(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】医療用ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20240802BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240802BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20240802BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20240802BHJP
A61M 39/22 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A61M5/168 506
A61M5/142 500
A61M5/145 500
A61M5/172
A61M39/22 100
(21)【出願番号】P 2020519702
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2018078684
(87)【国際公開番号】W WO2019077097
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-17
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・リヒター
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・ペヒ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・リーニヒ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】安井 寿儀
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-518986(JP,A)
【文献】特表2015-536742(JP,A)
【文献】実開昭58-137883(JP,U)
【文献】独国特許発明第612248(DE,C)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/145
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を分注する医療用ポンプ(1、100)であって:
液体を受け入れるための入口(7、106)、液体を分注するための第1の出口(8、108)および液体を分注するための第2の出口(9、109)を含むハウジング(2、102)と;
チャンバ(12、112)および該チャンバ(12、112)に流体連通している通路(13、113)を含み、ハウジング(2、102)内に受け入れられており、通路(13、113)がチャンバ(12、112)を入口(7、106)に流体連通させる充填位置から、通路(13、113)がチャンバ(12、112)を第1の出口(8、108)または第2の出口(9、109)に流体連通させる分注位置へ、ハウジング(2、102)に対して軸方向に可動であるレセプタクル(3、103)と;
チャンバ(12、112)内に受け入れられており、レセプタクル(3、103)が充填位置にあるとき、液体を入口(7、106)からチャンバ(12、112)内へ吸い込むようにレセプタクル(3、103)に対して軸方向に可動であり、レセプタクル(3、103)が分注位置にあるとき、チャンバ(12、112)内の液体を第1の出口(8、108)または第2の出口(9、109)から分注するようにレセプタクル(3、103)に対して軸方向に可動であるように構成された1つのピストン(4、104)と;
チャンバ(12、112)の内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを判定するように構成された検出機構(19、119)とを含み、
レセプタクル(3、103)は、チャンバ(12、112)の周りに延びる周壁(10、110)を含み、
通路(13、113)は、レセプタクル(3、103)の周壁(10、110)を通って延
び、
レセプタクル(3、103)は、通路(13、113)がチャンバ(12、112)を第2の出口(9、109)に流体連通させる第2の分注位置へ、ハウジング(2、102)に対して軸方向に可動であり、
ピストン(4、104)は、レセプタクル(3、103)が第2の分注位置にあるとき、ピストン(4、104)が、チャンバ(12、112)内に収容されている液体を第2の出口(9、109)から分注するようにレセプタクル(3、103)に対して軸方向に
可動であるように構成され、
医療用ポンプ(1、100)は、所定の圧縮特性要件が満たされていない場合、レセプタクル(3、103)が第2の分注位置へ動かされ、次いでレセプタクル(3、103)およびピストン(4、104)が、チャンバ(12、112)内の液体を第2の出口(9、109)から分注するように、互いに対して動かされるように構成される、
前記医療用ポンプ。
【請求項2】
レセプタクル(3、103)は、ハウジング(2、102)に対するレセプタクル(3、103)の軸方向運動を防止するように、ハウジング(2、102)に対してロック可能である、請求項1に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項3】
レセプタクル(3、103)およびピストン(4、104)は、レセプタクル(3、103)が充填位置および分注位置へ動くとき、ハウジング(2、102)に対してともに動くように構成される、請求項1または2に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項4】
ハウジング(2、102)は、ハウジング(2、102)内に受け入れられたレセプタクル(3、103)の周りに延びる周壁(5、105)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項5】
入口(7、106)、第1の出口(8、108)および第2の出口(9、109)は各々、ハウジング(2、102)の周壁(5、105)内にそれぞれのアパーチャを含む、請求項4に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項6】
ハウジング(2、102)は、開口部(107)をさらに含み、ここで、レセプタクル(103)は、通路(13、113)がチャンバ(12、112)を開口部(107)に流体連通させる第3の位置へ、ハウジング(102)に対して軸方向に可動であり、ピストン(4、104)は、レセプタクル(3、103)が第3の位置にあるとき、ピストン(4、104)が、チャンバ(12、112)と開口部(107)との間に液体の流れを誘起するようにレセプタクル(3、103)に対して軸方向に可動であるように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項7】
ハウジング(102)は、第2の液体を受け入れるための第2の入口(107)をさらに含み、ここで、レセプタクル(103)は、通路(113)がチャンバ(112)を第2の入口(107)に流体連通させる第2の充填位置へ、ハウジング(102)に対して軸方向に可動であり、ピストン(104)は、レセプタクル(103)が第2の充填位置にあるとき、ピストン(104)が、第2の液体を第2の入口(107)からチャンバ(112)内へ吸い込むようにレセプタクル(103)に対して軸方向に可動であるように構成される、請求項1~
5のいずれか1項に記載の医療用ポンプ(100)。
【請求項8】
レセプタクル(3、103)は、チャンバ(12、112)が入口(7、106)、第1の出口(8、108)、および第2の出口(9、109)のいずれにも流体連通しない検出位置へ可動であり、検出機構(19、119)は、レセプタクル(3、103)が検出位置にあるとき、チャンバ(12、112)の内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを示す情報を検出するように、レセプタクル(3、103)およびピストン(4、104)を互いに対して動かすように構成される、請求項
1に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項9】
チャンバ(12、112)から排出された液体の特性を示す情報を検出するように構成されたセンサユニットをさらに含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項10】
入口(7、106)は、薬剤(M1)を含む薬剤源(18、118A)に連結される、請求項1~
9のいずれか1項に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項11】
レセプタクル(3、103)の変位を検出するように構成されたセンサユニットをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の医療用ポンプ(1、100)。
【請求項12】
請求項1に記載の医療用ポンプ(1、100)が動作する方法であって、医療用ポンプ(1、100)は:入口(7、106)、第1の出口(8、108)および第2の出口(9、109)を有するハウジング(2、102)と;チャンバ(12、112)およびチャンバ(12、112)に流体連通している通路(13、113)を有するレセプタクル(3、103)と;チャンバ(12、112)内に受け入れられたピストン(4、104)と;アクチュエータ(16、17)と
;チャンバ(12、112)の内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを判定するように構成された検出機構(19、119)とを含み、レセプタクル(3、103)は、チャンバ(12、112)の周りに延びる周壁(10、110)を含み、通路(13、113)は、レセプタクル(3、103)の周壁(10、110)を通って延び、該方法は:
通路(13、113)がチャンバ(12、112)を入口(7、106)に流体連通させるハウジング(2、102)内の充填位置にレセプタクル(3、103)がアクチュエータ(16、17)によって動くことと;
レセプタクル(3、103)が充填位置にある間に、入口(7、106)からチャンバ(12、112)内へ液体を吸い込むように、ピストン(4、104)がレセプタクル(3、103)に対して軸方向にアクチュエータ(16、17)によって動くことと、
通路(13、113)がチャンバ(12、112)を第1の出口(8、108)または第2の出口(9、109)に流体連通させる分注位置へ、レセプタクル(3、103)がハウジング(2、102)に対して軸方向にアクチュエータ(16、17)によって動くことと;
検出機構(19、119)が、チャンバ(12、112)の内容物が前記所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを判定することと;
レセプタクル(3、103)が分注位置にある間に、チャンバ(12、112)内の液体を第1の出口(8、108)または第2の出口(9、109)から分注するように、ピストン(4、104)がレセプタクル(3、103)に対して軸方向にアクチュエータ(16、17)によって動くこととを含む前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用ポンプおよび医療用ポンプを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用ポンプは、薬剤および/または体液を変位させることが可能である。医療用ポンプは、液体が吸い込まれる空隙を含むことができる。次いで液体は、患者への送達のために空隙から排出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、改善された医療用ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示によれば、液体を分注する医療用ポンプが提供され、医療用ポンプは:前記液体を受け入れるための入口および前記液体を分注するための出口を含むハウジングと;チャンバおよびチャンバに流体連通している通路を含み、ハウジング内に受け入れられており、通路がチャンバを入口に流体連通させる充填位置から、通路がチャンバを出口に流体連通させる分注位置へ、ハウジングに対して軸方向に可動であるレセプタクルと;チャンバ内に受け入れられており、レセプタクルが充填位置にあるとき、前記液体を入口からチャンバ内へ吸い込むようにレセプタクルに対して軸方向に可動であり、レセプタクルが分注位置にあるとき、チャンバ内の液体を出口から分注するようにレセプタクルに対して軸方向に可動であるように構成されたピストンとを含む。
【0005】
一実施形態では、レセプタクルは、ハウジングに対するレセプタクルの軸方向運動を防止するように、ハウジングに対してロック可能である。
【0006】
レセプタクルおよびピストンは、レセプタクルが充填位置および分注位置へ動くとき、ハウジングに対してともに動くように構成することができる。
【0007】
レセプタクルは、チャンバの周りに延びる周壁を含むことができる。通路は、レセプタクルの周壁を通って延びることができる。
【0008】
一実施形態では、ハウジングは、ハウジング内に受け入れられたレセプタクルの周りに延びる周壁を含む。入口および出口は各々、ハウジングの周壁内にそれぞれのアパーチャを含むことができる。
【0009】
一実施形態では、ハウジングは、開口部をさらに含み、ここで、レセプタクルは、通路がチャンバを開口部に流体連通させる第3の位置へ、ハウジングに対して軸方向に可動であり、ピストンは、レセプタクルが第3の位置にあるとき、ピストンが、チャンバと開口部との間に液体の流れを誘起するようにレセプタクルに対して軸方向に可動であるように構成される。
【0010】
一実施形態では、ハウジングは、第2の液体を受け入れるための第2の入口をさらに含み、ここで、レセプタクルは、通路がチャンバを第2の入口に流体連通させる第2の充填位置へ、ハウジングに対して軸方向に可動であり、ピストンは、レセプタクルが第2の充填位置にあるとき、ピストンが、前記第2の液体を第2の入口からチャンバ内へ吸い込むようにレセプタクルに対して軸方向に可動であるように構成される。
【0011】
一実施形態では、ハウジングは、第2の出口をさらに含み、ここで、レセプタクルは、通路がチャンバを第2の出口に流体連通させる第2の分注位置へ、ハウジングに対して軸方向に可動であり、ピストンは、レセプタクルが第2の分注位置にあるとき、ピストンが、チャンバ内に収容されている液体を第2の出口から分注するようにレセプタクルに対して軸方向に可動であるように構成される。
【0012】
一実施形態では、医療用ポンプは、チャンバの内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを判定するように構成された検出機構をさらに含み、ここで、医療用ポンプは、所定の圧縮特性要件が満たされていない場合、レセプタクルが第2の分注位置へ動かされ、次いでレセプタクルおよびピストンが、チャンバ内の液体を第2の出口から分注するように、互いに対して動かされるように構成される。
【0013】
一実施形態では、レセプタクルは、チャンバが入口、出口、および第2の出口のいずれにも流体連通しない検出位置へ可動であり、検出機構は、レセプタクルが検出位置にあるとき、チャンバの内容物が前記所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを示す情報を検出するように、レセプタクルおよびピストンを互いに対して動かすように構成される。
【0014】
医療用ポンプは、チャンバから排出された液体の特性を示す情報を検出するように構成されたセンサユニットをさらに含むことができる。
【0015】
一実施形態では、医療用ポンプは、患者の体の薬物送達部位が所定の閉塞特性を超過するかどうかを判定するように構成された閉塞検出機構をさらに含む。1つのそのような実施形態では、医療用ポンプは、薬物送達部位が前記所定の閉塞特性を超過すると閉塞検出機構が判定した場合に動作する警報器をさらに含む。別法または追加として、閉塞検出機構は、薬物送達部位が前記所定の閉塞特性を超過すると閉塞検出機構が判定した場合に薬物送達部位への薬剤の送達を防止するように構成することができる。
【0016】
入口は、薬剤を含む薬剤源に連結することができる。薬剤源は、薬剤を収容する可撓袋を含むことができる。
【0017】
本発明によれば、医療用ポンプを動作させる方法も提供され、医療用ポンプは:入口および出口を有するハウジングと;チャンバおよびチャンバに流体連通している通路を有するレセプタクルと;チャンバ内に受け入れられたピストンとを含み、方法は:通路がチャンバを入口に流体連通させるハウジング内の充填位置にレセプタクルを提供することと;レセプタクルが充填位置にある間に、入口からチャンバ内へ液体を吸い込むように、ピストンをレセプタクルに対して軸方向に動かすことと、通路がチャンバを出口に流体連通させる分注位置へ、レセプタクルをハウジングに対して軸方向に動かすことと;レセプタクルが分注位置にある間に、チャンバ内の液体を出口から分注するように、ピストンをレセプタクルに対して軸方向に動かすこととを含む。
【0018】
上記その他の態様は、以下に記載する実施形態から明らかになり、これらの実施形態を参照することで解明される。
【0019】
本開示の実施形態について、例示のみを目的として、添付の図面を参照して次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の第1の実施形態による医療用ポンプの概略断面図である。
【
図3】レセプタクルが充填位置にある、
図1の医療用ポンプのハウジング、レセプタクル、およびピストンの一部の概略断面図である。
【
図4】レセプタクルが充填位置にあり、レセプタクル内へ液体が吸い込まれている、
図3のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【
図5】レセプタクルが検出位置にある、
図3のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【
図6】レセプタクルが第1の分注位置にある、
図3のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【
図7】レセプタクルが第2の分注位置にある、
図3のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【
図8】医療用ポンプの動作方法を示す流れ図である。
【
図9】医療用ポンプの閉塞検出動作を示す流れ図である。
【
図10】本開示の第2の実施形態による医療用ポンプの概略断面図である。
【
図11】レセプタクルが第1の充填位置にある、
図10の医療用ポンプのハウジング、レセプタクル、およびピストンの一部の概略断面図である。
【
図12】レセプタクルが第1の充填位置にあり、レセプタクル内へ液体が吸い込まれている、
図11のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【
図13】レセプタクルが第2の充填位置にある、
図11のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【
図14】レセプタクルが検出位置にある、
図11のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【
図15】レセプタクルが第1の分注位置にある、
図11のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【
図16】レセプタクルが第2の分注位置にある、
図11のハウジング、レセプタクル、およびピストンの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載する医療用ポンプは、患者へ薬剤を送達するように構成することができる。たとえば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内で行うことができる。そのようなデバイスは、患者または看護師もしくは医師などの医療従事者によって動作させることができ、様々なタイプの医療用ポンプを含むことができる。追加または別法として、医療用ポンプは、患者または体液の充填済み容器などの体液源から体液を引き出すように構成することができる。
【0022】
本明細書に記載する医療用ポンプはまた、1つまたはそれ以上の自動機能を含むことができる。たとえば、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動化工程のためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって提供することができる。エネルギー源は、たとえば、機械、空気、化学、または電気エネルギーを含むことができる。たとえば、機械エネルギー源は、エネルギーを貯蔵または解放するばね、てこ、エラストマー、または他の機械機構を含むことができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を組み合わせて、単一のデバイスにすることができる。ポンプは、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きに変換するギア、バルブ、または他の機構をさらに含むことができる。
【0023】
医療用ポンプの1つまたはそれ以上の自動機能は各々、起動機構を介して起動することができる。そのような起動機構は、ボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。自動機能の起動は、1つの工程または複数の工程を含むプロセスとすることができる。すなわち、使用者は、自動機能を引き起こすために、1つまたはそれ以上の起動構成要素を起動する必要がある。
【0024】
加えて、1つの自動機能の起動が、1つまたはそれ以上の後続の自動機能を起動し、それによって起動シーケンスを形成することができる。たとえば、第1の自動機能の起動が、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの少なくとも2つを起動することができる。いくつかのデバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動機能を生じさせるために、特有の工程シーケンスを必要とする。他のデバイスは、独立した工程のシーケンスで動作することができる。
【0025】
いくつかの医療用ポンプは、安全シリンジ、ペン注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。たとえば、送達デバイスは、薬剤を自動的に注射するように構成された機械エネルギー源(典型的には、自動注射器に見られる)、および用量設定機構(典型的には、ペン注射器に見られる)を含むことができる。
【0026】
図1~
図9を次に参照すると、本開示の第1の実施形態による医療用ポンプ1が示されている。医療用ポンプ1は、ハウジング2、レセプタクル3、およびピストン4を含む。
【0027】
ハウジング2は、周壁5およびレセプタクル受け入れ空間6を含む。周壁5は、略環状である。周壁5は、ハウジング2が開端を有するように、レセプタクル受け入れ空間6の周りの範囲を定める。
【0028】
ハウジング2は、入口7ならびに第1および第2の出口8、9を含む。入口7ならびに第1および第2の出口8、9は各々、周壁5内にそれぞれの開口部を含む。開口部は、周壁5を通るアパーチャとすることができる。入口7ならびに第1および第2の出口8、9は、レセプタクル3の中心軸(
図4に破線「A-A」によって示す)の方向に隔置される。
【0029】
レセプタクル3は、ハウジング2のレセプタクル受け入れ空間6内に受け入れられる。レセプタクル3は、ハウジング2に対して軸方向に摺動可能である。レセプタクル3は、チャンバ12をともに画成する周壁10および端壁11を含む。レセプタクル3は、略円筒形のレセプタクル受け入れ空間6に対応するように、略円筒形とすることができる。レセプタクル3の周壁10は、略環状である。レセプタクル3の周壁10は、チャンバ12の周りに延びる。
【0030】
レセプタクル3は、チャンバ12に流体連通する通路13を含む。本実施形態では、通路13は、レセプタクル3の周壁10を通って径方向に延び、アパーチャを含むことができる。しかし、代替実施形態(図示せず)では、通路13は、端壁11の少なくとも一部分を通って延びる。1つのそのような実施形態(図示せず)では、通路13は、チャンバ12から端壁11の一部分を通って軸方向に延び、次いでレセプタクル3の外部へ径方向に延びる。
【0031】
レセプタクル3は、以下により詳細に説明するように、通路13を入口7ならびに第1および第2の出口8、9に選択的に位置合わせして流体連通させるように、ハウジング2に対して摺動可能である。
【0032】
レセプタクル3は、端壁11から離れたところに開端を有しており、ピストン4の端部14がチャンバ12内に受け入れられるように、ピストン4を受け入れるように構成される。ピストン4は、レセプタクル3に対して軸方向に可動である。より具体的には、ピストン4は、ピストン4がレセプタクル3の端壁11から離れる方へ軸方向に動かされる第1の方向(
図4に矢印「X」によって示す)、およびピストン4がレセプタクル3の端壁11の方へ軸方向に動かされる第2の方向(
図6および
図7に矢印「Y」によって示す)に、レセプタクル3に対して摺動可能である。
【0033】
ピストン4は、レセプタクルの略円筒形のチャンバ12に対応するように略円筒形である。ピストン4は、略細長形である。ピストン4は、略棒状である。しかし、代替実施形態(図示せず)では、ピストン4およびチャンバ12は、円筒形以外の形状とすることもでき、たとえば方形、三角形、または矩形の断面を有することができることを認識されたい。同様に、ハウジング2のレセプタクル3およびレセプタクル受け入れ空間6も、円筒形以外の形状とすることができ、たとえば方形、三角形、または矩形の断面を有することができる。
【0034】
ハウジング2、レセプタクル3、およびピストン4は、共通の軸A-Aに沿って可動である。
【0035】
医療用ポンプ1は、アクチュエータユニットおよびコントローラ15をさらに含む。コントローラ15は、アクチュエータユニットの動作を制御するように構成される。コントローラ15は、入力デバイス(図示せず)、たとえば1つまたはそれ以上のボタンまたはスイッチに連結することができる。アクチュエータユニットは、それぞれ第1および第2のモータ16A、17Bを含む第1および第2のアクチュエータ16、17を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1および第2のモータ16A、17Bは、それぞれのギアアセンブリを駆動して、レセプタクル3およびピストン4を第1の方向Xおよび第2の方向Yにハウジング2に対して線形運動で付勢する回転モータを含む。
【0037】
本実施形態では、第1のモータ16Aは、第1のねじ軸16Bを回転させるように構成される。第1のねじ軸16Bに第1の駆動部材16Cが連結され、したがって第1のねじ軸16Bの回転が第1の駆動部材16Cの線形運動を引き起こす。たとえば、第1の駆動部材16Cは、第1のねじ軸16Bを受け入れるねじ付開口部を含むことができる。第1の駆動部材16Cはレセプタクル3に連結され、したがって第1の駆動部材16Cの線形運動に対応して、レセプタクル3の運動が生じる。本実施形態では、レセプタクル3は、レセプタクル3の端部から径方向外方に延びるフランジ3Aを含む。第1の駆動部材16Cは、レセプタクル3のフランジ3Aの少なくとも一部分を受け入れるスロット16Dを含み、したがってレセプタクル3および第1の駆動部材16Cがともに連結される(
図2に示す)。フランジ3Aがスロット16D内に係合することで、レセプタクル3を第1の駆動部材16Cに対して中心軸A-Aの方向に固定する。しかし、スロット16Dは、レセプタクル3を第1の駆動部材16Cから径方向に除去することを可能にする。より具体的には、使用者は、レセプタクル3をスロット16Dから第1の駆動部材16Cに持ち上げることによって、レセプタクル3を第1の駆動部材16Cから除去することができる。したがって、使用者は、第1のモータ16Aを保持しながら、レセプタクル3を第1の駆動部材16Cから取り外して、レセプタクル3を処分することが可能である。これは、薬剤Mに接触したレセプタクル3は安全に処分することができ、一方、比較的複雑/高価な第1のモータ16Aおよびコントローラ15は再利用することができるために有利である。
【0038】
第2のモータ17Aは、第2のねじ軸17Bを回転させるように構成される。第2のねじ軸17Bに第2の駆動部材17Cが連結され、したがって第2のねじ軸17Bの回転が第2の駆動部材17Cの線形運動を引き起こす。たとえば、第2の駆動部材17Cは、第2のねじ軸17Bを受け入れるねじ付開口部を含むことができる。第2の駆動部材17Cはピストン4に連結され、したがって第2の駆動部材17Cの線形運動に対応して、ピストン4の運動が生じる。本実施形態では、ピストン4は、ピストン4の端部から径方向外方に延びるフランジ4Aを含む。第2の駆動部材17Cは、ピストン4のフランジ4Aの少なくとも一部分を受け入れるスロット17Dを含み、したがってピストン4および第2の駆動部材17Cがともに連結される(
図2に示す)。フランジ4Aがスロット17D内に係合することで、ピストン4を第2の駆動部材17Cに対して中心軸A-Aの方向に固定する。しかし、スロット17Dは、ピストン4を第2の駆動部材17Cから径方向に除去することを可能にする。より具体的には、使用者は、ピストン4をスロット17Dから第2の駆動部材17Cに持ち上げることによって、ピストン4を第2の駆動部材17Cから除去することができる。したがって、使用者は、第2のモータ17Aを保持しながら、ピストン4を第2の駆動部材17Cから取り外して、ピストン4を処分することが可能である。これは、薬剤Mに接触したピストン4は安全に処分することができ、一方、比較的複雑/高価な第2のモータ17Aおよびコントローラ15は再利用することができるために有利である。
【0039】
いくつかの実施形態では、ハウジング2も処分することができる。1つのそのような実施形態では、ハウジング2、レセプタクル3、およびピストン4をともに除去して処分することができる。次いで、ピストン4をレセプタクル3内に配置し、レセプタクル3をハウジング2内に配置し、次いでレセプタクル3のフランジ3Aを第1の駆動部材16Cのスロット16D内に差し込み、ピストン4のフランジ4Aを第2の駆動部材17Cのスロット17D内に差し込むことによって、新しい交換用のハウジング2、レセプタクル3、およびピストン4を設置することができる。
【0040】
レセプタクル3およびピストン4は各々、第1および第2の端部を含み、第1の端部は、医療用ポンプ1の第1の側に位置し、第2の端部は、医療用ポンプ1の第2の側に位置する。アクチュエータ16、17は、レセプタクル3およびピストン4のそれぞれの第1の端部に作用するように、またはレセプタクル3およびピストン4のそれぞれの第2の端部に作用するように構成することができる。これにより、第1のアクチュエータ16がレセプタクル3の第1の端部に作用し、第2のアクチュエータ17がレセプタクル3の第1の端部とは医療用ポンプ1の反対側にあるピストン4の第2の端部に作用する構成と比較して、医療用ポンプ1をより小型にすることが可能になる。
【0041】
代替実施形態(図示せず)では、第1および第2のモータ16A、17Aは、それぞれのピニオンギア(図示せず)に連結され、レセプタクル3およびピストン4は、それぞれのラックギア(図示せず)に連結される。第1のモータ16Aの動作により、対応するピニオンギアを回転させて線形ギアを軸方向に駆動し、ハウジング2に対するレセプタクル3の軸方向運動を生じさせる。第2のモータ17Aの動作により、対応するピニオンギアを回転させて線形ギアを軸方向に駆動し、ハウジング2に対するピストン4の軸方向運動を生じさせる。別の実施形態(図示せず)では、第1および第2のアクチュエータ16、17は、異なるタイプのアクチュエータ、たとえば線形ソレノイドを含む。さらに別の実施形態(図示せず)では、アクチュエータユニットは、レセプタクル3およびピストン4の両方をハウジング2に対して駆動する単一のアクチュエータ、たとえば単一のモータを含む。たとえば、単一のアクチュエータは、レセプタクル3およびピストン4の各々を独立して駆動するように構成されたギアボックス(図示せず)に連結することができる。
【0042】
代替実施形態(図示せず)では、第1および第2のモータ16A、17Aは、ステータ(図示せず)およびリニアロータ(図示せず)を有するリニアモータを含む。第1のモータのリニアロータはレセプタクル3に連結され、第2のモータのリニアロータはピストン4に連結される。第1のモータは、第1のモータのリニアロータをステータに対して駆動して、レセプタクル3をハウジング2に対して軸方向に動かすように動作可能である。第2のモータは、第2のモータのリニアロータをステータに対して駆動して、ピストン4をハウジング2に対して軸方向に動かすように動作可能である。したがって、第1および第2のモータは、レセプタクル3およびピストン4をハウジング2に対して線形往復運動させるように動作可能である。
【0043】
医療用ポンプ1は、ハウジング2に対するレセプタクル3の軸方向運動を防止するために、レセプタクル3をハウジング2に対して定位置にロックすることができるように構成される。いくつかの実施形態では、アクチュエータユニットが、レセプタクル3をハウジング2に対してロックする機能を実行する。たとえば、第1のアクチュエータ16は、レセプタクル3をハウジング2に対して定位置に保持するように動作させることができる。1つのそのような実施形態では、第1のアクチュエータ16は、レセプタクル3をハウジング2に対して定位置にロックするために、レセプタクル3に保持トルクをかけるように構成されたステッパモータを含む。別の実施形態(図示せず)では、医療用ポンプ1は、レセプタクル3をハウジング2に対して定位置にロックするように構成されたロッキング機構(図示せず)をさらに含む。たとえば、ハウジング2およびレセプタクル3のうちの一方が、ロック解除状態からロック状態へ可動であるロッキング部材(図示せず)を含むことができ、ロック状態で、ロッキング部材は、ハウジング2およびレセプタクル3のうちの他方に係合して、レセプタクル3をハウジング2に対して軸方向位置で保持する。
【0044】
別法または追加として、医療用ポンプ1は、ハウジング2に対するピストン4の軸方向運動を防止するために、ピストン4をハウジング2に対して定位置にロックすることができるように構成される。いくつかの実施形態では、アクチュエータユニットが、ピストン4をハウジング2に対してロックする機能を実行する。たとえば、第2のアクチュエータ17は、ピストン4をハウジング2に対して定位置に保持するように動作させることができる。1つのそのような実施形態では、第2のアクチュエータ17は、ピストン4をハウジング2に対して定位置にロックするために、ピストン4に保持トルクをかけるように構成されたステッパモータを含む。別の実施形態では、医療用ポンプ1は、ピストン4をハウジング2に対して定位置にロックするように構成されたロッキング機構(図示せず)をさらに含む。たとえば、ハウジング2およびピストン4のうちの一方が、ロック解除状態からロック状態へ可動であるロッキング部材(図示せず)を含むことができ、ロック状態で、ロッキング部材は、ハウジング2およびピストン4のうちの他方に係合して、ピストン4をハウジング2に対して軸方向位置で保持する。
【0045】
ハウジング2の入口7に、薬剤源18が流体連結される。薬剤源18は、薬剤Mを収容するリザーバを含む。一実施形態(図示せず)では、リザーバは、薬剤Mを収容する可撓袋を含む。リザーバは、導管(図示せず)、たとえば可撓管によって、ハウジング2の入口7に連結することができる。
【0046】
第1の出口8は、薬剤を第1の出口8から使用者の体へ送達するように構成された薬剤送達部材(図示せず)、たとえば針または可撓管材に流体連結される。たとえば、薬剤送達部材は、薬剤Mが注射部位へ送達されるように使用者の注射部位へ挿入される針を含むことができる。第2の出口9は、第2の出口9から排出された薬剤を受け入れるための容器(図示せず)に流体連結される。
【0047】
いくつかの実施形態では、入口7は薬剤源18から取り外し可能であり、第1の出口8は薬剤送達部材から取り外し可能であり、第2の出口9は薬剤を受け入れる容器から取り外し可能である。したがって、薬剤源18、薬剤送達部材、および薬剤を受け入れる容器とは別個に、ハウジング2を処分することができる。
【0048】
医療用ポンプ1は、以下により詳細に説明するように、チャンバ12の内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを判定するように構成された検出機構19をさらに含む。本実施形態では、検出機構19は、コントローラ15、アクチュエータユニットの第1および/または第2のアクチュエータ16、17、ならびにセンサ20を含む。センサ20は、チャンバ12の内容物が所定の圧縮要件を満たすかどうかを示す情報を検出するように構成される。
【0049】
代替実施形態では、コントローラ15ならびに第1および第2のアクチュエータ16、17は、検出機構19の一部を形成するのではなく、代わりに検出機構19が、さらなるコントローラ(図示せず)およびさらなるアクチュエータ(図示せず)を含む。さらなるアクチュエータは、チャンバ12の内容物が前記所定の圧縮要件を満たすかどうかを判定するように検出機構19が動作するとき、レセプタクル3およびピストン4のうちの少なくとも一方をレセプタクル3およびピストン4のうちの他方に対して動かすように構成することができる。
【0050】
医療用ポンプ1は、薬剤を薬剤源18からチャンバ12内へ吸い込むように構成される。チャンバ12内へ吸い込まれた薬剤が前記所定の圧縮特性要件を満たす場合、薬剤はチャンバ12からハウジング2の第1の出口8を通って排出され、したがって薬剤は薬剤送達部材を介して使用者へ送達される。チャンバ12内へ吸い込まれた薬剤が前記所定の圧縮特性要件を満たさない場合、薬剤はチャンバ12からハウジング2の第2の出口9を通って排出されて容器内に収集され、したがって排出された薬剤を処分することができる。
【0051】
医療用ポンプ1の例示的な動作について、
図3~
図7を参照して次に説明する。見やすくすることだけを目的に、医療用ポンプ1の構成要素のすべてが
図3~
図7に示されているわけではない。レセプタクル3は最初に充填位置にあり、ピストン4の端部14がレセプタクル3の端壁11に当接している(
図3に示す)。レセプタクル3が充填位置にあるとき、レセプタクル3の通路13は、チャンバ12を入口7に流体連通させる。
【0052】
レセプタクル3が充填位置にある状態で、第2のアクチュエータ17は、ピストン4を軸方向にハウジング2およびレセプタクル3に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。これにより、ピストン4の端部14がレセプタクル3の端壁11から離れる方へ動き、したがって端部14と端壁11との間に空間12Aが形成される(
図4に示す)。ピストン4が第1の方向Xに動くことで吸引作用を生み出し、薬剤源18からの薬剤Mが入口7および通路13を介してチャンバ12内へ吸い込まれて、空間12Aを充填する。いくつかの実施形態では、レセプタクル3はハウジング2に対して軸方向にロックされており、ピストン4が薬剤Mをチャンバ12内へ吸い込むように動かされる。チャンバ12内へ吸い込まれる薬剤Mの量は、薬剤Mの用量に対応することができる。薬剤源18は、複数の用量の薬剤Mを収容することができる。ピストン4がレセプタクル3に対して第1の方向Xに動かされる距離は、チャンバ12内へ吸い込まれる薬剤Mの量を変動させるように調整することができる。1つのそのような実施形態では、使用者は、入力デバイスを使用してコントローラ15に投与量を入力することができ、コントローラ15はそれに応じて、所望の体積の薬剤Mをチャンバ12内へ吸い込むように、第2のアクチュエータ17を動作させる。代替実施形態(図示せず)では、薬剤をチャンバ12内へ吸い込むために、レセプタクル3をハウジング2およびピストン4に対して動かすこともできることを認識されたい。そのような実施形態では、入口7および通路13は、レセプタクル3およびハウジング2の相対運動中も流体連通したままになるような形状、たとえば通路13が入口7に流体連通したままになるように入口7が十分な軸方向の寸法を有することができるような形状にしなければならない。
【0053】
次いでレセプタクル3は、検出位置(
図5に示す)へ動かされ、検出位置で、レセプタクル3の通路13は、入口7ならびに第1および第2の出口8、9のいずれとも位置合わせされない。したがって、チャンバ12の空間12A内に収容されている薬剤Mは、入口7ならびに第1および第2の出口8、9のいずれにも流体連通せず、代わりに空間12Aが封止される。いくつかの実施形態では、通路13は、レセプタクル3が検出位置にあるとき、ハウジング2の周壁5の内面によって閉鎖される。
【0054】
レセプタクル3を検出位置へ動かすために、第1のアクチュエータ16は、レセプタクル3を軸方向にハウジング2に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。ピストン4もまた、第1の方向Xに同じ距離だけ動き、したがってピストン4に対するレセプタクル3の相対位置は変化しない。一実施形態では、レセプタクル3がハウジング2に対して第1の方向Xに動くことで、空間12A内の薬剤Mがピストン4の端部14に対して付勢されるため、それに対応してピストン4もハウジング2に対して動く。代替実施形態では、第2のアクチュエータ17も第1のアクチュエータ16と同時に動作し、したがってレセプタクル3およびピストン4は、それぞれの第1および第2のアクチュエータ16、17の力を受けて、ともにハウジング2に対して第1の方向Xに動かされる。
【0055】
レセプタクル3が検出位置にある状態で、検出機構19は、チャンバ12の内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを判定するように動作する。より詳細には、第2のアクチュエータ17は、ピストン4をレセプタクル3に対して第2の方向Yに付勢するように動作し、レセプタクル3は、ハウジング2に対して軸方向に静止して保持される。これにより、空間12A内に受け入れられた薬剤Mが圧縮される。いくつかの実施形態では、第2のアクチュエータ17は、ピストン4に所定の力を加えてピストン4をレセプタクル3に対して第2の方向Yに付勢し、センサ20は、結果として生じる第2の方向Yにおけるピストン4の変位を検出するように構成される。チャンバ12の内容物の圧縮性が大きければ大きいほど、ピストン4が第2の方向Yに動く距離も大きくなる。
【0056】
センサ20は、たとえば近接センサを含むことができ、近接センサは、ピストン4に取り付けられ、医療用ポンプ1上の点、たとえばハウジング2またはレセプタクル3上の点までの距離を検出する。別法として、近接センサは、医療用ポンプ1、たとえばハウジング2またはレセプタクル3上の点に取り付けることができ、ピストン4までの距離を検出する。したがって、ピストン4と医療用ポンプ1上の前記点との間の距離の変化を測定することによって、ピストン4の行程距離を検出することができる。近接センサは、光学式近接センサとすることができる。他の実施形態(図示せず)では、センサ20は、容量センサ、ドップラー効果センサ、渦電流センサ、磁気センサ、ホール効果センサ、または超音波センサのうちの1つまたはそれ以上を含む。一実施形態(図示せず)では、センサ20は、第2のアクチュエータ17のロータの回転を検出してピストン4の行程距離を判定するように構成される。さらに別の実施形態(図示せず)では、センサ20は、ピストン4が所定の距離を超えて第2の方向Yに動いた場合に閉じられるスイッチを含む。
【0057】
代替実施形態(図示せず)では、レセプタクル3をピストン4に対して第1の方向Xに付勢するようにレセプタクル3に所定の力が加えられ、ピストン4はハウジング2に対して軸方向に静止して保持される。センサ20は、結果として生じる第1の方向Xにおけるレセプタクル3の変位を検出するように構成することができる。一実施形態(図示せず)では、検出機構19は第1のアクチュエータ16を含み、第1のアクチュエータ16は、レセプタクル3をピストン4に対して第1の方向Xに付勢するように動作する。
【0058】
チャンバ12の空間12Aの内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを検出することで、検出機構19は、チャンバ12内の空間12A内に薬剤Mとともに気体または気泡が存在するかどうかを評価することが可能になる。そのような気体は、薬剤源18内に存在した漏れまたは気泡によって、薬剤Mの導入中にチャンバ12に侵入している可能性がある。
【0059】
レセプタクル3が検出位置にあるとき、レセプタクル3およびピストン4の相対運動により、空間12Aの内容物を圧縮する。所定の圧縮特性要件は、空間12Aの内容物が所定の量未満しか圧縮されない場合に満たされる。上記で論じたように、この所定の量は、レセプタクル3が検出位置にあり、対応するアクチュエータ16、17が動作するときに、ピストン4がレセプタクル3に対して動かされる距離に関係することができる。
【0060】
別法として、所定の圧縮量は、危険な量の気体が空間12A内に存在しないときに空間12Aの内容物をちょうど圧縮することができる空間12Aの画成された体積に関係することができる。前記体積は、レセプタクル3およびチャンバ12を互いの方へ相対的に動かす力または圧力に依存するため、空間12A内の薬剤Mの圧縮は、レセプタクル3およびピストン4の相対運動を引き起こすためにレセプタクル3またはピストン4にかけられる所与の力または圧力によって実施することができる。同様に、上記で論じたように、所定の量は、レセプタクル3およびピストン4が所与の力で互いに対して動かされる軸方向距離に関係することができ、またはそのような軸方向距離によって判定することができる。別法として、所定の圧縮量は、レセプタクル3およびピストン4のうちの一方をレセプタクル3およびピストン4のうちの他方の方へ所与の軸方向距離だけ動かすために必要な力に関係することができ、またはそのような力を介して判定することができる。このとき前記所与の軸方向距離は、チャンバ12内の空間12Aの所与のサイズまたは体積を画成するはずである。
【0061】
重大または危険な量の気体が空間12A内に存在する場合、空間12Aの内容物は、レセプタクル3およびピストン4が相対運動したときに所定の量を超えて圧縮される。これは、気体の圧縮性が液体の圧縮性より大きいため、空間12Aの内容物の圧縮性がより大きくなることによって生じる。レセプタクル3およびピストン4の相対運動の速度に応じて、圧縮性は、等温圧縮性または断熱圧縮性とすることができる。
【0062】
前記距離、体積、または力は、検出機構19の動作中に医療用ポンプ1のコントローラ15または追加の要素もしくはゲージによって監視することができる。この目的で、コントローラ15は、上述した距離、体積、または力から選択されたそれぞれの変数を、コントローラ15によって記憶されている閾値と比較することができ、それぞれの変数の許容値を、許容できない値から分離する。たとえば、検出機構19の動作中に到達した前記距離または体積が閾値以上である場合、チャンバ12の内容物が所定の量まで圧縮されないため、所定の圧縮特性要件は満たされる。この点に関して、検出機構19の動作中に到達した前記距離または体積が所定の程度より小さいとき、チャンバ12の内容物が所定の量より大きい値まで圧縮されるため、所定の圧縮特性要件は満たされない。所定の圧縮量が前記力によって判定されたとき、閾値以上の力の場合、所定の圧縮特性要件は満たされる。したがって、閾値より小さい力の場合、所定の圧縮特性要件は満たされない。
【0063】
所定の圧縮特性要件が満たされるのに十分なほどチャンバ12に気体がないと検出機構19が判定した場合、レセプタクル3はハウジング2に対して第1の分注位置へ動かされ、第1の分注位置で、レセプタクル3の通路13は第1の出口8と位置合わせされる(
図6参照)。したがって、チャンバ12内の薬剤Mは、通路13を介して第1の出口8に流体連通する。
【0064】
レセプタクル3を第1の分注位置へ動かすために、第1のアクチュエータ16は、レセプタクル3を軸方向にハウジング2に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。ピストン4もまた、第1の方向Xに同じ距離だけ動き、したがってピストン4に対するレセプタクル3の相対位置は変化しない。一実施形態では、レセプタクル3がハウジング2に対して第1の方向Xに第1の分注位置へ動くことで、空間12A内の薬剤Mがピストン4の端部14に対して付勢されるため、それに対応してピストン4もハウジング2に対して動く。代替実施形態では、第2のアクチュエータ17も第1のアクチュエータ16と同時に動作し、したがってレセプタクル3およびピストン4は、それぞれの第1および第2のアクチュエータ16、17の力を受けて、ともにハウジング2に対して第1の方向Xに動かされる。
【0065】
レセプタクル3が第1の分注位置にある状態で、第2のアクチュエータ17は、ピストン4を軸方向にハウジング2およびレセプタクル3に対して第2の方向Yへ動かすように動作する。これにより、ピストン4の端部14がレセプタクル3の端壁11の方へ動き、したがって空間12Aのサイズが低減され、したがってチャンバ12内の薬剤Mがレセプタクル3内の通路13から排出され、第1の出口8を通って分注される。したがって、空間12A内の薬剤Mは、薬剤送達部材を介して使用者の体へ送達される。いくつかの実施形態では、レセプタクル3は、ハウジング2に対して軸方向にロックされ、ピストン4が、チャンバ12から薬剤を排出するように動かされる。ピストン4の端部14がレセプタクル3の端壁11に当接するまで、薬剤Mをチャンバ12から排出することができる。代替実施形態では、チャンバ12から薬剤を排出するために、レセプタクル3がハウジング2およびピストン4に対して動かされる。
【0066】
薬剤Mがチャンバ12から排出された後、レセプタクル3は第1の分注位置から充填位置(
図3に示す)へ動かされ、上記のプロセスを繰り返すことができる。レセプタクル3が充填位置へ戻された状態で、ピストン4は再び、レセプタクル3に対して動かされて、さらなる薬剤Mを薬剤源18からチャンバ12内へ吸い込む。
【0067】
所定の圧縮特性要件が満たされないのに十分な気体をチャンバ12が収容していると検出機構19が判定した場合、レセプタクル3はハウジング2に対して第2の分注位置へ動かされ、第2の分注位置で、レセプタクル3の通路13は第2の出口9と位置合わせされる(
図7参照)。したがって、チャンバ12内の薬剤Mは、通路13を介して第2の出口9に流体連通する。
【0068】
レセプタクル3を第2の分注位置へ動かすために、第1のアクチュエータ16は、レセプタクル3を軸方向にハウジング2に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。ピストン4もまた、第1の方向Xに同じ距離だけ動き、したがってピストン4に対するレセプタクル3の相対位置は変化しない。一実施形態では、レセプタクル3がハウジング2に対して第1の方向Xに第2の分注位置へ動くことで、空間12A内の薬剤Mがピストン4の端部14に対して付勢されるため、それに対応してピストン4もハウジング2に対して動く。代替実施形態では、第2のアクチュエータ17も第1のアクチュエータ16と同時に動作し、したがってレセプタクル3およびピストン4は、それぞれの第1および第2のアクチュエータ16、17の力を受けて、ともにハウジング2に対して第1の方向Xに動かされる。
【0069】
レセプタクル3が第2の分注位置にある状態で、第2のアクチュエータ17は、ピストン4を軸方向にハウジング2およびレセプタクル3に対して第2の方向Yへ動かすように動作する。これにより、ピストン4の端部14がレセプタクル3の端壁11の方へ動き、したがって空間12Aのサイズが低減され、したがってチャンバ12内の薬剤Mがレセプタクル3内の通路13から第2の出口9を通って排出される。したがって、空間12A内の薬剤Mは、第2の出口9に流体連結された容器(図示せず)へ送達される。したがって、人体に送達されると危険な数量の気体を含む可能性のある薬剤Mを安全に処分することができる。いくつかの実施形態では、レセプタクル3は、ハウジング2に対して軸方向にロックされ、ピストン4が、チャンバ12から薬剤を排出するように動かされる。ピストン4の端部14がレセプタクル3の端壁11に当接するまで、薬剤Mをチャンバ12から排出することができる。代替実施形態では、チャンバ12から薬剤を排出するために、レセプタクル3がハウジング2およびピストン4に対して動かされる。
【0070】
薬剤Mがチャンバ12から排出された後、レセプタクル3は第2の分注位置から充填位置(
図3に示す)へ動かされ、上記のプロセスを繰り返すことができる。レセプタクル3が充填位置へ戻された状態で、ピストン4は再び、レセプタクル3に対して動かされて、さらなる薬剤Mを薬剤源18からチャンバ12内へ吸い込む。
【0071】
医療用ポンプ1の動作方法を示す流れ図が、
図8に示されている。いくつかの実施形態では、工程S1~S8のうちの1つまたはそれ以上が、コントローラ15によって実施される。工程S1で、レセプタクル3は充填位置に位置し、ピストン4は、ピストン4の端部14がレセプタクル3の端壁11に当接するように位置する。工程S2で、ピストン4は、レセプタクル3に対して動かされて、薬剤Mを入口7からチャンバ12内へ吸い込む。工程S3で、レセプタクル3およびピストン4は、レセプタクルが検出位置へ動かされるように、ハウジング2に対してともに動かされる。工程S4で、検出機構19は、チャンバ12内へ吸い込まれた流体が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを判定するように動作する。
【0072】
工程S4で、チャンバ12の内容物が前記所定の圧縮特性要件を満たすと検出機構19が判定した場合、プロセスは工程S5へ進む。工程S5で、レセプタクル3およびピストン4は、レセプタクル3が第1の分注位置へ動かされるように、ハウジング2に対して動かされる。工程S6で、ピストン4は、薬剤Mをチャンバ12から第1の出口8を介して排出するように、レセプタクル3に対して動かされる。次いでプロセスは工程S1へ戻り、繰り返すことができる。
【0073】
工程S4で、チャンバ12の内容物が前記所定の圧縮特性要件を満たさないと検出機構19が判定した場合、プロセスは工程S7へ進む。工程S7で、レセプタクル3およびピストン4は、レセプタクル3が第2の分注位置へ動かされるように、ハウジング2に対して動かされる。工程S8で、ピストン4は、薬剤Mをチャンバ12から第2の出口9を介して排出するように、レセプタクル3に対して動かされる。次いでプロセスは工程S1へ戻り、繰り返すことができる。
【0074】
工程S1~S8のうちの1つまたはそれ以上は、コントローラ15によって実行することができる。一実施形態では、工程S1~S8はすべて、コントローラ15によって実行される。いくつかの実施形態では、コントローラ15は、メモリおよびプロセッサを含む。メモリは、工程S1~S8のうちの1つまたはそれ以上を実行するためにプロセッサによって実施される命令を記憶する。別法または追加として、工程S1~S8のうちの1つまたはそれ以上は、使用者によって手動でトリガすることができる。たとえば、レセプタクル3が第1の分注位置へ動いた後、使用者は、入力デバイス、たとえばスイッチまたはボタンを作動させて、薬剤Mをチャンバ12から分注するための信号をアクチュエータユニットへ送ることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、医療用ポンプ1は、プライミング動作を実行する。プライミング動作は、医療用ポンプ1から空気を除去するために実行される。プライミング動作は、たとえば医療用ポンプ1を初めて動作させるときに実行することができ、
図8に関連して上述した実施形態では、プライミング動作は、工程S1の前に実行することができ、コントローラ15によって実行することができる。
【0076】
プライミング動作は:レセプタクル3を充填位置に配置することと;薬剤Mを入口7からチャンバ12内へ吸い込むように、ピストン4をレセプタクル3に対して動かすことと;レセプタクル3が第2の分注位置へ動かされるように、レセプタクル3およびピストン4をハウジング2に対して動かすことと;薬剤Mおよび/または空気をチャンバ12から第2の出口9を介して排出するように、ピストン4をレセプタクル3に対して動かすこととを伴う。場合により、これらの工程を所定の回数だけ繰り返すことができ、次いで工程S1~S8を実行して、薬剤を患者へ送達する。
【0077】
薬剤源18が最初に入口7に連結されるとき、医療用ポンプ1内に空気が存在する可能性があり、たとえばチャンバ12および/または入口7内に空気が存在する可能性がある。プライミング動作は、チャンバ12および入口7内に薬剤Mが存在するように、医療用ポンプ1から空気を一掃するのを助ける。
【0078】
代替実施形態では、プライミング動作は:レセプタクル3を充填位置に配置することと;薬剤Mを入口7からチャンバ12内へ吸い込むように、ピストン4をレセプタクル3に対して動かすことと;レセプタクル3が第1の分注位置へ動かされるように、レセプタクル3およびピストン4をハウジング2に対して動かすことと;薬剤Mおよび/または空気をチャンバ12から第1の出口8を介して排出するように、ピストン4をレセプタクル3に対して動かすこととを含む。これにより、第1の出口8および薬剤送達部材内の空気の存在を低減させるのを助ける。そのような実施形態では、プライミング動作は、薬剤送達部材が患者に流体連結される前に実行される。これにより、プライミング動作中に薬剤送達部材から排出された空気が患者の体へ送達されるのを防止する。プライミング動作が完了した後、薬剤送達部材は、患者の体へ薬剤を送達するように配置される。たとえば、薬剤送達部材が針を含む場合、プライミング動作が完了した後、針が患者の皮膚に挿入される。
【0079】
いくつかの実施形態では、医療用ポンプ1は、閉塞検出動作を実行するように構成される。医療用ポンプ1は、患者の体が所定の閉塞特性を超過するかどうかを判定するように構成された閉塞検出機構(図示せず)を含むことができ、所定の閉塞特性は、血管閉塞の存在とすることができる。本実施形態では、閉塞検出機構は、コントローラ15、アクチュエータユニットの第1および/または第2のアクチュエータ16、17、ならびに閉塞センサ(図示せず)を含む。閉塞センサは、患者の体の薬物送達部位が所定の閉塞特性を超過するかどうかを示す情報を検出するように構成される。代替実施形態では、コントローラ15ならびに第1および第2のアクチュエータ16、17は、閉塞検出機構の一部を形成するのではなく、代わりに検出機構が、さらなるコントローラ(図示せず)を含む。
【0080】
レセプタクル3が第1の分注位置にある状態で、閉塞検出機構は、患者の体の薬物送達部位が所定の閉塞特性を超過するかどうかを判定するように動作する。より詳細には、第2のアクチュエータ17は、ピストン4をレセプタクル3に対して第2の方向Yに付勢するように動作し、レセプタクル3は、ハウジング2に対して軸方向に静止して保持される。これにより、空間12A内に受け入れられた薬剤Mが患者の体の薬物送達部位へ送達される。閉塞センサ(図示せず)は、患者の体への薬剤Mの送達中に閉塞が存在するかどうかを検出する。患者の体内の薬物送達部位に閉塞、たとえば血管の閉塞が存在すると、薬剤Mが薬物送達部位へ送達される流量が低減される。一実施形態では、閉塞センサは、患者の体へ送達されている薬剤Mの流量を検出する。流量が所定の量を超過した場合、閉塞検出機構は、閉塞が存在しないと判定する。しかし、流量が前記所定の量以下である場合、閉塞検出機構は、閉塞が存在すると判定する。別法または追加として、閉塞は、閉塞センサによって検出される流量の変化に基づいて判定される。たとえば、薬物送達部位への薬剤Mの送達中に流量が所定の量を超えて突然低下した場合、閉塞検出機構は、閉塞が存在すると判定する。
【0081】
さらに別の実施形態では、閉塞検出機構は、所定の量の薬剤を患者の薬物送達部位へ送達するために第1および/または第2のアクチュエータ16、17によって加えられる力を検出するように構成される。たとえば、閉塞検出機構は、ピストン4をレセプタクル3に対して所定の距離だけ動かして所定の体積の薬剤Mを患者へ送達するために必要とされる力を判定する閉塞センサを含むことができる。閉塞が存在すると、薬剤を薬物送達部位へ送達するためにより大きい力を必要とする。閉塞センサによって判定された力が所定の量を超過した場合、閉塞検出機構は、閉塞が存在すると判定する。しかし、力が所定の量以下である場合、閉塞検出機構は、閉塞が存在しないと判定する。
【0082】
さらに別の実施形態では、閉塞検出機構は、患者の薬物送達部位へ薬剤を送達するために第1および/または第2のアクチュエータ16、17によって所定の力が加えられたとき、ピストン4およびレセプタクル3の相対運動を検出するように構成される。たとえば、閉塞検出機構は、ピストン4およびレセプタクル3の相対変位を判定する閉塞センサを含むことができる。閉塞が存在すると、所定の力によって引き起こされるピストン4に対するレセプタクル3の動きが小さくなり、したがって薬物送達部位へ送達される薬剤Mの体積も小さくなる。閉塞センサによって測定されたピストン4とレセプタクル3との間の移動距離が所定の量を超過した場合、閉塞検出機構は、閉塞が存在しないと判定する。しかし、この距離が所定の量以下である場合、閉塞検出機構は、閉塞が存在すると判定する。
【0083】
いくつかの実施形態では、チャンバ12の内容物が所定の圧縮要件を満たすかどうかを示す情報を検出するように構成されるセンサ20は、閉塞センサと同じ構成要素である。
【0084】
医療用ポンプ1の例示的な閉塞検出動作を示す流れ図が、
図9に示されている。いくつかの実施形態では、工程S10~S12のうちの1つまたはそれ以上が、コントローラ15によって実施される。
【0085】
工程S10で、レセプタクル3は第1の分注位置に位置し、閉塞検出機構(図示せず)は、患者の体の薬物送達部位が所定の閉塞特性を超過するかどうかを判定するように動作する。より具体的には、ピストン4は、薬剤Mをチャンバ12から第1の出口8を介して排出するように、レセプタクル3に対して動かされ、閉塞センサは、上述したように、患者の体の薬物送達部位が所定の閉塞特性を超過するかどうかを検出して、閉塞が存在するかどうかを判定する。
【0086】
工程S10で、患者の体の薬物送達部位が所定の閉塞特性を下回ると閉塞検出機構が判定した場合、プロセスは工程S11へ進む。工程S11で、レセプタクル3およびピストン4は、さらなる薬剤Mをチャンバ12から第1の出口8を介して送達するように、互いに対してさらに動かされ、したがって薬剤Mが患者へ供給される。次いでプロセスは工程S10へ戻り、繰り返すことができる。
【0087】
工程S10で、患者の体の薬物送達部位が所定の閉塞特性以上であり、したがって閉塞が存在すると閉塞検出機構が判定した場合、プロセスは工程S12へ進む。工程S12で、警報器が起動されて、患者に閉塞の存在を警告する。いくつかの実施形態では、警報器は、ライトなどの視覚警報器、および/またはスピーカなどの可聴警報器を含む。追加または別法として、閉塞検出機構は、さらなる薬剤Mが薬物送達部位へ送達されないように、薬物送達プロセスを停止させることができる。
【0088】
工程S10~S12のうちの1つまたはそれ以上は、コントローラ15によって実行することができる。一実施形態では、工程S10~S12はすべて、コントローラ15によって実行される。いくつかの実施形態では、コントローラ15は、メモリおよびプロセッサを含み、それによってメモリは、工程S10~S12のうちの1つまたはそれ以上を実行するためにプロセッサによって実施される命令を記憶する。別法または追加として、工程S10~S12のうちの1つまたはそれ以上は、使用者によって手動でトリガすることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、工程S10~S12は、工程S1~S8の後に実行される。別法として、工程S10~S12の閉塞検出動作は、
図8に示すプロセスの工程S6の代わりに実行することができる。次いでプロセスは工程S1へ戻り、繰り返すことができる。さらに別の実施形態では、閉塞検出動作は、たとえば所定の期間が経過した後に自動的に実行され、期間が経過したときはいつでも繰り返すことができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、医療用ポンプ1は、第1、第2、および第3の封止21、22、23を含む。第1の封止21は、ハウジング2とレセプタクル3との間で入口7の周りに封止を提供するように構成される。第1の封止21は、流体が入口7からチャンバ12内へ吸い込まれたとき、ハウジング2とレセプタクル3との間の薬剤Mの漏れを防止する。一実施形態では、第1の封止21は、入口7の両側に軸方向に隔置された第1および第2のOリング21A、21Bを含む。第1および第2のOリング21A、21Bは、入口7の周りに封止を提供しながら、ハウジング2に対するレセプタクル3の動きを可能にする。第1および第2のOリング21A、21Bは、ハウジング2またはレセプタクル3に取り付けることができる。
【0091】
第2の封止22は、ハウジング2とレセプタクル3との間で第1の出口8の周りに封止を提供するように構成される。第2の封止22は、チャンバ12内の流体が第1の出口8から排出されるとき、ハウジング2とレセプタクル3との間の薬剤Mの漏れを防止する。一実施形態では、第2の封止22は、第1の出口8の両側に軸方向に隔置された第1および第2のOリング22A、22Bを含む。第1および第2のOリング22A、22Bは、第1の出口8の周りに封止を提供しながら、ハウジング2に対するレセプタクル3の動きを可能にする。第1および第2のOリング22A、22Bは、ハウジング2またはレセプタクル3に取り付けることができる。
【0092】
第3の封止23は、ハウジング2とレセプタクル3との間で第2の出口9の周りに封止を提供するように構成される。第3の封止23は、チャンバ12内の流体が第2の出口9から排出されるとき、ハウジング2とレセプタクル3との間の薬剤Mの漏れを防止する。一実施形態では、第3の封止23は、第2の封止22の第1のOリング22Aと、追加のOリング23Aとを含む。第2の封止22の第1のOリング22Aおよび追加のOリング23Aは、第2の出口9の両側に軸方向に隔置されており、第2の出口9の周りに封止を提供しながら、ハウジング2に対するレセプタクル3の動きを可能にする。追加のOリング23Aは、ハウジング2またはレセプタクル3に取り付けることができる。
【0093】
一実施形態では、第1、第2、および第3の封止21、22、23は、ハウジング2またはレセプタクル3に接着される。しかし、別の実施形態では、第1、第2、および第3の封止21、22、23は、ハウジング2またはレセプタクル3とともに形成することができる。たとえば、第1、第2、および第3の封止21、22、23ならびにハウジング2またはレセプタクル3は、たとえば多成分射出成形、マルチショット射出成形、またはオーバーモールディングなどの多材料射出成形技法を使用して射出成形することができる。
【0094】
ピストン4がレセプタクル3内に受け入れられ、レセプタクル3がハウジング2内に受け入れられていることで、医療用ポンプ1は中心軸A-Aの方向により小型になる。レセプタクル3は、通路13が入口7、第1の出口8、および第2の出口9の各々に流体連通することを可能にするのに十分な距離だけ、ハウジング2に対して軸方向に可動であるだけでよい。さらに、ピストン4は、薬剤Mをチャンバ12内へ吸い込み、薬剤Mをチャンバ12から排出するのに十分な距離だけ、レセプタクル3に対して軸方向に可動であるだけでよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、ピストン4は、ピストン4とレセプタクル3の周壁10の内面との間に封止を提供するように構成された封止24を含む。一実施形態では、ピストン4の封止24は、第1および第2のOリング24A、24Bを含み、第1および第2のOリング24A、24Bは、軸方向に隔置され、ピストン4の端部14の近傍に位置する。別の実施形態(図示せず)では、ピストン4は、ピストン4の端部14に栓、たとえばゴム栓を含み、栓は、レセプタクル3の周壁10の内面に対して封止される。
【0096】
代替実施形態(図示せず)では、入口7は、体液源、たとえば血液源に流体連結される。体液源は、体液の容器とすることができる。別法として、体液源は、針および/または管を介して入口7に連結された使用者の体とすることができる。したがって、医療用ポンプ1は、体液をチャンバ12内へ吸い込むように構成される。一実施形態では、第1の出口8は、体液を収集するための容器に連結される。したがって、医療用ポンプ1は、体液をチャンバ12内へ吸い込み、次いで収納のために体液を容器へ分注するように構成される。別法または追加として、第1の出口8は、第1の出口8から排出された体液の特性を示す情報を検出するように構成されたセンサユニット(図示せず)に流体連結される。
【0097】
一代替実施形態(図示せず)では、第2の出口9は省略され、したがってハウジングは、1つの入口7および1つの出口8を含む。
【0098】
一代替実施形態(図示せず)では、検出機構19が省略される。
【0099】
図10~
図16を次に参照すると、第2の実施形態による医療用ポンプ100が示されている。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態の医療用ポンプ100は、ハウジング102、レセプタクル103、およびピストン104を含み、ハウジング102は、レセプタクル103を摺動可能に受け入れる周壁105を含む。ハウジング102は、第1および第2の入口106、107ならびに第1および第2の出口108、109を含む。第1および第2の入口106、107ならびに第1および第2の出口108、109は、軸方向に隔置することができる。
【0100】
レセプタクル103は、ハウジング102内に摺動可能に受け入れられる。レセプタクル103は、チャンバ112をともに画成する周壁110および端壁111を含む。レセプタクル103は、チャンバ112に流体連通する通路113を含む。ハウジング102、レセプタクル103、およびピストン104は、第2の実施形態のハウジング102が、単一の入口7の代わりに第1および第2の入口106、107を含むことを除いて、医療用ポンプ1の第1の実施形態に関連して上述したものに類似の形状および/または配置とすることができる。
【0101】
レセプタクル103は、以下により詳細に説明するように、通路113を第1および第2の入口106、107ならびに第1および第2の出口108、109に選択的に流体連通させるように、ハウジング102に対して軸方向に可動である。
【0102】
レセプタクル103は、端壁111から離れたところに開端を有しており、ピストン104の端部114がチャンバ112内に受け入れられるように、ピストン104を受け入れるように構成される。ピストン104は、レセプタクル103に対して軸方向に可動である。より具体的には、ピストン104は、ピストン104がレセプタクル103の端壁111から離れる方へ軸方向に動かされる第1の方向(
図12および
図13に矢印「X」によって示す)、およびピストン104がレセプタクル103の端壁111の方へ軸方向に動かされる第2の方向(
図15および
図16に矢印「Y」によって示す)に、レセプタクル103に対して可動である。
【0103】
医療用ポンプ100は、アクチュエータユニットおよびコントローラ115をさらに含む。アクチュエータユニットは、第1の実施形態のアクチュエータユニットに類似しており、したがってここでは詳細な説明を繰り返さない。簡単に言えば、アクチュエータユニットは、レセプタクル103を軸方向に動かすように動作可能である第1のアクチュエータ116と、ピストン104を軸方向に動かすように動作可能である第2のアクチュエータ117とを含む。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態の医療用ポンプ100は、ハウジング102に対するレセプタクル103の軸方向運動を防止するために、レセプタクル103をハウジング102に対して定位置にロックすることができるように構成される。別法または追加として、医療用ポンプ100は、ハウジング102に対するピストン104の軸方向運動を防止するために、ピストン104をハウジング102に対して定位置にロックすることができるように構成される。
【0104】
ハウジング102の第1の入口106に、第1の薬剤源118Aが流体連結される。第1の薬剤源118Aは、第1の薬剤M1を収容するリザーバを含む。ハウジング102の第2の入口107に、第2の薬剤源118Bが流体連結される。第2の薬剤源118Bは、第2の薬剤M2を収容するリザーバを含む。
【0105】
第1の出口108は、薬剤を第1の出口108から使用者の体へ送達するように構成された薬剤送達部材(図示せず)、たとえば針または可撓管材に流体連結される。第2の出口109は、第2の出口109から排出された流体を受け入れるための容器(図示せず)に流体連結される。
【0106】
医療用ポンプ100は、チャンバ112の内容物が所定の圧縮要件を満たすかどうかを判定するように構成された検出機構119をさらに含む。本実施形態では、検出機構は、チャンバ112の内容物が所定の圧縮要件を満たすかどうかを示す情報を検出するために、センサ120に連結される。検出機構119は、第1の実施形態の医療用ポンプ1の検出機構19に類似しており、したがってここではその説明を繰り返さない。
【0107】
医療用ポンプ100の例示的な動作について、
図11~
図16を参照して次に説明する。レセプタクル103は最初に第1の充填位置にあり、ピストン104の端部114がレセプタクル103の端壁111に当接しており(
図11に示す)、レセプタクル103の通路113は、ハウジング102の第1の入口106と位置合わせされ、したがって第1の薬剤源118Aは、第1の入口106および通路113を介してチャンバ112に流体連通する。
【0108】
レセプタクル103が第1の充填位置にある状態で、第2のアクチュエータ117は、ピストン104を軸方向にハウジング102およびレセプタクル103に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。これにより、ピストン104の端部114がレセプタクル103の端壁111から離れる方へ動き、したがって端部114と端壁111との間に空間112Aが形成される(
図12に示す)。ピストン104が第1の方向Xに動くことで吸引作用を生み出し、第1の薬剤源118Aからの第1の薬剤M1が第1の入口106および通路113を介してチャンバ112内へ吸い込まれて、空間112Aを充填する。
【0109】
次いでレセプタクル103は、第2の充填位置(
図13に示す)へ動かされ、第2の充填位置で、レセプタクル103の通路113は、ハウジング102の第2の入口107と位置合わせされ、したがって第2の薬剤源118Bは、第2の入口107および通路113を介してチャンバ112に流体連通する。レセプタクル103を第2の充填位置へ動かすために、第1のアクチュエータ116は、レセプタクル103を軸方向にハウジング102に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。一実施形態では、第2のアクチュエータ117は同時に、ピストン104を対応する距離だけ第1の方向Xに動かすように動作する。
【0110】
レセプタクル103が第2の充填位置にある状態で、第2のアクチュエータ117は、ピストン104を軸方向にハウジング102およびレセプタクル103に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。これにより、ピストン104の端部114がレセプタクル103の端壁111から離れる方へさらに動き、したがって空間112Aのサイズが増大する。ピストン104が第1の方向Xに動くことで吸引作用を生み出し、第2の薬剤源118Bからの第2の薬剤M2が第2の入口107および通路113を介してチャンバ112内へ吸い込まれて、空間112Aを充填する。したがって、チャンバ112は、第1および第2の薬剤M1、M2の混合物M3を収容する。
【0111】
いくつかの実施形態(図示せず)では、第1の薬剤源118Aは第1の薬剤M1を収容し、第2の薬剤源118Bはキャリアを収容し、キャリアは、チャンバ112内で第1の薬剤M1と混合される。第1の薬剤源118A内の第1の薬剤M1は、固体の形で収納することができ、キャリアは、液体を含むことができ、第1の薬剤M1と混合されて、第1の薬剤M1を液体混合物M3の一部として薬物送達部位へ送達することを可能にする。これは、第1の薬剤M1が固体の形で収納されるべきである場合、たとえば第1の薬剤M1が液体の形より固体の形で安定する場合、特に有利である。
【0112】
次いでレセプタクル103は、検出位置(
図14に示す)へ動かされ、検出位置で、レセプタクル103の通路13は、第1の入口106、第2の入口107、第1の出口108、および第2の出口109のいずれとも位置合わせされない。したがって、チャンバ112内に収容されている混合物M3は、第1の入口106、第2の入口107、第1の出口108、および第2の出口109のいずれにも流体連通せず、代わりに空間112Aが封止される。
【0113】
レセプタクル103を検出位置へ動かすために、第1のアクチュエータ116は、レセプタクル103を軸方向にハウジング102に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。ピストン104もまた、第1の方向Xに同じ距離だけ動き、したがってピストン104に対するレセプタクル103の相対位置は変化しない。一実施形態では、第2のアクチュエータ117は同時に、ピストン104をレセプタクル103とともに検出位置へ動かすように動作する。
【0114】
レセプタクル103が検出位置にある状態で、検出機構119は、チャンバ112内の空間112Aの内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを判定するように動作する。第1の実施形態と同様に、内容物が所定の圧縮特性要件を満たすかどうかを検出することで、検出機構119は、チャンバ112内の空間112A内に混合物M3とともに気体または気泡が存在するかどうかを評価することが可能になる。
【0115】
検出機構119は、第1の実施形態の検出機構19と同様に動作する。たとえば、第2のアクチュエータ117は、ピストン104をレセプタクル103に対して第2の方向Yに付勢するように動作することができる。レセプタクル103が検出位置にあるとき、レセプタクル103およびピストン104の相対運動により、空間112Aの内容物を圧縮する。所定の圧縮特性要件は、空間112Aの内容物が所定の量未満しか圧縮されない場合に満たされる。上記で論じたように、この所定の量は、レセプタクル103が検出位置にあり、対応するアクチュエータ116、117が動作するときに、ピストン104がレセプタクル103に対して動かされる距離に関係することができる。別法として、所定の圧縮量は、危険な量の気体が空間112A内に存在しないときに空間112Aの内容物をちょうど圧縮することができる空間112Aの画成された体積に関係することができる。別法として、所定の圧縮量は、レセプタクル103およびピストン104のうちの一方をレセプタクル103およびピストン104のうちの他方の方へ所与の軸方向距離だけ動かすために必要な力に関係することができ、またはそのような力を介して判定することができる。
【0116】
重大または危険な量の気体が空間112A内に存在する場合、空間112Aの内容物は、レセプタクル103およびピストン104が相対運動したときに所定の量を超えて圧縮される。これは、気体の圧縮性が液体の圧縮性より大きいため、空間112Aの内容物の圧縮性がより大きくなることによって生じる。
【0117】
前記距離、体積、または力は、検出機構119の動作中に医療用ポンプ100のコントローラ115または追加の要素もしくはゲージによって監視することができる。この目的で、コントローラ115は、上述した距離、体積、または力から選択されたそれぞれの変数を、コントローラ115によって記憶されている閾値と比較することができ、それぞれの変数の許容値を、許容できない値から分離する。
【0118】
所定の圧縮特性要件が満たされるのに十分なほどチャンバ112に気体がないと検出機構119が判定した場合、レセプタクル103は、ハウジング102に対して第1の分注位置へ動かされ、第1の分注位置で、レセプタクル103の通路113は第1の出口108と位置合わせされる(
図15参照)。したがって、チャンバ112内の混合物M3は、通路113を介して第1の出口108に流体連通する。
【0119】
レセプタクル103を第1の分注位置へ動かすために、第1のアクチュエータ116は、レセプタクル103を軸方向にハウジング102に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。ピストン104もまた、第1の方向Xに同じ距離だけ動き、したがってピストン104に対するレセプタクル103の相対位置は変化しない。レセプタクル103が第1の分注位置にある状態で、第2のアクチュエータ117は、ピストン104を軸方向にハウジング102およびレセプタクル103に対して第2の方向Yへ動かすように動作する。これにより、ピストン104の端部114がレセプタクル103の端壁111の方へ動き、したがって空間112Aのサイズが低減され、したがってチャンバ112内の混合物M3がレセプタクル103内の通路113から排出され、第1の出口108を通って分注される。したがって、混合物M3は、薬剤送達部材(図示せず)を介して使用者の体へ送達される。
【0120】
混合物M3がチャンバ112から排出された後、レセプタクル103は第1の分注位置から第1の充填位置(
図11に示す)へ動かされ、上記のプロセスを繰り返すことができる。
【0121】
所定の圧縮特性要件が満たされないのに十分な気体をチャンバ112が収容していると検出機構119が判定した場合、レセプタクル103はハウジング102に対して第2の分注位置へ動かされ、第2の分注位置で、レセプタクル103の通路113は第2の出口109と位置合わせされる(
図16参照)。したがって、チャンバ112内の混合物M3は、通路113を介して第2の出口109に流体連通する。
【0122】
レセプタクル103を第2の分注位置へ動かすために、第1のアクチュエータ116は、レセプタクル103を軸方向にハウジング102に対して第1の方向Xへ動かすように動作する。ピストン104もまた、第1の方向Xに同じ距離だけ動き、したがってピストン104に対するレセプタクル103の相対位置は変化しない。レセプタクル103が第2の分注位置にある状態で、第2のアクチュエータ117は、ピストン104を軸方向にハウジング102およびレセプタクル103に対して第2の方向Yへ動かすように動作する。これにより、ピストン104の端部114がレセプタクル103の端壁111の方へ動き、したがって空間112Aのサイズが低減され、したがってチャンバ112内の混合物M3がレセプタクル103内の通路113から排出され、第2の出口109を通って分注される。したがって、混合物M3は、第2の出口109に流体連結された容器(図示せず)へ送達される。次いで、容器内の薬剤M3を処分することができる。
【0123】
混合物M3がチャンバ112から排出された後、レセプタクル103は第2の分注位置から第1の充填位置(
図11に示す)へ動かされ、上記のプロセスを繰り返すことができる。
【0124】
ピストン104がレセプタクル103内に受け入れられ、レセプタクル103がハウジング102内に受け入れられていることで、医療用ポンプ100は中心軸A-Aの方向により小型になる。レセプタクル103は、通路113が第1および第2の入口106、107ならびに第1および第2の出口108、109の各々に流体連通することを可能にするのに十分な距離だけ、ハウジング102に対して軸方向に可動であるだけでよい。さらに、ピストン104は、第1および第2の薬剤M1、M2をチャンバ112内へ吸い込み、混合物M3をチャンバ112から排出するのに十分な距離だけ、レセプタクル103に対して軸方向に可動であるだけでよい。
【0125】
一実施形態では、医療用ポンプ100は、第1の出口108から排出された体液の特性を示す情報を検出するように構成されたセンサユニットをさらに含む。
【0126】
一実施形態では、第1の入口106は、体液源、たとえば体液の容器に連結され、または針および/もしくは管を介して使用者の体に直接連結される。したがって、医療用ポンプ100は、体液をチャンバ112内へ吸い込むように構成される。第2の入口107は、さらなる液体、たとえば反応物質または試薬を含む液体源に連結される。したがって、医療用ポンプ100は、さらなる液体をチャンバ112内へ吸い込み、チャンバ112内の体液と混合するように構成される。医療用ポンプ100は、第1の出口108から排出された体液の特性を示す情報を検出するように構成されたセンサユニット(図示せず)をさらに含むことができる。さらなる液体は、チャンバ112内で、またはセンサユニットへ分注されたときに、体液と反応することができる。体液およびさらなる液体は、センサユニットによって分析することができる。さらなる液体は、試薬もしくは反応物質とすることができ、かつ/または体液と反応して血糖測定を可能にするのに好適な医療物質を含むことができる。センサユニットは、そのような血糖測定を実行するのに好適である。
【0127】
一実施形態では、第2の入口107および検出機構119は省略される。
【0128】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、さまざまなタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0129】
いくつかの実施形態では、医療用ポンプ1、100は、医療用ポンプ1、100が遊休状態にあるとき、たとえば医療用ポンプ1、100が薬剤を患者へ送達するように動作していないとき、レセプタクル3をハウジング2に対して収納位置へ動かすように構成される。収納位置で、通路13、113は、入口7、第1の入口106、または第2の入口107のいずれにも流体連通しない。したがって、薬剤源18または第1および第2の薬剤源118A、118Bに圧力が加えられ、流体が薬剤源18、118A、118Bから付勢された場合、流体はチャンバ12、112に入らない。これは、薬剤源18または第1および第2の薬剤源118A、118Bが可撓袋を含む場合に特に有利である。可撓袋は普通なら患者によって容易に圧搾され、流体をチャンバ12、112に押し込む可能性がある。一実施形態では、医療用ポンプ1が収納位置にあるとき、通路13、113はまた、第1の出口8、108および第2の出口9、109のいずれにも流体連通しない。これにより、第1の出口8、108または第2の出口9、109からチャンバ12、112への流体の伝達を防止するのを助ける。
【0130】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(たとえばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(たとえば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(たとえば鼻用または肺用)、埋め込み(たとえば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、たとえば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0131】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、たとえば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(たとえば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。たとえば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(たとえば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(たとえば約20℃)または冷蔵温度(たとえば約-4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(たとえば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。たとえば、2つのチャンバは、これらが(たとえば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0132】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0133】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体もしくはGLP-1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0134】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0135】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP-1、GLP-1類似体およびGLP-1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン-4(Exendin-4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC-2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド(Exenatide)-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0136】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0137】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0138】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0139】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG-F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0140】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0141】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本開示に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0142】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0143】
例示的な抗体は、アンチPCSK-9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL-6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL-4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0144】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0145】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1~C6-アルキル基、場合により置換されたC2~C6-アルケニル基、場合により置換されたC6~C10-アリル基、または場合により置換されたC6~C10-ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0146】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0147】
本開示の完全な範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に記載する物質、構成、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素に修正(追加および/または削除)を加えることができ、本開示は、そのような修正およびそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されよう。