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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】脱気装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/00 20060101AFI20240730BHJP
   B01D 61/00 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B01D19/00 H
B01D61/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024515455
(86)(22)【出願日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2023023202
(87)【国際公開番号】W WO2024004827
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2022102627
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 洋平
(72)【発明者】
【氏名】川島 和保
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明
(72)【発明者】
【氏名】布施 貴章
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-230373(JP,A)
【文献】特表2018-520840(JP,A)
【文献】特開2001-070707(JP,A)
【文献】特開2017-181110(JP,A)
【文献】特開2012-161723(JP,A)
【文献】特開2000-095526(JP,A)
【文献】特開2015-058656(JP,A)
【文献】特開2013-010219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00-19/04
B01D 53/22,61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流通空間と減圧空間との間を仕切るガス透過性を有するチューブユニットを有する脱気モジュールと、
前記脱気モジュールに接続されて前記脱気モジュールの前記減圧空間に連通される真空配管と、
前記真空配管に接続されて前記真空配管を介して前記減圧空間内の気体を外部に排出するように構成された排出装置と、を備え、
前記真空配管は、
前記減圧空間に連通されて前記脱気モジュールから前記排出装置に至る吸引管部と、
前記吸引管部から分岐して先端部が閉塞されたバッファ管部と、を有する、
脱気装置。
【請求項2】
前記吸引管部から前記バッファ管部が分岐するバッファ分岐部は、前記脱気モジュールから前記排出装置に至る前記気体の流れ方向における前記脱気モジュールの下流側に位置する、
請求項1に記載の脱気装置。
【請求項3】
前記減圧空間の減圧度を検出するための検出器を更に備え、
前記真空配管は、吸引管部から分岐して前記検出器に接続される検出配管部を更に有する、
請求項1又は2に記載の脱気装置。
【請求項4】
前記吸引管部から前記検出配管部が分岐する検出分岐部は、前記脱気モジュールから前記排出装置に至る前記気体の流れ方向における、前記吸引管部から前記バッファ管部が分岐するバッファ分岐部の上流側に位置する、
請求項3に記載の脱気装置。
【請求項5】
前記バッファ管部の内径は、前記吸引管部の内径と同じである、
請求項1又は2に記載の脱気装置。
【請求項6】
前記バッファ管部の長さは、前記吸引管部の前記脱気モジュールから前記排出装置に至る経路の長さの5%以上30%以下である、
請求項1又は2に記載の脱気装置。
【請求項7】
前記バッファ管部の長さは、前記バッファ管部の内径の1000%以上1600%以下である、
請求項1又は2に記載の脱気装置。
【請求項8】
前記バッファ管部の前記先端部に着脱可能に装着されて前記バッファ管部の前記先端部を閉塞する栓を更に備える、
請求項1又は2に記載の脱気装置。
【請求項9】
前記栓は、前記バッファ管部に圧入される挿入部を有する、
請求項8記載の脱気装置。
【請求項10】
前記脱気モジュールは、前記吸引管部に圧入される排出ノズル部を有し、
前記挿入部と前記バッファ管部との密着力は、前記排出ノズル部と前記吸引管部との密着力よりも小さい、
請求項9に記載の脱気装置。
【請求項11】
前記脱気モジュールは、前記吸引管部に圧入される排出ノズル部を有し、
前記挿入部の外周長は、前記排出ノズル部の外周長よりも小さい、
請求項に記載の脱気装置。
【請求項12】
前記脱気モジュールは、前記吸引管部に圧入される円柱状の排出ノズル部を有し、
前記挿入部は、円柱状に形成されており、
前記挿入部の外径は、前記排出ノズル部の外径よりも小さい、
請求項に記載の脱気装置。
【請求項13】
前記脱気モジュールは、前記吸引管部に圧入される排出ノズル部を有し、
前記挿入部の長さは、前記排出ノズル部の長さよりも短い、
請求項に記載の脱気装置。
【請求項14】
前記脱気モジュールは、前記吸引管部に圧入される排出ノズル部を有し、
前記バッファ管部に対する前記挿入部の圧入長さは、前記吸引管部に対する前記排出ノズル部の圧入長さよりも短い、
請求項に記載の脱気装置。
【請求項15】
前記真空配管の少なくとも一部は、ポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物である、
請求項1又は2に記載の脱気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体クロマトグラフィ装置等に用いられる脱気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2007/094242号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の脱気装置は、チューブユニットが設けられた脱気モジュール内の減圧空間と排出装置(ポンプ)とが真空配管により連通されており、排出装置を作動させることでチューブユニットを流通する液体を脱気するように構成されている。しかしながら、排出装置を作動すると、真空配管内及び減圧空間内において吸引圧力の脈動が生じる。脱気モジュールでは、かかる脈動によりチューブユニットの膨張と収縮とが繰り返されるため、チューブユニットの容積が増減して、チューブユニットを流れる液体の流量及び流速に乱れが生じる。その結果、検査等に影響を与えてしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、脱気モジュールの減圧空間内に生じる吸引圧力の脈動を低減して、チューブユニットを流れる液体の流量及び流速の乱れを抑制することができる脱気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 本発明の一側面に係る脱気装置は、流体流通空間と減圧空間との間を仕切るガス透過性を有するチューブユニットを有する脱気モジュールと、脱気モジュールに接続されて脱気モジュールの減圧空間に連通される真空配管と、真空配管に接続されて真空配管を介して減圧空間内の気体を外部に排出するように構成された排出装置と、を備え、真空配管は、減圧空間に連通されて脱気モジュールから排出装置に至る吸引管部と、吸引管部から分岐して先端部が閉塞されたバッファ管部と、を有する。
【0007】
この脱気装置では、真空配管の吸引管部を介して脱気モジュールの減圧空間と排出装置とが連通されているため、排出装置の作動に伴い、吸引管部内及び及び減圧空間内において吸引圧力の脈動が生じる。しかしながら、真空配管が、減圧空間に連通されて脱気モジュールから排出装置に至る吸引管部に加えて、吸引管部から分岐して先端部が閉塞されたバッファ管部を有するため、この吸引圧力の脈動がバッファ管部内にも波及することで、吸引管部内及び及び減圧空間内に生じる吸引圧力の脈動が低減される。これにより、脱気モジュールのチューブユニットを流れる液体の流量及び流速の乱れを抑制することができる。しかも、バッファ管部が吸引管部から分岐しているため、吸引管部を長くしなくてもバッファ管部を設けることができる。これにより、減圧空間から排出装置に至る気体の圧力損失の増大を抑制することができるため、排出装置の排出効率が低下するのを抑制することができる。また、吸引管部の取り回しを容易に行うことができる。
【0008】
[2] [1]に記載の脱気装置において、吸引管部からバッファ管部が分岐するバッファ分岐部は、脱気モジュールから排出装置に至る気体の流れ方向における脱気モジュールの下流側に位置してもよい。この脱気装置では、バッファ分岐部が、脱気モジュールから排出装置に至る気体の流れ方向における脱気モジュールの下流側に位置することで、吸引管部内に生じる吸引圧力の脈動が減圧空間に波及する前に、バッファ管部により当該脈動を抑制することができる。これにより、減圧空間内に生じる吸引圧力の脈動をより一層低減することができる。
【0009】
[3] [1]又は[2]に記載の脱気装置において、減圧空間の減圧度を検出するための検出器を更に備え、真空配管は、吸引管部から分岐して検出器に接続される検出配管部を更に有してもよい。この脱気装置では、吸引管部から分岐する検出配管部に減圧空間の減圧度を検出するための検出器が接続されていることで、減圧空間の減圧度を適切に検出することができる。また、検出配管部がバッファ管部とは別に設けられることで、検出器による制約を受けることなくバッファ管部の位置、形状等を設計することができる。
【0010】
[4] [3]に記載の脱気装置において、吸引管部から検出配管部が分岐する検出分岐部は、脱気モジュールから排出装置に至る気体の流れ方向における、吸引管部からバッファ管部が分岐するバッファ分岐部の上流側に位置してもよい。この脱気装置では、検出分岐部が、脱気モジュールから排出装置に至る気体の流れ方向におけるバッファ分岐部の上流側に位置することで、吸引管部内に生じる吸引圧力の脈動が検出配管部に波及する前に、バッファ管部により当該脈動を低減することができる。これにより、検出器の検出精度を向上することができる。
【0011】
[5] [1]~[4]の何れか一つに記載の脱気装置において、バッファ管部の内径は、吸引管部の内径と同じであってもよい。この脱気装置では、バッファ管部の内径が吸引管部の内径と同じであることで、真空配管を容易に製造することができる。
【0012】
[6] [1]~[5]の何れか一つに記載の脱気装置において、バッファ管部の長さは、吸引管部の脱気モジュールから排出装置に至る経路の長さの5%以上30%以下であってもよい。この脱気装置では、バッファ管部の長さが吸引管部の脱気モジュールから排出装置に至る経路の長さの5%以上30%以下であることで、バッファ管部の取り回しを容易に行うことができるとともに、吸引管部内に生じる吸引圧力の脈動を適切に低減することができる。
【0013】
[7] [1]~[6]の何れか一つに記載の脱気装置において、バッファ管部の長さは、バッファ管部の内径の1000%以上1600%以下であってもよい。この脱気装置では、バッファ管部の長さがバッファ管部の内径の1000%以上1600%以下であることで、バッファ管部の取り回しを容易に行うことができるとともに、吸引管部内に生じる吸引圧力の脈動を適切に低減することができる。
【0014】
[8] [1]~[7]の何れか一つに記載の脱気装置において、バッファ管部の先端部に着脱可能に装着されてバッファ管部の先端部を閉塞する栓を更に備えてもよい。この脱気装置では、バッファ管部の先端部を閉塞する栓を備えることで、バッファ管部の先端部を容易に閉塞することができる。ところで、メンテナンス等において誤って排出装置の排気口側に吸引管部が接続され、この状態で排出装置が作動すると、吸引管部及び減圧空間が高い圧力に加圧される。吸引管部及び減圧空間が高い圧力に加圧されると、減圧空間の減圧度を検出する検出器、吸引管部等が破損したり、脱気モジュールから吸引管部が抜けたりする可能性がある。しかしながら、栓は、バッファ管部の先端部に着脱可能に装着されているため、吸引管部及び減圧空間が高い圧力に加圧されると、バッファ管部の先端部から栓が抜けて、吸引管部及び減圧空間が大気開放される。このように、栓が安全弁として機能することで、検出器、吸引管部等の破損、脱気モジュールからの吸引管部の抜けを抑制することができる。
【0015】
[9] [8]に記載の脱気装置において、栓は、バッファ管部に圧入される挿入部を有してもよい。この脱気装置では、栓がバッファ管部に圧入される挿入部を有することで、バッファ管部の先端部を適切に閉塞することができる。
【0016】
[10] [9]に記載の脱気装置において、脱気モジュールは、吸引管部に圧入される排出ノズル部を有し、挿入部とバッファ管部との密着力は、排出ノズル部と吸引管部との密着力よりも小さくてもよい。この脱気装置では、挿入部とバッファ管部との密着力が排出ノズル部と吸引管部との密着力よりも小さいことで、吸引管部及び減圧空間が高い圧力に加圧された際に、吸引管部から排出ノズル部が抜けるよりも先にバッファ管部から挿入部が抜けやすくすることができる。このため、栓の安全弁としての機能を更に向上することができる。
【0017】
[11] [9]又は[10]に記載の脱気装置において、脱気モジュールは、吸引管部に圧入される排出ノズル部を有し、挿入部の外周長は、排出ノズル部の外周長よりも小さくてもよい。この脱気装置では、挿入部の外周長が排出ノズル部の外周長よりも小さいことで、挿入部とバッファ管部との密着力を排出ノズル部と吸引管部との密着力よりも小さくすることができる。これにより、吸引管部及び減圧空間が高い圧力に加圧された際に、吸引管部から排出ノズル部が抜けるよりも先にバッファ管部から挿入部が抜けやすくすることができる。
【0018】
[12] [9]~[11]の何れか一つに記載の脱気装置において、脱気モジュールは、吸引管部に圧入される円柱状の排出ノズル部を有し、挿入部は、円柱状に形成されており、挿入部の外径は、排出ノズル部の外径よりも小さくてもよい。この脱気装置では、挿入部の外径が排出ノズル部の外径よりも小さいことで、挿入部とバッファ管部との密着力を排出ノズル部と吸引管部との密着力よりも小さくすることができる。これにより、吸引管部及び減圧空間が高い圧力に加圧された際に、吸引管部から排出ノズル部が抜けるよりも先に、バッファ管部から挿入部が抜けやすくすることができる。
【0019】
[13] [9]~[12]の何れか一つに記載の脱気装置において、脱気モジュールは、吸引管部に圧入される排出ノズル部を有し、挿入部の長さは、排出ノズル部の長さよりも短くてもよい。この脱気装置では、挿入部の長さが排出ノズル部の長さよりも短いことで、挿入部及び排出ノズル部の全体がバッファ管部及び吸引管部に圧入された際に、挿入部とバッファ管部との密着力を排出ノズル部と吸引管部との密着力よりも小さくすることができる。これにより、吸引管部及び減圧空間が高い圧力に加圧された際に、吸引管部から排出ノズル部が抜けるよりも先に、バッファ管部から挿入部が抜けやすくすることができる。
【0020】
[14] [9]~[13]の何れか一つに記載の脱気装置において、脱気モジュールは、吸引管部に圧入される排出ノズル部を有し、バッファ管部に対する挿入部の圧入長さは、吸引管部に対する排出ノズル部の圧入長さよりも短くてもよい。この脱気装置では、バッファ管部に対する挿入部の圧入長さが吸引管部に対する排出ノズル部の圧入長さよりも短いことで、挿入部とバッファ管部との密着力を排出ノズル部と吸引管部との密着力よりも小さくすることができる。これにより、吸引管部及び減圧空間が高い圧力に加圧された際に、吸引管部から排出ノズル部が抜けるよりも先に、バッファ管部から挿入部が抜けやすくすることができる。
【0021】
[15] [1]~[14]の何れか一つに記載の脱気装置において、真空配管の少なくとも一部は、ポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物であってもよい。この脱気装置では、真空配管の少なくとも一部がポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物であることで、耐溶剤性、耐薬品性、及び耐久性に優れるものとすることができる。また、気体透過性を低くすることができるとともに、真空配管の抜けを抑制することができる。しかも、ポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物の伸縮性により、吸引管部内に生じる吸引圧力の脈動に応じて吸引管部が膨張及び伸縮する。これにより、吸引管部内及び及び減圧空間内に生じる吸引圧力の脈動をより一層低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一側面によれば、脱気モジュールの減圧空間内に生じる吸引圧力の脈動を低減して、チューブユニットを流れる液体の流量及び流速の乱れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る脱気装置を示す模式的な概略平面図である。
図2図2は、図1に示す脱気装置の模式的な概略側面図である。
図3図3は、図1に示す脱気装置に搭載される脱気モジュールの一例を示す概略断面図である。
図4図4は、図3に示す脱気モジュールのコネクタ部の付近を拡大して示す拡大断面図である。
図5図5は、図1に示す脱気モジュールのバッファ管部と栓との接続部分付近を拡大して示す拡大断面図である。
図6図6は、図1に示す脱気モジュールの脱気モジュールと吸引管部との接続部分付近を拡大して示す拡大断面図である。
図7図7は、図1に示す脱気装置の脱気モジュール、真空配管、及び排出装置を示す模式図である。
図8図8は、図1に示す脱気装置の防振部材の付近を拡大して示す拡大断面図である。
図9図9は、他の例の脱気装置を示す模式的な概略側面図である。
図10図10は、図9に示す脱気装置の防振部材の付近を拡大して示す拡大断面図である。
図11図11は、他の例の脱気装置を示す模式的な概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、実施形態の脱気装置について詳細に説明する。なお、全図中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
図1は、一実施形態に係る脱気装置を示す模式的な概略平面図である。図2は、図1に示す脱気装置の模式的な概略側面図である。図1及び図2に示すように、脱気装置1は、底板2、前板3及び後板4を有するハウジング5と、脱気モジュール10,20と、真空配管40と、排出装置50と、大気開放配管60と、大気開放弁70と、調整弁75と、制御部80と、を備えている。ハウジング5の底板2は、脱気装置1の底部を画定し、ハウジング5の前板3は、脱気装置1の前部を画定し、ハウジング5の後板4は、脱気装置1の後部を画定する。脱気装置1は、例えば、液体クロマトグラフィ用の脱気装置であり、液体クロマトグラフィの検査対象となる流体に対して脱ガス処理を行う。脱気装置1は、ガスクロマトグラフィー、生化学分析装置、インクジェット充填装置等に用いてももちろんよい。
【0026】
脱気モジュール10,20は、例えば図3に示す構成を有している。図3は、図1に示す脱気装置に搭載される脱気モジュールの一例を示す概略断面図である。図4は、図3に示す脱気モジュールのコネクタ部の付近を拡大して示す拡大断面図である。図3は、一例として、脱気モジュール10の構成を示しているが、他の脱気モジュール20も同様の構成である。図3及び図4に示すように、脱気モジュール10は、内部に流体流通空間S1を画定する複数のチューブ11が両端部において結束されたチューブユニット12と、チューブユニット12を収容するハウジング13と、ハウジング13の開口部13aを気密密封する蓋部14と、蓋部14を貫通するチューブユニット12を接続固定するコネクタ部15及びコネクタ部16と、ハウジング13から突出する排出ノズル部17及び開放ノズル部18と、を備えている。排出ノズル部17には、減圧空間S2に連通している排出口17aが形成されており、開放ノズル部18には、減圧空間S2に連通している開放口18aが形成されている。
【0027】
脱気モジュール10は、ガス透過性を有するガス透過膜であるチューブユニット12により、ハウジング13内が、チューブユニット12のチューブ11のそれぞれの内部空間である流体流通空間S1と、チューブユニット12の外側の空間である減圧空間S2と、に仕切られている。流体流通空間S1は、液体が供給される領域であり、チューブユニット12の流入口12aから導入された液体を排出口12bまで供給する。減圧空間S2は、内部の気体が吸気される領域である。そして、脱気モジュール10では、複数のチューブ11のそれぞれの内部空間である流体流通空間S1に液体が供給されるとともに、複数のチューブ11の外側の減圧空間S2から吸気されることで、チューブユニット12に供給された液体を脱気する。
【0028】
チューブユニット12を構成する各チューブ11は、気体を透過するが液体を透過しないチューブ状の膜(ガス透過膜)である(図4を参照)。チューブ11の素材、膜形状、膜形態等は、特に制限されない。チューブ11の素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(エチレン共重合樹脂)(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、アモルファスフロロポリマ(非晶性弗素樹脂;AF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、シリコン、ポリイミド、ポリアミドが挙げられる。アモルファスフロロポリマとしては、例えば、テフロン(登録商標)AFが挙げられる。
【0029】
脱気装置1には、このような脱気モジュール10,20が2つ配置されているが、1つの脱気モジュールが配置されていてもよいし、3つ以上の脱気モジュールが配置されていてもよい。
【0030】
図1及び図2に示すように、真空配管40は、各減圧空間S2内の気体を外部に排出するための部材である。真空配管40は、吸引管部41と、排出管部42と、検出配管部43と、バッファ管部44と、を備える。
【0031】
吸引管部41は、脱気モジュール10,20の各減圧空間S2の気体を排出装置50に送るために、脱気モジュール10,20の各減圧空間S2に連通されて、脱気モジュール10,20と排出装置50とに接続されている。吸引管部41は、脱気モジュール10,20の各排出ノズル部17に連なる排出配管部45,46と、排出配管部45,46を集合させる排出集合部47と、排出集合部47を排出装置50に繋げる配管部48と、を有している。
【0032】
排出管部42は、排出装置50に送られた気体を脱気装置1の外部に排出するために、排出装置50に接続されている。排出管部42の排出装置50とは反対側の端部は、前板3に取り付けられて、前板3の前方の脱気装置1の外部に開放されている。
【0033】
検出配管部43は、脱気モジュール10,20の各減圧空間S2内の減圧度を検出するために、吸引管部41から分岐されて検出器85に接続されている。検出器85は、後述するように、脱気モジュール10,20の各減圧空間S2内の減圧度を検出する気圧センサであり、制御部80に設けられている。
【0034】
バッファ管部44は、後述するように、吸引管部41から分岐しており、バッファ管部44の吸引管部41とは反対側の先端部44aは、栓90により閉塞されている。
【0035】
真空配管40を構成する吸引管部41(排出配管部45,46、排出集合部47、及び配管部48)、排出管部42、検出配管部43、及びバッファ管部44の少なくとも一部は、例えば樹脂系のチューブから構成されている。真空配管40のすべて又は略すべて(例えば連結部分を除く)の構成部材が樹脂系のチューブから構成されていてもよい。つまり、複数のチューブを連結部材等を使って連結して真空配管40を構成してもよい。このようなチューブは、液体クロマトグラフィの使用溶媒に耐性があり、例えば、そのゴム硬度が好ましくは70±30度の範囲内であり、及び、その酸素透過性が6000cc(STP)cm/cm/sec/cmHg×10-10以下である配管から構成される。前記ゴム硬度は、好ましくは70±30度の範囲内であるが、連結部分での緩みや外れを防止する適切な可撓性と、チューブの変形、潰れ、閉塞を抑制する適切な耐久性を両立する観点から、その下限値が、50度以上であることがより好ましく、55度以上であることがさらに好ましくは、60度以上であることが特に好ましく、そして、上限値が、95度以下であることがより好ましく、80度以下であることがさらに好ましく、75度以下の範囲であることが特に好ましい。ただし、ゴム硬度はショアAを表し、例えば、JIS K7312(1996)に準拠した方法でデュロメータ(タイプA)で測定することができる。また、前記酸素透過性は、耐久性に優れる観点から、好ましくは6000cc(STP)cm/cm/sec/cmHg×10-10以下であるが、より好ましくは3000cc(STP)cm/cm/sec/cmHg×10-10以下、さらに好ましくは1000cc(STP)cm/cm/sec/cmHg×10-10以下、特に好ましくは500cc(STP)cm/cm/sec/cmHg×10-10以下であり、そして、好ましくは0.1cc(STP)cm/cm/sec/cmHg×10-10以上、より好ましくは10cc(STP)cm/cm/sec/cmHg×10-10以上であってよい。ただし、酸素透過性は酸素透過速度を意味し、例えば、ASTM D 1434圧力法に準拠した方法で測定することができる。
【0036】
真空配管40を構成するチューブの材質は、上述した性質を有するものであれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、シリコーンゴム;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド(ナイロン);ポリウレタン;低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;FEP、PFA、ETFE、PTFEなどのフッ素樹脂;ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。真空配管40を構成するチューブの材質としては、上述した材質のうち、ポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物がより好ましいものとして挙げられ、ポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物がさらに好ましいものとして挙げられる。
【0037】
真空配管40は、上述したポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物で構成されることで、耐溶剤性に優れるだけでなく、気体透過性を低くすることができる。また、真空配管40は、上述したポリオレフィン及び熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物で構成されることで、適切な可撓性を有しており、脱気動作時の排出集合部47の連結部分での緩みや外れを防止しつつ、またチューブの変形、潰れ、閉塞を抑制することもできることから、耐久性にも優れる。さらに、本実施形態に係る脱気装置1は、複数の脱気モジュールを備え、真空配管40と脱気モジュール10,20との連結部や排出集合部47の他の部分との連結部など多くの連結構成を備えているが、かかる可撓性や耐久性を備えるチューブから構成されることで、脱気装置としての長期信頼性を向上することもできる。
【0038】
なお、真空配管40に用いられるスチレン系熱可塑性エラストマーとは、少なくとも1つのスチレンブロック(ハードセグメント)と少なくとも1つのエラストマーブロックとを有する共重合体である。エラストマーブロックとしては、ビニル-ポリジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリクロロプレンまたはポリ2,3-ジメチルブタジエンなどを好ましくは用いることができる。エラストマーブロックは、水素添加したものを用いることもできる。エラストマーブロックが水素添加されていると、耐溶剤(耐溶媒)、耐薬品性能がより良好となる傾向があり好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン-ビニルイソプレン-スチレントリブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレンジブロック共重合体(SIB)、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン・ブテン-スチレントリブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレントリブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレントリブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレントリブロック共重合体(SBBS)などが挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも耐溶剤(耐溶媒)、耐薬品性能がより優れることから、スチレン-ビニルイソプレン-スチレントリブロック共重合体を用いることが好ましい。このようなスチレン-ビニルイソプレン-スチレントリブロック共重合体の好適な例としては、クレイトン社製の「FG1901 G Polymer」、「FG1924 G Polymer」、(株)クラレ製のハイブラー5127などが挙げられる。また、ビニルイソプレンブロックを水素添加した、(株)クラレ製のハイブラー7311も好適に使用することができる。
【0039】
スチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレンブロックの含有率(スチレン含有率)の範囲は、その下限値が、スチレンブロックとエラストマーブロックの合計に対し、好ましくは1質量%であり、より好ましくは5質量%であり、さらに好ましくは10質量%であり、当該範囲で、より良好な耐溶剤(耐溶媒)、耐薬品性能が得られる傾向がある。一方、その上限値は、スチレンブロックとエラストマーブロックの合計に対し、好ましくは30質量%であり、より好ましくは20質量%であり、当該範囲で、耐溶剤(耐溶媒)、耐薬品性能がより優れる傾向がある。
【0040】
ポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物におけるスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量の範囲は、その下限値が、ポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーの合計に対し、好ましくは3質量%であり、より好ましくは5質量%であり、さらに好ましくは10質量%であり、当該範囲で良好な耐溶剤(耐溶媒)、耐薬品性能が得られる傾向がある。一方、その上限値は、ポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーの合計に対し、好ましくは30質量%であり、より好ましくは25質量%であり、さらに好ましくは20質量%であり、当該範囲で、良好な耐溶剤(耐溶媒)、耐薬品性能が得られる傾向がある。
【0041】
なお、排出集合部47において、各チューブを相互に連結する連結部分は、硬質プラスチック(ポリプロピレン)等から構成されていてもよい。
【0042】
排出装置50は、真空配管40の吸引管部41を介して脱気モジュール10,20の減圧空間S2に連通されており、制御部80からの制御指示に基づいて、各減圧空間S2内の気体を外部に排出する。排出装置50は、底板2の上方に配置されている。排出装置50は、例えば、ポンプ51、ポンプ51が固定された固定板52等を含んで構成されている。ポンプ51は、固定板52の上面52a(底板2とは反対側の面)に固定されている。このため、固定板52の下面52b(底板2側の面)が、排出装置50の最下面(最も底板2側の面)となっている。ポンプ51は、各減圧空間S2内の気体を外部に排出するためのモータ53と、各減圧空間S2内の気体を吸い込むために配管部48が接続された吸気口54と、吸い込んだ気体を脱気装置1の外部に排出するために排出管部42が接続された排気口55と、を備え、制御部80からの制御指示に基づいてモータ53が回転駆動することで各減圧空間S2内の気体を外部に排出する。ポンプ51としては、例えば、ダイアフラム型ドライ真空ポンプ等のダイヤフラムポンプが用いられる。ダイヤフラムポンプは、モータを回転駆動することにより隔膜(ダイアフラム)を上下動させ、この隔膜の上下動により吸気口から排気口に気体を移動させる真空ポンプである。固定板52としては、例えば、矩形の金属プレート等が用いられる。
【0043】
各減圧空間S2内の気体を外部に排出するためにポンプ51を作動させると、排出装置50に接続されている吸引管部41内において吸引圧力の脈動が生じる。また、吸引管部41に連通されている各減圧空間S2内においても吸引圧力の脈動が生じる。上述したバッファ管部44は、このような吸引管部410内及び各減圧空間S2内に生じる吸引圧力の脈動を抑制するためのものである。バッファ管部44は、吸引管部41の排出集合部47から分岐しているとともに、吸引管部41に連通されている。これにより、バッファ管部44は、吸引管部41に連通されている真空配管40の容積を増大させて、吸引管部410内及び各減圧空間S2内に生じる吸引圧力の脈動を抑制する。なお、バッファ管部44には、検出配管部43とは異なり検出器85が接続されていない。
【0044】
図5は、図1に示す脱気モジュールのバッファ管部と栓との接続部分付近を拡大して示す拡大断面図である。図6は、図1に示す脱気モジュールの脱気モジュールと吸引管部との接続部分付近を拡大して示す拡大断面図である。図5及び図6に示すように、バッファ管部44の内径d1は、特に限定されるものではない。例えば、真空配管40を容易に製造することができる観点から、バッファ管部44の内径d1は、吸引管部41の内径d2と同じであってもよい。つまり、バッファ管部44の内径d1は、排出集合部47において各チューブを相互に連結する連結部分を除く、吸引管部41の排出配管部45,46、排出集合部47、及び配管部48のそれぞれの内径d2と同じであってもよい。
【0045】
図7は、図1に示す脱気装置の脱気モジュール、真空配管、及び排出装置を示す模式図である。図7に示すように、バッファ管部44の長さL1は、特に限定されるものではない。例えば、吸引管部41内及び各減圧空間S2に生じる吸引圧力の脈動を適切に抑制することができる観点から、バッファ管部44の長さL1は、例えば、吸引管部41の脱気モジュール10,20から排出装置50に至る経路Rの長さL2の5%以上であることが好ましく、経路Rの長さL2の7.5%以上であることがより好ましく、経路Rの長さL2の10%以上であることが更に好ましい。経路Rは、例えば、吸引管部41の脱気モジュール10,20から排出装置50に至る最短経路である。脱気モジュール10,20から排出装置50に至る気体の流れ方向Dにおいて、脱気モジュール10が脱気モジュール20の下流側に配置されている場合、経路Rは、例えば、流れ方向Dにおいて下流側に配置される脱気モジュール10から排出装置50に至る経路となる。なお、バッファ管部44の長さL1が経路Rの長さL2の5%であるとは、バッファ管部44の長さL1が経路Rの長さL2の0.05倍であることをいう。一方、バッファ管部44の取り回しを容易に行うことができる観点から、バッファ管部44の長さL1は、例えば、経路Rの長さL2の30%以下であることが好ましく、経路Rの長さL2の20%以下であることがより好ましく、経路Rの長さL2の15%以下であることが更に好ましい。これらの観点から、バッファ管部44の長さL1は、例えば、吸引管部41の脱気モジュール10,20から排出装置50に至る経路Rの長さL2の5%以上30%以下であることが好ましく、経路Rの長さL2の7.5%以上20%以下であることがより好ましく、経路Rの長さL2の10%以上15%以下であることが更に好ましい。
【0046】
図5及び図7に示すように、例えば、吸引管部41内及び各減圧空間S2に生じる吸引圧力の脈動を適切に抑制することができる観点から、バッファ管部44の長さL1は、例えば、バッファ管部44の内径d1の1000%以上であることが好ましく、バッファ管部44の内径d1の1100%以上であることがより好ましく、バッファ管部44の内径d1の1200%以上であることが更に好ましい。なお、バッファ管部44の長さL1がバッファ管部44の内径d1の1000%であるとは、バッファ管部44の長さL1がバッファ管部44の内径d1の10倍であることをいう。一方、バッファ管部44の取り回しを容易に行うことができる観点から、バッファ管部44の長さL1は、例えば、バッファ管部44の内径d1の1600%以下であることが好ましく、バッファ管部44の内径d1の1500%以下であることがより好ましく、バッファ管部44の内径d1の1400%以下であることが更に好ましい。これらの観点から、バッファ管部44の長さL1は、例えば、バッファ管部44の内径d1の1000%以上1600%以下であることが好ましく、バッファ管部44の内径d1の1100%以上1500%以下であることがより好ましく、バッファ管部44の内径d1の1200%以上1400%以下であることが更に好ましい。
【0047】
図1及び図7に示すように、吸引管部41からバッファ管部44が分岐する部分をバッファ分岐部B1といい、吸引管部41から検出配管部43が分岐する部分を検出分岐部B2という。この場合、バッファ分岐部B1及び検出分岐部B2は、吸引管部41の如何なる位置であってもよい。例えば、減圧空間S2内に生じる吸引圧力の脈動をより一層低減することができる観点から、バッファ分岐部B1は、脱気モジュール10,20から排出装置50に至る気体の流れ方向Dにおける脱気モジュール10,20の下流側に位置することが好ましい。つまり、吸引管部41の脱気モジュール10,20から排出装置50に至る経路Rにおいて、バッファ分岐部B1は、脱気モジュール10,20よりも排出装置50側に位置することが好ましい。また、検出器85の検出精度を向上することができる観点から、検出分岐部B2は、脱気モジュール10,20から排出装置50に至る気体の流れ方向Dにおけるバッファ分岐部B1の上流側に位置することが好ましい。つまり、吸引管部41の脱気モジュール10,20から排出装置50に至る経路Rにおいて、検出分岐部B2は、バッファ分岐部B1よりも排出装置50とは反対側に位置することが好ましい。
【0048】
図1図5、及び図7に示すように、栓90は、吸引管部41及び減圧空間S2が高い圧力に加圧された際にバッファ管部44の先端部44aから抜けるように、バッファ管部44の先端部44aに着脱可能に装着されている。つまり、栓90は、バッファ管部44の先端部44aに装着されることで、バッファ管部44の先端部44aを閉塞し、バッファ管部44の先端部44aから抜けることで、バッファ管部44の先端部44aを開放する。栓90は、バッファ管部44に圧入される挿入部91と、挿入部91に対して拡径された拡径部92と、を有する。
【0049】
挿入部91は、バッファ管部44の先端部44aに圧入されることで、バッファ管部44の先端部44aを閉塞する。挿入部91は、バッファ管部44の先端部44aに圧入されることでバッファ管部44の先端部44aを閉塞することができれば、如何なる形状であってもよい。例えば、挿入部91は、円柱状とすることができる。挿入部91の外周長は、バッファ管部44の先端部44aの内周長より長くなっている。挿入部91が円柱状に形成されている場合、挿入部91の外径D1は、バッファ管部44の先端部44aの内径よりも大径となっている。このバッファ管部44の先端部44aの内径は、挿入部91が圧入されて拡大したバッファ管部44の先端部44aの内径ではなく、挿入部91が圧入される前のバッファ管部44の先端部44aの内径をいう。
【0050】
拡径部92は、挿入部91に対して拡径されることで、挿入部91との間に段差を形成している。拡径部92は、この段差がバッファ管部44の先端部44aの端面に当接することで、バッファ管部44の先端部44aに対する挿入部91の圧入量(圧入長さ)を規制する。また、拡径部92が、バッファ管部44の先端部44aから挿入部91を引き抜くための取っ手にもなるように、拡径部92の外径は、例えば、挿入部91が圧入されることで拡大したバッファ管部44の先端部44aの外径よりも大きくなっている。
【0051】
図5及び図6に示すように、脱気装置1では、吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧された際に、吸引管部41から排出ノズル部17が抜けるよりも先にバッファ管部44から栓90が抜けやすいように、挿入部91とバッファ管部44との密着力が排出ノズル部17と吸引管部41との密着力よりも小さくなる構成となっている。このような構成としては、例えば、挿入部91の外周長が、排出ノズル部17の外周長よりも小さい構成とすることができる。また、排出ノズル部17及び挿入部91が円柱状に形成されている場合は、挿入部91の外径D1が、排出ノズル部17の外径D2よりも小さい構成とすることができる。また、挿入部91及び排出ノズル部17の全体がバッファ管部44及び吸引管部41に圧入される場合、挿入部91の長さL3が、排出ノズル部17の長さL4よりも短い構成とすることができる。また、挿入部91及び排出ノズル部17の任意の部分がバッファ管部44及び吸引管部41に圧入される場合、バッファ管部44に対する挿入部91の圧入長さL5が、吸引管部41に対する排出ノズル部17の圧入長さL6よりも短い構成とすることができる。
【0052】
図1及び図2に示すように、排出装置50は、4つの防振部材101を介してハウジング5の底板2に支持されている。4つの防振部材101は、同じ構成であるため、特に分けて説明する場合を除き、防振部材101として纏めて説明する。防振部材101は、振動を減衰して振動が伝達されるのを抑制するための部材である。防振部材101は、底板2と排出装置50(固定板52)との間に介在して、底板2に対して排出装置50を支持している。4つの防振部材101は、平面視における固定板52の四隅に配置されて、固定板52の四隅において排出装置50(固定板52)を支持している。排出装置50は、防振部材101により、底板2の上面2a(排出装置50側の面)から所定の高さに配置されている。
【0053】
防振部材101は、例えば図8に示す構成を有している。図8は、図1に示す脱気装置の防振部材の付近を拡大して示す拡大断面図である。図8に示すように、防振部材101は、底板2と固定板52との間に介在して、底板2に対して固定板52を支持している。防振部材101は、固定板52の貫通穴52cに挿入された首部101aと、首部101aから固定板52の上面52a側に延びて拡径された上拡径部101bと、首部101aから固定板52の下面52b側に延びて拡径された下拡径部101cと、首部101a、上拡径部101b、及び下拡径部101cを貫通する貫通穴101dと、を有する。上拡径部101b及び下拡径部101cは、固定板52の貫通穴52cを通過しないように、固定板52の貫通穴52cの穴径よりも大径となっている。そして、ネジ102が、固定板52の上面52a側から防振部材101の貫通穴101dに挿入されて、底板2のネジ穴2cにねじ込まれている。これにより、上拡径部101b及び下拡径部101cが上面52a側及び下面52b側から固定板52を挟み込んで、下拡径部101cが底板2に押圧された状態となって、排出装置50が防振部材101を介して底板2に支持された状態となっている。なお、下拡径部101cが固定板52と底板2との間のスペーサーとなることで、固定板52が底板2から所定高さとなるように配置されている。
【0054】
図1及び図2に示すように、大気開放配管60は、脱気モジュール10,20の各減圧空間S2に連通され、各減圧空間S2を大気開放弁70に繋げるための部材である。大気開放配管60は、脱気モジュール10,20の各開放口18aに連なる開放配管部61,62と、開放配管部61,62を集合させる開放集合部64と、開放集合部64を大気開放弁70に繋げる配管65と、を有している。大気開放配管60の開放集合部64の配管65と逆側の端部66は閉じられている。大気開放配管60は、真空配管40と同様の材料、例えば、樹脂系のチューブから構成されている。より具体的には、大気開放配管60を構成する開放配管部61,62、開放集合部64及び配管65の少なくとも一部は、例えば上述したような樹脂系のチューブから構成されている。大気開放配管60のすべて又は略すべて(例えば連結部分を除く)の構成部材が樹脂系のチューブから構成されていてもよい。つまり、複数の樹脂チューブを連結部材等を使って連結して大気開放配管60を構成してもよい。このような樹脂チューブは、液体クロマトグラフィの使用溶媒に耐性があり、そのゴム硬度が70±30度の範囲であり、且つ、その酸素透過性が6000cc(STP)cm/cm/sec/cmHg×10-10以下である配管から構成されている。なお、開放集合部64の連結部分は、排出集合部47の連結部分と同様に、硬質プラスチック(例えば、ポリプロピレン)等から構成されていてもよい。
【0055】
大気開放弁70は、大気開放配管60の一端に連通され、制御部80からの制御指示に基づいて、大気開放配管60を介して脱気モジュール10,20の各減圧空間S2に一気に大気を導入可能な電磁弁である。大気開放弁70は、例えば、脱気モジュール10,20での脱ガス処理が終了すると、制御部80からの制御指示に基づいて、電磁弁を5秒以内で閉状態(CLOSE)から開状態(OPEN)に開放し、各減圧空間S2(例えば1Lの容器)を1分以内に大気開放する。
【0056】
調整弁75は、脱気モジュール10,20と排出装置50との間に配置され、減圧空間S2の減圧度を調整するための電磁弁である。調整弁75は、排出装置50による減圧空間S2の減圧処理を行っている場合には弁を開放し、一方、減圧空間S2の減圧度が所定の範囲内となった場合に、制御部80からの制御指示に基づいて弁を閉める。この際、排出装置50は、その排出動作を停止することができる。その後、一方、減圧空間S2の減圧度が所定の範囲外となった場合に、制御部80からの制御指示に基づいて弁を開ける。大気開放弁70及び調整弁75のいずれも複数の脚部71及び複数の脚部76により、ハウジング5の底板2から所定の高さとなるように嵩上げされている。
【0057】
制御部80は、排出装置50のポンプ51の作動及び作動の停止を制御する。また、制御部80は、制御部80は、減圧空間S2の減圧度を検出する検出器85を有し、検出した減圧度に基づいて、排出装置50及び調整弁75の動作を制御する。この制御では、検出器85で検出される減圧度が所定の値となるように排出装置50による大気の排出を行うと共に、減圧空間S2の減圧度が所定の範囲内になった場合には、調整弁75を閉めると共に排出装置50の動作を停止する。調整弁75を閉めた後に検出器85で検出した減圧度が所定の範囲外となった場合には、制御部80は、排出装置50を再度、可動させて排出処理を行う。
【0058】
一方、制御部80は、脱気モジュール10,20により脱ガス処理が終了すると、外部等からの停止指示に基づいて、排出装置50及び大気開放弁70の動作を制御する。この制御では、脱気処理を終了した後に大気開放弁70を開放して各減圧空間S2を一気に大気開放する。脱気処理を終了した後に、排出装置50による気体の排出動作を所定時間(例えば数秒)継続させつつ、大気開放弁70を開放して各減圧空間S2を一気に大気開放するように制御してもよい。
【0059】
以上、本実施形態に係る脱気装置1では、真空配管40の吸引管部41を介して脱気モジュール10,20の各減圧空間S2と排出装置50とが連通されているため、排出装置50の作動に伴い、吸引管部41内及び及び脱気モジュール10,20の各減圧空間S2内において吸引圧力の脈動が生じる。しかしながら、真空配管40が、各減圧空間S2に連通されて脱気モジュール10,20から排出装置50に至る吸引管部41に加えて、吸引管部41から分岐して先端部44aが閉塞されたバッファ管部44を有するため、この吸引圧力の脈動がバッファ管部44内にも波及することで、吸引管部41内及び及び各減圧空間S2内に生じる吸引圧力の脈動が低減される。これにより、脱気モジュール10,20の各チューブユニット12を流れる液体の流量及び流速の乱れを抑制することができる。しかも、バッファ管部44が吸引管部41から分岐しているため、吸引管部41を長くしなくてもバッファ管部44を設けることができる。これにより、各減圧空間S2から排出装置50に至る気体の圧力損失の増大を抑制することができるため、排出装置50の排出効率が低下するのを抑制することができる。また、吸引管部41の取り回しを容易に行うことができる。
【0060】
また、この脱気装置1では、バッファ分岐部B1が、脱気モジュール10,20から排出装置50に至る気体の流れ方向Dにおける脱気モジュール10,20の下流側に位置することで、吸引管部41内に生じる吸引圧力の脈動が各減圧空間S2に波及する前に、バッファ管部44により当該脈動を抑制することができる。これにより、各減圧空間S2内に生じる吸引圧力の脈動をより一層低減することができる。
【0061】
また、この脱気装置1では、吸引管部41から分岐する検出配管部43に各減圧空間S2の減圧度を検出するための検出器85が接続されていることで、各減圧空間S2の減圧度を適切に検出することができる。また、検出配管部43がバッファ管部44とは別に設けられることで、検出器85による制約を受けることなくバッファ管部44の位置、形状等を設計することができる。
【0062】
また、この脱気装置1では、検出分岐部B2が、脱気モジュール10,20から排出装置50に至る気体の流れ方向Dにおけるバッファ分岐部B1の上流側に位置することで、吸引管部41内に生じる吸引圧力の脈動が検出配管部43に波及する前に、バッファ管部44により当該脈動を低減することができる。これにより、検出器85の検出精度を向上することができる。
【0063】
また、この脱気装置1では、バッファ管部44の内径d1が吸引管部41の内径d2と同じであることで、真空配管40を容易に製造することができる。
【0064】
また、この脱気装置1では、バッファ管部44の長さL1が吸引管部41の脱気モジュール10,20から排出装置50に至る経路Rの長さL2の5%以上、7.5%以上、又は10%以上であることで、吸引管部41内に生じる吸引圧力の脈動を適切に抑制することができる。一方、バッファ管部44の長さL1が吸引管部41の脱気モジュール10,20から排出装置50に至る経路Rの長さL2の30%以下、20%以下、又は15%以下であることで、バッファ管部44の取り回しを容易に行うことができる。
【0065】
また、この脱気装置では、バッファ管部44の長さL1がバッファ管部44の内径d1の1000%以上、1100%以上、又は1200%以上であることで、吸引管部41内に生じる吸引圧力の脈動を適切に抑制することができる。一方、バッファ管部44の長さL1がバッファ管部44の内径d1の1600%以下、1500%以下、又は1400%以下であることで、バッファ管部44の取り回しを容易に行うことができる。
【0066】
また、この脱気装置1では、バッファ管部44の先端部44aを閉塞する栓90を備えることで、バッファ管部44の先端部44aを容易に閉塞することができる。ところで、メンテナンス等において誤って排出装置50の排気口55側に吸引管部41が接続され、この状態で排出装置50が作動すると、吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧される。吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧されると、各減圧空間S2の減圧度を検出する検出器85、吸引管部41等が破損したり、脱気モジュール10,20から吸引管部41が抜けたりする可能性がある。しかしながら、栓90は、バッファ管部44の先端部44aに着脱可能に装着されているため、吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧されると、バッファ管部44の先端部44aから栓90が抜けて、吸引管部41及び各減圧空間S2が大気開放される。このように、栓90が安全弁として機能することで、検出器85、吸引管部41等の破損、脱気モジュール10,20からの吸引管部41の抜けを抑制することができる。なお、バッファ管部44から栓90を外すことで、バッファ管部44に追加の脱気モジュール(不図示)を接続することもできるため、拡張性にも優れる。
【0067】
また、この脱気装置1では、栓90がバッファ管部44に圧入される挿入部91を有することで、バッファ管部44の先端部44aを適切に閉塞することができる。
【0068】
また、この脱気装置1では、挿入部91とバッファ管部44との密着力が排出ノズル部17と吸引管部41との密着力よりも小さいことで、吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧された際に、吸引管部41から排出ノズル部17が抜けるよりも先にバッファ管部44から挿入部91が抜けやすくすることができる。これにより、より早い段階で吸引管部41及び各減圧空間S2を大気開放させることができるため、栓90の安全弁としての機能を更に向上することができる。
【0069】
また、この脱気装置1では、挿入部91の外周長が排出ノズル部17の外周長よりも小さいことで、挿入部91とバッファ管部44との密着力を排出ノズル部17と吸引管部41との密着力よりも小さくすることができる。これにより、吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧された際に、吸引管部41から排出ノズル部17が抜けるよりも先にバッファ管部44から挿入部91が抜けやすくすることができる。
【0070】
また、この脱気装置1では、挿入部91の外径D1が排出ノズル部17の外径D2よりも小さいことで、挿入部91とバッファ管部44との密着力を排出ノズル部17と吸引管部41との密着力よりも小さくすることができる。これにより、吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧された際に、吸引管部41から排出ノズル部17が抜けるよりも先に、バッファ管部44から挿入部91が抜けやすくすることができる。
【0071】
また、この脱気装置1では、挿入部91の長さL3が排出ノズル部17の長さL4よりも短いことで、挿入部91及び排出ノズル部17の全体がバッファ管部44及び吸引管部41に圧入された際に、挿入部91とバッファ管部44との密着力を排出ノズル部17と吸引管部41との密着力よりも小さくすることができる。これにより、吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧された際に、吸引管部41から排出ノズル部17が抜けるよりも先に、バッファ管部44から挿入部91が抜けやすくすることができる。
【0072】
また、この脱気装置1では、バッファ管部44に対する挿入部91の圧入長さL5が吸引管部41に対する排出ノズル部17の圧入長さL6よりも短いことで、挿入部91とバッファ管部44との密着力を排出ノズル部17と吸引管部41との密着力よりも小さくすることができる。これにより、吸引管部41及び各減圧空間S2が高い圧力に加圧された際に、吸引管部41から排出ノズル部17が抜けるよりも先に、バッファ管部44から挿入部91が抜けやすくすることができる。
【0073】
また、この脱気装置1では、真空配管40の少なくとも一部がポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物であることで、耐溶剤性、耐薬品性、及び耐久性に優れるものとすることができる。また、気体透過性を低くすることができるとともに、真空配管40の抜けを抑制することができる。しかも、ポリオレフィン及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物の伸縮性により、吸引管部41内に生じる吸引圧力の脈動に応じて吸引管部41が膨張及び伸縮する。これにより、吸引管部41内及び及び各減圧空間S2内に生じる吸引圧力の脈動をより一層低減することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更または修正することが可能である。
【0075】
例えば、バッファ管部は、栓以外の他の構成により閉塞されていてもよい。例えば、バッファ管部がクリップ等の挟持部材により挟み込まれることで、バッファ管部が閉塞されていてもよい。この場合、クリップ等の挟持部材により挟み込まれて閉塞した位置までがバッファ管部となり、クリップ等の挟持部材により挟み込まれて閉塞した位置の近傍が、バッファ管部の先端部となる。
【0076】
また、例えば、防振部材は、ハウジング及び排出装置に直接的に取り付けられるものではなく、他の部材を介してハウジング及び排出装置に取り付けられるものであってもよい。図9は、他の例の脱気装置を示す模式的な概略側面図である。図10は、図9に示す脱気装置の防振部材の付近を拡大して示す拡大断面図である。図9及び図10に示す脱気装置1Aでは、防振部材103は、円柱、角柱等の柱状に形成されている。防振部材103の一方側の先端である上端には、ネジ溝104aが形成された上部プレート104が接続されており、防振部材103の他方側の先端である下端には、ネジ溝105aが形成された下部プレート105が接続されている。そして、固定板52の貫通穴52dに挿入されたネジ106が上部プレート104のネジ溝104aにねじ込まれることで、固定板52に上部プレート104が固定されており、底板2の貫通穴2dに挿入されたネジ107が下部プレート105のネジ溝105aにねじ込まれることで、底板2に下部プレート105が固定されている。これにより、防振部材103は、ハウジング5の底板2と排出装置50の固定板52との間に介在して、ハウジング5の底板2に対して排出装置50を支持した状態となっている。
【0077】
また、例えば、防振部材は、排出装置の固定板に取り付けられるのではなく、排出装置のポンプに取り付けられるものであってもよい。図11は、他の例の脱気装置を示す模式的な概略側面図である。図11に示す脱気装置1Bでは、排出装置56は、上記実施形態と同様のポンプ51を有するが、上記実施形態の固定板に対応する構成を有しない。そして、防振部材109は、直接的又は間接的にポンプ51と底板2とに取り付けられている。防振部材109の形状、及びポンプ51及び底板2に対する防振部材109の取付構造は、例えば、図8に示す防振部材101の形状、及び固定板52及び底板2に対する防振部材101の取付構造、図10に示す防振部材103の形状、及び固定板52及び底板2に対する防振部材103の取付構造等と同様とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィー、生化学分析装置、インクジェット充填装置等に用いる脱気装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1,1A,1B…脱気装置、2…底板、2a…上面、2c…ネジ穴、2d…貫通穴、3…前板、4…後板、5…ハウジング、10…脱気モジュール、11…チューブ、12…チューブユニット、12a…流入口、12b…排出口、13…ハウジング、13a…開口部、14…蓋部、15…コネクタ部、16…コネクタ部、17…排出ノズル部、17a…排出口、18…開放ノズル部、18a…開放口、20…脱気モジュール、40…真空配管、41…吸引管部、42…排出管部、43…検出配管部、44…バッファ管部、44a…先端部、45,46…排出配管部、、47…排出集合部、48…配管部、50…排出装置、51…ポンプ、52…固定板、52a…上面、52b…下面、52c…貫通穴、52d…貫通穴、53…モータ、54…吸気口、55…排気口、56…排出装置、60…大気開放配管、61,62…開放配管部、64…開放集合部、65…配管、66…端部、70…大気開放弁、71…脚部、75…調整弁、76…脚部、80…制御部、85…検出器、90…栓、91…挿入部、92…拡径部、101…防振部材、101a…首部、101b…上拡径部、101c…下拡径部、101d…貫通穴、102…ネジ、103…防振部材、104…上部プレート、104a…ネジ溝、105…下部プレート、105a…ネジ溝、106…ネジ、107…ネジ、109…防振部材、B1…バッファ分岐部、B2…検出分岐部、D…流れ方向、d1…内径、d2…内径、D1…外径、D2…外径、L1…バッファ管部の長さ、L2…吸引管部の脱気モジュールから排出装置に至る経路の長さ、L3…挿入部の長さ、L4…排出ノズル部の長さ、L5…バッファ管部に対する挿入部の圧入長さ、L6…吸引管部に対する排出ノズル部の圧入長さ、R…経路、S1…流体流通空間、S2…減圧空間。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11