(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】半導体試料の画像のセグメンテーション
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240731BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20240731BHJP
G06T 7/143 20170101ALI20240731BHJP
【FI】
G06T7/00 610A
G01N21/956 A
G06T7/143
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021062967
(22)【出願日】2021-04-01
【審査請求日】2024-03-28
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】エラド ベン バルーク
(72)【発明者】
【氏名】シャロム エルカヤム
(72)【発明者】
【氏名】シャウル コーエン
(72)【発明者】
【氏名】タル ベン-シュロモ
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050376(JP,A)
【文献】国際公開第2019/191346(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00- 7/194
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造された半導体試料の画像をセグメント化するコンピュータ化された方法であって、前記方法は、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)によって実行され、前記方法は、
前記製造された半導体試料の少なくとも一部を表す前記画像に対応し、前記画像内のピクセルが前記画像内に提示された1つまたは複数の第1の構造要素に対応する予測確率を示す第1の確率マップを取得するステップであって、前記第1の確率マップが、深層学習モデルを使用して前記画像を処理することによって生成される、ステップと、
第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよび前記
1つまたは複数のセグメントに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップを取得するステップであって、前記第2の構造要素が、前記少なくとも一部を特徴付ける設計データ内に提示され、同等の第2の構造要素が、同じラベルに関連付けられる、ステップと、
前記第1のラベルマップに対してシミュレーションを実行して、前記第1のラベルマップ内のピクセルが前記1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示す第2の確率マップを取得するステップと、
前記第1の確率マップおよび前記第2の確率マップに基づいて第2のラベルマップを生成するステップであって、前記第2のラベルマップが、前記第1の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与え、同等の第1の構造要素が、同じラベルに関連付けられる、ステップであって、前記第2のラベルマップが、再現性が向上した前記画像のセグメンテーションに使用可能である、ステップと
を含む、コンピュータ化された方法。
【請求項2】
前記シミュレーションを前記実行するステップが、
前記第1のラベルマップに対して距離変換を実行して、前記第1のラベルマップ内の所与の各ピクセルとそこからの最も近いエッジとの間の相対距離に基づいて距離マップを取得するステップと、
前記距離マップを、前記第1のラベルマップ内の前記ピクセルが前記最も近いエッジを基準として前記1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率の情報を与える前記第2の確率マップに変換するステップと
を含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項3】
前記相対距離が、前記第1のラベルマップ内の所与の各ピクセルについて、i)前記所与のピクセルとそこから最も近いエッジとの間の距離、およびii)前記最も近いエッジに対する前記所与のピクセルの相対位置を含む、請求項
2に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項4】
前記相対位置が、輪郭が前記最も近いエッジを構成する所与の第2の構造要素内に前記所与のピクセルが位置するか、または前記所与の第2の構造要素の外側に前記所与のピクセルが位置するかを示す、請求項3に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項5】
前記第1のラベルマップが、前記設計データ、前記画像、および前記第1の確率マップのうちの少なくとも1つに基づいて生成される、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項6】
前記生成するステップが、前記第1の確率マップと前記第2の確率マップとを結合して、結合された確率マップを取得するステップと、リゾルバを使用して、前記結合された確率マップを処理し、前記第2のラベルマップを発生させるステップと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項7】
前記結合するステップが、前記画像の前記セグメンテーションの感度と再現性との間の所望のトレードオフレベルを示す所定の重み係数を使用して実行される、請求項6に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項8】
前記リゾルバが、高密度条件付き確率場(DCRF)、グラフカット、および隠れマルコフモデル(HMM)を含む群から選択される、請求項6に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項9】
前記リゾルバが、DCRFリゾルバであって、前記結合された確率マップが、単項および対項に基づいて処理される、請求項6に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項10】
前記対項が、外観カーネルおよび平滑化カーネルに基づいて構築される、請求項9に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項11】
前記外観カーネルが、所与のピクセルのラベルをその類似の隣接ピクセルに基づいて決定するエッジ保存ノイズ除去器であり、前記平滑化カーネルが、所与のピクセルのラベルをその隣接ピクセルに基づいて決定する、請求項10に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項12】
前記画像が、レビューツールから得られた前記試料の高解像度レビュー画像である、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項13】
前記第2のラベルマップが、前記第1の確率マップから生成されたラベルマップと比較して、再現性が向上している、請求項1に記載のコンピュータ化された方法。
【請求項14】
製造された半導体試料の画像をセグメント化するコンピュータ化されたシステムであって、
前記製造された半導体試料の少なくとも一部を表す前記画像に対応し、前記画像内のピクセルが前記画像内に提示された1つまたは複数の第1の構造要素に対応する予測確率を示す第1の確率マップを取得することであって、前記第1の確率マップが、深層学習モデルを使用して前記画像を処理することによって生成される、取得することと、
第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよび前記
1つまたは複数のセグメントに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップを取得することであって、前記第2の構造要素が、前記少なくとも一部を特徴付ける設計データ内に提示され、同等の第2の構造要素が、同じラベルに関連付けられる、取得することと、
前記第1のラベルマップに対してシミュレーションを実行して、前記第1のラベルマップ内のピクセルが前記1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示す第2の確率マップを取得することと、
前記第1の確率マップおよび前記第2の確率マップに基づいて第2のラベルマップを生成することであって、前記第2のラベルマップが、前記第1の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与え、同等の第1の構造要素が、同じラベルに関連付けられ、前記第2のラベルマップが、再現性が向上した前記画像のセグメンテーションに使用可能である、生成することと
を行うように構成されたプロセッサおよびメモリ回路(PMC)を備える、コンピュータ化されたシステム。
【請求項15】
前記PMCが、
前記第1のラベルマップに対して距離変換を実行して、前記第1のラベルマップ内の所与の各ピクセルとそこからの最も近いエッジとの間の相対距離に基づいて距離マップを取得し、
前記距離マップを、前記第1のラベルマップ内の前記ピクセルが前記最も近いエッジを基準として前記1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率の情報を与える前記第2の確率マップに変換する
ことによって、前記シミュレーションを実行するように構成されている、請求項14に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項16】
前記相対距離が、前記第1のラベルマップ内の所与の各ピクセルについて、i)前記所与のピクセルとそこから最も近いエッジとの間の距離、およびii)前記最も近いエッジに対する前記所与のピクセルの相対位置を含む、請求項
15に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項17】
前記相対位置が、輪郭が前記最も近いエッジを構成する所与の第2の構造要素内に前記所与のピクセルが位置するか、または前記所与の第2の構造要素の外側に前記所与のピクセルが位置するかを示す、請求項16に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項18】
前記PMCが、前記第1の確率マップと前記第2の確率マップとを結合して、結合された確率マップを取得することと、レゾルバを使用して、前記結合された確率マップを処理し、第2のラベルマップを発生させることとによって、前記第2のラベルマップを生成するように構成されている、請求項14に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項19】
前記結合することが、前記画像の前記セグメンテーションの感度と再現性との間の所望のトレードオフレベルを示す所定の重み係数を使用して実行される、請求項18に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項20】
命令のプログラムを有形に具現化する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、製造された半導体試料の画像をセグメント化する方法を実行させ、前記方法が、
前記製造された半導体試料の少なくとも一部を表す前記画像に対応し、前記画像内のピクセルが前記画像内に提示された1つまたは複数の第1の構造要素に対応する予測確率を示す第1の確率マップを取得するステップであって、前記第1の確率マップが、深層学習モデルを使用して前記画像を処理することによって生成される、ステップと、
第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよび前記
1つまたは複数のセグメントに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップを取得するステップであって、前記第2の構造要素が、前記少なくとも一部を特徴付ける設計データ内に提示され、同等の第2の構造要素が、同じラベルに関連付けられる、ステップと、
前記第1のラベルマップに対してシミュレーションを実行して、前記第1のラベルマップ内のピクセルが前記1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示す第2の確率マップを取得するステップと、
前記第1の確率マップおよび前記第2の確率マップに基づいて第2のラベルマップを生成するステップであって、前記第2のラベルマップが、前記第1の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与え、同等の第1の構造要素が、同じラベルに関連付けられ、前記第2のラベルマップが、再現性が向上した前記画像のセグメンテーションに使用可能である、ステップと
を含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、一般に、試料の検査の分野に関し、より詳細には、試料の画像のセグメンテーションに関する。
【背景技術】
【0002】
製造されたデバイスの超大規模集積化に関連付けられた高密度および高性能に対する現在の要求は、サブミクロンの特徴、トランジスタ速度および回路速度の向上、ならびに信頼性の改善を必要としている。このような要求は、高精度かつ均一性を有するデバイス特徴の形成を必要としており、これには、デバイスがまだ半導体ウエハの形態である間にデバイスを自動検査することを含む、製造プロセスの注意深いモニタリングが必要である。
【0003】
本明細書で使用される「試料」という用語は、半導体集積回路、磁気ヘッド、フラットパネルディスプレイ、および他の半導体製造物品の製造に使用される、あらゆる種類のウエハ、マスク、および他の構造体、それらの組合せならびに/または部分を包含するように広範に解釈されるべきである。
【0004】
本明細書で使用される「検査」という用語は、あらゆる種類の計測関連の動作、ならびに製造中の試料の欠陥の検出および/または分類に関連する動作を包含するように広範に解釈されるべきである。検査は、検査される試料の製造中または製造後に非破壊検査ツールを使用することによって行われる。非限定的な例として、検査プロセスは、同じまたは異なる検査ツールを使用して、試料もしくはその一部に関して行われる(単一もしくは複数スキャンの)ランタイムスキャン、サンプリング、レビュー、測定、分類、および/または他の動作を含むことができる。同様に、検査は、検査される試料の製造前に行うことができ、例えば、検査方策を生成することおよび/または他のセットアップ動作を含むことができる。特に明記しない限り、本明細書で使用される「検査」という用語またはその派生語は、検査領域の解像度またはサイズに関して限定されないことに留意されたい。様々な非破壊検査ツールは、非限定的な例として、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、光学検査ツールなどを含む。
【0005】
非限定的な例として、ランタイム検査は、2段階手順、例えば、試料の検査とそれに続く潜在的な欠陥のサンプリングされた位置のレビューを用いることができる。第1段階中に、試料の表面が高速かつ比較的低解像度で検査される。第1段階において、欠陥マップが作成され、欠陥の確率が高い試料上の疑わしい位置が示される。第2段階中に、疑わしい位置の少なくとも一部が比較的高い解像度でより徹底的に分析される。両方の段階を同じ検査ツールで実施することができる場合もあれば、これら2つの段階を異なる検査ツールで実施する場合もある。
【0006】
検査プロセスは、半導体製造中の様々なステップで使用され、試料上の欠陥を検出および分類するとともに計測関連の動作を実行する。検査の有効性は、例えば、自動欠陥分類(ADC)、自動欠陥レビュー(ADR)、画像セグメンテーションなどのプロセスを自動化することによって高めることができる。
【発明の概要】
【0007】
本開示の主題の特定の態様によると、製造された半導体試料の画像をセグメント化する方法が提供され、本方法は、プロセッサおよびメモリ回路(PMC)によって実行され、本方法は、製造された半導体試料の少なくとも一部を表す画像に対応し、画像内のピクセルが画像内に提示された1つまたは複数の第1の構造要素に対応する予測確率を示す第1の確率マップを取得するステップであって、第1の確率マップが、深層学習モデルを使用して画像を処理することによって生成される、ステップと、第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびセグメントに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップを取得するステップであって、第2の構造要素が、少なくとも一部を特徴付ける設計データ内に提示され、同等の第2の構造要素が、同じラベルに関連付けられる、ステップと、第1のラベルマップに対してシミュレーションを実行して、第1のラベルマップ内のピクセルが1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示す第2の確率マップを取得するステップと、第1の確率マップおよび第2の確率マップに基づいて第2のラベルマップを生成するステップであって、第2のラベルマップが、第1の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与え、同等の第1の構造要素が、同じラベルに関連付けられ、第2のラベルマップが、再現性が向上した画像のセグメンテーションに使用可能である、ステップと、を含む。
【0008】
上記の特徴に加えて、本開示の主題のこの態様による方法は、技術的に可能な任意の所望の組合せまたは順列で、以下に列挙される特徴(i)~(xii)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
(i)実行するシミュレーションは、第1のラベルマップに対して距離変換を実行して、第1のラベルマップ内の所与の各ピクセルとそこから最も近いエッジとの間の相対距離に基づいて距離マップを取得するステップと、距離マップを、第1のラベルマップ内のピクセルが最も近いエッジを基準として1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率の情報を与える第2の確率マップに変換するステップと、を含むことができる。
(ii)相対距離は、第1のラベルマップ内の所与の各ピクセルについて、i)所与のピクセルとそこから最も近いエッジとの間の距離、およびii)最も近いエッジに対する所与のピクセルの相対位置を含むことができる。
(iii)相対位置は、輪郭が最も近いエッジを構成する所与の第2の構造要素内に所与のピクセルが位置するか、または所与の第2の構造要素の外側に所与のピクセルが位置するかを示すことができる。
(iv)第1のラベルマップは、設計データ、画像、および第1の確率マップのうちの少なくとも1つに基づいて生成することができる。
(v)生成するステップは、第1の確率マップと第2の確率マップとを結合して、結合された確率マップを取得するステップと、リゾルバを使用して、結合された確率マップを処理し、第2のラベルマップを発生させるステップと、を含むことができる。
(vi)結合するステップは、画像のセグメンテーションの感度と再現性との間の望ましいトレードオフレベルを示す所定の重み係数を使用して実行することができる。
(vii)リゾルバは、DCRF、グラフカット、および隠れマルコフモデル(HMM)を含む群から選択することができる。
(viii)リゾルバは、DCRFリゾルバとすることができ、結合された確率マップは、単項と対項に基づいて処理することができる。
(ix)対項は、外観カーネルおよび平滑化カーネルに基づいて構築することができる。
(x)外観カーネルは、所与のピクセルのラベルをその類似の隣接ピクセルに基づいて決定するエッジ保存ノイズ除去器とすることができ、平滑化カーネルは、所与のピクセルのラベルをその隣接ピクセルに基づいて決定する。
(xi)画像は、レビューツールから取得した試料の高解像度レビュー画像とすることができる。
(xii)第2のラベルマップは、第1の確率マップから生成されたラベルマップと比較して、再現性を向上させることができる。
【0009】
本開示の主題の他の態様によると、製造された半導体試料の画像をセグメント化するシステムが提供され、本システムは、製造された半導体試料の少なくとも一部を表す画像に対応し、画像内のピクセルが画像内に提示された1つまたは複数の第1の構造要素に対応する予測確率を示す第1の確率マップを取得することであって、第1の確率マップが、深層学習モデルを使用して画像を処理することによって生成される、取得することと、第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびセグメントに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップを取得することであって、第2の構造要素が、少なくとも一部を特徴付ける設計データ内に提示され、同等の第2の構造要素が、同じラベルに関連付けられる、取得することと、第1のラベルマップに対してシミュレーションを実行して、第1のラベルマップ内のピクセルが1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示す第2の確率マップを取得することと、第1の確率マップおよび第2の確率マップに基づいて第2のラベルマップを生成することであって、第2のラベルマップが、第1の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与え、同等の第1の構造要素が、同じラベルに関連付けられ、第2のラベルマップが、再現性が向上した画像のセグメンテーションに使用可能である、生成することと、を行うように構成されたプロセッサおよびメモリ回路(PMC)を含む。
【0010】
開示された主題のこの態様は、技術的に可能な任意の所望の組合せまたは順列において、必要な変更を加えて、本方法に関して上で列挙された特徴(i)~(xii)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0011】
本開示の主題の他の態様によると、命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体が提供され、命令は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、製造された半導体試料の画像をセグメント化する方法を実行させ、本方法は、製造された半導体試料の少なくとも一部を表す画像に対応し、画像内のピクセルが画像内に提示された1つまたは複数の第1の構造要素に対応する予測確率を示す第1の確率マップを取得するステップであって、第1の確率マップが、深層学習モデルを使用して画像を処理することによって生成される、ステップと、第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびこれらのセグメントに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップを取得するステップであって、第2の構造要素が、少なくとも一部を特徴付ける設計データ内に提示され、同等の第2の構造要素が、同じラベルに関連付けられる、ステップと、第1のラベルマップに対してシミュレーションを実行して、第1のラベルマップ内のピクセルが1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示す第2の確率マップを取得するステップと、第1の確率マップおよび第2の確率マップに基づいて第2のラベルマップを生成するステップであって、第2のラベルマップが、第1の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与え、同等の第1の構造要素が、同じラベルに関連付けられ、第2のラベルマップが、再現性が向上した画像のセグメンテーションに使用可能である、ステップと、を含む。
【0012】
開示された主題のこの態様は、技術的に可能な任意の所望の組合せまたは順列において、必要な変更を加えて、本方法に関して上で列挙された特徴(i)~(xii)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0013】
本開示を理解し、本開示が実際にどのように実行され得るかを理解するために、ここで添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の主題の特定の実施形態による、検査システムの機能ブロック図である。
【
図2】本開示の主題の特定の実施形態による、製造された半導体試料の画像をセグメント化する一般化された流れ図である。
【
図3】本開示の主題の特定の実施形態による、試料の画像をセグメント化する例示的な概略図である。
【
図4】本開示の主題の特定の実施形態による、第1のラベルマップから第2の確率マップへのシミュレーションプロセスの例を示す図である。
【
図5】本開示の主題の特定の実施形態による、第1のラベルマップから対応する距離マップへの距離変換の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明では、本開示の完全な理解を提供するために数多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示の主題がこれらの具体的な詳細なしに実行され得ることが当業者には理解される。他の事例では、本開示の主題を不明瞭にしないように、よく知られている方法、手順、構成要素、および回路は、詳細に説明されていない。
【0016】
特に明記しない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書全体を通して、「生成する」、「実行する」、「取得する」、「シミュレートする」、「変換する」、「結合する」、「使用する」、「処理する」、「決定する」などの用語を利用する議論は、データを操作および/または他のデータに変換するコンピュータの動作ならびに/あるいはプロセスを指し、前記データは、電子量などの物理量として表され、および/または、前記データは、物理的対象を表すことが理解される。「コンピュータ」という用語は、非限定的な例として、本出願で開示される検査システム、セグメンテーションシステム、およびそれらのそれぞれの部分を含む、データ処理能力を有するあらゆる種類のハードウェアベースの電子デバイスを包含するように広範に解釈されるべきである。
【0017】
本明細書で使用される「非一時的メモリ」および「非一時的ストレージ媒体」という用語は、本開示の主題に適したあらゆる揮発性または不揮発性コンピュータメモリを包含するように広範に解釈されるべきである。
【0018】
本明細書で使用される「欠陥」という用語は、試料上または試料内に形成されたあらゆる種類の異常または望ましくない特徴を包含するように広範に解釈されるべきである。
【0019】
本明細書で使用される「設計データ」という用語は、試料の階層的な物理設計(レイアウト)を示すあらゆるデータを包含するように広範に解釈されるべきである。設計データは、それぞれの設計者が提供することができ、および/または物理設計から(例えば、複雑なシミュレーション、単純な幾何学的演算、およびブール演算などを介して)導出することができる。設計データは、非限定的な例として、GDSIIフォーマット、OASISフォーマットなどの異なるフォーマットで提供することができる。設計データは、ベクトルフォーマット、グレースケール強度画像フォーマットなどで表示することができる。
【0020】
特に明記しない限り、別個の実施形態の文脈で説明される本開示の主題の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される本開示の主題の様々な特徴は、別個に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供することもできる。以下の詳細な説明では、方法および装置の完全な理解を提供するために、数多くの具体的な詳細が記載される。
【0021】
これを念頭に置いて、本開示の主題の特定の実施形態による検査システムの機能ブロック図を示す
図1に注目する。
【0022】
図1に示す検査システム100は、試料製造プロセスの一部として、半導体試料(例えば、ウエハおよび/またはその一部)の検査に使用することができる。図示する検査システム100は、試料製造中に得られた画像(以下、製造プロセス(FP)画像、または画像と呼ぶ)を使用して、計測関連および/または欠陥関連情報を自動的に決定することができるコンピュータベースのシステム101を備える。システム101は、一般に、FPEI(製造プロセス検査情報)システムと呼ぶことができる。本開示の主題の特定の実施形態によると、システム101は、
図2を参照して以下でさらに詳細に説明するように、試料の少なくとも一部を表すFP画像のセグメンテーションを実行するように構成することができる。したがって、システム101は、本開示ではセグメンテーションシステムとも呼ばれる。システム101は、1つまたは複数の検査ツール120に動作可能に接続することができる。検査ツール120は、FP画像をキャプチャするように、および/またはキャプチャされたFP画像をレビューするように、および/またはキャプチャされた画像に関連する測定を可能にするかもしくは提供するように構成されている。システム101は、設計データサーバ110およびストレージユニット122にさらに動作可能に接続することができる。
【0023】
例えば、FP画像(本明細書では画像とも呼ばれる)は、製造プロセス中にキャプチャされた試料(例えば、ウエハまたはその一部)の画像、様々な前処理段階によって得られたキャプチャされた画像の派生物(例えば、SEMまたは光学検査システムによってキャプチャされたウエハもしくはフォトマスクの一部の画像、ADCによって分類される欠陥を大まかに中心とするSEM画像、欠陥がADRによって位置特定されるより大きな領域のSEM画像、同じマスク位置に対応する異なる検査モダリティの登録画像、セグメント化された画像、高さマップ画像など)から選択することができる。場合によっては、画像は、画像データ(例えば、キャプチャされた画像、処理された画像など)、および関連付けられた数値データ(例えば、メタデータ、手作りの属性など)を含むことができることに留意されたい。画像データは、試料の関心対象の層および/または1つもしくは複数の他の層に関連するデータを含むことができることにさらに留意されたい。
【0024】
本明細書で使用される「検査ツール」という用語は、非限定的な例として、試料もしくはその一部に関して提供される撮像、スキャン(単一または複数のスキャン)、サンプリング、レビュー、測定、分類、および/または他のプロセスを含む、検査関連プロセスで使用することができるあらゆるツールを包含するように広範に解釈されるべきである。1つまたは複数の検査ツール120は、1つもしくは複数の検査ツールおよび/または1つもしくは複数のレビューツールを含むことができる。場合によっては、検査ツール120のうちの少なくとも1つは、試料(例えば、ウエハ全体、ダイ全体、またはその一部)をスキャンして、潜在的な欠陥を検出するための検査画像を(典型的には、比較的高速および/または低解像度で)キャプチャするように構成された検査ツールとすることができる。場合によっては、検査ツール120のうちの少なくとも1つは、潜在的な欠陥が本当に欠陥であるかどうかを確認するための、検査ツールによって検出された欠陥のうちの少なくとも一部のレビュー画像をキャプチャするように構成されたレビューツールとすることができる。このようなレビューツールは、通常、ダイの断片を一度に1つずつ(典型的には、比較的低速および/または高解像度で)検査するように構成されている。検査ツールおよびレビューツールは、同じ場所または異なる場所に配置された異なるツール、あるいは2つの異なるモードで動作する単一のツールとすることができる。場合によっては、少なくとも1つの検査ツールが計測能力を有することができる。
【0025】
本開示の範囲を何ら限定することなく、検査ツール120は、光学撮像機、電子ビーム検査機などの様々なタイプの検査機として実装することができることにも留意されたい。場合によっては、同じ検査ツールが低解像度の画像データおよび高解像度の画像データを提供することができる。
【0026】
システム101は、ハードウェアベースのI/Oインターフェース126に動作可能に接続されたプロセッサおよびメモリ回路(PMC)102を含む。PMC102は、
図2を参照してさらに詳述されるように、システム101を動作させるために必要なすべての処理を提供するように構成されており、プロセッサ(別個に図示せず)およびメモリ(別個に図示せず)を備える。PMC102のプロセッサは、PMCに含まれる非一時的なコンピュータ可読メモリに実装されたコンピュータ可読命令に従って、いくつかの機能モジュールを実行するように構成することができる。このような機能モジュールは、以下、PMCに含まれるものとして言及される。
【0027】
PMC102に含まれる機能モジュールは、シミュレーションモジュール104およびラベルマップ生成モジュール106を含む。特定の実施形態では、ラベルマップ生成モジュール106は、リゾルバモジュール108を含むことができる。PMC102は、I/Oインターフェース126を介して、製造された半導体試料の少なくとも一部を表す画像に対応し、画像内のピクセルが画像内に提示された1つまたは複数の第1の構造要素に対応する予測確率を示す第1の確率マップを取得するように構成することができる。第1の確率マップは、深層学習モデル(例えば、セグメンテーションネットワーク112)を使用して画像を処理することによって生成することができる。PMC102は、第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびこれらのセグメントに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップを取得するようにさらに構成することができる。第2の構造要素は、少なくとも一部を特徴付ける設計データ内に提示される。同等の第2の構造要素は、同じラベルに関連付けられる。シミュレーションモジュール104は、第1のラベルマップに対してシミュレーションを実行して、第1のラベルマップ内のピクセルが1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示す第2の確率マップを取得するように構成することができる。ラベルマップ生成モジュール106は、第1の確率マップおよび第2の確率マップに基づいて第2のラベルマップを生成するように構成することができる。第2のラベルマップは、第1の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与える。同等の第1の構造要素は、同じラベルに関連付けられる。第2のラベルマップは、再現性が向上した画像のセグメンテーションに使用可能である場合がある。システム101、PMC102、およびそれらの内部の機能モジュールの動作は、
図2を参照してさらに詳述される。
【0028】
特定の実施形態によると、システム101は、例えば、図示するようなセグメンテーションネットワーク112などの深層学習モデルと動作可能に接続することができる。セグメンテーションネットワーク112は、それぞれのDNNアーキテクチャに従って編成された層を含むディープニューラルネットワーク(DNN)とすることができる。非限定的な例として、DNNの層は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アーキテクチャ、リカレントニューラルネットワークアーキテクチャ、リカーシブニューラルネットワークアーキテクチャ、敵対的生成ネットワーク(GAN)アーキテクチャなどに従って編成することができる。任意で、層の少なくとも一部を複数のDNNサブネットワークに編成することができる。DNNの各層は、当技術分野では、典型的には、次元、ニューロン、またはノードと呼ばれる複数の基本的な計算要素(CE)を含むことができる。
【0029】
一般に、所与の層の計算要素は、先行層および/または後続層のCEと接続することができる。先行層のCEと後続層のCEとの間の各接続は、重み付け値に関連付けられている。所与のCEは、それぞれの接続を介して先行層のCEから入力を受信することができ、所与の各接続は、所与の接続の入力に適用することができる重み付け値に関連付けられている。重み付け値は、接続の相対的な強度、したがって、所与のCEの出力に対するそれぞれの入力の相対的な影響を決定することができる。所与のCEは、活性化値(例えば、入力の加重和)を計算し、計算された活性化に活性化関数を適用することによって出力をさらに導出するように構成することができる。本開示の主題の教示は、DNNの特定のアーキテクチャによって拘束されないことに留意されたい。
【0030】
一部の実施形態では、システム101は、セグメンテーションネットワーク112またはその一部をさらに含むことができる。言い換えれば、セグメンテーションネットワーク112のそれぞれの機能は、少なくとも部分的に、システム101内に統合することができる。
【0031】
セグメンテーションシステム101に加えて、検査システム100は、例えば、欠陥検出モジュールおよび/または自動欠陥レビューモジュール(ADR)および/または自動欠陥分類モジュール(ADC)および/または計測関連モジュールおよび/または他の検査モジュールなどの1つまたは複数の検査モジュールを備えることができる。このような検査モジュールは、半導体試料の検査のためにセグメンテーションシステム101の出力を利用することができる。場合によっては、1つまたは複数の検査モジュールは、1つまたは複数の検査ツール120と少なくとも部分的に統合することができる。
【0032】
特定の実施形態によると、システム101は、ハードウェアベースのI/Oインターフェース126を介して、設計データサーバ110(例えば、CADサーバ)と動作可能に接続することができる。設計データサーバ110は、試料を特徴付ける設計データを記憶および提供するように構成されている。試料の設計データは、試料の物理的な設計レイアウト(例えば、CADクリップ)、ラスタ画像、および設計レイアウトから導出されたシミュレーション画像のいずれかのフォーマットとすることができる。特定の実施形態によると、第2の構造要素(すなわち、設計データ内に提示される構造要素)を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップを、例えば、設計データから導出し、設計データサーバ110またはストレージユニット122に記憶することができ、I/Oインターフェース126は、そこから第1のラベルマップを受信するように構成することができる。代替として、I/Oインターフェース126は、設計データサーバ110から、試料の少なくとも所与の部分を特徴付ける設計データを受信し、PMC102に提供して、設計データを処理して、第1のラベルマップを導出することができる。
【0033】
特定の実施形態によると、システム101は、ストレージユニット122を備えることができる。ストレージユニット122は、システム101を動作させるのに必要な任意のデータ、例えば、システム101の入力および出力に関連するデータ、ならびにシステム101によって生成された中間処理結果を記憶するように構成することができる。一例として、ストレージユニット122は、検査ツール120によって生成された画像および/またはその派生物を記憶するように構成することができる。したがって、1つまたは複数の画像は、ストレージユニット122から取り出され、さらなる処理のためにPMC102に提供され得る。ストレージユニット122は、試料および/またはその派生物を特徴付ける設計データを記憶するように構成することもできる。
【0034】
一部の実施形態では、システム101は、システム101に関連するユーザ指定の入力を可能にするように構成されたコンピュータベースのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)124を任意で備えることができる。例えば、ユーザは、試料の画像データおよび/または設計データを含む、試料の視覚的表現を(例えば、GUI124の一部を形成するディスプレイによって)提示され得る。ユーザは、GUIを介して、特定の動作パラメータを定義するオプションが提供され得る。ユーザはまた、例えば、セグメンテーション出力などの動作結果をGUI上で見ることができる。
【0035】
前述したように、システム101は、I/Oインターフェース126を介して、試料の少なくとも一部を表す画像に対応する第1の確率マップと、設計データ内に提示された第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与える第1のラベルマップと、を含む入力データを受信するように構成されている。システム101は、受信した入力データの少なくとも一部を処理し、I/Oインターフェース126を介して、結果(またはその一部)をストレージユニット122、および/または検査ツール120、および/またはGUI124(結果をレンダリングするための)、および/または外部システム(例えば、FABの歩留まり管理システム(YMS))に送信するようにさらに構成されている。
【0036】
当業者は、本開示の主題の教示が
図1に示されているシステムによって拘束されず、同等のおよび/または修正された機能性を別のやり方で統合もしくは分割することができ、ソフトウェアと、ファームウェアおよび/またはハードウェアとの任意の適切な組合せで実装することができることを容易に理解するであろう。
【0037】
図1に示す検査システムは、分散コンピューティング環境で実施することができ、その場合、
図1に示す前述の機能モジュールをいくつかのローカルおよび/またはリモート装置に分散させることができ、通信ネットワークを介してリンクさせることができることに留意されたい。別の実施形態では、検査ツール120、ストレージユニット122、および/またはGUI124のうちの少なくとも一部は、検査システム100の外部にあり、I/Oインターフェース126を介してシステム101とデータ通信して動作することができることにさらに留意されたい。システム101は、検査ツールと連携して使用されるスタンドアロンコンピュータとして実装することができる。代替として、システム101のそれぞれの機能は、少なくとも部分的に、1つまたは複数の検査ツール120と統合され、それによって、検査関連プロセスにおける検査ツール120の機能性を促進し、強化することができる。
【0038】
図2を参照すると、本開示の主題の特定の実施形態による、製造された半導体試料の画像をセグメント化する一般化された流れ図が示されている。
【0039】
第1の確率マップを取得することができる(202)(例えば、I/Oインターフェース126を介してPMC102によって)。第1の確率マップは、製造された半導体試料の少なくとも一部を表す画像に対応し、画像内のピクセルが画像内に提示された1つまたは複数の第1の構造要素に対応する予測確率を示す。
【0040】
画像は、試料の製造プロセスで得られた試料のFP画像とすることができる。非限定的な例として、画像は、1つまたは複数の検査ツール(例えば、光学検査システム、低解像度SEMなどの低解像度検査機)を使用して試料を検査することによって取得することができる。代替的または追加的に、画像は、1つまたは複数のレビューツール(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)などの、レビューのために選択された潜在的な欠陥位置のサブセットをレビューするための高解像度検査機)を使用して試料を検査することによって取得することができる。
【0041】
第1の確率マップは、深層学習モデル(例えば、図示するようなセグメンテーションネットワーク112などのDNN)を使用して画像を処理することによって生成することができる。一般的に言えば、セグメンテーションとは、画像を意味のある部分/セグメント(例えば、背景と前景、ノイズのある領域とノイズのない領域、構造要素、欠陥と非欠陥など)に分割し、一方で、そのようなセグメントを示すピクセルごとまたは領域ごとの値を提供する任意のプロセスを指すことができる。本開示の主題の特定の実施形態によると、セグメンテーションネットワーク112は、画像内に提示された1つまたは複数の構造要素(本明細書では第1の構造要素または画像ベースの構造要素とも呼ばれる)に従って画像をセグメント化するように構成することができる。セグメンテーションネットワークの出力(すなわち、第1の確率マップ)は、各ピクセル/要素の値が、画像内の対応するピクセルが画像内の構造要素に対応する/属する、または、例えば、画像内の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントに属する予測確率を示すセグメンテーション確率マップとすることができる。場合によっては、DNNに供給される画像は、試料の複数の層についての情報を与えることができ、第1の確率マップは、各層について生成することができる。
【0042】
本明細書で使用される構造要素は、輪郭を有する幾何学的形状もしくは幾何学的構造、または他のオブジェクトと組み合わされた幾何学的形状を有する画像データあるいは設計データ上の任意の元のオブジェクトを指すことができる。画像データ上に配置/提示される構造要素は、画像ベースの構造要素と呼ばれる(本明細書では第1の構造要素とも呼ばれる)ことがある。設計データ上に配置/提示される構造要素は、設計ベースの構造要素と呼ばれる(本明細書では第2の構造要素とも呼ばれる)ことがある。構造要素は、例えば、ポリゴンの形態で提示することができる。構造要素は、ユーザによって定義することができ、またはルールベースもしくは機械学習の技法を使用して自動的に定義することができる。
【0043】
第1の確率マップは、画像上の異なるセグメントを示す、ピクセルごとまたは領域ごとのセグメンテーションラベル(本明細書ではラベルとも呼ばれる)を含むセグメンテーションラベルマップを生成するために使用可能である。一部の実施形態では、セグメント化された各構造要素(および/またはそのピクセル)にセグメンテーションラベルを割り当てることができ、画像上の同等の構造要素を同じラベルに関連付けることができる。同等の構造要素は、その配向に関係なく、同じ設計パターンに対応する構造要素を指すことができる。例として、ある層上の構造要素(例えば、ポリゴン)は、あるセグメンテーションラベルを有することができ、別の層のポリゴンは、異なるセグメンテーションラベルを有することができ、一方、背景は、別のセグメンテーションラベルを有することができる。
【0044】
説明の目的で、本開示の主題の特定の実施形態による、試料の画像をセグメント化する概略図を例示する
図3も参照する。図示するように、検査ツール120によってキャプチャされた試料の画像302が受信され、処理のためにセグメンテーションネットワーク112に供給され、上述したように、第1の確率マップ306を発生させる。場合によっては、画像302は、各層が異なるタイプの構造要素を含む、試料の複数の層の情報を与えることができることに留意されたい。そのような場合、試料のそれぞれの層に対応する複数の第1の確率マップ306を生成することができる。
【0045】
本開示の主題の特定の実施形態によると、試料の画像を処理することによってセグメンテーションネットワークを使用して生成されたセグメンテーション確率マップは、比較的感度の高いセグメンテーション出力をもたらすことができる。例として、セグメンテーションネットワークは、セグメンテーション感度を高める目的で、特定のアーキテクチャで設計され、および/または特定の仕方で訓練され得る。そのような場合、セグメンテーション確率マップ、および/またはそこから導出されたセグメンテーションラベルマップは、高い感度をもたらすことができる。例として、セグメンテーション出力は、撮像条件、ツール/プロセスの変動などの物理的プロセスによって影響を受ける可能性がある特定の画像特性に厳密に従うことができる。例えば、セグメンテーションラベルマップに示されるセグメントは、画像内に提示される構造要素に関して高い精度および一貫性を有することができる(例えば、セグメントの輪郭は画像内のポリゴンと厳密に一致し、したがって、エッジは、粗く/ぼやけていてもよく、ポリゴン内の特定のピクセル/領域に、隣接ピクセルと一貫性のないセグメンテーションラベルを割り当てることができるなどである)。そのような場合、同じ試料の同じ場所でキャプチャされた異なる画像は、画像内に提示される分散に起因して異なるセグメンテーション結果をもたらす可能性がある。このようなセグメンテーションの結果は、顧客が、異なる画像に生じた分散に関係なく、同じ試料に対して繰り返し可能なセグメンテーション(精密なセグメンテーションとも呼ばれる)を必要とするため、あまり望ましくない。本開示の主題の特定の実施形態によると、以下でさらに詳細に説明するように、設計ベースのデータを使用して(すなわち、設計ラベルマップを使用してシミュレートされた確率マップを生成して)画像セグメンテーションに影響を与え、それによって、セグメンテーションの再現性/精度を改善する方法およびシステムが提案される。
【0046】
第1の確率マップに加えて、第1のラベルマップも取得することができる(204)(例えば、I/Oインターフェース126を介してPMC102によって)。第1のラベルマップは、第2の構造要素を表す1つまたは複数のセグメントおよびこれらのセグメントに関連付けられたラベルの情報を与えるセグメンテーションラベルマップとすることができる。第2の構造要素は、上述したように、試料の少なくとも一部を特徴付ける設計データ内に提示される設計ベースの構造要素である。同様に、同等の第2の構造要素が同じラベルに関連付けられる。言い換えれば、第1のラベルマップは、そのセグメントが設計ベースの構造要素に対応するため、設計ラベルマップと呼ぶことができる。第1のラベルマップの例は、
図3に304として示されている。本例に示されるように、第1のラベルマップ304は、2つのセグメント(異なるグレーレベルによって区別される)を提示し、一方のセグメントは、そこに含まれる構造要素(例えば、図示されるような列)に対応し、もう一方のセグメントは、背景に対応する。
【0047】
第1のラベルマップは、設計ベースの構造要素に対応するセグメントの情報を与えるが、必ずしも設計データに基づいて生成される必要はないことに留意されたい。特定の実施形態によると、第1のラベルマップは、設計データ、画像、および第1の確率マップうちの少なくとも1つに基づいて生成することができる。例として、第1のラベルマップは、設計データに基づいて、例えば、その設計ベースの構造要素がそれぞれのセグメンテーションラベルに関連付けられるように、設計データに対してシミュレーションを実行することによって生成することができる。場合によっては、そのようなシミュレーションは、設計ベースの構造要素と対応する画像ベースの構造要素との違いも考慮に入れる。例えば、場合によっては、設計ツールおよび/または撮像ツールの条件に起因して、ポリゴンなどの設計ベースの構造要素が、実際には、画像内に円形の形状で現れることがある。シミュレーションは、これを考慮に入れて、画像に現れたであろうシミュレートされた形状を有する構造要素を含むシミュレートされたラベルマップを生成することができる。
【0048】
別の例として、第1のラベルマップは、画像に基づいて生成することができる。例えば、ラベルマップは、SEM画像の構造要素の外観に従って手動で作成することができる。さらなる例として、第1のラベルマップは、第1の確率マップに基づいて生成することができる。例えば、第1のラベルマップは、第1の確率マップ内の繰り返し構造要素/パターンを識別し、繰り返しパターンを平均化して、ばらつきのないより滑らかな形状を有する共通パターンを取得し、共通パターンをそれぞれの繰り返しパターンの位置に配置することによって生成することができる。
【0049】
場合によっては、第1のラベルマップは、上述した様々な生成方法に従って事前に生成され、ストレージユニット122または設計データサーバ110に記憶されて、さらなる処理のためにPMC102に提供され得る。代替として、一部の他の場合では、生成プロセスは、前処理ステップとして、PMC102によって実行され得る(すなわち、ラベルマップ生成の機能は、PMC102に統合され得る)。
【0050】
第1のラベルマップを取得すると、第1のラベルマップに対して(例えば、シミュレーションモジュール104によって)シミュレーションを実行して(206)、第1のラベルマップ内のピクセルが1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示す第2の確率マップを取得することができる。第2の確率マップは、本明細書では、シミュレートされた確率マップとも呼ばれる。
図3に示すように、確率シミュレーションは、第1のラベルマップ304に対して実行され、シミュレートされた確率マップ308を発生させる。
【0051】
特定の実施形態によると、第1のラベルマップから第2の確率マップへのシミュレーションは、距離変換および確率変換を含むことができる。具体的には、第1のラベルマップに対して距離変換を実行して、距離マップを取得することができる。距離変換は、第1のラベルマップ内の所与の各ピクセルとそこから最も近いエッジとの間の相対距離に基づくことができる。次いで、距離マップは、第1のラベルマップ内のピクセルが最も近いエッジを基準として1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率の情報を与える第2の確率マップに変換することができる。
【0052】
ここで
図4に目を向けると、本開示の主題の特定の実施形態による、第1のラベルマップから第2の確率マップへのシミュレーションプロセスの例が示されている。
【0053】
図示するように、第1のラベルマップ402は、設計ベースの構造要素404に対応するセグメントを表すために、上述した生成方法に従って生成される。必ずしもそうである必要はないが、第1のラベルマップ402は、設計に従って1つまたは複数の層(例えば、本例では2つの層、背景層406と前景層408、すなわち、構造要素404を有する層)に分離することができる。距離変換は、2つの層406および408に対してそれぞれ実行され、2つの対応する距離マップ410および412を発生させる。距離変換をよりよく説明するために、
図5に注目する。
【0054】
ここで
図5を参照すると、本開示の主題の特定の実施形態による、第1のラベルマップから対応する距離マップへの距離変換の例が示されている。
【0055】
図示するように、第1のラベルマップ502(またはそこから分離された1つの層)は、「1」の値が構造要素501に対応するセグメントのラベルを表し、「0」の値が背景のラベルを表す、バイナリマップ504の形態で提示することができる。したがって、バイナリマップにおいて、「0」のピクセルの隣の「1」のピクセル(例えば、ピクセル510など)は、構造要素のエッジを示すことができる。距離変換は、バイナリマップ504に対して実行され、バイナリマップ504内の所与の各ピクセルとそこからの最も近いエッジとの間の相対距離に基づいて距離マップ506を取得することができる。例として、相対距離は、第1のラベルマップ内の所与の各ピクセルについて、i)所与のピクセルとそこから最も近いエッジとの間の距離、およびii)最も近いエッジに対する所与のピクセルの相対位置を含む。相対位置は、所与のピクセルが、輪郭が最も近いエッジを構成する所与の第2の構造要素内(すなわち、輪郭内)に位置するか、または所与の第2の構造要素の外側(すなわち、輪郭の外側)に位置するかを示すことができる。例えば、所与のピクセル508については、最も近いエッジは、値が「1」である対角ピクセル510によって示されている。したがって、ピクセル508と510との間の距離を計算することができる(例えば、本例では1.4)。ピクセル508が構造要素501の外側にあることを考慮すると、距離マップ506の対応する位置509に正の値1.4を割り当てることができる。さもなければ、例えば、ピクセル512などの所与のピクセルが所与の構造要素内に位置している場合、距離マップに負の値を割り当てて、この相対位置を示すことができる。同様に、そのような距離変換を、バイナリマップ504内のすべてのピクセルに対して実行することができ、対応する距離マップ506(および対応する代表的な画像503)を生成することができる。具体的な数値、正負の値、ならびに距離の計算方法は、例示および説明のみを目的としており、本開示を限定するものと決して解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0056】
図5の例から分かるように、距離変換から生成された距離マップは、各ピクセルとその近傍エッジとの間の相対距離の(例えば、それらの間の距離および近傍エッジに対する相対位置に関する)情報を与える。次いで、
図4に戻ると、確率変換は、
図5を参照して説明したように生成された2つの距離マップ410および412に対してそれぞれ実行され、2つの確率マップ414および416を発生させる。例として、確率変換は、距離マップの値を[0、1]の範囲に正規化することを含むことができる。例えば、正規化の1つの仕方は、対応する確率値(pとして示す)を相対距離(dとして示す)の指数関数、例えば、p=e
-d、または
【数1】
(本明細書では正規化関数とも呼ばれる)として計算することである。
【0057】
このような仕方で生成された、例えば、確率マップ416などの確率マップでは、構造要素の中心領域に位置するピクセルは、典型的には、1または1に近いなどの高い確率値を有する。構造要素の中心からエッジに向かって移動するにつれて、ピクセルの確率値は、徐々に減少する。エッジの外側の特定の点に達すると、確率値は、最終的に0に減少する。確率マップ416は、確率値のそのような緩やかな変化を示す(1から0に変化するピクセル値のランプ(ramp)418として示される)。上記の例示された正規化関数は、例示のみを目的として列挙されており、本開示を限定するものと決して見なされるべきではないことに留意されたい。任意の他の適切な関数を上記の代わりに使用することができる。場合によっては、正規化に使用される指数関数は、距離マップの特定の特性を示すことができ、確率の正規化を調整するために使用することができる1つまたは複数の追加パラメータを組み合わせることができる。そのような追加のパラメータの一例は、例えば、距離マップの滑らかさを示すパラメータとすることができ、確率マップにおける1から0への遷移の急峻さを調整するために使用することができる。任意で、2つの層に対応する確率マップ414および416は、例えば、2つの確率マップにargmax関数を適用することによって、さらなる処理のために1つの確率マップにまとめる/結合することができる。
【0058】
図2のブロック206の説明を続けると、
図5の上記の説明に従って生成された第2の確率マップは、第1のラベルマップ内のピクセルが第1のラベルマップ内に表された1つまたは複数のセグメントに対応するシミュレートされた確率を示すことができる。確率シミュレーションは、プロセスの変動など、物理プロセスによって引き起こされる可能性のある影響を考慮に入れる。シミュレートされた確率は、第1のラベルマップ内のピクセルが、第1のラベルマップ内に表されたセグメントに対応する「実際の」セグメントに属する尤度(すなわち、例えば、プロセス変動後にこれらのセグメントが実際にどのように現れるか)を反映する。例として、シミュレートされた確率マップは、構造要素の中心のピクセルが、構造要素の輪郭を取り囲むピクセル(例えば、構造要素の中心から遠く離れたピクセルおよび輪郭の外側に位置するピクセル)と比較して、構造要素に対応するセグメントに属する確率が理論的により高いという基本原理を示す。
【0059】
第2のラベルマップは、第1の確率マップおよび第2の確率マップに基づいて(例えば、ラベルマップ生成モジュール106によって)生成することができる(208)。第2のラベルマップは、第1の構造要素(すなわち、画像ベースの構造要素)を表す1つまたは複数のセグメントおよびそれらに関連付けられたラベルの情報を与える。同等の第1の構造要素は、同じラベルに関連付けられる。第2のラベルマップは、第1の確率マップのみから生成されたセグメンテーションラベルマップと比較して改善されたセグメンテーションラベルマップであり、再現性/精度が向上した画像のセグメンテーションに使用可能である場合がある。
【0060】
特定の実施形態によると、第2のラベルマップの生成は、第1の確率マップと第2の確率マップとを結合して、結合された確率マップを取得することと、ソルバを使用して、結合された確率マップを処理して第2のラベルマップを生成することと、を含むことができる。ソルバは、一般に、問題の記述を一般的な形式で受け取り、問題の解を計算するアルゴリズムを指す。本主題では、ソルバは、確率マップの入力情報に(場合によっては画像にも)基づいて、セグメントの分離の境界をどこに配置するかを決定するアルゴリズムを指す。場合によっては、第1の確率マップと第2の確率マップとの結合は、画像のセグメンテーションの感度と再現性との間の所望のトレードオフレベルを示す所定の重み係数を使用して実行することができる。例として、場合によっては、そのような重み係数は、特定の仕様要件に従って、例えば顧客によって決定することができる。場合によっては、そのような重み係数は、候補係数の群から選択することができる。重み係数を使用して重み付き結合を適用することによって、画像ベースのデータに対する設計ベースのデータの影響の量を制御することができ、セグメンテーションの感度と再現性との間の所望のバランスを達成することができる。
【0061】
特定の実施形態によると、ソルバは、高密度条件付き確率場(DCRF)、グラフカット、および隠れマルコフモデル(HMM)を含む群から選択することができる。一実施形態では、ソルバは、DCRFソルバとすることができる。DCRFソルバは、確率の形(例えば、結合された確率マップ)で単一のデータ項を受け入れ、どのラベルを各ピクセルに割り当てるかを決定するラベルマップを生成することができる。一部の他の実施形態では、結合された確率マップに加えて、DCRFは、画像を追加の入力として受け入れ、両方の入力に基づいてラベルマップを生成することができる。
【0062】
本開示の一部の実施形態では、DCRFを使用して、単項および対項に基づいて結合された確率マップを処理することができる。DCRFは、N回の反復後に極小値に収束する反復アルゴリズムを適用する(Nは、予め定義することができる)。極小値とは、所与のラベルが単項と対項に関連する誤差関数E(x)を最小化するセグメンテーションラベルマップが生成されることを意味する。
【0063】
例として、単項は、ピクセルが特定のセグメントに関連する確率に基づくことができる。例えば、単項は、argmax()の関数とすることができ、この関数は、このピクセルに対して最も高い確率を有するセグメントを出力する。対項は、2つの敵対項から構築することができる。例えば、対項は、外観カーネルおよび平滑化カーネルに基づいて構築することができる。外観カーネルは、所与のピクセルのラベルを類似したその隣接ピクセルに基づいて決定するエッジ保存ノイズ除去器(双方向フィルタとも呼ばれる)とすることができる(すなわち、ピクセルのラベルを、類似して見える(例えば、類似した確率を共有する)その近傍ピクセルを調べることによって決定する)。その結果、外観カーネルは、確率マップを平滑化するが、セグメント間の鋭いエッジを保存する。例として、外観カーネルは、隣接ピクセル間の相対位置および類似性に関連する指数関数として実装することができる。平滑化カーネルは、所与のピクセルのラベルを、その隣接ピクセルに基づいて決定する。このカーネルは、エッジを保存することなく確率マップを平滑化する。例として、平滑化カーネルは、ピクセル間の相対位置に関連する指数関数として実装することができる。
【0064】
両方のカーネルを適用することによって、結合された確率マップは、少なくとも次の2つの態様から平滑化することができる。i)各構造要素の輪郭内の確率を平滑化することができ、これは、ポリゴン内のピクセルが通常は同じセグメントに属するはずであるという仮定に基づいており、ii)各構造要素の輪郭に沿った確率を、エッジを保存しながら平滑化することができ、これは、ポリゴンが通常は粗い輪郭ではなく、滑らかであるという仮定に基づいている。
【0065】
DCRFは、本明細書では、平滑化されたセグメンテーションラベルマップを取得するために、結合された確率マップを処理するのに使用可能なモデルの一例として説明されており、本開示を限定するものと決して見なされるべきではないことに留意されたい。画像平滑化および画像セグメンテーションに使用可能な他の適切なモデルおよび/またはツールおよび/または方法、例えば、グラフカットおよび隠れマルコフモデル(HMM)などを、上記に加えて、または上記の代わりに使用することができる。
【0066】
本明細書に記載されたセグメンテーションプロセスの特定の実施形態の利点の中には、特定の方法で導出された設計ベースのデータ(例えば、設計ラベルマップから導出されたシミュレートされた確率マップ)を使用して、製造された半導体試料の画像のセグメンテーションに影響を与え、それによってセグメンテーション結果の再現性および精度を改善することがある。この影響は、シミュレートされた確率マップを、画像を処理することから得られた確率マップと結合し、結合された確率マップを処理することによって強化されたセグメンテーションラベルマップを導出することによって達成することができる。強化されたセグメンテーションは、ADC、ADR、欠陥検出、マッチング、計測、その他の検査タスクなどの、様々なアプリケーションに使用することができる。
【0067】
図3に示すように、2つの確率マップ306および308は、重み係数θ(310として示される)を使用して結合され、結合された確率マップが、DCRF312への入力として提供されて、処理される。結果として、再現性が向上した第2のラベルマップ314が導出される。第2のラベルマップ314は、第1の確率マップ306のみから生成されたラベルマップと比較して、再現性が向上している。
【0068】
本開示は、その適用において、本明細書に含まれる、または図面に示される説明に記載された詳細に限定されないことを理解されたい。
【0069】
本開示によるシステムは、少なくとも部分的に、適切にプログラムされたコンピュータ上に実装され得ることも理解されよう。同様に、本開示は、本開示の方法を実行するためにコンピュータによって読み取り可能なコンピュータプログラムを企図している。本開示は、本開示の方法を実行するためのコンピュータによって実行可能な命令のプログラムを明白に具現化する非一時的なコンピュータ可読メモリをさらに企図している。
【0070】
本開示は、他の実施形態が可能であり、様々なやり方で実施および実行することができる。したがって、本明細書で用いられる語句および術語は、説明を目的としたものであり、限定的なものと見なされるべきでないことを理解されたい。そのため、当業者は、本開示の基礎となる概念が、本開示の主題のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。
【0071】
当業者は、添付の特許請求の範囲において、および添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、前述したように、様々な修正および変更を本開示の実施形態に適用することができることを容易に理解するであろう。
【符号の説明】
【0072】
100 検査システム
101 セグメンテーションシステム
102 PMC
104 シミュレーションモジュール
106 ラベルマップ生成モジュール
108 リゾルバモジュール
110 設計データサーバ
112 セグメンテーションネットワーク
120 検査ツール
122 ストレージユニット
126 I/Oインターフェース
206 ブロック
302 画像
304 第1のラベルマップ
306 第1の確率マップ
308 確率マップ
314 第2のラベルマップ
402 第1のラベルマップ
404 構造要素
406 背景層
408 前景層
410 距離マップ
414 確率マップ
416 確率マップ
501 構造要素
502 第1のラベルマップ
503 画像
504 バイナリマップ
506 距離マップ
508 ピクセル
510 ピクセル
512 ピクセル
θ 重み係数