定着ベルト20に対して従動回転しにくくなる。特に、画像形成装置の電源投入後のウォームアップ時においては、定着ベルト20の温度が低く、定着ベルト20に塗布された潤滑剤の粘度が高いことなどにより、定着ベルト20に長手方向Xの大きな移動力が生じる場合がある。このような場合は、スリップリング29の従動回転が行われにくくなるため、定着ベルト20の長手方向端部20aの摩耗や損傷を効果的に抑制できなくなる虞がある。
【0048】
そこで、本実施形態に係る定着装置においては、定着ベルト20に大きな移動力が生じたとしても、スリップリング29の従動回転を円滑に行えるように下記のような対策を講じている。以下、本発明の各実施形態に係る構成及びその作用効果について説明する。
【0049】
図6は、本発明の第1実施形態に係るスリップリング29を用いたベルト保持構造の断面図である。また、
図7は、本発明の第1実施形態に係るスリップリング29の斜視図、
図8は、そのスリップリング29の平面図である。なお、一対のスリップリング29は、互いに同様に構成されているため、
図6~
図8に基づいて一方のスリップリング29について説明する。
【0050】
図6~
図8に示すように、第1実施形態に係るスリップリング29は、定着ベルト20の長手方向端部20aに対向する対向面29bに、複数の凸部32を有している。各凸部32は、定着ベルト20の回転方向Zへ断続的に設けられている。また、各凸部32は、円形に形成されたスリップリング29の中心Oから径方向に伸びる直線L(
図8参照)に沿って放射状に設けられている。なお、スリップリング29の形状は、真円に限るものではない。
【0051】
図7に示すように、各凸部32の突出量h(対向面29bの凸部32設けられていない部分からの突出量)は、いずれも同じ量に設定されている。本実施形態では、対向面29bから各凸部32の平面状の突出面32aまでの突出量hが、全て同じ突出量に設定されている。
【0052】
また、
図7及び
図8に示すように、各凸部32は、上記突出面32aのほか、スリップリング29の中心Oから径方向に伸びる一対の段差面32b,32cと、内径側に配置される内径面32dと、外径側に配置される外径面32eと、を有している。一対の段差面32b,32cは、
図8に示す直線Lに沿って放射状に伸びているため、段差面32b,32c同士の間隔は外径方向に向かって徐々に大きくなっている。このため、各凸部32の円周方向の幅w(
図8に示す回転方向Zにおける各凸部32の幅)も、外径方向に向かって徐々に大きくなっている(w1<w2)。また、本実施形態では、各段差面32b,32cが、突出面32aに対して直交する向きに配置されている。ただし、各段差面32b,32cは、突出面32aに対して直交する場合に限らず、傾斜する場合であってもよい。
【0053】
このように、第1実施形態においては、スリップリング29が上記のような複数の凸部32を有しているため、定着ベルト20に長手方向Xの片寄りが生じると、定着ベルト20の長手方向端部20aが各凸部32に接触する。一方、凸部32が設けられていない部分(対向面29bの凹部)に対しては、定着ベルト20の長手方向端部20aは接触しない。このため、第1実施形態においては、凸部32の無い平面状のスリップリングを用いた構成に比べて、定着ベルト20の長手方向端部20aとスリップリング29(凸部32)との接触面圧を大きくすることができる。これにより、定着ベルト20の長手方向端部20aとスリップリング29との間での係合力が増し、スリップリング29が定着ベルト20と一緒に従動回転しやすくなる。従って、本実施形態においては、定着ベルト20に長手方向Xの大きな移動力が生じたとしても、スリップリング29を定着ベルト20と一緒に従動回転させることができ、定着ベルト20の長手方向端部20aの摩耗及び損傷を効果的に抑制できるようになる。
【0054】
また、万が一、定着ベルト20の長手方向端部20aとスリップリング29との間に相対的な摺動が発生し、スリップリング29に定着ベルト20の摺動痕(溝)が発生したとしても、摺動痕は基本的に凸部32にしか形成されないので、凸部32の無いスリップリングを用いた構成に比べて、摺動痕を短くすることができる。このため、定着ベルト20の長手方向端部20aが摺動痕に進入したとしても、定着ベルト20の動きが摺動痕によって拘束されにくいので、定着ベルト20の座屈が生じにくくなり、定着ベルト20の長手方向端部20aの損傷を回避できるようになる。
【0055】
また、本実施形態においては、複数の凸部32が、定着ベルト20の回転方向Zへ等間隔に設けられていると共に、突出量hが全て同じ量であるため、各凸部32に対する定着ベルト20の接触状態を一様にすることができる。これにより、定着ベルト20の長手方向端部20aが一部の凸部32に対して局所的に強く接触するのを回避でき、一部の凸部32と定着ベルト20との間で摩耗が顕著となることを防止できる。
【0056】
ところで、定着ベルト20は、無加圧状態では真円又はそれに近い状態となっているが、加圧ローラ21によって定着ベルト20が加圧された状態となると、ニップ部Nの位置で定着ベルト20が内径側へ変形するため、定着ベルト20の長手方向端部20aの形状も、
図9における二点鎖線で示すような略楕円状に変形する。従って、定着ベルト20が回転すると、定着ベルト20の長手方向端部20aは、略楕円状の回転軌道に沿って内径方向又は外径方向に変位する。このとき、仮に、定着ベルト20の長手方向端部20aが、凸部32上の位置から内径方向又は外径方向に外れると、その後、長手方向端部20aが元の位置に戻る際に凸部32に引っ掛かって座屈する虞がある。
【0057】
しかしながら、本実施形態においては、各凸部32が、定着ベルト20の長手方向端部20aが変位する径方向の範囲に渡って連続して設けられているため、長手方向端部20aが凸部32上の位置から外れることはない。すなわち、
図9に示すように、各凸部32は、非回転時の定着ベルト20の長手方向端部20aが長手方向に投影された投影像A(
図9中の二点鎖線で示す略楕円像)の最小径の位置a1から最大径の位置a2まで連続して設けられているため、回転に伴って定着ベルト20の長手方向端部20aが径方向に変位しても、長手方向端部20aは各凸部32に対して接触した状態に維持される。このように、本実施形態においては、定着ベルト20の長手方向端部20aが各凸部32上の位置から径方向に外れることがないので、定着ベルト20が凸部32に引っ掛かって座屈するのを回避でき、定着ベルト20の安定した回転を実現できる。
【0058】
凸部32に対する定着ベルト20の引っ掛かりを回避するには、各凸部32(全ての凸部32)が、上記投影像Aの少なくとも最小径の位置a1から最大径の位置a2までの連続した範囲に渡って、定着ベルト20の長手方向端部20aと接触可能な接触領域を有していればよい。本実施形態では、各凸部32の突出面32aが前記接触領域として機能する。また、本実施形態では、突出面32aが、上記投影像Aの最小径の位置a1から最大径の位置a2までの範囲を含むスリップリング29の内径端から外径端までの広い範囲に渡って連続して設けられているため、ニップ部への用紙の進入に伴って定着ベルト20の回転軌道が投影像Aから多少ずれたとしても、定着ベルト20と各凸部32との接触状態を維持することができる。
【0059】
スリップリング29は、一般的に耐熱性を有する合成樹脂によって構成されるが、ゴムなどの弾性材料によって構成されてもよい。特に、スリップリング29の材料としてゴムを用いた場合は、定着ベルト20とスリップリング29との間で生じる高い摩擦力と、定着ベルト20がスリップリング29に接触した際のスリップリング29の弾性変形によって、定着ベルト20とスリップリング29との間での係合力が向上する。このため、スリップリング29をより効果的に従動回転させることができるようになる。
【0060】
続いて、上述の第1実施形態とは異なる実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、主に第1実施形態とは異なる部分について説明し、それ以外の部分については基本的に同様の構成であるので適宜説明を省略する。
【0061】
図10は、本発明の第2実施形態に係るスリップリング29の斜視図、
図11は、そのスリップリング29の平面図である。
【0062】
図10及び
図11に示す第2実施形態に係るスリップリング29は、上述の第1実施形態に係るスリップリング29とは凸部32の向きが異なっている。具体的に、第2実施形態に係る各凸部32は、スリップリング29の中心Oから径方向に伸びる直線L(
図11参照)に対して外径方向に向かって定着ベルト20の回転方向Zへ所定角度α傾斜するように設けられている。それ以外は、基本的に第1実施形態と同様の構成である。
【0063】
このように、第2実施形態においては、スリップリング29の各凸部32が、径方向に伸びる直線Lに対して外径方向に向かって回転方向Zへ傾斜しているため、
図12に示すように、第2実施形態の場合(同図の(a)の場合)は、第1実施形態のような各凸部32が傾斜していない場合(同図の(b)の場合)に比べて、凸部32の回転方向上流側の段差面32bに対する定着ベルト20の長手方向端部20aの進入角度θを小さくすることができる(θ1<θ2)。これにより、定着ベルト20の長手方向端部20aが凸部32と接触した際に、長手方向端部20aが外径側に向かって滑りやすくなる。その結果、長手方向端部20aが凸部32に対して同じ位置で摺動することによる摺動痕の発生を抑制でき、長手方向端部20aが接触痕に進入することによる座屈を回避できるようになる。
【0064】
図13は、本発明の第3実施形態に係るスリップリング29の斜視図、
図14は、そのスリップリング29の平面図である。
【0065】
図13及び
図14に示す第3実施形態に係るスリップリング29は、各凸部32の円周方向の幅wが、外径側から内径側に向かって徐々に大きくなるように形成されている (w1>w2)。それ以外は、基本的に第1実施形態と同様の構成である。
【0066】
上述のように、定着ベルト20は、その回転軌道に沿って径方向に変位するため、各凸部32に対する定着ベルト20の長手方向端部20aの接触箇所も径方向に変位する。このとき、長手方向端部20aと凸部32との接触箇所が外径側である場合よりも内径側である場合の方が、スリップリング29を従動回転させるために大きな力が必要となる。このため、スリップリング29を安定して従動回転させるには、定着ベルト20の長手方向端部20aと凸部32との接触領域が、外径側よりも内径側で大きい方が好ましい。
【0067】
この点に関して、第3実施形態では、凸部32の周方向の幅wが外径側よりも内径側で大きくなっているため、定着ベルト20の長手方向端部20aと凸部32との接触領域を外径側よりも内径側で大きく確保することができる。これにより、定着ベルト20の長手方向端部20aが凸部32に対して内径側で接触した場合でも、従動回転に必要な力を十分に付与することができ、スリップリング29を安定して従動回転させることができるようになる。
【0068】
また、第3実施形態では、凸部32の周方向の幅wを外径側よりも内径側で大きくしていることにより、凸部32が設けられた肉厚の部分を内径側で円周方向に幅広く確保できるようになる。これにより、特にスリップリング29の内径側の強度が向上すると共に、スリップリング29とベルト保持部材25(
図6参照)との接触領域も広く確保できるため、スリップリング29を安定して従動回転させることができるようになる。
【0069】
なお、第3実施形態において、各凸部32の向きは、
図8に示す第1実施形態のように、スリップリング29の中心Oから径方向に伸びる直線Lに沿った方向であってもよいし、
図11に示す第2実施形態のように、同直線Lに対して傾斜する方向であってもよい。
【0070】
図15は、本発明の第4実施形態に係るスリップリング29の斜視図である。
【0071】
上述の各実施形態では、凸部32が平面状の突出面32aを有しているが、
図15に示す第4実施形態では、凸部32が、断面半円状の凸曲面32fを有する形状に形成されている。この場合、定着ベルト20の長手方向端部20aは、主に凸曲面32fの頂部に対して接触する。この場合も、定着ベルト20の長手方向端部20aが凸部32の無い平面状の対向面29bに接触する場合に比べて、接触面圧を大きくすることができるので、定着ベルト20の長手方向端部20aとスリップリング29との間での係合力が増し、スリップリング29が従動回転しやすくなる。
【0072】
このように、定着ベルト20の長手方向端部20aに対して接触する各凸部32の接触領域は、平面である場合に限らず、曲面であってもよい。また、本実施形態においても、上述の各実施形態と同様、定着ベルト20に対する各凸部32の接触領域(凸曲面32fの頂部)が、スリップリング29の内径端から外径端までの径方向に連続して設けられているため、回転に伴って定着ベルト20の長手方向端部20aが径方向に変位しても、長手方向端部20aが凸部32上から脱落することがなく、定着ベルト20の座屈を回避することが可能である。
【0073】
また、本実施形態においても、各凸部32は、
図8に示す第1実施形態と同様に、スリップリング29の中心Oから径方向に伸びる直線Lに沿って放射状に設けられていてもよいし、
図11に示す第2実施形態と同様に、同直線Lに対して傾斜するように設けられていてもよい。
【0074】
以上、本発明の実施形態及び各実施例について説明したが、本発明は、上述の実施形態又は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0075】
また、本発明に係るスリップリングは、
図2に示すような定着装置に限らず、
図16、
図17、又は
図18に示すような定着装置にも適用可能である。
【0076】
図16に示す定着装置9は、
図2に示す定着装置とは異なり、用紙Pを通過させるニップ部Nと、ヒータ22によって定着ベルト20を加熱する部分が、それぞれ別の位置に設定されている。具体的には、定着ベルト20の回転方向における互いに180°反対側に、ヒータ22とニップ形成部材90が配置され、それぞれに対して各加圧ローラ91,92が定着ベルト20を介して押し当てられている。
【0077】
図17に示す定着装置9は、
図16に示すヒータ22側の加圧ローラ92が省略され、さらに、ヒータ22が定着ベルト20の曲率に合わせて円弧状に形成された例である。それ以外は、
図16に示す構成と同様である。この場合、ヒータ22が円弧状に形成されていることにより、定着ベルト20とヒータ22とのベルト回転方向の接触長さを確保し、定着ベルト20を効率良く加熱することが可能である。
【0078】
図18に示す定着装置9は、ローラ93の両側にそれぞれベルト94,95が配置された例である。この場合も、
図16及び
図17に示す例と同様、用紙Pを通過させるニップ部Nと、ヒータ22による加熱部分が、それぞれ別の位置に設定されている。すなわち、ローラ93に対して、図の右側で一方のベルト94を介してニップ形成部材90が接触し、これとは反対側で、他方のベルト95を介してヒータ22が接触している。
【0079】
このような、
図16~
図18に示すような各定着装置においても、本発明を適用することにより、スリップリングを定着ベルトに対して従動回転しやすくすることができるため、定着ベルトの長手方向端部の摩耗及び損傷を効果的に抑制することが可能である。
【0080】
また、上述の各実施形態では、加熱装置の一例である定着装置に対して、本発明を適用した場合を例に説明したが、本発明は定着装置に適用される場合に限らない。例えば、インクジェット式の画像形成装置において、用紙を加熱して用紙上のインク(液体)を乾燥させる乾燥装置などの加熱装置においても本発明を適用可能である。また、本発明に係る画像形成装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ単体のほか、プリンタ、複写機、ファクシミリ、スキャナのうちの少なくとも2つの機能を備える複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
9 定着装置(加熱装置)
20 定着ベルト(回転部材)
20a 長手方向端部
25 ベルト保持部材(回転保持部材)
27 規制部
29 スリップリング(保護部材)
29b 対向面
32 凸部
100 画像形成装置
A 定着ベルトの長手方向端部の投影像
a1 投影像の最小径の位置
a2 投影像の最大径の位置
h 凸部の突出量
L スリップリングの中心から径方向に伸びる直線
O スリップリングの中心
P 用紙(記録媒体)
w 凸部の円周方向の幅
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】