(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置、プラズマ処理システム及びエッジリングの位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240801BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240801BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240801BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/68 A
H01L21/31 C
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2020189256
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】北村 真悟
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-054933(JP,A)
【文献】特開2018-186263(JP,A)
【文献】特表2020-512699(JP,A)
【文献】特表2023-522625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/677
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、
基板及び前記基板の周囲に配置されるエッジリングを支持する基板支持台と、
前記エッジリングを上下方向に移動させる昇降機構と、
制御部と、を備え、
前記エッジリングは、当該エッジリングと同心の孔を有し、
前記基板支持台は、前記基板が載置される、上方に突出する凸部と、前記エッジリングの前記孔に前記凸部が挿入された状態で当該エッジリングが載置されるリング載置部と、前記凸部の温度を調節する温調機構と、を有し、
前記エッジリングの前記孔と前記基板支持台の凸部とは平面視で互いに対応した形状を有し、
前記制御部は、
前記エッジリングの前記孔に前記基板支持台の凸部が挿入された状態となる所定の位置に前記エッジリングを移動させる
第1移動工程と、
前記
第1移動工程後、前記基板支持台の前記凸部を加熱して径方向に膨張させる
ことによって、前記凸部を前記エッジリングに当接させると共に前記凸部により当該当接した前記エッジリングを移動させる第2移動工程と、が実行されるように、前記昇降機構及び前記温調機構を制御する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記エッジリングの前記孔に前記基板支持台の凸部が挿入されるよう前記エッジリングを下降させる工程と、
当該下降させる工程前に、前記基板支持台の前記凸部を冷却して径方向に収縮させる工程と、が実行されるように、前記昇降機構及び前記温調機構を制御する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記温調機構は、前記基板支持台の前記凸部の温度と共に前記リング載置部の温度を調節し、
前記制御部は、前記
第1移動工程前に、前記エッジリングを前記リング載置部に載置して冷却し、径方向に収縮させる工程が実行されるように前記温調機構を制御する、請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記基板支持台は、前記凸部の温度と独立して前記リング載置部の温度を調整する別の温調機構を有し、
前記所定の位置は、前記エッジリングが前記リング載置部に載置される位置であり
前記制御部は、前記
第2移動工程で、前記リング載置部に載置されたエッジリングが冷却され、径方向に収縮していくように、前記別の温調機構を制御する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記所定の位置は、前記エッジリングが前記リング載置部から離間する位置であり、
前記制御部は、
前記
第2移動工程後、前記エッジリングを前記所定の位置から下降させ前記リング載置部に載置する工程が実行されるように、前記昇降機構を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記
第2移動工程後、前記載置する工程前に、前記基板支持台の前記凸部の加熱を停止し、当該凸部を冷却し径方向に収縮させる工程が実行されるように、前記温調機構を制御する、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記昇降機構は、前記エッジリングを、当該エッジリングより外径及び内径が大きいカバーリングと一体化させた状態で上下方向に移動させる、請求項1~6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、
基板及び前記基板の周囲に配置されるエッジリングを支持する基板支持台と、
前記エッジリングを上下方向に移動させる昇降機構と、
制御部と、を備え、
前記エッジリングは、当該エッジリングと同心の孔を有し、
前記基板支持台は、前記基板が載置される、上方に突出する凸部と、前記エッジリングの前記孔に前記凸部が挿入された状態で当該エッジリングが載置されるリング載置部と、前記凸部の温度と独立して前記リング載置部の温度を調節する温調機構と、を有し、
前記エッジリングの前記孔と前記基板支持台の凸部とは平面視で互いに対応した形状を有し、
前記制御部は、
前記エッジリングを移動させ、前記孔に前記基板支持台の凸部が挿入された状態で前記リング載置部に載置する工程と、
前記載置する工程後、前記エッジリングが載置された前記リング載置部を冷却して前記エッジリングを冷却して径方向に収縮させる
ことによって、前記エッジリングを前記基板支持台の前記凸部に当接させると共に収縮中に前記凸部に当接した前記エッジリングを前記凸部に対して相対的に移動させる工程と、が実行されるように、前記昇降機構及び温調機構を制御する、プラズマ処理装置。
【請求項9】
前記基板支持台は、前記リング載置部の温度と独立して前記凸部の温度を制御する別の温調機構を有し、
前記制御部は、
前記エッジリングの前記孔に前記基板支持台の凸部が挿入されるよう前記エッジリングを下降させる工程と、
当該下降させる工程前に、前記基板支持台の前記凸部を冷却して径方向に収縮させる工程と、が実行されるように、前記昇降機構及び前記別の温調機構を制御する、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置と、
前記エッジリングを収納する収納部と、
前記エッジリングを加熱する加熱装置と、
前記エッジリングを搬送する搬送装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記収納部に収納されていた前記エッジリングを、加熱され径方向に膨張された状態で、前記プラズマ処理装置に搬送する工程が実行されるように、前記加熱装置及び前記搬送装置を制御する、プラズマ処理システム。
【請求項11】
基板及び前記基板の周囲に配置されるエッジリングを支持する基板支持台に対する、前記エッジリングの位置合わせ方法であって、
前記エッジリングは、当該エッジリングと同心の孔を中心部に有し、
前記基板支持台は、前記基板が載置される、上方に突出する凸部と、前記エッジリングの前記孔に前記凸部が挿入された状態で当該エッジリングが載置されるリング載置部と、を有し、
前記エッジリングの前記孔と前記基板支持台の凸部とは平面視で互いに対応した形状を有し、
前記エッジリングの前記孔に前記基板支持台の凸部が挿入された状態となる所定の位置に前記エッジリングを移動させる工程と、
前記移動させる工程後、前記基板支持台の前記凸部を加熱して径方向に膨張させる
ことによって、前記凸部を前記エッジリングに当接させると共に膨張中の前記凸部に当接した前記エッジリングを移動させる工程と、を含む、位置合わせ方法。
【請求項12】
基板及び前記基板の周囲に配置されるエッジリングを支持する基板支持台に対する、前記エッジリングの位置合わせ方法であって、
前記エッジリングは、当該エッジリングと同心の孔を有し、
前記基板支持台は、前記基板が載置される、上方に突出する凸部と、前記エッジリングの前記孔に前記凸部が挿入された状態で当該エッジリングが載置されるリング載置部と、を有し、
前記エッジリングの前記孔と前記基板支持台の凸部とは平面視で互いに対応した形状を有し、
前記エッジリングを移動させ、前記孔に前記基板支持台の凸部が挿入された状態で前記リング載置部に載置する工程と、
前記載置する工程後、前記エッジリングが載置された前記リング載置部を冷却して前記エッジリングを冷却して径方向に収縮させる
ことによって、前記エッジリングを前記基板支持台の前記凸部に当接させると共に収縮中に前記凸部に当接した前記エッジリングを前記凸部に対して相対的に移動させる工程と、を含む、位置合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置、プラズマ処理システム及びエッジリングの位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のプラズマ処理装置は、載置台の上面に、半導体ウェハの周囲を囲むように、フォーカスリングが設けられている。また、載置台上には、フォーカスリング全体を載置台上の所定位置に位置決めするための位置決めピンが設けられており、フォーカスリングには、この位置決めピンに対応して、位置決め孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、エッジリングを基板支持台に精度良く載置する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、基板及び前記基板の周囲に配置されるエッジリングを支持する基板支持台と、前記エッジリングを上下方向に移動させる昇降機構と、制御部と、を備え、前記エッジリングは、当該エッジリングと同心の孔を有し、前記基板支持台は、前記基板が載置される、上方に突出する凸部と、前記エッジリングの前記孔に前記凸部が挿入された状態で当該エッジリングが載置されるリング載置部と、前記凸部の温度を調節する温調機構と、を有し、前記エッジリングの前記孔と前記基板支持台の凸部とは平面視で互いに対応した形状を有し、前記制御部は、前記エッジリングの前記孔に前記基板支持台の凸部が挿入された状態となる所定の位置に前記エッジリングを移動させる第1移動工程と、前記第1移動工程後、前記基板支持台の前記凸部を加熱して径方向に膨張させることによって、前記凸部を前記エッジリングに当接させると共に前記凸部により当該当接した前記エッジリングを移動させる第2移動工程と、が実行されるように、前記昇降機構及び前記温調機構を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、エッジリングを基板支持台に精度良く載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【
図2】処理モジュールの構成の概略を示す縦断面図である。
【
図4】例1の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図5】例1の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図6】例1の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図7】例1の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図8】例1の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図9】例2の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図10】例2の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図11】例2の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図12】例3の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【
図13】第2実施形態にかかる処理モジュールの構成の概略を示す部分拡大断面図である。
【
図14】例4の取り付け処理中における、ウェハ支持台の周辺の状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板に対して、プラズマを用いて、エッチング等のプラズマ処理が行われる。このプラズマ処理は、減圧された処理容器内の基板支持台に基板が載置された状態で行われる。
【0009】
また、基板の中央部と周縁部とで良好且つ均一なプラズマ処理結果を得るために、基板支持台上の基板の周囲を囲むように配置される、フォーカスリング、エッジリング等と称される平面視円環状の部材(以下、「エッジリング」という。)が基板支持台上に載置されることがある。エッジリングを用いる場合、基板周縁部において周方向に均一な処理結果が得られるように、エッジリングを基板支持台上の所望の位置に載置する必要がある。例えば、特許文献1では、フォーカスリングに設けられた位置決め孔と、載置台に設けられた位置決めピンとで、フォーカスリング全体を載置台上の所定位置に位置決めしている。
【0010】
ところで、エッジリングが消耗した場合の交換は、一般的に、作業者により行われるが、エッジリングを搬送する搬送装置を用いて、交換を行うことも考えられている。この場合、搬送装置によって、エッジリングが基板支持台のリング載置部に載置される。例えば、エッジリングを支持した搬送装置がプラズマ処理装置の処理室の外から処理室内に挿入され、基板支持台のリング載置部から上方に上昇している昇降ピンの上に、エッジリングが載置され、その後、搬送装置が処理室から抜き出される。次いで昇降ピンが下降され、昇降ピン上のエッジリングがリング載置部に載置される。
【0011】
しかし、搬送装置を用いてエッジリングの交換を行う場合、上述のような位置決め孔と位置決めピンとを用いる構成では、搬送装置によるエッジリングの搬送精度以上の精度で、エッジリングを基板支持台に対して位置決めすることができない。なぜならば、正確に位置決めするために位置決め孔の内径と位置決めピンの直径との差を搬送精度より小さくすると、位置決め孔に位置決めピンを挿入できず、基板支持台上にエッジリングを適切に載置できないことがあるから、である。そして、搬送装置によるエッジリングの搬送精度にも限界がある。
【0012】
そこで、本開示にかかる技術は、エッジリングを基板支持台に精度良く載置する。
【0013】
以下、本実施形態にかかるプラズマ処理装置、プラズマ処理システム及びエッジリングの位置合わせ方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
<プラズマ処理システム>
図1は、第1実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【0015】
図1のプラズマ処理システム1では、基板としてのウェハWに対して、例えばエッチング等のプラズマ処理を行う。
【0016】
図1に示すようにプラズマ処理システム1は、大気部10と減圧部11とを有し、これら大気部10と減圧部11とがロードロックモジュール20、21を介して一体に接続されている。大気部10は、大気圧雰囲気下においてウェハWに所望の処理を行う大気モジュールを備える。減圧部11は、減圧雰囲気(真空雰囲気)下においてウェハWに所望の処理を行う処理モジュール60を備える。
【0017】
ロードロックモジュール20、21は、ゲートバルブ(図示せず)を介して、大気部10に含まれるローダモジュール30と、減圧部11に含まれるトランスファモジュール50を連結するように設けられている。ロードロックモジュール20、21は、ウェハWを一時的に保持するように構成されている。また、ロードロックモジュール20、21は、内部を大気圧雰囲気と減圧雰囲気とに切り替えられるように構成されている。
【0018】
大気部10は、後述する搬送装置40を備えたローダモジュール30と、フープ31を載置するロードポート32とを有している。フープ31は、複数のウェハWを保管可能なものである。なお、ローダモジュール30には、ウェハWの水平方向の向きを調節するオリエンタ(図示せず)、複数のウェハWを一時的に格納するバッファモジュール(図示せず)等が接続されていてもよい。
【0019】
ローダモジュール30は矩形の筐体を有し、筐体の内部は大気圧雰囲気に維持されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する一側面には、複数、例えば5つのロードポート32が並設されている。ローダモジュール30の筐体の長辺を構成する他側面には、ロードロックモジュール20、21が並設されている。
【0020】
ローダモジュール30の内部には、ウェハWを搬送する搬送装置40が設けられている。搬送装置40は、ウェハWを支持する搬送アーム41と、搬送アーム41を回転可能に支持する回転台42と、回転台42を搭載した基台43と、を有している。また、ローダモジュール30の内部には、ローダモジュール30の長手方向に延伸するガイドレール44が設けられている。基台43はガイドレール44上に設けられ、搬送装置40はガイドレール44に沿って移動可能に構成されている。
【0021】
減圧部11は、ウェハW及びエッジリングE1を搬送するトランスファモジュール50と、トランスファモジュール50から搬送されたウェハWに所望のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置としての処理モジュール60と、エッジリングE1を収納する収納部としての収納モジュール61と、を有している。トランスファモジュール50及び処理モジュール60の内部(具体的には後述の減圧搬送室51及びプラズマ処理チャンバ100の内部)はそれぞれ、減圧雰囲気に維持され、収納モジュール61の内部も減圧雰囲気に維持される。1つのトランスファモジュール50に対し、処理モジュール60は複数、例えば6つ設けられ、収納モジュール61も複数、例えば2つ設けられている。なお、処理モジュール60の数及び配置は本実施形態に限定されず、任意に設定することができ、エッジリングE1の交換が必要な少なくとも1つの処理モジュールが設けられていればよい。また、収納モジュール61の数及び配置も本実施形態に限定されず、任意に設定することができ、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0022】
トランスファモジュール50は、多角形状(図示の例では五角形状)の筐体を有する減圧搬送室51を含み、減圧搬送室51がロードロックモジュール20、21に接続されている。トランスファモジュール50は、ロードロックモジュール20に搬入されたウェハWを一の処理モジュール60に搬送すると共に、処理モジュール60で所望のプラズマの処理が行われたウェハWを、ロードロックモジュール21を介して大気部10に搬出する。また、トランスファモジュール50は、収納モジュール61内のエッジリングE1を一の処理モジュール60に搬送すると共に、処理モジュール60内の交換対象のエッジリングE1を、収納モジュール61に搬出する。
【0023】
処理モジュール60は、ウェハWに対し、例えばエッチング等のプラズマ処理を行う。また、処理モジュール60は、ゲートバルブ62を介してトランスファモジュール50に接続されている。なお、この処理モジュール60の構成は後述する。
【0024】
収納モジュール61は、エッジリングE1を収納し、具体的には、エッジリングE1と、当該エッジリングE1と後述のカバーリングE2を一体化させたリングセットEを収納する。また、収納モジュール61は、ゲートバルブ63を介してトランスファモジュール50に接続されている。収納モジュール61には、エッジリングE1を加熱する加熱装置61aが設けられている。加熱装置61aは、例えば発光素子を有し当該発光素子からの光を用いてエッジリングE1を加熱する。加熱装置61aの加熱方式は、上述の方式に限られず、高温の気体を用いる方式等であってもよい。
【0025】
トランスファモジュール50の減圧搬送室51の内部には、ウェハW及びエッジリングE1(具体的にはリングセットE)を搬送する搬送装置70が設けられている。搬送装置70は、前述の搬送装置40と同様、ウェハW及びリングセットEを搬送時に支持する搬送アーム71と、搬送アーム71を回転可能に支持する回転台72と、回転台72を搭載した基台73とを有している。また、トランスファモジュール50の内部には、トランスファモジュール50の長手方向に延伸するガイドレール74が設けられている。基台73はガイドレール74上に設けられ、搬送装置70はガイドレール74に沿って移動可能に構成されている。
【0026】
トランスファモジュール50では、ロードロックモジュール20内に保持されたウェハWを搬送アーム71が受け取り、処理モジュール60に搬入する。また、処理モジュール60内に保持されたウェハWを搬送アーム71が受け取り、ロードロックモジュール21に搬出する。
さらに、トランスファモジュール50では、収納モジュール61内のエッジリングE1(具体的にはリングセットE)を搬送アーム71が受け取り、処理モジュール60に搬入する。また、処理モジュール60内に保持されたエッジリングE1(具体的にはリングセットE)を搬送アーム71が受け取り、収納モジュール61に搬出する。
【0027】
さらに、プラズマ処理システム1は制御装置80を有する。一実施形態において、制御装置80は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理システム1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御装置80は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理システム1の他の要素それぞれを制御するように構成され得る。一実施形態において、制御装置80の一部又は全てがプラズマ処理システム1の他の要素に含まれてもよい。制御装置80は、例えばコンピュータ90を含んでもよい。コンピュータ90は、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)91、記憶部92、及び通信インターフェース93を含んでもよい。処理部91は、記憶部92に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部92は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース93は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理システム1の他の要素との間で通信してもよい。
【0028】
また、制御装置80は、プラズマ処理装置としての処理モジュール60に対する制御部を兼ねる。
【0029】
<プラズマ処理システム1のウェハ処理>
次に、以上のように構成されたプラズマ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。
【0030】
まず、搬送装置40によって、所望のフープ31からウェハWが取り出され、ロードロックモジュール20に搬入される。その後ロードロックモジュール20内が密閉され、減圧される。その後、ロードロックモジュール20の内部とトランスファモジュール50の内部が連通される。
【0031】
次に、搬送装置70によってウェハWが保持され、ロードロックモジュール20からトランスファモジュール50に搬送される。
【0032】
次に、ゲートバルブ62が開放され、搬送装置70によって所望の処理モジュール60にウェハWが搬入される。その後、ゲートバルブ62が閉じられ、処理モジュール60においてウェハWに所望の処理が行われる。なお、この処理モジュール60においてウェハWに対して行われる処理については後述する。
【0033】
次に、ゲートバルブ62が開放され、搬送装置70によって処理モジュール60からウェハWが搬出される。その後、ゲートバルブ62が閉じられる。
【0034】
次に、搬送装置70によって、ロードロックモジュール21にウェハWが搬入される。ロードロックモジュール21にウェハWが搬入されると、ロードロックモジュール21内が密閉され、大気開放される。その後、ロードロックモジュール21の内部とローダモジュール30の内部が連通される。
【0035】
次に、搬送装置40がウェハWを保持し、ロードロックモジュール21からローダモジュール30を介して所望のフープ31に戻して収容する。これで、プラズマ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
【0036】
<処理モジュール60>
続いて、処理モジュール60について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、処理モジュール60の構成の概略を示す縦断面図である。
図3は、
図2の部分拡大図である。
【0037】
図2に示すように処理モジュール60は、処理容器としてのプラズマ処理チャンバ100、ガス供給部120、RF(Radio Frequency:高周波)電力供給部130及び排気システム140を含む。さらに、処理モジュール60は、基板支持台としてのウェハ支持台101及び上部電極102を含む。
【0038】
ウェハ支持台101は、減圧可能に構成されたプラズマ処理チャンバ100内のプラズマ処理空間100sの下部領域に配置される。上部電極102は、ウェハ支持台101の上方に配置され、プラズマ処理チャンバ100の天部(ceiling)の一部として機能し得る。
【0039】
ウェハ支持台101は、プラズマ処理空間100sにおいてウェハW及びエッジリングE1(具体的にはリングセットE)を支持するように構成される。一実施形態において、ウェハ支持台101は、基台103、静電チャック104、脚部105、昇降ピン106、昇降ピン107を含む。
【0040】
基台103は、下部電極としての機能を有する。また、基台103は、静電チャック104が固定され、絶縁リング103c支持する。基台103は、例えば、アルミニウム等の導電性の金属で形成されている。
基台103は、静電チャック104が固定される固定部103aを中央部に有し、カバーリングE2を支持する絶縁リング103cが載置される載置部103bを周縁部に有する。固定部103aの上面は、載置部103bの上面より高い。本実施形態において、基台103は、固定部103aと載置部103bとが一体になって構成されている。
【0041】
また、基台103の内部(具体的には固定部103aの内部)には、温調機構としての、温調流体の流路103dが形成されている。プラズマ処理チャンバ100の外部に設けられたチラーユニット(図示せず)から温調流体が供給される。流路103dに供給された温調流体は、チラーユニットに戻るようになっている。流路103dの中に、温調流体として例えば低温のブラインを循環させることによって、例えば、ウェハ支持台101、ウェハ支持台101に載置されたウェハW及びエッジリングE1を所定の温度に冷却することができる。流路103dの中に、温調流体として例えば高温のブラインを循環させることによって、例えば、ウェハ支持台101、ウェハ支持台101に載置されたウェハW及びエッジリングE1を所定の温度に冷却することができる。
【0042】
固定部103aは、円柱状に形成されており、静電チャック104の後述のリング載置部104bとほぼ同径である。
載置部103bは、円環板状に形成されている。
【0043】
絶縁リング103cは、平面視円環状の部材であり、断熱性及び電気的絶縁性の高い材料から形成される。絶縁リング103cの内径は、基台103の固定部103aの径より若干大きく、絶縁リング103cの外径は、基台103の載置部103bの外径とほぼ同じである。
絶縁リング103cは、エッジリングE1とカバーリングE2とを一体化させたリングセットEが、ウェハ支持台101に載置されたときに、カバーリングE2を支持する。
【0044】
エッジリングE1及びカバーリングE2は共に平面視円環状の部材である。
【0045】
エッジリングE1は、静電チャック104に載置されたウェハWを囲むように配置される。エッジリングE1は、平面視円環状であるため、当該エッジリングE1と同心の円形の孔E1aを有する。エッジリングE1の材料には、例えば、導電性のシリコン(Si)またはシリコンカーバイド(SiC)が用いられる。
エッジリングE1は、その内径が静電チャック104の後述のウェハ載置部104aの外径より若干大きく形成されており、例えば0.3~0.8mm大きく形成されている。
【0046】
カバーリングE2は、エッジリングE1の外側面を覆うと共に、エッジリングE1の搬送時及び昇降時に、エッジリングE1と一体化され、リングセットEとされる。カバーリングE2の材料には、例えば、断熱性及び電気的絶縁性の高い材料が用いられる。
カバーリングE2は、その外径がエッジリングE1の外径より大きく、その内径がエッジリングE1の内径より大きくエッジリングE1の外径より小さい。また、カバーリングE2は、その内径が静電チャック104の後述のリング載置部104b及び基台103の固定部103aの外径より若干大きく形成されている。なお、カバーリングE2の内径とリング載置部104bの外径との差は、エッジリングE1の内径とウェハ載置部104aの外径との差より大きくなっており、静電チャック104が膨張したときに、カバーリングE2ではなく、エッジリングE1に先に当接し、カバーリングE2には当接しないようになっている。
リングセットEの状態すなわちエッジリングE1と一体化された状態では、カバーリングE2は、平面視でエッジリングE1と一部重なっており、エッジリングE1を下方から
支持する。
【0047】
カバーリングE2の上面には、
図3に示すように当該カバーリングE2と同心の環状突起E2aが形成されている。また、エッジリングE1における環状突起E2aに対応する位置には、当該エッジリングE1と同心の環状凹部E1bが環状突起E2aと係合するように、形成されている。環状突起E2aと環状凹部E1bが係合することにより、例えば、プラズマ処理時にエッジリングE1とカバーリングE2との間の隙間から、ラジカルがウェハW側に侵入するのを防ぐことができる。
【0048】
静電チャック104は、基台103の固定部103a上に設けられ、ウェハWとエッジリングE1との両方を静電力により吸着保持する。
【0049】
静電チャック104は、ウェハWが載置されるウェハ載置部104aを中央部に有し、エッジリングE1が載置されるリング載置部104bを周縁部に有する。ウェハ載置部104aの上面は、リング載置部104bの上面より高い。
【0050】
言い換えると、静電チャック104は、ウェハWが載置される、上方に突出する凸部(ウェハ載置部104aの上部が相当)と、その凸部の周囲に設けられたリング載置部104bと、を有する。そして、リング載置部104bには、エッジリングE1の孔E1aに上記凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)が挿入された状態で当該エッジリングE1が載置される。
静電チャック104の上記凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)とエッジリングE1の孔E1aとは、平面視で互いに対応した形状を有する。本実施形態では、エッジリングE1の孔E1aが上述のように円形であるため、静電チャック104の上記凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)の平面視での形状は例えば円形状である。
【0051】
静電チャック104のウェハ載置部104aには、ウェハWを静電吸着により保持するための電極108が設けられ、リング載置部104bには、エッジリングE1を静電吸着により保持するための電極109が設けられている。ウェハ載置部104a及びリング載置部104bは、絶縁材料からなる絶縁材の間に電極108、109を挟んだ構成を有する。
【0052】
電極108には、直流電源(図示せず)からの直流電圧が印加される。これにより生じる静電力により、ウェハ載置部104aにウェハWが吸着保持される。同様に、電極109には、直流電源(図示せず)からの直流電圧が印加される。これにより生じる静電力により、リング載置部104bにエッジリングE1が吸着保持される。
【0053】
また、ウェハ載置部104aは、例えば、ウェハWの直径よりも小径の円柱状に形成されており、ウェハWがウェハ載置部104aに載置されたときに、ウェハWの周縁部がウェハ載置部104aから張り出すようになっている。
なお、エッジリングE1は、その上部に段差が形成されており、外周部の上面が内周部の上面より高く形成されている。エッジリングE1の内周部は、ウェハ載置部104aから張り出したウェハWの周縁部の下側にもぐり込むように形成されている。つまり、エッジリングE1は、その内径が、ウェハWの外径よりも小さく形成されている。
【0054】
リング載置部104bは、例えば、円環板状に形成されており、その外径がエッジリングE1の内径より大きくエッジリングE1の外径より小さく、エッジリングE1がリング載置部104bに載置されたときに、エッジリングE1の周縁部がリング載置部104bから張り出すようになっている。
なお、カバーリングE2は、その上部に段差が形成されており、外周部の上面が内周部の上面より高く形成されている。カバーリングE2の内周部は、リング載置部104bから張り出したエッジリングE1の周縁部の下側にもぐりこむように形成されている。
【0055】
図示は省略するが、ウェハ載置部104aには、当該ウェハ載置部104aに載置されたウェハWの裏面に伝熱ガスを供給するため、ガス供給穴が形成され、同様に、リング載置部104bには、当該ウェハ載置部104aに載置されたエッジリングE1の裏面に伝熱ガスを供給するため、ガス供給穴が形成されている。これらガス供給穴からは、ガス供給部(図示せず)からの伝熱ガスが供給される。ガス供給部は、1又はそれ以上のガスソース及び1又はそれ以上の圧力制御器を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部は、例えば、ガスソースからの伝熱ガスを、圧力制御器を介して伝熱ガス供給穴に供給するように、構成される。
本実施形態において、静電チャック104は、ウェハ載置部104aとリング載置部104bとが一体になって構成されている。
【0056】
脚部105は、セラミック等の絶縁材料で形成された円筒状の部材であり、基台103を支持する。脚部105は、例えば、基台103の外径と同等の外径を有するように形成され、基台103の周縁部を支持する。
【0057】
図2に示すように、昇降ピン106は、静電チャック104のウェハ載置部104aの上面から突没するように昇降する、柱状の部材であり、例えばセラミックから形成される。昇降ピン106は、静電チャック104の周方向、具体的には、ウェハ載置部104aの上面の周方向に沿って、互いに間隔を空けて3本以上設けられている。昇降ピン106は、例えば、上記周方向に沿って等間隔で設けられている。昇降ピン106は、上下方向に延びるように設けられる。
【0058】
昇降ピン106は、当該昇降ピン106を昇降させるピン昇降機構110に接続されている。ピン昇降機構110は、例えば、複数の昇降ピン106を支持する支持部材111と、支持部材111を昇降させる駆動力を発生させ、複数の昇降ピン106を昇降させる駆動部112とを有する。駆動部112は、上記駆動力を発生する駆動アセンブリまたは駆動機構(例えば、アクチュエータ、モータ及び/又はその他のデバイス)を有する。
【0059】
昇降ピン106は、静電チャック104のウェハ載置部104aの上面から下方に延び基台103の底面まで至る貫通孔113に挿通される。貫通孔113は、言い換えると、静電チャック104のウェハ載置部104a及び基台103を貫通するように形成されている。
昇降ピン106の上端面は、昇降ピン106が上昇したときにウェハWの裏面を支持する。
【0060】
昇降ピン107は、静電チャック104のリング載置部104bの上面から突没するように昇降する、柱状の部材であり、例えばアルミナ、石英、SUS等から形成される。昇降ピン107は、静電チャック104の周方向、具体的には、リング載置部104bの上面の周方向に沿って、互いに間隔を空けて3本以上設けられている。昇降ピン107は、例えば、上記周方向に沿って等間隔で設けられている。昇降ピン107は、上下方向に延びるように設けられる。
【0061】
昇降ピン107は、昇降ピン107を駆動させるピン昇降機構114に接続されている。ピン昇降機構114は、例えば、複数の昇降ピン107を支持する支持部材115と、支持部材115を昇降させる駆動力を発生させ、複数の昇降ピン107を昇降させる駆動部116とを有する。駆動部116は、上記駆動力を発生する駆動アセンブリまたは駆動機構(例えば、アクチュエータ、モータ及び/又はその他のデバイス)を有する。
【0062】
昇降ピン107は、基台103の載置部103bに載置された絶縁リング103cの上面から下方に延び基台103の底面まで至る貫通孔117に挿通される。貫通孔117は、言い換えると、絶縁リング103c及び基台103の載置部103bを貫通するように形成されている。
【0063】
上述のような昇降ピン107は、処理モジュール60とトランスファモジュール50との間でのエッジリングE1(具体的にはリングセットE)の受け渡しのため当該エッジリングE1(具体的にはリングセットE)を支持して昇降させる受渡部材である。昇降ピン107の上端面は、リングセットEのカバーリングE2の下面を支持するように構成される。
また、昇降ピン107とピン昇降機構114は、エッジリングE1(具体的にはリングセットE)を上下方向に移動させる、すなわち昇降させる昇降機構を構成する。
【0064】
上部電極102は、ガス供給部120からの1又はそれ以上の処理ガスをプラズマ処理空間100sに供給するシャワーヘッドとしても機能する。一実施形態において、上部電極102は、ガス入口102a、ガス拡散室102b、及び複数のガス出口102cを有する。ガス入口102aは、例えば、ガス供給部120及びガス拡散室102bと流体連通している。複数のガス出口102cは、ガス拡散室102b及びプラズマ処理空間100sと流体連通している。一実施形態において、上部電極102は、1又はそれ以上の処理ガスをガス入口102aからガス拡散室102b及び複数のガス出口102cを介してプラズマ処理空間100sに供給するように構成される。
【0065】
ガス供給部120は、1又はそれ以上のガスソース121及び1又はそれ以上の流量制御器122を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部120は、例えば、1又はそれ以上の処理ガスを、それぞれに対応のガスソース121からそれぞれに対応の流量制御器122を介してガス入口102aに供給するように構成される。各流量制御器122は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部120は、1又はそれ以上の処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0066】
RF電力供給部130は、RF電力、例えば1又はそれ以上のRF信号を、下部電極である基台103、上部電極102、又は、下部電極である基台103及び上部電極102の双方のような、1又はそれ以上の電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間100sに供給された1又はそれ以上の処理ガスからプラズマが生成される。したがって、RF電力供給部130は、プラズマ処理チャンバにおいて1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。RF電力供給部130は、例えば、2つのRF生成部131a、131b及び2つの整合回路132a、132bを含む。一実施形態において、RF電力供給部130は、第1のRF信号を第1のRF生成部131aから第1の整合回路132aを介して下部電極としての基台103に供給するように構成される。例えば、第1のRF信号は、27MHz~100MHzの範囲内の周波数を有してもよい。
【0067】
また、一実施形態において、RF電力供給部130は、第2のRF信号を第2のRF生成部131bから第2の整合回路132bを介して下部電極としての基台103に供給するように構成される。例えば、第2のRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有してもよい。代わりに、第2のRF生成部131bに代えて、DC(Direct Current)パルス生成部を用いてもよい。
【0068】
さらに、図示は省略するが、本開示においては他の実施形態が考えられる。例えば、代替実施形態において、RF電力供給部130は、第1のRF信号をRF生成部から下部電極である基台103に供給し、第2のRF信号を他のRF生成部から下部電極としての基台103に供給し、第3のRF信号をさらに他のRF生成部から下部電極である基台103に供給するように構成されてもよい。加えて、他の代替実施形態において、DC電圧が上部電極102に印加されてもよい。
【0069】
またさらに、種々の実施形態において、1又はそれ以上のRF信号(すなわち、第1のRF信号、第2のRF信号等)の振幅がパルス化又は変調されてもよい。振幅変調は、オン状態とオフ状態との間、あるいは、2又はそれ以上の異なるオン状態の間でRF信号振幅をパルス化することを含んでもよい。
【0070】
排気システム140は、例えばプラズマ処理チャンバ100の底部に設けられた排気口100eに接続され得る。排気システム140は、圧力弁及び真空ポンプを含んでもよい。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、粗引きポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0071】
<処理モジュール60のウェハ処理>
次に、処理モジュール60を用いて行われるウェハ処理の一例について説明する。なお、処理モジュール60では、ウェハWに対して、例えばエッチング処理、成膜処理等の処理を行う。
【0072】
先ず、プラズマ処理チャンバ100の内部にウェハWが搬入され、昇降ピン106の昇降により静電チャック104上にウェハWが載置される。その後、静電チャック104の電極108に直流電圧が印加され、これにより、ウェハWが、静電力によって静電チャック104に静電吸着され、保持される。また、ウェハWの搬入後、排気システム140によってプラズマ処理チャンバ100の内部が所定の真空度まで減圧される。
【0073】
次に、ガス供給部120から上部電極102を介してプラズマ処理空間100sに処理ガスが供給される。また、RF電力供給部130からプラズマ生成用の高周波電力HFが下部電極である基台103に供給され、これにより、処理ガスを励起させて、プラズマを生成する。この際、RF電力供給部130からイオン引き込み用の高周波電力LFが供給されてもよい。そして、生成されたプラズマの作用によって、ウェハWにプラズマ処理が施される。
【0074】
プラズマ処理を終了する際には、RF電力供給部130からの高周波電力HFの供給及びガス供給部120からの処理ガスの供給が停止される。プラズマ処理中に高周波電力LFを供給していた場合には、当該高周波電力LFの供給も停止される。次いで、電極108への直流電圧の印加が停止され、静電チャック104によるウェハWの吸着保持が停止される。
【0075】
その後、昇降ピン106によりウェハWを上昇させ、静電チャック104からウェハWを離脱させる。この離脱の際には、ウェハWの除電処理を行ってもよい。そして、プラズマ処理チャンバ100からウェハWを搬出して、一連のウェハ処理が終了する。
【0076】
<取り付け処理の例1>
続いて、前述のプラズマ処理システム1を用いて行われる、処理モジュール60内へのエッジリングE1の取り付け処理であって、ウェハ支持台101に対するエッジリングE1の位置合わせ処理を含む処理の一例を
図4~
図8を用いて説明する。
図4~
図8は、本例の取り付け処理中における、ウェハ支持台101の周辺の状態を模式的に示す図である。なお、以降の図では、各部材が加熱により膨張する場合を右方向黒矢印で示し、各部材が冷却により収縮する様子を左方向白矢印で示す。
【0077】
上記位置合わせ処理では、具体的には、静電チャック104のウェハ載置部104aの中心軸とエッジリングE1の中心軸とを近づけるセンタリングを行う。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、真空雰囲気中で行われる。
【0078】
(ステップS1:エッジリングE1の搬送)
まず、収納モジュール61に収納されていたエッジリングE1が、エッジリングE1の取り付け対象である処理モジュール60に搬送される。
具体的には、収納モジュール61内のリングセットEが、搬送装置70の搬送アーム71によって保持される。次いで、上記取り付け対象である処理モジュール60が有する、減圧されたプラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、リングセットEを保持した搬送アーム71が挿入される。そして、静電チャック104の周縁部に位置するリング載置部104bの上方へ、搬送アーム71に保持されたリングセットEが搬送される。次いで、昇降ピン107の上昇が行われ、搬送アーム71から昇降ピン107へ、リングセットEが受け渡される。その後、搬送アーム71のプラズマ処理チャンバ100からの抜き出し、すなわち搬送アーム71の退避が行われる。
【0079】
(ステップS2:エッジリングE1の下降)
続いて、
図4に示すように、エッジリングE1の孔E1aにウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)が挿入されるようエッジリングE1を下降させる。
具体的には、搬送アーム71からリングセットEを受け取った昇降ピン107の下降が行われる。
【0080】
(ステップS3:エッジリングE1の所定の位置への移動)
次いで、
図5に示すように、エッジリングE1の孔E1aにウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)が挿入された状態となる所定の位置に、エッジリングE1を移動させる。
具体的には、例えば、エッジリングE1の位置が上記所定の位置となるまで、搬送アーム71からリングセットEを受け取った昇降ピン107の下降を行う。上記所定の位置とは、例えば、エッジリングE1の孔E1aにウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)が挿入された状態で、エッジリングE1がリング載置部104bの上面から上方に離間する位置である。上記所定の位置におけるエッジリングE1の底面からリング載置部104bまでの距離は、エッジリングE1とリング載置部104bとが真空断熱されればよく、例えば0.3~1mmである。
また、ステップS1からステップS3までの間、エッジリングE1及び静電チャック104の温度は常温(例えば25℃)である。
【0081】
(ステップS4:凸部の膨張)
ステップS3の後、
図6に示すように、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を加熱して膨張させる。このように膨張させたときに、エッジリングE1がウェハ載置部104aに対して偏心していると、上記凸部が上記所定の位置のエッジリングE1に当接する。その後も膨張が継続されると、膨張にしたがって、静電チャック104のウェハ載置部104aの中心軸とエッジリングE1の中心軸とが近づく。
【0082】
より具体的には、基台103の流路103dに高温の流体を通流させ、静電チャック104のウェハ載置部104aを含むウェハ支持台101全体を加熱し、ウェハ載置部104aを膨張させる。このとき、エッジリングE1は、ウェハ支持台101全体が加熱されても、上記所定の位置に位置するため、リング載置部104bから離間しているため加熱されない。このように膨張させたときに、エッジリングE1がウェハ載置部104aに対して偏心していると、ウェハ載置部104a(具体的にはその側面)が、上記所定の位置のエッジリングE1に、孔E1aを形成する内周面側から当接する。当接後も、基台103の流路103dに高温の流体を通流させ続け、ウェハ載置部104aを加熱し膨張させることにより、ウェハ載置部104aにエッジリングE1が押されカバーリングE2上を移動する。これにより、静電チャック104のウェハ載置部104aの中心軸とエッジリングE1の中心軸とが近づく。
【0083】
この工程は、例えば、高温の流体の通流を開始してから所定の時間が経過したときに終了する。
この工程では、例えば100℃以上までウェハ載置部104aを加熱する。なお、流路103dに高温の流体を通流させるのみでは、ウェハ載置部104aを充分に加熱することができず十分に膨張させることができない場合は、流路103dに加えて、または、流路103dに代えて、より加熱能力が高い別の加熱機構を設けてもよい。別の加熱機構とは、例えば抵抗ヒータであり、例えば静電チャック104に設けられる。
【0084】
(ステップS5:凸部の収縮)
ステップS4を膨張させる工程後、
図7に示すように、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)の加熱を停止し、上記凸部を冷却し径方向に収縮させる。
具体的には、基台103の流路103dに対する高温の流体の通流を停止し、ウェハ載置部104aを例えば常温まで冷却し径方向に収縮させる。これにより、ステップS4において、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)とエッジリングE1が当接した場合でも、上記凸部とエッジリングE1との間に隙間(クリアランス)を形成することができる。したがって、続く工程でエッジリングE1を下降させたときに、センタリングされたエッジリングE1が上記凸部と擦れて位置がずれたりパーティクルが発生したりすること等を防ぐことができる。なお、この工程は省略してもよい。また、省略する場合に、上記凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)の側面及びエッジリングE1の内周面の少なくともいずれか一方を予め潤滑材料で被覆してもよい。
また、本工程におけるウェハ支持台101の凸部の冷却の際、基台103の流路103dに低温の流体を通流させてもよい。これにより、ウェハ載置部104aを所望の温度まで短時間で冷却することができる。
【0085】
(ステップS6:エッジリングE1の載置)
静電チャック104の冷却後、
図8に示すように、エッジリングE1を下降させリング載置部104bに載置する。
具体的には、リングセットEを支持した昇降ピン107の下降が行われ、エッジリングE1がリング載置部104bに載置され、カバーリングE2が載置部103b上の絶縁リング103cに載置される。その後、リング載置部104bに設けられた電極109に、直流電源(図示せず)からの直流電圧が印加され、これによって生じる静電力により、エッジリングE1がリング載置部104bの上面に吸着保持される。
これで、一連のエッジリングE1の取り付け処理が完了する。
以上の取り付け処理により、搬送装置70によるエッジリングE1の搬送精度によらず、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)とエッジリングE1と間に全周に亘って略均等な隙間(例えば、0.1~0.2mmの隙間)が空いた状態で、エッジリングE1がリング載置部104bに載置される。
【0086】
なお、エッジリングE1(具体的にはリングセットE)の取り外し処理は、昇降ピン106を用いてウェハWをウェハ支持台101から取り除く既知の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
<取り付け処理の例2>
続いて、エッジリングE1の取り付け処理の他の例を
図9~
図11を用いて説明する。
図9~
図11は、本例の取り付け処理中における、ウェハ支持台101の周辺の状態を模式的に示す図である。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、真空雰囲気中で行われる。
【0088】
まず、上述のステップS1のエッジリングE1の搬送が行われる。
【0089】
(ステップS1a:凸部の収縮)
次いで、ステップS2のエッジリングE1を下降させる工程前に、
図9に示すように、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を冷却して径方向に収縮させる。
具体的には、基台103の流路103dに低温の流体を通流させ、静電チャック104のウェハ載置部104aを含むウェハ支持台101全体を冷却し、ウェハ載置部104aを収縮させる。
【0090】
続いて、上述のステップS2のエッジリングE1の下降が行われる。この下降の際、上述のステップS1aの工程によって、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)が収縮されている。したがって、ステップS1の搬送工程において昇降ピン107へのエッジリングE1(具体的にはリングセットE)の受け渡し位置の精度が悪くても、本ステップS2の下降工程でエッジリングE1がウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)に乗り上がらないようにすることができる。
【0091】
(ステップS2a)
次に、ステップS3のエッジリングE1を所定の位置へ移動させる工程前に、
図10に示すように、エッジリングE1をリング載置部104bに載置して冷却し、径方向に収縮させる。
具体的には、リングセットEを支持した昇降ピン107の下降が行われ、エッジリングE1をリング載置部104bに載置させ、カバーリングE2が載置部103b上の絶縁リング103cに載置させる。その後、リング載置部104bに設けられた電極109に、直流電源(図示せず)からの直流電圧が印加され、これによって生じる静電力により、エッジリングE1がリング載置部104bの上面に吸着保持される。また、基台103の流路103dに低温の流体を通流させ、静電チャック104のリング載置部104bを含むウェハ支持台101全体を冷却する。さらに、エッジリングE1の裏面に伝熱ガスが供給される。これにより、エッジリングE1を冷却し収縮させる。
【0092】
その後、上述のステップS3のエッジリングE1を所定の位置へ移動させる工程が行われる。具体的には、電極109への直流電圧の印加を停止させることによりエッジリングE1の吸着保持を解除すると共に、伝熱ガスの供給も停止させた後、昇降ピン107を上昇させる。これによりエッジリングE1(具体的にはリングセットE)が昇降ピン107に受け渡される。その後、エッジリングE1が前述の所定の位置となるまで、昇降ピン107の上昇が行われる。
【0093】
そして、
図11に示すように、上述のステップS4のウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を膨張させる工程が行われる。この膨張の際、上述のステップS2aの工程によって、エッジリングE1が収縮されている。したがって、ステップS4でウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を膨張させる量が小さくても、エッジリングE1のウェハ載置部104aに対する偏心度を大きく修正することができる。言い換えると、温調機構としての流路103dの加熱能力が低くても、エッジリングE1のウェハ載置部104aに対する偏心度を大きく修正することができる。
【0094】
その後、上述のステップS5のウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を冷却し径方向に収縮させる工程が行われ、エッジリングE1をリング載置部104bに載置する工程が行われる。
これで、一連のエッジリングE1の取り付け処理が完了する。
【0095】
<取り付け処理の例3>
続いて、エッジリングE1の取り付け処理の他の例を、
図12を用いて説明する。
図12は、本例の取り付け処理中における、ウェハ支持台101の周辺の状態を模式的に示す図である。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、真空雰囲気中で行われる。
【0096】
本例の取り付け処理は、前述の取り付け処理の例1や例2と同様、ステップS1のエッジリングE1を搬送する工程が行われる。
取り付け処理の例2では、収納モジュール61に収納されていたエッジリングE1を、常温の状態で、処理モジュール60に搬送させていた。それに対し、本例では、収納モジュール61に収納されていたエッジリングE1を、
図12に示すように、常温以上の高温に加熱され膨張された状態で、処理モジュール60に搬送させる。
【0097】
具体的には、収納モジュール61内のリングセットEを、加熱装置61aに加熱させる。加熱されたリングセットEは、搬送装置70の搬送アーム71によって保持される。次いで、上記取り付け対象である処理モジュール60が有する、減圧されたプラズマ処理チャンバ100内に、搬入出口(図示せず)を介して、リングセットEを保持した搬送アーム71が挿入される。そして、リング載置部104bの上方へ、搬送アーム71に保持されたリングセットEが搬送される。次いで、昇降ピン107の上昇が行われ、搬送アーム71から昇降ピン107へ、リングセットEが受け渡される。その後、搬送アーム71のプラズマ処理チャンバ100からの抜き出し、すなわち搬送アーム71の退避が行われる。
【0098】
以降の処理は、前述の取り付け処理の例1または例2と同様である。つまり、本例では、ステップS2のエッジリングE1を下降させる工程の段階で、エッジリングE1が膨張している。したがって、ステップS1の搬送工程において昇降ピン107へのエッジリングE1(具体的にはリングセットE)の受け渡し位置の精度が悪くても、ステップS2の下降工程でエッジリングE1がウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)に乗り上がらないようにすることができる。
また、本例のようにエッジリングE1を事前に膨張させることと、前述の取り付け処理の例2におけるステップS1aのようにウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を事前に収縮させることとを組み合わせることで、前述のエッジリングE1の乗り上げをより確実に防ぐことができる。
【0099】
以上のように、本実施形態にかかるエッジリングの位置合わせでは、エッジリングE1の孔E1aにウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)が挿入された状態となる所定の位置にエッジリングE1を移動させる。その後、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を加熱して径方向に膨張させる。そのため、エッジリングE1がウェハ載置部104aに対して偏心していた場合に、静電チャック104のウェハ載置部104aの中心軸とエッジリングE1の中心軸とを近づけることができる。つまり、偏心を修正することができる。したがって、本実施形態によれば、搬送装置70によるエッジリングE1の搬送精度によらず、エッジリングE1をウェハ支持台101に精度良く載置することができる。
【0100】
本実施形態では、カバーリングE2を用いており、エッジリングE1の取り付けに際し、エッジリングE1をカバーリングE2をと一体化させた状態で上下方向に移動させる構成となっている。本開示にかかる技術は、この構成に限定されず、エッジリングE1の取り付けに際し、エッジリングE1単体で上下方向に移動させる構成にも適用することができる。ただし、エッジリングE1のウェハ載置部104aに対する偏心を修正するときに、前者の構成の場合、昇降ピン107に支持されたカバーリングE2上をエッジリングE1が移動するのに対し、後者の構成の場合、昇降ピン107上をエッジリングE1が移動する。したがって、前者の構成の方が、よりスムーズに上記偏心を修正することができる。
【0101】
また、本実施形態にかかるエッジリングE1の位置合わせでは、基台103ではなく、処理対象のウェハWが載置される静電チャック104を基準として、位置合わせしている。したがって、静電チャックが基台103に対してずれて固定されていても、静電チャック104とエッジリングE1との位置関係を適切にすることができる。
【0102】
(第2実施形態)
<処理モジュール60a>
図13は、第2実施形態にかかる処理モジュールの構成の概略を示す部分拡大断面図である。
【0103】
図13の処理モジュール60aでは、静電チャック104が、ウェハ載置部104aとリング載置部104bとで別体となっている。
また、固定部103aが、静電チャック104のウェハ載置部104aが固定される第1固定部201と、リング載置部104bが固定される第2固定部202とて別体となっている。さらに、第1固定部201に温調流体の第1流路201aが形成され、第2固定部202に温調流体の第2流路202aが形成されており、第1流路201aへの温調流体の通流と第2流路202aへの温調流体の通流とは互いに独立して制御される。第2流路202aは、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)と独立してリング載置部104bの温度を調節する温調機構を構成する。一方、第1流路201aは、リング載置部104bの温度と独立して上記凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)の温度を調節する別の温調機構を構成する。
【0104】
ウェハ載置部104aとリング載置部104bとの間の断熱性を高めるため、両者の間に断熱材料から形成される断熱部211を設けてもよい。同様に、第1固定部201と第2固定部202との間の断熱性を高めるため、両者の間に断熱材料から形成される断熱部212を設けてもよい。
【0105】
この処理モジュール60aを用いる場合、エッジリングE1の取り付けは、第1実施形態の処理モジュール60aを用いる場合と同様に行うことができる。例えば、処理モジュール60aを用いる場合でも、前述の取り付け処理の例1~例3によって、エッジリングE1を取り付けることができる。なお、この場合、ステップS4のウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を加熱して径方向に膨張させる工程において、リング載置部104bを加熱せずに、当該リング載置部104bにエッジリングE1を載置させてもよい。言い換えると、ステップS4のウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を膨張させる工程におけるエッジリングE1の位置である「所定の位置」を、リング載置部104bから離間する位置とせずに、リング載置部104bに載置される位置としてもよい。
【0106】
ただし、ステップS4のウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を膨張させる工程で、エッジリングE1をリング載置部104bから離間させておくことで、エッジリングE1が上記凸部に押されて移動するときにリング載置部104bと擦れることによる影響を防ぐことができる。
【0107】
また、ステップS4のウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を膨張させる工程で、リング載置部104bにエッジリングE1を載置する場合、以下のようにしてもよい。すなわち、ステップS4のウェハ支持台101の凸部を膨張させる工程で、リング載置部104bに載置されたエッジリングE1が冷却され径方向に収縮するように、第2流路202aを用いたリング載置部104bの温度調節を制御してもよい。具体的には、第1流路201aに高温の流体を通流させることで、ウェハ載置部104aを加熱して膨張させながら、第2流路202aに低温の流体を通流させることで、リング載置部104bを冷却し且つ当該リング載置部104bに載置されたエッジリングE1を冷却し収縮させてもよい。
【0108】
<取り付け処理の例4>
続いて、処理モジュール60aを用いる場合に特有のエッジリングE1の取り付け処理の例を、
図14を用いて説明する。
図14は、本例の取り付け処理中における、ウェハ支持台101の周辺の状態を模式的に示す図である。なお、以下の処理は、制御装置80による制御の下、真空雰囲気中で行われる。
【0109】
まず、前述のステップS1のエッジリングE1の搬送及びステップS2のエッジリングE1の下降が行われる。なお、前述の取り付け処理の例2におけるステップS1aと同様、ステップS2のエッジリングE1の下降前に、ウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)を冷却して径方向に収縮させてもよい。
【0110】
(ステップS3’:エッジリングE1の載置)
次いで、エッジリングE1を移動させ、エッジリングE1の孔E1aにウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)が挿入された状態で、リング載置部104bに載置させる。
具体的には、エッジリングE1がリング載置部104bに載置されるまで、搬送アーム71からリングセットEを受け取った昇降ピン107の下降が行われる。
【0111】
(ステップS4:凸部の膨張)
ステップS3の後、
図14に示すように、エッジリングE1が載置されたリング載置部104bを冷却してエッジリングE1を冷却して径方向に収縮させる。より具体的には、基台103の第1固定部201の第1流路201aに低温の流体を通流させ、静電チャック104のウェハ載置部104aは冷却せずにリング載置部104bのみを冷却し、当該リング載置部104bに載置されたエッジリングE1を冷却させる。このように収縮させたときに、エッジリングE1がウェハ載置部104aに対して偏心していると、エッジリングE1がウェハ支持台101の凸部(すなわちウェハ載置部104aの上部)に当接する。その後も収縮が継続されると、収縮にしたがって、静電チャック104のウェハ載置部104aの中心軸とエッジリングE1の中心軸とが近づく。
【0112】
この工程は、例えば、低温の流体の通流を開始してから所定の時間が経過したときに終了する。
これで、一連のエッジリングE1の取り付け処理が完了する。
【0113】
以上のように、本実施形態によれば、エッジリングE1がウェハ載置部104aに対して偏心していた場合に、静電チャック104のウェハ載置部104aの中心軸とエッジリングE1の中心軸とを近づけることができる。つまり、偏心を修正することができる。したがって、本実施形態によっても、搬送装置70によるエッジリングE1の搬送精度によらず、エッジリングE1をウェハ支持台101に精度良く載置することができる。
【0114】
<変形例>
以上の例では、エッジリングE1を加熱する加熱装置61aは収納モジュール61内に設けられていたが、収納モジュール61外に設けられていてもよい。また、エッジリングE1の加熱は、プラズマ処理を行っていない処理モジュール60の温調機構で行ってもよい。
また、以上の例では、エッジリングE1は、トランスファモジュール50に接続された収納モジュール61に収納されていたが、ウェハWと同様に、ロードポート32に載置されるフープに格納されていてもよい。
【0115】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【符号の説明】
【0116】
60、60a 処理モジュール
80 制御装置
101 ウェハ支持台
103d 流路
104a ウェハ載置部
104b リング載置部
107 昇降ピン
114 ピン昇降機構
E1 エッジリング
E1a 孔
W ウェハ