(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20240731BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240731BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240731BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240731BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240731BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20240731BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/62
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V5/00 510
F21S2/00 100
F21V9/30
F21V5/04 650
(21)【出願番号】P 2020125594
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 典正
(72)【発明者】
【氏名】中島 信太郎
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-025063(JP,A)
【文献】特開2019-160780(JP,A)
【文献】特開2001-266620(JP,A)
【文献】特開2005-128236(JP,A)
【文献】特開2016-001704(JP,A)
【文献】特表2019-513293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0113199(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110808326(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109314170(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00
H01L33/48-33/64
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00-15/04
G02B 1/00- 1/08
G02B 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の照射領域に光を照射するための光源装置であって、
上面に発光面を有し、前記各照射領域に対応して設けられた複数の発光部と、
前記複数の発光部がそれぞれ実装された複数のランド部を実装面に有する基板と、
前記各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に照射する光学手段と、
を含み、
前記複数の発光部は、前記発光面が前記基板の実装面に対して傾斜するように実装された傾斜発光部を含み、
前記複数の発光部の発光面は、対応する照射領域の方向に向けられており、
前記光学手段は、前記複数の発光部の上方に配置されており、前記各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に集光させる集光レンズを含む、光源装置。
【請求項2】
前記発光部は、半導体積層体と、前記半導体積層体の下面に設けられた第1電極及び第2電極と、を含む発光素子を備えており、
前記ランド部は、前記第1電極が接続される第1ランドと、前記第2電極が接続される第2ランドと、を備えており、
前記傾斜発光部が実装される前記ランド部では、前記第1ランドは、前記第2ランドよりも前記基板の中心側に位置しており、
前記傾斜発光部の前記第1電極と当該第1電極が接続される前記第1ランドとの間の距離は、当該傾斜発光部の前記第2電極と当該第2電極が接続される前記第2ランドとの間の距離よりも短い、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記発光部は、前記発光素子の上方に配置された波長変換部材を備え、
前記発光面は、前記波長変換部材の上面である、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記発光部は、前記発光素子の上方に配置された透光性部材を備え、
前記発光面は、前記透光性部材の上面である、請求項2に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1電極及び前記第1ランドと、前記第2電極及び前記第2ランドとはそれぞれ、半田を介して接続されている、請求項2~4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記傾斜発光部が実装される前記ランド部において、前記第2ランドの上面視における面積は、前記第1ランドの上面視における面積よりも小さい、請求項2~5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記傾斜発光部の前記第2電極と当該第2電極が接続される前記第2ランドとの間には、金属部材が配置されており、
前記金属部材は、銅、銀又はニッケルである、請求項2~6のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記傾斜発光部の前記第2電極と当該第2電極が接続される前記第2ランドとの間には、金属部材が配置されており、
前記金属部材は、溶融温度が900℃以上である、請求項2~6のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記金属部材は、前記傾斜発光部の前記第2電極、及び/又は、前記第2ランドに接している、請求項7又は請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記複数の発光部は、m行n列(m≧1、n≧2、m≠n)のマトリクス状に配列されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記各発光部と当該発光部に対応する照射領域とは、当該発光部に固有の一点に対して点対称の配置関係にある、請求項1~10のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記複数の発光部それぞれの前記固有の一点は、同一の点である、請求項11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記固有の一点から等距離の位置に配置された前記傾斜発光部が2以上ある場合、当該傾斜発光部の発光面が前記基板の実装面に対して傾斜する角度は、同一である、請求項12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記光学手段は、
さらに第1レンズを含み、
前記第1レンズは、前記集光レンズと前記複数の発光部
との
間に配置されており、前記各発光部から出射された光の半値角を狭める
、請求項1~13のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項15】
前記光学手段は、
さらに第1レンズを含み、
前記第1レンズは、前記集光レンズと前記複数の発光部
との
間に配置されており、前記各発光部から出射された光の半値角を広げる、請求項1~13のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項16】
前記第1レンズは、前記各発光部に対応して設けられている複数の単位第1レンズを含む、請求項14
又は15に記載の光源装置。
【請求項17】
前記第1レンズは、前記各発光部に対応する複数の単位第1レンズが一体化したレンズを含む、請求項14
又は15に記載の光源装置。
【請求項18】
前記単位第1レンズの光軸は、対応する前記発光部の発光面に直交している、請求項
16又は
17に記載の光源装置。
【請求項19】
前記単位第1レンズは、フレネルレンズ又は内部全反射レンズである、請求項
16~
18のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項20】
前記集光レンズは、前記発光部それぞれに対応し、当該発光部から出射された光が入射する複数の入射領域を含む、前記発光部の発光面側に位置する第1面、及び前記複数の入射領域のそれぞれに対応する複数の出射領域を含む、前記第1面と反対側に位置する第2面を備える、請求項
1~
19のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項21】
前記集光レンズは、複数のレンズから構成されている、請求項
1~
20のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項22】
前記集光レンズの前記複数の入射領域のうち隣接する2つの入射領域は一部が重なる、請求項
20に記載の光源装置。
【請求項23】
前記集光レンズの前記複数の出射領域のうち隣接する2つの出射領域は一部が重なる、請求項
20又は22に記載の光源装置。
【請求項24】
請求項1~
23のいずれか1項に記載の光源装置は、フラッシュ用である光源装置。
【請求項25】
2以上の照射領域に光を照射するための光源装置であって、
上面に発光面を有し、前記各照射領域に対応して設けられた複数の発光部と、
前記複数の発光部がそれぞれ実装された複数のランド部を実装面に有する基板と、
前記各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に照射する光学手段と、
を含み、
前記複数の発光部は、前記発光面が前記基板の実装面に対して傾斜するように実装された傾斜発光部を含み、
前記複数の発光部の発光面は、対応する照射領域の方向に向けられており、
前記発光部は、半導体積層体と、前記半導体積層体の下面に設けられた第1電極及び第2電極と、を含む発光素子を備えており、
前記ランド部は、前記第1電極が接続される第1ランドと、前記第2電極が接続される第2ランドと、を備えており、
前記傾斜発光部が実装される前記ランド部では、前記第1ランドは、前記第2ランドよりも前記基板の中心側に位置しており、
前記傾斜発光部の前記第1電極と当該第1電極が接続される前記第1ランドとの間の距離は、当該傾斜発光部の前記第2電極と当該第2電極が接続される前記第2ランドとの間の距離よりも短い、光源装置。
【請求項26】
2以上の照射領域に光を照射するための光源装置であって、
上面に発光面を有し、前記各照射領域に対応して設けられた複数の発光部と、
前記複数の発光部がそれぞれ実装された複数のランド部を実装面に有する基板と、
前記各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に照射する光学手段と、
を含み、
前記複数の発光部は、前記発光面が前記基板の実装面に対して傾斜するように実装された傾斜発光部を含み、
前記複数の発光部の発光面は、対応する照射領域の方向に向けられており、
前記光学手段は、前記複数の発光部の上方に配置されており、前記各発光部から出射された光の半値角を狭める第1レンズを含み、
前記第1レンズは、前記各発光部に対応して設けられている複数の単位第1レンズを含む、光源装置。
【請求項27】
2以上の照射領域に光を照射するための光源装置であって、
上面に発光面を有し、前記各照射領域に対応して設けられた複数の発光部と、
前記複数の発光部がそれぞれ実装された複数のランド部を実装面に有する基板と、
前記各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に照射する光学手段と、
を含み、
前記複数の発光部は、前記発光面が前記基板の実装面に対して傾斜するように実装された傾斜発光部を含み、
前記複数の発光部の発光面は、対応する照射領域の方向に向けられており、
前記光学手段は、前記複数の発光部の上方に配置されており、前記各発光部から出射された光の半値角を狭める第1レンズを含み、
前記第1レンズは、前記各発光部に対応する複数の単位第1レンズが一体化したレンズを含む、光源装置。
【請求項28】
2以上の照射領域に光を照射するための光源装置であって、
上面に発光面を有し、前記各照射領域に対応して設けられた複数の発光部と、
前記複数の発光部がそれぞれ実装された複数のランド部を実装面に有する基板と、
前記各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に照射する光学手段と、
を含み、
前記複数の発光部は、前記発光面が前記基板の実装面に対して傾斜するように実装された傾斜発光部を含み、
前記複数の発光部の発光面は、対応する照射領域の方向に向けられており、
前記光学手段は、前記複数の発光部の上方に配置されており、前記各発光部から出射された光の半値角を広げる第1レンズを含み、
前記第1レンズは、前記各発光部に対応して設けられている複数の単位第1レンズを含む、光源装置。
【請求項29】
2以上の照射領域に光を照射するための光源装置であって、
上面に発光面を有し、前記各照射領域に対応して設けられた複数の発光部と、
前記複数の発光部がそれぞれ実装された複数のランド部を実装面に有する基板と、
前記各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に照射する光学手段と、
を含み、
前記複数の発光部は、前記発光面が前記基板の実装面に対して傾斜するように実装された傾斜発光部を含み、
前記複数の発光部の発光面は、対応する照射領域の方向に向けられており、
前記光学手段は、前記複数の発光部の上方に配置されており、前記各発光部から出射された光の半値角を広げる第1レンズを含み、
前記第1レンズは、前記各発光部に対応する複数の単位第1レンズが一体化したレンズ
を含む、光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード等の複数の発光部を用いた光源装置が幅広く使用されるようになってきている。例えば、特許文献1には、携帯電話に搭載されたカメラのような小型カメラのフラッシュに用いることができる光源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、例えばカメラのフラッシュに用いる光源装置は、所望の照射領域を選択的に照射できることが求められる。
【0005】
そこで、本開示は、所望の照射領域を選択的に照射することができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る光源装置は、2以上の照射領域に光を照射するための光源であって、上面に発光面を有し、各照射領域に対応して設けられた複数の発光部と、複数の発光部がそれぞれ実装された複数のランド部を実装面に有する基板と、各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に照射する光学手段と、を含み、複数の発光部は、発光面が基板の実装面に対して傾斜するように実装された傾斜発光部を含み、複数の発光部の発光面は、対応する照射領域の方向に向けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係る光源装置は、所望の照射領域を選択的に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態1に係る光源装置の断面斜視図である。
【
図2】
図1に示す光源装置の発光部の上面視であって、該発光部の配列を説明する図である。
【
図3】
図1に示す光源装置の発光部と該発光部に対応して設けられた照射領域との関係を説明する図である。
【
図4】
図1に示す光源装置の基板の上面視であって、ランド部の配列を説明する図である。
【
図5】
図1に示す光源装置のA-A線における断面図であって、発光部から出射した光が集光レンズを介して対応する照射領域を照射する様子を示している。
【
図6A】
図5に示す発光部の一部を拡大した図である。
【
図7A】傾斜発光部の実装方法の一例を示す図である。
【
図7B】傾斜発光部の実装方法の一例を示す図である。
【
図8】基板の上面視であって、ランド部の別の配列を説明する図である。
【
図9A】傾斜発光部の実装方法の別の例を示す図である。
【
図9B】傾斜発光部の実装方法の別の例を示す図である。
【
図10A】本開示の実施形態2に係る光源装置の断面図である。
【
図10B】本開示の実施形態2に係る光源装置において、複数の発光部52を1つのレンズで覆っている場合の断面図である。
【
図11A】
図10Aに示す断面図において、発光部から出射した光の、単位第1レンズによる配光を説明する図である。
【
図11B】単位第1レンズの凸部の外側面の、光軸に対する角度が、
図11Aに示す単位第1レンズの凸部の外側面の、光軸に対する角度よりも小さい場合の光の配光を説明する図である。
【
図11C】単位第1レンズの凸部の外側面の、光軸に対する角度が、
図11Bに示す単位第1レンズの凸部の外側面の、光軸に対する角度よりも小さい場合の光の配光を説明する図である。
【
図12A】実施形態2の光源装置における別の単位第1レンズの形態を示す断面図である。
【
図12B】
図12Aに示す光源装置において、複数の発光部52を1つのレンズで覆っている場合の断面図である。
【
図13】
図12Aに示す発光部の一部を拡大した図であって、発光部から出射した光の、単位第1レンズによる配光を説明する図である。
【
図14A】本開示の実施形態3に係る光源装置の断面図である。
【
図14B】
図14Aに示す光源装置において、複数の発光部52を1つのレンズで覆っている場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
以下、図面を参照しながら、本開示に係る発明を実施するための実施形態や実施例を説明する。なお、以下に説明する光源装置は、本開示に係る発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示に係る発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態や実施例に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態や実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態や実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0010】
カメラのフラッシュ等に用いられる光源装置では、発光部と該発光部から出射された光によって照射される照射領域との位置関係に応じてレンズの形状を適宜設計することで、発光部から出射される光を対応する所望の照射領域に照射することができる。しかしながら、発光部と対応する照射領域との位置関係によっては、レンズの寸法が大きくなることもある。このような寸法が大きいレンズは、例えば、携帯電話に搭載されるカメラ等、小型化が要求される光源装置には改良が求められている。
【0011】
一実施形態においては、発光部の発光面が所望の照射領域の方向に向けて傾斜するように、発光部自体を傾斜して実装させることで、レンズの形状設計のみに依拠することなく、発光部から出射される光を所望の照射領域に選択的に照射させることができる。これにより、発光部から出射される光を所望の照射領域に選択的に照射させることでき、かつ小型化された光源装置を得ることができる。
【0012】
本開示に係る光源装置は、2以上の照射領域に光を照射するための光源装置であって、上面に発光面を有し、各照射領域に対応して設けられた複数の発光部と、複数の発光部がそれぞれ実装された複数のランド部を実装面に有する基板と、各発光部から出射された光を当該発光部に対応する照射領域に照射する光学手段と、を含み、複数の発光部は、発光面が基板の実装面に対して傾斜するように実装された傾斜発光部を含み、複数の発光部の発光面は、対応する照射領域の方向に向けられている。
【0013】
実施形態1
以下、本開示に係る実施形態1の光源装置について図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る光源装置1は、発光部から出射された光を2以上の照射領域を照射するための光源装置である。ここで、照射領域とは、ある方向を中心としてその周りの広がりをもった領域である。本実施形態において、2以上の照射領域とは、2以上の発光部を個別点灯させたときに、個々の照射領域の中心が所定の距離離れており、所定の大きさを有して、発光部から照射された光のそれぞれが個々に照射する領域である。また、2以上の発光部から出射された光を集めて照射する領域ではなく、2以上の発光部から出射された光それぞれが、個々に照射するそれぞれの領域であることを意味する。本実施形態に係る光源装置1では、後述するように、方向が異なる複数の照射領域に対応するように複数の発光部が設けられている。これにより、複数の発光部のうちの1又は2以上の発光部を選択して点灯させることで、所望の照射領域に光を照射することができる。光源装置1は、
図1に示すように、上面に発光面を有し、各照射領域に対応して設けられた複数の発光部52を含む。また、光源装置1は複数のランド部を有する実装面2aを備える基板2を含む。複数の発光部52は、それぞれ複数のランド部に実装されている。光源装置1は、さらに、各発光部52から出射された光を当該発光部52に対応する照射領域に照射する光学手段を含む。
発光部52は、発光面51aが基板2の実装面2aに対して傾斜するように実装された傾斜発光部51を含む。また、発光部52は、発光面が基板2の実装面2aに対して平行に実装された発光部52をさらに含んでいてもよい。本実施形態では、発光面が基板2の実装面2aに対して平行に実装された発光部52が、中心発光部50である。また、本実施形態では、1個の中心発光部50の周りに8個の傾斜発光部51が配置され、合計9個となる発光部52を有している。以下、中心発光部50の発光面50aと傾斜発光部51の発光面51aとを合わせて発光面52aと称する。複数の発光部52の発光面52aはそれぞれ、対応する照射領域の方向に向けられている。ここで、発光面が対応する照射領域の方に向けられているとは、便宜的に照射領域を平面と見なした場合、発光面の中心点を通る法線が、該照射領域と貫通する状態をいう。
【0014】
光学手段は、発光部52の上方に設けられた集光レンズ30を含む。集光レンズ30は、発光部52側に位置する第1面31と、第1面31と反対側に位置する第2面32とを備える。第1面31は、発光部52からの光を集光レンズ30に入射させる入射領域33を含む。第2面32は、入射領域33から入射した光を集光レンズ30から出射させる出射領域34を含む。
従って、各発光部52から出射した光は、対応する入射領域33から集光レンズ30に入射し、該入射領域33に対応する出射領域34を介して集光レンズ30から出射し、その後各発光部52に対応する照射領域をそれぞれ照射する。
また、本実施形態では、9個の発光部52と、集光レンズ30と、を覆う枠体3が基板2の実装面2aに配置されている。
【0015】
ここで、光源装置1の内部構造の理解を容易にするために、
図1の集光レンズ30及び枠体3は、これらの一部を省略して断面を表している。さらに、図示する入射領域33と出射領域34とは、領域を示すために誇張して描いている。
また、例えば、入射領域33に「対応」する出射領域34とは、入射領域33から集光レンズ30に入射した光を集光レンズ30外へ出射させる領域であって、入射領域33に対して1対1の関係で設けられる領域を意味する。さらに、例えば、発光部52に「対応」する照射領域とは、発光部52から出射された光が照射目的とする領域であって、発光部52に対して1対1の関係で設けられる領域を意味する。
このように、本明細書において「対応」とは、互いに関係付けられている領域と領域、部材と領域等の関係を意味する。
【0016】
(発光部の配置)
9個の発光部52は、
図1及び
図2に示すように、3行3列のマトリクス状に配列されている。9個の発光部52は、隣接する発光部52の中心点間の距離が同一になるように等間隔で配置されている。
図1及び
図2では、9個の発光部52は、互いに離隔して配置されているが、互いに接して配置されていてもよい。
9個の発光部52のうち、いずれの発光部52が傾斜発光部51であるかは、発光部52と照射領域の配置関係に依拠する。本実施形態では、後述する発光部52と照射領域との配置関係より、中心発光部50を除く8個の発光部52が傾斜発光部51であり、中心発光部50は発光面50aが実装面2aと平行になるように実装されている。なお、中心発光部50は、2行2列目に配置された発光部52である。
【0017】
本実施形態では、中心発光部50及び傾斜発光部51はそれぞれ、上面視形状が四角形形状であるが、これに限定されるものではない。例えば、中心発光部50及び/又は各傾斜発光部51の上面視形状は、他の多角形、円形等であってもよい。また、上面視における中心発光部50及び傾斜発光部51の発光面の寸法は、互いに異なっていてもよい。例えば、中心発光部50の発光面50aの上面視形状が最も大きくなるようにしてもよい。すなわち、中心発光部50の発光面50a及び傾斜発光部51の発光面51aの大きさは、中心発光部50及び傾斜発光部51が配置される場所に応じて異なっていてもよい。
【0018】
また、発光部52の数は9個に限定されるものではなく、2個以上であればよい。さらに、複数の発光部52の配列は、m行m列(m≧2)のマトリクス状に限定されるものではなく、m行n列(m≧1、n≧2、m≠n)のマトリクス状であってもよいし、マトリクス状ではない配列であってもよい。なお、複数の発光部52はそれぞれ対応する照射領域を有するので、複数の照射領域の配列は、i行i列(i≧2)のマトリクス状や、i行j列(i≧1、j≧2、i≠j)のマトリクス状であってもよいし、マトリクス状ではない配列であってもよい。すなわち、照射領域の数は、発光部52の数と同一であることが望ましい。また、隣接する発光部52同士又は隣接する発光面52a同士の距離が異なっていてもよい。すなわち、行方向に隣接する2つの発光部52の距離又は2つの発光面52aの距離が、列方向に隣接する2つの発光部52の距離又は2つの発光面52aの距離より短くてもよい。例えば、中心発光部50を2行2列の4個配置し、中心発光部50の外周に傾斜発光部51を1辺4個の合計12個配置してもよい。これにより照射範囲を拡げることができる。また、中心発光部50を2行2列の4個配置し、中心発光部50の外周に傾斜発光部51を1辺4個の合計12個配置し、さらにその外周に角部を除く1辺2個の合計8個を配置してもよい。これにより発光部52を平面視において円形に近い形状とすることができ、集光レンズ30を平面視において円形とすることにより、発光部52からの光を効率よく集光レンズ30に入射することができる。
【0019】
(照射領域の配列)
本実施形態に係る光源装置1は、
図3に示すように、9個の照射領域に分割された領域R1に光を照射する。領域R1は、光源装置1を設計する際に、その光源装置1の使用に応じて所定の距離に配置された仮想的な領域である。9個の照射領域は、3行3列のマトリクス状に配列されている。1個の照射領域は、1個の発光部52に対応して設けられており、該対応する発光部52から出射された光によって照射される。
ここで、図に示される領域R1及び各照射領域は、発明の内容の理解を容易するために模式的に平面で描かれているが、実際は3次元の空間であり得る。
【0020】
(発光部と照射領域との配置関係)
各発光部52と該発光部52に対応する照射領域(換言すると該発光部52から出射した光が照射する照射領域)とは、例えば、該発光部52に固有の一点に対して点対称の配置関係にある。本実施形態では、
図3に示すように、各発光部52と該発光部52に対応する照射領域の配置関係は、中心発光部50の発光面50aの中心点Pの直上に位置する一点Oに対して、点対称の関係である。すなわち、各発光部52と該発光部52から出射した光が照射する照射領域とは、該発光部52に固有の一点に対して点対称の配置関係にあり、複数の発光部52それぞれの固有の一点は、同一の点(一点O)である。
例えば、9の照射領域の2行2列目に配置されている照射領域R22は、9個の発光部52において2行2列目に配置されている中心発光部50に対応する照射領域である。例えば、9の照射領域の2行3列目に配置されている照射領域R23は、9個の発光部52において2行1列目に配置されている傾斜発光部51に対応する照射領域である。例えば、9の照射領域の3行1列目に配置されている照射領域R31は、9個の発光部52において1行3列目に配置されている傾斜発光部51に対応する照射領域である。
【0021】
上記では、各発光部52と対応する照射領域の配置関係は、一点Oに対する点対称関係としたが、これに限定されるものではない。例えば、点対称の基準とする点(本実施形態の場合は一点O)は、発光面50aの中心点Pの直上に配置されていなくてもよい。また、例えば、発光部52毎に点対称の基準とする点は、異なっていてもよい。
【0022】
(各発光部から出射された光の配光)
次に、
図1を参照して、中心発光部50及び傾斜発光部51から出射された光が、対応する照射領域を照射するまでの配光を説明する。
光は、中心発光部50の発光面50a及び傾斜発光部51の発光面51aから発光面50a、発光面51aの法線方向に、第1半値角θ1で出射される。発光面50a、発光面51aから出射された光は、該中心発光部50又は傾斜発光部51に対応して設けられた入射領域33から集光レンズ30に入射する。集光レンズ30に入射した光は、各入射領域33に対応して設けられた出射領域34から集光レンズ30外へ出射し、該中心発光部50又は傾斜発光部51に対応する照射領域を照射する。
【0023】
本実施形態に開示に係る光源装置1では、中心発光部50及び傾斜発光部51それぞれから出射される光を対応する照射領域に照射させているための要素として、中心発光部50及び傾斜発光部51からの光の出射方向、入射領域33における光の屈折、及び出射領域34における光の屈折が挙げられる。
中心発光部50及び傾斜発光部51それぞれからの光の出射方向は、発光面50a、発光面51aの法線方向であり、主に、実装面2aに対する発光面50a、発光面51aの傾斜角度(以下、単に発光面52aの傾斜角度とも言う)により決定される。そして、発光面50a、発光面51aの傾斜角度は、中心発光部50及び傾斜発光部51それぞれの実装状態により決定される。
入射領域33における光の屈折は、主に、集光レンズ30の屈折率と集光レンズ30と接する媒体の屈折率との屈折率差、及び集光レンズ30の第1面31における入射領域33の形状により決定される。
出射領域34における光の屈折は、主に、集光レンズ30の屈折率と集光レンズ30と接する媒体の屈折率との屈折率差、及び集光レンズ30の第2面32における出射領域34の形状により決定される。
【0024】
集光レンズ30の屈折率と集光レンズ30と接する媒体の屈折率との屈折率差は、適宜設定可能なパラメータである。従って、発光面52aの傾斜角度、第1面31における入射領域33の形状、及び第2面32における出射領域34の形状を適宜設定することで、発光部52それぞれからの光を対応する照射領域に照射させることができる。発光部52それぞれの実装状態、入射領域33の形状、及び出射領域34の形状は、例えば、該パラメータを考慮して、シミュレーションにより設定される。
以下、
図1、
図4、
図5、
図6A及び
図6Bを参照して、各構成部材について詳細に説明する。
【0025】
(基板)
基板2は、
図1及び
図4に示すように、中心発光部50及び傾斜発光部51を含む発光部52がそれぞれ実装される9個のランド部20を実装面2aに有する。ランド部20は、半田90が濡れ広がりやすい金属であることが望まししい。ランド部20は、例えば金、銀、アルミニウム、それらの合金を用いることができ、ランド部20の表面を金、ニッケルとすることで、半田90の濡れ広がりを良くすることができる。
図4に示すように、9個のランド部20もまた、3行3列のマトリクス状に配列されている。中心発光部50は、2行2列目に配置されたランド部20に実装され、傾斜発光部51はそれぞれ、他のランド部20に実装される。
ランド部20は、第1ランド21と第2ランド22とを含む。第1ランド21は、中心発光部50及び傾斜発光部51の第1電極48が接続され、第2ランド22は、中心発光部50及び傾斜発光部51の第2電極49が接続される。
【0026】
傾斜発光部51が実装されるランド部20では、第1ランド21が第2ランド22よりも基板2の中心側に位置している。具体的には、傾斜発光部51が実装されるランド部20では、第1ランド21の中心点が第2ランド22の中心点よりも基板2の中心に近くなるように配置されている。また、本実施形態では、各傾斜発光部51と対応する照射領域とが、一点Oに対して点対称に配置されているため、基板2の中心側に配置された第1ランド21は、対応する照射領域側に配置されているともいえる。さらに、第1ランド21が配置される側が、発光面51aを傾けたい側ともいえる。
基板2は、さらに第1電極48及び第2電極49へ外部電極から給電する配線を含む。
【0027】
(枠体)
基板2の実装面2aには、
図1及び
図5に示すように、枠体3が配置されている。枠体3は、内部が空洞であり、上部に開口部4を有する。枠体3は、内面に光を反射しない、光吸収性部材を備えていることが好ましい。光吸収性部材は、例えば、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、PPS(Poly Phenilen Sarphayed)、PA66(ポリアミド)、LCP(Liquid Crystal Plastic)から形成される。なお、枠体3全体が光吸収性部材から形成されていてもよい。枠体3の空洞内に中心発光部50及び傾斜発光部51と、集光レンズ30と、が配置される。
【0028】
(発光部)
中心発光部50及び傾斜発光部51を含む発光部52は、外観形状が略直方体形状である。
図6Aに示すように、中心発光部50及び傾斜発光部51は、発光素子42と透光性部材47との間に波長変換部材45を有する。本実施形態では、波長変換部材45は発光素子42の上面を覆って配置され、透光性部材47は波長変換部材45の上面を覆って配置される。中心発光部50及び傾斜発光部51はさらに、発光素子42の側面、波長変換部材45の側面、及び透光性部材47の側面を覆う光反射性部材46を備える。
【0029】
発光素子42から出射された光は、透光性部材47の上面から中心発光部50及び傾斜発光部51外へ出射される。従って、透光性部材47の上面が、中心発光部50の発光面50a及び傾斜発光部51の発光面51aである。つまり、発光部52は、発光素子42と発光素子42の上方に配置された透光性部材47とを備え、発光面52aは、透光性部材47の上面である。
また、透光性部材47の上面は、発光部52の上面に含まれる。
【0030】
発光素子42は、少なくとも、半導体積層体43と、半導体積層体43の下面43aに設けられた第1電極48及び第2電極49と、を含む。半導体積層体43の下面43aは平面視で矩形形状である。第1電極48は、該下面43aの一辺に沿って配置されており、第2電極49は、該一辺の対向する辺に沿って配置されている。このように配置された第1電極48及び第2電極49がそれぞれ、上述のように基板2に配置された第1ランド21及び第2ランド22に接続される。そのため、3行3列配置の角部に位置する傾斜発光部51は、その一側面を中心発光部50側に向けて配置される。
【0031】
第1電極48及び第2電極49は、極性が異なり、例えば、P側電極及びN側電極である。第1電極48及び第1ランド21と、第2電極49及び第2ランド22とはそれぞれ、例えば、半田を介して接続されている。第1電極48及び第2電極49と、第1ランド21及び第2ランド22とが対向する面において、第1電極48の面積、及び第2電極49の面積はそれぞれ、第1ランド21の面積、及び第2ランド22の面積よりも小さい。
また、発光素子42は、フェイスダウン実装の場合、第1電極48及び第2電極49が設けられる面の反対側の面(以下、発光素子42の上面と称する)から主に光を出射することが望ましい。
【0032】
波長変換部材45は、例えば、蛍光体を含むシリコーン樹脂から形成される。発光素子42の上面を波長変換部材45で覆うことで、発光部52の発光面52aから所望の波長領域の光を出射させることができる。
【0033】
透光性部材47は、例えば、透光性の樹脂材料や、セラミックス、ガラス等の無機物を用いて形成することができる。樹脂材料としては、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂又はその変性樹脂が好適である。透光性部材47は、光拡散材を含んでいてもよく、光拡散材としては、例えば、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などを用いることができる。
また、透光性部材47の上面は、粗面に形成されることが望ましい。これにより、光が発光面52aで全反射するのを抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、発光面52a、すなわち透光性部材47の上面は平面であるが、これに限定されず、発光面52aは、例えば
図6Bに示すように、その中央を頂点Qにして外側に向けて湾曲した湾曲面であってもよい。この場合、発光面50a’、発光面51a’は、例えば、頂点Qを通り該発光面50a’、発光面51a’の外周を含む平面Mに直行する軸Dを中心に回転対称形状である。平面Mと発光面50a’、発光面51a’の頂点Qとの距離dは、例えば50μm程度である。このように、湾曲面である発光面50a’、発光面51a’は、凸レンズの機能を果たし、光を対応する照射領域に向けてより効率的に集光させることができる。その結果、対応する照射領域に照射される光の強度を高めることができる。
【0035】
光反射性部材46は、例えば、酸化チタン等の光拡散材を含む白色樹脂である。光反射性部材46は、発光素子42の側面のうち、特に半導体積層体43の側面を覆っている。発光素子42の側面、波長変換部材45の側面、及び透光性部材47の側面を光反射性部材46で覆うことで、それら側面から出射した光を、発光素子42、波長変換部材45及び/若しくは透光性部材47に戻し、透光性部材47の上面から出射させることができる。従って、光反射性部材46によって、発光素子42から出射される光を効率的に利用することができる。
【0036】
以上のような構成を有する中心発光部50は、発光面50aが、直上に位置する照射領域の方を向くように、基板2の実装面2aと平行になるように実装されている。一方、傾斜発光部51は、発光面51aが、一点Oに対して点対称の位置に配置される照射領域の方を向くように、基板2の実装面2aに対して傾斜して実装されている。これを言い換えると、傾斜発光部51は、
図6Aに示すように、第1電極48と当該第1電極48が接続される第1ランド21との間の距離(第1距離)h1が、第2電極49と当該第2電極49が接続される第2ランド22との間の距離(第2距離)h2よりも短くなるように実装されている。ここで、第1距離h1とは、第1ランド21と第1電極48との間の高さ方向(実装面2aに直交する方向)における最大距離であり、第2距離h2とは、第2ランド22と第2電極49との間の高さ方向(実装面2aに直交する方向)における最大距離である。
以下、傾斜発光部51と中心発光部50それぞれの実装状態について説明する。
【0037】
(傾斜発光部)
傾斜発光部51の実装は、第2電極49と第2ランド22との間に金属部材80及び半田90を配置し、第1電極48と第1ランド21との間には半田90を配置し、その後、半田90をリフローさせることで達成される。
ここで、金属部材80は、半田90のリフロー時に、半田に溶け出しにくい物質、すなわち半田拡散が生じにくい物質である。また、金属部材80は、半田90のリフロー温度(例えば、200℃以上300℃以下)よりも十分に高い溶融温度、例えば900℃以上の溶融温度を有する物質である。金属部材80は、半田拡散しにくい特徴と、リフロー温度よりも十分に高い溶融温度を有するという特徴と、両方の特徴を有する物質であることが望ましいが、どちらか一方の特徴を有する物質であってもよい。金属部材80は、例えば、銅、銀又はニッケルである。
【0038】
上記の傾斜発光部51の実装について具体的に説明すると、
図7Aに示すように、第2電極49と第2ランド22との間に金属部材80及び半田90を配置し、第1電極48と第1ランド21との間には半田90を配置し、その後半田90をリフローさせると、
図7Bに示すように、半田90は第1ランド21及び第2ランド22の表面に濡れ広がる。半田90の濡れ広がりに応じて、第1電極48及び第2電極49の、高さ方向における位置が低くなる。しかしながら、リフロー時の温度は、例えば200℃以上300℃以下程度であるため、リフロー時に金属部材80は溶融されない。さらに、金属部材80は半田拡散されにくい物質であるため、リフロー後に第2電極49と第2ランド22との間に残る。そのため、半田90が濡れ広がっても、第2電極49は金属部材80及び半田90に支持され、第2距離h2が金属部材80の高さ以上に維持される。一方、第1電極48は、半田90の濡れ広がりとともに高さ方向における位置が低くなる。この結果、第1距離h1が第2距離h2より短くなり、傾斜発光部51が、発光面51aを実装面2aに対して傾斜させて実装される。
また、金属部材80は、あらかじめ第2ランド22に接合させておいてもよいし、第2電極49に接合させておいてもよいし、第2ランド22及び第2電極49それぞれに接合させておいてもよい。
【0039】
従って、傾斜発光部51がこのように実装された光源装置1では、傾斜発光部51の第2電極49と当該第2電極49が接続される第2ランド22との間には、金属部材80が配置され、金属部材80は、傾斜発光部51の第2電極49、及び/又は、第2ランド22に接していてもよい。
【0040】
このように実装される傾斜発光部51において、発光面51aの傾斜角度は、主に、金属部材80の高さで決定される。そのため、金属部材80の高さを適宜調節することで、発光面51aの所望の傾斜角度に設定することができ、発光面51aを対応する照射領域の方向に向けることができる。
【0041】
以上の中心発光部50及び傾斜発光部51の構造と、中心発光部50及び傾斜発光部51の基板2への実装状態をまとめると以下のようになる。
中心発光部50及び傾斜発光部51を含む発光部52は、例えば、半導体積層体43と、半導体積層体43の下面43aに設けられた第1電極48及び第2電極49と、を含む発光素子42を備えており、ランド部20は、第1電極48が接続される第1ランド21と、第2電極49が接続される第2ランド22と、を備えており、傾斜発光部51が実装されるランド部20では、第1ランド21は、第2ランド22よりも基板2の中心側に位置しており、傾斜発光部51の第1電極48と当該第1電極48が接続される第1ランド21との間の距離(第1距離)h1は、当該傾斜発光部51の第2電極49と当該第2電極49が接続される第2ランド22との間の距離(第2距離)h2よりも短い。
【0042】
(中心発光部)
中心発光部50は、例えば、上面視における面積が同一である第1ランド21及び第2ランド22それぞれに、略同量の半田90を介して中心発光部50を配置し、その後、半田90をリフローさせることにより実装される。第1ランド21及び第2ランド22の上面視における面積を同一にし、略同量の半田90を配置することで、半田90をリフローさせた際、第1ランド21及び第2ランド22の表面に濡れ広がる半田90の厚さが同一になり、第1電極48と第1ランド21との間の距離、及び第2電極49と第2ランド22との間の距離が同一になる。この結果、中心発光部50の発光面50aは、実装面2aに対して平行になる。
なお、中心発光部50は、第1ランド21と第1電極48との間、及び第2ランド22と第2電極49との間に、同一高さの金属部材80を配置することでも実装できる。
【0043】
上記では、傾斜発光部51は金属部材80を用いることでも実装できるが、第1ランドの上面視における面積と、第2ランドの上面視における面積と、を異ならせてもよい。
具体的には、
図8に示すように、傾斜発光部51が実装されるランド部120において、第2ランド122の上面視における面積を第1ランド121の上面視における面積よりも小さくする。これにより、
図9Aに示すように、第1ランド121と第1電極48及び第2ランド122と第2電極49との間に略同量の半田90を配置して、半田90をリフローすると、
図9Bに示すように第2ランド122における半田90の濡れ広がりよりも第1ランド121における半田90の濡れ広がりの方が大きくなり、ゆえに第1ランド121における半田90の厚さが薄くなる。これにより、第1距離h1が第2距離h2よりも短くなり、傾斜発光部51が実装される。また、第1ランド121及び第2ランド122の表面は濡れ広がり性がよいことが望ましい。第1ランド121及び第2ランド122は、例えば、その表面を金、ニッケルとすることで半田90の濡れ広がりを良くすることができる。
【0044】
従って、傾斜発光部51をこのように実装する光源装置1では、例えば、傾斜発光部51が実装されるランド部20において、第2ランド22の上面視における面積は、第1ランド21の上面視における面積よりも小さい。
なお、第2ランド122に配置する半田90の量を第1ランド121に配置する半田90の量よりも多くすると、発光面51aの傾斜角度をさらに大きくすることができる。また、第2ランド122に配置する半田90の量を第1ランド121に配置する半田90の量よりも少なくすると、発光面51aの傾斜角度を抑えることができる。
【0045】
このように実装される傾斜発光部51は、発光面51aの傾斜角度は、主に、第1ランド121と第2ランド122の上面視における面積差、及び第1ランド121と第2ランド122それぞれに配置する半田90の量で決定される。そのため、第1ランド121の上面視における面積、第2ランド122の上面視における面積、第1ランド121に配置する半田90の量、及び第2ランド122に配置する半田90の量を適宜調節することで、発光面51aの所望の傾斜角度に設定することができ、発光面51aを対応する照射領域の方向に向けることができる。
【0046】
次に、傾斜発光部51の発光面51aの傾斜角度について説明する。
本実施形態では、中心発光部50及び傾斜発光部51が互いの中心点を等距離に離隔して配置されている。また、中心発光部50及び傾斜発光部51と、対応する照射領域とが、発光面50aの直上に位置する一点Oに対して点対称に配置されている。そのため、
(1)1行1列目の傾斜発光部51と、1行3列目の傾斜発光部51と、3行1列目の傾斜発光部51と、3行3列目の傾斜発光部51とは、一点Oから等距離に配置されており、
それら、1行1列目の傾斜発光部51における発光面51aの傾斜角度と、1行3列目の傾斜発光部51における発光面51aの傾斜角度と、3行1列目の傾斜発光部51における発光面51aの傾斜角度と、3行3列目の傾斜発光部51における発光面51aの傾斜角度とが、同一であり、
(2)1行2列目の傾斜発光部51と、2行1列目の傾斜発光部51と、2行3列目の傾斜発光部51と、3行2列目の傾斜発光部51とは、一点Oから等距離に配置されており、
それら、1行2列目の傾斜発光部51における発光面51aの傾斜角度と、2行1列目の傾斜発光部51における発光面51aの傾斜角度と、2行3列目の傾斜発光部51における発光面51aの傾斜角度と、3行2列目の傾斜発光部51とにおける発光面51aの傾斜角度が、同一である。
このように、固有の一点Oから等距離の位置に配置された傾斜発光部51が2以上ある場合、当該傾斜発光部51の発光面51aが実装面2aに対して傾斜する角度は、同一である。
【0047】
以上のように実装された中心発光部50及び傾斜発光部51はそれぞれ、独立して点灯制御され得る。
【0048】
(集光レンズ)
光学手段である集光レンズ30は、
図1及び
図5に示すように、複数の発光部52の上方に配置されている。集光レンズ30は、各発光部52から出射された光を当該発光部52に対応する照射領域に集光させるために配置されている。集光レンズ30は、中心発光部50及び傾斜発光部51を含む発光部52を一括して覆っている。本実施形態に係る集光レンズ30は、例えば、複数のレンズから構成されており、詳細には、発光部52側から順に配置された第1集光レンズ36と、第2集光レンズ37と、第3集光レンズ38とから構成されている。第1集光レンズ36と、第2集光レンズ37と、第3集光レンズ38とは、それぞれのレンズの間に空間を開けて配置されている。空間内には、例えば空気が位置している。第1集光レンズ36と、第2集光レンズ37と、第3集光レンズ38と、はそれぞれ、端部を枠体3の内側側面に設けられた支持部5上に配置することによって支持されて、固定されている。第1集光レンズ36と、第2集光レンズ37と、第3集光レンズ38と、は互いの光軸が一致して配置されている。そのため、集光レンズ30の光軸B1は、1つの軸に特定される。本実施形態では、集光レンズ30は、光軸B1が基板2の実装面2aに直交し、中心発光部50の中心点Pを通るように配置されている。従って、中心発光部50及び傾斜発光部51と対応する照射領域との点対称配置関係を規定する一点Oは、集光レンズ30の光軸B1上に配置される。
【0049】
なお、第1集光レンズ36、第2集光レンズ37、及び第3集光レンズ38の支持方法は、枠体3の内側側面に設けられた支持部5よる方法に限られない。例えば、第1集光レンズ36、第2集光レンズ37、及び第3集光レンズ38は、枠体3の内側上面に設けられた支持棒に取り付けられて支持されてもよい。
【0050】
集光レンズ30は、発光部52の発光面52a側に位置する第1面31と、第1面31と反対側、すなわち枠体3の開口部4側に位置する第2面32とを備える。第1面31は、発光部52それぞれに対応し、発光部52それぞれから出射された光が入射する複数の入射領域33を含む。第2面32は、複数の入射領域33それぞれに対応する複数の出射領域34を含む。
【0051】
本実施形態のように、集光レンズ30が複数のレンズを備えている場合は、発光部52側に最も近い面が第1面31であり、照射領域側に最も近い面が第2面32である。つまり、本実施形態では、第1集光レンズ36の、発光部52側の面が第1面31であり、第3集光レンズ38の、枠体3の開口部4側の面が第2面32である。
【0052】
既述したように、発光部52から出射された光の配光は、第1面31における入射領域33の形状、及び第2面32における出射領域34の形状に依拠する。また、本実施形態では、集光レンズ30が、互いに空気を介して隔離されて配置された第1集光レンズ36、第2集光レンズ37、及び第3集光レンズ38の3枚のレンズから構成されている。そのため、入射領域33と出射領域34との間の光の配光は、第1集光レンズ36から光が出射する領域(出射領域)の形状、第1集光レンズ36の屈折率と空気の屈折率との差、第2集光レンズ37に光が入射する領域(入射領域)の形状、第2集光レンズ37から光が出射する領域(出射領域)の形状、第2集光レンズ37の屈折率と空気の屈折率との差、第3集光レンズ38に光が入射する領域(入射領域)の形状、及び第3集光レンズ38の屈折率と空気の屈折率との差が影響し得る。そのため、入射領域33の形状及び出射領域34の形状は、これらの要素も考慮して、設計される。
【0053】
隣接する中心発光部50及び傾斜発光部51それぞれから出射した光が集光レンズ30に入射するそれぞれの入射領域33は、対応する中心発光部50又は傾斜発光部51から出射する光の半値角の大きさ、該中心発光部50又は傾斜発光部51から集光レンズ30までの距離、該中心発光部50の発光面50a又は傾斜発光部51の発光面51aの傾斜角度等によって、一部又は全部が重なり得る。したがって、集光レンズ30の複数の入射領域33のうち隣接する2つの入射領域33は一部が重なり得る。そのため、各入射領域33は、独立して設計されるとは限らず、隣接する入射領域と関連して適宜設計され得る。
【0054】
同様に、隣接する入射領域33それぞれから集光レンズ30に入射した光が集光レンズ30から出射するそれぞれの出射領域34は、対応する入射領域33の位置、集光レンズ30の屈折率と集光レンズ30の接する媒体の屈折率との屈折率差、対応する照射領域の配置等によって、一部又は全部が重なり得る。したがって、集光レンズ30の複数の出射領域34のうち隣接する2つの出射領域34は一部が重なり得る。そのため、各出射領域34は、独立して設計されるとは限らず、隣接する出射領域34と関連して適宜設計され得る。
【0055】
(発光部からの光の配光)
次に
図5を参照して、中心発光部50及び傾斜発光部51からの出射された光の配光を詳細に説明する。
図5における矢印は、光の配光の様子を示している。
中心発光部50及び傾斜発光部51のうち、いずれの発光部52から出射された光も同様な配光を有するため、ここでは、2行1列目に配置された傾斜発光部51からの光の配光を例に挙げて説明する。なお、該傾斜発光部51は、
図5の最も左側に位置する発光部52である。
【0056】
傾斜発光部51の発光面51aから発光面51aの法線方向へ、第1半値角θ1で出射された光は、主に、
(1)対応する入射領域33aから集光レンズ30に入射し、
(2)入射領域33aに対応する出射領域34aから集光レンズ30外へ出射し、
(3)その後、該傾斜発光部51に対応する照射領域を照射する。
光は、集光レンズ30に入射する際、及び集光レンズ30から出射する際に屈折する。この屈折により、発光面51aから出射された光の照射方向が調節され、光がより高い精度で照射領域を照射する。
また、光は集光レンズ30により集光されるので、高い照度で対応する照射領域を照射することができる。
中心発光部50から出射された光の場合は、直上に位置する照射領域を照射するが、傾斜発光部51の発光面51aから出射された光と同様に、集光レンズ30に入射する際、及び集光レンズ30から出射する際に、屈折させて集光させることが望ましい。
【0057】
このように、発光面51aが対応する照射領域の方に向くように発光部52を傾斜させて実装させることで、集光レンズ30による屈折の程度を小さくすることができる。これにより、集光レンズ30を小型化することができる。
また、このように、発光面51aが対応する照射領域の方に向くように発光部52を傾斜させて実装させることで、集光レンズ30の方向に効率的に光を照射することができるため光の損失を減らすことができ、より高い精度で対応する照射領域に光を照射することができ、かつ、対応する照射領域に照射される光の強度を高めることができる。
【0058】
実施形態2
本実施形態に係る光源装置101は、
図10Aに示すように、光学手段が、複数の発光部52の上方に配置されており、各発光部52から出射された光の半値角を狭める、又は広げる第1レンズ110である点で、実施形態1に係る光源装置1と異なる。また、
図10Aに示すように、枠体103の開口部104には、透光性の保護カバー70が配置されてもよい。これにより、第1レンズ110が外力から保護される。保護カバー70は、保護カバー70と接する媒体の屈折率と同一または近い屈折率を有する部材であることが望ましい。また、保護カバー70は、外力に対して強度があり、傷がつきにくい部材であることが望ましい。例えば、保護カバー70の材料は、アクリル、ガラスである。
【0059】
(第1レンズ)
第1レンズ110は、発光部52それぞれに対応して設けられた複数の単位第1レンズ111を含む。各単位第1レンズ111によって、対応する中心発光部50又は傾斜発光部51から出射された光はそれぞれ、その半値角を狭められる、又は広げられる。本実施形態では、第1レンズ110は、それぞれ分離した単位第1レンズ111を含むが、
図10Bに示すように、第1レンズ110Aは、発光部52それぞれに対応する単位第1レンズ111が一体化したレンズであってもよい。実施形態において一体化したレンズとは、発光部52それぞれに対応する単位第1レンズ111が互いに接続するように、複数の発光部52を1つのレンズで覆っていることを含む。また、一体化したレンズは、全ての発光部52を一括して覆っていてもよい。単位第1レンズ111が一体化した第1レンズ110Aは、分離した単位第1レンズ111によって構成される第1レンズ110より、大量生産が容易である。
【0060】
本実施形態における単位第1レンズ111は、
図11Aに示すように、発光部52側の面(下面)に複数の同心環状の凸部112が設けられているフレネルレンズである。各凸部112は、単位第1レンズ111の凸部112の内側の面(以下、凸部の内側面とも称する)112aと単位第1レンズ111の凸部112の外側の面(以下、凸部の外側面とも称する)112bとを有する。
【0061】
単位第1レンズ111は、光軸C1が、対応する発光部52の発光面52aの中心点を通り、該発光面52aに直交するように配置されている。そのため、単位第1レンズ111から出射された光もまた、対応する照射領域の方に向けられている。
単位第1レンズ111は、例えば、単位第1レンズ111の外周に沿って接続される脚部113によって支持される。脚部113は、単位第1レンズ111と同一部材から形成されていてもよく、単位第1レンズ111と一体形成されてもよい。また、脚部113は、中心発光部50及び/又は傾斜発光部51の全周を囲むように配置されていてもよいし、中心発光部50及び/又は傾斜発光部51の周囲の一部に配置されていてもよい。
【0062】
(発光部から出射された光の配光)
次に、
図11A、
図11B及び
図11Cを参照しながら、中心発光部50及び傾斜発光部51から出射された光の配光について説明する。
図11A、
図11B及び
図11Cにおける矢印は、光の配光の様子を示している。
中心発光部50又は傾斜発光部51のうち、いずれの発光部52から出射された光も同様な配光を有するため、ここでは、2行1列目に配置された傾斜発光部51からの光の配光を例に挙げて説明する。なお、該傾斜発光部51は、
図10Aの最も左側に位置する発光部である。
【0063】
傾斜発光部51の発光面51aから発光面51aの法線方向へ、第1半値角θ1で出射された光は、例えば
図11Aに示すように、主に、
(1)各凸部112の内側面112aから単位第1レンズ111に入射し、
(2)該凸部112の外側面112bで反射し、
(3)単位第1レンズ111の下面と反対側の面(上面)から第2半値角θ2で出射し、
(4)対応する照射領域を照射する。
【0064】
このよう配光を有する発光部52からの光は、単位第1レンズ111の凸部112の形状等を適宜設計することで、対応する照射領域に向けて拡散(
図11A及び
図11C参照)又は集光する(
図11B参照)。ここで、単位第1レンズ111による拡散とは、第2半値角θ2を第1半値角θ1より広げることを意味しており、単位第1レンズ111によって拡散された光の照射方向は、対応する照射領域に向けられたままである。また、単位第1レンズ111による集光とは、第2半値角θ2を第1半値角θ1よりも狭めることを意味しており、単位第1レンズ111によって集光された光の照射方向は、対応する照射領域に向けられたままである。
【0065】
単位第1レンズ111に入射した光は、主に、凸部112の外側面112bにおける反射により第2半値角θ2を決定されるため、上記の適宜設計される凸部112の形状等において特に重要な要素は、光軸C1に対する凸部112の外側面112bの角度である。
図11Aに示すように、光軸C1に対する凸部112の外側面112bの角度φ0が第1角度φ1より大きいと、単位第1レンズ111に入射する光は拡散しやすい。また、
図11Cに示すように、光軸C1に対する凸部112の外側面112bの角度φ0が、第2角度φ2(φ2<φ1)より小さいと、単位第1レンズ111に入射する光は拡散しやすい。一方、
図11Bに示すように、光軸C1に対する凸部112の外側面112bの角度φ0が、第1角度φ1以上第2角度φ2以下であると、単位第1レンズ111に入射する光は集光しやすい。従って、第1半値角θ1に対する第2半値角θ2の大きさに応じて、光軸C1に対する凸部112の外側面112bの角度が適宜設計される。
なお、光軸C1に対する凸部112の外側面112bの角度は、例えば、フレネルレンズである単位第1レンズ111の形成に用いられる凸レンズの曲率に依拠する。また、第1角度φ1及び第2角度φ2は、凸部112毎に異なり、各凸部112と発光部52との配置関係等により決定される。
【0066】
単位第1レンズは、フレネルレンズに限定されるものではなく、発光部52から出射された光の集光を目的とする場合、内部全反射レンズ(TIR)レンズ、凸レンズ等であり、発光部52から出射された光の半値角を狭められる光学手段であればよい。また、発光部52から出射された光の拡散を目的とする場合、内部全反射レンズ、凹レンズ等、発光部52から出射された光の半値角を広げられる光学手段であればよい。内部全反射レンズとは、レンズ内部における全反射を利用して光の指向性を調整することができるレンズである。
【0067】
以下、
図12A、
図12B及び
図13を参照して、単位第1レンズが内部全反射レンズである場合の光源装置201について説明する。
ここで用いられる内部全反射レンズは、
図13に示すように、凹部14を有する下面13と、断面形状が波形形状の上面12とを備えており、上面12から下面13に向けて先細りになる略円錐台形状のレンズである。この内部全反射レンズは、光軸C2を中心に回転対称形状である。
このような形状である内部全反射レンズである単位第1レンズ211は、凹部14の内面14aが傾斜発光部51の発光面51a(又は中心発光部50の発光面50a)の上方に位置し、該発光面51a(又は発光面50a)を内面14aによって覆って配置される。つまり、単位第1レンズ211は、凹部14の開口端部(凹部14の内面14aと下面13との接続部)16が、上面視において、発光面51a(又は発光面50a)の外周より外側に位置するように配置される。
【0068】
単位第1レンズ211は、
図12Aに示すように、互いが分離した部材の集合として第1レンズ210を構成していてもよいし、
図12Bに示すように、互いが連続した1つの部材として第1レンズ210Aを構成していてもよい。
【0069】
次に
図13を参照して、各発光部52からの出射された光の配光を詳細に説明する。
図13における矢印は、光の配光の様子を示している。
複数の発光部52のうち、いずれの発光部52から出射された光も同様な配光を有するため、ここでは、行列配置された9個の発光部52のうち2行1列目に位置する傾斜発光部51からの光の配光を例に挙げて説明する。なお、該傾斜発光部51は、
図12Aの最も左側に位置する発光部52である。
【0070】
傾斜発光部51の発光面51aから発光面51aの法線方向へ、第1半値角θ1で出射された光は、主に、
(1)単位第1レンズ211の凹部14の内面14aから単位第1レンズ211に入射し、
(2)単位第1レンズ211の内側側面17で全反射し、
(3)単位第1レンズ211の上面12から、第2半値角θ2で出射し、
(4)対応する照射領域R23を照射する。
【0071】
図13で表すように、ランバーシャン配光を有する発光部52からの光は、単位第1レンズ211によりコリメートに近い配光に変更することができる(
図13における矢印参照)。このように、例えば単位第1レンズ211の形状を適宜設計することで、対応する照射領域に向けて光拡散、又は集光する。
【0072】
このように構成された光源装置201は、発光部52からの光を単位第1レンズ211により効率的に集めることができる。
【0073】
実施形態3
本実施形態に係る光源装置301は、
図14Aに示すように、光学手段が、発光部52の上方に配置されており、各発光部52から出射された光の半値角を狭める第1レンズ310と、第1レンズ310の上方に配置されており、各発光部52から出射された光を当該発光部52に対応する照射領域に集光させる集光レンズ30と、である点で、実施形態1に係る光源装置1と異なる。
【0074】
(第1レンズ)
第1レンズ310は、実施形態2において説明した第1レンズ110のうち、集光を目的とする第1レンズである。第1レンズ310は、複数の単位第1レンズ311から構成される。本実施形態に係る単位第1レンズ311は、フレネルレンズであるが、内部全反射レンズ等、光を集光できるレンズであればよい。また、本実施形態に係る第1レンズ310は、
図14Aに示すように、互いに分離した単位第1レンズ311から構成されているが、
図14Bに示すように、第1レンズ310Aは、複数の単位第1レンズ311が互いに接続して一体化したレンズであってもよい。
本実施形態に係る単位第1レンズ311の構成及び配置は、実施形態2において説明した単位第1レンズ111の構成及び配置であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0075】
(集光レンズ)
集光レンズ30は、実施形態1において説明した集光レンズ30と同一のものを用いることができる。そのため、本実施形態に係る集光レンズ30の構成及び配置は、実施形態1において説明した集光レンズ30の構成及び配置であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0076】
(発光部から出射された光の配光)
以下、
図14Aを参照して、単位第1レンズ311がフレネルレンズである場合の光の配光について説明する。
図14Aにおける矢印は、光の配光の様子を示している。
また、複数の発光部52のうち、いずれの発光部52から出射された光も同様な配光を有するため、ここでは、行列配置された9個の発光部52のうち2行1列目に位置する傾斜発光部51からの光の配光を例に挙げて説明する。なお、該傾斜発光部51は、
図14Aの最も左側に位置する発光部である。
【0077】
傾斜発光部51の発光面51aから発光面51aの法線方向へ、第1半値角θ1で出射された光は、主に、
(1)単位第1レンズ311の各凸部312における内側面から、単位第1レンズ311に入射し、
(2)単位第1レンズ311に入射した光は、各凸部312の外側面で全反射し、単位第1レンズ311の上面から、第2半値角θ2で出射し、
(3)単位第1レンズ311から出射した光は、該傾斜発光部51に対応する入射領域33aから集光レンズ30に入射し、
(4)入射領域33aに対応する出射領域34aから集光レンズ30外へ出射し、
(5)対応する照射領域R23を照射する。
光は、集光レンズ30に入射する際、及び集光レンズ30から出射する際に屈折する。この屈折により、発光面51aから出射された光の照射方向が調節され、光がより高い精度で照射領域を照射する。
また、光は集光レンズ30により集光されるので、高い照度で対応する照射領域を照射することができる。
中心発光部50から出射された光の場合は、直上に位置する照射領域を照射するが、傾斜発光部51の発光面51aから出射された光と同様に、集光レンズ30に入射する際、及び集光レンズ30から出射する際に、屈折させて集光させることが望ましい。
【0078】
このように、光学手段として、集光レンズ30と第1レンズ310、310Aとを用いることで、発光部52からの光をより高い精度で照射領域に照射させることができ、かつ、対応する照射領域に照射される光の強度を高めることができる。
【0079】
2.変形例
(1)第1レンズに係る変形例
既述したように、単位第1レンズは、集光または拡散の目的を達成するレンズであればよい。ここでは、各目的に応じたレンズの具体的な形状を説明する。
第1レンズが集光目的で設けられている場合、単位第1レンズは、例えば、断面形状が半円形状のレンズであってもよい。この場合、単位第1レンズは、その曲面を対応する照射領域側に向けて配置される。
このような単位第1レンズは、形状が単純であるため、単位第1レンズを形成するために用いられる型の形成が容易である。
【0080】
また、第1レンズが集光目的又は拡散目的で設けられている場合、単位第1レンズは、例えば、錐台状レンズであってもよい。錐台状レンズの上面と下面とのうち、どちらの面積を大きくするかは、第1レンズの目的(集光又は拡散)に応じて、適宜設定される。また、集光又は拡散の目的が達成されれば、第1レンズは、上面の面積と下面の面積とが等しい柱状レンズであってもよい。
このような単位第1レンズは、形状が単純であるため、単位第1レンズを形成するために用いられる型の形成が容易である。
【0081】
これらの単位第1レンズは、発光部52毎に分離して設けられていてもよいし、互いに連続した1枚のレンズであってもよい。
【0082】
(2)集光レンズに係る変形例
上記の実施形態1、実施形態2及び実施形態3に係る光源装置では、集光レンズが3枚のレンズから構成されていたが、集光レンズを構成するレンズの枚数は、これに限定されるものではない。例えば、集光レンズは、1枚のレンズから構成されていてもよいし、2枚のレンズから構成されていてもよいし、4枚以上のレンズから構成されていてもよい。
【0083】
上記の集光レンズを備える実施形態に係る光源装置では、枠体の内面に設けられた支持部によって集光レンズが支持されていたが、集光レンズを支持する手段はこれに限定されるものではない。例えば、第1集光レンズの外周端部に接続された脚部によって支持されてもよい。
【0084】
脚部は、例えば、光反射性部材や遮光部材で形成されてもよい。脚部は、例えば、集光レンズと同一材料から形成された集光レンズの一部であってもよい。
なお、このように各集光レンズの端部に接続された脚部によって各集光レンズを支持する場合、光源は枠体を備えてなくてもよい。
【0085】
(3)発光部に係る変形例
上記の実施形態及び変形例における発光部52は、基板2の実装面2a側から半導体積層体43、波長変換部材45、透光性部材47の順で配置されていたが、これに限定されるものではなく、例えば基板2の実装面2a側から半導体積層体43、透光性部材47、波長変換部材45の順で配置されてもよいし、透光性部材47を備えてなくてもよい。この場合、波長変換部材45の上面が発光部52の発光面52aとなる。つまり、発光部52は、発光素子42の上方に配置された波長変換部材45を備え、発光面50a、51aは波長変換部材45の上面である。
本発明の光源装置は、所望の照射領域に光を照射できるので、照明、カメラのフラッシュ、車載のヘッドライト等に好適に利用できる。但し、本発明の光源装置はこれら用途に限定されるものではない。
【0086】
以上、本開示の実施形態、変形例及び実施例を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施形態、変形例及び実施例における要素の組合せや順序の変化等は請求された本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0087】
1、101、201、301 光源装置
2 基板
2a 実装面
3、103 枠体
4、104 開口部
5 支持部
12 上面
13 下面
14 凹部
14a 内面
16 接続部
17 内側側面
20 ランド部
21 第1ランド
22 第2ランド
30 集光レンズ
31 第1面
32 第2面
33、33a 入射領域
34、34a 出射領域
36 第1集光レンズ
37 第2集光レンズ
38 第3集光レンズ
42 発光素子
43 半導体積層体
43a 下面
45 波長変換部材
46 光反射性部材
47 透光性部材
48 第1電極
49 第2電極
50 中心発光部
50a、50a’ 発光面
51 傾斜発光部
51a、51a’ 発光面
52 発光部
52a 発光面
70 保護カバー
80 金属部材
90 半田
110、210、210A、310、310A 第1レンズ
111、211、311 単位第1レンズ
B1、C1、C2 光軸
O 一点
P 中心点
R1 領域
R22、R23、R31 照射領域