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特許7529544プローバの故障検知方法及びその故障検知装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】プローバの故障検知方法及びその故障検知装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240730BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/68 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020193573
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082171
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 義信
(72)【発明者】
【氏名】松岡 達也
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-288101(JP,A)
【文献】特開2005-123485(JP,A)
【文献】特開2000-124288(JP,A)
【文献】特開2002-313893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/683
G01R 31/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハロード時にエアシリンダのシリンダシャフトを伸ばし、直棒状のピンでウェーハを持ち上げるプローバの故障検知方法であって、
前記シリンダシャフトが伸びて突き出た状態の前記エアシリンダを上昇させて前記シリンダシャフトと係合した前記ピンで前記ウェーハを持ち上げ、
前記エアシリンダを下降させ、前記ウェーハをウェーハチャックに載置し、
その後、制御装置は前記シリンダシャフトを縮ませる指令を行い、前記エアシリンダを上昇させ、
前記ピンが上昇したことを検知するアップセンサにより、前記シリンダシャフトの伸縮異常を検出することを特徴とするプローバの故障検知方法。
【請求項2】
前記ピンは下端で水平方向に配置されたプレートに3本が連結され、前記シリンダシャフトは前記プレートと係合し、前記アップセンサは前記プレートの上昇を検知することを特徴とする請求項1に記載のプローバの故障検知方法。
【請求項3】
前記制御装置は、前記エアシリンダを再上昇させても前記アップセンサにより異常が検出されない場合は、前記エアシリンダの正常が確認できたとして、前記エアシリンダを元の位置まで下降させることを特徴とする請求項1又は2に記載のプローバの故障検知方法。
【請求項4】
前記アップセンサにより異常が検出された場合は、アラームを発報することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプローバの故障検知方法。
【請求項5】
前記制御装置は、針位置合わせカメラによるフォーカス/サーチを行う直前に前記シリンダシャフトを縮ませる指令を行い、前記エアシリンダを上昇させ、前記アップセンサにより、異常を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のプローバの故障検知方法。
【請求項6】
ウェーハロード時にエアシリンダのシリンダシャフトを伸ばし、直棒状のピンでウェーハを持ち上げるプローバの故障検知装置において、
前記エアシリンダに伸縮可能とされて設けられた前記シリンダシャフトと、
前記シリンダシャフトと係合して前記ウェーハを持ち上げる前記ピンと、
前記ピンが上昇したことを検知するアップセンサと、
前記シリンダシャフトを縮ませる指令を行い、前記エアシリンダを上昇させ、前記アップセンサにより、異常を検出する制御装置と、
を備えたことを特徴とするプローバの故障検知装置。
【請求項7】
前記ピンは下端で水平方向に配置されたプレートに3本が連結され、前記シリンダシャフトは前記プレートと係合し、前記アップセンサは前記プレートの上昇を検知することを特徴とする請求項6に記載のプローバの故障検知装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記アップセンサにより異常が検出された場合、アラームを発報することを特徴とする請求項6又は7に記載のプローバの故障検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハに備えられた電子デバイスの電気的特性を検査するプローバに係り、特に、ウェーハロード時にエアシリンダで、例えば3本の直棒状のピンでウェーハを持ち上げる構成のプローバの故障検知方法及びその故障検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、薄い板状のウェーハに各種の処理を施して、電子デバイスを有する複数のチップを製造する。各チップは、特許文献1等に開示されたプローバによって電気的特性が検査され、その後、ダイシング装置によってチップ毎に切り離される。
【0003】
プローバは、ウェーハチャック(テーブル)、プローブ、テスタ等を備えて構成される。プローバによる検査方法は、ウェーハチャックの保持面に、検査前のウェーハを載置して吸着保持する。この後は、各チップの電極パッドにプローブ針を接触(プロービング)させ、チップの電極から出力される信号をテスタによって測定し、正常に動作するか否かを電気的に検査している。
【0004】
ウェーハチャックの保持面の孔は、ウェーハチャックの保持面にウェーハを載置するため、及び保持面からウェーハを剥離するために、3本の直棒状のピンが突没自在に設けられている。そして、ウェーハをウェーハチャックの保持面に載置する場合は、駆動部によって3本のピンを保持面の上方に突出移動させ、3本のピンの上端をウェーハの受け取り位置に位置させる。この後、搬送アームに保持されたウェーハを、3本のピンの上端に載置(ウェーハロード)する。次に、3本のピンを保持面から没入移動させてウェーハをテーブルの保持面に載置する。ウェーハはこの後、テーブルに真空吸着保持(ウェーハ吸着)される。3本のピンは、ウェーハチャックの下方において、水平方向に配置されたプレートの水平面に連結され、3ピンユニットとされている。
【0005】
3ピンユニットの上下移動は、シリンダシャフトが伸縮するエアシリンダを上下移動させる。ウェーハロード時は、シリンダシャフトを伸ばし、3ピンユニットを連結しているプレートと係合させて3ピンユニットを上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-161241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術において、ウェーハロード時に、エアシリンダのエアーチューブが折れ曲がっていた場合などでは、圧縮空気の大気開放が機能せず、伸びたシリンダシャフトが戻りきらず飛び出したままとなる。この状態で、ウェーハアライメントを行い、その後のシーケンスで、プローブ針の先端を針合わせカメラでフォーカス/サーチすると、シリンダシャフトと3ピンを連結しているプレートとが係合したままとなるので、3ピンが上昇し、ウェーハを持ち上げてしまうことになる。
【0008】
ウェーハを持ち上げた結果は、ウェーハの載置された位置が移動し、ウェーハアライメントによって求めた位置情報とは異なる状況となる。そのため、その後のプロービングは、正常位置ではない所でプローブ針をウェーハに接触させることになり、ウェーハを破損する虞があった。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ハード及び制御ソフトの大幅な変更をせず、例えば、エアシリンダにシリンダシャフトの伸縮異常を検出するオートスイッチを組み込むことを不要とし、エアシリンダの動作異常を検出し、ウェーハ等の破損を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、ウェーハロード時にエアシリンダのシリンダシャフトを伸ばし、直棒状のピンでウェーハを持ち上げるプローバの故障検知方法であって、前記シリンダシャフトが伸びて突き出た状態の前記エアシリンダを上昇させて前記シリンダシャフトと係合した前記ピンで前記ウェーハを持ち上げ、前記エアシリンダを下降させ、前記ウェーハをウェーハチャックに載置し、その後、制御装置は前記シリンダシャフトを縮ませる指令を行い、前記エアシリンダを上昇させ、前記ピンが上昇したことを検知するアップセンサにより、前記シリンダシャフトの伸縮異常を検出する。
【0011】
上記のプローバの故障検知方法において、前記ピンは下端で水平方向に配置されたプレートに3本が連結され、前記シリンダシャフトは前記プレートと係合し、前記アップセンサは前記プレートの上昇を検知することが望ましい。
【0012】
上記のプローバの故障検知方法において、前記制御装置は、前記エアシリンダを再上昇させても前記アップセンサにより異常が検出されない場合は、前記エアシリンダの正常が確認できたとして、前記エアシリンダを元の位置まで下降させることが望ましい。
【0013】
上記のプローバの故障検知方法において、前記アップセンサにより異常が検出された場合は、アラームを発報することが望ましい。
【0014】
上記のプローバの故障検知方法において、前記制御装置は、針位置合わせカメラによるフォーカス/サーチを行う直前に前記シリンダシャフトを縮ませる指令を行い、前記エアシリンダを上昇させ、前記アップセンサにより、異常を検出することが望ましい。
【0015】
本発明は、ウェーハロード時にエアシリンダのシリンダシャフトを伸ばし、直棒状のピンでウェーハを持ち上げるプローバの故障検知装置において、前記エアシリンダに伸縮可能とされて設けられた前記シリンダシャフトと、前記シリンダシャフトと係合して前記ウェーハを持ち上げる前記ピンと、前記ピンが上昇したことを検知するアップセンサと、前記シリンダシャフトを縮ませる指令を行い、前記エアシリンダを上昇させ、前記アップセンサにより、異常を検出する制御装置と、を備えたものである。
【0016】
上記のプローバの故障検知装置において、前記ピンは下端で水平方向に配置されたプレートに3本が連結され、前記シリンダシャフトは前記プレートと係合し、前記アップセンサは前記プレートの上昇を検知することが望ましい。
【0017】
上記のプローバの故障検知装置において、前記制御装置は、前記アップセンサにより異常が検出された場合、アラームを発報することが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ウェーハWをウェーハチャック20に載置し、その後、制御装置はシリンダシャフト4を縮ませる指令を行い、エアシリンダ7を上昇させ、ピン5が上昇したことを検知するアップセンサ8により、シリンダシャフト4の伸縮異常を検出するので、エアシリンダ7にシリンダシャフト4の伸縮異常を検出するオートスイッチを組み込むことを不要とし、エアシリンダ7の動作異常を検出し、ウェーハ等の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ウェーハWに形成された半導体チップの電気的特性を検査するプローバ10の側面図
図2】本発明による一実施形態の3ピン部の主な構成を示す概略図
図3】一実施形態による針位置合わせカメラ31によるフォーカス/サーチ時の正常動作を示す動作図
図4】一実施形態による針位置合わせカメラ31によるフォーカス/サーチ時の異常動作を示す動作図
図5】一実施形態によるウェーハロードプロセスの動作図
図6】一実施形態による正常終了と異常検知を説明する動作図
図7】従来のウェーハロードプロセスを示すフローチャート
図8】一実施形態による図7に故障検知機能を組み込んだフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、ウェーハWに形成された複数の半導体チップの電気的特性を検査するウェーハテストシステムに用いられるプローバ10の側面図である。図2は、3ピン部の主な構成を示す概略図である。(以下の図は、3ピンの内代表的な2ピンで図示している。)プローバ10は、ベース12と、Yステージ13と、Y移動部14と、Xステージ15と、X移動部16と、Zθステージ17と、Zθ移動部18と、ウェーハチャック20と、カードホルダ25と、プローブカード26と、ウェーハ位置合わせカメラ29と、上下ステージ30と、針位置合わせカメラ31と、温度センサ34と、クリーニング板32等を備える。
【0021】
温度センサ34は、カードホルダ25及びプローブカード26のウェーハW側の面に対向する位置に設けられている。具体的には、温度センサ34は、Zθステージ17の側面と上下ステージ30の側面とにそれぞれが設けられている。温度センサ34は、例えば放射エネルギー検出方式を用いた非接触式の温度センサ34であり、カードホルダ25及びプローブカード26の温度を非接触で測定する。
【0022】
ウェーハチャック20の上面には、真空吸着等の各種保持方法によりウェーハWが保持される。また、ウェーハチャック20には、その上面に保持しているウェーハWの温度調整を行うための温度調整部20aが設けられている。温度調整部20aは、半導体チップの用途に応じて、ウェーハチャック20に保持されているウェーハWの温度を調整する。
【0023】
カードホルダ25にはプローブカード26の外周を保持する保持穴25aが形成され、保持穴25aにプローブカード26が保持される。プローブカード26は、検査する半導体チップの電極パッド36の配置等に応じて配置されたプローブ針35を有している。
【0024】
針位置合わせカメラ31は、プローブカード26のプローブ針35を撮像する。針位置合わせカメラ31にて撮像されたプローブ針35の撮像画像に基づき、プローブ針35の位置を検出することができる。クリーニング板32は、コンタクト時のプローブ針35とウェーハWとの接触抵抗を改善するため、プローブ針35の針先をクリーニング時に研磨する。
【0025】
ウェーハチャック20は、ピン5の本数と同じ数の貫通孔21が備えられており、貫通孔21は、例えば3本の直棒状のピン5がそれぞれ挿入されている。図2は、3本のピン5の内代表的な2本で図示し、ウェーハロード時の状態を示している。なお、ピン5は、ウェーハチャック20の中心軸を中心とした同心円上に沿って等間隔に配置されている。
【0026】
3ピン部において、3本のピン5の下端は、ウェーハチャック20の下方において、水平方向に配置されたプレート6の水平面に連結され、3ピンユニットとされている。プレート6は、下方に延長され、アップセンサ8と係合している。そして、アップセンサ8は、プレート6が上昇したことを検知する。
【0027】
従って、アップセンサ8は、3本のピン5が上昇したことも検知する。また、プレート6の一端は、エアシリンダ7から矢印A方向に突き出た状態のシリンダシャフト4と係合する。シリンダシャフト4は、エアシリンダ7にエアーチューブ等より流入される圧縮空気によって、矢印A方向に伸縮する。
【0028】
ピン5の上下移動は、シリンダシャフト4が伸縮するエアシリンダ7を矢印B方向に上下移動させる。ウェーハロード時は、シリンダシャフト4を矢印A方向に伸ばし、プレート6と係合させて3本のピン5を上昇させる。
【0029】
半導体デバイスは、仕様に応じて、室温での動作を保証するだけでなく、高温又は低温での動作を保証することが要求される。そのため、ヒータ又は冷却機構による温度調整部20aにより、ウェーハチャック20を高温又は低温にし、その上に保持したウェーハWを高温又は低温にした状態で検査することが行われる。例えば、近年のプローバ10は、ウェーハチャック20を+200℃から-55℃の間の温度に設定できるものが主として使用されているが、今後はさらに温度範囲を広げて設定できることが要求されている。
【0030】
プローバ10を構成する各要素は、温度制御しておらず、ウェーハチャック20の温度とは異なる温度であるため、検査中にプローバ10の各要素の温度は変化する。また、プローブ針35は、形状及び材質の異なるプローブカード26、カードホルダ25に支持されている。そして、カードホルダ25、プローブカード26は、ウェーハチャック20の加熱又は冷却によって熱膨張し、プローブ針35の先端位置が複雑に変化する。そこで、プローブ針35の先端を針位置合わせカメラ31でフォーカス/サーチして検出し、それによって、ウェーハWとプローブ針35との相対変動を補正することが行われている。
【0031】
図3は、ウェーハWとプローブ針35との相対変動の補正を実行する際の針位置合わせカメラ31によるフォーカス/サーチ時の正常動作を示す動作図である。針位置合わせカメラ31は、エアシリンダ7を上下移動する上下ステージ30(Fステージ)によって上下移動する。そして、プローブ針35の先端の位置は、針位置合わせカメラ31の焦点位置で検出される。
【0032】
プローブ針35の先端を検出する手順は以下となる。
(1)シリンダシャフト4は矢印C方向に縮ませて戻った状態とする。
(2)針位置合わせカメラ31によるフォーカス/サーチのため、上下ステージ30が上昇し、針位置合わせカメラ31と共にエアシリンダ7も矢印B方向へ上昇する。
(3)上下ステージ30が下降し、針位置合わせカメラ31と共にエアシリンダ7も矢印D方向へ下降する。
【0033】
ウェーハロード後、プローブ針35の先端の検出時やクリーニング時は、上下ステージ30を再度上昇させる。しかし、3本のピン5は、シリンダシャフト4の位置が正常に戻って縮んでいれば、上昇することはなく、プローブ針35の位置が電極パッド36とずれるなどの不具合は発生しない。
【0034】
図4は、ウェーハWとプローブ針35との相対変動の補正を実行する際の針位置合わせカメラ31によるフォーカス/サーチ時の異常時の動作図である。
(1)ウェーハロード時に、エアシリンダ7の異常により伸びたシリンダシャフト4が矢印C方向へ戻りきらず飛び出したままとなる。
【0035】
(2)針位置合わせカメラ31によるフォーカス/サーチのため、上下ステージ30は上昇し、針位置合わせカメラ31と共にエアシリンダ7も矢印B方向へ上昇する。シリンダシャフト4と3本のピン5を連結しているプレート6とは、係合したままとなるのでピン5が上昇し、ウェーハWを持ち上げる状況となる。
【0036】
(3)上下ステージ30が下降し、針位置合わせカメラ31と共にエアシリンダ7も矢印D方向へ下降する。しかし、ウェーハWを持ち上げた結果は、ウェーハWの載置された位置が移動する。そのため、その後のプロービングは、正常位置ではない所でプローブ針35をウェーハWに接触させることになり、ウェーハWを破損する虞があった。
【0037】
図5は、故障検知機能を組み込んだウェーハロードプロセスの動作図、図6は、正常終了と異常検知を説明する動作図、図7は、従来のウェーハロードプロセスを示すフローチャート、図8は、図7に故障検知機能を組み込んだフローチャートである。故障検知機能を組み込んだ場合は、図7の(3―1)以降で図8のシーケンスが追加されている。
【0038】
図5の動作図に従って、従来のウェーハロードプロセスを説明する。
(1)ウェーハWは、ウェーハ搬送用ロボットのアーム(図示せず)によって吸着されてウェーハチャック20上へ搬送される。シリンダシャフト4は、制御装置(図示せず)によりエアシリンダ7がONされて、矢印A方向へ伸びて突き出ている。ピン5は、ウェーハロード時にエアシリンダ7の上昇で、シリンダシャフト4と係合してウェーハWを持ち上げる。図7の(1―1)から(1―3)参照。
【0039】
(2)アームはウェーハ搬送用ロボットへ収納され、制御装置(図示せず)は、エアシリンダ7を元の位置まで下降させ、ウェーハWをウェーハチャック20に載置する。図7の(2―1)参照。
(3)制御装置(図示せず)は、シリンダシャフト4を矢印C方向へ縮ませて引っ込める指令を行う。ウェーハWをウェーハチャック20で吸着して、次の工程であるウェーハアライメントへ進む。図7の(3―1)参照。
【0040】
故障検知機能を組み込んだウェーハロードプロセスは、図7で示したシーケンスに対して、図7の(3―1)以降を図8のシーケンスとする。図6の動作図に従って、図8を参照して説明する。
(4―1)制御装置(図示せず)は、ウェーハWの吸着を解除して、エアシリンダ7を再上昇させる。ウェーハWをウェーハチャック20に載置した状態で、ピン5の先端とウェーハWの裏面との間は、1mm程度のすき間があるので、例えば、1mm程度の微小量だけエアシリンダ7を再上昇させる。
(4―2)制御装置(図示せず)は、アップセンサ8のONを確認する。
【0041】
(5―1)ピン5は、シリンダシャフト4が図6の(5)のように飛び出した状態であれば、持ち上げられて再上昇する。そして、アップセンサ8は、ピン5が再上昇したことを検知してONからOFFへ変化する。この時は、制御装置(図示せず)は、異常状態を検知したとしてアラームを発報する。これにより、ウェーハW等の破損を防ぐことができる。
【0042】
エアシリンダ7が正常であれば、ピン5は、シリンダシャフト4が図6の(4)のように縮んだ状態となるので、再上昇しない。従って、ピン5が上昇したことを検知するアップセンサ8は、ONの状態を保持したままとなる。そして、制御装置(図示せず)は、エアシリンダの正常が確認できたと判断する。これにより、エアシリンダ7にシリンダシャフト4の伸縮異常を検出するオートスイッチを組み込むことなく、エアシリンダ7が正常であることを確認できる。
【0043】
エアシリンダ7の正常、つまり、シリンダシャフト4の異常が検出されない場合は、エアシリンダ7を元の位置まで下降させ、従来のシーケンスであるウェーハアライメントへ進む。また、図8で示したシーケンスは、ウェーハロード時に行うとして説明したが、針位置合わせカメラ31によるフォーカス/サーチを行う直前に行うことでも良い。
【0044】
以上により、単に、オートスイッチの組み込みを不要とするばかりでなく、既設の異常検知機能のないプローバ10に対しても、ハード改造に伴う作業が不要となる。ハード改造に伴う作業は、プローバ10の動作を少なくとも1台当たり3時間程度停止する必要があったが、この点でもコストを大幅に削減できることになる。
【符号の説明】
【0045】
4…シリンダシャフト
5…ピン
6…プレート
7…エアシリンダ
8…アップセンサ
10…プローバ
12…ベース
13…Yステージ
14…Y移動部
15…Xステージ
16…X移動部
17…Zθステージ
18…Zθ移動部
20…ウェーハチャック
20a…温度調整部
21…貫通孔
25…カードホルダ
25a…保持穴
26…プローブカード
29…ウェーハ位置合わせカメラ
30…上下ステージ
31…針位置合わせカメラ
32…クリーニング板
34…温度センサ
35…プローブ針
36…電極パッド
A、B、C、D…矢印
W…ウェーハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8