IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフイの特許一覧

特許7529651薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリおよびこれを組み立てる方法
<>
  • 特許-薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリおよびこれを組み立てる方法 図1
  • 特許-薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリおよびこれを組み立てる方法 図2
  • 特許-薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリおよびこれを組み立てる方法 図2A
  • 特許-薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリおよびこれを組み立てる方法 図3
  • 特許-薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリおよびこれを組み立てる方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリおよびこれを組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
A61M5/24 502
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021502512
(86)(22)【出願日】2019-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2019068966
(87)【国際公開番号】W WO2020016158
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】18305974.0
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ウィンペニー
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・オーブリー・プランプトリ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ビージー
(72)【発明者】
【氏名】イアン・マクフォール
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ポール・グリフィン
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-535282(JP,A)
【文献】特表2013-542807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)のためのカートリッジアセンブリ(300)であって:
カートリッジホルダ(301)と、
薬物を含むカートリッジ(302)と、
取付部材(303)と、
を含み、ここで、カートリッジホルダは内部カートリッジ保持セクションを含み、カートリッジは、内部カートリッジ保持セクション内に配置され、取付部材は、カートリッジホルダに軸方向に固定され、カートリッジをカートリッジホルダ内に恒久的に固定し、
取付部材(303)は、カートリッジ(302)をカートリッジホルダ(301)内に保持するように配置された1つまたは複数の取付機能(311)を含み、
それぞれの取付機能(311)は径方向内方の方向に延び、それぞれの取付機能の遠位面は、カートリッジ(302)の近位端面に接触するように配置され、
取付部材(303)は1つまたはそれ以上の取付フィンガ(313)を含み、それぞれの取付フィンガは、少なくとも1つの取付機能(311)を備え、
取付部材(303)は、1つまたはそれ以上の可撓性固定フィンガ(315)を有し、各固定フィンガは、取付部材をカートリッジホルダ(301)に対し軸方向に固定するための固定機能(314)を備え、取付フィンガ(313)は固定フィンガ(315)よりも可撓性が低い、
前記カートリッジアセンブリ。
【請求項2】
カートリッジアセンブリ(300)全体が1つの使い捨て物品である、請求項1に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項3】
取付部材(303)は、カートリッジ(302)の周りを周方向に延びるリング状またはスリーブ状の本体(312)を有する、
請求項1または2に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項4】
各固定機能はスナップ機能である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項5】
固定フィンガ(315)は、本体(312)から離れて軸方向に延びる、請求項3または4に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項6】
近位端において、カートリッジ(302)の内部を栓(307)が閉じ、該栓は、カートリッジ内に可動に保持され、1つまたはそれ以上の取付機能(311)は、栓の近位端から近位にオフセットされている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項7】
取付部材(303)の少なくともセクションは、カートリッジ(302)と、カートリッジホルダ(301)の内壁との間に配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項8】
取付部材(303)のセクション、および/またはカートリッジ(302)のセクションが、カートリッジホルダ(301)から近位に突出する、
請求項1~7のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項9】
取付部材のセクションは取付フィンガである、請求項8に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項10】
カートリッジアセンブリ(300)は、ハウジングのハウジングインタフェース機能と協働するように構成された1つまたは複数のカートリッジアセンブリインタフェース機能(313、311)を含み、該カートリッジアセンブリインタフェース機能は固定部材上に提供される、請求項1~9のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項11】
取付部材(303)は、カートリッジホルダ(301)に恒久的にかつ解放不能に固定される、請求項1~10のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項12】
取付部材(303)は、カートリッジホルダ(301)に対して軸方向におよび回転不能に固定され、取付部材とカートリッジホルダとの間の相対的な軸方向運動は、2つの反対の軸方向において阻止され、かつ取付部材とカートリッジホルダとの間の相対的な回転運動は、2つの反対の回転方向において阻止される、請求項1~11のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ。
【請求項13】
カートリッジアセンブリ(300)のセットであって、該セットの各カートリッジアセンブリは、請求項1~12のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリであり、該セットの2つの任意に選択されたカートリッジアセンブリは、以下の特徴:
カートリッジアセンブリをハウジングに接続して薬物送達デバイスを形成するときにハウジングにおけるハウジングインタフェース機能と協働するように提供される、2つのカートリッジアセンブリのカートリッジアセンブリインタフェース機能(313、311)の構成、
2つのカートリッジアセンブリのカートリッジホルダ内に保持されるカートリッジ(302)の寸法、
2つのカートリッジアセンブリの取付部材(303)の色、
のうちの少なくとも1つ、任意に選択された複数、または全てにおいて異なる、前記カートリッジアセンブリのセット。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリと、ハウジング(10)とを含む薬物送達デバイス(1)であって、カートリッジアセンブリはハウジングに解放可能に固定される、前記薬物送達デバイス。
【請求項15】
カートリッジ(302)に含まれる薬物は薬剤である、請求項14に記載の薬物送達デバイス。
【請求項16】
注射デバイスである、請求項14または15に記載の薬物送達デバイス。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載のカートリッジアセンブリ(300)を製造する
方法であって:
カートリッジホルダ(301)を提供する工程と、
該カートリッジホルダ内に固定されるべきカートリッジ(302)を提供する工程と、
該カートリッジの寸法を特定する工程と、
取付部材のセットから特定の取付部材(303)を選択する工程であって、該セットの各取付部材は、特定の寸法のカートリッジをカートリッジホルダ内に固定するのに適しており、異なる取付部材は、寸法が異なるカートリッジを固定するように構成され、特定の取付部材は、カートリッジホルダ内に提供されたカートリッジの寸法のカートリッジを固定するのに適している、工程と、
カートリッジをカートリッジホルダ内に固定するように特定の取付部材をカートリッジホルダに取付ける工程と、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カートリッジアセンブリに関し、特に、薬物送達デバイス、好ましくは、注射デバイスおよび/またはペン型注射器等のペン型デバイスのためのカートリッジアセンブリに関する。更に、本開示は、カートリッジアセンブリのセットと、カートリッジアセンブリを組み立てるためのキットと、カートリッジアセンブリを製造するための方法とに関する。更に、本開示は、カートリッジアセンブリを含む薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスのハウジング内に収容することができる単一の駆動機構が、デバイスからカートリッジまたはアンプル内に含まれる薬物を投薬するためにいくつかのカートリッジまたはアンプルと併せて用いられる通常の薬物送達デバイスにおいて、通例、デバイスのカートリッジホルダはハウジングに解放可能に接続され、使用済みカートリッジを交換するためにハウジングから除去することができる。これを行うために、カートリッジホルダはハウジングから外され、使用済みカートリッジがホルダから除去され、カートリッジホルダに挿入される新たなカートリッジと交換される。カートリッジホルダは再びハウジングに取り付けられ、デバイスは、再び、新たなカートリッジから薬物を投薬するのに用いる準備ができる。
【0003】
しかしながら、この種のデバイスはいくつかのリスクを有する。たとえば、薬物送達デバイスの機構が特別に設計されていない薬物、すなわち誤った薬物を含むカートリッジがカートリッジホルダに挿入される可能性があり、ユーザは、誤った薬物のカートリッジをカートリッジホルダに入れたことに気づかない。この間違いは、ユーザにとって致命的である場合があり、生じる可能性も高い。なぜなら、異なる薬物を有するカートリッジが通例非常に類似して見えるためである。更に、カートリッジは通例、別個の物品として販売される場合、特に、標準的なカートリッジは通例、ガラスカートリッジであるため、損傷を受けやすい。また更に、特定のカートリッジホルダにおいて、通例、1つの特定の寸法のカートリッジのみを保持し、駆動機構に接続することができる。したがって、異なる長さおよび/または直径等の様々な寸法のカートリッジは、通例、同じ駆動機構に容易に接続することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、薬物送達デバイスのための改善されたカートリッジアセンブリ、カートリッジアセンブリを組み立てる方法、および/またはカートリッジアセンブリに関連付けられた改善もしくは構成を提供することである。これらの目的、および潜在的には他の目的は、本開示によって解決され、特に、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態および改良形態は、従属請求項が対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの態様は、カートリッジアセンブリ、特に、ペン型デバイスおよび/または注射デバイス等の薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリに関する。別の態様は薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは、好都合には、本明細書において上記および下記で説明されるようなカートリッジアセンブリと、ハウジングとを含む。カートリッジアセンブリは、ハウジングに解放可能に固定することができる。ハウジング内で、好ましくは、カートリッジから薬物または薬剤を投薬するために投薬動作を駆動するように設計された駆動機構、またはその1つまたはそれ以上の要素、たとえばピストンロッドを保持することができる。
【0006】
カートリッジアセンブリは、カートリッジホルダと、薬物または薬剤を含むカートリッジと、取付部材とを含む。カートリッジホルダは、内部カートリッジ保持セクションを含むかまたは画成する。内部カートリッジ保持セクションは、カートリッジホルダの側壁によって横方向および/または周方向に画定することができる。カートリッジはカートリッジ保持セクション内に配置される。取付部材は、カートリッジをカートリッジホルダ内に好ましくは恒久的に固定する。取付部材は、カートリッジをカートリッジホルダ内に固定するようにカートリッジに当接するかまたはカートリッジと機械的に協働することができる。カートリッジはガラスカートリッジとすることができる。カートリッジは、ネック部分を介して接続された、本体部分およびヘッド部分を有することができる。ネック部分は、本体部分および/またはネック部分と比較して低減された直径を有することができる。本体部分は円筒形とすることができる。ヘッド部分において、カートリッジの投薬開口部を配置することができる。投薬開口部は、穿孔可能なセプタムによって閉じることができ、セプタムは、カートリッジの内部と外部との間の流体連通を提供するように針によって穿孔することができる。
【0007】
取付部材は、カートリッジホルダに好ましくは恒久的にかつ/または解放不能に固定される。たとえば、取付部材は、カートリッジホルダに軸方向にかつ/または回転不能に固定される。特に、カートリッジホルダと取付部材との間の相対的な軸方向運動を、少なくとも1つの軸方向または2つの反対の軸方向において阻止することができる。相対的な回転運動を、1つの回転方向または2つの反対の回転方向において阻止することができる。カートリッジホルダは、カートリッジホルダを近位方向に画定する開口部を有することができる。このため、カートリッジホルダの近位端に開口部を提供することができる。開口部は、開口部を介してカートリッジをカートリッジホルダ内に誘導することができるように、カートリッジを受けるように設計することができる。取付部材は、近位開口部の領域においてカートリッジホルダに接続することができる。カートリッジホルダに固定されて
いるとき、カートリッジホルダから離れる近位方向における取付部材の動きを阻止することができる。遠位方向において、カートリッジホルダは、遠位端面によって画定することができる。カートリッジホルダの遠位端に針コネクタを提供することができる。カートリッジの遠位端面は、カートリッジホルダの内部近位面に当接するように配置することができる。換言すれば、遠位方向において、カートリッジは、カートリッジホルダに対し動かないようにすることができる。カートリッジは、取付部材によってカートリッジホルダ内に恒久的に固定することができる。好ましくは、取付部材がなければ、カートリッジをカートリッジホルダから除去することができる。
【0008】
カートリッジは好都合には、カートリッジホルダ内に恒久的に固定されるため、カートリッジアセンブリは、消耗材料の1つのユニットまたは単一ユニットを形成することができる。すなわち、カートリッジアセンブリ全体を、カートリッジ内の薬物または薬剤が投薬された後に処分される使い捨て物品とすることができる。
【0009】
カートリッジが取付部材によってカートリッジホルダ内に恒久的に固定される場合、いくつかの利点が実現される。たとえば、カートリッジは、ユーザがカートリッジアセンブリを扱うとき、カートリッジホルダによって常に保護される。このとき、カートリッジの破壊のリスクは、ホルダ内のカートリッジがユーザによって交換さられる必要があるシステムと対照的に、大幅に低減される。むしろ、提案されるシステムにおいて、カートリッジアセンブリ全体が新たなものと交換される。
【0010】
更に、カートリッジアセンブリは、カートリッジのみでなく、カートリッジホルダおよび取付部材のような他の要素も含むため、特に、カートリッジの設計を変更する必要なく、薬物送達デバイスのための特定の駆動機構またはハウジングに対しカートリッジを専用にするかまたはコーディングすることがより容易である。このため、標準的なカートリッジを用いることができる。更に、専用化またはコーディングは、取付部材によって提供することができる。このため、同じ薬物もしくは薬剤を有する、かつ/またはカートリッジの充填レベルが同じであるカートリッジアセンブリは、同一の構成の取付部材を有することができる。異なる薬物もしくは薬剤を有する、かつ/またはカートリッジの充填レベルが異なるカートリッジアセンブリは異なる構成の取付部材を有することができる。このため、取付部材を用いて、特定のカートリッジアセンブリを他のカートリッジアセンブリと区別することができる。異なる色の取付部材を用いて、カートリッジの内容物に関する情報をユーザに提供することができる。
【0011】
専用化またはコーディングによって、カートリッジアセンブリを、整合する駆動機構、すなわち、カートリッジ内に含まれる内容物を送達するために特に設計された機構のみとすることができるか、またはこの整合する駆動機構のみと共に用いることができることを確実にすることができる。たとえば、カートリッジアセンブリは、駆動機構に対し、または駆動機構を収容し、カートリッジアセンブリが薬物送達デバイスを形成するために接続されるべきハウジングに対し、機械的にコーディングすることができる。1つまたはそれ以上のコーディング機能をカートリッジアセンブリ上に提供することができる。このコーディング機能は、コーディング機能が整合しない限りハウジングに対するカートリッジアセンブリの接続を阻止するように、ハウジングまたは駆動機構における1つまたはそれ以上の対応するコーディング機能と相互作用するように構成される。コーディング機能は、以下に更に開示されるインタフェース機能によって実現することができる。
【0012】
また更に、異なる取付部材によって、寸法が異なるカートリッジを、同じ構成を有するカートリッジホルダ内に固定することができる。寸法調節は取付部材によって達成することができる。
【0013】
実施形態において、取付部材は、カートリッジが、特にカートリッジホルダの近位開口部を介してカートリッジホルダから除去される可能性があることを阻止する。好ましくは、取付部材は、取付部材が損傷を受けない限り、カートリッジをカートリッジホルダ内に固定するように設計される。損傷を受けた取付部材は、カートリッジアセンブリが不正開封されたことをユーザに示すことができ、ユーザは、アセンブリ内に正しい薬物または薬剤が含まれているか否かが不確実であるため、アセンブリ全体を破棄することができる。
【0014】
実施形態において、取付部材は本体を有する。本体は、リング状またはスリーブ状の形状を有することができる。本体は、カートリッジホルダに組み付けられると、カートリッジの周りに延びることができる。本体は、カートリッジの周囲、好ましくは周囲全体の周りに延びることができる。カートリッジは、本体内に配置することができるか、または本体を通って延びることができる。たとえば、リングまたはスリーブ形状の本体の場合のように、本体が角度方向において閉じている場合、すなわち、角度方向に開放した端面を有しない場合、本体は、特に径方向において、変形に対しより安定している。これにより、取付部材とカートリッジホルダとの間の接続を強化することができ、カートリッジアセンブリを分解することができないことを確実にするのに役立つことができる。
【0015】
実施形態において、取付部材は1つまたはそれ以上の固定機能を有する。それぞれの固定機能、たとえばスナップ機能は、好ましくは、1つの軸方向または双方の軸方向において、取付部材をカートリッジホルダに対し軸方向に固定するように設計することができる。取付部材は、1つまたはそれ以上の固定フィンガを有することができる。それぞれの固定フィンガには固定機能を提供することができる。それぞれの固定フィンガは可撓性とすることができる。すなわち、それぞれの固定フィンガは、特に弾性的にかつ/または径方向に偏向させることができる。このため、それぞれの固定機能は、関連付けられた固定フィンガを介して本体に弾性的に接続することができる。固定フィンガによって、取付部材は、カートリッジホルダに確実に固定することができる。結果として、取付部材は、一旦組み立てられると、関連構成要素のうちの1つを破壊することなく容易に分解することができないカートリッジアセンブリを有効にすることができる。
【0016】
実施形態において、固定フィンガは、軸方向に、たとえば、本体から離れて延びる。軸方向は遠位方向とすることができる。固定機能は、それぞれの固定フィンガから径方向に、特に径方向外方に突出することができる。
【0017】
「遠位」および「近位」という用語は、本明細書において用いられるとき、反対側の軸方向または端部を指すことができる。「遠位」とは、薬物送達デバイスの投薬端に向かう方向、またはカートリッジ、カートリッジアセンブリもしくは薬物送達デバイスの投薬端の最も近くに配置されているかもしくは配置されることになる薬物送達デバイスの構成要素の端部を指すことができる。「近位」とは、投薬端から離れる方向、またはカートリッジ、カートリッジアセンブリもしくは薬物送達デバイスの投薬端から離れて配置されているかもしくは配置されることになる端部を指すことができる。「軸方向」、「径方向」または「角度方向」という用語は、本明細書において用いられるとき、デバイスまたはカートリッジもしくはその構成要素の長手方向主軸、たとえば、カートリッジアセンブリまたは薬物送達デバイスの近位端および遠位端を通って延びる軸に対して用いることができる。
【0018】
実施形態において、カートリッジホルダの開口部は、カートリッジホルダの内部カートリッジ保持セクションへのアクセスをカートリッジに提供することができる。カートリッジホルダの遠位端において、針取付具機能または針コネクタ、たとえばねじ山を提供することができる。カートリッジホルダの遠位セクションは、カートリッジホルダの近位セクションと比較して、低減された内径および/または外径を有することができる。カートリッジホルダのそれぞれのセクションは、そのセクション内に配置されるカートリッジの部分に対し調節することができる。カートリッジのヘッド部分は、遠位セクション内に配置することができ、本体部分は、近位セクション内に配置することができる。
【0019】
実施形態において、取付部材の少なくともセクションは、カートリッジと、カートリッジホルダの内壁との間に配置される。特に、固定機能、たとえば固定フィンガを提供される取付部材のセクションは、カートリッジホルダの内壁とカートリッジとの間に配置する
ことができる。このようにして、カートリッジは、カートリッジアセンブリが一旦組み立てられると、固定機能をカートリッジホルダから係止解除するために必要となる径方向の動き、たとえば内方の動きを阻止するかまたはこれに対抗することができる。このため、カートリッジアセンブリの分解を更により困難にすることができる。
【0020】
実施形態において、取付部材は、カートリッジアセンブリ内にカートリッジを保持するように配置された1つまたは複数の取付機能を含む。それぞれの取付機能は、好都合には、カートリッジと機械的に協働するように配置される。それぞれの取付機能は、固定機能から軸方向にオフセットすることができる。取付機能は、固定機能よりも近位に配置することができる。取付機能および固定機能は、本体の反対側に配置することができる。取付機能は、径方向に延びることができる。方向は、固定機能が延びる方向と反対とすることができる。取付機能は径方向に内側の方向に延びることができる。取付機能の遠位面は、カートリッジの近位面、たとえば、カートリッジの近位周縁部または縁部等の近位端面に接触するように配置することができるかまたは接触する。取付機能によって、カートリッジはカートリッジホルダ内に確実に保持することができる。取付機能がない場合、カートリッジはカートリッジホルダから除去することができる。
【0021】
実施形態において、取付部材は、1つまたは複数の取付フィンガを含むことができる。それぞれの取付フィンガには、取付機能を提供することができる。取付フィンガは、本体から離れて軸方向に延びることができる。軸方向は近位方向とすることができる。取付フィンガおよび固定フィンガは角度方向に一直線にすることができ、すなわち、それらは本体に対し対応する角度位置に提供することができる。取付機能は、関連付けられた固定フィンガに対し径方向に延びるか、または関連付けられた取付フィンガから径方向に、好ましくは内側に突出することができる。
【0022】
実施形態において、取付フィンガは、固定フィンガよりも可撓性が低い。取付フィンガは、固定フィンガよりも剛性を高くするかまたは堅くすることができる。したがって、取付フィンガは、特に径方向において、固定フィンガよりも偏向を難しくすることができる。このようにして、取付機能の径方向の(内方の)動きを必要とする場合がある、取付部材をカートリッジホルダに固定するための力が、カートリッジをカートリッジアセンブリから除去するのに必要とされる、径方向(外方向)に取付フィンガを偏向させるのに必要な力よりも小さいことを保証することができる。
【0023】
取付フィンガが可撓性である場合、取付部材は、カートリッジが、特に近位開口部を介してカートリッジホルダ内に導入される前に、カートリッジホルダに取付けることができる。カートリッジをカートリッジホルダに挿入するために、取付フィンガは、取付機能間に画成された開口部の直径を、カートリッジをその開口部を通じて誘導することができるまで増大させるように径方向に偏向させることができる。カートリッジが取付機能を通過すると、取付フィンガは、好ましくは独自の弾性に起因して、たとえば偏向していない位置まで戻ることができる。このとき、開口部の直径は、たとえば本体部分のカートリッジの直径未満とすることができ、取付機能は、カートリッジをホルダ内に固定することができる。当然ながら、これは、1つのみの取付フィンガによって達成することもできる。
【0024】
取付フィンガの剛性が高い場合、カートリッジは、取付部材がカートリッジホルダに取付けられる前にカートリッジホルダ内に導入することができる。取付部材をカートリッジホルダに取付ける間、固定フィンガは、固定機能がカートリッジホルダ上の対応する機能、たとえばスナップポケットのような対応するスナップ機能と係合するまで、カートリッジの外壁とカートリッジホルダの内壁との間の領域内で誘導することができる。取付フィンガを破壊することなく径方向に変形または偏向することができない場合、カートリッジは、少なくとも1つの取付フィンガに損傷を与えることなくカートリッジアセンブリから除去することができない。これはカートリッジアセンブリに手が加えられたことを示す。
【0025】
実施形態において、栓がカートリッジの内部を、特に近位端において閉じる。栓は、カートリッジ内に可動に保持することができる。カートリッジの近位開口部は栓によって封止することができる。したがって、カートリッジの近位開口部は、カートリッジから液体の薬物または薬剤等の薬物または薬剤を投薬するためにカートリッジに対し遠位方向に変位させることができる可動の栓によって閉じることができる。栓は、好都合には、カートリッジの本体部分内に配置される。栓は、カートリッジアセンブリの一部とすることができる。取付機能は、栓の近位端から近位方向にオフセットして配置することができる。
【0026】
実施形態において、取付部材のセクションおよび/またはカートリッジのセクションは、カートリッジホルダから、特に近位に突出する。カートリッジホルダから突出するセクションは、本体のセクション、好ましくは本体のセクションのみ、および/または取付フィンガのセクション、好ましくは取付フィンガのセクションのみまたは取付フィンガ全体とすることができる。カートリッジホルダから近位に突出するカートリッジのセクション
は、栓が配置されるセクション、または、カートリッジの投薬端から栓よりも更に離れて配置されるセクションとすることができる。それにもかかわらず、カートリッジホルダから近位に突出することができるカートリッジのセクションはより損傷を受けやすいため、カートリッジの大部分が、好都合には、カートリッジホルダ内、たとえばカートリッジ保持セクション内に配置される。たとえば、カートリッジの総長のうち、50%、60%、70%、80%および/または90%超がカートリッジ保持セクション内および/またはカートリッジホルダ内に配置される。結果として、カートリッジの残りの部材は、カートリッジホルダの近位開口部から突出することができる。
【0027】
カートリッジホルダから突出する取付部材のセクションにおいて、支承部機能、たとえばフランジ等の径方向に突出するセクションを配置することができる。支承部機能の遠位面は、カートリッジホルダの近位面、たとえばカートリッジホルダの近位端面に当接することができる。このようにして、カートリッジホルダに対し取付部材の定義された端部位置を提供することができる。遠位方向におけるカートリッジホルダに対する取付部材の動きは、カートリッジホルダと協働する支承部機能によって阻止することができる。
【0028】
実施形態において、軸方向の延びが異なる取付フィンガを有する取付部材によって、取付部材は、カートリッジホルダ内に保持されるカートリッジの長さに対し調節することができる。このため、取付部材を用いて、カートリッジホルダ内に保持されることになるカートリッジ寸法における差を補償することができる。特に、長さが異なる取付フィンガを有する取付部材を、異なる長さを有するカートリッジに適用することができる。結果として、1つのタイプのカートリッジホルダを用い、これを、取付部材を用いて寸法の異なるカートリッジに対し調節することができる。異なる取付部材は、取付フィンガの設計、たとえばその長さにおいてのみ異なるか、または本体または取付フィンガの外面に配置される機能、たとえば以下で更に論考される接続機能もしくはインタフェース機能においてのみ異なる場合がある。
【0029】
実施形態において、取付部材は軸方向に剛性が高い。すなわち、取付部材は、軸方向に向けられた力に曝されるとき、好ましくは可撓性でも変形可能でもない。上記および下記で説明されるように、1つまたはそれ以上の要素、特に取付および/または固定フィンガは、可撓性、特に弾性的に変形可能とすることができる。軸方向に剛性が高い取付部材によって、カートリッジはカートリッジホルダ内に非常に確実に固定することができる。
【0030】
実施形態において、カートリッジホルダは軸方向および/または径方向に剛性が高い。
【0031】
実施形態において、取付部材は、カートリッジ内に含まれる薬物もしくは薬剤、もしくは薬物製剤もしくは薬剤製剤、および/またはカートリッジの充填レベルに関する情報を提供するか、またはこれらに対し専用にされるかもしくはコーディングされる。したがって、標準的なカートリッジホルダを用いることができ、カートリッジ内に含まれる薬物または薬剤に関する情報を、取付部材によって提供することができる。2つの異なる薬物製剤または薬剤製剤は、同じ活性医薬成分を有することができるが、この成分の濃度が異なる。したがって、取付部材によって、たとえば取付部材上に提供される色または他の視覚および/または触覚標示によって提供される情報、たとえばテキストによって、ユーザは、薬物送達デバイスにおいて正しい薬物または薬剤を用いようとしていることを検証することができる。
【0032】
実施形態において、取付部材は、たとえば、ねじ接続またはバヨネット接続を介してカートリッジアセンブリをハウジングに固定するために、ハウジング上の対応する接続機能と協働するように構成される1つまたはそれ以上の接続機能を備える。接続機能は、たとえば、取付フィンガまたは本体の径方向に向いた面および/または外面において、カートリッジホルダから近位に突出する取付部材のセクション内に配置することができる。
【0033】
実施形態において、カートリッジアセンブリは、好都合には、カートリッジアセンブリをハウジングに連結して薬物送達デバイスを形成することを試みるときに、ハウジングの1つまたはそれ以上の対応するハウジングインタフェース機能と好ましくは機械的に協働するように構成された1つまたは複数のカートリッジアセンブリインタフェース機能を含む。カートリッジアセンブリインタフェース機能は、取付部材上に提供することができる。異なる薬物もしくは薬剤または異なる薬物製剤もしくは薬剤製剤を含むカートリッジは、整合するハウジング、すなわち、カートリッジに含まれる薬物もしくは薬剤または薬物製剤もしくは薬剤製剤を投薬するのに適した、またはこれを投薬するように設計された駆動機構を保持するハウジングのハウジングインタフェース機能のみと適合するように構成された、異なるカートリッジアセンブリインタフェース機能を有することができる。したがって、カートリッジアセンブリのうち、ハウジングと適合するものはハウジングに組み付けることができるが、別の不適合なものは組み付けることができない。このため、カートリッジインタフェース機能によって、機械的コーディングを提供することができる。カートリッジアセンブリインタフェース機能は、コーディング機能とすることができる。カートリッジインタフェース機能は、たとえば取付フィンガまたは本体の径方向に向いた面および/または外面において、カートリッジホルダから近位に突出する取付部材のセクション内に配置することができる。適用可能な場合、インタフェース機能および接続機能は、1つの機能によって形成することができ、または代替的に、異なる機能によって形成することもできる。
【0034】
別の態様は、カートリッジアセンブリのセットに関し、セットの各カートリッジアセンブリは、上記および下記で説明されるようなカートリッジアセンブリである。セットの2つの任意に選択されたカートリッジアセンブリ、好ましくは、異なる薬物もしくは薬剤、異なる薬物もしくは薬剤製剤、および/またはカートリッジアセンブリのカートリッジにおける異なる充填レベルを有する任意の2つのカートリッジアセンブリは、以下の特徴のうちの少なくとも1つ、任意に選択された複数、または全てにおいて異なる:
- 2つのカートリッジアセンブリのカートリッジアセンブリインタフェース機能の構成。カートリッジアセンブリインタフェース機能は、異なるハウジングのハウジングインタフェース機能のみと適合するように設計することができる。たとえば、異なるカートリッジアセンブリのカートリッジアセンブリインタフェース機能は、定義された角度幅および/または径方向の延びを有する突起によって実現することができる。2つのカートリッジアセンブリのインタフェース機能は異なる幅および/または径方向の延びを有し、インタフェース機能の幅または径方向の延びはセット内で一意である。更に、それぞれのアセンブリに複数のインタフェース機能を提供することができ、インタフェース機能は、パターンにおいて特に周方向に分散し、2つのカートリッジアセンブリのパターンは異なり、それぞれのパターンはセット内で一意である。インタフェース機能は、たとえば一意の角度方向の延びまたは角度方向の延びのパターンを有することができる、たとえば取付フィンガによって形成することができる。
- それぞれのアセンブリのカートリッジホルダ内に保持されるカートリッジの寸法。たとえば、1つのカートリッジホルダは、或る長さまたは直径のカートリッジを保持することができ、別のカートリッジアセンブリは、異なる長さまたは直径のカートリッジを保持することができる。
- 2つの異なるカートリッジアセンブリの取付部材の色。
取付フィンガの構成。たとえば、取付フィンガの軸方向の延びまたは角度方向の延び、たとえば長さは、2つのカートリッジアセンブリ間で異なることができる。
【0035】
別の態様は、薬物送達デバイスのためのカートリッジアセンブリを組み立てるためのキットに関する。このキットは、同じ寸法またはタイプの1つまたは複数のカートリッジホルダと、カートリッジホルダに固定することができる複数の取付部材とを含む。取付部材は、寸法、たとえば直径および/または長さが異なるカートリッジをカートリッジホルダ内に固定するように設計される。このため、適切な取付部材を選択することによって、寸法が異なるカートリッジをカートリッジホルダ内に固定することができる。
【0036】
別の態様は、以下の工程を含むカートリッジアセンブリを製造する方法に関する:
- カートリッジホルダを提供する工程。提供されるカートリッジホルダは、標準的な
カートリッジホルダとすることができる。
- カートリッジホルダ内に固定されるべきカートリッジを提供する工程。カートリッジは、或る寸法のカートリッジとすることができる。しかしながら、好都合には1つの構成のみを有する標準的なカートリッジホルダと対照的に、異なるカートリッジは、異なる寸法を有する場合がある。たとえば、異なる長さおよび/または直径を有するカートリッジは、薬物または薬剤製剤の異なる容積を有する場合がある。たとえば、3.0mlの容積のカートリッジおよび1.5mlの別のカートリッジを用いることができる。
- カートリッジの寸法を特定する工程。カートリッジの寸法の特定は、カートリッジの長さおよび/または直径を特定することを含むことができる。
- その後、好都合には複数の取付部材を含む取付部材のセットから、特定の取付部材を選択することができる。セットの各取付部材は、特定の寸法のカートリッジをカートリッジホルダ内に固定するのに適することができる。セットの異なる取付部材は、寸法が異なるカートリッジをこのカートリッジホルダ内に固定するように構成することができる。選択された特定の取付部材は、カートリッジホルダ内に提供されたカートリッジの寸法のカートリッジを固定するのに特に適している。
- その後、特定のまたは選択された取付部材を、カートリッジホルダ内でカートリッジホルダに取付けることができる。取付部材は、カートリッジがカートリッジホルダ内に誘導される前に、または後にカートリッジホルダに取付けることができる。上記で詳述したように、これは、たとえば取付フィンガの堅さに依拠することができる。
【0037】
上記でカートリッジアセンブリと併せて開示した機能、方法、キット、カートリッジアセンブリのセット、および薬物送達デバイスは、列挙した態様または実施形態のみを指すものとみなされるべきでない。むしろ、機能は、他の実施形態または態様にも適用される。単なる例として、方法と併せて開示された機能は、カートリッジアセンブリにも当てはまり、逆もまた同様である。当然ながら、上記であれ、更に下記であれ、特定の実施形態において開示される機能は、互いに、および/または他の実施形態の他の機能と組み合わせて適用することもできる。
【0038】
本開示の更なる機能、利点および有利な実施形態は、図面と併せて例示的な実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】カートリッジアセンブリの実施形態の概略斜視図の基礎を示す。
図2】概略斜視図に基づいて図1のカートリッジアセンブリに適用される取付部材の実施形態を示す。
図2A】断面図に基づいて取付部材の実施形態を示す。
図3】1つの状態におけるカートリッジアセンブリを含む薬物送達デバイスの実施形態を示す。
図4】別の状態におけるカートリッジアセンブリを含む薬物送達デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
同一の要素、同一に作用する要素、および同じ種類の要素には、図面全体を通じて同じ参照符号を与えることができる。
【0041】
図1は、概略斜視図に基づいて、特に近位端側のカートリッジアセンブリ300の実施形態を示す。カートリッジアセンブリは、カートリッジホルダ301と、カートリッジ302と、取付部材303とを含む。カートリッジホルダ301は、近位端304および遠位端305を含む。近位端において、カートリッジホルダは、カートリッジ302をカートリッジホルダ301の内部カートリッジ保持セクション内に導入することができる開口部を有する。示される実施形態において、そのセクションは、カートリッジ302がホルダ内に配置される場所である。ホルダ301の遠位端305において、針コネクタ306、たとえばねじ山を提供することができる。コネクタを介して、針ユニット(図示せず)をカートリッジホルダに接続することができる。たとえば、標準的な針ユニットの針ハブは、ねじ山を介してカートリッジホルダにねじ係合することができる。針ユニットがカートリッジホルダに取り付けられると、ユニットの針は、たとえば、狭いネック部分を介してカートリッジの管状の本体部分に接続されたカートリッジのヘッド部分において、カー
トリッジ302の遠位端に提供されたセプタムを穿孔することができる。針ユニットの針を介して、カートリッジの内部と外部との間に流体連通を提供することができる。近位端においてカートリッジを閉じる栓307がカートリッジに対し遠位方向に変位される場合、カートリッジ302に含まれる液体の薬物または薬剤を、針ユニットを介してカートリッジから投薬することができる。栓は、ゴム製とすることができ、かつ/またはカートリッジの本体部分に保持することができる。カートリッジ内の薬物または薬剤の量は、好ましくは、複数の用量に十分であり、用量のサイズは、ユーザによって設定することができるか、またはたとえば、カートリッジを含む薬物送達デバイスから薬物もしくは薬剤を送達するのに用いられる駆動機構の設計によって決めることができる。
【0042】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0043】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0044】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0045】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害の更なる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0046】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0047】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0048】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0049】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0050】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0051】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0052】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0053】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0054】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0055】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0056】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0057】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0058】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0059】
当業者であれば、本明細書に記載のAPI、製剤、装置、方法、システムおよび実施形態の様々な構成要素の変更(追加および/または除去)を、そのような変更およびそのありとあらゆる等価物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。
【0060】
図1に示すように、カートリッジ302は、カートリッジホルダ301から近位方向に突出することができる。好ましくは、カートリッジが依然として充満しており、カートリッジからまだ薬物または薬剤が投薬されていないとき、栓307のセクション、好ましくはセクションのみがカートリッジホルダから近位に突出する。カートリッジ302の大部分は、好ましくはホルダ内に、たとえばカートリッジの総長の90%以上が配置される。このようにして、カートリッジは適切に保護することができる。
【0061】
カートリッジホルダ301は、特に、近位端304と本体セクション308との間で、径方向外方に突出するステップ309を含むことができる。ステップ309は、薬物送達デバイスを形成するためにカートリッジアセンブリ300を接続することができる薬物デバイスのハウジング(たとえば図4におけるハウジング10を参照)の遠位面に当接するように設計することができる近位に向いた面を画成する。カートリッジホルダの近位セクション310、たとえばステップ309に対し近位に配置されるセクションが、好都合にはハウジング内に受けられる。カートリッジホルダの本体セクション308は、近位セクション310と針コネクタ306との間に配置することができる。
【0062】
示されるように、カートリッジ302は、取付部材303によって、カートリッジホルダ301内に好ましくは恒久的にかつ/または解放不能に固定される。図2は、概略断面図に基づいて、図1のカートリッジアセンブリにおいて用いられる取付部材の概略図を示す。取付部材303は、1つまたは複数の取付機能311を含む。示される実施形態において、取付部材303は、反対側に配置され、径方向に互いに面する2つの取付機能311を含む。取付機能311は、径方向内方に延びる。取付機能は、カートリッジ302の近位端面に当接するように設計され、図1において、実際に当接する。取付機能の遠位面はカートリッジの近位面に当接する。好ましくは、取付機能は、カートリッジの近位周縁部にわたって径方向に延びず、僅かな範囲にのみ延びる。したがって、薬物送達デバイスの駆動機構による、たとえば取付機能311によって画成される開口部を通じて移動することができるピストンロッド(図示せず)による、栓の遠位運動は、取付機能311によって妨げられない。取付機能311は、フィンガ313を介して、リングまたはスリーブの形状を有する取付部材303の本体312に接続される。フィンガは軸方向に、特に本体312から離れて近位方向に延びる。本体から或る距離において、取付機能は、取付フィンガ313から径方向に突出する。
【0063】
取付部材303は、1つまたは複数の固定機能314を更に含む。固定機能314は、取付部材303を好ましくは恒久的にカートリッジホルダ301に固定するように提供することができる。固定機能314はスナップ機能とすることができる。固定機能314は、固定フィンガを介して本体に接続される。固定フィンガは、本体312から離れて軸方向に、好ましくは遠位方向に延びる。固定フィンガ315の角度位置は、取付フィンガ313の各々と一直線にすることができる。固定フィンガ315は、好都合には可撓性である。特に、これらは、径方向、内方、および/または外方に可撓性とすることができる。このようにして、カートリッジホルダとスナップ嵌め接続を確立するために必要とされる場合がある径方向の動きを容易にすることができる。固定機能の遠位面は、固定フィンガの軸方向の偏向を可能にするように傾斜させることができる。近位面は、固定された後、カートリッジホルダに対する取付部材の近位運動を阻止するように傾斜を少なくし、かつ/またはそのように設計することができる。
【0064】
図1に示すように、取付部材は、カートリッジホルダ内でカートリッジ302とカートリッジホルダ301との間の領域に受けられる。このようにして、特に、固定フィンガ、および適用可能な場合、本体312(本体全体、または示されるように本体312の一部のみ)の領域を、カートリッジホルダ301内に受けることができる。本体312の一部および/または取付機能311は、カートリッジホルダ301の外側に配置することができる。カートリッジホルダから突出する取付部材の一部に、支承部機能、たとえば、フランジ等の径方向に突出する機能を配置することができる。図1および図2において、そのような支承部機能317は示されていない。しかしながら、これは提供することができる。図2Aにおいて、支承部機能317を有する取付部材303の実施形態が示される。当然ながら、図1および図2に示す実施形態においても、一致した支承部機能を提供することができる。支承部機能317は、本体312から径方向に、特に外方に突出する。支承部機能317は、フランジとして具現化することができる。当然ながら、複数の周方向に分散した支承部機能、または更には、全周の周りに延びない単一の支承部機能等の他の構成も可能である。支承部機能317がリング状またはスリーブ状の本体の領域に提供される際、支承部機能317は、取付部材303の剛性が高くかつ/または容易に径方向および/もしくは軸方向に変形可能でないセクションに提供される。支承部機能317の径方向の延び、すなわち、本体から突出する距離は、好ましくは、支承部機能がカートリッジホルダに取り付けられるとき、カートリッジホルダの外面の上に径方向に突出しないように選択される。支承部機能は、径方向においてカートリッジホルダの本体308と同一平面で終端することができる。代替的にまたは更に、支承部機能317の径方向の延びは、支承部機能が固定機能314に対し径方向に突出するように選択される。以下で更に開示される支承部機能317および別の差を除いて、取付部材303は、上述し、以下にも論考されるものに対応する。したがって、図1および図2を参照する開示は図2Aにも当てはまり、逆もまた同様である。支承部機能317の遠位面318は、カートリッジホルダの近位面、たとえばカートリッジホルダの近位端面に当接するように配置することができるかまたは当接する。このようにして、カートリッジホルダに対する取付部材の定義された終端位置を提供することができる。遠位方向におけるカートリッジホルダに対する取付部材の動きは、カートリッジホルダと協働する支承部機能によって阻止することができる。図2Aにおいて、カートリッジの近位端面に当接するように配置される取付機能311の遠位面320も示される。
【0065】
図2および図2Aに示す取付部材303の固定機能314は、カートリッジホルダに取付部材を固定するためにカートリッジホルダ内に提供される対応する機能316と係合することができる。示される実施形態において、この機能は、スナップポケット316である。図1において、ポケットは、外側からアクセス可能なものとして示される。しかしながら、アセンブリが容易に分解される可能性があることを回避するために、外側からのこのアクセスは阻止されることが好都合である。したがって、スナップポケットは、径方向に外側の方向において閉じることができる。しかしながら、内側方向における固定フィンガの径方向の動きが、固定機能がカートリッジホルダから係合解除されることを阻止するのに十分な程度まで制限される場合、カートリッジホルダにおける対応する機能は外側からアクセス可能である。この制限は、固定機能が係合解除される前にカートリッジの外壁
が固定フィンガに当接することによって達成することができる。対応する機能316は、カートリッジホルダの近位セクション310において提供することができる。したがって、薬物送達デバイスを形成するためにハウジングに組み付けられるとき、対応する機能はハウジング10によって覆うことができる。
【0066】
図1に示すカートリッジアセンブリ300は、単一の使い捨て物品を形成することができる。特に、消耗材料の物品を形成することができる。したがって、示されるカートリッジアセンブリ300は、薬局において交換物品として薬物送達デバイスのユーザに販売することができる。カートリッジは、ホルダ内に恒久的に固定されるため、容易に分解することができないか、またはカートリッジをカートリッジホルダから除去するために取付機能が破壊されなくてはならない場合がある。したがって、カートリッジアセンブリに手が加えられると、ユーザに容易に明らかとなる。
【0067】
現在提案されている取付部材303は、異なる寸法、特に、異なる長さおよび/または直径を有するカートリッジに対し使用可能であるかまたは容易に調節可能であるように設計される。異なる長さに対し調節するために、本体312からの取付機能311の距離を調節することができる。これを行うために、より大きな長さまたは小さな長さを有する取付フィンガ313を提供することができる。異なる直径について調節するために、たとえば、これらにより大きな長さまたはより小さな長さを提供することによって、取付機能311の径方向の延びを調節することができる。取付部材は一体形成することができる。取付部材は、成形部材、たとえば射出成形部材とすることができる。カートリッジホルダは一体形成することができる。カートリッジホルダは、成形部材、たとえば射出成形部材とすることができる。
【0068】
取付機能311は、固定機能314より弾性の低い形式で、または高い剛性で本体312に接続することができる。このようにして、一旦取付部材がカートリッジホルダに固定され、カートリッジがカートリッジホルダ内に誘導されると、アセンブリが非常に安定し、安全であることを保証することができる。取付機能が、たとえば剛性が高い取付フィンガによって本体にしっかりと接続される場合、まず、カートリッジをカートリッジアセンブリの組立時にカートリッジホルダ内に導入することができ、その後、取付部材をカートリッジホルダ内に誘導することができ、それによって、固定フィンガ315がカートリッジとカートリッジホルダとの間に延び、カートリッジホルダによって径方向内方に弾性的に偏向され、関連付けられた対応する機能316に到達すると、自身の弾性に起因して径方向外方に偏向するようにする。取付機能が、たとえば弾性の取付フィンガ313によって本体に弾性的に接続される場合、カートリッジは、カートリッジがカートリッジホルダ
内の終端位置に達するまで、径方向外方に偏向した状態に維持することができる、取付機能によって画成された開口部を通して誘導することができる。このため、この場合、取付部材303は、カートリッジ302が導入される前にカートリッジホルダ301に接続することができる。各事例において、軸方向の力に曝されるとき、取付部材が軸方向に剛性が高く、特に可撓性でないことが好ましい。
【0069】
カートリッジがカートリッジホルダに挿入され、カートリッジアセンブリを組み立てる前に、カートリッジの寸法を特定することができる。たとえば、カートリッジの長さまたは寸法を特定することができる。特定結果に応じて、取付部材のセットから、その寸法のカートリッジと協働するように特に設計された適切な取付部材が選択される。したがって、この取付部材の取付機能は、特定の寸法のカートリッジに対し適合される。次に、カートリッジアセンブリは、上記のように組み立てられる。このようにして、標準的なカートリッジホルダを、異なるカートリッジと共に用いることができることを確実にすることができる。そのカートリッジ寸法に対する調節は、取付部材を介して達成される。また更に、異なる寸法のカートリッジであれ、および/または、異なる薬物もしくは薬剤、もしくは薬物もしくは薬剤の製剤、もしくは更には異なる充填レベルを含むカートリッジであれ、異なるカートリッジのために用いられる取付部材は、異なることができる。たとえば、これらは異なる色を有することができる。このため、取付部材を介して、カートリッジの内容物に関する情報をユーザに提供することができる。
【0070】
異なるカートリッジアセンブリ、特に、異なる薬物もしくは薬剤、または異なる薬物製剤もしくは薬剤製剤を含むカートリッジアセンブリは、一意にコーディングすることができる。コーディング機能またはインタフェース機能は、取付フィンガ313、またはカートリッジホルダ301から近位に突出する本体のセクションに提供することができる。代替的にまたは更に、コーディングまたはインタフェース機能は、取付フィンガによって形成することができ、異なる取付部材は、本体312における異なる角度幅および/または角度位置の取付フィンガを有することができる。コーディングによって、カートリッジアセンブリが、カートリッジアセンブリに含まれる特定の薬物もしくは薬剤または薬物製剤もしくは薬剤製剤を投薬するように設計されたハウジングまたはハウジング駆動機構のみと適合するか、またはこれに取り付けることができることを確実にすることができる。コーディングは、機械的コーディングおよび/または色コーディングとすることができる。たとえば、機械的コーディング機能は、関連付けられた駆動機構のハウジングに提供されたコーディング機能に一意に整合した取付部材に提供することができる。したがって、これらのコーディング機能は、コーディング機能が合致する場合にのみ、ハウジングへのカートリッジアセンブリの組付けを許可するよう協働するように構成される。コーディングは、薬物送達デバイスのハウジングへのカートリッジアセンブリの接続中に協働するカートリッジアセンブリインタフェース機能およびハウジングインタフェース機能によって達成することができる。好ましくは、カートリッジアセンブリインタフェース機能は、取付部材に、たとえば本体312または取付フィンガ313の外面に提供される。これらは、たとえばノブによって提供することができる。コーディングを担当するインタフェース機
能は、ハウジングへのカートリッジアセンブリの安定した軸方向の固定に必要とされる接続機能と同じであることもでき、異なることもできる。図1および図2において、そのようなインタフェース機能は示されていない。しかしながら、これらを提供することができることは容易に明らかとなる。図2Aにおいて、カートリッジアセンブリインタフェース機能および/または接続機能319が示される。複数の機能319を提供することができる。好都合には、それぞれの機能は、ハウジングとの接続インタフェースが、取付部材303の機械的に安定した領域内に提供されるように、本体312の領域内に提供される。インタフェース機能は、支承部機能317から近位方向にオフセットして提供することができる。
【0071】
上記のように構成される複数のカートリッジアセンブリのセットにおいて、セットの2つの任意に選択されたカートリッジアセンブリは、カートリッジアセンブリをハウジングに連結または接続しようとするときにハウジングインタフェース機能と協働するように提供される、2つのカートリッジアセンブリのカートリッジアセンブリインタフェース機能の構成において異なる場合がある。ハウジングおよびカートリッジアセンブリのインタフェース機能が合致する場合、接続が許可される。合致しない場合、接続は拒否される。更にまたは代替的に、2つのカートリッジアセンブリのカートリッジホルダ内に保持されるカートリッジの寸法、たとえば長さおよび/または直径が異なる場合がある。更にまたは代替的に、取付部材の色が異なる場合がある。したがって、取付部材を用いて、異なるカートリッジアセンブリを互いに区別することができる。
【0072】
図3および図4は、概略的に、開示されるカートリッジアセンブリと協働して用いられるのに適した薬物送達デバイスの実施形態を概略的に示す。図3は、キャップ120が取り付けられ、カートリッジアセンブリ300を覆った状態にあるデバイス1を示す。図4において、キャップは除去されている。カートリッジアセンブリ300は、好都合には、図4に示すように薬物送達デバイス1の本体またはハウジング10に解放可能に接続される。ハウジングは、好都合には、デバイスの外郭を画成し、スリーブ状に形成することができる。デバイス1から薬物を投薬するために、針ユニットを針コネクタ306に接続することができる。用量設定部材70は、ハウジング10内に可動に保持され、ユーザによって、用量を設定するように操作することができる。たとえば、用量設定部材は、用量を設定するようにハウジングに対し回転させることができる。デバイスは、可変用量デバイスとすることができ、用量のサイズは、ハウジング内に保持される駆動機構の設計によって所定ではなく、ユーザによって変更することができる。図4において、薬物送達デバイスの用量設定条件が示される。窓230に示される数値は、現在設定中の用量のサイズを示すように、図3と比較して変更されている。デバイスは、用量設定中、用量設定部材70がハウジング10に対し近位に変位されるように設計することができる。代替的に、用量設定部材は、設定用量と独立して同じ軸方向の位置に留まることができる。図4に示す位置から、好都合には、用量設定部材70または薬物送達デバイス1の近位端セクションに提供される用量投薬部材を遠位方向に動かすかまたはこれに対し遠位方向に力を加えることによって投薬動作を開始することができる。用量を投薬するために、栓は、たとえばデバイスのピストンロッド(明示的に示されていない)によってカートリッジに対し遠位に変位される。
【0073】
保護範囲は、本明細書において上記で与えた例に限定されない。本明細書に開示される任意の発明は、各新規の特性および特性の各組合せにおいて具現化される。これは特に、この機能またはこの機能の組合せが特許請求の範囲または例に明示的に記載されていない場合であっても、特許請求の範囲に記載の任意の機能の全ての組合せを含む。
【符号の説明】
【0074】
300 カートリッジアセンブリ
301 カートリッジホルダ
302 カートリッジ
303 取付部材
304 近位端
305 遠位端
306 針コネクタ
307 栓
308 本体
309 ステップ
310 近位セクション
311 取付機能
312 本体
313 取付フィンガ
314 固定機能
315 固定フィンガ
316 対応する機能
317 支承部機能
318 遠位面
319 インタフェース機能
320 遠位面
1 薬物送達デバイス
120 キャップ
70 用量設定部材
10 ハウジング
230 窓
図1
図2
図2A
図3
図4