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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】2液型接着剤組成物の混合比の検出方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20240730BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240730BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240730BHJP
   G01N 23/223 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J11/04
C09J11/08
G01N23/223
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020100790
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021195398
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100166637
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 圭
(72)【発明者】
【氏名】松田 俊太
(72)【発明者】
【氏名】三浦 和樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 愛美
(72)【発明者】
【氏名】松木 裕一
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-174635(JP,A)
【文献】特開2000-162207(JP,A)
【文献】特開2015-218200(JP,A)
【文献】特開2018-134630(JP,A)
【文献】特開2013-130794(JP,A)
【文献】特開2013-79366(JP,A)
【文献】特開2013-72774(JP,A)
【文献】特開2009-96016(JP,A)
【文献】特開2017-132874(JP,A)
【文献】特開2014-181297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00ー 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
G01N23/00- 23/2276
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤及び硬化剤を有する2液型接着剤組成物を用い、前記主剤及び前記硬化剤を混合して混合物を得る工程1と、
前記混合物にX線を照射する工程2と、
前記X線を照射された混合物から発生する蛍光X線の強度を測定する工程3と、
前記蛍光X線の強度から前記混合物における主剤と硬化剤との混合比を定量する工程4とを有し、
前記工程1において用いられる前記2液型接着剤組成物において、前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、ただし、前記主剤及び前記硬化剤が前記X線検出化合物として同種の化合物のみを実質的に含む場合、前記主剤及び前記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が、前記混合物中の前記同種の化合物の、蛍光X線分析装置により測定される含有量と、前記混合物中の前記硬化剤の割合との関係を表す近似式を得ることができる程度に、異なり、
上記硫黄を有するポリマーがポリサルファイドポリマーである、2液型接着剤組成物の混合比の検出方法。
【請求項2】
前記X線検出化合物が、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、ポリサルファイドポリマー、及び、二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記主剤及び前記硬化剤が前記X線検出化合物として同種の化合物のみを実質的に含む場合、前記主剤100質量%に対する上記同種の化合物の含有量(質量%)と前記硬化剤100質量%に対する上記同種の化合物の含有量(質量%)との差が13.7質量%以上である、請求項1に記載の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法。
【請求項3】
前記工程2及び前記工程3において蛍光X線分析装置を使用し、
前記蛍光X線分析装置は、X線励起源として、ターゲット材にRh、W、Ag、Cr、又はFeを用いたX線管球と、検出器として、シリコン半導体検出器、シリコンドリフト検出器、又はシリコンPINダイオード検出器とを有する、エネルギー分散型の蛍光X線分析装置であり、
前記蛍光X線分析装置の重量が、5kg未満である、請求項1又は2に記載の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法。
【請求項4】
前記工程4において定量された前記混合比が、所定の混合比の範囲内におさまっているか否かを判定し、前記工程4において定量された前記混合比が、前記所定の混合比の範囲内から外れている場合、前記所定の混合比の範囲内から外れている混合比を適正な混合比となるように、前記主剤及び/又は前記硬化剤の量を調整する工程5を更に有する、請求項1~3のいずれか1項に記載された2液型接着剤組成物の混合比の検出方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載された2液型接着剤組成物の混合比の検出方法を有し、更に、混合物を基材に塗布する塗布工程を有する、塗布物の製造方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載された2液型接着剤組成物の混合比の検出方法に使用される2液型接着剤組成物であって、
主剤及び硬化剤を有し、
前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、ただし、上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを実質的に含む場合、前記主剤及び前記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が、前記混合物中の前記同種の化合物の、蛍光X線分析装置により測定される含有量と、前記混合物中の前記硬化剤の割合との関係を表す近似式を得ることができる程度に、異なり、
上記硫黄を有するポリマーがポリサルファイドポリマーである、2液型接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2液型接着剤組成物の混合比の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車艤装(組み立て)等に使用される接着剤として、主剤と硬化剤とを有する2液型接着剤組成物が使用されている。
また、航空機等の部品に対して使用される密封剤を、製造現場で第1材料と第2材料とを混合して作製すること等が提案されている(例えば特許文献1)。
上記のような2液型の組成物の混合方法としては、例えば、2液型の組成物の使用現場で、まず、主剤を収容する第1容器と硬化剤を収容する第2容器を準備する。第1ポンプを使って第1容器から主剤を汲み出し、主剤は第1の導管を通って混合デバイスへ導かれる。一方、第2ポンプを使って第2容器から硬化剤を汲み出し、硬化剤は第2の導管を通って混合デバイスへ導かれる。そして、それぞれの導管から混合デバイスへ導かれた主剤及び硬化剤は、混合デバイスで混合されて混合物となり、上記混合物は部品等に塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-134630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2液型の組成物を使用現場で混合する際、例えば、使用する主剤又は硬化剤の粘度が変化する場合があること、又は、各容器から混合デバイスをつなぐ導管の内部で主剤若しくは硬化剤が詰まること若しくは流れにくくなる場合があること等が原因で、実際の主剤と硬化剤の混合比が所定の範囲内とならない場合がある。
しかし、2液型の組成物の使用現場で、実際の主剤と硬化剤の混合比を正確にリアルタイムで把握することは困難であった。
【0005】
例えば、2液型の組成物の使用現場で、主剤と硬化剤の混合物を硬化させた硬化物の硬度から上記の主剤と硬化剤の混合比を解析しようとする場合、混合物を硬化させるために時間がかかるため、連続的に吐出しされる主剤と硬化剤との混合物の混合比をリアルタイムで検出することができなかった。
【0006】
一方、物体にX線を照射し、生じる蛍光X線を分析することによって、物体を構成する元素の種類及び蛍光X線の強度等を調べることができる。
このようななか、本発明者らは特許文献1を参考にして、X線の照射により蛍光X線を生じる化合物を含有する2液型の組成物を調製しこれを評価した。
その結果、上記化合物を添加する主な目的がX線照射に対する蛍光(蛍光X線の発光)である場合、上記のような化合物が2液型の組成物の接着性を阻害するケースがあることが明らかとなった。
【0007】
そこで、本発明は、接着性に優れる2液型接着剤組成物(主剤と硬化剤と)の混合比を迅速かつ正確に定量できる検出方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、これに使用される2液型接着剤組成物、塗布物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
主剤及び硬化剤を有する2液型接着剤組成物を用い、上記主剤及び上記硬化剤を混合して混合物を得る工程1と、
上記混合物にX線を照射する工程2と、
上記X線を照射された混合物から発生する蛍光X線の強度を測定する工程3と、
上記蛍光X線の強度から上記混合物における主剤と硬化剤との混合比を定量する工程4とを有し、
上記工程1において用いられる上記2液型接着剤組成物において、上記主剤及び上記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、ただし、上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、上記主剤及び上記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なる、2液型接着剤組成物の混合比の検出方法によれば、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
【0009】
[1] 主剤及び硬化剤を有する2液型接着剤組成物を用い、前記主剤及び前記硬化剤を混合して混合物を得る工程1と、
前記混合物にX線を照射する工程2と、
前記X線を照射された混合物から発生する蛍光X線の強度を測定する工程3と、
前記蛍光X線の強度から前記混合物における主剤と硬化剤との混合比を定量する工程4とを有し、
前記工程1において用いられる前記2液型接着剤組成物において、前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、ただし、前記主剤及び前記硬化剤が前記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、前記主剤及び前記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なる、2液型接着剤組成物の混合比の検出方法。
[2] 前記X線検出化合物が、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、ポリサルファイドポリマー、及び、二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法。
[3] 前記工程2及び前記工程3において蛍光X線分析装置を使用し、
前記蛍光X線分析装置は、X線励起源として、ターゲット材にRh、W、Ag、Cr、又はFeを用いたX線管球と、検出器として、シリコン半導体検出器、シリコンドリフト検出器、又はシリコンPINダイオード検出器とを有する、エネルギー分散型の蛍光X線分析装置であり、
前記蛍光X線分析装置の重量が、5kg未満である、[1]又は[2]に記載の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法。
[4] 前記工程4において定量された前記混合比が、所定の混合比の範囲内におさまっているか否かを判定し、前記工程4において定量された前記混合比が、前記所定の混合比の範囲内から外れている場合、前記所定の混合比の範囲内から外れている混合比を適正な混合比となるように、前記主剤及び/又は前記硬化剤の量を調整する工程5を更に有する、[1]~[3]のいずれかに記載された2液型接着剤組成物の混合比の検出方法。
【0010】
[5] [1]~[4]のいずれかに記載された2液型接着剤組成物の混合比の検出方法を有し、更に、混合物を基材に塗布する塗布工程を有する、塗布物の製造方法。
【0011】
[6] [1]~[4]のいずれかに記載された2液型接着剤組成物の混合比の検出方法に使用される2液型接着剤組成物であって、
主剤及び硬化剤を有し、
前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、ただし、上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、上記主剤及び上記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なる、2液型接着剤組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法は、接着性に優れる2液型接着剤組成物(主剤と硬化剤と)の混合比を迅速かつ正確に定量できる。
また、本発明の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法に使用される本発明の2液型接着剤組成物は、接着性に優れ、主剤と硬化剤との混合比を迅速かつ正確に定量できる。
本発明の塗布物の製造方法によれば、接着性に優れる2液型接着剤組成物を、主剤と硬化剤との混合比を迅速かつ正確に定量し、基材に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施例1及び比較例1について、主剤に対する硬化剤の混合比と蛍光X線強度によるSi濃度比(Si/Ca)との関係を示すグラフ1-Aである。
図2図2は、本実施例1及び比較例1について、主剤に対する硬化剤の混合比と硬度1との関係を示すグラフ2である。
図3図3は、本実施例1、2及び比較例1について、主剤に対する硬化剤の混合比と蛍光X線強度によるCa濃度との関係を示すグラフ1-Bである。
図4図4は、本実施例1の主剤及び硬化剤を2液接着剤混合吐出装置を用いて混合及び吐出しした場合において、硬化剤を供給する第2の供給装置のモーターの回転数と平均吐出量との関係を示すグラフ3である。
図5図5は、一般的な蛍光X線分析装置を用いて測定された、Caの蛍光X線(Kα線)のスペクトルを表すチャートの1例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、接着性に優れること、及び2液型接着剤組成物の混合比を迅速かつ正確に定量できることのうちの少なくとも1つがより優れることを、本発明の効果がより優れるということがある。
【0015】
[2液型接着剤組成物の混合比の検出方法]
本発明の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法(本発明の検出方法)は、
主剤及び硬化剤を有する2液型接着剤組成物を用い、上記主剤及び上記硬化剤を混合して混合物を得る工程1と、
上記混合物にX線を照射する工程2と、
上記X線を照射された混合物から発生する蛍光X線の強度を測定する工程3と、
上記蛍光X線の強度から上記混合物における主剤と硬化剤との混合比を定量する工程4とを有し、
上記工程1において用いられる上記2液型接着剤組成物において、上記主剤及び上記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、ただし、上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、上記主剤及び上記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なる、2液型接着剤組成物の混合比の検出方法である。
【0016】
<工程1>
本発明の検出方法において、工程1は、主剤及び硬化剤を有する2液型接着剤組成物を用い、上記主剤及び上記硬化剤を混合して混合物を得る工程である。
工程1において、2液型接着剤組成物の主剤及び硬化剤を、例えば、以下のように混合して混合物を得ることができる。
まず、主剤を第1容器に収容し、硬化剤を第2容器に収容する。
第1容器から主剤を汲み出し、主剤は第1の導管を通って混合デバイスへ導かれる。また、主剤を混合デバイスに供給するために第1の供給装置が使用できる。例えば、上記第1の供給装置のモーターの回転数を変化させて、主剤の供給量を変化させることができる。第1容器から主剤を汲み出す際、第1ポンプを使ってもよい。
一方、第2容器から硬化剤を汲み出し、硬化剤は第2の導管を通って上記混合デバイスへ導かれる。また、硬化剤を混合デバイスに供給するために第2の供給装置が使用できる。例えば、上記第2供給装置のモーターの回転数を変化させて、硬化剤の供給量を変化させることができる。第2容器から主剤を汲み出す際、第2ポンプを使ってもよい。
それぞれの導管から上記混合デバイスへ導かれた主剤及び硬化剤は、上記混合デバイス内で混合されて混合物となる。上記混合物は上記混合デバイスから、吐出又は基材へ塗布されてもよい。
【0017】
上記の混合デバイスは、上記のようにして主剤及び硬化剤を混合しうるものであれば特に制限されない。例えば、スタティックミキサー等が挙げられる。
【0018】
本発明の検出方法に使用される2液型接着剤組成物を、本発明の2液型接着剤組成物として後述する。
【0019】
<工程2>
本発明の検出方法において、工程2は、工程1で得られた混合物にX線を照射する工程である。
工程2において照射するX線としては、例えば、X線励起源としてのX線管球からのX線が挙げられる。
工程2において使用されるX線管球は特に制限されない。
X線管球におけるターゲット材としては、例えば、Rh(ロジウム)、W(タングステン)、Ag、Cr、又はFeが挙げられ、Rh、W、又はAgが好ましい。
【0020】
<工程3>
本発明の検出方法において、工程3は、工程2でX線を照射された混合物から発生する蛍光X線の強度を測定する工程である。
工程3において蛍光X線を検出するために使用される検出器としては、例えば、シリコン半導体検出器、シリコンドリフト検出器、又はシリコンPINダイオード検出器が挙げられる。
【0021】
上記検出器は、通常、原子番号11から92までの元素を検出することができる。
本発明においては、使用される2液型接着剤組成物が有する主剤及び硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
このため、工程3では、上記X線検出化合物に対応して、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、硫黄及びマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種のX線検出元素及び上記X線検出元素の蛍光X線の強度(「蛍光X線強度」ともいう。)を少なくとも分析する。
【0022】
添付の図5は、一般的な蛍光X線分析装置を用いて測定された、Caの蛍光X線(Kα線)のスペクトルを表すチャートの1例である。
【0023】
2液型接着剤組成物に使用されるX線検出化合物が有し、主剤と硬化剤との混合比を定量するために蛍光X線を分析する対象の元素(上記X線検出元素)が2種以上である場合、その組合せは、ケイ素とカルシウムの組合せが好ましい。
【0024】
1つの元素から蛍光X線として複数の固有スペクトル(Kα線、Kβ線等)が検出される場合、蛍光X線強度として、Kα線による強度を測定することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
ケイ素の蛍光X線のスペクトル(Kα線)は、1.5~2.0keVの領域で観測される。
カルシウムの蛍光X線のスペクトル(Kα線)は、3.5~3.9keVの領域で観測される。
アルミニウムの蛍光X線のスペクトル(Kα線)は、1.3~1.7keVの領域で観測される。
硫黄の蛍光X線のスペクトル(Kα線)は、2.1~2.5keVの領域で観測される。
マンガンの蛍光X線のスペクトル(Kα線)は、5.7~6.1keVの領域で観測される。
【0025】
<蛍光X線の強度>
本発明において、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、硫黄及びマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種のX線検出元素の蛍光X線の強度は、各元素が有する蛍光X線(1つの元素が蛍光X線として複数の固有スペクトルを有する場合はKα線の領域とできる。以下同様)のピーク面積で表すことができる。原子番号11から92までの元素(上記X線検出元素を除く)も同様である。
【0026】
<混合物から発生する蛍光X線の強度>
本発明において、混合物から発生する蛍光X線の強度(混合物から発生する上記X線検出元素の蛍光X線の強度)は、各元素(上記X線検出元素)が有する蛍光X線のピーク面積で表すことができる。原子番号11から92までの元素(カルシウム、ケイ素、アルミニウム、硫黄及びマンガンを除く)も同様である。
【0027】
・各元素の蛍光X線強度による全原子中の各元素の濃度
工程3において使用される検出器は、上述のとおり、通常、原子番号11から92までの元素を検出できるので、工程3において使用される装置は、検出された各元素の蛍光X線の強度のデータを元に、検出された全原子中の各元素の濃度を、例えば自動で計算し、これを表示する機能を有してもよい。
このため、本発明においては、工程3において、検出された各元素の蛍光X線の強度のデータを元にして得られた、全原子中の各元素の濃度(各元素の含有量濃度。単位%)を蛍光X線の強度として取り扱うことができるものとする。
つまり、上記各X線検出元素の蛍光X線の強度のデータを元に、全原子中の上記各X線検出元素の濃度(各X線検出元素の含有量濃度。単位%又はppm)を「蛍光X線の強度」として取り扱うことができるものとする。
【0028】
・主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含む場合
2液型接着剤組成物が有する主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物(第1のX線検出元素を含む)を含む場合、工程3では、上記主剤及び上記硬化剤の混合物から発生する、第1のX線検出元素に由来する蛍光X線の強度を測定すればよい。
【0029】
・主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物をそれぞれ更に含む場合
2液型接着剤組成物が有する主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物(第1のX線検出化合物は第1のX線検出元素(例えばケイ素)を含む。)を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物(第2のX線検出化合物は第2のX線検出元素(例えばカルシウム)を含む。)をそれぞれ更に含む場合、工程3では、上記主剤及び上記硬化剤の混合物から発生する、第1及び第2のX線検出元素に由来する蛍光X線の強度をそれぞれ測定すればよい。
【0030】
上記各X線検出元素の蛍光X線の強度のデータを元に、全原子中の上記各X線検出元素の濃度(各X線検出元素の含有量濃度。単位%)を得た場合、上記各X線検出元素の濃度の結果から、第1と第2のX線検出元素の濃度の比(第1のX線検出元素の濃度/第2のX線検出元素の濃度。なお、第1のX線検出元素の濃度の比と第2のX線検出元素の濃度の比の和は100である)を算出することができる。
主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物をそれぞれ更に含む場合、本発明の効果により優れる(特に、主剤と硬化剤との混合比をより正確に定量できる)という観点から、各X線検出元素の蛍光X線の強度として、上記の、第1と第2のX線検出元素の濃度の比を用いることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0031】
・主剤及び硬化剤がX線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合(ただし、本発明において、上記の場合、主剤及び硬化剤における同種の化合物の含有量は異なる。)
2液型接着剤組成物が有する主剤及び硬化剤がX線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、つまり、主剤及び硬化剤の両方がX線検出化合物として第1のX線検出化合物(第1のX線検出化合物は第1のX線検出元素(例えばカルシウム)を含む。)だけをそれぞれ含む場合(ただし、本発明において、上記の場合、主剤及び硬化剤における同種の化合物(第1のX線検出化合物)の含有量は異なる。)、工程3では、上記主剤及び上記硬化剤の混合物から発生する、同種の化合物が有するX線検出元素(第1のX線検出化合物が有する第1のX線検出元素)に由来する蛍光X線の強度(全量)を測定すればよい。
【0032】
本発明の効果により優れる(特に、主剤と硬化剤との混合比をより正確に定量できる)という観点から、上記2液型接着剤組成物において、主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物をそれぞれ更に含むことが好ましい。
【0033】
本発明においては、工程2において使用されるX線管球及び工程3において使用される検出器が一体化された装置を使用することができる。
上記装置としては、例えば、蛍光X線分析装置が挙げられる。なかでも、エネルギー分散型の蛍光X線分析装置が好ましい。
蛍光X線分析装置は、通常、X線を試料に照射し、試料が発する蛍光X線及びその強度を検出及び分析することによって、試料を構成する元素の種類、及び、検出された全原子中の各元素の濃度(含有量濃度)を測定することができることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
蛍光X線分析装置は、試料の分析結果としての元素の種類、及び、各元素の蛍光X線強度又は各元素の濃度(含有量濃度)(%又はPPMによる表示)を表示するスクリーンを有してもよい。
【0034】
上記蛍光X線分析装置としては、例えば、卓上(固定)タイプ(試料を装置の場所へ持参する)、ハンディタイプ(装置を持ち運びができ、持ち運び先で測定が可能)が挙げられる。2液型接着剤組成物の使用現場で用いることができるという観点から、蛍光X線分析装置は、ハンディタイプが好ましい。
上記蛍光X線分析装置の重量は、2液型接着剤組成物の使用現場で用いることができ、持ち運びに便利であることから、5kg未満であることが好ましい。
【0035】
本発明において、上記蛍光X線分析装置を用いることによって、工程2及び工程3をほぼ同時に行うことができる。
また、工程2及び工程3は、上記主剤及び上記硬化剤を混合した直後の混合物に対して行うことができる。
工程2及び工程3は、例えば、上記混合物を基材に連続的に付与された混合物に対して行ってもよい。
【0036】
上記蛍光X線分析装置の市販品としては、例えば、オリンパス社製VANTAシリーズが挙げられる。
【0037】
<工程4>
本発明の検出方法において、工程4は、工程3で測定された、混合物から発生する蛍光X線の強度から上記混合物における主剤と硬化剤との混合比を定量する工程である。
工程4において利用する、混合物から発生する蛍光X線の強度は、測定された蛍光X線の強度そのものであってもよいし、上述のとおり、上記各X線検出元素の蛍光X線の強度のデータを元にして得られた、全原子中の上記各X線検出元素の濃度、又は、上記の第1と第2のX線検出元素の濃度の比であってもよい。
【0038】
工程4において利用するデータが、混合物から発生する蛍光X線の強度そのものである場合、工程4における手順は、大まかには、蛍光X線強度の結果と主剤/硬化剤の比率との検量線を引き、測定サンプルの蛍光X線強度を測定し、その測定結果を上記検量線に当てはめて測定サンプルの主剤/硬化剤の混合比を求めるという手順とできる。
工程4において利用するデータが、上述の、全原子中の上記各X線検出元素の濃度である場合、全原子中の上記各X線検出元素の濃度と主剤/硬化剤の比率との検量線を引き、測定サンプルの全原子中の上記各X線検出元素の濃度を得て、その結果を上記検量線に当てはめて測定サンプルの主剤/硬化剤の混合比を求めるという手順とできる。
工程4において利用するデータが、上記の第1と第2のX線検出元素の濃度の比である場合も同様である。
【0039】
(検量線)
以下、検量線の作成について、工程4において利用するデータが混合物から発生する蛍光X線の強度そのものである場合を取り上げて説明する。工程4において利用するデータが、全原子中の上記各X線検出元素の濃度である場合、又は、第1と第2のX線検出元素の濃度の比である場合も同様である。
【0040】
まず、工程4では、予め、例えば、2液型接着剤組成物の主剤に対する硬化剤の量を実際に量って変量させた混合物の蛍光X線の強度を測定し、その結果を基に検量線を作成する。
検量線を作成するための上記混合物の蛍光X線の強度の測定は、本発明の検出方法における工程2及び工程3と同様に行うことができる。
【0041】
(蛍光X線の強度の測定と検量線の作成)
・主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含む場合
2液型接着剤組成物が有する主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物(第1のX線検出元素を含む)を含む場合、本発明の検出方法における工程3に準じて、上記主剤及び上記硬化剤の混合物から発生する、第1のX線検出元素に由来する蛍光X線の強度を測定すればよい。
上記の場合、検量線は、2液型接着剤組成物の主剤に対する硬化剤の割合と、これに対する、第1のX線検出元素に由来する蛍光X線の強度との関係として作成される。
【0042】
・主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物をそれぞれ更に含む場合
2液型接着剤組成物が有する主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物(第1のX線検出化合物は第1のX線検出元素(例えばケイ素)を含む。)を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物(第2のX線検出化合物は第2のX線検出元素(例えば、カルシウム)を含む。)をそれぞれ更に含む場合、本発明の検出方法における工程3に準じて、上記主剤及び上記硬化剤の混合物から発生する、第1及び第2のX線検出元素に由来する蛍光X線の強度をそれぞれ測定すればよい。
【0043】
・主剤及び硬化剤がX線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合(ただし、本発明において、上記の場合、主剤及び硬化剤における同種の化合物の含有量は異なる。)
2液型接着剤組成物が有する主剤及び硬化剤がX線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、つまり、主剤及び硬化剤の両方がX線検出化合物として第1のX線検出化合物(第1のX線検出化合物は第1のX線検出元素(例えばカルシウム)を含む。)だけをそれぞれ含む場合(ただし、本発明において、上記の場合、主剤及び硬化剤における同種の化合物(第1のX線検出化合物)の含有量は異なる。)、工程3では、上記主剤及び上記硬化剤の混合物から発生する、同種の化合物が有するX線検出元素(第1のX線検出化合物が有する第1のX線検出元素)に由来する蛍光X線の強度(全量)を測定すればよい。
上記の場合、検量線は、2液型接着剤組成物の主剤に対する硬化剤の割合と、これに対する、同種の化合物が有するX線検出元素(第1のX線検出化合物が有する第1のX線検出元素)に由来する蛍光X線の強度(全量)との関係として作成される。
【0044】
(実際の混合比)
次いで、工程3において測定された、工程1で得られた混合物から発生する蛍光X線の上記強度を、上記検量線に当てはめて、工程3で蛍光X線が測定された混合物における、主剤と硬化剤との混合比を定量することができる。
【0045】
以上のとおり、本発明の検出方法によれば、2液型接着剤組成物における主剤と硬化剤との混合比を迅速かつ正確に検出(定量)することができる。
【0046】
本発明の検出方法は、工程5を更に有することが好ましい。
工程5は、上記工程4において定量された上記混合比が、所定の混合比の範囲内におさまっているか否かを判定し、上記工程4において定量された上記混合比が、上記所定の混合比の範囲内から外れている場合、上記所定の混合比の範囲内から外れている混合比を適正な混合比となるように、上記主剤及び/又は上記硬化剤の量を調整する工程である。
【0047】
上記の所定の混合比の範囲は、例えば、品質保証された混合比等に従って、適宜決定することができる。
【0048】
上記判定の結果、上記工程4において定量された上記混合比が、所定の混合比の範囲内におさまっている場合、工程1における混合をそのまま続けることができる。
【0049】
一方、上記判定の結果、上記工程4において定量された上記混合比が、上記所定の混合比の範囲内から外れている場合、上記所定の混合比の範囲内から外れている混合比を適正な混合比となるように、上記主剤及び/又は上記硬化剤の量を調整する。
例えば、上記所定の混合比の範囲内から外れていることに応じて、主剤の測定単位当たりの量を増加若しくは減少、又は、硬化剤の測定単位当たりの量を増加若しくは減少させうる。
【0050】
[塗布物の製造方法]
本発明の塗布物の製造方法(本発明の製造方法)は、
本発明の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法を有し、更に、混合物を基材に塗布する塗布工程を有する、塗布物の製造方法である。
【0051】
<検出方法>
本発明の製造方法が有する検出方法は、本発明の検出方法であれば特に制限されない。
【0052】
<塗布工程>
本発明の製造方法は、本発明の検出方法(が有する工程)の他に、更に、混合物を基材に塗布する塗布工程を有する。
塗布工程において、混合物を基材に塗布し、塗布物を得ることができる。
塗布工程における上記混合物は、2液型接着剤組成物が有する主剤及び硬化剤を混合して得られる混合物であればよい。
本発明の製造方法が有する塗布工程は、上記検出方法に対して、どのタイミングで行ってもよい。例えば、検出方法と並行して上記塗布工程を行ってもよい。また、例えば、検出方法における工程2~4(又は工程2~5)の間は塗布工程を停止し、工程4(又は工程5)の終了後、工程1とともに塗布工程を再開してもよい。
【0053】
塗布工程における塗布の方法は特に制限されない。例えば、上記スタティックミキサーからの吐出であってもよい。
【0054】
上記混合物を硬化させる条件等は特に制限されない。
上記混合物は、湿気及び/又は加熱によって硬化しうることが好ましい。
【0055】
上記混合物を適用できる基材は特に制限されない。
上記混合物を適用することができる基材としては、例えば、プラスチック、ガラス、ゴム、金属等が挙げられる。好適な基材としては、プラスチックを含む基材が挙げられる。プラスチックは、例えば、単独重合体、共重合体、水素添加物であってもよい。ゴムも同様である。
【0056】
上記プラスチックとしては例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)のようなポリオレフィン;
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂;
ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;アセテート樹脂;ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂);ポリアミド樹脂が挙げられる。
上記COCとしては、例えば、テトラシクロドデセンとエチレン等のオレフィンとの共重合体のようなシクロオレフィンコポリマーが挙げられる。
また、上記COPとしては、例えば、ノルボルネン類を開環重合し、水素添加して得られる重合体のようなシクロオレフィンポリマーが挙げられる。
プラスチックは、難接着性樹脂であってもよい。
【0057】
基材は表面処理がなされていてもよい。表面処理としては、例えば、フレーム処理、コロナ処理、イトロ処理、プラズマ処理が挙げられる。上記各表面処理の方法は特に制限されない。例えば従来公知の方法が挙げられる。
【0058】
基材は、ポリオレフィンを含む基材が好適に挙げられ、ポリプロピレンを含むことがより好ましい。
基材は、上記プラスチック(例えば、ポリオレフィン)又はゴムの他に、更に、例えば、充填剤等を含むことができる。
上記充填剤としては、例えば、炭素繊維;
ガラスフィラーのようなガラス;
タルク、炭酸カルシウム、アルミナが挙げられる。
【0059】
塗布工程後、塗布工程で得られた塗布物に、別の基材を積層又は接着させて、積層体を形成してもよい。上記別の基材は特に制限されない。上述した、混合物を適用することができる基材と同様のものが挙げられる。
【0060】
[2液型接着剤組成物]
本発明の2液型接着剤組成物(本発明の組成物)は、
本発明の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法に使用される2液型接着剤組成物であって、
主剤及び硬化剤を有し、
上記主剤及び上記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、ただし、上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、上記主剤及び上記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なる、2液型接着剤組成物である。
【0061】
上述した本発明の2液型接着剤組成物の混合比の検出方法(における工程1)で使用される2液型接着剤組成物は、本発明の2液型接着剤組成物と同じである。
【0062】
本発明の2液型接着剤組成物は、主剤及び硬化剤を有する。
【0063】
本発明の2液型接着剤組成物において、主剤と硬化剤との組み合わせは特に制限されない。2液型接着剤組成物としては、例えば、ウレタン系接着剤組成物(主剤が例えばポリイソシアネート類を含み、硬化剤が活性水素含有化合物を含む)、エポキシ系接着剤組成物、アクリル系接着剤組成物、変成シリコーン系接着剤組成物、ポリサルファイド系接着剤組成物が挙げられる。
本発明の2液型接着剤組成物としては、ウレタン系接着剤組成物が好ましい態様の1つとして挙げられる。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
【0064】
<主剤>
本発明の組成物が有する主剤は、例えば、ポリイソシアネート類を含むことができる。上記ポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数有する化合物であれば特に制限されない。ポリイソシアネート類としては、ウレタンプレポリマー;低分子量のポリイソシアネート化合物が挙げられる。なお上記ポリイソシアネート化合物は、ウレタンプレポリマーを形成するために使用されてもよい。
【0065】
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート化合物;
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような、脂肪族(上記脂肪族は、直鎖状、分岐状及び脂環式を含む概念である)ポリイソシアネート;
これらの変性ポリイソシアネートが挙げられる。
【0066】
ポリイソシアネート類は、ウレタンプレポリマーであることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0067】
上記ウレタンプレポリマーをポリイソシアネート化合物とともに形成しうる活性水素含有化合物は、活性水素を有する化合物であれば特に制限されない。
上記活性水素含有化合物としては、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオールが挙げられる。なかでもポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオールがより好ましく、2官能のポリエーテルポリオール及び/又は3官能のポリエーテルポリオールが更に好ましい。
【0068】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンジオール(ポリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレンジオール(ポリプロピレングリコール:PPG)、ポリオキシプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリテトラエチレングリコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、なかでも、ポリオキシプロピレンジオール(ポリプロピレングリコール:PPG)、ポリオキシプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体が好ましい。
【0069】
ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、500~20,000であることが好ましい。本発明において上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(溶媒:テトラヒドロフラン(THF))により得られたポリスチレン換算値である。
【0070】
ウレタンプレポリマーは、所定の接着性により優れ、硬化性に優れるという観点から、ポリエーテルポリオールと芳香族ポリイソシアネート化合物とを反応させてなるウレタンプレポリマーであることが好ましい。
ウレタンプレポリマーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0071】
ウレタンプレポリマーの製造方法は特に制限されない。例えば、活性水素含有化合物が有する活性水素含有基(例えばヒドロキシ基)1モルに対し、1.5~2.5モルのイソシアネート基が反応するようにポリイソシアネート化合物を使用し、これらを混合して反応させることによってウレタンプレポリマーを製造することができる。
ウレタンプレポリマーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0072】
<硬化剤>
本発明の組成物が有する硬化剤は、実質的な硬化成分としての硬化剤(狭義の硬化剤)を少なくとも含むものであればよい。以下、本発明の組成物が有する硬化剤を「広義の硬化剤」と称し、実質的な硬化成分としての硬化剤を「狭義の硬化剤」と称する場合がある。
【0073】
狭義の硬化剤は、活性水素を有する基を複数含有する化合物(活性水素含有化合物)であれば特に制限されない。
狭義の硬化剤としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、チオール基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる少なくとも2個の官能基を有する化合物が挙げられる。
狭義の硬化剤としては、具体的には例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオールが挙げられる。なかでもポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオール、下記式(4)で表されるポリオールがより好ましく、3官能のポリエーテルポリオール、4官能のポリエーテルポリオール、下記式(4)で表されるポリオールが更に好ましい。
【0074】
【化1】
式(4)中、R6~R9はそれぞれ独立にプロピレン基を表し、R10はエチレン基を表し、a~dはそれぞれ独立に1~10を表す。
【0075】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンジオール(ポリエチレングリコール)、ポリオキシプロピレンジオール(ポリプロピレングリコール:PPG)、ポリオキシプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリテトラエチレングリコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、なかでも、ポリオキシプロピレンジオール(ポリプロピレングリコール:PPG)、ポリオキシプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体が好ましい。
【0076】
ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、主剤に含まれる上記ポリイソシアネート類との反応によって得られる反応物の粘度が常温において適度な流動性を有するという観点から、500~20,000であることが好ましい。本発明において上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(溶媒:テトラヒドロフラン(THF))により得られたポリスチレン換算値である。
【0077】
<X線検出化合物>
本発明の組成物において、上記主剤及び上記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、X線で検出できるX線検出化合物として、カルシウム、ケイ素、若しくはアルミニウムを有する化合物、硫黄を有するポリマー、及び二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。ただし、上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、上記主剤及び上記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なる。
【0078】
上記X線検出化合物は、X線を照射されると、蛍光X線を生じることができる。
上記X線検出化合物は、X線検出元素(X線を照射することによって生じる蛍光X線によって検出可能な元素)を有し、上記X線検出元素として、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、硫黄、又はマンガンを有する。
上記X線検出元素としてカルシウムを有する化合物を使用する場合、1種類の、カルシウムを有する化合物(例えば炭酸カルシウム)のみを使用することが好ましい態様の1つとして挙げられる。ケイ素又はアルミニウムを有する化合物につても同様である。
上記X線検出化合物は、本発明の組成物から得られる接着剤における、例えば、接着性、強度等に寄与することができることが好ましい。一方、上記X線検出化合物は、上記接着性等を阻害しないものであることが好ましい。
【0079】
カルシウム、ケイ素、又はアルミニウムを有する化合物は、無機フィラーであることが好ましい。
【0080】
X線検出化合物としての、カルシウムを有する化合物は、炭酸カルシウムであることが好ましい。上記炭酸カルシウムは特に制限されない。なお、炭酸カルシウムは不純物としてケイ素を含んでもよい。
ケイ素を有する化合物は、シリカであることが好ましい。上記シリカは特に制限されない。
アルミニウムを有する化合物は、酸化アルミニウムであることが好ましい。上記酸化アルミニウムは特に制限されない。
硫黄を有するポリマーは、ポリサルファイドポリマーであることが好ましい。上記ポリサルファイドポリマーは、主鎖中に、
(ア)-(C24OCH2OC24-Sx)-(但し、xは1~5の整数である。)
で表される構造単位を含有し、かつ末端に、
(イ)-C24OCH2OC24-SHで表されるチオール基を有するものであれば特に制限されない。
二酸化マンガンは特に制限されない。
【0081】
上記X線検出化合物は、本発明の効果により優れるという観点から、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、ポリサルファイドポリマー、及び、二酸化マンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、炭酸カルシウム、シリカ、及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、炭酸カルシウム及び/又はシリカを含むことが更に好ましい。
【0082】
本発明の組成物において、上記主剤及び上記硬化剤の少なくとも一方又は両方が、上記X線検出化合物を含む。
【0083】
上記主剤又は上記硬化剤に対する上記X線検出化合物の添加としては、例えば、
主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含む場合(上記の場合、残りの一方が第2のX線検出化合物を任意で含むことができる。なお、上記の、主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含む場合は、後述する、主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物をそれぞれ更に含む場合を除く。)、
主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物(例えばケイ素を有する化合物)を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物(例えばカルシウムを有する化合物)をそれぞれ更に含む場合(上記の場合において、主剤及び硬化剤における第2のX線検出化合物の含有量は同じでも、異なってもよいが、本発明の効果により優れるという観点から、主剤及び硬化剤における第2のX線検出化合物の含有量は異なることが好ましい。)、
上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、つまり、主剤及び硬化剤の両方がX線検出化合物として第1のX線検出化合物(例えばカルシウムを有する化合物)だけをそれぞれ含む場合(ただし、本発明において、上記の場合、主剤及び硬化剤における同種の化合物(第1のX線検出化合物)の含有量は異なる。)が挙げられる。
【0084】
ただし、本発明の組成物において、上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合(主剤及び硬化剤の両方が第1のX線検出化合物として例えば炭酸カルシウムだけをそれぞれ含む場合)、上記主剤及び上記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なるものとする。(上記の例でいうと、主剤中の炭酸カルシウムの化合物の濃度、及び、硬化剤中の炭酸カルシウムの化合物の濃度が異なることとなる。)
なお、上記の「X線検出化合物としての同種の化合物」は、その化合物は、化合物名のレベルで、同じであることを指す。上記の「X線検出化合物としての同種の化合物」のレベルとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、ポリサルファイドポリマー、及び、二酸化マンガンのレベルが挙げられる。上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、同種の化合物が例えば炭酸カルシウムであれば、上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として炭酸カルシウムのみをそれぞれ含めばよい。
上記主剤及び上記硬化剤が上記X線検出化合物として同種の化合物のみを含む場合、上記主剤及び上記硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なることは、上記主剤が第1のX線検出化合物のみを含み、上記硬化剤が第1のX線検出化合物のみを含み、上記主剤中の上記第1のX線検出化合物の含有量(質量%)が、上記硬化剤中の上記第1のX線検出化合物の含有量(質量%)よりも、大きい、又は、小さいことを意味する。
上記の場合、上記主剤中の上記第1のX線検出化合物の含有量(質量%)が、上記硬化剤中の上記第1のX線検出化合物の含有量(質量%)よりも、大きいことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0085】
本発明の組成物がX線検出化合物として複数の種類のX線検出化合物を含有する場合、各X線検出化合物が有するX線検出元素が異なる元素であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。X線検出化合物として、例えば、第1のX線検出化合物及び第2のX線検出化合物を使用する場合、上記の第1のX線検出化合物及び第2のX線検出化合物が有するX線検出元素は、互いに異なる元素であることが好ましい。
【0086】
上記主剤又は上記硬化剤に対する上記X線検出化合物の添加としては、なかでも、本発明の効果により優れる(特に、主剤と硬化剤との混合比をより正確に定量できる)という観点から、本発明の組成物において、主剤及び硬化剤の一方だけが第1のX線検出化合物(例えばケイ素を有する化合物)を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物(例えばカルシウムを有する化合物)をそれぞれ含むことが好ましく、硬化剤だけが第1のX線検出化合物(例えばケイ素を有する化合物)を含み、主剤及び硬化剤の両方が第2のX線検出化合物(例えばカルシウムを有する化合物)をそれぞれ含むことがより好ましい。
【0087】
(X線検出化合物の含有量)
上記主剤中のX線検出化合物の含有量Aは、本発明の効果により優れるという観点から、上記主剤100質量部中の、0~30質量部が好ましく、10~25質量部がより好ましい。
上記主剤がX線検出化合物としてカルシウムを有する化合物を含有する場合、カルシウムを有する化合物の含有量は、上記主剤100質量部中の、10~25質量部が好ましい。
【0088】
上記硬化剤中のX線検出化合物の含有量Bは、本発明の効果により優れるという観点から、上記(広義の)硬化剤100質量部中の、0~50質量部が好ましく、1~50質量部がより好ましく、20~40質量部が更に好ましい。
ただし、本発明において、X線検出化合物の含有量A及びX線検出化合物の含有量Bの合計量は、本発明の組成物中の0質量%より大きい。
【0089】
上記硬化剤がX線検出化合物としてカルシウムを有する化合物を少なくとも含有する場合、カルシウムを有する化合物の含有量は、上記(広義の)硬化剤100質量部中の、10~45質量部が好ましい。
上記硬化剤がX線検出化合物としてカルシウムを有する化合物及びケイ素を有する化合物を含有する場合、ケイ素を有する化合物の含有量は、上記(広義の)硬化剤100質量部中の、1~5質量部が好ましい。また、上記の場合、カルシウムを有する化合物の含有量は、上記(広義の)硬化剤100質量部中の、10~45質量部が好ましい。
【0090】
(添加剤)
本発明の組成物は、上記X線検出化合物以外に更に、例えば、カーボンブラック、可塑剤、硬化触媒のような添加剤を含有することができる。
添加剤は、主剤及び/又は硬化剤に適宜含めることができる。
【0091】
本発明の組成物の主剤及び硬化剤の調製方法は特に制限されない。例えば、従来公知の方法が挙げられる。
【実施例
【0092】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
【0093】
<2液型接着剤組成物の製造>
下記第1表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用いて、これらを撹拌機で混合し、2液型接着剤組成物の主剤及び硬化剤をそれぞれ製造した。
【0094】
【表1】
【0095】
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
<主剤>
・ウレタンプレポリマー:ポリオキシプロピレンジオール(商品名サンニックスPP2000、三洋化成工業社製、重量平均分子量2,000)70質量部とポリオキシプロピレントリオール(商品名サンニックスGP3000、三洋化成工業社製、重量平均分子量3,000)とMDI(商品名スミジュール44S、住化バイエルウレタン社製)とを混合し、混合物を80℃の条件下で5時間反応させて製造したウレタンプレポリマー。NCO含有量1.48質量%。
【0096】
・カーボンブラック1:商品名ニテロン♯200、新日化カーボン社製
【0097】
・X線検出化合物1(炭酸カルシウム1):商品名スーパーS、丸尾カルシウム社製。
・X線検出化合物2(炭酸カルシウム2):脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウム。商品名カルファイン200、丸尾カルシウム社製。
【0098】
・可塑剤:DINP:ジイソノニルフタレート、ジェイプラス社製
・硬化触媒:DMDEE:ジモルフォリノジエチルエーテル、商品名UCAT-660M、サンアプロ社製
【0099】
<硬化剤>
・ポリオール1:ポリオキシプロピレントリオール。商品名プレミノール7001K、AGC社製。狭義の硬化剤に該当する。
・ポリオール2:商品名エクセノール450ED、AGC社製。狭義の硬化剤に該当する。1分子中にヒドロキシ基を4個有する、下記式(4)で表される化合物。(水酸基価=450mgKOH/g)
【化2】
式(4)中、R6~R9はそれぞれ独立にプロピレン基を表し、R10はエチレン基を表し、a~dはそれぞれ独立に1~10を表す。
【0100】
・X線検出化合物3(シリカ):フュームドシリカ。商品名QS-102S、トクヤマ社製。
・X線検出化合物4(炭酸カルシウム2):脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウム。カルファイン200、丸尾カルシウム社製。
【0101】
・硬化触媒:DMDEE:ジモルフォリノジエチルエーテル、商品名UCAT-660M、サンアプロ社製
・カーボンブラック1:商品名ニテロン♯200、新日化カーボン社製
【0102】
・蛍光剤:2,5-thiophenediylbis(5-tert-butyl-1,3-benzoxazole)(下記構造)。商品名チノパールOB CO、(BASF社製)。紫外線照射によって蛍光を発する。
【化3】
【0103】
<評価1-1>
((検量線の作成))
上記のとおり製造された主剤及び硬化剤を下記第2表(その1)に示す混合比(質量比)となるようにそれぞれ重さを測って、これらを混合し、混合物を得た。なお、評価1-1では後述する2液接着剤混合吐出装置(スタティックミキサー)を使用しない。
【0104】
【表2】
【0105】
(第2表のA-1欄:蛍光X線強度によるCa,Si濃度比)
・積層体の作製
2枚の同じポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、上記のとおり得られた混合物を1枚目のポリエチレンテレフタレートフィルムの上に塗布し、上記のとおり塗布された混合物の上にもう1枚のポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねて、上記混合物を厚さ2cm(直径4cmの円形)となるように圧着成形して、積層体を形成した。
なお、塗布された混合物の上にもう1枚のポリエチレンテレフタレートフィルムを重ねる際、気泡が入らないように注意する。
また、本実施例において、混合物を塗布する際に使用する基材には、上記と同じポリエチレンテレフタレートフィルムを使用するものとする。
【0106】
・蛍光X線分析装置による分析
上記のとおり作製された積層体の片方のポリエチレンテレフタレートフィルムに蛍光X線分析装置(オリンパス社製VANTA Cシリーズ。X線管:4WX線管、ターゲット材:Rh、Ag、W、検出器:高感度シリコンドリフト検出器。以下同様)を用いてX線を照射し、混合物が発する蛍光X線の強度を上記蛍光X線分析装置で測定した。上記蛍光X線分析装置は各X線検出元素の蛍光X線の強度を測定して、そのデータを元に、全原子中の上記各X線検出元素の濃度(各X線検出元素の含有量濃度。単位%又はppm)を自動で算出し、表示できる。
上記蛍光X線分析装置で蛍光X線を測定する際、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムに、蛍光X線測定装置の測定面を押し当てて計測した(以下同様)。
【0107】
第2表(その1)のA-1欄の蛍光X線強度によるCa,Si濃度比は、上記蛍光X線分析装置を用いて各混合物中のカルシウム及びケイ素の蛍光X線の強度を測定し、そのデータを元に、上記蛍光X線分析装置が各混合物において検出した全原子中の上記各X線検出元素の濃度(カルシウム及びケイ素の各含有量濃度。単位%又はppm)を自動で算出して表示し、その表示された上記各X線検出元素(カルシウム及びケイ素)の濃度を用いて、カルシウム及びケイ素の上記各濃度の合計を100として表した、カルシウム及びケイ素の濃度比である。
【0108】
(第2表のA-2欄:接着剤硬化物の硬度1*)
また、上記のとおり得られた混合物を60℃の条件下で30分間加熱し、室温条件下で10分間放冷した後、硬化後の混合物(接着剤硬化物)の硬度1をJIS-A硬度計を用いて室温条件下で測定した。
【0109】
以上の結果を上記第2表(その1)、添付の図面(図1、2)に示す。
なお、第2表(その1)において、比較例1の主剤/硬化剤の混合比が10/0.0であった場合、接着剤硬化物の硬度1の結果「測定不能」は、接着剤が硬化しなかったため硬度を測定できなかったことを意味する。実施例1での「測定不能」も同様である。
また、第2表(その1)の実施例1欄において、主剤/硬化剤の混合比が10/0.0であった場合を、便宜上、実施例1欄に含めて記載した。
【0110】
図1は、本実施例1及び比較例1について、主剤に対する硬化剤の混合比と蛍光X線強度によるSi濃度比(Si/Ca)との関係を示すグラフ1-Aである。
第2表(その1)のA-1欄の蛍光X線強度によるCa,Si濃度比におけるSi濃度比のデータを元に、図1を作成した。
グラフ1-Aの結果から、実施例1の主剤に対する硬化剤の混合比と蛍光X線強度によるSi濃度比とは比例関係にあると言える。
上記の結果から、実施例1には硬化剤変動に対する蛍光X線強度の応答性があり、比較例1には上記応答性がないと言える(第1表「硬化剤変動に対する蛍光X線強度の応答性」参照。)。比較例1は、主剤及び硬化剤がX線検出化合物として炭酸カルシウムのみを含み、主剤及び硬化剤における上記の炭酸カルシウム含有量が、両方とも、19.3質%で、同じである。
【0111】
グラフ1-Aの実施例1の結果から、主剤に対する硬化剤の混合比とケイ素の蛍光X線強度によるSi濃度比との関係を表す近似式(下記式(1))を得た。なお、下記式(1)のR2(決定係数。Rは相関関数)は0.9973であった。
y=1.5029x+1.3241 (1)
グラフ1-Aの実施例1の直線(上記式(1)で表される直線)を、主剤と硬化剤との混合比とケイ素の蛍光X線強度によるSi濃度比との関係を表す検量線として、後述する<評価2>に用いた。
なお、上記式(1)における切片(1.3241)は、実施例1で使用された炭酸カルシウム1に不純物として含まれるケイ素に由来すると推測される。
【0112】
図2は、本実施例1及び比較例1について、主剤に対する硬化剤の混合比と硬度1との関係を示すグラフ2である。
本実施例1は右上がりに緩やかなカーブを画いている。比較例1も実施例1とほぼ同様なカーブを画いた。
【0113】
<評価1-2>
上記のとおり製造された主剤及び硬化剤を下記第2表(その2)に示す混合比(質量比)となるようにそれぞれ重さを測って、これらを混合し、混合物を得た。なお、評価1-2では後述する2液接着剤混合吐出装置(スタティックミキサー)を使用しない。
【0114】
【表3】
【0115】
(第2表のA-3欄:蛍光X線強度によるCa濃度)
上記のとおり得られた混合物を用いて、上述の「第2表のA-1欄:蛍光X線強度によるCa,Si濃度比 ・積層体の作製」と同様にして積層体を作製し、上記のとおり作製された積層体の片方のポリエチレンテレフタレートフィルムに蛍光X線分析装置(上記と同様)を用いてX線を照射し、混合物が発するCa由来の蛍光X線の強度を上記蛍光X線分析装置で測定した。
【0116】
第2表(その2)のA-3欄の蛍光X線強度によるCa濃度は、上記蛍光X線分析装置が各混合物において検出した全原子中の上記カルシウムの濃度(%)である。
【0117】
以上の結果を上記第2表(その2)、添付の図面(図3)に示す。
なお、第2表の実施例1欄において、主剤/硬化剤の混合比が10/0.0であった場合を、便宜上、実施例1欄に含めて記載した。実施例2も同様である。
【0118】
図3は、本実施例1、2及び比較例1について、主剤に対する硬化剤の混合比と蛍光X線強度によるCa濃度との関係を示すグラフ1-Bである。
グラフ1-Bの結果から、実施例1、2の主剤に対する硬化剤の混合比とカルシウムの蛍光X線強度によるCa濃度とは比例関係にあると言える。
グラフ1-Bの実施例1、2の結果から、主剤に対する硬化剤の混合比とカルシウムの蛍光X線強度によるCa濃度との関係を表す近似式(下記式(2))を得た。
y=0.5543x+7.5895 (2)
実施例2の結果から、実施例2には硬化剤変動に対する蛍光X線強度の応答性があると言える。2液型接着剤組成物の主剤及び硬化剤がX線検出化合物として同種の化合物(実施例2の場合は炭酸カルシウム)のみを含む場合であっても、主剤及び硬化剤における上記同種の化合物の含有量が異なれば、接着性に優れる2液型接着剤組成物の混合比を迅速かつ正確に定量できると考えられる。
【0119】
(第1表の接着性評価)
・2液型接着剤組成物の調製
上記第1表の主剤及び硬化剤を10(主剤):1(硬化剤)の質量比となるようにそれぞれ重さを測ってこれらを混合して、各2液型接着剤組成物を調製した。なお、第1表の接着性評価では2液接着剤混合吐出装置を使用しない。
【0120】
・サンプルの作製
ポリプロピレン樹脂(商品名ノーブレン、住友化学社製)からなる基板(幅:25mm、長さ:120mm、厚さ:3mm)の片面にフレーム処理を施した被着体を2枚用意した。
各被着体をフレーム処理後、ぬれ張力試験用混合液(和光純薬工業社製)を用いて樹脂表面の濡れ性が50.0mN/m以上であることを確認した。
次いで、一方の被着体の表面(フレーム処理を施した面)に、上記のとおり製造した各2液型接着剤組成物(混合物となっている)を幅25mm、長さ10mm、厚さ5mmとなるように塗布した後、他方の被着体の表面(フレーム処理を施した面)と張り合わせて、サンプルを得た。
【0121】
・サンプルの養生
上記のとおり得られた各サンプルを、25℃、相対湿度50%RHの条件下に3日間置いて、養生サンプルを得た。
【0122】
・引張剪断試験
各養生サンプルについて、JIS K6850:1999に準じて引張剪断試験(引張り速度50mm/分、20℃の環境下)を行い、剪断強度(MPa)を測定し、破壊状態を観察した。
上記のとおり測定された剪断強度が2.5MPa以上であり、かつ、破壊状態が凝集破壊であった場合、2液型接着性組成物の接着性が優れると評価し、これを「〇」と表示した。
一方、剪断強度が2.5MPa未満であった場合、又は、破壊状態が凝集破壊以外であった(例えば、接着界面での剥離が観察された)場合に、2液型接着性組成物の接着性が悪いと評価し、これを「×」と表示した。
結果を第1表の「接着性」欄に示す。
紫外線照射によって蛍光を発する蛍光剤として、硫黄原子を有する低分子化合物を含有する比較例2は、接着性が悪かった。これは、紫外線照射による蛍光を主目的とし、接着に関与しない上記蛍光剤が2液型接着剤組成物の接着性を阻害したためと考えられる。
一方、本発明に使用された2液型接着剤組成物の接着性は良好であった。
【0123】
<評価2>混合吐出デバイスを使用した評価
上記のとおり製造された実施例1の主剤及び硬化剤、並びに、混合吐出デバイスとして2液接着剤混合吐出装置(ヨコハマ技研社製、スタティックミキサー 161-230)を用いて、下記に示す条件で上記主剤及び硬化剤を混合し、混合物を得た。
詳細には、まず、主剤を第1容器に収容し、硬化剤を第2容器に収容した。
第1容器から主剤を汲み出し、主剤は第1の導管を通って上記スタティックミキサーへ導かれた。また、主剤を第1の導管からスタティックミキサーに供給するために第1の供給装置が使用された。上記第1の供給装置のモーターの回転数(主剤側回転数)を変化させて、主剤の供給量を変化させることができる。
一方、第2容器から硬化剤を汲み出し、硬化剤は第2の導管を通って上記スタティックミキサーへ導かれた。硬化剤を第2の導管からスタティックミキサーに供給するために第2の供給装置が使用された。硬化剤をスタティックミキサーに供給する第2の供給装置のモーターの回転数(硬化剤側回転数)を下記のとおり変化させて、硬化剤の供給量を変化させた。
それぞれの導管から上記スタティックミキサーへ導かれた主剤及び硬化剤は、上記スタティックミキサー内で混合されて混合物となり、上記混合物は上記スタティックミキサーからポリエチレンテレフタレートフィルムの上に吐出された。
【0124】
<試験条件>
[スタティックミキサー] 30エレメント
[主剤側回転数] 150r.p.m.
[主剤側予備圧] 12.8-13.0MPa
[硬化剤側回転数] 70、83、107、131r.p.m.
[硬化剤側予備圧] 5.8-6.0MPa
【0125】
[主剤側予備圧]は、主剤をスタティックミキサーに供給する際の第1の供給装置における圧力を表す。[硬化剤側予備圧]は、硬化剤をスタティックミキサーに供給する際の第2の供給装置における圧力を表す。
【0126】
上記試験条件で一定時間(10秒間)に上記2液接着剤混合吐出装置から吐出された混合物の量を測定し、これを第4表の平均吐出量の欄に示した(単位g)。
第4表に示す平均吐出量は、上記一定時間に吐き出された主剤と硬化剤との合計量を示す。図4の縦軸(平均吐出量)も同様である。
【0127】
【表4】
【0128】
・評価2における主剤と硬化剤との質量比(理論値)
図4は、上記のように本実施例1の主剤及び硬化剤を2液接着剤混合吐出装置を用いて混合及び吐出しした場合において、硬化剤を供給する第2の供給装置のモーターの回転数と平均吐出量との関係を示すグラフ3である。
グラフ3の結果から、上記回転数と平均吐出量とは比例関係にあることが分かる。
グラフ3の結果から、硬化剤を供給する第2の供給装置のモーターの回転数と平均吐出量との近似式(下記式(3))を得た。
y=0.0679x+68.006 (3)
上記近似式から、上記条件において、各平均吐出量中の主剤吐出量(理論値)は約68gであることが分かった。
また、上記近似式から、上記条件において、各平均吐出量中の硬化剤吐出量(理論値)を算出することができた。
上記のとおり得られた、各平均吐出量中の主剤吐出量(理論値)及び硬化剤吐出量(理論値)から、主剤と硬化剤との質量比(主剤10gに対する硬化剤のg数)を算出した。結果を第4表及び第5表のB-3欄に示す。
【0129】
【表5】
【0130】
・蛍光X線強度によるCa,Si濃度のSi濃度比の測定
本実施例1の主剤及び硬化剤を2液接着剤混合吐出装置を用いて第4表に示す条件で混合し、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に吐出し、上述の「第2表のA-1欄:蛍光X線強度によるCa,Si濃度比 ・積層体の作製」と同様にして積層体を形成した。
得られた積層体の片方のポリエチレンテレフタレートフィルムに蛍光X線分析装置(上記と同様)を用いてX線を照射し、上述の「第2表のA-1欄:蛍光X線強度によるCa,Si濃度比 ・蛍光X線分析装置による分析」と同様にして、蛍光X線強度によるCa,Si濃度のSi濃度比を得た。
【0131】
・混合物の硬度2
また、上記混合物(混合後の混合物)を60℃の条件下で30分間加熱し、室温条件下で10分間放冷した後、混合物の硬度2をJIS-A硬度計を用いて室温条件下で測定した。
以上の結果を第4表のB-1欄(蛍光X線強度によるCa,Si濃度のSi濃度比)、B-2欄(接着剤硬化物の硬度2)に示す。
【0132】
第4表のB-1欄の蛍光X線強度によるCa,Si濃度のSi濃度比は、上記蛍光X線分析装置を用いて各混合物中のカルシウム及びケイ素の蛍光X線の強度を測定し、そのデータを元に、上記蛍光X線分析装置が各混合物において検出した全原子中の上記各X線検出元素の濃度(カルシウム及びケイ素の各含有量濃度。単位%又はppm)を自動で算出して表示し、その表示された上記各X線検出元素(カルシウム及びケイ素)の濃度を用いて、カルシウム及びケイ素の上記各濃度の合計を100として表した、カルシウム及びケイ素の濃度比である。
【0133】
以上の結果をまとめた第4表を参照すると、まず、第4表のB-3欄は、上記のとおり、グラフ3の重量変化の近似式から算定された、主剤10質量部に対する硬化剤の割合(質量比)である。
第4表のB-4欄は、上記B-1欄の蛍光X線によるCa,Si濃度のSi濃度比を、グラフ1-Aの実施例1の近似式(検量線としての式(1))に当てはめて算出した、主剤10質量部に対する硬化剤の割合(質量比)である。
【0134】
第4表において、B-3欄とB-4欄とを比較すると、2液接着剤混合吐出装置を用いて得た主剤と硬化剤との質量比(B-3欄)は、上記混合物の蛍光X線Si強度によるCa,Si濃度のSi濃度比(B-1欄)をグラフ1-Aの実施例1の近似式(検量線としての式(1))に当てはめて算した主剤と硬化剤との質量比(B-4欄)とほぼ一致した。
上記結果から、2液接着剤混合吐出装置を用いた場合であっても、得られた混合物の蛍光X線強度から、混合物における主剤と硬化剤との混合比を定量できると言える。
【0135】
<評価3>
上記のとおり製造された実施例1の主剤及び硬化剤を用いて、上記2液接着剤混合吐出装置1つを6軸ロボットに組付け、下記に示す条件で混合し、混合物を基材(上記のポリエチレンテレフタレートフィルム)の上に連続吐出しした。
上記2液接着剤混合吐出装置から吐き出された混合物の上に気泡が入らないように別のポリエチレンテレフタレートフィルムフィルムを重ね、2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムフィルムの間の混合物の厚さが3~10mmとなるように混合物を押し広げた。押し広げた後の混合物の幅は、上記蛍光X線分析装置における、蛍光X線を採光するための窓よりも大きければよい。
【0136】
<試験条件>
[スタティックミキサー] 30エレメント
[主剤側回転数] 150r.p.m.
[主剤側予備圧] 12.8-13.0MPa
[硬化剤側回転数] 107r.p.m.
[硬化剤側予備圧] 5.8-6.0MPa
【0137】
連続吐出しによって得られた混合物において、第6表に示す吐出始点(基材の上に混合物が最初に吐き出された部分)からの距離の各位置で、混合物上のポリエチレンテレフタレートフィルムフィルムの上からに、上記蛍光X線分析装置(上記と同様)を用いてX線を照射し、混合物が発する蛍光X線強度を測定し、上記「第2表のA-1欄:蛍光X線強度によるCa,Si濃度比 ・蛍光X線分析装置による分析」と同様にして、蛍光X線強度によるCa,Si濃度のSi濃度比(第4表のB-1欄の蛍光X線強度によるCa,Si濃度のSi濃度比と同様)を得た。結果を第6表に示す。
上記のとおり得られた蛍光X線強度によるCa,Si濃度のSi濃度、グラフ1-A(図1)の実施例1の近似式(検量線としての式(1))に当てはめて、主剤10質量部に対する硬化剤の割合(質量比)を算出した。
また、上記混合物を60℃の条件下で30分間加熱し、室温条件下で10分間放冷した後、混合物の硬度3をJIS-A硬度計を用いて室温条件下で測定した。
【0138】
【表6】
【0139】
第6表に示す結果のとおり、得られた混合物の蛍光X線強度によるCa,Si濃度のSi濃度比を上記近似式(式(1)で表される検量線)に当てはめることによって、主剤と硬化剤との混合比をリアルタイムで迅速にかつ正確に定量しモニタリングすることができた。
また、上記結果から、得られた混合物の蛍光X線強度から混合物における主剤と硬化剤との混合比を定量するほうが、接着剤硬化物の硬度から得られる主剤と硬化剤との質量比よりも、迅速であることが明らかとなった。
また、得られた接着剤硬化物の硬度3の結果は略一定であったので、本発明の検出方法によれば、主剤と硬化剤との混合比を迅速にかつ正確に定量することができる。
また、本発明の検出方法を有する塗布物の製造方法によれば、主剤と硬化剤との混合比を迅速にかつ正確に定量することができるので、接着性が安定した塗布物を製造することができる。
図1
図2
図3
図4
図5