(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスの製造方法及びワイヤハーネスの製造装置
(51)【国際特許分類】
H01B 13/012 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
H01B13/012 Z
(21)【出願番号】P 2020163925
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓実
(72)【発明者】
【氏名】青木 克樹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 憲一朗
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-312716(JP,A)
【文献】特開2019-079775(JP,A)
【文献】特開2003-022720(JP,A)
【文献】特開2017-108486(JP,A)
【文献】特開2002-330519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/012
G06F 30/10
G06F 30/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを構成する電線に取り付けられる拘束部材の前記電線の長手方向に沿った取付位置の情報を取得する取付位置取得工程と、
前記電線において前記拘束部材が取り付けられる径方向の位置を表す取付階層の情報を取得する取付階層取得工程と、
前記取付位置取得工程により取得された前記取付位置に、前記取付階層取得工程により取得された前記取付階層の情報に応じて異なる表示態様で表示された階層表示を含むネイルボード図を出力する出力工程と、
を有
し、
前記ワイヤハーネスが前記電線と前記電線の周面に位置する保護部材とを備え、
前記階層表示は、前記電線において前記拘束部材が取り付けられる径方向の位置が前記保護部材の内側であるか外側であるかに応じて異なる表示態様で表示される、
ワイヤハーネスの製造方法。
【請求項2】
請求項
1に記載のワイヤハーネスの製造方法であって、
前記階層表示は、前記電線において前記拘束部材が取り付けられる径方向の位置である前記取付階層が前記保護部材の内側と外側との両方である場合に、前記電線において前記拘束部材が取り付けられる径方向の位置である前記取付階層が前記保護部材の内側と外側との一方である場合とは異なる表示態様で表示される、
ワイヤハーネスの製造方法。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のワイヤハーネスの製造方法であって、
前記階層表示は、前記取付位置において前記取付階層を表す色、文字、記号及び図形の少なくとも1つが異なる表示態様によって表示される、
ワイヤハーネスの製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法であって、
前記出力工程において出力される前記ネイルボード図は、前記ワイヤハーネスを構成する前記電線に取り付けられる前記拘束部材が、前記電線の長手方向に沿って前記電線を覆う範囲である取付範囲を表した範囲表示を含む、
ワイヤハーネスの製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法であって、
前記出力工程において出力される前記ネイルボード図は、
前記保護部材を表した表示である保護部材表示を含む、
ワイヤハーネスの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法であって、
前記出力工程において出力される前記ネイルボード図は、表示装置が備える少なくとも1つの表示画面に表示された画像である、
ワイヤハーネスの製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載のワイヤハーネスの製造方法であって、
前記出力工程において出力される前記ネイルボード図は、印刷装置により出力がなされた印刷物である、
ワイヤハーネスの製造方法。
【請求項8】
ワイヤハーネスを構成する電線に取り付けられる拘束部材の前記電線の長手方向に沿った取付位置を取得する取付位置取得部と、
前記拘束部材の前記電線の径方向における位置を表す取付階層を取得する取付階層取得部と、
前記取付位置取得部により取得された前記取付位置に、前記取付階層取得部により取得された前記取付階層に応じて異なる表示態様で表示された階層表示を含むネイルボード図を出力する出力部と、
を有
し、
前記ワイヤハーネスが前記電線と前記電線の周面に位置する保護部材とを備え、
前記階層表示は、前記電線において前記拘束部材が取り付けられる径方向の位置が前記保護部材の内側であるか外側であるかに応じて異なる表示態様で表示される、
ワイヤハーネスの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスの製造方法及びワイヤハーネスの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車及び電車の車体や航空機の機体などに用いられるワイヤハーネスは、複数の電線を束ねて構成されている。ワイヤハーネスを製造する際には、ネイルボード図が用いられる。ここで、ネイルボード図とは、製造されるワイヤハーネスの形状、言い換えると、ワイヤハーネスを構成する電線の配置を表した図であるあらかじめ設定した電線長となるように各電線が切断され、ネイルボード図に表示された電線の配置に沿って、複数の電線が布設される。そして、布設された電線や電線束のあらかじめ決められた電線の長手方向に沿った位置である取付位置に拘束部材が取り付けられることにより、ワイヤハーネスの製造が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ネイルボード図は平面であるため、電線において拘束部材が取り付けられる径方向の位置(以下、取付階層とも記載する)の表示することが困難であった。そのため、ネイルボード図の表示を用いて、拘束部材を取り付ける作業者に取付階層を指示することが困難であった。
【0005】
本開示は、作業者に取付階層を指示することを容易にするネイルボード図を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ワイヤハーネスの製造方法であって、取付位置取得工程と、取付階層取得工程と、出力工程と、を有する。取付位置取得工程では、ワイヤハーネスを構成する電線に取り付けられる拘束部材の電線の長手方向に沿った取付位置の情報を取得する。取付階層取得工程では、電線において拘束部材が取り付けられる径方向の位置を表す取付階層の情報を取得する。出力工程では、取付位置取得工程により取得された取付位置に、取付階層取得工程により取得された取付階層の情報に応じて異なる表示態様で表示された階層表示を含むネイルボード図を出力する。
【0007】
このような構成によれば、ネイルボード図に階層表示が含まれる。当該階層表示は、取付階層の情報に応じて異なる表示態様で表示される。
これにより、作業者は、ネイルボード図に表示された階層表示の表示態様により取付階層、すなわち、電線において拘束部材が取り付けられる径方向の位置を判断することができる。
【0008】
よって、当該ネイルボード図を用いることにより、作業者に電線において拘束部材が取り付けられる径方向の位置である取付階層を指示することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】作成されるネイルボード図の一例を表した図である。
【
図2】取付階層と、取付階層に応じた表示態様で表示される階層表示との対応関係を表した説明図の一例を示す。
【
図3】本実施形態における製造システムの構成の一例を表したブロック図である。
【
図4】本実施形態における、鉄道車両の車体に搭載された機器の間をつなぐ電線が複数束ねられたワイヤハーネスの構成の一例を表した模式図である。
【
図5】本実施形態における拘束部材が取り付けられたワイヤハーネスの断面を表した図である。
【
図6】本実施形態における製造装置の構成の一例を表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.構成]
この開示の一実施形態に係るワイヤハーネス500の製造方法及び製造システム1について、
図1から
図7を参照しながら説明する。本実施形態では、本開示の製造システム1が鉄道車両(移動体)の車体に配線されるワイヤハーネス500の製造に用いられるシステムである例に適用して説明する。なお、本実施形態のワイヤハーネス500が用いられる移動体は、鉄道車両に限定されるものではなく、ワイヤハーネス500は、航空機の機体や自動車の車体に用いられてもよい。
【0011】
図4は、本実施形態における、車体に搭載された機器の間をつなぐ電線501が複数束ねられたワイヤハーネス500の構成の一例を表した模式図である。
電線501は、接続された機器の間で電力や電気信号などを伝える。電線501の端部には、接続される機器に対応した形状を有するコネクタ502が取り付けられている。
【0012】
ワイヤハーネス500には、複数の電線501を束ねて拘束する拘束部材503が設けられている。拘束部材503としては、粘着テープや、チューブ、結束バンドなどの樹脂製の結束部材や、金属製の結束部材や、ロウ引き紐などを例示することができる。なお、結束部材には貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔は、結束部材により束ねられたワイヤハーネス500を、鉄道車両の車体に固定する際に用いられるボルトなどの固定部材が挿通されるものである。
【0013】
本実施形態では、拘束部材503が粘着テープである例に適用して説明する。ワイヤハーネス500における複数の電線501が束ねられた部分を幹線511、幹線511から電線501が分かれる位置を分岐点512、幹線511から分かれた先の部分を枝線513とも表記する。
【0014】
また、本実施形態のワイヤハーネス500において、拘束部材517が取り付けられた電線501の長手方向に直交する断面の一例を
図5に表す。なお、拘束部材517は、ワイヤハーネス500を構成する電線501の長手方向に沿ったあらかじめ決められた取付位置に取り付けられる。
【0015】
本実施形態では、
図5に示すように、複数の電線501が束ねられ、束ねられた電線501の周囲に保護部材515が設けられている例に適用して説明する。ここでいう保護部材515は、複数の電線501の周囲を覆うことにより、複数の電線501を保護する部材である。なお、束ねられた複数の電線501を、以下では電線束とも記載する。
【0016】
保護部材515としては、いわゆる絶縁保護部材が用いられてもよい。保護部材515は、例えば、網目状に編み込まれた繊維材料が用いられてもよい。また、保護部材515としては伸縮性を有するチューブなどが用いられてもよい。保護部材515の材料は特に限定されないが、本実施形態では、保護部材515の材料として絶縁材料が用いられる例に適用して説明する。
【0017】
なお、以下では、複数の電線501からみて保護部材515を挟んで遠い側を外側、近い側を内側とも記載する。
図5に示すように、拘束部材517は、保護部材515の内側と外側との両方に取り付けられてもよい。また、以下では、保護部材515の内側に取り付けられた拘束部材517を内層拘束部材517aとも記載し、保護部材515の外側に取り付けられた拘束部材517を外層拘束部材517bとも記載する。
【0018】
拘束部材517は、例えば、電線501及び保護部材515を固定するために設けられる。具体的には、例えば内層拘束部材517aは、保護部材515の内側にある複数の電線501同士を束ねた状態で固定し、ずれ等が生じるのを抑制するために設けられてもよい。また、外層拘束部材517bは、保護部材515と複数の電線501、言い換えると保護部材515と電線束とを固定するために設けられてもよい。
【0019】
本実施形態では、拘束部材517が粘着テープである例に適用して説明する。また、本実施形態で、拘束部材517として使用される粘着テープは、あらかじめ決められたテープ幅を有し、当該粘着テープを1周巻き付けることにより、複数の電線501のそれぞれを互いに固定し、又は複数の電線501と保護部材515とを固定する例に適用して説明する。
【0020】
なお、本実施形態では、拘束部材517の取付は、粘着テープを1周巻き付けることにより行われるとしたが、このような取付方法に限定されるものではなく、例えば複数回巻き付けることにより取り付けられてもよい。
【0021】
また、ワイヤハーネス500を構成する複数の電線501に対する保護部材515及び拘束部材517の取付は以下のような手順で行われてもよい。すなわち、複数の電線501を束ね、内層拘束部材517aを用いて、複数の電線501を互いに固定する。複数の電線501が束ねられ、内層拘束部材517aにより固定された状態で、さらにその周面に保護部材515が設けられ、保護部材515の更に外側の周面に外層拘束部材517bが取り付けられる。
【0022】
なお、拘束部材517は、保護部材515の内側と外側との両方に取り付けられるものに限定されるものではなく、内側と外側の一方に設けられていてもよい。
以下では、拘束部材517が取り付けられる径方向における位置を取付階層とも記載する。取付階層とは、例えば、拘束部材517が取り付けられる位置が保護部材515の内側であるか外側であるかを表した情報である。また、取付階層は、更に内側と外側との両方に取り付けるとの情報や、内側と外側とのいずれにも取り付けられないとの情報を含んでいてもよい。
【0023】
なお、取付階層の情報は、後述するネイルボード
図600において階層表示601として表され、ワイヤハーネス500を製造する作業者は、当該取付階層の情報が表されたネイルボード
図600に表された階層表示601に沿って拘束部材517及び保護部材515を電線501に取り付けワイヤハーネス500を製造する例に適用して説明する。
【0024】
図3及び
図6を用いて製造システム1の構成及び製造装置200の構成について説明する。
図3は、本実施形態における製造システム1の構成の一例を表したブロック図である。また、
図6は、本実施形態における製造装置200の構成の一例を表した模式図である。
【0025】
製造システム1には、
図3及び
図6に示すように、ワイヤハーネス500の製造を行う製造装置200を有している。また、製造システム1には、更に、ワイヤハーネス500の設計を行う設計装置100を有する例に適用して説明する。設計装置100及び製造装置200の間は、専用の情報通信回線又は情報通信網を介して情報通信可能に接続されている。
【0026】
設計装置100は、例えば、仮想の空間である設計空間の中でワイヤハーネス500の設計を行い、ワイヤハーネス500を製造するために用いられるデータを出力するものである。本実施形態では設計装置100が、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するパーソナルコンピュータやサーバなどの情報処理機器である例に適用して説明する。
【0027】
なお、ワイヤハーネス500を製造するために用いられるデータを出力できる構成であれば、設計装置100に限定されるものではなく、例えば、ワイヤハーネス500を製造するために用いられるデータを記憶する構成であってもよい。また、ワイヤハーネス500を製造するために用いられるデータを記憶する構成は、設計装置100に備えられるものに限定されるものではなく、製造装置200に備えられてもよい。
【0028】
ワイヤハーネス500を製造するために用いられるデータとしては、例えば、図面データ、保護部材515のデータ、拘束部材517のデータ、拘束部材503のデータが含まれる。
【0029】
図面データには、ワイヤハーネス500を構成する電線501の配置を表した配置データが含まれる。
配置データは、当該ワイヤハーネス500の幹線511の長さ情報や、分岐点512の位置情報や、枝線513の長さ情報などのワイヤハーネス500の形状に関する情報である。また、ワイヤハーネス500のデータには、当該ワイヤハーネス500を2次元図面として表示可能な情報が含まれる。さらに、ワイヤハーネス500のデータには、当該ワイヤハーネス500を構成する電線501の長さの情報が含まれる。
【0030】
また、ワイヤハーネス500のデータには、当該ワイヤハーネス500を構成する電線501の径情報や、枝線513を構成する電線501を特定する情報など、ワイヤハーネス500を構成する電線501に関する情報が含まれてもよい。
【0031】
拘束部材517のデータには、拘束部材517の取付位置の情報と、拘束部材517の取付階層の情報とが含まれる。ここでいう、取付位置とは、ワイヤハーネス500を構成する電線501に拘束部材517を取り付ける位置であって、ワイヤハーネス500を構成する電線501の長手方向に沿った位置をいう。取付階層とは、ワイヤハーネス500を構成する電線501に拘束部材517を取り付ける位置であって、ワイヤハーネス500を構成する電線501の径方向における位置をいう。なお、本実施形態では、取付階層は、保護部材515の位置に対して外側と内側とを表す。すなわち、取付階層は、ワイヤハーネス500における電線501の径方向において、保護部材515よりも電線501に近い側に位置するか、遠い側に位置するかを表す。
【0032】
また、拘束部材517のデータには、拘束部材517が設けられた状態での拘束部材517の径情報や長手方向に沿った長さ情報が含まれてもよい。
保護部材515のデータには、電線501に配置される保護部材515の位置の情報が含まれる。さらに、保護部材515が設けられた状態での電線501及び保護部材515の径情報や、長手方向に沿った長さ情報、保護部材515が設けられる電線501を特定する情報などの配置される保護部材515に関する情報が含まれてもよい。
【0033】
拘束部材503のデータには、拘束部材503の種類の情報、拘束する回数である巻き数の情報、拘束した後の電線501の束の外径の情報、拘束部材503の長さ(使用量)、拘束する位置の情報が含まれていてもよい。
【0034】
また、図面データには、ハーネス用デジタルボード情報を含んでいてもよい。ハーネス用デジタルボード情報には、例えば、ワイヤハーネス500を構成する電線501を特定する情報や、電線501に取り付けられるコネクタ502を特定する情報が含まれてもよい。
【0035】
図面データには、出力される対象であるボード表示部202の大きさに関するサイズ情報が含まれてもよい。ボード表示部202の詳細は後述するが、ボード表示部202は、図面データが表示される表示面であり、ハーネス用デジタルボード201におけるワイヤハーネス500を作成する際に電線501が置かれる(布設される)配置面でもある。
【0036】
製造装置200は、ワイヤハーネス500を製造に用いられる。製造装置200は、
図1及び
図3に示すように、ハーネス用デジタルボード201と、制御用コンピュータ211と、データサーバ221と、を備える。
【0037】
ハーネス用デジタルボード201は、ワイヤハーネス500の製造に用いられる机状に形成されたものである。ハーネス用デジタルボード201には、ワイヤハーネス500の製造に用いられる作業台でもあるボード表示部202が設けられている。ハーネス用デジタルボード201を構成するボード表示部202の数は複数であってもよい。ボード表示部202は、それぞれ外形形状が四角形に形成され、それぞれの辺同士が接することにより、ハーネス用デジタルボード201を構成してもよい。
【0038】
ボード表示部202は、ワイヤハーネス500の製造に必要な広さ及び長さを有する面である。ボード表示部202は、ワイヤハーネス500が製造される面であるとともに、デジタル情報である図面データが表示される表示面でもある。ボード表示部202は制御用コンピュータ211と情報通信可能に接続され、後述するネイルボード
図600のデータなどが制御用コンピュータ211から送られている。
【0039】
ハーネス用デジタルボード201は、製造されるハーネスの長さに応じた大きさのものが用いられてもよい。例えば、製造されるハーネスの大きさがより大きいものを製造する場合には、より大きいハーネス用デジタルボード201が用いられてもよい。ここで、ハーネス用デジタルボード201の大きさは、例えば、ハーネス用デジタルボード201を構成するボード表示部202の枚数を多くすることにより実現してもよく、ハーネス用デジタルボード201を構成するボード表示部202のそれぞれの大きさをより大きくすることにより実現してもよい。
【0040】
本実施形態では、ボード表示部202の表示面が液晶ディスプレイである例に適用して説明する。なお、ボード表示部202の表示面は、上述の液晶ディスプレイに限られるものではなく、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイであってもよいし、プロジェクターによりネイルボード
図600が投影される投影面であってもよい。
【0041】
制御用コンピュータ211は、ハーネス用デジタルボード201におけるネイルボード
図600の表示を制御するものである。
本実施形態では制御用コンピュータ211が、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するパーソナルコンピュータなどの情報処理機器である例に適用して説明する。
【0042】
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、
図3に示すように、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて入出力部212、制御部213として機能させるものである。
【0043】
入出力部212は、設計装置100、ボード表示部202、データサーバ221と情報通信可能に接続されるものである。本実施形態では、入出力部212とボード表示部202及びデータサーバ221との間は、例えば、LAN(Local Area Network)ケーブル等を用いた方式による有線情報通信が可能に接続され、入出力部212と設計装置100との間は、情報通信網を用いた情報通信が可能に接続される例に適用して説明する。なお、製造装置200は、入出力部212を有する構成に限定されるものではなく、入出力部212を有しない構成であってもよい。
【0044】
制御部213は、ボード表示部202の動作を制御する制御信号を生成するものである。また、制御部213は、データサーバ221にワイヤハーネス500の製造に関する情報を記憶させるものである。
【0045】
データサーバ221は、LANケーブル等で構成された情報通信網を介して制御用コンピュータ211と情報通信可能に接続されたサーバである。本実施形態ではデータサーバ221が、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するサーバなどの情報処理機器である例に適用して説明する。
【0046】
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、
図6に示すように、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて記憶部222として機能させるものである。記憶部222は、制御用コンピュータ211が取得した作業履歴や検査結果などのワイヤハーネス500の製造に関する情報を記憶するものである。また、記憶部222は、図面データを含む製造に用いられる情報を記憶するものであってもよい。
【0047】
なお、ハーネス用デジタルボード201が表示装置としての構成の一例に相当し、ボード表示部202が表示画面としての構成の一例に相当する。
本実施形態において、ハーネス用デジタルボード201のボード表示部202に出力されるネイルボード
図600の例について
図1を用いて説明する。
【0048】
図1に示すように、ネイルボード
図600において、電線501の配置を表した配置データに基づいて、電線501の配置が電線表示605として表示される。電線501に樋付けられる保護部材515を表した保護部材表示603及び拘束部材517の取付階層を表した階層表示601は、例えば、電線501の配置を表した電線表示605に重畳して表示されてもよい。なお、階層表示601は電線表示605が表す電線501の配置に沿って、拘束部材517が取り付けられる取付位置に表示される。
【0049】
取付階層と、取付階層に応じた表示態様で表示される階層表示601との対応関係を表した説明図を
図2に示す。
図2に示す表において、一番左側の列から順にネイルボード
図600における表示例、取付階層を表した表示である階層表示601の例、階層表示601がなされた箇所の電線501の長手方向に対して直交する断面の例を表す。
【0050】
なお、ネイルボード
図600における表示において、階層表示601の長手方向に沿った長さは、例えば、拘束部材517の幅に対応した長さに表示されてもよい。具体的には、取付階層に取り付けられる拘束部材517のテープ幅に合わせた長さに表示されてもよい。
【0051】
また、階層表示601は、取付階層によって、色、文字、記号、図形等が異なる表示態様で表示される。具体的には、例えば、取付階層が外側のみである場合には、塗りつぶされた表示態様であってもよい。取付階層が内側のみである場合には、「inside」との文字で表示される表示態様であってもよい。また、取付階層が外側と内側との両方である場合には、「*」などの記号が用いられる表示態様であってもよい。なお、各表示態様は、これらの表示態様に限定されるものではなく、種々の色、文字、記号、図形等が用いられてもよい。具体的には、例えば、取付階層が外側のみである場合に、「outside」との文字で表示される表示態様であってもよい。
【0052】
また、階層表示601が文字による表示態様である場合には、あらかじめ設定された言語に合わせて変換されるものであってもよい。例えば、製造装置200が用いられる地域の言語に合わせて変換されるものであってもよく、具体的には、製造装置200が中国で用いられる場合には中国語による表記に変換されてもよい。
【0053】
さらに、ネイルボード
図600が備えるボード表示部202により画像として表示される場合には、取付階層によって、点滅などの動的な表示態様の違いにより、区別されてもよい。ここでいう動的な表示態様とは、時間経過に応じて変化する表示態様をいう。
【0054】
また、
図1及び
図2に示すようにネイルボード図には、保護部材515が設けられる位置に保護部材515を設けることを表した表示である保護部材表示603を有する。具体的には、保護部材515が設けられる位置に網掛け線などを表示することにより、保護部材515を設ける位置が表される(
図2の上から2行目参照、
図1参照)。また、ネイルボード
図600上において、保護部材515が設けられていない箇所の表示には、当該網掛け線の表示がされない例に適用して説明する(
図2の上から5行目表示例左側、
図1参照)。
【0055】
なお、ネイルボード
図600において、電線501に取り付けられた状態での拘束部材517及び保護部材515などの各部材の径及び長さに応じた幅や長さにより階層表示601及び保護部材表示603がなされてもよい。
【0056】
[2.作用]
次に、制御部213が実行するネイルボード
図600の出力処理について
図7を参照しながら説明する。
【0057】
S110で、制御部213は、設計装置100から図面データの取得を行う。具体的には、制御部213は、図面データに含まれるワイヤハーネス500を構成する電線501の配置を表した配置データを取得する。
【0058】
設計装置100から図面データの取得は、製造装置200から設計装置100に図面データを要求することにより取得されるものであってもよく、設計装置100に所定の操作をすることにより図面データを製造装置200に送信することにより、製造装置200に図面データを取得させるものであってもよい。なお、図面データの取得は、設計装置100から行うものに限定されるものではなく、あらかじめ製造装置200に記憶されているデータを取得するものであってもよい。製造装置200における図面データの記憶は、例えば、記憶部222にされるものであってもよい。また、制御部213は、配置データに併せて電線501の径及び長さのデータを取得してもよい。
【0059】
S120で、制御部213は、設計装置100から保護部材515のデータ及び拘束部材517のデータの取得を行う。具体的には、制御部213が設計装置100から取得する保護部材515のデータとしては、保護部材515の位置の情報が含まれる。また、保護部材515が設けられた状態での電線501及び保護部材515の径情報や、保護部材515が設けられる電線501を特定する情報などの配置される保護部材515に関する情報が含まれてもよい。制御部213が設計装置100から取得する保護部材515のデータとしては、拘束部材517のデータには、拘束部材517の取付位置の情報と、拘束部材517の取付階層の情報とが含まれる。
【0060】
保護部材515及び拘束部材517のデータの取得は、製造装置200から設計装置100に拘束部材517のデータを要求することにより取得されるものであってもよく、設計装置100に所定の操作をし、拘束部材517のデータを製造装置200に送信することにより、製造装置200に拘束部材517のデータを取得させるものであってもよい。なお、拘束部材517のデータの取得は、設計装置100から行うものに限定されるものではなく、あらかじめ製造装置200に記憶されているデータを取得するものであってもよい。製造装置200における拘束部材517のデータの記憶は、例えば、記憶部222にされるものであってもよい。
【0061】
S130で、制御部213は、配置データが表す電線501の配置に保護部材515及び拘束部材517の配置を合成する。具体的には、ネイルボード
図600において配置データが表す電線501の位置を電線表示605として作成し、作成された電線表示605に重畳して、階層表示601及び保護部材表示603を合成される。
【0062】
階層表示601の合成は、拘束部材517が取り付けられる取付位置に取付階層を表す表示態様で、表示されるように合成される。すなわち、取付階層に対応した階層表示601が電線表示605の取付位置に対応する箇所に合成される。取付階層に対応した階層表示601の合成は、
図2に示したような取付階層と階層表示601との対応関係があらかじめ記憶され、当該対応関係を参照してなされるものであってもよい。なお、取付階層と階層表示601との対応関係の記憶は、例えば制御用コンピュータ211に記憶されていてもよく、データサーバ221の記憶部222から取得するものであってもよい。
【0063】
さらに、保護部材表示603の合成は、電線表示605が表す電線501の位置において、保護部材515が設けられる位置に合成される。保護部材表示603の合成は、保護部材515を表すあらかじめ決められた表示が合成されることによりなされてもよい。
【0064】
また、階層表示601及び保護部材表示603は、拘束部材517又は保護部材515が取り付けられた後の部分の径の大きさや長さなどに応じた大きさ及び長さに表示されてもよい。取り付けられた後の部分の径の大きさや長さは、拘束部材517のデータ及び保護部材515のデータから取得されるものであってもよい。
【0065】
S140で、制御部213は、S130で、電線表示605に階層表示601及び保護部材表示603が合成されたネイルボード
図600をハーネス用デジタルボード201に出力する。ネイルボード
図600は、使用可能な態様でハーネス用デジタルボード201が備えるボード表示部202に表示される。すなわち、本実施形態では、ネイルボード
図600は、ボード表示部202に表示する画像である。ここでいう使用可能な態様とは、少なくともハーネス用デジタルボード201に電線501を布設し、ワイヤハーネス500を製造できる態様をいう。
【0066】
なお、S120での処理が取付位置取得工程及び取付階層取得工程の一例に相当し、S130及びS140での処理が出力工程の一例に相当する。また、S120での処理を行う構成が取付位置取得部及び取付階層取得部としての構成の一例に相当し、S130及びS140での処理を行う構成が出力部としての構成の一例に相当する。
【0067】
[3.効果]
(1)上記実施形態に示したワイヤハーネス500の製造方法は、取付位置取得工程と、取付階層取得工程と、出力工程と、を有する。取付位置取得工程では、ワイヤハーネス500を構成する電線501に取り付けられる部材である拘束部材517の電線501の長手方向に沿った取付位置の情報を取得する。取付階層取得工程では、電線501において拘束部材517が取り付けられる径方向の位置を表す取付階層の情報を取得する。出力工程では、取付位置取得工程により取得された取付位置の情報が表す取付位置に、取付階層取得工程により取得された取付階層の情報に応じて異なる表示態様で表示された階層表示601を含むネイルボード
図600を使用可能な態様で出力する。
【0068】
また、上記実施形態に示したワイヤハーネス500の製造装置200は、取付位置取得部と、取付階層取得部と、出力部と、を有する。取付位置取得部は、ワイヤハーネス500を構成する電線501に取り付けられる部材である拘束部材517の電線501の長手方向に沿った取付位置を取得する。取付階層取得部は、電線501において拘束部材517が取り付けられる径方向の位置を表す取付階層の情報を取得する。出力部は、取付位置取得部により取得された取付位置の情報が表す取付位置に、取付階層取得部により取得された取付階層の情報に応じて異なる表示態様で表示された階層表示601を含むネイルボード
図600を使用可能な態様で出力する。
【0069】
このような構成によれば、ネイルボード
図600に階層表示601が含まれる。当該階層表示601は、取付階層の情報に応じて異なる表示態様で表示される。
これにより、作業者は、ネイルボード
図600に表示された階層表示601の表示態様により取付階層を判断することができる。
【0070】
よって、当該ネイルボード
図600を用いることにより、作業者に取付階層を指示することが容易となる。
具体的には、内層拘束部材517a、保護部材515、外層拘束部材517bのそれぞれを取り付ける工程ごとの図を用いる必要がなく、当該階層表示601を含むネイルボード
図600を用いることにより、取付階層を判断することができる。
【0071】
また、表示態様により取付階層を判断することができるため、文字での指示を省略することができる。このため、製造のための指示を簡略化することができる。
(2)上記実施形態では、ワイヤハーネス500は、電線501と、保護部材515と、を備える。保護部材515は、電線501の周面に位置する。階層表示601は、電線501において拘束部材517が取り付けられる径方向の位置が保護部材515の内側であるか外側であるかに応じて異なる表示態様で表示される。
【0072】
このような構成によれば、作業者はネイルボード
図600に表示された階層表示601の表示態様により、拘束部材517が取り付けられる径方向の位置が、保護部材515の内側であるか外側であるかを判断することができる。
【0073】
よって、当該ネイルボード
図600を用いることにより、作業者に拘束部材517が取り付けられる径方向の位置が、保護部材515の内側であるか外側であるかを指示することが容易となる。
【0074】
(3)上記実施形態では、ネイルボード
図600に含まれる階層表示601は、電線501において拘束部材517が取り付けられる径方向の位置である取付階層が保護部材515の内側と外側との両方である場合に、電線501において拘束部材517が取り付けられる径方向の位置である取付階層が保護部材515の内側と外側との一方である場合とは異なる表示態様で表示される。
【0075】
このような構成によれば、作業者は、ネイルボード
図600に表示された階層表示601の表示態様により、拘束部材517が取り付けられる径方向の位置が、保護部材515の内側と外側との一方であるか両方であるかを判断することができる。
【0076】
よって、当該ネイルボード
図600を用いることにより、作業者に拘束部材517が取り付けられる径方向の位置が、保護部材515の内側と外側との一方であるか両方であるかを指示することが容易となる。
【0077】
(4)上記実施形態では、ネイルボード
図600に含まれる階層表示601は、取付位置において取付階層を表す色、文字、記号及び図形の少なくとも1つが異なる表示態様によって表示されてもよい。
【0078】
このような構成によれば、取付階層を表す色、文字、記号及び図形の少なくとも1つが異なる表示態様により表示されることによって、作業者は、色、文字、記号及び図形の表示態様により、取付階層を判断することができる。
【0079】
よって、当該ネイルボード
図600を用いることにより、作業者に部材が取り付けられる径方向の位置を指示することが容易となる。
(5)上記実施形態では、ネイルボード
図600は、電線501の周面に保護部材515を設ける位置を表した表示である保護部材表示603を備える。
【0080】
このような構成によれば、電線501の周面に保護部材515を設ける位置を表した保護部材表示603がなされることにより、作業者は、保護部材515の取付位置をネイルボード
図600から判断することができる。
【0081】
よって、当該ネイルボード
図600を用いることにより、保護部材515が取り付けられる位置を指示することが容易となる。
(6)上記実施形態では、出力工程において出力されるネイルボード
図600は、表示装置が備える少なくとも1つの表示画面に使用可能な態様で表示された画像である。
【0082】
このような構成によれば、ボード表示部202に表示がなされたネイルボード
図600に電線501を布設し、部材を取り付けることによりワイヤハーネス500を製造することができる。
【0083】
[4.他の実施形態]
(1)本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0084】
(2)上記実施形態において、ネイルボード
図600の一部に
図2に示した、取付階層と階層表示601の表示態様と、当該階層表示601が表示された位置における断面構造の例との対応を表した対応表が表示されるように構成されてもよい。
【0085】
このような構成によれば、対応表を確認しながら拘束部材517の取付をすることができるため、拘束部材517の取付作業を容易にしやすくなる。
なお、対応表のデータは、ワイヤハーネス500の製造に用いられるデータと同様に記憶されていてもよい。
【0086】
(3)上記実施形態では、ネイルボード
図600の出力は、ハーネス用デジタルボード201に備えられるボード表示部202への表示によりなされる。しかしながら、ネイルボード
図600の出力は、ハーネス用デジタルボード201に備えられるボード表示部202への表示によりなされるものに限定されるものではない。変形例として、
図8に印刷装置300を備える製造システム2の例を示す。例えば、
図6に示すように製造システム2は、印刷装置300を備え、当該印刷装置300から、ネイルボード
図600が印刷により出力されるものであってもよい。すなわち、製造システム2は、
図6に示すように、ハーネス用デジタルボード201の代わりに印刷装置300が設けられるものであってもよく、ハーネス用デジタルボード201と共に印刷装置300が備えられてもよい。
【0087】
言い換えると、上記実施形態では、出力工程においてネイルボード
図600はハーネス用デジタルボード201に備えられるボード表示部202に出力される画像である。しかしながら、ネイルボード
図600は、画像として表示されるものに限定されるものではなく、印刷装置300により出力がなされた印刷物であってもよい。また、印刷により出力されたネイルボード
図600はネイルボードに貼り付けられた状態で用いられてもよい。具体的には、ネイルボードに貼り付けられたネイルボード
図600に沿って電線501が布設され、ワイヤハーネス500が製造されてもよい。
【0088】
(4)上記実施形態では、拘束部材517は、粘着テープである例に適用して説明した。また、拘束部材517である粘着テープはあらかじめ決められたテープ幅を有し、取付位置の取付階層に取り付けられる。ここで、拘束部材517は、電線501又は保護部材515の周囲を1周巻くことにより、取り付けられる例に適用して説明した。しかしながら、拘束部材517の取付は、拘束部材517である粘着テープを複数の電線501に1周巻き付けることにより行われものに限定されるものではなく、例えば複数回巻き付けることにより取り付けられてもよい。ここで、複数回巻き付ける際に、同じ取付位置に複数回巻くものであってもよい。言い換えると電線501の長手方向に沿って巻かれる位置が移動することなく巻かれるものであってもよい。
【0089】
一方で、複数回巻き付ける際に、電線501の長手方向に沿って巻かれる位置を移動させて巻くものであってもよい。言い換えると、拘束部材517である粘着テープを電線501の長手方向に沿ってずらしながら巻き付けるものであってもよい。
【0090】
このような場合、取付位置の表示は、テープ幅より広くてもよい。すなわち、拘束部材517が取り付けられる(巻かれる)範囲を表示するものであってもよい。なお、拘束部材517が取り付けられる範囲を以下では、取付範囲とも記載する。
【0091】
取付範囲の情報は取付位置と共に、又は取付位置に代えて記憶されるものであってもよく、当該取付範囲の情報に応じて取付範囲の表示がなされるものであってもよい。なお、以下では取付範囲の表示を範囲表示とも記載する。
【0092】
このような構成によれば、取付範囲を表した範囲表示と共に階層表示601がなされることにより、作業者は、取付範囲と取付階層とをネイルボード
図600から判断することができる。
【0093】
よって、当該ネイルボード
図600を用いることにより、拘束部材517が取り付けられる範囲と、作業者に拘束部材517が取り付けられる径方向の位置とを指示することが容易となる。
【0094】
(5)上記実施形態における、保護部材515及び拘束部材517の取付や、ワイヤハーネス500の製造は、機械を用いて自動的になされるように構成されていてもよい。
(6)上記実施形態において、S120が取付位置取得工程及び取付階層取得工程の一例に相当すると記載した。しかしながら、S120が取付位置取得工程及び取付階層取得工程の一例に相当するものに限定されるものではない。具体的には、取付位置取得工程及び取付階層取得工程がそれぞれ別々に実行されるものであってもよい。
【0095】
(7)また、上記実施形態において、階層表示601は保護部材515の内側か外側かにより異なる。しかしながら、階層表示601は保護部材515の内側か外側かにより異なるものに限定されるものではなく、他の部材に対して内側か外側かにより表示態様が異なるものであってもよい。
【0096】
(8)上記実施形態では、拘束部材517の取付位置と取付階層とがネイルボード図に表示される。しかしながら、ネイルボード図に取付位置が表示される構成は、拘束部材517に限定されるものではなく、拘束部材503が取り付けられる位置も取付位置と同様にネイルボード図に表示されてもよい。この際、拘束部材503と拘束部材517とで異なる表示態様で取付位置が表示されるように構成されてもよい。
【0097】
(9)上記実施形態では、拘束部材503及び拘束部材517のそれぞれが粘着テープである例に適用して説明したが、それぞれ拘束部材503、拘束部材517として用いられるものであれば粘着テープに限定されるものではなく、それぞれ異なる部材が用いられてもよい。例えば、拘束部材503には結束バンドが用いられ、拘束部材517には、チューブが用いられる構成であってもよい。
【0098】
(10)上記実施形態では、電線501を表す電線表示605に、保護部材515及び拘束部材517を合成することによりネイルボード
図600が生成されるが、このような方法に限定されるものではない。
【0099】
(11)上記実施形態では、ワイヤハーネス500を製造するために用いられるデータとして、図面データ、保護部材515のデータ、拘束部材517のデータ、拘束部材503のデータが含まれると記載した。しかしながら、各データはいずれかのデータに他のデータが含まれるように構成されてもよい。また、各データに含まれる情報が他のデータに含まれる構成であってもよい。
【0100】
(12)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1,2…製造システム、100…設計装置、200…製造装置、201…ハーネス用デジタルボード、202…ボード表示部、211…制御用コンピュータ、212…入出力部、213…制御部、221…データサーバ、222…記憶部、300…印刷装置、500…ワイヤハーネス、501…電線、502…コネクタ、503…拘束部材、511…幹線、512…分岐点、513…枝線、515…保護部材、517…拘束部材、517a…内層拘束部材、517b…外層拘束部材、601…階層表示、603…保護部材表示、605…電線表示。