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特許7529363半導体製造システム、制御装置、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】半導体製造システム、制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240730BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020146310
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022041233
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
(72)【発明者】
【氏名】木下 毅洋
(72)【発明者】
【氏名】大江 貴志
(72)【発明者】
【氏名】金谷 徳明
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153216(JP,A)
【文献】特開2004-348605(JP,A)
【文献】特開2016-100405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置の装置画面を表示するローカル操作端末と、
前記半導体製造装置とネットワークを介して接続されており、前記装置画面を表示する1台以上のリモート操作端末と、
前記装置画面を表示する前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末がユーザから受け付けた操作に基づいて前記半導体製造装置を制御する制御装置と、
を有し、
前記制御装置は、
前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末からの同時ログイン状態を管理するログイン状態管理手段と、
ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末の装置画面表示状態を管理する装置画面表示状態管理手段と、
前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データを、前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末ごとに作成する画面データ作成手段と、
前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に表示させる前記装置画面を異ならせるように前記画面データ作成手段が作成する前記画面データを制御する排他制御手段と、
を有し、
前記排他制御手段は、前記ローカル操作端末がログイン中の場合に、前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データとして、前記半導体製造装置の動作を含む操作をユーザから受け付ける前記装置画面の画面データを作成しないこと
を特徴とする半導体製造システム。
【請求項2】
前記排他制御手段は、前記ローカル操作端末がログイン中でない場合に、前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データとして、前記半導体製造装置の動作を含む操作をユーザから受け付ける前記装置画面の画面データを作成すること
を特徴とする請求項記載の半導体製造システム。
【請求項3】
前記画面データ作成手段は、前記ログイン中のユーザのユーザ情報として、前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末の識別情報とユーザ名とを表示する前記装置画面の画面データを作成すること
を特徴とする請求項1又は2記載の半導体製造システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末から受け付けた操作情報に応じた実行指示が、前記半導体製造装置に対して可能か否かを、前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて判定する操作情報判定手段と、
前記半導体製造装置に対する実行指示が可能と判定された場合に、前記操作情報に応じた実行指示を前記半導体製造装置に対して行い、前記半導体製造装置を制御する実行指示手段と、
を有する請求項1乃至の何れか一項に記載の半導体製造システム。
【請求項5】
前記操作情報判定手段は、前記操作情報に応じた実行指示が、前記半導体製造装置に関するレシピまたはパラメータの編集に関するものである場合に、編集対象の前記レシピまたはパラメータのロック状態を確認し、編集対象の前記レシピまたはパラメータがロック状態でなければロック状態に変更して、前記半導体製造装置に関するレシピまたはパラメータの編集指示が可能と判定し、編集対象の前記レシピまたはパラメータがロック状態であれば、前記半導体製造装置に関するレシピまたはパラメータの編集指示が可能でないと判定すること
を特徴とする請求項記載の半導体製造システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記ローカル操作端末又は前記リモート操作端末の何れか一方を選択するローカル/リモート切り換えスイッチの状態を判定するローカル/リモート切り換えスイッチ状態判定部と、
前記ローカル/リモート切り換えスイッチ状態判定部の選択が前記リモート操作端末から前記ローカル操作端末に切り換えられた場合に、ログイン中の前記リモート操作端末をログアウトさせるリモート操作遮断手段と、
を更に有する請求項1乃至の何れか一項に記載の半導体製造システム。
【請求項7】
半導体製造装置の装置画面を表示するローカル操作端末及び前記装置画面を表示する1台以上のリモート操作端末がユーザから受け付けた操作に基づいて前記半導体製造装置を制御する制御装置であって、
前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末からの同時ログイン状態を管理するログイン状態管理手段と、
ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末の装置画面表示状態を管理する装置画面表示状態管理手段と、
前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データを、前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末ごとに作成する画面データ作成手段と、
前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に表示させる前記装置画面を異ならせるように前記画面データ作成手段が作成する前記画面データを制御する排他制御手段と、
を有し、
前記排他制御手段は、前記ローカル操作端末がログイン中の場合に、前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データとして、前記半導体製造装置の動作を含む操作をユーザから受け付ける前記装置画面の画面データを作成しないこと
を特徴とする制御装置。
【請求項8】
半導体製造装置の装置画面を表示するローカル操作端末及び前記装置画面を表示する1台以上のリモート操作端末がユーザから受け付けた操作に基づいて前記半導体製造装置を制御する制御方法であって、
前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末からの同時ログイン状態を管理するログイン状態管理ステップと、
ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末の装置画面表示状態を管理する装置画面表示状態管理ステップと、
前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データを、前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末ごとに作成する画面データ作成ステップと、
前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に表示させる前記装置画面を異ならせるように前記画面データ作成ステップで作成する前記画面データを制御する排他制御ステップと、
を有し、
前記排他制御ステップは、前記ローカル操作端末がログイン中の場合に、前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データとして、前記半導体製造装置の動作を含む操作をユーザから受け付ける前記装置画面の画面データを作成しないこと
を特徴とする制御方法。
【請求項9】
半導体製造装置の装置画面を表示するローカル操作端末及び前記装置画面を表示する1台以上のリモート操作端末がユーザから受け付けた操作に基づいて前記半導体製造装置を制御する制御装置を、
前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末からの同時ログイン状態を管理するログイン状態管理手段、
ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末の装置画面表示状態を管理する装置画面表示状態管理手段、
前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データを、前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末ごとに作成する画面データ作成手段、
前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に表示させる前記装置画面を異ならせるように前記画面データ作成手段が作成する前記画面データを制御する排他制御手段、
として機能させ
前記排他制御手段は、前記ローカル操作端末がログイン中の場合に、前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データとして、前記半導体製造装置の動作を含む操作をユーザから受け付ける前記装置画面の画面データを作成しないこと
を特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造システム、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造装置は自身の動作を制御するための制御装置を備えている。制御装置には、入力装置と表示装置とが設けられる。操作者は、入力装置を通じて制御装置に指令や情報を入力して半導体製造装置を制御し、表示装置に表示された半導体製造装置の処理条件設定や現在の状態などを確認する。操作者は、クリーンルーム内の半導体製造装置が設置された場所において、制御装置に設けられた入力装置や表示装置から半導体製造装置を制御したり監視したりすることができる。
【0003】
通常、半導体製造装置はクリーンルーム内に設置されている。クリーンルーム内は環境を一定に維持する必要があるため、人の出入りを極力抑える必要がある。クリーンルーム内に設置された半導体製造装置をクリーンルーム外のコンピュータにネットワークを介して接続し、コンピュータにより処理装置の動作を制御したり監視したりする遠隔制御システムは従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-251050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、ローカル操作端末及び1台以上のリモート端末ごとに半導体製造装置の異なる装置画面を同時に表示することができ、装置画面から半導体製造装置に対する操作を受け付ける技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の半導体製造システムは、半導体製造装置の装置画面を表示するローカル操作端末と、前記半導体製造装置とネットワークを介して接続されており、前記装置画面を表示する1台以上のリモート操作端末と、前記装置画面を表示する前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末がユーザから受け付けた操作に基づいて前記半導体製造装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末からの同時ログイン状態を管理するログイン状態管理手段と、ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末の装置画面表示状態を管理する装置画面表示状態管理手段と、前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データを、前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末ごとに作成する画面データ作成手段と、前記同時ログイン状態及び前記装置画面表示状態に基づいて、前記ログイン中の前記ローカル操作端末及び前記リモート操作端末に表示させる前記装置画面を異ならせるように前記画面データ作成手段が作成する前記画面データを制御する排他制御手段と、を有し、前記排他制御手段は、前記ローカル操作端末がログイン中の場合に、前記リモート操作端末に送信する前記装置画面の画面データとして、前記半導体製造装置の動作を含む操作をユーザから受け付ける前記装置画面の画面データを作成しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ローカル操作端末及び1台以上のリモート端末ごとに半導体製造装置の異なる装置画面を同時に表示することができ、装置画面から半導体製造装置に対する操作を受け付ける技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る半導体製造システムの一例の構成図である。
図2】コンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図3】本実施形態に係る制御装置の一例の機能ブロック図である。
図4】ログイン中に表示される画面の一例のイメージ図である。
図5】ログイン中に表示される画面の一例のイメージ図である。
図6】ログイン中に表示される画面の一例のイメージ図である。
図7】本実施形態における装置画面の排他制御の一例を示した分類図である。
図8】本実施形態に係る制御装置の処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0010】
<システム構成>
図1は本実施形態に係る半導体製造システム1の一例の構成図である。図1に示す半導体製造システム1は、半導体製造装置10、ローカル操作端末12、及びリモート操作端末20を有する。半導体製造システム1は、半導体製造装置10をローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20から遠隔制御(リモートコントロール)するために構築されたシステムである。
【0011】
半導体製造装置10はクリーンルーム2内に1台以上、設置されている。半導体製造装置10はLAN(Local Area Network)などのネットワーク24を介して通信可能に接続される。半導体製造装置10は、例えば成膜処理、エッチング、フォトリソグラフィなどの処理を行う装置である。
【0012】
半導体製造装置10は、被処理体の処理を行う処理部と、処理部の制御を行う制御装置とを有している。図1では半導体製造装置10内に設けられている制御装置を図示していないが、制御装置の表示・入力装置であるローカル操作端末12が半導体製造装置10に取り付けられた状態を一例として示している。
【0013】
リモート操作端末20は、クリーンルーム2の外の例えばオフィス内に設置され、LANなどのネットワーク22を介して通信可能に接続される。ネットワーク22はクリーンルーム2内のネットワーク24と通信可能に接続される。オフィス内などに設置されていうリモート操作端末20はネットワーク22及び24を介して半導体製造装置10の制御装置と通信できる。
【0014】
図1の半導体製造システム1では半導体製造装置10の装置画面をローカル操作端末12及びリモート操作端末20に表示し、その装置画面に対するユーザ(操作者)の操作に基づいて半導体製造装置10を制御できる。半導体製造装置10の制御装置は、後述するように、複数のユーザによる同時ログイン(マルチログイン)を受け付け、ログイン中のユーザが操作するローカル操作端末12及びリモート操作端末20(以下では、ログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20と呼ぶ)に、異なる装置画面を表示させることができる。
【0015】
これにより、図1の半導体製造システム1では、同一の半導体製造装置10の制御装置にログイン中のローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20に、同時に異なる装置画面を独立に表示させ、異なる装置画面からの半導体製造装置10の制御を可能としている。なお、半導体製造装置10の制御装置は、ログイン中のローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20に表示する装置画面の排他制御を後述するように行う。
【0016】
図1の半導体製造システム1は、同一の半導体製造装置10の制御装置にローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20からそれぞれログイン中のユーザが、異なる装置画面を閲覧し、異なる(個別の)装置画面から同一の半導体製造装置10を操作できる。
【0017】
ローカル操作端末12はローカル/リモート切り換えスイッチ14を備え、ユーザからローカル操作端末12又はリモート操作端末20の選択をユーザから受け付ける。ローカル操作端末12及びリモート操作端末20は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)やタブレット端末、スマートフォン、専用端末等により実現される。
【0018】
また、半導体製造装置10は図1のように制御装置が内蔵されていてもよいし、通信可能に接続されていれば必ずしも内蔵されていなくてもよい。制御装置は、半導体製造装置10を制御するコンピュータ構成を持ったコントローラである。例えば制御装置はレシピに従って半導体製造装置10の制御部品を制御するパラメータを半導体製造装置10に出力する。
【0019】
制御装置は、半導体製造装置10に対する操作をユーザから受け付けると共に、半導体製造装置10に関する情報をユーザに閲覧させるユーザインターフェース(UI)機能を有する。例えば制御装置のUI機能は、ローカル操作端末12及びリモート操作端末20に表示させる装置画面を後述のように管理する。
【0020】
なお、図1の半導体製造システム1は一例であり、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。例えば半導体製造システム1は、それぞれの半導体製造装置10の制御装置が、複数の半導体製造装置10用の制御装置に統合された構成や更に分割された構成など、様々な構成が可能である。
【0021】
<ハードウェア構成>
図1に示す半導体製造システム1の制御装置は、例えば図2に示すようなハードウェア構成のコンピュータ100により実現される。図2はコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【0022】
コンピュータ100は、主制御部101と、記憶装置105と、外部インターフェース106と、これらを互いに接続するバス107と、を備えている。主制御部101は、CPU(Central Processing Unit)111と、RAM(Random Access Memory)112と、ROM(Read Only Memory)113とを有している。記憶装置105は制御に必要なプログラムや情報の記録および読み取りを行うようになっている。記憶装置105は、HDD(Hard Disk Drive)などのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を有している。記憶媒体には、ウエハに対する所望の処理のレシピ等が記憶されている。
【0023】
制御装置では、CPU111が、RAM112を作業領域として用いて、ROM113又は記憶装置105の記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより、ローカル操作端末12及びリモート操作端末20に装置画面を表示させ、ユーザの装置画面に対する操作に基づいて半導体製造装置10を制御する。
【0024】
半導体製造装置10の制御装置は、例えば図2のコンピュータ100のハードウェア構成でプログラムを実行することにより、図3の各種機能を実現できる。
【0025】
<機能構成>
本実施形態に係る半導体製造システム1の制御装置30は、例えば図3の機能ブロックを実現する。図3は、本実施形態に係る制御装置の一例の機能ブロック図である。図3の機能ブロック図は、本実施形態の説明に不要な構成について図示を省略している。
【0026】
制御装置30はプログラムを実行することで、ログイン処理部32、画面データ取得要求受付部34、画面データ送信部36、操作情報受付部38、画面管理部40、機械制御部42、入出力部44、及びローカル/リモート切り換えスイッチ状態判定部46を実現している。
【0027】
ログイン処理部32は、ローカル操作端末12及びリモート操作端末20からのログイン要求に対するログイン処理を行う。画面データ取得要求受付部34は、ローカル操作端末12及びリモート操作端末20に搭載されたアプリケーションプログラム(以下、単にアプリと呼ぶ)等からの画面データ取得要求を受け付ける。画面データ送信部36は、画面データ取得要求に基づいて作成した画面データを、画面データ取得要求元のローカル操作端末12及びリモート操作端末20に送信する。
【0028】
ローカル操作端末12及びリモート操作端末20に搭載されたアプリ等は、受信した画面データに基づいた画面を表示する。受信した画面データに基づいた画面には、半導体製造装置10の装置画面が含まれる。ローカル操作端末12及びリモート操作端末20を操作するユーザは、装置画面を操作することで半導体製造装置10を制御できる。
【0029】
例えば装置画面を表示するローカル操作端末12及びリモート操作端末20は、装置画面に対するユーザの操作に基づき、操作情報を制御装置30に送信する。ここで、操作情報とは、ローカル操作端末12及びリモート操作端末20が表示する装置画面等の画面に対するユーザの操作を、制御装置30に通知できる情報であればよい。制御装置30の操作情報受付部38はローカル操作端末12及びリモート操作端末20から送信された操作情報を受け付ける。
【0030】
なお、制御装置30は複数のユーザによるローカル操作端末12及びリモート操作端末20からの同時ログインを受け付け、ログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20に、異なる装置画面を表示させるため、複数の通信ポートを開放する。制御装置30は例えば複数のVNC(Virtual Network Computing)サーバを立ち上げ、ポート番号でローカル操作端末12及びリモート操作端末20に独立した個別の装置画面を同時に表示可能とする。
【0031】
画面管理部40はログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20に表示させる画面に関する管理を行う。画面管理部40は、ログイン状態管理部50、装置画面表示状態管理部52、排他制御部54、画面データ作成部56、操作情報判定部58、実行指示部60、及びリモート操作遮断部62を有する構成である。
【0032】
ログイン状態管理部50はログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20に関する情報(ログイン状態)を管理する。装置画面表示状態管理部52はログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20が表示中の装置画面に関する情報(装置画面表示状態)を管理する。排他制御部54は、ログイン中のローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20に表示する装置画面の排他制御を行う。本実施形態の半導体製造システム1では、ログイン中のローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20が独立した装置画面を同時に表示するため、表示の可否を含めた必要な排他制御を行う。
【0033】
画面データ作成部56は、ログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20から受け付けた画面データ取得要求、ログイン状態、装置画面表示状態、及び排他制御の結果に従い、画面データを作成する。画面データ作成部56が画面データを作成する装置画面は、表示する情報の種類によって複数の画面が存在する。
【0034】
例えば通常運用時において、装置画面はガスフロー状態や温度などのデータの種類ごとに別の画面に表示する場合がある。また、メンテナンス作業時において、装置画面は作業の種類ごとに別の画面を表示する場合がある。画面データ作成部56は、装置画面の複数の画面の中から、ログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20から受け付けた画面データ取得要求に応じた画面データを作成する。
【0035】
操作情報判定部58は、ログイン中のローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20から受け付けた操作情報に基づき、操作情報に応じた半導体製造装置10への実行指示が可能か否か判定する。本実施形態の半導体製造システム1では、ログイン中のローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20が独立した装置画面を同時に表示するため、操作情報に応じた実行指示の可否を含めた必要な判定を行う。実行指示部60は操作情報に応じた半導体製造装置10への実行指示が可能であれば、操作情報に応じた実行指示を行う。
【0036】
リモート操作遮断部62はローカル/リモート切り換えスイッチ14がリモート操作端末20の選択状態からローカル操作端末12の選択状態に切り換えられると、ログイン中のリモート操作端末20をログアウトさせ、リモート操作端末20からの遠隔制御を遮断する。
【0037】
機械制御部42は、画面管理部40からの要求や実行指示に基づいて半導体製造装置10の各部の動作や設定を制御する。入出力部44は機械制御部42から送信された制御指令を対応する半導体製造装置10の各部に送信し、必要な情報を各部から受信する。入出力部44が受信する情報には、センサ出力データが含まれる。機械制御部42は入出力部44が半導体製造装置10の各部から受信した情報を画面管理部40に送信する。例えば画面管理部40は半導体製造装置10の各部から受信した情報を装置画面の画面データの作成に利用する。ローカル/リモート切り換えスイッチ状態判定部46は、ローカル/リモート切り換えスイッチ14がリモート操作端末20の選択状態であるか、ローカル操作端末12の選択状態であるか、を判定する。
【0038】
<画面>
図4はログイン中に表示される画面の一例のイメージ図である。図4の画面1000はログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20に表示される。図4の画面1000ではタブ1002及び1004によりダッシュボード画面及び装置画面を切り換えて表示できる。図4の画面1000はタブ1002が選択され、ダッシュボード画面が表示されている例である。
【0039】
また、画面1000には装置状態表示欄1006が表示される。装置状態表示欄1006は、半導体製造装置10の装置名、ローカル操作端末12のログイン状態、ローカル操作端末12のログインユーザ名、リモート操作端末20の利用状況、リモート操作端末20のログインユーザ名、半導体製造装置10のシグナルタワーの状態、半導体製造装置10のアラーム状態、ローカル/リモート切り換えスイッチ14の状態、レシピ実行状態などの情報が表示される。
【0040】
図4の画面1000においてタブ1004が選択されると、画面1000には図5に示すように、半導体製造装置10の装置画面に接続、切断、又は装置画面の設定を行うためのコマンドアイコン1010が表示される。また、図5の画面1000には利用ユーザ表示欄1012が表示される。利用ユーザ表示欄1012は、ログインした半導体製造装置10を利用している(ログイン中の)ユーザのユーザ情報として、リモート/ローカル識別情報、ユーザ名、及び端末名などが表示される。
【0041】
図5の画面1000において接続のコマンドアイコン1010が選択されると、画面1000には図6に示すように、ログイン中の半導体製造装置10の装置画面1014が表示される。図6の装置画面1014が表示されたローカル操作端末12及びリモート操作端末20を操作するユーザは、装置画面1014を操作することでログイン中の半導体製造装置10のガスフロー状態、プロセス状態、システム状態などを閲覧できる。
【0042】
また、図6の装置画面1014が表示されたローカル操作端末12及びリモート操作端末20を操作するユーザは、装置画面1014を操作することでログイン中の半導体製造装置10を制御できる。ただし、装置画面1014はリモート操作端末20から受け付ける操作に制限を設けるようにしてもよい。例えば装置画面1014は半導体製造装置10の動作を含む操作をリモート操作端末20から受け付けないように制限してもよい。
【0043】
また、例えばリモート操作端末20に表示された装置画面1014はローカル操作端末12がログイン中の場合に、半導体製造装置10の動作を含む操作を受け付けないようにしてもよい。また、ローカル操作端末12がログイン中の場合に、リモート操作端末20は半導体製造装置10の動作を含む操作の装置画面1014を表示しないように制限してもよい。
【0044】
さらに、ログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20に個別の装置画面1014を同時に表示できるため、本実施形態の半導体製造システム1では装置画面1014間の排他制御を行う。例えばレシピを編集可能な装置画面1014はレシピの編集中にロック状態となり、他のローカル操作端末12及びリモート操作端末20からのレシピ編集の操作を受け付けない。
【0045】
また、例えばローカル操作端末12がログイン中の場合に、リモート操作端末20に表示されたパラメータ編集の装置画面1014からのパラメータ編集の操作を受け付けないようにしてもよい。
【0046】
図7は本実施形態における装置画面の排他制御の一例を示した分類図である。図7に示した装置画面1014の排他制御は、ローカルとリモートの同時操作、制限の種類、及び制限状態の変化により分類されている。
【0047】
例えばローカルとリモートの同時操作が「可能」であり、制限の種類が「制限なし」である装置画面1014は、ログイン中のローカル操作端末12及びリモート操作端末20から常に操作可能である。
【0048】
ローカルとリモートの同時操作が「可能」であり、制限の種類が「画面表示不可能」である装置画面1014は、制限状態の変化が「固定」のログインユーザの操作制限による表示制限、又は制限状態の変化が「動的変化」の半導体製造装置10の状態による表示制限がある。
【0049】
ローカルとリモートの同時操作が「可能」であり、制限の種類が「画面表示可能、同時使用可能、コマンド実行制限」である装置画面1014は、制限状態の変化が「固定」のログインユーザの操作制限による操作制限、又は制限状態の変化が「動的変化」の半導体製造装置10の状態による操作制限がある。
【0050】
ローカルとリモートの同時操作が「可能」であり、制限の種類が「画面表示可能、同時使用可能、編集制限」である装置画面1014は、制限状態の変化が「固定」のログインユーザの操作制限による操作制限、又は制限状態の変化が「動的変化」の半導体製造装置10の状態又はローカル操作端末12のログイン状態による操作制限がある。
【0051】
例えばローカルとリモートの同時操作が「不可能」であり、制限の種類が「ローカルのみ操作可能」である装置画面1014は、ログイン中のローカル操作端末12のみ操作可能である。
【0052】
<処理>
図8は本実施形態に係る制御装置の処理の一例のフローチャートである。半導体製造装置10の制御装置30はローカル操作端末12及びリモート操作端末20からのログイン要求に対するログインが成功すると、ステップS10からS12に進む。ステップS12において、制御装置30はログインに成功したローカル操作端末12又はリモート操作端末20が表示する初期の画面データを作成する。ログインに成功したローカル操作端末12又はリモート操作端末20が表示する初期の画面データは、例えば図4の画面1000の画面データである。
【0053】
制御装置30は、ログインに成功したログインユーザが操作するローカル操作端末12又はリモート操作端末20に初期の画面データを送信する。初期の画面データを受信したローカル操作端末12又はリモート操作端末20は、例えば図4の画面1000のような初期の画面を表示する。
【0054】
例えば図4の画面1000が表示されたローカル操作端末12又はリモート操作端末20のユーザはタブ1004を選択したあと、接続のコマンドアイコン1010を選択することで、装置画面1014の表示要求を行うことができる。なお、図8のフローチャートでは図4の画面1000の更新処理について省略している。
【0055】
ログインユーザが操作するローカル操作端末12又はリモート操作端末20から装置画面1014の表示要求を受け付けると、制御装置30はステップS16に進む。制御装置30はステップS16において、排他制御のための情報として、他のユーザの装置画面表示状態を確認する。
【0056】
ステップS18において、制御装置30は上記の排他制御により、ログインユーザが操作するローカル操作端末12又はリモート操作端末20に装置画面1014を表示可能であるか否かを判定する。表示可能と判定すると、制御装置30はステップS20において装置画面1014の画面データを作成し、ログインユーザが操作するローカル操作端末12又はリモート操作端末20に送信する。なお、表示可能でないと判定すると、制御装置30はステップS28に進み、例えば装置画面1014の表示ができないことを通知するエラー処理を行う。
【0057】
装置画面1014の画面データを受信したローカル操作端末12又はリモート操作端末20は、例えば図6のような装置画面1014を表示する。例えば図6の装置画面1014が表示されたローカル操作端末12又はリモート操作端末20のユーザは、装置画面1014を操作することでログイン中の半導体製造装置10に対する操作情報を制御装置30に送信できる。
【0058】
ログインユーザが操作するローカル操作端末12又はリモート操作端末20から操作情報を受け付けると、制御装置30はステップS22からS24に進む。制御装置30はステップS24において、上記の排他制御により、ログインユーザが操作するローカル操作端末12又はリモート操作端末20から受け付けた操作情報に基づき、操作情報に応じた半導体製造装置10への実行指示が可能か否か判定する。
【0059】
実行指示可能と判定すると、制御装置30はステップS26において操作情報に応じた実行指示を行い、ログイン中の半導体製造装置10を制御する。なお、実行指示可能でないと判定すると、制御装置30はステップS30に進み、例えば装置画面1014から受け付けた半導体製造装置10の操作ができないことを通知するエラー処理を行う。
【0060】
制御装置30はログインユーザが操作するローカル操作端末12又はリモート操作端末20からログアウトの要求があるまでステップS14~S32の処理を繰り返し、ログアウトの要求があると図8のフローチャートの処理を終了する。
【0061】
<まとめ>
本実施形態の半導体製造システム1において、装置画面1014はガスフロー状態や温度などのユーザが閲覧したいデータの種類によって、例えば20以上などの複数の画面にデータを表示する。
【0062】
本実施形態の半導体製造システム1は、ログイン中のローカル操作端末12及び1台以上のリモート操作端末20が独立した装置画面1014を同時に表示できるため、通常運用時及びメンテナンス時の作業の効率を向上できる。
【0063】
例えば本実施形態の半導体製造システム1では、通常運用時、半導体製造装置10の温度を閲覧したいユーザ、ガスフロー状態を閲覧したいユーザ、次のクリーニングの時期を知りたいユーザが、同時に別の装置画面1014を閲覧し、個別の装置画面1014から半導体製造装置10の操作を同時並行で行うことができる。
【0064】
また、例えば本実施形態の半導体製造システム1では、メンテナンス時、半導体製造装置10のメンテナンス画面Aを参照したいユーザ、半導体製造装置10のメンテナンス画面Bを参照したいユーザが、同時に別の装置画面1014からメンテナンス画面A又はメンテナンス画面Bを閲覧し、半導体製造装置10のメンテナンス作業を同時並行で行うことができる。
【0065】
さらに、本実施形態の半導体製造システム1では、トラブル時、ローカル操作端末12でオペレータが投入・払い出し処理を行いつつ、リモート操作端末20からエンジニアがレシピ設定、パラメータ設定、及びセンサ状態を並列で確認等できるため、業務を効率化することができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 半導体製造システム
2 クリーンルーム
10 半導体製造装置
12 ローカル操作端末
14 ローカル/リモート切り換えスイッチ
20 リモート操作端末
30 制御装置
32 ログイン処理部
34 画面データ取得要求受付部
36 画面データ送信部
38 操作情報受付部
40 画面管理部
42 機械制御部
44 入出力部
46 ローカル/リモート切り換えスイッチ状態判定部
50 ログイン状態管理部
52 装置画面表示状態管理部
54 排他制御部
56 画面データ作成部
58 操作情報判定部
60 実行指示部
62 リモート操作遮断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8