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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電力供給方法および電力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20240805BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240805BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240805BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J3/38 110
H02J3/32
H02J13/00 301A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020213398
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099566
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】天津 孝之
(72)【発明者】
【氏名】増田 浩
(72)【発明者】
【氏名】馬場 博幸
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-135976(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132371(WO,A1)
【文献】特開2011-193577(JP,A)
【文献】特開2006-340461(JP,A)
【文献】特開2017-134494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家が所有する分散型エネルギーリソースをリソースアグリゲーターへ供給する電力供給方法であって、
前記需要家の前記分散型エネルギーリソースの供出量、および、100%保証ではない条件を設定することが可能な実行見込を事前に受け付け、
前記供出量および前記実行見込に基づいて前記リソースアグリゲーターによって前記分散型エネルギーリソースの機器を制御する、
電力供給方法。
【請求項2】
前記実行見込として、パーセントあるいは回数のうちの一方または両方を用いた条件を設定することが可能である、
請求項1に記載の電力供給方法。
【請求項3】
前記実行見込として、時間と内容とが対応する条件を設定することが可能である、
請求項1または請求項2に記載の電力供給方法。
【請求項4】
前記実行見込として、前記需要家のブレーカー容量を用いた条件を設定することが可能である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力供給方法。
【請求項5】
前記需要家のスマートメーターのBルートで前記ブレーカー容量を取得する、
請求項4に記載の電力供給方法。
【請求項6】
需要家が所有する分散型エネルギーリソースをリソースアグリゲーターへ供給する電力システムであって、
前記リソースアグリゲーターの第1装置を備え、
前記第1装置は、前記需要家の前記分散型エネルギーリソースの供出量、および、100%保証ではない条件を設定することが可能な実行見込を記憶し、
前記第1装置は、前記供出量および前記実行見込に基づいて前記分散型エネルギーリソースの機器を制御する、
電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給方法および電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザー(需要家)が所有する分散型エネルギーリソース(以下、DER(Distributed Energy Resources)とも言う。)をリソースアグリゲーター(以下、RA(Resource Aggregator)とも言う。)へ供給することが行われている。
RAは、ユーザーが所有するDERの一部を制御する権利を収集および集約し、一つの塊として電力エネルギー(例えば、kW/ΔkW/kWh)の価値を提供する。
【0003】
例えば、RAは、電力需要ピーク時の需要制限を行うために、RAからの指示があった場合にどれくらいの需要制限が可能であるかという情報を各ユーザーから受け付け、当該情報に基づいて、電力需要ピーク時に各ユーザーに対して制御指示を出す。
【0004】
従来では、ユーザーのDERをRA経由で活用する場合、ユーザーは自身が所有するDER制御として確約できるDER供出量(電力/電力量/制限事項)をRAに対して事前申告する必要があった。
ここで、制限事項の具体例は、蓄電池のSOC(State Of Charge)の30%まで放電するという事項、あるいは、蓄電池のSOCの90%まで充電を許可するという事項などがある。
事前に申告された事項は確約された事項であるため、RAからの要求があった場合にはユーザーは当該要求に必ず従う必要があった。
【0005】
特許文献1には、需要家へ設備機器の稼働状態の変更を要請することにより電力系統の負荷集中の緩和、および、分散電源による余剰電力の活用を図ることが記載されている(特許文献1参照。)。そして、特許文献1に記載されたシステムでは、需要調整サーバー内に、エネルギー利用量の調整要請に対する需要家の協力意識の高さを数値化した情報である協力レベルを算出する協力レベル判定機能を設けること、需要調整サーバーの運営者は、協力レベルの大きさに基づいて、エネルギー利用量の調整要請に対して確実に応えてくれる需要家または需要家機器を見極め、これらに限定して要請を配信することが記載されている(特許文献1の要約を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-151992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、DERをユーザーがユーザー自身のために利用する制御と、RAが電力系統目線で制御する制御とでは、利益相反するところも多い。
例えば、ユーザーのDER利用パターンも毎日同じになるとは限らず、RAに対しての事前申告が100%達成できそうにない場合、RAにDER制御を供出すること自体をユーザーがあきらめてしまう原因となる。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、自由度をもってDERをRAに供出することができる電力供給方法および電力システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一構成例として、需要家が所有する分散型エネルギーリソースをリソースアグリゲーターへ供給する電力供給方法であって、前記需要家の前記分散型エネルギーリソースの供出量、および、100%保証ではない条件を設定することが可能な実行見込を事前に受け付け、前記供出量および前記実行見込に基づいて前記リソースアグリゲーターによって前記分散型エネルギーリソースの機器を制御する、電力供給方法である。
【0010】
一構成例として、需要家が所有する分散型エネルギーリソースをリソースアグリゲーターへ供給する電力システムであって、前記リソースアグリゲーターの第1装置を備え、前記第1装置は、前記需要家の前記分散型エネルギーリソースの供出量、および、100%保証ではない条件を設定することが可能な実行見込を記憶し、前記第1装置は、前記供出量および前記実行見込に基づいて前記分散型エネルギーリソースの機器を制御する、電力システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電力供給方法および電力システムによれば、自由度をもってDERをRAに供出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る電力システムにおいて行われる概略的な動作の例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るRAサーバーが収集するDER供出に関する情報の例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る電力システムの概略的な構成を示す図である。
図5】本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る「家のブレーカーが落ちない範囲で制御指示に従う」実行見込が用いられる場合の情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(第1実施形態)
[電力システム]
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る電力システム1の概略的な構成を示す図である。
本実施形態に係る電力システム1では、ユーザー(需要家)が所有する分散型エネルギーリソース(DER14)をリソースアグリゲーター(RA)へ供給することが行われる。
【0015】
電力システム1は、RAサーバー11と、機器サーバー12と、コントローラー13と、DER14と、を備える。
DER14は、1以上の機器を含む。本実施形態では、DER14は、蓄電池31と、HP(Heat Pump)給湯機32と、EV(Electric Vehicle)33と、エアコン(エア・コンディショナーの略)34と、を含む。なお、DER14は、任意の機器を含んでもよく、例えば、太陽光発電機を含んでもよい。
【0016】
RAサーバー11と機器サーバー12とは、通信可能に接続されている。
機器サーバー12とコントローラー13とは、通信可能に接続されている。
コントローラー13とDER14の個々の機器とは、通信可能に接続されている。
なお、これらの通信としては、それぞれ、有線通信が用いられてもよく、あるいは、無線通信が用いられてもよい。
【0017】
ここで、RAサーバー11は、例えば、RAの施設に備えられる。
また、例えば、機器サーバー12と、コントローラー13と、DER14は、需要家の施設に備えられる。
なお、RAサーバー11は、RAの施設に対して外部に備えられてもよい。
また、機器サーバー12およびコントローラー13は、それぞれ、需要家の施設に対して外部に備えられてもよい。
【0018】
本実施形態では、RAサーバー11とDER14との間に機器サーバー12およびコントローラー13を備える場合を示すが、他の構成例として、機器サーバー12およびコントローラー13のうちの一方または両方が備えられなくてもよい。
【0019】
なお、一般に、RAサーバー11の配下に、1つまたは複数の会社のそれぞれごとの機器サーバー(機器サーバー12と同様なもの)が設けられる。そして、それぞれの機器サーバーごとに、1つまたは複数のコントローラー(コントローラー13と同様なもの)が設けられる。
【0020】
[DER供出量および実行見込の登録]
ユーザー(需要家)は、自身が所有するDER14の供出量(電力/電力量/制限事項)に加えて、実行見込も、RAに対して事前申告する。
ここで、本実施形態では、実行見込は、ユーザーが所有するDER14がRAから制御指示を受けたときに実際に実行する条件を表し、例えば、実際に実行する割合などを示す指標であってもよい。
本実施形態では、実行見込は、100%の保証ではなくてもよいが、100%の保証を含んでもよい。この場合、従来では、いわば、実行見込が必ず100%保証であったと解釈される。
【0021】
実行見込の具体例を示す。
(実行見込の例1)「10回の制御指示のうち、5回は必ず実行する」という実行見込が用いられてもよい。
(実行見込の例2)「過去10回の制御の指示のうち実行したことが3回を下回らないように維持する」という実行見込が用いられてもよい。
(実行見込の例3)「連続3回実行しないということがないようにする」という実行見込が用いられてもよい。
(実行見込の例4)「ユーザーによって行われる制御を優先する」という実行見込が用いられてもよい。ここで、ユーザーによって行われる制御を優先する場合、RAからの要求がユーザーの制御と異なるときには、ユーザーの制御が優先される。
(実行見込の例5)「家のブレーカーが落ちない範囲で制御指示に従う」という実行見込が用いられてもよい。
【0022】
ここで、(実行見込の例1)~(実行見込の例3)のように、後で定量的な検証ができる指定の方が、ユーザーへのインセンティブ付与をし易い点で、望ましい。
ただし、(実行見込の例4)~(実行見込の例5)のような指定でも問題ない。
このように、実行見込は、RAとユーザーとの契約で、任意に定められればよい。
【0023】
また、実行見込は、時間帯と内容とを対応させた組み合わせで指定されてもよい。
(実行見込の例6)「13時~17時には、連続3回実行しないということがないようにする」という実行見込が用いられてもよい。当該実行見込は、(実行見込の例3)と時間帯との組み合わせとして捉えることもできる。
(実行見込の例7)「13時~17時以外には、必ず実行する」という実行見込が用いられてもよい。当該実行見込は、「必ず実行する」という内容と時間帯との組み合わせとして捉えることもできる。
【0024】
実行見込は、任意の手法によって、RAに登録されてもよい。本実施形態では、RAサーバー11の記憶部に、ユーザーのDER供出量および実行見込を記憶する。
実行見込は、例えば、RAサーバー11が随時オンライン通信を行うことで取得して登録してもよく、あるいは、契約時などにオフラインの設定によりRAサーバー11により取得されて登録されてもよい。
また、DER供出量および実行見込は、初期的に設定された後に更新されてもよい。
【0025】
実行見込の登録の具体例を示す。
(実行見込の登録の例1)所定の機器に対してユーザーが実行見込の設定を行うと、当該機器が当該設定の内容をRAサーバー11に送信する。これにより、RAサーバー11は、実行見込の設定内容を取得する。
当該機器は、任意の機器であってもよく、例えば、DER14に含まれる蓄電池31、HP給湯機32、EV33、エアコン34のうちの1以上であってもよい。この場合、当該機器とRAサーバー11とは、コントローラー13および機器サーバー12を介して、通信を行う。
【0026】
(実行見込の登録の例2)所定の機器に対してユーザーが何らかの設定を行うと、当該設定を受けた装置(ここでは、当該機器)が当該設定に応じた実行見込の設定内容を計算して当該設定内容をRAサーバー11に送信する。これにより、RAサーバー11は、実行見込の設定内容を取得する。
当該機器は、(実行見込の登録の例1)の場合と同様である。
ここで、所定の機器に対してユーザーが行う設定としては、例えば、宅内制御優先設定などであってもよい。宅内制御優先設定の内容は、例えば、ユーザーによる宅内制御を優先させるような任意の制御内容であってもよい。
【0027】
(実行見込の登録の例3)コントローラー13に対してユーザーが所定の設定を行うと、コントローラー13が当該設定に応じた実行見込の設定内容をRAサーバー11に送信する。これにより、RAサーバー11は、実行見込の設定内容を取得する。
ここで、コントローラー13に対してユーザーが行う設定は、例えば、(実行見込の登録の例1)または(実行見込の登録の例2)の設定であってもよい。(実行見込の登録の例2)の設定の場合、コントローラー13がユーザーからの設定に応じた実行見込の設定内容を計算する。
コントローラー13とRAサーバー11とは、機器サーバー12を介して、通信を行う。
【0028】
(実行見込の登録の例4)機器サーバー12に対してユーザーが所定の設定を行うと、機器サーバー12が当該設定に応じた実行見込の設定内容をRAサーバー11に送信する。これにより、RAサーバー11は、実行見込の設定内容を取得する。
ここで、機器サーバー12に対してユーザーが行う設定は、例えば、(実行見込の登録の例1)または(実行見込の登録の例2)の設定であってもよい。(実行見込の登録の例2)の設定の場合、機器サーバー12がユーザーからの設定に応じた実行見込の設定内容を計算する。
【0029】
(実行見込の登録の例5)RAサーバー11に対して、直接、ユーザーが所定の設定を行うと、RAサーバー11が当該設定に応じた実行見込の設定内容を取得する。
ここで、RAサーバー11に対してユーザーが行う設定は、例えば、(実行見込の登録の例1)または(実行見込の登録の例2)の設定であってもよい。(実行見込の登録の例2)の設定の場合、RAサーバー11がユーザーからの設定に応じた実行見込の設定内容を計算する。
【0030】
(実行見込の登録の例6)
スマートフォンなどの所定のモバイル機器に対してユーザーが所定の設定を行うと、当該モバイル機器が当該設定に応じた実行見込の設定内容を、直接または間接に、RAサーバー11に送信する。これにより、RAサーバー11は、実行見込の設定内容を取得する。
ここで、当該モバイル機器に対してユーザーが行う設定は、例えば、(実行見込の登録の例1)または(実行見込の登録の例2)の設定であってもよい。(実行見込の登録の例2)の設定の場合、当該モバイル機器がユーザーからの設定に応じた実行見込の設定内容を計算する。
【0031】
(実行見込の登録の例7)契約時にユーザーが申請した実行見込の設定内容をRAサーバー11が保持する。この場合、RAサーバー11において、実行見込の設定内容は、動的には変更されない。
この場合、例えば、ユーザーが申請した実行見込の設定内容を、RAの担当者がRAサーバー11に登録する。
【0032】
ここで、実行見込は、例えば、あらかじめ用意された所定のメニューから、ユーザーによって選択されてもよい。例えば、画面に表示されたメニューにおいて複数のプランが用意されていて、ユーザーが1つまたは2つ以上のプランを選択すると、選択されたプランに対応する実行見込が登録されてもよい。この場合、あらかじめ、それぞれのプランと実行見込との対応が設定される。
このような画面を用いた設定は、任意の装置で行われてもよい。
【0033】
また、実行見込は、例えば、あらかじめ用意されたボタンなどの所定の操作部をユーザーが操作すると、操作された操作部に対応する実行見込が登録されてもよい。この場合、あらかじめ、操作部と実行見込との対応が設定される。
当該操作部は、例えば、DER14の機器に設けられてもよく、あるいは、他の装置に設けられてもよい。
【0034】
[電力システムにおける概略的な動作]
図2は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る電力システム1において行われる概略的な動作の例を示す図である。
図2の例では、RAサーバー11と、DER側111と、を示してある。
DER側111は、DER14を含み、さらに、RAサーバー11とDER14との間に存在する装置も含む。図1の例では、当該装置は、機器サーバー12およびコントローラー13である。つまり、RAサーバー11とDER14とのやり取りが行われれば、これらの間に存在する装置の動作は任意に設計されてもよい。
【0035】
(処理T1)
RAサーバー11では、DER14のユーザーによって指定されたDER供出量および実行見込が登録される。
その後、RAサーバー11では、登録された内容に基づいて、制御が行われる。
【0036】
(処理T2)
RAサーバー11において、DER14に対する制御指示が発生すると、次の(処理T21)を実行する。
ここで、当該制御指示は、任意の制御に関する指示であってもよく、例えば、DER14に含まれる特定の機器の電源をオンにする指示またはオフにする指示などであってもよい。
(処理T21)
RAサーバー11では、DER14に対して制御指示を送信する。
【0037】
(処理T11)
DER14では、RAサーバー11から送信された制御指示に応じた制御を行う。
なお、当該制御は、例えば、DER14によって行われてもよく、あるいは、コントローラー13によって行われてもよい。
(処理T22)
DER14では、このような制御の結果をRAサーバー11に対して送信する。
ここで、このような制御結果は、例えば、RAサーバー11からの制御指示で指示された制御が成功したかまたは失敗したかを示す内容などを含んでもよい。
【0038】
(処理T3)
RAサーバー11では、DER14から送信された制御結果を取得する。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るRAサーバー11が収集するDER供出に関する情報の例を示す図である。
図3では、当該情報をテーブル1011に示してある。
【0040】
テーブル1011は、ユーザー、機器、DER供出量、実行見込、時間帯という欄を含む。
ユーザーの欄は、それぞれのユーザーを識別する情報を含む。図3の例では、ユーザー1、ユーザー2といったように、番号によってそれぞれのユーザーが識別されている。
機器の欄は、それぞれの機器を識別する情報を含む。図3の例では、蓄電池1、HP給湯機1、EV充電器2といったように、名称と番号によってそれぞれの機器が識別されている。
【0041】
DER供出量の欄は、制御内容、電力、電力量、制限事項という欄を含む。
制御内容の欄は、制御の内容を表す情報を含む。図3の例では、充電、放電、沸き上げといったように、名称によってそれぞれの制御内容が表されている。
電力の欄は、使用される電力(推定電力でもよい)を表す情報を含む。図3の例では、6kW、1.6kW、3kWといったように、数値によってそれぞれの電力が表されている。
電力量の欄は、使用される電力量(推定電力量でもよい)を表す情報を含む。図3の例では、24kWh、18kWh、3.2kWh、12kWhといったように、数値によってそれぞれの電力量が表されている。
制限事項の欄は、制限事項の内容を表す情報を含む。図3の例では、SOC100%まで(許容する)、SOC30%まで(許容する)、沸き上げ完了まで(許容する)、EV接続時(には許容する)といったように、それぞれの制限事項の内容が表されている。
【0042】
実行見込の欄は、実行見込の内容を表す情報を含む。図3の例では、10回中5回必ず実行、ブレーカー容量の範囲で実行、連続3回実行拒否はしない、必ず実行、ユーザー制御優先といったように、それぞれの実行見込の内容が表されている。
時間帯の欄は、時間帯を表す情報を含む。図3の例では、13-17時、13-17時以外といったように、数値を用いてそれぞれの時間帯が表されている。
【0043】
ここで、ユーザー1のHP給湯機1については、時間帯ごとに異なる実行見込が設定されている。具体的には、13-17時には連続3回実行拒否はしないという設定がされており、13-17時以外には必ず実行するという設定がされている。
【0044】
[RAにおける処理]
RAは、DER供出量に加えて実行見込を加味して必要なDER制御計画を策定する。
RAサーバー11は、DER制御計画に従い、対象となるDER14に制御信号を送出する。
そして、RAサーバー11は、DER14が動作したかどうかの結果を取得する。RAサーバー11は、取得した動作結果に基づいて、適宜、DER制御計画を微修正する。
RAは、制御量に加えて、実行見込、および、当該実行見込の達成度(例えば、制御結果)を加味して、例えば、インセンティブをユーザーに与える。インセンティブは、多様な任意のものであってもよく、例えば、金銭、ポイント、電気料金等の割引(例えば、料金表による割引)、などであってもよい。
本実施形態では、実行見込の内容によって、インセンティブの内容が設定されてもよい。
【0045】
[ユーザー視点の例]
従来では、ユーザーは、RAに完全に従ってRAが100%優先制御を行うか、または、RAには同意せずにユーザーが100%自由に制御を行うか、のいずれかしか選択することができなかった。
これに対して、本実施形態では、ユーザーは、RAに対して実行見込を登録することで、RAに100%従う必要がない具体的な条件を設定することが可能である。これにより、ユーザーは、自身が保有するDER14を、家庭内での利用状況を考慮した条件付きで、RAに供出することができる。また、ユーザーは、実行見込および当該実行見込の達成度に応じたメリットを得ることができる。
【0046】
[第1実施形態について]
以上のように、本実施形態に係る電力システム1では、ユーザーが所有するDER14をRAへ供給する場合に、ユーザーのDER14の供出量、および、100%保証ではない条件を設定することが可能な実行見込を事前に受け付け、当該供出量および当該実行見込に基づいてRAによってDER14の機器を制御する、電力供給方法が用いられている。
【0047】
このように、本実施形態では、ユーザーは100%保証ではない実行見込を設定することができるため、ユーザーはRAに対してDERを供出し易くなる。これにより、ユーザーは自由度をもってDERをRAに供出することができる。RAから見ると、DERを集め易くなる。
本実施形態では、DERは必ずしも100%の実行を受け付けるとは限らないが、RAは、例えば、十分な量のDERを集めることで、その時々に必要十分な量を確保することが可能である。
また、RAでは、DER供出量および実行見込に応じてユーザーへのインセンティブを変更する、などの工夫が可能となる。
【0048】
本実施形態では、例えば、実行見込として、パーセントあるいは回数のうちの一方または両方を用いた条件を設定することが可能である。
また、本実施形態では、実行見込として、時間と内容とが対応する条件を設定することが可能である。
【0049】
(第2実施形態)
[電力システム]
図4は、本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る電力システム201の概略的な構成を示す図である。
本実施形態では、第1実施形態に係る図1に示される電力システム1と同様な構成部については、同じ参照符号を付して説明し、詳しい説明を省略する。
【0050】
電力システム201は、RAサーバー11と、機器サーバー12と、コントローラー211と、DER14と、スマートメーター231と、を備える。
本実施形態では、スマートメーター231とコントローラー211とが通信可能に接続されている。このような接続のルートは、Bルートとも呼ばれている。なお、本実施形態では、Bルートを用いてスマートメーター231とコントローラー211とが接続されて通信を行う場合を示すが、他の構成例として、スマートメーター231とコントローラー211以外の装置とが接続されて通信を行う構成が用いられてもよい。
【0051】
コントローラー211は、スマートメーター231において保持される情報あるいは計測される情報を取得することが可能である。例えば、スマートメーター231から所定の情報をコントローラー211に出力してもよく、あるいは、コントローラー211がスマートメーター231にアクセスして情報を読み出してもよい。
ここで、コントローラー211によって取得されるスマートメーター231における情報としては、任意の情報であってもよく、例えば、瞬時電力計測値、あるいは、ブレーカー容量などのうちの1以上であってもよい。
【0052】
本実施形態では、コントローラー211は、スマートメーター231における情報(および、必要であれば、他の情報も)に基づいて、DER供出量を可変に決定する。当該情報としては、例えば、瞬時電力計測値およびブレーカー容量が用いられる。
なお、本実施形態では、DER供出量を可変に決定する機能をコントローラー211に備える場合を示したが、他の構成例として、当該機能がコントローラー211と機器サーバー12とに分散されて備えられてもよく、あるいは、当該機能が機器サーバー12に備えられてもよい。
【0053】
ここで、実行見込の具体例として、「家のブレーカーが落ちない範囲で制御指示に従う」という実行見込が用いられる場合について説明する。
本実施形態では、家のブレーカー容量(限界)が6kWであり、対象となるDERの機器がEV普通充電(1.2kW~3kWで可変制御が可能なもの)であり、EV普通充電のSOCは十分に小さいこととする(つまり、十分な充電容量がある状態であるとする)。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る「家のブレーカーが落ちない範囲で制御指示に従う」実行見込が用いられる場合の情報の例を示す図である。
図5では、当該情報をテーブル1111に示してある。
【0055】
テーブル1111は、<A>ブレーカー容量、<B>瞬時電力計測値、<C>家のブレーカーの容量限界までの容量、<D>DER供出量という欄を含む。
本実施形態では、<A>ブレーカー容量および<B>瞬時電力計測値の情報は、スマートメーター231からコントローラー211に送られて取得される。
<C>家のブレーカーの容量限界までの容量は、6kWから瞬時電力計測値を減算した結果に相当する。
【0056】
図5に示される数値の例を示す。
<A>ブレーカー容量は、6kWである。
第1の例では、<B>瞬時電力計測値が0~3kWである場合、<C>家のブレーカーの容量限界までの容量は6~3kWであり、<D>DER供出量は例えば3kWとされる。
第2の例では、<B>瞬時電力計測値が3~4.8kWである場合、<C>家のブレーカーの容量限界までの容量は3~1.2kWであり、<D>DER供出量は例えば3~1.2kW(<C>の値)とされる。この場合、DER供出量は、家のブレーカーの容量限界までの容量に応じて(つまり、瞬時電力計測値に応じて)変化する。
第3の例では、<B>瞬時電力計測値が4.8kWを超える場合、<C>家のブレーカーの容量限界までの容量は1.2~0kWであり、<D>DER供出量は例えば0kWとされる。
【0057】
ここで、第2の例において、<D>DER供出量として連続的な値が用いられる場合を示したが、他の例として、階段状の値(例えば、3kW、2.5kW、2kWなどの値)が用いられてもよい。
この理由は、瞬時電力計測値は常に変化し得るため、家のブレーカーの容量限界までの容量に応じて(つまり、瞬時電力計測値に応じて)DER供出量を変化させると、DER供出量が常に変化し得るためである。このため、例えば、複数の段階のそれぞれの閾値を用いて、家のブレーカーの容量限界までの容量がそれぞれの閾値を超えるごと、または、それぞれの閾値を下回るごとに、それぞれの段階のDER供出量を設定することで、DER供出量の変動を抑制することが可能である。
【0058】
[第2実施形態について]
以上のように、本実施形態に係る電力システム201では、第1実施形態と同様に、ユーザーは自由度をもってDERをRAに供出することができる。
また、本実施形態では、スマートメーター231のBルートを用いて、ブレーカーの容量に関する情報を取得することができる。
【0059】
(以上の実施形態について)
[構成例]
一構成例として、需要家(ユーザー)が所有する分散型エネルギーリソース(図1および図4の例では、DER14)をリソースアグリゲーター(RA)へ供給する電力供給方法(図1および図4の例では、電力システム1、201において行われる方法)であって、需要家の分散型エネルギーリソースの供出量、および、100%保証ではない条件を設定することが可能な実行見込を事前に受け付け、当該供出量および当該実行見込に基づいてリソースアグリゲーターによって分散型エネルギーリソースの機器(図1および図4の例では、DER14の機器)を制御する。
【0060】
一構成例として、電力供給方法において、実行見込として、パーセントあるいは回数のうちの一方または両方を用いた条件を設定することが可能である。
一構成例として、電力供給方法において、実行見込として、時間と内容とが対応する条件を設定することが可能である。
【0061】
一構成例として、電力供給方法において、実行見込として、需要家のブレーカー容量を用いた条件を設定することが可能である。
一構成例として、電力供給方法において、需要家のスマートメーターのBルートでブレーカー容量を取得する。
【0062】
一構成例として、需要家が所有する分散型エネルギーリソースをリソースアグリゲーターへ供給する電力システム(図1および図4の例では、電力システム1、201)であって、リソースアグリゲーターの第1装置(図1および図4の例では、RAサーバー11)を備え、第1装置は、需要家の分散型エネルギーリソースの供出量、および、100%保証ではない条件を設定することが可能な実行見込を記憶し、第1装置は、当該供出量および当該実行見込に基づいて分散型エネルギーリソースの機器を制御する。
【0063】
ここで、以上に示した任意の装置における任意の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録(記憶)して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体である。
【0064】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0065】
以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、本実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0066】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1、201…電力システム、11…RAサーバー、12…機器サーバー、13、211…コントローラー、14…DER、31…蓄電池、32…HP給湯機、33…EV、34…エアコン、231…スマートメーター、1011、1111…テーブル
図1
図2
図3
図4
図5