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特許7531975帯電防止剤を含む粘着剤組成物および表面保護フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】帯電防止剤を含む粘着剤組成物および表面保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240805BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20240805BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240805BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20240805BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240805BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20240805BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J133/06
C09J11/06
C09J133/14
C09J7/38
C09J7/29
B32B27/00 M
B32B27/00 L
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023504616
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 KR2021010784
(87)【国際公開番号】W WO2022039447
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0103552
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・グ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・イム
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123282(JP,A)
【文献】特開2019-089937(JP,A)
【文献】国際公開第2015/120337(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/153754(WO,A1)
【文献】特開2016-210995(JP,A)
【文献】国際公開第2011/122178(WO,A1)
【文献】特開2017-155099(JP,A)
【文献】特開2018-119028(JP,A)
【文献】特開2016-194016(JP,A)
【文献】特開2011-63712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を含むウレタン樹脂、イソシアネート系硬化剤、(メタ)アクリレート共重合体、および帯電防止剤を含む粘着剤組成物であって、
前記(メタ)アクリレート共重合体は、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体、フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物から重合され
前記(メタ)アクリレート共重合体は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して0.5~5重量部含まれる、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は、5万~20万である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記イソシアネート系硬化剤は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して10~30重量部含まれる、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、重量平均分子量が2万~7万である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記単量体混合物は、前記水酸基含有(メタ)アクリレート単量体0超過10重量%以下、前記フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体0超過10重量%以下、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体70~95重量%、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体1~10重量%の含有量で含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
前記フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体は、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ-n-プロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ-t-ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-t-ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-2,4-ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、およびエイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
前記炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、およびイソノニル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
前記炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体は、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、およびエイコシル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項10】
前記帯電防止剤は、イオン性化合物を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項11】
離型フィルムおよび基材フィルムを含む表面保護フィルムであって、
前記基材フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、請求項1に記載の粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層と、を含み、
前記離型フィルムと前記粘着剤層とは直接接する
表面保護フィルム。
【請求項12】
前記離型フィルムは、第2基材層と、前記第2基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、離型層と、を含む、請求項11に記載の表面保護フィルム。
【請求項13】
前記粘着剤層の表面抵抗が1012Ω/□以下である、請求項11に記載の表面保護フィルム。
【請求項14】
ガラスに付着させた後、180゜の剥離強度および0.3m/minの剥離速度で剥離する場合の剥離力が4gf/in以下である、請求項11に記載の表面保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年8月18日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0103552号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
本発明は、粘着剤組成物および表面保護フィルムに関する。具体的には、被着材への帯電防止剤の移行が減少した粘着剤組成物および表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDを製造する工程中には、プラスチックOLEDパネルの製造後、タッチ部との貼り合わせ前までパネル表面のエンカプセレーション層の外部汚染および外部刺激による損傷を防止する必要がある。エンカプセレーション層を保護するために、一般的に、TFE(Thin Film Encapsulation)用工程保護フィルムがプラスチックOLED製造工程中に工程保護フィルムとして使用されている。
【0003】
このような工程保護フィルムは、通常、基材層と粘着剤層とを含み、粘着剤層の表面を保護するための離型フィルムが貼り合わされている。離型フィルムが貼り合わされた工程保護フィルムは、離型フィルムを剥離した後、粘着剤層が工程中に表面の保護されるべき電子部材などの被着材の表面と当接するように貼り合わされ、後の工程進行後にそれ以上の保護を必要とせず、他の工程を行わなければならない場合、工程保護フィルムは被着材から剥離される。
【0004】
このような工程保護フィルムは、OLEDパネルの上面部に貼り合わされてOLED素子を保護するフィルムで、製造設備と当接する時に発生する静電気、または貼り合わされた保護フィルムの剥離時に発生しうる静電気によるOLED素子の損傷および残存する静電気による微細電荷によるパネル誤作動の防止のために帯電防止機能が要求され、離型フィルムの剥離時に剥離帯電圧が低い必要がある。
【0005】
また、工程保護フィルムは、製造工程中に電子部材を保護するために臨時的に使用されるフィルムであるので、被着材に対して優れたウェッティング性が要求され、追加的な工程を行うために保護フィルムを除去する場合、低い剥離力および低い残渣が要求され、剥離後に工程保護フィルムによる汚染があってはならず、剥離時に静電気による損傷が被着材に発生してはならないので、粘着剤層に対する高い帯電防止特性が要求されている。
【0006】
このような帯電防止特性を満足させるために粘着剤に帯電防止剤を添加する方法が考案されたが、高温および高湿の環境下で被着材へ帯電防止剤が移行して表面汚染が発生する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が達成しようとする技術的課題は、低残渣、低剥離力および帯電防止剤の移行が防止された粘着剤組成物および表面保護フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、水酸基を含むウレタン樹脂、イソシアネート系硬化剤、(メタ)アクリレート共重合体、および帯電防止剤を含み、前記(メタ)アクリレート共重合体は、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体、フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物から重合された粘着剤組成物が提供される。
【0009】
本発明の他の側面によれば、離型フィルムおよび基材フィルムを含む表面保護フィルムであって、前記基材フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、前記粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層と、を含み、前記離型フィルムと前記粘着剤層とは直接接する表面保護フィルムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、粘着力が低くて被着材から剥離が容易であり得、被着材の表面に残渣を残さず、帯電防止剤が被着材へ移行しないので被着材の表面を汚染させない効果がある。
本発明の他の実施形態による表面保護フィルムは、粘着力が低くて被着材から剥離が容易であり得、被着材の表面に残渣を残さず、帯電防止剤が被着材へ移行しないので被着材の表面を汚染させない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による表面保護フィルムの断面を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態による表面保護フィルムの断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0013】
本明細書において、重量平均分子量は、分子量測定用に市販されている多様な重合度の単分散ポリスチレン重合体(標準試料)を標準物質とし、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によって測定したポリスチレン換算分子量であって、g/mol単位の値である。本明細書において、特別な記載がない場合の分子量とは、重量平均分子量を意味する。
本明細書において、「帯電防止層」という用語は、静電気の発生を抑制することを目的とする層を意味する。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、水酸基を含むウレタン樹脂、イソシアネート系硬化剤、(メタ)アクリレート共重合体、および帯電防止剤を含む粘着剤組成物であって、前記(メタ)アクリレート共重合体は、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体、フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物から重合された粘着剤組成物が提供される。
【0015】
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、硬化することで粘着剤層に形成され、被着材に付着してから剥離する場合、剥離力が低くて容易に剥離可能であり、糊跡などが被着材の表面に残らないので残渣が少なく、帯電防止剤の被着材表面への移行が減少して被着材の表面汚染なく剥離可能である。
【0016】
(1)ウレタン樹脂
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、ウレタン樹脂を主成分とすることができる。主成分とするというのは、前記粘着剤組成物に約50重量%以上の含有量で含まれ、他の構成成分より多量含まれる成分であり得るとの意味である。
【0017】
本発明の一実施形態による粘着剤組成物に含まれるウレタン樹脂は特に限定されないが、ポリオールと多官能性イソシアネートを含有するウレタン製造用混合物を重合させて得られるポリウレタンポリオール樹脂またはポリウレタンプレポリマーポリオールであってもよい。
【0018】
前記ポリウレタンポリオール樹脂の原料ポリオールは、1種を使用することができ、2種以上を共に使用してもよい。また、原料ポリオールは、2官能ポリオールと3官能以上のポリオールとを共に使用することができ、この時、1種以上の2官能ポリオールおよび1種以上の3官能以上のポリオールを共に使用してもよい。
【0019】
前記原料ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,8-デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。酸成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、ダイマー酸、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-エチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、これらの酸無水物などが挙げられる。
【0020】
また、前記原料ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールのうちの1種以上を含有することができる。具体例は次の通りであるが、以下に限定されない。
【0021】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水;プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのような低分子ポリオール;ビスフェノールAなどのようなビスフェノール類;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなどのようなジヒドロキシベンゼン;などを開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのようなアルキレンオキシドを付加重合させることにより得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0022】
ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合によって得られるカプロラクトン系ポリエステルジオールなどが挙げられる。
【0023】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記ポリオール成分とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記ポリオール成分と炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、エチルブチル炭酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジルなどの炭酸ジエステル類をエステル交換縮合させて得られるポリカーボネートポリオール;前記ポリオール成分を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られるポリエステル系ポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとアルキレンオキシドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートポリオール;などが挙げられる。
【0024】
前記ウレタン製造用混合物に含まれる前記原料ポリオールの数平均分子量は適宜選択可能である。一実施態様において、前記ポリオールの数平均分子量は、好適には100~4万であってもよいが、これに限定されない。
【0025】
前記多官能性イソシアネート化合物としては、ウレタン化反応に使用可能な任意の適切な多官能性イソシアネート化合物を採用することができる。このような多官能性イソシアネート化合物の例としては、多官能性脂肪族系イソシアネート化合物、多官能性脂環族系イソシアネート、および多官能性芳香族系イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0026】
前記多官能性イソシアネート化合物としては、例えば、多官能性脂肪族系イソシアネート、多官能性脂環族系イソシアネート、多官能性芳香族系イソシアネート化合物、3官能イソシアネートでポリイソシアネートを変性したトリメチロールプロパン付加体(adduct)、ポリイソシアネートと水とを反応させたビウレット体(biuret body)、イソシアヌレート環を有する三量体などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0027】
前記多官能性脂肪族系イソシアネート化合物は、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを含むが、これらに限定されない。
【0028】
前記多官能性脂環族系イソシアネート化合物は、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)などを含むが、これらに限定されない。
【0029】
前記多官能性芳香族系イソシアネート化合物は、例えば、トルエン2,4-ジイソシアネート(TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(TDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、重合体性メチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、m-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン2,4-ジイソシアネート(NDI)、p-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)などを含むが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書の一実施形態において、多官能性イソシアネート化合物は、2種以上のイソシアネート化合物を混合して使用することができ、この場合、2種以上のイソシアネート化合物の種類および含有量は適宜選択可能である。例えば、前記ウレタン製造用混合物に含まれるイソシアネート化合物としては、多官能性芳香族系イソシアネート化合物と多官能性脂肪族系イソシアネート化合物とを混合して使用することができる。
【0031】
前記ウレタン樹脂は、水酸基を含むものであってもよい。ウレタン樹脂が水酸基を含むことにより、粘着剤組成物が粘着剤層に形成される時、すなわち、粘着剤組成物が硬化して粘着剤層に形成される時、ウレタン樹脂の水酸基が架橋ポイントの役割を果たすことができる。したがって、前述のように、ポリオールと多官能性イソシアネートから製造したポリウレタンポリオール樹脂をウレタン樹脂として用いる場合、ポリオールの水酸基のモル数(OH)と多官能性イソシアネートのイソシアネート基のモル数(NCO)との比(NCO/OH)が1未満となるように用いてポリウレタンポリオール樹脂を製造することが好ましい。
【0032】
前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は、5万~20万または10万~15万のものであってもよい。前記範囲内の重量平均分子量を有するウレタン樹脂を用いる場合、粘着層の凝集力および粘着力を適宜調節可能である。
【0033】
前記ウレタン樹脂は、粘着剤組成物の60重量%以上の含有量で含まれるものであってもよく、好ましくは、70~90重量%、75~90重量%、80~90重量%、または84~90重量%の含有量で含まれるものであってもよい。すなわち、ウレタン樹脂は、粘着剤組成物の主成分として前記範囲内の含有量で粘着剤組成物に含まれるものであってもよい。
【0034】
前記ウレタン樹脂を製造する過程で適切な添加剤を使用することができる。例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、劣化防止剤などを添加してウレタン樹脂を製造することができ、添加剤の種類とその含有量は目的に応じて適宜設定可能である。ウレタン樹脂は、好ましくは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤のような劣化防止剤を含んで製造できる。
【0035】
また、ウレタン樹脂を製造する過程で任意の適切な触媒を使用することができる。このような触媒としては、例えば、3級アミン系化合物、有機金属系化合物などが挙げられる。有機金属系化合物としては、例えば、スズ系化合物、非スズ系化合物などが挙げられる。
【0036】
前記スズ系化合物としては、例えば、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジブロミド、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズスルフィド、トリブチルスズスルフィド、トリブチルスズオキシド、トリブチルスズアセテート、トリエチルスズエトキシド、トリブチルスズエトキシド、ジオクチルスズオキシド、トリブチルスズクロライド、トリブチルスズトリクロロアセテート、2-エチルヘキサン酸スズなどが挙げられる。
【0037】
(2)硬化剤
前記イソシアネート系硬化剤は、前記粘着剤組成物に含まれたウレタン樹脂と(メタ)アクリレート共重合体とを架橋して硬化させるために添加される。具体的には、ウレタン樹脂および(メタ)アクリレート共重合体に含まれている水酸基と反応するイソシアネート基を含むことにより、ウレタン樹脂と(メタ)アクリレート共重合体とを架橋することができる。
【0038】
前記イソシアネート系硬化剤は、ウレタン反応に使用可能な化合物であれば、当業界にて通常使用される任意の適切な多官能性イソシアネート化合物を選択して使用することができる。また、以下に例として列挙される1種以上の多官能性イソシアネート化合物の混合物をイソシアネート系硬化剤として使用することができる。
【0039】
前記多官能性イソシアネート化合物としては、例えば、多官能脂肪族系イソシアネート化合物、多官能脂環族系イソシアネート化合物、多官能芳香族系イソシアネート化合物などが挙げられ、これに加えて、3官能イソシアネートでポリイソシアネートを変性したトリメチロールプロパン付加体(adduct)、ポリイソシアネートと水とを反応させたビウレット体(biuret body)、イソシアヌレート環を有する三量体などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0040】
前記多官能性脂肪族系イソシアネート化合物は、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを含むが、これらに限定されない。
【0041】
前記多官能性脂環族系イソシアネート化合物は、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)などを含むが、これらに限定されない。
【0042】
前記多官能芳香族系イソシアネート化合物は、例えば、トルエン2,4-ジイソシアネート(TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(TDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、重合体性メチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、m-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン2,4-ジイソシアネート(NDI)、p-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)などを含むが、これらに限定されない。
【0043】
前記イソシアネート系硬化剤は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して10~30重量部含まれる。前記範囲内の含有量で硬化剤が含まれる場合、硬化反応が円滑に進行しながらも適切な水準の硬度に硬化可能で、粘着剤組成物の硬化物が適正水準の粘着力を達成することができる。
【0044】
前記イソシアネート系硬化剤のイソシアネート基のモル数とウレタン樹脂の水酸基のモル数との比は、5.0以下であってもよい。前記範囲内のモル数の比を有するようにイソシアネート系硬化剤が添加される場合、未反応イソシアネート基が少なくて剥離力が低い水準に達成できる。
【0045】
(3)(メタ)アクリレート共重合体
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、特定の単量体を含む混合物から共重合された(メタ)アクリレート共重合体を含むことで、このような問題を解決した。具体的には、前記(メタ)アクリレート共重合体は、水酸基を含む(メタ)アクリレート単量体の重合単位を含むことにより、水酸基を含み、また、長鎖のアルキル基を含む(メタ)アクリレート単量体の重合単位およびフッ素系置換基を含む(メタ)アクリレート単量体の重合単位を含むことにより、2種類の疎水性基を含む。長鎖のアルキル基は、炭化水素鎖であって疎水性基に相当し、フッ素系置換基は、アクリレートのエステルに結合したアルキル基の炭素の水素の一部または全部の代わりにフッ素が結合し、これによって長鎖のアルキル基に準ずる疎水性を有することが可能で疎水性基に相当する。粘着剤組成物で粘着剤層を製造する工程で、疎水性基によって粘着剤層の外表面部に(メタ)アクリレート共重合体が浮上することができ、粘着剤層の外表面部、すなわち被着材と直接接触して付着する面の表面部に位置する(メタ)アクリレート共重合体の疎水性基によって低い剥離力が実現できる。また、(メタ)アクリレート共重合体の水酸基は、イソシアネート系硬化剤と反応してウレタン樹脂と架橋される架橋サイトの役割を果たすことができ、これによって低い剥離力を達成することができる。前記2種類の疎水性基および水酸基によって、高温高湿環境でも粘着剤組成物を含む粘着剤層の耐久性に優れることができ、粘着剤組成物に可塑剤や剥離力調節剤が含まれている場合であっても、粘着剤層の表面から可塑剤や剥離力調節剤が移行して被着材の表面を汚染させるのを防止することができる。
【0046】
また、(メタ)アクリレート共重合体の水酸基は、イソシアネート系硬化剤と反応してウレタン樹脂と架橋される架橋サイトの役割を果たすことができ、これによって低い剥離力を達成することができ、帯電防止剤が粘着剤層の表面から被着材の表面に移行するのを防止することにより、被着材表面の汚染を防止することができる。前記2種類の疎水性基および水酸基によって、高温高湿環境でも粘着剤組成物を含む粘着剤層の耐久性に優れることができ、粘着剤組成物に可塑剤や剥離力調節剤が含まれている場合であっても、粘着剤層の表面から可塑剤や剥離力調節剤が移行して被着材の表面を汚染させるのを防止することができる。
【0047】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、重量平均分子量が2万~7万であってもよい。前記範囲内の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレート共重合体が粘着剤組成物に含まれる場合、アクリレート共重合体の添加時、粘着剤の表面部に位置して剥離力および硬化度を調節することができる。
【0048】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、単量体混合物から重合される。具体的には、前記(メタ)アクリレート共重合体は、単量体混合物から溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、放射線硬化重合などの一般的に用いられる各種重合方法を利用して重合される。
【0049】
前記単量体混合物は、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体、フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む。
【0050】
前記単量体混合物は、前記水酸基含有(メタ)アクリレート単量体を0超過10重量%以下の含有量で含むことができる。水酸基含有(メタ)アクリレート単量体は、重合される(メタ)アクリレート共重合体の水酸基価を考慮してその含有量が調節可能であり、前記含有量範囲内の水酸基含有(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物を重合して(メタ)アクリレート共重合体を製造する場合、適切な剥離力を有すると同時に、湿潤特性に優れた粘着剤組成物を製造することができる。
【0051】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものであってもよい。
【0052】
前記単量体混合物は、前記フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体を0超過10重量%以下の含有量で含むことができる。フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位は、(メタ)アクリレート共重合体内の疎水性基に相当することができる。前記範囲内のフッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物を重合して(メタ)アクリレート共重合体を製造する場合、粘着剤の剥離力を適切な範囲に調節することができる。
【0053】
前記フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体は、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ-n-プロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ-t-ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-t-ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-2,4-ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、およびエイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものであってもよい。
【0054】
前記単量体混合物は、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体70~95重量%および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体1~10重量%の含有量で含むものであってもよい。すなわち、短鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体と長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体とを含むものであって、特に長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体の重合単位が(メタ)アクリレート共重合体内の他の疎水性基に相当することができる。前記範囲内の含有量でアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物を重合して(メタ)アクリレート共重合体を製造する場合、前記(メタ)アクリレート共重合体を含む粘着剤組成物が硬化して、粘着剤層への適用時に適切な剥離力を有することができる。
【0055】
前記炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、およびイソノニル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものであってもよい。
【0056】
前記炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体は、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、およびエイコシル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものであってもよい。
【0057】
前記単量体混合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で前記(メタ)アクリレート単量体と重合可能な他の単量体成分をさらに含むことができる。例えば、前記単量体混合物は、芳香族(メタ)アクリレート単量体、その他、(メタ)アクリレート単量体などの(メタ)アクリレート単量体をさらに含むことができ、必要に応じてその含有量が調節可能である。その例示は次の通りであるが、これに限定されない。
【0058】
前記芳香族(メタ)アクリレートの例としては、オルトビフェニル(メタ)アクリレート、メタビフェニル(メタ)アクリレート、パラビフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ターフェニル(メタ)アクリレート、オルトターフェニル(メタ)アクリレート、メタターフェニル(メタ)アクリレート、パラターフェニル(メタ)アクリレート、4-(4-メチルフェニル)フェニル(メタ)アクリレート、4-(2-メチルフェニル)フェニル(メタ)アクリレート、2-(4-メチルフェニル)フェニル(メタ)アクリレート、2-(2-メチルフェニル)フェニル(メタ)アクリレート、4-(4-エチルフェニル)フェニル(メタ)アクリレート、4-(2-エチルフェニル)フェニル(メタ)アクリレート、2-(4-エチルフェニル)フェニル(メタ)アクリレート、2-(2-エチルフェニル)フェニル(メタ)アクリレートなどがあるが、これらに限定されない。
その他、(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、2-エチルフェノキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2-エチルチオフェニル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、3-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、4-フェニルブチル(メタ)アクリレート、2,2-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、2,3-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、2,4-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、および2-(4-ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレートなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0059】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して0.5~5重量部、0.5~3重量部、1~3重量部、1~2.5重量部、または1.5~2.5重量部含まれるものであってもよい。前記範囲内の含有量で(メタ)アクリレート共重合体を含む場合、粘着剤組成物が硬化して、粘着剤層への適用時に適切な剥離力を有することができる。
【0060】
(4)帯電防止剤
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、帯電防止剤を含む。帯電防止剤は、表面保護フィルムの表面抵抗を低下させることにより、静電気による粉塵などの吸着を防止することができる。
【0061】
前記帯電防止剤は、目的の表面抵抗を実現できるものであれば、適宜選択可能である。本発明の一実施形態によれば、前記帯電防止剤は、イオン性化合物、導電性微粒子、および導電性高分子のうちの1種以上を含むことができる。
【0062】
前記イオン性化合物は、有機陽イオンを有するイオン性化合物;および無機陽イオンを有するイオン性化合物を含むことができる。
【0063】
前記有機陽イオンを有するイオン性化合物としては、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-オクチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、2-メチル-1-ピロリンテトラフルオロボレート、1-エチル-2-フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2-ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1-エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムパーフルオロブタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムパーフルオロブタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-p-トルエンスルホネート、1-メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3-メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウム-p-トルエンスルホネート、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1-ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、ジアリルジメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、グリシジルトリメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N-ジメチル-N-エチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-エチル-N-ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N,N-ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-プロピル-N-ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-プロピル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-プロピル-N-ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-プロピル-N-ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-ブチル-N-ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-ブチル-N-ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N-ペンチル-N-ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジメチル-N,N-ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-プロピル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジプロピル-N-メチル-N-エチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジプロピル-N-メチル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジプロピル-N-ブチル-N-ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジプロピル-N,N-ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジブチル-N-メチル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジブチル-N-メチル-N-ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、N-メチル-N-エチル-N-プロピル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムジメチルホスフィネート、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドナトリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロスルホニル)イミドカリウム、ビス(トリフルオロスルホニル)イミドナトリウム、またはビス(トリフルオロスルホニル)イミドリチウム、トリブチルメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドなどが例に挙げられる。
【0064】
無機陽イオンを有するイオン性化合物としては特に限定があるわけではないが、リチウムブロミド、リチウムヨージド、リチウムテトラフルオロボレート、リチウムヘキサフルオロホスフェート、リチウムチオシアネート、リチウムパークロレート、リチウムトリフルオロメタンスルホネート、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドなどが例に挙げられる。
【0065】
(5)その他
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、前記成分以外にも、その他の添加剤を含むことができる。例えば、前記粘着剤組成物は、溶媒、触媒、硬化遅延剤、粘着樹脂、可塑剤、光開始剤、加水分解防止剤、酸化防止剤、硬化促進剤、遅延防止剤などを目的に応じてさらに含むことができ、その含有量も適宜選択可能である。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、前記粘着剤組成物は、溶媒をさらに含むことができる。前記溶媒としては、公知の適切な溶媒、例えば、ケトン系、アセテート系、トルエン系などを用いることができるが、これらに限定されない。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、前記粘着剤組成物は、触媒をさらに含むことができる。前記触媒は、本出願の目的を考慮して適宜選択可能であり、例えば、前記ウレタン重合体対比10ppm~500ppm含まれる。前記触媒としては、DBTDL(dibutyl tin dilaurate)のようなスズ系触媒、鉛系触媒、有機および無機酸の塩、有機金属誘導体、アミン系触媒、ジアザビシクロウンデセン系触媒などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、前記粘着剤組成物は、硬化遅延剤をさらに含むことができる。前記硬化遅延剤としては公知の任意の適切な物質を使用することができ、前記硬化遅延剤の含有量は適宜選択可能である。一実施態様において、前記硬化遅延剤としては、アセチルアセトンを使用することができる。
【0069】
本発明の他の実施形態によれば、離型フィルムおよび基材フィルムを含む表面保護フィルムであって、前記基材フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、前記粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層と、を含み、前記離型フィルムと前記粘着剤層とは直接接する表面保護フィルムが提供される。
【0070】
前記表面保護フィルムは、工程中に部材を保護する役割を果たし、被着材への付着時に除去される離型フィルムを含み、被着材に付着してその表面を保護する役割を果たし、後に被着材の表面から剥離される基材フィルムを含む。
【0071】
図1および図2は、本発明の一実施形態による表面保護フィルムの断面を示す概略図である。図1および図2を参照すれば、表面保護フィルム1000は、離型フィルム10および基材フィルム20を含み、基材フィルム20は、第1基材層201と、帯電防止層503、504と、粘着剤層301とを含むことができる。
【0072】
(1)基材フィルム
前記基材フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、前記粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層と、を含む。
前記第1基材層は、基材フィルムの形状を維持する役割を果たすことができ、ポリエチレンテレフタレート;ポリテトラフルオルエチレン;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブテン;ポリブタジエン;塩化ビニル共重合体;ポリウレタン;エチレン-ビニルアセテート;エチレン-プロピレン共重合体;エチレン-アクリル酸エチル共重合体;エチレン-アクリル酸メチル共重合体;ポリイミド;ナイロン;スチレン系樹脂またはエラストマー;ポリオレフィン系樹脂またはエラストマー;その他のエラストマー;ポリオキシアルキレン系樹脂またはエラストマー;ポリエステル系樹脂またはエラストマー;ポリ塩化ビニル系樹脂またはエラストマー;ポリカーボネート系樹脂またはエラストマー;ポリフェニレンスルフィド系樹脂またはエラストマー;炭化水素の混合物;ポリアミド系樹脂またはエラストマー;アクリレート系樹脂またはエラストマー;エポキシ系樹脂またはエラストマー;シリコーン系樹脂またはエラストマー;および液晶ポリマーからなる群より選択された1つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0073】
前記第1基材層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記第1基材層の厚さは、25μm以上150μm以下;50μm以上125μm以下;または50μm以上100μm以下であってもよい。
【0074】
前記帯電防止層は、前記第1基材層の少なくとも一面、すなわち一面または両面に位置することができる。
【0075】
帯電防止層は、目的の効果を達成するために、公知の方法で形成されてもよい。例えば、前記帯電防止層は、第1基材層の一面または両面にインラインコーティング方法によって形成される。前記インラインコーティング方法は、押出されて出たフィルムを一軸延伸後、コーティング層を塗布して再度二軸延伸でフィルムを完成する方法である。前記インラインコーティング方法は、フィルムの製造工程中にコーティングが行われるので、コーティング層とフィルムとの間の密着性が増加し、コーティング層の付与がフィルムの製造とともに連続的に行われるので、工程が短縮され、フィルムを最大限に薄く製造できるというメリットがある。
【0076】
本発明において、前記帯電防止層は、本出願の目的を考慮して適切な帯電防止組成物で形成できる。例えば、前記帯電防止層は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で熱硬化性バインダー樹脂を含むことができる。
【0077】
本明細書において、「熱硬化性バインダー樹脂」という用語は、適切な加熱または熟成(aging)工程により、硬化可能なバインダー樹脂を意味する。例えば、前記熱硬化性バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタン-アクリル系共重合体、エステル系樹脂、エーテル系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、およびメラミン樹脂からなる群より選択された1つまたはこれらの混合物を使用することができるが、これに限定されない。
【0078】
一つの例において、前記帯電防止層は、導電性物質を含むことができる。前記導電性物質は、導電性高分子またはカーボンナノチューブを含むことができるが、これに限定されない。
【0079】
前記導電性高分子は、例えば、ポリアニリン系高分子化合物、ポリピロール系高分子化合物、ポリチオフェン系高分子化合物、これらの誘導体および共重合体を含むことができるが、これに限定されない。
【0080】
前記カーボンナノチューブは、炭素6個からなる六員環が互いに連結されてなる黒鉛板状を丸く巻いて生じたチューブ形態を有することができる。前記カーボンナノチューブは剛性および電気伝導性に優れ、帯電防止層に含まれる場合、帯電防止層の硬度が増加し、帯電防止機能が向上できる。
【0081】
各帯電防止層の厚さは、独立して600nm以下であってもよく、10nm以上400nm未満であってもよいし、好ましくは、20nm以上300nm以下;または20nm以上100nm以下であってもよい。
【0082】
前記粘着剤層は、粘着剤組成物の硬化物を含む。粘着剤組成物に関する事項は前述の通りである。
前記粘着剤層は、前記第1基材層の表面に塗布されて硬化することにより形成され、前記粘着剤組成物を硬化させる方法は特に限定されず、例えば、適切な乾燥、加熱および/または熟成(aging)工程による硬化;または紫外線(UV)のような電磁波照射による硬化方式を採用することができる。
【0083】
第1基材層の粘着剤層に対向する面に帯電防止層が位置する場合、帯電防止層の表面に粘着剤組成物を塗布して前記のような方法で粘着剤層を製造することができる。
【0084】
前記粘着剤層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記粘着剤層の厚さは、10μm以上;30μm以上;または45μm以上であってもよい。例えば、前記粘着剤層の厚さは、200μm以下;150μm以下;100μm以下;または90μm以下であってもよい。
【0085】
(2)離型フィルム
前記離型フィルムは、第2基材層と、前記第2基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、離型層と、を含むものであってもよい。
本発明の一実施形態によれば、離型フィルムは、表面保護フィルムが部材に付着する前まで前記基材フィルムの粘着剤層を保護する役割を果たす。
【0086】
図1および図2を参照すれば、表面保護フィルム1000は、離型フィルム10および基材フィルム20を含み、離型フィルム10は、第2基材層101と、帯電防止層501、502と、離型層401とを含むことができる。
【0087】
前記離型フィルムの第2基材層は、ポリエチレンテレフタレート;ポリテトラフルオルエチレン;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブテン;ポリブタジエン;塩化ビニル共重合体;ポリウレタン;エチレン-ビニルアセテート;エチレン-プロピレン共重合体;エチレン-アクリル酸エチル共重合体;エチレン-アクリル酸メチル共重合体;ポリイミド;ナイロン;スチレン系樹脂またはエラストマー;ポリオレフィン系樹脂またはエラストマー;その他のエラストマー;ポリオキシアルキレン系樹脂またはエラストマー;ポリエステル系樹脂またはエラストマー;ポリ塩化ビニル系樹脂またはエラストマー;ポリカーボネート系樹脂またはエラストマー;ポリフェニレンスルフィド系樹脂またはエラストマー;炭化水素の混合物;ポリアミド系樹脂またはエラストマー;アクリレート系樹脂またはエラストマー;エポキシ系樹脂またはエラストマー;シリコーン系樹脂またはエラストマー;および液晶ポリマーからなる群より選択された1つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0088】
前記第2基材層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、25μm以上150μm以下;25μm以上125μm以下;または25μm以上100μm以下であってもよい。
【0089】
離型フィルムに含まれる帯電防止層に関する内容は、基材フィルムの帯電防止層で記載した具体的な事項によることができる。
【0090】
前記離型層の材料は、本発明の目的に応じて適宜選択可能である。前記離型層としては、本発明の分野における一般的な高分子フィルムを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオルエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルム、またはポリイミドフィルムなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0091】
前記離型層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記離型層の厚さは、500nm以下であってもよく、好ましくは10nm以上500nm以下;10nm以上300nm以下;または10nm以上200nm以下であってもよい。
【0092】
本発明の一実施形態による表面保護フィルムは、前記粘着剤層の表面抵抗が1012Ω/□以下または1011Ω/□以下であってもよい。前記範囲内の表面抵抗を有する場合、表面保護フィルムは帯電防止特性に優れることができる。
【0093】
具体的には、第1基材層の一面上に帯電防止層を含む場合、さらに具体的には、第1基材層が粘着剤層と接しない面に帯電防止層を含む場合、前記粘着剤層の表面抵抗が1012Ω/□以下であってもよく、第1基材層の両面上に帯電防止層を含む場合、前記粘着剤層の表面抵抗が1011Ω/□以下であってもよい。帯電防止層が含まれることによって表面抵抗が異なり、目的に応じて帯電防止層を含んでいるか否かおよび含んでいる数を調節することができる。
【0094】
本発明の一実施形態による表面保護フィルムは、ガラスに付着させた後、180゜の剥離強度および0.3m/minの剥離速度で剥離する場合の剥離力が4gf/in以下、0超過3gf/in以下、および0超過2gf/in以下であってもよい。前記範囲内の剥離力を有する場合、表面保護フィルムが被着材に付着してから工程が終了した後、被着材から剥離される時、被着材の損傷なく除去可能である。
【0095】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に記述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例
【0096】
実施例1
窒素ガスが還流し温度調節が容易となるように冷却装置を設けた1L反応器に、ブチルメタクリレート87重量部、ステアリルメタクリレート7重量部、ヒドロキシブチルアクリレート3重量部、トリデカフルオロオクチルアクリレート3重量部を含む単量体混合物を投入後、溶媒としてトルエンを投入した。混合物を均一に混合した後、反応器の温度を120℃に維持し、反応開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)を単量体混合物100重量部に対して1.5重量部添加した後、約4時間反応させた。反応後にトルエンで追加希釈して、重量平均分子量が28,000g/molの(メタ)アクリレート共重合体を製造した。
【0097】
ウレタン樹脂(重量平均分子量12万、Toyochem社のSH-101)100重量部に対して、前記(メタ)アクリレート共重合体1.5重量部、ピリジニウム系帯電防止剤(Koei chem社、IL-P14)0.05重量部、多官能イソシアネート硬化剤として、イソシアヌレートイソシアネート三量体およびイソホロンジイソシアネートを7:3の重量比で含む混合物(Samyoung Ink社、DR7030X)15重量部を混合して粘着剤組成物を製造した。
【0098】
帯電防止層が一面に備えられた厚さ75μmのPETフィルムの帯電防止層と接しない面上に前記粘着剤組成物を塗布し、140℃で約3分間乾燥して厚さ75μmの粘着剤層を形成し、粘着剤層上に離型フィルム(SKC、RF02ASW)を貼り合わせた。以後、40℃のオーブンで約5日間熟成して表面保護フィルムを製造した。
【0099】
実施例2~3
下記表1により成分および含有量を変化させたことを除けば、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0100】
【表1】
【0101】
比較例1
帯電防止剤としてアンモニウム系帯電防止剤(3M社のFC4400)を0.05重量部添加し、(メタ)アクリレート共重合体1.5重量部の代わりに剥離力調節剤としてアセチルトリブチルシトレート(ATBC、Asahi Kasei社)60重量部を混合したことを除けば、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0102】
実施例4
帯電防止層が一面に備えられたPETフィルムの代わりに帯電防止層が両面に備えられたPETフィルムを用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0103】
実施例5~7
下記表2による組成を変化させたことを除けば、実施例4と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0104】
【表2】
【0105】
比較例2
帯電防止剤としてアンモニウム系帯電防止剤(3M社のFC4400)を0.1重量部添加し、(メタ)アクリレート共重合体1.5重量部の代わりに剥離力調節剤としてアセチルトリブチルシトレート(ATBC、Asahi Kasei社)60重量部を混合したことを除けば、実施例4と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0106】
比較例3
窒素ガスが還流し温度調節が容易となるように冷却装置を設けた1L反応器に、ブチルメタクリレート87重量部、ステアリルメタクリレート7重量部、ヒドロキシブチルアクリレート6重量部を含む単量体混合物を投入後、溶媒としてトルエンを投入した。混合物を均一に混合した後、反応器の温度を120℃に維持し、反応開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)を単量体混合物100重量部に対して1.5重量部添加した後、約4時間反応させた。反応後にトルエンで追加希釈して、重量平均分子量が28,000g/molの(メタ)アクリレート共重合体を製造したことを除けば、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0107】
比較例4
ウレタン樹脂100重量部に対して、前記(メタ)アクリレート共重合体7.5重量部を混合して粘着剤組成物を製造したことを除けば、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0108】
比較例5
ウレタン樹脂100重量部に対して、前記(メタ)アクリレート共重合体10重量部を混合して粘着剤組成物を製造したことを除けば、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0109】
実験例1:ガラスに対する剥離力の測定
実施例1~7、比較例1および比較例2の表面保護フィルムを幅25mm、長さ250mmとなるように裁断し、離型フィルムを剥離した。離型フィルムを剥離した表面保護フィルムの粘着剤面をエタノールで洗浄後、100℃で20分間乾燥したガラス(Corning社)に2kgのローラで付着させ、50℃の温度および5気圧下で20分間保管した後、25℃の温度下で24時間保管した後、材料物性分析機(Texture Analyzer、英国ステイブルマイクロシステムズ社)を用いて、前記表面保護フィルムをガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力を測定した。
【0110】
実験例2:粘着剤層の表面抵抗の測定
実施例1~7、比較例1~5の表面保護フィルムを幅10cm、長さ10cmとなるように裁断し、離型フィルムを剥離した。離型フィルムを剥離した表面保護フィルムの粘着剤面の表面に表面抵抗測定器(ハイレスタ-UP MCP-HT450、Mitsubishi化学社)を用いて、測定器の電極を2kgfの圧力で押した後、25℃の温度で100Vの電圧を印加しながら10秒後の粘着剤層の表面抵抗を測定した。粘着剤層の真ん中;および粘着剤層の真ん中から粘着剤層の幅方向にそれぞれ2.5cmの2つの地点を10秒間測定して、3つの表面抵抗の平均値を取った。
【0111】
実験例3:高温および高湿環境で放置された後の帯電防止剤の残渣評価
実施例1~7、比較例1~5の表面保護フィルムを幅15cm、長さ15cmとなるように裁断し、離型フィルムを剥離した。離型フィルムを剥離した表面保護フィルムの粘着剤面をガラスに2kgのローラで付着させ、60℃の温度および90%の相対湿度下で10日間保管した後、25℃で1日間保管した。以後、前記表面保護フィルムを剥離して除去した後、帯電防止剤の残渣評価のために、粘着剤が付着していたガラス面の表面抵抗を測定し、具体的には、1000Vの電圧を印加しながら10秒後の表面抵抗値を測定した。
下記表3に実施例1~7、比較例1~5の表面保護フィルムの剥離力、粘着剤層の表面抵抗、高温高湿環境での放置後に剥離された後のガラスの表面抵抗を示した。
【0112】
【表3】
【0113】
前記表3を参照すれば、実施例1~7の表面保護フィルムは、ガラスに対する剥離力が低いながらも粘着剤層の表面抵抗が低くて帯電防止特性に優れ、高温および高湿環境で放置された後にもガラスに残渣がほとんど残らないことから、ガラスの表面抵抗が非常に高くて測定不可能であることを確認することができる。
【0114】
これに対し、比較例1および2は、低い剥離力を示し、表面抵抗は類似の水準を示すが、高温高湿環境で放置された後、ガラスの表面に帯電防止剤が残留してガラスの表面抵抗は測定可能な程度でより低くてガラスに残渣が存在することから、被着材の表面を汚染させることを確認することができる。
【0115】
比較例3は、ガラスに対する剥離力が高くなって被着材から剥離が難しい問題点があり、比較例4および5は、高温高湿環境で放置された後、ガラスの表面に帯電防止剤が残留してガラスの表面抵抗は測定可能な程度でより低くてガラスに残渣が存在することから、被着材の表面を汚染させることを確認することができる。
【0116】
すなわち、重合体が過剰添加される場合、粘着層の硬化度が低くなり、粘着層表面の(メタ)アクリレート系重合体および帯電防止剤が被着材の表面に多量転写されて表面を汚染させることがある。
【符号の説明】
【0117】
1000:表面保護フィルム
10:離型フィルム
20:基材フィルム
101:第2基材層
201:第1基材層
301:粘着剤層
401:離型層
501、502、503、504:帯電防止層
図1
図2