(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】合焦位置の検出方法、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/36 20210101AFI20240802BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20240802BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20240802BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240802BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20240802BHJP
【FI】
G02B7/36
G02B7/28 H
G03B13/36
H01L21/78 C
H04N23/67
(21)【出願番号】P 2019066903
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】高乗 佑
【合議体】
【審判長】秋田 将行
【審判官】野村 伸雄
【審判官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-48512(JP,A)
【文献】特開2012-168136(JP,A)
【文献】特開2014-102352(JP,A)
【文献】特開2013-68965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28-7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被撮像物を保持する保持ユニットと、該保持ユニットで保持された該被撮像物を撮像する撮像カメラと、該撮像カメラを該保持ユニットに対して相対的に近接離反方向に沿って移動させる移動ユニットと、を備える撮像装置において、該撮像カメラの焦点が該被撮像物に合う際の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置である合焦位置を検出する合焦位置の検出方法であって、
該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させつつ該撮像カメラにより該保持ユニットに保持された該被撮像物を撮像して複数の粗撮像画像を形成し、形成した複数の該粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を仮の合焦位置として検出する粗検出ステップと、
該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させ、複数の撮像位置において該撮像カメラ及び該保持ユニットが停止した状態で該撮像カメラにより該保持ユニットに保持された該被撮像物を撮像して複数の精密撮像画像を形成し、形成した複数の該精密撮像画像のうちコントラストが最も高い精密撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を合焦位置として検出する精密検出ステップと、を備え
、
該精密検出ステップにおいて複数の該精密撮像画像が該撮像カメラにより形成される際の複数の該撮像位置は、該粗検出ステップで検出された該仮の合焦位置を基準とした限定された範囲に含まれることを特徴とする合焦位置の検出方法。
【請求項2】
該粗検出ステップにおいて、該粗撮像画像が形成される度に該粗撮像画像のコントラストを評価し、該粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも低い場合に該一つ前に形成された該粗撮像画像を該コントラストが最も高い粗撮像画像であると判定し、該被撮像物の撮像を終了することを特徴とする請求項1に記載の合焦位置の検出方法。
【請求項3】
該精密検出ステップにおいて、
該精密撮像画像が形成される度に該精密撮像画像のコントラストを評価し、
該精密撮像画像のコントラストが該精密撮像画像の一つ前に形成された該精密撮像画像のコントラストよりも所定の差以上に低い場合に該一つ前に形成された該精密撮像画像を該コントラストが最も高い該精密撮像画像であると判定して該被撮像物の撮像を終了し、
いずれの該精密撮像画像のコントラストもそれぞれの該精密撮像画像の一つ前に形成された該精密撮像画像のコントラストよりも所定の差以上に低くない場合、該撮像カメラが該保持ユニットに対して相対的に該仮の合焦位置を含む所定の範囲で移動して被撮像物の撮像を終了したとき、それまでに得られた複数の該精密撮像画像から該コントラストが最も高い精密撮像画像を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の合焦位置の検出方法。
【請求項4】
該撮像装置は、第1のカウンターを有し該移動ユニットを制御する第1の制御部と、第2のカウンターを有し該撮像カメラを制御する第2の制御部と、をさらに備え、
該第1のカウンターは、該第1の制御部における時間の進行を表す第1のカウンター値を時間により進行させ、
該第2のカウンターは、該第2の制御部における時間の進行を表す第2のカウンター値を時間により進行させ、
該粗検出ステップの前に、該第1のカウンターと、該第2のカウンターとの時間合わせを実施する時間合わせステップをさらに備え、
該粗検出ステップでは、
該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させている間、定期的に該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を計測するとともに計測を実施した際の該第1のカウンターの該第1のカウンター値を取得し、計測された該撮像カメラの該保持ユニットに対する該相対位置を該第1のカウンター値に関連付けて該第1のカウンター値と該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置との関係を蓄積し、
該撮像カメラが該被撮像物の撮像を実施して該粗撮像画像を取得した際の該第2のカウンターの該第2のカウンター値と、該粗撮像画像のコントラスト値と、を関連付け、
該第1のカウンター値と該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置との該関係から、最も高い該コントラスト値に関連付けられた該第2のカウンター値に対応する該第1のカウンター値における該撮像カメラの該相対位置を算出することで該仮の合焦位置を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の合焦位置の検出方法。
【請求項5】
該時間合わせステップでは、該第1の制御部が該第2の制御部に該第2のカウンターの第2のカウンター値を要求し、該第2の制御部が該第2のカウンター値を回答し、該第1の制御部が該第2の制御部に要求を発したときの該第1のカウンター値と、該第1の制御部が該第2の制御部から回答を受けたときの該第1のカウンター値と、の中間値を該第1の制御部が算出し、該第2の制御部から受領した該第2のカウンター値と、該中間値と、が同一時刻における値であると認定することで該第1の制御部が該第1のカウンターと該第2のカウンターとの該時間合わせを実施することを特徴とする請求項4に記載の合焦位置の検出方法。
【請求項6】
該時間合わせステップでは、該第1の制御部が該第2の制御部への該第2のカウンター値の要求を繰り返して該時間合わせを複数回実施し、該第1の制御部が該第2の制御部へ要求を発してから該第2のカウンター値を受領するまでに要した回答時間が最も短くなる場合の該時間合わせの結果を採用することを特徴とする請求項5に記載の合焦位置の検出方法。
【請求項7】
被撮像物を保持する保持ユニットと、
該保持ユニットに保持された該被撮像物を撮像する撮像カメラと、
該撮像カメラを該保持ユニットに対して相対的に近接離反方向に沿って移動させる移動ユニットと、
該撮像カメラ及び該移動ユニットを制御する制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、
該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させつつ該保持ユニットに保持された該被撮像物を該撮像カメラに撮像させて複数の粗撮像画像を形成させ、該複数の該粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を仮の合焦位置として検出する仮合焦位置検出部と、
該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させ、複数の撮像位置において該撮像カメラ及び該保持ユニットが停止した状態で該保持ユニットに保持された該被撮像物を該撮像カメラに撮像させて複数の精密撮像画像を形成させ、該複数の該精密撮像画像のうち、コントラストが最も高い精密撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を合焦位置として検出する精密合焦位置検出部と、を有
し、
該精密合焦位置検出部が該撮像カメラに複数の該精密撮像画像を形成させる際の複数の該撮像位置は、該仮合焦位置検出部が検出した該仮の合焦位置を基準とした限定された範囲に含まれることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
該制御ユニットは、該移動ユニットを制御する第1の制御部及び該撮像カメラを制御する第2の制御部により構成され、
該第1の制御部は、該第1の制御部における時間の進行を表す第1のカウンター値を時間により進行させる第1のカウンターと、移動ユニット制御部と、第1の記憶部と、該仮合焦位置検出部と、該精密合焦位置検出部と、を含み、
該第2の制御部は、該第2の制御部における時間の進行を表す第2のカウンター値を時間により進行させる第2のカウンターと、撮像カメラ制御部と、第2の記憶部と、を含み、
該第1の制御部は、該第1のカウンターと該第2のカウンターとの時間合わせを実施でき、
該移動ユニット制御部は、該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して相対的に移動させている間、定期的に該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を計測するとともに計測を実施した際の該第1のカウンターの該第1のカウンター値を取得し、計測された該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を取得した該第1のカウンター値に関連付けて該第1の記憶部に記憶させ、該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置と該第1のカウンター値との関係を蓄積する機能を有し、
該カメラ制御部は、該撮像カメラに該被撮像物を撮像させ、得られた撮像画像のコントラストを評価する機能を有し、該撮像画像を取得した際の該第2のカウンターの該第2のカウンター値と、該撮像画像のコントラスト値と、を関連付けて該第2の記憶部に記憶させる機能を有し、
該仮合焦位置検出部は、該移動ユニット制御部により蓄積された該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置と該第1のカウンター値との該関係から、最も高い該コントラスト値に関連付けられた該第2のカウンター値に対応する該第1のカウンター値における該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を算出することで該仮の合焦位置を検出することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
該第1の制御部は、該第2の制御部に該第2のカウンターの第2のカウンター値を要求し、該第2の制御部が該第2のカウンター値を回答したときに該第1の制御部が該第2の制御部に要求を発したときの該第1のカウンター値と、該第1の制御部が該第2の制御部から回答を受けたときの該第1のカウンター値と、の中間値を算出し、該第2の制御部から受領した該第2のカウンター値と、該中間値と、が同一時刻における値であると認定することで該時間合わせを実施することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被撮像物を撮像する撮像カメラを備える撮像装置において、該撮像カメラの焦点が被撮像物に合う際の該撮像カメラの位置である合焦位置を検出する検出方法、及び合焦位置を検出できる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に使用されるデバイスチップは、ウェーハに複数のデバイスを形成し、該ウェーハをデバイス毎に分割することで形成される。デバイスチップの製造工程では、該ウェーハが様々な加工装置によって加工される。これらの加工装置には、被加工物の所定の領域を加工するために、また、加工後の被加工物の状態を確認するために被加工物を撮像する撮像カメラを備えるものがある。
【0003】
被加工物の加工予定箇所を精密に検出するには、被加工物に形成された微細なパターンを有するデバイス等を鮮明に撮像するために、撮像カメラの焦点を被撮像物である該被加工物に精密に合わせなければならない。また、加工後の被撮像物(被加工物)の状態を確認する際にも、被撮像物に形成された微細な加工痕を詳細に確認するために、撮像カメラの焦点を被撮像物に精密に合わせる必要がある。
【0004】
例えば、撮像カメラの焦点をステップ移動させて、各ステップで被撮像物を撮像し、得られた撮像画像を評価し、被撮像物に焦点を合わせるオートフォーカスに関する方法が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この方法では、撮像カメラの焦点の移動及び停止と、被撮像物の撮像と、を繰り返す。
【0005】
撮像カメラの焦点を移動させる方法として、撮像カメラ及び被撮像物を互いに近接するように、または互いに離反するように相対的に移動させる方法が考えられる。この場合、撮像カメラの焦点が被撮像物に合う状態における該被撮像物を保持する保持ユニットに対する該撮像カメラの相対位置を検出する。ここでは、検出された該相対位置を合焦位置と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭61-198204号公報
【文献】特開平8-97271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
撮像カメラのステップ移動を実施しつつ被撮像物を撮像してオートフォーカスを精密に実施する場合、撮像により得られる撮像画像にブレが生じていないことが重要となる。そして、ブレのない撮像画像を取得するために、撮像カメラ及び保持ユニットが相対的に移動した後、停止するのを待機してから撮像カメラに撮像を実施させる。
【0008】
より詳細には、撮像装置の制御ユニットは、撮像カメラ及び保持ユニットを停止させ、該撮像カメラ及び該保持ユニット停止したことを確認した後に該撮像カメラに撮像許可を送る。そして、撮像カメラは、該撮像許可を受けてから保持ユニットに保持された被撮像物を撮像する。
【0009】
そして、複数の撮像画像を形成して合焦位置を検出する際、撮像カメラ及び保持ユニットの移動及び停止と、停止の確認と、撮像許可の送信と、被撮像物の撮像と、にはそれぞれ時間がかかるため、合焦位置の検出を短時間で完了することはできなかった。
【0010】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短時間で合焦位置を精密に検出できる合焦位置の検出方法、及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、被撮像物を保持する保持ユニットと、該保持ユニットで保持された該被撮像物を撮像する撮像カメラと、該撮像カメラを該保持ユニットに対して相対的に近接離反方向に沿って移動させる移動ユニットと、を備える撮像装置において、該撮像カメラの焦点が該被撮像物に合う際の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置である合焦位置を検出する合焦位置の検出方法であって、該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させつつ該撮像カメラにより該保持ユニットに保持された該被撮像物を撮像して複数の粗撮像画像を形成し、形成した複数の該粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を仮の合焦位置として検出する粗検出ステップと、該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させ、複数の撮像位置において該撮像カメラ及び該保持ユニットが停止した状態で該撮像カメラにより該保持ユニットに保持された該被撮像物を撮像して複数の精密撮像画像を形成し、形成した複数の該精密撮像画像のうちコントラストが最も高い精密撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を合焦位置として検出する精密検出ステップと、を備え、該精密検出ステップにおいて複数の該精密撮像画像が該撮像カメラにより形成される際の複数の該撮像位置は、該粗検出ステップで検出された該仮の合焦位置を基準とした限定された範囲に含まれることを特徴とする合焦位置の検出方法が提供される。
【0012】
好ましくは、該粗検出ステップにおいて、該粗撮像画像が形成される度に該粗撮像画像のコントラストを評価し、該粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも低い場合に該一つ前に形成された該粗撮像画像を該コントラストが最も高い粗撮像画像であると判定し、該被撮像物の撮像を終了する。
【0013】
また、好ましくは、該精密検出ステップにおいて、該精密撮像画像が形成される度に該精密撮像画像のコントラストを評価し、該精密撮像画像のコントラストが該精密撮像画像の一つ前に形成された該精密撮像画像のコントラストよりも所定の差以上に低い場合に該一つ前に形成された該精密撮像画像を該コントラストが最も高い該精密撮像画像であると判定して該被撮像物の撮像を終了し、いずれの該精密撮像画像のコントラストもそれぞれの該精密撮像画像の一つ前に形成された該精密撮像画像のコントラストよりも所定の差以上に低くない場合、該撮像カメラが該保持ユニットに対して相対的に該仮の合焦位置を含む所定の範囲で移動して被撮像物の撮像を終了したとき、それまでに得られた複数の該精密撮像画像から該コントラストが最も高い精密撮像画像を検出する。より好ましくは、該撮像装置は、第1のカウンターを有し該移動ユニットを制御する第1の制御部と、第2のカウンターを有し該撮像カメラを制御する第2の制御部と、をさらに備え、該第1のカウンターは、該第1の制御部における時間の進行を表す第1のカウンター値を時間により進行させ、該第2のカウンターは、該第2の制御部における時間の進行を表す第2のカウンター値を時間により進行させ、該粗検出ステップの前に、該第1のカウンターと、該第2のカウンターとの時間合わせを実施する時間合わせステップをさらに備え、該粗検出ステップでは、該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させている間、定期的に該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を計測するとともに計測を実施した際の該第1のカウンターの該第1のカウンター値を取得し、計測された該撮像カメラの該保持ユニットに対する該相対位置を該第1のカウンター値に関連付けて該第1のカウンター値と該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置との関係を蓄積し、該撮像カメラが該被撮像物の撮像を実施して該粗撮像画像を取得した際の該第2のカウンターの該第2のカウンター値と、該粗撮像画像のコントラスト値と、を関連付け、該第1のカウンター値と該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置との該関係から、最も高い該コントラスト値に関連付けられた該第2のカウンター値に対応する該第1のカウンター値における該撮像カメラの該相対位置を算出することで該仮の合焦位置を検出する。さらに好ましくは、該時間合わせステップでは、該第1の制御部が該第2の制御部に該第2のカウンターの第2のカウンター値を要求し、該第2の制御部が該第2のカウンター値を回答し、該第1の制御部が該第2の制御部に要求を発したときの該第1のカウンター値と、該第1の制御部が該第2の制御部から回答を受けたときの該第1のカウンター値と、の中間値を該第1の制御部が算出し、該第2の制御部から受領した該第2のカウンター値と、該中間値と、が同一時刻における値であると認定することで該第1の制御部が該第1のカウンターと該第2のカウンターとの該時間合わせを実施する。より一層好ましくは、該時間合わせステップでは、該第1の制御部が該第2の制御部への該第2のカウンター値の要求を繰り返して該時間合わせを複数回実施し、該第1の制御部が該第2の制御部へ要求を発してから該第2のカウンター値を受領するまでに要した回答時間が最も短くなる場合の該時間合わせの結果を採用する。
【0014】
また、本発明の他の一態様によると、被撮像物を保持する保持ユニットと、該保持ユニットに保持された該被撮像物を撮像する撮像カメラと、該撮像カメラを該保持ユニットに対して相対的に近接離反方向に沿って移動させる移動ユニットと、該撮像カメラ及び該移動ユニットを制御する制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させつつ該保持ユニットに保持された該被撮像物を該撮像カメラに撮像させて複数の粗撮像画像を形成させ、該複数の該粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を仮の合焦位置として検出する仮合焦位置検出部と、該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して該近接離反方向に沿って相対的に移動させ、複数の撮像位置において該撮像カメラ及び該保持ユニットが停止した状態で該保持ユニットに保持された該被撮像物を該撮像カメラに撮像させて複数の精密撮像画像を形成させ、該複数の該精密撮像画像のうち、コントラストが最も高い精密撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を合焦位置として検出する精密合焦位置検出部と、を有し、該精密合焦位置検出部が該撮像カメラに複数の該精密撮像画像を形成させる際の複数の該撮像位置は、該仮合焦位置検出部が検出した該仮の合焦位置を基準とした限定された範囲に含まれることを特徴とする撮像装置が提供される。好ましくは、該制御ユニットは、該移動ユニットを制御する第1の制御部及び該撮像カメラを制御する第2の制御部により構成され、該第1の制御部は、該第1の制御部における時間の進行を表す第1のカウンター値を時間により進行させる第1のカウンターと、移動ユニット制御部と、第1の記憶部と、該仮合焦位置検出部と、該精密合焦位置検出部と、を含み、該第2の制御部は、該第2の制御部における時間の進行を表す第2のカウンター値を時間により進行させる第2のカウンターと、撮像カメラ制御部と、第2の記憶部と、を含み、該第1の制御部は、該第1のカウンターと該第2のカウンターとの時間合わせを実施でき、該移動ユニット制御部は、該移動ユニットにより該撮像カメラを該保持ユニットに対して相対的に移動させている間、定期的に該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を計測するとともに計測を実施した際の該第1のカウンターの該第1のカウンター値を取得し、計測された該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を取得した該第1のカウンター値に関連付けて該第1の記憶部に記憶させ、該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置と該第1のカウンター値との関係を蓄積する機能を有し、該カメラ制御部は、該撮像カメラに該被撮像物を撮像させ、得られた撮像画像のコントラストを評価する機能を有し、該撮像画像を取得した際の該第2のカウンターの該第2のカウンター値と、該撮像画像のコントラスト値と、を関連付けて該第2の記憶部に記憶させる機能を有し、該仮合焦位置検出部は、該移動ユニット制御部により蓄積された該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置と該第1のカウンター値との該関係から、最も高い該コントラスト値に関連付けられた該第2のカウンター値に対応する該第1のカウンター値における該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を算出することで該仮の合焦位置を検出する。さらに好ましくは、該第1の制御部は、該第2の制御部に該第2のカウンターの第2のカウンター値を要求し、該第2の制御部が該第2のカウンター値を回答したときに該第1の制御部が該第2の制御部に要求を発したときの該第1のカウンター値と、該第1の制御部が該第2の制御部から回答を受けたときの該第1のカウンター値と、の中間値を算出し、該第2の制御部から受領した該第2のカウンター値と、該中間値と、が同一時刻における値であると認定することで該時間合わせを実施する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る合焦位置の検出方法、及び撮像装置では、被撮像物を保持する保持ユニットに対して撮像カメラを相対的に移動させながら該撮像カメラで該被撮像物を撮像して複数の粗撮像画像を形成する。そして、複数の粗撮像画像のうち最もコントラストが高い粗撮像画像を検出し、該粗撮像画像が形成された際の撮像カメラの保持ユニットに対する相対位置を仮の合焦位置とする。次に、該仮の合焦位置を基準として複数の精密撮像画像を形成し、真の合焦位置を検出する。
【0016】
粗撮像画像は、撮像カメラ及び保持ユニットが停止していない状態で形成される。粗撮像画像はブレの生じた不鮮明な撮像画像となるため、合焦位置を精密に検出するのに該粗撮像画像を用いるのは好適とはいえない。しかしながら、複数の粗撮像画像を形成する際に撮像カメラ及び保持ユニットを停止させないため、停止の動作、停止の確認、撮像許可の送信、及び移動の再開に要する時間がかからない。そのため、撮像カメラ及び保持ユニットを撮像の都度停止させる場合と比較して、複数の粗撮像画像は短時間で取得できる。
【0017】
精密撮像画像は撮像カメラ及び保持ユニットを停止させた状態で形成されるため、撮像には時間がかかる。しかしながら、本発明の一態様に合焦位置の検出方法、及び撮像装置では、複数の精密撮像画像を形成する際、仮合焦位置を基準とした限定された範囲で撮像カメラを相対的に移動させて撮像を実施する。そのため、合焦位置を検出するのに必要な精密撮像画像の数は限られた数となり、従来よりも短い時間で合焦位置を検出できる。
【0018】
したがって、本発明により短時間で合焦位置を精密に検出できる合焦位置の検出方法、及び撮像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】被撮像物を含むフレームユニットを模式的に示す斜視図である。
【
図2】撮像装置が組み込まれた切削装置を模式的に示す斜視図である。
【
図4】粗検出ステップを模式的に示す側面図である。
【
図5】精密検出ステップを模式的に示す側面図である。
【
図6】合焦位置の検出方法のフローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る合焦位置の検出方法、及び撮像装置によると、合焦位置を短時間で検出できる。ここで合焦位置とは、撮像カメラの焦点が被撮像物に合う際の該被撮像物を保持する保持ユニットに対する該撮像カメラの相対位置とする。
【0021】
まず、被撮像物について説明する。被撮像物は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料からなる略円板状のウェーハである。または、被撮像物は、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる基板等である。また、被撮像物は、モールド樹脂等で封止された複数のデバイスチップが含まれるパッケージ基板等でもよい。被撮像物は、例えば、撮像装置が組み込まれた加工装置で加工される被加工物である。
【0022】
図1は、被撮像物の一例としてウェーハ1を模式的に示す斜視図である。以下、複数のデバイス5が形成されたウェーハ1が被撮像物である場合を例に本実施形態について説明するが、被撮像物はこれに限定されない。
【0023】
ウェーハ1の表面1aは、例えば、互いに交差する複数のストリート3と呼ばれる分割予定ラインで区画されている。ウェーハ1の表面1aのストリート3で区画された各領域にはIC(Integrated Circuit)、LSI(Large-Scale Integrated circuit)等のデバイス5が形成されている。ウェーハ1をストリート3に沿って分割すると、個々のデバイスチップを形成できる。
【0024】
ウェーハ1の分割には、例えば、ストリート3に沿ってウェーハ1にレーザビームを照射してウェーハ1をレーザ加工するレーザ加工装置が使用される。または、円環状の切削ブレードによりストリート3に沿ってウェーハ1を切削できる切削装置が使用される。
【0025】
ウェーハ1を切削装置やレーザ加工装置等の加工装置に搬入する前に、
図1に示す通り、ウェーハ1は、環状フレーム9と、該環状フレーム9の開口を塞ぐように貼られた粘着テープ7と、と一体化されて、フレームユニット11が形成される。ウェーハ1は、フレームユニット11の状態で該加工装置に搬入され加工される。そして、ウェーハ1が分割されて形成された個々のデバイスチップは、粘着テープ7により支持される。
【0026】
これらの加工装置においては、ウェーハ1をストリート3に沿って加工するために、予めストリート3の位置及び方向を検出し、ウェーハ1及び加工ユニットを所定の相対位置に位置付けるアライメントを実施する必要がある。また、これらの加工装置においては、加工が適切に実施されたことを確認するために、加工痕の状態が確認される場合がある。そして、これらの加工装置は、アライメントや加工結果の確認等に使用される撮像カメラを備えている。
【0027】
撮像カメラにより被撮像物を鮮明に撮像するには、該撮像カメラの焦点を被撮像物に精密に合わせなければならない。そこで、本実施形態に係る合焦位置の検出方法により該合焦位置が検出される。また、例えば、本実施形態に係る撮像装置はウェーハ1を加工する加工装置に組み込まれている。該撮像装置は、被撮像物の鮮明な撮像を実現するために、合焦位置を精密に検出できる機能を備える。
【0028】
以下、本実施形態に係る撮像装置がウェーハ1を切削する切削装置に組み込まれている場合を例に説明を続ける。ただし、本実施形態に係る撮像装置は該切削装置以外の加工装置に組み込まれていてもよく、さらに、ウェーハ1を加工しない検査装置に組み込まれていてもよい。また、ウェーハ1の裏面1bに粘着テープ7を貼着するマウンターや、ウェーハ1が分割された後に該粘着テープ7を拡張するエキスパンダーに含まれてもよい。
図2は、本実施形態に係る撮像装置を含む切削装置2を模式的に示す斜視図である。
【0029】
切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前方の角部には、矩形状の開口6が形成されており、この開口6には昇降可能なカセット支持台が設けられている。カセット支持台の上面には、複数のフレームユニット11を収容するカセット8が載せられる。なお、
図1では、説明の便宜上、カセット8の輪郭のみを示している。
【0030】
基台4の上面の開口6に隣接した位置には、X軸方向(加工送り方向)に長い矩形の開口12が形成されている。開口12には、被加工物保持ユニット14と、該被加工物保持ユニット14をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構(不図示)と、該X軸方向移動機構を覆う防塵防滴カバー12aと、が設けられている。
【0031】
切削装置2には、該カセット支持台に載せられたカセット8に収容されたフレームユニット11を搬出入する搬送機構(不図示)が設けられている。該搬送機構は、開口12を跨ぐように設けられた一対の搬送レール10上にカセット8に収容されたフレームユニット11を引き出す。
【0032】
該一対の搬送レール10は互いに離れる方向に移動可能である。該搬送機構にフレームユニット11を搬送レール10上に引き出させた後、該搬送機構にフレームユニット11を保持させ、該一対の搬送レール10の間隔を広げ、該搬送機構を下降させると被加工物保持ユニット14上にフレームユニット11を搬送できる。
【0033】
被加工物保持ユニット14は、例えば、ウェーハ1(被撮像物)を保持するチャックテーブルである。被加工物保持ユニット14の上面には多孔質部材が配設されており、該多孔質部材の上面がフレームユニット11を保持する保持面14aとなる。該被加工物保持ユニット14は、該保持面14a上に載せられたフレームユニット11を挟持するクランプ14b(
図3参照)を外周部に備える。
【0034】
該多孔質部材は、被加工物保持ユニット14の内部に形成された吸引路(不図示)を介して吸引源(不図示)に接続されている。保持面14aの上にフレームユニット11を載せ、吸引源を作動させて該吸引路及び該多孔質部材を通じて該フレームユニット11に負圧を作用させると、フレームユニット11が被加工物保持ユニット14に吸引保持される。
【0035】
被加工物保持ユニット14は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、保持面14aに垂直な回転軸の周りに回転可能である。また、被加工物保持ユニット14は、上述のX軸方向移動機構でX軸方向に加工送りされる。
【0036】
基台4の上面には、切削ユニット38及び撮像ユニット40を支持するための門型の支持構造16が、開口12を跨ぐように配置されている。支持構造16の前面上部には、切削ユニット38及び撮像ユニット40をY軸方向(割り出し送り方向)に移動させるY軸方向移動機構18と、Z軸方向(高さ方向)に移動させるZ軸方向移動機構28と、が設けられている。
【0037】
支持構造16の前面には、Y軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール20が設けられている。該Y軸ガイドレール20には、Y軸移動プレート22がスライド可能に取り付けられている。Y軸移動プレート22の裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはY軸ガイドレール20に平行なY軸ボールネジ24が螺合されている。
【0038】
Y軸ボールネジ24の一端部には、Y軸パルスモータ26が連結されている。Y軸パルスモータ26でY軸ボールネジ24を回転させると、Y軸移動プレート22はY軸ガイドレール20に沿ってY軸方向に移動する。すなわち、Y軸ガイドレール20、Y軸移動プレート22、Y軸ボールネジ24、及びY軸パルスモータ26は、Y軸方向移動機構18を構成する。
【0039】
Y軸移動プレート22の表面(前面)には、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール30が設けられている。Z軸ガイドレール30には、Z軸移動プレート32がスライド可能に取り付けられている。Z軸移動プレート32の裏面側(後面側)にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはZ軸ガイドレール30に平行なZ軸ボールネジ34が螺合されている。
【0040】
Z軸ボールネジ34の一端部には、Z軸パルスモータ36が連結されている。Z軸パルスモータ36でZ軸ボールネジ34を回転させれば、Z軸移動プレート32はZ軸ガイドレール30に沿ってZ軸方向に移動する。すなわち、Z軸ガイドレール30、Z軸移動プレート32、Z軸ボールネジ34、及びZ軸パルスモータ36は、Z軸方向移動機構28を構成する。
【0041】
Z軸移動プレート32の下部には、切削ユニット38が固定されている。切削ユニット38は、回転軸となるスピンドルと、該スピンドルの一端側に装着された円環状の切削ブレードを備えている。該切削ブレードは少なくとも外周部に砥石を備え、該スピンドルを回転させて該切削ブレードを回転させ該砥石を被加工物保持ユニット14で保持されたウェーハ1に接触させると、ウェーハ1が切削される。
【0042】
また、切削ユニット38に隣接する位置には、被加工物保持ユニット14で保持されたウェーハ1を撮像する撮像ユニット40が設けられている。撮像ユニット40は、例えば、CCDカメラである。撮像ユニット40を使用して被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1を撮像すると、ウェーハ1の表面1aが写る撮像画像を形成できる。なお、撮像ユニット40は、可視光以外の光を受光する赤外線カメラ等でもよい。
【0043】
Y軸方向移動機構18でY軸移動プレート22をY軸方向に移動させると、切削ユニット38及び撮像ユニット40がY軸方向に割り出し送りされる。また、Z軸方向移動機構28でZ軸移動プレート32をZ軸方向に移動させれば、切削ユニット38及び撮像ユニット40は昇降する。さらに、被加工物保持ユニット14にウェーハ1を保持させた状態でX軸方向移動機構(不図示)を作動させると、ウェーハ1がX軸方向に沿って加工送りされる。
【0044】
すなわち、該X軸方向移動機構と、Y軸方向移動機構18と、Z軸方向移動機構28と、は、切削ユニット38及び撮像ユニット40と、被加工物保持ユニット14及びウェーハ1と、を相対的に移動させる。
【0045】
なお、Y軸移動プレート22の表面(前面)には、Z軸方向に沿ったZ軸スケール(不図示)が設けられている。該Z軸スケールは、切削ユニット38及び撮像ユニット40のZ軸方向における位置を示す目盛り(不図示)を含む。そして、Z軸移動プレート32の裏面(後面)側の該Z軸スケールに対面する位置には、該Z軸スケールの反射光を受光して該目盛りを読み取る光学式の読み取りユニット(不図示)が配設されている。
【0046】
該読み取りユニットは、Z軸方向移動機構28が作動することにより移動する切削ユニット38及び撮像ユニット40のZ軸方向における位置を該Z軸スケールの該目盛りを読み取ることで検出できる。そして、該読み取りユニットは、検出した切削ユニット38及び撮像ユニット40のZ軸方向における位置を後述の第1の制御部46aの移動ユニット制御部48に送る機能を有する。したがって、移動ユニット制御部48は、切削ユニット38及び撮像ユニット40のZ軸方向における位置を検出できる。
【0047】
ここで、該読み取りユニットは光学式でなくてもよい。例えば、Z軸スケールの目盛りにはZ軸方向に沿って異なる磁気信号が埋め込まれていてもよい。この場合、該読み取りユニットは、Z軸スケールの目盛りの該読み取りユニットに対面する箇所から該磁気信号を読み取り、該磁気信号をZ軸方向における位置情報に変換できる磁気式の読み取りユニットとされる。
【0048】
切削ユニット38の切削ブレードを回転させつつ、切削ユニット38と、被加工物保持ユニット14と、を該X軸方向移動機構により相対的に移動させてウェーハ1を加工送りし、該切削ブレードをウェーハ1に切り込ませると、ウェーハ1が切削される。このとき、切削ブレードを所定の高さに位置付けるのにZ軸方向移動機構28を作動させる。また、ウェーハ1の加工箇所を変更する際には、Y軸方向移動機構18を作動させてウェーハ1を割り出し送りする。
【0049】
また、撮像ユニット40を被加工物保持ユニット14に対して相対的に移動させ、所定の位置で撮像ユニット40を作動させると、被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1が撮像され撮像画像が形成される。
【0050】
被加工物保持ユニット14は、本実施形態に係る撮像装置の保持ユニットとして機能できる。また、撮像ユニット40は、該撮像装置の撮像カメラとして機能できる。さらに、Z軸方向移動機構28は、該撮像カメラとして機能する撮像ユニット40を該保持ユニットとして機能する被加工物保持ユニット14に対して近接離反方向(Z軸方向)に沿って相対的に移動させる移動ユニットとして機能する。
【0051】
ただし、本実施形態に係る撮像装置が備える保持ユニット、撮像カメラ、及び移動ユニットはこれに限定されない。例えば、保持ユニットは、切削装置2が基台4上に備える仮置き台(不図示)でもよい。該仮置き台には、被加工物が一時的に置かれる。この場合、撮像カメラは、仮置き台に置かれた被加工物を撮像できる位置に配設される。または、保持ユニットは被加工物を搬送する搬送ユニットでもよい。この場合、撮像カメラは搬送ユニットに保持されて搬送される被加工物を撮像できる位置に配設される。
【0052】
以下、被加工物保持ユニット14が保持ユニットとして機能し、撮像ユニット40が撮像カメラとし機能し、Z軸方向移動機構28が移動ユニットとして機能する場合を例に切削装置2及び本実施形態に係る撮像装置について説明を続ける。
【0053】
基台4の上面の開口12に対して開口6と反対側の位置には、円形の開口42が形成されている。開口42内には、ウェーハ1を切削した後にフレームユニット11を洗浄するための洗浄ユニット44が設けられている。開口42の内部に設けられた洗浄ユニット44は、フレームユニット11を保持する洗浄テーブル44aと、該洗浄テーブル44aに保持されたフレームユニット11の上方から該フレームユニット11に洗浄液を吐出する洗浄ノズル(不図示)と、を備える。なお、該洗浄液は、例えば、純水である。
【0054】
切削装置2は、該切削装置2の各構成要素を制御する制御ユニット46を備える。制御ユニット46は、上述のカセット載置台、搬送機構、搬送レール10、移動ユニット、切削ユニット38、撮像ユニット40、洗浄ユニット44、及びその他の機構を制御する。制御ユニット46は、例えば、中央演算処理装置(CPU)や記憶媒体等を備える一つまたは複数のコンピュータ等で構成される。該制御ユニット46が備える各部の機能は、一つまたは複数のコンピュータ等により実現される。
【0055】
被加工物保持ユニット14で保持されたウェーハ1をストリート3に沿って切削(加工)するには、ウェーハ1のストリート3の位置及び方向を検出してアライメントを実施する必要がある。まず、ウェーハ1のストリート3がX軸方向(加工送り方向)に沿うように被加工物保持ユニット14を回転させる。次に、ストリート3の延長線上に切削ユニット38の切削ブレードの砥石が位置付けられるように被加工物保持ユニット14と、切削ユニット38と、を相対的に移動させる。
【0056】
ウェーハ1のストリート3の位置を精密に検出できなければアライメントを高精度に実施できない。アライメントが高精度に実施されなければ、ウェーハ1をストリート3に沿って精密に切削することはできず、加工精度が低下してしまう。そこで、撮像ユニット40を使用してストリート3の位置を精密に検出するために、撮像ユニット40の焦点がウェーハ1の表面に合う際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置を合焦位置として予め精密に検出する。
【0057】
また、加工後のウェーハ1の上面を撮像ユニット40で撮像し、ウェーハ1の状態を確認して加工結果を評価し、その後に実施される加工の条件に評価結果をフィードバックしたい場合がある。例えば、ウェーハ1をストリート3に沿って切削する場合に、切削によりウェーハ1に形成された切削痕の状態が確認される。この場合にも、撮像ユニット40の焦点をウェーハ1の上面に合わせた状態で撮像を実施する。そして、合焦位置が予め精密に検出されていると、ウェーハ1の上面に焦点が合うように撮像ユニット40を短時間に移動できる。
【0058】
または、加工後のウェーハ1の上面を撮像する際に改めて合焦位置が検出されてもよい。ウェーハ1や粘着テープ7の局所的な厚みのばらつきに起因してウェーハ1の上面の高さにも局所的なばらつきが生じる場合があるため、加工後のウェーハ1の上面の各領域を撮像する都度、合焦位置が精密に検出されるのが望ましい。この場合、アライメントを実施する際に検出された合焦位置を基準として利用して改めて合焦位置を検出するとよい。基準が無い場合と比較して、短時間で改めて合焦位置を検出できるためである。
【0059】
切削装置2の制御ユニット46は、切削装置2の各構成要素を制御して該合焦位置を精密に検出する機能を有する。次に、合焦位置の検出に関係する制御ユニット46について説明する。制御ユニット46は、切削装置2に組み込まれている本実施形態に係る撮像装置の制御ユニットとして機能できる。
【0060】
被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に保持されたウェーハ1を撮像ユニット40(撮像カメラ)で撮像したとき、撮像位置が合焦位置に近い程、形成される撮像画像が鮮明となりコントラストが上がる。そこで、本実施形態に係る撮像装置は、撮像位置を変えながら撮像ユニット40(撮像カメラ)に被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に保持されたウェーハ1を繰り返して撮像させ、複数の撮像画像を形成する。そして、形成された複数の撮像画像のコントラストを評価して合焦位置を検出する。
【0061】
制御ユニット46は、例えば、主に移動ユニットを制御するマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ、マイコン)で成る第1の制御部46aと、主に撮像カメラを制御するパーソナルコンピュータ(PC)で成る第2の制御部46bと、により構成される。
【0062】
図2に示す通り、制御ユニット46は、移動ユニット制御部48と、撮像カメラ制御部50と、仮合焦位置検出部52と、精密合焦位置検出部56と、を備える。第1の制御部46aは、例えば、移動ユニット制御部48と、仮合焦位置検出部52と、精密合焦位置検出部56と、第1の記憶部54aと、第1のカウンター58aと、を含む。第2の制御部46bは、例えば、撮像カメラ制御部50と、第2の記憶部54bと、第2のカウンター58bと、を含む。
【0063】
第1の記憶部54aは、第1の制御部46aに入力される情報及び該第1の制御部46aで形成される情報等を記憶できる。また、第2の記憶部54bは、第2の制御部46bに入力される情報及び該第2の制御部46bで形成される情報等を記憶できる。
【0064】
第1のカウンター58aは、時間により第1のカウンター値を進行させる。該第1のカウンター値は、第1の制御部46aにおける時間の進行を表す値であり、第1の制御部46aで実施される各種の処理の実施時間を記録する際に使用される。第2のカウンター58bは、時間により第2のカウンター値を進行させる。該第2のカウンター値は、第2の制御部46bにおける時間の進行を表す値であり、第2の制御部46bで実施される各種の処理の実施時間を記録する際に使用される。
【0065】
第1の制御部46aは、第1のカウンター58aと、第2のカウンター58bと、の時間合わせを実施できる。第1のカウンター58a及び第2のカウンター58bの時間合わせを実施すると、実施時間が第1のカウンター値で記録される処理と、実施時間が第2のカウンター値で記録される処理と、を一つの時系列上で検討できる。合焦位置の検出が実施される際には、該時間合わせが実施される。
【0066】
該時間合わせを実施する際、例えば、第1の制御部46aは第2の制御部46bに第2のカウンター58bの第2のカウンター値を要求する。そして、第2の制御部46bは、第1の制御部46aに該第2のカウンター値を回答する。第1の制御部46aは、第2の制御部46bに要求を発したときの第1のカウンター値と、第2の制御部46bから回答を受けたときの第1のカウンター値と、を第1の記憶部54aに記憶させる。
【0067】
ここで、第1の制御部46aから第2の制御部46bへの通信に要する時間と、第2の制御部46bから第1の制御部46aへの通信に要する時間と、は概略同一である。そのため、第1の制御部46aは、第1の記憶部54aに記憶させた2つの第1のカウンター値の中間値を算出し、第2の制御部46bから受領した該第2のカウンター値と、該中間値と、が同一時刻におけるカウンター値である認定する。
【0068】
ただし、第1の制御部46aと、第2の制御部46bと、の間の通信に要する時間は、通信の割り込み等の要因により遅延する可能性がある。そこで、第1の制御部46aは、時間合わせを高い精度で実施するために、第2の制御部46bへの第2のカウンター値の要求を繰り返して時間合わせを複数回実施する。そして、第1の制御部46aは、第2の制御部46bへ要求を発してから第2のカウンター値を受領するまでに要した回答時間が最も短くなる場合の時間合わせの結果を採用する。
【0069】
移動ユニット制御部48は、移動ユニットとして機能するZ軸方向移動機構28を制御して、撮像カメラとして機能する撮像ユニット40を保持ユニットとして機能する被加工物保持ユニット14に対して相対的に近接離反方向(Z軸方向)に沿って移動させる。移動ユニット制御部48は、Y軸移動プレート22に設けられた上述のZ軸スケールの目盛りを読み取る上述の読み取りユニットを利用して被加工物保持ユニット14に対する撮像ユニット40の相対的な位置を計測する。
【0070】
そして、移動ユニット制御部48は、撮像ユニット40を被加工物保持ユニット14に対して相対的に移動させている間、定期的に撮像ユニット40の相対的な位置を計測するとともに、計測を実施した際の第1のカウンター値を取得する。さらに、計測された撮像ユニット40の相対的な位置を該第1のカウンター値に関連付けて第1の記憶部54aに記憶させる。該相対的な位置と、該第1のカウンター値と、の関係が蓄積されると、ある時間における該撮像ユニット40の相対的な位置を後に算出できる。
【0071】
第2の制御部46bが備える撮像カメラ制御部50は、撮像ユニット40の撮像タイミングを制御し、撮像ユニット40に被加工物保持ユニット14で保持された被撮像物を撮像させる。また、撮像カメラ制御部50は、得られた撮像画像のコントラストを評価する機能を有する。
【0072】
そして、撮像カメラ制御部50は、被撮像物の撮像を実施して撮像画像を取得した際の第2のカウンター値と、該撮像画像のコントラスト値と、を関連付けて第2の記憶部54bに記憶させる機能を有する。さらに、撮像カメラ制御部50は、得られた該撮像画像及び該第2のカウンター値を第1の制御部46aに送る機能を有する。
【0073】
第1の制御部46aが備える仮合焦位置検出部52は、撮像ユニット40(撮像カメラ)を被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対して相対的に移動させながら被撮像物を撮像ユニット40に撮像させ、仮の合焦位置を検出する機能を有する。仮合焦位置検出部52は、粗撮像画像形成指示部52aと、仮合焦位置算出部52bと、を有する。
【0074】
ここで、合焦位置とは、撮像ユニット40(撮像カメラ)の焦点が被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に保持された被撮像物に合う状態における該被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対する該撮像ユニット40の相対位置である。そして、仮の合焦位置とは、本実施形態に係る合焦位置の検出方法及び撮像装置において該合焦位置を検出する際の基準となる該相対位置である。
【0075】
仮合焦位置検出部52により仮の合焦位置を検出する際には、まず、粗撮像画像形成指示部52aが各構成に指示を発する。粗撮像画像形成指示部52aは移動ユニット制御部48に指示し、Z軸方向移動機構28(移動ユニット)による撮像ユニット40(撮像カメラ)の被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対する近接離反方向に沿った相対的な移動を開始させる。
【0076】
それとともに、粗撮像画像形成指示部52aは、第2の制御部46bの撮像カメラ制御部50に指示し、被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1(被撮像物)を所定の時間毎に撮像ユニット40に撮像させる。
【0077】
複数の撮像画像を形成する間、被加工物保持ユニット14及び撮像ユニット40を停止させないため、該複数の撮像画像の形成に要する時間は被加工物保持ユニット14と、撮像ユニット40と、を都度停止させるのに比べて極めて短くなる。ただし、撮像ユニット40及び被加工物保持ユニット14を停止させずにウェーハ1を撮像すると、形成される複数の撮像画像はブレが生じた粗い画像となる。そこで、被加工物保持ユニット14及び撮像ユニット40を停止させずに形成された撮像画像を粗撮像画像と呼ぶこととする。
【0078】
粗撮像画像は、ブレが生じた不鮮明な撮像画像となるがコントラストの評価は可能である。複数の粗撮像画像を連続的に形成していくとき、粗撮像画像が形成される際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置が合焦位置に近づくにつれて粗撮像画像のコントラストが上がっていく。そして、最も合焦位置に近い該相対位置で形成された粗撮像画像をピークに、その後に形成される粗撮像画像のコントラストは下がる。
【0079】
すなわち、コントラストが最も高い粗撮像画像が形成された際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置は、他の粗撮像画像における該相対位置と比べて最も合焦位置に近くなる。そこで、本実施形態に係る撮像装置では、複数の粗撮像画像を形成してコントラストを評価し、最もコントラストが高い粗撮像画像を特定し、該粗撮像画像が形成された際の撮像ユニット40の相対位置を仮の合焦位置として検出する。その後、該仮の合焦位置を基準として真の合焦位置を検出する。
【0080】
撮像カメラ制御部50は、粗撮像画像が形成される都度、得られた粗撮像画像を評価してコントラスト値を算出する。そして、該粗撮像画像が形成された際の第2のカウンター58bの第2のカウンター値と、算出されたコントラスト値と、を関連付けて第2の記憶部54bに蓄積していく。そして、複数の粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像を特定する。
【0081】
例えば、第2の制御部46bでは、粗撮像画像が形成されコントラスト値が算出される都度、それまでに撮像された粗撮像画像のうち最も新しい粗撮像画像のコントラスト値を第2の記憶部54bから読み出してコントラストを比較する。すなわち、形成された該粗撮像画像のコントラストと、該粗撮像画像の一つ前に形成された粗撮像画像のコントラストと、を比較する。
【0082】
粗撮像画像のコントラストは、撮像位置が合焦位置に近づくにつれて上昇し、その後、撮像位置が合焦位置を過ぎて合焦位置から離れるにつれて低下する。そこで、形成された粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも高い場合、粗撮像画像の形成を続行する。
【0083】
その一方で、形成された粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも低い場合、該一つ前に形成された粗撮像画像をコントラストが最も高い粗撮像画像であると判定する。そして、粗撮像画像の形成を終了させる。なお、撮像画像のコントラストの評価方法については、後に詳述する。
【0084】
ただし、複数の粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像を特定する手法はこれに限定されない。コントラストが最も高い粗撮像画像を特定する他の手法について次に説明する。該他の手法においては、形成された粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも高い場合に粗撮像画像の形成を続行する。その上、コントラストが上昇から低下に切り替わるとき、コントラストが所定の差以上に低くならない場合においても粗撮像画像の形成を続行する。
【0085】
その一方で、形成された粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも該所定の差以上に低い場合、該一つ前に形成された粗撮像画像をコントラストが最も高い粗撮像画像であると判定する。そして、粗撮像画像の形成を終了させる。
【0086】
また、いずれの粗撮像画像のコントラストもそれぞれの該粗撮像画像の一つ前に形成された粗撮像画像のコントラストよりも所定の差以上に低くない場合、該撮像ユニット40が被加工物保持ユニット14に対して相対的に所定の範囲移動した時点で撮像を終了させる。そして、ウェーハ1の撮像を終了したとき、それまでに得られた複数の該粗撮像画像のコントラストを比較し、コントラストが最も高い粗撮像画像を特定する。
【0087】
コントラストが最も高い粗撮像画像が特定された際、第2の制御部46bは第1の制御部46aの仮合焦位置検出部52に、該コントラストが最も高い粗撮像画像が形成された際の第2のカウンター58bの第2のカウンター値を送る。なお、コントラストが最も高い粗撮像画像の特定は、第1の制御部46aで実施されてもよい。この場合、第2の制御部46bは、粗撮像画像が形成される度に該粗撮像画像と、第2のカウンター値と、を第1の制御部46aに送る。
【0088】
一方、複数の粗撮像画像が形成される際、第1の制御部46aでは、移動ユニット制御部48が定期的に撮像ユニット40の相対的な位置を計測するとともに、計測を実施した際の第1のカウンター58aの第1のカウンター値を取得する。そして、計測された撮像ユニット40の相対的な位置が該第1のカウンター値に関連付けられて第1の記憶部54aに記憶される。
【0089】
そして、第1の制御部46aは、第1のカウンター58a及び第2のカウンター58bの時間合わせを予め実施する。そのため、仮合焦位置検出部52の仮合焦位置算出部52bは、複数の粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像が撮像された際の第2のカウンター値を受領したとき、該第2のカウンター値に対応する第1のカウンター値を算出できる。
【0090】
仮合焦位置算出部52bは、第1の記憶部54aに記憶された第1のカウンター値と、撮像ユニット40の相対的な位置と、の関係から、該第2のカウンター値に対応する第1のカウンター値における撮像ユニット40の該相対的な位置を算出する。すなわち、コントラストが最も高い粗撮像画像が形成された時の撮像ユニット40(撮像カメラ)の被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対する相対位置を特定する。仮合焦位置算出部52bは、該相対位置を仮の合焦位置として検出する。
【0091】
図4には、複数の粗撮像画像の例が模式的に示されている。
図4に示す例では、粗撮像画像13dが他の粗撮像画像13a,13b,13c,13eと比較してコントラストが高い。そのため、粗撮像画像13dが形成された際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置が仮の合焦位置15となる。
【0092】
仮の合焦位置15は、鮮明な撮像画像とは言えない粗撮像画像を利用して検出されるため、真の合焦位置とは一致しない可能性がある。しかし、仮の合焦位置15は、撮像ユニット40を停止させずに形成される粗撮像画像から高速に検出される。そのため、仮の合焦位置15を利用して該仮の合焦位置15の近傍で真の合焦位置を探ると、真の合焦位置を比較的速く特定できる。
【0093】
第1の制御部46aが備える精密合焦位置検出部56は、撮像ユニット40(撮像カメラ)を被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対して相対的に移動させ、撮像ユニット40及び被加工物保持ユニット14を停止させる。そして、複数の撮像位置でウェーハ1(被撮像物)を撮像ユニット40に撮像させ、合焦位置を精密に検出する機能を有する。精密合焦位置検出部56は、精密撮像画像形成指示部56aと、精密合焦位置算出部56bと、を有する。
【0094】
精密合焦位置検出部56により合焦位置を検出する際には、まず、移動ユニット制御部48に指示し、Z軸方向移動機構28(移動ユニット)により該撮像ユニット40を被加工物保持ユニット14に対して近接離反方向に沿って相対的に移動させる。このとき、例えば、仮合焦位置検出部52が検出した仮の合焦位置15を含む所定の範囲において撮像ユニット40を所定ピッチで被加工物保持ユニット14に対して近接離反方向に沿って相対的に移動させる。
【0095】
該所定の範囲について説明する。仮合焦位置検出部52が仮の合焦位置15を検出する際、複数の粗撮像画像からコントラストが最も高い粗撮像画像を特定する。ここで、その特定された粗撮像画像の前後に形成された粗撮像画像のそれぞれが形成された際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置に着目する。そして、該所定の範囲は、例えば、仮の合焦位置15を含む範囲であって、該前後の該粗撮像画像が形成された際のそれぞれの撮像ユニット40の該相対位置の間に収まる範囲とする。
【0096】
さらに、該所定の範囲は、好ましくは、連続する2つの粗撮像画像の一方が形成された際の撮像ユニット40の該相対位置と、他方が形成された際の撮像ユニット40の該相対位置と、の間の距離よりも狭い範囲とする。
【0097】
精密撮像画像形成指示部56aは、撮像ユニット40が停止しているのを移動ユニット制御部48が確認した後、撮像カメラ制御部50に指示し、被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1を撮像ユニット40に撮像させる。
【0098】
撮像ユニット40及び被加工物保持ユニット14が停止した状態で被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1が撮像されるため、得られる撮像画像はブレの少ない比較的鮮明な撮像画像となる。そこで、被加工物保持ユニット14と、撮像ユニット40と、が停止した状態で形成されたこれらの撮像画像を精密撮像画像と呼ぶこととする。
【0099】
精密撮像画像が撮像された際、例えば、撮像カメラ制御部50は、精密撮像画像のコントラストを評価して評価結果を第1の制御部46aの精密合焦位置検出部56に送る。または、撮像カメラ制御部50は、得られた精密撮像画像を精密合焦位置検出部56に送り、精密合焦位置検出部56が該精密撮像画像のコントラストを評価する。
【0100】
また、精密合焦位置検出部56は、それぞれの精密撮像画像が形成された際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置をY軸移動プレート22に設けられた上述のZ軸スケールの目盛りを読み取る上述の読み取りユニットを利用して計測する。そして、該精密撮像画像のコントラスト値と、該撮像ユニット40の該相対位置と、を関連付けて第1の記憶部54aに記憶させる。
【0101】
その後、精密撮像画像形成指示部56aは、移動ユニット制御部48に指示して撮像ユニット40を被加工物保持ユニット14に対して相対的に移動させ、次の撮像位置に撮像ユニット40を位置付ける。精密撮像画像形成指示部56aは、撮像ユニット40が停止していることを確認した後、撮像カメラ制御部50に指示して撮像ユニット40にウェーハ1を撮像させる。そして、精密合焦位置検出部56は同様に該精密撮像画像のコントラスト値と、撮像ユニット40の相対位置と、を関連付けて第1の記憶部54aに記憶させる。
【0102】
精密合焦位置算出部56bは、複数の精密撮像画像のうちコントラストが最も高い精密撮像画像を特定する。例えば、精密撮像画像が形成された際、該精密撮像画像のコントラストと、該精密撮像画像の一つ前に形成された精密撮像画像のコントラストと、を比較する。複数の精密撮像画像のコントラストを次々に評価していくと、精密撮像画像の撮像位置が合焦位置に近づくにつれて精密撮像画像のコントラストが上昇していく。
【0103】
そして、撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置が合焦位置となるときに形成された精密撮像画像のコントラストが最も高くなり、その後、撮像位置が合焦位置から離れるにつれて精密撮像画像のコントラストは低下する。そこで、形成された精密撮像画像のコントラストが該精密撮像画像の一つ前に形成された該精密撮像画像のコントラストよりも高くなる場合、精密撮像画像の形成を続行する。
【0104】
その一方で、形成された精密撮像画像のコントラストが該精密撮像画像の一つ前に形成された該精密撮像画像のコントラストよりも低くなる場合に該一つ前に形成された精密撮像画像をコントラストが最も高い精密撮像画像であると判定する。そして、撮像ユニット40の移動と、ウェーハ1の撮像と、を終了させる。
【0105】
ただし、各精密撮像画像を取得する際、撮像ユニット40を比較的小さな移動距離で移動させるため、前後の精密撮像画像のコントラストが大きく変化しない場合がある。この場合、前後の精密撮像画像のコントラストを比較しただけでは合焦位置で撮像された精密撮像画像を明確に特定できない場合がある。
【0106】
そこで、該撮像ユニット40が相対的に上述の所定の範囲の全域に移動させウェーハ1を撮像してもよい。そして、ウェーハ1の撮像が終了したときに、精密合焦位置算出部56bは、それまでに得られた複数の該精密撮像画像のコントラストを比較し、コントラストが最も高い精密撮像画像を特定する。なお、この場合においても、形成された精密撮像画像のコントラストが該精密撮像画像の一つ前に形成された該精密撮像画像のコントラストよりも明らかに低くなる場合に、その時点でウェーハ1の撮像を終了させてもよい。
【0107】
次に、精密合焦位置算出部56bは、該コントラストが最も高い精密撮像画像が形成された時の撮像ユニット40(撮像カメラ)の被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対する相対位置を第1の記憶部54aから読み出す。そして、該相対位置を合焦位置として検出する。なお、本実施形態等においては、この合焦位置を真の合焦位置という場合がある。
【0108】
図5に、複数の精密撮像画像の例を模式的に示す。
図5に示す例では、複数の精密撮像画像17a,17b,17c,17d,17eのうち、仮の合焦位置15に撮像ユニット40が位置付けられた際に形成された精密撮像画像17cのコントラストが最も高い。この場合、仮の合焦位置15が真の合焦位置であることが確認される。
【0109】
ただし、仮の合焦位置15に撮像ユニット40が位置付けられた際に形成された精密撮像画像17cのコントラストが最も高くなるとは限らない。例えば、精密撮像画像17dのコントラストが最も高い場合、精密撮像画像17dが形成された際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置が真の合焦位置として検出される。
【0110】
本実施形態に係る撮像装置では、撮像カメラを保持ユニットに対して相対的に移動させる移動ユニットと、該撮像カメラと、をそれぞれ異なる制御部で制御することで各制御部の処理能力が高められている。そして、それぞれの制御部が備えるカウンターの時間合わせを実施することで、撮像カメラを相対的に移動させながら被撮像物を撮像して複数の粗撮像画像を取得しても、それぞれの粗撮像画像の撮像位置を特定できる。そのため、撮像カメラを停止させることなく粗撮像画像を形成して仮の合焦位置15を検出できる。
【0111】
そして、本実施形態に係る撮像装置では、仮合焦位置検出部52により仮の合焦位置15を検出した後で、複数の精密撮像画像を形成して真の合焦位置を検出する。ここで、精密撮像画像を形成する際に費やされる時間は比較的長いが、精密撮像画像の数は限定的である。そのため、合焦位置を従来よりも短時間で検出できる。
【0112】
次に、本実施形態に係る合焦位置の検出方法について詳述する。
図6は、本実施形態に係る合焦位置の検出方法の各ステップのフローの一例を示すフローチャートである。以下、該検出方法について、上述のウェーハ1を被撮像物とし、撮像装置が組み込まれた切削装置2(
図2等参照)において合焦位置を検出する場合を例に説明する。ただし、本実施形態に係る検出方法はこれに限定されない。被撮像物はウェーハ1に限定されず、また、切削装置2以外の装置等において合焦位置を検出してもよい。
【0113】
本実施形態に係る合焦位置の検出方法では、仮の合焦位置を検出する粗検出ステップS1と、合焦位置を検出する精密検出ステップS2と、を実施する。精密検出ステップS2では、粗検出ステップS1で検出された仮の合焦位置を基準として真の合焦位置を探すことにより、該真の合焦位置を短時間で検出する。以下、該合焦位置の検出方法の各ステップについて詳述する。
【0114】
まず、本実施形態に係る合焦位置の検出方法では、粗検出ステップS1を実施する前に、被撮像物であるウェーハ1を撮像装置が組み込まれた切削装置2の被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に保持させる保持ステップを実施してもよい。なお、保持ステップでは、保持ユニットとして搬送ユニットや仮置き領域等の被加工物保持ユニット14以外の保持ユニットにウェーハ1が保持されてもよい。
【0115】
図3は、被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1を模式的に示す断面図である。ウェーハ1は、例えば、粘着テープ7及び環状フレーム9と一体化され、フレームユニット11の状態で切削装置2に搬入される。
【0116】
保持ステップでは、フレームユニット11を被加工物保持ユニット14の保持面14aの上に載せ、クランプ14bにフレームユニット11の環状フレーム9を把持させる。そして、被加工物保持ユニット14の吸引源を作動させて、保持面14aに粘着テープ7を介してウェーハ1を吸引保持させる。ただし、本実施形態に係る合焦位置の検出方法はこれに限定されず、切削装置2に搬入されるウェーハ1は環状フレーム9及び粘着テープ7と一体化されていなくてもよい。
【0117】
また、本実施形態に係る合焦位置の検出方法では、第1の制御部46aの第1のカウンター58aと、第2の制御部46bの第2のカウンター58bと、の時間を合わせる時間合わせステップを実施してもよい。時間合わせステップでは、例えば、第1の制御部46aが第2のカウンター58bに第2のカウンター値を要求する。そして、第2のカウンター値を受けた時と、要求を実施した時と、の第1のカウンター58aの第1のカウンター値の中間値と、該第2のカウンター値と、が同一時刻であるとして時間を合わせる。
【0118】
次に、粗検出ステップS1について説明する。粗検出ステップS1では、Z軸方向移動機構28(移動ユニット)により撮像ユニット40(撮像カメラ)を被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対して相対的に近接離反方向(Z軸方向)に沿って移動させる。そして、撮像ユニット40を移動させつつ撮像ユニット40により被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1(被撮像物)を撮像して複数の粗撮像画像を形成する。
【0119】
粗撮像画像が形成される都度、該粗撮像画像のコントラストを評価して、形成した複数の該粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像を特定する。その後、粗検出ステップS1では、コントラストが最も高い粗撮像画像が形成された時の撮像ユニット40(撮像カメラ)の被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対する相対位置を仮の合焦位置として検出する。
図4は、粗検出ステップS1を模式的に示す側面図である。以下、粗検出ステップS1について詳述する。
【0120】
粗検出ステップS1では、まず、第1の制御部46aの粗撮像画像形成指示部52aが移動ユニット制御部48に指示して、移動ユニットに撮像ユニット40の下降を開始させる。そして、移動ユニット制御部48は、Y軸移動プレート22に設けられた上述のZ軸スケールの目盛りを読み取る上述の読み取りユニットを利用して撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置を定期的に計測する。さらに、該相対位置を計測した際の第1のカウンター58aの第1のカウンター値を該相対位置に関連付けて第1の記憶部54aに蓄積していく。
【0121】
また、第1の制御部46aの粗撮像画像形成指示部52aが第2の制御部46bの撮像カメラ制御部50に指示して、定期的に被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1を撮像ユニット40に撮像させ、粗撮像画像を形成させる。そして、撮像カメラ制御部50は、粗撮像画像が形成される都度、該粗撮像画像のコントラストを評価する。さらに、各粗撮像画像が形成された際の第2のカウンター値を第2のカウンター58bから読み取り、算出されたコントラスト値と関連付けて第2の記憶部54bに蓄積していく。
【0122】
例えば、第2の制御部46bでは、粗撮像画像が形成されコントラスト値が算出される都度、それまでに撮像された粗撮像画像のうち最も新しい粗撮像画像のコントラスト値を第2の記憶部54bから読み出してコントラストを比較する。すなわち、形成された該粗撮像画像のコントラストと、該粗撮像画像の一つ前に形成された粗撮像画像のコントラストと、を比較する。
【0123】
その結果、形成された粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも高い場合、粗撮像画像の形成を続行する。その一方で、形成された粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも低い場合、該一つ前に形成された粗撮像画像をコントラストが最も高い粗撮像画像であると判定する。そして、粗撮像画像の形成を終了させる。
【0124】
ただし、複数の粗撮像画像のうちコントラストが最も高い粗撮像画像を特定する手法はこれに限定されない。例えば、粗撮像画像が形成された際、該粗撮像画像のコントラストと、該粗撮像画像の一つ前に形成された粗撮像画像のコントラストと、を比較する。その結果、形成された粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも所定の差以上に低くない場合、粗撮像画像の形成を続行する。
【0125】
その一方で、形成された粗撮像画像のコントラストが該粗撮像画像の一つ前に形成された該粗撮像画像のコントラストよりも該所定の差以上に低い場合、該一つ前に形成された粗撮像画像をコントラストが最も高い粗撮像画像であると判定する。そして、粗撮像画像の形成を終了させる。
【0126】
コントラストが最も高い粗撮像画像が特定されたとき、撮像カメラ制御部50は、該粗撮像画像が形成された際の第2のカウンター58bの第2のカウンター値を仮合焦位置算出部52bに送る。仮合焦位置算出部52bは、送られてきた該第2のカウンター値に対応する第1のカウンター値を算出し、該第1のカウンター値に対応する撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置を算出する。このとき、第1の記憶部54aに蓄積された第1のカウンター値と、撮像ユニット40と、の関係が参照される。
【0127】
形成された複数の粗撮像画像の中でコントラストが最も高い粗撮像画像は、撮像位置が最も合焦位置に近い粗撮像画像といえる。そのため、算出された撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置は、仮の合焦位置として検出される。以上により、粗検出ステップS1が終了する。
【0128】
なお、2番目に形成された粗撮像画像のコントラストが最初に形成された粗撮像画像のコントラストよりも低い場合、撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対的な移動により撮像ユニット40が合焦位置から遠ざかっていることになる。この場合、例えば、移動の方向を逆転させる。
【0129】
図4は、粗検出ステップS1の例を示す側面図である。
図4に示す例では、粗撮像画像13a,13b,13c,13d,13eが次々と形成される。
図4に示す例では、粗撮像画像13dは、その前に形成された粗撮像画像13c及びその後に形成された粗撮像画像13eよりもコントラストが高い。
【0130】
図4に示す例では、粗撮像画像13dが撮像されるまで各粗撮像画像のコントラストが上昇していく。これは、撮像ユニット40等の移動により、撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置が合焦位置に近づいていることを意味する。また、
図4に示す通り、粗撮像画像13eのコントラストは粗撮像画像13dよりも低い。これは、粗撮像画像13eが形成された際に、撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置が該合焦位置から離れたことを意味する。
【0131】
この場合、粗撮像画像13dが形成された際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対的な位置が、他の粗撮像画像13a,13b,13c,13eが形成された際のそれぞれの該相対位置と比べて最も合焦位置に近いといえる。そして、粗撮像画像13dが形成された際の該相対位置が仮の合焦位置15として検出される。なお、
図4においては、仮の合焦位置15が撮像ユニット40の位置として示されている。
【0132】
なお、粗検出ステップS1はこれに限定されない。例えば、粗撮像画像を予め決定された特定の数で形成し、それぞれの粗撮像画像のコントラストを評価して、最もコントラストが高い粗撮像画像を検出して仮の合焦位置15を検出してもよい。
【0133】
粗撮像画像は不鮮明な撮像画像となるため、粗検出ステップS1を実施しても合焦位置を精密には検出できないが、撮像ユニット40及び被加工物保持ユニット14を撮像の都度停止させないため、複数の粗撮像画像は極めて短時間で取得できる。本実施形態に係る合焦位置の検出方法では、次に、精密に真の合焦位置を検出するために精密検出ステップS2を実施する。
【0134】
精密検出ステップS2では、移動ユニットにより撮像ユニット40(撮像カメラ)を被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対して近接離反方向に沿って相対的に移動させる。そして、撮像ユニット40により被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1を撮像する。粗検出ステップS1とは異なり、精密検出ステップS2では、ウェーハ1を撮像する際には、撮像ユニット40及び被加工物保持ユニット14をその都度停止させる。この場合、形成される複数の撮像画像は、ブレのない精密撮像画像となる。
【0135】
精密検出ステップS2では、撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対的な移動及び停止を繰り返し、複数の精密撮像画像を形成する。そして、形成した複数の該精密撮像画像のうちコントラストが最も高い精密撮像画像が形成された時の該撮像カメラの該保持ユニットに対する相対位置を合焦位置として検出する。
【0136】
より詳細に精密検出ステップS2について説明する。精密検出ステップS2を実施する際には、粗検出ステップS1を実施した後、移動ユニット(Z軸方向移動機構28)を制御して、撮像ユニット40と、被加工物保持ユニット14と、を引き離しておく。例えば、仮の合焦位置15よりも撮像ユニット40を上昇させておく。
【0137】
そして、第1の制御部46aの精密合焦位置検出部56は、移動ユニット制御部48に指示して、撮像ユニット40を所定の高さ位置に下降させて、該所定の高さ位置で撮像ユニット40を停止させる。精密撮像画像形成指示部56aは、撮像ユニット40が停止しているのを移動ユニット制御部48が確認した後、撮像カメラ制御部50に指示し、被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1を撮像ユニット40に撮像させる。
【0138】
撮像ユニット40及び被加工物保持ユニット14が停止した状態で被加工物保持ユニット14に保持されたウェーハ1が撮像されるため、得られる撮像画像は比較的鮮明な精密撮像画像となる。精密撮像画像が撮像された際、例えば、撮像カメラ制御部50は、精密撮像画像のコントラストを評価して評価結果を第1の制御部46aの精密合焦位置検出部56に送る。または、撮像カメラ制御部50は、得られた精密撮像画像を精密合焦位置検出部56に送り、精密合焦位置検出部56が該精密撮像画像のコントラストを評価する。
【0139】
また、精密合焦位置検出部56は、それぞれの精密撮像画像が形成された際の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置をY軸移動プレート22に設けられた上述のZ軸スケールの目盛りを読み取る上述の読み取りユニットを利用して計測する。そして、該精密撮像画像のコントラスト値と、該撮像ユニット40の該相対位置と、を関連付けて第1の記憶部54aに記憶させる。
【0140】
その後、精密撮像画像形成指示部56aは、移動ユニット制御部48に指示して撮像ユニット40を被加工物保持ユニット14に対して相対的に移動させ、次の撮像位置に撮像ユニット40を位置付ける。精密撮像画像形成指示部56aは、撮像ユニット40が停止していることを確認した後、撮像カメラ制御部50に指示して撮像ユニット40にウェーハ1を撮像させる。そして、精密合焦位置検出部56は同様に該精密撮像画像のコントラスト値と、撮像ユニット40の相対位置と、を関連付けて第1の記憶部54aに記憶させる。
【0141】
精密検出ステップS2では、形成される複数の精密撮像画像のうちコントラストが最も高い精密撮像画像を特定する。例えば、精密撮像画像が新たに形成された際、該精密撮像画像のコントラストと、該精密撮像画像の一つ前に形成された精密撮像画像のコントラストと、を比較する。
【0142】
形成された精密撮像画像のコントラストが該精密撮像画像の一つ前に形成された該精密撮像画像のコントラストよりも高い場合に撮像を継続する。その一方で形成された精密撮像画像のコントラストが一つ前に形成された精密撮像画像のコントラストよりも該所定の差以上に低い場合には、該一つ前に形成された精密撮像画像をコントラストが最も高い精密撮像画像であると判定する。
【0143】
いずれの精密撮像画像のコントラストもそれぞれの該精密撮像画像の一つ前に形成された精密撮像画像のコントラストよりも該所定の差以上に低くない場合、該撮像ユニット40が相対的に上述の所定の範囲移動した時点で撮像を終了させる。または、該撮像ユニット40が相対的に上述の所定の範囲を移動する間、ウェーハ1の撮像を繰り返す。そして、ウェーハ1の撮像を終了したとき、それまでに得られた複数の該精密撮像画像のコントラストを比較し、コントラストが最も高い精密撮像画像を特定する。
【0144】
次に、該コントラストが最も高い精密撮像画像が形成された時の撮像ユニット40(撮像カメラ)の被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対する相対位置を第1の記憶部54aから読み出す。そして、該相対位置を合焦位置として検出する。
【0145】
図5は、精密検出ステップS2の例を模式的に示す側面図である。
図5には、精密検出ステップS2で形成される精密撮像画像17a,17b,17c,17d,17eが模式的に示されている。
図5に示す例では、精密検出ステップS2において5回の撮像を実施する場合を示しているが、ウェーハ1を撮像する回数はこれに限定されない。
【0146】
なお、
図5では、
図4と同様に各精密撮像画像17a,17b,17c,17d,17eについて、コントラストの違いを模式的に示している。ただし、
図4と
図5の間で撮像画像のコントラストを比較することは想定されておらず、
図4と
図5に示された撮像画像を互いに比較してコントラストを比較してはならない。
【0147】
図5に示す通り、精密検出ステップS2では、例えば、仮の合焦位置15を含む所定の範囲において撮像ユニット40を所定ピッチ(インデックス)で被加工物保持ユニット14に対して相対的に移動させる。なお、該所定の範囲については、既に詳述している通りである。好ましくは、該所定の範囲は、仮の合焦位置15を中心とする範囲とされる。
【0148】
図5に示す例では、複数の精密撮像画像のうち、精密撮像画像17cのコントラストが最も高い。そのため、精密撮像画像17cが形成された時の撮像ユニット40の被加工物保持ユニット14に対する相対位置が合焦位置として検出される。
図5には、仮の合焦位置15が真の合焦位置と一致している場合が示されているが、真の合焦位置はこれに限定されない。
【0149】
従来、撮像ユニット40及び被加工物保持ユニット14の相対的な移動と停止を繰り返しながら広い領域で撮像画像を形成して合焦位置を検出していた。被撮像物を撮像する都度撮像ユニット40等を停止していたため、合焦位置の検出には多大な時間を要していた。
【0150】
これに対して、本実施形態に係る合焦位置の検出方法では、粗検出ステップS1を実施して仮の合焦位置15を短時間で検出し、仮の合焦位置15を含む限定された範囲から合焦位置を検出する。そのため、撮像ユニット40及び被加工物保持ユニット14を停止させた状態で撮像ユニット40により被撮像物を撮像する回数を従来と比較して大幅に減らすことができる。したがって、本実施形態に係る合焦位置の検出方法では、合焦位置を短時間で検出できる。
【0151】
次に、本実施形態に係る合焦位置の検出方法及び撮像装置において、撮像画像のコントラストを評価する手法について説明する。撮像画像のコントラストは、該撮像画像を構成する各画素の輝度を隣接する画素の輝度と比較する方法により評価できる。例えば、撮像ユニット40の高さを変えて同じ視野で被撮像物を撮像し複数の撮像画像を形成したとき、撮像時の撮像ユニット40の位置が合焦位置から遠い程、ぼやけた撮像画像となる。
【0152】
例えば、撮像画像に写る構造物の輪郭近傍において該輪郭で隔てられた一方の領域から他方の領域にかけて並ぶ各画素の輝度に着目すると、撮像画像がぼやけているほど輝度の変化が緩やかであり、撮像画像がはっきりしているほど輝度の変化が急峻となる。そこで、撮像画像を構成する各画素に対して該画素に隣接する画素との間の輝度の差を算出し、該輝度の差の絶対値を撮像画像の全体で足し合わせる。
【0153】
算出された数値は、撮像画像のコントラストの高さを反映したものとなるため、この数値を複数の撮像画像の間で比較すると、各撮像画像のコントラストの大小関係を評価できる。この場合、コントラストの高い撮像画像ほど該数値が高くなる。
【0154】
また、撮像画像のコントラストは、他の手法により評価されてもよい。例えば、撮像画像を構成する画素のすべてではなく、撮像画像を構成する画素からサンプルポイントとして複数の画素を指定して撮像画像のコントラストを評価してもよい。この場合、サンプルポイントとして指定された複数の画素の微分値の総和を算出して、撮像画像間で比較する。なお、当該手法では、サンプルポイントとして指定する画素の数が多い程、撮像画像のコントラストの評価の精度が上がる。
【0155】
なお、本発明は、上記の実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記の実施形態において、粗検出ステップS1を実施して撮像ユニット40を下降させた後、仮の合焦位置15よりも撮像ユニット40を上昇させた後に精密検出ステップS2を実施する場合について説明した。しかし、本発明の一態様に係る合焦位置の検出方法はこれに限定されない。
【0156】
すなわち、精密検出ステップS2を実施する前に、撮像ユニット40を被加工物保持ユニット14から引き離さなくてもよい。例えば、粗検出ステップS1において被加工物保持ユニット14に接近させるように撮像ユニット40を下降させていた場合、精密検出ステップS2においては粗検出ステップS1とは反対向きに撮像ユニット40を移動させる。この場合、精密検出ステップS2を実施する際に撮像ユニット40を戻す必要がないため、より短時間で合焦位置を検出できる。
【0157】
また、上記の実施形態では、撮像ユニット40(撮像カメラ)を被加工物保持ユニット14(保持ユニット)に対して相対的に移動させる場合、撮像ユニット40を近接離反方向(Z軸方向)に沿って移動させる場合について主に説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、本発明の一態様においては、被加工物保持ユニット14(保持ユニット)を近接離反方向(Z軸方向)に沿って移動させてもよい。
【0158】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0159】
1 ウェーハ
1a 表面
1b 裏面
3 ストリート
5 デバイス
7 粘着テープ
9 フレーム
11 フレームユニット
13a,13b,13c,13d,13e 粗撮像画像
15 仮の合焦位置
17a,17b,17c,17d,17e 精密撮像画像
2 切削装置
4 基台
6,12,42 開口
8 カセット
10 搬送レール
12a 防塵防滴カバー
14 被加工物保持ユニット
14a 保持面
14b クランプ
16 支持構造
18,28 移動機構
20,30 ガイドレール
22,32 移動プレート
24,34 ボールネジ
26,36 パルスモータ
38 切削ユニット
40 撮像ユニット
44 洗浄ユニット
46 制御ユニット
46a,46b 制御部
48 移動ユニット制御部
50 撮像カメラ制御部
52 仮合焦位置検出部
52a 粗撮像画像形成指示部
52b 仮合焦位置算出部
54a,54b 記憶部
56 精密合焦位置検出部
56a 精密撮像画像形成指示部
56b 精密合焦位置算出部
58a,58b カウンター