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特許7530374放射ビームを測定するための方法およびリソグラフィ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】放射ビームを測定するための方法およびリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021547287
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2020052250
(87)【国際公開番号】W WO2020164918
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】19156895.5
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ドンケルブローク、アラン、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】チョードゥリー、ヤシーン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン、モーリス、ヘンリクス、フランシスクス
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524946(JP,A)
【文献】特開2006-237494(JP,A)
【文献】特開2013-221770(JP,A)
【文献】特開2003-197510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸を有する投影システムによって投影された放射ビームを測定する測定ユニットを備え、
測定ユニットは、
稼働中に前記投影システムによって投影された放射ビームが通過する開口と、
光軸に交差するように広がり、開口を通過する放射ビームを測定するセンシング面と、
を備え、
光軸に交差する平面内の複数の測定位置の間でセンシング面は移動可能であり、
放射ビームは前記平面内で視野を定義し、
測定ユニットは、センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知するように構成され
放射ビームが通過する複数の開口が用いられ、測定位置毎に一つの開口が使用される測定ユニットが設けられ、
センシング装置は、センシング面の複数測定位置間の動作に応じて、複数の開口を光軸に交差する方向に駆動するように構成される、
リソグラフィ装置のためのセンシング装置。
【請求項2】
光軸を有する投影システムによって投影された放射ビームを測定する測定ユニットを備え、
測定ユニットは、
稼働中に前記投影システムによって投影された放射ビームが通過する開口と、
光軸に交差するように広がり、開口を通過する放射ビームを測定するセンシング面と、
を備え、
光軸に交差する平面内の複数の測定位置の間でセンシング面は移動可能であり、
放射ビームは前記平面内で視野を定義し、
測定ユニットは、センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知するように構成され、
測定ユニットは稼働中に放射ビームが通過する唯一の開口を備え、
センシング装置は、各測定位置での測定の間に、投影システムによって投影された放射ビームに対する単一の開口の位置を維持するように構成される、
リソグラフィ装置のためのセンシング装置。
【請求項3】
センシング面が放射ビームを複数の測定位置で測定するように構成される場合、センシング装置は投影システムによって投影された放射ビームの位置を実質的に一定の位置に維持するように構成される、請求項1または2に記載のセンシング装置。
【請求項4】
一つの測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分の少なくとも一部は、他の測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分と重複しない、請求項1から3のいずれかに記載のセンシング装置。
【請求項5】
格子のような1次元または2次元パターンが開口に設けられる、請求項1からのいずれかに記載のセンシング装置。
【請求項6】
測定ユニットが支持テーブル上に設けられる、請求項1からのいずれかに記載のセンシング装置。
【請求項7】
投影システムによって投影された放射ビームが光軸に沿い、センシング面が駆動される平面が光軸に直交する、請求項1からのいずれかに記載のセンシング装置。
【請求項8】
前記平面内で視野の100%の測定結果を提供するために、センシング装置は複数の測定位置で検知される視野の部分を結合するように構成される、請求項1からのいずれかに記載のセンシング装置。
【請求項9】
開口とセンシング面の間の距離は、前記平面内の視野の100%領域がセンシング面より大きくなるように設定される、請求項1からのいずれかに記載のセンシング装置。
【請求項10】
センシング面は、前記平面内の視野の100%領域の約70%以下、または、前記平面内の視野の100%領域の約60%以下、または、前記平面内の視野の100%領域の約50%以下、または、前記平面内の視野の100%領域の約30%以下である、請求項に記載のセンシング装置。
【請求項11】
複数の開口はセンシング面に対して固定された位置にある、請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項12】
各測定位置において少なくとも一つの開口が放射ビームの外側にあるように複数の開口が配置される、請求項1または11に記載のセンシング装置。
【請求項13】
センシング装置は、各測定位置において複数の開口の一つを除いて全ての開口を覆うように構成されるマスクを備える、請求項1、11または12に記載のセンシング装置。
【請求項14】
複数の開口は同じ格子を備える、請求項1、11から13のいずれかに記載のセンシング装置。
【請求項15】
請求項1から1のいずれかに記載のセンシング装置を備えるリソグラフィ装置。
【請求項16】
光軸を有する投影システムを用いて放射ビームが投影される測定システムにおける開口を通過した放射ビームを、測定ユニットの光軸に交差するように広がるセンシング面を用いて、複数の測定位置で測定するステップを備え、
放射ビームを測定するステップは、光軸に交差する平面内の複数測定位置間でセンシング面を駆動するステップを備え、
放射ビームは前記平面内で視野を定義し、
センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知し、
稼働中に前記投影システムによって投影された放射ビームが通過する複数の開口が用いられ、測定位置毎に一つの開口が使用される測定ユニットが設けられ、
前記駆動するステップは、センシング面の複数測定位置間の動作に応じて、複数の開口を光軸に交差する方向に駆動する、
リソグラフィ装置のためにセンシング装置によって放射ビームを測定する方法。
【請求項17】
光軸を有する投影システムを用いて放射ビームが投影される測定システムにおける開口を通過した放射ビームを、測定ユニットの光軸に交差するように広がるセンシング面を用いて、複数の測定位置で測定するステップを備え、
放射ビームを測定するステップは、光軸に交差する平面内の複数測定位置間でセンシング面を駆動するステップを備え、
放射ビームは前記平面内で視野を定義し、
センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知し、
測定ユニットは稼働中に前記投影システムによって投影された放射ビームが通過する唯一の開口を備え、
各測定位置での測定の間に、投影システムによって投影された放射ビームに対する単一の開口の位置を維持するステップを備える、
リソグラフィ装置のためにセンシング装置によって放射ビームを測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2019年2月13日に出願された欧州出願19156895.5号の優先権を主張し、その全体が参照により本書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、放射ビームを測定するための方法およびリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、基板上または基板の部分に所望のパターンを適用する装置である。リソグラフィ装置は、例えば、フラットパネルディスプレイ、集積回路(IC)、微細構造を伴う他のデバイスの製造に使用されうる。従来の装置では、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスが、フラットパネルディスプレイ(または他のデバイス)の各層に対応する回路パターンを生成するために使用されうる。このパターンは、基板(例えばガラスプレート)上に形成された放射感応性材料(例えばレジスト)の層に結像することで、基板の全部または一部の上に転写される。
【0004】
回路パターンの代わりに、パターニングデバイスは他のパターン、例えばカラーフィルタパターンやドットマトリックスを生成するために使用されうる。マスクの代わりに、パターニングデバイスは個別制御可能素子アレイを備えるパターニングアレイでもよい。このようなシステムでは、マスクによるシステムと比べて、より早く低コストでパターンが変えられる。フラットパネルディスプレイ基板の形状は典型的には矩形である。このタイプの基板を露光するリソグラフィ装置は、矩形基板の幅の全部または一部(例えば幅の半分)に及ぶ露光領域を提供する。マスクまたはレチクルがビームによって同時にスキャンされる間に、基板は露光領域の下でスキャンされる。このようにパターンが基板に転写される。露光領域が基板の幅の全部に及ぶ場合、露光は単一のスキャンで完了する。露光領域が例えば基板の幅の半分に及ぶ場合、最初のスキャンの後に基板が横方向に駆動され、基板の残りを露光するための更なるスキャンが典型的に実行される。
【0005】
リソグラフィは基板上への正確性の高いパターンの投影を含む。高い正確性で投影を行うために、装置内で各種のキャリブレーション測定が行われる。いくつかの例では、装置の調整がこれらの測定に応じて行われる。
【0006】
レンズ収差およびイルミネータの瞳面における強度分布を測定するために、公知のイメージセンサが使用されてもよい。このようなセンサは投影レンズからの光を格子またはピンホールを通じて透過させるトッププレートを備えてもよく、光のスポットを記録するための共役瞳面にセンサが配置される。測定される光の解像度はセンサの角解像度に応じて決まる。解像度は、画素数およびセンサが利用可能な空間によって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
リソグラフィツールの開発の進展に伴って投影光学に対する要求が高まっており、より良いイメージングを可能にするためにより厳密な収差コントロールが求められている。補正技術の向上のためには、求められる解像度に適合した先進的な高解像度のリソグラフィツールを提供するような高い空間解像度の波面測定が必要である。このような高い空間解像度の波面測定は、リソグラフィ装置のセットアップ中に照明瞳を測定する上で特に好ましい。
【0008】
このようなセンサで利用可能な解像度は様々な理由で制限されるが、特にセンサの画素数およびセンサが利用可能な空間の影響が大きい。より高い解像度を得るためには、小さい画素が必要となる、または、センサで使用されるマーカから検出器を更に遠ざけて配置することで、スポットサイズを大きくすることが必要となる。しかし、いずれの解決策にも制約がある。画素サイズが小さすぎる場合、画素間のクロストークが発生し、センサの測定品質を悪化させる。このようなタイプのセンサが利用可能な空間についての幾何学的な制約もあり、センサおよびマーカの間の距離を大きくすることが不可能な場合もある。更に、使用されるセンサのタイプは、商業的に利用可能なもの(すなわち既製の検出器)になる傾向がある。このように、既に利用可能なまたは既に使用されているセンサ技術をより効果的な態様で利用する解決策を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、光軸を有し、放射ビームを投影する投影システムと、投影システムによって投影された放射ビームを測定する測定ユニットと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。測定ユニットは、稼働中に放射ビームが通過する開口と、光軸に交差するように広がり、開口を通過する放射ビームを測定するセンシング面と、を備える。リソグラフィ装置は光軸に交差する平面内の複数の測定位置の間でセンシング面を駆動し、放射ビームは前記平面内で視野を定義し、測定ユニットは、センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知するように構成される。
【0010】
本発明では、放射ビームを提供するステップと、光軸を有する投影システムを用いて、測定システムにおける開口を通じて放射ビームを投影するステップと、測定システムの光軸に交差するように広がるセンシング面を用いて、開口を通過した放射ビームを複数の測定位置で測定するステップと、を備えるリソグラフィ装置における放射ビームを測定する方法も提供される。放射ビームを測定するステップは、光軸に交差する平面内の複数測定位置間でセンシング面を駆動するステップを備え、放射ビームは前記平面内で視野を定義し、センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知する。
【0011】
本発明の更なる実施形態、特徴、利点、および、本発明の各種の実施形態の構造および動作は、図面を参照して以下で詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
明細書の部分を構成する図面は、本発明の一または複数の実施形態を示し、明細書の記載と共に、本発明の趣旨を説明して当業者が本発明を実施することを可能にする。
【0013】
図1】リソグラフィ装置を模式的に示す。
【0014】
図2】公知の測定センサを模式的に示す。
【0015】
図3】実施形態の装置を模式的に示す。
【0016】
図4】実施形態の装置を模式的に示す。
【0017】
図5】実施形態に係る方法を示す。
図6】実施形態に係る方法を示す。
【0018】
以下、本発明の一または複数の実施形態について図面を参照して記述する。図面では、同様の参照符号は同一または機能的に同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この明細書は本発明の特徴を備える一または複数の実施形態を開示する。開示される実施形態は発明を例示するものに過ぎない。発明の範囲は開示される実施形態に限定されない。発明は添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0020】
記載される実施形態および明細書における「一つの実施形態」、「ある実施形態」「ある実施例」等への参照は、記載される実施形態が特定の特徴、構造、特性を含みうることを示すが、全ての実施形態がこれらの特定の特徴、構造、特性を必ずしも含むものではない。更に、このような語句は必ずしも同一の実施形態を指すものではない。更に、ある実施形態に関して特定の特徴、構造、特性が記載される場合、このような特徴、構造、特性を他の実施形態に適用することは、明示的に記載されるか否かに関わらず当業者にとって自明であると理解される。
【0021】
図1は、リソグラフィ装置を模式的に示す。装置は、放射ビームB(例えばUV放射または他の適切な放射)を調整する照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持し、各種のパラメータに応じてパターニングデバイスを正確に位置決めする決めする第1位置決めデバイスPMに接続されるパターニングデバイスサポートまたは支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、を含む。リソグラフィ装置は、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを支持し、各種のパラメータに応じて基板を正確に位置決めする決めする第2位置決めデバイスPWに接続される基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTまたは「基板サポート」も含む。基板サポートは、基板ホルダが載置される基板テーブルWT(チャックとも呼ばれる)を備えてもよい。基板ホルダは基板Wを支持してもよい。装置は、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば一または複数のダイを含む)上に投影する投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSを更に含む。
【0022】
照明システムILは、放射の方向付け、形成、制御のために、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型その他の様々なタイプの光学コンポーネントまたはこれらの任意の組合せを含んでもよい。
【0023】
パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスMAの向き、リソグラフィ装置のデザイン、パターニングデバイスMAが真空環境で保持されるか否か等の他の条件に応じた態様でパターニングデバイスMAを保持する。パターニングデバイスサポートは、機械式、真空式、静電式、パターニングデバイスを保持するための他のクランプ技術を使用できる。パターニングデバイスサポートは、必要に応じて固定されたまたは移動可能なフレームまたはテーブルでもよい。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスMAが投影システムPS等に対して所望の位置にあることを担保しうる。以下、「レチクル」や「マスク」の用語は、より概括的な用語「パターニングデバイス」と同義に解釈されうる。
【0024】
「パターニングデバイス」の用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するために、放射ビームの断面にパターンを付与する目的に使用されうる任意のデバイスを指すものと広義に解釈すべきである。例えばパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、放射ビームBに付与されたパターンが基板Wのターゲット部分における所望のパターンに正確に対応するとは限らない。一般的に、放射ビームBに付与されたパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路等のデバイスにおける特定の機能層に対応する。
【0025】
パターニングデバイスMAは透過型または反射型でもよい。パターニングデバイスMAの例は、マスク、プログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルを含む。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリ、レベンソン型位相シフト、ハーフトーン型位相シフト、各種のハイブリッドマスクタイプ等のマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイは、例えば、微小ミラーのマトリックス配置を利用する。各微小ミラーは入射する放射ビームを異なる方向に反射するために個別に傾けられる。傾けられたミラーは、ミラーマトリックスによって反射された放射ビームにパターンを付与する。
【0026】
「投影システム」の用語は、使用される露光放射や液浸液や真空の使用等の他の要素にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁気型、静電型の光学システム、これらの組合せを含む任意のタイプの投影システムを包含するものと広義に解釈すべきである。以下、「投影レンズ」の用語は、より概括的な用語「投影システム」と同義に解釈されうる。
【0027】
図示されるように、装置は透過型(例えば透過型マスクを用いるもの)である。あるいは、装置は反射型(例えば前述のプログラマブルミラーアレイや反射マスクを用いるもの)でもよい。
【0028】
リソグラフィ装置は、二つ(デュアルステージ)以上の基板テーブルまたは「基板サポート」(および/または二つ以上のマスクテーブルまたは「マスクサポート」)を有するタイプでもよい。このような「マルチステージ」装置では、追加的なテーブルまたはサポートが並行して使用されてもよいし、一または複数の他のテーブルまたはサポートが露光に使用されている間に、一または複数のテーブルまたはサポート上で準備ステップが実行されてもよい。
【0029】
リソグラフィ装置は、比較的高い屈折率を有する水等の液体が基板Wの少なくとも一部を覆い、投影システムPSと基板Wの間の空間を満たすタイプでもよい。液浸液は、パターニングデバイス(例えばマスク)MAと投影システムPSの間等のリソグラフィ装置内の他の空間に供給されてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために使用されうる。「液浸」の用語は、基板等の構造が液体に浸らなければならないことを意味するのではなく、露光中に液体が投影システムPSと基板Wの間に存在することだけを意味する。
【0030】
図1に示されるように、イルミネータILは放射源SOから放射ビームBを受け取る。例えば放射源がエキシマレーザである場合、放射源およびリソグラフィ装置は別体でもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の部分を構成せず、放射ビームBは、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOからイルミネータILへ渡される。例えば放射源が水銀ランプである他の場合、放射源はリソグラフィ装置と一体的に構成される部分でもよい。放射源SOおよびイルミネータILは、必要な場合はビームデリバリシステムBDと共に放射システムとも呼ばれる。
【0031】
イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するための.アジャスタADを含んでもよい。一般的に、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側半径範囲および/または内側半径範囲(一般的にσ-outer/σ-innerとそれぞれ呼ばれる)が調整可能である。加えて、イルミネータILは、インテグレータINやコンデンサCO等の各種の他のコンポーネントを含んでもよい。イルミネータは、放射ビームBが断面における所望の均一性および強度分布を有するように調整するために使用されてもよい。
【0032】
放射ビームBは、マスク支持構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MA上に入射し、パターニングデバイスMAによってパターン付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを通過した放射ビームBは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点を合わせる投影システムPSを通過する。第2位置決めデバイスPWおよび位置センサIF(例えば干渉デバイス、リニアエンコーダ、静電容量センサ)によって基板テーブルWTは正確に駆動され、例えば、異なるターゲット部分Cが放射ビームBの経路上に順次移動する。同様に、第1位置決めデバイスPMおよび他の位置センサ(図1では不図示)は、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを、例えばマスクライブラリから機械的に取り出された後またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対して正確に位置決めする決めするために使用されうる。一般的に、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTの動作は、第1位置決めデバイスPMの部分を構成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)によって実現される。同様に、基板テーブルWTまたは「基板サポート」の動作は、第2ポジショナPWの部分を構成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールによって実現される。スキャナではなくステッパの場合、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTは、ショートストロークアクチュエータだけに接続されてもよいし、固定されてもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を用いて位置決めされてもよい。図示の基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占めるが、これらはターゲット部分の間の領域に設けられてもよい(これらはスクライブラインアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイス(例えばマスク)MA上に複数のダイが設けられる場合、パターニングデバイスアライメントマークはダイの間に設けられてもよい。
【0033】
図示の装置は以下の少なくとも一つのモードで使用しうる。
1.ステップモードでは、放射ビームBに付与された全体パターンがターゲット部分C上に一度に投影される(すなわち単一静的露光)間に、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」および基板テーブルWTまたは「基板サポート」が実質的に静止状態に維持される。その後、異なるターゲット部分Cが露光されるように、基板テーブルWTまたは「基板サポート」はXおよび/またはY方向に駆動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズを制限する。
2.スキャンモードでは、放射ビームBに付与されたパターンがターゲット部分C上に投影される(すなわち単一動的露光)間に、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」および基板テーブルWTまたは「基板サポート」が同時にスキャンされる。パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」に対する基板テーブルWTまたは「基板サポート」の速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)および像反転特性によって決定しうる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが単一動的露光におけるターゲット部分の幅(非スキャン方向)を制限し、スキャン動作の長さがターゲット部分の高さ(スキャン方向)を決定する。
3.他のモードでは、パターン付与された放射ビームがターゲット部分C上に投影される間に、プログラマブルパターニングデバイスを保持するパターニングデバイス(例えばマスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」が実質的に静止状態に維持され、基板テーブルWTまたは「基板サポート」が駆動またはスキャンされる。このモードでは、一般的にパルス放射源が利用され、基板テーブルWTまたは「基板サポート」の各動作後またはスキャン中の連続する放射パルスの間に、プログラマブルパターニングデバイスが必要に応じて更新される。この動作モードは、前述のタイプのプログラマブルミラーアレイ等のプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
【0034】
前述の各使用モードの組合せおよび/または変形または全く異なる使用モードを利用してもよい。
【0035】
前述のように、基板W上に入射する放射ビームBにおける誤差を低減するための測定が行われてもよい。投影システムPSによって投影された放射ビームBのキャリブレーション測定を実行するために公知のセンサが使用されてもよい。このようなリソグラフィ装置で行われるキャリブレーション測定の一例は、投影システムPSによって投影される放射ビームに存在する収差の測定である。しかし、このような測定を実行する上で、公知のセンサの解像度には限界がある。前述のように、解像度はセンサの画素数および/またはセンサが利用可能な空間によって制限される。例えば、画素数はセンサ技術および/または使用されるセンサのコストによって制限される。センサが利用可能な空間はセンサの位置に応じて制限される。
【0036】
このように、リソグラフィ装置における放射ビームを測定するための装置および方法を提供することが好ましい。理想的には、本発明の装置および方法は、リソグラフィ装置における測定精度を向上するために使用されうる。
【0037】
本発明は例えば前述のようなリソグラフィ装置に関する。リソグラフィ装置は、前述の特徴の一部または全部を備えてもよい。リソグラフィ装置は前述の特徴の全てを含むものに限定されない。
【0038】
リソグラフィ装置は、光軸を有し、放射ビームを投影する投影システムを備える。リソグラフィ装置の投影システムは、前述の例のように構成されてもよいし、他の態様に構成されてもよい。一般的に、投影システムは放射ビームを投影するために使用される任意のシステムである。放射ビームは前述の放射ビームBと同じでもよい。
【0039】
光軸は、光学システムすなわち投影システムにおいて、その周りにある程度の回転対称性がある直線を概ね意味する。光軸は投影システムの中心軸を必ずしも通る必要はない。投影システムによって投影された放射ビームは、光軸に沿ってもよい。このように、光軸は投影システムによって放射ビームが投影される軸でもよい。
【0040】
リソグラフィ装置は、投影システムを介して投影される放射ビームを測定する測定ユニットを更に備える。測定ユニットは、稼働中に放射ビームが通過する開口測定ユニットは、光軸に交差するように広がるセンシング面を更に備える。センシング面は開口を通過する放射ビームを測定する。センシング面は、開口を通過する放射ビームがセンシング面上に入射するように、光軸に対して位置決めされてもよい。このように、放射ビームが開口を通過した後にセンシング面に入射するように、センシング面は開口の下流にある。
【0041】
センシング面が光軸に交差するとは、センシング面が光軸を横切って広がることを意味する。このように、センシング面は光軸に平行ではない。更に、センシング面は光軸がセンシング面を通過するように位置決めされる。例えば、センシング面は光軸に直交してもよい。しかし、これは必須ではなく、センシング面は光軸に対して傾斜していてもよい(すなわちセンシング面と光軸の間の角度が0度より大きく90度より小さい)。
【0042】
リソグラフィ装置は、光軸に交差する平面内の複数の測定位置の間でセンシング面を駆動する。このように、センシング面が駆動される平面は光軸に平行ではない、すなわち光軸に平行な方向のみに広がっているのではない。換言すれば、少なくとも複数測定間のセンシング面の動作コンポーネントは光軸に平行でない、すなわち、必ず光軸に垂直な動作コンポーネントがあり、オプションで光軸に平行な動作コンポーネントがあってもよい。更に、平面は光軸が当該平面を通過するように位置決めされる。センシング面が駆動される平面は光軸に直交するのが好ましい。これによって、測定が開口から所定距離で行われるため、測定をより簡単に行える。しかし、これは必須ではなく、平面は光軸に対して傾斜していてもよい(すなわち平面と光軸の間の角度が0度より大きく90度より小さい)。
【0043】
後述するように、センシング面は異なる測定位置に駆動され、センシング面に入射する放射ビームを当該測定位置において測定してもよい。センシング面は様々な方法で駆動されてもよい。センシング面は、放射ビームに対して駆動されてもよい、すなわち、前述のように光軸に沿って駆動されてもよい。
【0044】
放射ビームは前記平面(センシング面が駆動される平面)内の視野を定義する。これは放射ビームが平面を通過する断面が視野を提供することを意味する。放射ビームは平面内のセンシング面によって測定される。後述するように、放射ビームの強度は視野に亘って変動しうる。
【0045】
測定ユニットは、各測定位置においてセンシング面が100%視野より小さい視野の一部を占めるように構成される。換言すれば、センシング面が駆動される平面内でセンシング面は視野の100%より小さい。このため、センシング面が駆動される平面内で放射ビームの断面を取れば、放射ビームの断面領域(視野の100%)はセンシング面の断面領域より大きい。これは、センシング面が一つの測定位置にある時に、放射ビームの全部ではない一部のみがセンシング面に一度に入射することを意味する。前述のように、平面に亘って複数回の放射ビームの測定が行われるように、センシング面は平面内の異なる測定位置に駆動される。視野の100%は全体視野とも呼ばれる。
【0046】
このように構成される測定ユニットを設けることで、公知のセンサより高い解像度の測定を行える。具体的には、センシング面は公知のセンサより放射ビームの小さい部分を測定するために使用されるため、同じセンシング面(すなわち同じ画素数およびセンシング面サイズ)を用いて放射ビームの測定をより高い解像度で行えることを意味する。あるいは、このような解像度の向上がユーザに大きな便益をもたらさない場合、ユーザは現在のシステムを本発明によって置き換えることで、同じ解像度での測定をより小さい測定ユニットを用いて実行できる。あるいは、このような解像度の向上がユーザに大きな便益をもたらさない場合、ユーザは現在のシステムを本発明によって置き換えることで、同じ解像度での測定をより安価なセンシング面等のより大きな画素を用いて実行できる。大きな画素では、画素クロストークが少なくノイズも減るため、正確な測定が可能になる。
【0047】
センシング面はセンサの一部でもよい。センシング面は実質的に平面でも曲面でもよい。センシング面は平面でもよいが、光軸に対して角度(平行でも垂直でもない)をなしていてもよい、すなわちセンシング面は傾斜していてもよい。センシング面は任意の適切な形状でもよい。以下、図ではセンシング面が正方形または矩形として示される。しかし、センシング面は特定の形状に限定されない。センシング面は放射ビームを測定できるセンサの一部、すなわち、入射する放射ビームを測定するためのセンサの一部でもよい。各種の異なるタイプのセンシング面/センサが使用されてもよい。例えば、センシング面は電荷結合素子(CCD)および/または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサの一部でもよい。センサは検出器やセンシングユニットとも呼ばれる。光強度を検知するように構成される任意のセンサまたは検出器が使用されうる。センシング面は複数のセルおよび/または個別センシングデバイスによって提供されてもよい。例えば、センシング面は感光デバイスのストライプによって形成されてもよい
【0048】
前述のように、リソグラフィ装置はセンシング面を駆動するように構成される。このように、リソグラフィ装置は、センシング面の位置を変え、特に複数測定位置間でセンシング面を駆動するように設けられてもよい。センシング面は、このようにセンシング面が駆動される平面内で、放射ビームの複数位置の測定結果を取得してもよい。これは平面内で放射ビームのより大きい部分がより高い解像度で測定されることを意味するため好ましい。
【0049】
センシング面の位置は放射ビームに対して駆動されてもよい。リソグラフィ装置は、センシング面が放射ビームを複数の測定位置で測定するように構成される場合、投影システムによって投影された放射ビームの位置を実質的に一定の位置に維持するように構成されてもよい。このように、放射ビームの位置は実質的に一定に保たれ、センシング面の位置が変えられてもよい。センシング面の動作については以下で更に詳細に記述する。このように、センシング面は、センシング面が駆動される平面内で放射ビームの異なる部分を測定するために使用されうる。測定される放射ビームの部分は、測定が行われるセンシング面の位置に基づいて決定されうる。
【0050】
リソグラフィ装置は前述のように支持テーブルを備えてもよい。支持テーブルは、基板Wを支持するように構成され、例えば、支持テーブルは前述のように基板テーブルWTでもよい。測定ユニットは支持テーブル上に設けられてもよい。このように、測定ユニットは支持テーブルの表面上に支持されてもよい。測定ユニットは支持テーブルの一部として形成されてもよい。
【0051】
リソグラフィ装置は支持テーブルの駆動によってセンシング面を駆動するように構成されてもよい。リソグラフィ装置は多数の異なる方法でセンシング面を駆動するように構成されてもよい。センシング面(より一般的には測定ユニット)が支持テーブルによって支持される場合、支持テーブルの動作がセンシング面(および測定ユニット)の位置を駆動する。例えば、リソグラフィ装置は、支持テーブルを正確に駆動するように構成される第2ポジショナPWおよび位置センサIF等のポジショナおよびセンサを備えてもよい。前述のように、ポジショナはオプションで、支持テーブル(従ってセンシング面)を正確に位置決めする決めするためのロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを備えてもよい。センシング面が他のサポート上またはその一部として設けられる場合、同様のコンポーネントがサポートおよび/またはセンシング面を正確に位置決めするために使用されてもよい。
【0052】
加えてまたは代えて、センシング面の位置はセンシング面が設けられるサポートと独立に制御されてもよい。このように、リソグラフィ装置はセンシング面をサポートに対して駆動するように構成されてもよい。例えば、以下で更に記述するように、リソグラフィ装置は測定ユニットを駆動するように構成されるアクチュエータを備えてもよい。加えてまたは代えて、センシング面は測定ユニットの他のコンポーネントと別個に駆動されてもよい。例えば、少なくとも一つのアクチュエータ(不図示)が、測定ユニットの他のコンポーネントおよび/または放射ビームに対してセンシング面を駆動するために設けられてもよい。
【0053】
理論上は、センシング面の位置が一定に保たれて、放射ビームが駆動されてもよい。これによって、平面内の放射ビームの視野の異なる部分が測定されるという同じ利点がもたらされる。
【0054】
好ましくは、一つの測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分の少なくとも一部は、他の測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分と重複しない。換言すれば、センシング面は放射ビームの視野中の少なくとも一つの別の未測定領域を各測定位置で測定するために使用されてもよい。このように、各測定位置において、センシング面は他の測定位置で未測定の放射ビームの一部を測定してもよい。これによって、各測定位置が少なくとも他の測定位置で未測定の視野の新しい部分を検知でき、異なる測定位置で全体視野のより大きい部分がセンシング面によって測定される。このような重複を減らせば角解像度が向上する。角解像度は開口の数を増やすことでも向上する。
【0055】
好ましくは、異なる測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分の間に若干の重複があってもよい。更に好ましくは、隣接する測定位置で測定される視野の重複量が予め決められている。異なる測定位置にあるセンシング面による測定の際に所定の視野の重複量を持たせることで、異なる測定位置で行われた測定結果を比較できるため正確性が向上する。重複測定は、経時的な変形の補正や測定の正確性の向上のために使用されうる。重複量は、センシング面の動作の制御および/または開口間の位置の選定(複数の開口が設けられる場合)および/または開口に対するセンシング面の位置の選定によって制御されうる。
【0056】
理想的には、少なくとも視野の重複しない一部が測定され、前述のように選定された重複量によって正確な測定が行われるように、センシング面は異なる測定位置に駆動される。換言すれば、多くとも視野の一部(例えば多くとも視野の10%または50%)が測定され、他の測定位置でセンシング面によって検知される視野の一または複数の部分と重複するように、センシング面は異なる測定位置に駆動される。
【0057】
リソグラフィ装置は複数の測定位置で検知される視野の部分を結合するように構成されてもよい。このように、リソグラフィ装置は放射ビームの様々な異なる部分の測定結果を結合するために使用されうる。理想的には、リソグラフィ装置は、前記平面内で視野の100%の測定結果を提供するために、部分を結合するように構成されてもよい。これによって、センシング面が駆動される平面内で放射ビーム全体に亘って測定が行われるという利点がもたらされる。センシング面は視野の100%の測定を行わないため、放射ビームの測定範囲は視野より小さく、一つの測定位置で全体視野を検知する同様のセンシング面を用いた場合より測定の解像度が高くなる。このため、放射ビーム全体に亘ってより正確な測定結果が得られる。このように、公知のセンシングデバイスと同じセンシング面を用いたまま、高精度な測定を行える。
【0058】
リソグラフィ装置は複数の測定位置で検知される視野の部分を結合するように構成されるプロセッサを備えてもよい。プロセッサはセンシング面によって検知された視野を表すデータを受信してもよい。データは、ネットワーク(すなわち無線)を介してまたは有線を用いてセンシング面からプロセッサへ送信されてもよい。プロセッサは、データを受信して結合するために使用されうる任意の適切なコンピューティングデバイス/電子回路でもよい。
【0059】
開口とセンシング面の間の距離は、前記平面内の視野の100%領域がセンシング面、すなわちセンシング面全体の領域より大きくなるように設定される。換言すれば、前記平面内の放射ビームの視野がセンシング面より大きくなるように、センシング面は開口に対して位置決めされてもよい。開口およびセンシング面の与えられたサイズに関して所定の最小距離が設定されてもよい。このように、少なくともこれらの要因に応じて距離は変動しうる。
【0060】
センシング面、すなわちセンシング面全体の領域は、視野の100%領域の約70%以下でもよい。このように、センシング面はいずれの測定位置でも、センシング面が駆動される平面内で放射ビームの約70%以下、すなわち全体視野の約70%以下を測定するために使用されてもよい。あるいは、センシング面の領域はより小さくてもよい。例えば、センシング面は視野の100%領域の約60%以下または視野の100%領域の約50%以下または視野の領域の100%の約30%以下でもよい。
【0061】
開口は様々な異なる構成で設けられてもよい。開口は、単純に後述するプレートを貫通する孔でもよいし、スリットまたは一組の線でもよい。開口は任意の適切な形状およびサイズでもよい。開口がスリットの場合、センシング面は一つの方向のみに沿って駆動されるため、一種の連続的または非連続的なスキャナ動作が実現される。開口はオプションで1次元または2次元パターンでもよく、好ましくは格子を備える。格子は任意の適切な形状でもよい。例えば、格子は所定ピッチのチェッカーボードパターンのような1次元パターンまたは2次元パターンでもよい。
【0062】
測定ユニットは開口を形成するプレートを備えてもよい。プレートは任意の適切な数の開口を有してもよい。例えば、プレートは、更に後述するように、単一の開口または複数の開口を備えてもよい。放射が通過できるスルーホールによって、プレートに開口が設けられてもよい。プレートは、前述のようにいくつかの形状の格子を開口に備えてもよい。プレートは、放射ビームがセンシング面に向かって通過する開口を形成するための任意の適切な形状および厚さを有する任意の要素でもよい。
【0063】
比較のための傍論として、関連技術におけるセンサが図2Aおよび2Bに示される。図2Aは、XY平面内の模式図または平面図である。図2Bは、ZX平面内の模式図または側面図である。示されるように、センサは開口Oおよびセンシング面Sを形成するプレートPLを含む。ビームBは開口Oを通過し、センサにおいて放射の円錐を形成する。ここでは放射の円錐が示されるが、これは例示に過ぎず、任意の形状のビームが測定されてもよい。センシング面Sは放射ビームを測定するために使用される。センシング面Sの平面内の放射ビームBの視野はセンシング面より小さい。従って、図2Aおよび2Bに示されるように、センシング面Sは単一の測定位置で全体視野Vすなわち視野の100%を検知する。ここまでは傍論であり、本発明の説明に戻る。
【0064】
実施形態では、測定ユニットにおいて放射ビームが通過する複数の開口が用いられ、測定位置毎に一つの開口が使用される。センシング面が各測定位置にある時、放射ビームは複数の開口の一つを通過してセンシング面上に入射する。好ましくは、複数の開口はセンシング面に対して固定された位置にある。従って、センシング面および複数の開口は相対的に移動しない。本実施形態は図3A、3B、3C、3Dに示される。これらの図は、センシング面Sが各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知するように構成される測定ユニットMを示す。平面内のセンシング面Sが示される放射ビームBの全体視野Vは、センシング面Sの領域より大きい。
【0065】
前述のように、リソグラフィ装置は投影システムPS(図3Cおよび3D参照)を備えてもよい。放射ビームBは、投影システムPSによって投影され、センシング面S上に入射する。センシング面Sは、各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を測定するように構成される。図3Aおよび3Bは、測定ユニットMと、特に第1測定位置1、第2測定位置2、第3測定位置3、第4測定位置4の間で駆動されるセンシング面Sを示す。図3Cおよび3Dは、第1測定位置1および第2測定位置2を更に詳細に示す。
【0066】
測定システムMは、図示されるように、稼働中に放射ビームが通過する複数の開口O1、O2、O3、O4を備えてもよい。複数の開口の一つは測定位置毎に使用されてもよい。測定システムMは、前述のように、複数の開口を備えるプレートPLを備えてもよい。図示されるように、四つの開口O1、O2、O3、O4はセンシング面SからZ1の距離にある。図示されるように、センシング面Sから各開口O1、O2、O3、O4への距離Z1が同じになるように、四つの開口O1、O2、O3、O4はセンシング面Sに平行な平面内にある。任意の数の適切な開口が設けられてもよい。開口の数は変動してもよく、各開口からセンシング面Sへの距離は他の開口と異なってもよい。
【0067】
複数の開口O1、O2、O3、O4はセンシング面Sに対して固定された位置にあってもでもよく、例えば、開口を備えるプレートPLが適当な方法でセンシング面Sに連結されてもよい。測定ユニットMは、センシング面Sおよび開口O1、O2、O3、O4を備えるプレートPLを支持するハウジングHを備えてもよい。センシング面SおよびプレートPLは、これらのコンポーネントが相互に固定された位置を有するようにハウジングHに取り付けられてもよい。本実施形態では、センシング面Sが放射ビームBに対して駆動されるのと同様に、開口O1、O2、O3、O4が放射ビームBに対して駆動される。ハウジングHが図示されるが、センシング面Sおよび開口O1、O2、O3、O4は、開口O1、O2、O3、O4およびセンシング面Sを相互に固定された位置に保つ基板テーブルWT等のサポートの一部として設けられてもよい。
【0068】
複数の開口の一つは測定位置毎に使用されてもよい。このように、放射ビームBは、複数の開口O1、O2、O3、O4の一つを通過し、測定位置の一つで測定が行われる時にセンシング面Sに入射してもよい。センシング面Sおよび開口Oが放射ビームBに対して駆動される時、異なる測定位置での測定のために、放射ビームBは異なる一つの開口Oを通過し、センシング面Sに入射してもよい。このように、各測定位置に対応する一つの開口があってもよい。
【0069】
前述のように、リソグラフィ装置は、投影システムPSの光軸OAに交差する平面内でセンシング面Sを駆動するように構成される。これは、図3Aおよび3Bに示される測定位置1-4間での測定ユニットMの位置の変化によって示される。図は例示に過ぎないが、センシング面Sは光軸OAに直交するXY平面内で駆動される。前述の通り、これは必須ではない。
【0070】
センシング面Sの位置(この例では測定ユニットM全体の位置)は、センシング面Sが駆動される平面内の放射ビームBの全体視野Vの異なる部分が測定されるように、投影ビームBに対して駆動されてもよい。この例では、図3Aに示される第1測定位置1、第2測定位置2、第3測定位置3、測定位置4でセンシング面Sによって行われる測定の間に、重複がほとんどないまたは全くない。前述のように、適度な重複があるのが好ましい。
【0071】
本実施形態では、リソグラフィ装置は、投影システムPSによって投影された放射ビームBに対して前記平面内でセンシング面Sを駆動し、複数の測定位置で測定結果を得るように構成される。リソグラフィ装置は、複数の測定位置での測定のために、投影システムPSによって投影された放射ビームBの位置を実質的に一定の位置に維持するように構成されてもよい。
【0072】
図3Aおよび3Bでは、左から右に向かって四つの測定位置が示される。最も左の第1測定位置1では、放射ビームが第1開口O1を通過した際に、センシング面Sが視野の一部を検知する。第2測定位置2では、放射ビームが第2開口O2を通過した際に、センシング面Sが視野の一部を検知する。第3測定位置3では、放射ビームが第3開口O3を通過した際に、センシング面Sが視野の一部を検知する。第4測定位置4では、放射ビームが第4開口O4を通過した際に、センシング面Sが視野の一部を検知する。本実施形態のリソグラフィ装置は、各開口O1、O2、O3、O4を介して放射ビームBの測定結果を得るために、放射ビームに対してセンシング面Sを各測定位置(1-4)へ駆動するように構成されてもよい。このように、各開口O1、O2、O3、O4は測定位置に対応してもよい。本実施形態では、センシング面の複数測定位置間の動作に応じて、複数の開口O1、O2、O3、O4が放射ビームに対して動いてもよい。複数の開口はセンシング面と同時または非同時に動いてもよい。加えてまたは代えて、複数の開口はセンシング面と同じ距離またはセンシング面が駆動される距離と異なる距離を動いてもよい。
【0073】
複数の開口は相互に固定された位置に設けられてもよい。あるいは、複数の開口は、相互に移動可能な位置に設けられてもよいし、グループとして一または複数の他の開口グループに対して移動可能に設けられてもよい。
【0074】
複数の開口O1、O2、O3、O4は、各測定位置において、少なくとも一つの開口が放射ビームの外側、すなわち平面内の視野Vの100%の外側にあるように配置されてもよい。これは、放射ビームが全体視野Vの外側の少なくとも一つの開口を通過しないことを意味する。これによって、複数の開口を通過する放射からのノイズを特定の測定位置について低減しうる。図3Aに示されるように、第1測定位置1では第3開口O3が放射ビーム(および平面内の全体視野V)の外側にあり、第2測定位置2では第4開口O4が放射ビーム(および平面内の全体視野V)の外側にあり、第3測定位置3では第1開口O1が放射ビーム(および平面内の全体視野V)の外側にあり、第4測定位置4では第2開口O2が放射ビーム(および平面内の全体視野)の外側にある。
【0075】
オプションで、図3Cおよび3Dに示されるように、リソグラフィ装置は各測定位置において複数の開口の一つを除いて全ての開口を覆うように構成されるマスクMKを備えてもよい。これによって、このような測定中に他の開口から測定ユニット内に入る放射を遮断または低減できる。これは、センシング面に入射する放射ビームが一つの開口のみを通過することを担保することによってノイズを低減できる点で好ましい。これは、複数の開口が設けられたことによる誤差の可能性を減らし、ノイズを低減する。マスクMKは任意の適切な材料で作られる。マスクMKは、放射によるマスクの透過を実質的に防ぐ材料によって作られる。マスクMKは一つの開口を除く全てを覆うのが理想だが、マスクMKは一または複数の開口、例えば、特定の測定位置で使用される開口に最も近い開口のみを覆うために使用されてもよい。マスクMKの位置は各種のアクチュエータ(不図示)を用いて制御されてもよい。
【0076】
前述のように、開口は格子を備えてもよい。本実施形態では、複数の開口の少なくとも一つが格子を備えてもよい。開口の全てが格子を備えてもよい。格子は同じでもよい。これによって、異なる開口による測定結果の比較が容易になり、および/または、同じ格子のため製造が容易で安価になる。
【0077】
前述の実施形態では、センシング面Sは、稼働中に放射ビームBが通過する開口から平面図においてずれていてもよい。これは、平面図、例えば、図3Aに示されるXY視野において、センシング面Sが、どの測定位置でも放射ビームが通過する開口と整列していないことを意味する。換言すれば、測定時にセンシング面Sの中心点が開口の中心点と整列していない。例えば、第1測定位置1において、センシング面Sは放射ビームが通過する第1開口O1からずれていてもよい。
【0078】
他の実施形態では、測定ユニットは稼働中に放射ビームが通過する唯一の開口を備えてもよい。本実施形態では、リソグラフィ装置は、各測定位置での測定の間に、投影システムによって投影された放射ビームに対する単一の開口の位置を維持するように構成されてもよい。本実施形態は4Aおよび4Bに示される。前述のように、リソグラフィ装置は光軸に交差する平面内の複数の測定位置の間でセンシング面Sを駆動するように構成されてもよい。五つの測定位置が図4Aおよび4Bに示される。リソグラフィ装置は、図4Aおよび4Bにおける測定位置1-5での一定の位置によって示されるように、単一の開口O5の位置を実質的に一定の位置に維持するように構成されてもよい。
【0079】
本実施形態では、唯一の開口O5を備えるプレートPLが設けられてもよい。本実施形態では、センシング面Sが測定ユニットMの他のコンポーネントに対して駆動される。各測定位置において、センシング面Sは、センシング面Sが駆動される光軸に交差する平面内で、放射ビームの視野Vの100%より小さい視野の一部を測定するように構成される。放射ビームBおよび単一の開口O5の位置は実質的に一定の位置に維持され、センシング面Sが異なる測定位置1-5に駆動される。センシング面Sは、各測定位置1-5において、放射ビームBの異なる部分を測定する。各測定位置1-5で測定される視野の部分には適度な重複があってもよい。
【0080】
リソグラフィ装置は、図4Bに示されるように、アクチュエータAを備えてもよい。アクチュエータAは測定システムMの一部でもよい。アクチュエータAは、図4Aおよび4Bに示されるように、複数測定位置間でセンシング面Sを駆動するように構成されてもよい。アクチュエータAは任意の適切な形態で設けられてもよい。例えば、アクチュエータAは、センシング面Sを支持して測定ユニットM内のトラックに沿って駆動される可動部を備えてもよい。アクチュエータAは、図4Bに示されるようにセンシング面SをX方向に往復駆動するコンベアベルトと同様のローラシステムを備えてもよい。任意の適度な大きさのアクチュエータがセンシング面Sを駆動するために使用されてもよい。
【0081】
センシング面Sは、いずれの実施形態でも、任意の数の測定位置で測定を行うために使用されてもよい。センシング面Sは、センシング面が測定位置に駆動され、センシング面Sが実質的に静止状態にある時に測定が行われるステップモードで駆動されてもよい。あるいは、センシング面は、例えば、センシング面Sを駆動し、センシング面Sの動作中に測定を行うスキャンモードで駆動されてもよい。唯一の開口が設けられる場合、スキャンモードにおいて異なる測定位置での測定結果を提供するため、センシング面Sは、特定のタイミングで測定が行われるように、連続的に(好ましくは非常にゆっくりと)駆動されてもよい。
【0082】
前述のように、リソグラフィ装置は、複数の測定位置で検知される視野の部分を結合するように構成されるプロセッサを備えてもよい。プロセッサPRは図3A、3B、3C、3Dに示される。プロセッサPRは図4Aまたは4Bには示されないが、これらの実施形態にも設けられてもよい。プロセッサPRは任意の場所に設置できる。プロセッサPRは基板テーブルWTの一部として構成されてもよい。
【0083】
本発明は放射ビームを測定する方法も提供する。方法は、後述するように、前述の装置に対応する。装置に関して示した定義や記述は方法にも当てはまり、簡素化のために以下では繰り返されない。前述の装置に関する利点は、方法の特定のステップに同様に当てはまる。
【0084】
方法は、リソグラフィ装置における放射ビームを測定するためのものである。方法は、前述のリソグラフィ装置を使用するステップを備えてもよい。方法は図5に示される。方法は、ステップS1のように放射ビームを提供するステップと、ステップS2のように放射ビームを投影するステップと、ステップS3のように放射ビームを測定するステップを備える。
【0085】
放射ビームBは前述のように提供および/または投影されてもよい。例えば、投影システムによって投影された放射ビームは光軸に沿ってもよい。放射ビームBを提供および/または投影するために、前述の装置が使用されてもよいし、他の構成または装置が使用されてもよい。一般的に、投影システムPSは、放射ビームBを投影するために使用される任意のシステムである。方法は測定システムにおける開口を通じて放射ビームを投影するステップを含む。測定システムMは、前述の実施形態や変形例で記述されたものでもよい。
【0086】
測定するステップS3は、測定システムのセンシング面を用いて開口を通過した放射ビームを複数の測定位置で測定するステップを含む。前述のように、センシング面は光軸に交差するように広がっていてもよい。
【0087】
放射ビームを測定するステップは、光軸に交差する平面内の複数測定位置間でセンシング面を駆動するステップを備える。センシング面が駆動される平面は光軸に直交してもよい。前述のように、放射ビームは前記平面内で視野を定義し、センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知する。
【0088】
更に詳細に、測定するステップは、図6に示される複数のサブステップを備えてもよい。図示されるように、方法は、ステップS3Aのように投影システムによって投影された放射ビームを第1測定位置で測定するステップと、ステップS3Bのように光軸に交差する平面内でセンシング面を第2測定位置に駆動するステップと、ステップS3Cのように投影システムによって投影された放射ビームを第2測定位置で測定するステップを備えてもよい。追加的な測定が実行される他の測定位置にセンシング面を駆動するための追加的な駆動ステップが含まれてもよい。
【0089】
方法は、複数の測定位置で測定が実行されるようにセンシング面を駆動するステップを含む。このように、方法は、センシング面の位置を変える、特にセンシング面を複数測定位置間で駆動するステップを含む。このように、センシング面は、センシング面が駆動される平面内において、放射ビームの複数位置の測定結果を得る。前述のように、センシング面は様々な方法で平面内を駆動されてもよい。
【0090】
測定するステップは、複数の測定位置でセンシング面による測定が行われる時に、投影システムによって投影された放射ビームの位置を実質的に一定の位置に維持するステップを備えてもよい。このように、放射ビームの位置が実質的に一定に保たれ、センシング面の位置が変えられてもよい。これは、動くセンシング面に対して放射ビームが実質的に一定の位置に保たれてもよいことを意味する。このように、センシング面は、放射ビームの異なる部分をセンシング面が駆動される平面内で測定するために使用されうる。測定される放射ビームの部分は、測定が行われるセンシング面の位置に基づいて決まる。
【0091】
好ましくは、一つの測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分の少なくとも一部は、他の測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分と重複しない。前述のように、少なくとも一部は重複しないのが好ましい。前述のように、測定の正確性を向上させるために重複があってもよい。
【0092】
前述のように、開口は様々な異なる構成で設けられてもよい。前述のように、方法は開口に格子を提供するステップを備えてもよい。方法は任意の適切な数の開口を提供するステップを備えてもよい。装置についての前述の例のように、方法は、単一の開口または複数の開口(四つの開口を含む前述の例を含む)の使用を含んでもよい。測定システムは前述の開口を形成するプレートを備えてもよい。
【0093】
方法は、測定ユニットを支持するように構成される支持テーブルを提供するステップを更に備えてもよい。支持テーブルは前述のものでもよい。前述のように、測定ユニットは、支持テーブルWTの表面上に支持されてもよいし、支持テーブルWTの一部として構成されてもよい。
【0094】
方法は、複数の測定位置で検知される視野の部分を結合するステップを更に備えてもよい。理想的には、方法は、視野の100%の測定結果を提供するために部分を結合するステップを含む。前述のように、これは、公知のセンシングデバイスと同じセンシング面を用いたまま高精度な測定を行えることを意味する。
【0095】
好ましくは、開口とセンシング面の間の距離は、前記平面内の視野の100%領域がセンシング面(すなわちセンシング面全体の領域)より大きくなるように設定される。換言すれば、センシング面は、前記平面内の放射ビームの視野がセンシング面より大きくなるように、開口に対して位置決めされてもよい。開口およびセンシング面の与えられたサイズに関して所定の最小距離が設定されてもよい。このように、少なくともこれらの要因に応じて距離は変動しうる。
【0096】
センシング面、すなわちセンシング面全体の領域は、視野の100%領域の約70%以下でもよい。このように、センシング面はいずれの測定位置でも、センシング面が駆動される平面内で放射ビームの約70%以下、すなわち全体視野の約70%以下を測定するために使用されてもよい。あるいは、センシング面の領域はより小さくてもよい。例えば、センシング面は視野の100%領域の約60%以下または視野の100%領域の約50%以下または視野の領域の100%の約30%以下でもよい。
【0097】
実施形態では、測定ユニットは稼働中に放射ビームが通過する複数の開口を備える。複数の開口の一つは測定位置毎に使用される。このように、放射ビームは、測定位置での測定時に、一つの開口を通過してセンシング面に入射してもよい。本実施形態では、方法は、各測定位置での測定の間に、複数の開口およびセンシング面を放射ビームに対して駆動するステップを更に備える。センシング面および開口が放射ビームに対して駆動される時、異なる測定位置での測定のために、放射ビームは異なる一つの開口を通過してセンシング面に入射してもよい。このように、各測定位置に対応する一つの開口があってもよい。オプションで、複数の開口およびセンシング面を放射ビームに対して駆動する時に、複数の開口のセンシング面に対する位置が維持されてもよい。
【0098】
本実施形態では、図6のS3Aのように、放射ビームが第1測定位置で測定されてもよい。これは、例えば図3A、3B、3Cの第1測定位置で測定を行うことに対応する。このように、例えば第1開口O1を用いて第1測定が行われてもよい。方法は、図6のステップS3Bのように、平面内の他の測定位置にセンシング面を駆動するステップを含む。例えば、これは、センシング面および開口O1、O2、O3、O4を図3Aおよび3Bにおける第2測定位置に駆動する(放射ビームに対して)ことに対応する。その後、放射ビームは図6のS3Cのように第2測定位置で測定される。これは、例えば、図3A、3B、3Dの第2測定位置で測定を行うことに対応する。このように、例えば、第2開口O2を用いて第2測定が行われてもよい。
【0099】
複数の開口は、各測定位置において、少なくとも一つの開口が放射ビームの外側、すなわち平面内の視野の100%の外側にあるように配置されてもよい。前述のように、これによって、複数の開口を通過する放射からのノイズを特定の測定位置について低減しうる。
【0100】
方法は、各測定位置において少なくとも一つの開口、または、好ましくは複数の開口の一つを除いて全ての開口を覆うステップを更に備えてもよい。前述のように、これによってノイズを低減しうる。覆うステップは、マスクMKを用いて実行されてもよい。
【0101】
方法は、複数の開口の少なくとも一つに格子を提供するステップ、または、好ましくは複数の開口に同じ格子を提供するステップを更に備えてもよい。
【0102】
他の実施形態では、測定ユニットは稼働中に放射ビームが通過する唯一の開口を備える。方法は、各測定位置での測定の間に、投影システムによって投影された放射ビームに対する単一の開口の位置を維持するステップを更に備える。本実施形態では、放射ビームの複数位置の測定の間に、センシング面は測定ユニットの他のコンポーネントに対して駆動される。
【0103】
図4Aおよび4Bに示されるように、放射ビームBおよび開口O5の位置は実質的に一定の位置に維持され、センシング面Sは放射ビームおよび開口O5に対して他の測定位置に駆動される。このように、センシング面が駆動される時に、センシング面は放射ビームの異なる部分を測定する。
【0104】
本実施形態では、図6のS3Aのように、放射ビームが第1測定位置で測定されてもよい。これは、放射ビームが開口O5を通過した際に、例えば図4Aおよび4Bの第1測定位置で測定を行うことに対応する。方法は、図6のステップS3Bのように、平面内の他の測定位置にセンシング面を駆動するステップを含んでもよい。例えば、これは、センシング面を図4Aおよび4Bにおける第2測定位置に駆動することに対応する。その後、放射ビームは図6のS3Cのように第2測定位置で測定される。
これは、放射ビームが開口O5を通過した際に、例えば図4Aおよび4Bの第2測定位置で測定を行うことに対応する。
【0105】
リソグラフィ装置の用途に関して集積回路の製造に具体的に言及したが、前述のリソグラフィ装置は他の用途に用いてもよい。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造にリソグラフィ装置は利用可能である。このような代替的な用途において、「ウェーハ」または「ダイ」の用語は、当業者にとって、それぞれより概括的な「基板」または「ターゲット部分」の用語と同義に解釈されうる。ここでの基板は、露光の前または後において、例えば、トラック(基板にレジスト層を適用して露光レジストを形成するツール)、計測ツールおよび/または検査ツール内で処理されるものでもよい。適用可能な場合、本開示はこのような他の基板処理ツールに適用されてもよい。更に、例えば複数層の集積回路を形成するために基板は複数回に亘って処理されてもよく、「基板」の用語はこのような複数の処理された層を既に含む基板も包含する。
【0106】
「放射」および「ビーム」の用語は全てのタイプの電磁気的な放射を包含し、紫外線またはUV放射(例えば、約365, 248, 193, 157, 126nmの波長を持つもの)、極端紫外線またはEUV放射(例えば、5-20nmの範囲の波長を持つもの)、イオンビームや電子ビーム等の粒子ビームを含む。
【0107】
「レンズ」の用語は、文脈が許す限り、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型の光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つまたは任意の組合せを指す。
【0108】
以上の記述は例示であり、本発明を限定する趣旨ではない。従って、本発明の趣旨から逸脱することなく本発明に変更を加えうることは当業者にとって自明である。
【0109】
本発明の前述の、および/または、代替的な、および/または、補足的な実施形態は、以下の項目に記載されるように表現されてもよい。
項目1:
光軸を有し、放射ビームを投影する投影システムと、
投影システムによって投影された放射ビームを測定する測定ユニットと、
を備え、
測定ユニットは、
稼働中に放射ビームが通過する開口と、
光軸に交差するように広がり、開口を通過する放射ビームを測定するセンシング面と、
を備え、
リソグラフィ装置は光軸に交差する平面内の複数の測定位置の間でセンシング面を駆動し、
放射ビームは前記平面内で視野を定義し、
測定ユニットは、センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知するように構成される、
リソグラフィ装置。
項目2:
項目1に記載のリソグラフィ装置において、センシング面が放射ビームを複数の測定位置で測定するように構成される場合、リソグラフィ装置は投影システムによって投影された放射ビームの位置を実質的に一定の位置に維持するように構成される。
項目3:
項目1または2に記載のリソグラフィ装置において、一つの測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分の少なくとも一部は、他の測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分と重複しない。
項目4:
前記項目のいずれかに記載のリソグラフィ装置において、開口が格子を備える。
項目5:
前記項目のいずれかに記載のリソグラフィ装置において、測定ユニットが支持テーブル上に設けられる。
項目6:
前記項目のいずれかに記載のリソグラフィ装置において、投影システムによって投影された放射ビームが光軸に沿い、センシング面が駆動される平面が光軸に直交する。
項目7:
前記項目のいずれかに記載のリソグラフィ装置において、前記平面内で視野の100%の測定結果を提供するために、リソグラフィ装置は複数の測定位置で検知される視野の部分を結合するように構成される。
項目8:
前記項目のいずれかに記載のリソグラフィ装置において、開口とセンシング面の間の距離は、前記平面内の視野の100%領域がセンシング面より大きくなるように設定される。
項目9:
項目8に記載のリソグラフィ装置において、センシング面が、前記平面内の視野の100%領域の約70%以下、または、前記平面内の視野の100%領域の約60%以下、または、前記平面内の視野の100%領域の約50%以下、または、前記平面内の視野の100%領域の約30%以下である。
項目10:
前記項目のいずれかに記載のリソグラフィ装置において、放射ビームが通過する複数の開口が用いられ、測定位置毎に一つの開口が使用される測定ユニットが設けられ、リソグラフィ装置は、センシング面の複数測定位置間の動作に応じて、複数の開口を光軸に交差する方向に駆動するように構成される。
項目11:
項目10に記載のリソグラフィ装置において、複数の開口はセンシング面に対して固定された位置にある。
項目12:
項目10または11に記載のリソグラフィ装置において、各測定位置において少なくとも一つの開口が放射ビームの外側にあるように複数の開口が配置される。
項目13:
いずれかに記載のリソグラフィ装置において、リソグラフィ装置は、各測定位置において複数の開口の一つを除いて全ての開口を覆うように構成されるマスクを備える。
項目14:
項目10から13のいずれかに記載のリソグラフィ装置において、複数の開口は同じ格子を備える。
項目15:
項目1から9のいずれかに記載のリソグラフィ装置において、測定ユニットは稼働中に放射ビームが通過する唯一の開口を備え、リソグラフィ装置は、各測定位置での測定の間に、投影システムによって投影された放射ビームに対する単一の開口の位置を維持するように構成される。
項目16:
放射ビームを提供するステップと、
光軸を有する投影システムを用いて、測定ユニットにおける開口を通じて放射ビームを投影するステップと、
測定ユニットの光軸に交差するように広がるセンシング面を用いて、開口を通過した放射ビームを複数の測定位置で測定するステップと、
を備え、
放射ビームを測定するステップは、光軸に交差する平面内の複数測定位置間でセンシング面を駆動するステップを備え、
放射ビームは前記平面内で視野を定義し、
センシング面が各測定位置において100%視野より小さい視野の一部を検知する、
リソグラフィ装置における放射ビームを測定する方法。
項目17:
項目16に記載の方法において、測定するステップは、複数の測定位置でセンシング面による測定が行われる時に、投影システムによって投影された放射ビームの位置を実質的に一定の位置に維持するステップを備える。
項目18:
項目16または17に記載の方法において、一つの測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分の少なくとも一部は、他の測定位置でセンシング面によって検知される視野の部分と重複しない。
項目19:
項目16から18のいずれかに記載の方法において、開口に格子のような1次元または2次元パターンが更に設けられる。
項目20:
項目16から19のいずれかに記載の方法において、測定ユニットが載置される支持テーブルを提供するステップを更に備える。
項目21:
項目16から20のいずれかに記載の方法において、投影システムによって投影された放射ビームが光軸に沿い、センシング面が駆動される平面が光軸に直交する。
項目22:
項目16から21のいずれかに記載の方法において、前記平面内で視野の100%の測定結果を提供するために、複数の測定位置で検知される視野の部分を結合するステップを更に備える。
項目23:
項目16から22のいずれかに記載の方法において、開口とセンシング面の間の距離は、前記平面内の視野の100%領域がセンシング面より大きくなるように設定される。
項目24:
項目23に記載の方法において、センシング面が、視野の100%領域の約70%以下、または、視野の100%領域の約60%以下、または、視野の100%領域の約50%以下、または、視野の100%領域の約30%以下である。
項目25:
項目16から24のいずれかに記載の方法において、測定ユニットは稼働中に放射ビームが通過する複数の開口を備え、複数の開口の一つが測定位置毎に使用され、方法は、各測定位置での測定の間に、複数の開口およびセンシング面を放射ビームに対して駆動するステップを更に備える。
項目26:
項目25に記載の方法において、複数の開口およびセンシング面を放射ビームに対して駆動する時に、複数の開口のセンシング面に対する位置が維持される。
項目27:
項目25または26に記載の方法において、各測定位置において少なくとも一つの開口が放射ビームの外側にあるように複数の開口が配置される。
項目28:
項目25から27のいずれかに記載の方法において、各測定位置において複数の開口の一つを除いて全ての開口を覆うステップを更に備える。
項目29:
項目25から28のいずれかに記載の方法において、複数の開口は同じ格子を備える。
項目30:
項目16から24のいずれかに記載の方法において、測定ユニットは稼働中に放射ビームが通過する唯一の開口を備え、方法は、各測定位置での測定の間に、投影システムによって投影された放射ビームに対する単一の開口の位置を維持するステップを更に備える。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6