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特許7529410皮膚細胞におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための方法および混合物
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  • 特許-皮膚細胞におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための方法および混合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】皮膚細胞におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための方法および混合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4172 20060101AFI20240730BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240730BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240730BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240730BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALN20240730BHJP
【FI】
A61K31/4172
A61K8/365
A61K8/44
A61K8/49
A61K31/19
A61K31/198
A61K31/4015
A61P17/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61Q19/00
A61Q19/08
A61Q17/04
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020027806
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021008446
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】19183370.6
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シラー,アレクサンダー ポール
(72)【発明者】
【氏名】エッケルホーファー,リサ
(72)【発明者】
【氏名】ブライフス,ユリア
(72)【発明者】
【氏名】サラザール,アンドリュー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フォン ハーゲン,イェルク
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106913514(CN,A)
【文献】スイス国特許発明第711092(CH,A5)
【文献】国際公開第2017/042748(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0249691(US,A1)
【文献】佐々木 一郎 Ichiro Sasaki,特集 香粧品の新原料・新技術(1),FRAGRANCE JOURNAL Vol.26, No.12,第26巻,津野田 勲 ▲C▼フレグランス ジャーナル社,1998年,pp.39-44
【文献】菅原 康夫,第3章 保湿剤の特性とその効果,FRAGRANCE JOURNAL,no.9,津野田 勲 ▲C▼フレグランス ジャーナル社,1988年,pp.89-93
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 8/00- 8/99
A61P 17/00-17/18
A61P 43/00
A61Q 17/00-17/04
A61Q 19/00-19/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャンクションタンパク質のより多い存在量および表皮細胞の相互のより強い結合を有することによって発現される、表皮の生細胞におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための組成物であってセリン、アルギニン、ヒスチジン、ピロリジノン-5-カルボン酸およびカルシウムラクタートまたはその水和物を含む、前記組成物
【請求項2】
カルシウムラクタートが、カルシウムラクタート水和物である、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
ジャンクションタンパク質のより多い存在量および表皮細胞の相互のより強い結合を有することによって発現される、表皮の生細胞におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための混合物であって、セリン、アルギニン、ヒスチジン、ピロリジノン-5-カルボン酸およびカルシウムラクタートまたはその水和物からなる、前記混合物。
【請求項4】
セリン、アルギニン、ヒスチジン、ピロリジノン-5-カルボン酸およびカルシウムラクタート水和物からなる、請求項に記載の混合物。
【請求項5】
セリンが25~35重量%で含まれ、アルギニンが5~10重量%で含まれ、ヒスチジンが5~10重量%で含まれ、ピロリジノン-5-カルボン酸が10~30重量%で含まれ、および、カルシウム塩または水和物が25~35重量%で含まれ、ここで、組み合わされた総量は100重量%になる、請求項3または4に記載の混合物。
【請求項6】
L-セリン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-ピロリジノン-5-カルボン酸およびカルシウムラクタート水和物からなる、請求項3に記載の混合物。
【請求項7】
粉末混合物である、請求項のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項8】
請求項のいずれか一項に記載の混合物および溶媒からなる、製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、一般には、表皮の生細胞におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための、少なくとも1のさらなるアミノ酸またはアミノ酸誘導体および少なくとも1のカルシウム塩またはその水和物と一緒の、セリンまたはトレオニンの使用、および、かかる構成要素の特定の混合物、および、該混合物および溶媒からなる製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
皮膚の最外層である表皮は、主に角化細胞で構成されている。これらの細胞は、真皮と接触している基底膜(基底層)から上方に分化し、最外位置において接続された角質化した細胞のシートとして終わる層状の層を形成する。表皮には、循環系を介して栄養が直接供給されない。
表皮のこれらの層を通して、カルシウム勾配が存在する。この勾配は、基底層では低く、有棘層では徐々に増加し、顆粒層では鋭いピークになり、角質層である皮膚の最外層で再び低下する。カルシウムは、小胞体(ER)において細胞外または細胞内に存在し、角化細胞の複数の細胞プロセスに関与している。年齢、表皮の損傷、およびダリエ病およびヘイリー・ヘイリー病などの疾患状態では、カルシウム勾配が乱れ、表皮の組成および機能的能力に劇的な変化をもたらす。角質層の基礎的要素を一緒に保持するタンパク質が表皮の生細胞で形成されたため、これは角質層にも影響を及ぼす。
【0003】
細胞レベルでは、カルシウムは、角化細胞の分化、遊走、および接着などの多くのプロセス、ならびに表皮ジャンクションタンパク質の生成および維持に関与している。表皮の正常な維持において、カルシウムは、デスモソームの形成ならびにタイトジャンクションタンパク質およびカドヘリンタンパク質の接着状態の形成および維持を制御することにより、組織の完全性の維持に関与している。表皮の損傷に対する応答においても、主にERから放出されたカルシウムは、角化細胞による表皮の再増殖およびジャンクションタンパク質の回復を補助する。よって、表皮カルシウム流動は、細胞内で保存されるか、または適切な物理化学的プロセスで利用される可能性のある、細胞で利用可能な形態で存在するカルシウムを必要とする動的プロセスである。
【0004】
年齢および/または疾患におけるカルシウムの表皮での不足は、カルシウムの経口補充によって緩和される必要はない。経口補充では、カルシウムミネラル塩は貧水溶性を示し、それらの生物学的利用性を制限することがよく知られている。
したがって、表皮のカルシウム勾配の局所的補充または回復の任意の試みは、可溶性および生物学的利用性のハードルを克服する必要があるであろう。
WO2007/084932から、アミノ酸キレート化ミネラルが栄養補充のためによく知られるようになったことが知られている。報告されている混合アミノ酸/ミネラル化合物は、2番目のアミノ酸とは異なる1番目のアミノ酸が結合したミネラルを含み、1番目のアミノ酸のみまたは2番目のアミノ酸のみを有する化合物と比較して、消化管(GI)管での増加した可溶性および/または増加した吸収性を有することを特徴とする。
【0005】
US5,516,925は、改善された嗜好性を有するアミノ酸配位子を含むアミノ酸キレート化ミネラル組成物を記載している。
WO02/00185は、皮膚のバリア機能の特定の減衰または強化のためのカルシウム放出または結合物質の使用を記載している。
US2008/0260672は、保存安定性に優れ、真菌に特定の防腐剤効果を有し、化粧品に組み込まれた場合、べたつき感を引き起こさずに高い保湿効果を与え、および染毛が退色するのを防ぐ効果を与えることができる、高いアミノ酸含量の水性防腐剤溶液を記載している。かかる組成物は、ピロリドンカルボン酸および/またはその塩、塩基性アミノ酸および/またはその塩、酸性アミノ酸および/またはその塩、中性アミノ酸および/またはその塩、および乳酸および/またはその塩を特定の取り込み比および特定のpHで含む。
【0006】
WO2008/142147は、生理学的に許容し得る担体中に、ピロリドン-5-カルボン酸、および、シトルリン、アルギニンおよびアスパラギンからの少なくとも1の化合物(ラセミ体または異性体形態)およびその塩を含む、アトピー性皮膚炎の処置および/または予防における使用のための医薬の調製のための組成物を記載している。
KR1020090054777は、乳酸またはその塩、ピロリジノンカルボン酸またはその塩、およびアミノ酸を含む、皮膚のpHを制御するための組成物、およびそれを含む化粧品を記載している。さらに、かかる組成物は皮膚バリア機能を保護し、該組成物の成分は天然保湿因子(NMF)の一部であると報告されている。結果として、報告された組成物またはかかる組成物を含む化粧品は、皮膚を保湿することができる。
EP2404502は、ピロリドンカルボン酸、および、PCAの抗ウイルス作用および抗細菌作用を相乗的に増強する、銅、亜鉛またはマンガン塩などの金属塩を含む組成物を記載している。
【0007】
WO2017/042748は、乳酸の少なくとも1の化粧品として許容し得る塩、L-セリン、グリシン、ロイシン、リジン、プロリン、バリン、チロシン、グルタミン酸、アラニン、アスパラギン酸、アルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、フェニルアラニン、オルニチン、トレオニンから選択される少なくとも1のアミノ酸およびそれらの混合物、トレハロース、ならびに、亜鉛の少なくとも1の化粧品として許容し得る塩を含む保湿化粧品組成物を記載している。
Jokura Y et al, J Invest Dermatol 1995, 104, 806-812は、固体状態13C核磁気共鳴分光法により角質層の弾性特性を調査している
Rawlings A.V. et al, Arch Dermatol Res 1996, 288, 383-390は、角化細胞セラミド合成、角質層脂質レベルおよび角質層バリア機能に対する乳酸異性体の効果を記載している。
【0008】
Harding C et al, Int J Cos Sci 2000, 22, 21-52は、落屑プロセスの理解の向上を報告し、保湿成分の作用機序に関する新しい洞察を提供している。
Rawlings A.V. et al, Dermatologic Therapy, 2004, 17, 43-48は、分子レベルでの角質層の保湿を記載している。
Gad M.Z., Journal of Advanced Research 2010, 1, 169-177は、L-アルギニンの抗老化効果を記載している。
Fowler J, Pract. Dermatol. 2012, 9, 36-40は、乾燥状態の乾いた皮膚を処置するために皮膚に自然に発生する天然保湿因子(NMF)と総称される構成要素を記載している。
【0009】
Souza A d P B d et al, Braz J Pharm Sci 2017, 53(3) e00045は、マウスの皮膚の弾力性に対するL-アルギニンのin vivo効果を記載している。
Tan S P et al, Clin Cos Invest Dermatol 2017, 10, 403-411は、アトピー性皮膚炎におけるL-ヒスチジン補充の効果を調査している。
Kim J-H, Ahn B, Choi S-G, In S, Goh AR, Park S-G, et al, (2019) Amino acids disrupt calcium-dependent adhesion of stratum corneum, PLoS ONE 14(4): e0215244は、セリンなどのアミノ酸のCa2+キレート特性を記載し、アミノ酸がカドヘリンの相互作用を妨害し、角質層を小片に分離し、それによって皮膚の剥離プロセスを刺激できることを実証した。
しかしながら、特に老化した皮膚およびこの勾配が乱れる疾患状態では、既存のカルシウム勾配を強化する必要が未だにある。
したがって、本出願の目的は、かかる解決策を提供することである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の概要
本発明者らは、本明細書に記載の方法または本出願の特定の混合物によって上記目的が達成され得ることを見出した。
本発明は、表皮の生細胞(具体的には、表皮の生きている角化細胞)におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための、セリンまたはトレオニンの、少なくとも1のさらなるアミノ酸またはアミノ酸誘導体および少なくとも1のカルシウム塩またはその水和物との組み合わせの使用に関する。
本発明は、セリンまたはトレオニンを、少なくとも1のさらなるアミノ酸またはアミノ酸誘導体および少なくとも1のカルシウム塩またはその水和物と組み合わせて提供すること、および、具体的には、化粧品調製物、皮膚科学調製物、または医薬調製物、または医療デバイスの一部として、該化合物を皮膚に適用することを含む、哺乳動物(具体的には、ヒト)の表皮の生細胞におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための方法にさらに関する。
本発明は、セリン、アルギニン、ヒスチジン、ピロリジノン-5-カルボン酸および少なくとも1の有機カルシウム塩またはその水和物からなる混合物にさらに関する。
本発明は、該混合物および溶媒からなる製剤にさらに関する。
【0011】
本発明の詳細な記載
前に開示したように、セリンまたはトレオニンの、少なくとも1のさらなるアミノ酸またはアミノ酸誘導体および少なくとも1のカルシウム塩またはその水和物との該組み合わせは、カルシウム塩またはその水和物単独の細胞取り込み能力と比較して、またはセリンおよび1以上のカルシウム塩またはその/それらの水和物(単数または複数)の組み合わせの細胞取り込み能力とも比較して、表皮細胞、具体的には、生きている角化細胞におけるカルシウムの細胞取り込み能力の増加を可能にする。
カルシウムは、アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体とともに供給されるため、皮膚に存在するカルシウムイオンは破壊されず、既存のカルシウム勾配はそのままである。そのカルシウムの細胞利用性のため、細胞はERにおいてカルシウムの細胞内貯蔵を蓄積することができ、次いで、デスモソームおよび細胞ジャンクションタンパク質の形成に使用され得る。このカルシウムを利用する細胞の該能力は、多量のジャンクションタンパク質および表皮細胞の相互のより強い結合を有することによって発現される。
【0012】
アミノ酸、アミノ酸誘導体、カルシウム塩またはそれらの水和物は、すべての立体異性体またはラセミ体混合物を含む。
好ましくは、トレオニンの代わりにセリンが使用される。特に好ましくは、L-トレオニンの代わりにL-セリンが使用される。
本発明に従って使用されるカルシウム塩またはその水和物は限定されず、無機または有機カルシウム塩または無機または有機カルシウム水和物であり得る。
好ましくは、少なくとも1のカルシウム塩またはその水和物は、有機カルシウム塩またはその水和物である。
したがって、本発明は、前に記載されたとおりの使用、ここで、少なくとも1のカルシウム塩またはその水和物が、有機カルシウム塩またはその水和物である、に関する。
【0013】
好適なカルシウム塩は、カルシウムアセタート、カルシウムアスパルタート、カルシウムアスコルバート、カルシウムシトラート、カルシウムグルコナート、カルシウムラクタート、カルシウムピドラート(カルシウムビス(5-オキソ-L-プロリナート)、カルシウムアルギナート、またはそれらの水和物、またはこれらの塩または水和物の組み合わせ(すべての立体異性体またはラセミ体混合物を含む)から選択され得る。
したがって、本発明は、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された使用、ここで、少なくとも1のカルシウム塩またはその水和物が、カルシウムアセタート、カルシウムアスパルタート、カルシウムアスコルバート、カルシウムシトラート、カルシウムグルコナート、カルシウムラクタート、カルシウムピドラート(カルシウムビス(5-オキソ-L-プロリナート)、カルシウムアルギナート、またはそれらの水和物、またはこれらの塩または水和物の組み合わせから選択される、に関する。
【0014】
前に記載されたとおりの該使用内で、0.2~0.5当量のカルシウム塩または水和物は、好ましくは1当量のセリンと一緒に使用される。特に好ましくは、0.3~0.4当量のカルシウム塩または水和物は、本発明に従って使用される場合、好ましくは1当量のセリンと一緒に使用される。本発明に従って使用される場合、1:0.33のセリンとカルシウム塩またはカルシウム水和物の分子割合を使用することが特に好ましい。
本発明の好ましい態様において、1のカルシウム塩または1のカルシウム水和物は、セリンまたはトレオニンおよび少なくとも1のさらなるアミノ酸またはアミノ酸誘導体と組み合わせて、カルシウムイオンの供給源として使用される。
したがって、本発明は、表皮の生細胞(具体的には、生きている角化細胞)におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための、セリンまたはトレオニンの、少なくとも1のさらなるアミノ酸またはアミノ酸誘導体および1のカルシウム塩またはその水和物との組み合わせの使用にさらに関する。
【0015】
本発明の特に好ましい態様において、カルシウムL-ラクタートまたはその水和物が使用される。カルシウムL-ラクタートの好ましい水和物は、カルシウムL-ラクタート五水和物である。
本発明に従って使用される少なくとも1のさらなるアミノ酸は限定されず、当該技術分野において知られている任意の必須または非必須アミノ酸であり得る。
本発明の好ましい態様において、少なくとも1のさらなるアミノ酸は、セリンまたはトレオニンの他に、アルギニンであり、その他のさらなるアミノ酸またはアミノ酸誘導体は制限されない。
したがって、本発明は、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された使用、ここで、少なくともさらなるアミノ酸が、セリンまたはトレオニンの他に、アルギニンである、に関する。
【0016】
本発明の好ましい態様において、アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の組み合わせは、セリンまたはトレオニンの他に、1、2、3、4または5のさらなるアミノ酸および1のさらなるアミノ酸誘導体を含む。
セリンまたはトレオニンの量は、本発明に従って使用されるアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の組み合わせ内の最高量であることが好ましい。
したがって、本発明は、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された使用、ここで、アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の組み合わせが、セリンまたはトレオニンの他に、1、2、3、4または5のさらなるアミノ酸および1のさらなるアミノ酸誘導体を含む、に関する。
【0017】
別の本発明の好ましい態様において、アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の組み合わせは、セリンおよびアルギニンの他に、1のさらなるアミノ酸および1のさらなるアミノ酸誘導体を含む。
別の本発明の好ましい態様において、アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の組み合わせは、セリンおよびアルギニンの他に、2のさらなるアミノ酸および1のさらなるアミノ酸誘導体を含む。
さらなるアミノ酸は、セリンまたはトレオニンおよび/またはアルギニンの他に、ヒスチジン、システイン、グルタミン酸、またはアスパラギン酸から選択される。
好ましくは、さらなるアミノ酸は、セリンおよびアルギニンの他に、ヒスチジンである。
【0018】
さらなるアミノ酸誘導体は限定されず、当該技術分野において知られている。好適なアミノ酸誘導体は、L-ホモセリン、ピルビン酸、アルファ-ケトグルタル酸、グルタミン酸またはL-グルタミン酸、グルタミン、L-グルタミン、およびピロリジノン-5-カルボン酸およびそれらの異性体形態である。
好ましくは、さらなるアミノ酸誘導体は、ピロリジノン-5-カルボン酸である。特に好ましくは、さらなるアミノ酸誘導体は、L-ピロリジノン-5-カルボン酸である。
アミノ酸誘導体、具体的には、L-ピロリジノン-5-カルボン酸の量は、本発明に従って使用されるアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体の組み合わせ内で2番目に多い量であることが好ましい。
好ましくは、すべてのアミノ酸は、ラセミ体混合物として使用される。特に好ましくは、すべてのアミノ酸は、L-異性体として使用される。
好ましくは、アミノ酸誘導体は、L-異性体として使用される。
【0019】
本発明の特に好ましい態様において、アミノ酸およびアミノ酸誘導体の組み合わせは、カルシウム塩または前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された好ましいカルシウム塩と一緒に使用される、セリン、アルギニン、ヒスチジンおよびピロリジノン-5-カルボン酸、好ましくはL-ピロリジノン-5-カルボン酸を含む。
したがって、本発明は、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された使用、ここで、アミノ酸およびアミノ酸誘導体の組み合わせが、セリン、アルギニン、ヒスチジンおよびピロリジノン-5-カルボン酸、好ましくはL-ピロリジノン-5-カルボン酸を含む、に関する。
本発明のさらに特に好ましい態様において、アミノ酸およびアミノ酸誘導体の組み合わせが、カルシウム塩または前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された好ましいカルシウム塩と一緒に使用される、セリン、アルギニン、ヒスチジンおよびピロリジノン-5-カルボン酸、好ましくはL-ピロリジノン-5-カルボン酸からなる。
【0020】
したがって、本発明は、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された使用、ここで、アミノ酸およびアミノ酸誘導体の組み合わせが、セリン、アルギニン、ヒスチジンおよびピロリジノン-5-カルボン酸、好ましくはL-ピロリジノン-5-カルボン酸からなる、に関する。
したがって、本発明は、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された使用、ここで、アミノ酸およびアミノ酸誘導体の組み合わせが、L-セリン、L-アルギニン、L-ヒスチジンおよびL-ピロリジノン-5-カルボン酸からなる、に関する。
生きている表皮細胞におけるカルシウムの細胞利用性を増加させるための記載された使用は、好ましくは、哺乳動物の表皮(好ましくはヒトの表皮)に局所的に適用される化粧品組成物、皮膚科学組成物、または医薬組成物または医療デバイスに組み込まれ得る特定の混合物を使用することによって行われる。
【0021】
したがって、本発明は、セリン、アルギニン、ヒスチジン、ピロリジノン-5-カルボン酸および少なくとも1の有機カルシウム塩またはその水和物からなる混合物にさらに関し、これは、表皮の生細胞、好ましくは表皮の生きている角化細胞においてカルシウムの細胞利用性を増加させる本発明に従って使用される好ましい態様である。
好ましくは、本発明に従う混合物は、L-ピロリジノン-5-カルボン酸を含む。
好ましくは、本発明に従う混合物は、L-セリン、L-アルギニンおよびL-ヒスチジンを含む。
好ましくは、本発明に従う混合物または該混合物の好ましい態様の1は、カルシウムアセタート、カルシウムアスパルタート、カルシウムアスコルバート、カルシウムシトラート、カルシウムグルコナート、カルシウムラクタート、カルシウムピドラート(カルシウムビス(5-オキソ-L-プロリナート)、カルシウムアルギナート、またはそれらの水和物、またはこれらの塩または水和物の組み合わせ(すべての立体異性体形態を含む)から選択される、少なくとも1の有機カルシウム塩またはその水和物を含む。
【0022】
したがって、本発明は、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された混合物、ここで、カルシウム塩またはその水和物が、カルシウムアセタート、カルシウムアスパルタート、カルシウムアスコルバート、カルシウムシトラート、カルシウムグルコナート、カルシウムラクタート、カルシウムピドラート(カルシウムビス(5-オキソ-L-プロリナート)、カルシウムアルギナート、またはそれらの水和物、またはこれらの塩または水和物の組み合わせから選択される、に関する。
好ましくは、本発明に従う混合物は、1のカルシウム塩またはその水和物を含む。
【0023】
本発明の好ましい態様において、1のカルシウム塩は、カルシウムラクタートまたはその水和物である。好ましいカルシウムラクタートは、カルシウムL-ラクタートである。
本発明の特に好ましい態様において、カルシウム塩は、カルシウムL-ラクタート水和物であり、ここで、カルシウムL-ラクタート五水和物が特に好ましい。
したがって、本発明は、セリン、アルギニン、ヒスチジン、ピロリジノン-5-カルボン酸およびカルシウムラクタート水和物からなる混合物に関する。
したがって、本発明は、好ましくは、L-セリン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-ピロリジノン-5-カルボン酸およびカルシウムL-ラクタート五水和物からなる混合物に関する。
【0024】
該記載の混合物内で、セリンは好ましくは25~35重量%で含まれ、アルギニンは好ましくは5~10重量%で含まれ、ヒスチジンは好ましくは5~10重量%で含まれ、ピロリジノン-5-カルボン酸は好ましくは10~30重量%で含まれ、カルシウム塩または水和物は好ましくは25~35重量%で含まれ、ここで、組み合わされた総量が100重量%になる。
該記載の好ましい混合物内で、L-セリンは好ましくは25~35重量%で含まれ、L-アルギニンは好ましくは5~10重量%で含まれ、L-ヒスチジンは好ましくは5~10重量%で含まれ、L-ピロリジノン-5-カルボン酸は好ましくは10~30重量%で含まれ、カルシウムL-ラクタート五水和物は好ましくは25~35重量%で含まれ、ここで、組み合わされた総量が100重量%になる。
したがって、本発明は、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された混合物、ここで、セリンが25~35重量%で含まれ、アルギニンが5~10重量%で含まれ、ヒスチジンが5~10重量%で含まれ、ピロリジノン-5-カルボン酸が10~30重量%で含まれ、カルシウム塩または水和物が25~35重量%で含まれ、ここで、組み合わされた総量が100重量%になる、に関する。
【0025】
前に記載のとおり、0.2~0.5当量のカルシウム塩または水和物は、好ましくは1当量のセリンと組み合わされる。特に好ましくは、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された、0.3~0.4当量のカルシウム塩または水和物は、好ましくは本発明に従う混合物内の1当量のセリンまたはL-セリンと組み合わされる。本発明に従う混合物においてセリンとカルシウム塩またはカルシウム水和物との1:0.33の分子割合を使用することが特に好ましい。本発明に従う混合物においてL-セリンとカルシウムL-ラクタート五水和物との1:0.33の分子割合を使用することが特に好ましい。
セリンまたはL-セリンの量は、本発明に従う混合物においてアミノ酸およびアミノ酸誘導体の組み合わせ内で最高量であることが好ましい。
【0026】
ピロリジノン-5-カルボン酸またはL-ピロリジノン-5-カルボン酸の量は、本発明に従う混合物においてアミノ酸およびアミノ酸誘導体の組み合わせ内で2番目に多い量であることがさらに好ましい。
本発明に従う特に好ましい混合物は、29~31重量%のL-セリン、7~8重量%のL-アルギニン、7~8重量%のL-ヒスチジン、20~25重量%のL-ピロリジノン-5-カルボン酸、および29~31重量%のカルシウムL-ラクタート五水和物からなる。
本発明に従うさらに特に好ましい混合物は、30.6重量%のL-セリン、7.5重量%のL-アルギニン、7.3重量%のL-ヒスチジン、24.2重量%のL-ピロリジノン-5-カルボン酸、および30.4重量%のカルシウムL-ラクタート五水和物からなる。
【0027】
記載された混合物または好ましくは記載された混合物は、好ましくは粉末混合物である。
したがって、本発明は、粉末混合物である、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された混合物に関する。該混合物は、その水溶性が高いことをさらに特徴とする。
それにもかかわらず、該混合物は、代わりに、溶媒と一緒に、製剤として、化粧品組成物、皮膚科学組成物、医薬組成物または医療デバイスに組み込まれ得る。
したがって、本発明は、本発明に従う混合物および溶媒からなる製剤にさらに関する。
溶媒の種類は、制限されないが、水またはアルコールおよび水の混合物などの極性溶媒が好ましい。好適なアルコールは、メタノール、エタノール、1,2-エタンジオール、1-プロパノール、2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、1-3-プロパンジオール、1-ブタノール、2-ブタノール、3-ブタノール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、および1,2-ブタンジオールから選択され得る。
【0028】
ジャンクションタンパク質のより多い存在量および表皮細胞の相互のより強い結合を有することによって発現される、生きている表皮細胞、具体的には、生きている角化細胞におけるカルシウムの細胞取り込み能力の増加などの、本発明に従う混合物を使用することによる記載された利点の他に、単一成分または当該技術分野において知られている該構成要素の混合物のすべての他の利点が残る。当該技術分野において知られているかかる利点は、保湿能力、皮膚バリア機能の強化、および皮膚および化粧品のpHの制御、および抗ウイルス作用および抗最近作用である。
本発明に従う混合物は、デスモソームが形成される表皮の生細胞にカルシウムを利用可能にすることにより、角質細胞の結合を改善する。加えて、本発明に従う混合物は、顆粒層の水和も改善し、デスモソームの角質デスモソームへの酵素的プロセスを可能にすることが見出されている。また、細胞で利用可能なカルシウムは、古典的および非古典的カドヘリンならびにタイトジャンクションタンパク質の形成および維持を可能にする。さらに、本発明に従う混合物は、表皮における生きている角化細胞の細胞骨格を変化させることが見出されている。
前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された混合物の、化粧品組成物、皮膚科学組成物、または医薬組成物または医療デバイスにおけるかかる利点をさらに支援する他の活性成分との組み合わせは、有利である。
【0029】
組み合わせに特に好適な活性成分は保湿剤である。化粧品組成物、皮膚科学組成物、または医薬組成物または医療デバイスにおいて本発明に従う混合物と一緒に使用される好適な保湿剤は、エクトイン(RonaCare(登録商標)エクトイン)、ヒドロキシエクトイン、トレハロース、グリセロール、グリコシルグリセロール、β-マンノシルグリセラート(フィロイン)、β-マンノシルグリセラミド(フィロインA)、ジ-ミオ-イノシトールリン酸(DIP)、環状2,3-ジホスホグリセリン酸(cDPG)、1,1-ジグリセロールリン酸(DGP)、ジマンノシルジイノシトールリン酸(DMIP)、ベタイン、グリシンベタイン、プロリンベタイン、グルタミン酸ベタイン、アラニン、プロリン、グルタミン、N-アセチルリシン、グルタミン1-アミド、タウリン、コリン、コリンO-スルファート、カルニチン、アルセノベタイン、クロトノベタイン、ジメチルスルホニオアセタート、ジメチルスルホプロピオナート、ホモベタイン、トリメチルアミンN-オキシド、パンテノール、ソルビトール、メグルミン、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸誘導体、尿素(RonaCare(登録商標)尿素)およびナイアシンアミド(RonaCare(登録商標)ニコチンアミド)である。
本発明の目的のために、用語「組成物」は、用語「調製物」と同義的に使用される。
【0030】
本明細書での調製物は、大抵、例えば化粧品または皮膚科学調製物または医療デバイスなど、局所的に適用され得る調製物である。「局所的に適用され得る」は、調製物が外部および局所的に適用されること、すなわち、調製物が、例えば皮膚に適用され得るのに好適でなければならないことを意味する。この場合、調製物は、化粧品として、薬学的に、または皮膚科学的に好適なビヒクルを含み、所望の特性プロファイルに応じて、任意にさらに好適な成分を含む。局所調製物は、好ましくは化粧品または皮膚科学組成物として、特に好ましくは化粧品組成物として使用される。好適なビヒクルおよび助剤または充填剤は、以下のパートで詳細に記載される。
【0031】
調製物は、上記および/または下記の必要なまたは任意の成分を、含む(include)または含む(comprise)、本質的にそれらからなるまたはそれらからなるものであり得る。調製物に使用され得るすべての化合物または構成要素は、既知であり市販されているか、または既知のプロセスで合成され得る。
本発明に従う混合物は、前に記載のとおりまたは好ましくは前に記載されたとおり、調製物の総量に基づき、0.01~10重量%の量、好ましくは0.05~10重量%の量、特に好ましくは0.1重量%~5重量%の量、極めて特に好ましくは0.5~3重量%の量で、局所調製物に使用される。当業者は、調製物の意図された作用に応じて適切に量を選択することにおいて、本明細書で全く困難を伴わずに提示される。
【0032】
さらにまた、局所調製物は、前に記載されたとおりのさらなる成分として少なくとも1のさらなる保湿剤を含み得る。かかるさらなる保湿剤(単数または複数)は、好ましくは局所調製物において、調製物の総量に基づいて、0.01~20重量%の量で、特に好ましくは0.1~15重量%の量で、極めて特に好ましくは0.2~8重量%の量で存在する。
本発明に従う混合物の他に、上に記載のとおりまたは好ましいものと記載されているとおり、調製物はさらに、少なくとも1のUVフィルターも含み得る。
有機UVフィルター(いわゆる親水性または親油性の日焼け保護フィルター)は、UVA領域および/またはUVB領域および/またはIRおよび/またはVIS領域(吸収剤)で有効である。これらの物質は、とりわけ、ジベンゾイルメタン誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンフル誘導体、トリアジン誘導体、β,β-ジフェニルアクリラート誘導体、p-アミノ安息香酸誘導体およびポリマーフィルターおよびシリコーンフィルターから選択され得、これは、出願WO-93/04665に記載されている。有機フィルターのさらなる例は、特許出願EP-A 0 487 404に示されている。該UVフィルターは大抵、INCI命名法に従って以下に名付けられている。
【0033】
本発明に従う混合物との組み合わせに特に好適なものは、エチルヘキシルサリチラート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、4-メチルベンジリデンカンフル、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、二ナトリウムフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホナート、メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、フェニレンビス-ジフェニルトリアジン、ポリシリコーン-15、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジンおよびそれらの混合物である。これらの有機UVフィルターは一般に、0.01重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%の量で調製物に組み込まれる。
本発明に従う混合物、保湿剤および/または任意の有機UVフィルターの他に、上に記載のとおり、調製物は、無機UVフィルター(いわゆる粒子状UVフィルター)をさらに含み得る。
【0034】
以下の例も本開示に包含され、態様に完全にまたは部分的に組み込まれ得る。
例えば、被覆された二酸化チタン(例えば、Eusolex(登録商標)T-2000、Eusolex(登録商標)T-AQUA、Eusolex(登録商標)T-AVO、Eusolex(登録商標)T-PRO、Eusolex(登録商標)T-EASY)などの二酸化チタンの群からのもの、酸化亜鉛(例えば、Sachtotec(登録商標))、酸化鉄または酸化セリウムおよび/または酸化ジルコニウムの両方が好ましい。
さらに、調製物が、例えば、Cosmetics & Toiletries, February 1990, Vol. 105, pp. 53 64に記載されているような従来の方法によって後処理された無機UVフィルターを含むことが好ましい場合がある。本明細書では、以下の後処理の構成要素の1以上が選択され得る:アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪酸アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、リン脂質、ナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、または脂肪酸のアルミニウム塩、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(具体的には、コラーゲンまたはエラスチン)、アルカノールアミン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、さらなる金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン酸塩、またはグリセリン。
【0035】
これらの無機UVフィルターは、一般に、0.1重量%~25重量%、好ましくは2重量%~10重量%の量で調製物に組み込まれる。
UVフィルター作用を有する該化合物の1以上の組み合わせにより、光老化を誘発するUV放射線の有害な効果に対する保護作用が最適化され得る。
すべての該UVフィルターは、カプセル化形態でも使用され得る。とりわけ、カプセル化形態の有機UVフィルターを使用することが有利である。
該局所組成物におけるカプセルは、好ましくは、カプセル化されたUVフィルターが調製物において上記の重量比パーセントで存在することを保証する量で存在する。
【0036】
本発明に従い、前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された混合物を含む、記載された調製物は、色素の層構造が限定されない着色色素もさらに含み得る。
着色色素は、好ましくは0.5重量%~5重量%の使用であるべきである。対応する色素の選択は、当業者によく知られている。
前に記載されたとおりのまたは好ましくは前に記載された混合物を含むさらなる調製物は、同様に、例えば抗酸化剤、抗老化、抗しわ、抗ふけ、抗にきび、抗セルライト活性化合物、消臭剤またはビタミンから選択される少なくとも1のさらなる化粧品活性化合物を含み得る。
調製物が1以上の抗酸化剤を含む場合、酸化ストレスまたは遊離ラジカルの効果に対する該調製物の保護作用が改善され得、当業者は、好適に迅速に、または時間的に遅れて作用する抗酸化剤を選択することにおいて、本明細書で全く困難を伴わずに提示される。
【0037】
抗酸化剤として使用され得る専門文献から知られている多くの証明された物質がある:例えば、アミノ酸(例えば、グリシン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール、(例えば、ウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、などのD,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシンおよびその誘導体(例えば、アンセリン)、カロチノイド、カロテン(例えばα-カロテン、β-カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、オーロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリルおよびそのグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、およびスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシスタスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ、ヘキサおよびヘプタチオニンスルホキシミン)(極めて低い耐容用量(例えば、pmol~μmol/kg))、およびまた(金属)キレート剤、(例えばα-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリバージン、EDTA、EGTA、五ナトリウムエチレンジアミンテトラメチレンホスホナートおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、アスコルビルパルミタート、マグネシウムアスコルビルホスファート、アスコルビルアセタート)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミンEアセタート)、ビタミンAおよび誘導体(例えば、ビタミンAパルミタート)およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾアート、ルチン酸およびその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレト酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランススチルベンオキシド)。
【0038】
また、好適な抗酸化剤は、式AまたはB
【化1】

式中
は、-C(O)CH、-CO、-C(O)NHおよび-C(O)N(Rの群から選択され得、
Xは、OまたはNHを示し、´
は、直鎖または分枝の1~30個のC原子を有するアルキルを示し、
は、直鎖または分枝の1~20個のC原子を有するアルキルを示し、
は、各場合において、相互に独立して、Hまたは直鎖または分枝の1~8個のC原子を有するアルキルを示し、
は、H、直鎖または分枝の1~8個のC原子を有するアルキルまたは直鎖または分枝の1~8個のC原子を有するアルコキシを示し、
は、直鎖または分枝の1~8個のC原子を有するアルキルを示す、
の化合物であり、好ましくは2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンジリデン)マロン酸および/または2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンジル)マロン酸の誘導体であり、特に好ましくはビス(2-エチルヘキシル)2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンジリデン)マロナート(例えば、Oxynex(登録商標)ST Liquid)および/またはビス(2-エチルヘキシル)2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンジル)マロナート(例えば、RonaCare(登録商標)AP)である。
【0039】
抗酸化剤の混合物も同様に、本発明に従う化粧品調製物での使用に好適である。公知および市販の混合物は、例えば、活性成分として、レシチン、L(+)-アスコルビルパルミタートおよびクエン酸、天然トコフェロール、L(+)-アスコルビルパルミタート、L(+)-アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)K LIQUID)、天然資源からのトコフェロール抽出物、L(+)-アスコルビルパルミタート、L(+)-アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)L LIQUID)、DL-α-トコフェロール、L(+)-アスコルビルパルミタート、クエン酸およびレシチン(例えば、Oxynex(登録商標)LM)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L(+)-アスコルビルパルミタートおよびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)2004))を含む混合物である。この種類の抗酸化剤は、大抵、本発明に従う混合物を含む調製物において、1000:1~1:1000の範囲の重量パーセント比、好ましくは100:1~1:100の重量パーセント比で使用される。
【0040】
とりわけスキンケア調製物に好適な抗老化活性化合物は、例えば、商品名RonaCare(登録商標)Luremin(登録商標)で販売されている5,7-ジヒドロキシ-2-メチルクロモン、または市販の製品RonaCare(登録商標)ASCIII(登録商標)、RonaCare(登録商標)RenouMer、RonaCare(登録商標)VTA、RonaCare(登録商標)Poppy SE、RonaCare(登録商標)IsoquercetinまたはRonaCare(登録商標)Cyclopeptide 5などの、Merckの製品である。
使用される調製物は、さらなる成分としてビタミンを含み得る。ビタミンA、ビタミンAプロピオナート、ビタミンAパルミタート、ビタミンAアセタート、レチノール、ビタミンB、チアミン塩酸塩(ビタミンB)、リボフラビン(ビタミンB)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD)、ビタミンE、DL-α-トコフェロール、トコフェロールEアセタート、トコフェロール水素サクシナート、ビタミンK、エスクリン(ビタミンP活性化合物)、チアミン(ビタミンB)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、(ビタミンB)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバルアミン(ビタミンB12)から選択されたビタミンおよびビタミン誘導体が好ましく、ビタミンAパルミタート、ビタミンCおよびその誘導体、DL-α-トコフェロール、トコフェロールEアセタート、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチンから選択されたビタミンおよびビタミン誘導体が特に好ましい。化粧品用途の場合、ビタミンは大抵、総重量に基づいて0.01重量%~5.0重量%の範囲で本発明に従う混合物とともに加えられる。
【0041】
記載されたレチノイドは、同時に有効な抗セルライト活性化合物でもある。同様に知られている抗セルライト活性化合物はカフェインである。
調製物は、好ましくは、例えば、化粧油(例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、C12~15アルキルベンゾアート、イソプロピルミリスタート、アリールアルキルベンゾアート(例えば、フェネチルベンゾアート(X-Tend 226)など)またはCosmacolブランドの油構成要素(ジミリスチルタルトラートなど)、トリC14~C15アルキルシトラート、C12~C13アルキルラクタート、トリデシルサリチラート、C12~C13アルキルオクタノアート、C12~C13アルキルマラート、C12~C13アルキルシトラート、C12~C13アルキルタルトラート)、または極性プロトン性助剤(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、イソプロパノール、エタノール)またはいわゆる可溶化剤(例えば、ブチルフタルイミド、イソプロピルフタルイミド、ジメチルイソソルビド)などの助剤を含み得る。極めて特に好ましい化粧油は、C12~C13アルキルラクタート(Cosmacol ELIとして市販)およびフェネチルベンゾアート(X-Tend 226として市販)である。
【0042】
前に記載のとおりの調製物は、本発明に従う混合物または本発明に従う製剤が、かかる調製物に好適であるビヒクルおよび任意に助剤および/または充填剤と混合されることで合成され得る。好適なビヒクルおよび助剤または充填剤は、以下のパートで詳細に記載されている。
調製物の該成分は、当業者に周知の技法を用いて、通常の方法に組み込まれ得る。
外用に好適な調製物は、例えば、クリームまたはミルク(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)として、ローションまたはエマルションとして、油性アルコール性、油性水性または水性アルコール性ゲルまたは溶液の形態で、皮膚に適用またはスプレーされ得る。それらは、固体のスティックの形態であり得るか、エアロゾルとして処方され得る。それらは、シャンプー、シャワージェル、クレンジングミルクまたは血清の形態であり得る。
例えば、使用される調製物の適用形態として以下のものが言及され得る:溶液、懸濁液、エマルション、PITエマルション、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、油、エアロゾルプラスター、湿布、包帯およびスプレー。
【0043】
好ましい助剤は、防腐剤、安定剤、可溶化剤、着色剤、臭気改善剤、増粘剤、可塑剤、湿潤剤、界面活性剤、乳化剤、防腐剤、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、および大抵化粧品で使用される他の成分の群に由来する。
軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、局所適用に好適である通例のビヒクル、例えば、動物性および植物性脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛、またはこれらの物質の混合物を含み得る。
粉末およびスプレーは、通例のビヒクル、例えば、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、カルシウムシリカートおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含み得る。スプレーはさらに、例えば、クロロフッ化炭素、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルなどの通例の易揮発性液化噴射剤を含み得る。圧縮空気も有利に使用され得る。
【0044】
溶液およびエマルションは、溶媒、可溶化剤および乳化剤などの通例のビヒクル、例えば水、エタノール、イソプロパノール、エチルカルボナート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコール、油、とりわけ、綿実油、落花生油、小麦油、オリーブ油、ひまし油、ゴマ油、XTend 226、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物を含み得る。
懸濁液は、液体希釈剤(例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール)、懸濁培地(例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル)、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、アガー-アガーおよびトラガカント、またはこれらの物質の混合物などの通例のビヒクルを含み得る。
【0045】
顔および体の油は、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油などの合成油、植物性油および油性植物性抽出物などの天然油、パラフィン油、ラノリン油、またはこれらの物質の混合物などの通例のビヒクルを含み得る。
さらに典型的な化粧品の適用形態は、口紅、リップケアスティック、粉末メイクアップ、エマルションメイクアップおよびワックスメイクアップ、および日焼け止め、日焼け前および日焼け後の調製物でもある。
好ましい調製物の形態は、とりわけエマルションも含む。
エマルションは有利であり、例えば、この種類の調製物に大抵使用される、該脂肪、油、ワックスおよび他の脂肪物質、ならびに水および乳化剤を含む。使用され得る乳化剤は、例えば、既知のW/OおよびO/W乳化剤である。好ましいO/Wエマルションにさらなる従来の共乳化剤を使用することが有利である。
【0046】
該局所調製物に好ましい油および/または脂質は、以下を含む:パラフィン、イソパラフィン、ジカプリリルエーテル、PPG-15、ステアリルエーテル、蜜蝋、カンデリラワックス、カルナウバワックス、エチルヘキシルステアラート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、セチルラクタート、ステアリルステアラート、イソノニルイソノナノアート、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、スクアレン、チェリーカーネル油(Prunus Cerasus)などの天然トリグリセリド、Persea Gratissima油、Carthamus Tinctoriusシード油、Macadamia Ternifoliaシード油、ココアバター(Theobroma Cacao)、Butyrospermum Parkiiバターおよびそれらの混合物。
該調製物に好ましい吸収剤および/または粘着防止剤は、変性トウモロコシデンプン、シリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ホウケイ酸カルシウムおよびアルミニウム、デンプンおよび誘導体、ポリウレタン、およびそれらの混合物を含む。
本発明はさらに、哺乳動物、好ましくはヒトの皮膚の化粧品処置のための方法であって、上に記載のとおりの混合物を含む化粧品調製物を皮膚に適用するステップを含み、それにより、表皮の生細胞におけるカルシウムの細胞利用性の増加を可能にする方法に関する。
【0047】
適用は、例えば、シャンプー、シャワーゲル、クリーム、クレンジングミルク、ペースト、ゲル、ローション、血清の処置される皮膚への適用、または前に記載のとおりの混合物またはかかる前に記載のとおりの混合物を含む所定量の調製物の水中での溶解、およびこのように混合された水または洗浄または皮膚処置のために形成された泡のその後の使用による、標準的な技法を使用して行われる。
さらなる側面において、本発明はさらに、哺乳動物、好ましくはヒトの皮膚の皮膚科学的または医薬処置のための方法であって、上に記載のとおりの混合物を含む皮膚科学調製物または医薬調製物を皮膚に適用し、それにより、疾患および/または年齢によって引き起こされる破壊されたカルシウム勾配の回復および修復のための表皮の生細胞におけるカルシウムの細胞利用性の増加を可能にするステップを含む方法に関する。
【0048】
適用は、化粧品処置について説明した標準的な技法を使用して行われ、それに応じて適用される。
さらなる側面において、本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトの皮膚の処置のための方法であって、好ましくは局所調製物の形態で、または部分のキットの一部として、または容器の一部として、上に記載のとおりの混合物を含む医療デバイスを皮膚に適用し、それにより、前に記載のとおりの表皮の生細胞におけるカルシウムの細胞利用性の増加を可能にするステップを含む方法に関する。
前述のように、本適用は標準的な技法を使用して行われる。
【0049】
さらなる側面によれば、本発明は、
a)夫々の閉鎖要素によって閉じられた少なくとも1の区画を区切る容器
b)該区画内に配置された、前に記載のとおりの混合物を含む、またはセリンまたはトレオニン、少なくとも1のさらなるアミノ酸またはアミノ酸誘導体、および前述のような作用を有する少なくとも1のカルシウム塩またはその水和物を含む、化粧品調製物、皮膚科学調製物、または医薬調製物
を含む、化粧品製品、皮膚科学製品、医薬製品、または医療デバイスに関する。
容器は任意の適切な形態を有し得る。それは、とりわけ、瓶、チューブ、カプセル、缶、ジャー、箱、または袋の形態であり得る。
【0050】
閉鎖要素は、取り外し可能なストッパー、蓋、リボン、または引き裂きシートの形態であり得る。それは、分配要素、とりわけポンプ、バルブ、またはスプレーノズル付きのキャップの形態でもあり得る。閉鎖要素は、ねじ、差込み、スナップ結合、溶接、接着、または磁気吸引などの当該技術分野において知られている任意の方法で容器に結合され得る。容器の材料は決して限定されないが、局所的に適用され得る収容された調製物の安定性に影響を与えてはならない。好適な材料は、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのプラスチック材料、ガラス、金属または合金である。
【0051】
本発明に記載された態様のバリエーションは、本発明の範囲によってカバーされることが指摘されるべきである。本発明で開示される任意の特色は、これが明示的に除外されない限り、同じ目的または同等または類似の目的に役立つ代替の特色と交換され得る。よって、本発明で開示される任意の特色は、そのように述べられない限り、一般的なシリーズの例または同等または類似の特色と考えられるべきである。
本発明のすべての特色は、特定の特色および/またはステップが相互に排他的でない限り、任意の方法で相互に組み合わされ得る。これは、本発明の好ましい特色に特に当てはまる。同様に、非不可欠な組み合わせの特色は個別に使用され得る(組み合わせて使用され得ない)。
本発明で開示される技術的教示は、抽象化され、他の例と組み合わされ得る。
【実施例
【0052】
例:
例1:細胞培養およびカルシウムの細胞利用性のアッセイ
この例で使用される混合物は、表1に開示される以下の成分からなる。該混合物は、以下では混合物1と名付けられる。
【表1】
【0053】
細胞培養および処理
HaCaT皮膚角化細胞は、10%FBSを補充したカルシウムなしのDMEM(Thermo Fisher、物品番号21068028)で80%コンフルエンシーまで少なくとも3回継代培養する。次いで、細胞を1.25x10細胞/mLの密度で96ウェルプレートに播種し、同じ条件下で24時間インキュベートする。次に、培養培地を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、カルシウムなし、補充の添加なしの、DMEMとさらに24時間インキュベートする。この後、カルシウムを含まない培養培地、市販のカルシウムを含む培養培地(Thermo Fisher、物品番号11995123)、0.5%の混合物1を補充したカルシウムを含まないDMEM培養培地、および0.5%の混合物1に存在する等モル濃度のカルシウムL-ラクタート五水和物を補充したカルシウムを含まないDMEM培養培地で細胞を30分間処理する。次いで、イオノマイシン(7μM;50μL)および色素2X Fluo-4 Direct(商標)カルシウム試薬(50μL)をすべての試料に加える。細胞を室温で60分間インキュベートし、次いでTecan 20Mスパークを使用して485±20nm/535±25nmのEx/Emで分光測光法で測定する。ベースラインは、イオノマイシンを加えずにカルシウムを含まない培養培地で処理した細胞として定義する。
【0054】
統計的有意性を、ターキー多重比較検定で一元配置分散分析を行い、条件を相互に比較することにより評価する。(図1p<0.05、**p<0.01)。すべての実験は3回実行する。
細胞内供給源からの細胞で利用可能なカルシウムの評価における干渉は、少なくとも3回の継代の間、カルシウムを含まない細胞培養培地で細胞を培養し、また24時間細胞を血清飢餓させることによって説明される。イオノマイシン(7μM)を使用して、細胞のカルシウムチャネルを開き、その取り込みを可能にする。これにより、細胞に対するカルシウムへの最大限の細胞利用性を1時間で評価できる。
【0055】
結果
図1は、測定した培地の相対蛍光を示す。
これらのデータから、0.5%混合物1で処理した細胞は、アッセイで最高の蛍光シグナルを示し、これは、他の試料と比較すると、これらの細胞へのカルシウムの最大の細胞利用性を示唆する。カルシウムL-ラクタート五水和物のみが細胞に供給される条件との大きな違いは、混合物1の他の構成要素が角化細胞でのカルシウムの細胞取り込みを促進することを証明する。
【0056】
例2:細胞培養およびタイトジャンクションタンパク質およびカドヘリンタンパク質の接着状態の形成および維持
カルシウムなしのDMEM培地(Thermo Fisher、物品番号21068028)で増殖するように適合したヒト表皮角化細胞細胞株であるHaCat細胞を、6ウェルプレートのカバースリップに、37℃、5%COで24時間播種する。この後、細胞を混合物1で48時間処理し、同じ条件下でインキュベートする。次いで、CDH3、CDH11、またはオクルディン(R&D systems、ドイツ)に対する市販の一次抗体を使用して、標準的な免疫蛍光プロトコル(J. E. Gautrot et al、Biomaterials 33(2012)5221-5229に基づく)を使用して、細胞を固定および染色する。CDH3は古典的なカドヘリンの代表であり、CDH11は非古典的なカドヘリンの代表である。オクルディンはタイトジャンクションタンパク質を例示するために使用する。Donkey Anti-Rabbit IgG NorthernLights(商標)NL557結合抗体を検出用の二次抗体として使用する(R&D systems、ドイツ)。アクチンフィラメントをFITC結合ファロイジン(Sigma-Aldridge、米国)を使用して染色する。細胞骨格の変化を視覚化するために、アクチンフィラメントを染色する。イメージング(共焦点顕微鏡)をSP8共焦点レーザー走査顕微鏡(Leica、ドイツ)を使用して行う。
【0057】
結果:
細胞を混合物1で処理すると、未処理の細胞と比較して、CDH3、CDH11、およびオクルディンの存在量の増加が観察される。細胞骨格の変化も観察され、増加した細胞接触に対する細胞の再編成を示し、細胞が細胞内接合部を構築できるようになる。
【0058】
製剤例
例1:O/Wクリーム
【表2】
【0059】
手順:
キサンタンガムを水相に分散させる。A相およびB相を75度に加熱する。A相をB相に攪拌する。均質化する。室温まで冷却し、C相およびD相を加える。
供給源:
(1)Seppic;(2)BASF SE;(3)Croda;(4)Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials;
(5)Azelis Germany GmbH;(6)Schuelke & Mayr GmbH。
【0060】
例2:フェイスクリーム(O/W)
【表3】
【0061】
手順:
A相およびB相を個別に組み合わせて、80℃に加熱する。攪拌しながらA相をB相に加える。均質化する。C相を約60℃で加える。溶解相Dを加える(40~50℃まで温める)。40℃で相Eを加え、水酸化ナトリウムでpHを5.0~5.5に調整する。
供給源:
(1)Seppic;(2)IOI Oleo GmbH;(3)BASF SE;(4)Gattefosse(ドイツ)GmbH;(5)Merck KGaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials
【0062】
例3:W/Oエマルション
【表4】
【0063】
手順:
A相およびB相を75℃に加熱する。A相をB相に攪拌する。均質化する。攪拌しながら冷却する。C相の成分を加える。
供給源:
(1)Merck KGaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials;(2)Dr. Straetmans;(3)BASF SE;(4)Evonik Nutrition & Care GmbH;(5)Gustav Heess GmbH
【0064】
例4:SPF15の日焼け止め
【表5】
【0065】
手順:
A相およびB相を個別に組み合わせる。攪拌しながらB1相をBに加える。
均質相が得られるまで攪拌する。B2相を加え、A相およびB相を70~75℃に加熱する。
攪拌せずにA相をB相に加え、均質化する。
攪拌しながら冷却し、C相を加えて、pHを5.5~6に調整する。
均質化する。
供給源:
(1) Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials;(2)Evonik Nutrition & Care GmbH;(3)BASF SE;(4)R. T. Vanderbilt Company Inc;(5)RAHN GmbH;(6)Symrise
【0066】
例5:(W/Si)エマルション
【表6】
【0067】
手順:
A相およびB相を80℃に加熱する。C相をB相に加える。A相をB相/C相に攪拌する。均質化する。攪拌しながら冷却する。D相を加える。30℃で均質化する。室温まで撹拌する。
供給源:
(1)Merck KGaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials;(2)ISP Global Technologies;(3)Evonik Nutrition & Care GmbH;(4)BASF SE;(5)Croda;(6)Azelis Germany GmbH;(7)Biesterfeld;(8)Wacker Chemie AG
【0068】
例6:抗老化ゲル
【表7】
【0069】
手順:
激しく攪拌しながらA相をB相にゆっくり加える。均質化する。
C相を加える。最後に、攪拌しながら分散したD相を加える。
NaOHでpH値を5.0~5.5に調整する。
供給源:
(1)Merck KGaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials;(2)Seppic GmbH;(3)Gustav Heess GmbH;(4)Evonik Nutrition & Care GmbH
【0070】
例7:シルキーフェイスセラム(Silky Face Serum)(W/Si)
【表8】
【0071】
手順:
A相:RonaCare(登録商標)トロキセルチンを水および混合物1に溶解し、pH5.5に調整する。
B相:グリセリンにヒドロキシエチルセルロースを事前分散させる。
攪拌しながらB相をA相に加え、膨潤させる。
C相を加え、その後D相をゆっくりと加える。
供給源:
(1) Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials;(2)Aqualon GmbH;(3)Ashland;(4)Schuelke & Mayr GmbH;(5)Biesterfeld
【0072】
例8:リンスオフマスク(Rinse-off Mask)
【表9】
【0073】
手順:
Matalgin PLFおよびタピオカピュアをミキサーで10秒間2回混合する。ホホバ油を加え、再度10秒間2回混合する。A1相を加え、10秒間2回混合する。B相を加え、10秒間2回混合する。
供給源:
(1)Alliance Gums & Industries;(2)Merck KGaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials
【0074】
例9:敏感な皮膚のための清爽フェイスマスク(Soothing face mask)
【表10】
【0075】
手順:
Carbopol Ultrez 21を水に分散させ、均質になるまで攪拌する。グリセリンと事前に混合したキサンタンガムを加え、均質になるまで攪拌する。活性成分を加え、均質になるまで撹拌する。Montanovを加え、Aを80℃に加熱する。
B相を調製し、Bを80℃に加熱する。エマルション:激しく攪拌しながらBをAに注ぐ。Cで中和し、均質化し、最終pH5.5を調整する
T<60℃でDを加え、均質になるまで攪拌する。穏やかに攪拌しながらゆっくりとクリームを冷却する。T<35℃で、Eを加え、最終的にpH5.5に調整し、均質になるまで攪拌する。
供給源:
(1)Merck KGaA、ダルムシュタット、ドイツ/EMD Performance Materials;(2)Gattefosse(ドイツ)GmbH;(3)SACI CFPA;(4)Seppic;(5)BASF SE;(6)Greentech SA;(7)Croda;(8)Schuelke & Mayr GmbH
【図面の簡単な説明】
【0076】
図面の簡単な説明
図1図1は、例1で説明した測定培地の相対蛍光を示す。
図1