(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
B24B 49/10 20060101AFI20240730BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20240730BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20240730BHJP
B24B 37/04 20120101ALI20240730BHJP
H01L 21/304 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
B24B49/10
B24B49/04 Z
B24B7/04 A
B24B37/04
H01L21/304 631
H01L21/304 621B
(21)【出願番号】P 2020024140
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福士 暢之
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213995(JP,A)
【文献】特開2010-052076(JP,A)
【文献】特開2010-034249(JP,A)
【文献】特開2010-010267(JP,A)
【文献】特開2018-027604(JP,A)
【文献】特開平07-122619(JP,A)
【文献】特開2018-181896(JP,A)
【文献】特開平10-135305(JP,A)
【文献】特開2003-071713(JP,A)
【文献】特開平10-034522(JP,A)
【文献】特開2019-198940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B1/00-57/04
H01L21/00-33/64
B24D7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶方位を示すマークを有する被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を研削砥石で研削または研磨パッドで研磨する加工手段と、複数の被加工物を棚状に収容可能なカセットを載置するカセットステージと、被加工物を仮置きする仮置きテーブルと、洗浄される被加工物を保持するスピンナテーブルと、該スピンナテーブルを回転させるスピンナテーブル回転手段と、該スピンナテーブルの回転数を検知するエンコーダと、該カセットステージに載置された該カセット内の被加工物を該仮置きテーブルに搬送または該スピンナテーブルに保持された被加工物を該カセットステージに載置された該カセット内に搬送するロボットと、を備える加工装置において、
正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを判断する判断手段と、該判断手段が、被加工物が正常に加工されたと判断したら該マークを所定の方向に向ける制御を行い該カセットに被加工物を収容させ、該判断手段が、被加工物が正常に加工されなかったと判断したら該マークを該所定の方向とは異なる方向に向ける制御を行い該カセットに被加工物を収容させる制御手段と、を備え、
該制御手段は、該判断手段による判断結果に応じて、該エンコーダが検知した回転数に基づき該スピンナテーブルの回転角度を制御することにより該マークの方向を調整し、
該カセットは、該ロボットによって被加工物を搬入するための開口を備え、
該ロボットは、該マークの方向が調整された被加工物を該カセット内に搬送し、
正常に加工されなかったと判断された被加工物は、該カセットの該開口が形成された側の裏側である奥側に該マークを向けて収容する加工装置。
【請求項2】
被加工物の厚みを測定する厚み測定手段を備え、
前記判断手段は、該厚み測定手段が測定した被加工物の厚みによって、被加工物が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを判断する請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
前記判断手段は、複数の判断部を備え、
該判断部は、該判断部毎に、一致しない方向の前記異なる方向が予め設定されていて、
複数の該判断部は、被加工物が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かをそれぞれ異なる判断基準で判断可能であり、
複数の該判断部の内の少なくとも1つの該判断部が、被加工物が正常に加工されなかったと判断した際に、前記制御手段は、該判断をした該判断部が定める該異なる方向に前記マークを向ける制御を行い前記カセットに被加工物を収容させる請求項1、又は請求項2記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の被加工物を加工する装置であって、特に、加工した被加工物が正常に加工されたか否かを知ることができる加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、砥石で被加工物を研削し被加工物を薄化する全自動型研削装置(例えば、特許文献1参照)は、複数の被加工物を棚部に一枚ずつ収容したカセットを載置するカセットステージと、被加工物を仮置きする仮置きテーブルと、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物を砥石で研削する研削手段と、研削され洗浄される被加工物を保持するスピンナテーブルと、カセットから仮置きテーブルに、またはスピンナテーブルからカセットに被加工物を搬送するロボットと、仮置きテーブルからチャックテーブルに被加工物を搬送する第1搬送機構と、チャックテーブルからスピンナテーブルに被加工物を搬送する第2搬送機構と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被加工物は、結晶方位を示すオリエンテーションフラットまたはノッチが形成されている。そして、研削された被加工物は、正常な研削が施されたか否かにかかわらずオリエンテーションフラットの向きを揃えて上記カセットに収容されている。そのため、カセットに収容された被加工物が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを、作業者がカセットの被加工物を目視で判断することができない。そこで、研削装置が認識しているカセット内の各棚部に収容した被加工物毎の被加工物データをタッチパネル等の装置画面に表示させ、作業者は画面に表示された被加工物データを参照しつつ、実際のカセット内の複数の棚部をタッチパネルと見比べながら、カセット内に収容された被加工物の中から正常に加工されなかった被加工物を抜きとる抜き取り作業を行っている。そのため、抜き取り作業に手間や時間が掛かるという問題がある。
【0005】
よって、被加工物を加工する加工装置においては、作業者が、加工後の被加工物が収容されたカセット内部を見て、各棚部に収められている被加工物が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを短時間で容易に認識できるようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、結晶方位を示すマークを有する被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を研削砥石で研削または研磨パッドで研磨する加工手段と、複数の被加工物を棚状に収容可能なカセットを載置するカセットステージと、被加工物を仮置きする仮置きテーブルと、洗浄される被加工物を保持するスピンナテーブルと、該スピンナテーブルを回転させるスピンナテーブル回転手段と、該スピンナテーブルの回転数を検知するエンコーダと、該カセットステージに載置された該カセット内の被加工物を該仮置きテーブルに搬送または該スピンナテーブルに保持された被加工物を該カセットステージに載置された該カセット内に搬送するロボットと、を備える加工装置において、正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを判断する判断手段と、該判断手段が、被加工物が正常に加工されたと判断したら該マークを所定の方向に向ける制御を行い該カセットに被加工物を収容させ、該判断手段が、被加工物が正常に加工されなかったと判断したら該マークを該所定の方向とは異なる方向に向ける制御を行い該カセットに被加工物を収容させる制御手段と、を備え、該制御手段は、該判断手段による判断結果に応じて、該エンコーダが検知した回転数に基づき該スピンナテーブルの回転角度を制御することにより該マークの方向を調整し、該カセットは、該ロボットによって被加工物を搬入するための開口を備え、該ロボットは、該マークの方向が調整された被加工物を該カセット内に搬送し、正常に加工されなかったと判断された被加工物は、該カセットの該開口が形成された側の裏側である奥側に該マークを向けて収容する加工装置である。
【0007】
本発明に係る加工装置は、被加工物の厚みを測定する厚み測定手段を備え、前記判断手段は、該厚み測定手段が測定した被加工物の厚みによって、被加工物が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを判断すると好ましい。
【0008】
前記判断手段は、複数の判断部を備え、該判断部は、該判断部毎に、一致しない方向の前記異なる方向が予め設定されていて、複数の該判断部は、被加工物が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かをそれぞれ異なる判断基準で判断可能であり、複数の該判断部の内の少なくとも1つの該判断部が、被加工物が正常に加工されなかったと判断した際に、前記制御手段は、該判断をした該判断部が定める該異なる方向に前記マークを向ける制御を行い被加工物を前記カセットに収容すると好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る加工装置は、正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを判断する判断手段と、判断手段が、被加工物が正常に加工されたと判断したらマークを所定の方向に向ける制御を行いカセットに被加工物を収容させ、判断手段が、被加工物が正常に加工されなかったと判断したらマークを所定の方向とは異なる方向に向ける制御を行いカセットに被加工物を収容させる制御手段と、を備えることで、作業者がカセットに収容された被加工物のマークの方向を見て、正常に加工された被加工物か、正常に加工されなかった被加工物かを容易に知ることが可能となる。そして、例えば、作業者によって、正常に加工されなかった被加工物のみを装置画面を見比べる等の手間を掛けずに容易に抜き取ることができるため、正常に加工されなかった被加工物のみを抜き取ったカセットを、次工程の装置等に容易に搬送することが可能となる。
【0010】
本発明に係る加工装置は、被加工物の厚みを測定する厚み測定手段を備え、判断手段は、厚み測定手段が測定した被加工物の厚みによって、被加工物が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを判断することで、制御手段が、被加工物のマークの所定の方向への位置づけ制御、又は所定の方向とは異なる方向への位置づけ制御を容易に行うことが可能となる。
【0011】
判断手段は、複数の判断部を備え、判断部は、判断部毎に、一致しない方向である異なる方向が予め設定されていて、複数の判断部は、被加工物が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かをそれぞれ異なる判断基準で判断可能であることで、複数の判断部の内の少なくとも1つの判断部が、被加工物が正常に加工されなかったと判断した際に、制御手段は、判断をした判断部が定める異なる方向にマークを向ける制御を行い被加工物をカセットに収容することが可能となり、作業者がカセットに収容された被加工物のマークの方向を見て、正常に加工された被加工物か、正常に加工されなかった被加工物かを容易に知ることが可能になるとともに、正常に加工されなかった被加工物の異常の種類を認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】第2のカセット及び第2のカセットステージの一例を示す斜視図である。
【
図3】スピンナテーブルに吸引保持されている研削後の被加工物をロボットハンドが搬出する状態を説明する斜視図である。
【
図4】制御手段によりマークが加工正常な方向に向ける制御を行われて、第2のカセットに収容された被加工物を説明する斜視図である。
【
図5】制御手段によりマークが加工厚み異常の方向に向ける制御を行われて、第2のカセットに収容された被加工物を説明する斜視図である。
【
図6】制御手段によりマークが加工割れ等異常の方向に向ける制御を行われて、第2のカセットに収容された被加工物を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す加工装置1は、加工手段16によってチャックテーブル30に保持された被加工物80を研削する装置である。加工装置1のベース10上の前方(-Y方向側)は、チャックテーブル30に対して被加工物80の搬入出が行われる領域である搬入出領域100となっており、ベース10上の後方(+Y方向側)は、加工手段16によってチャックテーブル30上に保持された被加工物80の研削加工が行われる領域である加工領域101となっている。
なお、本発明に係る加工装置は、研削手段として粗研削手段と仕上げ研削手段との2軸備え、回転するターンテーブルで被加工物80を保持したチャックテーブル30を各研削手段の下方に位置付ける構成となっていてもよい。または、本発明に係る加工装置は、研磨パッドで被加工物に研磨加工を施し、被加工物80の被研磨面を鏡面化したり、被加工物80の抗折強度を高めたりする研磨加工装置であってもよい。
【0014】
加工装置1は、例えば、装置全体の制御を行う制御手段9を備えている。例えば制御プログラムに従って演算処理するCPU及びメモリ等の記憶素子等で構成される制御手段9は、加工手段16等の本発明の各発明構成要素に電気的に接続されており、各発明構成要素の制御を行う。
【0015】
図1に示す被加工物80は、本実施形態においては、シリコン母材等からなる円形の半導体ウェーハであり、
図1においては下方を向いている被加工物80の表面801は、複数のデバイスが形成されており、図示しない保護テープが貼着されて保護されている。被加工物80の上側を向いている裏面802は、研削加工が施される被加工面となる。なお、被加工物80はシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、樹脂、セラミックス、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよい。
【0016】
被加工物80には、外周部分に結晶方位を示すマーク805であるオリエンテーションフラットが外周の一部をフラットに切欠くことで形成されている。マーク805は、例えば、結晶方位を示すノッチであってもよく、この場合のノッチは、被加工物80の外周縁に被加工物80の中心に向けて径方向内側に窪んだ状態で形成されている。
【0017】
ベース10の正面側(-Y方向側)には、複数の被加工物80を棚状に収容可能なカセットを載置する第1のカセットステージ150及び第2のカセットステージ151が設けられており、第1のカセットステージ150には複数の加工前の被加工物80が棚状に収容される第1のカセット21が載置され、第2のカセットステージ151には複数の加工後の被加工物80が棚状に収容される第2のカセット22が載置される。
【0018】
第2のカセット22と第1のカセット21とは略同一の構造をしているため、以下に、第2のカセット22の構造を説明し、第1のカセット21の構造については省略する。
例えば、研削後の複数の被加工物80を棚状に収容可能な
図2に示す第2のカセット22は、密閉型のフープ(Foup:Front Opening Unified Pod)であり、作業者が把持可能な取っ手228が上面に配置された天板222と、天板222から鉛直方向(Z軸方向)に垂下し互いに向かい合う2枚の側板223、及び側板224と、側板223及び側板224に連結する背板225と、X軸方向において向かい合った側板223及び側板224のそれぞれの内側面に形成され被加工物80を載置する複数の棚部226と、側板223、側板224、及び背板225の下端を連結する底板227と、を少なくとも有している。
【0019】
一枚ずつ被加工物80を収容可能な各棚部226は、上下方向に所定の間隔を空けて配置されており、中央に後述する
図1に示すロボット14が進入できる進入口が形成されており、被加工物80の外周部分を支持している。ロボット14は、例えば、該進入口から被加工物80の真下の位置まで移動することができる。なお、本実施形態において、第2のカセット22は、密閉型として内部にゴミが入らないようにしているが、開放型のオープンカセットでもよい。
【0020】
図2に示すように、第2のカセット22は、前方側(+Y方向側)の開口220を有しており、開口220から被加工物80を搬出入できる構成となっている。第2のカセット22は、第2のカセット22自体が加工装置1から次工程の装置に送られる場合等においては、開口220が、例えば、図示しないカセット蓋によって閉じられている。第2のカセット22内から被加工物80を取り出す際等においては、カセット蓋に配設されている開閉ハンドルが加工装置1に配設された図示しない開閉手段等によって回されて、カセット蓋が開かれた状態になる。
【0021】
例えば、
図2に示す第2のカセットステージ151の上面には、載置された第2のカセット22の水平方向(X軸Y軸平面に平行な方向)における横ズレを防ぐための、ズレ防止部1511が第2のカセット22の下面4隅に対応するように4つ形成されている。
【0022】
図1に示すように、加工装置1は、被加工物80を仮置きする仮置きテーブル11と、洗浄される被加工物80を保持するスピンナテーブル120と、第1のカセットステージ150に載置された第1のカセット21内の被加工物80を仮置きテーブル11に搬送またはスピンナテーブル120に保持された被加工物80を第2のカセットステージ151に載置された第2のカセット22内に搬送するロボット14と、を備える。
【0023】
図1に示すように、第1のカセット21の+Y方向側の開口210の後方にロボット14が配設されている。ロボット14は、多関節ロボットであり、被加工物80を吸着保持する吸着面1404を有するロボットハンド140と、ロボットハンド140を水平方向に移動させるハンド水平移動手段142と、ロボットハンド140を上下方向に移動させる電動アクチュエーター等のハンド上下移動手段144と、例えばロボットハンド140の吸着面1404を上下反転させるハンド反転手段146と、を備えている。
【0024】
ハンド水平移動手段142は、例えば、複数の板状アーム部材等で構成され内部にプーリ機構を備える旋回アームを旋回モータによって旋回させる構造となっている。即ち、ハンド水平移動手段142は、旋回モータが生み出す回転力により、複数の板状アーム部材を軸方向がZ軸方向(鉛直方向)である回転軸を軸にして互いに旋回させることで、ロボットハンド140を水平面内(X軸Y軸平面内)において旋回移動させることができるとともに、複数の板状アーム部材を互いが交差した状態から互いが直線状となる状態等に変形させることができ、ロボットハンド140を水平面内において直動させることができる。
【0025】
ハンド水平移動手段142の下部側にはハンド上下移動手段144が接続されており、ハンド上下移動手段144は、ハンド水平移動手段142と共にロボットハンド140をZ軸方向において上下動させ、ロボットハンド140を所定高さに位置づけできる。
【0026】
ハンド水平移動手段142の板状アーム部材には、柱状のアーム連結部145を介して、
図1においてはZ軸方向に直交するY軸方向の軸心を有するハンド反転手段146のスピンドル1462を回転可能に支持するハウジング1463が固定されている。例えばハウジング1463の内部には、スピンドル1462を回転駆動する図示しない反転モータが収容されている。
【0027】
スピンドル1462の先端側はハウジング1463から突出しており、この先端側に、ロボットハンド140の根元側が装着されるホルダが配設されている。図示しない反転モータがスピンドル1462を所定角度回転させることに伴って、スピンドル1462にホルダを介して接続されているロボットハンド140が回転して、ロボットハンド140の吸着面1404を反転させて切換えることができる。
【0028】
被加工物80を吸着保持する板状のロボットハンド140は、例えば、全体として平面視略U状の外形を備えており、ホルダに装着される矩形平板状の基部1406と、基部1406に一体的に形成された吸着部1400とを備えている。なお、ロボットハンド140は、本実施形態における形状に限定されるものではなく、全体として平面視略しゃもじ形状となっていてもよい。
【0029】
例えば、
図1においてロボットハンド140の上側を向いている面を、被加工物80を吸引保持する吸着面1404とする。なお、ロボットハンド140は、吸着面1404の反対面も吸着面となっていてもよい。吸着面1404は平滑に仕上げられており、また、被加工物80に接触した場合に被加工物80を傷付けないように、吸着面1404の端部には面取りが施されていてもよい。
【0030】
吸着面1404には、複数の吸引孔が開口している。吸引孔は、例えば、吸着面1404の外周側の領域に略等間隔空けて、5箇所にそれぞれ3つずつ又は4つずつ開口している。なお、吸引孔の数や配設箇所は本例に限定されるものではない。吸引孔には、変形可能なゴム吸盤等が配設されていてもよい。
【0031】
各吸引孔には、ロボットハンド140の旋回移動を妨げないように可撓性を備える樹脂チューブが継手等を介して連通しており、該樹脂チューブが真空発生装置、又はエジェクター機構等の吸引源に接続されている。
【0032】
ロボット14の可動範囲には、仮置きテーブル11が設けられており、仮置きテーブル11には位置合わせ手段119が配設されている。
円形の仮置きテーブル11は、例えば、被加工物80よりも小径となっており、仮置きテーブル11の平坦な上面は被加工物80を仮置きする仮置き面となる。そして、仮置きテーブル11の周囲には、位置合わせ手段119を構成し仮置きテーブル11の径方向に縮径、又は拡径するように移動可能な位置合わせピンが複数円環状に等間隔を空けて配設されており、仮置きテーブル11に仮置きされた被加工物80が、位置合わせ手段119の縮径する位置合わせピンで所定の位置に位置合わせ(センタリング)される。
【0033】
仮置きテーブル11の下面側には、モータ1181及びスピンドル1182等からなる仮置きテーブル回転手段118が接続されており、仮置きテーブル11は軸方向がZ軸方向であるスピンドル1182によって回転可能となっている。モータ1181は、例えば、サーボモータであり、モータ1181のエンコーダ1183は、サーボアンプとしての機能も有する制御手段9に接続されており、制御手段9の出力インターフェイスからモータ1181に対して動作信号が供給されることによってスピンドル1182が回転し、エンコーダ1183が検知した回転数をエンコーダ信号として制御手段9の入力インターフェイスに対して出力する。そして、エンコーダ信号として受けた制御手段9は、仮置きテーブル11の回転角度を遂次認識できる。
【0034】
仮置きテーブル11に隣接する位置には、吸引パッド等から構成され被加工物80を保持した状態で旋回するローディングアーム131が配置されている。ローディングアーム131は、仮置きテーブル11上でセンタリングされた被加工物80を保持し、加工領域101内の搬入位置に位置付けられたチャックテーブル30へ搬送する。ローディングアーム131の隣には、吸引パッド等から構成され加工後の被加工物80を保持した状態で旋回するアンローディングアーム132が設けられている。
【0035】
アンローディングアーム132の可動範囲内には、アンローディングアーム132により搬送される加工後の被加工物80を洗浄する枚葉式の洗浄手段12が配置されている。洗浄手段12は、被加工物80よりも小径のスピンナテーブル120で被加工物80を吸引保持し、被加工物80の上方を旋回移動する洗浄ノズル121から、洗浄水を回転させた被加工物80の被研削面となる裏面802に噴射して裏面802の洗浄を行う。
【0036】
スピンナテーブル120の下側には、モータ123及びスピンドル124等からなるスピンナテーブル回転手段126が接続されており、スピンナテーブル120は回転可能となっている。モータ123は、例えば、サーボモータであり、モータ123のエンコーダ125は、サーボアンプとしての機能も有する制御手段9に接続されている。エンコーダ125が検知した回転数をエンコーダ信号として受け取った制御手段9は、スピンナテーブル120の回転角度を認識できる。
【0037】
例えば、スピンナテーブル120の上方には、スピンナテーブル120上に保持された被加工物80の被研削面である裏面802に光を照射する図示しない光照射手段と、被加工物80からの反射光を捉えるレンズ等の光学系及び光学系で結像された被写体像を出力する撮像素子等で構成されたカメラとを備える撮像手段127が配設されている。
【0038】
図1に示すチャックテーブル30は、本実施形態においては、ポーラス部材等からなり被加工物80を吸着する吸着部300と、吸着部300を支持する枠体301とを備える。吸着部300は、真空発生装置等の図示しない吸引源に連通し、吸引源が吸引することで生み出された吸引力が、吸着部300の露出面(上面)である保持面302に伝達されることで、チャックテーブル30は保持面302上で被加工物80を吸引保持できる。例えば、保持面302は被加工物80に形成された結晶方位を示すオリエンテーションフラットであるマーク805に対応して被加工物80と同じ形状をしている。つまり、円形の吸着部300の外周は、マーク805に対応して接線方向にフラットに切り欠かれている。
【0039】
チャックテーブル30は、カバー39により周囲を囲まれており、カバー39及びカバー39に連結された蛇腹カバー390の下方に配設されたテーブル移動手段17により、ベース10上をY軸方向に往復移動可能である。また、チャックテーブル30は、チャックテーブル回転手段36によってZ軸方向の回転軸を中心として回転可能となっている。
【0040】
テーブル移動手段17は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ170と、ボールネジ170と平行に配設された一対のガイドレール171と、ボールネジ170の一端に連結しボールネジ170を回動させるモータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部がガイドレール171に摺接する可動板173とを備えており、モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い可動板173がガイドレール171にガイドされてY軸方向に直動し、可動板173上にテーブルベース35を介して配設されたチャックテーブル30をY軸方向に移動させることができる。
【0041】
チャックテーブル30が取り外し可能に固定されたテーブルベース35の下面側には、モータ360及びスピンドル361等からなるチャックテーブル回転手段36が接続されている。モータ360は、例えば、サーボモータであり、モータ360のエンコーダ362は、サーボアンプとしての機能も有する制御手段9に接続されており、制御手段9からモータ360に対して動作信号が供給された後、エンコーダ362が検知した回転数をエンコーダ信号として制御手段9の入力インターフェイスに対して出力する。そして、エンコーダ信号を受け取った制御手段9は、チャックテーブル30の回転角度や、チャックテーブル30の保持面302上の被加工物80のマーク805に対応するフラットな切り欠き部分を認識できる。
【0042】
加工領域101の後方(+Y方向側)には、コラム18が立設されており、コラム18の-Y方向側の前面には加工手段16とチャックテーブル30とを相対的に保持面302に垂直なZ軸方向に研削送りする研削送り手段19が配設されている。研削送り手段19は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ190と、ボールネジ190と平行に配設された一対のガイドレール191と、ボールネジ190の上端に連結しボールネジ190を回動させるモータ192と、内部のナットがボールネジ190に螺合し側部がガイドレール191に摺接する昇降板193と、昇降板193に連結され加工手段16を保持するホルダ194とを備えており、モータ192がボールネジ190を回動させると、これに伴い昇降板193がガイドレール191にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ホルダ194に保持された加工手段16がZ軸方向に研削送りされる。
【0043】
チャックテーブル30に保持された被加工物80を研削加工する加工手段16は、軸方向がZ軸方向である回転軸160と、回転軸160を回転可能に支持するハウジング161と、回転軸160を回転駆動するモータ162と、回転軸160の下端に接続された円環状のマウント163と、マウント163の下面に着脱可能に装着された研削ホイール164とを備える。
【0044】
研削ホイール164は、ホイール基台と、ホイール基台の底面に環状に配設された略直方体形状の複数の研削砥石とを備える。研削砥石は、例えば、所定のバインダー等で研削砥粒等が固着されて成形されている。
【0045】
回転軸160の内部には、研削水の通り道となる図示しない流路が回転軸160の軸方向(Z軸方向)に貫通して形成されている。この流路はマウント163を通り、ホイール基台の底面において研削砥石に向かって研削水を噴出できるように開口している。
【0046】
被加工物80を研削する際の高さ位置まで下降した研削ホイール164の近傍となる位置には、例えば、研削中において被加工物80の厚みを接触式にて測定する厚み測定手段38が配設されている。厚み測定手段38は、例えば、一対の厚み測定器(ハイトゲージ)、即ち、チャックテーブル30の保持面302の高さ位置測定用の第1の厚み測定器381と、チャックテーブル30で保持された被加工物80の被研削面である裏面802の高さ位置測定用の第2の厚み測定器382とを備えている。
【0047】
第1の厚み測定器381及び第2の厚み測定器382は、その各先端に、上下方向に昇降し各測定面に接触するコンタクトを備えている。第1の厚み測定器381(第2の厚み測定器382)は上下動可能に支持されていると共に、各測定面に対して適宜の力で押し付け可能となっている。厚み測定手段38は、第1の厚み測定器381により、基準面となる保持面302の高さ位置を検出し、第2の厚み測定器382により、研削される被加工物80の上面となる裏面802の高さ位置を検出し、両者の検出値の差を算出することで、被加工物80の厚みを研削中に逐次測定することができる。
なお、厚み測定手段38は、非接触式の厚み測定手段であってもよい。
【0048】
本発明に係る加工装置1は、研削後の被加工物80が、正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かを判断する判断手段90を備えており、本実施形態において、判断手段90は制御手段9に含まれている。
【0049】
判断手段90は、例えば、複数(例えば2つ)の判断部を備えており、複数の判断部は、被加工物80が正常に加工された被加工物か正常に加工されなかった被加工物かをそれぞれ異なる判断基準で判断可能である。即ち、本実施形態においては、厚み測定手段38が測定した被加工物80の厚みによって、被加工物80が正常に加工された被加工物か、正常に加工されなかった被加工物か、又は研削前の厚み(投入厚み)が異常であり研削加工を施さない被加工物かを判断する第1判断部901と、スピンナテーブル120上で洗浄された被加工物80の被加工面である裏面802を撮像手段127で撮像し、撮像画から被加工物80に割れ、外周欠け、又は面焼け等があるか無いかを判断し、該割れ等が無ければ正常に加工された被加工物であると判断し、該割れ等が有ったら正常に加工されなかった被加工物であると判断する第2判断部902と、を備えている。
【0050】
本実施形態において、制御手段9は、判断手段90が、被加工物80が正常に加工されたと判断したらマーク805を所定の方向99(以下、
図4に示す加工正常な方向99とする)に向ける制御を行い第2のカセット22に加工後の被加工物80を収容させ、判断手段90が、被加工物80が正常に加工されなかったと判断したらマーク805を加工正常な方向99とは異なる方向に向ける制御を行い第2のカセット22に加工後又は加工される前の被加工物80を収容させる制御を行う。
【0051】
そして、本実施形態においては、判断手段90が第1判断部901と第2判断部902とを備えることで、制御手段9は、第1判断部901又は第2判断部902の内の少なくとも1つの判断部が、被加工物80が正常に加工されなかったと判断をした場合に、被加工物80が正常に加工されなかったと判断した判断部が定める、加工正常な方向99とは異なる方向にマーク805を向ける制御を行い第2のカセット22に被加工物80を収容させる制御を行う。例えば、第1判断部901が、被加工物80が正常に加工されなかったと判断した場合に定める該異なる方向を、以下に、予め設定された加工厚み異常の方向98(
図5参照)とする。また、第2判断部902が、被加工物80が正常に加工されなかったと判断した場合に定める該異なる方向を、以下に、予め設定された加工割れ等異常の方向97(
図6参照)とする。加工厚み異常の方向98と加工割れ等異常の方向97とは一致しない方向となっている。
【0052】
以下に、
図1に示す加工装置1によりチャックテーブル30に保持された被加工物80を研削する場合の加工装置1の動作について説明する。
(一枚目の被加工物80に対する研削)
例えば、まず、制御手段9による制御の下で、一枚目の被加工物80が第1のカセット21から搬出される。即ち、
図1に示すハンド上下移動手段144によってロボットハンド140が上下動し、ロボットハンド140が、第1のカセット21内の狙いの一枚目の被加工物80が収納されている棚部226(例えば、
図2に示す一番最下段の棚部226)の高さ位置に位置づけられる。
【0053】
第1のカセット21内において、被加工物80の表面801は、例えば下側を向いた状態になっており、被研削面となる裏面802は上側を向いている。そして、例えば、ロボット14のロボットハンド140の吸着面1404が、上側(+Z方向側)を向いた状態にセットされる。
【0054】
ロボットハンド140が旋回され、ロボットハンド140が第1のカセット21の開口210から第1のカセット21の内部の所定の位置まで進入していき、例えば、ロボットハンド140の中心と被加工物80の中心とが略合致するように、ロボットハンド140が水平面内における所定位置に位置づけられる。次いで、ロボットハンド140が上昇して、被加工物80の表面801に吸着面1404を接触させて吸引保持し、さらに、僅かにロボットハンド140により上側に持ち上げられた被加工物80の外周縁が棚部226上から離間された状態で、ロボットハンド140の上昇が停止される。
【0055】
被加工物80を吸引保持したロボットハンド140が+Y方向に移動し、被加工物80がロボットハンド140により第1のカセット21から搬出される。なお、ロボットハンド140は被加工物80に上側から吸着面1404を当接させて吸引保持してもよい。
【0056】
図1に示すロボット14が被加工物80を仮置きテーブル11の上方に移動させる。そして、ロボット14によって、被加工物80が表面801を下側に向けて仮置きテーブル11に載置される。即ち、ロボットハンド140の吸着部1400のU字状の開口部分に、仮置きテーブル11が入り込むように、ロボットハンド140が下降して被加工物80が仮置きテーブル11上に載置される。
【0057】
次いで、位置合わせ手段119の位置合わせピンが同一円周上の位置を維持しながら縮径するように移動するため、各位置合わせピンが被加工物80の外周縁を押してその位置を修正し、
図1に示す例えば6本の位置合わせピンが被加工物80の外周縁に接した状態で停止する。この結果、被加工物80の中心を仮置きテーブル11の中心に位置合わせすることができ、制御手段9が一枚目の被加工物80の中心位置を認識することができる。その後、被加工物80が仮置きテーブル11で吸引保持される。
【0058】
被加工物80は、オリエンテーションフラットであるマーク805を備えるため、例えば、センタリングにおいて
図1に示す6本の位置合わせピンの内の1本の径方向における移動量が大きくなる。したがって、該位置合わせピンの移動量の差異によって、制御手段9は仮置きテーブル11上のセンタリングされた被加工物80のマーク805の位置を把握することができる。そして、例えば、被加工物80を吸引保持した仮置きテーブル11が、制御手段9による制御の下で所定角度回転されて、被加工物80のマーク805が所定方向に位置付けられる。なお、例えば、仮置きテーブル11の上方に撮像手段を備え、該撮像手段によって撮像された被加工物80の撮像画像から、制御手段9が画像解析を行い、仮置きテーブル11上の被加工物80の中心やマーク805の位置を把握してもよい。
【0059】
次に、ローディングアーム131が、センタリングされマーク805が周方向における所定位置に位置づけられた被加工物80をチャックテーブル30上に移動させる。
チャックテーブル30の保持面302には、被加工物80が載置されたときにマーク805と位置合わせするためのフラットなオリフラ合わせ部が形成されている。よって、チャックテーブル30においては、被加工物80のマーク805とオリフラ合わせ部とが位置合わせされる。即ち、ローディングアーム131が被加工物80を保持したときのマーク805の位置は、仮置きテーブル11から被加工物80を保持し搬出する時に既に認識されているので、制御手段9によるチャックテーブル回転手段36の制御の下で、チャックテーブル30が所定角度回転され、仮置きテーブル11が保持していた被加工物80のマーク805の位置とチャックテーブル30のオリフラ合わせ部とが一致するように位置合わせがされる。そして、チャックテーブル30の中心と被加工物80の中心とが略合致するように、被加工物80が裏面802を上に向けた状態で保持面302上に載置される。
【0060】
そして、図示しない吸引源が作動して生み出された吸引力が、チャックテーブル30の保持面302に伝達されることにより、チャックテーブル30が保持面302上で被加工物80を吸引保持する。また、吸引保持された被加工物80のマーク805の周方向における位置は、制御手段9により把握された状態となっている。制御手段9は、チャックテーブル回転手段36を制御しているため、後述する研削が開始されてから研削終了後も、被加工物80のマーク805の周方向の位置を常に把握し続けることができる。
【0061】
チャックテーブル30が被加工物80を吸引保持した後、テーブル移動手段17がチャックテーブル30を+Y方向に移動させる。そして、被加工物80を保持したチャックテーブル30が、加工手段16の研削ホイール164の回転中心が被加工物80の回転中心に対して所定距離だけ水平方向にずれ、研削砥石の回転軌跡が被加工物80の回転中心を通るように被加工物80が位置づけられる。
【0062】
例えば、被加工物80の研削加工が開始される前に、厚み測定手段38によって被加工物80の投入厚みが測定される。投入厚みは、被加工物80の投入時(加工前)の厚みである。厚み測定手段38が測定した被加工物80の投入厚みについての情報は、制御手段9の判断手段90の第1判断部901に送られる。例えば、制御手段9の記憶媒体には、予め、被加工物80の投入厚みの許容値が設定・記憶されている。そして、第1判断部901は、該投入厚みの許容値内に一枚目の被加工物80の投入厚みが収まっているかを比較して判断する。
例えば、第1判断部901は、一枚目の被加工物80の投入厚みが投入厚みの許容値内に入っていると判断する。この場合には、そのまま被加工物80の研削加工が開始される。
【0063】
加工手段16が研削送り手段19により-Z方向へと送られ、回転する研削砥石がチャックテーブル30で保持された被加工物80の裏面802に当接することで研削が行われる。また、チャックテーブル回転手段36がチャックテーブル30を所定の回転速度で回転させるのに伴い保持面302上の被加工物80も回転するので、研削砥石が被加工物80の裏面802全面の研削加工を行う。研削中は、研削砥石と被加工物80の裏面802との接触部位に研削水が供給され、接触部位を冷却・洗浄する。
【0064】
研削加工中においては、厚み測定手段38によって被加工物80の厚みが逐次測定され、制御手段9に含まれる判断手段90の第1判断部901に送られる。例えば、制御手段9の記憶媒体には、予め、被加工物80の仕上げ厚み、及び仕上げ厚みからの許容値(例えば、±数μm)が設定・記憶されている。そして、第1判断部901は、研削中の一枚目の被加工物80の厚みが仕上げ厚み±許容値内に入るか否かを遂次監視する。
【0065】
例えば、厚み測定手段38及び第1判断部901による厚み測定・厚み監視が行われつつ正常に仕上げ厚みまで研削された被加工物80から加工手段16が上昇し離間した後、例えば、被加工物80を吸引保持したチャックテーブル30が、制御手段9による制御の下で所定角度回転されて、被加工物80のマーク805が所定方向に位置付けられる。ついで、テーブル移動手段17によって、チャックテーブル30が-Y方向に移動してアンローディングアーム132の近傍まで移動する。
【0066】
次に、アンローディングアーム132が、マーク805が周方向における所定位置に位置づけられた被加工物80をチャックテーブル30からスピンナテーブル120に搬送する。被加工物80が、被加工物80よりも小径のスピンナテーブル120上に、裏面802が上側になるように載置され吸引保持される。被加工物80の中心とスピンナテーブル120の中心とは略合致している。次いで、洗浄ノズル121が被加工物80の上方を所定角度で往復するように旋回移動しながら下方の被加工物80に対し洗浄水を噴射し、また、スピンナテーブル回転手段126によってスピンナテーブル120が所定の回転速度で回転することで、被加工物80の裏面802全面に洗浄水が供給され、洗浄が行われる。
【0067】
スピンナテーブル回転手段126のモータ123のエンコーダ125は、テーブル回転中にエンコーダ信号を制御手段9に対して出力する。制御手段9は、受信したエンコーダ信号によって、回転する被加工物80のマーク805の位置を逐次把握できる。
【0068】
所定時間被加工物80の洗浄が行われた後、スピンナテーブル120の回転が停止され、洗浄ノズル121から例えばエアが被加工物80に吹きかけられて、被加工物80が乾燥せしめられる。ついで、撮像手段127による被加工物80の裏面802の撮像が行われる。形成された撮像画像は、制御手段9に含まれる判断手段90の第2判断部902に送られる。第2判断部902は、仮想的な出力画面上で撮像画像の二値化やエッジ処理等を行いつつ画像解析を行い、被加工物80に割れ、外周欠け、うねり又は面焼け等があるか無いかを判断する。例えば、第2判断部902は、一枚目の研削後の被加工物80には、上記割れ等は無いと判断する。
【0069】
即ち、一枚目の被加工物80は、第1判断部901によって仕上げ厚みまで適切に研削されたと判断され、また、第2判断部902によって割れ等の研削不良が発生していないと判断された状態となる。したがって、制御手段9は、判断手段90が、被加工物80が正常に加工されたと判断したらマーク805を所定の方向である加工正常な方向99(
図4参照)に向ける制御を行い第2のカセット22に被加工物80を収容させる。
【0070】
具体的には、まず、
図1に示すロボット14のロボットハンド140が、ハンド上下移動手段144によってZ軸方向に移動されて、スピンナテーブル120上の被加工物80の表面801を上側に向けた吸着面1404で吸引保持できるように、所定の高さ位置に位置付けられる。また、ロボットハンド140がハンド水平移動手段142により旋回され、ロボットハンド140の吸着部1400のU字の開口部分がスピンナテーブル120とX軸方向において正対する。即ち、
図3に示すように、ロボットハンド140の先端側が-X方向に向けられる。
【0071】
被加工物80を吸引保持したスピンナテーブル120が、
図1に示す制御手段9による制御の下で所定角度回転されて、被加工物80のマーク805が例えば
図3に示すようにロボットハンド140のU字状の開口に正対する+X方向に位置付けられる。
【0072】
ハンド水平移動手段142によって、ロボットハンド140が-X方向に直進していき、U字開口にスピンナテーブル120が入り込み、さらに、例えば、ロボットハンド140の中心と被加工物80の中心とが略合致するように、ロボットハンド140が水平面内における所定位置に位置づけられる。次いで、ロボットハンド140が上昇して、被加工物80の表面801に吸着面1404を接触させて吸引保持する。被加工物80のマーク805は、ロボットハンド140の基部1406側を向いた状態となっている。
【0073】
次いで、
図1に示す制御手段9による制御の下で、被加工物80を吸引保持したロボットハンド140がハンド水平移動手段142により旋回され、ロボットハンド140が第2のカセット22の開口220とY軸方向において正対する。即ち、ロボットハンド140に吸引保持されている被加工物80のマーク805は、+Y方向側を向いた状態になる。
【0074】
また、第2のカセット22の狙いの棚部226(例えば、最下段の棚部226)の高さ位置までロボットハンド140が下降する。そして、ロボットハンド140が第2のカセット22の内部の所定の位置まで-Y方向に直進していき、ロボットハンド140による被加工物80の吸引保持が解除され、被加工物80が、裏面802を上側に向けた状態で第2のカセット22の棚部226に収容される。また、被加工物80の下方に位置していたロボットハンド140が第2のカセット22内から退出する。
【0075】
したがって、
図4に示すように、一枚目の被加工物80が、マーク805を所定の方向である加工正常な方向99、即ち、第2のカセット22の開口220側である+Y方向側に向いた状態で第2のカセット22の棚部226に収容された状態になる。
【0076】
(二枚目の被加工物80に対する研削)
上記のように例えば一枚目の被加工物80に対する研削ホイール164による研削が行われている最中等において、ロボット14は、次に研削加工を施す二枚目の被加工物80を第1のカセット21から、一枚目の被加工物80を搬出したのと同様に搬出する。さらに、
図1に示すロボット14が被加工物80を仮置きテーブル11の上方に移動させる。一枚目の被加工物80の場合と同様に、二枚目の被加工物80が仮置きテーブル11上でセンタリングされ、また、マーク805の周方向における位置が制御手段9に認識される。
【0077】
一枚目の被加工物80が、研削後にチャックテーブル30からアンローディングアーム132により搬出されて、チャックテーブル30が空いた後、ローディングアーム131が、センタリングされマーク805が周方向における所定位置に位置づけられた二枚目の被加工物80をチャックテーブル30上に移動させる。そして、二枚目の被加工物80が、チャックテーブル30に互いの中心を合わせて、かつ、チャックテーブル30のオリフラ合わせ部とマーク805とを合わせた状態で、チャックテーブル30で吸引保持される。
【0078】
チャックテーブル30が被加工物80を吸引保持した後、テーブル移動手段17がチャックテーブル30を+Y方向に移動させる。そして、被加工物80と加工手段16の研削ホイール164との位置合わせが行われる。
【0079】
二枚目の被加工物80の研削加工開始前に、厚み測定手段38によって被加工物80の投入厚みが測定され、投入厚みについての情報は第1判断部901に送られる。第1判断部901は、該投入厚みの許容値内に二枚目の被加工物80の投入厚みが収まっているかを比較して、二枚目の被加工物80の投入厚みが投入厚みの許容値内に入っていないと判断する。なお、投入厚みが投入厚みの許容値内に入っていない場合とは、二枚目の被加工物80の投入厚みが、投入厚みの許容値よりも厚すぎる、又は、薄すぎる場合である。
【0080】
この場合、第1判断部901は、装置のスピーカから警報音を鳴らす、又は装置のモニターやタッチパネル等の表示手段にエラーを表示する等して、作業者に該判断を通知する。該判断とは、二枚目の被加工物80の投入厚みが、投入厚みの許容値よりも厚すぎる、又は薄すぎるため、二枚目の被加工物80には研削加工を施さないという判断である。
【0081】
また、この場合には、制御手段9による装置制御の下で、二枚目の被加工物80は研削加工が施されずに第2のカセット22に収容される。即ち、テーブル移動手段17によって、チャックテーブル30がアンローディングアーム132の近傍まで移動する。アンローディングアーム132が、マーク805が周方向における所定位置に位置づけられた被加工物80をチャックテーブル30からスピンナテーブル120に搬送する。
【0082】
スピンナテーブル120上で、裏面802が上側を向いた状態の被加工物80を表面801側から吸引保持すべく、ロボットハンド140が所定の高さ位置に位置付けられる。また、ロボットハンド140がハンド水平移動手段142により旋回され、ロボットハンド140の吸着部1400のU字の開口部分が、-X方向側に向けられスピンナテーブル120とX軸方向において正対する。
【0083】
被加工物80を吸引保持したスピンナテーブル120が、制御手段9による制御の下で所定角度回転されて、被加工物80のマーク805が例えばロボットハンド140のU字状の開口に対して、+Z方向側から見て時計回り方向に例えば45度回転した方向に位置付けられる。
【0084】
ハンド水平移動手段142によって、
図1に示すロボットハンド140が-X方向に直進していき、ロボットハンド140の中心と被加工物80の中心とが略合致するようにして、ロボットハンド140が被加工物80を吸引保持する。被加工物80のマーク805は、ロボットハンド140の基部1406に対して、+Z方向側から見て時計回り方向に45度回転した方向に位置している。
【0085】
制御手段9による制御の下で、ハンド水平移動手段142により旋回されたロボットハンド140が第2のカセット22の開口220とY軸方向において正対する。また、第2のカセット22の狙いの棚部226(例えば、最下段の棚部226よりも一段上の棚部226)の高さ位置までロボットハンド140が上昇又は下降する。そして、ロボットハンド140が第2のカセット22の内部の所定の位置まで-Y方向に直進していき、ロボットハンド140による被加工物80の吸引保持が解除され、被加工物80が、裏面802を上側に向けた状態で第2のカセット22の棚部226に収容される。また、被加工物80の下方に位置していたロボットハンド140が第2のカセット22内から退出する。
【0086】
したがって、
図5に示すように、二枚目の被加工物80が、マーク805を加工厚み異常の方向98、即ち、上から見て第2のカセット22の+Y方向側の開口220から時計回り方向に45度回転した方向98を向いた状態で第2のカセット22の棚部226に収容された状態になる。
【0087】
(三枚目の被加工物80に対する研削)
上記のように例えば二枚目の被加工物80に対する厚み測定が行われている最中等において、ロボット14は、次に研削加工を施す三枚目の被加工物80を
図1に示す第1のカセット21から、一枚目の被加工物80を搬出したのと同様に搬出する。
【0088】
図1に示すロボット14が被加工物80を仮置きテーブル11上に移動させる。一枚目の被加工物80の場合と同様に、三枚目の被加工物80が仮置きテーブル11上でセンタリングされ、また、マーク805の周方向における位置が制御手段9に認識される。
【0089】
二枚目の被加工物80が研削されずにチャックテーブル30からアンローディングアーム132により搬出されてチャックテーブル30が空いた後、ローディングアーム131が、センタリングされマーク805が周方向における所定位置に位置づけられた三枚目の被加工物80をチャックテーブル30上に移動させる。そして、三枚目の被加工物80が、チャックテーブル30に互いの中心を合わせ、かつ、チャックテーブル30のオリフラ合わせ部とマーク805とを合わせた状態で、チャックテーブル30で吸引保持される。
【0090】
チャックテーブル30が被加工物80を吸引保持後、テーブル移動手段17がチャックテーブル30を+Y方向に移動させ、被加工物80と加工手段16の研削ホイール164との位置合わせが行われる。また、例えば、三枚目の被加工物80の研削加工が開始される前に、厚み測定手段38により被加工物80の投入厚みが測定され、投入厚みの情報を受けた第1判断部901は、三枚目の被加工物80の投入厚みが許容値内に入っていると判断する。この場合には、そのまま被加工物80の研削加工が開始される。
【0091】
一枚目の被加工物80の研削と同様に行われる三枚目の被加工物80の研削加工中においては、厚み測定手段38によって被加工物80の厚みが逐次測定され、判断手段90の第1判断部901に送られる。そして、第1判断部901は、研削中の三枚目の被加工物80の厚みが仕上げ厚み±許容値内に入るか否かを遂次監視する。
【0092】
例えば、厚み測定手段38及び第1判断部901による厚み測定・厚み監視が行われていても、厚み測定手段38による被加工物80の厚み測定情報が第1判断部901に送られるまでには、制御手段9の処理タスクの多少によりタイムラグが生じる場合があり、制御手段9による研削送り手段19の制御が遅れ、研削送り手段19が加工手段16を被加工物80から引き上げるタイミングが遅れてしまうことがある。結果、研削された三枚目の被加工物80が予め定められた仕上げ厚みから許容値を引いた厚みよりも、さらに薄くなる場合がある。なお、このような被加工物80が仕上げ厚みから許容値を引いた厚みよりもさらに薄くなってしまう場合は、研削砥石の状態等によっても生じえる。
または、厚み測定手段38及び第1判断部901による厚み測定・厚み監視が行われていても、例えば、被加工物80の裏面802に面焼け等の状態異常が起きる時間を超えてさらに研削加工を施すことはできず、また、加工手段16の研削砥石の自生発刃等が上手く行われていない場合には、制御手段9による研削送り手段19の制御の下で、加工手段16が被加工物80から引き上げられた際に、研削完了した三枚目の被加工物80が予め定められた仕上げ厚みに許容値を足した厚みよりも、さらに厚くなる場合がある。
【0093】
この場合において、第1判断部901は、装置のスピーカから警報音を鳴らす、又は装置のタッチパネル等の表示手段にエラーを表示する等して、作業者に研削後の三枚目の被加工物80は厚み異常であるとの判断を通知する。
【0094】
例えば、被加工物80を吸引保持したチャックテーブル30が、制御手段9による制御の下で所定角度回転されて、研削後の三枚目の被加工物80のマーク805が所定方向に位置付けられる。ついで、チャックテーブル30が-Y方向に移動してアンローディングアーム132の近傍に位置し、さらに、アンローディングアーム132がチャックテーブル30からスピンナテーブル120に被加工物80を搬送する。
【0095】
洗浄手段12により被加工物80の洗浄・乾燥が行われた後、次に、撮像手段127による被加工物80の裏面802の撮像が行われる。第2判断部902は、形成された撮像画像を用いて被加工物80に割れ、外周欠け、うねり又は面焼け等があるか無いかを判断する。例えば、第2判断部902は、三枚目の研削後の被加工物80には、上記割れ等は無いと判断する。
【0096】
制御手段9は、判断手段90の第1判断部901が厚み異常であると判断した研削後の三枚目の被加工物80を、マーク805を加工厚み異常の方向98(
図5参照)に向ける制御を行い第2のカセット22に被加工物80を収容させる。具体的には、先に説明した二枚目の被加工物80を第2のカセット22に収容させる場合の制御と同様の制御を制御手段9は行い、三枚目の被加工物80が、マーク805を所定の方向である加工厚み異常の方向98、即ち、上から見て第2のカセット22の+Y方向側の開口220から時計回り方向に45度回転した方向を向いた状態で第2のカセット22の棚部226に収容された状態になる。
【0097】
(四枚目の被加工物80に対する研削)
上記のように例えば三枚目の被加工物80に対する研削加工が行われている最中等において、ロボット14は、研削加工を施す四枚目の被加工物80を
図1に示す第1のカセット21から、一枚目の被加工物80を搬出したのと同様に搬出する。そして、一枚目の被加工物80の場合と同様に、ロボット14により搬送された四枚目の被加工物80が仮置きテーブル11上でセンタリングされ、また、マーク805の周方向における位置が制御手段9に認識される。
【0098】
三枚目の被加工物80がチャックテーブル30からアンローディングアーム132により搬出された後、ローディングアーム131が、センタリングされマーク805が周方向における所定位置に位置づけられた四枚目の被加工物80をチャックテーブル30上に移動させる。そして、四枚目の被加工物80が、チャックテーブル30との中心合わせ、及びオリフラ合わせがなされた状態でチャックテーブル30に吸引保持される。
【0099】
チャックテーブル30が被加工物80を吸引保持後、テーブル移動手段17により被加工物80と加工手段16の研削ホイール164との位置合わせが行われる。また、四枚目の被加工物80の研削加工開始前に、厚み測定手段38により被加工物80の投入厚みが測定され、投入厚みの情報を受けた第1判断部901は、四枚目の被加工物80の投入厚みが投入厚みの許容値内に入っていると判断する。
【0100】
一枚目の被加工物80の研削と同様に行われる四枚目の被加工物80の研削加工中においては、厚み測定手段38により被加工物80の厚みが逐次測定され、判断手段90の第1判断部901に厚み情報が送られる。そして、第1判断部901は、研削中の三枚目の被加工物80の厚みが仕上げ厚み±許容値内に入るか否かを遂次監視する。
【0101】
例えば、厚み測定手段38及び第1判断部901による厚み測定・厚み監視が行われつつ正常に仕上げ厚みまで研削された被加工物80から加工手段16が上昇し離間した後、被加工物80を吸引保持したチャックテーブル30が、制御手段9による制御の下で所定角度回転されて、被加工物80のマーク805が所定方向に位置付けられる。さらに、テーブル移動手段17によって、チャックテーブル30が-Y方向に移動してアンローディングアーム132の近傍に位置付けられる。
【0102】
アンローディングアーム132が、マーク805が周方向における所定位置に位置づけられた被加工物80をチャックテーブル30からスピンナテーブル120に搬送する。洗浄手段12により四枚目の被加工物80の洗浄・乾燥が行われた後、次に、撮像手段127による被加工物80の裏面802の撮像が行われる。ここで、第2判断部902は、形成された撮像画像を用いて被加工物80に割れ、外周欠け、うねり又は面焼け等があるか無いかを判断する。例えば、第2判断部902は、四枚目の研削後の被加工物80には、割れ808(
図6参照)があると判断する。この場合、第2判断部902は、警報音を鳴らす、エラーを表示する等して、作業者に研削後の四枚目の被加工物80は加工異常があるとの判断を通知する。
【0103】
そして、制御手段9は、第2判断部902が割れ808を有する加工異常であると判断した研削後の四枚目の被加工物80を、マーク805を加工割れ等異常の方向97(
図6参照)に向ける制御を行い第2のカセット22に被加工物80を収容させる。
【0104】
即ち、スピンナテーブル120上で、表面801が下方を向いた状態の被加工物80を表面801側から吸引保持すべく、ロボットハンド140が所定の高さ位置に位置付けられる。また、ロボットハンド140が旋回され、ロボットハンド140のU字の開口部分が、-X方向側に向けられスピンナテーブル120とX軸方向において正対する。
【0105】
スピンナテーブル120が、制御手段9による制御の下で所定角度回転されて、被加工物80のマーク805が例えばロボットハンド140のU字状の開口に対して、+Z方向側から見て反時計回り方向に例えば45度回転した方向に位置付けられる。
【0106】
ハンド水平移動手段142によって、ロボットハンド140が-X方向に直進していき、互いの中心が略合致するようにして、ロボットハンド140が被加工物80を吸引保持する。被加工物80のマーク805は、ロボットハンド140の基部1406に対して、+Z方向側から見て反時計回り方向に45度回転した方向に位置している。
【0107】
制御手段9による制御の下で、ハンド水平移動手段142により旋回されたロボットハンド140が第2のカセット22の開口220とY軸方向において正対する。また、第2のカセット22の狙いの棚部226の高さ位置までロボットハンド140が上昇又は下降する。さらに、ロボットハンド140が第2のカセット22の内部の所定の位置まで-Y方向に直進していき、ロボットハンド140による被加工物80の吸引保持が解除され、被加工物80が、裏面802を上側に向けた状態で第2のカセット22の棚部226に収容される。また、ロボットハンド140が第2のカセット22内から退出する。
【0108】
したがって、
図6に示すように、四枚目の被加工物80が、マーク805を所定の方向である加工割れ等異常の方向97、即ち、上から見て第2のカセット22の+Y方向側の開口220から反時計回り方向に45度回転した方向を向いた状態で第2のカセット22の棚部226に収容された状態になる。
【0109】
本発明に係る加工装置1は、正常に加工された被加工物80か正常に加工されなかった被加工物80かを判断する判断手段90と、判断手段90が、被加工物80が正常に加工されたと判断したらマーク805を所定の方向(
図4に示す加工正常な方向99)に向ける制御を行い第2のカセット22に被加工物80を収容させ、判断手段90が、被加工物80が正常に加工されなかったと判断したらマーク805を加工正常な方向99とは異なる方向、即ち、例えば
図5に示す加工厚み異常の方向98、又は
図6に示す加工割れ等異常の方向97に向ける制御を行い第2のカセット22に被加工物80を収容させる制御手段9と、を備えることで、作業者が第2のカセット22に収容された被加工物80のマーク805の方向を見て、正常に加工された被加工物80(一枚目の被加工物80)か、正常に加工されなかった被加工物80(二枚目~四枚目の被加工物80)かを容易に知ることが可能となる。そして、例えば、作業者によって、正常に加工されなかった被加工物80のみを装置画面を見比べる等の手間を掛けずに容易に抜き取ることができるため、第2のカセット22が例えば満杯になった後に、正常に加工されなかった被加工物80のみを抜き取った第2のカセット22を、次工程の装置等に容易に搬送することが可能となる。
【0110】
本発明に係る加工装置1は、被加工物80の厚みを測定する厚み測定手段38を備え、判断手段90は、厚み測定手段38が測定した被加工物80の厚みによって、被加工物80が正常に加工された被加工物80か正常に加工されなかった被加工物80かを判断することで、制御手段9が、被加工物80のマーク805の所定の方向99(
図4に示す加工正常な方向99)への位置づけ制御、又は該所定の方向99とは異なる方向98(
図5に示す加工厚み異常の方向98)への位置づけ制御を容易に行うことが可能となる。
【0111】
判断手段90は、複数の判断部、即ち、本実施形態においては第1判断部901及び第2判断部902を備え、第1判断部901及び第2判断部902は、被加工物80が正常に加工された被加工物80か正常に加工されなかった被加工物80かをそれぞれ異なる判断基準で判断可能であることで、第1判断部901及び第2判断部902の内の少なくとも1つの判断部が、被加工物80が正常に加工されなかったと判断した際に、制御手段9は、判断をした第1判断部901が予め定める加工厚み異常の方向98、又は第2判断部902が予め定め加工厚み異常の方向98とは一致しない加工割れ等異常の方向97にマーク805を向ける制御を行い被加工物80を第2のカセット22に収容することが可能となり、作業者が第2のカセット22に収容された被加工物80のマーク805の方向を見て、正常に加工された被加工物80か、正常に加工されなかった被加工物80かを容易に知ることが可能になるとともに、正常に加工されなかった被加工物80の異常の種類を認識することが可能となる。
【0112】
本発明に係る加工装置1は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている加工装置1の構成の外形等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【0113】
例えば、先に説明した四枚目の被加工物80の研削において、第1判断部901が研削後の四枚目の被加工物80が、厚み異常があると判断し、さらに第2判断部902も研削後の四枚目の被加工物80に割れ808などの加工異常があると判断したとする。この場合においては、第1判断部901及び第2判断部902の両方が研削後の被加工物80が異常であると判断した場合に定める、
図4に示す加工正常な方向99とは異なる方向に被加工物80のマーク805を向ける制御を行い、第2のカセット22に被加工物80を収容させてもよい。この場合には、四枚目の被加工物80は、例えば、
図1に示す第2のカセット22の背板225側(第2のカセット22の奥側)にマーク805を向けて収容される。
【符号の説明】
【0114】
80:被加工物 801:被加工物の表面 802:被加工物の裏面 805:被加工物のマーク
1:加工装置 10:ベース 18:コラム
9:制御手段 90:判断手段 901:第1判断部 902:第2判断部
150:第1のカセットステージ 151:第2のカセットステージ
21:第1のカセット 22:第2のカセット 222:天板 223、224:側板
225:背板 226:棚部 227:底板 220:開口
11:仮置きテーブル 119:位置合わせ手段 118:仮置きテーブル回転手段
131:ローディングアーム 132:アンローディングアーム
12:洗浄手段 120:スピンナテーブル 121:洗浄ノズル 126:スピンナテーブル回転手段 127:撮像手段
14:ロボット 140:ロボットハンド 1400:吸着部 142:ハンド水平移動手段 144:ハンド上下移動手段 146:ハンド反転手段 145:アーム連結部
17:テーブル移動手段
30:チャックテーブル 39:カバー 390:蛇腹カバー 36:チャックテーブル回転手段
35:テーブルベース 38:厚み測定手段
19:研削送り手段 16:加工手段 164:研削ホイール