(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】カソードユニットおよび成膜装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
C23C14/34 C
C23C14/34 L
(21)【出願番号】P 2023193544
(22)【出願日】2023-11-14
(62)【分割の表示】P 2020024918の分割
【原出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099944
【氏名又は名称】高山 宏志
(72)【発明者】
【氏名】品田 正人
(72)【発明者】
【氏名】アバラ アインシュタイン ノエル
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-43766(JP,A)
【文献】特開2000-169962(JP,A)
【文献】特開2003-257943(JP,A)
【文献】特開平09-176849(JP,A)
【文献】特開平07-197254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタ成膜を行うためのカソードユニットであって、
スパッタ粒子を放出するターゲットと、
前記ターゲットが接合された金属製の冷却板を有するターゲット冷却部と、
前記ターゲットに給電する電源と、
を有し、
前記ターゲットには、スパッタ成膜の際に、相対的に高温となる高温領域が形成され、
前記冷却板は、冷却媒体が通流する冷却媒体通流空間と、前記冷却媒体通流空間を厚さ方向に規定する第1の壁部および第2の壁部とを有し、
前記冷却媒体通流空間には、前記第1の壁部および前記第2の壁部に結合された第1の仕切り板、ならびに前記第1の壁部および前記第2の壁部のいずれか一方のみに結合された第2の仕切り板により前記冷却媒体の流路が形成され、
前記冷却媒体通流空間の前記高温領域に対応する部分には、第1の仕切り部材が存在せず、
前記ターゲットおよび前記冷却板は矩形状をなし、前記第1の仕切り板および前記第2の仕切り板は、前記冷却板の短辺方向に延びており、
前記ターゲットに漏洩磁場を与えてマグネトロンスパッタを行うためのマグネットと、前記マグネットを前記ターゲットの長辺方向に揺動させる駆動機構とを有するマグネットアッセンブリをさらに有し、
前記高温領域は、前記マグネットを揺動させる際の前記マグネットの停止位置に対応する部分である、カソードユニット。
【請求項2】
スパッタ成膜を行うためのカソードユニットであって、
スパッタ粒子を放出するターゲットと、
前記ターゲットが接合された金属製の冷却板を有するターゲット冷却部と、
前記ターゲットに給電する電源と、
を有し、
前記ターゲットには、スパッタ成膜の際に、相対的に高温となる高温領域が形成され、
前記冷却板は、冷却媒体が通流する冷却媒体通流空間と、前記冷却媒体通流空間を厚さ方向に規定する第1の壁部および第2の壁部とを有し、
前記冷却媒体通流空間には、前記第1の壁部および前記第2の壁部に結合された第1の仕切り板、ならびに前記第1の壁部および前記第2の壁部のいずれか一方のみに結合された第2の仕切り板により前記冷却媒体の流路が形成され、
前記冷却媒体通流空間の前記高温領域に対応する部分には、第1の仕切り部材が存在せず、
前記ターゲットおよび前記冷却板は矩形状をなし、前記第1の仕切り板および前記第2の仕切り板は、前記冷却板の短辺方向に延びており、
前記ターゲットに漏洩磁場を与えてマグネトロンスパッタを行うための複数のマグネットと、複数の前記マグネットを前記ターゲットの長辺方向に揺動させる駆動機構とを有するマグネットアッセンブリをさらに有し、
複数の前記マグネットを揺動させた際に、前記マグネットのそれぞれの停止位置が近接ないしオーバーラップし、前記停止位置における前記マグネットからの漏洩磁場が前記ターゲットにおいてオーバーラップした部分が、前記高温領域に対応する、カソードユニット。
【請求項3】
前記冷却板は、アルミニウム、銅、モリブデン、およびステンレス鋼のいずれかからなる、請求項1または請求項2に記載のカソードユニット。
【請求項4】
前記ターゲット冷却部は、前記冷却板を支持するベース板を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカソードユニット。
【請求項5】
前記冷却板と前記ベース板とは一体に形成されている、請求項4に記載のカソードユニット。
【請求項6】
前記ターゲットは、コバルトよりも低い熱伝導率を有する低熱伝導材料である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカソードユニット。
【請求項7】
前記ターゲットは、チタンまたはセラミックスで形成されている、請求項6に記載のカソードユニット。
【請求項8】
前記ターゲットと前記冷却板とは、インジウム、ガリウム、スズ、または銀、またはこれらの合金で構成された接合材で接合されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のカソードユニット。
【請求項9】
前記第1の仕切り板は、前記冷却媒体通流空間の前記流路の屈曲部分を規定し、前記第2の仕切り板は、前記短辺方向の流路を規定する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のカソードユニット。
【請求項10】
前記マグネットは、その長手方向が前記ターゲットの短辺方向と一致するように配置される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のカソードユニット。
【請求項11】
処理容器と、
前記処理容器内で基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部の上方に配置されたカソードユニットと、
前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入するガス導入機構と、
を具備し、
前記カソードユニットは、
スパッタ粒子を放出するターゲットと、
前記ターゲットが接合された金属製の冷却板を有するターゲット冷却部と、
前記ターゲットに給電する電源と、
を有し、
前記ターゲットは、スパッタ成膜の際に、相対的に高温となる高温領域が形成され、
前記冷却板は、冷却媒体が通流する冷却媒体通流空間と、前記冷却媒体通流空間を厚さ方向に規定する第1の壁部および第2の壁部とを有し、
前記冷却媒体通流空間は、前記第1の壁部および前記第2の壁部に結合された第1の仕切り板、ならびに前記第1の壁部および前記第2の壁部のいずれか一方のみに結合された第2の仕切り板により前記冷却媒体の流路が形成され、
前記冷却板の前記高温領域に対応する部分には、前記冷却媒体通流空間に第1の仕切り部材が存在せず、
前記ターゲットおよび前記冷却板は矩形状をなし、前記第1の仕切り板および前記第2の仕切り板は、前記冷却板の短辺方向に延びており、
前記ターゲットに漏洩磁場を与えてマグネトロンスパッタを行うためのマグネットと、前記マグネットを前記ターゲットの長辺方向に揺動させる駆動機構とを有するマグネットアッセンブリをさらに有し、
前記高温領域は、前記マグネットを揺動させる際の前記マグネットの停止位置に対応する部分である、成膜装置。
【請求項12】
処理容器と、
前記処理容器内で基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部の上方に配置されたカソードユニットと、
前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入するガス導入機構と、
を具備し、
前記カソードユニットは、
スパッタ粒子を放出するターゲットと、
前記ターゲットが接合された金属製の冷却板を有するターゲット冷却部と、
前記ターゲットに給電する電源と、
を有し、
前記ターゲットは、スパッタ成膜の際に、相対的に高温となる高温領域が形成され、
前記冷却板は、冷却媒体が通流する冷却媒体通流空間と、前記冷却媒体通流空間を厚さ方向に規定する第1の壁部および第2の壁部とを有し、
前記冷却媒体通流空間は、前記第1の壁部および前記第2の壁部に結合された第1の仕切り板、ならびに前記第1の壁部および前記第2の壁部のいずれか一方のみに結合された第2の仕切り板により前記冷却媒体の流路が形成され、
前記冷却板の前記高温領域に対応する部分には、前記冷却媒体通流空間に第1の仕切り部材が存在せず、
前記ターゲットおよび前記冷却板は矩形状をなし、前記第1の仕切り板および前記第2の仕切り板は、前記冷却板の短辺方向に延びており、
前記ターゲットに漏洩磁場を与えてマグネトロンスパッタを行うための複数のマグネットと、複数の前記マグネットを前記ターゲットの長辺方向に揺動させる駆動機構とを有するマグネットアッセンブリをさらに有し、
複数の前記マグネットを揺動させた際に、前記マグネットのそれぞれの停止位置が近接ないしオーバーラップし、前記停止位置における前記マグネットからの漏洩磁場が前記ターゲットにおいてオーバーラップした部分が、前記高温領域に対応する、成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カソードユニットおよび成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属膜を成膜する技術の一つとして、ターゲットからのスパッタ粒子を基板上に堆積させるスパッタ成膜が用いられている。特許文献1には、基板に対してスパッタ堆積を行う装置が記載されている。この装置は、真空チャンバと、スパッタリング源とを含み、スパッタリング源は、ターゲット受容面を有するパッキング支持体を有し、パッキング支持体のターゲット受容面と反対側の面は磁石アッセンブリに面している。パッキング支持体は、冷却液を含む冷却チャンネルを有し、冷却されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、スパッタリングの際に加熱されるターゲットの熱膨張による剥がれを抑制することができるカソードユニットおよび成膜装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るカソードユニットは、スパッタ成膜を行うためのカソードユニットであって、スパッタ粒子を放出するターゲットと、前記ターゲットが接合された金属製の冷却板を有するターゲット冷却部と、前記ターゲットに給電する電源と、を有し、前記ターゲットには、スパッタ成膜の際に、相対的に高温となる高温領域が形成され、前記冷却板は、冷却媒体が通流する冷却媒体通流空間と、前記冷却媒体通流空間を厚さ方向に規定する第1の壁部および第2の壁部とを有し、前記冷却媒体通流空間には、前記第1の壁部および前記第2の壁部に結合された第1の仕切り板、ならびに前記第1の壁部および前記第2の壁部のいずれか一方のみに結合された第2の仕切り板により前記冷却媒体の流路が形成され、前記冷却媒体通流空間の前記高温領域に対応する部分には、第1の仕切り部材が存在せず、前記ターゲットおよび前記冷却板は矩形状をなし、前記第1の仕切り板および前記第2の仕切り板は、前記冷却板の短辺方向に延びており、前記ターゲットに漏洩磁場を与えてマグネトロンスパッタを行うためのマグネットと、前記マグネットを前記ターゲットの長辺方向に揺動させる駆動機構とを有するマグネットアッセンブリをさらに有し、前記高温領域は、前記マグネットを揺動させる際の前記マグネットの停止位置に対応する部分である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、スパッタリングの際に加熱されるターゲットの熱膨張による剥がれを抑制することができるカソードユニットおよび成膜装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るカソードユニットを有する成膜装置の一例を示す断面図である。
【
図2】一実施形態に係るカソードユニットを有する成膜装置の一例を示す概略平面図である。
【
図3】一実施形態に係るカソードユニットを示す断面図である。
【
図4】一実施形態に係るカソードユニットを示す平面図である。
【
図5】一実施形態に係るカソードユニットにおけるマグネット停止位置とターゲットの高温領域との関係を示す平面図である。
【
図6】第2の仕切り板の数を変更した冷却媒体流路を用いたカソードユニットの例を示す平面図である。
【
図7】マグネットを3つ設けた場合のマグネットの揺動態様とターゲットの高温領域を示す図である。
【
図8】マグネットを4つ設けた場合のマグネットの揺動態様とターゲットの高温領域を示す図である。
【
図9】冷却板の冷却媒体流路の他の例と、その冷却媒体流路の構造とターゲットの高温領域との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態について具体的に説明する。
【0009】
<成膜装置の構成>
図1は一実施形態に係るカソードユニットを有する成膜装置の一例を示す断面図、
図2はその概略平面図である。
【0010】
本実施形態の成膜装置1は、基板W上にスパッタリングによって金属、合金、または化合物の膜を成膜するものである。基板Wは特に限定されないが、例えばSi等の半導体基体を有する半導体ウエハを挙げることができる。
【0011】
成膜装置1は、処理容器10と、基板保持部20と、カソードユニット30と、ガス供給部40と、シャッター50と、制御部60とを備える。
【0012】
処理容器10は、例えばアルミニウム製であり、基板Wの処理を行う処理室を画成する。処理容器10は、接地電位に接続されている。処理容器10は、上部が開口された容器本体10aと、容器本体10aの上部開口を塞ぐように設けられた蓋体10bとを有する。蓋体10bは、略円錐台状をなしている。
【0013】
処理容器10の底部には排気口11が形成され、排気口11には排気装置12が接続されている。排気装置12は、圧力制御弁、および真空ポンプを含んでおり、排気装置12により、処理容器10内が所定の真空度まで真空排気されるようになっている。
【0014】
処理容器10の側壁には、隣接する搬送室(図示せず)との間で基板Wを搬入出するための搬入出口13が形成されている。搬入出口13はゲートバルブ14により開閉される。
【0015】
基板保持部20は、略円板状をなし、処理容器10内の底部近傍に設けられ、基板Wを水平に保持するようになっている。基板保持部20は、ベース部21および静電チャック22を有する。ベース部21は例えばアルミニウムからなる。静電チャック22は、誘電体からなり、内部に電極23が設けられている。電極23には直流電源(図示せず)から直流電圧が印加され、これによる静電気力により基板Wが静電チャック22の表面に静電吸着される。
【0016】
また、基板保持部20の内部には温調機構(図示せず)が設けられていてもよい。温調機構としては、例えば、基板保持部20に温調媒体を通流する機構やヒーターを用いることができる。
【0017】
基板保持部20は、支軸26を介して処理容器10の下方に設けられた駆動装置25に接続されている。支軸26は駆動装置25から処理容器10の底壁を貫通して延び、その先端が基板保持部20の底面中央に接続されている。駆動装置25は、支軸26を介して基板保持部20を回転および昇降するように構成されている。支軸26と処理容器10の底壁との間は、封止部材28により封止されている。封止部材28を設けることにより、処理容器10内を真空状態に保ったまま支軸26が回転および昇降動作することが可能となる。封止部材28として、例えば磁性流体シールを挙げることができる。
【0018】
カソードユニット30は、ターゲット31を有し、処理容器10の蓋体10bの傾斜面に設けられる。
図2に示すように、本例では、4つのカソードユニット30が同じ高さ位置に等間隔で設けられている。カソードユニットの数はこれに限らず1個以上の任意の個数であってよい。カソードユニット30の詳細については後で詳細に説明する。
【0019】
ガス供給部40は、ガス供給源41と、ガス供給源41から延びるガス供給配管42と、ガス供給配管42に設けられたマスフローコントローラのような流量制御器43と、ガス導入部材44とを有している。ガス供給源41からは、処理容器10内において励起されるプラズマ生成ガスとして不活性ガス、例えば、Ar、Ne、Kr等の希ガス(
図1はArガスの例を示す)が、ガス供給配管42およびガス導入部材44を介して処理容器10内に供給される。処理容器10内に供給されたガスは、ターゲット31に電圧が印加されることにより励起される。
【0020】
シャッター50は、成膜に使用していないターゲット31を遮蔽する機能を有する。シャッター50は処理容器10の蓋部10bに沿った円錐台状をなし4つのターゲット31の投影領域をカバーする大きさを有し、ターゲット31よりも若干大きいサイズの開口部51が形成されている。そして、成膜に使用されるターゲット31に開口部51が対応し、他のターゲット31はシャッター50により遮蔽される。シャッター50は、処理容器10の天井部の中心に設けられた回転軸52を介して回転自在に取り付けられている。回転軸52は処理容器10の上方に設けられた回転機構53に接続されており、シャッター50は回転機構53により回転される。
【0021】
制御部60は、コンピュータからなり、成膜装置1の各構成部を制御するCPUからなる主制御部を有する。また、その他に、キーボードやマウス等の入力装置、出力装置、表示装置、記憶装置を有する。制御部60の主制御部は、記憶装置に処理レシピが記憶された記憶媒体をセットすることにより、記憶媒体から呼び出された処理レシピに基づいて成膜装置1に所定の動作を実行させる。
【0022】
<カソードユニット>
図3はカソードユニットを示す断面図、
図4はその平面図である。
図3に示すように、カソードユニット30は、ターゲット31と、ターゲット31を保持しターゲット31を冷却するターゲット冷却部32と、ターゲット31に電力を供給する電源33と、マグネットアッセンブリ34とを有する。
【0023】
ターゲット31は、堆積しようとする膜を構成する金属、合金、または化合物からなり、平面形状が矩形状をなす。ターゲット31を構成する材料は、成膜しようとする膜に応じて適宜選択される。ターゲット31を構成する材料として、コバルト(Co)よりも熱伝導率が低い低熱伝導性材料、例えばチタン(Ti)やセラミックス(アルミナ等)を用いてもよい。4つのターゲット31は異なる材料で構成されていてもよいし、同じ材料で構成されていてもよい。ターゲット31に電圧が印加されることにより、スパッタ粒子が放出される。成膜の際には、1または2以上のターゲット31に電圧を印加してスパッタ粒子を放出させることができる。
【0024】
ターゲット冷却部32は、処理容器10の蓋体10bの傾斜面に形成された穴部10cの内側に絶縁性部材35を介して取り付けられ、ターゲット31の裏面側に設けられている。ターゲット冷却部32は、ベース板61と、冷却板62とを有し、ターゲット31に対応した矩形状をなす。冷却板32とターゲット31とは接合されている。これらの接合には、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、または銀(Ag)、またはこれらの合金(In-Sn等)で構成された接合材36を用いることができる。これらは比較的融点が低く、ターゲット31の取り外しが容易である。これらの接合には拡散接合を用いてもよい。ターゲット31の外周にはフランジ部が形成され、そのフランジ部と冷却板62とは、クランプリング37により固定されている。
【0025】
ベース板61は金属製であり、冷却板62を支持するように設けられる。ベース板61を構成する金属は特に限定されないが、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ステンレス鋼等を用いることができる。
【0026】
冷却板62は金属製であり、内部に冷却媒体通流空間63を有する。冷却板32を構成する金属としては、ベース板61と同様、Al、Cu、Mo、ステンレス鋼等を用いることができる。冷却板32の材料としては、熱伝導性の高いCuが好適である。冷却板62はベース板61と一体であってもよい。
【0027】
冷却板62は、冷却媒体通流空間63を厚さ方向に規定するベース板61側の第1の壁部62aおよびターゲット31側の第2の壁部62bを有している。冷却媒体としては水(冷却水)を用いることができる。冷却板62の一方の長辺の中央には冷却媒体導入口63aが設けられ、冷却板62の両短辺の他方の長辺側には冷却媒体排出口63bが設けられている。したがって、冷却媒体は、冷却媒体導入口63aから冷却媒体通流空間63に導入され、後述する流路に沿って流れた後、冷却媒体排出口63bから排出される。
【0028】
冷却媒体は、気体を巻き込まずに整流状態で冷却媒体通流空間63を流路に沿って通流する必要がある。そのために、冷却板62の長辺方向が水平であり、短辺方向が、冷却媒体導入口63aから冷却媒体排出口63bに向けて上昇するように傾斜している。短辺方向が、冷却媒体導入口63aが下になるように垂直であってもよい。ターゲット31も冷却板62と同様の向きに配置することができる。
【0029】
冷却媒体通流空間63は、短辺方向に延びる、第1の仕切り板64および第2の仕切り板65で複数に仕切られており、これにより流路が形成されている。第1の仕切り板64は、冷却媒体の通流方向が屈曲する流路を形成するように設けられ、第2の仕切り板65は、冷却媒体が同じ向きに並列に流れる流路を形成するように設けられている(
図4参照)。
【0030】
第1の仕切り板64は、冷却板62の第1の壁部62aおよび第2の壁部62bの両方に結合されており、第2の仕切り板65は、第1の壁部62aのみに結合されている。冷却板62は、例えば、第1の壁部62aから第1および第2の仕切り板64および65が延びる本体部を準備し、第2の壁部62bとなる板材を本体部の周囲および第1の仕切り板64に接合するように設けることにより製造することができる。なお、第2の仕切り板65は、第2の壁部62bのみに結合されていてもよい。
【0031】
冷却媒体通流空間63は、冷却板62中央に存在する第1領域631と、その両側の第2領域632aおよび632bと、されにその両側の第3領域633aおよび633bとを有する。各領域の間は、第1の仕切り板64により仕切られている。
【0032】
第1領域631は、冷却媒体導入口63aから導入された冷却媒体を他方の長辺側に導く冷却板62中央の広い領域であり、その中にその領域を6分割して流路を形成するように短辺方向に沿って5つの第2の仕切り板65が配置されている。第1領域631の5つの第2の仕切り板65は、冷却板62の長辺側壁部には接しておらず、一方の長辺側の冷却媒体導入口63aから冷却媒体通流空間63に導入された冷却媒体は、6分割されて形成された流路を通って他方の長辺側壁部に至る。他方の長辺側壁部の中央には振り分け板66が設けられており、これにより冷却媒体が両側に振り分けられ、長辺方向に沿った流路を流れて両側の第2領域632aおよび632bに至る。
【0033】
第1領域631と第2領域632aおよび632bの間の第1の仕切り板64は、冷却媒体導入口63a側の一方の長辺側壁部から短辺方向に延びるように設けられている。
【0034】
第2領域632aおよび632bは、第1領域631から第1の仕切り板64により通流方向が屈曲された冷却媒体を他方の長辺側から一方の長辺側へ向かう方向に通流させる。第2領域632aおよび632bの中には、これら領域を2分割して流路を形成するように短辺方向に沿って1つの第2の仕切り板65が配置されている。
【0035】
第2領域632aおよび632bと第3領域633aおよび633bの間の第1の仕切り板64は、冷却媒体導入口63aと反対側の他方の長辺側壁部から短辺方向に突出するように設けられている。
【0036】
第3領域633aおよび633bは、第2領域632aおよび632bから第1の仕切り板64により通流方向が屈曲された冷却媒体を一方の長辺側から他方の長辺側へ向かう方向に通流させる。第3領域633aおよび633bの中には、それぞれの領域を3分割して流路を形成するように短辺方向に沿って2つの第2の仕切り板65が配置されている。
【0037】
第3領域633aおよび633bには冷却媒体排出口63bが接続されており、冷却媒体は第3領域633aおよび633bの流路を通流した後、冷却媒体排出口63bから排出される。
【0038】
電源33は、冷却板62を介してターゲット31に給電するように構成されており、冷却板62がターゲット電極として機能する。電源33は直流電源であっても、交流電源であってもよい。ターゲット31が導電性材料の場合は電源33として直流電源を用い、冷却板62に負の直流電圧が印加される。ターゲット31が絶縁材料の場合は電源33として交流電源が用いられる。
【0039】
マグネットアッセンブリ34は、ターゲット冷却部32のターゲット31とは反対側、すなわち、ベース板61側に設けられている。マグネットアッセンブリ34は、2つのマグネット71および72と、マグネット駆動部73とを有している。マグネット71および72は、ターゲット31に漏洩磁場を与え、マグネトロンスパッタを行うためのものであり、その長手方向がターゲット31の短辺方向に一致するように構成されている。マグネット71および72は、ターゲット31の長辺方向に揺動可能に設けられており、マグネット駆動部73により駆動される。2つのマグネット71および72は間隔をおいて配置されており、その間隔を保ったまま揺動されるようになっている。具体的には、マグネット71は実線で示すターゲット31の一方の端部(図面左側端部)と破線で示す中央付近の位置との間で揺動し、マグネット72は実線で示すターゲットの中央付近の位置と破線で示す他方の端部(図面右側端部)との間で揺動する。
【0040】
スパッタ成膜の際に、マグネット71および72を揺動させることにより漏洩磁場の均一化を図っている。しかし、マグネット71および72を揺動させてもマグネット71および72の揺動の際の方向転換位置付近ではマグネットの移動速度が低下するため、停止位置付近で局部的に漏洩磁場が強くなる。具体的には、
図5に示すように、ターゲット31の、マグネット71および72の中央側のマグネット停止位置81と端部側のマグネット停止位置82の付近に対応する部分において漏洩磁場が局部的に強くなる。そのため、スパッタ成膜の際に、その部分を含む領域でプラズマによる加熱がより強くなり相対的に高温の高温領域となる。そして、その高温領域でエロージョンが進行する。特に、マグネット71および72の双方の中央側のマグネット停止位置81が近接し、停止位置81におけるマグネット71および72からの漏洩磁界がターゲット31でオーバーラップするため、その部分でターゲット31がより高温となり、よりエロージョンが進行する。以降、ターゲット31の2つの中央側のマグネット停止位置81に対応する領域を第1の高温領域91とし、端部のマグネット停止位置82の周囲の高温領域を第2の高温領域92とする。
【0041】
本実施形態では、相対的に高温となる第1の高温領域91および第2の高温領域92が存在することを考慮して、上述した冷却板62の冷却媒体通流空間63の第1の仕切り板64および第2の仕切り板65の位置を設定している。すなわち、
図5に示すように、冷却板62の第1および第2の高温部分91および92に対応する部分は、第1の壁部62aおよび第2の壁部62bに結合された第1の仕切り板64が位置せず、第2の仕切り板65のみが位置するようにしている(
図5では第1の仕切り板64のみ図示)。具体的には、中央側の第1の高温領域91に冷却媒体通流空間63の第1領域631を対応させ、端部側の第2の高温領域92に冷却媒体通流空間63の第3領域633aおよび633bを対応させている。
【0042】
このように、冷却媒体通流空間63におけるターゲット31の高温領域に対応する部分に、第1の壁部62aおよび第2の壁部62bに拘束される第1の仕切り板64が存在せず、一方の壁部のみに結合された第2の仕切り板65のみ存在している。このため、冷却板62におけるターゲット31の高温部分に対応する部分はフレキシブルであり変形が許容されるので、ターゲット31の熱膨張による剥がれが抑制される。
【0043】
一方、相対的に低温となる冷却板32の停止位置の間の部分には、第1の仕切り板64が位置し、冷却媒体の通流方向の屈曲を許容するとともに、冷却板32の剛性を保持するようになっている。
【0044】
なお、本実施形態において、冷却板62の冷却媒体通流空間63における第2の仕切り板65の数は、冷却媒体が整流状態で通流可能である限り自由である。例えば、
図6に示すように、第2の仕切り板65を、第1領域631に3個、第3領域633aおよび633bにそれぞれ1個設け、第2領域632aおよび632bには設けないようにしてもよい。
【0045】
また、冷却板62の一方の長辺の中央には冷却媒体導入口を設け、冷却板62の両短辺の他方の長辺側に冷却媒体排出口を設けた冷却媒体通流空間の流路構成は、
図4の例に限らず、ターゲット31の高温領域の位置および数に対応して自由に設定することができる。
【0046】
<成膜装置の動作>
次に、以上のように構成される成膜装置の動作について説明する。
まず、ゲートバルブ14を開け、処理容器10に隣接する搬送室(図示せず)から、搬送装置(図示せず)により基板Wを処理容器10内に搬入し、基板保持部20に保持させる。
【0047】
そして、処理容器10内を真空引きするとともに、処理容器10内を予め定められた圧力に制御する。次いで、あらかじめシャッター50により、使用するターゲット31を遮蔽し放電させてターゲットの表面を清浄化させる。その後、シャッター50により使用しないターゲット31を遮蔽し、使用するターゲット31に開口部51を対応させた状態で成膜処理を開始する。
【0048】
ガス供給部40から処理容器10内へ不活性ガス、例えばArガスを導入する。次いで、電源33からターゲット冷却部32を介してターゲット31に電圧を印加してArガスを励起させる。このときマグネット71および72の漏洩磁場がターゲットの周囲に及ぼされることにより、プラズマがターゲット31の周囲に集中してマグネトロンプラズマが形成される。この状態でプラズマ中の正イオンがターゲット31に衝突し、ターゲット31からその構成元素がスパッタ粒子として放出され、マグネトロンスパッタによりスパッタ粒子が基板W上に堆積される。
【0049】
このようなマグネトロンスパッタ成膜においては、プラズマによりターゲット31の温度が高温となる。このため、ターゲット31の裏面側に冷却媒体通流空間63が形成された冷却板62を設け、ターゲット31を冷却板62に接合し、冷却媒体通流空間63の流路に冷却媒体を通流させてターゲット31を冷却する。
【0050】
しかし、ターゲット31を冷却媒体により冷却するのみでは、必ずしも十分な冷却が行われず、ターゲット31が局部的に加熱されることによる熱変形により冷却板62が剥がれる場合がある。
【0051】
そのため、本実施形態では、マグネトロンプラズマを生成するためにマグネット71,72からターゲット31に漏洩磁場を印加する際に、極力均一に漏洩磁場を印加する観点から、マグネット71および72を揺動している。
【0052】
しかし、上述したように、ターゲット31では、マグネット71および72が停止位置(中央側のマグネット停止位置81と端部側のマグネット停止位置82)付近において局部的に漏洩磁場が強くなる。このため、ターゲット31の、その部分に対応する部分で、プラズマによる加熱がより強くなり相対的に高温の第1および第2の高温領域91および92が形成され、エロージョンも進行する。特に、マグネット71および72の双方の中央側のマグネット停止位置81が近接し、停止位置81におけるマグネット71および72からの漏洩磁界がターゲット31でオーバーラップするため、その部分に対応する第1の高温領域91でターゲット31がより高温となり、よりエロージョンが進行する。
【0053】
このようにターゲット31が局部的に加熱されて高温となることにより、その部分において熱膨張により変形が生じ、ターゲット冷却部32からの剥がれが生じやすくなる。特に、ターゲット31がCoよりも熱伝導理が低い低熱膨張材料、例えばTiやセラミックス(アルミナ等)で形成されている場合は熱移動が生じ難く、そのような傾向がより顕著となる。
【0054】
また、ターゲット31の局部的に加熱された部分でエロージョンが進行することにより、その部分が薄くなり、ますます変形が生じやすくなる。ターゲット31がターゲット冷却部32から剥がれると、ターゲット31がターゲット冷却部32によって冷却され難くなり、ターゲット31が溶融してしまうおそれがある。
【0055】
そこで、本実施形態では、第1の高温領域91および第2の高温領域92に対応する冷却媒体通流空間63の部分を、第1の壁部62aおよび第2の壁部62bに結合された第1の仕切り板64が存在せず、一方の壁部のみに結合された第2の仕切り板65のみが存在するようにしている。これにより、冷却板62のターゲット31の高温部分に対応する部分はフレキシブルであり、ターゲット31の熱膨張による変形に対応して変形することが許容される。このため、ターゲット31が熱膨張による変形によりターゲット冷却部32(冷却板62)から剥がれることが抑制され、ターゲット31が溶融することが防止される。一方、第2の仕切り板65だけでは、流路の屈曲部で冷却媒体が飛び越えて気体を巻き込むおそれがあり、また冷却板62の剛性も保てない。このため、第1の壁部62aおよび第2の壁部62bに結合された第1の仕切り板64が必要である。この第1の仕切り板64を、相対的に低温となる停止位置の間の部分に対応する部分に設けたので、第1の仕切り板64が、ターゲット31の高温部分の熱変形に追従して冷却板62が変形することを妨げることがない。
【0056】
2つの中央側のマグネット停止位置81に対応する第1の高温領域91は、漏洩磁界がオーバーラップするためより高温となり、特に変形が大きくなるが、冷却板62の対応部分はその変形に対応して変形できるようになっている。すなわち、冷却媒体通流空間63のオーバーラップ領域に対応する部分の全体が、第1の仕切り板64が存在しない広い第1領域631となっているため、冷却板62のその部分はターゲット31の大きい変形に追従して大きく変形し得る。
【0057】
なお、本実施形態では、冷却板62の最も高温となる第1の高温領域91に対応する部分のみならず、第2の高温領域92に対応する部分においても、第1の仕切り板64の存在しない変形可能領域としている。しかし、第2の高温領域92のターゲット31の変形が小さければ、第1の高温領域91に対応する部分のみを変形可能領域としてもよい。
【0058】
<他の実施形態>
次に、他の実施形態について説明する。
マグネットアッセンブリ34のマグネットの数は2つに限らず、1つでも3つ以上でもよい。
図7はマグネットを3つ設けた例であり、
図8はマグネットを4つ設けた例である。
図7および
図8は、ターゲット31の高温領域(エロージョン領域)とマグネットの配置との関係を示す。マグネットの配置の上段はマグネットの初期配置を示し、下段はマグネットが初期位置から最大揺動した際の配置を示す。
【0059】
マグネットが3つの場合、例えば、
図7に示すように、3つのマグネット101,102,103がターゲット31の長辺方向に揺動する。このとき、各マグネットの停止位置が2箇所で近接し、近接した停止位置の各マグネットから発生する漏洩磁界がターゲット31でオーバーラップし、2つのオーバーラップ領域が形成される。このため、ターゲット31上の2つのオーバーラップ領域が高温領域111となる。
【0060】
マグネットが4つの場合、例えば、
図8に示すように、4つのマグネット121,122,123,124がターゲット31の長辺方向に揺動する。このとき、各マグネットの停止位置がオーバーラップし、オーバーラップした停止位置の各マグネットから発生する漏洩磁界もターゲット31でオーバーラップし、3つのオーバーラップ領域が形成される。このため、ターゲット31上の3つのオーバーラップ領域が高温領域131となる。
【0061】
図7および
図8の例の場合も、ターゲット31の高温領域に対応して、冷却板62の冷却媒体通流空間63に第1の仕切り板64が存在しない領域を形成することにより、ターゲット31の熱変形に応じて冷却板62を変形させることができる。
【0062】
また、冷却板62に形成される冷却媒体通流空間の流路構成も
図4のような構成に限らない。例えば、
図9に示すように、冷却板62の一方の長辺側端部から冷却媒体を導入して他方の長辺側端部から冷却媒体を排出するような流路構成を有する冷却媒体通流空間63´であってもよい。
図9の冷却媒体通流空間63´は、一方の長辺側端部に冷却媒体導入口63a´が存在し、他方の長辺側端部に冷却媒体排出口63b´が存在する。冷却媒体通流空間63´は、短辺方向に延びる複数の第1の仕切り板64で仕切られて流路が形成されている。第1の仕切り板64は、上述したように、冷却板62の第1の壁部62aおよび第2の壁部62bの両方に結合されている。複数の第1の仕切り板64は、一方の長辺側壁部から短辺方向に延びるものと、他方の長辺側壁部から短辺方向に延びるものとが交互に設けられており、第1の仕切り板64により通流方向が屈曲する流路が形成されるようになっている。
【0063】
図9において、冷却媒体通流空間63´は、
図8の4つのマグネットを用いてターゲット31に3箇所の高温領域131が形成される場合に対応可能なものを例示している。すなわち、冷却媒体通流空間63´の3箇所の高温領域131に対応する流路領域631´に第1の仕切り板64が存在しないように、第1の仕切り板64の間隔が調整されている。そして、流路領域631´には、短辺方向に延びる第2の仕切り板65が設けられて2つの流路が形成されている。上述したように、第2の仕切り板65は、冷却板62の第1の壁部62aのみに結合され、長辺側壁部に接続されずに短辺方向に延び、冷却媒体を整流状態で導く機能を有している。
【0064】
図9に示す冷却媒体通流空間63´が形成された冷却板62によっても、ターゲット31の高温領域に対応して、第1の仕切り板64が存在しない領域を形成することができ、ターゲット31の熱変形に応じて冷却板62を変形させることができる。
【0065】
なお、
図9に示す冷却媒体通流空間63´の場合、冷却板62の長辺方向が水平のみならず、冷却板62の長辺方向の冷却媒体排出口63b´側の端部を高くし、冷却媒体導入口63a´側の端部を低くして長辺方向に傾斜させることも可能である。このような配置でも冷却媒体に気体が巻き込まれ難い。短辺方向の傾斜は任意である。この場合は、ターゲット31も同様に長辺方向が水平のみならず、同様に傾斜して設けることができる。このように一方の長辺側端部に冷却媒体導入口を設け、他方の長辺側端部に冷却媒体排出口を設けた冷却媒体通流空間の流路は、
図9の例に限らず、ターゲット31の高温領域の位置および数に対応して自由に設定することができる。
【0066】
<他の適用>
以上、実施形態について説明したが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0067】
例えば、上記実施形態では、マグネットを用いたマグネトロンスパッタについて示したが、ターゲットが局部的に高温になる場合であれば、これに限らない。また、冷却媒体通流空間の流路の設計も、ターゲットの高温領域の位置や数によって種々変形可能である。
【符号の説明】
【0068】
1;成膜装置
10;処理容器
10a;容器本体
10b;蓋体
20;基板保持部
30;カソードユニット
31;ターゲット
32;ターゲット冷却部
33;電源
34;マグネットアッセンブリ
36;接合材
40;ガス供給部
60;制御部
61;ベース板
62;冷却板
63,63´;冷却媒体通流空間
64;第1の仕切り板
65;第2の仕切り板
71,72,101,102,103,121,122,123,124:マグネット
73;マグネット駆動部
81,82;マグネット停止位置
91,92,111,131;高温領域